説明

記録装置および再生装置

【課題】使用者による静止画像データの検索指示を必要とせず、また管理ファイルを必要とすることなく、再生している音声データがどのような場面で記録したものかを視覚を通じて直感的に使用者に思い出させる技術を提供する。
【解決手段】再生装置は、音声ファイルおよび静止画像ファイルが格納された記録媒体から、前記音声ファイルを取得するインターフェースと、前記音声ファイルのファイル名に基づいて特定される静止画像ファイルを前記記録媒体から取得し、前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルから音声および静止画像を再生するコントローラとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置および再生装置に関する。より具体的には、本発明は、音声と静止画像とを記録する記録装置、および記録された音声と静止画像とを再生する再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、音声および画像の記録/表示装置を開示する。この装置は、音声の録音中に静止画像を撮影し、記録媒体に記録する。撮影する時刻は、たとえば再生時に優先的に再生したいと推定される時刻である。この音声画像記録表示装置は、録音した音声の再生時に、使用者から静止画像の検索指示を受け付けると、再生する音声の記録中に記録した全ての静止画像の一覧を表示する。一方、使用者から静止画像の検索指示を受け付けない場合には、この音声画像記録表示装置は、音声の再生を開始する。そして、音声の再生時刻が静止画像の記録日時と一致すると、音声の再生と併せて静止画像を再生する。
【0003】
特許文献2もまた、音声および画像の記録/再生装置を開示する。この装置は、音声データと静止画像データとを記憶メモリ機構に記録する際、音声録音開始からの時間を管理する静止画再生タイミング管理ファイルを生成する。静止画再生タイミング管理ファイルには、音声ファイル名、静止画ファイル名、表示タイミングが記述される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−276478号公報
【特許文献2】特開2001−69453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている音声画像記録表示装置においては、使用者による静止画像の検索指示がなされなければ、音声の再生開始時に静止画像の再生が行われない。つまり、この音声画像記録表示装置においては、音声の再生開始時に表示部に静止画像が表示されない。従って、使用者は、音声の再生時に、この音声がどのような場面で記録したものであるかを思い出しにくい。
【0006】
また特許文献2に記載の装置は、管理ファイルの生成および記録が必須である。そのため、管理ファイルが破損し、または使用者等によって削除されてしまうと、音声および静止画像を記録時に意図したタイミングで表示させることはできない。また、たとえばネットワーク上の記憶装置に保存されたデータから音声および静止画像を再生することを想定すると、記憶装置にそのような管理ファイルが存在する保証はない。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、使用者による静止画像データの検索指示を必要とせず、また管理ファイルを必要とすることなく、再生している音声データがどのような場面で記録したものかを視覚を通じて直感的に使用者に思い出させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施形態における再生装置は、音声ファイルおよび静止画像ファイルが格納された記録媒体から、前記音声ファイルを取得するインターフェースと、前記音声ファイルのファイル名に基づいて特定される静止画像ファイルを前記記録媒体から取得し、前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルから音声および静止画像を再生するコントローラとを備えている。
【0009】
ある実施形態において、前記コントローラは、前記音声ファイルの生成中に生成された静止画像ファイルを前記記録媒体から取得する。
【0010】
ある実施形態において、前記再生装置は、使用者から、再生される静止画像の変更指示を受け取る操作部をさらに備え、前記コントローラは、前記操作部を介して前記変更指示を受け取るまでは同じ静止画像を再生する。
【0011】
ある実施形態において、前記コントローラは、前記音声の再生中に前記操作部を介して前記使用者から前記変更指示を受け取ると、異なる静止画像を再生する。
【0012】
ある実施形態において、前記コントローラは、前記異なる静止画像の静止画像ファイルが前記音声ファイルの記録期間中に生成されたか否かに関わらず、前記異なる静止画像を再生する。
【0013】
