記録物、画像形成方法、および画像形成装置
【課題】記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる画像形成方法、画像形成装置、記録物、およびそれらによって形成される記録物を提供する。
【解決手段】本発明にかかる記録物100は、浸透層10と、浸透層10に対してインクジェット法により形成された顔料層30と、顔料層30に対して形成された、接着性を有する接着層40と、を有し、浸透層10に、顔料層30を形成するための顔料22を含有するインク20の分散媒21が浸透している。
【解決手段】本発明にかかる記録物100は、浸透層10と、浸透層10に対してインクジェット法により形成された顔料層30と、顔料層30に対して形成された、接着性を有する接着層40と、を有し、浸透層10に、顔料層30を形成するための顔料22を含有するインク20の分散媒21が浸透している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録物、画像形成方法、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デザイン性や美観を高める等の理由で、光沢やつやを呈する画像が記録された記録物の需要がある。このような画像が記録される記録媒体としては、例えば、化粧品や医薬品などの包装やパッケージに用いられる紙類およびフィルム類、並びに、衣類、日用品などに用いられる布類および皮革類などが挙げられる。一般に、画像が光沢やつやを発揮するためには、画像の表面が平坦であることが条件の一つとなる。特に、光輝性を呈する画像の場合には、画像の表面の平坦性は重要となる。
【0003】
記録媒体に光輝性を呈する画像を記録する従来の方法としては、例えば、記録媒体として平坦性の高い記録面を有するものを選択し、これに金属箔を押しつけて画像を記録する箔押し法や、プラスチックフィルム等の平坦な記録面を有する記録媒体に対して金属を蒸着する方法などがある。また、光輝性を呈する顔料を記録媒体に塗布して光輝性画像を形成する方法としては、スクリーン印刷法、転写印刷法などがある。
【0004】
箔押し法または転写印刷法に類似する従来の方法としては、例えば、特許文献1に開示されているような印刷加工方法がある。また、光輝性を呈する顔料を記録媒体に塗布して光輝性画像を形成する従来の方法としては、インクジェット方式によって、金属顔料を含むインクを用いて画像を形成し、その後プレス加工を行って画像の表面の平滑化を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
一方、転写印刷法としては、例えば特許文献3には、転写を利用して記録媒体に光輝性画像を形成する方法が開示されている。同文献には、インク受容層と熱接着層を有する基材に対して、熱接着層を介して金属顔料インクを付与し、該熱接着層によって他の媒体へインク受容層とともに転写する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−044130号公報
【特許文献2】特開2002−179960号公報
【特許文献3】特開2009−107283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した蒸着法およびスクリーン印刷法は、大規模な装置を用いて行われることが多い。例えば、スクリーン印刷法は、大量の記録物を製造する場合には大きな支障がないが、サンプル印刷や試し刷りを行って記録物を評価する場合や、少量他品種の記録物を製造する場合には、その都度、版を製作する必要が生じ、労力、所用時間およびコストの面で不十分であった。まして消費者等が家庭や職場などで記録物を作成すること場合には、蒸着法やスクリーン印刷法では多くの難点があった。
【0008】
また、従来の箔押し法や転写印刷法は、金属箔または光輝性インクを全面にコーティングしたフィルムから、所望の画像に対応する部分のインクを記録媒体に転写するものであった。そのため、金属やインクの無駄が多いこと、および使用済みフィルムなどの廃棄などにも問題があった。
【0009】
他方、インクジェット方式による記録方法は、比較的小規模の装置構成とすることができ、用いるインク(金属)の無駄も抑えることができる点で、スクリーン印刷法に比較して優れている。ところが、例えば、インクジェット方式で形成された画像に、良好な光輝性を付与するためには、画像の表面が平坦である必要があり、プレス加工等の工程を追加することや、記録媒体に平坦性の高いものを使用する必要があるなどの制約があった。そのため、インクジェット方式による記録方法では、普通紙や布等の表面の平坦性の乏しい記録媒体に対しては、良好な光輝性を呈する画像を記録することが困難であった。
【0010】
さらに、上述の特許文献3には、インク受容層に浸透した金属顔料によって、光輝性を発現する旨の記載がある。この方法では、インクを透過させることのできる熱接着層、透明なインク受容層、および熱接着層を透過できる金属顔料(20nm程度の粒子径)が必要であり、それらの材料の選択に制約がある。その上、得られる画像の光輝性はインク受容層を介したものとなり、光輝性面自体には平坦性を確保しにくく、インク本来の光輝性を引き出しにくいといった問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる画像形成方法、画像形成装置、記録物、およびそれらによって形成される記録物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0013】
[適用例1]
本発明にかかる記録物の一態様は、
浸透層と、
前記浸透層に対してインクジェット法により形成された顔料層と、
前記顔料層に対して形成された、接着性を有する接着層と、
を有し、
前記浸透層に、前記顔料層を形成するための顔料を含有するインクの分散媒が浸透している。
【0014】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0015】
[適用例2]
適用例1において、
さらに、前記接着層に対して記録媒体が配置され、前記接着層により、前記顔料層および前記記録媒体が接着されていてもよい。
【0016】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0017】
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記顔料は、光輝性を呈するものとすることができる。
【0018】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して良好な光輝性を呈する画像を容易に形成することができる。
【0019】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下であってもよい。
【0020】
[適用例5]
本発明にかかる画像形成方法の一態様は、
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層を形成する工程と、
前記接着層に対して記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程と、
を含む。
【0021】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0022】
[適用例6]
適用例5において、
前記接着層を形成する工程は、インクジェット法により行われることができる。
【0023】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、より無駄を抑えて形成することができる。
【0024】
[適用例7]
本発明にかかる画像形成方法の一態様は、
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層が形成された記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを前記接着層によって接着する接着工程と、
を含む。
【0025】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0026】
[適用例8]
適用例5ないし適用例7のいずれか一例において、
前記浸透層と前記顔料層とを剥離して、前記顔料層を前記浸透層から前記記録媒体へ転写する工程をさらに有することができる。
【0027】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0028】
[適用例9]
適用例5ないし適用例8のいずれか一例において、
前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程は、加熱して行われることができる。
【0029】
[適用例10]
適用例5ないし適用例9のいずれか一例において、
前記顔料は、光輝性を呈するものとすることができる。
【0030】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して良好な光輝性を呈する画像を容易に形成することができる。
【0031】
[適用例11]
適用例5ないし適用例10のいずれか一例において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下であってもよい。
【0032】
[適用例12]
本発明にかかる記録物の一態様は、
適用例5ないし適用例11のいずれか一例に記載の画像形成方法によって形成され、
前記記録媒体と、前記接着層と、前記顔料層と、を含む。
【0033】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して良好な光沢またはつやを呈する画像が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図2】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図3】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図4】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図5】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図6】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図7】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図8】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図9】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図10】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図11】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図12】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図13】実施形態に画像形成装置の一例の模式図。
【図14】実施形態に画像形成装置の一例の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0036】
1.記録物
本実施形態にかかる記録物は、浸透層10と、顔料層30と、接着層40と、を有する。図1および図2は、本実施形態の記録物100の断面の模式図である。
【0037】
1.1.浸透層
浸透層としては、例えば、シート状、フィルム状、および膜状の形状を有する膨潤層と、シリカ、アルミナ等の無機粒子を敷き詰めた空隙層が存在するが、本実施形態においては浸透層10は、空隙層である。より具体的に空隙層とは、「水溶性または親水性ポリマーを主成分とするインク吸収層ではない層であって、無機粒子が充填され無機粒子間または無機粒子に設けられた孔の空隙に液体が浸透するよう構成された層」のことを示す。浸透層10の表面の少なくとも一部は、後述する顔料層30の表面を平坦とするために十分な平坦性を有する。
【0038】
浸透層10の厚みは、例えば、5μm以上50μm以下とすることができる。浸透層10の大きさ(面積)は、特に限定されない。浸透層10は、例えば、一般的な用紙サイズ(A4等)の大きさの単票であってもよいし、連続紙やロールのような長尺物であってもよい。浸透層10は、十分な機械的強度を有する場合には単独であってもよいが、必要に応じて適宜な基材12に対して形成されていてもよい。図1ないし図3、および図5、図7に示す例では、浸透層10は、基材12の表面に形成され、基材12によって支持されている。これにより、浸透層10の取り扱いを容易化されている。このような基材12の形状としては、例えばシート状、フィルム状などとすることができる。基材12としては、例えば、紙、プラスチックフィルムなどが挙げられる。基材12の厚みおよび大きさについては、特に限定されない。基材12を用いる場合には、浸透層10は、基材12の全面に形成されていてもよいし、基材12の一部に形成されていてもよい。
【0039】
浸透層10の空隙層を形成する無機粒子の体積基準の平均粒子径(以下、平均粒子径とする)は、3nm以上100nm以下であることが好ましい。このようにすれば、浸透層10の表面の平坦度が高いため、本実施形態の記録物を用いて転写先の媒体(例えば、記録媒体200)上に形成される画像に、良好な光沢やつやを付与することができる。また、転写先の媒体上の画像に、マット調の良好な光沢を付与する場合には、浸透層10の無機粒子の平均粒径を大きくしてもよく、その場合には、例えば、浸透層10の無機粒子の平均粒径は、100nmを超え300nm以下とすることができる。
【0040】
浸透層10は、後述するインク20に含有される分散媒21の少なくとも一部が浸透している。本明細書の「2.画像形成方法」の項で述べるが、浸透層10は、インク20に含有される顔料22をほとんど受容しないか、わずかに受容する程度の平均開口径を有する空隙層を含んで形成されている。浸透層10は、このような性質を有するため、インク20が浸透層10に塗布されたときに、分散媒21が主に浸透層10に浸透し、浸透層10の表面にインク20に含有される顔料22が濃化された顔料層30を形成するという機能を有している。
【0041】
また、浸透層10の機能の一つとしては、顔料層30の浸透層10と接する面の平坦度を制御することが挙げられる。すなわち、浸透層10は、表面の平坦度が制御された濾紙に類似した機能を有する。これにより、顔料層30の浸透層10と接する面の平坦度が、浸透層10の表面の平坦度に基づいて制御される。そして、顔料層30と浸透層10とが剥離されて顔料層30が転写先の媒体に転写されたときに、顔料層30の表面に所望の光沢やつやを発現させることができる。
【0042】
