説明

記録層保護コーティング剤およびそれを塗工した記録媒体

【構成】カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)を含有することを特徴とする記録層保護コーティング剤、好ましくは、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)のケン化度が90〜99.5モル%であることを特徴とする記録層保護コーティング剤。当該記録層保護コーティング剤を記録層上に塗工することを特徴とする記録媒体。
【効果】本発明は、記録媒体に耐水性を付与することに優れている記録層保護コーティング剤を提供することができ、それを記録層上に塗工された高い耐水性を有する記録媒体を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリンおよびポリエチレンイミンを含有する記録層保護コーティング剤およびそれを記録層上に塗工した記録媒体に関する。更に詳しくは、優れた耐水性を有した記録層保護コーティング剤及びそれを記録層上に塗工した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、記録層の保護を目的に、ポリビニルアルコールや澱粉およびその誘導体、セルロース誘導体、スチレン・無水マレイン酸系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ゼラチン、カゼイン等の水溶性樹脂が使用されている。中でも、ポリビニルアルコールはその塗膜の透明性、強度、水性インクの浸透性に優れている特性を有しており、また比較的安価に購入できる利点があり、感熱記録層やインクジェット記録層の保護コーティング剤として使用されている。しかしながら、ポリビニルアルコールからなる塗膜は、それ自体水に対する耐性(耐水性)が弱く、雨水等水に濡れると粘着性を帯びてしまう等の種々の問題を生じることがある。そこで、珪素変性ポリビニルアルコールを保護層に使用する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)が、その耐水性は十分とは言えない。
【特許文献1】特開昭58−193189号公報
【0003】
感熱記録層の保護剤においては、特にこの耐水性が非常に重要となる。ロイコ染料と顕色剤との組み合わせによる感熱記録層を有する感熱記録媒体は、比較的簡単な装置によって記録画像を形成することができ、しかもメンテナンスが容易であり、また記録時の騒音も少ない等の利点を有することから、例えば計測用レコーダー、ファクシミリ、コンピューター等の端末プリンタ、POS用プリンタ、自動券売機、バーコードラベルプリンタ等の広範囲の分野に応用されている。特に、近年においては、各種チケット用、レシート用、銀行のATM用、ガスや電気の検針用などにも感熱記録媒体の用途が拡大してきており、このため、感熱記録媒体に対して従来では問題なっていなかったような厳しい特性が要求されてきている。中でも、屋外でしかも雨天で使用することのある検針用途においては、従来よりも更に優れた耐水性が要求される。
【0004】
このため、アセトアセチル変性樹脂とポリアミドアミン・エピクロロヒドリン樹脂が提案されており(例えば、特許文献2参照)、比較的高いレベルの耐水性が得られるものの、その効果はまだ十分と言えるものではない。
【特許文献2】特開2002−301868号公報
【0005】
更に、ポリビニルアルコールと架橋剤と架橋助剤からなる水性インク記録用材のコーティング剤が提案されており(例えば、特許文献3参照)、架橋剤としてポリアミドアミンエピクロールヒドリン、架橋助剤としてポリエチレンイミンが例示されている。上記提案は、水性インク記録用途であり、ポリビニルアルコールは低ケン化度が好ましいと記載されている。本発明においては、カルボキシル変性ポリビニルアルコールが必須成分であり、他のポリビニルアルコールを使用したのでは、本発明の課題を到底満足させることができず、また高ケン化度のカルボキシル変性ポリビニルアルコールを用いた場合に特に有効となる。そのため、本発明の技術は、上記提案とは異質なものであると言える。
【特許文献3】特開平9−194787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、耐水性に優れた記録媒体を得るために必要な記録層保護コーティング剤を提供することであり、それを記録層上に塗工した耐水性に優れた記録媒体を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明者らは、かかる事情に鑑みて鋭意研究した結果、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)とポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)を含有してなる記録層保護コーティング剤が上記課題を解決できることを見出し本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、
(1)カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)を含有することを特徴とする記録層保護コーティング剤、
(2)カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)のケン化度が90〜99.5モル%である前記(1)の記録層保護コーティング剤、
(3)(A)100重量部に対して、(B)が1〜30重量部および(C)が1〜30重量部である前記(1)又は(2)の記録層保護コーティング剤、
(4)前記(1)〜(3)のいずれかの記録層保護コーティング剤を記録層上に塗工して製造することを特徴とする記録媒体、
(5)記録層が感熱記録層であることを前記(4)の記録媒体