前記記録媒体に記録されたファイルのベース名には、記録された順序に対応する情報が付加されており、前記記録媒体上に、前記ファイルの記録完了時刻を特定することが可能なファイルシステムが構築されているある実施形態において、前記コントローラは、前記情報および前記音声ファイルの記録完了時刻に基づいて、前記音声ファイルの記録完了時刻よりも前に記録された静止画像ファイルを特定する。
【0014】
前記記録媒体上に、前記ファイルの記録完了時刻を特定することが可能なファイルシステムが構築されているある実施形態において、前記コントローラは、前記音声ファイルの記録完了時刻よりも前に記録された静止画像ファイルであって、かつ前記音声ファイルのベース名の一部を包含するファイル名を有する静止画像ファイルを、前記記録媒体から取得する。
【0015】
ある実施形態において、前記記録媒体はメモリカードである。
【0016】
ある実施形態において、前記記録媒体はネットワーク上に設置された記憶装置であり、前記インターフェースは、前記記憶装置から前記音声ファイルおよび静止画像ファイルを取得する。
【0017】
ある実施形態において、前記再生装置は、前記音声を出力するスピーカと、前記静止画像を表示する表示部とをさらに備えている。
【0018】
ある実施形態において、前記再生装置は、音声信号を生成する音声信号生成部、および、静止画像の画像信号を生成する画像信号生成部の少なくとも一方をさらに備えている。
【0019】
ある実施形態における記録装置は、音声信号を生成する音声信号生成部と、静止画像の画像信号を生成する画像信号生成部と、前記音声信号および前記画像信号から、それぞれ音声データおよび静止画像データを生成する処理部と、記録媒体に前記音声データを音声ファイルとして記録し、前記静止画像データを静止画像ファイルとして記録するコントローラであって、前記音声データの生成中に前記静止画像データが生成されたときは、前記音声ファイルのファイル名に関連付けられたファイル名を前記静止画像ファイルに付与するコントローラとを備えている。
【0020】
ある実施形態において、前記コントローラは、前記記録媒体に前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルが記録された順序を特定する情報を、前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルのファイル名の少なくとも一部に付与する。
【0021】
前記コントローラは、前記音声ファイルの記録完了時刻よりも前に記録された静止画像ファイルに対して、前記音声ファイルのベース名の一部を包含するファイル名を付与する、請求項12に記載の再生装置。
【0022】
ある実施形態において、前記記録媒体はメモリカードである。
【発明の効果】
【0023】
本発明のある実施形態によれば、使用者による静止画像ファイルの検索指示がなくても、再生されている音声がどのような場面で記録されたかを視覚を通じて直感的に使用者に思い出させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】デジタルビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【図2】ICレコーダモードにおける動作を示すフローチャートである。
【図3】メモリカード200におけるディレクトリ構成を示す模式図である。
【図4】音声再生モードにおける動作を示すフローチャートである。
【図5】(a)および(b)は音声再生モードにおける表示モニタ220の表示例を示すための模式図である。
【図6】音声再生モードにおける再生動作の具体例を説明するための模式図である。
【図7A】再生装置310の構成を示すブロック図である。
【図7B】再生装置320の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による再生装置および記録装置の実施形態を説明する。以下の実施形態では、デジタルビデオカメラが再生装置および記録装置の両方を兼ねている例を説明する。
【0026】
1.概要
デジタルビデオカメラ100は、マイクロホン250を備える。デジタルビデオカメラ100は、マイクロホン250を介して集音した音声信号に基づいて音声データを生成し、生成した音声データを音声ファイルとしてメモリカード200に記録できる。また、デジタルビデオカメラ100は、音声データをメモリカード200に記録している際に、使用者から静止画像の撮影指示を受け付けることができる。音声データをメモリカード200に記録している際に、使用者から静止画像の撮影指示を受け付けると、デジタルビデオカメラ100は、CMOSイメージセンサ140により撮像された画像信号に基づいて静止画像データを生成し、生成した静止画像データを静止画像ファイルとしてメモリカード200に記録する。つまり、デジタルビデオカメラ100は、音声データのメモリカード200への記録中に静止画像データをメモリカード200へ記録できる。
【0027】