例えば、インク20に含有される顔料22が、光輝性を呈するものである場合には、浸透層20の表面が平坦であるほど、得られる画像の鏡面光沢度(例えば、日本工業規格(JIS)Z8741を参照。)が高まる。またこの場合、例えば、浸透層20の表面が粗くなるほど、得られる画像の鏡面光沢度が小さくなり、マット調の光輝性を得ることができる。例えば、インク20に含有される顔料22が光輝性を呈するものである場合に、顔料層30によって転写先の媒体に形成される画像に良好な光輝性を付与することのできる浸透層10の無機粒子の平均粒子径は、3nm以上、300nm以下であることが好ましい。
【0043】
また、顔料の平均粒子径は特に限定されないが、吐出ヘッドで吐出する(インクジェット法により形成する)ことを考慮して3nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上80nm以下が好ましい。本願発明においての浸透層10は、分散媒が浸透し濃化された顔料層30を形成し、この密に配列された顔料層30により良好なツヤや光沢が表現可能になる。さらに、顔料が光輝性を呈するものである場合には、顔料層30は高い光沢度を有するには非常に厳密な平滑性を要求されるので密に顔料を並べるためにも浸透層10は好ましい。顔料が光輝性を呈するものである場合には、平均粒子径が上述の範囲に入ることで、リーフ形状の光輝性の顔料とは異なり、一層厳密な配列が要求される顔料であるので、浸透層10は好ましく機能する。
【0044】
浸透層10の材質としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニアおよび酸化亜鉛などの金属酸化物、珪酸アルミニウムなどの金属珪酸塩、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、タルクおよび各種クレーなどの粘土鉱物等が挙げられる。また、浸透層10の材質には必要に応じて、結着剤が含まれてもよい。結着剤としては、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドン系樹脂;ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の、ポリビニルアルコール系樹脂;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロール系樹脂;ポリビニルアセタール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸またはそのエステル、ポリアクリルアミド、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、あるいはこれらの変性物等の合成樹脂や、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、デンプン、カチオン化デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂またはその変性体から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0045】
また、基材12を用いる場合には、浸透層10は、基材12に塗工するなどして形成してもよい。その場合には、例えば、プレス加工等により、所望の表面形状を形成することができる。また、基材12に浸透層10が形成された市販品を入手して用いてもよい。
【0046】
基材12の材質としては、特に限定されないが、例えば、各種の紙、布、フィルム、シートなどが挙げられる。基材12に浸透層10が形成された市販品の例としては、例えば、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の表面加工紙、および塩化ビニルシートやPETフィルム等のプラスチックフィルムなど表面に、インク受容層が形成されたものを挙げることができる。
【0047】
コート紙の例としては、例えば、上質紙または中質紙をベースに少なくとも片面に7g/m2ないし20g/m2の浸透層30を塗布したものを挙げることができる。これらは、上質コート紙または中質コート紙などと呼ばれることがある。また、コート紙の種類としては、浸透層30の塗工量の小さい(例えば、片面あたり7g/m2程度)軽量コート紙やマット調のマットコート紙、ミラーコート紙などを挙げることができる。
【0048】
アート紙の例としては、例えば、上質紙に浸透層30が片面あたり20g/m2程度塗工され、ロール等によって、圧力が加えられ表面が滑らかになっている紙を挙げることができる。アート紙には、つや消しアート紙、上質アート紙、並アート紙などが含まれる。キャストコート紙の例としては、例えば、上質紙に浸透層30が片面あたり少なくとも22g/m2塗工され、ロール等によって、加圧され表面が滑らかになっているものを挙げることができる。
【0049】
基材12に浸透層10が形成された具体的な市販品としては、パールコート紙(三菱製紙株式会社製)や、オーロラコート紙(日本製紙株式会社製)、写真用紙クリスピア(セイコーエプソン株式会社製)、写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社製)、写真用紙エントリー(セイコーエプソン株式会社製)、フォト光沢紙(セイコーエプソン株式会社製)などがある。
【0050】
1.2.顔料層
顔料層30は、浸透層10に対して形成される。顔料層30は、顔料22を含有するインク20を付着させ、インク20の分散媒21の少なくとも一部を浸透層10に浸透させて、浸透層10に対して形成される。顔料層30の平面的な形状および厚みは、特に限定されない。顔料層30は、浸透層10の全面に形成されてもよいし、浸透層10の一部に形成されてもよい。顔料層30は、記録物100から転写先の媒体(例えば、記録媒体200)へ転写されたときに、転写先の媒体上における画像となる。
【0051】
インク20の詳細は後述するが、インク20には、少なくとも顔料22および顔料22の分散媒21(水、有機溶剤、添加剤等)が含有されている。したがって、インク20が浸透層10に塗布されると、上述した浸透層10の機能により、分散媒21の少なくとも一部が浸透層10に浸透し、浸透層10の表面に、顔料22が濃化した領域が形成される。これにより、浸透層10の表面に、インク20における顔料22の含有量よりも高い含有量となった顔料層30が形成される。すなわち、顔料層30は、浸透層10がインク20の分散媒21を吸収するとともに、浸透層10にインク20の顔料22がほとんどまたは全く受容されないことにより形成される。
【0052】
顔料層30は、浸透層10に対して形成されるため、浸透層10の表面の平坦度に対応する平坦度を有する。したがって、顔料層30の表面の平坦度が制御され顔料層30の表面(浸透層10と接している面)に所望の光沢やつやを付与することができる。特に、顔料層30に含有される顔料22が、光輝性を呈しうる顔料(例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金の粉体)である場合には、所望の光輝性を呈する画像を形成することができる。顔料層30の材質は、インク20に分散された顔料22を含むが、顔料22以外の成分(例えば、分散媒21、添加剤など)を含んでいてもよい。
【0053】
1.3.接着層
接着層40は、少なくとも顔料層30に対して形成される。接着層40は、図2に示すように、顔料層30の上の他、浸透層10に対して形成されてもよい。接着層40の厚みは、特に限定されないが、例えば0.2μm以上5μm以下とすることができる。接着層40の厚みは、顔料層30の転写先である媒体(例えば、記録媒体200)の性質に応じて適宜設定することができる。例えば、転写先の媒体の表面の凹凸が大きい場合には、その凹凸の影響が顔料層30の表面(転写前に浸透層10に接していた面)に生じないように接着層40の厚みを適宜設定することができる。また、転写先の媒体が浸透性を有する場合には、その浸透性を考慮した厚みとすることができる(図5参照)。
【0054】
接着層40は、接着性を有する。ここで、接着性とは、顔料層30と転写先の媒体とを、接着する性質のことをいう。接着性は、接着層40が形成されたそのままの状態で発現されていてもよいし、接着層40に、例えば、圧力、温度(熱)および放射線(光等)の少なくとも一種の刺激が印加されたときに発現されてもよい。
【0055】
接着層40の機能の一つとしては、顔料層30と、転写先の媒体とを接着することが挙げられる。これにより、本実施形態の記録物100が有する顔料層30を、転写先の媒体に転写させることができる。
【0056】
接着層40が有する接着性の程度は、浸透層10と顔料層30との間の接着力よりも、接着層40を介した顔料層30と転写先の媒体(例えば、記録媒体200)との間の接着力のほうが大きければ十分である。また、図2に示す例のように、浸透層10に対して接着層40が形成された場合においても、浸透層10と顔料層30との間の接着力よりも、接着層40を介した顔料層30と転写先の媒体との間の接着力のほうが大きければ十分である。すなわち、図2の例の場合、顔料層30を転写先の媒体に転写した後に、浸透層10の上の接着層40は、浸透層10側に残存してもよく、転写先の媒体側に転写されてもよい。
【0057】
接着層40の材質としては、アクリル系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、などの接着剤に汎用されるモノマー、オリゴマーおよび樹脂類などを例示できる。この場合、必要に応じて重合開始剤、反応助剤、充填剤等の添加物が含有されてもよい。また、接着層40の材質の例としては、ポリオレフィン類、ポリアミド類、およびその変性体などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。この場合、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤等の添加物が含有されてもよい。また、接着層40の材質としては、ロジン、糊化デンプン、ニカワ、各種の糖類等の天然樹脂またはその変性体などの粘着性を有する物質を例示することができる。また、接着層40の材質としては、感圧型の接着剤であってもよい。感圧型の接着剤としては、例えば、接着剤を微小なカプセルに封入した構造を有するものが挙げられる。接着層40の材質は、上記例示した物質の2種以上の混合物であってもよい。また、接着層40に、顔料層30の膜強度を高める機能をもたせることもでき、その場合には、接着層40の材質には、顔料22の結着剤となる化合物を含有させてもよい。このような顔料22の結着剤としての作用を発揮しうる化合物としては、例えば、スチレンブタジエン系樹脂、およびセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、並びにその誘導体などが挙げられる。さらに、接着層40は、染料および顔料等の各種の色材によって着色されていてもよい。
【0058】
1.4.作用効果等
本実施形態の記録物100によれば、転写先の媒体の種類に依存することなく、該媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。すなわち、本実施形態の記録物100は、浸透層10の表面の平坦度に対応する表面を有する顔料層30を、接着層40によって、転写先の媒体に接着させ転写することができる。これにより、転写先の媒体に光沢またはつやの良好な画像を容易に形成することができる。
【0059】
従来のスクリーン印刷およびインクジェット印刷などでは、画像の表面の平坦度の制御は困難であった。すなわち、光沢を呈しうるインク等を用いて印刷しても、表面の平坦度が確保できず、必要とする光沢やつやを有する画像が得られない場合があった。そのため、従来は例えば、光沢やつやを有する画像を記録媒体に記録する場合には記録媒体の種類が制限され、場合によっては画像の表面を平坦化する工程等を付加する必要があった。
【0060】
これに対して、本実施形態の記録物によれば、転写先の媒体の種類(性質)によらず、表面の平坦な、光沢やつやを呈する画像を該媒体に極めて容易に形成することができる。特に、転写先の媒体が普通紙、フィルム等である場合には、本実施形態の記録物の効果は顕著となり、従来の方法では、光沢やつやを呈する画像を形成することが容易でなかった普通紙やフィルム等の媒体に対しても、極めて容易に光沢やつやを呈する画像を記録することができる。
【0061】
なお、記録媒体200は、離型作用を有する表面を備えていてもよい。すなわち、記録媒体200は、転写先となる媒体に限定されない。この場合も記録媒体200は、接着層40により顔料層30に接着されているが、当該接着の接着力は、浸透層10および顔料層30の間の接着力よりも小さい。したがって、記録媒体200が離型作用を有する場合には、記録物100は、記録媒体200と接着層40との界面を任意のタイミングで剥離することができる。そして、記録媒体200が剥がされることによって現れた接着層40によって、他の転写先の媒体に、顔料層30を転写させることができる。このような態様の記録物100によれば、搬送等によって生じる擦過痕を抑制することができるとともに、ユーザーが所望する任意の時点で、所望の転写先に接触させて浸透層10と顔料層30との間を剥離して転写することができるため、望むタイミングで、光沢やつやが良好な画像を所望の転写先に形成することができる。
【0062】
1.5.変形例
図3および図4は、本実施形態の記録物110の断面の模式図である。図5および図6は、本実施形態の記録物120の断面の模式図である。
【0063】
変形例の記録物110は、上述の記録物100の接着層40に対して、記録媒体200が配置されている。そして、顔料層30と記録媒体200とが、接着層40によって接着されている。
【0064】
記録媒体200は、特に限定されない。記録媒体200としては、例えば、各種の紙、布、フィルム、シートなどが挙げられる。より具体的には、日本工業規格JIS−P0001に記載されている紙類、JIS−L0206に記載されている織物類、JIS−L0222に記載されている不織布類、および、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、木材、金属、セラミックス、ガラスなどの材質のフィルム類、シート類が挙げられる。また記録媒体200としては、コート紙やアート紙等の塗工紙であってもよい。
【0065】
記録物110は、上記実施形態の記録物100と記録媒体200とが一体となった構造を有する。図3および図7に例示した記録物110の浸透層10は、基材12に形成されている。記録物110は、浸透層10と顔料層30との間を容易に剥離されることができる。図5および図6に示すように、記録物110の浸透層10および顔料層30の界面が剥離されると、記録媒体200に対して、接着層40および顔料層30が順次積層された記録物120を得ることができる。記録物120には、平坦度が制御された表面(接着層40とは反対側の面)を有する顔料層30が形成されており、顔料層30によって形成された画像は、光沢やつやの良好な画像となる。
