説明

記録装置

【課題】複雑な機構を要することなくジャムを除去することができる記録装置を提供する。
【解決手段】搬送される用紙を、印字ヘッドとプラテン60との間に案内する案内板70を備えるプリンターであって、案内板70は、プラテン60と間隔をあけて用紙を案内する案内面70aを有し、案内板70を、プラテン60に向けて付勢する付勢部材57と、上記間隔が所定値A以上となるように、案内板70を上記付勢に抗する方向に変位可能に保持する案内板保持機構80と、を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録装置において、記録ヘッドとプラテンとの間のギャップは、印字品質を左右する重要な要素である。高い印字品質を確保するためには、当該ギャップを十分に小さくすることが必要である一方、当該ギャップが小さいと、記録媒体の挿入が困難となるため、記録装置においては、記録ヘッドとプラテンとの間に記録媒体を案内する案内板を備える構成が一般的である。
【0003】
しかしながら、記録媒体が折れ曲がった状態や重なった状態で搬送されてくると、案内板を設けたとしても、当該ギャップに挿入することが困難となり、記録媒体の詰まり(所謂ジャム)が生じる場合がある。
下記特許文献1には、記録装置としてドットインパクト式の印刷装置が開示されている。この印刷装置は、記録ヘッド対し近接する面と離間する面とを備えたプラテンを回転自在に支承し、記録ヘッドの動作時には該近接する面を記録ヘッドに向けて、記録媒体の搬送経路を狭くし、一方で、記録媒体の通過時には該離間する面を記録ヘッドに向けて、記録媒体の搬送経路を広くする構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−291572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術は、ジャムの除去手段として有効であるが、プラテンを回転駆動させるために複雑な機構を要するという問題がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、複雑な機構を要することなくジャムを除去することができる記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、搬送される記録媒体を、記録ヘッドとプラテンとの間に案内する案内板を備える記録装置であって、上記案内板は、上記プラテンと間隔をあけて上記記録媒体を案内する案内面を有し、上記案内板を、上記プラテンに向けて付勢する付勢部材と、上記間隔が所定値以上となるように、上記案内板を上記付勢に抗する方向に変位可能に保持する案内板保持機構と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明は、案内板を付勢部材の付勢に抗して、案内面とプラテンとの間隔が所定値よりも大きくなるように変位させることで、ジャムを除去する。また、ジャム除去後には案内板が付勢される方向に復帰し、案内面とプラテンとの間隔が、所定値に保持される。
【0008】
また、本発明においては、上記案内板保持機構は、上記案内板の上記案内面側と逆側に一体的に設けられたフック部材と、上記フック部材の上記付勢する方向への移動を係止して規制する係止部材と、を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、付勢する方向へのフック部材の移動が係止部材によって規制されるので、案内面とプラテンとの間隔が所定値未満となることを防止することができる。
【0009】
また、本発明においては、上記フック部材及び上記係止部材は、上記記録媒体の搬送方向において、上記記録ヘッドの上流側と下流側にそれぞれ設けられているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、記録ヘッドの上流側と下流側とで案内板が付勢に抗する方向に変位可能となるので、ジャムの除去を容易に行える。
【0010】
また、本発明においては、上記付勢に抗する方向の上記案内板の変位量を、第2の所定値以下に制限する案内板変位量制限部材を有するという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、付勢に抗する方向の案内板の変位量を第2の所定値以下に制限することで、ジャムの除去時に案内板に過大な負荷をかけないようにすることができる。
【0011】
また、本発明においては、上記第2の所定値は、上記案内板が弾性変形可能な範囲内の変位量に設定されているという構成を採用する。
このような構成を採用することによって、本発明では、案内板の変位量を弾性領域に保ち、案内板の塑性変形を防止し、ジャム除去後は、付勢部材の付勢力に加えて案内板のバネ力により、所定値の間隔に復帰させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態におけるプリンターを示す概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態における裏面印字部を搬送方向上流側から視た図である。
【図3】本発明の実施形態における裏面印字部が備える案内板を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態における案内板保持機構を示す概略図である。
【図5】本発明の実施形態における案内板保持機構の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る記録装置の実施形態について、図を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる図面では、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。ここで、水平面内の所定方向をX軸方向(幅方向)、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向(搬送方向)、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(鉛直方向)をZ軸方向とする。
