説明

記録媒体及びその製造方法

【課題】経時ニジミ、耐オゾン性に優れた記録媒体を提供すること。
【解決手段】無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散し、分散物(1)を得、別途、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散し、分散物(2)を得、得られた分散物(1)と(2)とを混合し、支持体上に塗布し、乾燥することを特徴とする記録媒体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録方法に好適に用いられる被記媒体及びその製造方法に関し、詳しくは、画像部の経時ニジミが少なく、耐オゾン性に優れた記録媒体及び塗布故障がない製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報技術産業の急速な発展に伴い、インクジェット記録方法、感熱記録方法、感圧記録方法、感光記録方法、転写型記録方法等種々の情報処理システムが開発され、その情報処理システムに適した記録方法および記録装置も開発され、各々実用化されている。
これらの記録方法の中でも、インクジェット記録方法は、多種の被記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)が比較的安価でコンパクトであること、静粛性に優れること等の利点から、オフィスは勿論、いわゆるホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】
また、近年のインクジェットプリンターの高解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得ることも可能になってきており、このようなハード(装置)の進歩に伴って、インクジェット記録用の記録シートも各種開発されてきている。
このインクジェット記録用の記録媒体に要求される特性としては、一般的に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐水性や耐光性、耐オゾン性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存でも黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像がにじまないこと(経時ニシ゛ミが良好な事))、(10)変形しにくく寸法安定性が良好であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハード走行性が良好であること等が挙げられる。
更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられるフォト光沢紙の用途においては、上記諸特性に加えて、光沢性、印画部の光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
【0004】
上記した諸特性の向上を目的として、近年では記録層に多孔質構造を有するインクジェット記録用媒体が開発され実用化されている。このようなインクジェット記録用媒体は多孔質構造を有することで、インク受容性(速乾性)に優れ高い光沢を有するものとなる。
【0005】
例えば、公報等(特許文献1、2参照)では、微細な無機顔料粒子及び水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を有する記録層が支持体上に設けられたインクジェット記録用媒体が提案されている。
これらの記録用シート、特に、無機微粒子としてシリカを用いた多孔質構造からなる記録層を設けたインクジェット記録用媒体は、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画像を形成し得る高いインク受容性能を有し且つ高光沢を示すことができる。
【0006】
しかしながら、これらは、多孔質被膜であるが故に酸素の透過性が大きく、記録層中に含まれる成分の劣化を促進することがある。さらに、シリカ表面における水分吸着に伴い、経時での画像ニジミ(以下「経時ニジミ」という)が生じることがある。
【0007】
また、空気中の微量ガス、特にオゾンは、経時による記録画像の褪色の原因となる。上述の多孔質構造を有する記録層からなる記録材料は、多くの空隙を有することから、空気中のオゾンガスによって記録画像が褪色し易い。このため、上記多孔質構造の記録層を有する記録材料にとって、空気中のオゾンに対する耐性(耐オゾン性)は非常に重要な特性である。
【0008】
上記の種々の特性を満たすべく、種々のインクジェット記録用媒体が種々報告されている。
たとえば、特許文献3〜5には、インク吸収性、画像濃度向上、耐水性、光沢性、耐候性、塗布故障防止を目的として、水溶性多価金属化合物の存在下で無機微粒子を分散した液を塗布したインクジェット記録用媒体が開示されている。
この水溶性多価金属化合物は、上記の耐オゾン性をも付与するが、経時ニジミを解決するものではない。上記経時ニジミを解決するためには、カチオン性ポリマーを使用することが有効であるが、水溶性多価金属化合物の存在下で無機微粒子を分散した液に、カチオン性ポリマーを添加すると著しく増粘し、塗布することが不可能になる。
【特許文献1】特開平10−119423号公報
【特許文献2】特開平10−217601号公報
【特許文献3】特開平8−118787号公報
【特許文献4】特開2000−351267号公報
【特許文献5】特開2002−320842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、印画後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを生じることなく、更に大気中のオゾンガスによる褪色防止効果に優れた記録媒体を提供するとともに、増粘等の塗布故障のない製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
斯かる実状に鑑み、本発明の発明者は鋭意研究を行ったところ、無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散し、分散物(1)を得、別途、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散し、分散物(2)を得、得られた分散物(1)と(2)とを混合し、支持体上に塗布し、乾燥することを特徴とする記録媒体の製造方法、及びこの方法で得られた記録媒体が上記課題を解決することを見出し本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次のものを提供するものである。
【0011】
<1> 無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散し、分散物(1)を得、別途、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散し、分散物(2)を得、得られた分散物(1)と(2)とを混合し、支持体上に塗布し、乾燥することを特徴とする記録媒体の製造方法。
【0012】
<2> 分散物(1)と分散物(2)の質量比(1):(2)が5:95〜50:50であることを特徴とする<1>記載の記録媒体の製造方法。
【0013】
<3> 有機カチオン性ポリマーの数平均分子量(Mn)が、20000未満である<1>又は<2>記載の記録媒体の製造方法。
【0014】
<4> 無機微粒子が気相法シリカであることを特徴とする<1>、<2>又は<3>記載の記録媒体の製造方法。
【0015】
<5> 水溶性多価金属化合物が水溶性アルミニウム化合物であることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法。
【0016】
<6> <1>〜<5>のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法により得られたインクジェット記録用媒体。
【0017】
<7> 無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散した分散物(1)と、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散した分散物(2)とを含有することを特徴とする記録媒体の記録層用塗布液。
【発明の効果】
【0018】
本発明の記録媒体は、印画後、高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも、経時ニジミを生じることなく、更に大気中のオゾンガスによる褪色防止効果に優れる。本発明の製造方法によれば、塗布故障を生じることなく、本発明の記録媒体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の記録媒体は、無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散し、分散物(1)を得、別途、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散し、分散物(2)を得、得られた分散物(1)と(2)とを混合し、支持体上に塗布し、乾燥することを特徴とする記録媒体の製造方法により得られる。
【0020】
<記録層(インク受容層)>
(微粒子)
本発明のインクジェット記録用媒体の記録層は、無機微粒子を含有する。
インクジェット記録用媒体の記録層は、微粒子を含有することにより多孔質構造が得られ、これによりインクの吸収性能が向上する。特に、該微粒子の記録層における固形分含有量が50質量%以上、より好ましくは60質量%を超えていると、更に良好な多孔質構造を形成することが可能となり、十分なインク吸収性を備えたインクジェット記録用媒体が得られるので好ましい。ここで、微粒子の記録層における固形分含有量とは、記録層を構成する組成物中の水以外の成分に基づき算出される含有量である。
本発明に用いる微粒子は無機微粒子であるが、有機微粒子も本発明の効果を損なわない限りにおいて使用することができる。
【0021】
上記有機微粒子として好ましいものとしては例えば、乳化重合、マイクロエマルジョン系重合、ソープフリー重合、シード重合、分散重合、懸濁重合などにより得られるポリマー微粒子が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリアクリレート、ポリアミド、シリコン樹脂、フェノール樹脂、天然高分子等の粉末、ラテックス又はエマルジョン状のポリマー微粒子等が挙げられる。
【0022】
上記無機微粒子としては、例えば、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロイサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、擬ベーマイト、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、アルミナ、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム等が挙げられる。これらの中でも良好な多孔質構造を形成する観点より、シリカ微粒子、コロイダルシリカ、アルミナ微粒子又は擬ベーマイトが好ましい。微粒子は1次粒子のまま用いても、又は2次粒子を形成した状態で使用してもよい。これら微粒子の平均一次粒径は2μm以下が好ましく、50nm以下がより好ましい。
更に、平均一次粒径が20nm以下のシリカ微粒子、平均一次粒径が30nm以下のコロイダルシリカ、平均一次粒径が20nm以下のアルミナ微粒子、又は平均細孔半径が2〜15nmの擬ベーマイトがより好ましく、特にシリカ微粒子、アルミナ微粒子、擬ベーマイトが好ましい。
【0023】
シリカ微粒子は、通常その製造法により湿式法粒子と乾式法(気相法)粒子とに大別される。上記湿式法では、ケイ酸塩の酸分解により活性シリカを生成し、これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る方法が主流である。一方、気相法は、ハロゲン化珪素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)によって無水シリカを得る方法が主流であり、「気相法シリカ」とは該気相法によって得られた無水シリカ微粒子を意味する。本発明に用いるシリカ微粒子としては、特に気相法シリカ微粒子が好ましい。
【0024】
上記気相法シリカは、含水シリカと表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に相違があり、異なった性質を示すが、空隙率が高い三次元構造を形成するのに適している。この理由は明らかではないが、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が5〜8個/nm2で多く、シリカ微粒子が密に凝集(アグリゲート)し易く、一方、気相法シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であり少ないことから疎な軟凝集(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構造になるものと推定される。
【0025】
上記気相法シリカは、比表面積が特に大きいので、インクの吸収性、保持の効率が高く、また、屈折率が低いので、適切な粒子径まで分散をおこなえば受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発色性が得られるという特徴がある。受容層が透明であることは、OHP等透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度と良好な発色性光沢を得る観点で重要である。
【0026】
上記気相法シリカの平均一次粒子径としては50nm以下が好ましく、30nm以下が更に好ましく、20nm以下が特に好ましく、3〜10nmが最も好ましい。上記気相法シリカは、シラノール基による水素結合によって粒子同士が付着しやすいため、平均一次粒子径が50nm以下の場合に空隙率の大きい構造を形成することができ、インク吸収特性を効果的に向上させることができる。
