説明

記録媒体

【課題】 優れたインク吸収性を有し、かつしまりのある画像を形成することができる記録媒体を提供すること。
【解決手段】 支持体と、該支持体上に第1の層と最表層とをこの順に有する記録媒体であって、該第1の層はアルミナ及びアルミナ水和物の少なくとも一方を含有し、該最表層は顔料を含有し、該最表層は該第1の層よりも屈折率が低く、該最表層の絶乾塗工量は0.1g/m以上0.5g/m以下であることを特徴とする記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体として、支持体上にインク受容層を有する記録媒体が知られている。かかるインク受容層は、顔料としてアルミナやアルミナ水和物を含有することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−009734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の記録媒体のように、インク受容層の顔料としてアルミナやアルミナ水和物を用いた場合、シリカを用いた場合よりも少ないバインダー量でインク受容層を形成できることから、インク吸収性が優れたものとなりやすい。
【0005】
また、アルミナやアルミナ水和物は、シリカと比較して屈折率が高い。このため、インク受容層表面の表面反射が大きくなり、高い光沢度が得られやすい。
【0006】
しかし、本発明者らの検討によれば、特に屋外や明るい室内においては、表面の反射により、黒色画像のような暗い色調の画像が白っぽく見えてしまい、しまりの無い画像となりやすいことがある。
【0007】
従って、本発明は、優れたインク吸収性を有し、かつしまりのある画像を形成することができる記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成する本発明は、支持体と、該支持体上に第1の層と最表層とをこの順に有する記録媒体であって、該第1の層はアルミナ及びアルミナ水和物の少なくとも一方を含有し、該最表層は顔料を含有し、該最表層は該第1の層よりも屈折率が低く、該最表層の絶乾塗工量は0.1g/m以上0.5g/m以下であることを特徴とする記録媒体である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、優れたインク吸収性を有し、かつしまりのある画像を形成することができる記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の記録媒体をその好ましい実施形態に基づいて説明する。尚、本発明はこれらの記載に限定して解釈されるものではない。
【0011】
本発明の記録媒体は、支持体と、該支持体上に第1の層と最表層とをこの順に有する記録媒体である。第1の層と最表層とは、隣接していることが好ましい。本発明の記録媒体は、例えばフェルトペンにより記録を行う記録媒体や、インクジェット記録に用いる記録媒体として使用できる。
【0012】
<支持体>
本発明の支持体としては、キャストコート紙、バライタ紙、レジンコート紙(表面がポリオレフィン等の樹脂で被覆された樹脂被覆紙)等の紙類を好ましく用いることができる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリスチレン、ポリアセテート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート等の透明な熱可塑性フィルム等を好ましく用いることができる。これ以外にも、適度なサイジングが施された紙である無サイズ紙やコート紙、無機物の充填もしくは微細な発泡により不透明化されたフィルムからなるシート状物質(合成紙等)を使用できる。また、ガラス又は金属等からなるシート等を使用しても良い。さらに、これらの支持体とその上に形成する層との接着強度を向上させるため、支持体の表面にコロナ放電処理や各種アンダーコート処理を施してもよい。上述した支持体の中でも、記録媒体の光沢感等の点から、レジンコート紙を用いることが好ましい。
【0013】
<第1の層>
本発明の第1の層は、顔料としてアルミナ及びアルミナ水和物の少なくとも一方を含有する。アルミナ及びアルミナ水和物の少なくとも一方を含有するため、インク吸収性が良好である。
【0014】
アルミナ水和物は下記一般式(1)により表される。
一般式(1) Al3−n(OH)2n・mH
(上式中、nは0、1、2又は3のうちのいずれかを表わし、mは0以上10以下、好ましくは0以上5以下の数を表わす。mHOは、多くの場合結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相を表わすものであるため、mは整数でない値をとることができる。また、アルミナ水和物をか焼すると、mは0の値をとりうる。ただし、nとmは同時に0にはならない。)
【0015】