【0066】
また、図3に示す記録物110の例では、顔料層30と接着層40とが同じ平面形状を有している。一方、図4に示す記録物110の例では、顔料層30よりも平面形状の大きい接着層40が形成されている。図6に示すように、顔料層30よりも平面形状の大きい接着層40が形成されている場合には、例えば、顔料層30を接着する接着層40の部分だけを記録媒体200に転写することもできる。また、図示しないが、顔料層30よりも平面形状の大きい接着層40が形成されている場合には、顔料層30および接着層40を記録媒体200に転写してもよい。
【0067】
図7は、他の変形例にかかる記録物111の断面の模式図である。図8は、他の変形例にかかる記録物121の断面の模式図である。
【0068】
変形例の記録物111は、接着層42が記録媒体200に対して形成されている点で、上述の記録物110と異なる。記録物111は、浸透層10に顔料層30を形成した後、顔料層30に対して、接着層40を形成していない。すなわち、転写される媒体側(記録媒体200側)に接着層42が形成され、当該接着層42によって、記録媒体200および顔料層30が接着されている。
【0069】
他の変形例の記録物121は、図8に示すように、顔料層30の表面と、接着層40の表面とが共通する平面となっている。記録物121は、例えば、図4に示した記録物110、または、図7に示した記録物111に対して、浸透層10および記録媒体200とを押しつけるように圧力、熱を印加することにより、接着層40または接着層42を変形させて形成することができる。
【0070】
以上のような変形例にかかる記録物110または記録物111によれば、記録媒体200に良好な光沢やつやを有する画像が形成された記録物120または記録物121を、容易に搬送することができる。また、変形例にかかる記録物110または記録物111によれば、記録物120または記録物121に形成された画像の表面が浸透層によって保護されるため、搬送等によって生じる擦過痕を抑制することができる。さらに、記録物110または記録物111によれば、ユーザーが所望する任意の時点で、浸透層10と顔料層30との間を剥離することができるため、望むタイミングで、光沢やつやの良好な画像が形成された記録物120または記録物121を得ることができる。
【0071】
2.画像形成方法
図9ないし図12は、それぞれ本発明の一実施形態にかかる画像形成方法の工程を模式的に示す図である。
【0072】
本実施形態にかかる画像形成方法は、顔料層30を形成する工程と、接着層40を形成する工程と、記録媒体200と顔料層30とを接着する工程と、を含む。
【0073】
2.1.顔料層を形成する工程
図9ないし図11は、顔料層30を形成する工程を模式的に示す図である。
【0074】
2.1.1.顔料層の形成
まず、浸透層10を準備する。図9に示すように、浸透層10は、基材12に形成されていてもよい。次いで、図10に示すように、インク20を浸透層10に付着させる。浸透層10にインク20を付着させる方法としては、特に限定されず、インクジェット法、ディップ法(刷毛、スキージ等による塗布を含む)、バーコート法、孔版印刷法(スクリーン印刷法)、凸版印刷法および凹版印刷法などが挙げられる。これらの方法のうち、インクジェット法は、版を準備する等の工程が不要で、しかも所望の画像を容易に形成することができるため、インク20の無駄を抑えることができる点でより好ましい。
【0075】
インク20が浸透層10に付着されると、図11に示すように、インク20の分散媒21の少なくとも一部が浸透層10に浸透する。浸透層10は、既に述べたように、インク20に含有される分散媒21を吸収することができる。また、浸透層10は、インク20に含有される顔料22をほとんど受容しないか、わずかに受容する程度の平均開口径を有するものが選択される。その観点から浸透層10の空隙率は、例えば、40%以上80%以下とすることができる。これにより、浸透層10に付着されたインク20は、浸透層10の表面を境界として浸透層10の内部に分散媒21の少なくとも一部が浸透し、浸透層10の表面よりも上に、顔料22が濃化した状態となる。これにより、浸透層10に対して顔料層30が形成される。
【0076】
また、本工程でインク20を浸透層10に付着させると、顔料層30の浸透層10と接する面の平坦度が、浸透層10の表面の平坦度に対応する形状となる。すなわち、浸透層10は、表面の平坦度が制御された濾紙に類似した機能を有する。これにより、顔料層30の浸透層10と接する面は、浸透層10の表面の平坦度に基づいて制御され、顔料22が密に配置された状態となる。
【0077】
2.1.2.インク
顔料層30を形成する工程で使用するインク20は、少なくとも顔料22および分散媒21を含有する。
【0078】
2.1.2.1.顔料
顔料22としては、特に制限されず、無機顔料、有機顔料、特色(白色、金属、パール調)顔料など、各種公知のものを挙げることができる。
【0079】
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
【0080】
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
【0081】
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
【0082】
マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
【0083】
ブラック顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄などの粉体が挙げられる。
【0084】
白色顔料としては、酸化チタン、有機または無機材料からなる中空粒子、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの粉体が挙げられる。また、パール顔料としては、粘土鉱物類を挙げることができる。
【0085】
金属顔料としては、媒体に付着されたときに光輝性を呈しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金や、パール光沢を有するパール顔料を挙げることができる。
【0086】
インク20には、上記例示した顔料22の複数種が配合されてもよい。
【0087】
顔料を分散媒に分散させるには、樹脂分散、自己分散、マイクロカプセル型分散などを複数の方法があるが、本実施形態においては、これらのうち自己分散型顔料がより好ましい。自己分散型顔料は、分散性のある官能基を有する顔料であるので、樹脂やポリマーなどを表面に有しない、又は、少ないことにより、記録媒体に対しての密着性が低く転写を行うのに好ましい。
【0088】
顔料22の粒子径は、浸透層10の空隙層の特性などを考慮して、浸透層10の内部に浸透しにくいまたは浸透しないように選択される。顔料22の粒子径としては、例えば、平均粒子径が1nm以上500nm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは3nm以上200nm以下程度であり、最も好ましくは、3nm以上200nm以下程度である。なお、顔料22の平均粒子径は、例えば、光(レーザー)散乱法、窒素吸着法などにより、粒径加積曲線を求めるなどして測定することができる。本実施形態のインク20における顔料22の含有量は、例えば、インク20全体に対して、1質量%以上25質量%以下程度が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。
【0089】
2.1.2.2.分散媒
インク20に使用される分散媒21は、特に限定されない。分散媒21としては、例えば、水、有機溶剤、反応性化合物、およびそれらの混合物等が挙げられる。インク20中では、顔料22は分散媒21に分散されている。インク20に、顔料22以外の物質、例えば、顔料22を分散させるための化合物が含有される場合、それらの物質が常温で液体であれば、該化合物も分散媒21の一部と見なすことができる。
【0090】
2.1.2.3.その他の成分
インク20には、各種公知の物質を含有させることができる。インク20には、例えば、界面活性剤、定着剤、湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合してもよく、さらに、必要に応じてレベリング添加剤、マット剤、顔料層30の膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有させてもよい。また、インク20は、接着層40を形成するための液体が接触したときに、顔料22が再分散しないものがより好ましい。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有させることによって、再分散しにくくする効果が得られる場合がある。
【0091】
2.2.接着層を形成する工程
次いで、図1および図2に示したように、少なくとも顔料層30に対して接着層40を形成する。接着層40は、例えば、接着性を有する、または、特定の刺激を受けることで接着性を発揮する化合物、若しくは、該化合物を含有する液体を塗布することにより形成される。
【0092】
接着性を有する化合物は、「1.3.接着層」の項で述べたと同様である。
【0093】
図1の例では、顔料層30の上のみに接着層40が形成されている。図2に示した例のように、浸透層10に対して接着層40が形成される場合には、接着層40の材質は、記録媒体200と浸透層10との剥離が容易となるように選択される。この場合、浸透層10と記録媒体200とを剥離したときに、顔料層30が記録媒体200側へ転写される限り、顔料層30以外の部分に形成された接着層40は、浸透層30および記録媒体200のいずれの側に存在することとなってもよい。
【0094】
接着層40は、各種の手法により形成されることができ、例えば、インクジェット法、ディップ法(刷毛、スキージ等による塗布を含む)、バーコート法、孔版印刷法(スクリーン印刷法)、凸版印刷法および凹版印刷法などにより形成されうる。これらの方法のうち、インクジェット法は、版を準備する等の工程が不要で、しかも所望の画像を容易に形成することができるため、接着層40を形成するための液体の無駄を抑えることができる点で、より好ましい。
【0095】
2.3.記録媒体および顔料層を接着する工程
次に、図12に示すように、接着層40に対して記録媒体200を配置し、記録媒体200と顔料層30とを接着する。本工程は、接着層40の材質に従って、適宜に行われる。例えば、接着層40が常温で十分な接着性を有する場合には、記録媒体200を接着層40に対して配置してわずかな圧力Pが印加するだけで記録媒体200と顔料層30とを接着することができる。この場合、必要に応じて、プレス加工、ローラー圧着等を行ってもよい。また、接着層40が熱によって接着性を発揮する性質を有する場合には、適宜な加熱手段を用いて、記録媒体200および基材12(浸透層10)の少なくとも一方を加熱して行うことができる。さらに、接着層40が圧力によって接着性を呈する場合には、例えば、ローラー圧着、プレス加工や治具等を用いた徒手により圧力Pを印加して行うことができる。また、接着層40が熱によって接着性を発揮する性質を有する場合、本工程は、加熱して行われるが、ローラー圧着やプレス加工を併用してもよい。
【0096】
例えば、接着層40が熱硬化型の化合物を含有する接着剤である場合には、本工程では、接着層40は、接着剤の重合温度(例えば重合開始剤の活性化温度)よりも高い温度となるように加熱されることが好ましい。また、例えば、接着層40が熱可塑性の重合体を含有する接着剤である場合には、本工程では、接着層40は、熱可塑性の重合体のTg(ガラス転移温度)、およびTm(融点)の少なくとも一方の近傍まで加熱されることが好ましく、TgおよびTmの少なくとも一方よりも高い温度に加熱されることがさらに好ましい。
【0097】
2.4.変形例
上記実施形態の画像形成方法において、接着層を形成する工程に代えて、接着性を有する接着層42が形成された記録媒体200を準備する工程としてもよい。
【0098】
上記実施形態の画像形成方法では、転写元(浸透層側)接着層40を形成し、当該接着層40を用いて、顔料層30と記録媒体200とを接着した。しかし、本変形例のように記録媒体200側に接着層が形成されていても同様の結果を得ることができる。
【0099】
本変形例にかかる画像形成方法では、記録媒体200には、接着層42が形成されている。具体的には、上述の記録媒体200の一方の面に、接着層42が形成されている。接着層42は、記録媒体20の全面に形成されていてもよいし、浸透層10に付着された顔料層30の反転像を含む領域の大きさで形成されてもよい。記録媒体20に、浸透層10に付着された顔料層30の反転像と同じ大きさで、接着層42が形成される場合には、インク20および接着層42を形成する液体の使用量を最小に抑えることができる。
【0100】
そして、本変形例においても「2.3.記録媒体および顔料層を接着する工程」と同様にして、記録媒体200と顔料層30とを接着層42によって接着することができる。
【0101】
2.5.作用効果
本実施形態の画像形成方法によれば、例えば、上述した実施形態の記録物を容易に得ることができる。本実施形態の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0102】
2.6.顔料層を転写する工程
本実施形態の画像形成方法は、顔料層30を、浸透層10から記録媒体200へ転写する工程を含むことができる。
【0103】
顔料層30は、上記実施形態の画像形成方法を経ると、記録媒体200に接着されている。本工程は、例えば、図5、図6および図8に示すように、浸透層10と顔料層30との界面を剥離する工程である。本工程により、顔料層30は、記録媒体200側へ転写され、記録物120または記録物121を得ることができる。
【0104】
本工程の具体的な方法としては、なんら制限なく、例えば、一般的なピーラーなどを用いて行うことができる。また、本工程は、ローラー等を適宜配置して、記録媒体200や浸透層10の搬送とともに適宜に行うことができる。さらに、本工程は、例えば、ユーザーが徒手で行ってもよい。
【0105】
接着層40が熱可塑性の化合物を含む場合には、本工程は、「2.3.記録媒体および顔料層を接着する工程」の後、接着層40が冷却されてから行われることが好ましい。このような場合には、例えば、記録媒体および顔料層を接着する工程の後、冷却工程を設けることができる。冷却工程としては、例えば、冷却期間を設けることや、冷却手段(冷却ローラーなど)を用いて接着層40を冷却することが挙げられる。
【0106】
熱を印加して転写を行う場合には、加熱ローラー、プラテンヒーター、放射熱を発生させる光線等を用いても良いが、例えばアイロンのような熱を発生させる装置を用いて、手動で転写を行っても良い。
【0107】