【0027】
また、シリカ微粒子は、前述の他の微粒子と併用してもよい。該他の微粒子と上記気相法シリカとを併用する場合、全微粒子中の気相法シリカの含有量は、30質量%以上が好ましく、50質量%以上が更に好ましい。
【0028】
本発明に用いる無機微粒子としては、アルミナ微粒子、アルミナ水和物、これらの混合物又は複合物も好ましい。この内、アルミナ水和物は、インクを良く吸収し定着することなどから好ましく、特に、擬ベーマイト(Al23・nH2O)が好ましい。アルミナ水和物は、種々の形態のものを用いることができるが、容易に平滑な層が得られることからゾル状のベーマイトを原料として用いることが好ましい。
【0029】
擬ベーマイトの細孔構造については、その平均細孔半径は1〜30nmが好ましく、2〜15nmがより好ましい。また、その細孔容積は0.3〜2.0cc/gが好ましく、0.5〜1.5cc/gがより好ましい。ここで、上記細孔半径及び細孔容積の測定は、窒素吸脱着法により測定されるもので、例えば、ガス吸脱着アナライザー(例えば、コールター社製の商品名「オムニソープ369」)により測定できる。
また、アルミナ微粒子の中では気相法アルミナ微粒子が比表面積が大きく好ましい。該気相法アルミナの平均一次粒子径としては30nm以下が好ましく、20nm以下が更に好ましい。
【0030】
(水溶性多価金属化合物)
水溶性多価金属化合物は、上記無機微粒子を水に分散させる際に含有せしめる。本発明において、水溶性多価金属化合物とは、20℃の水に1質量%以上溶解する2価以上の金属の化合物をいう。
本発明に用いられる水溶性多価金属化合物としては、例えば、アルミニウム、カルシウム、バリウム、マンガン、銅、コバルト、ニッケル、鉄、亜鉛、ジルコニウム、クロム、マグネシウム、タングステン及びモリブデンから選ばれる1種又は2種以上の金属の水溶性塩が挙げられる。具体的には例えば、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、塩基性チオグリコール酸アルミニウム、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酪酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、シュウ酸バリウム、ナフトレゾルシンカルボン酸バリウム、酪酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、酪酸銅(II)、シュウ酸銅、フタル酸銅、クエン酸銅、グルコン酸銅、ナフテン銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、酢酸コバルト(II)、ナフテン酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、スルファミン酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、クエン酸鉄(III)、乳酸鉄(III)三水和物、三シュウ酸三アンモニウム鉄(III)三水和物、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、乳酸亜鉛、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、酢酸マグネシウム、シュウ酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。これらの水溶性多価金属化合物は2種以上を併用してもよい。
【0031】
上記の水溶性多価金属化合物の中でも、アルミニウムもしくは周期律表4A族金属(例えばジルコニウム、チタン)からなる化合物が好ましい。特に好ましくは水溶性アルミニウム化合物である。水溶性アルミニウム化合物としては、例えば無機塩としては塩化アルミニウムまたはその水和物、硫酸アルミニウムまたはその水和物、アンモニウムミョウバン等が知られている。さらに、無機系の含アルミニウムカチオンポリマーである塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物が知られており、好ましく用いられる。
【0032】
上記塩基性ポリ水酸化アルミニウム化合物とは、主成分が下記の一般式1、2又は3で示され、例えば[Al6(OH)153+、[Al8(OH)204+、[Al13(OH)345+、[Al21(OH)603+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性のポリ水酸化アルミニウムである。
【0033】
[Al2(OH)nCl6-nm ・・式1
[Al(OH)3]nAlCl3 ・・式2
Aln(OH)mCl(3n-m) 0<m<3n ・・式3
【0034】
これらのアルミニウム化合物は、大明化学工業より塩基性塩化アルミニウム(アルファイン83)の名で、多木化学(株)よりポリ塩化アルミニウム(PAC)の名で水処理剤として、浅田化学(株)よりポリ水酸化アルミニウム(Paho)の名で、また、(株)理研グリーンよりピュラケムWTの名で、また他のメーカーからも同様の目的を持って上市されており、各種グレードの物が容易に入手できる。
【0035】
本発明に用いられる周期表4A族元素を含む水溶性化合物としては、チタンまたはジルコニウムを含む水溶性化合物がより好ましい。チタンを含む水溶性化合物としては、塩化チタン、硫酸チタンが挙げられる。ジルコニウムを含む水溶性化合物としては、酢酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。
【0036】
(有機カチオン性ポリマー)
本発明に用いる有機カチオン性ポリマーとしては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、または第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられる。
上記有機カチオン性ポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、または第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、該媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体または縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマーは、水溶性ポリマー、または水分散性のラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
【0037】
上記単量体(媒染モノマー)としては、例えば、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、トリエチル−m−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−プロピル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−n−オクチル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−(4−メチル)ベンジル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−フェニル−N−p−ビニルベンジルアンモニウムクロライド、
【0038】
トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムブロマイド、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムスルホネート、トリメチル−p−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、トリメチル−m−ビニルベンジルアンモニウムアセテート、N,N,N−トリエチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N,N−トリエチル−N−2−(3−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−N−2−(4−ビニルフェニル)エチルアンモニウムアセテート、
【0039】
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドのメチルクロライド、エチルクロライド、メチルブロマイド、エチルブロマイド、メチルアイオダイド若しくはエチルアイオダイドによる4級化物、またはそれらのアニオンを置換したスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、酢酸塩若しくはアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0040】
具体的には、例えば、モノメチルジアリルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルオキシ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(メタクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリエチル−2−(アクリロイルアミノ)エチルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(メタクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリエチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、
【0041】
N,N−ジメチル−N−エチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジエチル−N−メチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムクロライド、N,N−ジメチル−N−エチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムクロライド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムブロマイド、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムブロマイド、トリメチル−2−(メタクリロイルオキシ)エチルアンモニウムスルホネート、トリメチル−3−(アクリロイルアミノ)プロピルアンモニウムアセテート等を挙げることができる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N―ビニルイミダゾール、N―ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられ。
【0042】
上記非媒染モノマーとは、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、または第4級アンモニウム塩基等の塩基性あるいはカチオン性部分を含まず、インクジェットインク中の染料と相互作用を示さない、あるいは相互作用が実質的に小さいモノマーをいう。
上記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
【0043】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル部位の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
上記非媒染モノマーも、一種単独で、または二種以上組合せて使用できる。
【0044】
更に、ポリマー媒染剤として、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ポリメタクリロイルオキシエチル−β−ヒドロキシエチルジメチルアンモニウムクロライド、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンおよびその変性体、ポリアリルアミン塩酸塩、ポリアミド−ポリアミン樹脂、カチオン化でんぷん、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、ジメチル−2−ヒドロキシプロピルアンモニウム塩重合物、ポリアミジン、ポリビニルアミン等も好ましいものとして挙げることができ、ポリアリルアミンおよびその誘導体が特に好ましい。
【0045】
上記ポリアリルアミン誘導体は、アクリルニトリル、クロロメチルスチレン、TEMPO、エポキシヘキサン、ソルビン酸等をポリアリルアミンに2〜50mol%付加したものであり、好ましくは、アクリルニトリル、クロロメチルスチレンの5〜10mol%付加物であり、特にポリアリルアミンの5〜10mol%アクリルニトリル付加物が、オゾン褪色性防止効果を発揮する観点から好ましい。
【0046】
本発明における有機カチオン性ポリマーは、上記無機微粒子と結合し得る基を末端に有するものが特に好ましい。この有機カチオン性ポリマーは、無機微粒子と結合し得る基を少なくとも片末端に有していればよく、また両末端に有していてもよいが、無機微粒子の分散性および流動性を向上させる観点からは片末端に有するのが好ましい。ここで「無機微粒子と結合し得る基」とは、無機微粒子と結合することができる基であれば、特に限定はないが、例えば、アルコキシシリル基、ハロゲン化シリル基、エポキシ基、イソシアネート基、酸ハロゲン化物、酸無水物等が挙げられ、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、酸ハロゲン化物が好ましく、水中での安定性、および、無機微粒子との反応性の点からアルコキシシリル基が特に好ましい。
【0047】
本発明における有機カチオン性ポリマーとしては、下記一般式(1)で表わされるものが特に好ましい。
【0048】
【化1】

