記録装置
【課題】 被記録材の給送経路に揺動体の先端が突出して配設される被記録材検出手段と、給送経路から揺動体の先端を退避させる揺動体退避手段とを備えた記録装置において、揺動体の破損の虞を低減させる。
【解決手段】 紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から完全に退避しきれず、レバー先端352の一部が給紙経路へ突出している状態で、ディスクトレイTRを記録紙Pの排出側から手差し挿入(符号G)すると、ディスクトレイTRの先端が紙検レバー35のレバー先端352に突き当たる。その状態でディスクトレイTRをさらに押し込まれてしまった場合には、紙検レバー35の壁部353に当接しているねじりコイルばね37の他端部371が、ねじりコイルばね37のばね力により、ディスクトレイTRに押されて符号Jで示した揺動方向へ揺動する紙検レバー35の揺動に応じて弾性変位する。
【解決手段】 紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から完全に退避しきれず、レバー先端352の一部が給紙経路へ突出している状態で、ディスクトレイTRを記録紙Pの排出側から手差し挿入(符号G)すると、ディスクトレイTRの先端が紙検レバー35のレバー先端352に突き当たる。その状態でディスクトレイTRをさらに押し込まれてしまった場合には、紙検レバー35の壁部353に当接しているねじりコイルばね37の他端部371が、ねじりコイルばね37のばね力により、ディスクトレイTRに押されて符号Jで示した揺動方向へ揺動する紙検レバー35の揺動に応じて弾性変位する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材の給送経路に一端側が突出する位置に所定の揺動範囲のみ揺動可能に軸支された揺動体の揺動位置に基づいて給送経路を給送される被記録材を検出する被記録材検出手段と、揺動体の一端側が給送経路から退避する揺動位置へ揺動体を揺動可能な揺動体退避手段とを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンタ等の記録装置には、被記録材積重手段に積重されている被記録材を最上位側から1つずつ自動給送する自動給送装置が設けられているのが一般的である。また、自動給送装置からの被記録材の給送経路には、給送経路の被記録材を検出するための「被記録材検出手段」(いわゆる紙検出器)が設けられているのが通常である。一般的な「被記録材検出手段」は、給送経路に一端が突出した状態で揺動可能に軸支された「揺動体」(いわゆる紙検レバー、センサレバー等、以下「紙検レバー」という)を有している。給送経路を給送される被記録材の先端に紙検レバーの一端が押動されて紙検レバーが給送方向へ揺動し、紙検レバーの揺動位置を検出するセンサ等の出力信号が変化し、それによって、給送経路の被記録材の有無を検出することができるようになっている。
【0003】
一方、インクジェットプリンタ等の記録装置には、光記録ディスクを装着したディスクトレイ等を被記録材と同様に被記録材搬送手段によって搬送し、ディスクトレイ上の光記録ディスクのラベル面への記録を実行することができるものがあり公知である。このような記録装置は、一般的に光記録ディスクを装着したディスクトレイを被記録材の排出口側から搬送方向と逆方向へ手差し挿入して給送するようになっているものが多い。そして、ディスクトレイを被記録材の排出口側から手差し挿入する際には、紙検レバーの一端が給送経路に突出している位置よりさらに奥へディスクトレイの先端が到達する位置まで挿入するようになっている場合が多い。そのため、紙検レバーが通常の給送方向(自動給送装置からの被記録材の給送方向)にのみ揺動可能に軸支されている場合には、ディスクトレイを被記録材の排出口側から搬送方向(給送方向)と逆方向へ手差し挿入すると、給送経路に突出している紙検レバーの一端がディスクトレイの先端に押動されて通常の被記録材の搬送方向と逆方向に揺動させられることになり、それによって紙検レバーが破損してしまう虞がある。
【0004】
このような紙検レバーの破損を防止するために、上述したような構成を有する記録装置においては、ディスクトレイを被記録材の排出口側から手差し挿入する際に、事前に紙検レバーの一端を給送経路から退避させる「揺動体退避手段」を備えた記録装置が公知である(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、ディスクトレイを被記録材の排出側から手差し挿入する際には、モータ等の回転駆動力が伝達されて、或いはユーザのレバー操作等によって、回動、揺動或いはスライド移動等する移動体を紙検レバー(検出子)と係合させ、紙検レバーの端部等を所定の揺動方向へ押動することで、紙検レバーを先端が給送経路から退避する揺動位置まで揺動させる。
【0005】
また、略同時に、記録実行中の被記録材を搬送するための搬送駆動ローラへ被記録材を押圧する搬送従動ローラを搬送駆動ローラの外周面から離間させる。同様に記録実行後の被記録材を排出するための排出駆動ローラへ被記録材を押圧する排出従動ローラを排出駆動ローラの外周面から離間させる。それによって、被記録材の排出側からディスクトレイを手差し挿入する際には、通常時にディスクトレイの挿入経路(通常の被記録材の給送経路及び搬送経路)に位置する紙検レバーの先端及びその他の部材(搬送従動ローラ、排出従動ローラ等)がディスクトレイの挿入経路から全て退避した状態となって、被記録材の排出側からディスクトレイを手差し挿入することが可能な状態となる(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−106344号公報
【特許文献2】特開2003−94759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、被記録材の給送経路(一般的には自動給送装置の給送ローラから搬送駆動ローラまでの経路)は非常に短く設定されていることが多い。また、給送経路近傍には、前述した搬送従動ローラを回転可能に支持するホルダ部材、ホルダ部材を揺動させて搬送従動ローラを退避させるための回転軸体やカム機構等が密集して配置されているのが一般的である。そのため、給送経路に先端が突出した状態で軸支される紙検レバーは、必然的に揺動範囲が制約され、限られた揺動幅でしか揺動することができない状態で配置されていることが多い。そのため、紙検レバーの先端を給送経路から退避させるべく紙検レバーの端部等を押動する際の押動量が紙検レバーの揺動可能範囲を超えてしまうと、紙検レバーが周囲の他の部材等に当接した状態でさらに揺動させられて、紙検レバーが破損してしまう虞がある。
【0008】
また、自動給送装置から被記録材を給送した際にいわゆる紙詰まり等が生じて、紙検レバーの揺動範囲に被記録材の一部が残留する場合がある。すると、残留している被記録材によって紙検レバーの揺動が規制され、紙検レバーの先端を給送経路から退避させるべく紙検レバーを揺動させた際に、紙検レバーの先端が給送経路から退避しきれない状態となってしまう虞がある。そして、その状態でディスクトレイを被記録材の排出朽ち側から搬送方向と逆方向へ手差し挿入すると、ディスクトレイの先端が給送経路から退避しきれない状態にある紙検レバーの先端に突き当たってしまい、そのまま無理にディスクトレイを押し込むと紙検レバーの先端に退避方向と対向する方向の力が作用して、紙検レバーが破損してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、被記録材の給送経路に揺動体の先端が突出して配設される被記録材検出手段と、給送経路から揺動体の先端を退避させる揺動体退避手段とを備えた記録装置において、揺動体の破損の虞を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録材の給送経路に一端側が突出する位置に所定の揺動範囲のみ揺動可能に軸支され、揺動体の揺動位置に基づいて前記給送経路を給送される被記録材を検出する被記録材検出手段と、前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避する揺動位置へ前記揺動体を揺動可能な揺動体退避手段とを備えた記録装置であって、前記被記録材検出手段は、前記給送経路を給送される被記録材に前記揺動体の一端側が押動されることによって、前記揺動体が被記録材の給送方向へ揺動して被記録材が検出される構成を有し、前記揺動体退避手段は、前記揺動体と係合して前記揺動体を揺動範囲の揺動限界位置へ揺動させる揺動体退避部材を有し、前記揺動体が揺動範囲の揺動限界位置へ揺動した状態から当該揺動限界位置を超える方向へ前記揺動体をさらに揺動させようとすると、前記揺動体退避部材の前記揺動体との係合部が前記揺動体との係合状態を保持したまま弾性変位する、ことを特徴とした記録装置である。
【0011】
このように、揺動限界位置へ揺動した揺動体を、揺動限界位置を超える方向へさらに揺動させようとすると、揺動体退避部材の揺動体との係合部が揺動体との係合状態を保持したまま弾性変位するので、揺動体と揺動体退避部材との係合部分に作用するストレスが揺動体退避部材の弾性変位部分に吸収される。それによって、揺動限界位置を超える方向へ揺動体を揺動させる力が揺動体に加わった場合に、揺動体と揺動体退避部材との係合部分が破損してしまう虞、及び揺動体と揺動体退避部材との係合が外れてしまう虞を大幅に低減させることができる。そして、揺動体の所定の揺動範囲の揺動限界位置、或いは何らかの障害物等により一時的に生じた揺動体の揺動限界位置、いずれの揺動限界位置についても、揺動体と揺動体退避部材との係合部分が破損してしまう虞を大幅に低減させることができる。
【0012】
これにより、本発明の第1の態様に記載の記録装置によれば、被記録材の給送経路に揺動体の先端が突出して配設される被記録材検出手段と、給送経路から揺動体の先端を退避させる揺動体退避手段とを備えた記録装置において、揺動体の破損の虞を低減させることができるという作用効果が得られる。
【0013】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記揺動体退避手段は、前記揺動体の揺動軸と略平行に回転可能に支持された回転軸体を有し、前記揺動体退避部材は、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態で配設され、前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端が係止されたねじりコイルばねであり、前記回転軸体を回転させると、前記揺動体と係合する前記ねじりコイルばねの他端が前記揺動体を揺動限界位置へ揺動させる構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0014】
