説明

記録紙のオートローディング方法およびプリンタ

【課題】ロール紙をセットするための開閉カバーを開閉することなく、ロール紙とは異なる記録紙を紙搬送路上にセットする記録紙のオートローディング方法を提案すること。
【解決手段】プリンタ本体2に記録紙挿入口11と、この記録紙挿入口11から共通紙搬送路Bに繋がるファンフォールド紙搬送路Cを形成しておいて、記録紙挿入口11にファンフォールド紙10の先端が挿入されると、共通紙搬送路Bの上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達したか否かを監視する。上流側検出位置Dにその先端が到達すると、所定時間の経過後に送り出しローラ21による搬送動作を開始する。さらに下流側検出位置Eにファンフォールド紙10の先端が到達したか否かを監視しており、その先端が到達したことが検出されると、送り出しローラ21による搬送動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロール紙やファンフォールド紙などの複数の用紙種類の長尺状の記録紙を択一的に使用することができるプリンタに関する。より詳細には、ロール紙とは異なる用紙種類の長尺状の記録紙を、印刷位置を通過する所定の状態にセットすることができる記録紙のオートローディング方法、および、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
ロール紙を収納するためのロール紙収納部から印刷ヘッドによる印刷位置を経由するように延びている紙搬送路と、この紙搬送路に沿ってロール紙から繰り出される長尺状の記録紙を搬送する搬送手段とを備えているロール紙プリンタは、例えば、特許文献1に記載されている。同文献のロール紙プリンタでは、筐体の内部にロール紙収納部が構成されており、筐体の前面に形成されているロール紙収納部の開閉カバーを開くと開動作に連動して紙搬送路が開放状態になり、開閉カバーを閉じると閉動作に連動して紙搬送路が形成されようになっている。
【0003】
新しいロール紙を装填する場合には、記録紙を引き出した状態のロール紙を、開閉カバーを開けることにより開放状態になった空間を介してロール紙収納部に投入する。しかる後に開閉カバーを閉じると、引き出されている記録紙は紙搬送路上で印刷位置を通過した状態にセットされる。記録紙がこの状態にセットされると、記録紙上に予め設定されている印刷開始目標位置を紙搬送路上の印刷位置に位置決めする頭出しが可能になるので、印刷を始めることができる。
【0004】
ここで、ロール紙やファンフォールド紙などの複数の用紙種類の長尺状の記録紙を択一的に使用することができるプリンタは、例えば、特許文献2に記載されている。同文献のプリンタでは、紙搬送路の上流端に紙挿入口が形成されており、ロール紙の記録紙またはファンフォールド紙は、この紙挿入口から紙搬送路に挿入されている。
【特許文献1】特開2008−127108号公報
【特許文献2】特開2000−296952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロール紙収納部を開閉する開閉カバーの開閉動作に連動して紙搬送路の状態が変位する構成のロール紙プリンタにおいてファンフォールド紙を使用可能にする場合には、このロール紙プリンタの筐体の外部からファンフォールド紙を紙搬送路上に導くための記録紙挿入路を形成することが考えられる。また、ファンフォールド紙を紙搬送路上で印刷位置を通過した状態にセットするためには、開閉カバーを開いて紙搬送路を開放状態にしておいて、記録紙挿入路を介して導かれたファンフォールド紙を開放状態になった空間内に引き出し、しかる後に開閉カバーを閉じるようにすることが考えられる。
【0006】
しかし、上記の構成を備えているロール紙プリンタでは、ファンフォールド紙をセットするために開閉カバーを開くと、開閉カバーの開動作に連動してロール紙収納部から印刷ヘッドに至る紙搬送路の全部分が開放状態になってしまう。この結果、開閉カバーが閉じられて紙搬送路が形成されるときに、開放状態になった空間内に引き出されているファンフォールド紙の一部分が記録紙挿入路と紙搬送路との合流地点よりもロール紙収納部の側に挟み込まれてジャミング状態に陥ってしまい、セットすることができないという問題がある。
【0007】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、ロール紙収納部を開閉する開閉カバーの開閉動作に連動して紙搬送路の状態が変位する構成のロール紙プリンタにおいて、開閉カバーを開閉して紙搬送路の状態を変位させることなく、ロール紙とは異なる用紙種類の長尺状の記録紙を紙搬送路上で印刷位置を通過した状態にセットすることができる記録紙のオートローディング方法を提案することにある。また、このようなオートローディング方法により長尺状の記録紙をオートローディングするプリンタを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、印刷ヘッドによる印刷位置を経由して延びている第1紙搬送路と、ロール紙収納部に収納されているロール紙から繰り出される長尺状の第1記録紙を当該ロール紙収納部から前記第1紙搬送路まで導くための第2紙搬送路と、前記第1紙搬送路に到達している前記第1記録紙を当該第1紙搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記ロール紙収納部を開閉するための開閉カバーとを備えており、前記開閉カバーの開動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が開放状態になり、前記開閉カバーの閉動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が形成されるプリンタにおける前記ロール紙とは異なる用紙種類の長尺状の第2記録紙をオートローディングするための記録紙のオートローディング方法であって、
前記第2紙搬送路から外れた位置に記録紙挿入口を形成し、
前記記録紙挿入口に手差し挿入される前記第2記録紙を前記第1紙搬送路まで導くための第3紙搬送路を形成し、
前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入されたか否かを監視し、
前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入された場合には、前記第1紙搬送路の前記印刷位置よりも上流の上流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達したか否かを監視し、
