説明

記録装置、表示装置及び保持装置

【課題】重ねられている複数の媒体のいずれかに画像を書き込むことを可能にする。
【解決手段】表示装置9は、照射される光に応じた画像を表示する複数の電子ペーパー1と、複数の電子ペーパー1の移動方向を制限し、これらの電子ペーパー1を重ねられた状態で保持する制限部材21と、重ねられた複数の電子ペーパー1のうち、隣り合う2つの電子ペーパー1の間に差し込まれ、当該2つの電子ペーパー1のうちの一方に対し、画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射板3と、複数の電子ペーパー1の重ねられる方向に移動可能で、光照射板3に接続する供給端子22と、2つの電子ペーパー1の間に差し込まれた光照射板3に接続可能な位置へと、供給端子22を移動させる移動部23とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置、表示装置及び保持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子ペーパーなどの表示媒体に光などを用いて画像を書き込んで、その表示媒体に画像を表示させる技術が知られている。例えば、特許文献1には、画像を書き込む装置本体に複数枚の表示体を着脱することが可能となっているものが開示されている。また、特許文献2には、複数の表示記録媒体の一辺を回動自在に保持する保持部を備え、この表示記録媒体を1枚ずつめくり、書き込みを行うブック型表示記録媒体が開示されている。また、特許文献3には、表示媒体の表裏面の一方が書込位置に向いたまま表示媒体を書込位置に搬送し、表示媒体に擦り傷等が生じないようにする画像書込装置が開示されている。また、特許文献4には、フレキシブルな表示媒体であって、表示駆動部及び表示部を備えた電子ペーパーと当該電子ペーパーを複数ページ装着することができる本体とからなる電子ペーパファイルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−305065号公報
【特許文献2】特開2005−321739号公報
【特許文献3】特開2005−300777号公報
【特許文献4】特開2002−287690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、重ねられている複数の媒体のいずれかに画像を書き込むことを可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本願の請求項1に係る記録装置は、照射される光に応じた画像を表示する複数の表示手段の移動方向を制限し、当該表示手段を重ねられた状態で保持する保持手段と、重ねられた複数の前記表示手段のうち、隣り合う2つの前記表示手段の間に差し込まれ、当該2つの表示手段のうちの一方に対して前記画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段と、前記複数の表示手段の重ねられる方向に移動可能で、前記光照射手段と接続する接続手段と、前記接続手段が前記光照射手段に接続可能な位置へ当該接続手段を移動させる移動手段とを有する。
【0006】
本願の請求項2に係る記録装置は、請求項1に記載の態様において、前記光照射手段が前記表示手段に前記光を照射するときに、当該表示手段に対して電圧を印加する電圧印加手段を有し、前記表示手段は、前記電圧印加手段により電圧が印加されると、照射される光に応じた画像を表示する状態となることを特徴とする。
【0007】
本願の請求項3に係る記録装置は、請求項1に記載の態様において、前記接続手段は、前記光照射手段に光を供給する光供給手段を有し、前記光照射手段は、画像を示す画像データを取得する取得手段を有し、前記光供給手段から供給される光を、前記取得手段によって取得した前記画像データに応じて、前記一方の表示手段に対して透過または遮蔽することを特徴とする。
【0008】
本願の請求項4に係る記録装置は、請求項1に記載の態様において、前記接続手段は、前記光照射手段に前記画像データを供給する画像データ供給手段を有し、前記光照射手段は、光源を有し、前記光源から発せられた光を、前記画像データ供給手段から供給された前記画像データに応じて、前記一方の表示手段に対して透過または遮蔽することを特徴とする。
【0009】
本願の請求項5に係る記録装置は、請求項1から4のいずれかに記載の態様において、前記移動手段は、前記光照射手段が前記2つの表示手段の間に差し込まれたときに、当該光照射手段及び当該2つの前記表示手段の間に形成される空間を検知し、検知した当該空間の位置に対応する位置であって、前記光照射手段に前記接続手段が接続可能な位置に前記接続手段を移動させることを特徴とする。
【0010】
本願の請求項6に係る記録装置は、請求項5に記載の態様において、前記移動手段は、前記複数の表示手段の重ねられる方向に並べられ、それぞれが光を感知する複数の感知手段を有し、前記複数の感知手段のそれぞれが感知した光の各光量を閾値と比較することにより、前記空間を検知することを特徴とする。
【0011】
本願の請求項7に係る記録装置は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の態様において、前記光照射手段が前記2つの前記表示手段の間に差し込まれるときに前記保持手段に生じる撓みの量を検知する検知手段を有し、前記移動手段は、前記検知手段により検知された撓みの量に基づいて、前記光照射手段に前記接続手段が接続可能な位置を特定し、特定した位置に前記接続手段を移動させることを特徴とする。
【0012】
本願の請求項8に係る表示装置は、請求項1から7のいずれかに記載の記録装置と、前記記録装置により保持され光を照射されると、当該光に応じた画像を表示する表示手段とを有する。
【0013】
本願の請求項9に係る保持装置は、照射される光に応じた画像を表示する複数の表示手段の移動方向を制限し、当該表示手段を重ねられた状態で保持する保持手段と、前記複数の表示手段の重ねられる方向に移動可能で、重ねられた複数の前記表示手段のうち、隣り合う2つの前記表示手段の間に差し込まれ、当該2つの表示手段のうちの一方に対して前記画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段と接続する接続手段と、前記接続手段が前記光照射手段に接続可能な位置へ当該接続手段を移動させる移動手段とを有する。
【0014】
本願の請求項10に係る保持装置は、請求項9に記載の態様において、前記保持手段は、複数の前記表示手段をそれぞれ着脱可能なように保持することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本願の請求項1に係る記録装置によれば、重ねられた状態で保持した複数の表示手段のいずれかに画像を書き込むことができる。