デジタルビデオカメラ100は、メモリカード200に記録されている音声データから音声を再生する際に、当該音声データの記録期間中に記録された静止画像データがメモリカード200に記録されているか否かを判定する。静止画像データがメモリカード200に記録されている場合には、デジタルビデオカメラ100は、音声の再生開始に合わせて、静止画像の再生を開始する。これにより、デジタルビデオカメラ100を使用した使用者は、特に静止画像の検索指示をしなくても、再生している音声がどのような場面で記録されたものかを視覚を通じて直感的に思い出すことができる。
【0028】
2.構成
図1を参照しながら、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100のハードウェア構成を説明する。
【0029】
図1は、デジタルビデオカメラ100の構成を示すブロック図である。
【0030】
デジタルビデオカメラ100は、1又は複数のレンズからなる光学系110により形成された被写体像をCMOSイメージセンサ140で撮像する。画像/音声処理部160は、CMOSイメージセンサ140で生成された画像信号をデジタルデータに変換して各種の処理を施す。コントローラ180は、処理後のデジタルデータを電子ファイルとしてメモリカード200に格納する。
【0031】
以下、デジタルビデオカメラ100の構成を詳細に説明する。
【0032】
光学系110は、ズームレンズやフォーカスレンズにより構成される。ズームレンズを光軸に沿って移動させることにより、被写体像が拡大、縮小される。また、フォーカスレンズを光軸に沿って移動させることにより、被写体像の焦点位置が調整される。
【0033】
レンズ駆動部120は、光学系110に含まれる各種レンズを駆動する。レンズ駆動部120は、例えばズームレンズを駆動するズームモータや、フォーカスレンズを駆動するフォーカスモータを含む。
【0034】
絞り300は、使用者の設定に応じて若しくは自動で、開口部の大きさを調整し、透過する光の量を調整する。
【0035】
シャッタ130は、CMOSイメージセンサ140に透過させる光を遮光するための手段である。
【0036】
CMOSイメージセンサ140は、光学系110で形成された被写体像を撮像して、画像信号を生成する。CMOSイメージセンサ140は、露光、転送、電子シャッタなどの各種動作を行う。
【0037】
A/Dコンバータ150は、CMOSイメージセンサ140で生成されたアナログ画像信号をデジタル画像データに変換する。
【0038】
マイクロホン250は、音声を集音し音声信号を生成する。
【0039】
画像/音声処理部160は、CMOSイメージセンサ140で生成された画像信号およびマイクロホン250が生成したアナログ音声信号をデジタルデータに変換する。画像/音声処理部160は、デジタルデータ化された画像データおよび音声データに対して各種処理を施す。
【0040】
たとえば、画像/音声処理部160は、画像データに対して、ガンマ補正、ホワイトバランス補正、傷補正などの各種処理を行う。また、画像/音声処理部160は、画像データを、H.264規格やMPEG2規格に準拠した圧縮形式等により圧縮する。そして画像/音声処理部160は、表示モニタ220に表示するための画像データを生成し、メモリカード200に格納するための画像データを生成する。
【0041】
また、たとえば画像/音声処理部160は、音声データに対して、ノイズ除去処理などの各種処理を行う。また、画像/音声処理部160は、音声データを、MPEG4Audio規格やAC3規格に準拠した圧縮形式により圧縮する。そして画像/音声処理部160は、スピーカ260から出力するための音声データを生成し、メモリカード200に格納するための音声データを生成する。
【0042】
画像/音声処理部160は、DSPやマイコンなどで実現可能である。
【0043】
コントローラ180は、デジタルビデオカメラ全体を制御する中央演算処理ユニットである。コントローラ180は、半導体素子などで実現可能である。コントローラ180は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェア(コンピュータプログラム)とを組み合わせることにより実現してもよい。コントローラ180は、マイコンなどで実現できる。コンピュータであるコントローラ180が、後述する図2の処理の手順を記述したコンピュータプログラムを実行することにより、デジタルビデオカメラ100の各構成要素が動作し、デジタルビデオカメラ100が記録装置として機能する。また、コントローラ180が、図4の処理の手順を記述したコンピュータプログラムを実行することにより、デジタルビデオカメラ100が再生装置として機能する。
【0044】
バッファ170は、画像/音声処理部160及びコントローラ180のワークメモリとして機能する。バッファ170は、例えば、DRAM、強誘電体メモリなどで実現できる。
【0045】
カードスロット190は、メモリカード200を着脱可能である。カードスロット190は、機械的及び電気的にメモリカード200と接続可能なインターフェース(I/F)である。メモリカード200は、フラッシュメモリや強誘電体メモリなどを内部に含み、画像/音声処理部160で生成された画像ファイル等のデータを格納可能である。
