説明

記録装置、記録装置の制御方法、及び、プログラム

【課題】同色のインクが充填された複数のインクタンクを収納するカートリッジが取り付けられる記録装置について、当該カートリッジの構成に適した制御を行う。
【解決手段】複合処理装置1は、同色のインクが充填された第1インクタンク、第2インクタンクを収納するカートリッジが取り付け可能に構成され、記録制御部70Bは、小切手に画像を記録する場合、2つのインクタンクのうちインク残量がより多いインクタンクを判別し、インク残量がより多いインクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出して記録する記録装置、記録装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット式の記録装置において、2つのインクタンクのそれぞれに、異なるインクジェットヘッドが接続され、いずれかのインクジェットヘッドからインクを吐出して画像を記録するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−127122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した記録装置のようにインクを吐出して画像を記録するものにおいて、複数のインクタンクが収容されたカートリッジであって、各インクタンクに同色のインクが充填されたカートリッジを取り付け可能に構成すると共に、各インクタンクにそれぞれ異なるノズル列を接続する構成とすることを想定する。このような構成とすることにより、いずれかのノズル列に何らかの不具合が発生した場合であっても、他のノズル列によって同色のインクを吐出できる状態が維持できることとなり、装置の冗長性、可用性を向上することができる。一方で、このような構成とした場合、画像の記録に際し、カートリッジの構成に対応した適切な制御を行う必要がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジを取り付け可能な記録装置について、記録に際し、カートリッジの構成に適した制御を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、記録装置であって、インクが充填された第1のインクタンク、及び前記第1のインクタンクに充填されたインクと同色のインクが充填された第2のインクタンクが収納されるカートリッジと、前記第1のインクタンクに接続され、前記第1のインクタンクから供給されたインクを吐出する第1のノズル列と、前記第2のインクタンクに接続され、前記第2のインクタンクから供給されたインクを吐出する第2のノズル列と、前記第1のノズル列もしくは前記第2のノズル列からインクを吐出させて記録媒体に画像を記録する記録制御部と、を備え、前記記録制御部は、前記記録媒体に画像を記録する場合、前記第1のインクタンク、もしくは前記第2のインクタンクのうちインク残量が多いインクタンクを判別し、インク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録することを特徴とする。
ここで、上記構成の記録装置にように、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジが取り付けられるものでは、いずれか一つのインクタンクが空、もしくは、空に近い状態となると、当該一つのインクタンクに接続されたノズルに対してクリーニングができなくなるため、カートリッジ自体を交換する必要が生じる。この場合において他のインクタンクにインクが十分残っている場合は、当該他のインクタンクから同色のインクを吐出して画像を記録することができる状態であるのにもかかわらず、カートリッジ自体を交換することとなるため、コストの問題から改善の余地がある。このため、上記構成の記録装置では、同色のインクが充填された複数のインクタンクについて、できるだけインク残量が均一となるようにしたいとするニーズがある。以上を踏まえ、本発明によれば、画像の記録に際し、複数のインクタンクのうちインク残量が最も多いインクタンクに接続されたノズルからインクを吐出して画像が記録されるため、各インクタンクについて、インク残量に乖離が生じるのを抑制し、できるだけ均一にすることができる。すなわち、上記構成によれば、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジを取り付け可能な記録装置について、インク残量を均一化したいとするニーズに応じた適切な制御を行うことが可能となる。
【0006】
また、本発明は、前記記録制御部は、受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第2の制御コマンドの受信が完了した時点で、インク残量が多い前記インクタンクを判別し、インク残量が多いと判別したインクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする。
本発明によれば、第1の制御コマンドに基づいて画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、当該次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が完了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、次の画像を記録することが確定した後に当該判別を行うことができると共に、例えば、現在行っている画像の記録が終了した時点における各インクタンクのインク残量を予測する場合と比較して、判別に係る処理を簡単にすることができ、処理効率を向上することができる。
【0007】
また、本発明は、前記記録制御部は、受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第1のコマンドに基づく画像の記録が終了した時点で、インク残量が多いインクタンクを判別し、インク残量が多いと判別した前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする。
本発明によれば、第1の制御コマンドに基づいて画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、次の画像の記録を開始する時点で現実に最もインク残量が多いインクタンクを用いて、次の画像を記録することが可能となり、各インクタンクのインク残量の均一化をより効果的に実現できる。
【0008】
また、本発明は、前記記録制御部は、受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第2の制御コマンドの受信が開始された時点でインク残量が多い前記インクタンクを判別し、インク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする。
本発明によれば、第1の制御コマンドに基づいて画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、当該次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が開始された時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、例えば、現在行っている画像の記録が終了した後に当該判別を行う場合や、次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が完了した後に当該判別を行う場合と比較して、早い段階で当該判別を行って次の画像の記録に係る処理を開始することができると共に、例えば現在行っている画像の記録が終了した時点における各インクタンクのインク残量を予測する場合と比較して、処理を簡単にすることができ、処理効率を向上することができる。
【0009】
また、本発明は、前記記録制御部は、受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理を前記第1のインクタンクに接続された前記第1のノズル列からインクを吐出して画像を記録しているときに、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第1の制御コマンドに基づく画像の記録が終了した時点での前記第1のインクタンクのインク残量を予測すると共に、予測された前記第1のインクタンクのインク残量と前記第2のインクタンクのインク残量とを比較してインク残量が多い前記インクタンクを判別し、判別された前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする。
