記録装置及びその処理方法
【課題】時分割駆動における駆動ブロックと記録媒体の搬送量との関係によって生じる濃度の変化を抑制し、画像の一様性の低下を抑える。
【解決手段】記録装置は、記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する。記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する算出手段81と、記録走査が行なわれる度に、算出手段により算出された搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する設定手段84と、設定された駆動順番パターンに従って複数の記録素子を時分割駆動させる駆動制御手段85とを具備する。記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、搬送量に基づいて駆動順番パターンを設定する。
【解決手段】記録装置は、記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する。記録媒体を搬送する搬送手段と、記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する算出手段81と、記録走査が行なわれる度に、算出手段により算出された搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する設定手段84と、設定された駆動順番パターンに従って複数の記録素子を時分割駆動させる駆動制御手段85とを具備する。記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、搬送量に基づいて駆動順番パターンを設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録素子(吐出口)を複数配列(多数集積配列)して構成される吐出口列を備えた記録ヘッド用いて、記録媒体上に画像を記録するインクジェット方式を採用した記録装置が知られている。このような記録装置においては、記録動作の高速化や高精細化が要求されており、記録ヘッド上に配列される吐出口の数が増大する傾向にある。
【0003】
ここで、記録動作に際して記録素子の全てを同時駆動した場合、近傍吐出口相互の圧力干渉(クロストーク)などにより吐出が不安定になる。また更に、大電流を通電するため、記録ヘッド近傍において共通電源ラインの電力損失に起因する電圧降下が大きくなるので、同時駆動吐出口数が多くなればなるほど、吐出口(記録素子)に印加される駆動電圧の落ち込みが増え、記録安定性を損なう。また、瞬間的に大電流に耐えうる電源を必要とする等、小型で安価な装置を設計する上での不都合が生じる。
【0004】
このため、記録ヘッド内では通常、全吐出口を複数の駆動ブロックに分割し、各駆動ブロック内の吐出口を順次、時分割で駆動するようにして、上記問題の発生を抑制するようにしている。この駆動方式は、時分割駆動(若しくはブロック分割駆動)と称される。
【0005】
ここで、同一直線状に記録素子が配置された記録ヘッドを駆動ブロック毎に時分割駆動した場合、その間、記録ヘッドが走査方向に移動しているので、記録位置が駆動ブロック間でずれてしまう。例えば、単位マトリクス(M×Nの画素で構成される画像処理制御単位)を用いて階調を表現する場合、マトリクスサイズと駆動ブロックのパターンサイズとの関係により記録ヘッドの各記録走査毎にマトリクス内のドットパターンがずれてしまう場合がある。この問題を解決するために、特許文献1には、マトリクスサイズと駆動ブロックのパターンサイズとの関係に応じて、記録ヘッドの各記録走査毎に2値画像データの配置をずらす方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-159698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、時分割駆動により記録を行なう場合、単位マトリクスで階調を表現する構成であるか否かに関わらず、以下に述べるような問題が発生する。
【0008】
図13は、記録ヘッドの吐出口列と、各吐出口の駆動信号と、各吐出口から吐出され記録媒体上に付着したドットとの関係を示す図である。ここでは、記録媒体上の同一記録領域に対して2パス記録(すなわち、2回の記録走査で画像を記録)を行なった場合を示している。
【0009】
この場合、記録走査が行なわれる度に、8吐出口分、記録媒体の搬送が行なわれている。符号401は1回目の記録走査を示し、符号402及び符号412は2回目の記録走査を示し、符号403及び符号413は3回目の記録走査を示している。
【0010】
符号402に示す吐出口列は、符号401に示す吐出口列に対して、吐出口の配列方向(記録媒体の搬送方向)に沿って8吐出口分ずれた位置に示されている。これは、2回目の記録走査時には、1回目の記録走査時よりも、8吐出口分、搬送方向に沿って記録媒体が搬送されるためである。なお、符号403に示す吐出口列も、上記同様に、記録媒体の搬送に伴ってずれた位置に示されている。
【0011】
記録ヘッドの吐出口列500は、符号401〜403に示すように、隣接する8吐出口を1グループとして、グループ1及びグループ2の2グループに分かれた構成となっている。各グループ内の8個の各吐出口は、8つの駆動ブロックのうちのいずれか1つに属しており、記録動作に際しては、駆動ブロック毎に時分割で駆動される(同じ駆動ブロックの吐出口は同時に駆動される)。なお、図中、各吐出口の左側に付された符号は、吐出口番号(1−1〜2−8)を示し、各吐出口の右側に付された符号は、ブロック番号(1〜8)を示している。
【0012】
ここで、吐出口列500においては、図中上側から1番目及び9番目(1−1及び2−1)の吐出口が第1の駆動ブロックに割り当てられている。また、図中上側から2番目及び10番目(1−2及び2−2)の吐出口が第2の駆動ブロックに割り当てられており、各吐出口は全ていずれかの駆動ブロックに割り当てられている。そして、第1の駆動ブロックから第8の駆動ブロックまで昇順に、符号411〜符号413に示すパルス状のブロック選択信号300と、画像データに従った記録信号とに基づいて順次駆動される。これにより、各吐出口からインクが吐出され、符号414に示すドットが記録媒体上に形成される。
【0013】
記録媒体上に形成されるドットの配置位置は、符号414に示すように、同一記録領域に対する1回目の走査(第1走査)において、チドリ模様にドットが形成され、2回目の記録走査(第2走査)において、逆チドリ模様にドットが形成される。すなわち、2パス記録で画像の記録が完成している。
【0014】
これに対して、図14は、図13のように全ての吐出口を用いて記録を行なうのではなく、中央部に位置する所定数(この場合、8個)の吐出口のみを用いて記録を行なう場合を示している。例えば、符号601に示す吐出口列では、符号1−5〜1−8及び2−1〜2−4が使用されて記録が行なわれている。なお、記録ヘッドの構成及び元画像データは、図13と同様である。
【0015】
ここで、図13の符号414及び図13の符号616に示すドットの配置位置を比較してみると、元画像データが同じであるにもかかわらず、両者のドットの配置位置が異なっている。
【0016】
具体的には、図13の符号414に示すドット配置位置では、記録媒体上にほぼ隙間なくドットが配置されているのに対して、図14の符号616に示すドットの配置位置では、ドット間に隙間が生じている。このようなドット配置位置の相違が生じるのは、図13においては全て同一の駆動ブロックでドットが形成されているのに対して、図14においては異なる駆動ブロックで形成されるドットが混ざっていることが原因として挙げられる。
【0017】
このように全吐出口を用いて記録する領域と、一部の吐出口のみを用いて記録する領域とが存在する場合、記録媒体の搬送量と駆動ブロックの周期との関係が異なってしまい、それぞれの領域におけるドットの埋まり方が異なってしまう。そのため、それが濃度ムラとなって画像の一様性が低下してしまう場合がある。
【0018】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、時分割駆動における駆動ブロックと記録媒体の搬送量との関係によって生じる濃度の変化を抑制し、画像の一様性の低下を抑えるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の記録素子が配列された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドを前記記録素子の配列方向と交差する方向に記録走査させながら、前記記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する記録装置であって、前記記録素子の配列方向に沿って前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する算出手段と、前記記録走査が行なわれる度に、前記算出手段により算出された前記搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する設定手段と、前記設定手段により設定された駆動順番パターンに従って前記複数の記録素子を前記時分割駆動させる駆動制御手段とを具備し、前記設定手段は、前記記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを設定する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、時分割駆動における駆動ブロックと記録媒体の搬送量との関係によって生じる濃度の変化を抑制し、画像の一様性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる記録装置10の構成の一例を示す図。
【図2】記録ヘッド20の駆動回路の構成の一例を示す図。
【図3】記録装置10における制御系の構成(電気的回路)の一例を示す図。
【図4】図3に示すメイン基板40の内部構成の一例を示す図。
【図5】記録装置10における搬送制御の概要を説明するための図。
【図6】記録装置10における搬送制御の概要を説明するための図。
【図7】記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係を説明するため図。
【図8】記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係を説明するため図。
【図9】記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係を説明するため図。
【図10】図7に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の概要を説明するための図。