アルミナ水和物の中でも、X線回折法による分析でベーマイト構造、又は非晶質を示すものが好ましい。具体例としては、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されたアルミナ水和物を挙げることができる。本発明に用いるアルミナ水和物の形状の具体例としては、不定形のもの或いは、球状又は板状等の形態を有しているものが挙げられ、これらのうちのいずれかを使用してもよいし、併用してもよい。特に一次粒子の数平均粒子径が5nm以上50nm以下のアルミナ水和物が好ましく、アスペクト比が2以上の板状アルミナ水和物が好ましい。アスペクト比は、特公平5−16015号公報に記載された方法により求めることができる。すなわち、アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で示される。ここで「直径」とは、アルミナ水和物を顕微鏡又は電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積と等しい面積を有する円の直径(円相当径)を示す。また、BET法により算出した比表面積が100m/g以上200m/g以下であるアルミナ水和物を用いることが好ましく、前記比表面積が125m/g以上175m/g以下のアルミナ水和物を用いるのがより好ましい。BET法とは、気相吸着法による粉体の表面積測定法の一つであり、吸着等温線から1gの試料の持つ総表面積、即ち比表面積を求める方法である。このBET法では、通常、吸着気体として窒素ガスが用いられ、吸着量を被吸着気体の圧力又は容積の変化から測定する方法が最も多く用いられる。この際、多分子吸着の等温線を表すものとして最も著名なものは、Brunauer、Emmett、Tellerの式であって、BET式と呼ばれ比表面積決定に広く用いられている。上記BET法では、BET式に基づいて吸着量を求め、吸着分子1個が表面で占める面積を掛けることにより比表面積が得られる。BET法では、窒素吸着脱離法の測定において、ある相対圧力における吸着量の関係を数点測定し、最小二乗法によりそのプロットの傾き、切片を求めることで比表面積を導き出す。本発明では、相対圧力と吸着量の関係は10点測定して算出する。細孔容積としては、0.5ml/g以上1.5ml/g以下であることが好ましい。
【0016】
アルミナ水和物は、アルミニウムアルコキシドを加水分解する方法やアルミン酸ナトリウムを加水分解する方法等の公知の方法で製造できる。また、特公昭57−447605号公報等に記載されている、アルミン酸ナトリウム等の水溶液に、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の水溶液を加えて中和する方法等の公知の方法でも製造することができる。本発明に用いる好適なアルミナ水和物の具体例としては、例えば以下のようなものがある。即ち、X線回折法による分析でベーマイト構造もしくは非晶質を示すアルミナ水和物であって、特に、特開平7−232473号公報、特開平8−132731号公報、特開平9−66664号公報、特開平9−76628号公報等に記載されているアルミナ水和物である。さらに、アルミナ水和物の具体例としては、市販のアルミナ水和物(商品名:DISPERAL HP14、サソール製)を挙げることができる。
【0017】
アルミナとしては、例えばγ−アルミナ、α−アルミナ、δ−アルミナ、θ−アルミナ、χ−アルミナ等が挙げられる。これらの中でも発色性、インク吸収性の観点から、気相法で合成されたγ−アルミナが好ましい。γ−アルミナは、公知の方法で製造されたアルミナ水和物を400℃以上900℃以下の温度で加熱、焼成することによって得られる。
【0018】
以上のアルミナ水和物及びアルミナは混合して用いてもよい。即ち、アルミナ水和物及びアルミナを粉体状態で混合、分散して分散液とするほか、アルミナ水和物分散液とアルミナ分散液とを混合して用いてもよい。
【0019】
特に、アルミナ水和物と気相法で合成されたγ−アルミナを混合して用いると、インク吸収性が非常に良好となるため好ましい。混合質量比は、(アルミナ水和物):(気相法で合成されたγ−アルミナ)=50:50〜95:5であることが好ましい。また、70:30〜90:10であることがより好ましい。
【0020】
第1の層は、バインダーを含有することが好ましい。バインダーとしては、アルミナ水和物やアルミナを結着し、被膜を形成する能力のある材料であって、かつ、本発明の効果を損なわないものが好ましい。例えば、以下のものを挙げることができる。酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体。カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白およびポリビニルアルコール、ならびにその誘導体。ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス。アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系重合体ラテックス。エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス。上記の各種バインダーのカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス。カチオン基を用いて上記の各種バインダーをカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤を用いて上記の各種バインダーの表面をカチオン化したもの。カチオン性ポリビニルアルコール下で上記の各種バインダーを重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの。カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記の各種バインダーの重合を行い、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの。メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー。ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルの重合体および共重合体樹脂。ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等である。これらのバインダーは、単独で、又は複数種を混合して用いることができる。中でも最も好ましく用いられるバインダーはポリビニルアルコールである。このポリビニルアルコールは、例えば、ポリ酢酸ビニルを加水分解することで合成することができる。
【0021】
バインダーの含有量は、インク吸収性の点から、顔料に対して20.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以下であることがより好ましい。また、良好に層を形成するために、1.0質量%以上であることが好ましい。
【0022】
第1の層には、強度を高めて傷がつくことを抑制するために、架橋剤を含有させることが好ましい。架橋剤としては、ホウ酸、ホウ酸塩、水溶性ジルコニム化合物等が挙げられる。架橋剤の含有量は、顔料に対して1.00質量%以上であることが好ましく、1.20質量%以上であることがより好ましく、1.30質量%以上であることがさらに好ましい。また、インク吸収性の点から、3.00質量%以下であることが好ましい。
【0023】
第1の層の絶乾塗工量は、インク吸収性の点から、1.0g/m以上であることが好ましい。また、乾燥時のクラックの発生の点から、50.0g/m以下であることが好ましい。尚、本発明における絶乾塗工量とは、絶乾時において測定した塗工量のことである。
【0024】
<最表層>
本発明の最表層は、記録媒体の最表面に位置する。また、記録媒体の表面を覆うように形成される。最表層と第1の層は、隣接していても、間に別の層が存在していてもよいが、隣接している形態であることが好ましい。最表層は記録媒体の最表面に位置するものである。記録媒体の表面反射は、その表面と空気との界面で発生するものである。このため、最表面に、第1の層よりも屈折率が小さい層を設けることで表面反射を抑制し、しまりのある画像を形成することができる。即ち、最表層は第1の層よりも屈折率が低いものである。
【0025】
最表層は、顔料を含有する。顔料としては、最表層の屈折率を第1の層の屈折率よりも小さくすることができる顔料であれば特に限定されない。中でも、透明性が維持できる顔料であることが好ましい。最表層に用いる顔料としては、例えば気相法シリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ、気相法アルミナ、アルミナ水和物等が挙げられる。これらは2種以上併用してもよい。中でも気相法シリカは、顔料自体の屈折率が低く、また空隙率の高い層を形成できることから、最表層の屈折率を第1の層の屈折率よりも小さくする点で特に好ましい。
【0026】
本発明における気相法シリカとは、合成非晶質シリカの一種であり、乾式法シリカやヒュームドシリカともいわれる。一般的には火炎加水分解法といった、例えばハロゲン化珪素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が知られている。市販の気相法シリカとしてはアエロジル(日本アエロジル製)やレオロシール(トクヤマ製)等が挙げられる。
【0027】
本発明に用いる気相法シリカの平均一次粒子径は、15.0nm以下であることが好ましい。平均一次粒子径を15.0nm以下とすることで、高い透明性と空隙率を得ることができる。平均一次粒子径は、7.0nm以下であることがさらに好ましい。このような気相法シリカを用いることで、最表面での光の散乱を抑制し、画像のしまりを高めることができる。尚、本発明の平均一次粒子径とは、電子顕微鏡観察により一定面積内に存在する100個の一次粒子各々の投影面積に等しい円の直径を粒子の粒子径(円相当径)とし、数平均で平均粒子径を求めたものである。気相法シリカのBET法による比表面積は、200m/g以上であることが好ましく、300m/g以上であることがより好ましい。また、細孔容積は1.0ml/g以上であることが、高い空隙率を得るために好ましい。さらに好ましくは1.4ml/g以上である。
【0028】
本発明の気相法シリカは、塗工液中では分散剤の存在下で分散を行うことが好ましい。分散剤としては各種分散剤を用いることができるが、カチオン性ポリマーを用いるのが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、1級、2級または3級のアミノ基、4級アンモニウム塩基を有するカチオン性ポリマーが好ましく用いられる。特に好ましくはポリジアリルアミン誘導体が用いられる。カチオン性ポリマーの分子量は、気相法シリカの分散安定化の観点から、100000以下が好ましく、2000以上50000以下がより好ましい。
【0029】