前記上流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達した場合には、前記搬送手段による搬送動作を開始し、
前記第1紙搬送路の前記印刷位置よりも下流の下流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達したか否かを監視し、
前記下流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達した場合には、前記搬送手段による搬送動作を停止することを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、印刷ヘッドによる印刷位置を経由して延びている第1紙搬送路にロール紙から繰り出されている記録紙を導くための第2紙搬送路とは別の位置に、記録紙挿入口と、この記録紙挿入口に手差し挿入される第2記録紙を第1紙搬送路まで導くための第3紙搬送路を形成しておいて、記録紙挿入口から第2記録紙の先端が挿入されると、この第2記録紙の先端が第1紙搬送路の印刷位置よりも上流の上流側検出位置に到達したか否かを検出し、到達していれば搬送手段による搬送動作を開始する。そして、この搬送動作によって第1紙搬送路の印刷位置よりも下流の下流側検出位置に第2記録紙の先端が到達すると、搬送手段による搬送動作を停止する。記録紙挿入口から手差し挿入されている第2記録紙は、その先端が第1紙搬送路に到達すると搬送手段によって印刷位置よりも下流まで搬送されるので、開閉カバーを開いて第1紙搬送路および第2紙搬送路の状態を変位させることなく、第2記録紙を紙搬送路上で印刷位置を通過した状態にセットできる。従って、第2記録紙上の印刷開始目標位置と印刷位置とを位置決めする頭出しを行って、印刷を始めることができる。また、開閉カバーを開閉して第1紙搬送路および第2紙搬送路の状態を変位させることがないので、開閉カバーを閉じて第1紙搬送路および第2紙搬送路が形成されるときに、開放状態になった空間内に引き出された第2記録紙の一部分が第2紙搬送路と第3紙搬送路との合流地点よりも第2紙搬送路におけるロール紙収納部の側に挟み込まれてジャミング状態に陥ってしまい、第2記録紙を第1紙搬送路上にセットすることができないという問題の発生を回避できる。
【0010】
本発明において、第1紙搬送路に第2記録紙が到達したことをフォトセンサで検出する場合に、このフォトセンサのセンサ寿命を延ばすためには、前記第2記録紙の先端が到達したか否かを監視するためのフォトセンサを省電力の待機状態にして前記上流側検出位置に配置し、前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入されると、フォトセンサを前記待機状態から動作状態に復帰させることが望ましい。
【0011】
本発明において、搬送手段が搬送動作を開始しても第2記録紙を搬送できないことを回避するためには、前記上流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達すると、所定時間経過後に前記搬送手段の搬送動作を開始することが望ましい。上流側検出位置に第2記録紙の先端が到達して直ぐに搬送手段による搬送動作を開始すると、搬送手段を構成している紙送りモータなどの駆動音などが発生するので、記録紙挿入口に第2記録紙を手差し挿入しているユーザはこの駆動音に驚いて第2記録紙から手を離し、その挿入を止めてしまうことがある。この場合、第1紙搬送路まで到達していた第2記録紙の先端が第1紙搬送路から第3紙搬送路の側に後退したり、第2記録紙の先端が第1紙搬送路内に十分に進入していなかったりして、搬送手段が搬送動作を開始しても第2記録紙を搬送できないことがある。これに対して、上流側検出位置に第2記録紙の先端が到達してから所定時間経過した後に搬送動作を開始すれば、駆動音などが発生したときには、ユーザによる手差し挿入によって第2記録紙の先端は第1紙搬送路内に十分に進入した状態になっている。従って、搬送手段が搬送動作を開始すると第2記録紙は確実に搬送される。
【0012】
本発明において、前記記録紙挿入口を前記第2記録紙の終端が通過したか否かを監視し、前記記録紙挿入口を前記第2記録紙の終端が通過すると、前記印刷位置と前記上流側検出位置との間に配置されている前記搬送手段の送り出しローラを回転させて搬送動作を開始し、前記上流側検出位置を前記第2記録紙の終端が通過したか否かを監視し、前記上流側検出位置を前記第2記録紙の終端が通過すると、少なくとも、前記上流側検出位置から前記送り出しローラまでの距離だけ前記第2記録紙を搬送するために必要な回転量だけ当該送り出しローラを回転させて、前記第2記録紙の先端を前記第1紙搬送路の下流端開口から突出させた状態にすることが望ましい。すなわち、記録紙挿入口を第2記録紙の終端が通過した時点で、送り出しローラを駆動して、第2記録紙の先端を第1紙搬送路の下流端開口から突出させるようにすれば、切断などによって用紙長が短くなった第2記録紙を筐体の内部の第1紙搬送路上に残さずに、取り出すことができる。
【0013】
本発明において、前記第2記録紙は、ファンフォールド紙とすることができる。
【0014】
次に本発明は、上記の記録紙のオートローディング方法によって、ロール紙とは異なる用紙種類の長尺状の前記第2記録紙をオートローディングすることを特徴とするプリンタとすることができる。
【0015】
また、本発明は、第1記録紙と第2記録紙を搬送する少なくとも紙搬送路の一部を共通とするプリンタであって、
前記第1記録紙と前記第2記録紙の有無を検出する第2検出器と、当該第2検出器の下流側で前記第1記録紙と前記第2記録紙の有無を検出する第3検出器とを配置した第1紙搬送路と、
前記第1記録紙をロール紙収納部から前記第1搬送路まで導く第2紙搬送路と、
前記第2記録紙を記録紙挿入口から前記第1搬送路まで導くもので、前記記録紙挿入口近傍に前記第2記録紙の有無を検出する第1検出器を配置した第3紙搬送路と、
前記第1紙搬送路に到達している前記第1記録紙と前記第2記録紙を搬送する搬送手段と、
前記ロール紙収納部を開閉するための開閉カバーとを備え、
前記開閉カバーの開動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が開放状態になり、前記開閉カバーの閉動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が形成されることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、記録紙挿入口から手差し挿入された第2記録紙は、その先端が第1紙搬送路に到達すると搬送手段によって下流側に搬送されるので、開閉カバーを開いて第1紙搬送路および第2紙搬送路の状態を変位させることなく、第2記録紙をセットできる。