【0049】
[式中X1、X2、X3はそれぞれ独立に水素原子、飽和または不飽和環状構造を含んでいてもよい、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基を表わす。また、X1、X2、X3のうち少なくとも一つはアルコキシ基またはアリールオキシ基を表わす。Yは置換基を有していてもよく、複素原子を介していてもよい総炭素数1〜18の二価の連結基を表わす。Aはカチオンを有する少なくとも1種の繰り返し単位を表し、BはAと共重合可能な少なくとも1種の繰り返し単位を表し、AとBの共重合体は、AとBの、ランダム、交互、ブロック、グラフトのいずれの共重合体であってもよい。m、nはそれぞれA成分とB成分とのモル比を表し、0.2≦m≦1.0,0≦n≦0.8(m+n=1.0)である。]
【0050】
一般式(1)中、X1、X2、X3は各々独立に水素原子、あるいは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基若しくはアリールオキシ基を表わす。上記アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基は、飽和または不飽和環状構造を有していてもよい。但し、X1、X2、X3のうち少なくとも一つはアルコキシ基またはアリールオキシ基である。
【0051】
上記アルキル基の炭素数は1〜18であり、好ましくは1〜8である。該炭素数が18を超えると、無機微粒子との反応性が低下し、凝集を防止できない場合がある。上記アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましい。
【0052】
上記アルコキシ基の炭素数は1〜8であり、好ましくは1〜4である。該炭素数が8を超えると、無機微粒子との反応性が低下し、凝集を防止できない場合がある。上記アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基が挙げられ、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基が好ましい。
【0053】
上記アリールオキシ基の炭素数は6〜14が好ましく、6〜10が更に好ましい。上記アリールオキシ基としては、フェノキシ基、メチルフェノキシ基、ニトロフェノキシ基、メトキシフェノキシ基、ナフトキシ基等が挙げられ、フェノキシ基、ニトロフェノキシ基、が好ましい。
【0054】
一般式(1)中、Yは置換基を有していてもよく、また複素原子を介していてもよい総炭素数1〜18の二価の連結基を表わす。Yの総炭素数としては、2〜8が好ましい。該総炭素数が18を超えると、水、アルコール系溶媒への溶解性が低下し、十分な性能を得られない場合がある。上記置換基としては、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、エステル基、エーテル基、アミド基等が挙げられる。。上記複素原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ケイ素原子、リン原子等が挙げられ、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が好ましい。
上記二価の連結基の好ましい具体例としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、キシリレン基、3−オキサペンタメチレン等が挙げられる。
【0055】
一般式(1)中、Aは、カチオンを有する少なくとも1種の繰り返し単位を表す。上記Aとしてはカチオンを有する繰り返し単位であれば特に限定はないが、下記(I)〜(IV)で表される繰り返し単位が特に好ましい。
【0056】
(I)下記一般式(2)で表わされる繰り返し単位
【0057】
【化2】

【0058】
[式中、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、または、置換基を有していてもよく、また、連結して飽和若しくは不飽和環状構造を形成していてもよい、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。Zは−O−または−NH−を表し、Y2は複素原子を介していてもよい総炭素数1〜8の二価の連結基を表す。X-は陰イオンを表す。]
【0059】
一般式(2)中、R1は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。該アルキル基の炭素数としては1〜2が好ましい。該炭素数が4を超えると、重合体を得るのが困難な場合がある。該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−ブチル基、n−ブチル基が挙げられる。R1としては水素原子、または、メチル基が好ましい。
一般式(2)中、R2、R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、または、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基若しくはアラルキル基を表わす。該アルキル基、アリール基およびアラルキル基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、上述と同様のものが挙げられる。
【0060】
上記アルキル基の炭素数は1〜18であり、好ましくは1〜8である。該炭素数が18を超えると、水、アルコールへの溶解性が低下し、十分な性能が得られない場合がある。上記アルキルとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基が挙げられ、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0061】
上記アリール基の炭素数は6〜14が好ましく、6〜10がさらに好ましい。上記アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基が挙げられ、フェニル基、トリル基が好ましい。
【0062】
上記アラルキル基の炭素数7〜15が好ましく、7〜11がさらに好ましい。上記アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、ジフェニルメチル基、トリフェニルメチル基、αまたはβ−スチリル基が挙げられ、ベンジル基が好ましい。
【0063】
一般式(2)中、Zは−O−または−NH−を表す。
一般式(2)中、Y2は複素原子を介していてもよい総炭素数1〜8の二価の連結基を表す。該複素原子としては上述と同様のものが挙げられる。Y2の総炭素数としては、2〜6が好ましい。該炭素数が8を超えると、水、アルコールへの溶解性が低下し、十分な性能が得られない場合がある。該二価の連結基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、キシリレン基、3−オキサペンタメチレン等が挙げられる。
【0064】
一般式(2)中、X-は陰イオンを表わす。該陰イオンとしては、特に限定はないが、例えば、F-、Cl-、Br-、I-、AcO-、NO3-、SO42-、HSO4-、MeSO4-、PO43-、HPO42-、H2PO4-、TsO-、CH3SO3-、ClO4-、BF4-、PF6-、CH3CH2CO2-、Ph−CO2-、(CO222-、(メタ)アクリレートアニオンが挙げられる。
【0065】
以下に一般式(2)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるのものではない。
【0066】
【化3】