本実施形態の画像形成方法が、顔料層30を、浸透層10から記録媒体200へ転写する工程を含む場合には、例えば、上述した本実施形態の記録物120および記録物121を極めて容易に得ることができる。そして、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体200に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0108】
3.画像形成装置
図13は、一実施形態にかかる画像形成装置1000、1100の模式図である。図14は、一実施形態にかかる画像形成装置1200、1300の模式図である。
【0109】
本実施形態の画像形成装置は、第1記録媒体310を搬送する第1搬送手段410と、第2記録媒体320を搬送する第2搬送手段420と、第1インク510を用いて画像を記録する第1記録手段610と、第2インク520を用いて画像を記録する第2記録手段620と、加圧手段700と、を備える。
【0110】
3.1.第1搬送手段および第2搬送手段
第1搬送手段410は、第1記録媒体310を搬送する。第2搬送手段420は、第2記録媒体320を搬送する。
【0111】
本実施形態では、第1記録媒体310は、上記実施形態で説明した浸透層10を有する。また、本実施形態では、第2記録媒体320は、上記実施形態における記録媒体200に対応する。
【0112】
第1搬送手段410は、例えば、ローラー412によって構成されることができる。第1搬送手段410は、複数のローラー412を有してもよい。第1搬送手段410は、図示の例では、第1記録媒体310の搬送される方向において、第1記録手段610より上流側に設けられているが、これに限定されず、第1記録媒体310が搬送できる限り、設けられる位置や個数は任意である。
【0113】
第2搬送手段420は、例えば、ローラー422によって構成されることができる。第2搬送手段420は、複数のローラー422を有してもよい。第2搬送手段420は、図示の例では、第1記録媒体310の搬送される方向において、第2記録手段620より下流側に設けられているが、これに限定されず、第1記録媒体310に対して、第2記録媒体320を積層できるように配置される限り、設けられる位置や個数は任意である。
【0114】
第1搬送手段410および第2搬送手段420は、それぞれ、給紙ロール、給紙トレイ、排紙ロール、排紙トレイ、および各種のプラテンなどを備えてもよく、第1記録媒体310および第2記録媒体320を積層できるように構成される。
【0115】
第1搬送手段410によって搬送される第1記録媒体310は、第1記録手段610によって第1インク510が付着される位置へ搬送される。また、第2搬送手段420によって搬送される第2記録媒体320は、加圧手段700によって第1記録媒体310と第2記録媒体320とが加圧密着できる位置へ搬送される。
【0116】
なお、図13および図14では、第1記録媒体310および第2記録媒体320がいずれも連続紙である場合を例示しているが、第1記録媒体310および第2記録媒体320の少なくとも一方が単票であっても、第1搬送手段410および第2搬送手段420を適宜に構成することで、上記のような記録媒体の搬送を行うことができる。
【0117】
3.2.第1記録手段および第2記録手段
第1記録手段610は、第1記録媒体310に対して、第1インク510を用いて画像を記録する。第2記録手段620は、第1記録媒体310に対して、第2インク520を用いて画像を記録する。
【0118】
第1インク510は、上述の実施形態で説明したインク20に対応する。第2インク520は、上述の実施形態で述べた接着層40を形成するための液体(接着性を有する、または、特定の刺激を受けることで接着性を発揮する化合物、若しくは、該化合物を含有する液体)に対応する。
【0119】
第1記録手段610および第2記録手段620としては、それぞれ、所望の画像が得られるように、例えば、インクジェット法、ディップ法(刷毛、スキージ等による塗布を含む)、孔版印刷法(スクリーン印刷法)、凸版印刷法および凹版印刷法などの方式の記録手段を採用することができる。
【0120】
第1記録手段610は、第1記録媒体310に対して、上記実施形態で述べた顔料層30を形成する。第2記録手段620は、第1記録媒体310に対して、上記実施形態で述べた接着層40を形成する。したがって、第1記録手段610および第2記録手段620は、第1記録手段610によって記録される画像のほうが、第2記録手段620によって記録される画像よりも先に、第1記録媒体310に対して形成されるように配置される。これにより、上記実施形態で述べた記録物100を形成することができる。
【0121】
第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合には、例えば、第1記録手段610および第2記録手段620を、それぞれ個々の記録ヘッドとし、第1記録手段610のほうが、第1記録媒体310の搬送される方向において、第2記録手段620より上流側に配置する態様を例示できる。また、第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合には、例えば、一つの記録ヘッドであっても、異なるノズルから第1インク510および第2インク520を吐出させるようにして、第1インク510のほうが第2インク520よりも先に第1記録媒体310に到達するように吐出タイミングを制御すればよい。このようにすれば、一つの記録ヘッドであっても当該各ノズルのセグメント(ユニット)を、それぞれ第1記録手段610および第2記録手段620と見なすことができる。
【0122】
また、第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合には、第1搬送手段410の第1記録媒体310の搬送量、搬送速度の両者を適宜制御して利用することができ、例えば、シリアル方式、ライン方式の記録を行うこともできる。なお、第1記録手段610および第2記録手段620の位置関係は、第1記録媒体310および第1インク510の性質によって変化させてもよく、例えば、第1記録媒体310上に顔料層30が形成される速度(浸透層10への分散媒21の浸透速度など)によって適宜設計される。
【0123】
第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合は、版を準備する等の工程が不要で、しかも所望の画像を容易に形成することができるため、第1インク510および第2インク520の少なくとも一方の無駄を抑えることができる。
【0124】
3.3.加圧手段
加圧手段700は、第1記録媒体310と第2記録媒体320とを密着させる。加圧手段700の構成としては、例えば、加圧ローラー、プレス成形機などを例示することができる。加圧手段700の構成に応じて、上述の各搬送手段による記録媒体の送り速度や送り量を適宜調節することができる。
【0125】
加圧手段700は、第2記録手段620よりも、第1記録媒体310の搬送される方向において下流側に配置される。また、加圧手段700が配置される第1記録媒体310の搬送方向における位置は、例えば、第1記録媒体310上に接着層40が形成される速度(接着層40の乾燥速度など)によって適宜設計される。
【0126】
加圧手段700によって印加される圧力としては、第1記録媒体310と第2記録媒体320とを密着させることができれば十分であるが、例えば、接着層40の種類によって適宜設定できる。例えば、接着層40が、感圧型の接着剤で形成される場合には、加圧手段700によって印加される圧力は、0.01Pa以上10MPa以下とすることができる。
【0127】
加圧手段700は、加熱機構を有してもよい。加熱機構としては、例えば、加圧ローラー、プレス成形機を加熱して温度制御することができるヒーターなどが挙げられる。また、加熱機構を有する加圧手段としては、例えば、一般的なラミネーター装置の要部の構成が挙げられる。
【0128】
3.4.その他の構成
本実施形態の画像形成装置は、各種の構成を適宜組み合わせることができる。
【0129】
例えば、本実施形態の画像形成装置は、剥離手段800を有してもよい。
【0130】
剥離手段800は、加圧手段700よりも第1記録媒体310の搬送方向における下流側に配置することができる。剥離手段800は、ローラーやスキージによって構成され、必要に応じてさらに搬送手段を有してもよい。
【0131】
剥離手段800は、第1記録媒体310および第2記録媒体320を剥離することができ、これにより、第1記録媒体310に記録された顔料層30を第2記録媒体320側へ転写させることができる。
【0132】
3.5.画像形成装置の構成例
本実施形態の画像形成装置の各構成は、目的に応じて自由に配置できる。例えば、図13に示す例(画像記録装置1000、1100)では、第2記録媒体320が、加圧手段700を経た後に屈曲しないように各構成が配置されている。このようにすれば、第2記録媒体320に転写された後の顔料層30が屈曲しないため、例えば顔料層30の剥離やひび割れを抑制することができる。一方、図14に示す例(画像記録装置1200、1300)では、第2記録媒体320が、最初から最後まで屈曲しないように、各構成が配置されている。このようにすれば、第2記録媒体320が屈曲性を有さない場合(ガラスシートやプラスチックシートなど)に適用可能である。
【0133】
また、第1記録手段610および第2記録手段620についても配置は自由である。そのため、例えば、両者がインクジェット方式の記録手段であっても、例えば図14に示すように、第1記録媒体310が、水平に配置されなくてもよく、このような場合であっても、第1記録媒体310に対して第1インク510および第2インク520を付着させて所望の画像を形成することができる。
【0134】
本実施形態の画像形成装置は、所望する記録物に適合するように適宜構成を変化させることができる。例えば、図3、図4、図7に示すような記録物110、記録物111等を形成する場合には、図13および図14に例示した画像形成装置1000、1200に示す構成、すなわち、第1搬送手段410、第2搬送手段420、第1記録手段610、第2記録手段620、および加圧手段700を含む構成とすることができる。また、図5、図6、図8に示すような記録物120、記録物121等を形成する場合には、図13および図14に例示した画像形成装置1100、1300に示す構成、すなわち、第1搬送手段410、第2搬送手段420、第1記録手段610、第2記録手段620、加圧手段700、および剥離手段800を含む構成とすることができる。
【0135】
さらに、本実施形態の画像形成装置は、各構成が独立して制御されても、複数の構成が連動して制御されてもよく、また、一体的な装置であっても、複数の装置の組合せであってもよい。例えば、第1搬送手段410、第1記録手段610および第2記録手段620を、インクジェット記録装置の媒体搬送手段、記録ヘッド600とし、加圧手段700を、ラミネーターの加圧ローラー(第2搬送手段420を兼ねる)とすれば、該インクジェット記録装置と該ラミネーターとを組み合わせて、本実施形態の画像形成装置1000、1200とすることができる。
【0136】
本実施形態の画像形成装置によれば、第2記録媒体320の種類に依存することなく、第2記録媒体320に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0137】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0138】
10…浸透層、12…基材、20…インク、21…分散媒、22…顔料、30…顔料層、40,42…接着層、100,110,111,120,121…記録物、200…記録媒体、P…圧力、310…第1記録媒体、320…第2記録媒体、410…第1搬送手段、420…第2搬送手段、412,422…ローラー、510…第1インク、520…第2インク、600…記録ヘッド、610…第1記録手段、620…第2記録手段、700…加圧手段、800…剥離手段、1000,1100,1200,1300…画像形成装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録物、画像形成方法、および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、デザイン性や美観を高める等の理由で、光沢やつやを呈する画像が記録された記録物の需要がある。このような画像が記録される記録媒体としては、例えば、化粧品や医薬品などの包装やパッケージに用いられる紙類およびフィルム類、並びに、衣類、日用品などに用いられる布類および皮革類などが挙げられる。一般に、画像が光沢やつやを発揮するためには、画像の表面が平坦であることが条件の一つとなる。特に、光輝性を呈する画像の場合には、画像の表面の平坦性は重要となる。
【0003】
記録媒体に光輝性を呈する画像を記録する従来の方法としては、例えば、記録媒体として平坦性の高い記録面を有するものを選択し、これに金属箔を押しつけて画像を記録する箔押し法や、プラスチックフィルム等の平坦な記録面を有する記録媒体に対して金属を蒸着する方法などがある。また、光輝性を呈する顔料を記録媒体に塗布して光輝性画像を形成する方法としては、スクリーン印刷法、転写印刷法などがある。
【0004】
箔押し法または転写印刷法に類似する従来の方法としては、例えば、特許文献1に開示されているような印刷加工方法がある。また、光輝性を呈する顔料を記録媒体に塗布して光輝性画像を形成する従来の方法としては、インクジェット方式によって、金属顔料を含むインクを用いて画像を形成し、その後プレス加工を行って画像の表面の平滑化を行う方法が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0005】
一方、転写印刷法としては、例えば特許文献3には、転写を利用して記録媒体に光輝性画像を形成する方法が開示されている。同文献には、インク受容層と熱接着層を有する基材に対して、熱接着層を介して金属顔料インクを付与し、該熱接着層によって他の媒体へインク受容層とともに転写する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−044130号公報
【特許文献2】特開2002−179960号公報
【特許文献3】特開2009−107283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した蒸着法およびスクリーン印刷法は、大規模な装置を用いて行われることが多い。例えば、スクリーン印刷法は、大量の記録物を製造する場合には大きな支障がないが、サンプル印刷や試し刷りを行って記録物を評価する場合や、少量他品種の記録物を製造する場合には、その都度、版を製作する必要が生じ、労力、所用時間およびコストの面で不十分であった。まして消費者等が家庭や職場などで記録物を作成すること場合には、蒸着法やスクリーン印刷法では多くの難点があった。
【0008】
また、従来の箔押し法や転写印刷法は、金属箔または光輝性インクを全面にコーティングしたフィルムから、所望の画像に対応する部分のインクを記録媒体に転写するものであった。そのため、金属やインクの無駄が多いこと、および使用済みフィルムなどの廃棄などにも問題があった。