【0017】
また、本発明は、上述のプリンタにおける記録紙のオートローディング方法であって、 前記第1検出器が前記第2記録紙を検出したことに基づき、前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入されたと判定し、前記第2検出器が前記第2記録紙を検出したことに基づき、前記搬送手段による搬送動作を開始し、前記第3検出器が前記第2記録紙を検出したことに基づき、前記搬送手段による搬送動作を停止することが望ましい。このようにすれば、開閉カバーを開閉して第1紙搬送路および第2紙搬送路の状態を変位させることがないので、開閉カバーを閉じて第1紙搬送路および第2紙搬送路が形成されるときに、開放状態になった空間内に引き出された第2記録紙の一部分が第2紙搬送路と第3紙搬送路との合流地点よりも第2紙搬送路におけるロール紙収納部の側に挟み込まれてジャミング状態に陥ってしまい、第2記録紙を第1紙搬送路上にセットすることができないという問題の発生を回避できる。
【0018】
また、本発明の記録紙のオートローディング方法において、前記第2検出器の検出結果に基づいて、前記搬送手段による搬送時、前記第2記録紙の位置を検出しており、前記搬送手段は、前記第2記録紙の搬送動作を停止した後、前記第2検出器による前記第2記録紙の位置に基づき、所定の位置まで前記第2記録紙を逆送りすることが望ましい。このようにすれば、第2記録紙上を印刷ヘッド位置など所定の位置に位置決めする頭出しを行って、印刷を始めることができる。
【0019】
また、本発明の記録紙のオートローディング方法において、前記搬送手段は、前記第2記録紙を搬送中に前記第1検出器が前記第2記録紙を検出できなくなったとき、さらに所定量前記第2記録紙を搬送することが望ましい。記録紙挿入口を第2記録紙の終端が通過した時点より、さらに搬送して、第2記録紙の先端を第1紙搬送路の下流端開口から突出させるようにすれば、切断などによって用紙長が短くなった第2記録紙を筐体の内部の第1紙搬送路上に残さずに、取り出すことができる。
【0020】
また、本発明は、上述のプリンタにおける記録紙のオートローディング方法であって、 前記第1検出器が前記第2記録紙を検出せず、前記第2検出器が前記第1記録紙を検出したことに基づき、前記第1紙搬送路には前記第1記録紙があると判定して、前記搬送手段による搬送動作を開始し、前記第3検出器が前記第1記録紙を検出したことに基づき、前記搬送手段による搬送動作を停止することが望ましい。このようにすれば、ロール紙供給部から引き出された第1記録紙は、第1紙搬送路の所定の位置にセットできる。
【0021】
この場合には、前記第2検出器の検出結果に基づいて、前記搬送手段による搬送時、前記第1記録紙の位置を検出しており、前記搬送手段は、前記第1記録紙の搬送動作を停止した後、前記第2検出器による前記第1記録紙の位置に基づき、所定の位置まで前記第1記録紙を逆送りすることが望ましい。このようにすれば、第1記録紙上を印刷ヘッド位置など所定の位置に位置決めする頭出しを行って、印刷を始めることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、印刷ヘッドによる印刷位置を経由して延びている第1紙搬送路にロール紙から繰り出されている記録紙を導くための第2紙搬送路とは別の位置に、記録紙挿入口と、この記録紙挿入口に手差し挿入される第2記録紙を第1紙搬送路まで導くための第3紙搬送路を形成しておいて、記録紙挿入口から第2記録紙の先端が挿入されると、この第2記録紙の先端が第1紙搬送路の印刷位置よりも上流の上流側検出位置に到達したか否かを検出し、到達していれば搬送手段による搬送動作を開始する。そして、この搬送動作によって第1紙搬送路の印刷位置よりも下流の下流側検出位置に第2記録紙の先端が到達すると、搬送手段による搬送動作を停止する。記録紙挿入口から手差し挿入されている第2記録紙は、その先端が第1紙搬送路に到達すると搬送手段によって印刷位置よりも下流まで搬送されるので、開閉カバーを開いて第1紙搬送路および第2紙搬送路の状態を変位させることなく、第2記録紙を紙搬送路上で印刷位置を通過した状態にセットできる。従って、第2記録紙上の印刷開始目標位置と印刷位置とを位置決めする頭出しを行って、印刷を始めることができる。また、開閉カバーを開閉して第1紙搬送路および第2紙搬送路の状態を変位させることがないので、開閉カバーを閉じて第1紙搬送路および第2紙搬送路が形成されるときに、開放状態になった空間内に引き出された第2記録紙の一部分が第2紙搬送路と第3紙搬送路との合流地点よりも第2紙搬送路におけるロール紙収納部の側に挟み込まれてジャミング状態に陥ってしまい、第2記録紙を第1紙搬送路上にセットすることができないという問題の発生を回避できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したプリンタの実施の形態を説明する。
【0024】
(全体構成)
図1は本発明の実施の形態に係るプリンタの外観斜視図であり、図2はその開閉カバーを全開にした状態の外観斜視図である。
【0025】
プリンタ1は全体としてほぼ直方体形状をしたプリンタ本体2と、このプリンタ本体2の前面に取り付けた開閉カバー3とを有している。プリンタ本体2の外装ケース2aの前面には所定幅の記録紙排出口4が形成されている。記録紙排出口4の下側には排紙ガイド5が前方に突出しており、当該排紙ガイド5の側方には開閉レバー6が配置されている。外装ケース2aにおける排紙ガイド5および開閉レバー6の下側には、ロール紙出し入れ用の矩形の開口部2bが形成されており、この開口部2bが開閉カバー3によって封鎖されている。
【0026】
開閉レバー6を操作すると開閉カバー3のロックが解除される。排紙ガイド5を前方に引くと、図2に示すように、開閉カバー3が下端部を中心として前方にほぼ水平となるまで開く。開閉カバー3が開くと、プリンタ本体2の内部に形成されているロール紙収納部7が開放状態となる。同時に、印刷位置を規定するための吸引プラテン8が開閉カバー3と一緒に移動してロール紙収納部7から記録紙排出口4に至る空間が開放状態となり、プリンタ前方からロール紙9を簡単に装填できるようになっている。また、プリンタ1はファンフォールド紙10を使用することが可能になっており、ファンフォールド紙10は、プリンタ本体2の背面部分に形成されている記録紙挿入口11(図3参照)から、プリンタ本体2の内部に手差し挿入される。なお、図2ではカバーケース3aおよび開閉レバー6を省略してある。
【0027】