分散方法は、例えば次のような方法が挙げられる。まず、通常のプロペラ撹拌、タービン型撹拌、ホモミキサー型撹拌等で気相法シリカと分散媒を予備混合する。次に、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー等のメディアミル、高圧ホモジナイザー等の圧力式分散機、超音波分散機、及び薄膜旋回型分散機等を使用して分散させる。
【0030】
気相法シリカの平均二次粒子径は、500nm以下であるのが好ましい。より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは200nm以下である。また、好ましくは30nm以上である。本発明の平均二次粒子径とは、動的光散乱法によって測定された値であり、キュムラント法を用いた解析から求めることができる。
【0031】
最表層は、バインダーを含有することが好ましい。バインダーを含有することで、層の強度が高くなる。バインダーとしては、本発明の効果を損なわない範囲のものであれば、特に制限なく用いることができる。バインダーの例としては、下記のものを挙げることができる。酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体。カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体。カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、ポリビニルアルコール又はその誘導体。ポリビニルピロリドン、無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役重合体ラテックス。アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルの重合体等のアクリル系重合体ラテックス。エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス。上記の各種重合体のカルボキシル基等の官能基含有単量体による官能基変性重合体ラテックス。カチオン基を用いて上記各種重合体をカチオン化したもの、カチオン性界面活性剤を用いて上記各種重合体の表面をカチオン化したもの。カチオン性ポリビニルアルコール下で上記各種重合体を重合し、重合体の表面にポリビニルアルコールを分布させたもの。カチオン性コロイド粒子の懸濁分散液中で上記各種重合体の重合を行い、重合体の表面にカチオン性コロイド粒子を分布させたもの。メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化合成樹脂等の水性バインダー。ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステルの重合体又は共重合体樹脂。ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の合成樹脂系バインダー等である。これらのバインダーは、単独で、又は複数種を混合して用いることができる。中でも最も好ましく用いられるバインダーは、ポリビニルアルコールである。このポリビニルアルコールとしては、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールを挙げることができる。ポリビニルアルコールは、粘度平均重合度が1500以上のものが好ましく用いられ、粘度平均重合度が2000以上5000以下のものがより好ましい。また、ケン化度は80以上100以下のものが好ましく、85以上100以下のものがより好ましい。ポリビニルアルコールは水溶液の状態で使用することが好ましく、そのポリビニルアルコール水溶液の乾燥固形分濃度は、3.0質量%以上20.0質量%以下であることが好ましい。この範囲であれば、塗工液の濃度が過度に低下して乾燥速度が低下することを優れて防ぎ、逆に塗工液濃度の過度な上昇により塗工液粘度が大幅に上昇して塗工面の平滑性が損なわれるのを優れて抑制することができる。
【0032】
最表層は、バインダーを顔料に対して5.0質量%以上35.0質量%以下含有することが好ましい。5.0質量%以上であると、層形成を良好に行うことができる。また、インクの吸収性の点から、30.0質量%以下含有することが好ましく、25.0質量%以下含有することがより好ましい。
【0033】
最表層は、強度を高めるために架橋剤を含有してもよい。例えば、ホウ酸、ホウ酸塩、水溶性ジルコニム化合物等が挙げられる。架橋剤の含有量は、顔料に対して1.0質量%以上であることが好ましく、1.2質量%以上であることがより好ましく、1.3質量%以上であることがさらに好ましい。また、インク吸収性の点で、3.0質量%以下であることが好ましい。
【0034】
また、必要に応じて各種の添加剤を含有してもよい。例えば、各種カチオン性樹脂等の定着剤、多価金属塩等の凝集剤、界面活性剤、蛍光増白剤、増粘剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、浸透剤、滑剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、pH調節剤等である。
【0035】