【0009】
他方、インクジェット方式による記録方法は、比較的小規模の装置構成とすることができ、用いるインク(金属)の無駄も抑えることができる点で、スクリーン印刷法に比較して優れている。ところが、例えば、インクジェット方式で形成された画像に、良好な光輝性を付与するためには、画像の表面が平坦である必要があり、プレス加工等の工程を追加することや、記録媒体に平坦性の高いものを使用する必要があるなどの制約があった。そのため、インクジェット方式による記録方法では、普通紙や布等の表面の平坦性の乏しい記録媒体に対しては、良好な光輝性を呈する画像を記録することが困難であった。
【0010】
さらに、上述の特許文献3には、インク受容層に浸透した金属顔料によって、光輝性を発現する旨の記載がある。この方法では、インクを透過させることのできる熱接着層、透明なインク受容層、および熱接着層を透過できる金属顔料(20nm程度の粒子径)が必要であり、それらの材料の選択に制約がある。その上、得られる画像の光輝性はインク受容層を介したものとなり、光輝性面自体には平坦性を確保しにくく、インク本来の光輝性を引き出しにくいといった問題があった。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様にかかる目的の一つは、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる画像形成方法、画像形成装置、記録物、およびそれらによって形成される記録物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0013】
[適用例1]
本発明にかかる記録物の一態様は、
浸透層と、
前記浸透層に対してインクジェット法により形成された顔料層と、
前記顔料層に対して形成された、接着性を有する接着層と、
を有し、
前記浸透層に、前記顔料層を形成するための顔料を含有するインクの分散媒が浸透している。
【0014】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0015】
[適用例2]
適用例1において、
さらに、前記接着層に対して記録媒体が配置され、前記接着層により、前記顔料層および前記記録媒体が接着されていてもよい。
【0016】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0017】
[適用例3]
適用例1または適用例2において、
前記顔料は、光輝性を呈するものとすることができる。
【0018】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して良好な光輝性を呈する画像を容易に形成することができる。
【0019】
[適用例4]
適用例1ないし適用例3のいずれか一例において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下であってもよい。
【0020】
[適用例5]
本発明にかかる画像形成方法の一態様は、
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層を形成する工程と、
前記接着層に対して記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程と、
を含む。
【0021】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0022】
[適用例6]
適用例5において、
前記接着層を形成する工程は、インクジェット法により行われることができる。
【0023】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、より無駄を抑えて形成することができる。
【0024】
[適用例7]
本発明にかかる画像形成方法の一態様は、
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層が形成された記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを前記接着層によって接着する接着工程と、
を含む。
【0025】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0026】
[適用例8]
適用例5ないし適用例7のいずれか一例において、
前記浸透層と前記顔料層とを剥離して、前記顔料層を前記浸透層から前記記録媒体へ転写する工程をさらに有することができる。
【0027】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0028】
[適用例9]
適用例5ないし適用例8のいずれか一例において、
前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程は、加熱して行われることができる。
【0029】
[適用例10]
適用例5ないし適用例9のいずれか一例において、
前記顔料は、光輝性を呈するものとすることができる。
【0030】
本適用例の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して良好な光輝性を呈する画像を容易に形成することができる。
【0031】
[適用例11]
適用例5ないし適用例10のいずれか一例において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下であってもよい。
【0032】
[適用例12]
本発明にかかる記録物の一態様は、
適用例5ないし適用例11のいずれか一例に記載の画像形成方法によって形成され、
前記記録媒体と、前記接着層と、前記顔料層と、を含む。
【0033】
本適用例の記録物によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して良好な光沢またはつやを呈する画像が形成されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図2】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図3】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図4】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図5】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図6】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図7】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図8】実施形態の記録物の一例の断面の模式図。
【図9】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図10】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図11】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図12】実施形態の画像形成方法の一工程の模式図。
【図13】実施形態に画像形成装置の一例の模式図。
【図14】実施形態に画像形成装置の一例の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下に本発明の好適な実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。また、本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお、以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0036】
1.記録物
本実施形態にかかる記録物は、浸透層10と、顔料層30と、接着層40と、を有する。図1および図2は、本実施形態の記録物100の断面の模式図である。
【0037】
1.1.浸透層
浸透層としては、例えば、シート状、フィルム状、および膜状の形状を有する膨潤層と、シリカ、アルミナ等の無機粒子を敷き詰めた空隙層が存在するが、本実施形態においては浸透層10は、空隙層である。より具体的に空隙層とは、「水溶性または親水性ポリマーを主成分とするインク吸収層ではない層であって、無機粒子が充填され無機粒子間または無機粒子に設けられた孔の空隙に液体が浸透するよう構成された層」のことを示す。浸透層10の表面の少なくとも一部は、後述する顔料層30の表面を平坦とするために十分な平坦性を有する。
【0038】
浸透層10の厚みは、例えば、5μm以上50μm以下とすることができる。浸透層10の大きさ(面積)は、特に限定されない。浸透層10は、例えば、一般的な用紙サイズ(A4等)の大きさの単票であってもよいし、連続紙やロールのような長尺物であってもよい。浸透層10は、十分な機械的強度を有する場合には単独であってもよいが、必要に応じて適宜な基材12に対して形成されていてもよい。図1ないし図3、および図5、図7に示す例では、浸透層10は、基材12の表面に形成され、基材12によって支持されている。これにより、浸透層10の取り扱いを容易化されている。このような基材12の形状としては、例えばシート状、フィルム状などとすることができる。基材12としては、例えば、紙、プラスチックフィルムなどが挙げられる。基材12の厚みおよび大きさについては、特に限定されない。基材12を用いる場合には、浸透層10は、基材12の全面に形成されていてもよいし、基材12の一部に形成されていてもよい。
【0039】
浸透層10の空隙層を形成する無機粒子の体積基準の平均粒子径(以下、平均粒子径とする)は、3nm以上100nm以下であることが好ましい。このようにすれば、浸透層10の表面の平坦度が高いため、本実施形態の記録物を用いて転写先の媒体(例えば、記録媒体200)上に形成される画像に、良好な光沢やつやを付与することができる。また、転写先の媒体上の画像に、マット調の良好な光沢を付与する場合には、浸透層10の無機粒子の平均粒径を大きくしてもよく、その場合には、例えば、浸透層10の無機粒子の平均粒径は、100nmを超え300nm以下とすることができる。
【0040】
浸透層10は、後述するインク20に含有される分散媒21の少なくとも一部が浸透している。本明細書の「2.画像形成方法」の項で述べるが、浸透層10は、インク20に含有される顔料22をほとんど受容しないか、わずかに受容する程度の平均開口径を有する空隙層を含んで形成されている。浸透層10は、このような性質を有するため、インク20が浸透層10に塗布されたときに、分散媒21が主に浸透層10に浸透し、浸透層10の表面にインク20に含有される顔料22が濃化された顔料層30を形成するという機能を有している。
【0041】
また、浸透層10の機能の一つとしては、顔料層30の浸透層10と接する面の平坦度を制御することが挙げられる。すなわち、浸透層10は、表面の平坦度が制御された濾紙に類似した機能を有する。これにより、顔料層30の浸透層10と接する面の平坦度が、浸透層10の表面の平坦度に基づいて制御される。そして、顔料層30と浸透層10とが剥離されて顔料層30が転写先の媒体に転写されたときに、顔料層30の表面に所望の光沢やつやを発現させることができる。
【0042】
例えば、インク20に含有される顔料22が、光輝性を呈するものである場合には、浸透層20の表面が平坦であるほど、得られる画像の鏡面光沢度(例えば、日本工業規格(JIS)Z8741を参照。)が高まる。またこの場合、例えば、浸透層20の表面が粗くなるほど、得られる画像の鏡面光沢度が小さくなり、マット調の光輝性を得ることができる。例えば、インク20に含有される顔料22が光輝性を呈するものである場合に、顔料層30によって転写先の媒体に形成される画像に良好な光輝性を付与することのできる浸透層10の無機粒子の平均粒子径は、3nm以上、300nm以下であることが好ましい。
【0043】
また、顔料の平均粒子径は特に限定されないが、吐出ヘッドで吐出する(インクジェット法により形成する)ことを考慮して3nm以上200nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上80nm以下が好ましい。本願発明においての浸透層10は、分散媒が浸透し濃化された顔料層30を形成し、この密に配列された顔料層30により良好なツヤや光沢が表現可能になる。さらに、顔料が光輝性を呈するものである場合には、顔料層30は高い光沢度を有するには非常に厳密な平滑性を要求されるので密に顔料を並べるためにも浸透層10は好ましい。顔料が光輝性を呈するものである場合には、平均粒子径が上述の範囲に入ることで、リーフ形状の光輝性の顔料とは異なり、一層厳密な配列が要求される顔料であるので、浸透層10は好ましく機能する。
【0044】
浸透層10の材質としては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニアおよび酸化亜鉛などの金属酸化物、珪酸アルミニウムなどの金属珪酸塩、炭酸マグネシウムなどの金属炭酸塩、タルクおよび各種クレーなどの粘土鉱物等が挙げられる。また、浸透層10の材質には必要に応じて、結着剤が含まれてもよい。結着剤としては、例えばポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体等のビニルピロリドン系樹脂;ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等の、ポリビニルアルコール系樹脂;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロール系樹脂;ポリビニルアセタール、ポリウレタン、カルボキシメチルセルロース、ポリエステル、ポリアクリル酸またはそのエステル、ポリアクリルアミド、メラミン樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、あるいはこれらの変性物等の合成樹脂や、アルブミン、ゼラチン、カゼイン、デンプン、カチオン化デンプン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂またはその変性体から選択される少なくとも一種が挙げられる。
【0045】
また、基材12を用いる場合には、浸透層10は、基材12に塗工するなどして形成してもよい。その場合には、例えば、プレス加工等により、所望の表面形状を形成することができる。また、基材12に浸透層10が形成された市販品を入手して用いてもよい。
【0046】
基材12の材質としては、特に限定されないが、例えば、各種の紙、布、フィルム、シートなどが挙げられる。基材12に浸透層10が形成された市販品の例としては、例えば、コート紙、アート紙、キャストコート紙等の表面加工紙、および塩化ビニルシートやPETフィルム等のプラスチックフィルムなど表面に、インク受容層が形成されたものを挙げることができる。