図3はプリンタ1の内部の概略構成を示す説明図である。プリンタ1の内部には、プリンタ本体フレーム12における幅方向の中央部分にロール紙収納部7が形成されている。ロール紙収納部7にはロール紙9がプリンタ幅方向に向いた横置き状態で収納される。ロール紙収納部7の後方には、ロール紙9から繰り出される長尺状の記録紙9aを搬送するための繰り出しローラ13が配置されている。
【0028】
ロール紙収納部7の上側には、プリンタ本体フレーム12の上端にヘッドユニットフレーム14が水平に取り付けられている。ヘッドユニットフレーム14には、インクジェットヘッド15、このインクジェットヘッド15を搭載しているキャリッジ16、キャリッジ16のプリンタ幅方向への移動をガイドするキャリッジガイド軸17、キャリッジ16をキャリッジガイド軸17に沿って往復移動させるためのキャリッジモータ18およびタイミングベルト19を備えたキャリッジ搬送機構が配置されている。インクジェットヘッド15は、インクノズル面15aが下向きになるようにキャリッジ16に搭載されている。ヘッドユニットフレーム14の前端位置には可動刃を下方に突出させて切断を行うオートカッタ20が配置されている。
【0029】
インクジェットヘッド15の下側には一定のギャップを開けてプリンタ幅方向に水平に延びる吸引プラテン8が配置されている。吸引プラテン8は直方体形状をしており、プラテン表面8aの所定領域には多数の吸引孔が形成されている。不図示の吸引機構によってこれら吸引孔から空気を吸い込むことにより プラテン表面8a上を搬送される記録紙9aやファンフォールド紙10を吸引する。
【0030】
吸引プラテン8の後側には送り出しローラ21がプリンタ幅方向に水平に架け渡されており、送り出しローラ21には所定幅の紙押さえローラ22が所定の押圧力で押し付けられている。送り出しローラ21は、プリンタ本体フレーム12に搭載されている紙送りモータ23によって駆動される。吸引プラテン8における前端側の部位には前側紙押さえローラ24が配置されている。前側紙押さえローラ24は記録紙9aやファンフォールド紙10の浮き上がりを防止するものであり、紙送りモータ23の駆動力は伝達されていない。
【0031】
吸引プラテン8の前端には排紙ガイド5が取付けられている。吸引プラテン8の前端におけるプリンタ本体フレーム12およびヘッドユニットフレーム14の間の部位は一定幅の隙間が開いており、この隙間が記録紙排出口4になっている。
【0032】
吸引プラテン8の下側には、ロール紙押さえレバー25が後方に向かって斜め下方に延びるように取付けられている。ロール紙押さえレバー25はバネ力によって下方に付勢されており、その先端部分に取り付けられているロール紙押さえローラ26が繰り出しローラ13に所定の押圧力で押し付けられている。
【0033】
吸引プラテン8の後端には下方に湾曲しているテンションガイド27が取り付けられている。ロール紙収納部7に収納されているロール紙9から繰り出される長尺状の記録紙9aは、繰り出しローラ13およびテンションガイド27を経由するロール紙搬送路(第2紙搬送路)Aに沿って上方に引き出された後に前方に湾曲するように引き出され、しかる後に、吸引プラテン8の後端からインクジェットヘッド15による印刷位置およびオートカッタ20による切断位置および記録紙排出口4を経由して水平に延びる共通紙搬送路(第1紙搬送路)Bまで導かれる。ここで、テンションガイド27はバネ力によって上方に付勢されており、テンションガイド27を通過した記録紙9aには、所定の張力が付与された状態で共通紙搬送路Bに至る。記録紙9aの先端が共通紙搬送路Bに到達すると、記録紙9aは紙送りモータ23と、これによって回転させられる送り出しローラ21を備えている搬送手段によって共通紙搬送路Bに沿って搬送される。
【0034】
テンションガイド27の後方には後側紙押さえローラ28が配置されている。後側紙押さえローラ28の後方のプリンタ本体フレーム12の部位には、プリンタ本体2の背面側からファンフォールド紙10を受け入れるための記録紙挿入口11が形成されている。また、プリンタ本体フレーム12の記録紙挿入口11が形成されている部位の外側には、ファンフォールド紙10をこの記録紙挿入口11まで導くための導入路29を備えたファンフォールド紙ホルダ30が取付けられている。
【0035】
導入路29から手差しで挿入されるファンフォールド紙10は、記録紙挿入口11および後側紙押さえローラ28を経由するファンフォールド紙搬送路(第3紙搬送路)Cに沿って、共通紙搬送路Bまで挿入される。ファンフォールド紙10の先端が共通紙搬送路Bに到達すると、ファンフォールド紙10は、紙送りモータ23と、これによって回転させられる送り出しローラ21を備えている搬送手段によって共通紙搬送路Bに沿って搬送される。共通紙搬送路Bとファンフォールド紙搬送路Cとからなるファンフォールド紙10用の紙搬送路は全体としてほぼ水平である。
【0036】
ここで、記録紙挿入口11にはファンフォールド紙10の有無を検出するための紙挿入検出器(第1検出器)31が配置されている。紙挿入検出器31は記録紙挿入口11においてファンフォールド紙搬送路C内に突出している検出レバー31aを備えており、記録紙挿入口11に進入したファンフォールド紙10によって検出レバー31aがファンフォールド紙搬送路Cから退避させられることを利用して、ファンフォールド紙10の有無を検出する。
【0037】
共通紙搬送路Bの送り出しローラ21よりも上流側の上流側検出位置Dには、記録紙9aやファンフォールド紙10の有無、および、記録紙9a上やファンフォールド紙10上の位置あわせ基準を検出するための反射型フォトセンサ32および透過型フォトセンサ(第2検出器)33が配置されている。位置合わせ基準とは、記録紙9a上やファンフォールド紙10上の各印刷領域に対応して付されているブラックマーク、記録紙9aやファンフォールド紙10の先端、ラベルが貼り付けられている記録紙9aやファンフォールド紙10におけるラベル間のギャップ、などである。反射型フォトセンサ32は照射した検査光の反射率の変動を利用して、ブラックマークを位置合わせ基準として検出する。透過型フォトセンサ33は照射した検査光の透過率の変動を利用して、記録紙9aやファンフォールド紙10の先端や、これらにラベルが貼り付けられていればラベル間のギャップを位置合わせ基準として検出する。なお、反射型フォトセンサ32および透過型フォトセンサ33は、センサ寿命を確保するために、プリンタ本体2の内部に記録紙9aやファンフォールド紙10がないときには省電力の待機状態になっている。開閉カバー3が開閉されることによりロール紙が投入されたと判断された場合や、紙挿入検出器31の検出状態が変化することによってファンフォールド紙10に挿入が検出されたと判断された場合に、待機状態から動作状態に復帰させられる。