本願の請求項2に係る記録装置によれば、光照射手段が光を照射する表示手段が画像を表示する状態になるように、その表示手段に対して電圧を印加することができる。
本願の請求項3に係る記録装置によれば、光照射手段は光源を備える必要がない。
本願の請求項4に係る記録装置によれば、光照射手段は画像データを記憶する必要がない。
本願の請求項5に係る記録装置によれば、空間を検知する精度に応じて接続手段を移動させることができる。
本願の請求項6に係る記録装置によれば、接続手段を移動させる位置を光学的精度で検知することができる。
本願の請求項7に係る記録装置によれば、接続手段を移動させる位置を検知するために光を感知する必要がない。
本願の請求項8に係る表示装置によれば、重ねられた状態で保持した複数の表示手段のいずれかに画像を書き込むことができる。
本願の請求項9に係る保持装置によれば、重ねられた状態で保持した複数の表示手段のいずれかに、光照射手段によって画像を書き込ませることができる。
本願の請求項10に係る保持装置によれば、保持している表示手段を取り外して、単体で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態に係る表示装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】表示装置の主要部の分解斜視図である。
【図3】電子ペーパーを説明するための図である。
【図4】ホルダーをY(−)方向からY(+)方向に向かって見たときの図である。
【図5】図1における矢視V−Vから表示装置を見た図である。
【図6】ホルダーの移動部を説明するための図である。
【図7】供給端子の構造を説明する図である。
【図8】光照射板の構造を説明する図である。
【図9】変形例1における空間検知部を説明する図である。
【図10】変形例2における移動部を説明するための図である。
【図11】図10における領域XIを拡大した図である。
【図12】移動部を、図11の矢線XIIa−XIIa、XIIb−XIIbから見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による実施形態を説明する。
1.表示装置の全体構成
図1は、本実施形態に係る表示装置9の全体構成を示す斜視図である。同図に示すように、表示装置9は、照射される光に応じた画像をそれぞれ表示する表示手段の一例である複数の電子ペーパー1と、複数の電子ペーパー1を重ねられた状態で保持する保持装置の一例であるホルダー2と、重ねられた複数の電子ペーパー1のうち、隣り合う2つの電子ペーパー1の間に差し込まれ、そのうちの一方に対し、画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段の一例である光照射板3とを備える。ホルダー2と光照射板3とは、重ねられた状態で保持した複数の表示手段の移動方向を制限し、そのうちのいずれかに光を照射して画像を表示させる記録装置の一例である。したがって、表示装置9は、複数の電子ペーパー1と上述の記録装置とを有する表示装置の一例である。
表示装置9は、図1におけるY(+)方向が上に、X(+)方向が右に、Z(+)方向が手前になるようにして利用者に観察される。すなわち、表示装置9は、図1におけるZ(+)方向からZ(−)方向に観察される。以下では、図1における左右方向の右方向をX(+)・左方向をX(−)、高さ方向の上方向をY(+)・下方向をY(−)、奥行き方向の手前方向をZ(+)・奥方向をZ(−)として説明する。
【0018】
図2は、表示装置9の主要部の分解斜視図である。ホルダー2は、底板20と、制限部材21と、供給端子22と、移動部23と、天井板24とを備える。底板20は、矩形の板であり、奥行き方向の最も奥方向(Z(−))に配置される。底板20の手前方向の面のうち左側(X(−))には、円柱状の2つの制限部材21と四角柱状の2つの移動部23とが設けられており、それぞれ手前方向(Z(+))に向かって延びている。2つの制限部材21のそれぞれは、電子ペーパー1に設けられた2つの孔11のそれぞれに通される。電子ペーパー1の孔11を通した制限部材21の最も手前方向の面は、天井板24の奥方向の面に設けられた凹部241に嵌る。これにより、ホルダー2は電子ペーパー1を保持する。電子ペーパー1が、ホルダー2に複数枚保持される場合には、各制限部材21は、複数の電子ペーパー1の各孔11を通って天井板24の凹部241に嵌め込まれる。このとき、複数の電子ペーパー1は、奥方向(Z(−))から手前方向(Z(+))に向かって重ねられた状態で制限部材21により綴じられ、それぞれX軸方向およびY軸方向への移動を制限される。ただし、各電子ペーパー1に設けられた孔11が制限部材21の側面に沿ってその長手方向に摺動可能なため、各電子ペーパー1のZ軸方向への移動は可能である。すなわち、制限部材21は、複数の表示手段の移動方向を制限し、当該表示手段を重ねられた状態で保持する保持手段の一例である。以下、奥行き方向(手前方向であるZ(+)方向、および奥方向であるZ(−)の両方)を、電子ペーパー1の重ねられる方向ともいう。
【0019】
供給端子22は、2つの移動部23に挟まれて配置されており、各移動部23によって両側から支持されている。各移動部23は、図示しない制御部による制御の下、同期して電子ペーパー1の重ねられる方向、すなわち奥行き方向の手前方向(Z(+))と、その反対方向である奥方向(Z(−))のいずれにも供給端子22を移動可能に構成されている。供給端子22は、光照射板3と接続する。すなわち、供給端子22は、複数の表示手段の重ねられる方向に移動可能で、光照射手段と接続する接続手段の一例である。また、供給端子22は、光照射板3に光を供給する光供給手段の一例である導光部材222と、光照射板3に画像データを供給する画像データ供給手段の一例である導電端子221とを有する。導光部材222と導電端子221の詳細は後述する。
【0020】
光照射板3は、接続端子31を備えている。光照射板3は、接続端子31を左方向(X(−))に向けて、重ねられた複数の電子ペーパー1のうち、隣り合う2つの電子ペーパー1の間に右方向(X(+))から差し込まれる。そして、接続端子31は、供給端子22に突当り、さらに差し込まれることにより供給端子22に装着される。光照射板3は、供給端子22に装着された接続端子31を介して、供給端子22から供給される光と画像データを受け取る。光照射板3は、供給端子22の導光部材222から供給された光と、導電端子221から供給された画像データから、画像データが示す画像に応じた光を生成し、その手前方向の面に載っている電子ペーパー1に対して、その光を照射する。これにより電子ペーパー1には、画像データが示す画像が表示される。ここで、光照射板3の手前方向の面に載っている電子ペーパー1は、光照射板3が差し込まれた2つの電子ペーパー1のうちの一方である。