【0047】
コート紙の例としては、例えば、上質紙または中質紙をベースに少なくとも片面に7g/m2ないし20g/m2の浸透層30を塗布したものを挙げることができる。これらは、上質コート紙または中質コート紙などと呼ばれることがある。また、コート紙の種類としては、浸透層30の塗工量の小さい(例えば、片面あたり7g/m2程度)軽量コート紙やマット調のマットコート紙、ミラーコート紙などを挙げることができる。
【0048】
アート紙の例としては、例えば、上質紙に浸透層30が片面あたり20g/m2程度塗工され、ロール等によって、圧力が加えられ表面が滑らかになっている紙を挙げることができる。アート紙には、つや消しアート紙、上質アート紙、並アート紙などが含まれる。キャストコート紙の例としては、例えば、上質紙に浸透層30が片面あたり少なくとも22g/m2塗工され、ロール等によって、加圧され表面が滑らかになっているものを挙げることができる。
【0049】
基材12に浸透層10が形成された具体的な市販品としては、パールコート紙(三菱製紙株式会社製)や、オーロラコート紙(日本製紙株式会社製)、写真用紙クリスピア(セイコーエプソン株式会社製)、写真用紙<光沢>(セイコーエプソン株式会社製)、写真用紙エントリー(セイコーエプソン株式会社製)、フォト光沢紙(セイコーエプソン株式会社製)などがある。
【0050】
1.2.顔料層
顔料層30は、浸透層10に対して形成される。顔料層30は、顔料22を含有するインク20を付着させ、インク20の分散媒21の少なくとも一部を浸透層10に浸透させて、浸透層10に対して形成される。顔料層30の平面的な形状および厚みは、特に限定されない。顔料層30は、浸透層10の全面に形成されてもよいし、浸透層10の一部に形成されてもよい。顔料層30は、記録物100から転写先の媒体(例えば、記録媒体200)へ転写されたときに、転写先の媒体上における画像となる。
【0051】
インク20の詳細は後述するが、インク20には、少なくとも顔料22および顔料22の分散媒21(水、有機溶剤、添加剤等)が含有されている。したがって、インク20が浸透層10に塗布されると、上述した浸透層10の機能により、分散媒21の少なくとも一部が浸透層10に浸透し、浸透層10の表面に、顔料22が濃化した領域が形成される。これにより、浸透層10の表面に、インク20における顔料22の含有量よりも高い含有量となった顔料層30が形成される。すなわち、顔料層30は、浸透層10がインク20の分散媒21を吸収するとともに、浸透層10にインク20の顔料22がほとんどまたは全く受容されないことにより形成される。
【0052】
顔料層30は、浸透層10に対して形成されるため、浸透層10の表面の平坦度に対応する平坦度を有する。したがって、顔料層30の表面の平坦度が制御され顔料層30の表面(浸透層10と接している面)に所望の光沢やつやを付与することができる。特に、顔料層30に含有される顔料22が、光輝性を呈しうる顔料(例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金の粉体)である場合には、所望の光輝性を呈する画像を形成することができる。顔料層30の材質は、インク20に分散された顔料22を含むが、顔料22以外の成分(例えば、分散媒21、添加剤など)を含んでいてもよい。
【0053】
1.3.接着層
接着層40は、少なくとも顔料層30に対して形成される。接着層40は、図2に示すように、顔料層30の上の他、浸透層10に対して形成されてもよい。接着層40の厚みは、特に限定されないが、例えば0.2μm以上5μm以下とすることができる。接着層40の厚みは、顔料層30の転写先である媒体(例えば、記録媒体200)の性質に応じて適宜設定することができる。例えば、転写先の媒体の表面の凹凸が大きい場合には、その凹凸の影響が顔料層30の表面(転写前に浸透層10に接していた面)に生じないように接着層40の厚みを適宜設定することができる。また、転写先の媒体が浸透性を有する場合には、その浸透性を考慮した厚みとすることができる(図5参照)。
【0054】
接着層40は、接着性を有する。ここで、接着性とは、顔料層30と転写先の媒体とを、接着する性質のことをいう。接着性は、接着層40が形成されたそのままの状態で発現されていてもよいし、接着層40に、例えば、圧力、温度(熱)および放射線(光等)の少なくとも一種の刺激が印加されたときに発現されてもよい。
【0055】
接着層40の機能の一つとしては、顔料層30と、転写先の媒体とを接着することが挙げられる。これにより、本実施形態の記録物100が有する顔料層30を、転写先の媒体に転写させることができる。
【0056】
接着層40が有する接着性の程度は、浸透層10と顔料層30との間の接着力よりも、接着層40を介した顔料層30と転写先の媒体(例えば、記録媒体200)との間の接着力のほうが大きければ十分である。また、図2に示す例のように、浸透層10に対して接着層40が形成された場合においても、浸透層10と顔料層30との間の接着力よりも、接着層40を介した顔料層30と転写先の媒体との間の接着力のほうが大きければ十分である。すなわち、図2の例の場合、顔料層30を転写先の媒体に転写した後に、浸透層10の上の接着層40は、浸透層10側に残存してもよく、転写先の媒体側に転写されてもよい。
【0057】
接着層40の材質としては、アクリル系、ウレタン系、塩化ビニル系、酢酸ビニル系、などの接着剤に汎用されるモノマー、オリゴマーおよび樹脂類などを例示できる。この場合、必要に応じて重合開始剤、反応助剤、充填剤等の添加物が含有されてもよい。また、接着層40の材質の例としては、ポリオレフィン類、ポリアミド類、およびその変性体などの熱可塑性樹脂を挙げることができる。この場合、必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填剤等の添加物が含有されてもよい。また、接着層40の材質としては、ロジン、糊化デンプン、ニカワ、各種の糖類等の天然樹脂またはその変性体などの粘着性を有する物質を例示することができる。また、接着層40の材質としては、感圧型の接着剤であってもよい。感圧型の接着剤としては、例えば、接着剤を微小なカプセルに封入した構造を有するものが挙げられる。接着層40の材質は、上記例示した物質の2種以上の混合物であってもよい。また、接着層40に、顔料層30の膜強度を高める機能をもたせることもでき、その場合には、接着層40の材質には、顔料22の結着剤となる化合物を含有させてもよい。このような顔料22の結着剤としての作用を発揮しうる化合物としては、例えば、スチレンブタジエン系樹脂、およびセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、並びにその誘導体などが挙げられる。さらに、接着層40は、染料および顔料等の各種の色材によって着色されていてもよい。
【0058】
1.4.作用効果等
本実施形態の記録物100によれば、転写先の媒体の種類に依存することなく、該媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。すなわち、本実施形態の記録物100は、浸透層10の表面の平坦度に対応する表面を有する顔料層30を、接着層40によって、転写先の媒体に接着させ転写することができる。これにより、転写先の媒体に光沢またはつやの良好な画像を容易に形成することができる。
【0059】
従来のスクリーン印刷およびインクジェット印刷などでは、画像の表面の平坦度の制御は困難であった。すなわち、光沢を呈しうるインク等を用いて印刷しても、表面の平坦度が確保できず、必要とする光沢やつやを有する画像が得られない場合があった。そのため、従来は例えば、光沢やつやを有する画像を記録媒体に記録する場合には記録媒体の種類が制限され、場合によっては画像の表面を平坦化する工程等を付加する必要があった。
【0060】
これに対して、本実施形態の記録物によれば、転写先の媒体の種類(性質)によらず、表面の平坦な、光沢やつやを呈する画像を該媒体に極めて容易に形成することができる。特に、転写先の媒体が普通紙、フィルム等である場合には、本実施形態の記録物の効果は顕著となり、従来の方法では、光沢やつやを呈する画像を形成することが容易でなかった普通紙やフィルム等の媒体に対しても、極めて容易に光沢やつやを呈する画像を記録することができる。
【0061】
なお、記録媒体200は、離型作用を有する表面を備えていてもよい。すなわち、記録媒体200は、転写先となる媒体に限定されない。この場合も記録媒体200は、接着層40により顔料層30に接着されているが、当該接着の接着力は、浸透層10および顔料層30の間の接着力よりも小さい。したがって、記録媒体200が離型作用を有する場合には、記録物100は、記録媒体200と接着層40との界面を任意のタイミングで剥離することができる。そして、記録媒体200が剥がされることによって現れた接着層40によって、他の転写先の媒体に、顔料層30を転写させることができる。このような態様の記録物100によれば、搬送等によって生じる擦過痕を抑制することができるとともに、ユーザーが所望する任意の時点で、所望の転写先に接触させて浸透層10と顔料層30との間を剥離して転写することができるため、望むタイミングで、光沢やつやが良好な画像を所望の転写先に形成することができる。
【0062】
1.5.変形例
図3および図4は、本実施形態の記録物110の断面の模式図である。図5および図6は、本実施形態の記録物120の断面の模式図である。
【0063】
変形例の記録物110は、上述の記録物100の接着層40に対して、記録媒体200が配置されている。そして、顔料層30と記録媒体200とが、接着層40によって接着されている。
【0064】
記録媒体200は、特に限定されない。記録媒体200としては、例えば、各種の紙、布、フィルム、シートなどが挙げられる。より具体的には、日本工業規格JIS−P0001に記載されている紙類、JIS−L0206に記載されている織物類、JIS−L0222に記載されている不織布類、および、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリジアセテート、トリアセテート、ポリイミド、木材、金属、セラミックス、ガラスなどの材質のフィルム類、シート類が挙げられる。また記録媒体200としては、コート紙やアート紙等の塗工紙であってもよい。
【0065】
記録物110は、上記実施形態の記録物100と記録媒体200とが一体となった構造を有する。図3および図7に例示した記録物110の浸透層10は、基材12に形成されている。記録物110は、浸透層10と顔料層30との間を容易に剥離されることができる。図5および図6に示すように、記録物110の浸透層10および顔料層30の界面が剥離されると、記録媒体200に対して、接着層40および顔料層30が順次積層された記録物120を得ることができる。記録物120には、平坦度が制御された表面(接着層40とは反対側の面)を有する顔料層30が形成されており、顔料層30によって形成された画像は、光沢やつやの良好な画像となる。
【0066】
また、図3に示す記録物110の例では、顔料層30と接着層40とが同じ平面形状を有している。一方、図4に示す記録物110の例では、顔料層30よりも平面形状の大きい接着層40が形成されている。図6に示すように、顔料層30よりも平面形状の大きい接着層40が形成されている場合には、例えば、顔料層30を接着する接着層40の部分だけを記録媒体200に転写することもできる。また、図示しないが、顔料層30よりも平面形状の大きい接着層40が形成されている場合には、顔料層30および接着層40を記録媒体200に転写してもよい。
【0067】
図7は、他の変形例にかかる記録物111の断面の模式図である。図8は、他の変形例にかかる記録物121の断面の模式図である。
【0068】
変形例の記録物111は、接着層42が記録媒体200に対して形成されている点で、上述の記録物110と異なる。記録物111は、浸透層10に顔料層30を形成した後、顔料層30に対して、接着層40を形成していない。すなわち、転写される媒体側(記録媒体200側)に接着層42が形成され、当該接着層42によって、記録媒体200および顔料層30が接着されている。
【0069】
他の変形例の記録物121は、図8に示すように、顔料層30の表面と、接着層40の表面とが共通する平面となっている。記録物121は、例えば、図4に示した記録物110、または、図7に示した記録物111に対して、浸透層10および記録媒体200とを押しつけるように圧力、熱を印加することにより、接着層40または接着層42を変形させて形成することができる。
【0070】
以上のような変形例にかかる記録物110または記録物111によれば、記録媒体200に良好な光沢やつやを有する画像が形成された記録物120または記録物121を、容易に搬送することができる。また、変形例にかかる記録物110または記録物111によれば、記録物120または記録物121に形成された画像の表面が浸透層によって保護されるため、搬送等によって生じる擦過痕を抑制することができる。さらに、記録物110または記録物111によれば、ユーザーが所望する任意の時点で、浸透層10と顔料層30との間を剥離することができるため、望むタイミングで、光沢やつやの良好な画像が形成された記録物120または記録物121を得ることができる。
【0071】
2.画像形成方法
図9ないし図12は、それぞれ本発明の一実施形態にかかる画像形成方法の工程を模式的に示す図である。
【0072】
本実施形態にかかる画像形成方法は、顔料層30を形成する工程と、接着層40を形成する工程と、記録媒体200と顔料層30とを接着する工程と、を含む。
【0073】
2.1.顔料層を形成する工程
図9ないし図11は、顔料層30を形成する工程を模式的に示す図である。
【0074】
2.1.1.顔料層の形成
まず、浸透層10を準備する。図9に示すように、浸透層10は、基材12に形成されていてもよい。次いで、図10に示すように、インク20を浸透層10に付着させる。浸透層10にインク20を付着させる方法としては、特に限定されず、インクジェット法、ディップ法(刷毛、スキージ等による塗布を含む)、バーコート法、孔版印刷法(スクリーン印刷法)、凸版印刷法および凹版印刷法などが挙げられる。これらの方法のうち、インクジェット法は、版を準備する等の工程が不要で、しかも所望の画像を容易に形成することができるため、インク20の無駄を抑えることができる点でより好ましい。
【0075】
インク20が浸透層10に付着されると、図11に示すように、インク20の分散媒21の少なくとも一部が浸透層10に浸透する。浸透層10は、既に述べたように、インク20に含有される分散媒21を吸収することができる。また、浸透層10は、インク20に含有される顔料22をほとんど受容しないか、わずかに受容する程度の平均開口径を有するものが選択される。その観点から浸透層10の空隙率は、例えば、40%以上80%以下とすることができる。これにより、浸透層10に付着されたインク20は、浸透層10の表面を境界として浸透層10の内部に分散媒21の少なくとも一部が浸透し、浸透層10の表面よりも上に、顔料22が濃化した状態となる。これにより、浸透層10に対して顔料層30が形成される。