【0067】
【化4】

【0068】
(II)下記一般式(3)で表わされる繰り返し単位
【0069】
【化5】

【0070】
一般式(3)中、R5は水素原子またはメチル基を表わし、水素原子が好ましい。R2、R3、R4、X-は上記一般式(2)と同義である。
【0071】
以下に一般式(3)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるのものではない。
【0072】
【化6】

【0073】
【化7】

【0074】
(III)下記一般式(4)および/または一般式(5)で表わされる繰り返し単位
【0075】
【化8】

【0076】
一般式(4)および(5)中、R2、R3、X-は一般式(2)と同義である。
【0077】
以下に一般式(4)および(5)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるのものではない。
【0078】
【化9】

【0079】
【化10】

【0080】
【化11】

【0081】
(IV)下記一般式(6)および/または一般式(7)で表わされる繰り返し単位
【0082】
【化12】

【0083】
一般式(6)および中、nは0または1を表わし1が好ましい、R2、R3、R4、X-は一般式(2)と同義である。
【0084】
以下に一般式(6)および(7)で表される繰り返し単位の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるのものではない。
【0085】
【化13】

【0086】
【化14】

【0087】
一般式(1)中、BはAと共重合可能な少なくとも1種の繰り返し単位を表す。上記Bとしては、Aと共重合可能な繰り返し単位であれば特に限定はないが、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、クロロメチルスチレン及びビニルトルエン)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸置換アルキルエステル(例、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート)、アルキル(メタ)アクリルアミド(例、(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、n−ブチル(メタ)アクリルアミド、tert−ブチル(メタ)アクリルアミド及びtert−オクチル(メタ)アクリルアミド)、置換アルキル(メタ)アクリルアミド(例、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド及びジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル)、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ギ酸ビニル)、脂肪族共役ジエン(例、1,3−ブタジエン及びイソプレン)及び重合性オリゴマー(例、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー及び片末端メタクリロイル化ポリエチレングリコール)などが挙げられる。
【0088】
一般式(1)中、m、nはそれぞれA成分とB成分とのモル比を表わし、mは0.2≦m≦1.0であり、nは0.0≦n≦0.8である。ただし、m+n=1である。m:nとしては、好ましくは0.4:0.6〜1.0:0であり、0.5:0.5〜1.0:0がさらに好ましい。
【0089】
以下上記カチオンポリマーの具体例(カチオンポリマー1〜27)を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0090】
【化15】

【0091】
【化16】

【0092】
【化17】

【0093】
【化18】

【0094】
【化19】

【0095】
【化20】

【0096】
【化21】

【0097】
本発明に用いる有機カチオン性ポリマーとしては、下記(1)又は(2)単位を有するポリマーも特に好ましい。
【0098】
【化22】

【0099】
[式中、R1及びR4はアンモニオ基又はアミノ基で置換されたアルキル基を示し、R2及びR3は夫々独立に、水素原子又は置換基を有していてもよいアルキル、アリール若しくはアラルキル基を示すか、R1、R2及びR3から選ばれる2以上の基が隣接する窒素原子と共に環を形成してもよく、R4及びR5が隣接する窒素原子と共に環を形成してもよい。X-は陰イオンを示す。]
【0100】
(1)又は(2)単位を有するポリマーとしては、例えば次のものが挙げられる
【0101】
【化23】

