説明

記録装置

【課題】記録装置のサイズ、記録ヘッド構成、印字解像度、記録する色の数等の条件が異なる場合、記憶手段に格納するデータの量に応じて、記憶手段を選択することで、同一の制御回路で、最適な回路構成をとることが可能な記録装置の提供する。
【解決手段】外部から入力したデータを格納する第1の記憶手段として、集積回路に内蔵された第3記憶手段と集積回路の外部に設けられた第4記憶手段とを選択する選択手段を備え、前記記録ヘッドの走査の幅と前記データの解像度と前記データの色数と前記ラスター数の少なくとも1つに基づいて、データの格納に必要な記憶容量を算出し、その結果が前記第3記憶手段の容量を超えるか否かの判定を行い、前記第3記憶手段の容量を超えると判定した場合は、前記第4記憶手段に格納するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドの構成が異なる記録装置を、同一の制御回路を用いて制御する場合の制御回路、及び、その制御回路を用いた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の記録装置では、各データ処理段階における、記録データを格納するメモリーが固定されていた。
【0003】
例えば、A4サイズの用紙まで印字が可能な小型インクジェットプリンタでは、ホストから受信したデータの格納(例えば、受信バッファ)、各種処理を行なう際の一時的なデータ格納(例えば、ワークバッファ)、記録ヘッドへ転送して印字を行なうデータの格納(例えば、プリントバッファ)、その他各種パラメータの格納、等を、通常、1つのメモリーが担っていた。
【0004】
また、記録解像度の高密度化や、記録スピードの高速化により、処理スピードの高速化が求められるものに関しては、格納するメモリーを複数用意することで、受信データの書き込み、及び読み出し、各種処理の為のメモリアクセス、印字データの書き込み、及び読み出し、をそれぞれ並列に処理する形態のものもあったが、この場合も格納するメモリーは固定化され、構成の最適化が図られていた。
【0005】
これらの中には、制御回路はそのまま、メモリー容量を拡張することで、記録サイズを広げることが可能な構成の記録装置もあったが、同様に格納するメモリーは固定化し、構成の最適化が図られていた。
【0006】
また、制御回路が集積回路で、メモリーサイズが小さい場合は、その集積回路の中にメモリーを持つことで、構成を簡素化すると共に、アクセススピードが高速にでき、さらにバス幅の選択範囲も広がり、高度な最適化を図る事ができる。
【特許文献1】特開平8−25754号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来例では、仕様が異なる記録装置に対し最適化を図ろうとすると、それぞれに最適な制御回路を用意する必要があった。例えば、記録ヘッドの数や、記録ヘッドのノズル数、記録可能な色の数など、記録ヘッドの構成が大きく異なる場合は、記録ヘッドの制御方法の違いや、必要なメモリーの容量、必要なメモリーアクセススピード等の条件の違いにより、それぞれに制御回路を用意する必要があった。また、使用する記録ヘッドが同じであっても、記録速度が大きく異なる機種や、記録解像度が大きく異なる機種でも同様に、必要なメモリーの容量、必要なメモリーアクセススピード等の条件の違いにより、それぞれに制御回路を用意する必要があった。
【0008】
無論、最適化を行なわなければ、異なる構成の記録装置が制御可能な制御回路を用意することは可能であるが、助長回路が大きくなってしまうという欠点がある。
【0009】
本発明は、上述の問題点に着目してなされたものであって、記憶手段に格納するデータの量に応じて、記憶手段を選択することで、同一の制御回路で、最適な回路構成をとることが可能な記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の記録装置は、外部から入力したデータをラスター毎に格納する記憶手段と、前記記憶手段から読み出したラスターデータを、カラムデータに変換する変換手段と、前記カラムデータを格納する第2記憶手段を有し、前記第2記憶手段から読み出したカラムデータを記録ヘッドに転送し、前記記録ヘッドを走査させて記録を行なう記録装置であって、前記第1の記憶手段として、集積回路に内蔵された第3記憶手段と、前記集積回路の外部に設けられた第4記憶手段とを選択する選択手段と、1ラスターのデータサイズの大小に応じて、前記選択手段の選択を切り替える制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、記憶手段に格納するデータの量に応じて、記憶手段を選択することで、同一の制御回路で、最適な回路構成を採ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例に記載の記録装置の主要な部分の構成を示す斜視図である。記録ヘッド1はキャリッジ2に搭載され、記録用紙Pに対して左右に走査して、記録を行う。
【0014】
図2は、本発明の実施例に記載の記録装置の制御ブロック図である。図3は、本発明の実施例に記載の記録装置の制御ブロック内、本発明にかかる部分の詳細ブロック図である。