を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、記録媒体に優れた耐水性を付与する記録層保護コーティング剤を提供することができ、それを記録層上に塗工された高い耐水性を有する記録媒体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の記録層保護コーティング剤成分の一つであるカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)は、公知のもの(例えば、特許文献4参照)を使用することができ、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等のカルボキシル基含有重合性単量体と酢酸ビニルを主成分とする単量体を共重合した後、部分的あるいは完全にケン化することによって得られるものである。ケン化度については、90〜99.5モル%の高ケン化度のものが好ましい。ケン化度が高い程、耐水性に優れているのは、水酸基同士の水素結合が形成されやすい分子構造を取りやすくなるためと思われる。
【特許文献4】特開昭53−91995号公報
【0010】
なお、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)のカルボキシル基変性率や重合度については特に限定されるものではないが、好ましくは変性率0.01〜5モル%、平均重合度100〜5000であり、具体的には、株式会社クラレ製のKポリマーKL−118、KL−318、KM−118や日本合成化学工業株式会社製のゴーセナールT−330、T−330H、T−350等を代表例として挙げることができる。
【0011】
次に、本発明の記録層保護コーティング剤の第二成分であるポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)としては、公知のものを使用することができるが、エームス陰性や低分子有機ハロゲン化合物の含有量が少ないポリアミドポリアミンエピハロヒドリンが好ましい。公知のポリアミドポリアミンエピハロヒドリンとしては、(一)脂肪族二塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミンとを、脂肪族二塩基性カルボン酸及び/又はその誘導体1モルに対してポリアルキレンポリアミン0.80〜0.89モルとなるように加熱縮合させてポリアミドポリアミン含有液を得、(ニ)前記ポリアミドポリアミン含有液中のポリアミドポリアミンと、ポリアミドポリアミン中の2級アミノ基に対して0.5〜1.6等量のエピハロヒドリンとを5〜50℃の温度で反応させる工程、(三)前記(二)の工程で得られた反応縮合物を希釈することなく、または希釈して、30〜80℃の温度で反応させる工程を有することを特徴とする、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリンを挙げることができる(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献5】特開2002−121280公報
【0012】
ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)の原料として用いられる脂肪族二塩基性カルボン酸としては、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、ドデカン二酸などが挙げられ、入手しやすく、安価である炭素数5〜10の脂肪族二塩基性カルボン酸が好ましい。また、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)の原料として用いられるポリアルキレンポリアミンとしては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミンなどが挙げられるが、入手しやすく、安価であるジエチレントリアミンが好ましい。更に、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)の原料として用いられるエピハロヒドリンとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン等を挙げることができるが、エピクロロヒドリンが入手がしやすく、安価であるため好ましい。
【0013】
次に、本発明の記録層保護コーティング剤の第三成分であるポリエチレンイミン(C)としては公知のもの(例えば、特許文献6,7参照)を使用することができ、ポリエチレンイミン(C)は下記一般式(1)で表される繰返し単位を少なくともひとつ含む化合物である。
【化1】

<式(1)中Rは、水素、アルキル基、アリール基、ピリジン基、アルキルアミノ基、またはヒドラジン基であり、アルキル基、アリール基、ピリジン基、アルキルアミノ基、及びラジン基は置換基を有していてもよい。>
【特許文献6】米国特許第2182306号公報
【特許文献7】米国特許第3203910号公報
【0014】
一般に、ポリエチレンイミン(C)は、エチレンイミンを塩酸や硫酸等の酸触媒の存在下で開環重合することにより製造することができる。ポリエチレンイミン(C)の分子量については、特に限定されるものではないが、通常500〜10万である。具体的には、株式会社日本触媒製のエポミンSPシリーズ、PシリーズやBASF社製のポリミンシリーズ、カチオファストSFを代表例として挙げることができる。
【0015】
本発明の記録層保護コーティング剤は、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)を混合して調製することができる。一般的に、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)は、粉末の状態で販売されており、使用に際しては水に分散させ加熱溶解(クッキング)する必要がある。そのため、混合順序としては、予め加熱溶解させたカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)の水溶液に、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)とポリエチレンイミン(C)を順次または同時に添加し、均一になるよう攪拌して調整することが一般的である。
【0016】
混合比率としては、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)100重量部に対して、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)1〜30重量部およびポリエチレンイミン(C)1〜30重量部が好ましい。ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)が1重量部未満では、耐水効果が不十分となる場合がある。また、30重量部よりも多くなると、記録層保護コーティング剤の安定性が悪化し、耐水性も不十分となる場合がある。