【0038】
共通紙搬送路Bの印刷位置よりも下流側の下流側検出位置Eには、記録紙9aやファンフォールド紙10の有無を検出する紙排出検出器(第3検出器)34が配置されている。紙排出検出器34は下流側検出位置Eにおいて共通紙搬送路B内に突出している検出レバー34aを備えており、下流側検出位置Eに記録紙9aやファンフォールド紙10があると検出レバー31aが共通紙搬送路Bから退避させられることを利用して、記録紙9aやファンフォールド紙10の有無を検出する。
【0039】
新たなロール紙9を使用する場合には、開閉カバー3を開いてロール紙収納部7を開状態にする。すると、開閉カバー3と一緒に、吸引プラテン8、テンションガイド27、送り出しローラ21、前側紙押さえローラ24、排紙ガイド5、ロール紙押さえレバー25およびロール紙押さえローラ26が移動して、共通紙搬送路Bおよびロール紙搬送路Aが開放状態になるので、開放状態になった空間を介して、記録紙9aが引き出された状態のロール紙9をロール紙収納部7に投入する。しかる後に開閉カバー3を閉じると、吸引プラテン8、テンションガイド27、送り出しローラ21、前側紙押さえローラ24、排紙ガイド5、ロール紙押さえレバー25およびロール紙押さえローラ26が元の位置に復帰して共通紙搬送路Bおよびロール紙搬送路Aが形成されるので、引き出されている記録紙9aが共通紙搬送路B上でインクジェットヘッド15による印刷位置Fを通過した状態にセットされる。
【0040】
新たなファンフォールド紙10を使用する場合には、導入路29を介して記録紙挿入口11からファンフォールド紙10を手差し挿入する。すると、ファンフォールド紙10はオートローディングされて共通紙搬送路B上で印刷位置Fを通過した状態にセットされる。ファンフォールド紙10のオートローディング動作は後述する。
【0041】
記録紙9aまたはファンフォールド紙10が共通紙搬送路B上で印刷位置Fを通過した状態にセットされると、検出されている位置合わせ基準に基づいて記録紙9a上またはファンフォールド紙10上に予め設定されている印刷開始目標位置を共通紙搬送路B上の印刷位置Fに位置決めする頭出しが可能になるので、印刷を始めることができる。
【0042】
(制御系)
図4はプリンタ1の制御系を示す概略ブロック図である。プリンタ1の制御系は、CPU、ROM、RAMを備えた制御部40を中心に構成されている。制御部40には通信インターフェース41を介してパーソナルコンピュータなどの外部機器から印刷を指示する制御指令および印刷データが供給されるようになっている。制御部40の入力側には、紙挿入検出器31、反射型フォトセンサ32、透過型フォトセンサ33、紙排出検出器34が接続されている。制御部40の出力側には、ヘッドドライバ42、モータドライバ43、44を介して、インクジェットヘッド15、キャリッジモータ18および紙送りモータ23が接続されている。制御部40は、ファンフォールド紙10のオートローディングを行うオートローディング手段45と、ファンフォールド紙10の残りの用紙長が短くなった場合に、ファンフォールド紙10を共通紙搬送路B上に残留させないようにするためのファンフォールド紙排出手段46を有している。
【0043】
オートローディング手段45は紙挿入検出器31、透過型フォトセンサ33、紙排出検出器34の検出状態に基づいて、紙送りモータ23を駆動して送り出しローラ21を回転させることにより、ファンフォールド紙10のオートローディングを行う。
【0044】
詳細には、オートローディング手段45は、記録紙挿入口11にファンフォールド紙10の先端が挿入されたか否かを監視しており、紙挿入検出器31の検出状態が紙なしから紙ありに変化したときに記録紙挿入口11にファンフォールド紙10の先端が挿入されたと判断して、透過型フォトセンサ33を省電力の待機状態から動作状態に復帰させる。また、上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達したか否かを監視しており、動作状態に復帰した透過型フォトセンサ33の検出状態が紙なしから紙ありに変化したときに、上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達したと判断して、所定時間の経過後に紙送りモータ23を駆動して送り出しローラ21を回転させることにより搬送動作を開始する。さらに下流側検出位置Eにファンフォールド紙10の先端が到達したか否かを監視しており、紙排出検出器34の検出状態が紙なしから紙ありに変化したときに、下流側検出位置Eにファンフォールド紙10の先端が到達したと判断して、紙送りモータ23を停止することにより搬送動作を停止する。
【0045】
ファンフォールド紙排出手段46は紙挿入検出器31および透過型フォトセンサ33の検出状態に基づいて、紙送りモータ23を駆動して送り出しローラ21を回転させることにより、ファンフォールド紙10の排出を行うようになっている。
【0046】
詳細には、ファンフォールド紙排出手段46は、記録紙挿入口11をファンフォールド紙10の終端が通過したか否かを監視しており、紙挿入検出器31の検出状態が紙ありから紙なしに変化したときに、記録紙挿入口11をファンフォールド紙10の終端が通過したと判断して、紙送りモータ23を駆動して送り出しローラ21を回転させることにより搬送動作を開始する。また、上流側検出位置Dをファンフォールド紙10の終端が通過したか否かを監視しており、透過型フォトセンサ33の検出状態が紙ありから紙なしに変化すると、上流側検出位置Dをファンフォールド紙10の終端が通過したと判断して、少なくとも、上流側検出位置Dから送り出しローラ21までの距離だけファンフォールド紙10を搬送するための回転量だけ当該送り出しローラ21を回転させて、ファンフォールド紙10の下流側を共通紙搬送路Bの下流にある記録紙排出口4から突出させた状態にする。
【0047】
(ファンフォールド紙のオートローディング動作)
図5を参照して、プリンタ1によるファンフォールド紙10のオートローディング動作を説明する。図5はファンフォールド紙10のオートローディング動作を示すフローチャートであり、フローチャートの側方には、各ステップにおけるファンフォールド紙10の状態を模式的に示してある。
【0048】
まず、プリンタ本体2の内部には、ロール紙9もファンフォールド紙10も存在しない状態になっているものとする。この状態では、透過型フォトセンサ33は省電力の待機状態になっている。また、オートローディング手段45は、記録紙挿入口11にファンフォールド紙10の先端が挿入されたか否かを監視している。
【0049】