【0102】
【化24】

【0103】
また、本発明における有機カチオン性ポリマーの数平均分子量としては、20000未満が好ましく、更に10000未満が、塗布性、耐水性および耐経時ニジミ性を向上させることができる点で好ましい。
【0104】
(分散物)
分散物(1)において、水溶性多価金属化合物は、無機微粒子に対して3〜80質量%の割合で添加するのが好ましく、5〜60質量%がより好ましい。分散物(1)における無機微粒子の濃度は5〜30質量%程度が適当であり、8〜20質量%が好ましい。
分散物(2)において、有機カチオン性ポリマーは、無機微粒子に対して、2〜50質量%の割合で添加するのが好ましく、4〜30質量%がより好ましい。
分散物(2)における無機微粒子の濃度は5〜30質量%程度が適当であり、8〜20質量%が好ましい。
また、各分散物の調製に用いる溶媒には、水、有機溶媒、またはこれらの混合溶媒を用いることができる。ここで、用いることができる有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、メトキシプロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、トルエン等が挙げられる。また、分散手段は、超音波分散等が挙げられる。
【0105】
(塗布液)
本発明の塗布液は、上記無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散した分散物(1)と、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散した分散物(2)とを含有することを特徴とする記録媒体の記録層用塗布液である。
分散物(1)と分散物(2)の質量比(1):(2)は、5:95〜50:50であることが好ましく、特に10:90〜40:60が好ましい。
本発明の塗布液は、これら分散物の他に、次のような成分を含ませることが好ましい
【0106】
(水溶性樹脂)
本発明のインクジェット記録用媒体では、さらに記録層中に水溶性樹脂を含有せしめることが好ましい。従って、本発明の塗布液はこれを含むことが好ましい。
この水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
【0107】
以上の中でも、特にポリビニルアルコール系樹脂が好ましい。該ポリビニルアルコールの例としては、特公平4−52786号、特公平5−67432号、特公平7−29479号、特許第2537827号、特公平7−57553号、特許第2502998号、特許第3053231号、特開昭63−176173号、特許第2604367号、特開平7−276787号、特開平9−207425号、特開平11−58941号、特開2000−135858号、特開2001−205924号、特開2001−287444号、特開昭62−278080号、特開平9−39373号、特許第2750433号、特開2000−158801号、特開2001−213045号、特開2001−328345号、特開平8−324105号、特開平11−348417号等に記載されたものなどがあげられる。
また、ポリビニルアルコール系樹脂以外の水溶性樹脂の例としては、特開平11-165461号公報の「0011」〜「0014」に記載の化合物なども挙げられる。
これら水溶性樹脂はそれぞれ単独で用いても良く、2種以上を併用して用いてもよい。
【0108】
本発明の水溶性樹脂の含有量としては、記録層の全固形分質量に対して、9〜40質量%とすることが好ましく、12〜33質量%がより好ましい。
【0109】
<微粒子と水溶性樹脂との含有比>
微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔PB比(x/y)〕は、記録層の膜構造及び膜強度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比〔PB比〕が大きくなると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。ここで水溶性樹脂(y)には、pH変化に応答して自己会合する重合体も含まれる。
【0110】
本発明の記録層は、上記質量含有比〔PB比(x/y)〕としては、該PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ該PB比が小さ過ぎることによって、該空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5〜10が好ましい。
【0111】
インクジェットプリンターの搬送系を通過する場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、記録層は十分な膜強度を有していることが必要である。またシート状に裁断加工する場合、記録層の割れや剥がれ等を防止する上でも、記録層には十分な膜強度を有していることが必要である。これらの場合を考慮すると、前記質量比(x/y)としては5以下がより好ましく、一方インクジェットプリンターで、高速インク吸収性を確保する観点からは、2以上であることがより好ましい。
【0112】
例えば、平均一次粒子径が20nm以下の気相法シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、その平均細孔径が30nm以下、空隙率が50〜80%、細孔比容積が0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができる。
【0113】
(架橋剤)
本発明のインクジェット記録用媒体の記録層は、微粒子および水溶性樹脂を含む塗布層が、更に該水溶性樹脂を架橋し得る架橋剤を含み、該架橋剤と水溶性樹脂との架橋反応によって硬化された多孔質層である態様が好ましい。
【0114】
上記の水溶性樹脂、特にポリビニルアルコール系樹脂の架橋には、ホウ素化合物が好ましい。該ホウ素化合物としては、例えば、硼砂、硼酸、硼酸塩(例えば、オルト硼酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaBO3、Mg3(BO3)2、Co3(BO3)2、二硼酸塩(例えば、Mg225、Co225)、メタ硼酸塩(例えば、LiBO2、Ca(BO2)2、NaBO2、KBO2)、四硼酸塩(例えば、Na247・10H2O)、五硼酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2611・7H2O、CsB55)等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を起こすことができる点で、硼砂、硼酸、硼酸塩が好ましく、特に硼酸が好ましい。
【0115】
上記水溶性樹脂の架橋剤として、ホウ素化合物以外の下記化合物を使用することもできる。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
【0116】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第3017280号、同第2983611号に記載のアジリジン系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載のカルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;乳酸チタン、硫酸アルミ、クロム明ばん、カリ明ばん、酢酸ジルコニル、酢酸クロム等の金属含有化合物、テトラエチレンペンタミン等のポリアミン化合物、アジピン酸ジヒドラジド等のヒドラジド化合物、オキサゾリン基を2個以上含有する低分子又はポリマー等である。
上記の架橋剤は、一種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0117】
架橋硬化は、微粒子、水溶性樹脂等を含有する塗布液(以下、「塗布液A」ということがある)および/または下記塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ、(1)前記塗布液を塗布して塗布層を形成すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7を超える塩基性溶液(以下、「塗布液B」ということがある)を前記塗布層に付与することにより行うことが好ましい。上記架橋剤の付与は、ホウ素化合物を例にすると下記のように行われることが好ましい。すなわち、記録層が、微粒子、ポリビニルアルコールを含む水溶性樹脂を含有する塗布液(塗布液A)を塗布した塗布層を架橋硬化させた層である場合、架橋硬化は、(1)前記塗布液を塗布すると同時、(2)前記塗布液を塗布して形成される塗布層の乾燥塗中であって該塗布層が減率乾燥を示す前のいずれかのときに、pH7を超える塩基性溶液(塗布液B)を前記塗布層に付与することにより行われる。架橋剤たるホウ素化合物は、塗布液A、または塗布液Bのいずれかに含有すれば良く、塗布液A及び塗布液Bの両方に含有させておいても良い。
架橋剤の使用量は、水溶性樹脂に対して、1〜50質量%が好ましく、5〜40質量%がより好ましい。
【0118】
(媒染剤)
本発明においては、更に形成画像の耐水性及び耐経時ニジミの向上を図るために、記録層に媒染剤を含有せしめることが好ましい。
このような媒染剤としては有機媒染剤として前記の有機カチオン性ポリマー(カチオン性媒染剤)、又は無機媒染剤が好ましく、該媒染剤を記録層中に存在させることにより、アニオン性染料を色材として有する液状インクとの間で相互作用し色材を安定化し、耐水性や耐経時ニジミを向上させることができる。有機媒染剤および無機媒染剤はそれぞれ単独種で使用しても良いし、有機媒染剤および無機媒染剤を併用してもよい。
【0119】
本発明の媒染剤としては無機媒染剤を用いることも可能で、無機媒染剤としては前記の多価の水溶性金属塩や疎水性金属塩化合物が挙げられる。
本発明において、記録層に含まれる上記媒染剤量は、0.01g/m2〜10g/m2が好ましく、0.1g/m2〜5g/m2がより好ましい。
【0120】
本発明において、記録層用塗布液(塗布液A)は界面活性剤を含有しているのことが好ましい。該界面活性剤としてはカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、フッ素系、シリコン系界面活性剤のいずれも使用可能である。
上記ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルおよびポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリーコールジエチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等)、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート等)、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル類(例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等)、グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、グリセロールモノオレート等)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類(モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリン等)、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート等)、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アセチレングリコール類(例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、及び該ジオールのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物等)等が挙げられ、就中、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類が好ましい。該ノニオン系界面活性剤は、塗布液Aおよび塗布液Bにおいて使用することができる。また、上記ノニオン系界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0121】
上記両性界面活性剤としては、アミノ酸型、カルボキシアンモニウムベタイン型、スルホンアンモニウムベタイン型、アンモニウム硫酸エステルベタイン型、イミダゾリウムベタイン型等が挙げられ、例えば、米国特許第3,843,368号明細書、特開昭59−49535号公報、同63−236546号公報、特開平5−303205号公報、同8−262742号公報、同10−282619号公報等に記載されているものを好適に使用できる。該両性界面活性剤としては、アミノ酸型両性界面活性剤が好ましく、該アミノ酸型両性界面活性剤としては、特開平5−303205号公報に記載されているように、例えば、アミノ酸(グリシン、グルタミン酸、ヒスチジン酸等)から誘導体化されたもので挙げられ、具体的には、長鎖のアシル基を導入したN−アミノアシル酸およびその塩が挙げられる。上記両性界面活性剤は1種で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0122】
前記アニオン系界面活性剤としては、脂肪酸塩(例えばステアリン酸ソーダ、オレイン酸カリ)、アルキル硫酸エステル塩(例えばラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン)、スルホン酸塩(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルスルホコハク酸塩(例えばジオクチルスルホコハク酸ナトリウム)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩等が挙げられる。
前記カチオン系界面活性剤としては、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩などが挙げられる。
【0123】
前記フッ素系界面活性剤としては、電解フッ素化、テロメリゼーション、オリゴメリゼーションなどの方法を用いてパーフルオロアルキル基を持つ中間体をへて誘導される化合物が挙げられる。
例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルトリアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基含有オリゴマー、パーフルオロアルキルリン酸エステルなどがあげられる。
【0124】
前記シリコン系界面活性剤としては、有機基で変性したシリコンオイルが好ましく、これは、シロキサン構造の側鎖を有機基で変性した構造、両末端を変性した構造、片末端を変性した構造をとり得る。有機基変性としてアミノ変性、ポリエーテル変性、エポキシ変性、カルボキシル変性、カルビノール変性、アルキル変性、アラルキル変性、フェノール変性、フッ素変性等が挙げられる。
【0125】
本発明で界面活性剤の含有量としては、記録層用塗布液(塗布液A)に対して0.001〜2.0%が好ましく、0.01〜1.0%がより好ましい。また、記録層用塗布液として2液以上を用いて塗布を行なう場合には、それぞれの塗布液に界面活性剤を添加するのが好ましい。
【0126】
本発明において、記録層はカール防止用に高沸点有機溶剤を含有するのが好ましい。上記高沸点有機溶剤は常圧で沸点が150℃以上の有機化合物で、水溶性又は疎水性の化合物である。これらは、室温で液体でも固体でもよく、低分子でも高分子でもよい。