【図11】記録装置10の処理の流れの一例を示す図。
【図12】図8に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の概要を説明するための図。
【図13】従来技術を説明するための図。
【図14】従来技術を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、インクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。記録装置としては、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであってもよいし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであっても良い。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であっても良い。
【0023】
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
【0024】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
【0025】
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
【0026】
また更に、「記録素子」(「ノズル」という場合もある)とは、特に断らない限りインク吐出口乃至これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括していうものとする。
【0027】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係わる記録装置10の全体構成の一例を示す図である。
【0028】
記録装置10は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)20をキャリッジ1に搭載し、キャリッジ1を所定方向(主走査方向)に往復移動させて記録を行なう。記録装置10は、記録紙などの記録媒体Pを上記主走査方向に交差する方向(副走査方向)に搬送させる。そして、記録ヘッド20から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
【0029】
キャリッジ1には、キャリッジモータ(駆動源)2の回転力がベルト4を介して伝達される。これにより、キャリッジ1は、シャーシ9上において往復移動可能な構成となっている。記録装置10は、リニアエンコーダ3の変位量をエンコーダ受光部11で検出しながらキャリッジモータ2を駆動させる。これにより、キャリッジ1の位置が制御される。
【0030】
記録装置10は、搬送ローラ5を回転させ、副走査方向に沿って記録媒体Pを搬送する。搬送ローラ5は、搬送モータ6の回転力がベルト8を介して伝達されることにより回転する。記録装置10においては、搬送ローラ5に取り付けられたロータリエンコーダ7の変位角度をエンコーダ受光部11で検出しながら、搬送モータ6を駆動させる。これにより、搬送ローラ5の回転量を制御し、記録媒体Pの搬送量を制御する。
【0031】
ここで、本実施形態に係わる記録ヘッド20には、図1(b)に示すように、12本の吐出口列(符号101〜符号112)が配列されており、それぞれの吐出口列からそれぞれの色のインクが吐出される。吐出口列101〜112は、例えば、グレー、フォトブラック、ライトグレー、ダークグレー、ライトシアン、マゼンタ、イエロー、ライトマゼンタ、マットブラック、シアン、レッド、クリアの各色のインクの吐出が可能となっている。 各色の吐出口列101〜112は、例えば、600dpiピッチで512個の吐出口により構成される2つの吐出口列で形成されている。そして、2つの吐出口列のそれぞれが半ピッチ(1200dpi間隔)分、吐出口の配列方向(副走査方向)にずれた状態で配置されている。これにより、疑似的に各色1200dpi間隔の吐出口が1024個で形成する吐出口列が形成されている。
【0032】
各吐出口には、記録素子として、例えば、電気熱変換体(ヒータ)が設けられている。すなわち、各吐出口からは、熱エネルギーを利用してインクが吐出される。なお、本実施形態においては、インクの吐出方式として、電気熱変換体を用いてインクを吐出する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、様々なインクジェット方式を採用しても良い。
【0033】
ここで、記録ヘッド20に配される複数の吐出口(記録素子)は、当該複数の記録素子を所定数含むグループに分けられており、各グループ内の記録素子が時分割駆動により駆動される。図2を用いて、図1(b)に示す記録ヘッド20の駆動回路における時分割駆動の概要について簡単に説明する。
【0034】
M個の記録素子R01〜RMは、その一端が駆動電圧VHに共通に接続されており、他端がMビットドライバ160に接続されている。M個の記録素子は、隣接する記録素子をN個含むL個のグループに分けられる。
【0035】
Mビットドライバ160には、Mビットラッチ170からの出力信号と、Nビットのブロック選択信号(BE1〜BEN)との論理積(AND)信号が入力される。
【0036】
Mビットラッチ170は、Mビットシフトレジスタ180から出力されるMビットの信号を保持する。ラッチ信号(LAT)が供給されると、Mビットラッチ170は、Mビットシフトレジスタ180に保持されるMビットのデータをラッチ(保持)する。
【0037】
Mビットシフトレジスタ180は、画像データを記録信号に対応して保持する回路である。Mビットシフトレジスタ180には、画像データ転送クロック(SCLK)に同期して、信号線S_INを介して送られてくる画像データが入力される。
【0038】
このように構成された駆動回路では、Nビット(N個)のブロックイネーブル選択信号(BE1〜BEN)として、時間的に分割された駆動信号を順次入力する。これにより、M個の記録素子は、各グループにおける記録素子を一つずつ含んで構成されるN個の駆動ブロック毎に時分割で駆動される。つまり、記録ヘッドに備えられる複数の記録素子は、複数の駆動ブロックに分けられて時分割で駆動される。
【0039】
次に、図3を用いて、図1(a)に示す記録装置10における制御系の構成(電気的回路)の一例について説明する。
【0040】
記録装置10は、その制御系の構成として、キャリッジ基板31、メイン基板40、電源ユニット32及びフロントパネル33、等を具備する。
【0041】
電源ユニット32は、メイン基板40と接続されており、各構成部に駆動電源を供給する。
【0042】
キャリッジ基板31は、キャリッジ1に搭載された基板ユニットであり、ヘッドコネクタ201を介して記録ヘッド20との間で各種信号の授受なう。その他、ヘッドコネクタ201を介してヘッド駆動電源の供給も行なう。キャリッジ基板31は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)210を介してメイン基板40と接続されている。
【0043】
キャリッジ基板31は、キャリッジ1の移動に伴ってエンコーダセンサ204から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケール205とエンコーダセンサ204との位置関係の変化を検出する。そして、その出力信号をCRFFC210を介してメイン基板40へ出力する。
【0044】
メイン基板40は、記録装置10の各部の駆動制御を司る基板ユニットである。メイン基板40上には、ホストI/F(Interface)41が設けられており、当該I/F41を介してホストコンピュータ(不図示)からデータを受信し、当該データに基づいて各種記録動作の制御を行なう。
【0045】
また、メイン基板40には、キャリッジ1を移動させるための駆動源となるキャリッジモータ2や記録媒体を搬送するための駆動源となる搬送モータ6が設けられる。その他、APモータ208及びEPモータ209等も設けられている。メイン基板40は、これら各種モータの駆動も制御する。
【0046】
メイン基板40は、記録装置各部の動作状況を検出する様々なセンサ(例えば、エンコーダセンサ204)との間でセンサ信号206(制御信号、検出信号)の授受を行なう。その他、メイン基板40は、CRFFC210や電源ユニット32とも接続されている。
【0047】
フロントパネル33は、ユーザと記録装置10とを繋ぐユーザインターフェースであり、電源キー211、リジュームキー212、LED213、フラットパスキー214及びデバイスI/F215等が設けられる。フロントパネル33は、メイン基板40からのパネル信号207に基づいてその動作が制御される。
【0048】
ここで、図4を用いて、図3に示すメイン基板40の内部構成の一例について説明する。
【0049】
メイン基板40には、ホストI/F41の他、ドライバ・リセット回路42、RAM43、ROM44、ASIC45、EEPROM46、電源制御回路47、ヘッド温度検出回路48、等が設けられる。
【0050】
ASIC(Application Specific Integrated Circuit)45は、1チップの半導体集積回路であり、モータ制御信号306、電源制御信号310及び電源ユニット制御信号313等を出力する。ASIC45は、RAM43及びROM44に接続されており、RAM(Random Access Memory)43をワーク領域として、ROM(Read Only Memory)44に格納されたプログラムに従って各種制御を行なう。なお、RAM43は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で実現され、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信バッファ等として、また各種制御動作に必要なワーク領域として使用されている。
【0051】
ASIC45においては、例えば、各種センサに関連するセンサ信号206の授受を行なう他、エンコーダ信号(ENC)310の状態等を検出する。また、ホストI/F41の接続及びデータ入力状態に応じて各種論理演算や条件判断等を行なって、各部を制御し、記録装置10の制御を司る。
【0052】
また、ASIC45においては、エンコーダ信号(ENC)310の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号312を用いて記録ヘッド20における記録動作を制御する。ここに示すエンコーダ信号(ENC)310は、CRFFC210を介して入力されるエンコーダセンサ204の出力信号である。
【0053】