最表層の絶乾塗工量は、0.1g/m以上0.5g/m以下である。0.1g/m以上であるため、反射低減の効果を良好に発現し、画像のしまりを良好に発現することができる。また、0.5g/m以下であるため、アルミナ水和物及びアルミナの少なくとも一方を含有した第1の層によるインク吸収が損なわれることを抑制し、記録媒体としてのインク吸収性を良好なものとしている。好ましくは、0.3g/m以下である。
【0036】
<その他の層>
本発明の記録媒体は、支持体と第1の層との間に、その他の層(第2の層)を有していてもよい。或いは、第1の層と最表層との間に、第1の層のインク吸収に大きな影響を与えないようなその他の層(第3の層)を有していてもよい。第2の層及び第3の層は、第1の層と同じような構成としてもよい。
【0037】
<屈折率>
第1の層及び最表層の屈折率は、光学的測定器を用いることによって計測する。光学的測定器としては、分光エリプソメーターが挙げられる。
【0038】
また、屈折率は、各々の層を構成する成分の屈折率に対し、各々の層に対する各々の体積分率を乗じたものの総和として求めることもできる。第1の層或いは最表層が多孔質層である場合は、空隙も構成成分として計算に加える。例えば、第1の層の構成成分が、屈折率1.50の顔料30体積%、屈折率1.30のポリマー10体積%と、空隙(屈折率1.00)60体積%である場合を考える。このとき、第1の層の屈折率は、1.50×0.30+1.30×0.10+1.00×0.60=1.18となる。このように、本計算においては空隙の体積分率が重要な因子となるが、これは層の固形分の構成のみならず、塗工方法や乾燥方法といった様々な因子により変化する。従って、空隙の体積分率は、記録媒体の断面を電子顕微鏡で観察して平均厚みを求め、空隙の体積分率を0と仮定し各成分の体積から導かれる理論的な膜厚に対する比率から算出する。層の平均厚みは、記録媒体上で場所が偏らないように20点を選択し、この平均とする。
【0039】
最表層の屈折率は、1.05以上1.20以下であることが好ましい。また、第1の層の屈折率は、1.15以上1.35以下であることが好ましい。ただし、前述の通り、最表層の屈折率は、第1の層の屈折率よりも低い。
【0040】
<記録媒体の製造方法>
本発明の記録媒体の製造方法として、例えば以下の方法を挙げることができる。まず、顔料、バインダー、架橋剤、pH調整剤、各種添加剤、水等を必要に応じて混合した塗工液を、各層毎に調製する。これらの塗工液を、支持体上或いは層上に塗工する。塗工は、例えば、各種カーテンコーター、エクストルージョン方式を用いたコーター、スライドホッパー方式を用いたコーター等を用い、オンマシンやオフマシンで塗工する。塗工時に、各塗工液の粘度調製等を目的として、塗工液を加温してもよく、コーターヘッドを加温してもよい。また、塗工後の塗工液の乾燥は、例えば、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機を用いて行う。また、赤外線、加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等を用いてもよい。
【実施例】
【0041】
以下、実施例及び比較例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。尚、「部」或いは「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0042】
<支持体>
下記条件にて支持体を作製した。まず、下記組成の紙料を固形分濃度が3.0%となるように水で調製した。
・パルプ 100部
(濾水度450mlCSF(Canadian Standard Freeness)の、広葉樹晒しクラフトパルプ(LBKP)(80部)、及び濾水度480mlCSFの、針葉樹晒しクラフトパルプ(NBKP)(20部))。
・カチオン化澱粉 0.60部。
・重質炭酸カルシウム 10部。
・軽質炭酸カルシウム 15部。
・アルキルケテンダイマー 0.10部。
・カチオン性ポリアクリルアミド 0.030部。
【0043】
次に、この紙料を長網抄紙機で抄造し、3段のウエットプレスを行った後、多筒式ドライヤーで乾燥した。この後、サイズプレス装置で、固形分が1.0g/mとなるように酸化澱粉水溶液を含浸させ、乾燥させた。この後、マシンカレンダー仕上げをして、坪量170g/m、ステキヒトサイズ度100秒、透気度50秒、ベック平滑度30秒、ガーレー剛度11.0mNの基紙Aを製造した。
【0044】
基紙A上に、低密度ポリエチレン(70部)と、高密度ポリエチレン(20部)と、酸化チタン(10部)とからなる樹脂組成物を25g/m塗布した。さらに、その基紙Aの裏面に、高密度ポリエチレン(50部)と、低密度ポリエチレン(50部)とからなる樹脂組成物を、25g/m塗布することにより、樹脂被覆した支持体を製造した。
【0045】
(アルミナ水和物分散液1の調製)
イオン交換水333部に対して、解膠酸として、メタンスルホン酸1.65部を添加した。このメタンスルホン酸水溶液をホモミキサー(商品名:T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で攪拌しながらアルミナ水和物(DISPERAL HP14、サソール製)100部を少量ずつ添加した。添加終了後もそのまま30分間攪拌し、固形分濃度23%のアルミナ水和物分散液1を調製した。
【0046】
(アルミナ分散液1の調製)