具体的には、芳香族カルボン酸エステル類(例えばフタル酸ジブチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニルなど)、脂肪族カルボン酸エステル類(例えばアジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、ステアリン酸メチル、マレイン酸ジブチル、フマル酸ジブチル、アセチルクエン酸トリエチルなど)、リン酸エステル類(例えばリン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなど)、エポキシ類(例えばエポキシ化大豆油、エポキシ化脂肪酸メチルなど)、アルコール類(例えば、ステアリルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGMBE)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリンモノメチルエーテル、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコールなど)、植物油(例えば大豆油、ヒマワリ油など)高級脂肪族カルボン酸(例えばリノール酸、オレイン酸など)等が挙げられる。
【0127】
−その他成分−
更に、記録層は、必要に応じて下記成分を含有してもよく、塗布液にこれらを含ませることができる。
例えば、色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、界面活性剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位または6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0128】
また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線吸収剤等も使用できる。例えば、特開昭47−10537号公報、同58−111942号公報、同58−212844号公報、同59−19945号公報、同59−46646号公報、同59−109055号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10466号公報、同42−26187号公報、同48−30492号公報、同48−31255号公報、同48−41572号公報、同48−54965号公報、同50−10726号公報、米国特許第2,719,086号明細書、同3,707,375号明細書、同3,754,919号明細書、同4,220,711号明細書等に記載されている。
【0129】
蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用でき、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具体的には、特公昭45−4699号公報、同54−5324号公報等に記載されている。
【0130】
前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開特許第223739号公報、同309401号公報、同309402号公報、同310551号公報、同第310552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開特許第3435443号公報、特開昭54−48535号公報、同60−107384号公報、同60−107383号公報、同60−125470号公報、同60−125471号公報、同60−125472号公報、同60−287485号公報、同60−287486号公報、同60−287487号公報、同60−287488号公報、同61−160287号公報、同61−185483号公報、同61−211079号公報、同62−146678号公報、同62−146680号公報、同62−146679号公報、同62−282885号公報、同62−262047号公報、同63−051174号公報、同63−89877号公報、同63−88380号公報、同66−88381号公報、同63−113536号公報、
【0131】
同63−163351号公報、同63−203372号公報、同63−224989号公報、同63−251282号公報、同63−267594号公報、同63−182484号公報、特開平1−239282号公報、特開平2−262654号公報、同2−71262号公報、同3−121449号公報、同4−291685号公報、同4−291684号公報、同5−61166号公報、同5−119449号公報、同5−188687号公報、同5−188686号公報、同5−110490号公報、同5−1108437号公報、同5−170361号公報、特公昭48−43295号公報、同48−33212号公報、米国特許第4814262号、同第4980275号公報等に記載のものが挙げられる。
【0132】
具体的には、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0133】
これら褪色防止剤は、単独でも2種以上を併用してもよい。褪色防止剤は、水溶性化、分散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に含ませることもできる。褪色防止剤の添加量としては、インク受容層用塗布液の0.01〜10質量%が好ましい。
【0134】
また、インク受容層は、無機微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。さらに、表面の摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を、表面の摩擦特性を低減する目的で各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0135】
(支持体)
本発明の記録媒体に用いる支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。記録層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。またCD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用い、レーベル面側に記録層を付与することもできる。
【0136】
上記透明支持体に使用可能な材料としては、透明性で、OHPやバックライトディスプレイで使用される時の輻射熱に耐え得る性質を有する材料が好ましい。該材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類;ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等を挙げることができる。中でも、ポリエステル類が好ましく、特にポリエチレンテレフタレートが好ましい。
上記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易い点で、50〜200μmが好ましい。
【0137】
高光沢性の不透明支持体としては、記録層の設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有するものが好ましい。上記光沢度は、JIS P−8142(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載の方法に従って求められる値である。具体的には、下記支持体が挙げられる。
【0138】
例えば、アート紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体等に使用されるバライタ紙等の高光沢性の紙支持体;ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル類、ニトロセルロース,セルロースアセテート,セルロースアセテートブチレート等のセルロースエステル類、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド等のプラスチックフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした(表面カレンダー処理が施されていてもよい。)高光沢性のフィルム;或いは、上記各種紙支持体、上記透明支持体若しくは白色顔料等を含有する高光沢性のフィルムの表面に、白色顔料を含有若しくは含有しないポリオレフィンの被覆層が設けられた支持体等が挙げられる。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
【0139】
上記不透明支持体の厚みについても特に制限はないが、取り扱い性の点で、50〜300μmが好ましい。
【0140】
また、上記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用してもよい。
【0141】
次に、紙支持体に用いられる原紙について詳述する。
上記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。上記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。
但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%以上、70質量%以下が好ましい。
【0142】
上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸パルプ)が好ましく用いられ、漂白処理をおこなって白色度を向上させたパルプも有用である。
【0143】
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
【0144】
抄紙に使用するパルプの濾水度としては、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長が、JIS P−8207に規定される24メッシュ残分質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。尚、4メッシュ残分の質量%は20質量%以下であることが好ましい。
【0145】
原紙の坪量としては、30〜250gが好ましく、特に50〜200gが好ましい。原紙の厚さとしては、40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS P−8118)が一般的である。
更に、原紙剛度としては、JIS P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
【0146】
原紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては、上記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
【0147】
原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
【0148】
特に、記録層を形成する側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広くおこなわれているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタン、蛍光増白剤、群青をポリエチレン中に添加し、不透明度、白色度および色相を改良したものが好ましい。ここで、酸化チタン含有量としては、ポリエチレンに対して、概ね3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましい。ポリエチレン層の厚みは特に限定はないが、表裏面層とも10〜50μmが好適である。さらにポリエチレン層上に記録層との密着性を付与するために下塗り層を設けることもできる。該下塗り層としては、水性ポリエステル、ゼラチン、PVAが好ましい。また、該下塗り層の厚みとしては、0.01〜5μmが好ましい。
【0149】
ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理をおこなって通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成したものも使用できる。
【0150】
支持体にはバックコート層を設けることもでき、このバックコート層に添加可能な成分としては、白色顔料や水性バインダー、その他の成分が挙げられる。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0151】
バックコート層に用いられる水性バインダーとしては、例えば、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、澱粉、カチオン化澱粉、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0152】
<インクジェット記録用媒体の作製>
本発明の記録媒体の製造方法は、上記分散物(1)と(2)とを混合し、支持体上に塗布し、乾燥することを特徴とする。具体的には、次の方法が好ましい。
本発明のインクジェット記録用媒体の記録層は、例えば、支持体表面に少なくとも上記分散物(1)及び(2)と水溶性樹脂(pH変化に応答して自己会合する重合体も含む)を含む塗布液Aを塗布し、(1)該塗布と同時、(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥速度を示す前のいずれかにpHが7以上の塗布液Bを付与した後、該塗布液Bを付与した塗布層を架橋硬化させる方法により形成されるのが好ましい。
この様にして架橋硬化させた記録層を設けることは、インク吸収性や膜のヒビ割れ防止などの観点から好ましい。
【0153】
本発明において、少なくとも微粒子(例えば、気相法シリカ)と水溶性樹脂(pH変化に応答して自己会合する重合体)とを含有する記録層用塗布液(塗布液A)は、例えば、
上記分散物(1)、(2)、水溶性樹脂等をを水中に添加して、ディゾルバー等で攪拌すればよい。
【0154】
次に、塗布液Bに含有する塩基性化合物について説明する。塩基性化合物としては、弱酸のアンモニウム塩、弱酸のアルカリ金属塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムなど)、弱酸のアルカリ土類金属塩(炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸バリウムなど)、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ヒドロキシアンモニウム、アンモニア、1〜3級アミン(エチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルアミン、ポリアリルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリヘキシルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、N−エチル−N−メチルブチルアミンなど)、1〜3級のアニリン(ジエチルアニリン、ジブチルアニリン、エチルアニリン、アニリンなど)、置換基を有してもよいピリジン(2−アミノピリジン、3−アミノピリジン、4−アミノピリジン、4−(2−ヒドロキシエチル)−アミノピリジンなど)が挙げられるが、弱酸のアンモニウム塩が特に好ましい。
【0155】
前記弱酸とは、化学便覧基礎編II(丸善株式会社)等に記載の無機酸および有機酸でpKaが2以上の酸である。前記弱酸のアンモニウム塩としては、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、硼酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、等が挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。中でも、好ましくは炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、カルバミン酸アンモニウムであり、乾燥後において層中に残存せずインク滲みを低減できる点で効果的である。なお、塩基性化合物は2種以上を併用してもよい。
【0156】
前記塩基性化合物の塗布液B中の含有量としては、塗布液Bの溶媒を含む全質量に対し、0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。塩基性化合物の含有量を特に上記範囲とすると、充分な硬化度が得られ、またアンモニア濃度が高くなりすぎて作業環境を損なうこともない。