また、EEPROM(Electrically Erasable PROM)46は、記録履歴等の各種情報を記憶する。ASIC45においては、例えば、ヘッド制御信号312の監視に基づいて、記録ヘッド20における各吐出口のドット数をカウントし、その累積を算出した数値を記録履歴としてEEPROM46に格納する。この記録履歴は、必要に応じてその値を呼び出しされる。
【0054】
電源制御回路47は、ASIC45からの電源制御信号310に従って、発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。ヘッド温度検出回路48は、ヘッド制御信号312に基づいて、記録ヘッド20の温度を検出する。
【0055】
ホストI/F41は、ASIC45からのホストI/F信号307を(外部に接続される)ホストI/Fケーブル308に出力し、また、当該ケーブル308からの信号をASIC45内に入力する。
【0056】
電源ユニット32はASIC45からの電源ユニット制御信号313に基づいて、各部に電力を供給する。供給された電力は、メイン基板40内外の各部へ必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、電源ユニット32は、電源ユニット制御信号313に基づいて、記録装置10を低消費電力モード等へ移行させる。
【0057】
ここで、ASIC45は、その機能的な構成として、搬送量決定部81と、累積搬送量算出部82と、搬送制御部83と、パターン設定部84と、駆動制御部85とを具備して構成される。
【0058】
搬送量決定部81は、記録ヘッド20による記録走査毎の記録媒体の搬送量を決定する。搬送量の決定は、例えば、ROM44等に予め保持されている複数種類の搬送量に基づいて行なわれる。ROM44等には、例えば、全吐出口を用いた記録時に対応した搬送パターン(搬送量)や、一部の吐出口を用いた記録時に対応した搬送パターンが格納されている。
【0059】
累積搬送量算出部82は、記録媒体の(ページ内における)累積的な搬送量を算出する。搬送制御部83は、搬送量決定部81に決定された搬送量に基づいて、搬送部(搬送ローラや排紙ローラ等)を制御して記録媒体を搬送させる。搬送制御部83は、吐出口間(記録素子間)の距離(この場合、600dpi)を単位として記録媒体の搬送を制御する。そのため、搬送部(搬送ローラや排紙ローラ等)は、600dpiを単位として記録媒体の搬送量を変更可能に構成されている。
【0060】
パターン設定部84は、累積搬送量算出部82により算出された搬送量に基づいて、各グループ内の複数の吐出口毎(記録素子毎)に、駆動ブロックパターン(駆動順番パターン)を設定する。駆動ブロックパターンは、各記録素子の駆動順番を規定する情報である。
【0061】
駆動制御部85は、パターン設定部84により設定された駆動ブロックパターンに従って複数の記録素子を時分割駆動させる。以上が、ASIC45上に実現される機能的な構成の一例についての説明である。
【0062】
次に、図5(a)〜(c)及び図6を用いて、図1(a)に示す記録装置10における記録媒体Pの搬送制御の概要について説明する。
【0063】
搬送方向に沿って下流側の記録媒体P上の領域(先端部)の記録が行なわれる際には、図5(a)に示すように、搬送方向に沿って上流側の記録媒体上の領域(後端部)は、搬送ローラ5及びピンチローラ51に支持される。それに対して、下流側の領域(先端部)は、ローラに支持されておらず、不安定な搬送状態となる。
【0064】
記録媒体P上の中央部の領域の記録が行なわれる際には、図5(b)に示すように、記録媒体P上の先端部の領域は、搬送ローラ5及びピンチローラ51に支持される。また、後端部は、排紙ローラ53及び拍車ローラ52によって支持される。すなわち、中央部の領域の記録が行なわれる際には、記録媒体は、その先端部及び後端部がローラによって支持された状態でプラテン54の位置に搬送され、当該プラテン54に対向する位置において、キャリッジ1が走査されて記録が行なわれる。そのため、安定した搬送状態で記録媒体に対して記録が行なわれることになる。
【0065】
また、記録媒体P上の後端部の記録が行なわれる際には、図5(c)に示すように、記録媒体P上の先端部の領域は、排紙ローラ53及び拍車ローラ52に支持される。これに対して、記録媒体P上の後端部の領域は、ローラに支持されておらず、不安定な搬送状態となる。
【0066】
このように図5(a)及び図5(c)に示す状態時には、不安定な状態で記録媒体Pに対して記録が行なわれることになる。つまり、図6に示すように、記録媒体上の領域は、符号61〜符号63に示す3つの領域に大きく分かれ、このうち、中央部62の領域のみが安定した状態で記録が行なわれることになる。
【0067】
そこで、本実施形態においては、搬送状態の不安定な領域に対する記録では、搬送精度を確保するために、吐出口列の全ての吐出口を使用せずに一部の吐出口のみを使用して記録動作を行なう。
【0068】
次に、図7〜図9を用いて、記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係について説明する。
【0069】
図7は、記録媒体上の中央部の領域を記録する際に、全吐出口を使用して画像の記録を行なっている様子を示している。ここでは、片側600dpiピッチで512個の吐出口から形成される吐出口列を32個のグループS1〜S32に分割して示している。図中一番左側の吐出口列が最初の記録走査を示している。また、その1つ右隣の吐出口列は、搬送方向に沿って48個の吐出口分下流側に位置している。ここでは、2回目の記録走査時の搬送量を48(600dpiピッチの吐出口48個分)と表記する。
【0070】
このように全吐出口を使用して画像の記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送量は、48、32、32の搬送量が繰り返し単位となり、合計12回の記録走査により所定領域の画像の記録を完成させる。
【0071】
続いて、図8は、記録媒体上の先端部及び後端部の領域を記録する際に、一部の吐出口のみを使用して画像の記録を行なっている様子を示している。片側600dpiピッチで512個ある吐出口のうち、128個の吐出口にあたるグループS13〜S20が記録に用いられている(図中の吐出口列の色付き領域)。
【0072】
このように一部の吐出口を使用して画像の記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送は、16、8、8の搬送量が繰り返し単位となり、合計12回の記録走査により所定領域の画像の記録を完成させる。
【0073】
最後に、図9は、一部の吐出口のみを使用して記録される先端部の領域の記録から、全吐出口を使用して記録される中央部の領域の記録へ移行する途中段階の様子を示している。この場合、記録媒体の搬送量と、記録動作時に使用する吐出口数とがその記録動作の途中で切り替わっている。すなわち、徐々に記録動作時に使用される吐出口数を増やして記録が行なわれている。
【0074】
ここで、図10は、図7(全吐出口を使用して記録を行なう)に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の概要を示す図である。
【0075】
符号71は、最初の記録走査時のグループS32における時分割駆動の概要を示している。ここで説明する全吐出口は、それぞれ16個の吐出口のグループで構成されており、グループ内の吐出口は互いに異なるタイミングで吐出されるように吐出タイミングをずらして駆動される。なお、各吐出口の左右に記載された符号は、左側の符号が吐出口番号(例えば、S32−1)を示し、右側の符号が駆動タイミングを示す。例えば、グループS32における各吐出口は、1番目の吐出口をS32−1、16番目の吐出口をS32−16として示されており、符号71に示す時分割駆動では、S32−1の吐出口が第1の駆動タイミングで駆動される。また、S32−9の吐出口が第2の駆動タイミングで駆動される。つまり、各グループに属する複数の吐出口は、各吐出口の駆動順番を規定するパターン(駆動ブロックパターン)の順に駆動される。
【0076】
なお、本実施形態においては、記録媒体上の同一記録領域に対して双方向にマルチパス記録(この場合、2パス記録)を行なっている。具体的には、符号71及び符号73に示す時分割駆動は、往記録走査を示しており、符号72に示す時分割駆動は、復記録走査を示している。この場合、往記録走査では、図10に示す駆動ブロックパターンに従って、第1の駆動タイミング、第2の駆動タイミング・・・第16の駆動タイミングの順に駆動されるようにブロック選択信号が発せられて記録媒体上にインクが吐出される。一方、復記録走査では、図10に示す駆動ブロックパターンに従って、第16の駆動タイミング、第15の駆動タイミング・・・第1の駆動タイミングの順に駆動されるようにブロック選択信号が発せられて記録媒体上にインクが吐出される。
【0077】
図11を用いて、図10に示す記録動作時における時分割駆動の処理の流れについて説明する。より具体的には、各吐出口の駆動順番を規定するパターン(駆動ブロックパターン)を設定する際の処理の流れについて説明する。上述した通り、全吐出口を使用して記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送は、48、32、32の搬送量が繰り返し単位となる。
【0078】
なお、駆動ブロックパターンは、同一記録走査時には全てのグループで共通となる。2回目の記録走査時は、記録媒体上の同一記録領域を1回目の記録走査時と異なるグループ(図10の場合、グループS29)の吐出口が記録を行なう。その際の駆動ブロックパターンは、記録走査の開始時に決定される。
【0079】
記録装置10は、累積搬送量算出部82において、累積搬送量の算出を行なう(S101)。ここで、累積搬送量は、該当のページの1回目の記録走査からの搬送量の合計を指し、1グループの吐出口数(この場合、16個)を単位とした値で算出される。
【0080】
本実施形態においては、搬送量の算出は、600dpi単位で行なう。ここで、符号71に示す記録走査時の累積搬送量を16N(Nは整数)とする。すると、符号72に示す時点(2回目の記録走査時)での累積搬送量は、符号71に示す時点までの累積搬送量に対して、符号71から符号72への搬送量48を加えた値、すなわち、16N+48となる。
【0081】
続いて、記録装置10は、パターン設定部84において、この時点での累積搬送量16N+48を、1周期の駆動ブロックパターンの数で割った剰余を算出する。本実施形態においては、1つのグループに駆動ブロックパターンの1周期が設定されており、1つのグループには、吐出口が16個含まれるので1周期の駆動ブロックパターンの数は16となる。従って、「(16N+48)/16」となり、剰余は0となる。
【0082】