【0015】
以下、図2の本発明の実施例にかかる部分を説明する。I/F回路20は、不図示の、ホストコンピュータ、画像処理回路、データ処理回路、前段のI/F回路等から送られるデータを受信する回路である。この回路は、記録データ処理回路21存在する場合もある。記録データ処理回路21は、I/F回路20で受信したデータを、内蔵メモリー103や、RAM(2)22や、RAM(3)23に格納し、記録ヘッド1で記録可能なデータに変換した後、キャリッジ2の走査に同期して記録ヘッド1へデータを転送し記録を行なう。前期データ変換を行なう過程で、データは、内蔵メモリー103や、RAM(2)22や、RAM(3)23、あるいは、RAM(1)13に格納される。尚、RAM(1)13、RAM(2)22、RAM(3)23、は、Read/Write可能なメモリーであれば、RAMに限らず何でも良い。内蔵メモリー103も、Read/Write可能なメモリーである。また、記録データ処理回路21は、内蔵メモリーを含む回路であり、ここでは、集積回路(ASIC)を例に揚げて説明する。尚、記録データ処理回路21は、本発明に関わりのない制御回路を含むことも可能である。
【0016】
以下、図3に従って、記録データ処理回路21の説明をする。
【0017】
CPUバスI/F100は、記録データ処理回路21と、CPU(CPUバス)との間でデータの送受信を行なうブロックである。このブロックを通して、以下に説明する各ブロックとCPU間が接続される。尚、CPUバスI/F100の機能を各ブロック内に持った場合も同様である。
【0018】
第1処理ブロック101は、I/F回路20で受信したデータを、処理してメモリーに格納するよう指示するブロックである。ここでは、データの格納先として、内蔵メモリー103と、RAM(3)23が選択可能である。メモリーへの格納方法の例として、1色、又は、複数色の、Nラスター分のデータを格納する場合について説明する。この場合、1ラスターの長さ(走査方向の長さ)、解像度、記録色数等で、必要なメモリーサイズが異なる。必要なメモリーサイズが小さい場合は、内蔵メモリー103へ格納すれば良く、従って、RAM(3)23は不要である。
【0019】
また、必要なメモリーサイズが大きく、内蔵メモリー103では不足する場合は、RAM(3)23を付加し、ここへデータを格納することができる。
【0020】
内蔵メモリー103は、CPUからアクセス可能であるため、各種のパラメータを格納したり、また、図示、不図示の処理ブロックが必要なデータをRead/Writeすることも可能である。
【0021】
第1メモリコントローラ102は、内蔵メモリー103に対しデータをRead/Writeする際に、各処理ブロックとのI/Fを担うブロックである。同様に、第2メモリコントローラ105は、RAM(3)23に対しデータをRead/Writeする際に、各処理ブロックとのI/Fを担うブロックである。また、第3メモリコントローラ107は、RAM(2)22に対しデータをRead/Writeする際に、各処理ブロックとのI/Fを担うブロックである。
【0022】
第2処理ブロック104は、内蔵メモリー103、又は、RAM(3)23に格納されたデータを読み出し、データ処理をしてRAM(2)22に格納する。データの処理の例として、受信したラスターイメージデータを、HV変換(横縦変換)して、記録ヘッドで記録が可能な形態(例えば、カラムデータ)に変換する処理が挙げられる。
【0023】
第3処理ブロック106は、RAM(2)22に格納されたデータを読み出して、記録ヘッド1に転送する処理を行なうブロックである。
【0024】
RAM(3)23、RAM(2)22は、外付けのメモリーであるため、記録装置の構成にあわせて最適なサイズが選択できるよう構成されている。
【0025】
図4は、本発明の実施例に記載の記録装置のデータ受信制御の流れを示すフローチャートである。
【0026】
以下、図4に従って、データの受信処理の流れを簡単に説明する。まず、ステップS1で、必要なメモリー容量(X)を計算する。ここでは、その要因として、記録サイズ(ラスター方向の幅)、記録解像度(記録データの解像度、又は、受信データの解像度)、メモリーに格納する色データ数(記録データの種類数)、格納ラスター数(第2処理ブロック104の処理で必要なデータのラスター数)を挙げ、その積で求める例を示す。その他の要因があればそれも考慮する。
【0027】
次に、ステップS2に進み、必要なメモリー容量(X)と、内蔵メモリー103の容量とを比較し、内蔵メモリー103に格納できると判断(判定)した場合は、ステップS3に進み、受信データを内蔵メモリー103に格納する。しかし、ステップS2で、内蔵メモリー103に格納が不可能と判断した場合は、ステップS4で、メモリーに格納する色データ数(記録データの種類数)、格納ラスター数(第2処理ブロック104の処理で必要なデータのラスター数)を減らすことにより、格納するデータ容量を削減可能であるかどうかを判断する。
【0028】