イオン交換水333部に対して、解膠酸として、メタンスルホン酸1.65部を添加した。このメタンスルホン酸水溶液をホモミキサー(商品名:T.K.ホモミクサーMARKII2.5型、特殊機化工業製)で3000rpmの回転条件で攪拌しながら気相法γ―アルミナ(Aeroxide Alu C、Evonik製)100部を少量ずつ添加した。添加終了後もそのまま30分間攪拌し、固形分濃度23%のアルミナ分散液1を調製した。
【0047】
(カチオン性エマルションの調製)
以下のようにしてカチオン性エマルションを製造した。攪拌装置、温度計および還流冷却管を備えた反応容器に、反応溶媒としてアセトン109gを投入した。撹拌下、3,6−ジチア−1,8−オクタンジオール40.00gおよびメチルジエタノールアミン6.79gを溶解させ、40℃まで昇温してイソホロンジイソシアネートを62.07g加えた。その後50℃まで昇温して錫系触媒を0.2g加え、さらに55℃まで昇温して撹拌しながら4時間反応を行った。反応終了後、反応溶液を室温まで冷却して85%蟻酸3.09gを加えて反応生成物をカチオン化した。さらに水446gを加えた後、減圧濃縮してアセトンを除去し、水で濃度調製することにより固形分20%のカチオン性エマルション1を製造した。得られたカチオン性エマルション1の平均粒子径をレーザー粒子径解析装置PARIII(大塚電子製)により測定した結果、50nmであった。
【0048】
(気相法シリカ分散液1の調製)
吸引型分散撹拌機Conti−TDS中にて、イオン交換水420部に対し、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(商品名:シャロールDC902P、第一工業製薬製)を5部添加した。さらに、最大回転数で気相法シリカ(商品名:AEROSIL300、日本アエロジル製)を少量ずつ100部添加し、24時間分散を行い固形分濃度20%の気相法シリカ分散液1を調製した。
【0049】
(気相法シリカ分散液2の調製)
吸引型分散撹拌機Conti−TDS中にて、イオン交換水420部に対し、ジメチルジアリルアンモニウムクロライドホモポリマー(商品名:シャロールDC902P、第一工業製薬製)を5部を添加した。さらに、最大回転数で気相法シリカ(商品名;AEROSIL200、日本アエロジル製)を少量ずつ100部添加し、24時間分散を行い固形分濃度20%の気相法シリカ分散液2を調製した。
【0050】
<塗工液の調製>
下記の組成で、各塗工液を調製した。尚、塗工液組成の配合部数は、顔料の総固形分を100部とした値である。
【0051】
(第1の層用塗工液1)
・アルミナ水和物分散液1 435部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 112.5部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 23部。
【0052】
(第1の層用塗工液2)
・アルミナ水和物分散液1 348部。
・アルミナ分散液1 87部。
・カチオン性ポリウレタンエマルジョン 15部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 112.5部。
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業製)
0.7部。
・酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−30、第一希元素化学工業製、固形分30%)
0.67部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 23部。
【0053】
(第1の層用塗工液3)
・気相法シリカ分散液1 500部。
・カチオン性ポリウレタンエマルジョン 15部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 250部。
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業製)
0.7部。
・酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−30、第一希元素化学工業製、固形分30%)
3.33部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 60部。
【0054】
(第2の層用塗工液1)
・アルミナ水和物分散液1 435部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 112.5部。
・酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−30、第一希元素化学工業製、固形分30%)
1.67部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 40部。
【0055】
(第2の層用塗工液2)
・アルミナ水和物分散液1 435部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 112.5部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 23部。
【0056】
(第2の層用塗工液3)