ここで、剰余が0であるので(S102でYES)、記録装置10は、パターン設定部84において、オリジナルの駆動ブロックパターンに従って、対象となるグループ(グループS29)に属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S103)。すなわち、2回目の記録走査時には、符号71に示す記録走査時と同様に、オリジナルの駆動ブロックパターンを用いた記録走査が行なわれる(S105)。
【0083】
3回目の記録走査時には、記録媒体上の同一記録領域に対して、グループS27に属する吐出口を用いて記録を行なう。その際の駆動ブロックパターンも、上記同様にして設定される。この場合、累積搬送量は、符号72に示す時点までの累積搬送量(16N+48)に対して、符号72から符号73への搬送量32を加えた値、すなわち、16N+80となる。
【0084】
そのため、記録装置10は、パターン設定部84において、累積搬送量16N+80を、1周期のプロックパターンの数(この場合、16)で割った剰余を算出する。具体的には、「(16N+80)/16」となり、剰余は0となる。
【0085】
剰余が0であるので(S102でYES)、記録装置10は、パターン設定部84において、オリジナルの駆動ブロックパターンに従って、対象となるグループ(グループS27)に属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S103)。すなわち、3回目の記録走査時(符号73)にも、符号71に示す記録走査時と同様に、オリジナルの駆動ブロックパターンを用いた記録走査が行なわれる(S105)。
【0086】
上述した通り、全吐出口を使用して記録を行なう場合、48、48、32の搬送量が繰り返し単位となる。そのため、記録媒体上の記録対象となる領域に対して繰り返される12回の記録走査においては、全てオリジナルの駆動ブロックパターンが用いられる。
【0087】
図12は、図8(一部の吐出口を使用して記録を行なう)に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の様子を示している。ここで、上記同様に、図11を用いて、図12に示す記録動作時における時分割駆動の処理の流れについて説明する。上述した通り、一部の吐出口を使用して記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送は、16、8、8の搬送量が繰り返し単位となる。なお、各吐出口の左右に記載された符号は、上述した図10と同様に、左側の符号が吐出口番号(例えば、S20−1)を示し、右側の符号が駆動タイミングを示す。
【0088】
なお、図12の符号75に示す2回目の記録走査時には、記録媒体上の同一記録領域に対して、グループS19の下半分の吐出口(S19−9〜S19−16)とグループS20の上半分の吐出口(S20−1〜S20−8)とを用いて記録が行なわれる。
【0089】
記録装置10は、累積搬送量算出部82において、累積搬送量の算出を行なう(S101)。ここで、符号74に示す記録走査時の累積搬送量を16N(Nは整数)とする。すると、符号75に示す時点(2回目の記録走査時)での累積搬送量は、符号74に示す時点までの累積搬送量に対して、符号74から符号75への搬送量8を加えた値、すなわち、16N+8となる。
【0090】
記録装置10は、パターン設定部84において、累積搬送量16N+8を、1周期の駆動ブロックパターンの数(この場合、16個)で割った剰余を算出する。具体的には、「(16N+80)/16」となり、剰余は8となる。
【0091】
剰余が8であるので(S102でNO)、記録装置10は、パターン設定部84において、剰余分8だけ駆動ブロックパターンをシフトして、対象となるグループに属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S104)。
【0092】
具体的には、符号75に示すように、グループS19及びグループS20に属する各吐出口には、オリジナルの駆動ブロックパターンと異なるブロック番号が設定される。
【0093】
符号74に示すように、オリジナルの駆動ブロックパターンが設定された場合には、グループ内の一番上の吐出口から順に「1、11、5、15、9、3、13、7、2、12、6、16、10、4、14、8」の順序で駆動順が設定される。
【0094】
これに対して、符号75では、駆動ブロックパターンが8個分シフトして割り当てられているため、「2、12、6、16、10、4、14、8、1、11、5、15、9、3、13、7」の順序に駆動順が設定される。
【0095】
3回目の記録走査時は、記録媒体上の同一記録領域に対して、グループS19に属する吐出口を用いて記録を行なう。その際の駆動ブロックパターンも、上記同様の処理により設定される。この場合、累積搬送量は、符号75に示す時点までの累積搬送量(16N+8)に対して、符号75から符号76への搬送量8を加えた値、すなわち、16N+16となる。
【0096】
ここで、記録装置10は、パターン設定部84において、累積搬送量16N+16を、1周期の駆動ブロックパターンの数(この場合、16個)で割った剰余を算出する。具体的には、「(16N+16)/16」となり、剰余は0となる。
【0097】
剰余が0であるので(S102でYES)、記録装置10は、パターン設定部84において、オリジナルの駆動ブロックパターンに従って、対象となるグループ(グループS19)に属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S103)。すなわち、3回目の記録走査時(符号76)にも、符号76に示す記録走査時と同様に、オリジナルの駆動ブロックパターンを用いた記録走査が行なわれる(S105)。この場合、駆動ブロックパターンは、オリジナルの駆動ブロックパターンが設定されるため、グループ内の一番上の吐出口から順に「1、11、5、15、9、3、13、7、2、12、6、16、10、4、14、8」の順序でその駆動順が設定されている。
【0098】
以上説明したように本実施形態によれば、記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録で記録する際に、各記録走査において同一の駆動順で各記録素子を駆動させるように、駆動ブロックパターンを設定する。すなわち、各記録走査時において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させる。
【0099】
これにより、記録媒体の搬送量が1周期の駆動ブロックパターンの数の整数倍以外となルことに起因して、記録媒体上に形成されるドットの配置位置に乱れが生じ、画像一様性が低下するといった不具合が起こらない。そのため、記録品位を向上させることができる。
【0100】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0101】
例えば、上述した実施形態においては、1周期の駆動ブロックパターンの数を16とし、また、記録媒体の搬送量を「48、32、32」又は「16、8、8」とした場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、どのような駆動ブロックパターンの数と搬送量との組み合わせであっても良い。
【0102】
例えば、上述した実施形態においては、記録媒体の搬送量に基づいて、駆動ブロックパターンをシフトさせる場合について説明したが、これに限られない。すなわち、本実施形態においては、記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に当該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させることができれば、どのような手法を用いても良い。
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置及びその処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
記録素子(吐出口)を複数配列(多数集積配列)して構成される吐出口列を備えた記録ヘッド用いて、記録媒体上に画像を記録するインクジェット方式を採用した記録装置が知られている。このような記録装置においては、記録動作の高速化や高精細化が要求されており、記録ヘッド上に配列される吐出口の数が増大する傾向にある。
【0003】
ここで、記録動作に際して記録素子の全てを同時駆動した場合、近傍吐出口相互の圧力干渉(クロストーク)などにより吐出が不安定になる。また更に、大電流を通電するため、記録ヘッド近傍において共通電源ラインの電力損失に起因する電圧降下が大きくなるので、同時駆動吐出口数が多くなればなるほど、吐出口(記録素子)に印加される駆動電圧の落ち込みが増え、記録安定性を損なう。また、瞬間的に大電流に耐えうる電源を必要とする等、小型で安価な装置を設計する上での不都合が生じる。
【0004】
このため、記録ヘッド内では通常、全吐出口を複数の駆動ブロックに分割し、各駆動ブロック内の吐出口を順次、時分割で駆動するようにして、上記問題の発生を抑制するようにしている。この駆動方式は、時分割駆動(若しくはブロック分割駆動)と称される。
【0005】
ここで、同一直線状に記録素子が配置された記録ヘッドを駆動ブロック毎に時分割駆動した場合、その間、記録ヘッドが走査方向に移動しているので、記録位置が駆動ブロック間でずれてしまう。例えば、単位マトリクス(M×Nの画素で構成される画像処理制御単位)を用いて階調を表現する場合、マトリクスサイズと駆動ブロックのパターンサイズとの関係により記録ヘッドの各記録走査毎にマトリクス内のドットパターンがずれてしまう場合がある。この問題を解決するために、特許文献1には、マトリクスサイズと駆動ブロックのパターンサイズとの関係に応じて、記録ヘッドの各記録走査毎に2値画像データの配置をずらす方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006-159698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、時分割駆動により記録を行なう場合、単位マトリクスで階調を表現する構成であるか否かに関わらず、以下に述べるような問題が発生する。
【0008】
図13は、記録ヘッドの吐出口列と、各吐出口の駆動信号と、各吐出口から吐出され記録媒体上に付着したドットとの関係を示す図である。ここでは、記録媒体上の同一記録領域に対して2パス記録(すなわち、2回の記録走査で画像を記録)を行なった場合を示している。
【0009】
この場合、記録走査が行なわれる度に、8吐出口分、記録媒体の搬送が行なわれている。符号401は1回目の記録走査を示し、符号402及び符号412は2回目の記録走査を示し、符号403及び符号413は3回目の記録走査を示している。