ユーザが導入路29を介して記録紙挿入口11からファンフォールド紙10をファンフォールド紙搬送路Cに挿入すると、記録紙挿入口11にある紙挿入検出器31の検出状態が紙なしから紙ありに変化する。従って、オートローディング手段45は記録紙挿入口11にファンフォールド紙10が挿入されたことを検出する(ステップST1)
記録紙挿入口11にファンフォールド紙10が挿入されたことが検出されると、オートローディング手段45は上流側検出位置Dで検出を行う透過型フォトセンサ33を省電力の待機状態から動作状態に復帰させる(ステップST2)。ここで、ユーザによってファンフォールド紙10の挿入が続行されると、動作状態になっている透過型フォトセンサ33の検出状態が紙なしから紙ありに変化するので、オートローディング手段45は上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達したことを検出する(ステップST3)。
【0050】
上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達したことが検出されると、オートローディング手段45は所定時間経過後に、紙送りモータ23を駆動して送り出しローラ21を回転させることにより搬送動作を開始する(ステップST4)。この結果、送り出しローラ21と押さえローラによってファンフォールド紙10の先端が挟み込まれるので、ファンフォールド紙10が搬送される。
【0051】
ファンフォール紙が印刷位置Fの下流の下流側検出位置Eまで搬送されると、紙排出検出器34の検出状態が紙なしから紙ありに変化するので、オートローディング手段45は、下流側検出位置Eにファンフォールド紙10の先端が到達したことを検出する(ステップST5)。下流側検出位置Eにファンフォールド紙10の先端が到達したことが検出されると、オートローディング手段45は紙送りモータ23を停止することにより搬送動作を停止するので(ステップST6)、オートローディング動作は終了する。
【0052】
オートローディング動作が終了すると、ファンフォールド紙10は共通紙搬送路B上で印刷位置Fを通過した状態にセットされているので、ファンフォールド紙10上に予め設定されている印刷開始目標位置を印刷位置Fに位置決めする頭出しを行い(ステップST7)、印刷を始める(ステップST8)。
【0053】
なお、頭出しは、反射型フォトセンサ32または透過型フォトセンサ33を用いて検出されているファンフォールド紙10上の位置合わせ基準に基づいてファンフォールド紙10を所定の搬送量だけ搬送する周知の方法により、行うことができる。また、ファンフォールド紙10の先端が下流側検出位置Eに到達している状態から、所定の搬送量だけ上流側に搬送することにより、行うことができる。たとえば、透過型フォトセンサ33の検出結果に基づいて、搬送手段による搬送時、ファンフォールド紙10の位置を検出し、搬送手段は、ファンフォールド紙10のオートローディングによる搬送動作を停止した後、透過型フォトセンサ33によるファンフォールド紙10の位置に基づき、所定の位置までファンフォールド紙10を逆送りさせて、記録紙9aを共通紙搬送路B上にセットすることができる。
【0054】
以上、本例のオートローディング方法によれば、記録紙挿入口11から手差し挿入されているファンフォールド紙10は、その先端が共通紙搬送路Bに到達すると紙送りモータ23および送り出しローラ21を備えている搬送手段によって印刷位置Fよりも下流の下流側検出位置Eまで搬送されるので、開閉カバー3を開いて共通紙搬送路Bおよびロール紙搬送路Aの状態を変位させることなく、ファンフォールド紙10を共通紙搬送路B上で印刷位置Fを通過した状態にセットできる。従って、ファンフォールド紙10上の印刷開始目標位置と印刷位置Fとを位置決めする頭出しを行って、印刷を始めることができる。
【0055】
また、開閉カバー3を開閉して共通紙搬送路Bおよびロール紙搬送路Aの状態を変位させることがないので、開閉カバー3を閉じて共通紙搬送路Bおよびロール紙搬送路Aが形成されるときに、開放状態になった空間内に引き出されたファンフォールド紙10の一部分がロール紙搬送路Aとファンフォールド紙搬送路Cとの合流地点よりもロール紙搬送路Aにおけるロール紙収納部7の側の、例えば、繰り出しローラ13とロール紙押さえローラ26との間に挟み込まれてジャミング状態に陥ってしまい、ファンフォールド紙10を共通紙搬送路B上にセットすることができないという問題の発生を回避できる。
【0056】
また、ステップST2において、透過型フォトセンサ33を省電力の待機状態にしておいて、ファンフォールド紙10が挿入されたときに動作状態に復帰させているので、透過型フォトセンサ33のセンサ寿命を延ばすことができる。
【0057】
また、上流側検出位置Dにファンフォールド紙10が到達して直ぐに紙送りモータ23および送り出しローラ21を備えている搬送手段による搬送動作を開始すると、紙送りモータ23などの駆動音などが発生するので、記録紙挿入口11にファンフォールド紙10を手差し挿入しているユーザはこの駆動音に驚いてファンフォールド紙10から手を離し、その挿入を止めてしまうことがある。この場合、共通紙搬送路Bまで到達していたファンフォールド紙10の先端が共通紙搬送路Bからファンフォールド紙搬送路Cの側に後退したり、ファンフォールド紙10の先端が共通紙搬送路B内に十分に進入していなかったりして、搬送手段が搬送動作を開始しても、その先端部分を送り出しローラ21と紙押さえローラ22によって挟み込むことができずに、ファンフォールド紙10を搬送できないことがある。これに対して、ステップST4において、上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達してから、所定時間経過した後に、搬送動作を開始しているので、駆動音などが発生したときには、ユーザによる手差し挿入によってファンフォールド紙10の先端は共通紙搬送路B内に十分に進入した状態になっている。従って、搬送動作を開始するとファンフォールド紙10は確実に搬送される。
【0058】
(ファンフォールド紙の排出動作)
図6を参照して、プリンタ1によるファンフォールド紙10の排出動作を説明する。図6はファンフォールド紙10の排出動作を示すフローチャートであり、フローチャートの側方には、各ステップにおけるファンフォールド紙10の状態を模式的に示してある。
【0059】
まず、プリンタ本体2の内部にはファンフォールド紙10が挿入されているものとする。このような状態では、ファンフォールド紙排出手段46は、記録紙挿入口11をファンフォールド紙10の終端が通過したか否かを監視している。
【0060】