【0046】
内部メモリ240は、フラッシュメモリや強誘電体メモリなどで構成される。内部メモリ240は、デジタルビデオカメラ100全体を制御するための制御プログラム、上述のコンピュータプログラム等を記録している。
【0047】
操作部210は、使用者からの操作を受け付けるユーザーインターフェースの総称である。操作部210は、例えば、使用者からの操作を受け付ける十字キーや決定釦等がこれにあたる。
【0048】
表示モニタ220は、CMOSイメージセンサ140で生成した画像データが示す画像(スルー画像)や、メモリカード200から読み出した画像データが示す画像を表示可能である。また、表示モニタ220は、デジタルビデオカメラ100の各種設定を行うための各種メニュー画面等も表示可能である。
【0049】
スピーカ260は、マイクロホン250により集音された音声、及び、メモリカード200に格納されている音声データから再生された音声を出力する。
【0050】
3.用語の対応
CMOSイメージセンサ140は、画像信号生成部の一例である。マイクロホン250は、音声信号生成部の一例である。コントローラ180およびカードスロット190は、静止画像および/または音声を記録するための構成の一例である。コントローラ180は、静止画像および/または音声を再生するための構成の一例である。
【0051】
4.動作
本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、「ICレコーダモード」、および「音声再生モード」を有する。
【0052】
「ICレコーダモード」とは、デジタルビデオカメラ100を記録装置として機能させるためのモードである。より具体的には、「ICレコーダモード」とは、マイクロホン250を介して集音した音声のデータをメモリカード200に記録することを主目的とするモードである。
【0053】
一方、「音声再生モード」とは、デジタルビデオカメラ100を再生装置として機能させるためのモードである。より具体的には、「音声再生モード」とは、メモリカード200に記録されている音声データから音声を再生し、スピーカ260から出力するモードである。
【0054】
使用者は、操作部210のうちのモード設定ダイヤルを操作することで、デジタルビデオカメラ100をICレコーダモード、音声再生モード、若しくは他のモードに設定できる。なお、他のモードとしては、動画撮影モード等がある。
【0055】
以下では、まず、デジタルビデオカメラ100がICレコーダモードに設定されている場合のデジタルビデオカメラ100の動作を説明し、その後、デジタルビデオカメラ100が音声再生モードに設定されている場合のデジタルビデオカメラ100の動作を説明する。
【0056】
4−1.ICレコーダモードにおける動作
図2、図3を参照しながら、デジタルビデオカメラ100がICレコーダモードに設定されている場合のデジタルビデオカメラ100の動作を説明する。図2は、ICレコーダモードにおける動作を説明するためのフローチャートである。図3は、デジタルビデオカメラ100により記録されたメモリカード200内のディレクトリ構成を説明するための模式図である。
【0057】
ICレコーダモードに設定されると(S100)、コントローラ180は、使用者から音声の記録開始指示を受け付けたか否かを判断する(S110)。音声の記録開始指示を受け付けたと判断すると、コントローラ180はメモリカード200へ、マイクロホン250を介して集音した音声信号に基づいて生成された音声データの記録を開始する(S120)。音声データの記録を開始すると、コントローラ180は、使用者から音声記録の停止指示を受け付けたか否かを判断する(S130)。
【0058】
音声記録の停止指示を受け付けたと判断すると、コントローラ180は、音声の集音を停止するようマイクロホン250を制御し、音声データの記録を停止する(S140)。
【0059】
一方、ステップS130において、音声記録の停止指示を受け付けていないと判断すると、コントローラ180は、使用者から静止画像の撮影指示を受け付けたか否かを判断する(S150)。静止画像の撮影指示を受け付けたと判断すると、コントローラ180はメモリカード200へ、CMOSイメージセンサ140を用いて撮像した画像信号に基づいて生成した静止画像データを記録する(S160)。なお、この静止画像データのメモリカード200への記録は、音声データのメモリカード200への記録と並列して行われる。
【0060】
このように、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、音声データをメモリカード200へ記録している場合に使用者から静止画像の撮影指示を受け付けると、音声データのメモリカード200への記録と並列して、静止画像データのメモリカード200への記録を実行する。
【0061】