【0021】
2.電子ペーパーの構成
図3は、電子ペーパー1を説明するための図である。図3(a)には、利用者が観察する方向、すなわち、奥行き方向の手前方向(Z(+))から奥方向(Z(−))へ向かう方向に、電子ペーパー1を観察した外観が示されている。電子ペーパー1の左側(X(−))には、基部10が設けられており、基部10の上下(Y(+)・Y(−))には、には孔11が1つずつ設けられている。基部10の奥方向(Z(−))の面には2つの電極12が設けられている。なお、電極12の数は2つに限られず、1つでもよいし3つ以上でもよい。
【0022】
基部10の右側(X(+))には、表示体13が設けられている。表示体13は、記憶性液晶であるコレステリック液晶を有している。コレステリック液晶は双安定の物質であり、電圧等によりエネルギーが与えられていない状態でも光の反射率が異なる2つの配向状態のいずれかを維持する。コレステリック液晶分子の安定な配向には、プレーナ配向とフォーカルコニック配向とがある。プレーナ配向において、コレステリック液晶分子は、特定の波長帯の光を反射(ブラッグ反射)する。フォーカルコニック配向において、コレステリック液晶分子は、光を透過する。表示体13は、配向状態に応じた反射率の違いを利用して表示を行うものである。
【0023】
図3(b)には、Y(−)方向からY(+)方向に向かって観察したときの電子ペーパー1が示されている。面13aは、表示体13の手前側の面、すなわち、おもて面(第1の面)である。利用者は、面13aから画像を見る。面13bは、表示体13の下面、すなわち、裏面(第2の面)である。光照射板3は、面13b側から画像の消去や書き込みを行う。具体的には、表示体13は、光が照射されると電気抵抗が低下する感光層と、印加される電圧に応じて分子の配向状態が変化するコレステリック液晶分子を含んだ液晶層と、感光層と液晶層を挟む2枚の透明電極とを備えている。
【0024】
透明電極は、ITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムすず)等、光を透過する(すなわち、光の透過率が予め定められた閾値よりも高い)材料で作られている。そして、透明電極は、基部10に設けられた電極12と電気的に接続されており、後述するように光照射板3によって電極12に電圧がかけられたときに、この電圧に応じた電圧がかかるように構成されている。透明電極の間に印加された電圧は、これらに挟まれる感光層と液晶層にかかる。
【0025】
電極12が光照射板3から電圧を印加されていないときには、透明電極の間には電圧が印加されないため、面13b側から光が照射されても液晶層に含まれるコレステリック液晶分子の配向状態に変化は生じ難い。つまり、電子ペーパー1は、書き込まれた画像を保持するために電力を受ける必要が無い。
【0026】
光照射板3によって電極12に電圧がかけられているとき、面13b側から光が照射されていない部分においては、感光層の抵抗が液晶層に比較して高いため、透明電極の間に印加された電圧はほとんど感光層にかかり、液晶層にはほとんど電圧がかからない。したがって、この部分の液晶層に含まれるコレステリック液晶分子の配向状態に変化は生じ難い。
【0027】
一方、光照射板3によって電極12に電圧がかけられているとき、面13b側から光が照射されている部分においては、感光層が低抵抗化するので液晶層にかかる電圧が上昇する。この部分の液晶層に含まれるコレステリック液晶分子は、印加される電圧に応じて分子の配向状態が変化する。
【0028】
こうして、光照射と電圧印加を組み合わせることにより、電子ペーパー1において、特定の領域における液晶の配向を制御すること、すなわち、画像を記録することができる。すなわち、電子ペーパー1は、電圧が印加されると、照射される光に応じた画像を表示する状態となる表示手段の一例である。形成されるこの画像は面13a側から利用者によって観察される。なお、液晶層は、コレステリック液晶等のホスト液晶に添加するカイラル剤の重量比を調節することによって、選択反射する光の波長帯を様々に設定される。コレステリック液晶がプレーナ配向の状態で、それぞれ異なる波長帯の光を選択反射するように設計された複数の液晶層を重ね合わせ、感光し得る波長帯が異なる感光層を、例えば各液晶層に対向して設けることにより、電子ペーパー1には複数の色を含む画像(例えばカラー画像)が書き込まれる。
【0029】
3.移動部の構成
図4は、ホルダー2をY(−)方向からY(+)方向に向かって見たときの図である。同図に示すように、各電子ペーパー1に設けられた孔11に制限部材21が通されることで、複数の電子ペーパー1がホルダー2の底板20に重ねて置かれると、各電子ペーパー1の左端は移動部23に密着する。
【0030】
図5は、図1における矢視V−Vから表示装置9を見た図である。以下、同図を用いて、光照射板3を2つの電子ペーパー1の間に差し込んだときの表示装置9の状態を説明する。ホルダー2に重ねた状態で保持された複数の電子ペーパー1のうち、隣り合う2つの電子ペーパー1である電子ペーパー1aと電子ペーパー1bとの間に、矢線D51方向(X(−))に光照射板3が差し込まれると、光照射板3に乗り上げた電子ペーパー1aおよびその上に載せられている電子ペーパー1は矢線D52方向に持ち上げられ、電子ペーパー1aと電子ペーパー1bとの間に空間が生じる。
【0031】
図6は、ホルダー2の移動部23を説明するための図である。図6(a)には、移動部23の内部構成の概略が示されている。同図に示すように、移動部23は、右側(X(+))に空間検知部231、左側(X(−))に駆動部232を備える。
空間検知部231は、光照射板3が2つの電子ペーパー1の間に差し込まれたときに、光照射板3及び2つの電子ペーパー1の間に形成される空間を検知する。具体的には、空間検知部231は、図示しない制御部と、電子ペーパー1の重ねられる方向に並べられた複数のフォトセンサPhを備える。フォトセンサPhは、同図における右側(X(+))に光を照射し、その光の反射光を感知する反射型フォトセンサである。
【0032】
電子ペーパー1の重ねられる方向においてフォトセンサPhが面している位置に、電子ペーパー1があると、このフォトセンサPhは電子ペーパー1によって反射される反射光を感知する。一方、電子ペーパー1の重ねられる方向においてフォトセンサPhが面している位置に、電子ペーパー1がなく空間が空いていると、このフォトセンサPhはこの空間によって反射される反射光を感知する。電子ペーパー1によって反射される反射光の光量V1は、空間によって反射される反射光の光量Vsとは異なっており、例えば、光量V1は予め定めた閾値よりも高く、光量Vsはこの閾値以下である。したがって、フォトセンサPhの感知した光の光量と予め定めた閾値とを制御部が比較することによって、フォトセンサPhがどちらの反射光を感知したかが判定される。