このように、揺動体退避手段は、揺動体退避部材としてねじりコイルばねを有し、ねじりコイルばねの一端側が係止されている回転軸体を回転させることによって、ねじりコイルばねの他端側が揺動体と弾性係合して揺動体を揺動させる構成を有している。したがって、揺動体が揺動限界位置へ揺動している状態で、揺動限界位置を超える方向へ揺動体をさらに揺動させるべく回転軸体を回転させると、揺動体と係合しているねじりコイルばねの他端は、ねじりコイルばねのばね力によって弾性変位する。それによって、揺動限界位置を超える方向へ揺動体を揺動させる力が揺動体に加わった場合に生じる、揺動体と揺動体退避部材(ねじりコイルばね)との係合部分が破損してしまう虞、及び揺動体と揺動体退避部材(ねじりコイルばね)との係合が外れてしまう虞を大幅に低減させることができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、前述した第2の態様において、被記録材積重手段に積重されている被記録材を1つずつ前記給送経路へ自動給送する自動給送装置と、該自動給送装置から前記給送経路を介して給送された被記録材を所定の搬送方向へ搬送する被記録材搬送手段とを備え、前記被記録材搬送手段は、被記録材の搬送方向へ回転可能に支持された搬送駆動ローラと、被記録材の搬送方向へ従動回転可能に支持される搬送従動ローラと、被記録材の搬送経路へ進退可能に前記搬送従動ローラを支持するとともに、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路へ進出して前記搬送駆動ローラの外周面へ当接する如く付勢されて配設された搬送従動ローラホルダとを有し、前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避した状態となる前記回転軸体の回転位置において、前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された搬送従動ローラ退避部材が前記搬送従動ローラホルダと係合して、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路から退避する構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0016】
このように、搬送従動ローラを搬送経路から退避させる搬送従動ローラ退避部材は、揺動体退避部材(ねじりコイルばね)が一体に回転可能に配設されている回転軸体に一体に回転可能な如く配設されている。そして、揺動体の一端側が給送経路から退避した状態となる回転軸体の回転位置において、搬送従動ローラ退避部材が搬送従動ローラホルダと係合して搬送従動ローラホルダが揺動し、搬送従動ローラが被記録材の搬送経路から退避する。したがって、被記録材検出手段の揺動体の一端を給送経路から退避させる動作と、被記録材搬送手段の搬送従動ローラを搬送経路から退避させる動作とを回転軸体を所定の回転位置へ回転させることによって同時に行うことができる。共通の回転軸体に揺動体退避部材と搬送従動ローラ退避部材とを配設することで、部品点数の削減が可能になり、記録装置のコストダウン及び小型化が可能になる。
【0017】
本発明の第4の態様は、前述した第3の態様において、前記搬送従動ローラ退避部材は、前記回転軸体が挿通された状態で前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された略円筒体形状を有する部材で構成され、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態の前記ねじりコイルばねを前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端を係止しつつ保持するねじりコイルばね保持部と、外周面に形成された前記搬送従動ローラホルダと係合する凸部とを有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0018】
このように、搬送従動ローラ退避部材には、被記録材検出手段における揺動体退避部材としてのねじりコイルばねを回転軸体と一体に回転可能に係止して保持するねじりコイルばね保持部が形成されている。つまり、ねじりコイルばねは、一端が搬送従動ローラ退避部材に係止されつつ、搬送従動ローラ退避部材に設けられたねじりコイルばね保持部に保持されて回転軸体と一体に回転可能に配設される。したがって、搬送従動ローラ退避部材と一体にねじりコイルばねを配設することが可能になる。それによって、さらなる部品点数の削減による記録装置のコストダウン及び小型化が可能になる。
【0019】
本発明の第5の態様は、前述した第3の態様又は第4の態様において、前記被記録材検出手段は、前記揺動体が被記録材搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く配設されており、前記揺動体退避手段は、前記揺動体退避部材が前記揺動体と係合して前記揺動体を被記録材搬送方向の揺動限界位置へ揺動させる構成を有し、特定の被記録材への記録実行時には、前記揺動体及び前記搬送従動ローラを被記録材の搬送経路から退避させた状態で、特定の被記録材を前記被記録材搬送手段の搬送方向下流側から被記録材搬送方向と逆方向へ手差し給送する構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0020】
揺動体が被記録材搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く配設されているので、特定の被記録材を被記録材の搬送方向下流側(排出口側)から手差し挿入して給送する際には、事前に揺動体の先端を給送経路から退避させる必要がある。その際に、何らかの要因で給送経路からの揺動体の先端の退避位置が不十分なままとなり、揺動体の先端の一部が給送経路に突出している状態で、被記録材を搬送方向下流側(排出口側)から手差し挿入すると、被記録材の先端が揺動体の先端に突き当たってしまう可能性がある。特定の被記録材とは、例えば、光記録ディスクを装着したディスクトレイや厚紙等の被記録材である。
【0021】
このように、被記録材の先端が揺動体の先端に突き当たった状態で、さらに押し込まれてしまった場合でも、揺動体と揺動体退避部材(ねじりコイルばね)との係合部が弾性変位するので、揺動体と揺動体退避部材との係合部分が破損してしまう虞を大幅に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の外観斜視図である。図2は、本発明に係るインクジェット式記録装置の本体カバーを取り外した状態の概略斜視図である。図3は、本発明に係るインクジェット式記録装置の内部構造の要部斜視図である。図4は、本発明に係るインクジェット式記録装置の内部構造の要部側断面図である。
インクジェット式記録装置100は、図1に示した如く本体カバー1で覆われており、本体カバー1の上面には、上方向へ開閉可能な上面カバー2が配設されている。上面カバー2を開くことによって、インクジェット式記録装置100の内部へユーザがアクセスすることが可能となり、インクカートリッジの交換等を行うことが可能になる。本体カバー1の前面には、電源スイッチ等のスイッチ類5が配設されているほか、排紙スタッカ3並びにディスクトレイカバー4が前方へ開閉可能に配設されている。排紙スタッカ3は、記録実行時には前方に開いた状態で使用され、記録実行後の「被記録材」及び「被搬送体」としての記録紙Pが開いた状態の排紙スタッカ3の上に排出されて積重されるようになっている。ディスクトレイカバー4は、前方に開いた状態でディスクトレイを前方からユーザが手差し挿入するためのディスクトレイ挿入口へのアクセスが可能になる。ディスクトレイは、光記録ディスクのラベル面への記録を実行する際に使用され、光記録ディスクを装着した状態のディスクトレイをディスクトレイ挿入口の所定の挿入位置まで手差し挿入して記録を実行することによって、光記録ディスクのラベル面への記録を実行することができる。
【0024】
インクジェット式記録装置100の後部には、図示の如く自動給紙装置20が配設されており、自動給紙装置20の上部には、上方向へ開閉可能な給紙トレイカバー6が配設されている。給紙トレイカバー6は、記録実行時には開いた状態で使用され、開いた状態の給紙トレイカバー6と一体となって記録紙Pの支持面を形成する給紙トレイ22に記録実行前の記録紙Pが積重されるようになっている。給紙トレイ22に積重された記録紙Pは、給紙時に所定のタイミングで給紙ローラ21側へ揺動するホッパ23により給紙ローラ21の外周面に押圧される。給紙ローラ21の外周面に押圧された記録紙Pは、給紙ローラ軸211を回転軸として回転可能に配設されている給紙ローラ21の駆動回転によって、搬送駆動ローラ41の外周面と搬送従動ローラ42の外周面との当接面へ向けて1枚ずつ自動給紙される。
【0025】
インクジェット式記録装置100の筐体は、メインフレーム11、左サイドフレーム12、右サイドフレーム13、右サイド外フレーム13a及びリアフレーム19で主たる骨格が形成されている。左サイドフレーム12(部材191を介して)、右サイドフレーム13、及び右サイド外フレーム13aは、インクジェット式記録装置100の前面側においてリアフレーム19で連結されている。搬送駆動ローラ41の両端は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)に回転可能な如く左サイドフレーム12と右サイドフレーム13とにそれぞれ支持されている。搬送駆動ローラ41の左端は、回転ブッシュ17を介して左サイドフレーム12に回転可能に支持され、搬送駆動ローラ41の右端は、回転ブッシュ18を介して右サイドフレーム13に回転可能に支持されている。また、搬送駆動ローラ41の中央近傍に形成されている支持部は、中支え部材15によって回転可能に支持されている。中支え部材15は、サブフレーム14に回動可能に配設されている調整部材16の回動位置によって、搬送駆動ローラ41の中央近傍の支持位置を上下動させることができるようになっている。搬送駆動ローラ41の外周面のうち記録紙Pが押圧されて密着される部分には、中支え部材15によって回転可能に支持される部分を除いて高摩擦抵抗被膜が形成されている。
【0026】
各搬送従動ローラホルダ43には、2つの搬送従動ローラ42が記録紙Pの搬送方向へ従動回転可能に支持されており、搬送従動ローラホルダ43は、搬送駆動ローラ41と平行に複数並べて配置され、それぞれメインフレーム11に揺動可能に支持されている。各搬送従動ローラホルダ43は、ばね431によって搬送駆動ローラ41へ押圧付勢されており、それによって、各搬送従動ローラ42は、略一定の押圧力で搬送駆動ローラ41の外周面に押圧されている。また、各搬送従動ローラホルダ43の副走査方向Y下流側には、補助ローラホルダ43Sがそれぞれ配設されており、補助ローラホルダ43Sには、補助ローラ42Sが記録紙Pの搬送方向へ従動回転可能に支持されている。自動給紙装置20から給紙される記録紙Pは、紙案内前部材44により搬送駆動ローラ41の外周面へ向けて案内され、搬送駆動ローラ41の外周面と搬送従動ローラ42との当接面に狭持されて搬送駆動ローラ41の高摩擦抵抗被膜面に押圧されて密着し、搬送駆動ローラ41が副走査方向Yへ回転することによって、搬送駆動ローラ41の回転量に応じた搬送量で副走査方向Yへ搬送される。
【0027】
搬送駆動ローラ41は、搬送歯車54が回転伝達可能に一体に取り付けられており、搬送用モータ51の駆動プーリ52の駆動回転が無端ベルト53を介して搬送歯車54へ伝達されて回転する(図3)。搬送駆動ローラ41の回転によって副走査方向Yへ搬送される記録紙Pは、紙案内後部材45と一体に形成されているプラテン46に裏面が摺接しながら面姿勢が規制されつつ搬送される。尚、搬送駆動ローラ41の左端側には、搬送駆動ローラ41の回転量を検出する「回転量検出手段」として公知のロータリエンコーダが設けられている。ロータリエンコーダは、搬送駆動ローラ41の回転に連動して回転するロータリスケール50(図2)と、ロータリスケール50の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ501(図2)とを有している。
【0028】
