説明

記録装置、制御装置、記録装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】バッファーに画像を展開して画像を記録する記録装置について、所定の記憶領域を効率的に使用してバッファーを展開する。
【解決手段】プリンター11は、記録媒体への画像の記録に際し、当該画像の画像データをページ単位で画像バッファー50に展開して、展開した画像データに基づいて記録媒体に記録を行う記録制御部42と、記録媒体の幅を検出する幅検出部41と、幅検出部41により検出された記録媒体の幅に応じて画像バッファー50の態様を変えて、RAM20aに画像バッファー50を形成するバッファー形成部43と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッファーに画像データを展開して画像を記録する記録装置、当該記録装置を制御する制御装置、当該記録装置の制御方法、及び、当該記録装置を制御するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録媒体に記録する記録装置(プリンター)であって、記録媒体に画像を記録する際、記録媒体に記録すべき画像の画像データを所定の記憶領域に形成されたバッファー(記録バッファー)に展開した上で、展開した画像データに基づいて画像の記録に係る処理を行うものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−88391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した記録装置のように、バッファーに画像データを展開し、展開した画像データに基づいて画像を記録するものでは、バッファーを所定の記憶領域に形成する際に、できるだけ記憶領域を効率よく使用したいとするニーズがあった。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、バッファーに画像を展開して画像を記録する記録装置について、所定の記憶領域を効率的に使用してバッファーを形成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録する記録装置であって、前記記録媒体への画像の記録に際し、当該画像の画像データをページ単位でバッファーに展開して、展開した前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行う記録制御部と、前記記録媒体の幅を検出する幅検出部と、前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅に応じて前記バッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成するバッファー形成部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、所定の記憶領域へのバッファーの形成に際し、記録媒体の実際の幅に応じてバッファーの態様が変更されるため、バッファーの態様を、記録媒体の幅の長さに従って変動する印字領域に対応した態様とすることができ、所定の記憶領域を効率的に使用可能である。
【0006】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記バッファー形成部は、前記バッファーのサイズとして、セット可能な前記記録媒体のうち最も幅の大きい前記記録媒体の1ページ分の前記画像データを少なくとも展開可能なサイズである最大サイズを確保し、前記所定の記憶領域に前記バッファーを形成する際は、形成後の前記バッファーのサイズが前記最大サイズとなるように、前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅と対応させて前記バッファーの前記記録媒体の幅方向に対応する方向の領域長を決定すると共に、前記記録媒体の長手方向に対応する方向の領域長を決定することを特徴とする。
この構成によれば、バッファーのサイズが既に確保した最大サイズとなるように、記録媒体の幅に応じて、幅方向に対応する方向の領域長、長手方向に対応する方向の領域長が決定されるため、確保した領域を最大限使用してバッファーを形成することが可能となり、所定の記憶領域のさらなる効率的な使用を実現できる。
【0007】
また、上記発明の記録装置であって、本発明は、前記幅検出部は、幅検出用のセンサーの検出値に基づいて、又は、前記記録媒体の幅を示す設定値に基づいて、前記記録媒体の幅を検出することを特徴とする。
この構成によれば、例えば、記録媒体への画像の記録の前にユーザーが人為的に記録媒体の幅を入力するといった煩雑な作業を行うことなく、幅検出部により、自動で、記録媒体の幅が検出されるため、利便性が高い。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置であって、前記記録媒体への画像の記録に際し、前記記録装置に当該画像の画像データをページ単位でバッファーに展開させて、展開させた前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行わせる記録制御部と、前記記録装置に前記記録媒体の幅を検出させる幅検出部と、前記記録装置に前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅に応じて前記バッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成させるバッファー形成部と、を備えることを特徴とする。