【0157】
塗布液Bは、必要に応じて架橋剤、他の媒染剤成分を含有することができる。塗布液Bは、アルカリ溶液として用いることで硬膜を促進でき、pH7.1以上に調整されるのが好ましく、より好ましくはpH7.5以上であり、特に好ましくはpH7.9以上である。前記pHが酸性側に近すぎると、架橋剤によって第1液に含まれる水溶性高分子の架橋反応が十分に行なわれず、ブロンジングの発生や、インク受容層にひび割れ等の欠陥を来すことがある。
【0158】
塗布液Bは、例えば、イオン交換水に、塩基性化合物(例えば1〜5%)と、必要に応じてその他の成分を添加し、十分に攪拌することで調製することができる。なお、各組成物の「%」はいずれも固形分質量%を意味する。
【0159】
該記録層用塗布液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
【0160】
記録層用塗布液(塗布液A)の塗布と同時又は塗布した後に、該塗布層に塗布液Bが付与されるが、該塗布液Bは、塗布後の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与してもよい。即ち、記録層用塗布液(塗布液A)の塗布後、この塗布層が恒率乾燥速度を示す間に塗布液Bを導入することで好適に製造される。この塗布液Bには、媒染剤を含有せしめてもよい。
【0161】
ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前」とは、通常、記録層用塗布液の塗布直後から数分間の過程を指し、この間においては、塗布された塗布層中の溶剤(分散媒体)の含有量が時間に比例して減少する「恒率乾燥速度」の現象を示す。この「恒率乾燥速度」を示す時間については、例えば、化学工学便覧(頁707〜712、丸善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されている。
【0162】
上記の通り、塗布液Aの塗布後、該塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥されるが、この乾燥は一般に40〜180℃で0.5〜10分間(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時間としては、当然塗布量により異なるが、通常は上記範囲が適当である。
【0163】
上記第一の塗布層が減率乾燥速度を示すようになる前に付与する方法としては、(1)塗布液Bを塗布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法により噴霧する方法、(3)塗布液B中に、該塗布層が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0164】
前記方法(1)において、塗布液Bを塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコーター、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法を利用することができる。しかし、エクストリュージョンダイコーター、カーテンフローコーター、バーコーター等のように、既に形成されている第一塗布層にコーターが直接接触しない方法を利用することが好ましい。
【0165】
塗布液Bの付与後は、一般に40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥および硬化がおこなわれる。中でも、40〜150℃で1〜20分間加熱することが好ましい。
【0166】
また、上記塗布液Bを、記録層塗布液(塗布液A)を塗布すると同時に付与する場合、塗布液Aおよび塗布液Bを、塗布液Aが支持体と接触するようにして支持体上に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させることにより記録層を形成することができる。
【0167】
上記同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた塗布方法により行なうことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜150℃で0.5〜10分間加熱することにより行なわれ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱することにより行なわれる。
【0168】
上記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エクストルージョンダイコーターによりおこなった場合、同時に吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコーターの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形成され、その状態で支持体上に重層塗布される。塗布前に重層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョンダイコーターの吐出口付近では、吐出される二液が混合して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合がある。従って、上記のように同時塗布する際は、塗布液Aおよび塗布液Bの塗布と共に、バリアー層液(中間層液)を上記二液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0169】
上記バリアー層液は、特に制限なく選択できる。例えば、水溶性樹脂を微量含む水溶液や、水等を挙げることができる。上記水溶性樹脂は、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用されるもので、例えば、セルロース系樹脂(たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセルロ−ス等)、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマーが挙げられる。尚、バリアー層液には、上記媒染剤を含有させることもできる。
【0170】
支持体上に記録層を形成した後、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレンダ等を用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカレンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、透明性および塗膜強度を向上させることが可能である。しかしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設定しておこなう必要がある。
【0171】
カレンダー処理をおこなう場合のロール温度としては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃がより好ましい。
また、カレンダー処理時のロール間の線圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、100〜200kg/cmがより好ましい。
【0172】
上記記録層の層厚としては、インクジェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm以上の膜が必要となる。
この点を考慮すると、インクジェット記録の場合には、記録層の層厚としては、10〜50μmが好ましい。
【0173】
また、記録層の細孔径は、メジアン径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01〜0.025μmがより好ましい。
上記空隙率および細孔メジアン径は、水銀ポロシメーター((株)島津製作所製の商品名「ボアサイザー9320−PC2」)を用いて測定することができる。
【0174】
また、記録層は、透明性に優れていることが好ましいが、その目安としては、記録層を透明フイルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HGM−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定することができる。
【0175】
本発明のインクジェット記録用媒体の構成層(例えば、記録層あるいはバック層など)には、ポリマー微粒子分散物を添加してもよい。このポリマー微粒子分散物は、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止等のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマー微粒子分散物については、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。尚、ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマー微粒子分散物を、前記媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマー微粒子分散物をバック層に添加しても、カールを防止することができる。
また、本発明のインクジェット記録用媒体は、特開平10−81064号、
同10−119423号、同10−157277号、同10−217601号、同11−348409号、特開2001−138621号、同2000−43401号、同2000−211235号、同2000−309157号、同2001−96897号、同2001−138627号、特開平11−91242号、同8−2087号、同8−2090号、同8−2091号、同8−2093号の各公報に記載の方法でも作製可能である。
【実施例】
【0176】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、実施例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り「質量部」及び「質量%」を示す。
【0177】
[実施例1]
(1.支持体の作製)
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
【0178】
ついで前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン性でんぷん(日本NSC製 CATO 304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光化学製 ポリアクロンST−13)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製 サイズパインK)0.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
【0179】
前記のようにして調製したパルプスラリーを長網抄紙機で抄紙し、ウェッブのフェルト面をドラムドライヤーシリンダーにドライヤーカンバスを介して押し当てて乾燥する工程において、ドライヤーカンバスの引張り力を1.6kg/cmに設定して乾燥を行なった後、サイズプレスにて原紙の両面にポリビニールアルコール((株)クラレ製:KL−118)を1g/m2 塗布して乾燥し、カレンダー処理を行った。なお、原紙の坪量は166g/m2で抄造し、厚さ160μmの原紙(基紙)を得た。
【0180】
得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコロナ放電処理を行なった後、溶融押出機を用いて高密度ポリエチレンを厚さ25μmとなるようにコーティングし、マット面からなる熱可塑性樹脂層を形成した(以下、この熱可塑性樹脂層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の熱可塑性樹脂層に更にコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤として、酸化アルミニウム(日産化学工業(株)製の「アルミナゾル100」)と二酸化ケイ素(日産化学工業(株)製の「スノーテックスO」)とを1:2の質量比で水に分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるように塗布した。
【0181】
(2.無機微粒子分散物の作成)
2−1 水溶性多価金属化合物の存在化で調製した分散物A
下記組成の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)アルファイン83とを混合し、超音波分散させた後、分散液を30℃に加熱し8時間保持して分散物Aを調製した。分散物Aは、粘度43mPa・s、平均粒径0.109μmであった。
ここで、平均粒径は、HORIBA製LA−920を用いて測定した。
【0182】
[分散物Aの組成]
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 299.6部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 1400部
(3)アルファイン83(40.0%水溶液)
(分散剤、大明化学工業株式会社製) 300部
【0183】
2−2 有機カチオン性ポリマーの存在化で調製した分散物B
下記組成の(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)カチオン性ポリマーAとを混合し、超音波分散させた後、分散液を30℃に加熱し8時間保持して分散物Bを調製した。分散物Bは、粘度110mPa・s、平均粒径0.13μmであった。
【0184】
[分散物Bの組成]
(1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 225.2部
(AEROSIL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 1185部
(3)カチオン性ポリマーA (25%水溶液) 90部
【0185】
【化25】