【0033】
フォトセンサPhが光を感知する側に空間がある場合は2通りある。すなわち、重ねられた電子ペーパー1のうち、少なくとも1つの電子ペーパー1の奥側に生じた空間の場合と、重ねられた全ての電子ペーパー1の最も手前側に生じている空間の場合とである。前者の空間を後者の空間と区別して「空間Sp」とよぶ。したがって、空間Spは、隣り合う2つの電子ペーパー1の間に生じた空間、および重ねられた全ての電子ペーパー1の最も奥側に生じる空間を含む。
【0034】
図6(a)に示すように、光bm1を照射するフォトセンサPhは、感知した光の光量と閾値とを比較することにより、空間に面していると制御部に判定される。また、光bm3を照射するフォトセンサPhについても、空間に面していると制御部に判定される。一方、光bm2や光bm4を照射するフォトセンサPhは、空間に面していないと制御部に判定される。
【0035】
制御部は、空間に面していると判定されたフォトセンサPhのうち、その1つ手前側(Z(+))にあるフォトセンサPhが空間に面していないと判定されるものを特定する。このようなフォトセンサPhは、光bm3を照射するものに限られるので、制御部はこのフォトセンサPhを特定する。そして、制御部は、特定したフォトセンサPhの位置を、空間Spの位置と判断し、この空間Spの位置に対応する位置に供給端子22を移動させる旨の制御信号を駆動部232に対して発する。
【0036】
図6(b)に示すように、駆動部232は、上下に1つずつ設けられた2つのロールRoと、2つのロールRoに架け渡されたベルトBtとを備え、また、図示しないモーターを備える。ベルトBtの外周面には、突起Haが設けられている。供給端子22の上下方向(Y(+)・Y(−))に設けられた鉤部材が、この突起Haに掛けられることにより、供給端子22は移動部23に支持される。2つのロールRoのうち、少なくとも一方は上記モーターによって駆動させられるドライブロールである。なおこのモーターは、ドライブロールを介してベルトBtを駆動するものであればどの様なものであってもよく、例えば超音波リニアモーターなどである。フォトセンサPhが空間Spを検知すると、ドライブロールは、空間検知部231の制御部から上記の制御信号を受けてベルトBtを駆動させ、供給端子22を空間Spの位置に対応する位置Loに移動させる。位置Loは、供給端子22が、空間Spの位置に差し込まれた光照射板3の接続端子31を装着可能な位置であるから、供給端子22が光照射板3に光と画像データを供給可能な位置である。すなわち、移動部23は、電子ペーパー1の重ねられる方向に並べられ、それぞれが光を感知する感知手段の一例であるフォトセンサPhを複数個、有している。そして、移動部23は、複数のフォトセンサPhのそれぞれが感知した光の各光量を閾値と比較することにより、光照射手段が2つの表示手段の間に差し込まれたときに、光照射手段及び2つの前記表示手段の間に形成される空間を検知し、検知した当該空間の位置に対応する位置であって、光照射手段に供給手段が光又は画像データを供給可能な位置に供給手段を移動させる。
【0037】
4.供給端子の構成
図7は、供給端子22の構造を説明する図である。図7(a)には、供給端子22をY(−)方向からY(+)方向に向かって見たとき様子が示されている。図7(b)には、図7(a)の矢視VIIb−VIIbから供給端子22を見たときの断面が示されている。供給端子22は、奥行き方向(Z(+)・Z(−))と、上下方向(Y(+)・Y(−))を囲い、X(+)方向に延びる金属板で形成されたケーシング220と、そのケーシング220の内側で下寄りの位置に、X(+)方向に延びる四角柱状の導光部材222が設けられている。導光部材222の上側の面には例えば樹脂で形成された基板が貼り付けられており、この基板上には導電性のある金属板を折り曲げて形成された導電端子221が複数(図7(b)において7つ)設けられている。導光部材222の内部は、その長手方向(X軸方向)に光を透過させる材料で形成されている。導光部材222のうち、X(−)側には光源Lgが備えられており、光源Lgから発せられた光は導光部材222の長手方向に沿って、導光部材222の発光面222aから矢線D6方向(X(+))に導かれる。
【0038】
5.光照射板の構成
図8は、光照射板3の構造を説明する図である。図8(a)には、光照射板3を手前方向(Z(+))から見た様子が、図8(b)には、光照射板3を図7(a)の矢視VIIIb−VIIIbから光照射板3を見たときの断面が示されている。なお、光照射板3は、供給端子22に対して着脱可能な部材であり、供給端子22から脱離した状態では方向が定まらないため、同図において、光照射板3の位置や方向を、供給端子22に装着された状態におけるXYZ座標によって説明する。
【0039】
光照射板3の接続端子31には、奥行き方向(Z(+)・Z(−))と、上下方向(Y(+)・Y(−))を囲い、X(−)方向に延びる金属板で形成されたケーシング310と、そのケーシング310の内側で上寄りの位置に、X(−)方向に延びる板材311が設けられている。板材311の下側の面には導電性のある金属板で形成された導電端子312が複数設けられている。上記の図7(b)に示すように、供給端子22に接続端子31を挿入すると、供給端子22のケーシング220と導光部材222との間に接続端子31のケーシング310が嵌り込み、導光部材222の上側に貼り付けられた基板と、板材311の下側の面とが対面する。導光部材222の上側の面に設けられた導電端子221は、折り曲げられて基板よりも上方向に突出しており、供給端子22に接続端子31が挿入される際に、板材311の下側の面に接触し、この面によって下側に押される。接続端子31が供給端子22に完全に差し込まれると、7つの導電端子221の位置に、各導電端子312が配置され、互いに接触する。この接触により、供給端子22は、導電端子221および導電端子312を介して光照射板3に画像データと電力を供給する。
【0040】
図8(b)に示すように、光照射板3の接続端子31の右側(X(+))には、2層構造の光照射板本体が設けられている。光照射板本体は手前側(Z(+))の層が画像形成層30であり、奥側(Z(−))の層が導光層32である。画像形成層30は、左側(X(−))に基部300を有しており、基部300の手前側(Z(+))の面には2つの電圧印加端子301が設けられている。基部300は、供給端子22から供給された電力により駆動する。そして、電圧印加端子301は、光照射板3に載せられた電子ペーパー1の電極12に接触すると、その電極12を介してその電子ペーパー1に電圧を印加する。これにより、電子ペーパー1の表示体13に備えられた透明電極は液晶層と感光層に対して、電極12が受け取った電圧に応じた電圧を印加し、電子ペーパー1は光書込みが可能な状態となる。すなわち、電圧印加端子301は、光照射手段が表示手段に光を照射するときに、その表示手段に対して電圧を印加する電圧印加手段の一例である。