この構成によれば、所定の記憶領域へのバッファーの形成に際し、記録媒体の実際の幅に応じてバッファーの態様が変更されるため、バッファーの態様を、記録媒体の幅の長さに従って変動する印字領域に対応した態様とすることができ、所定の記憶領域を効率的に使用可能である。
【0009】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録する記録装置の制御方法であって、前記記録媒体への画像の記録に際し、前記記録媒体の幅を検出し、検出した前記記録媒体の幅に応じてバッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成し、当該画像の画像データをページ単位で前記バッファーに展開して、展開した前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行うことを特徴とする。
この制御方法によれば、所定の記憶領域へのバッファーの形成に際し、記録媒体の実際の幅に応じてバッファーの態様が変更されるため、バッファーの態様を、記録媒体の幅の長さに従って変動する印字領域に対応した態様とすることができ、所定の記憶領域を効率的に使用可能である。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録媒体に記録する記録装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記記録媒体への画像の記録に際し、当該画像の画像データをページ単位でバッファーに展開して、展開した前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行う記録制御部と、前記記録媒体の幅を検出する幅検出部と、前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅に応じて前記バッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成するバッファー形成部と、として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、所定の記憶領域へのバッファーの形成に際し、記録媒体の実際の幅に応じてバッファーの態様が変更されるため、バッファーの態様を、記録媒体の幅の長さに従って変動する印字領域に対応した態様とすることができ、所定の記憶領域を効率的に使用可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バッファーに画像を展開して画像を記録する記録装置について、所定の記憶領域を効率的に使用してバッファーを展開することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】記録システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図2】従来の画像バッファーを説明する図である。
【図3】プリンターの動作を示すフローチャートである。
【図4】RAMにおける画像バッファーを模式的に示す図である。
【図5】別の実施形態に係る記録システムの機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る記録システム1の機能的構成を示すブロック図である。
記録システム1は、ホストコンピューター10(制御装置)と、プリンター11(記録装置)とを備え、ホストコンピューター10の制御の下、プリンター11よって記録媒体に画像を記録するシステムである。
プリンター11は、記録媒体を搬送方向に搬送しながら、発熱素子が並べて設けられた記録ヘッド15によって、記録媒体の記録面に熱を与えて、感熱紙である記録媒体の記録面にドットを形成することにより、画像を記録するサーマルプリンターである。
プリンター11は、記録媒体としてラベルシートR(図2)に画像を記録可能に構成されている。
ラベルシートRとは、ロール状の剥離紙の全域に、略同一形状のシールが貼付されて形成された記録媒体である。本実施形態では、ラベルシートRとして、40mm幅のもの、60mm幅のもの、及び、80mm幅のものの3種類あり、プリンター11は、いずれの幅のロール紙も収容可能に構成され、かつ、収容したロール紙に対して正常に画像を記録可能に構成されている。以下の説明は、80mm幅のラベルシートRを80mm用紙R8と、60mm幅のラベルシートRを60mm用紙R6と、40mm幅のラベルシートRを40mm用紙R4とそれぞれ表現する。
以下、プリンター11にラベルシートRがセットされていることを前提として説明する。
【0014】
図1に示すように、ホストコンピューター10は、ホスト側制御部25と、ホスト側入力部26と、ホスト側表示部27と、ホスト側記憶部28と、ホスト側インターフェイス部29(I/F)と、を備えている。