インクジェット式記録装置100は、記録紙Pにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド63を記録紙Pに対して主走査方向Xに走査させるためのキャリッジ62を備えている。キャリッジ62は、主走査方向Xに往復動可能にキャリッジガイド軸61に軸支されており、図示していないキャリッジ用モータの回転駆動力が図示していないベルト伝達機構によって伝達されて主走査方向Xに往復動する。キャリッジガイド軸61は、左サイドフレーム12と右サイド外フレーム13aとで両端を支持されて配設されている。キャリッジ62には、各色のインクが充填されたインクカートリッジ(図示せず)が着脱可能に搭載され、インクカートリッジから記録ヘッド63へ各色のインクが供給される。記録ヘッド63のヘッド面は、プラテン46と対向する位置で主走査方向Xへ往復動し、ヘッド面に多数配置されているノズルからプラテン46上を搬送される記録紙Pへインクが噴射されて記録が実行される。記録ヘッド63のヘッド面と記録紙Pの記録面との間隔は、プラテン46によって規定される。また、インクジェット式記録装置100には、キャリッジ62の移動位置を検出するための公知のリニアエンコーダが配設されている。リニアエンコーダは、キャリッジガイド軸61と平行に配設されたリニアスケール64と、キャリッジ62に搭載され、リニアスケール64に等間隔に形成されているスリットを検出するリニアスケールセンサ(図示せず)とを有している。
【0029】
一方、プラテン46より副走査方向Yの下流側には、記録実行後の記録紙Pを排紙する手段として、副走査方向Yへ回転可能に紙案内後部材45に支持された第1の排紙駆動ローラ軸47及び第2の排紙駆動ローラ軸48が配設されている。第1の排紙駆動ローラ軸47には、図示の如く複数の第1の排紙駆動ローラ471が略等間隔に設けられており、第2の排紙駆動ローラ軸48にも同様に複数の第2の排紙駆動ローラ481が略等間隔に設けられている。第2の排紙駆動ローラ481は、搬送歯車54、中間歯車55及び排紙歯車56を介して搬送用モータ51の回転駆動力が第2の排紙駆動ローラ軸48へ伝達されて排出方向(副走査方向Y)に回転する。第1の排紙駆動ローラ471は、第2の排紙駆動ローラ軸48に回転伝達可能に取り付けられている歯車57及び図示していない中間歯車を介して、第1の排紙駆動ローラ軸47に回転伝達可能に取り付けられている歯車58へ搬送用モータ51の回転駆動力が伝達されて排出方向(副走査方向Y)に回転する。
【0030】
第1の排紙駆動ローラ軸47及び第2の排紙駆動ローラ軸48の上側には、主走査方向Xに長尺な排紙フレーム49(図4)が設けられている。排紙フレーム49には、第1の排紙駆動ローラ471に対応する位置に複数の第1の排紙従動ローラ472が従動回転可能に支持されており、第2の排紙駆動ローラ481に対応する位置に複数の第2の排紙従動ローラ482が従動回転可能に支持されている。第1の排紙従動ローラ472及び第2の排紙従動ローラ482は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラになっており、それぞれ第1の排紙駆動ローラ471及び第2の排紙駆動ローラ481に弱い付勢力で付勢されている。記録実行後の記録紙Pは、第1の排紙駆動ローラ471と第1の排紙従動ローラ472との間に狭持されて、第1の排紙駆動ローラ471の排出方向への回転によって搬送され、さらに、第2の排紙駆動ローラ481と第2の排紙従動ローラ482との間に狭持されて、第2の排紙駆動ローラ481の排出方向への回転によって、開いた状態の排紙スタッカ3へと排出される。
【0031】
このような構成を有するインクジェット式記録装置100は、まず、記録前の白紙の記録紙Pが自動給紙装置20によって自動給紙される。つづいて、自動給紙された記録前の白紙の記録紙Pは、搬送駆動ローラ41の回転によって記録ヘッド63のヘッド面と対向するプラテン46に摺接しながら副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送される動作と、プラテン46の上で主走査方向Xへ往復動する記録ヘッド63からインクが噴射される動作とが交互に繰り返し実行されて記録面への記録が実行される。そして、記録実行後の記録紙Pは、第1の排紙駆動ローラ471及び第2の排紙駆動ローラ472の排出方向への回転によって排紙スタッカ3へ排出される。これらの一連の記録実行動作は、図示していない記録制御装置によって、自動給紙装置20の駆動力源としての自動給紙用モータ(図示せず)、搬送用モータ51並びにキャリッジ駆動用モータ(図示せず)が制御されて実行される。
【0032】
つづいて、自動給紙装置20から搬送駆動ローラ41への記録紙Pの給紙経路(給送経路)において、記録紙Pを検出する「被記録材検出手段」について説明する。
【0033】
図5は、記録紙Pの給紙経路近傍を搬送駆動ローラ41側から拡大して示した要部斜視図である。図6は、記録紙Pの給紙経路近傍を自動給紙装置20側から拡大して示した要部斜視図である。図7は、記録紙Pの給紙経路近傍を拡大して示した要部側面図である。
本発明に係る「被記録材検出手段」は、「揺動体」としての紙検レバー35と、紙検レバー35を揺動可能に軸支する紙検レバーホルダ33と、紙検レバー35の揺動位置を検出して検出信号を出力する図示していない紙検センサとを有している。紙検レバーホルダ33は、メインフレーム11(図3、図4)に腕部331、腕部332及び係止片333が係合した状態で所定の位置に配設される。回転軸体34は、紙検レバーホルダ33の軸受け孔334に挿通されて搬送駆動ローラ41と略平行に回転可能に支持されている。紙検レバー35は、回転軸体34が紙検レバー35の軸受け部351に挿通された状態で、所定の揺動範囲のみ揺動可能に回転軸体34に軸支されている。紙検レバー35は、レバー後端354が紙検レバーホルダ33の突き当て部335に自重によって(ばね等の付勢手段で付勢しても良い)突き当たった状態で(図7)、記録紙Pの搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く軸支されている。その状態で、紙検レバー35の先端に形成されたレバー先端352が給紙経路に突出した状態となる。このような構成を有する「被記録材検出手段」は、給紙経路を給紙される記録紙Pの先端がレバー先端352を押動して紙検レバー35が給紙方向へ揺動し、紙検センサが紙検レバー35の給紙方向への揺動を検出することによって、給紙経路を給紙される記録紙Pの給紙方向の先端及び後端を検出する。
【0034】
自動給紙装置20から給紙された記録紙Pを副走査方向Yへ搬送する「被記録材搬送手段」は、前述した搬送駆動ローラ41、搬送従動ローラ42及び搬送従動ローラホルダ43を有している。搬送従動ローラホルダ43は、記録紙Pの給紙経路(給紙ローラ21から搬送駆動ローラ41までの紙案内前部材44と搬送従動ローラホルダ43との間の空間をいう。図4参照。)の近傍に配置され、両側部に形成されている軸部432を揺動軸として揺動可能に軸支されている。搬送従動ローラホルダ43は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)の下流側端部には、図示の如く2つの搬送従動ローラ42が回転可能に支持されている。また、搬送従動ローラホルダ43は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)の上流側端部433が給紙ローラ21近傍まで延設された形状を有している。給紙経路を給紙される記録紙Pは、紙案内前図材44の案内面444に記録面の裏側が摺接して案内されるとともに、上流側端部433から搬送従動ローラ42までの搬送従動ローラホルダ43の底面によって記録面側が案内されて、駆動回転する搬送駆動ローラ41の外周面へ先端が案内される。搬送駆動ローラ41と平行に複数並べて配設される搬送従動ローラホルダ43は、紙検レバー35と重なる部分に配置されるもの(図5)のみ、レバー孔434が形成されており、紙検レバー35は、レバー先端352が図示の如くレバー孔434に遊挿された状態で支持される。
【0035】
図8は、記録紙Pの給紙経路近傍を搬送駆動ローラ41側から拡大して示した要部斜視図であり、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から退避するとともに、搬送従動ローラ42が搬送駆動ローラ41から離間した状態を示したものである。図9は、同様の状態について、記録紙Pの給紙経路近傍を自動給紙装置20側から拡大して示した要部斜視図であり、図10は、同様の状態についての要部側面図である。
【0036】
インクジェット式記録装置100は、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から退避する揺動位置へ紙検レバー35を揺動させることが可能な「揺動体退避手段」を備えている。「揺動体退避手段」は、前述した回転軸体34と、紙検レバー35に係合して紙検レバー35を揺動範囲の揺動限界位置へ揺動させる「揺動体退避部材」としてのねじりコイルばね37とを有して構成される。回転軸体34には、「搬送従動ローラ退避部材」としてのばねホルダ36が回転軸体34と一体に回転可能に配設されている。尚、回転軸体34は、搬送駆動ローラ41と平行に複数並べて配設されている搬送従動ローラホルダ43と略平行に回転可能に支持された一本の長尺な軸体であり、所定の回転量で所定の回転方向へ回転させることによって、全ての搬送従動ローラホルダ43を同時に揺動させて全ての搬送従動ローラ42を搬送経路から同時に退避させることができるようになっている。
【0037】
図11は、ばねホルダ36の斜視図である。
ばねホルダ36は、ねじりコイルばね37を保持するねじりコイルばね保持部361を有するともに、搬送従動ローラホルダ43と係合する凸部362が外周面に形成されている。ねじりコイルばね37は、コイル部分に回転軸体34が挿通された状態でねじりコイルばね保持部361の中に配設され、一端部372がばね係止部364に係止され、他端部371が長孔363からねじりコイルばね保持部361の外側へ突出した状態で保持される。ねじりコイルばね37の他端部371は、長孔363によって回転軸体34の周方向への弾性変位が可能な状態で、回転軸体34の軸方向への位置ずれが防止される。また、ねじりコイルばね37の他端部371は、図示の如く略L字形状を成しており、それによって、紙検レバー35と係合した際に安定的に紙検レバー35を押動することができる。
【0038】
以下、図8〜図11を参照しながら、さらに説明する。
回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させると、ばねホルダ36も同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転し、ばねホルダ36の凸部362が搬送従動ローラホルダ43の上流側端部433と係合して符号Bで示した方向へ押し下げる。上流側端部433が符号Bで示した方向へ押し下げられることによって、搬送従動ローラホルダ43が揺動し、搬送従動ローラホルダ43の下流側端部に回転可能に支持されている搬送従動ローラ42は、符号Cで示した方向へ搬送経路から退避する如く移動して搬送駆動ローラ41の外周面から離間する。
【0039】
一方、回転軸体34が所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転することによって、ねじりコイルばね37も同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転し、ねじりコイルばね37の他端部371が紙検レバー35の壁部353へ当接して壁部353を符号Dで示した回転方向へ押動する。それによって、紙検レバー35は、符号Eで示した揺動方向の揺動限界位置まで揺動し、レバー先端352が給紙経路から退避する(符号F)。つまり、回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させることによって、紙検レバー35のレバー先端352を記録紙Pの給紙経路から退避させる動作と、搬送駆動ローラ41に当接している搬送従動ローラ42を搬送経路から退避させる動作とを同時に行うことができる。それによって、インクジェット式記録装置100の部品点数の削減が可能になり、インクジェット式記録装置100のコストダウン及び小型化が可能になる。