もし、可能であるならば、ステップS1に戻り、再度メモリー容量が足りるかどうかを判断する。ステップS4で、格納するデータ容量の削減が可能な不可能であったり、あえて、削減せずに外部メモリーを使用する場合は、ステップS5に進む。
【0029】
ステップS5では、まず、外部メモリーRAM(3)23が存在するか否かを判断する。存在する場合は、ステップS6で、必要なメモリー容量(X)と、外部メモリー(RAM(3)23)の容量とを比較し、RAM(3)23に格納できると判断した場合は、ステップS7に進み、受信データをRAM(3)23に格納する。しかし、ステップS6で、RAM(3)23に格納が不可能と判断した場合は、ステップS8で、ステップS4同様、メモリーに格納する色データ数(記録データの種類数)、格納ラスター数(第2処理ブロック104の処理で必要なデータのラスター数)を減らすことにより、格納するデータ容量を削減可能であるかどうかを判断し、可能であるならば、ステップS1に戻り、再度メモリー容量が足りるかどうかを判断する。尚、ステップS5で、外部メモリー(RAM(3)23)が存在しない場合や、ステップS8で、格納するデータ容量の削減が不可能であると判断した場合は、エラーであると判断し、エラー警告を発するなど、エラー処理を行なって処理を終える。
【0030】
図5は、本発明の実施例に記載の記録装置の受信データ読み出し制御の流れを示すフローチャートである。
【0031】
以下、図5に従って、受信データの読み出し処理の流れを簡単に説明する。
【0032】
ステップS100で、受信データの格納されているメモリーを判断する。内蔵メモリー103に格納されていると判断した場合は、ステップS101に進み、内蔵メモリー103からデータを読み出して、第2処理ブロック104が処理を行なう。一方、内蔵メモリー103に格納されていないと判断した場合は、ステップS102に進み、外部メモリー(RAM(3)23)に格納されているかどうかを判断し、格納されている場合は、ステップS103で、外部メモリー(RAM(3)23)からデータを読み出して、第2処理ブロック104が処理を行なう。ステップS102で、外部メモリーにも格納されていないと判断した場合は、ステップS104に進み、エラーとしてエラー処理を行い終了する。
【0033】
尚、図4、図5に示したフローは、処理が発生する毎に判断しても良いが、データの受信が発生する前に判断して、データ格納先を選択しておくことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施例に記載の記録装置の主要な部分の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例に記載の記録装置の制御ブロック図である。
【図3】本発明の実施例に記載の記録装置の制御ブロック内、本発明にかかる部分の詳細ブロック図である。
【図4】本発明の実施例に記載の記録装置のデータ受信制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例に記載の記録装置の受信データ読み出し制御の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0035】
1 記録ヘッド
2 キャリッジ
3 キャリッジモータ
6 LFモータ
11 CPU
12 ROM
13 RAM(1)
20 I/F回路
21 記録データ処理回路
22 RAM(2)[第1外部メモリー]
23 RAM(3)[第2外部メモリー]
103 内蔵メモリー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力したデータをラスター毎に格納する記憶手段と、前記記憶手段から読み出したラスターデータを、カラムデータに変換する変換手段と、前記カラムデータを格納する第2記憶手段を有し、前記第2記憶手段から読み出したカラムデータを記録ヘッドに転送し、前記記録ヘッドを走査させて記録を行なう記録装置であって、
前記第1の記憶手段として、集積回路に内蔵された第3記憶手段と、前記集積回路の外部に設けられた第4記憶手段とを選択する選択手段と、
1ラスターのデータサイズの大小に応じて、前記選択手段の選択を切り替える制御手段とを備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録ヘッドの走査の幅と、前記データの解像度と、前記データの色数と、前記前記ラスター数の少なくとも1つに基づいて、データの格納に必要な記憶容量を算出する算出手段と、
前記算出手段にて算出した結果が前記第3記憶手段の容量を超えるか否か判定する判定手段と、
前記判定手段にて、前記算出手段にて算出した結果が前記第3記憶手段の容量を超えると判定した場合、前記第4記憶手段に格納することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−76058(P2006−76058A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−260805(P2004−260805)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】