ホスト側制御部25は、ホストコンピューター10を中枢的に制御するものであり、各種プログラムを実行するCPU、CPUにより実行される基本制御プログラム等を記憶するROM、CPUが実行するプログラムや処理対象のデータ等を一時的に記憶するワークエリアを形成するRAM、その他周辺回路等を備えている。
ホスト側制御部25は、アプリケーション実行部25aと、プリンタードライバー実行部25bと、を備えているが、これらについては、後述する。
ホスト側入力部26は、各種入力デバイスに接続され、これら入力デバイスに対する操作を検出し、ホスト側制御部25に出力する。
ホスト側表示部27は、表示パネルに接続され、ホスト側制御部25の制御の下、表示パネルに各種情報を表示する。
ホスト側記憶部28は、EEPROMや、ハードディスク等の不揮発性メモリーを備え、各種データを書き換え可能に、不揮発的に記憶する。
ホスト側インターフェイス部29(I/F)は、ホスト側制御部25の制御の下、プリンター11との間で通信規格に準拠した通信を行う。
【0015】
また、プリンター11は、図1に示すように、制御部20と、入力部31と、表示部32と、プリントエンジン33と、記憶部35と、紙幅センサー37と、インターフェイス部38(I/F)を備えている。
制御部20は、プリンター11の各部を中枢的に制御するものであり、上述したホスト側制御部25と同様、CPUや、ROM、RAM20a(所定の記憶領域)、その他の周辺回路等を備えている。制御部20は、幅検出部41と、記録制御部42と、バッファー形成部43とを備えているが、これらについては後述する。
入力部31は、プリンター11に設けられた各種スイッチに接続され、スイッチに対する操作を検出し、制御部20に出力する。
表示部32は、複数のLEDを備え、制御部20の制御の下、LEDを所定の態様で点灯/消滅させて、プリンター11の状態や、エラーの発生の有無、その他の情報を報知する。
プリントエンジン33は、制御部20の制御の下、用紙端センサーや用紙残量センサー等の各種センサーの検出値を監視しながら、上述した記録ヘッド15のほか、記録媒体を搬送する搬送ローラーを駆動するための搬送モーター等を動作させて、記録媒体に画像を記録する。
紙幅センサー37は、セットされているラベルシートRの幅を検出するセンサーである。具体的には、紙幅センサー37は、押圧されたときにオンとなる3つのスイッチ型センサーを備えている。3つのスイッチ型センサーのそれぞれは、40mmのラベルシートRがセットされている場合に1つのセンサーがオンとなり、60mmのラベルシートRがセットされている場合に2つのセンサーがオンとなり、80mmのラベルシートRがセットされている場合に3つのセンサーがオンとなるような位置に設けられている。制御部20の幅検出部41は、3つのセンサーのオン/オフを検出することにより、セットされたラベルシートRの幅を検出する。この幅検出部41の機能は、CPUがファームウェアを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。なお、本実施形態では、紙幅センサー37は、3つのスイッチ型センサーを組み合わせたものであるが、光学式センサー等の他の種類のセンサーを用いて紙幅を検出するようにしてもよい。また、プリンター11及びホストコンピューター10のいずれかの記憶領域に、ラベルシートRの幅を示す設定値が記録されている場合、幅検出部41は、当該設定値を取得することにより、ラベルシートRの幅を検出してもよい。
記憶部35は、EEPROMやハードディスク等の不揮発性メモリーを備え、各種データを書き換え可能に、不揮発的に記憶する。
インターフェイス部38(I/F)は、制御部20の制御の下、ホストコンピューター10との間で通信規格に準拠した通信を行う。
【0016】
次いで、アプリケーション実行部25a、及び、プリンタードライバー実行部25bの説明を通して、ラベルシートRに1つのジョブ(後述)に係る画像を記録する際の、ホストコンピューター10、及び、プリンター11の動作について説明する。
ラベルシートRに1つのジョブ(後述)に係る画像を記録する場合、まず、アプリケーション実行部25aは、ホストコンピューター10に予めインストールされたアプリケーションを実行することにより、ラベルシートRに記録すべき画像の情報を含む画像情報データを生成し、プリンタードライバー実行部25bに出力する。
プリンタードライバー実行部25bは、ホストコンピューター10に予めインストールされたプリンタードライバーを実行することにより、アプリケーション実行部25aから入力された画像情報データに基づいて、ラベルシートRへの画像の記録に係る一連の処理を実行させる一群の制御コマンドを生成し、プリンター11に出力する。画像の記録に係る一連の処理とは、ラベルシートRへの画像の記録を開始してから終了するに至るまでの処理、すなわち、ラベルシートRを搬送しつつ、記録ヘッド15を駆動してラベルシートRに画像を記録する一連の処理を指している。
プリンター11の制御部20は、ラベルシートRへの画像の記録に係る一連の処理を1つのジョブとして管理する。以下の説明において、「ジョブを実行する」とは、画像の記録に係る一群の制御コマンドを順次実行して、画像の記録に係る一連の処理を実行することを意味する。
【0017】