本発明によれば、画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点での各インクタンクのインク残量を予測すると共に、当該時点でインク残量が最も多いインクタンクを予測するため、次の画像の記録を開始する時点で最もインク残量が多いインクタンクを用いて、次の画像を記録することが可能となり、各インクタンクのインク残量の均一化をより効果的に実現できる。さらに、現在行っている画像の記録が終了した後にインク残量の最も多いインクタンクの判別を行う場合と比較して、早い段階で当該判別を行って次の画像の記録に係る処理を開始することができる。
【0010】
また、本発明は、各前記ノズル列について、最後にインクを吐出してから所定時間が経過した場合は、フラッシングを行う構成とされ、前記記録制御部は、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列に対して、インクを吐出しない時間が、所定時間経過した時に、フラッシングを実行させるとともに、制御コマンドに基づき前記記録媒体に画像を記録する場合、前記第1のノズルもしくは前記第2のノズル列のうち、前記制御コマンドを受信したときに前記インクを吐出しない時間が前記所定時間に近い時間が経過しているノズル列を判別し、判別されたノズル列からインクを吐出して画像を記録することを特徴とする。
ここで、フラッシングは、所定の時間を要して行われる処理であると共に、インクの消耗を伴う処理であるため、処理効率の観点からできるだけ行いたくないとするニーズがある。以上を踏まえ、本発明によれば、記録媒体に画像を記録する場合、複数のノズル列のうち、最後にインクを吐出してから所定時間に近い時間が経過しているノズル列がある場合は、インクタンクのインク残量に関わらず、当該ノズル列からインクを吐出して画像を記録する構成のため、インク残量の均一化よりも優先してフラッシングを回避でき、上記ニーズに応えることが可能となる。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、記録装置の制御方法であって、記録媒体に画像を記録する制御コマンドを受信し、カートリッジに収納されるとともにインクが充填されて第1のノズル列に接続された第1のインクタンク、もしくは前記カートリッジに収納されるとともに前記第1のインクタンクに充填されたインクと同じ色のインクが充填されて第2のノズル列に接続された前記第2のインクタンクのうちインク残量が多い前記インクタンクを判別し、判別されたインク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録することを特徴とする。
この制御方法によれば、画像の記録に際し、複数のインクタンクのうちインク残量が最も多いインクタンクに接続されたノズルからインクを吐出して画像が記録されるため、それぞれのインクタンクのインク残量をできるだけ均一にすることができる。これにより、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジを取り付け可能な記録装置について、記録に際し、カートリッジの構成に応じた適切な制御を行うことが可能となる。
【0012】
また、上記目的を達成するために、本発明は、インクが充填された第1のインクタンク、及び前記第1のインクタンクに充填されたインクと同色のインクが充填された第2のインクタンクが収納されるカートリッジと、前記第1のインクタンクに接続され、前記第1のインクタンクから供給されたインクを吐出する第1のノズル列と、前記第2のインクタンクに接続され、前記第2のインクタンクから供給されたインクを吐出する第2のノズル列と、を備える記録装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、前記制御部を、前記記録媒体に画像を記録する場合、前記第1のインクタンクもしくは前記第2のインクタンクのうちインク残量が多い前記インクタンクを判別し、インク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録する記録制御部として機能させることを特徴とする。
このプログラムを実行すれば、画像の記録に際し、複数のインクタンクのうちインク残量が最も多いインクタンクに接続されたノズルからインクを吐出して画像が記録されるため、それぞれのインクタンクのインク残量をできるだけ均一にすることができる。これにより、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジを取り付け可能な記録装置について、記録に際し、カートリッジの構成に応じた適切な制御を行うことが可能となる。
また、本発明は、上記プログラムを、上記制御部又はコンピューターにより読み取り可能に記録した記録媒体として実現しても良い。
【0013】
本発明によれば、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジを取り付け可能な記録装置について、記録に際し、カートリッジの構成に適した制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る複合処理装置の外観斜視図である。
【図2】複合処理装置の本体の平面図である。
【図3】インクジェットヘッドとインクカートリッジとの関係を示す図である。
【図4】記録システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図5】複合処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】複合処理装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施の形態に係る複合処理装置1(記録装置)の外観斜視図である。
複合処理装置1は、読取対象媒体であるシート状の小切手4(記録媒体)や帳票類に対し、この読取対象物に記録された磁気インク文字の読み取り、読取対象物の両面の光学的読み取り、及び、当該読取対象物への文字等の記録を行う装置である。また、複合処理装置1は、クレジットカード等のカード型の媒体に記録された磁気情報を読み取るリーダーとしての機能、及び、感熱ロール紙に画像を記録して切断することにより、画像が記録された所定の紙片を発行する機能を備えている。
【0016】
本実施形態では、読取対象物として小切手4を処理する場合を例に挙げて説明する。小切手4は、図1に示すように、所定の模様や装飾が施されたシート(用紙)に金額、振出人、通し番号、サインなどが印字または記載された帳票である。これら金額、振出人、通し番号、サインなどは表面4aにあり、裏面4bには裏書き欄が設けられている。この裏書き欄には、後述するインクジェットヘッド10によって、裏書きに係る所定の文字または画像が記録される。また、表面4aには小切手4の長辺方向に延びる磁気インク文字列4cが形成されている。磁気インク文字列4cは、磁気インクで印刷された複数の磁気インク文字(MICR文字)が並んだものであり、磁気的または光学的に読み取ることができる。小切手4の短辺方向及び長辺方向のサイズは規格化されているものの、多様な規格が存在するため、実際には様々なサイズがある。複合処理装置1では、一般的な小切手4のサイズをほぼ包含し得る最大サイズを規定し、この最大サイズ内の小切手4であれば処理できる。
【0017】
複合処理装置1は、複合処理装置1の下部を覆う下部ケース11、及び下部ケース11に被せられるカバー12からなる外装を有し、外装の内部に複合処理装置1の本体が収容されている。複合処理装置1の前面には、小切手4を挿入する挿入口14が開口しており、挿入口14の奥には複数の小切手4を積層して貯留できるストッカー15が設けられている。このストッカー15は、前面側へ向かって引き出し自在に構成されており、ストッカー15に貯留すべき小切手4のサイズに応じてストッカー15を引き出した上で、このストッカー15に小切手4を貯留させることが可能である。
また、カバー12には、上面視で略U字形状に、小切手4の搬送路Wとなるスリット18が形成され、スリット18は複合処理装置1の前面側に設けられたポケット19に達している。ストッカー15に貯留された小切手4は、後述するように1枚ずつ複合処理装置1の内部に取り込まれ、スリット18を通る間に処理されて、処理後の小切手4はポケット19に排出される。ポケット19には複数の小切手4を溜めることができる。