【0040】
尚、当該実施例におけるインクジェット式記録装置100は、回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させると、排紙フレーム49(図4)に従動回転可能に支持されている第1の排紙従動ローラ472及び第2の排紙従動ローラ482が記録紙Pの排出経路から退避するように構成されている。それによって、記録紙Pの排出口側から搬送経路を経由して給紙経路に至るまで、各経路に配置されている部材を全て給送経路及び搬送経路の経路外へ退避させることができる。この状態において、ディスクトレイカバー4を開いた状態で光記録ディスクを装着したディスクトレイや厚紙等をディスクトレイ挿入口の所定の挿入位置まで手差し挿入することが可能になる。
【0041】
つづいて、図12〜図15を参照しながら、「揺動体退避部材」としてのねじりコイルばね37について、さらに説明する。
【0042】
図12〜図15は、記録紙Pの給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。図12は、通常時の状態、図13は、紙検レバー35のレバー先端352を給紙経路から退避させた状態、図14は、紙検レバー35のレバー先端352を給紙経路から退避させた状態から、さらに、回転軸体34を回転させた状態、図15は、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から退避しきれていない状態でディスクトレイTRの先端がレバー先端352に突き当たった状態をそれぞれ示したものである。
【0043】
通常時(自動給紙装置20から記録紙Pを給紙して記録を実行可能な状態)は、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路へ突出していて、給紙経路へ給紙される記録紙Pを検出可能な状態となっている(図12)。
その状態から回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させると、ねじりコイルばね37も同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転し、ねじりコイルばね37の他端部371が紙検レバー35の壁部353へ当接して壁部353を符号Dで示した回転方向へ押動する。それによって、紙検レバー35は、近傍に配設されている給紙ローラ軸211に当接する揺動位置(符号Eで示した揺動方向の揺動限界位置)まで揺動し、レバー先端352が給紙経路から退避(符号F)する(図13)。
その状態から回転軸体34が所定の回転量を超える回転量で、さらに同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転した場合には、紙検レバー35の壁部353に当接しているねじりコイルばね37の他端部371が、ねじりコイルばね37のばね力により、回転軸体34の回転に応じて弾性変位する(図14)。
【0044】
このように、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分(紙検レバー35の壁部353)に作用するストレスがねじりコイルばね37のばね力によって吸収される。それによって、揺動限界位置を超える方向へ紙検レバー35を揺動させる力が紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分に加わった場合に生じる、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分が破損してしまう虞、及び紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合が外れてしまう虞を大幅に低減させることができる。そして、紙検レバー35の所定の揺動範囲の揺動限界位置、或いは給紙された記録紙Pの詰まり等何らかの障害物により一時的に生じた紙検レバー35の揺動限界位置、いずれの揺動限界位置においても同様の効果が得られる。
【0045】
また、図13に示した状態において、給紙された記録紙Pの詰まり等何らかの要因で紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から完全に退避しきれず、レバー先端352の一部が給紙経路へ突出している状態なってしまうことも想定される。その状態で、ディスクトレイTRを記録紙Pの排出側から手差し挿入(符号G)すると、ディスクトレイTRの先端が紙検レバー35のレバー先端352に突き当たってしまう虞がある(図15)。そして、その状態でディスクトレイTRをさらに手差し挿入方向へ押し込まれてしまった場合には、紙検レバー35の壁部353に当接しているねじりコイルばね37の他端部371が、ねじりコイルばね37のばね力により、ディスクトレイTRに押されて符号Jで示した揺動方向へ揺動する紙検レバー35の揺動に応じて弾性変位する(図15)。
【0046】
このような場合も同様に、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分(紙検レバー35の壁部353)に作用するストレスがねじりコイルばね37のばね力によって吸収されるので、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分が破損してしまう虞を大幅に低減させることができる。
【0047】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】インクジェット式記録装置の外観斜視図である。
【図2】インクジェット式記録装置の本体カバーを取り外した概略斜視図である。
【図3】インクジェット式記録装置の内部構造の要部斜視図である。
【図4】インクジェット式記録装置の内部構造の要部側断面図である。
【図5】記録紙の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図6】記録紙の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図7】記録紙の給紙経路近傍を拡大して示した要部側面図である。
【図8】退避状態の紙検レバー近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図9】退避状態の紙検レバー近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図10】退避状態の紙検レバー近傍を拡大して示した要部側面図である。
【図11】ばねホルダの斜視図である。
【図12】通常時の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図13】紙検レバー退避時の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図14】ねじりコイルばねの他端部が弾性変位した状態である。
【図15】紙検レバー先端にディスクトレイ先端が突き当たった状態である。
【符号の説明】
【0049】
1 本体カバー、2 上面カバー、3 排紙スタッカ、4 ディスクトレイカバー、5 スイッチ類、6 給紙トレイカバー、11 メインフレーム、20 自動給紙装置、21 給紙ローラ、22 給紙トレイ、23 ホッパ、33 紙検レバーホルダ、34 回転軸体、35 紙検レバー、36 ばねホルダ、37 ねじりコイルばね、41 搬送駆動ローラ、42 搬送従動ローラ、43 搬送従動ローラホルダ、44 紙案内前部材、45 紙案内後部材、46 プラテン、47 第1の排紙駆動ローラ軸、48 第2の排紙駆動ローラ軸、51 搬送用モータ、61 キャリッジガイド軸、62 キャリッジ、63 記録ヘッド、100 インクジェット式記録装置、211 給紙ローラ軸、TR ディスクトレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録材の給送経路に一端側が突出する位置に所定の揺動範囲のみ揺動可能に軸支された揺動体の揺動位置に基づいて給送経路を給送される被記録材を検出する被記録材検出手段と、揺動体の一端側が給送経路から退避する揺動位置へ揺動体を揺動可能な揺動体退避手段とを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるインクジェットプリンタ等の記録装置には、被記録材積重手段に積重されている被記録材を最上位側から1つずつ自動給送する自動給送装置が設けられているのが一般的である。また、自動給送装置からの被記録材の給送経路には、給送経路の被記録材を検出するための「被記録材検出手段」(いわゆる紙検出器)が設けられているのが通常である。一般的な「被記録材検出手段」は、給送経路に一端が突出した状態で揺動可能に軸支された「揺動体」(いわゆる紙検レバー、センサレバー等、以下「紙検レバー」という)を有している。給送経路を給送される被記録材の先端に紙検レバーの一端が押動されて紙検レバーが給送方向へ揺動し、紙検レバーの揺動位置を検出するセンサ等の出力信号が変化し、それによって、給送経路の被記録材の有無を検出することができるようになっている。
【0003】
一方、インクジェットプリンタ等の記録装置には、光記録ディスクを装着したディスクトレイ等を被記録材と同様に被記録材搬送手段によって搬送し、ディスクトレイ上の光記録ディスクのラベル面への記録を実行することができるものがあり公知である。このような記録装置は、一般的に光記録ディスクを装着したディスクトレイを被記録材の排出口側から搬送方向と逆方向へ手差し挿入して給送するようになっているものが多い。そして、ディスクトレイを被記録材の排出口側から手差し挿入する際には、紙検レバーの一端が給送経路に突出している位置よりさらに奥へディスクトレイの先端が到達する位置まで挿入するようになっている場合が多い。そのため、紙検レバーが通常の給送方向(自動給送装置からの被記録材の給送方向)にのみ揺動可能に軸支されている場合には、ディスクトレイを被記録材の排出口側から搬送方向(給送方向)と逆方向へ手差し挿入すると、給送経路に突出している紙検レバーの一端がディスクトレイの先端に押動されて通常の被記録材の搬送方向と逆方向に揺動させられることになり、それによって紙検レバーが破損してしまう虞がある。
【0004】
このような紙検レバーの破損を防止するために、上述したような構成を有する記録装置においては、ディスクトレイを被記録材の排出口側から手差し挿入する際に、事前に紙検レバーの一端を給送経路から退避させる「揺動体退避手段」を備えた記録装置が公知である(例えば、特許文献1を参照)。具体的には、ディスクトレイを被記録材の排出側から手差し挿入する際には、モータ等の回転駆動力が伝達されて、或いはユーザのレバー操作等によって、回動、揺動或いはスライド移動等する移動体を紙検レバー(検出子)と係合させ、紙検レバーの端部等を所定の揺動方向へ押動することで、紙検レバーを先端が給送経路から退避する揺動位置まで揺動させる。
【0005】