【0017】
本発明の記録層保護コーティング剤には、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)以外に、記録方法に応じて慣例の添加剤を併用することができる。例えば、感熱記録方法の場合には、分散剤、増感剤、填料、界面活性剤、熱可塑性物質、着色剤等であり、填料の具体例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素、水酸化アルミニウム、水酸化亜鉛、硫酸バリウム、カオリン、焼成カオリン、タルク、表面処理されたカルシウムやシリカ等の無機系微粉末や、尿素−ホルマリン樹脂、スチレンーメタクリル酸共重合体、ポリスチレン樹脂等の有機系の微粉末を挙げることができ、熱可塑性物質の具体例としては、高級脂肪酸またはそのエステル、アミドもしくは金属塩の他、各種ワックス類、芳香族カルボン酸とアミンとの混合物、安息香酸フェニルエステル、高級直鎖グリコール、3,4−エポキシ−ヘキサヒドロフタル酸ジアルキル、高級ケトン等を挙げることができる。
【0018】
本発明の記録媒体は、上記記録層保護コーティング剤を記録層上面に塗工して製造することができる。記録層は、感熱記録方式やインクジェット印刷方式など、種々の記録方式に適した成分からなっている。例えば、感熱記録層は、公知のロイコ染料、顕色剤、バインダー、その他の必要により各種の添加剤、助剤を水に分散させた塗液を、紙、合成紙、プラスチックフィルム等のシート状の支持体に塗工乾燥して形成される。また、インクジェット記録層では、公知の顔料、バインダー、染料固着剤、その他の必要により各種添加剤、助剤を水に分散させた塗液を、紙、合成紙、プラスチックフィルム等のシート状の支持体に塗工乾燥して形成される。
【0019】
上記感熱記録層成分のロイコ染料として具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノ)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3−ジメチルアミノ−6−メトキシフルオラン、7−アセトアミノ−3−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3,6−β−メトキシエトキシフルオラン等が挙げられる。
【0020】
上記感熱記録層成分の顕色剤としては、上記ロイコ染料加熱時に反応して発色せしめるもので、常温以上で、好ましくは70℃以上で液化もしくは気化するもの、例えば、フェノール、p−メチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−フェニルフェノール、α−ナフトール、β−ナフトール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、4,4’−シクロヘキシリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)、4,4’−(1−メチル−n−ヘキシリデン)ジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジカテコール、4,4’−ベンジリデンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンビス(2−クロロフェノール)、フェニル−4−ヒドロキシベンゾエート、サリチル酸、3−フェニルサリチル酸、5−メチルサリチル酸、3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸、1−オキシ−2−ナフトエ酸、m−オキシ安息香酸、4−オキシフタル酸等が挙げられる。
【0021】
上記感熱記録層成分のバインダーとして具体的には、ポリビニルアルコール、澱粉またはその変性物および誘導体、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、スチレン・無水マレイン酸共重合体、イソブチレン・無水マレイン酸共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
【0022】
上記記録層保護コーティング剤を記録層上面に塗工するための塗工機としては、エアーナイフコーター、カーテンコーター、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、ブレードコーター、ダイコーター、グラビアコーター、カレンダー、バーコーター、等が挙げられる。また、スプレー塗工機により基材表面に塗工することもできる。塗工後は、加熱乾燥により揮発成分を取り除くことで、保護層を有した記録用紙を得ることができる。
【0023】
また、記録層保護コーティング剤の塗工量は固形分で0.5〜8g/m2、好ましくは1〜5g/m2とすれば十分な効果が得られる。
【0024】
なお、本発明の記録層保護コーティング剤が非常に優れた耐水性を発現する理由としては定かでないが、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)とポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)とポリエチレンイミン(C)の3成分間でイオン的相互作用および共有結合を生成することによると推測される。ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)、ポリエチレンイミン(C)をそれどれ単独でカルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)と併用した場合は、本発明の目的を達成することはできず、上記3成分が揃って始めて相乗効果が現れる。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の実施の形態を説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、%は特に断わりがない限り重量%を意味する。