ファンフォールド紙10の残りの用紙長が短いときにファンフォールド紙10が印刷や切断のために搬送されると、その後端が記録紙挿入口11を通過してファンフォールド紙搬送路C内に進入するので、紙挿入検出器31の検出状態が紙ありから紙なしに変化する。従って、ファンフォールド紙排出手段46は、記録紙挿入口11をファンフォールド紙10の終端が通過したことを検出する(ステップST11)。
【0061】
記録紙挿入口11をファンフォールド紙10の終端が通過したことが検出されると、ファンフォールド紙排出手段46は、紙送りモータ23を駆動して送り出しローラ21を回転させることにより搬送動作を開始する(ステップST12)。
【0062】
この搬送動作によってファンフォールド紙10が搬送され、その後端が上流側検出位置Dよりも下流に至ると、透過型フォトセンサ33、の検出状態が紙ありから紙なしに変化する。従って、ファンフォールド紙排出手段46は、上流側検出位置Dをファンフォールド紙10の終端が通過したことを検出する(ステップST13)。
【0063】
上流側検出位置Dをファンフォールド紙10の終端が通過したことが検出されると、ファンフォールド紙排出手段46は、紙送りモータ23を駆動制御して、少なくとも、上流側検出位置Dから送り出しローラ21までの距離だけファンフォールド紙10を搬送するための回転量だけ当該送り出しローラ21を回転させる。この結果、ファンフォールド紙10の先端を共通紙搬送路Bの下流にある記録紙排出口4から突出させた状態になる(ステップST14)。
【0064】
以上、本例のファンフォールド紙10の排出方法によれば、記録紙挿入口11にファンフォールド紙10が無くなった時点で、送り出しローラ21を駆動してファンフォールド紙10を搬送し、その先端を共通紙搬送路Bの下流端の記録紙排出口4から突出させているので、切断などによって用紙長が短くなったファンフォールド紙10を筐体の内部の共通紙搬送路B上に残さずに、取り出すことができる。
【0065】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例では、透過型フォトセンサ33を用いて、上流側検出位置Dにファンフォールド紙10の先端が到達したか否か、および、ファンフォールド紙10の後端が通過したか否かを監視しているが、反射型フォトセンサ32を用いてこれらを監視することも可能である。例えば、反射光が検出されていない状態から検出される状態になった時にファンフォールド紙10の先端が到達したと判断し、反射光が検出されている状態から検出されない状態になっているときに、ファンフォールド紙10の後端が通過したものとすることができる。
【0066】
また、紙挿入検出器31がファンフォールド紙10を検出せず、透過型フォトセンサ33が記録紙9aを検出したことに基づき、共通紙搬送路Bには記録紙9aがあると判定して、搬送手段による搬送動作を開始し、紙排出検出器34が記録紙9aを検出したことに基づき、搬送手段による搬送動作を停止してもよい。この場合にも、透過型フォトセンサ33の検出結果に基づいて搬送手段による搬送時、記録紙9aの位置を検出し、搬送手段は、記録紙9aの搬送動作を停止した後、記録紙9aの位置に基づき、所定の位置まで記録紙9aを逆送りさせて、記録紙9aを共通紙搬送路B上にセットすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明を適用したプリンタの外観斜視図である。
【図2】プリンタの開閉カバーを開けた状態を示す外観斜視図である。
【図3】プリンタの内部構造を示す説明図である。
【図4】プリンタの制御系を示す概略ブロック図である。
【図5】ファンフォールド紙のオートローディング動作を示すフローチャートである。
【図6】ファンフォールド紙の排出動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1・プリンタ、2・プリンタ本体、2a・外装ケース、2b・開口部、3・開閉カバー3a・カバーケース、4・記録紙排出口、5・排紙ガイド、6・開閉レバー、7・ロール紙収納部、8・吸引プラテン、9・ロール紙、9a・記録紙、10・ファンフォールド紙、11・記録紙挿入口、12・プリンタ本体フレーム、13・繰り出しローラ、14ヘッドユニットフレーム、15・インクジェットヘッド、15a・インクノズル面、16・キャリッジ、17・キャリッジガイド軸、18・キャリッジモータ、19・タイミングベルト、20・オートカッタ、21・送り出しローラ、22・紙押さえローラ、23・紙送りモータ、24・前側紙押さえローラ、25・ロール紙押さえレバー、26・ロール紙押さえローラ、27・テンションガイド、28・後側紙押さえローラ、29・導入路、30・ファンフォールド紙ホルダ、31・紙挿入検出器(第1検出器)、32・反射型フォトセンサ、33・透過型フォトセンサ(第2検出器)、34・紙排出検出器(第3検出器)、40・制御部、41・通信インターフェース、42・43・44・ドライバ、45・オートローディング手段、46・ファンフォールド紙排出手段、A・ロール紙搬送路(第2紙搬送路)、B・共通紙搬送路(第1紙搬送路)、C・ファンフォールド紙搬送路(第3紙搬送路)、D・上流側検出位置、E・下流側検出位置、F・印刷位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ヘッドによる印刷位置を経由して延びている第1紙搬送路と、ロール紙収納部に収納されているロール紙から繰り出される長尺状の第1記録紙を当該ロール紙収納部から前記第1紙搬送路まで導くための第2紙搬送路と、前記第1紙搬送路に到達している前記第1記録紙を当該第1紙搬送路に沿って搬送する搬送手段と、前記ロール紙収納部を開閉するための開閉カバーとを備えており、前記開閉カバーの開動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が開放状態になり、前記開閉カバーの閉動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が形成されるプリンタにおける前記ロール紙とは異なる用紙種類の長尺状の第2記録紙をオートローディングするための記録紙のオートローディング方法であって、
前記第2紙搬送路から外れた位置に記録紙挿入口を形成し、
前記記録紙挿入口に手差し挿入される前記第2記録紙を前記第1紙搬送路まで導くための第3紙搬送路を形成し、
前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入されたか否かを監視し、
前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入された場合には、前記第1紙搬送路の前記印刷位置よりも上流の上流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達したか否かを監視し、