また、略同時に、記録実行中の被記録材を搬送するための搬送駆動ローラへ被記録材を押圧する搬送従動ローラを搬送駆動ローラの外周面から離間させる。同様に記録実行後の被記録材を排出するための排出駆動ローラへ被記録材を押圧する排出従動ローラを排出駆動ローラの外周面から離間させる。それによって、被記録材の排出側からディスクトレイを手差し挿入する際には、通常時にディスクトレイの挿入経路(通常の被記録材の給送経路及び搬送経路)に位置する紙検レバーの先端及びその他の部材(搬送従動ローラ、排出従動ローラ等)がディスクトレイの挿入経路から全て退避した状態となって、被記録材の排出側からディスクトレイを手差し挿入することが可能な状態となる(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2004−106344号公報
【特許文献2】特開2003−94759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、被記録材の給送経路(一般的には自動給送装置の給送ローラから搬送駆動ローラまでの経路)は非常に短く設定されていることが多い。また、給送経路近傍には、前述した搬送従動ローラを回転可能に支持するホルダ部材、ホルダ部材を揺動させて搬送従動ローラを退避させるための回転軸体やカム機構等が密集して配置されているのが一般的である。そのため、給送経路に先端が突出した状態で軸支される紙検レバーは、必然的に揺動範囲が制約され、限られた揺動幅でしか揺動することができない状態で配置されていることが多い。そのため、紙検レバーの先端を給送経路から退避させるべく紙検レバーの端部等を押動する際の押動量が紙検レバーの揺動可能範囲を超えてしまうと、紙検レバーが周囲の他の部材等に当接した状態でさらに揺動させられて、紙検レバーが破損してしまう虞がある。
【0008】
また、自動給送装置から被記録材を給送した際にいわゆる紙詰まり等が生じて、紙検レバーの揺動範囲に被記録材の一部が残留する場合がある。すると、残留している被記録材によって紙検レバーの揺動が規制され、紙検レバーの先端を給送経路から退避させるべく紙検レバーを揺動させた際に、紙検レバーの先端が給送経路から退避しきれない状態となってしまう虞がある。そして、その状態でディスクトレイを被記録材の排出朽ち側から搬送方向と逆方向へ手差し挿入すると、ディスクトレイの先端が給送経路から退避しきれない状態にある紙検レバーの先端に突き当たってしまい、そのまま無理にディスクトレイを押し込むと紙検レバーの先端に退避方向と対向する方向の力が作用して、紙検レバーが破損してしまう虞がある。
【0009】
本発明は、このような状況に鑑み成されたものであり、その課題は、被記録材の給送経路に揺動体の先端が突出して配設される被記録材検出手段と、給送経路から揺動体の先端を退避させる揺動体退避手段とを備えた記録装置において、揺動体の破損の虞を低減させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、被記録材の給送経路に一端側が突出する位置に所定の揺動範囲のみ揺動可能に軸支され、揺動体の揺動位置に基づいて前記給送経路を給送される被記録材を検出する被記録材検出手段と、前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避する揺動位置へ前記揺動体を揺動可能な揺動体退避手段とを備えた記録装置であって、前記被記録材検出手段は、前記給送経路を給送される被記録材に前記揺動体の一端側が押動されることによって、前記揺動体が被記録材の給送方向へ揺動して被記録材が検出される構成を有し、前記揺動体退避手段は、前記揺動体と係合して前記揺動体を揺動範囲の揺動限界位置へ揺動させる揺動体退避部材を有し、前記揺動体が揺動範囲の揺動限界位置へ揺動した状態から当該揺動限界位置を超える方向へ前記揺動体をさらに揺動させようとすると、前記揺動体退避部材の前記揺動体との係合部が前記揺動体との係合状態を保持したまま弾性変位する、ことを特徴とした記録装置である。
【0011】
このように、揺動限界位置へ揺動した揺動体を、揺動限界位置を超える方向へさらに揺動させようとすると、揺動体退避部材の揺動体との係合部が揺動体との係合状態を保持したまま弾性変位するので、揺動体と揺動体退避部材との係合部分に作用するストレスが揺動体退避部材の弾性変位部分に吸収される。それによって、揺動限界位置を超える方向へ揺動体を揺動させる力が揺動体に加わった場合に、揺動体と揺動体退避部材との係合部分が破損してしまう虞、及び揺動体と揺動体退避部材との係合が外れてしまう虞を大幅に低減させることができる。そして、揺動体の所定の揺動範囲の揺動限界位置、或いは何らかの障害物等により一時的に生じた揺動体の揺動限界位置、いずれの揺動限界位置についても、揺動体と揺動体退避部材との係合部分が破損してしまう虞を大幅に低減させることができる。
【0012】
これにより、本発明の第1の態様に記載の記録装置によれば、被記録材の給送経路に揺動体の先端が突出して配設される被記録材検出手段と、給送経路から揺動体の先端を退避させる揺動体退避手段とを備えた記録装置において、揺動体の破損の虞を低減させることができるという作用効果が得られる。
【0013】
本発明の第2の態様は、前述した第1の態様において、前記揺動体退避手段は、前記揺動体の揺動軸と略平行に回転可能に支持された回転軸体を有し、前記揺動体退避部材は、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態で配設され、前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端が係止されたねじりコイルばねであり、前記回転軸体を回転させると、前記揺動体と係合する前記ねじりコイルばねの他端が前記揺動体を揺動限界位置へ揺動させる構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0014】
このように、揺動体退避手段は、揺動体退避部材としてねじりコイルばねを有し、ねじりコイルばねの一端側が係止されている回転軸体を回転させることによって、ねじりコイルばねの他端側が揺動体と弾性係合して揺動体を揺動させる構成を有している。したがって、揺動体が揺動限界位置へ揺動している状態で、揺動限界位置を超える方向へ揺動体をさらに揺動させるべく回転軸体を回転させると、揺動体と係合しているねじりコイルばねの他端は、ねじりコイルばねのばね力によって弾性変位する。それによって、揺動限界位置を超える方向へ揺動体を揺動させる力が揺動体に加わった場合に生じる、揺動体と揺動体退避部材(ねじりコイルばね)との係合部分が破損してしまう虞、及び揺動体と揺動体退避部材(ねじりコイルばね)との係合が外れてしまう虞を大幅に低減させることができる。
【0015】
本発明の第3の態様は、前述した第2の態様において、被記録材積重手段に積重されている被記録材を1つずつ前記給送経路へ自動給送する自動給送装置と、該自動給送装置から前記給送経路を介して給送された被記録材を所定の搬送方向へ搬送する被記録材搬送手段とを備え、前記被記録材搬送手段は、被記録材の搬送方向へ回転可能に支持された搬送駆動ローラと、被記録材の搬送方向へ従動回転可能に支持される搬送従動ローラと、被記録材の搬送経路へ進退可能に前記搬送従動ローラを支持するとともに、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路へ進出して前記搬送駆動ローラの外周面へ当接する如く付勢されて配設された搬送従動ローラホルダとを有し、前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避した状態となる前記回転軸体の回転位置において、前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された搬送従動ローラ退避部材が前記搬送従動ローラホルダと係合して、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路から退避する構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0016】
このように、搬送従動ローラを搬送経路から退避させる搬送従動ローラ退避部材は、揺動体退避部材(ねじりコイルばね)が一体に回転可能に配設されている回転軸体に一体に回転可能な如く配設されている。そして、揺動体の一端側が給送経路から退避した状態となる回転軸体の回転位置において、搬送従動ローラ退避部材が搬送従動ローラホルダと係合して搬送従動ローラホルダが揺動し、搬送従動ローラが被記録材の搬送経路から退避する。したがって、被記録材検出手段の揺動体の一端を給送経路から退避させる動作と、被記録材搬送手段の搬送従動ローラを搬送経路から退避させる動作とを回転軸体を所定の回転位置へ回転させることによって同時に行うことができる。共通の回転軸体に揺動体退避部材と搬送従動ローラ退避部材とを配設することで、部品点数の削減が可能になり、記録装置のコストダウン及び小型化が可能になる。
【0017】
本発明の第4の態様は、前述した第3の態様において、前記搬送従動ローラ退避部材は、前記回転軸体が挿通された状態で前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された略円筒体形状を有する部材で構成され、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態の前記ねじりコイルばねを前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端を係止しつつ保持するねじりコイルばね保持部と、外周面に形成された前記搬送従動ローラホルダと係合する凸部とを有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0018】
このように、搬送従動ローラ退避部材には、被記録材検出手段における揺動体退避部材としてのねじりコイルばねを回転軸体と一体に回転可能に係止して保持するねじりコイルばね保持部が形成されている。つまり、ねじりコイルばねは、一端が搬送従動ローラ退避部材に係止されつつ、搬送従動ローラ退避部材に設けられたねじりコイルばね保持部に保持されて回転軸体と一体に回転可能に配設される。したがって、搬送従動ローラ退避部材と一体にねじりコイルばねを配設することが可能になる。それによって、さらなる部品点数の削減による記録装置のコストダウン及び小型化が可能になる。
【0019】
本発明の第5の態様は、前述した第3の態様又は第4の態様において、前記被記録材検出手段は、前記揺動体が被記録材搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く配設されており、前記揺動体退避手段は、前記揺動体退避部材が前記揺動体と係合して前記揺動体を被記録材搬送方向の揺動限界位置へ揺動させる構成を有し、特定の被記録材への記録実行時には、前記揺動体及び前記搬送従動ローラを被記録材の搬送経路から退避させた状態で、特定の被記録材を前記被記録材搬送手段の搬送方向下流側から被記録材搬送方向と逆方向へ手差し給送する構成を有している、ことを特徴とした記録装置である。
【0020】
揺動体が被記録材搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く配設されているので、特定の被記録材を被記録材の搬送方向下流側(排出口側)から手差し挿入して給送する際には、事前に揺動体の先端を給送経路から退避させる必要がある。その際に、何らかの要因で給送経路からの揺動体の先端の退避位置が不十分なままとなり、揺動体の先端の一部が給送経路に突出している状態で、被記録材を搬送方向下流側(排出口側)から手差し挿入すると、被記録材の先端が揺動体の先端に突き当たってしまう可能性がある。特定の被記録材とは、例えば、光記録ディスクを装着したディスクトレイや厚紙等の被記録材である。
【0021】