1つのジョブに係る制御コマンドが入力されたプリンター11の制御部20の記録制御部42は、制御コマンドを順次実行することにより、プリントエンジン33を制御して、ラベルシートRへの画像の記録を実行する。この記録制御部42の機能は、CPUがファームウェアを実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
ここで、当該1つのジョブに係る制御コマンドには、ラベルシートRに記録すべき画像の画像データのほか、少なくとも、RAM20aに画像バッファー50(バッファー)を形成させる制御コマンド、形成させた画像バッファー50内の所定の領域に画像データを展開させる制御コマンド、画像バッファー50に展開させた画像データに基づいて画像を記録させる制御コマンドが含まれている。
これらコマンドに基づいて、プリンター11の制御部20の記録制御部42は、後述するバッファー形成部43によりRAM20aに形成された画像バッファー50に、ラベルシートRに記録すべき画像の画像データをページ単位で展開した後、ラベルシートRを搬送方向へ搬送しつつ、画像バッファー50に展開した画像データに基づいて、ラベルシートRに画像を記録する。「画像データをページ単位で画像バッファー50に展開する」とは、1つの画像データについて、当該1つの画像データの全てを画像バッファー50に展開することを意味する。周知の通り、いわゆるページモードでは、一連の画像を記録する場合、当該一連の画像の画像データの全てを画像バッファー50に展開した後、画像バッファー50に展開した画像データに基づいて、当該一連の画像を記録媒体に記録する。
このように、本実施形態に係るプリンター11では、いわゆるページモードによる画像の記録が行われる。すなわち、画像バッファー50に画像データの全てが展開された後、画像の記録が実行される。
【0018】
次いで、RAM20aに画像バッファー50を形成する際のプリンター11の動作について説明する。
まず、従来の画像バッファー50の態様について説明し、従来の問題点を明らかにする。
【0019】
図2は、従来の画像バッファー50を説明するための図である。
図2において、(A1)は80mm用紙R8の最大印字領域60を示し、(A2)は、80mm用紙R8の最大印字領域60に対応して、RAM20aに形成された最大展開領域61を示している。
最大印字領域60とは、80mm用紙R8において、1つのジョブに係る画像を記録可能な最大の印字領域のことであり、本実施形態では、最大印字領域60は、幅方向がx1ドット、長手方向がy1ドットである。本実施形態は、ラベルシートRの種類にかかわらず、1つのジョブに係る画像は、この最大印字領域60に収まる大きさであるものとされる。
RAM20aに画像バッファー50を形成する際、従来のプリンター11は、セットされているラベルシートRの種類にかかわらず、まず、最大印字領域60の形態に対応する形態の最大展開領域61をRAM20aに形成する(図2(A2)参照)。具体的には、プリンター11は、RAM20aに、幅方向に対応する方向(以下、「幅対応方向」という。)の領域長がxドットに対応し、長手方向に対応する方向(以下、「長手対応方向」という。)の領域長がyドットに対応する最大展開領域61を形成する。上述したようにページモードでは、画像データの全てが画像バッファー50に展開されるが、最大展開領域61の形態は、最大印字領域60の形態に対応しているため、ラベルシートRの種類にかかわらず、ラベルシートRに記録されることが想定される画像データの全てについて、当該最大展開領域61に展開可能である。
【0020】
そして、従来のプリンター11は、画像バッファー50に画像データを展開する場合、最大展開領域61内に、当該画像データを実際に展開する実際展開領域62を形成し、当該実際展開領域62に画像データを展開していた。
例えば、図2(B1)に示すように、60mm用紙R6に画像Pb(幅方向がx2ドット、長手方向がy2ドット)を記録する場合、従来のプリンター11は、RAM20aに最大展開領域61を形成した後、当該最大展開領域61内に画像Pbの画像データに対応した実際展開領域62b(幅対応方向がx2ドット、長手対応方向がy2ドット)を形成し(図2(B2))、当該実際展開領域62bに画像Pbの画像データを展開していた。また例えば、図2(C1)に示すように、40mm用紙R4に画像Pc(幅方向がx3ドット、長手方向がy3ドット)を記録する場合、従来のプリンター11は、RAM20aに最大展開領域61を形成した後、当該最大展開領域61内に画像Pcの画像データに対応した実際展開領域62c(幅対応方向がx3ドット、長手対応方向がy3ドット)を形成し(図2(C2))、当該実際展開領域62bに画像Pcの画像データを展開していた。
以上のような従来の方法では、以下のような問題があった。
すなわち、最大展開領域61に、60mm用紙R6に記録すべき画像Pbの画像データに係る実際展開領域62bを形成する場合、図2(B2)に示すように、80mm用紙R8の幅と60mm用紙R6の幅との差に起因して、使用されない(=画像データが必ず展開されない)領域である使用不可能領域63bが現出するという問題があった。同様に、最大展開領域61に、40mm用紙R4に記録すべき画像Pcの画像データに係る実際展開領域62cを形成する場合、図2(C2)に示すように、80mm用紙R8の幅と40mm用紙R4の幅との差に起因して、使用されない(=画像データが必ず展開されない)領域である使用不可能領域63cが現出するという問題があった。これら使用不可能領域63b、63cは、RAM20aに確保したのにもかかわらず使用されない領域であり、このような領域が現出することは、RAM20aの使用効率の低下につながる可能性があった。