【0041】
画像形成層30のうち、基部300の右側(X(+))には、液晶板302が設けられている。液晶板302は、マトリクス状に配列した画素電極と、この画素電極に接続されたTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)のようなスイッチング素子などが設けられた素子基板と、画素電極に対向する対向電極が形成された対向基板と、これら両基板との間に充填されたネマチック液晶とを備える。
【0042】
基部300に備えられた制御部(図示せず)は、供給端子22から供給された画像データに応じて画素電極に印加する画像信号を生成する。制御部が、走査線を介して素子基板に走査信号を印加すると、スイッチング素子が導通状態となる。この導通状態の際に、制御部が、素子基板のデータ線を介して画素電極に、画像データに応じた電圧の画像信号を印加すると、当該画素電極および対向電極の間の液晶層に画像信号の電圧に応じた電荷が蓄積される。このように、各スイッチング素子を駆動させ、蓄積させる電荷量を階調に応じて制御すると、画素毎に液晶の配向状態が変化するので、各画素を光が透過するときの透過率が変化し、液晶板302の奥側(Z(−))から手前側(Z(+))に向けて照射される光を、液晶板302の各画素がその透過率に応じて遮光する。
【0043】
光照射板3の導光層32には、受光面32aと発光面32bが設けられている。受光面32aは、導光層32の最も左側(X(−))の端面であり、光を受け入れて内部に導く。発光面32bは、導光層32の手前側(Z(+))の面であり、反射を繰り返しつつ導光層32の内部を透過する光が照射されるように加工されている。導光層32はアクリル板などによって形成される。接続端子31が供給端子22に完全に差し込まれると、導光部材222の発光面222a(図7参照)と受光面32aとが対面接触し、供給端子22の光源Lgから発せられた光は導光部材222の発光面222aから照射され、受光面32aにより導光層32の内部に導かれる。導光層32の内部に導かれた光は導光層32の内壁において表面反射を繰り返しながら矢線D81方向に進み、導光層32の内部全体に広がる。広がったこの光のうち矢線D82方向に向かう光が、発光面32bから照射される。発光面32bから照射される光は、液晶板302にとってのいわゆるバックライトとなり、液晶板302の手前側(Z(+))の面からは、この面に対面する電子ペーパー1の面13bに向けて画像データに応じた光が照射される。
【0044】
以上のようにして、光照射板3は、重ねられた複数の電子ペーパー1のうち、隣り合う2つの電子ペーパー1の間に差し込まれ、当該2つの電子ペーパー1のうちの一方に対し、画像を示す画像データに応じた光を照射して、画像データに応じた画像をその電子ペーパー1に書き込む。これにより、重ねられた状態の複数の電子ペーパー1のうち、利用者に選択されたいずれか1つの電子ペーパー1に対して、その電子ペーパー1をホルダー2から取り外すことなく画像が書き込まれる。利用者は、複数枚が重ねられて冊子状となっている電子ペーパー1に対して下敷きを差し込む感覚で光照射板3を差し込み、画像を書き込むので、このような構成を備えない場合に比較して利用者の操作効率は向上する。
【0045】
6.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
(1)変形例1
実施形態において、空間検知部231は、電子ペーパー1の重ねられる方向に並べられた複数のフォトセンサPhを備え、フォトセンサPhが空間Spによって反射される反射光を感知することで、空間を検知していたが、フォトセンサは反射型のフォトセンサに限られず、例えば、外部から漏れる光(以下、外光という)を感知するだけのフォトセンサであってもよい。また、複数のセンサを電子ペーパー1の重ねられる方向に並べるのではなく、一つのセンサを予め定められた速度で電子ペーパー1の重ねられる方向に走査して、信号が得られたタイミングから空間を検知してもよい。また、空間を検知する手段はフォトセンサに限られない。例えば、音波や超音波などを照射して、この反射を検知し、反射波の強度を閾値と比較することで空間の有無を検知してもよい。また、電子ペーパー1から受ける力を検知してもよい。
【0046】
図9は、この変形例における空間検知部231を説明する図である。制限部材21は円柱状であり、その側面には感圧フィルムが巻きつけられている。この感圧フィルムとは、表面から押し付ける圧力を感知するものであり、例えば、2層のシート状の電極と、これら電極に挟まれ、圧力が加わっていない状態では絶縁体として機能する絶縁層を備える。感圧フィルムに圧力が加えられると、圧力が加えられた部分において絶縁層が撓み、当該部分が薄くなって2層の電極が通電する。これにより圧力を受けた位置が感知される。感圧フィルムが圧力を受けた位置を感知すると、図示しない制御部にはその位置を示す情報が伝えられる。図9に示すように、矢線D9方向に図示しない光照射板3が差し込まれると、光照射板3よりも手前側(Z(+))に重ねられた電子ペーパー1は、光照射板3が差し込まれている右側(X(+))がより手前方向(Z(+))に持ち上がるように傾く。これにより、制限部材21は、傾いた電子ペーパー1の孔11によって、矢線F1や矢線F2などの方向から押圧される。制限部材21の表面に巻きつけられた感圧フィルムは、この孔11からの押圧力を感知し、図示しない制御部は押圧された位置に応じた位置に対応する位置に供給端子22を移動させる旨の制御信号を駆動部232に対して発する。すなわち、この場合、感圧フィルムは、空間検知部231として機能する。この場合、移動部23は、光照射手段が制限部材21の表面の感圧フィルムは2つの表示手段の間に差し込まれたときに、この光照射手段に接続可能な位置に接続手段を移動させる移動手段の一例である。
なお、感圧フィルムではなく制限部材21そのものを空間検知部231として機能させてもよい。例えば、制限部材21は、側面から押されると曲がるような可撓性のある材質で形成されており、内部に撓み量を検知するセンサを備えていてもよい。このセンサによって曲がった位置が検知されることにより、その位置に対応する位置に供給端子22を移動させる旨の制御信号を発してもよい。
【0047】
(2)変形例2
実施形態および変形例1において、移動部23の駆動部232は、空間検知部231が検知した空間の位置に応じた位置に供給端子22を移動させる旨の制御信号を受けて駆動していたが、駆動部232は、機械的な機構によって、空間の位置に応じた位置に供給端子22を移動させてもよい。図10は、この変形例における移動部23を説明するための図であり、表示装置9を手前側(Z(+))から見た図である。図10に示すように、供給端子22は、2つの移動部23に挟まれて配置されている。