このように、被記録材の先端が揺動体の先端に突き当たった状態で、さらに押し込まれてしまった場合でも、揺動体と揺動体退避部材(ねじりコイルばね)との係合部が弾性変位するので、揺動体と揺動体退避部材との係合部分が破損してしまう虞を大幅に低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
まず、本発明に係る「記録装置」としてのインクジェット式記録装置の概略構成について説明する。
【0023】
図1は、本発明に係るインクジェット式記録装置の外観斜視図である。図2は、本発明に係るインクジェット式記録装置の本体カバーを取り外した状態の概略斜視図である。図3は、本発明に係るインクジェット式記録装置の内部構造の要部斜視図である。図4は、本発明に係るインクジェット式記録装置の内部構造の要部側断面図である。
インクジェット式記録装置100は、図1に示した如く本体カバー1で覆われており、本体カバー1の上面には、上方向へ開閉可能な上面カバー2が配設されている。上面カバー2を開くことによって、インクジェット式記録装置100の内部へユーザがアクセスすることが可能となり、インクカートリッジの交換等を行うことが可能になる。本体カバー1の前面には、電源スイッチ等のスイッチ類5が配設されているほか、排紙スタッカ3並びにディスクトレイカバー4が前方へ開閉可能に配設されている。排紙スタッカ3は、記録実行時には前方に開いた状態で使用され、記録実行後の「被記録材」及び「被搬送体」としての記録紙Pが開いた状態の排紙スタッカ3の上に排出されて積重されるようになっている。ディスクトレイカバー4は、前方に開いた状態でディスクトレイを前方からユーザが手差し挿入するためのディスクトレイ挿入口へのアクセスが可能になる。ディスクトレイは、光記録ディスクのラベル面への記録を実行する際に使用され、光記録ディスクを装着した状態のディスクトレイをディスクトレイ挿入口の所定の挿入位置まで手差し挿入して記録を実行することによって、光記録ディスクのラベル面への記録を実行することができる。
【0024】
インクジェット式記録装置100の後部には、図示の如く自動給紙装置20が配設されており、自動給紙装置20の上部には、上方向へ開閉可能な給紙トレイカバー6が配設されている。給紙トレイカバー6は、記録実行時には開いた状態で使用され、開いた状態の給紙トレイカバー6と一体となって記録紙Pの支持面を形成する給紙トレイ22に記録実行前の記録紙Pが積重されるようになっている。給紙トレイ22に積重された記録紙Pは、給紙時に所定のタイミングで給紙ローラ21側へ揺動するホッパ23により給紙ローラ21の外周面に押圧される。給紙ローラ21の外周面に押圧された記録紙Pは、給紙ローラ軸211を回転軸として回転可能に配設されている給紙ローラ21の駆動回転によって、搬送駆動ローラ41の外周面と搬送従動ローラ42の外周面との当接面へ向けて1枚ずつ自動給紙される。
【0025】
インクジェット式記録装置100の筐体は、メインフレーム11、左サイドフレーム12、右サイドフレーム13、右サイド外フレーム13a及びリアフレーム19で主たる骨格が形成されている。左サイドフレーム12(部材191を介して)、右サイドフレーム13、及び右サイド外フレーム13aは、インクジェット式記録装置100の前面側においてリアフレーム19で連結されている。搬送駆動ローラ41の両端は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)に回転可能な如く左サイドフレーム12と右サイドフレーム13とにそれぞれ支持されている。搬送駆動ローラ41の左端は、回転ブッシュ17を介して左サイドフレーム12に回転可能に支持され、搬送駆動ローラ41の右端は、回転ブッシュ18を介して右サイドフレーム13に回転可能に支持されている。また、搬送駆動ローラ41の中央近傍に形成されている支持部は、中支え部材15によって回転可能に支持されている。中支え部材15は、サブフレーム14に回動可能に配設されている調整部材16の回動位置によって、搬送駆動ローラ41の中央近傍の支持位置を上下動させることができるようになっている。搬送駆動ローラ41の外周面のうち記録紙Pが押圧されて密着される部分には、中支え部材15によって回転可能に支持される部分を除いて高摩擦抵抗被膜が形成されている。
【0026】
各搬送従動ローラホルダ43には、2つの搬送従動ローラ42が記録紙Pの搬送方向へ従動回転可能に支持されており、搬送従動ローラホルダ43は、搬送駆動ローラ41と平行に複数並べて配置され、それぞれメインフレーム11に揺動可能に支持されている。各搬送従動ローラホルダ43は、ばね431によって搬送駆動ローラ41へ押圧付勢されており、それによって、各搬送従動ローラ42は、略一定の押圧力で搬送駆動ローラ41の外周面に押圧されている。また、各搬送従動ローラホルダ43の副走査方向Y下流側には、補助ローラホルダ43Sがそれぞれ配設されており、補助ローラホルダ43Sには、補助ローラ42Sが記録紙Pの搬送方向へ従動回転可能に支持されている。自動給紙装置20から給紙される記録紙Pは、紙案内前部材44により搬送駆動ローラ41の外周面へ向けて案内され、搬送駆動ローラ41の外周面と搬送従動ローラ42との当接面に狭持されて搬送駆動ローラ41の高摩擦抵抗被膜面に押圧されて密着し、搬送駆動ローラ41が副走査方向Yへ回転することによって、搬送駆動ローラ41の回転量に応じた搬送量で副走査方向Yへ搬送される。
【0027】
搬送駆動ローラ41は、搬送歯車54が回転伝達可能に一体に取り付けられており、搬送用モータ51の駆動プーリ52の駆動回転が無端ベルト53を介して搬送歯車54へ伝達されて回転する(図3)。搬送駆動ローラ41の回転によって副走査方向Yへ搬送される記録紙Pは、紙案内後部材45と一体に形成されているプラテン46に裏面が摺接しながら面姿勢が規制されつつ搬送される。尚、搬送駆動ローラ41の左端側には、搬送駆動ローラ41の回転量を検出する「回転量検出手段」として公知のロータリエンコーダが設けられている。ロータリエンコーダは、搬送駆動ローラ41の回転に連動して回転するロータリスケール50(図2)と、ロータリスケール50の外周に沿って等間隔に形成されているスリットを検出するロータリスケールセンサ501(図2)とを有している。
【0028】
インクジェット式記録装置100は、記録紙Pにインクを噴射して記録を行う記録ヘッド63を記録紙Pに対して主走査方向Xに走査させるためのキャリッジ62を備えている。キャリッジ62は、主走査方向Xに往復動可能にキャリッジガイド軸61に軸支されており、図示していないキャリッジ用モータの回転駆動力が図示していないベルト伝達機構によって伝達されて主走査方向Xに往復動する。キャリッジガイド軸61は、左サイドフレーム12と右サイド外フレーム13aとで両端を支持されて配設されている。キャリッジ62には、各色のインクが充填されたインクカートリッジ(図示せず)が着脱可能に搭載され、インクカートリッジから記録ヘッド63へ各色のインクが供給される。記録ヘッド63のヘッド面は、プラテン46と対向する位置で主走査方向Xへ往復動し、ヘッド面に多数配置されているノズルからプラテン46上を搬送される記録紙Pへインクが噴射されて記録が実行される。記録ヘッド63のヘッド面と記録紙Pの記録面との間隔は、プラテン46によって規定される。また、インクジェット式記録装置100には、キャリッジ62の移動位置を検出するための公知のリニアエンコーダが配設されている。リニアエンコーダは、キャリッジガイド軸61と平行に配設されたリニアスケール64と、キャリッジ62に搭載され、リニアスケール64に等間隔に形成されているスリットを検出するリニアスケールセンサ(図示せず)とを有している。
【0029】
一方、プラテン46より副走査方向Yの下流側には、記録実行後の記録紙Pを排紙する手段として、副走査方向Yへ回転可能に紙案内後部材45に支持された第1の排紙駆動ローラ軸47及び第2の排紙駆動ローラ軸48が配設されている。第1の排紙駆動ローラ軸47には、図示の如く複数の第1の排紙駆動ローラ471が略等間隔に設けられており、第2の排紙駆動ローラ軸48にも同様に複数の第2の排紙駆動ローラ481が略等間隔に設けられている。第2の排紙駆動ローラ481は、搬送歯車54、中間歯車55及び排紙歯車56を介して搬送用モータ51の回転駆動力が第2の排紙駆動ローラ軸48へ伝達されて排出方向(副走査方向Y)に回転する。第1の排紙駆動ローラ471は、第2の排紙駆動ローラ軸48に回転伝達可能に取り付けられている歯車57及び図示していない中間歯車を介して、第1の排紙駆動ローラ軸47に回転伝達可能に取り付けられている歯車58へ搬送用モータ51の回転駆動力が伝達されて排出方向(副走査方向Y)に回転する。
【0030】
第1の排紙駆動ローラ軸47及び第2の排紙駆動ローラ軸48の上側には、主走査方向Xに長尺な排紙フレーム49(図4)が設けられている。排紙フレーム49には、第1の排紙駆動ローラ471に対応する位置に複数の第1の排紙従動ローラ472が従動回転可能に支持されており、第2の排紙駆動ローラ481に対応する位置に複数の第2の排紙従動ローラ482が従動回転可能に支持されている。第1の排紙従動ローラ472及び第2の排紙従動ローラ482は、周囲に複数の歯を有し、各歯の先端が記録紙Pの記録面に点接触するように鋭角的に尖っている歯付きローラになっており、それぞれ第1の排紙駆動ローラ471及び第2の排紙駆動ローラ481に弱い付勢力で付勢されている。記録実行後の記録紙Pは、第1の排紙駆動ローラ471と第1の排紙従動ローラ472との間に狭持されて、第1の排紙駆動ローラ471の排出方向への回転によって搬送され、さらに、第2の排紙駆動ローラ481と第2の排紙従動ローラ482との間に狭持されて、第2の排紙駆動ローラ481の排出方向への回転によって、開いた状態の排紙スタッカ3へと排出される。
【0031】
このような構成を有するインクジェット式記録装置100は、まず、記録前の白紙の記録紙Pが自動給紙装置20によって自動給紙される。つづいて、自動給紙された記録前の白紙の記録紙Pは、搬送駆動ローラ41の回転によって記録ヘッド63のヘッド面と対向するプラテン46に摺接しながら副走査方向Yへ所定の搬送量で搬送される動作と、プラテン46の上で主走査方向Xへ往復動する記録ヘッド63からインクが噴射される動作とが交互に繰り返し実行されて記録面への記録が実行される。そして、記録実行後の記録紙Pは、第1の排紙駆動ローラ471及び第2の排紙駆動ローラ472の排出方向への回転によって排紙スタッカ3へ排出される。これらの一連の記録実行動作は、図示していない記録制御装置によって、自動給紙装置20の駆動力源としての自動給紙用モータ(図示せず)、搬送用モータ51並びにキャリッジ駆動用モータ(図示せず)が制御されて実行される。
【0032】
つづいて、自動給紙装置20から搬送駆動ローラ41への記録紙Pの給紙経路(給送経路)において、記録紙Pを検出する「被記録材検出手段」について説明する。
【0033】
図5は、記録紙Pの給紙経路近傍を搬送駆動ローラ41側から拡大して示した要部斜視図である。図6は、記録紙Pの給紙経路近傍を自動給紙装置20側から拡大して示した要部斜視図である。図7は、記録紙Pの給紙経路近傍を拡大して示した要部側面図である。