前記上流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達した場合には、前記搬送手段による搬送動作を開始し、
前記第1紙搬送路の前記印刷位置よりも下流の下流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達したか否かを監視し、
前記下流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達した場合には、前記搬送手段による搬送動作を停止することを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項2】
請求項1に記載されている記録紙のオートローディング方法において、
前記第2記録紙の先端が到達したか否かを監視するためのフォトセンサを省電力の待機状態にして前記上流側検出位置に配置し、
前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入されると、フォトセンサを前記待機状態から動作状態に復帰させることを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載されている記録紙のオートローディング方法において、
前記上流側検出位置に前記第2記録紙の先端が到達すると、所定時間経過後に前記搬送手段の搬送動作を開始することを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちのいずれかの項に記載されている記録紙のオートローディング方法において、
前記記録紙挿入口を前記第2記録紙の終端が通過したか否かを監視し、
前記記録紙挿入口を前記第2記録紙の終端が通過すると、前記印刷位置と前記上流側検出位置との間に配置されている前記搬送手段の送り出しローラを回転させて搬送動作を開始し、
前記上流側検出位置を前記第2記録紙の終端が通過したか否かを監視し、
前記上流側検出位置を前記第2記録紙の終端が通過すると、少なくとも、前記上流側検出位置から前記送り出しローラまでの距離だけ前記第2記録紙を搬送するために必要な回転量だけ当該送り出しローラを回転させて、前記第2記録紙の先端を前記第1紙搬送路の下流端開口から突出させた状態にすることを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちのいずれかの項に記載されている記録紙のオートローディング方法において、
前記第2記録紙は、ファンフォールド紙であることを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちのいずれかの項に記載されている記録紙のオートローディング方法によって、前記ロール紙とは異なる用紙種類の長尺状の前記第2記録紙をオートローディングすることを特徴とするプリンタ。
【請求項7】
第1記録紙と第2記録紙を搬送する少なくとも紙搬送路の一部を共通とするプリンタであって、
前記第1記録紙と前記第2記録紙の有無を検出する第2検出器と、当該第2検出器の下流側で前記第1記録紙と前記第2記録紙の有無を検出する第3検出器とを配置した第1紙搬送路と、
前記第1記録紙をロール紙収納部から前記第1搬送路まで導く第2紙搬送路と、
前記第2記録紙を記録紙挿入口から前記第1搬送路まで導くもので、前記記録紙挿入口近傍に前記第2記録紙の有無を検出する第1検出器を配置した第3紙搬送路と、
前記第1紙搬送路に到達している前記第1記録紙と前記第2記録紙を搬送する搬送手段と、
前記ロール紙収納部を開閉するための開閉カバーとを備え、
前記開閉カバーの開動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が開放状態になり、前記開閉カバーの閉動作に連動して前記第1紙搬送路および前記第2紙搬送路が形成されることを特徴とするプリンタ。
【請求項8】
請求項7に記載のプリンタにおける記録紙のオートローディング方法であって、
前記第1検出器が前記第2記録紙を検出したことに基づき、前記記録紙挿入口に前記第2記録紙の先端が挿入されたと判定し、
前記第2検出器が前記第2記録紙を検出したことに基づき、前記搬送手段による搬送動作を開始し、
前記第3検出器が前記第2記録紙を検出したことに基づき、前記搬送手段による搬送動作を停止することを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項9】
請求項8に記載の記録紙のオートローディング方法であって、
前記第2検出器の検出結果に基づいて、前記搬送手段による搬送時、前記第2記録紙の位置を検出しており、
前記搬送手段は、前記第2記録紙の搬送動作を停止した後、前記第2検出器による前記第2記録紙の位置に基づき、所定の位置まで前記第2記録紙を逆送りすることを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載のプリンタにおける記録紙のオートローディング方法であって、前記搬送手段は、前記第2記録紙を搬送中に前記第1検出器が前記第2記録紙を検出できなくなったとき、さらに所定量前記第2記録紙を搬送することを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項11】
請求項7に記載のプリンタにおける記録紙のオートローディング方法であって、
前記第1検出器が前記第2記録紙を検出せず、前記第2検出器が前記第1記録紙を検出したことに基づき、前記第1紙搬送路には前記第1記録紙があると判定して、前記搬送手段による搬送動作を開始し、
前記第3検出器が前記第1記録紙を検出したことに基づき、前記搬送手段による搬送動作を停止することを特徴とする記録紙のオートローディング方法。
【請求項12】
請求項11に記載の記録紙のオートローディング方法であって、
前記第2検出器の検出結果に基づいて、前記搬送手段による搬送時、前記第1記録紙の位置を検出しており、
前記搬送手段は、前記第1記録紙の搬送動作を停止した後、前記第2検出器による前記第1記録紙の位置に基づき、所定の位置まで前記第1記録紙を逆送りすることを特徴とする記録紙のオートローディング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−36408(P2010−36408A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200466(P2008−200466)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】