【0048】
図11は、図10における領域XIを拡大した図である。図12は、移動部23を、図11の矢線XIIa−XIIaと、矢線XIIb−XIIbとからそれぞれ見た断面図である。
電子ペーパー1の左端(X(−))には、カム15が設けられている。カム15は、2つの軸座がY軸方向に並べられており、この軸座で支えられる軸を中心として回転可能に設けられている。カム15は、Y軸方向から観察すると、例えば楕円状であり、電子ペーパー1に光照射板3が差し込まれていない状態においては、長径がX軸方向に、短径がZ軸方向になる。すなわち、この状態においては、カム15は、X軸方向の幅が最大になるように置かれる。なお、このカム15の形状はどのようなものでもよく、要するに軸を中心とした回転によってX軸方向に占める幅が変化すればよい。
【0049】
ピニオン14は、カム15と同軸となるように設けられた歯車であり、図12における反時計回りに回転すると、90度まではカム15を伴って回転させる。しかし、カム15とピニオン14はラチェット構造で結合しているため、ピニオン14の90度を超える回転は空回りし、カム15を動かさない。ラック233は、移動部23の筐体内側に固定されており、右方向(X(+))に歯(図示せず)を備えており、この歯がピニオン14と噛み合うことで、ピニオン14は、電子ペーパー1の重ねられる方向の位置に応じて回転する。
【0050】
被支持部材223は、供給端子22のケーシング220の上側面と下側面からそれぞれ上方向(Y(+))および下方向(Y(−))に延びた被支持部材である。図12(b)に示すように、被支持部材223は奥方向(Z(−))に向かって細くなる“くさび状”の部材であり、X軸方向の幅が最大になるように置かれたカム15のうち、最も手前側(Z(+))にあるカム15によって手前方向(Z(+))に支持されている。被支持部材223は、ゴムやばね、重力などの力を受けて奥方向(Z(−))に付勢力を受けているため、被支持部材223を支持するカム15と密着する。また、壁部234は、移動部23の筐体内側に固定されており、被支持部材223が左方向(X(−))に押される力に抗して被支持部材223を押し返す。そして、被支持部材223は、移動部23の筐体内壁によってY軸方向の動きを制限されているため、これにより、被支持部材223は、後述するカム15の変化に応じ、Z軸方向に沿って移動する。
【0051】
重ねられた複数の電子ペーパー1のうちの隣り合う2つの電子ペーパー1の間に、光照射板3が差し込まれると、この2つの電子ペーパー1の間に空間Spが生じる。そして空間Spよりも手前側(Z(+))の電子ペーパー1に設けられたカム15は、ピニオン14の回転に伴って90度回転するため、長径がZ軸方向に、短径がX軸方向になる。すなわち、この状態においてカム15は、X軸方向の幅が最小になるように回転する。すると、このカム15によって支持されていた被支持部材223は、カム15と壁部234との隙間が拡がるため、付勢力によって図12(b)に示す矢線Da方向に移動し、空間Spの直ぐ下の電子ペーパー1に設けられたカム15の位置で停止する。被支持部材223に伴って供給端子22が移動させられるため、移動部23は、2つの電子ペーパー1の間に差し込まれた光照射板3に供給端子22が光又は画像データを供給可能な位置へと、当該供給端子22を移動させる移動手段として機能する。
【0052】
なお、電子ペーパー1に差し込まれていた光照射板3が右方向(X(+))に抜き取られると、光照射板3に乗り上げていた電子ペーパー1は、奥方向(Z(−))に移動し、空間Spは消滅する。このとき、光照射板3に乗り上げていた電子ペーパー1に設けられたカム15は、奥側(Z(−))にあるものから順に、図12(b)における時計回りに回転し、被支持部材223の傾斜面223sに当たって被支持部材223を手前側(Z(+))に押し上げる。被支持部材223に伴って供給端子22が移動させられるため、光照射板3が差し込まれていない状態にあっては、供給端子22は、全ての電子ペーパー1のうち、最も手前側にある電子ペーパー1のさらに手前側に移動する。
【0053】
(3)変形例3
供給端子22は、光照射板3に光と画像データを供給していたが、光又は画像データのいずれか一方を供給してもよい。
例えば、光照射板3の接触端子31が供給端子22に装着されると、供給端子22は光照射板3に光だけを供給し、画像データを供給しない構成としてもよい。この場合、光照射板3は、例えば、無線通信などにより、画像を示す画像データを記憶している装置からその画像データを取得し、取得したこの画像データに応じて、上述した液晶板302の各画素に相当する液晶の配向状態を変化させてもよい。
また、画像データの取得手段は、上述の例に限られない。例えば、光照射板3に、電力の供給が無くても画像データを記憶する記憶部を設けてもよい。そして、光照射板3は、画像データを記憶しているサーバー装置などから予め接触端子31を介して、画像データを取得し、この記憶部に記憶してもよい。また、光照射板3の接触端子31とは異なる部分、例えば、右側(X(+))などに画像データを有線通信により取得する端子を設け、画像データを記憶している装置からその画像データを取得するようにしてもよい。
この場合、供給端子22が有する導光部材222は、光照射板3に光を供給する光供給手段の一例であり、光照射板3は、画像を示す画像データを取得する取得手段を有し、導光部材222から供給される光を、取得手段によって取得した画像データに応じて、2つの表示手段のうちの一方に対して透過または遮蔽する光照射手段の一例である。
【0054】
また、光照射板3の接触端子31が供給端子22に装着されると、供給端子22は光照射板3に画像データだけを供給し、光を供給しない構成としてもよい。この場合、光照射板3の導光層32は、例えば、発光面32bを発光させる光源を備えており、発光面32bから照射されたこの光は、液晶層302によって、供給端子22から供給された画像データに応じて透過または遮蔽される。画像データに応じて透過または遮蔽された光は、電子ペーパー1の面13bに照射され、これにより、電子ペーパー1の面13aには、画像データに応じた画像が表示される。
この場合、供給端子22が有する導電端子221は、光照射板3に画像を示す画像データを供給する画像データ供給手段の一例であり、光照射板3は、光源を有し、その光源から発せられた光を、導電端子221から供給された画像データに応じて、2つの表示手段のうちの一方に対して透過または遮蔽する光照射手段の一例である。
【0055】
また、光照射板3は、供給端子22から光を供給されず、且つ光源を有していなくても発光面32bを発光させる構成であればよい。例えば、光照射板3のX(+)方向の端には、外光を収集する集光部が設けられており、光照射板3は、集光部が収集したこの外光を光照射板3の内部に導けばよい。