本発明に係る「被記録材検出手段」は、「揺動体」としての紙検レバー35と、紙検レバー35を揺動可能に軸支する紙検レバーホルダ33と、紙検レバー35の揺動位置を検出して検出信号を出力する図示していない紙検センサとを有している。紙検レバーホルダ33は、メインフレーム11(図3、図4)に腕部331、腕部332及び係止片333が係合した状態で所定の位置に配設される。回転軸体34は、紙検レバーホルダ33の軸受け孔334に挿通されて搬送駆動ローラ41と略平行に回転可能に支持されている。紙検レバー35は、回転軸体34が紙検レバー35の軸受け部351に挿通された状態で、所定の揺動範囲のみ揺動可能に回転軸体34に軸支されている。紙検レバー35は、レバー後端354が紙検レバーホルダ33の突き当て部335に自重によって(ばね等の付勢手段で付勢しても良い)突き当たった状態で(図7)、記録紙Pの搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く軸支されている。その状態で、紙検レバー35の先端に形成されたレバー先端352が給紙経路に突出した状態となる。このような構成を有する「被記録材検出手段」は、給紙経路を給紙される記録紙Pの先端がレバー先端352を押動して紙検レバー35が給紙方向へ揺動し、紙検センサが紙検レバー35の給紙方向への揺動を検出することによって、給紙経路を給紙される記録紙Pの給紙方向の先端及び後端を検出する。
【0034】
自動給紙装置20から給紙された記録紙Pを副走査方向Yへ搬送する「被記録材搬送手段」は、前述した搬送駆動ローラ41、搬送従動ローラ42及び搬送従動ローラホルダ43を有している。搬送従動ローラホルダ43は、記録紙Pの給紙経路(給紙ローラ21から搬送駆動ローラ41までの紙案内前部材44と搬送従動ローラホルダ43との間の空間をいう。図4参照。)の近傍に配置され、両側部に形成されている軸部432を揺動軸として揺動可能に軸支されている。搬送従動ローラホルダ43は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)の下流側端部には、図示の如く2つの搬送従動ローラ42が回転可能に支持されている。また、搬送従動ローラホルダ43は、記録紙Pの搬送方向(副走査方向Y)の上流側端部433が給紙ローラ21近傍まで延設された形状を有している。給紙経路を給紙される記録紙Pは、紙案内前図材44の案内面444に記録面の裏側が摺接して案内されるとともに、上流側端部433から搬送従動ローラ42までの搬送従動ローラホルダ43の底面によって記録面側が案内されて、駆動回転する搬送駆動ローラ41の外周面へ先端が案内される。搬送駆動ローラ41と平行に複数並べて配設される搬送従動ローラホルダ43は、紙検レバー35と重なる部分に配置されるもの(図5)のみ、レバー孔434が形成されており、紙検レバー35は、レバー先端352が図示の如くレバー孔434に遊挿された状態で支持される。
【0035】
図8は、記録紙Pの給紙経路近傍を搬送駆動ローラ41側から拡大して示した要部斜視図であり、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から退避するとともに、搬送従動ローラ42が搬送駆動ローラ41から離間した状態を示したものである。図9は、同様の状態について、記録紙Pの給紙経路近傍を自動給紙装置20側から拡大して示した要部斜視図であり、図10は、同様の状態についての要部側面図である。
【0036】
インクジェット式記録装置100は、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から退避する揺動位置へ紙検レバー35を揺動させることが可能な「揺動体退避手段」を備えている。「揺動体退避手段」は、前述した回転軸体34と、紙検レバー35に係合して紙検レバー35を揺動範囲の揺動限界位置へ揺動させる「揺動体退避部材」としてのねじりコイルばね37とを有して構成される。回転軸体34には、「搬送従動ローラ退避部材」としてのばねホルダ36が回転軸体34と一体に回転可能に配設されている。尚、回転軸体34は、搬送駆動ローラ41と平行に複数並べて配設されている搬送従動ローラホルダ43と略平行に回転可能に支持された一本の長尺な軸体であり、所定の回転量で所定の回転方向へ回転させることによって、全ての搬送従動ローラホルダ43を同時に揺動させて全ての搬送従動ローラ42を搬送経路から同時に退避させることができるようになっている。
【0037】
図11は、ばねホルダ36の斜視図である。
ばねホルダ36は、ねじりコイルばね37を保持するねじりコイルばね保持部361を有するともに、搬送従動ローラホルダ43と係合する凸部362が外周面に形成されている。ねじりコイルばね37は、コイル部分に回転軸体34が挿通された状態でねじりコイルばね保持部361の中に配設され、一端部372がばね係止部364に係止され、他端部371が長孔363からねじりコイルばね保持部361の外側へ突出した状態で保持される。ねじりコイルばね37の他端部371は、長孔363によって回転軸体34の周方向への弾性変位が可能な状態で、回転軸体34の軸方向への位置ずれが防止される。また、ねじりコイルばね37の他端部371は、図示の如く略L字形状を成しており、それによって、紙検レバー35と係合した際に安定的に紙検レバー35を押動することができる。
【0038】
以下、図8〜図11を参照しながら、さらに説明する。
回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させると、ばねホルダ36も同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転し、ばねホルダ36の凸部362が搬送従動ローラホルダ43の上流側端部433と係合して符号Bで示した方向へ押し下げる。上流側端部433が符号Bで示した方向へ押し下げられることによって、搬送従動ローラホルダ43が揺動し、搬送従動ローラホルダ43の下流側端部に回転可能に支持されている搬送従動ローラ42は、符号Cで示した方向へ搬送経路から退避する如く移動して搬送駆動ローラ41の外周面から離間する。
【0039】
一方、回転軸体34が所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転することによって、ねじりコイルばね37も同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転し、ねじりコイルばね37の他端部371が紙検レバー35の壁部353へ当接して壁部353を符号Dで示した回転方向へ押動する。それによって、紙検レバー35は、符号Eで示した揺動方向の揺動限界位置まで揺動し、レバー先端352が給紙経路から退避する(符号F)。つまり、回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させることによって、紙検レバー35のレバー先端352を記録紙Pの給紙経路から退避させる動作と、搬送駆動ローラ41に当接している搬送従動ローラ42を搬送経路から退避させる動作とを同時に行うことができる。それによって、インクジェット式記録装置100の部品点数の削減が可能になり、インクジェット式記録装置100のコストダウン及び小型化が可能になる。
【0040】
尚、当該実施例におけるインクジェット式記録装置100は、回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させると、排紙フレーム49(図4)に従動回転可能に支持されている第1の排紙従動ローラ472及び第2の排紙従動ローラ482が記録紙Pの排出経路から退避するように構成されている。それによって、記録紙Pの排出口側から搬送経路を経由して給紙経路に至るまで、各経路に配置されている部材を全て給送経路及び搬送経路の経路外へ退避させることができる。この状態において、ディスクトレイカバー4を開いた状態で光記録ディスクを装着したディスクトレイや厚紙等をディスクトレイ挿入口の所定の挿入位置まで手差し挿入することが可能になる。
【0041】
つづいて、図12〜図15を参照しながら、「揺動体退避部材」としてのねじりコイルばね37について、さらに説明する。
【0042】
図12〜図15は、記録紙Pの給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。図12は、通常時の状態、図13は、紙検レバー35のレバー先端352を給紙経路から退避させた状態、図14は、紙検レバー35のレバー先端352を給紙経路から退避させた状態から、さらに、回転軸体34を回転させた状態、図15は、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から退避しきれていない状態でディスクトレイTRの先端がレバー先端352に突き当たった状態をそれぞれ示したものである。
【0043】
通常時(自動給紙装置20から記録紙Pを給紙して記録を実行可能な状態)は、紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路へ突出していて、給紙経路へ給紙される記録紙Pを検出可能な状態となっている(図12)。
その状態から回転軸体34を所定の回転量で所定の回転方向(符号Aで示した回転方向)へ回転させると、ねじりコイルばね37も同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転し、ねじりコイルばね37の他端部371が紙検レバー35の壁部353へ当接して壁部353を符号Dで示した回転方向へ押動する。それによって、紙検レバー35は、近傍に配設されている給紙ローラ軸211に当接する揺動位置(符号Eで示した揺動方向の揺動限界位置)まで揺動し、レバー先端352が給紙経路から退避(符号F)する(図13)。
その状態から回転軸体34が所定の回転量を超える回転量で、さらに同じ回転方向(符号Dで示した回転方向)へ回転した場合には、紙検レバー35の壁部353に当接しているねじりコイルばね37の他端部371が、ねじりコイルばね37のばね力により、回転軸体34の回転に応じて弾性変位する(図14)。
【0044】
このように、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分(紙検レバー35の壁部353)に作用するストレスがねじりコイルばね37のばね力によって吸収される。それによって、揺動限界位置を超える方向へ紙検レバー35を揺動させる力が紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分に加わった場合に生じる、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分が破損してしまう虞、及び紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合が外れてしまう虞を大幅に低減させることができる。そして、紙検レバー35の所定の揺動範囲の揺動限界位置、或いは給紙された記録紙Pの詰まり等何らかの障害物により一時的に生じた紙検レバー35の揺動限界位置、いずれの揺動限界位置においても同様の効果が得られる。
【0045】
また、図13に示した状態において、給紙された記録紙Pの詰まり等何らかの要因で紙検レバー35のレバー先端352が給紙経路から完全に退避しきれず、レバー先端352の一部が給紙経路へ突出している状態なってしまうことも想定される。その状態で、ディスクトレイTRを記録紙Pの排出側から手差し挿入(符号G)すると、ディスクトレイTRの先端が紙検レバー35のレバー先端352に突き当たってしまう虞がある(図15)。そして、その状態でディスクトレイTRをさらに手差し挿入方向へ押し込まれてしまった場合には、紙検レバー35の壁部353に当接しているねじりコイルばね37の他端部371が、ねじりコイルばね37のばね力により、ディスクトレイTRに押されて符号Jで示した揺動方向へ揺動する紙検レバー35の揺動に応じて弾性変位する(図15)。
【0046】
このような場合も同様に、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分(紙検レバー35の壁部353)に作用するストレスがねじりコイルばね37のばね力によって吸収されるので、紙検レバー35とねじりコイルばね37との係合部分が破損してしまう虞を大幅に低減させることができる。