図1に示すように、ストッカー15の側方には、磁気カードリーダーユニット20が設けられている。磁気カードリーダーユニット20は、カバー12に形成されたカードスリット21と、このカードスリット21に対応して設けられたMCRヘッド22(図4)とを備え、カードスリット21を通るカード類に磁気的に記録された情報をMCRヘッド22によって読み取る。
【0018】
図2は、複合処理装置1の外装内部に収容されている本体の構成を示す平面図である。ストッカー15の一側面にはホッパー25が設けられている。このホッパー25は、ホッパー駆動モーター26(図4)により、図中矢印方向に回動可能に構成されており、ストッカー15に貯留された小切手4を他方の側面側に付勢する。
ストッカー15の他方の側面には、後述するASF(Automatically Sheet Feeder)モーター27(図4)により駆動されるピックアップローラー28が配置されており、ホッパー25がピックアップローラー28側に回動すると、この回動に応じてストッカー15内の小切手4のうち1枚がピックアップローラー28に付勢され、当該ローラーに接触して、当該ローラーの回転に応じて搬送路Wに引き込まれる。
ストッカー15の奥には、一対のローラーで構成されるASFローラー29が配置されている。ASFローラー29の2つのローラーは、搬送路Wの両側に配置され、一方は後述するASFモーター27の動力により回転し、他方のローラーは従動ローラーである。ピックアップローラー28に接した小切手4はASFローラー29に挟まれて、スリット18内を下流側へ搬送される。
【0019】
ストッカー15の所定の位置には、ASF用紙検出器31(図4)が設けられている。ASF用紙検出器31は、例えば透過型光センサーで構成され、ストッカー15における小切手4の有無を検出する。
また、ストッカー15において、ホッパー25の待機位置には、ホッパー位置検出器32(図4)が設けられている。ホッパー位置検出器32は、例えば透過型光センサーで構成され、ホッパー25が待機位置に位置しているか否かを検出する。
ASFローラー29の下流側には、小切手4の表面4aに接して磁気インク文字列4c(図1)を磁気的に読み取るMICR(Magnetic Ink Character Recognition)ヘッド35が配置されている。MICRヘッド35には、MICRローラー36が対向配置される。MICRローラー36はMICRヘッド35側に付勢されており、小切手4をMICRヘッド35に押しつけながら回転して、小切手4を、MICR文字の読み取りに適した定速で搬送する。MICRヘッド35の上流側には、ASFローラー29により繰り出された小切手4をMICRヘッド35に案内する、一対のローラーからなるアシストローラー37が配置されている。
【0020】
また、搬送路W上においてアシストローラー37とMICRヘッド35との間には、用紙長検出器38が配置されている。用紙長検出器38は、例えば反射型光センサーで構成され、搬送路W上を通る小切手4の検出位置における有無を検出することにより、小切手4の先端及び後端を検出する。用紙長検出器38の検出値は後述する制御部70により取得され、この検出値の変化に基づいて小切手4の長さが求められる。
搬送路W上でMICRヘッド35の下流側には、搬送路Wを挟んで対向する一対のローラーを有する第1搬送ローラー40が設けられ、さらに、この第1搬送ローラー40の下流側には第2搬送ローラー41が設けられている。これら第1搬送ローラー40、及び、第2搬送ローラー41は、搬送モーター42(図4)によって回転駆動されるローラーであり、これらローラーによって小切手4はインクジェットプリンターユニット44へ搬送される。
インクジェットプリンターユニット44は、インクジェットヘッド10を備えている。インクジェットヘッド10は、本体13の前部に収容されているインクカートリッジ45からインクの供給を受けて、小切手4にインクを吐出するインクジェット方式の記録ヘッドである。このインクジェットヘッド10は、いわゆるラインインクジェットヘッドであり、小切手4に対する記録の際は、一定の速度で搬送される小切手4の裏面4bに対して、固定された状態のインクジェットヘッド10からインクが吐出されて、画像が記録される。この小切手4の裏面4bに記録される画像は、いわゆる裏書きと呼ばれる文字や記号等である。
インクジェットヘッド10と、第2搬送ローラー41との間には、中間検出器46が設けられている。中間検出器46は、例えば反射型光センサーで構成され、検出位置における小切手4の有無を検出する。
【0021】
図3は、インクジェットヘッド10とインクカートリッジ45との関係を模式的に示す図である。
インクジェットヘッド10は、第1ノズル列10a(ノズル列)及び第2ノズル列10b(ノズル列)を備えている。第1ノズル列10a、第2ノズル列10bは、それぞれ、搬送路Wを搬送される小切手4の搬送方向と交わる方向(=搬送される小切手4の短手方向)に複数のノズルが延在することによって形成されたノズル列である。
インクカートリッジ45(カートリッジ)は、第1インクタンク45a(インクタンク)及び第2インクタンク45b(インクタンク)を備えている。第1インクタンク45aと第2インクタンク45bには、同色のインク(ここでは、黒)が充填されている。第1ノズル列10aは、第1インクタンク45aと接続されており、第1インクタンク45aに充填されたインクを吐出する。第2ノズル列10bは、第2インクタンク45bと接続されており、第2インクタンク45bに充填されたインクを吐出する。
インクジェットヘッド10は、ある1枚の小切手4への画像の記録に際し、第1ノズル列10a、及び、第2ノズル列10bのいずれか一方から排他的にインクを吐出して画像を記録する。
このように本実施形態に係るインクカートリッジ45は、2つの第1インクタンク45a、第2インクタンク45bが収納されると共に、各インクタンクに同色のインクが充填される構成となっている。このような構成のため以下のメリットがある。
すなわち、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうちいずれか一方のノズル列に何らかの不具合が発生した場合であっても、他方のノズル列によって同色のインクを吐出できる状態が維持できることとなり、装置の冗長性、可用性を向上することができる。特に、本実施形態に係る複合処理装置1は、小切手4という重要な帳票を処理対象とする装置であるため、不特定多数の者が任意に使用できる複合機等と比較して、特に、小切手4に対する記録に関し、冗長性、可用性が求められるが、当該要請に適切に応えることが可能である。
なお、第1インクタンク45a、第2インクタンク45bのそれぞれに異なる色のインクが充填されたインクカートリッジ45を取り付けた場合、2色印刷が可能となる。
【0022】
図2に戻り、インクジェットヘッド10の下流には、小切手4を光学的に読み取るCIS(Contact Image Sensor)ユニットが配置されている。このCISユニットは、小切手4の表面4aを読み取る表面CISユニット47と、裏面4bを読み取る裏面CISユニット48とを有し、小切手4の両面を光学的に読み取り可能である。表面CISユニット47と裏面CISユニット48は搬送路Wを挟んで対向配置されており、これらユニットの上流側には第1CISローラー50が配置され、また、下流側には第2CISローラー51が配置されている。これら第1CISローラー50、及び、第2CISローラー51は、搬送モーター42によって回転駆動されるローラーであり、これらローラーによってCISユニットによって読み取り中の小切手4が安定して搬送される。
第2CISローラー51の下流には、排出検出器52が設けられている。排出検出器52は、例えば反射型光センサーで構成され、検出位置における小切手4の有無を検出する。
【0023】
表面CISユニット47、裏面CISユニット48の下流側には上述したポケット19が設けられている。ポケット19は、メインポケット19aと、サブポケット19bとに区画されており、スリット18が分岐して、それぞれのポケット19に繋がっている。これらメインポケット19a、及び、サブポケット19bには、それぞれ複数の小切手4を収容できる。