・気相法シリカ分散液1 525部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 250部。
・酢酸ジルコニル(ジルコゾールZA−30、第一希元素化学工業製、固形分30%)
0.67部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 80部。
【0057】
(最表層用塗工液1)
以下の組成で、最表層用塗工液1を調整した。
・気相法シリカ分散液1 525部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 250部。
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業製) 0.75部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 80部。
最後にイオン交換水を加え、固形分濃度を12.5%となるように調製した。
【0058】
(最表層用塗工液2)
以下の組成で、最表層用塗工液2を調整した。
・気相法シリカ分散液2 525部。
・ポリビニルアルコ−ル水溶液(PVA235、クラレ製、重量平均重合度3500、けん化度88モル%、固形分8%) 250部。
・界面活性剤(サーフィノール465、日信化学工業製) 0.75部。
・オルトホウ酸水溶液(固形分5%) 80部。
最後にイオン交換水を加え、固形分濃度を12.5%となるように調製した。
【0059】
<実施例1>
第1の層用塗工液1及び最表層用塗工液1を、下層に第1の層、上層に最表層となるよう、合計2層を多層スライドホッパー型塗工装置にて支持体の表面側に塗工した。第1の層の絶乾塗工量は35.0g/m、最表層の絶乾塗工量は0.1g/mとした。続いて熱風乾燥機を用いて60℃で乾燥を行い、記録媒体A−1を製造した。
【0060】
<実施例2>
最表層の絶乾塗工量を0.2g/mとした以外は記録媒体A−1と同様にして記録媒体A−2を製造した。
【0061】
<実施例3>
最表層の絶乾塗工量を0.3g/mとした以外は記録媒体A−1と同様にして記録媒体A−3を製造した。
【0062】
<実施例4>
最表層の絶乾塗工量を0.5g/mとした以外は記録媒体A−1と同様にして記録媒体A−4を製造した。
【0063】
<実施例5>
最表層用塗工液1のポリビニルアルコール水溶液の添加部数を325部とした以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−5を製造した。
【0064】
<実施例6>
最表層用塗工液1のポリビニルアルコール水溶液の添加部数を388部とした以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−6を製造した。
【0065】
<実施例7>
最表層用塗工液1のポリビニルアルコール水溶液の添加部数を188部とした以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−7を製造した。
【0066】
<実施例8>
最表層用塗工液1のポリビニルアルコール水溶液の添加部数を125部とした以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−8を製造した。
【0067】
<実施例9>
最表層用塗工液1を最表層用塗工液2とした以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−9を製造した。
【0068】
<実施例10>
第2の層用塗工液1、第1の層用塗工液2、最表層用塗工液1を、支持体の表面側に、第2の層、第1の層、最表層の順になるように多層スライドホッパー型塗工装置にて塗工した。第2の層の絶乾塗工量は25.0g/m、第1の層の絶乾塗工量は10.0g/m、最表層の絶乾塗工量は0.2g/mとした。続いて熱風乾燥機を用いて60℃で乾燥を行い、記録媒体A−10を製造した。
【0069】
<実施例11>
記録媒体A−10の第1の層用塗工液2の組成において、酢酸ジルコニルの添加量を0.17部に変更した以外は記録媒体A−10と同様にして記録媒体A−11を製造した。
【0070】
<実施例12>
記録媒体A−10の第2の層用塗工液1を第2の層用塗工液2に、第1の層用塗工液2を第1の層用塗工液1に変更した以外は記録媒体A−10と同様にして記録媒体A−12を製造した。
【0071】
<比較例1>
最表層を設けなかった以外は記録媒体A−1と同様にして記録媒体A−13を製造した。
【0072】
<比較例2>
最表層の絶乾塗工量を0.7g/mとした以外は記録媒体A−1と同様にして記録媒体A−14を製造した。
【0073】
<比較例3>
最表層用塗工液1の気相法シリカ分散液1の代わりに、球状コロイダルシリカゾル(商品名:スノーテックス O、日産化学製)を用いたこと以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−15を製造した。
【0074】
<比較例4>
最表層用塗工液1の気相法シリカ分散液1の代わりに、非球状コロイダルシリカゾル(商品名:スノーテックス OUP、日産化学製)を用いたこと以外は記録媒体A−2と同様にして記録媒体A−16を製造した。
【0075】
<比較例5>