【0047】
尚、本発明は上記実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】インクジェット式記録装置の外観斜視図である。
【図2】インクジェット式記録装置の本体カバーを取り外した概略斜視図である。
【図3】インクジェット式記録装置の内部構造の要部斜視図である。
【図4】インクジェット式記録装置の内部構造の要部側断面図である。
【図5】記録紙の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図6】記録紙の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図7】記録紙の給紙経路近傍を拡大して示した要部側面図である。
【図8】退避状態の紙検レバー近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図9】退避状態の紙検レバー近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図10】退避状態の紙検レバー近傍を拡大して示した要部側面図である。
【図11】ばねホルダの斜視図である。
【図12】通常時の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図13】紙検レバー退避時の給紙経路近傍を拡大して示した要部斜視図である。
【図14】ねじりコイルばねの他端部が弾性変位した状態である。
【図15】紙検レバー先端にディスクトレイ先端が突き当たった状態である。
【符号の説明】
【0049】
1 本体カバー、2 上面カバー、3 排紙スタッカ、4 ディスクトレイカバー、5 スイッチ類、6 給紙トレイカバー、11 メインフレーム、20 自動給紙装置、21 給紙ローラ、22 給紙トレイ、23 ホッパ、33 紙検レバーホルダ、34 回転軸体、35 紙検レバー、36 ばねホルダ、37 ねじりコイルばね、41 搬送駆動ローラ、42 搬送従動ローラ、43 搬送従動ローラホルダ、44 紙案内前部材、45 紙案内後部材、46 プラテン、47 第1の排紙駆動ローラ軸、48 第2の排紙駆動ローラ軸、51 搬送用モータ、61 キャリッジガイド軸、62 キャリッジ、63 記録ヘッド、100 インクジェット式記録装置、211 給紙ローラ軸、TR ディスクトレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材の給送経路に一端側が突出する位置に所定の揺動範囲のみ揺動可能に軸支され、揺動体の揺動位置に基づいて前記給送経路を給送される被記録材を検出する被記録材検出手段と、
前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避する揺動位置へ前記揺動体を揺動可能な揺動体退避手段とを備えた記録装置であって、
前記被記録材検出手段は、前記給送経路を給送される被記録材に前記揺動体の一端側が押動されることによって、前記揺動体が被記録材の給送方向へ揺動して被記録材が検出される構成を有し、
前記揺動体退避手段は、前記揺動体と係合して前記揺動体を揺動範囲の揺動限界位置へ揺動させる揺動体退避部材を有し、
前記揺動体が揺動範囲の揺動限界位置へ揺動した状態から当該揺動限界位置を超える方向へ前記揺動体をさらに揺動させようとすると、前記揺動体退避部材の前記揺動体との係合部が前記揺動体との係合状態を保持したまま弾性変位する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動体退避手段は、前記揺動体の揺動軸と略平行に回転可能に支持された回転軸体を有し、前記揺動体退避部材は、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態で配設され、前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端が係止されたねじりコイルばねであり、
前記回転軸体を回転させると、前記揺動体と係合する前記ねじりコイルばねの他端が前記揺動体を揺動限界位置へ揺動させる構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項3】
請求項2において、被記録材積重手段に積重されている被記録材を1つずつ前記給送経路へ自動給送する自動給送装置と、
該自動給送装置から前記給送経路を介して給送された被記録材を所定の搬送方向へ搬送する被記録材搬送手段とを備え、
前記被記録材搬送手段は、被記録材の搬送方向へ回転可能に支持された搬送駆動ローラと、被記録材の搬送方向へ従動回転可能に支持される搬送従動ローラと、被記録材の搬送経路へ進退可能に前記搬送従動ローラを支持するとともに、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路へ進出して前記搬送駆動ローラの外周面へ当接する如く付勢されて配設された搬送従動ローラホルダとを有し、
前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避した状態となる前記回転軸体の回転位置において、前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された搬送従動ローラ退避部材が前記搬送従動ローラホルダと係合して、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路から退避する構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項4】
請求項3において、前記搬送従動ローラ退避部材は、前記回転軸体が挿通された状態で前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された略円筒体形状を有する部材で構成され、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態の前記ねじりコイルばねを前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端を係止しつつ保持するねじりコイルばね保持部と、外周面に形成された前記搬送従動ローラホルダと係合する凸部とを有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記被記録材検出手段は、前記揺動体が被記録材搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く配設されており、
前記揺動体退避手段は、前記揺動体退避部材が前記揺動体と係合して前記揺動体を被記録材搬送方向の揺動限界位置へ揺動させる構成を有し、
特定の被記録材への記録実行時には、前記揺動体及び前記搬送従動ローラを被記録材の搬送経路から退避させた状態で、特定の被記録材を前記被記録材搬送手段の搬送方向下流側から被記録材搬送方向と逆方向へ手差し給送する構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項1】
被記録材の給送経路に一端側が突出する位置に所定の揺動範囲のみ揺動可能に軸支され、揺動体の揺動位置に基づいて前記給送経路を給送される被記録材を検出する被記録材検出手段と、
前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避する揺動位置へ前記揺動体を揺動可能な揺動体退避手段とを備えた記録装置であって、
前記被記録材検出手段は、前記給送経路を給送される被記録材に前記揺動体の一端側が押動されることによって、前記揺動体が被記録材の給送方向へ揺動して被記録材が検出される構成を有し、
前記揺動体退避手段は、前記揺動体と係合して前記揺動体を揺動範囲の揺動限界位置へ揺動させる揺動体退避部材を有し、
前記揺動体が揺動範囲の揺動限界位置へ揺動した状態から当該揺動限界位置を超える方向へ前記揺動体をさらに揺動させようとすると、前記揺動体退避部材の前記揺動体との係合部が前記揺動体との係合状態を保持したまま弾性変位する、ことを特徴とした記録装置。
【請求項2】
請求項1において、前記揺動体退避手段は、前記揺動体の揺動軸と略平行に回転可能に支持された回転軸体を有し、前記揺動体退避部材は、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態で配設され、前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端が係止されたねじりコイルばねであり、
前記回転軸体を回転させると、前記揺動体と係合する前記ねじりコイルばねの他端が前記揺動体を揺動限界位置へ揺動させる構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項3】
請求項2において、被記録材積重手段に積重されている被記録材を1つずつ前記給送経路へ自動給送する自動給送装置と、
該自動給送装置から前記給送経路を介して給送された被記録材を所定の搬送方向へ搬送する被記録材搬送手段とを備え、
前記被記録材搬送手段は、被記録材の搬送方向へ回転可能に支持された搬送駆動ローラと、被記録材の搬送方向へ従動回転可能に支持される搬送従動ローラと、被記録材の搬送経路へ進退可能に前記搬送従動ローラを支持するとともに、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路へ進出して前記搬送駆動ローラの外周面へ当接する如く付勢されて配設された搬送従動ローラホルダとを有し、
前記揺動体の一端側が前記給送経路から退避した状態となる前記回転軸体の回転位置において、前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された搬送従動ローラ退避部材が前記搬送従動ローラホルダと係合して、前記搬送従動ローラが被記録材の搬送経路から退避する構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項4】
請求項3において、前記搬送従動ローラ退避部材は、前記回転軸体が挿通された状態で前記回転軸体と一体に回転可能な如く配設された略円筒体形状を有する部材で構成され、コイル部分に前記回転軸体が挿通された状態の前記ねじりコイルばねを前記回転軸体と一体に回転可能な如く一端を係止しつつ保持するねじりコイルばね保持部と、外周面に形成された前記搬送従動ローラホルダと係合する凸部とを有している、ことを特徴とした記録装置。
【請求項5】
請求項3又は4において、前記被記録材検出手段は、前記揺動体が被記録材搬送方向と逆方向の揺動限界位置に揺動姿勢が付与される如く配設されており、
前記揺動体退避手段は、前記揺動体退避部材が前記揺動体と係合して前記揺動体を被記録材搬送方向の揺動限界位置へ揺動させる構成を有し、
特定の被記録材への記録実行時には、前記揺動体及び前記搬送従動ローラを被記録材の搬送経路から退避させた状態で、特定の被記録材を前記被記録材搬送手段の搬送方向下流側から被記録材搬送方向と逆方向へ手差し給送する構成を有している、ことを特徴とした記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−89220(P2006−89220A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276790(P2004−276790)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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