デジタルビデオカメラ100により、音声データのメモリカード200への記録、及び静止画像データのメモリカード200への記録を行うと、メモリカード200内において図3に示すディレクトリが構成される。各データはデータファイルとして記録されている。
【0062】
データファイルのファイル名は、典型的には、ベース名+.(ピリオド)+拡張子、という構造を有している。「M4A」という拡張子は、MPEG4Audio規格に準拠した音声ファイルであることを示す。また、「jpg」という拡張子は、JPEG規格に準拠した静止画像ファイルであることを示す。
【0063】
図3において、ファイル名「IMGA0004.M4A」の右側に示された「(2011/2/22/10:00)」は、「IMGA0004.M4A」という音声ファイルがメモリカード200に記録された日時(記録完了日時)を示している。また、ファイル名「IMGA0005.jpg」の右側に示された「(2011/2/22/9:50)」は、「IMGA0005.jpg」という静止画像ファイルがメモリカード200に記録された日時を示している。他も同様である。
【0064】
図3に示す本実施形態の例によれば、「IMGA0001.M4A」という音声ファイルの記録中に「IMGA0002.jpg」という静止画像ファイルが記録されている。そして、その後、「IMGA0003.M4A」という音声ファイルが記録されている。さらにその後、「IMGA0004.M4A」という音声ファイルの記録中に「IMGA0005.jpg」、「IMGA0006.jpg」、「IMGA0007.jpg」という静止画像ファイルがこの順で記録されている。なお、これらのファイル名は、DCF規格に準拠しており、ベース名にはファイルが生成または記録された順序に対応する情報すなわち番号を含んでいる。
【0065】
なお、図3に示されている日時の情報(時刻情報)は、後述の説明で用いるために便宜的に示されている。これらの時刻情報は、たとえばメモリカード200のFAT(File Allocation Table)ファイルシステム上でファイルの更新時刻情報として記録される。
【0066】
静止画像データに関しては、データの記録処理が実行された時刻と記録処理が完了した時刻とは、概ね一致している。本実施形態では、少なくともファイルの記録処理が完了した時刻の情報が保持されていればよい。
【0067】
このように、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、音声データの記録中に記録した静止画像データに、記録中の音声データのファイル名が含む番号よりも大きい番号を含むファイル名を付す。例えば、「IMGA0004.M4A」という音声データの記録中に記録した静止画像データに対して「IMGA0005.jpg」というファイル名を付す。
【0068】
また、デジタルビデオカメラ100は、FATに音声データの記録完了時刻情報、静止画像データの記録時刻情報を記録する。これにより、音声データのファイル名が含む番号よりも大きな番号を含むファイル名を付された静止画像データで、かつ、記録時刻が音声データの記録完了時刻よりも前である静止画像データが、音声データの記録中に記録されたと判断できる。この処理は、コントローラ180によって行われる。
【0069】
つまり、デジタルビデオカメラ100のコントローラ180は、ファイル名、音声データの記録時刻、静止画像データの記録時刻情報を参照することで、音声データの記録中に記録した静止画像データが何れであるかが判断できるように、音声データと、音声データの記録中に記録した静止画像データとを関連付けてメモリカード200に記録する。
【0070】
関連付けは、音声データのファイル名に基づいている。上述の例では、たとえば音声ファイル名IMGA0003.M4Aに、静止画像ファイル名をIMGA000X.jpg(X:3より大きい整数)を関連付けた。
【0071】
他の例として、たとえば音声ファイル名IMGA0003.M4Aに関連する静止画像ファイルにはIMGA0003n.jpgのようにファイル名を付してもよい。ここで「n」は、たとえば撮影順に付される数字またはアルファベットである。nの桁数は任意である。ファイル名をDCF規格に準拠させる場合には、適宜調整すればよい。
【0072】
静止画像ファイル名の一部であるベース名に、音声ファイル名に含まれる文字列を含めることにより、音声データのファイル名に基づいて、関連付けられた静止画像ファイル名を特定することができる。
【0073】
さらに、静止画像データがEXIF規格に準拠する場合には、EXIF規格のデータフィールド中に関連する音声ファイルのファイル名を記述しておいてもよい。このような方法によっても、音声データのファイル名に基づいて、関連付けられた静止画像ファイル名を特定することができる。
【0074】
4−2.音声再生モードにおける動作
次に、図4、図5、図6を参照しながら、デジタルビデオカメラ100が音声再生モードに設定されている場合の動作を説明する。図4は、音声再生モードにおける動作について説明するためのフローチャートである。図5は、音声データ再生中の表示モニタ220の表示例を示す模式図である。図6は、音声再生モードにおける再生動作の具体例を説明するための模式図である。図6の上段は記録時の音声と静止画像との関係を示している。図6の下段は再生時の音声と静止画像との関係を示している。