【0076】
また、本工程でインク20を浸透層10に付着させると、顔料層30の浸透層10と接する面の平坦度が、浸透層10の表面の平坦度に対応する形状となる。すなわち、浸透層10は、表面の平坦度が制御された濾紙に類似した機能を有する。これにより、顔料層30の浸透層10と接する面は、浸透層10の表面の平坦度に基づいて制御され、顔料22が密に配置された状態となる。
【0077】
2.1.2.インク
顔料層30を形成する工程で使用するインク20は、少なくとも顔料22および分散媒21を含有する。
【0078】
2.1.2.1.顔料
顔料22としては、特に制限されず、無機顔料、有機顔料、特色(白色、金属、パール調)顔料など、各種公知のものを挙げることができる。
【0079】
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、16、17、24、34、35、37、53、55、65、73、74、75、81、83、93、94、95、97、98、99、108、109、110、113、114、117、120、124、128、129、133、138、139、147、151、153、154、167、172、180等が挙げられる。
【0080】
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、40、41、42、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、88、112、114、122、123、144、146、149、150、166、168、170、171、175、176、177、178、179、184、185、187、202、209、219、224、245、またはC.I.ピグメントバイオレット19、23、32、33、36、38、43、50等が挙げられる。
【0081】
シアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15:34、16、18、22、25、60、65、66、C.I.バットブルー4、60等が挙げられる。
【0082】
マゼンタ、シアンおよびイエロー以外の着色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン7、10、C.I.ピグメントブラウン3、5、25、26、C.I.ピグメントオレンジ2、5、7、13、14、15、16、24、34、36、38、40、43、63等が挙げられる。
【0083】
ブラック顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄などの粉体が挙げられる。
【0084】
白色顔料としては、酸化チタン、有機または無機材料からなる中空粒子、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの粉体が挙げられる。また、パール顔料としては、粘土鉱物類を挙げることができる。
【0085】
金属顔料としては、媒体に付着されたときに光輝性を呈しうるものであれば特に限定されないが、例えば、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、インジウム、チタン、および銅からなる群より選択される1種または2種以上の合金や、パール光沢を有するパール顔料を挙げることができる。
【0086】
インク20には、上記例示した顔料22の複数種が配合されてもよい。
【0087】
顔料を分散媒に分散させるには、樹脂分散、自己分散、マイクロカプセル型分散などを複数の方法があるが、本実施形態においては、これらのうち自己分散型顔料がより好ましい。自己分散型顔料は、分散性のある官能基を有する顔料であるので、樹脂やポリマーなどを表面に有しない、又は、少ないことにより、記録媒体に対しての密着性が低く転写を行うのに好ましい。
【0088】
顔料22の粒子径は、浸透層10の空隙層の特性などを考慮して、浸透層10の内部に浸透しにくいまたは浸透しないように選択される。顔料22の粒子径としては、例えば、平均粒子径が1nm以上500nm以下の範囲であることが好ましく、より好ましくは3nm以上200nm以下程度であり、最も好ましくは、3nm以上200nm以下程度である。なお、顔料22の平均粒子径は、例えば、光(レーザー)散乱法、窒素吸着法などにより、粒径加積曲線を求めるなどして測定することができる。本実施形態のインク20における顔料22の含有量は、例えば、インク20全体に対して、1質量%以上25質量%以下程度が好ましく、より好ましくは3質量%以上20質量%以下である。
【0089】
2.1.2.2.分散媒
インク20に使用される分散媒21は、特に限定されない。分散媒21としては、例えば、水、有機溶剤、反応性化合物、およびそれらの混合物等が挙げられる。インク20中では、顔料22は分散媒21に分散されている。インク20に、顔料22以外の物質、例えば、顔料22を分散させるための化合物が含有される場合、それらの物質が常温で液体であれば、該化合物も分散媒21の一部と見なすことができる。
【0090】
2.1.2.3.その他の成分
インク20には、各種公知の物質を含有させることができる。インク20には、例えば、界面活性剤、定着剤、湿潤剤、浸透溶剤、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を配合してもよく、さらに、必要に応じてレベリング添加剤、マット剤、顔料層30の膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有させてもよい。また、インク20は、接着層40を形成するための液体が接触したときに、顔料22が再分散しないものがより好ましい。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を含有させることによって、再分散しにくくする効果が得られる場合がある。
【0091】
2.2.接着層を形成する工程
次いで、図1および図2に示したように、少なくとも顔料層30に対して接着層40を形成する。接着層40は、例えば、接着性を有する、または、特定の刺激を受けることで接着性を発揮する化合物、若しくは、該化合物を含有する液体を塗布することにより形成される。
【0092】
接着性を有する化合物は、「1.3.接着層」の項で述べたと同様である。
【0093】
図1の例では、顔料層30の上のみに接着層40が形成されている。図2に示した例のように、浸透層10に対して接着層40が形成される場合には、接着層40の材質は、記録媒体200と浸透層10との剥離が容易となるように選択される。この場合、浸透層10と記録媒体200とを剥離したときに、顔料層30が記録媒体200側へ転写される限り、顔料層30以外の部分に形成された接着層40は、浸透層30および記録媒体200のいずれの側に存在することとなってもよい。
【0094】
接着層40は、各種の手法により形成されることができ、例えば、インクジェット法、ディップ法(刷毛、スキージ等による塗布を含む)、バーコート法、孔版印刷法(スクリーン印刷法)、凸版印刷法および凹版印刷法などにより形成されうる。これらの方法のうち、インクジェット法は、版を準備する等の工程が不要で、しかも所望の画像を容易に形成することができるため、接着層40を形成するための液体の無駄を抑えることができる点で、より好ましい。
【0095】
2.3.記録媒体および顔料層を接着する工程
次に、図12に示すように、接着層40に対して記録媒体200を配置し、記録媒体200と顔料層30とを接着する。本工程は、接着層40の材質に従って、適宜に行われる。例えば、接着層40が常温で十分な接着性を有する場合には、記録媒体200を接着層40に対して配置してわずかな圧力Pが印加するだけで記録媒体200と顔料層30とを接着することができる。この場合、必要に応じて、プレス加工、ローラー圧着等を行ってもよい。また、接着層40が熱によって接着性を発揮する性質を有する場合には、適宜な加熱手段を用いて、記録媒体200および基材12(浸透層10)の少なくとも一方を加熱して行うことができる。さらに、接着層40が圧力によって接着性を呈する場合には、例えば、ローラー圧着、プレス加工や治具等を用いた徒手により圧力Pを印加して行うことができる。また、接着層40が熱によって接着性を発揮する性質を有する場合、本工程は、加熱して行われるが、ローラー圧着やプレス加工を併用してもよい。
【0096】
例えば、接着層40が熱硬化型の化合物を含有する接着剤である場合には、本工程では、接着層40は、接着剤の重合温度(例えば重合開始剤の活性化温度)よりも高い温度となるように加熱されることが好ましい。また、例えば、接着層40が熱可塑性の重合体を含有する接着剤である場合には、本工程では、接着層40は、熱可塑性の重合体のTg(ガラス転移温度)、およびTm(融点)の少なくとも一方の近傍まで加熱されることが好ましく、TgおよびTmの少なくとも一方よりも高い温度に加熱されることがさらに好ましい。
【0097】
2.4.変形例
上記実施形態の画像形成方法において、接着層を形成する工程に代えて、接着性を有する接着層42が形成された記録媒体200を準備する工程としてもよい。
【0098】
上記実施形態の画像形成方法では、転写元(浸透層側)接着層40を形成し、当該接着層40を用いて、顔料層30と記録媒体200とを接着した。しかし、本変形例のように記録媒体200側に接着層が形成されていても同様の結果を得ることができる。
【0099】
本変形例にかかる画像形成方法では、記録媒体200には、接着層42が形成されている。具体的には、上述の記録媒体200の一方の面に、接着層42が形成されている。接着層42は、記録媒体20の全面に形成されていてもよいし、浸透層10に付着された顔料層30の反転像を含む領域の大きさで形成されてもよい。記録媒体20に、浸透層10に付着された顔料層30の反転像と同じ大きさで、接着層42が形成される場合には、インク20および接着層42を形成する液体の使用量を最小に抑えることができる。
【0100】
そして、本変形例においても「2.3.記録媒体および顔料層を接着する工程」と同様にして、記録媒体200と顔料層30とを接着層42によって接着することができる。
【0101】
2.5.作用効果
本実施形態の画像形成方法によれば、例えば、上述した実施形態の記録物を容易に得ることができる。本実施形態の画像形成方法によれば、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0102】
2.6.顔料層を転写する工程
本実施形態の画像形成方法は、顔料層30を、浸透層10から記録媒体200へ転写する工程を含むことができる。
【0103】
顔料層30は、上記実施形態の画像形成方法を経ると、記録媒体200に接着されている。本工程は、例えば、図5、図6および図8に示すように、浸透層10と顔料層30との界面を剥離する工程である。本工程により、顔料層30は、記録媒体200側へ転写され、記録物120または記録物121を得ることができる。
【0104】
本工程の具体的な方法としては、なんら制限なく、例えば、一般的なピーラーなどを用いて行うことができる。また、本工程は、ローラー等を適宜配置して、記録媒体200や浸透層10の搬送とともに適宜に行うことができる。さらに、本工程は、例えば、ユーザーが徒手で行ってもよい。
【0105】
接着層40が熱可塑性の化合物を含む場合には、本工程は、「2.3.記録媒体および顔料層を接着する工程」の後、接着層40が冷却されてから行われることが好ましい。このような場合には、例えば、記録媒体および顔料層を接着する工程の後、冷却工程を設けることができる。冷却工程としては、例えば、冷却期間を設けることや、冷却手段(冷却ローラーなど)を用いて接着層40を冷却することが挙げられる。
【0106】
熱を印加して転写を行う場合には、加熱ローラー、プラテンヒーター、放射熱を発生させる光線等を用いても良いが、例えばアイロンのような熱を発生させる装置を用いて、手動で転写を行っても良い。
【0107】
本実施形態の画像形成方法が、顔料層30を、浸透層10から記録媒体200へ転写する工程を含む場合には、例えば、上述した本実施形態の記録物120および記録物121を極めて容易に得ることができる。そして、記録媒体の種類に依存することなく、該記録媒体200に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0108】
3.画像形成装置
図13は、一実施形態にかかる画像形成装置1000、1100の模式図である。図14は、一実施形態にかかる画像形成装置1200、1300の模式図である。
【0109】
本実施形態の画像形成装置は、第1記録媒体310を搬送する第1搬送手段410と、第2記録媒体320を搬送する第2搬送手段420と、第1インク510を用いて画像を記録する第1記録手段610と、第2インク520を用いて画像を記録する第2記録手段620と、加圧手段700と、を備える。
【0110】
3.1.第1搬送手段および第2搬送手段
第1搬送手段410は、第1記録媒体310を搬送する。第2搬送手段420は、第2記録媒体320を搬送する。
【0111】
本実施形態では、第1記録媒体310は、上記実施形態で説明した浸透層10を有する。また、本実施形態では、第2記録媒体320は、上記実施形態における記録媒体200に対応する。
【0112】
第1搬送手段410は、例えば、ローラー412によって構成されることができる。第1搬送手段410は、複数のローラー412を有してもよい。第1搬送手段410は、図示の例では、第1記録媒体310の搬送される方向において、第1記録手段610より上流側に設けられているが、これに限定されず、第1記録媒体310が搬送できる限り、設けられる位置や個数は任意である。
【0113】
第2搬送手段420は、例えば、ローラー422によって構成されることができる。第2搬送手段420は、複数のローラー422を有してもよい。第2搬送手段420は、図示の例では、第1記録媒体310の搬送される方向において、第2記録手段620より下流側に設けられているが、これに限定されず、第1記録媒体310に対して、第2記録媒体320を積層できるように配置される限り、設けられる位置や個数は任意である。
【0114】
第1搬送手段410および第2搬送手段420は、それぞれ、給紙ロール、給紙トレイ、排紙ロール、排紙トレイ、および各種のプラテンなどを備えてもよく、第1記録媒体310および第2記録媒体320を積層できるように構成される。
【0115】
第1搬送手段410によって搬送される第1記録媒体310は、第1記録手段610によって第1インク510が付着される位置へ搬送される。また、第2搬送手段420によって搬送される第2記録媒体320は、加圧手段700によって第1記録媒体310と第2記録媒体320とが加圧密着できる位置へ搬送される。
【0116】
なお、図13および図14では、第1記録媒体310および第2記録媒体320がいずれも連続紙である場合を例示しているが、第1記録媒体310および第2記録媒体320の少なくとも一方が単票であっても、第1搬送手段410および第2搬送手段420を適宜に構成することで、上記のような記録媒体の搬送を行うことができる。