そして、スリット18が分岐した位置には、小切手4を排出すべきポケット19を、メインポケット19aとサブポケット19bとのいずれかに切り替える切替板54が配置されている。切替板54は、メインポケット19aに繋がる経路とサブポケット19bに繋がる経路のいずれか一方を塞ぐことで小切手4を他方に案内するガイドであり、切替板駆動モーター55によって駆動される。切替板54からメインポケット19aに繋がる経路には排出ローラー56が設けられ、また、切替板54からサブポケット19bに繋がる経路には排出ローラー57が設けられており、小切手4は、これらローラーにより切替板54に案内されたいずれかのポケット19にスムーズに排出される。
後述するように、複合処理装置1は、MICRヘッド35による磁気インク文字列4cの読み取り結果に基づいて、小切手4が正しくセットされていると判別した場合は、小切手4をメインポケット19aに排出し、一方、小切手4が正しくセットされていないと判別した場合は、サブポケット19bに排出する。
【0024】
また、図1及び図2に示すように、複合処理装置1の中央部には、画像が記録された紙片を発行するサーマルプリンターユニット60が設けられている。
図1に示すように、サーマルプリンターユニット60は、複合処理装置1の上部を覆うプリンターカバー61を備えている。このプリンターカバー61は、カバー12に対して開閉自在に取り付けられており、プリンターカバー61を開くと、感熱ロール紙を収容可能な空間であるロール紙収容部62(図2)が露出し、感熱ロール紙の補充や交換が可能となる。プリンターカバー61には、排紙口63が形成されており、ロール紙収容部62に収容された感熱ロール紙は、排紙口63を介して、排出される。
サーマルプリンターユニット60は、ロール紙収容部62に収容した感熱ロール紙を繰り出して搬送させるローラー状のプラテン(不図示)と、プラテンに対向配置されたサーマルヘッド65(図4)と、搬送方向に対し直交する方向に感熱ロール紙を切断するカッターユニット66とを備えている。紙片の発行に際し、サーマルプリンターユニット60は、プラテンを駆動して感熱ロール紙を搬送方向に搬送しつつ、サーマルヘッド65により感熱ロール紙に画像を記録し、カッターユニット66によって所定の位置で感熱ロール紙を切断することにより、紙片を発行する。
【0025】
図4は、複合処理装置1とホストコンピューター5とを接続して構成される記録システム8の機能的構成を示すブロック図である。
複合処理装置1は、制御部70と、フラッシュROM78と、プリンター制御部71と、ヘッド駆動回路72と、モータードライバー73と、読取制御回路74と、センサー駆動回路75と、インターフェース部76とを有し、これらの各部は相互に通信可能に接続されている。
【0026】
制御部70は、CPU、その他の周辺回路等を備え、後述するフラッシュROM78に記憶された制御プログラムをCPUにより読み出して実行することにより、複合処理装置1の各部を中枢的に制御する。制御部70は、インク残量管理部70A、及び、記録制御部70Bを備えているが、これらについては後述する。
制御部70は、ワークエリアとして機能するRAM77に接続されており、このRAM77には、第1画像バッファー77Aと、第2画像バッファー77Bとが形成されている。これらバッファーについては後述する。
フラッシュROM78は、各種データを不揮発的に書き換え可能に記憶する。このフラッシュROM78には、上述した制御プログラムのほか、第1インクタンク残量データ78Aと、第2インクタンク残量データ78Bとが記憶されている。これらデータについては後述する。
プリンター制御部71は、制御部70の制御の下、ヘッド駆動回路72を介してインクジェットヘッド10に駆動電流を供給し、小切手4への記録を行う。また、プリンター制御部71は、制御部70の制御の下、ヘッド駆動回路72を介してサーマルヘッド65に駆動電流を供給し、感熱ロール紙への記録を行う。
モータードライバー73は、ホッパー駆動モーター26に接続され、制御部70の制御に従ってホッパー25を回動させる。
また、モータードライバー73は、ASFモーター27、及び、搬送モーター42に接続され、これら各モーターに駆動電流や駆動パルスを出力して、制御部70の制御に従いこれらモーターを動作させて、これらモーターに接続されたローラーを駆動して、搬送路W上で小切手4を搬送する。
また、モータードライバー73は、切替板駆動モーター55に接続され、当該モーターに駆動電流や駆動パルスを出力して、制御部70の制御に従い当該モーターを駆動して、切替板54を、メインポケット19a側、又は、サブポケット19b側に切り替える。
【0027】
読取制御回路74は、MCRヘッド22、MICRヘッド35、表面CISユニット47、及び、裏面CISユニット48に接続されている。読取制御回路74は、制御部70の制御に従って、カードスリット21(図1)にカード類が通される際にMCRヘッド22によって磁気情報を読み取らせ、MCRヘッド22が出力する読取信号をデジタル化して制御部70に出力する。同様に、読取制御回路74は、制御部70の制御に従ってMICRヘッド35によって磁気情報を読み取らせ、MICRヘッド35が出力する読取信号をデジタル化して制御部70に出力する。また、読取制御回路74は、制御部70の制御に従って、表面CISユニット47及び裏面CISユニット48に、小切手4の表面4a及び裏面4bの読み取りを実行させる。この際、表面CISユニット47及び裏面CISユニット48の各々から出力される信号をデジタルデータ化し、制御部70に出力する。
センサー駆動回路75は、ASF用紙検出器31、ホッパー位置検出器32、用紙長検出器38、中間検出器46、及び、排出検出器52に接続され、これらの各検出器に電流を供給して、所定周期で出力値を取得し、取得した出力値をデジタルデータに変換して制御部70に出力する。
インターフェース部76は、ホストコンピューター5に対して有線または無線で接続され、制御部70の制御に従って、ホストコンピューター5との間で制御データを含む各種データを送受信する。
【0028】
次いで、1枚の小切手4を処理する際の複合処理装置1の基本的な動作について図5のフローチャートを用いて説明する。
複合処理装置1の制御部70は、ホストコンピューター5から小切手4の処理開始を指示する制御コマンドを受信すると(ステップS11)、ホッパー位置検出器32の検出値や、ASF用紙検出器31の検出値を監視しつつ、ホッパー駆動モーター26や、ASFモーター27を駆動して、ストッカー15に収容された小切手4のうち1枚を搬送路Wに繰り出して、小切手4の搬送を開始する(ステップS12)。
次いで、制御部70は、用紙長検出器38の検出値を監視することにより小切手4の位置を管理しつつ、MICRヘッド35によって、小切手4の磁気インク文字列4cを読み取る(ステップS13)。
次いで、制御部70は、MICRヘッド35の読み取り結果に基づいて、小切手4が上下裏表逆にセットされることなく、正しくセットされているか否かを判別する(ステップS14)。詳細には、制御部70は、磁気インク文字列4cを構成する磁気インク文字について、磁気インク文字を読み取って得られる検出波形と、基準波形との比較による磁気インク文字認識を行って、磁気インク文字認識の成否により、小切手4が正しくセットされているか否かを判別する。
次いで、制御部70は、ステップS14の判別結果に基づいて、切替板駆動モーター55を駆動して、切替板54を切り替える(ステップS15)。すなわち、制御部70は、小切手4が正しくセットされている場合は、切替板54をメインポケット19a側に切り替え、一方、小切手4が正しくセットされていない場合は、切替板54をサブポケット19b側に切り替える。なお、ステップS14、S15の処理は、以下のステップS16〜S18の処理と並行して行ってもよい。
【0029】
次いで、制御部70は、中間検出器46の検出値を監視することにより小切手4の位置を監視しつつ、搬送モーター42の駆動により各種モーターを駆動して小切手4を搬送し、インクジェットヘッド10により、小切手4の裏面4bに所定の画像を記録する(ステップS16)。このステップS16における動作については後に詳述する。なお、小切手4が正しくセットされていない場合は、ステップS16において、画像の記録を行わないようにしてもよい。
次いで、制御部70は、表面CISユニット47によって小切手4の表面4aをスキャンすると共に、裏面CISユニット48によって裏面4bをスキャンし(ステップS17)、スキャン結果をホストコンピューター5に出力する(ステップS18)。なお、小切手4が正しくセットされていない場合は、ステップS17において、スキャンを行わないようにしてもよい。