【0010】
符号402に示す吐出口列は、符号401に示す吐出口列に対して、吐出口の配列方向(記録媒体の搬送方向)に沿って8吐出口分ずれた位置に示されている。これは、2回目の記録走査時には、1回目の記録走査時よりも、8吐出口分、搬送方向に沿って記録媒体が搬送されるためである。なお、符号403に示す吐出口列も、上記同様に、記録媒体の搬送に伴ってずれた位置に示されている。
【0011】
記録ヘッドの吐出口列500は、符号401〜403に示すように、隣接する8吐出口を1グループとして、グループ1及びグループ2の2グループに分かれた構成となっている。各グループ内の8個の各吐出口は、8つの駆動ブロックのうちのいずれか1つに属しており、記録動作に際しては、駆動ブロック毎に時分割で駆動される(同じ駆動ブロックの吐出口は同時に駆動される)。なお、図中、各吐出口の左側に付された符号は、吐出口番号(1−1〜2−8)を示し、各吐出口の右側に付された符号は、ブロック番号(1〜8)を示している。
【0012】
ここで、吐出口列500においては、図中上側から1番目及び9番目(1−1及び2−1)の吐出口が第1の駆動ブロックに割り当てられている。また、図中上側から2番目及び10番目(1−2及び2−2)の吐出口が第2の駆動ブロックに割り当てられており、各吐出口は全ていずれかの駆動ブロックに割り当てられている。そして、第1の駆動ブロックから第8の駆動ブロックまで昇順に、符号411〜符号413に示すパルス状のブロック選択信号300と、画像データに従った記録信号とに基づいて順次駆動される。これにより、各吐出口からインクが吐出され、符号414に示すドットが記録媒体上に形成される。
【0013】
記録媒体上に形成されるドットの配置位置は、符号414に示すように、同一記録領域に対する1回目の走査(第1走査)において、チドリ模様にドットが形成され、2回目の記録走査(第2走査)において、逆チドリ模様にドットが形成される。すなわち、2パス記録で画像の記録が完成している。
【0014】
これに対して、図14は、図13のように全ての吐出口を用いて記録を行なうのではなく、中央部に位置する所定数(この場合、8個)の吐出口のみを用いて記録を行なう場合を示している。例えば、符号601に示す吐出口列では、符号1−5〜1−8及び2−1〜2−4が使用されて記録が行なわれている。なお、記録ヘッドの構成及び元画像データは、図13と同様である。
【0015】
ここで、図13の符号414及び図13の符号616に示すドットの配置位置を比較してみると、元画像データが同じであるにもかかわらず、両者のドットの配置位置が異なっている。
【0016】
具体的には、図13の符号414に示すドット配置位置では、記録媒体上にほぼ隙間なくドットが配置されているのに対して、図14の符号616に示すドットの配置位置では、ドット間に隙間が生じている。このようなドット配置位置の相違が生じるのは、図13においては全て同一の駆動ブロックでドットが形成されているのに対して、図14においては異なる駆動ブロックで形成されるドットが混ざっていることが原因として挙げられる。
【0017】
このように全吐出口を用いて記録する領域と、一部の吐出口のみを用いて記録する領域とが存在する場合、記録媒体の搬送量と駆動ブロックの周期との関係が異なってしまい、それぞれの領域におけるドットの埋まり方が異なってしまう。そのため、それが濃度ムラとなって画像の一様性が低下してしまう場合がある。
【0018】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、時分割駆動における駆動ブロックと記録媒体の搬送量との関係によって生じる濃度の変化を抑制し、画像の一様性の低下を抑えるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、複数の記録素子が配列された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドを前記記録素子の配列方向と交差する方向に記録走査させながら、前記記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する記録装置であって、前記記録素子の配列方向に沿って前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する算出手段と、前記記録走査が行なわれる度に、前記算出手段により算出された前記搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する設定手段と、前記設定手段により設定された駆動順番パターンに従って前記複数の記録素子を前記時分割駆動させる駆動制御手段とを具備し、前記設定手段は、前記記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを設定する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、時分割駆動における駆動ブロックと記録媒体の搬送量との関係によって生じる濃度の変化を抑制し、画像の一様性の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる記録装置10の構成の一例を示す図。
【図2】記録ヘッド20の駆動回路の構成の一例を示す図。
【図3】記録装置10における制御系の構成(電気的回路)の一例を示す図。
【図4】図3に示すメイン基板40の内部構成の一例を示す図。
【図5】記録装置10における搬送制御の概要を説明するための図。
【図6】記録装置10における搬送制御の概要を説明するための図。
【図7】記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係を説明するため図。
【図8】記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係を説明するため図。
【図9】記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係を説明するため図。
【図10】図7に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の概要を説明するための図。
【図11】記録装置10の処理の流れの一例を示す図。
【図12】図8に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の概要を説明するための図。
【図13】従来技術を説明するための図。
【図14】従来技術を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の説明では、インクジェット記録方式を用いた記録装置を例に挙げて説明する。記録装置としては、例えば、記録機能のみを有するシングルファンクションプリンタであってもよいし、また、例えば、記録機能、FAX機能、スキャナ機能等の複数の機能を有するマルチファンクションプリンタであっても良い。また、例えば、カラーフィルタ、電子デバイス、光学デバイス、微小構造物等を所定の記録方式で製造するための製造装置であっても良い。
【0023】
なお、以下の説明において、「記録」とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。更に人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かも問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン、構造物等を形成する、又は媒体の加工を行なう場合も表す。
【0024】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、樹脂、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表す。
【0025】
更に、「インク」とは、上記「記録」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成又は記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば、記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表す。
【0026】
また更に、「記録素子」(「ノズル」という場合もある)とは、特に断らない限りインク吐出口乃至これに連通する液路及びインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括していうものとする。
【0027】
図1(a)は、本発明の一実施の形態に係わる記録装置10の全体構成の一例を示す図である。
【0028】
記録装置10は、インクジェット方式に従ってインクを吐出して記録を行なうインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッドと呼ぶ)20をキャリッジ1に搭載し、キャリッジ1を所定方向(主走査方向)に往復移動させて記録を行なう。記録装置10は、記録紙などの記録媒体Pを上記主走査方向に交差する方向(副走査方向)に搬送させる。そして、記録ヘッド20から記録媒体Pにインクを吐出することで記録を行なう。
【0029】
キャリッジ1には、キャリッジモータ(駆動源)2の回転力がベルト4を介して伝達される。これにより、キャリッジ1は、シャーシ9上において往復移動可能な構成となっている。記録装置10は、リニアエンコーダ3の変位量をエンコーダ受光部11で検出しながらキャリッジモータ2を駆動させる。これにより、キャリッジ1の位置が制御される。
【0030】
記録装置10は、搬送ローラ5を回転させ、副走査方向に沿って記録媒体Pを搬送する。搬送ローラ5は、搬送モータ6の回転力がベルト8を介して伝達されることにより回転する。記録装置10においては、搬送ローラ5に取り付けられたロータリエンコーダ7の変位角度をエンコーダ受光部11で検出しながら、搬送モータ6を駆動させる。これにより、搬送ローラ5の回転量を制御し、記録媒体Pの搬送量を制御する。
【0031】
ここで、本実施形態に係わる記録ヘッド20には、図1(b)に示すように、12本の吐出口列(符号101〜符号112)が配列されており、それぞれの吐出口列からそれぞれの色のインクが吐出される。吐出口列101〜112は、例えば、グレー、フォトブラック、ライトグレー、ダークグレー、ライトシアン、マゼンタ、イエロー、ライトマゼンタ、マットブラック、シアン、レッド、クリアの各色のインクの吐出が可能となっている。 各色の吐出口列101〜112は、例えば、600dpiピッチで512個の吐出口により構成される2つの吐出口列で形成されている。そして、2つの吐出口列のそれぞれが半ピッチ(1200dpi間隔)分、吐出口の配列方向(副走査方向)にずれた状態で配置されている。これにより、疑似的に各色1200dpi間隔の吐出口が1024個で形成する吐出口列が形成されている。