【0075】
音声再生モードに設定されると(S200)、コントローラ180は、メモリカード200に最後に記録された音声ファイルを検索し、その音声ファイルから音声の再生を開始する(S210)。つまり、コントローラ180は、音声再生モードに設定されると、メモリカード200に最後に記録された音声ファイルから音声の再生を自動的に開始し、再生した音声をスピーカ260から出力する。音声の再生を開始すると、コントローラ180は、再生中の音声データのファイル名に含まれる番号より1つ大きい番号を含むファイル名が付された静止画像データ(以下、「候補画像データ」と称する。)がメモリカード200に記録されているか否かを判断する(S220)。
【0076】
候補画像データがメモリカード200に記録されていないと判断すると、コントローラ180は、所定の画像を表示するよう表示モニタ220を制御する(S230)。具体的には、コントローラ180は、図5(b)に示すような黒スクリーンを表示するよう表示モニタ220を制御する。
【0077】
一方、候補画像データがメモリカード200に記録されていると判断すると、コントローラ180は、候補画像データの記録時刻が再生中の音声データの記録完了時刻より早いかを判断する(S240)。
【0078】
候補画像データの記録時刻が再生中の音声データの記録完了時刻より遅いと判断すると、コントローラ180は、図5(b)に示すような所定の画像を表示するよう表示モニタ220を制御する(S230)。
【0079】
一方、候補画像データの記録日時が再生中の音声データの記録完了日時より早いと判断すると、コントローラ180は、候補画像データが示す静止画像を表示するよう表示モニタ220を制御する(S250)。具体的には、コントローラ180は、図5(a)に示すような画像を表示するよう表示モニタ220を制御する。つまり、デジタルビデオカメラ100は、音声の再生を開始するのに併せて、再生中の音声の記録期間中に記録した静止画像データから静止画像の再生を開始する。例えば、図3に示すようなディレクトリ構成が形成されている状態で、「IMGA0004.M4A」のファイルから音声の再生を実行する場合、デジタルビデオカメラ100は、図6(a)に示すように「IMGA0004.M4A」からの音声再生開始に併せて、「IMGA0005.jpg」からの静止画再生を開始する。
【0080】
図5(a)において、表示270は、現在再生している音声データのファイル名を表している。また、表示290は、現在再生している静止画像データより以前に記録された静止画像データがメモリカード200に記録されていることを示している。つまり、表示290は、現在再生している静止画像データのファイル名に含まれる番号よりも小さい番号が付されたファイル名の静止画像データがメモリカード200に記録されていることを示している。また、表示300は、現在再生している静止画像データより後に記録された静止画像データがメモリカード200に記録されていることを示している。つまり、表示300は、現在再生している静止画像データのファイル名に含まれる番号よりも大きい番号が付されたファイル名の静止画像データがメモリカード200に記録されていることを示している。
【0081】
ステップS250において、候補画像データが示す静止画像を表示モニタ220に表示させると、コントローラ180は、使用者から表示モニタ220に表示させる静止画像の変更指示がなされたか否かを判断する(S260)。
【0082】
変更指示がなされたと判断すると、コントローラ180は、現在再生中の静止画像データのファイル名に含まれる番号より大きい番号であって、現在再生中の静止画像データのファイル名に含まれる番号に最も近い番号を含むファイル名を有する静止画像データが示す静止画像を表示するよう表示モニタ220を制御する(S270)。または、コントローラ180は、現在再生中の静止画像データのファイル名に含まれる番号より小さい番号であって、現在再生中の静止画像データのファイル名に含まれる番号に最も近い番号を含むファイル名を有する静止画像データが示す静止画像を表示するよう表示モニタ220を制御する(S270)。
【0083】
図6(b)に示される例では、コントローラ180は、「IMGA0006.jpg」を読み出して静止画を再生する。
【0084】
つまり、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、再生中の音声データの記録中に記録した静止画像データが複数存在するような場合であっても、再生する静止画像データを自動的に変更することはない。デジタルビデオカメラ100は、使用者から再生する静止画像の変更指示を受け付けて初めて再生する静止画像を変更する。また、音声の再生中に再生する静止画像の変更指示を受け付けた場合には、変更後の静止画像が、例え再生中の音声データの記録期間中に記録されていない場合でも再生する静止画像データを変更する。