次いで、制御部70は、排出検出器52の検出値を監視することにより小切手4が正常に排紙されたか否かを監視しつつ、搬送モーター42を駆動することにより各種モーターを駆動して小切手4をポケット19に排出する(ステップS19)。その際、小切手4は、切替板54に導かれてメインポケット19a、サブポケット19bのうちMICRヘッド35の読み取り結果に応じた適切なポケット19に排出される。
【0030】
本実施形態に係る複合処理装置1は、ストッカー15に複数の小切手4が収容されている場合は、これら小切手4に対して、図5に示す一連の処理を連続して実行可能である。すなわち、複合処理装置1は、ストッカー15に収容された複数の小切手4について、適宜のタイミングで、順次、搬送路Wに繰り出し、それぞれの小切手4について上記一連の処理を実行する。
【0031】
次いで、制御部70が備えるインク残量管理部70Aについて説明する。
このインク残量管理部70Aの機能は、CPUがフラッシュROM78に記憶された制御プログラムを読み出して実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現される。
インク残量管理部70Aは、第1インクタンク45a、及び、第2インクタンク45bのそれぞれについて、インク残量を管理する。
詳述すると、インク残量管理部70Aは、インクカートリッジ45のセット後に第1ノズル列10aを構成する各ノズルから吐出したインクのショット数をカウントし、このショット数に基づいて、当該セット後のインクの吐出量を算出する。その際、インク残量管理部70Aは、後述するクリーニングやフラッシング等の記録のためではない用途で吐出されたインク量も考慮して、インクの吐出量を算出する。そして、インク残量管理部70Aは、算出したインク量を、第1インクタンク45aの初期充填時のインク量から減算することにより、第1インクタンク45aのインク残量を算出する。そして、インク残量管理部70Aは、算出した第1インクタンク45aのインク残量を、第1インクタンク残量データ78Aとして、フラッシュROM78に記憶する。インク残量管理部70Aは、第1ノズル列10aからインクが吐出され、第1インクタンク45aのインク残量に変動がある度に、当該インクの吐出に応じて第1インクタンク残量データ78Aの内容を更新する。これにより、第1インクタンク残量データ78Aが示す第1インクタンク45aのインク残量は、最新の状態を反映した値となる。インク残量管理部70Aは、第2インクタンク45bについても、同様にして、そのインク残量を管理する。
【0032】
さらに、インク残量管理部70Aは、第1インクタンク45aのインク残量が所定値以下となった場合、インク残量が所定値以下となったことを示すインクエンド情報を第1インクタンク残量データ78Aに含めフラッシュROM78に記憶させる。この所定値は、後述するクリーニングを行うのに必要なインク残量があるか否かの判断の閾値となる値とされる。インク残量管理部70Aは、第2インクタンク45bの残量が所定値以下となった場合も、インクエンド情報を、第2インクタンク残量データ78Bに含めて記憶する。
そして、本実施形態に係る複合処理装置1は、第1インクタンク45a、及び、第2インクタンク45bのうち、いずれか一方について、インク残量が上記所定値を下回った場合、その旨、ホストコンピューター5に通知すると共に、少なくとも、インクジェットヘッド10による記録に係る動作を停止する。この理由については、後述する。
【0033】
本実施形態に係る複合処理装置1は、インクジェットヘッド10について、クリーニング、及び、フラッシングを実行する。
クリーニングとは、第1ノズル列10a及び第2ノズル列10bのノズルの内部に留まっているインクについて、時間の経過と共に粘度が増加し、ノズルからの吐出不良が起きることを防止するため、ノズルの内部に留まっているインクを強制的に吸引する動作である。
クリーニングの際、制御部70は、図示せぬキャップを移動させ、当該キャップにより、インクジェットヘッド10のノズル形成面を覆う。次いで、制御部70は、キャップに接続された図示せぬポンプを駆動して、インクジェットヘッド10の第1ノズル列10a及び第2ノズル列10bが形成されたノズル形成面に負圧を加えてノズルの内部に留まっているインクを強制的に吸引する。
このように、クリーニング時には、構造上、第1ノズル列10a及び第2ノズル列10bから同時にインクを吸引する必要があるため、必ず第1インクタンク45a及び第2インクタンク45bの双方にクリーニングに必要な量のインクが残っている必要がある。クリーニングに必要な量のインクが残っていない場合は、吸引によりノズルに悪影響がある場合があるからである。
これを踏まえ、上述したように、本実施形態に係る複合処理装置1は、インク残量が、クリーニングを行うのに必要なインク残量があるか否かの判断の閾値である所定値を下回った場合、その旨、ホストコンピューター5に通知すると共に、少なくとも、インクジェットヘッド10による記録に係る動作を停止する構成となっている。この場合、ユーザーは、インクカートリッジ45を新たなインクカートリッジ45と交換する必要がある。
【0034】
また、フラッシングとは、第1ノズル列10a及び第2ノズル列10bのノズルの内部に溜まっているインクの粘度の増加を抑制するために行われる動作である。
フラッシング時には、制御部70は、図示せぬキャップに対して、第1ノズル列10a及び第2ノズル列10bを構成するノズルから所定回数、所定量のインクを吐出させ、ノズルの内部に留まっているインクを新たなインクに置き換える。
本実施形態では、第1ノズル列10a、及び、第2ノズル列10bのそれぞれについて、最後にインクを吐出してから予め定められた所定時間(以下、「フラッシング時間」という。)経過した場合は、当該ノズル列に対してフラッシングを行う構成となっている。これにより、時間の経過と共に粘度が増加するというインクの特性を踏まえ、ノズルに残留するインクの粘度の増加を効果的に抑制している。後述する記録制御部70Bは、複合処理装置1の動作中、第1ノズル列10a、及び、第2ノズル列10bのそれぞれについて、最後にインクを吐出してからの経過時間を監視し、いずれかのノズル列について、当該経過時間がフラッシング時間に達した場合、当該ノズル列についてフラッシングを行う。
【0035】
ところで、本実施形態に係る複合処理装置1のように、同色のインクが充填された複数のインクタンクが収納されるカートリッジが取り付けられるものでは、いずれか一つのインクタンクが所定値を下回ると、当該一つのインクタンクに接続されたノズルに対してクリーニングができなくなるため、インクカートリッジ45自体を交換する必要が生じる。この場合において他のインクタンクにインクが十分残っている場合は、当該他のインクタンクから同色のインクを吐出して画像を記録することができる状態であるのにもかかわらず、インクカートリッジ45自体を交換することとなるため、コストの観点から改善の余地がある。このため、第1インクタンク45a、及び、第2インクタンク45bのインク残量について、片方だけが偏って少ない片減りを抑制し、できるだけ均一な状態とする必要がある。
以上を踏まえ、本実施形態に係る複合処理装置1は、図5のステップS16において、以下の動作を実行する。
【0036】
図6は、図5のステップS16において小切手4に画像を記録する際の複合処理装置1の動作の詳細を示すフローチャートである。
小切手4の画像の記録に際し、ホストコンピューター5から、複合処理装置1に画像の記録を指示する制御コマンドが入力される(ステップS21)。この制御コマンドには、小切手4に記録すべき画像の画像データ(ビットマップデータ等の画素ごとに色に関する情報を保持するデータ)が含まれている。
【0037】
次いで、複合処理装置1の制御部70の記録制御部70Bは、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、最後にインクを吐出してからの経過時間が、フラッシング時間に近いものがあるか否かを判別する(ステップS22)。フラッシング時間に近い時間とは、フラッシング時間よりも短い時間であって、当該フラッシング時間に近接する予め定められた時間のことであり、例えば、フラッシング時間が5分である場合には、4分40秒等である。