【0032】
各吐出口には、記録素子として、例えば、電気熱変換体(ヒータ)が設けられている。すなわち、各吐出口からは、熱エネルギーを利用してインクが吐出される。なお、本実施形態においては、インクの吐出方式として、電気熱変換体を用いてインクを吐出する場合について説明するが、これに限定されない。例えば、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式など、様々なインクジェット方式を採用しても良い。
【0033】
ここで、記録ヘッド20に配される複数の吐出口(記録素子)は、当該複数の記録素子を所定数含むグループに分けられており、各グループ内の記録素子が時分割駆動により駆動される。図2を用いて、図1(b)に示す記録ヘッド20の駆動回路における時分割駆動の概要について簡単に説明する。
【0034】
M個の記録素子R01〜RMは、その一端が駆動電圧VHに共通に接続されており、他端がMビットドライバ160に接続されている。M個の記録素子は、隣接する記録素子をN個含むL個のグループに分けられる。
【0035】
Mビットドライバ160には、Mビットラッチ170からの出力信号と、Nビットのブロック選択信号(BE1〜BEN)との論理積(AND)信号が入力される。
【0036】
Mビットラッチ170は、Mビットシフトレジスタ180から出力されるMビットの信号を保持する。ラッチ信号(LAT)が供給されると、Mビットラッチ170は、Mビットシフトレジスタ180に保持されるMビットのデータをラッチ(保持)する。
【0037】
Mビットシフトレジスタ180は、画像データを記録信号に対応して保持する回路である。Mビットシフトレジスタ180には、画像データ転送クロック(SCLK)に同期して、信号線S_INを介して送られてくる画像データが入力される。
【0038】
このように構成された駆動回路では、Nビット(N個)のブロックイネーブル選択信号(BE1〜BEN)として、時間的に分割された駆動信号を順次入力する。これにより、M個の記録素子は、各グループにおける記録素子を一つずつ含んで構成されるN個の駆動ブロック毎に時分割で駆動される。つまり、記録ヘッドに備えられる複数の記録素子は、複数の駆動ブロックに分けられて時分割で駆動される。
【0039】
次に、図3を用いて、図1(a)に示す記録装置10における制御系の構成(電気的回路)の一例について説明する。
【0040】
記録装置10は、その制御系の構成として、キャリッジ基板31、メイン基板40、電源ユニット32及びフロントパネル33、等を具備する。
【0041】
電源ユニット32は、メイン基板40と接続されており、各構成部に駆動電源を供給する。
【0042】
キャリッジ基板31は、キャリッジ1に搭載された基板ユニットであり、ヘッドコネクタ201を介して記録ヘッド20との間で各種信号の授受なう。その他、ヘッドコネクタ201を介してヘッド駆動電源の供給も行なう。キャリッジ基板31は、フレキシブルフラットケーブル(CRFFC)210を介してメイン基板40と接続されている。
【0043】
キャリッジ基板31は、キャリッジ1の移動に伴ってエンコーダセンサ204から出力されるパルス信号に基づいて、エンコーダスケール205とエンコーダセンサ204との位置関係の変化を検出する。そして、その出力信号をCRFFC210を介してメイン基板40へ出力する。
【0044】
メイン基板40は、記録装置10の各部の駆動制御を司る基板ユニットである。メイン基板40上には、ホストI/F(Interface)41が設けられており、当該I/F41を介してホストコンピュータ(不図示)からデータを受信し、当該データに基づいて各種記録動作の制御を行なう。
【0045】
また、メイン基板40には、キャリッジ1を移動させるための駆動源となるキャリッジモータ2や記録媒体を搬送するための駆動源となる搬送モータ6が設けられる。その他、APモータ208及びEPモータ209等も設けられている。メイン基板40は、これら各種モータの駆動も制御する。
【0046】
メイン基板40は、記録装置各部の動作状況を検出する様々なセンサ(例えば、エンコーダセンサ204)との間でセンサ信号206(制御信号、検出信号)の授受を行なう。その他、メイン基板40は、CRFFC210や電源ユニット32とも接続されている。
【0047】
フロントパネル33は、ユーザと記録装置10とを繋ぐユーザインターフェースであり、電源キー211、リジュームキー212、LED213、フラットパスキー214及びデバイスI/F215等が設けられる。フロントパネル33は、メイン基板40からのパネル信号207に基づいてその動作が制御される。
【0048】
ここで、図4を用いて、図3に示すメイン基板40の内部構成の一例について説明する。
【0049】
メイン基板40には、ホストI/F41の他、ドライバ・リセット回路42、RAM43、ROM44、ASIC45、EEPROM46、電源制御回路47、ヘッド温度検出回路48、等が設けられる。
【0050】
ASIC(Application Specific Integrated Circuit)45は、1チップの半導体集積回路であり、モータ制御信号306、電源制御信号310及び電源ユニット制御信号313等を出力する。ASIC45は、RAM43及びROM44に接続されており、RAM(Random Access Memory)43をワーク領域として、ROM(Read Only Memory)44に格納されたプログラムに従って各種制御を行なう。なお、RAM43は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で実現され、記録用のデータバッファ、ホストコンピュータからの受信バッファ等として、また各種制御動作に必要なワーク領域として使用されている。
【0051】
ASIC45においては、例えば、各種センサに関連するセンサ信号206の授受を行なう他、エンコーダ信号(ENC)310の状態等を検出する。また、ホストI/F41の接続及びデータ入力状態に応じて各種論理演算や条件判断等を行なって、各部を制御し、記録装置10の制御を司る。
【0052】
また、ASIC45においては、エンコーダ信号(ENC)310の状態を検知してタイミング信号を生成し、ヘッド制御信号312を用いて記録ヘッド20における記録動作を制御する。ここに示すエンコーダ信号(ENC)310は、CRFFC210を介して入力されるエンコーダセンサ204の出力信号である。
【0053】
また、EEPROM(Electrically Erasable PROM)46は、記録履歴等の各種情報を記憶する。ASIC45においては、例えば、ヘッド制御信号312の監視に基づいて、記録ヘッド20における各吐出口のドット数をカウントし、その累積を算出した数値を記録履歴としてEEPROM46に格納する。この記録履歴は、必要に応じてその値を呼び出しされる。
【0054】
電源制御回路47は、ASIC45からの電源制御信号310に従って、発光素子を有する各センサ等への電源供給を制御する。ヘッド温度検出回路48は、ヘッド制御信号312に基づいて、記録ヘッド20の温度を検出する。
【0055】
ホストI/F41は、ASIC45からのホストI/F信号307を(外部に接続される)ホストI/Fケーブル308に出力し、また、当該ケーブル308からの信号をASIC45内に入力する。
【0056】
電源ユニット32はASIC45からの電源ユニット制御信号313に基づいて、各部に電力を供給する。供給された電力は、メイン基板40内外の各部へ必要に応じて電圧変換された上で供給される。また、電源ユニット32は、電源ユニット制御信号313に基づいて、記録装置10を低消費電力モード等へ移行させる。
【0057】
ここで、ASIC45は、その機能的な構成として、搬送量決定部81と、累積搬送量算出部82と、搬送制御部83と、パターン設定部84と、駆動制御部85とを具備して構成される。
【0058】
搬送量決定部81は、記録ヘッド20による記録走査毎の記録媒体の搬送量を決定する。搬送量の決定は、例えば、ROM44等に予め保持されている複数種類の搬送量に基づいて行なわれる。ROM44等には、例えば、全吐出口を用いた記録時に対応した搬送パターン(搬送量)や、一部の吐出口を用いた記録時に対応した搬送パターンが格納されている。
【0059】
累積搬送量算出部82は、記録媒体の(ページ内における)累積的な搬送量を算出する。搬送制御部83は、搬送量決定部81に決定された搬送量に基づいて、搬送部(搬送ローラや排紙ローラ等)を制御して記録媒体を搬送させる。搬送制御部83は、吐出口間(記録素子間)の距離(この場合、600dpi)を単位として記録媒体の搬送を制御する。そのため、搬送部(搬送ローラや排紙ローラ等)は、600dpiを単位として記録媒体の搬送量を変更可能に構成されている。
【0060】
パターン設定部84は、累積搬送量算出部82により算出された搬送量に基づいて、各グループ内の複数の吐出口毎(記録素子毎)に、駆動ブロックパターン(駆動順番パターン)を設定する。駆動ブロックパターンは、各記録素子の駆動順番を規定する情報である。
【0061】
駆動制御部85は、パターン設定部84により設定された駆動ブロックパターンに従って複数の記録素子を時分割駆動させる。以上が、ASIC45上に実現される機能的な構成の一例についての説明である。
【0062】
次に、図5(a)〜(c)及び図6を用いて、図1(a)に示す記録装置10における記録媒体Pの搬送制御の概要について説明する。
【0063】
搬送方向に沿って下流側の記録媒体P上の領域(先端部)の記録が行なわれる際には、図5(a)に示すように、搬送方向に沿って上流側の記録媒体上の領域(後端部)は、搬送ローラ5及びピンチローラ51に支持される。それに対して、下流側の領域(先端部)は、ローラに支持されておらず、不安定な搬送状態となる。
【0064】
記録媒体P上の中央部の領域の記録が行なわれる際には、図5(b)に示すように、記録媒体P上の先端部の領域は、搬送ローラ5及びピンチローラ51に支持される。また、後端部は、排紙ローラ53及び拍車ローラ52によって支持される。すなわち、中央部の領域の記録が行なわれる際には、記録媒体は、その先端部及び後端部がローラによって支持された状態でプラテン54の位置に搬送され、当該プラテン54に対向する位置において、キャリッジ1が走査されて記録が行なわれる。そのため、安定した搬送状態で記録媒体に対して記録が行なわれることになる。
【0065】
また、記録媒体P上の後端部の記録が行なわれる際には、図5(c)に示すように、記録媒体P上の先端部の領域は、排紙ローラ53及び拍車ローラ52に支持される。これに対して、記録媒体P上の後端部の領域は、ローラに支持されておらず、不安定な搬送状態となる。
【0066】