【0056】
なお、実施形態において、供給端子22から光照射板3に電力が供給されていたが、電力は供給されなくてもよい。この場合、光照射板3が電池を持っていてもよい。この電池は、例えば光照射板3に対して着脱可能な一次電池であってもよいし、蓄電が可能な二次電池であってもよい。また、光照射板3は、ホルダー2、電子ペーパー1とは別の外部電源から電力を供給されてもよい。この場合、光照射板3と外部の電源とは、導線等、有線によって接続されていてもよいし、磁界結合などを利用した無線による電力の供給機構で電気的に接続されていてもよい。
【0057】
(4)変形例4
実施形態において、光照射板3は、その手前方向の面に載っている電子ペーパー1に対し、画像データが示す画像に応じた光を照射していたが、奥方向の面に対面している電子ペーパー1に対し、上記の光を照射してもよい。要するに、光照射板3は、重ねられた複数の表示手段のうち、隣り合う2つの表示手段の間に差し込まれ、当該2つの表示手段のうちの一方に対し、画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段であればよい。
【0058】
(5)変形例5
実施形態において、電子ペーパー1は、孔11を備えており、電子ペーパー1の重ねられる方向に延びる制限部材21が通されていたが、端部に連続していない孔ではなく、切り欠きを備えていてもよい。ここでいう「切り欠き」とは、電子ペーパー1の端部から内部へ向けて切り取られた部分をいう。この切り欠きに制限部材21を通すことで、電子ペーパー1は重ねて綴じられる。また、電子ペーパー1は、この切り欠きが連続している端部とは反対側の方向へ移動させることで、制限部材21から取り外される。この場合、天井板24や他の電子ペーパー1を制限部材21から取り外す必要はない。
また、実施形態において制限部材21は円柱状であったが、他の形状であってもよく、例えば、四角柱状であってもよい。また、制限部材21の延びる方向は直線方向以外であってもよいので、制限部材21は、例えばリング状であってもよい。
また、複数の電子ペーパー1を重ねた状態でその移動方向を制限する制限手段は、制限部材21に限られない。例えば、各電子ペーパー1の左側(X(−))の端を嵌め込む溝を一方の面に備えた板状部材により、複数の電子ペーパー1を重ねた状態で綴じてもよい。この場合、光照射板3が、隣り合う2つの電子ペーパー1の間に差し込まれると、その電子ペーパー1が嵌め込まれている各溝どうしの間隔が開くように板状部材が構成されていればよく、例えば、板状部材は電子ペーパー1の重ねられる方向に伸縮自在なゴムなどの材質で形成されていてもよい。
【0059】
(6)変形例6
実施形態において、接続端子31は、供給端子22に突当り、さらに差し込まれることにより供給端子22に装着されたが、供給端子22は、装着された接続端子31を保持し、接続状態を維持する機構を備えていてもよい。例えば、接続端子31には、差し込まれる方向および抜き取られる方向のいずれでもない方向に延びる溝が設けられており、供給端子22には、バネなどの弾性部材によってこの溝の方向に向かう付勢力が与えられている突起を備えていてもよい。この構成において、接続端子31が差し込まれると、供給端子22に設けられた突起が接続端子31の溝に入り込み、接続端子31は供給端子22に保持される。そして、供給端子22に装着された状態で、さらに接続端子31を差し込み方向に押すと、供給端子22に設けられた突起が接続端子31の溝から外れるように構成されていてもよい。これにより、装着状態の接続端子31を差し込み方向に押すだけで、接続端子31は供給端子22から脱離する。要するに、いわゆるメモリーカードなどに用いられている「プッシュイン/プッシュアウト」の装着機構を備えていてもよい。なお、この機構の態様としては、特開2006−100210号公報や、特開2006−107902号公報、および特開2006−107902号公報などに記載されているようなものが挙げられる。
【0060】
(7)変形例7
実施形態において、光照射板3の基部300は、ホルダー2の供給端子22から供給された電力により駆動し、基部300の電圧印加端子301は、光照射板3に載せられた電子ペーパー1の電極12に接触すると、その電極12を介してその電子ペーパー1に電圧を印加していたが、電子ペーパー1は、光照射板3の基部300に設けられた電圧印加端子301以外から電圧を印加されてもよい。例えば、ホルダー2の供給端子22から、電子ペーパー1へ電圧が印加されてもよい。この場合、供給端子22は電圧印加端子を備えており、供給端子22に光照射板3の接続端子31が差し込まれると、この電圧印加端子は光照射板3に載せられた電子ペーパー1の電極12に接触して電子ペーパー1へ電圧を印加すればよい。なお、この電力供給端子は、供給端子22とは別の構成としてホルダー2に備えられていてもよい。この場合、移動部23または移動部23とは別に設けられた移動手段によって移動可能に構成されていてもよい。
【0061】
また、制限部材21が、複数の電圧印加端子を備えていてもよい。この場合、複数の電圧印加端子は、制限部材21と電子ペーパー1とが接触する部分に、電子ペーパー1の重ねられる方向に沿って設けられていればよい。そして、複数の電圧印加端子は、それぞれ開閉スイッチを備えており、供給端子22が移動部23によって光照射板3に対応する位置に移動することにより、各開閉スイッチのうち、光照射板3に載せられた電子ペーパー1の位置に対応する位置に備えられた電圧印加端子に備えられた開閉スイッチのみが閉状態、すなわち電圧が供給される状態となり、それ以外の電圧印加端子は開状態、すなわち電圧が供給され難い状態になるように構成されていればよい。この開閉スイッチは、例えば、外力がない状態においてバネ等の弾性部材によって開状態が保たれており、供給端子22に設けられた突起が突当ることにより閉状態になるように構成されていればよい。
【0062】
なお、このようにホルダー2の電圧印加端子から直接、電子ペーパー1へ電圧が供給される場合において、その電力は、ホルダー2に備えられた電源から供給されてもよいが、供給端子22を介して光照射板3に備えられた電源から供給されてもよい。
【0063】
(8)変形例8
実施形態または変形例において、電子ペーパー1は、光照射板3またはホルダー2に備えられた電圧印加端子から電圧を印加されていたが、電子ペーパー1は外部から電圧を印加される構成でなくてもよい。例えば、電子ペーパー1は、リチウムイオン電池やキャパシタ等の電源を備えており、光照射板3に載せられると、この電源から各透明電極へ電圧がかけられる構成であってもよい。
【0064】
(9)変形例9