第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、最後にインクを吐出してからの経過時間が、フラッシング時間に近いものがある場合(ステップS22:YES)、記録制御部70Bは、該当するノズル列を、画像の記録に使用するノズル列として決定する(ステップS23)。上述したように、インクジェットヘッド10は、ある1枚の小切手4への画像の記録に際し、第1ノズル列10a、及び、第2ノズル列10bのいずれか一方から排他的にインクを吐出して画像を記録する。
【0038】
次いで、記録制御部70Bは、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、使用するノズル列に対応する画像バッファーに、画像データを展開する(ステップS24)。
使用するノズル列に対応する画像バッファーとは、具体的には、使用するノズル列が第1ノズル列10aである場合は第1画像バッファー77Aであり、使用するノズル列が第2ノズル列10bである場合は第2画像バッファー77Bである。本実施形態では、第1ノズル列10a、及び、第2ノズル列10bのそれぞれについて、RAM77上に専用のバッファーが形成される構成となっており、第1ノズル列10aを使用して画像を記録する場合は、第1画像バッファー77aに当該画像の画像データが展開されて画像が記録され、また、第2ノズル列10bを使用して画像を記録する場合は、第2画像バッファー77bに当該画像の画像データが展開されて画像が記録される。
次いで、記録制御部70Bは、適切なタイミングで、画像バッファーに展開した画像データに基づいて、ステップS23で決定したノズル列を使用して、搬送路W上を搬送される小切手4に対して画像を記録する(ステップS25)。
【0039】
このように、本実施形態では、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、最後にインクを吐出してからフラッシング時間に近い時間が経過しているノズル列がある場合は、各インクタンクのインク残量に関わらず、当該ノズル列からインクを吐出して画像を記録する。これにより以下のメリットがある。すなわち、フラッシングは、所定の時間を要して行われる処理であると共に、インクの消耗を伴う処理であるため、処理効率、コストの観点からできるだけ行いたくないとするニーズがある。そして、本実施形態によれば、後述するインク残量の均一化よりも優先して、最後にインクを吐出してからフラッシング時間に近い時間が経過しているノズル列についてフラッシングを行う構成であるため、このようなノズル列について、フラッシングの実行を回避することができる場合があり、これにより、上記ニーズに応えることが可能となる。なお、このステップS22は省略することも可能である。例えば複数の小切手4に連続して画像を記録する場合、ステップS22をパスして、ステップS23に移行する。
【0040】
さて、ステップS22において、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、最後にインクを吐出してからの経過時間が、フラッシング時間に近いものがない場合(ステップS22:NO)、すなわち第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのどちらも最後にインクを吐出してからの経過時間が、フラッシング時間よりも長い場合、以下の処理に進む。記録制御部70Bは、フラッシュROM78に記憶された第1インクタンク残量データ78A、及び、第2インクタンク残量データ78Bを参照し、第1インクタンク45a、第2インクタンク45bのうち、インク残量が多いインクタンクを判別する(ステップS26)。判別したインクタンクに接続されたノズル列を画像の記録に使用するノズル列として決定する(ステップS27)。
次いで、記録制御部70Bは、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、ステップS27において使用するノズル列として決定したノズル列に対応する画像バッファーに、画像データを展開し(ステップS28)、適切なタイミングで、画像バッファーに展開した画像データに基づいて、ステップS27で決定したノズル列を使用して、搬送路W上を搬送される小切手4に対して画像を記録する(ステップS29)。
【0041】
このように、本実施形態では、画像の記録に際し、複数のインクタンクのうちインク残量が最も多いインクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像が記録されるため、各インクタンクについて、インク残量に乖離が生じるのを抑制し、できるだけ均一にすることができる。
【0042】
ここで、上述したように、本実施形態に係る複合処理装置1は、ストッカー15に収容された複数の小切手4について連続して、図5のフローチャートに示す一連の処理を実行することが可能である。従って、複合処理装置1は、画像の記録に係る制御コマンドを受信し、当該制御コマンドに基づいて1の小切手4に対する画像の記録に係る処理を実行中に、次の小切手4への画像の記録に係る制御コマンドを受信する場合がある。
この場合において、複合処理装置1は、図6のステップS26に示す判別、すなわち、インク残量が最も多いインクタンクの判別を、以下の4つのタイミングで行える構成となっている。なお、どのタイミングで行うようにするかは、ユーザーにより設定可能な構成となっている。ここで制御コマンドは、小切手4に対して画像の記録を指示する制御を含むコマンドである。
【0043】
<第1のタイミング>
第1のタイミングでは、記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、当該次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が完了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別する。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、次の画像の記録に係る制御コマンドの全ての受信が完了し、次の画像を記録することが確定した後に当該判別を行うことができる。このため、制御コマンドの出力の中断、通信エラー、その他の原因により、制御コマンドの受信が完了せず、次の画像の記録を行わない場合に、不必要に当該判別を実行してしまうことを防止できる。さらに、現在行っている画像の記録が終了した時点における各インクタンクのインク残量を予測する場合と比較して、判別に係る処理を簡単にすることができ、処理効率を向上することができる。
【0044】
<第2のタイミング>
第2のタイミングでは、記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別する。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、現在行っている画像の記録が終了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、次の画像の記録を開始する時点で現実に最もインク残量が多いインクタンクを用いて、次の画像を記録することが可能となり、各インクタンクのインク残量の均一化をより効果的に実現できる。
【0045】
<第3のタイミング>
第3のタイミングでは、記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、当該次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が開始された時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別する。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が開始された時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、例えば、現在行っている画像の記録が終了した後に当該判別を行う場合や、次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が完了した後に当該判別を行う場合と比較して、早い段階で当該判別を行うことが可能となる。従って、当該判別の結果、現在の画像の記録に使用しているノズル列と、次の画像の記録に使用するノズル列とが異なっていることが判明した場合は、当該次の画像の画像データの画像バッファーの展開をより早い段階で実行することが可能となる。また、例えば現在行っている画像の記録が終了した時点における各インクタンクのインク残量を予測する場合と比較して、処理を簡単にすることができ、処理効率を向上することができる。