【0186】
上記2−1及び2−2の組成を表1のように変更して、分散物C及びDを調整した。
【0187】
【表1】

【0188】
【化26】

【0189】
(3.インク受容層塗布液の調製)
3−1. 塗布液Aの調製
下記組成の(1)から(8)を混合し、ディゾルバーで攪拌(2000rpm、30分)して、塗布液A(分散物A:分散物B=25:75)を調製した。塗布液Aは、粘度20mPa・s、平均粒径0.108μmであった。
【0190】
(1)上記分散物A 132.1部
(2)上記分散物B 396.2部
(3)ホウ酸(架橋剤) 2.94部
(4)ポリビニルアルコール(7.3質量%水溶液) 230.7部
((株)クラレ製、「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500)
(5)トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.7部
(ブチセノール20P、協和発酵(株)製)
(6)イオン交換水 93.5部
(7)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 0.49部
(「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)製)
(9)エタノール 41.4部
【0191】
3−2 塗布液B〜Fの調製
上記インク受容層塗布液の分散物を、表2に示す種類、比率に変更した以外は、インク受容層用塗布液Aと同様にして、塗布液B〜Fを調製した。
【0192】
【表2】

【0193】
3−3 比較用塗布液A
分散物同士をブレンドするのではなく、水溶性多価金属化合物に、有機カチオンポリマーを直接添加(10質量%対シリカ)する方法を試験した。
下記組成の(1)〜(8)を混合し、ディゾルバーで攪拌(2000rpm、30分)して塗布液調製を試みたが、粘度が1000mPa・s以上に増粘して塗布できなかった。
【0194】
(1)上記分散物A 528.3部
(2)カチオン性ポリマーA 31.7部
(3)ホウ酸(架橋剤) 2.94部
(4)ポリビニルアルコール(7.3質量%水溶液) 230.7部
((株)クラレ製、「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500)
(5)トリエチレングリコールモノブチルエーテル 2.7部
(ブチセノール20P、協和発酵(株)製)
(6) イオン交換水 69.7部
(7)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 0.49部
(「エマルゲン109P」(10%水溶液)、HLB値13.6、花王(株)製)
(8)エタノール 41.4部
【0195】
3−4 比較用塗布液
上記3−3のカチオンポリマーAを、カチオンポリマーB、カチオンポリマーC及びスーパーフレックス600B(第一工業製薬(株)製)のそれぞれに変更した以外は、3−3と同様にして比較用塗布液B〜Dの調整を試みたが、何れも粘度が1000mPa・s以上に増粘して塗布できなかった。
【0196】
4.インクジェット記録用シートの作製
前記支持体のオモテ面にコロナ放電処理を行った後、塗布液Aを183ml/m2の塗布量となるようにして塗布した。熱風乾燥機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形分濃度が20%になるまで乾燥させた。この塗布層は、この間は恒率乾燥速度を示した。そして、減率乾燥を示す前に、下記組成の塩基性溶液Cに3秒浸漬して前記塗布層上にその13g/m2を付着させ、更に80℃下で10分間乾燥させた(硬化工程)。これより、乾燥膜厚32μmのインク受容層が設けられた実施例1のインクジェット記録媒体を作製した。
【0197】
〈塩基性溶液Cの組成〉
(1)ホウ酸 0.65部
(2)炭酸ジルコニウムアンモニウム 2.5部
(ジルコゾールAC−7(28%水溶液)、第一稀元素化学工業(株)製)
(3)炭酸アンモニウム(一級;関東化学(株)製) 3.5部
(4)イオン交換水 63.3部
(5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 30.0部
(花王(株)製、エマルゲン109P(2%水溶液)、HLB値13.6)
【0198】
[実施例2〜4、比較例1,2]
実施例1において、塗布液Aの代わりに塗布液B〜Fをそれぞれ使用した以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4、比較例1,2のインクジェット記録媒体を作製した。
【0199】
[評価]
上記より得られた実施例1〜4のインクジェット記録媒体及び比較例1、2のインクジェット記録媒体の各々について、以下の評価を行った。評価した結果は下記表3に示す。
(1)経時にじみの評価
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製、「PM970C」を用いて、各インクジェット記録媒体上にマゼンタインクとブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パターン(線幅0.28mm)を印画した。印画直後、印画済みのインクジェット記録媒体を透明PPファイルに挿入し、35℃・相対湿度80%の環境下で3日間保存した。その後、線状パターンの黒線の幅を測定し、測定値と別途求めておいた印画直後の黒線の幅とから、下記式によって経時にじみ(%)を算出した。
【0200】
経時にじみ(%)=(35℃、80%の環境下3日間保存した線状パターンの黒線の幅)/(印画直後の黒線の幅)×100
【0201】
(2)耐オゾン性の評価
それぞれ純正インクセットを装填したインクジェットプリンター(キャノン(株)製「PIXUS990i」)を用いて、各記録媒体上にマゼンタとシアンのベタ画像をそれぞれ印画し、23℃、60%RH、オゾン濃度2.5ppmの雰囲気で16時間サンプルを保管した。保管前と保管後のマゼンタとシアン濃度の残存率を算出した。
残存率が80%以上の場合をA、70〜80%の場合をB,60〜70%の場合をC、60%未満の場合をDと判定した。
【0202】
【表3】

【0203】
表3より、実施例のインクジェット記録用媒体では、経時にじみが少なく、耐オゾン性に優れる結果が得られたのに対し、比較例1では耐オゾン性に優れるが、経時にじみが多い結果に、比較例2では経時にじみは少ないが、耐オゾン性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0204】
本発明により、耐オゾン性に優れ、かつ高温高湿度環境下に長時間保存された場合でも経時ニジミが生じない記録媒体を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散し、分散物(1)を得、別途、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散し、分散物(2)を得、得られた分散物(1)と(2)とを混合し、支持体上に塗布し、乾燥することを特徴とする記録媒体の製造方法。
【請求項2】
分散物(1)と分散物(2)の質量比(1):(2)が5:95〜50:50であることを特徴とする請求項1記載の記録媒体の製造方法。
【請求項3】
有機カチオン性ポリマーの数平均分子量(Mn)が、20000未満であることを特徴とする請求項1又は2記載の記録媒体の製造方法。
【請求項4】
無機微粒子が気相法シリカであることを特徴とする請求項1、2又は3記載の記録媒体の製造方法。
【請求項5】
水溶性多価金属化合物が水溶性アルミニウム化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の記録媒体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法により得られたインクジェット記録用媒体。
【請求項7】
無機微粒子を水溶性多価金属化合物の存在下分散した分散物(1)と、無機微粒子を有機カチオン性ポリマーの存在下分散した分散物(2)とを含有することを特徴とする記録媒体の記録層用塗布液。

【公開番号】特開2006−187883(P2006−187883A)
【公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−382075(P2004−382075)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】