このように図5(a)及び図5(c)に示す状態時には、不安定な状態で記録媒体Pに対して記録が行なわれることになる。つまり、図6に示すように、記録媒体上の領域は、符号61〜符号63に示す3つの領域に大きく分かれ、このうち、中央部62の領域のみが安定した状態で記録が行なわれることになる。
【0067】
そこで、本実施形態においては、搬送状態の不安定な領域に対する記録では、搬送精度を確保するために、吐出口列の全ての吐出口を使用せずに一部の吐出口のみを使用して記録動作を行なう。
【0068】
次に、図7〜図9を用いて、記録動作時に使用する吐出口と、各記録走査における搬送量との関係について説明する。
【0069】
図7は、記録媒体上の中央部の領域を記録する際に、全吐出口を使用して画像の記録を行なっている様子を示している。ここでは、片側600dpiピッチで512個の吐出口から形成される吐出口列を32個のグループS1〜S32に分割して示している。図中一番左側の吐出口列が最初の記録走査を示している。また、その1つ右隣の吐出口列は、搬送方向に沿って48個の吐出口分下流側に位置している。ここでは、2回目の記録走査時の搬送量を48(600dpiピッチの吐出口48個分)と表記する。
【0070】
このように全吐出口を使用して画像の記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送量は、48、32、32の搬送量が繰り返し単位となり、合計12回の記録走査により所定領域の画像の記録を完成させる。
【0071】
続いて、図8は、記録媒体上の先端部及び後端部の領域を記録する際に、一部の吐出口のみを使用して画像の記録を行なっている様子を示している。片側600dpiピッチで512個ある吐出口のうち、128個の吐出口にあたるグループS13〜S20が記録に用いられている(図中の吐出口列の色付き領域)。
【0072】
このように一部の吐出口を使用して画像の記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送は、16、8、8の搬送量が繰り返し単位となり、合計12回の記録走査により所定領域の画像の記録を完成させる。
【0073】
最後に、図9は、一部の吐出口のみを使用して記録される先端部の領域の記録から、全吐出口を使用して記録される中央部の領域の記録へ移行する途中段階の様子を示している。この場合、記録媒体の搬送量と、記録動作時に使用する吐出口数とがその記録動作の途中で切り替わっている。すなわち、徐々に記録動作時に使用される吐出口数を増やして記録が行なわれている。
【0074】
ここで、図10は、図7(全吐出口を使用して記録を行なう)に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の概要を示す図である。
【0075】
符号71は、最初の記録走査時のグループS32における時分割駆動の概要を示している。ここで説明する全吐出口は、それぞれ16個の吐出口のグループで構成されており、グループ内の吐出口は互いに異なるタイミングで吐出されるように吐出タイミングをずらして駆動される。なお、各吐出口の左右に記載された符号は、左側の符号が吐出口番号(例えば、S32−1)を示し、右側の符号が駆動タイミングを示す。例えば、グループS32における各吐出口は、1番目の吐出口をS32−1、16番目の吐出口をS32−16として示されており、符号71に示す時分割駆動では、S32−1の吐出口が第1の駆動タイミングで駆動される。また、S32−9の吐出口が第2の駆動タイミングで駆動される。つまり、各グループに属する複数の吐出口は、各吐出口の駆動順番を規定するパターン(駆動ブロックパターン)の順に駆動される。
【0076】
なお、本実施形態においては、記録媒体上の同一記録領域に対して双方向にマルチパス記録(この場合、2パス記録)を行なっている。具体的には、符号71及び符号73に示す時分割駆動は、往記録走査を示しており、符号72に示す時分割駆動は、復記録走査を示している。この場合、往記録走査では、図10に示す駆動ブロックパターンに従って、第1の駆動タイミング、第2の駆動タイミング・・・第16の駆動タイミングの順に駆動されるようにブロック選択信号が発せられて記録媒体上にインクが吐出される。一方、復記録走査では、図10に示す駆動ブロックパターンに従って、第16の駆動タイミング、第15の駆動タイミング・・・第1の駆動タイミングの順に駆動されるようにブロック選択信号が発せられて記録媒体上にインクが吐出される。
【0077】
図11を用いて、図10に示す記録動作時における時分割駆動の処理の流れについて説明する。より具体的には、各吐出口の駆動順番を規定するパターン(駆動ブロックパターン)を設定する際の処理の流れについて説明する。上述した通り、全吐出口を使用して記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送は、48、32、32の搬送量が繰り返し単位となる。
【0078】
なお、駆動ブロックパターンは、同一記録走査時には全てのグループで共通となる。2回目の記録走査時は、記録媒体上の同一記録領域を1回目の記録走査時と異なるグループ(図10の場合、グループS29)の吐出口が記録を行なう。その際の駆動ブロックパターンは、記録走査の開始時に決定される。
【0079】
記録装置10は、累積搬送量算出部82において、累積搬送量の算出を行なう(S101)。ここで、累積搬送量は、該当のページの1回目の記録走査からの搬送量の合計を指し、1グループの吐出口数(この場合、16個)を単位とした値で算出される。
【0080】
本実施形態においては、搬送量の算出は、600dpi単位で行なう。ここで、符号71に示す記録走査時の累積搬送量を16N(Nは整数)とする。すると、符号72に示す時点(2回目の記録走査時)での累積搬送量は、符号71に示す時点までの累積搬送量に対して、符号71から符号72への搬送量48を加えた値、すなわち、16N+48となる。
【0081】
続いて、記録装置10は、パターン設定部84において、この時点での累積搬送量16N+48を、1周期の駆動ブロックパターンの数で割った剰余を算出する。本実施形態においては、1つのグループに駆動ブロックパターンの1周期が設定されており、1つのグループには、吐出口が16個含まれるので1周期の駆動ブロックパターンの数は16となる。従って、「(16N+48)/16」となり、剰余は0となる。
【0082】
ここで、剰余が0であるので(S102でYES)、記録装置10は、パターン設定部84において、オリジナルの駆動ブロックパターンに従って、対象となるグループ(グループS29)に属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S103)。すなわち、2回目の記録走査時には、符号71に示す記録走査時と同様に、オリジナルの駆動ブロックパターンを用いた記録走査が行なわれる(S105)。
【0083】
3回目の記録走査時には、記録媒体上の同一記録領域に対して、グループS27に属する吐出口を用いて記録を行なう。その際の駆動ブロックパターンも、上記同様にして設定される。この場合、累積搬送量は、符号72に示す時点までの累積搬送量(16N+48)に対して、符号72から符号73への搬送量32を加えた値、すなわち、16N+80となる。
【0084】
そのため、記録装置10は、パターン設定部84において、累積搬送量16N+80を、1周期のプロックパターンの数(この場合、16)で割った剰余を算出する。具体的には、「(16N+80)/16」となり、剰余は0となる。
【0085】
剰余が0であるので(S102でYES)、記録装置10は、パターン設定部84において、オリジナルの駆動ブロックパターンに従って、対象となるグループ(グループS27)に属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S103)。すなわち、3回目の記録走査時(符号73)にも、符号71に示す記録走査時と同様に、オリジナルの駆動ブロックパターンを用いた記録走査が行なわれる(S105)。
【0086】
上述した通り、全吐出口を使用して記録を行なう場合、48、48、32の搬送量が繰り返し単位となる。そのため、記録媒体上の記録対象となる領域に対して繰り返される12回の記録走査においては、全てオリジナルの駆動ブロックパターンが用いられる。
【0087】
図12は、図8(一部の吐出口を使用して記録を行なう)に示す点線領域の記録を行なう際の吐出口列の時分割駆動の様子を示している。ここで、上記同様に、図11を用いて、図12に示す記録動作時における時分割駆動の処理の流れについて説明する。上述した通り、一部の吐出口を使用して記録を行なう場合、記録媒体Pの搬送は、16、8、8の搬送量が繰り返し単位となる。なお、各吐出口の左右に記載された符号は、上述した図10と同様に、左側の符号が吐出口番号(例えば、S20−1)を示し、右側の符号が駆動タイミングを示す。
【0088】
なお、図12の符号75に示す2回目の記録走査時には、記録媒体上の同一記録領域に対して、グループS19の下半分の吐出口(S19−9〜S19−16)とグループS20の上半分の吐出口(S20−1〜S20−8)とを用いて記録が行なわれる。
【0089】
記録装置10は、累積搬送量算出部82において、累積搬送量の算出を行なう(S101)。ここで、符号74に示す記録走査時の累積搬送量を16N(Nは整数)とする。すると、符号75に示す時点(2回目の記録走査時)での累積搬送量は、符号74に示す時点までの累積搬送量に対して、符号74から符号75への搬送量8を加えた値、すなわち、16N+8となる。
【0090】
記録装置10は、パターン設定部84において、累積搬送量16N+8を、1周期の駆動ブロックパターンの数(この場合、16個)で割った剰余を算出する。具体的には、「(16N+80)/16」となり、剰余は8となる。
【0091】
剰余が8であるので(S102でNO)、記録装置10は、パターン設定部84において、剰余分8だけ駆動ブロックパターンをシフトして、対象となるグループに属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S104)。
【0092】
具体的には、符号75に示すように、グループS19及びグループS20に属する各吐出口には、オリジナルの駆動ブロックパターンと異なるブロック番号が設定される。
【0093】
符号74に示すように、オリジナルの駆動ブロックパターンが設定された場合には、グループ内の一番上の吐出口から順に「1、11、5、15、9、3、13、7、2、12、6、16、10、4、14、8」の順序で駆動順が設定される。
【0094】
これに対して、符号75では、駆動ブロックパターンが8個分シフトして割り当てられているため、「2、12、6、16、10、4、14、8、1、11、5、15、9、3、13、7」の順序に駆動順が設定される。