【0046】
<第4のタイミング>
第4のタイミングでは、記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点での各インクタンクのインク残量を予測し、当該予測に基づいて、インク残量が最も多いインクタンクを判別する。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
現在行っている画像の記録が終了した時点での各インクタンクのインク残量の予測は、例えば、画像の記録前の各インクタンクのインク残量を管理すると共に、当該画像の画像データに基づいて、当該画像を記録するために必要なインクの吐出量を算出し、画像の記録前の各インクタンクのインク残量から、算出したインクの吐出量を減算することにより行われる。
これによれば、画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点での各インクタンクのインク残量を予測する。当該予測に基づいて、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、次の画像の記録を開始する時点で最もインク残量が多いインクタンクを用いて、次の画像を記録することが可能となる。各インクタンクのインク残量の均一化をより効果的に実現できる。さらに、現在行っている画像の記録が終了した後にインク残量の最も多いインクタンクの判別を行う場合と比較して、早い段階で当該判別を行って次の画像の記録に係る処理を開始することができる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る複合処理装置1(記録装置)は、同色のインクが充填された複数の第1インクタンク45a、第2インクタンク45bが収納されるインクカートリッジ45が取り付け可能に構成され、各インクタンクのそれぞれに接続され、各インクタンクから供給されたインクを吐出する第1ノズル列10a、第2ノズル列10bを備えている。そして、記録制御部70Bは、小切手4に画像を記録する場合、第1インクタンク45a、第2インクタンク45bのうち、インク残量が最も多いインクタンクを判別し、インク残量が最も多いインクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録する。
これによれば、複数のインクタンクのうちインク残量が最も多いインクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像が記録されるため、各インクタンクについて、インク残量に乖離が生じるのを抑制し、できるだけ均一にすることができる。これにより、第1インクタンク45a、第2インクタンク45bのうち、一方のインクタンクに十分にインクが残っている状況で、インクカートリッジ45を交換しなければならない、といった事態が発生することを防止できる。すなわち、本実施形態に係る複合処理装置1は、インクカートリッジ45の構成に応じた適切な制御を行うことが可能となる。
【0048】
また、本実施形態に係る記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、当該次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が完了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別することが可能である。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、次の画像の記録に係る制御コマンドの全ての受信が完了し、次の画像を記録することが確定した後に当該判別を行うことができる。このため、制御コマンドの出力の中断、通信エラー、その他の原因により、制御コマンドの受信が完了せず、次の画像の記録を行わない場合に、不必要に当該判別を実行してしまうことを防止できる。さらに、現在行っている画像の記録が終了した時点における各インクタンクのインク残量を予測する場合と比較して、判別に係る処理を簡単にすることができ、処理効率を向上することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別することが可能である。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、現在行っている画像の記録が終了した時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、次の画像の記録を開始する時点で現実に最もインク残量が多いインクタンクを用いて、次の画像を記録することが可能となり、各インクタンクのインク残量の均一化をより効果的に実現できる。
【0050】
また、本実施形態に係る記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、当該次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が開始された時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別することが可能である。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が開始された時点で、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、例えば、現在行っている画像の記録が終了した後に当該判別を行う場合や、次の画像の記録に係る制御コマンドの受信が完了した後に当該判別を行う場合と比較して、早い段階で当該判別を行うことが可能となる。従って、当該判別の結果、現在の画像の記録に使用しているノズル列と、次の画像の記録に使用するノズル列とが異なっていることが判明した場合は、当該次の画像の画像データの画像バッファーの展開をより早い段階で実行することが可能となる。また、例えば現在行っている画像の記録が終了した時点における各インクタンクのインク残量を予測する場合と比較して、処理を簡単にすることができ、処理効率を向上することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る記録制御部70Bは、制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点での各インクタンクのインク残量を予測し、当該予測に基づいて、インク残量が最も多いインクタンクを判別することが可能である。次の画像は、ここで判別されたインクタンクに接続されたノズル列を使用して記録されることとなる。
これによれば、画像の記録に係る処理中に、次の画像の記録に係る制御コマンドを受信した場合、現在行っている画像の記録が終了した時点での各インクタンクのインク残量を予測する。当該予測に基づいて、インク残量が最も多いインクタンクを判別するため、次の画像の記録を開始する時点で最もインク残量が多いインクタンクを用いて、次の画像を記録することが可能となる。各インクタンクのインク残量の均一化をより効果的に実現できる。さらに、現在行っている画像の記録が終了した後にインク残量の最も多いインクタンクの判別を行う場合と比較して、早い段階で当該判別を行って次の画像の記録に係る処理を開始することができる。
【0052】
また、本実施形態では、記録制御部70Bは、第1ノズル列10a、第2ノズル列10bのうち、最後にインクを吐出してからフラッシング時間に近い時間が経過しているノズル列がある場合は、各インクタンクのインク残量に関わらず、当該ノズル列からインクを吐出して画像を記録する。
これにより、最後にインクを吐出してからフラッシング時間に近い時間が経過しているノズル列について、フラッシングの実行を回避することができる場合があり、不必要なフラッシングをできるだけ行わないようにしたいとするニーズに応えることが可能となる。
【0053】