【0117】
3.2.第1記録手段および第2記録手段
第1記録手段610は、第1記録媒体310に対して、第1インク510を用いて画像を記録する。第2記録手段620は、第1記録媒体310に対して、第2インク520を用いて画像を記録する。
【0118】
第1インク510は、上述の実施形態で説明したインク20に対応する。第2インク520は、上述の実施形態で述べた接着層40を形成するための液体(接着性を有する、または、特定の刺激を受けることで接着性を発揮する化合物、若しくは、該化合物を含有する液体)に対応する。
【0119】
第1記録手段610および第2記録手段620としては、それぞれ、所望の画像が得られるように、例えば、インクジェット法、ディップ法(刷毛、スキージ等による塗布を含む)、孔版印刷法(スクリーン印刷法)、凸版印刷法および凹版印刷法などの方式の記録手段を採用することができる。
【0120】
第1記録手段610は、第1記録媒体310に対して、上記実施形態で述べた顔料層30を形成する。第2記録手段620は、第1記録媒体310に対して、上記実施形態で述べた接着層40を形成する。したがって、第1記録手段610および第2記録手段620は、第1記録手段610によって記録される画像のほうが、第2記録手段620によって記録される画像よりも先に、第1記録媒体310に対して形成されるように配置される。これにより、上記実施形態で述べた記録物100を形成することができる。
【0121】
第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合には、例えば、第1記録手段610および第2記録手段620を、それぞれ個々の記録ヘッドとし、第1記録手段610のほうが、第1記録媒体310の搬送される方向において、第2記録手段620より上流側に配置する態様を例示できる。また、第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合には、例えば、一つの記録ヘッドであっても、異なるノズルから第1インク510および第2インク520を吐出させるようにして、第1インク510のほうが第2インク520よりも先に第1記録媒体310に到達するように吐出タイミングを制御すればよい。このようにすれば、一つの記録ヘッドであっても当該各ノズルのセグメント(ユニット)を、それぞれ第1記録手段610および第2記録手段620と見なすことができる。
【0122】
また、第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合には、第1搬送手段410の第1記録媒体310の搬送量、搬送速度の両者を適宜制御して利用することができ、例えば、シリアル方式、ライン方式の記録を行うこともできる。なお、第1記録手段610および第2記録手段620の位置関係は、第1記録媒体310および第1インク510の性質によって変化させてもよく、例えば、第1記録媒体310上に顔料層30が形成される速度(浸透層10への分散媒21の浸透速度など)によって適宜設計される。
【0123】
第1記録手段610および第2記録手段620に、インクジェット法を採用する場合は、版を準備する等の工程が不要で、しかも所望の画像を容易に形成することができるため、第1インク510および第2インク520の少なくとも一方の無駄を抑えることができる。
【0124】
3.3.加圧手段
加圧手段700は、第1記録媒体310と第2記録媒体320とを密着させる。加圧手段700の構成としては、例えば、加圧ローラー、プレス成形機などを例示することができる。加圧手段700の構成に応じて、上述の各搬送手段による記録媒体の送り速度や送り量を適宜調節することができる。
【0125】
加圧手段700は、第2記録手段620よりも、第1記録媒体310の搬送される方向において下流側に配置される。また、加圧手段700が配置される第1記録媒体310の搬送方向における位置は、例えば、第1記録媒体310上に接着層40が形成される速度(接着層40の乾燥速度など)によって適宜設計される。
【0126】
加圧手段700によって印加される圧力としては、第1記録媒体310と第2記録媒体320とを密着させることができれば十分であるが、例えば、接着層40の種類によって適宜設定できる。例えば、接着層40が、感圧型の接着剤で形成される場合には、加圧手段700によって印加される圧力は、0.01Pa以上10MPa以下とすることができる。
【0127】
加圧手段700は、加熱機構を有してもよい。加熱機構としては、例えば、加圧ローラー、プレス成形機を加熱して温度制御することができるヒーターなどが挙げられる。また、加熱機構を有する加圧手段としては、例えば、一般的なラミネーター装置の要部の構成が挙げられる。
【0128】
3.4.その他の構成
本実施形態の画像形成装置は、各種の構成を適宜組み合わせることができる。
【0129】
例えば、本実施形態の画像形成装置は、剥離手段800を有してもよい。
【0130】
剥離手段800は、加圧手段700よりも第1記録媒体310の搬送方向における下流側に配置することができる。剥離手段800は、ローラーやスキージによって構成され、必要に応じてさらに搬送手段を有してもよい。
【0131】
剥離手段800は、第1記録媒体310および第2記録媒体320を剥離することができ、これにより、第1記録媒体310に記録された顔料層30を第2記録媒体320側へ転写させることができる。
【0132】
3.5.画像形成装置の構成例
本実施形態の画像形成装置の各構成は、目的に応じて自由に配置できる。例えば、図13に示す例(画像記録装置1000、1100)では、第2記録媒体320が、加圧手段700を経た後に屈曲しないように各構成が配置されている。このようにすれば、第2記録媒体320に転写された後の顔料層30が屈曲しないため、例えば顔料層30の剥離やひび割れを抑制することができる。一方、図14に示す例(画像記録装置1200、1300)では、第2記録媒体320が、最初から最後まで屈曲しないように、各構成が配置されている。このようにすれば、第2記録媒体320が屈曲性を有さない場合(ガラスシートやプラスチックシートなど)に適用可能である。
【0133】
また、第1記録手段610および第2記録手段620についても配置は自由である。そのため、例えば、両者がインクジェット方式の記録手段であっても、例えば図14に示すように、第1記録媒体310が、水平に配置されなくてもよく、このような場合であっても、第1記録媒体310に対して第1インク510および第2インク520を付着させて所望の画像を形成することができる。
【0134】
本実施形態の画像形成装置は、所望する記録物に適合するように適宜構成を変化させることができる。例えば、図3、図4、図7に示すような記録物110、記録物111等を形成する場合には、図13および図14に例示した画像形成装置1000、1200に示す構成、すなわち、第1搬送手段410、第2搬送手段420、第1記録手段610、第2記録手段620、および加圧手段700を含む構成とすることができる。また、図5、図6、図8に示すような記録物120、記録物121等を形成する場合には、図13および図14に例示した画像形成装置1100、1300に示す構成、すなわち、第1搬送手段410、第2搬送手段420、第1記録手段610、第2記録手段620、加圧手段700、および剥離手段800を含む構成とすることができる。
【0135】
さらに、本実施形態の画像形成装置は、各構成が独立して制御されても、複数の構成が連動して制御されてもよく、また、一体的な装置であっても、複数の装置の組合せであってもよい。例えば、第1搬送手段410、第1記録手段610および第2記録手段620を、インクジェット記録装置の媒体搬送手段、記録ヘッド600とし、加圧手段700を、ラミネーターの加圧ローラー(第2搬送手段420を兼ねる)とすれば、該インクジェット記録装置と該ラミネーターとを組み合わせて、本実施形態の画像形成装置1000、1200とすることができる。
【0136】
本実施形態の画像形成装置によれば、第2記録媒体320の種類に依存することなく、第2記録媒体320に対して光沢またはつやの良好な画像を、容易に形成することができる。
【0137】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0138】
10…浸透層、12…基材、20…インク、21…分散媒、22…顔料、30…顔料層、40,42…接着層、100,110,111,120,121…記録物、200…記録媒体、P…圧力、310…第1記録媒体、320…第2記録媒体、410…第1搬送手段、420…第2搬送手段、412,422…ローラー、510…第1インク、520…第2インク、600…記録ヘッド、610…第1記録手段、620…第2記録手段、700…加圧手段、800…剥離手段、1000,1100,1200,1300…画像形成装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浸透層と、
前記浸透層に対してインクジェット法により形成された顔料層と、
前記顔料層に対して形成された、接着性を有する接着層と、
を有し、
前記浸透層に、前記顔料層を形成するための顔料を含有するインクの分散媒が浸透している、記録物。
【請求項2】
請求項1において、
さらに、前記接着層に対して記録媒体が配置され、前記接着層により、前記顔料層および前記記録媒体が接着されている、記録物。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記顔料は、光輝性を呈する、記録物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下である、記録物。
【請求項5】
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒の少なくとも一部を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層を形成する工程と、
前記接着層に対して記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程と、
を含む、画像形成方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記接着層を形成する工程は、インクジェット法により行われる、画像形成方法。
【請求項7】
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層を有する記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを前記接着層によって接着する接着工程と、
を含む、画像形成方法。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか一項において、
前記浸透層と前記顔料層とを剥離して、前記顔料層を前記浸透層から前記記録媒体へ転写する工程をさらに有する、画像形成方法。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれか一項において、
前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程は、加熱して行われる、画像形成方法。
【請求項10】
請求項5ないし請求項9のいずれか一項において、
前記顔料は、光輝性を呈する、画像形成方法。
【請求項11】
請求項5ないし請求項10のいずれか一項において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下である、画像形成方法。
【請求項12】
請求項5ないし請求項11のいずれか一項に記載の画像形成方法によって形成され、
前記記録媒体と、前記接着層と、前記顔料層と、を含む、記録物。
【請求項1】
浸透層と、
前記浸透層に対してインクジェット法により形成された顔料層と、
前記顔料層に対して形成された、接着性を有する接着層と、
を有し、
前記浸透層に、前記顔料層を形成するための顔料を含有するインクの分散媒が浸透している、記録物。
【請求項2】
請求項1において、
さらに、前記接着層に対して記録媒体が配置され、前記接着層により、前記顔料層および前記記録媒体が接着されている、記録物。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記顔料は、光輝性を呈する、記録物。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下である、記録物。
【請求項5】
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒の少なくとも一部を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層を形成する工程と、
前記接着層に対して記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程と、
を含む、画像形成方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記接着層を形成する工程は、インクジェット法により行われる、画像形成方法。
【請求項7】
浸透層に顔料を含有するインクをインクジェット法により付着させ、前記インクの分散媒を当該浸透層に浸透させて、当該浸透層に対して顔料層を形成する工程と、
前記顔料層に対して、接着性を有する接着層を有する記録媒体を配置し、前記記録媒体と前記顔料層とを前記接着層によって接着する接着工程と、
を含む、画像形成方法。
【請求項8】
請求項5ないし請求項7のいずれか一項において、
前記浸透層と前記顔料層とを剥離して、前記顔料層を前記浸透層から前記記録媒体へ転写する工程をさらに有する、画像形成方法。
【請求項9】
請求項5ないし請求項8のいずれか一項において、
前記記録媒体と前記顔料層とを接着する工程は、加熱して行われる、画像形成方法。
【請求項10】
請求項5ないし請求項9のいずれか一項において、
前記顔料は、光輝性を呈する、画像形成方法。
【請求項11】
請求項5ないし請求項10のいずれか一項において、
前記顔料は、平均粒子径が3nm以上200nm以下である、画像形成方法。
【請求項12】
請求項5ないし請求項11のいずれか一項に記載の画像形成方法によって形成され、
前記記録媒体と、前記接着層と、前記顔料層と、を含む、記録物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−76390(P2012−76390A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224640(P2010−224640)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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