【0085】
このように、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、メモリカード200に記録されている音声データの再生を開始する際に、その音声データの記録中に記録した静止画像データがメモリカード200に記録されている場合には、その静止画像データの再生を併せて開始する。これにより、デジタルビデオカメラ100は、使用者による静止画像データの検索指示がなくても、再生している音声データがどのような場面で記録したものかを視覚を通じて直感的に使用者に思い出させることができる。
【0086】
また、本実施形態にかかるデジタルビデオカメラ100は、再生中の音声データの記録中に記録した静止画像データが複数存在するような場合であっても、再生する静止画像を自動的に変更することはない。これにより、使用者は、その時々に確認したい静止画像を存分に確認できる。
【0087】
また、デジタルビデオカメラ100は、音声の再生中に再生する静止画像の変更指示を受け付けた場合には、変更後の静止画像データが例え再生中の音声の記録期間中に記録されたものでなかったとしても、その静止画像を再生する。これにより、例えば、音声データの記録開始前に記録しておいた静止画像を音声の再生中に確認できる。
【0088】
なお、図4のフローチャートに示す処理は、たとえば音声の再生が最後まで完了したとき、またはユーザから音声の再生を終了する指示が入力されたときに終了する。後者の例では、指示の入力に起因して発生する割り込み処理に基づいて音声の再生を終了すればよい。
【0089】
上述の説明から明らかな通り、音声再生モードにおけるデジタルビデオカメラ100では、録音および録画(撮影)に関する機能は動作していない。よって、音声再生モードに対応する機能および構成要素を有する機器、すなわち再生機器であれば上述の処理を実行できることを示している。
【0090】
たとえば図7Aは、再生装置310の構成を示す。再生装置310は、主としてデジタルビデオカメラ100(図1)から録音および録画(撮影)に関する構成要素を省いて構成されている。なお図7Aでは、再生装置310には表示モニタ220やスピーカ260が設けられているが、これは一例である。表示モニタ220およびスピーカ260の一方、または両方を備えていなくてもよい。
【0091】
さらに図7Bは、ネットワーク194経由で音声ファイルおよび静止画像ファイルを取得する再生装置320の構成を示す。
【0092】
図7Bにおいて、ネットワーク194上には記憶装置202が設置されている。記憶装置202には、予め生成された音声ファイルおよび静止画像ファイルが格納されている。再生装置320のネットワークコネクタ(ネットワークインターフェース)192は、ネットワーク194を介して、当該音声ファイルおよび静止画像ファイルを取得し、図4に記載された処理手順にしたがって、音声の再生および画像の出力を行えばよい。
【0093】
なお、再生装置320は、メモリカードスロット190を備えていてもよい。
【0094】
以上、例示的な実施形態を説明した。さらに、上記実施形態の変形例として、以下の構成が考えられる。
【0095】
上記の実施形態では、撮像素子として、CMOSイメージセンサ140を例示したが、撮像素子はこれに限定されない。例えば、撮像素子を、CCDイメージセンサやNMOSイメージセンサで構成してもよい。
【0096】
また、画像/音声処理部160とコントローラ180とは、1つの半導体チップで構成してもよく、別々の半導体チップで構成してもよい。
【0097】
また上述の実施形態では、再生中の音声データの記録期間中に記録した静止画像データが存在しない場合には、表示モニタ220は、音声データの再生中に黒スクリーンを表示することとした。しかしながら、黒スクリーンの表示は一例である。必ずしも黒スクリーンを表示しなくてもよい。例えば、予め用意されている模様の画像を表示してもよいし、音声データの記録期間中に記録された静止画像データ以外の静止画像データが示す画像を表示するような構成としてもよい。
【0098】
上述の実施形態においては、デジタルビデオカメラ100は、音声データをメモリカード200に記録するとともに、音声データの記録中に撮影した静止画像のデータもメモリカード200に記録するとした。しかしながら記録媒体はメモリカード200に限られない。たとえば、デジタルビデオカメラ100はネットワーク上のハードディスクドライブ(ストレージ)に音声データおよび静止画像データを格納してもよい。
【0099】
また、デジタルビデオカメラ100は、メモリカード200以外の記録媒体、たとえばネットワーク上のストレージから音声データおよび静止画像データを取得し、それらから音声および静止画像を再生してもよい。そのような場合には、カードスロット190に代えてネットワークインターフェースがデータを取得する。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラやカメラ機能付き携帯電話等の撮像装置に適用できる。