なお、上記各実施形態は本発明を適用した一例を示すものであり、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、記録システム8において、複合処理装置1が処理する記録対象物は小切手4に限定されないし、複合処理装置1で使用可能な記録対象物のサイズについても任意に変更できる。また、上記実施形態では、2つのインクタンクと、2つのインクタンクにそれぞれ1つずつ接続される2つのノズル列を備える構成を例として説明したが、インクタンク及びノズル列の数は3つ以上の同数とする構成としてもよい。
また、本実施形態では、小切手4ごとに、いずれか一方のノズル列を利用して記録する構成であったが、これに限定されない。例えば、ページごとに記録可能な記録装置では、ページごとに各インクタンクのインク残量に基づいていずれか一方のノズルを選択的に利用して画像を記録するようにしてもよい。1列ごと、又は、1行ごとに記録可能な記録装置では、1列ごと、又は、1行ごとに各インクタンクのインク残量に基づいていずれか一方のノズルを選択的に利用して画像を記録するようにしてもよい。
また、インク残量管理部70Aは、第1インクタンク45a及び第2インクタンク45b内のインクのインク面の位置をフォトセンサー等により検出することにより、インク残量を検出してもよい。
【0054】
また、図4のブロック図に示した各機能部は機能的構成を示すものであって、各機能部を独立したハードウェアにより構成する必要はなく、ソフトウェアとハードウェアとの協働により、複数の機能部の機能を1つのハードウェアに集約して実現することも、一つの機能部を複数のハードウェアにより実現することも勿論可能である。
また、上述の動作を行う制御部70のCPUが実行するプログラムは、制御部70を構成する不揮発性メモリーが記憶する構成に限らず、可搬型の記録媒体に記憶されている構成であってもよいし、或いは、通信回線を介して接続された他の装置にダウンロード可能に記憶され、これらの装置から複合処理装置1が上記プログラムをダウンロードして実行してもよく、その他の構成についても任意に変更可能である。
【符号の説明】
【0055】
1…複合処理装置(記録装置)、4…小切手(記録媒体)、5…ホストコンピューター(制御装置)、10a…第1ノズル列(ノズル列)、10b…第2ノズル列(ノズル列)、45…インクカートリッジ(カートリッジ)、45a…第1インクタンク(インクタンク)、45b…第2インクタンク(インクタンク)、70…制御部、70B…記録制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが充填された第1のインクタンク、及び前記第1のインクタンクに充填されたインクと同色のインクが充填された第2のインクタンクが収納されるカートリッジと、
前記第1のインクタンクに接続され、前記第1のインクタンクから供給されたインクを吐出する第1のノズル列と、
前記第2のインクタンクに接続され、前記第2のインクタンクから供給されたインクを吐出する第2のノズル列と、
前記第1のノズル列もしくは前記第2のノズル列からインクを吐出させて記録媒体に画像を記録する記録制御部と、を備え、
前記記録制御部は、
前記記録媒体に画像を記録する場合、前記第1のインクタンク、もしくは前記第2のインクタンクのうちインク残量が多いインクタンクを判別し、インク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録制御部は、
受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、
受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第2の制御コマンドの受信が完了した時点で、インク残量が多い前記インクタンクを判別し、インク残量が多いと判別したインクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録制御部は、
受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、
受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第1のコマンドに基づく画像の記録が終了した時点で、インク残量が多いインクタンクを判別し、インク残量が多いと判別した前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記記録制御部は、
受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、
受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理中に、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第2の制御コマンドの受信が開始された時点でインク残量が多い前記インクタンクを判別し、インク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録制御部は、
受信した画像の記録に係る制御コマンドに基づいて、前記記録媒体に画像を記録するものであり、
受信した第1の制御コマンドに基づく画像の記録に係る処理を前記第1のインクタンクに接続された前記第1のノズル列からインクを吐出して画像を記録しているときに、前記第1の制御コマンドを受信した後に画像の記録に係る第2の制御コマンドを受信した場合、前記第1の制御コマンドに基づく画像の記録が終了した時点での前記第1のインクタンクのインク残量を予測すると共に、予測された前記第1のインクタンクのインク残量と前記第2のインクタンクのインク残量とを比較してインク残量が多い前記インクタンクを判別し、判別された前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して前記第2の制御コマンドに基づく画像を記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
各前記ノズル列について、最後にインクを吐出してから所定時間が経過した場合は、フラッシングを行う構成とされ、
前記記録制御部は、
前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列に対して、インクを吐出しない時間が、所定時間経過した時に、フラッシングを実行させるとともに、
制御コマンドに基づき前記記録媒体に画像を記録する場合、
前記第1のノズルもしくは前記第2のノズル列のうち、前記制御コマンドを受信したときに前記インクを吐出しない時間が前記所定時間に近い時間が経過しているノズル列を判別し、判別されたノズル列からインクを吐出して画像を記録することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の記録装置。
【請求項7】
記録媒体に画像を記録する制御コマンドを受信し、
カートリッジに収納されるとともにインクが充填されて第1のノズル列に接続された第1のインクタンク、もしくは前記カートリッジに収納されるとともに前記第1のインクタンクに充填されたインクと同じ色のインクが充填されて第2のノズル列に接続された前記第2のインクタンクのうちインク残量が多い前記インクタンクを判別し、
判別されたインク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録することを特徴とする記録装置の制御方法。
【請求項8】
インクが充填された第1のインクタンク、及び前記第1のインクタンクに充填されたインクと同色のインクが充填された第2のインクタンクが収納されるカートリッジと、
前記第1のインクタンクに接続され、前記第1のインクタンクから供給されたインクを吐出する第1のノズル列と、
前記第2のインクタンクに接続され、前記第2のインクタンクから供給されたインクを吐出する第2のノズル列と、を備える記録装置を制御する制御部により実行されるプログラムであって、
前記制御部を、
前記記録媒体に画像を記録する場合、前記第1のインクタンクもしくは前記第2のインクタンクのうちインク残量が多い前記インクタンクを判別し、インク残量が多い前記インクタンクに接続されたノズル列からインクを吐出して画像を記録する記録制御部として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−63527(P2013−63527A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202212(P2011−202212)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】