第1の層用塗工液2を第1の層用塗工液3に、第2の層用塗工液1を第2の層用塗工液3に変更した以外は記録媒体A−10と同様にして記録媒体B−17を製造した。
【0076】
<評価方法>
以上の製造した各記録媒体について、以下の評価を行った。
【0077】
(黒のしまり)
各記録媒体に対して、インクジェットプリンタ(商品名;PIXUS MP980、キヤノン製)のプラチナモード(デフォルト設定)により、黒のベタ画像の印字を行なった。1日乾燥後に、画像について、分光光度計(CMS−35SP、村上色彩技術研究所製)を用いてSCI方式による反射測定を行い、Y値を測定した。測定したY値について、下記の基準に基づきランクを決定した。
AA:1.6未満
A:1.6以上1.8未満
B:1.8以上、2.0未満
C:2.0以上、2.2未満
D:2.2以上
【0078】
(インク吸収性)
上述の各記録媒体のインク吸収性をそれぞれ評価した。印字はiP4600(商品名、キヤノン製)の印字処理方法を改造した装置を用いた。印字パターンは、Green色の64階調のベタ(6.25%Duty刻みで64階調、0〜400%Duty)を用いた。具体的には、0%Dutyから400%Dutyまで、6.25%ずつDutyを変更した、Dutyの異なる64種類の1平方インチのベタ画像を形成した。各ベタ画像は、キャリッジ速度が25インチ/秒で、往復2回のパスで印字が完了する双方向印字で形成した。尚、400%Dutyとは、解像度が600dpiのインクジェットヘッドを用いて、1/600平方インチあたりに44ngのインクを付与することを意味する。インク吸収性とビーディングはほぼ相関性があるため、ビーディングを評価することによって、記録媒体のインク吸収性を評価した。ビ―ディングとは、表面に付与されたインク滴がインク受容層に吸収される前に、隣接するインク滴と接触して色ムラのある画像ができる現象をいう。評価は目視で行い、下記の評価基準に基づきランクを決定した。
AA:300%Dutyでもビーディングが観察されなかった。
A:250%Duty以上300%Duty以下の範囲ではビーディングがやや観察されたが、250%Duty未満ではビーディングが観察されなかった。
B:200%Duty以上250%Duty以下の範囲ではビーディングがやや観察されたが、200%Duty未満ではビーディングが観察されなかった。
C:200%Duty未満でもビーディングが観察された。
【0079】
<耐ローラーマーク性>
実施例1〜12の記録媒体を温度30℃、相対湿度80%の高湿環境下に6時間保存した。その後、同環境下で、インクジェット記録装置(商品名;PIXUS MP980、キヤノン製)のプラチナモード(デフォルト設定)により、黒のベタ画像の印字を行なった。印字物表面の搬送ローラー通過部の傷を、以下の基準に基づいて目視で評価し、ランクを決定した。
AA:ローラーマークは観察されなかった。
A:ローラーマークが一本が観察された。
B:ローラーマークが複数本観察された。
【0080】
以上の評価結果を、表1に示す。尚、表1中の平均一次粒子径とは、円相当径の数平均粒子径である。また、最表層及び第1の層の屈折率は、各実施例の操作とは別に、以下の方法で測定した値である。まず、各層用塗工液を、作製した支持体に絶乾塗工量20.0g/mで塗工した。塗工して乾燥させた後に、分光エリプソメーター(商品名;M−2000V、ジェー・エー・ウーラム・ジャパン製)を用いて、波長589nmで測定を行った。このようにして、最表層及び第1の層の屈折率を測定した。
【0081】
【表1】

【0082】
表1の結果から、本発明の記録媒体は、黒のしまり、インク吸収性ともに「A」以上であり、記録画像の黒のしまりがよく、インク吸収性が良好であることが分かる。
【0083】
一方、最表層を設けていない比較例1の記録媒体は、黒のしまりが良好ではなかった。最表層の塗工量が多い比較例2の記録媒体は、インク吸収性が良好ではなかった。最表層の屈折率が第1の層の屈折率よりも高い比較例3、4の記録媒体は、黒のしまりが良好でなかった。最表層の屈折率と第1の層の屈折率が等しい比較例5では、黒のしまりはある程度であるものの、第1の層がバインダーを多く含有しており、インク吸収性が良好ではなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、該支持体上に第1の層と最表層とをこの順に有する記録媒体であって、
該第1の層はアルミナ及びアルミナ水和物の少なくとも一方を含有し、該最表層は顔料を含有し、該最表層は該第1の層よりも屈折率が低く、該最表層の絶乾塗工量は0.1g/m以上0.5g/m以下であることを特徴とする記録媒体。
【請求項2】
該最表層が含有する顔料は気相法シリカである請求項1に記載の記録媒体。
【請求項3】
該最表層は顔料に対してバインダーを30.0質量%以下含有する請求項1または2に記載の記録媒体。
【請求項4】
該最表層が含有する顔料の平均一次粒子径は7.0nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の記録媒体。

【公開番号】特開2012−11771(P2012−11771A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98423(P2011−98423)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】