以上を踏まえ、本実施形態に係るプリンター11は、RAM20aへの画像バッファー50の形成に際し、以下の動作を実行する。
【0021】
図3は、RAM20aへの画像バッファー50の形成の際のプリンター11の動作を示すフローチャートである。
なお、以下の説明において、RAM20a自体の容量、RAM20aに記憶されることが想定されたデータの容量等に応じて、RAM20a上には、画像バッファー50を展開可能な領域として、最大展開領域61のサイズ分の領域が確保される構成となっており、当該サイズを上回る大きさの画像バッファー50をRAM20aに形成することは制限されているものとする。この場合、画像バッファー50として最大展開領域61のサイズと同一のサイズの領域を確保した上で、当該確保した領域を効率よく使用することが求められる。
【0022】
図3に示すように、まず、プリンター11の制御部20の幅検出部41は、セットされているラベルシートRの幅を検出する(ステップSA1)。
次いで、バッファー形成部43は、上述した最大展開領域61のサイズ(x1ドット×y1ドット)を取得する(ステップSA2)。ここで取得したサイズは、最大サイズに該当する。なお、本実施形態では、後述するように、RAM20a上に画像バッファー50として最大展開領域61と同じサイズ(最大サイズ)の領域を確保した上で、確保した最大サイズの領域について、使用不可能領域63b、63cを現出させることなく、効率的に使用することを実現している。
次いで、バッファー形成部43は、ステップSA1で幅検出部41により検出したラベルシートRの幅、及び、ステップSA2で取得した最大展開領域61のサイズに基づいて、画像バッファー50としてRAM20aに展開する可変展開領域65(図4)の形態、具体的には、可変展開領域65の幅対応方向の領域長、及び、長手対応方向の領域長を決定する(ステップSA3)。
以下、ステップSA3の動作について詳述する。
【0023】
図4は、セットされているラベルシートRが40mm用紙R4である場合におけるステップSA3の動作の説明に利用する図であり、(A)は、最大展開領域61を模式的に示し、(B)は、セットされているラベルシートRが40mm用紙R4の場合に、画像バッファー50としてRAM20aに展開される可変展開領域65cを模式的に示している。
図4(A)の最大展開領域61は、幅対応方向の領域長:8ドット、長手対応方向の領域長:5ドット、サイズ:40ドット(8ドット×5ドット)である。
ステップSA3において、まず、バッファー形成部43は、40mm用紙R4の幅方向の形成可能ドット数を取得し、取得した形成可能ドット数を、RAM20aに形成すべき可変展開領域65cの幅対応方向の領域長として決定する。形成可能ドット数とは、ラベルシートRの幅方向に形成可能なドットの最大数のことである。図4の例では、40mm用紙R4の形成可能ドット数は、4ドットであるものとする。この場合、可変展開領域65cの幅対応方向の領域長は、4ドットとなる。
次いで、バッファー形成部43は、最大展開領域61のサイズから、可変展開領域65cの幅対応方向の領域長を除算した値を、可変展開領域65cの長手対応方向の領域長として決定する。図4の例では、最大展開領域61のサイズが40ドットであり、可変展開領域65cの幅対応方向の領域長が4ドットであるため、可変展開領域65cの長手対応方向の領域長は、10ドットとなる。
以上のようにして、バッファー形成部43は、可変展開領域65cの幅対応方向の領域長(図4の例では4ドット)、及び、長手対応方向の領域長(図4の例では10ドット)を決定する。
【0024】
さて、前掲図3に戻り、ステップSA3で決定した可変展開領域65cの幅対応方向、及び、長手対応方向の領域長に基づいて、画像バッファー50としてRAM20aに可変展開領域65を展開する(ステップSA4)。
図4(B)は、セットされているラベルシートRが40mm用紙R4である場合に、ステップSA4でRAM20aに画像バッファー50として展開される可変展開領域65cを模式的に示している。
図4(B)に示すように、可変展開領域65cの幅対応方向の領域長は4ドットである。上述したように、この幅対応方向の領域長は、40mm用紙R4における形成可能ドット数と同一であり、必要最小限の値である。また、図4(B)に示すように、可変展開領域65cの長手対応方向の領域長は10ドットであり、可変展開領域65cのサイズは40ドットである。
このように可変展開領域65cの幅対応方向の領域長が40mm用紙R4における形成可能ドット数と同一であるため、幅対応方向の領域長が必要最小限の値となり、80mm用紙R8の幅と、40mm用紙R4の幅との差に起因して使用不可能領域63cが生じることがない。さらに、可変展開領域65cの長手対応方向の領域長は、可変展開領域65cのサイズが、最大展開領域61のサイズと同一のサイズとなるような値に決定されるため、可変展開領域65cのサイズを、最大展開領域61のサイズと同一とすることができる。つまり、このような形態の可変展開領域65cをRAM20aに画像バッファー50として形成することにより、RAM20aに最大展開領域61と同じサイズの領域を確保した上で、確保した領域について、使用不可能領域63b、63cを現出させることなく、効率的に使用することを実現できる。