実施形態において、電子ペーパー1は、電圧が印加されると、照射される光に応じた画像を表示する状態となり、光照射と電圧印加を組み合わせることにより、画像を記録していたが、画像が記録される媒体は電子ペーパー1に限られない。例えば、ジアゾ感光紙のほか、フォトクロミック材料等を用いた感光紙のように感光して化学反応が起きることで画像が記録される媒体であってもよい。この場合、これらの媒体は、光照射により画像が記録されるが電圧の印加は不要である。要するに、光照射板3により画像が記録される媒体は、照射される光に応じた画像を記録する媒体であればよく、また、この媒体として記録した画像を表示する表示手段を用いる場合には、照射される光に応じた画像を表示する複数の表示手段であればよい。
【0065】
(10)変形例10
実施形態において、光照射板3は、液晶板302に向けて光を照射する導光層32と、導光層32から照射される光を、画像データに応じた透過率で画素毎に遮光する液晶板302とを有する構成であったが、光照射板3の構成はこれに限られない。光照射板3の構成は、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイやプラズマディスプレイなど、バックライトを遮光する構成ではなく、自ら発光する構成であってもよい。要するに、光照射板3は、重ねられた複数の電子ペーパー等の表示手段のうち、隣り合う2つの表示手段の間に差し込まれ、当該2つの表示手段のうちの一方に対して画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段であればよい。
【符号の説明】
【0066】
1…電子ペーパー、10…基部、11…孔、12…電極、13…表示体、13a…面、13b…面、14…ピニオン、15…カム、2…ホルダー、20…底板、21…制限部材、22…供給端子、220…ケーシング、221…導電端子、222…導光部材、222a…発光面、223…被支持部材、23…移動部、231…空間検知部、232…駆動部、233…ラック、234…壁部、24…天井板、241…凹部、3…光照射板、30…画像形成層、300…基部、301…電圧印加端子、302…液晶板、31…接続端子、310…ケーシング、311…板材、312…導電端子、32…導光層、32a…受光面、32b…発光面、9…表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射される光に応じた画像を表示する複数の表示手段の移動方向を制限し、当該表示手段を重ねられた状態で保持する保持手段と、
重ねられた複数の前記表示手段のうち、隣り合う2つの前記表示手段の間に差し込まれ、当該2つの表示手段のうちの一方に対して前記画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段と、
前記複数の表示手段の重ねられる方向に移動可能で、前記光照射手段と接続する接続手段と、
前記接続手段が前記光照射手段に接続可能な位置へ当該接続手段を移動させる移動手段と
を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記光照射手段が前記表示手段に前記光を照射するときに、当該表示手段に対して電圧を印加する電圧印加手段を有し、
前記表示手段は、前記電圧印加手段により電圧が印加されると、照射される光に応じた画像を表示する状態となる
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記接続手段は、前記光照射手段に光を供給する光供給手段を有し、
前記光照射手段は、画像を示す画像データを取得する取得手段を有し、前記光供給手段から供給される光を、前記取得手段によって取得した前記画像データに応じて、前記一方の表示手段に対して透過または遮蔽する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記接続手段は、前記光照射手段に前記画像データを供給する画像データ供給手段を有し、
前記光照射手段は、光源を有し、前記光源から発せられた光を、前記画像データ供給手段から供給された前記画像データに応じて、前記一方の表示手段に対して透過または遮蔽する
ことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記移動手段は、
前記光照射手段が前記2つの表示手段の間に差し込まれたときに、当該光照射手段及び当該2つの前記表示手段の間に形成される空間を検知し、
検知した当該空間の位置に対応する位置であって、前記光照射手段に前記接続手段が接続可能な位置に前記接続手段を移動させる
ことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の記録装置。
【請求項6】
前記移動手段は、
前記複数の表示手段の重ねられる方向に並べられ、それぞれが光を感知する複数の感知手段を有し、
前記複数の感知手段のそれぞれが感知した光の各光量を閾値と比較することにより、前記空間を検知する
ことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記光照射手段が前記2つの前記表示手段の間に差し込まれるときに前記保持手段に生じる撓みの量を検知する検知手段を有し、
前記移動手段は、前記検知手段により検知された撓みの量に基づいて、前記光照射手段に前記接続手段が接続可能な位置を特定し、特定した位置に前記接続手段を移動させる
ことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の記録装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の記録装置と、
前記記録装置により保持され光を照射されると、当該光に応じた画像を表示する表示手段と
を有することを特徴とする表示装置。
【請求項9】
照射される光に応じた画像を表示する複数の表示手段の移動方向を制限し、当該表示手段を重ねられた状態で保持する保持手段と、
前記複数の表示手段の重ねられる方向に移動可能で、重ねられた複数の前記表示手段のうち、隣り合う2つの前記表示手段の間に差し込まれ、当該2つの表示手段のうちの一方に対して前記画像を示す画像データに応じた光を照射する光照射手段と接続する接続手段と、
前記接続手段が前記光照射手段に接続可能な位置へ当該接続手段を移動させる移動手段と
を有することを特徴とする保持装置。
【請求項10】
前記保持手段は、複数の前記表示手段をそれぞれ着脱可能なように保持する
ことを特徴とする請求項9に記載の保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−123428(P2011−123428A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−283229(P2009−283229)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】