【0095】
3回目の記録走査時は、記録媒体上の同一記録領域に対して、グループS19に属する吐出口を用いて記録を行なう。その際の駆動ブロックパターンも、上記同様の処理により設定される。この場合、累積搬送量は、符号75に示す時点までの累積搬送量(16N+8)に対して、符号75から符号76への搬送量8を加えた値、すなわち、16N+16となる。
【0096】
ここで、記録装置10は、パターン設定部84において、累積搬送量16N+16を、1周期の駆動ブロックパターンの数(この場合、16個)で割った剰余を算出する。具体的には、「(16N+16)/16」となり、剰余は0となる。
【0097】
剰余が0であるので(S102でYES)、記録装置10は、パターン設定部84において、オリジナルの駆動ブロックパターンに従って、対象となるグループ(グループS19)に属する各吐出口に対してブロック番号を割り当てる(S103)。すなわち、3回目の記録走査時(符号76)にも、符号76に示す記録走査時と同様に、オリジナルの駆動ブロックパターンを用いた記録走査が行なわれる(S105)。この場合、駆動ブロックパターンは、オリジナルの駆動ブロックパターンが設定されるため、グループ内の一番上の吐出口から順に「1、11、5、15、9、3、13、7、2、12、6、16、10、4、14、8」の順序でその駆動順が設定されている。
【0098】
以上説明したように本実施形態によれば、記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録で記録する際に、各記録走査において同一の駆動順で各記録素子を駆動させるように、駆動ブロックパターンを設定する。すなわち、各記録走査時において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させる。
【0099】
これにより、記録媒体の搬送量が1周期の駆動ブロックパターンの数の整数倍以外となルことに起因して、記録媒体上に形成されるドットの配置位置に乱れが生じ、画像一様性が低下するといった不具合が起こらない。そのため、記録品位を向上させることができる。
【0100】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0101】
例えば、上述した実施形態においては、1周期の駆動ブロックパターンの数を16とし、また、記録媒体の搬送量を「48、32、32」又は「16、8、8」とした場合を例に挙げて説明したが、これに限られない。すなわち、どのような駆動ブロックパターンの数と搬送量との組み合わせであっても良い。
【0102】
例えば、上述した実施形態においては、記録媒体の搬送量に基づいて、駆動ブロックパターンをシフトさせる場合について説明したが、これに限られない。すなわち、本実施形態においては、記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に当該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させることができれば、どのような手法を用いても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記録素子が配列された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドを前記記録素子の配列方向と交差する方向に記録走査させながら、前記記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する記録装置であって、
前記記録素子の配列方向に沿って前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する算出手段と、
前記記録走査が行なわれる度に、前記算出手段により算出された前記搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された駆動順番パターンに従って前記複数の記録素子を前記時分割駆動させる駆動制御手段と
を具備し、
前記設定手段は、
前記記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを設定する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記設定手段は、
前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを前記記録素子の配列方向に沿ってシフトして各グループ内の複数の記録素子に対して前記駆動順番パターンを設定する
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、
前記記録素子の配列方向に沿った記録素子間の距離を単位として前記記録媒体の搬送量を変更可能に構成され、前記駆動順番パターンに規定される駆動順番の数の整数倍以外の搬送量で記録媒体を搬送する搬送パターンを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項4】
前記算出手段は、
前記搬送量を前記記録素子の配列方向に沿った記録素子間の距離を単位として算出し、
前記設定手段は、
前記算出手段により算出された搬送量を前記駆動順番パターンに規定される駆動順番の数で割ることにより得られる剰余分、前記駆動順番パターンを前記記録素子の配列方向に沿ってシフトして各グループ内の複数の記録素子に対して設定する
ことを特徴とする請求項3記載の記録装置。
【請求項5】
複数の記録素子が配列された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドを前記記録素子の配列方向と交差する方向に記録走査させながら、前記記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する記録装置の処理方法であって、
搬送手段が、前記記録素子の配列方向に沿って前記記録媒体を搬送する工程と、
算出手段が、前記記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する工程と、
設定手段が、前記記録走査が行なわれる度に、前記算出手段により算出された前記搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する工程と、
駆動制御手段が、前記設定手段により設定された駆動順番パターンに従って前記複数の記録素子を前記時分割駆動させる工程と
を含み、
前記設定手段においては、前記記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを設定する
ことを特徴とする処理方法。
【請求項1】
複数の記録素子が配列された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドを前記記録素子の配列方向と交差する方向に記録走査させながら、前記記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する記録装置であって、
前記記録素子の配列方向に沿って前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する算出手段と、
前記記録走査が行なわれる度に、前記算出手段により算出された前記搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する設定手段と、
前記設定手段により設定された駆動順番パターンに従って前記複数の記録素子を前記時分割駆動させる駆動制御手段と
を具備し、
前記設定手段は、
前記記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを設定する
ことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記設定手段は、
前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを前記記録素子の配列方向に沿ってシフトして各グループ内の複数の記録素子に対して前記駆動順番パターンを設定する
ことを特徴とする請求項1記載の記録装置。
【請求項3】
前記搬送手段は、
前記記録素子の配列方向に沿った記録素子間の距離を単位として前記記録媒体の搬送量を変更可能に構成され、前記駆動順番パターンに規定される駆動順番の数の整数倍以外の搬送量で記録媒体を搬送する搬送パターンを有する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の記録装置。
【請求項4】
前記算出手段は、
前記搬送量を前記記録素子の配列方向に沿った記録素子間の距離を単位として算出し、
前記設定手段は、
前記算出手段により算出された搬送量を前記駆動順番パターンに規定される駆動順番の数で割ることにより得られる剰余分、前記駆動順番パターンを前記記録素子の配列方向に沿ってシフトして各グループ内の複数の記録素子に対して設定する
ことを特徴とする請求項3記載の記録装置。
【請求項5】
複数の記録素子が配列された記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドを前記記録素子の配列方向と交差する方向に記録走査させながら、前記記録素子を所定数含むグループに分けて各グループ内の記録素子を時分割駆動させて記録媒体上に画像を記録する記録装置の処理方法であって、
搬送手段が、前記記録素子の配列方向に沿って前記記録媒体を搬送する工程と、
算出手段が、前記記録媒体のページ内における累積的な搬送量を算出する工程と、
設定手段が、前記記録走査が行なわれる度に、前記算出手段により算出された前記搬送量に基づいて、各グループ内の複数の記録素子毎に、その駆動順番を規定する駆動順番パターンを設定する工程と、
駆動制御手段が、前記設定手段により設定された駆動順番パターンに従って前記複数の記録素子を前記時分割駆動させる工程と
を含み、
前記設定手段においては、前記記録媒体上の同一記録領域をマルチパス記録する際に該同一記録領域に対する各記録走査において記録に用いられる複数の記録素子の駆動順番を一致させるべく、前記搬送量に基づいて前記駆動順番パターンを設定する
ことを特徴とする処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−82146(P2013−82146A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224307(P2011−224307)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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