さらに、ラベルシートRに記録される画像の長手方向の長さは、将来的な規格の変更等の種々の原因により、想定されている長さよりも長くなる可能性がある。これを踏まえ、RAM20aに形成する画像バッファー50の長手対応方向の領域長は、できるだけ長くしたいとするニーズがある。そして、本実施形態によれば、可変展開領域65cのサイズが、最大展開領域61のサイズ(最大サイズ)を超えない範囲で、長手対応方向の領域長を最大限に長くすることができるため、上記ニーズに適切に応えることが可能である。
【0025】
以上のようにして画像バッファー50として、可変展開領域65を展開した後、記録制御部42は、ホストコンピューター10から受信した画像データを、当該可変展開領域65内に展開する。上述したように、可変展開領域65の幅対応方向の領域長は、実際にプリンター11にセットされているラベルシートRの幅に対応した値となっているため、記録制御部42は、オーバーフローさせることなく、確実に、画像データを可変展開領域65内に展開可能である。
【0026】
以上説明したように、本実施形態に係るプリンター11は、幅検出部41により検出されたラベルシートRの幅に応じて画像バッファー50の態様を変えて、RAM20aに画像バッファー50を形成するバッファー形成部43を備えている。
これによれば、RAM20aへの画像バッファー50の形成に際し、ラベルシートRの実際の幅に応じて画像バッファー50の態様が変更されるため、画像バッファー50を、ラベルシートRの幅の長さに従って変動する印字領域に対応した態様とすることができ、RAM20aの効率的な使用を実現できる。
【0027】
また、本実施形態では、バッファー形成部43は、画像バッファー50のサイズとして、セット可能なラベルシートRのうち最も幅の大きい80mm用紙R8の1ページ分(1ジョブ分)の画像データを少なくとも展開可能なサイズである最大サイズを確保し、RAM20aに画像バッファー50としての可変展開領域65を形成する際は、形成後の可変展開領域65のサイズが当該最大サイズとなるように、幅検出部41により検出されたラベルシートRの幅と対応させて可変展開領域65の幅対応方向の領域長を決定すると共に、長手対応方向の領域長を決定する。
これによれば、可変展開領域65のサイズがRAM20aの構成上の最大値である最大サイズとなるように、ラベルシートRの幅に応じて、可変展開領域65の幅対応方向の領域長、長手対応方向の領域長が決定されるため、確保可能なサイズを最大限使用して可変展開領域65を形成することが可能となり、所定の記憶領域のさらなる効率的な使用を実現できる。
【0028】
また、本実施形態では、幅検出部41は、幅検出用の紙幅センサー37の検出値に基づいてラベルシートRの幅を検出する。
この構成によれば、例えば、ラベルシートRへの画像の記録の前にユーザーが人為的にラベルシートRの幅を入力するといった煩雑な作業を行うことなく、幅検出部41により、自動で、ラベルシートRの幅が検出されるため、利便性が高い。上述したように、プリンター11及びホストコンピューター10のいずれかの記憶領域に、ラベルシートRの幅を示す設定値が記録されている場合、幅検出部41は、当該設定値を取得することにより、ラベルシートRの幅を検出してもよい。
【0029】
次いで、別の実施形態について説明する。
図5は、別の実施形態におけるホストコンピューター10、及び、プリンター11の機能的構成を示すブロック図である。
図1と図5との比較で明らかなように、別の実施形態では、ホストコンピューター10のホスト側制御部25のプリンタードライバー実行部25bが、幅検出部41、記録制御部42、及び、バッファー形成部43を備えている。
この場合、幅検出部41は、プリンター11との通信を介して、紙幅センサー37の検出値を取得して、ラベルシートRの幅を検出する。記録制御部42は、所定の制御コマンドを出力することにより、プリンター11の制御部20と協働して、プリントエンジン33を制御して、ラベルシートRへの画像の記録に係る処理を実行する。バッファー形成部43は、プリンター11の制御部20と協働して、画像バッファー50としての可変展開領域65の幅対応方向の領域長、及び、長手対応方向の領域長を決定し、これら領域長に準じた形態の可変展開領域65をRAM20aに形成させる。
このような構成であっても、本実施形態と同様の効果を奏することが可能である。
【0030】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した各実施形態では、プリンター11は、サーマル式であったが、記録形式はこれに限らず、インクジェットプリンター、ドットインパクトプリンター、レーザープリンター、熱昇華型プリンター等であってもよい。すなわち、本発明は、画像バッファー50に画像データを展開した上で、当該画像データに係る画像を記録する記録装置に広く適用可能である。