【0026】
(B)成分の合成例(樹脂bの合成)
温度計、冷却器、撹拌機、窒素導入管を備えた5リットル四つ口丸底フラスコにジエチレントリアミン702g (6 .8 モル)、88 %リン酸11 .9g (0 .11 モル)を仕込み、攪拌しながらアジピン酸1169g (8 モル)を加え、生成する水を系外に除去しながら昇温し、135 ℃で7時間反応させた後、水1583gを徐々に加えてポリアミドポリアミン含有液を得た。このポリアミドポリアミン含有液は固形分が51.8%であり、その固形分が50%のときの粘度が405mPa・s(25℃)であった。温度計、還流冷却器、撹拌機、滴下ロートを備えた500ml四つ口フラスコに、上記で得られたポリアミドポリアミン含有液125 .5g(第2級アミノ基として0.18当量)と水18 .9gとを仕込み(固形分45%)、20℃でエピクロロヒドリン18 .3g(0 .2 モル)を30分かけて滴下した後、30℃に加熱して3時間同温度で保持した。次いで、水75 .3g を加えて固形分を35%とした後、30%硫酸2.94gを加え、65℃まで加熱してこの温度で保持し、反応液の粘度が360mPa・s(25℃)に到達した時点で、更に水82.5gで希釈し、硫酸でpH を3.6に調整した後、88%ギ酸を1.88g加え、樹脂bポリアミドポリアミンエピハロヒドリン)を得た。
【0027】
実施例1
(A)成分として、株式会社クラレ製のカルボキシル基変性ポリビニルアルコールKL−118を固形分濃度が9%となるように水に加熱溶解(クッキング)した。そこに、(B)成分として上記合成例で得られた樹脂bと(C)成分としてBASF社製のCatiofastSF(ポリエチレンイミン)を、KL−118の固形分100部に対して、それぞれ5部となるように添加し、更にKL−118の固形分濃度が7%となるように水で希釈し、記録層保護コーティング剤Dを得た。評価試験の結果を表1に示す。
【0028】
実施例2
(B)成分の樹脂bの添加量を表1に示す量に変えた以外は実施例1と同様にして記録層保護コーティング剤Eを得た。評価試験の結果を表1に示す。
【0029】
比較例1〜6
(A)成分、(B)成分、(C)成分、その他成分、および添加量をそれぞれ表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして記録層保護コーティング剤g〜lを得た。評価試験の結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

以下に上記表中の略語を示す。カルボキシル基変性:カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のKL−118)、未変性:未変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のPVA−117)、珪素変性:珪素変性ポリビニルアルコール(株式会社クラレ製のR−2105)
【0031】
<耐水性試験1>
記録層保護コーティング剤の耐水性試験方法は、乾燥温度50℃で正方形状フィルム(30mm×30mm、厚さ50μm)を作製し、そのフィルムを50℃の水槽に1時間浸漬させた後の膨潤度を測定することで行った。耐水性のレベルは、膨潤度の結果により、以下に示す優5〜1劣1に至る階級により段階的に示した。なお、本発明の課題解決には、耐水性レベル4以上を必要とする。
膨潤度=(試験後フィルム面積)÷(試験前フィルム面積)
優5:膨潤度が2.5倍未満である。
良4:膨潤度が2.5倍以上3倍未満である。
並3:膨潤度が3倍以上4倍未満である。
可2:膨潤度が4倍以上である、またはフィルムが切断した。
劣1:フィルムが完全に切断した、または完全に溶解した。
【0032】
実施例3
実施例1で得られた記録層保護コーティング剤Dに填料として、シリカ(P−527:水澤化学工業製)を対液固形分濃度が2%となるように混合して攪拌し、シャープドキュメントシステム株式会社製のファクシミリ用ロールペーパーST138B41(保護層を有しない感熱記録用紙)に、固形分として3g/mとなるように表面塗工した後、乾燥し、記録層保護層を有する感熱記録用媒体Fを得た。評価試験の結果を表2に示す。
【0033】
比較例7
記録層保護コーティング剤Dを記録層保護コーティング剤iに変更した以外は、実施例3と同様にして、記録層保護層を有する感熱記録用媒体mを得た。評価試験の結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
<耐水性試験2>
感熱記録媒体の耐水性試験方法は、保護層上に水滴を1滴垂らし、30分間放置した後、指で10回往復させ、耐水性状態を評価した(ウェットラブ試験法)。
○:塗膜が全く取られない。
×:塗膜が取られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)およびポリエチレンイミン(C)を含有することを特徴とする記録層保護コーティング剤。
【請求項2】
カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)のケン化度が90〜99.5モル%であることを特徴とする請求項1記載の記録層保護コーティング剤。
【請求項3】
カルボキシル基変性ポリビニルアルコール(A)100重量部に対して、ポリアミドポリアミンエピハロヒドリン(B)が1〜30重量部およびポリエチレンイミン(C)が1〜30重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の記録層保護コーティング剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の記録層保護コーティング剤を記録層上に塗工して製造することを特徴とする記録媒体。
【請求項5】
記録層が感熱記録層であることを特徴とする請求項4記載の記録媒体。

【公開番号】特開2006−7642(P2006−7642A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189533(P2004−189533)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000109635)星光PMC株式会社 (102)
【Fターム(参考)】