【符号の説明】
【0101】
100 デジタルビデオカメラ
110 光学系
120 レンズ駆動部
130 シャッタ
140 CCDイメージセンサ
150 A/Dコンバータ
160 画像処理部
170 バッファ
180 コントローラ
190 カードスロット
200 メモリカード
210 操作部
220 表示モニタ
230 顔枠
240 内部メモリ
310、320 再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声ファイルおよび静止画像ファイルが格納された記録媒体から、前記音声ファイルを取得するインターフェースと、
前記音声ファイルのファイル名に基づいて特定される静止画像ファイルを前記記録媒体から取得し、前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルから音声および静止画像を再生するコントローラと
を備えた再生装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記音声ファイルの生成中に生成された静止画像ファイルを前記記録媒体から取得する、請求項1に記載の再生装置。
【請求項3】
使用者から、再生される静止画像の変更指示を受け取る操作部をさらに備え、
前記コントローラは、前記操作部を介して前記変更指示を受け取るまでは同じ静止画像を再生する、請求項2に記載の再生装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記音声の再生中に前記操作部を介して前記使用者から前記変更指示を受け取ると、異なる静止画像を再生する、請求項3に記載の再生装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記異なる静止画像の静止画像ファイルが前記音声ファイルの記録期間中に生成されたか否かに関わらず、前記異なる静止画像を再生する、請求項4に記載の再生装置。
【請求項6】
前記記録媒体に記録されたファイルのベース名には、記録された順序に対応する情報が付加されており、前記記録媒体上に、前記ファイルの記録完了時刻を特定することが可能なファイルシステムが構築されているときにおいて、
前記コントローラは、前記情報および前記音声ファイルの記録完了時刻に基づいて、前記音声ファイルの記録完了時刻よりも前に記録された静止画像ファイルを特定する、請求項2に記載の再生装置。
【請求項7】
前記記録媒体上に、前記ファイルの記録完了時刻を特定することが可能なファイルシステムが構築されているときにおいて、
前記コントローラは、前記音声ファイルの記録完了時刻よりも前に記録された静止画像ファイルであって、かつ前記音声ファイルのベース名の一部を包含するファイル名を有する静止画像ファイルを、前記記録媒体から取得する、請求項2に記載の再生装置。
【請求項8】
前記記録媒体はメモリカードである、請求項2に記載の再生装置。
【請求項9】
前記記録媒体はネットワーク上に設置された記憶装置であり、
前記インターフェースは、前記記憶装置から前記音声ファイルおよび静止画像ファイルを取得する、請求項2に記載の再生装置。
【請求項10】
前記音声を出力するスピーカと、
前記静止画像を表示する表示部と
をさらに備えた、請求項1に記載の再生装置。
【請求項11】
音声信号を生成する音声信号生成部、および、静止画像の画像信号を生成する画像信号生成部の少なくとも一方をさらに備えた、請求項1に記載の再生装置。
【請求項12】
音声信号を生成する音声信号生成部と、
静止画像の画像信号を生成する画像信号生成部と、
前記音声信号および前記画像信号から、それぞれ音声データおよび静止画像データを生成する処理部と、
記録媒体に前記音声データを音声ファイルとして記録し、前記静止画像データを静止画像ファイルとして記録するコントローラであって、前記音声データの生成中に前記静止画像データが生成されたときは、前記音声ファイルのファイル名に関連付けられたファイル名を前記静止画像ファイルに付与するコントローラと
を備えた、記録装置。
【請求項13】
前記コントローラは、前記記録媒体に前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルが記録された順序を特定する情報を、前記音声ファイルおよび前記静止画像ファイルのファイル名の少なくとも一部に付与する、請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記音声ファイルの記録完了時刻よりも前に記録された静止画像ファイルに対して、前記音声ファイルのベース名の一部を包含するファイル名を付与する、請求項12に記載の記録装置。
【請求項15】
前記記録媒体はメモリカードである、請求項12に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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