また例えば、図1、図5に示す各機能ブロックはハードウェアとソフトウェアの協働により任意に実現可能であり、特定のハードウェア構成を示唆するものではない。
また例えば、制御部20や、ホスト側制御部25の機能を、プリンター11に外部接続される別の装置に持たせるようにしてもよい。
また、プリンター11の外部の記憶媒体に記憶させたプログラムを実行することにより、図で示した各フローチャートの各ステップを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1…記録システム、R4…40mm用紙(記録媒体)、R6…60mm用紙(記録媒体)、R8…80mm用紙(記録媒体)、10…ホストコンピューター(制御装置)、11…プリンター(記録装置)、15…記録ヘッド、20…制御部、20a…RAM、41…幅検出部、42…記録制御部、43…バッファー形成部、50…画像バッファー(バッファー)、65、65c…可変展開領域(バッファー)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に記録する記録装置であって、
前記記録媒体への画像の記録に際し、当該画像の画像データをページ単位でバッファーに展開して、展開した前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行う記録制御部と、
前記記録媒体の幅を検出する幅検出部と、
前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅に応じて前記バッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成するバッファー形成部と、を備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記バッファー形成部は、
前記バッファーのサイズとして、セット可能な前記記録媒体のうち最も幅の大きい前記記録媒体の1ページ分の前記画像データを少なくとも展開可能なサイズである最大サイズを確保し、
前記所定の記憶領域に前記バッファーを形成する際は、形成後の前記バッファーのサイズが前記最大サイズとなるように、前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅と対応させて前記バッファーの前記記録媒体の幅方向に対応する方向の領域長を決定すると共に、前記記録媒体の長手方向に対応する方向の領域長を決定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記幅検出部は、幅検出用のセンサーの検出値に基づいて、又は、前記記録媒体の幅を示す設定値に基づいて、前記記録媒体の幅を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の記録装置。
【請求項4】
記録媒体に記録する記録装置に接続可能な制御装置であって、
前記記録媒体への画像の記録に際し、前記記録装置に当該画像の画像データをページ単位でバッファーに展開させて、展開させた前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行わせる記録制御部と、
前記記録装置に前記記録媒体の幅を検出させる幅検出部と、
前記記録装置に前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅に応じて前記バッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成させるバッファー形成部と、を備えることを特徴とする制御装置。
【請求項5】
記録媒体に記録する記録装置の制御方法であって、
前記記録媒体への画像の記録に際し、
前記記録媒体の幅を検出し、
検出した前記記録媒体の幅に応じてバッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成し、
当該画像の画像データをページ単位で前記バッファーに展開して、展開した前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行うことを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項6】
記録媒体に記録する記録装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記記録媒体への画像の記録に際し、当該画像の画像データをページ単位でバッファーに展開して、展開した前記画像データに基づいて前記記録媒体に記録を行う記録制御部と、
前記記録媒体の幅を検出する幅検出部と、
前記幅検出部により検出された前記記録媒体の幅に応じて前記バッファーの態様を変えて、所定の記憶領域に前記バッファーを形成するバッファー形成部と、として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−35214(P2013−35214A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173250(P2011−173250)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】