本実施形態では、記録装置として、インクジェット式ヘッドとドッドインパクト式ヘッドとを併せ持つ複合プリンター(以下、単にプリンターと称する)について例示する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態におけるプリンター11を示す概略構成図である。
プリンター11は、ロール状に巻かれたロール紙(ロール体)RPから延出される長尺の用紙(記録媒体)Pに対して、インクをインクジェットヘッド31から噴射して画像や文字等を印字する構成となっている。プリンター11は、ロール紙RPから延出された用紙Pを搬送する搬送部20と、用紙Pに対し印字を行う記録部30と、印字を経た用紙Pを所定サイズに切断する切断部40と、切断後の用紙Psの裏面に印字を行う裏面印字部50とを有している。
【0015】
プリンター11は、ロール紙RPを収容するケース12と、搬送部20、記録部30、切断部40、裏面印字部50等を収容する本体ケース13と、を備えている。そして、本体ケース13の前側(+Y側)には、印字が施されて切断された用紙Psが排出される排紙トレイ17が設けられている。また、用紙Pの切断によって生ずる切断片Pkを受けて溜める容器(以降、「切屑容器」と称する)15が、本体ケース13の右側面において、表面から少し凹むように面が形成された凹部14内に配設されている。切屑容器15は、本実施形態では本体ケース13から搬送方向(Y軸方向)と直交する方向(X軸方向)に引き抜くことができるようになっており、その直交方向の端面が凹部14において露出するとともに、その端面において切屑容器15を引く抜くための取手16が設けられている。
【0016】
以下、プリンター11に設けられた各構成部位について、プリンター11に備えられた搬送部20として機能する複数のローラー対によって搬送される用紙Pの搬送順に従って説明する。搬送部20は、給紙ローラー対21、搬送ローラー対22,23,24,25、排紙ローラー対26を有する。まず、ロール紙RPから巻き解かれた用紙Pは、給紙ローラー対21によって、記録部30に給紙されるようになっている。記録部30は、インクを噴射するインクジェットヘッド31と、用紙Pを支持する支持台32と、を有する。
【0017】
記録部30では、ロール紙RPから給送された用紙Pを搬送して、用紙Pの上面(表面)に画像等を印字する。まず搬送ローラー対22によってインクジェットヘッド31と支持台32との間に用紙Pを送り出す。送り出された用紙Pの上面(表面)はインクジェットヘッド31に対して所定の距離を保って搬送され、このとき、用紙Pの上面にインクジェットヘッド31からインクが噴射されて印字が行われる。その後、用紙Pは、搬送ローラー対23によって切断部40に搬送される。
【0018】
切断部40は、回転刃などによって構成されるカッター41を機能部品として有し、用紙Pを、印字された画像等に対応する領域毎に切断する。このとき、切断部40では、印字された領域について搬送方向の端部に存在する不要な領域を取り除くように切断が行われるようになっている。このため、図示するように、用紙Pは、切断によって切断片Pkが発生し、発生した切断片Pkは重力方向に落下するようになっている。従って、この落下する切断片Pkを受けて溜めるために、切屑容器15が切断部40よりも下側に配設されている。
【0019】
切断後の用紙Psは、次に裏面に文字を印刷する裏面印字部50に搬送される。裏面印字部50は、インクリボンを用紙Psの下面(裏面)に押し付けてインクドットを形成する所謂ドットインパクト方式の印字ユニット51と、用紙Psを印字の際に上側から支持する支持台52と、を有している。裏面印字部50では、搬送される用紙Psを、まず搬送ローラー対24によって印字ユニット51と支持台52との間に用紙Psを送り出す。そして、送り出された用紙Psは、その下面(裏面)に印字ユニット51によってドットが記録されることによって所定の文字が印字され、搬送ローラー対25によって搬送方向に送られる。
【0020】
その後、用紙Psは、例えば、乾燥部(不図示)に搬送され、機能部品としてのヒーターユニット(不図示)などによって乾燥が施されるなどの処理を経て、最後に排紙ローラー対26によって排紙トレイ17に排出されるようになっている。
【0021】
次に、本実施形態の裏面印字部50の構成について詳しく説明する。
図2は、本発明の実施形態における裏面印字部50を搬送方向上流側から視た図である。図3は、本発明の実施形態における裏面印字部50が備える案内板70を示す平面図である。
【0022】
図2に示すように、支持台52は、印字時に衝打を受けるプラテン60と、プラテン60を所定高さに支持する梁部材61とを有する。本実施形態のプラテン60は、2つ設けられている。プラテン60は、円柱形状を有し、−Z側に向く円形の底面が、衝打面60aとなっている。梁部材61の両端部は、螺子部材62によって、印字ユニット51側に設けられた案内板70の両端部に締結されている。
【0023】
印字ユニット51は、プラテン60とZ軸方向で対向する印字ヘッド(記録ヘッド)53を有する。本実施形態の印字ユニット51は、2つの印字ヘッド53を有している。印字ヘッド53は、インクリボン54(図3参照)を収容するカートリッジ55を備える。図3に示すインクリボン54の裏側には、複数のドッドを打ち込む不図示のヘッドピンが配置されている。印字ユニット51は、2つの印字ヘッド53を搭載したユニットベース56(図2参照)を備える。
【0024】
ユニットベース56は、不図示のリンク機構に支持されて、Z軸方向に移動自在な構成となっている。印字ユニット51は、このユニットベース56を上方に向けて付勢する付勢部材(図2において不図示、後述する図4及び図5において符号57で示す)と、当該付勢により案内板70の案内面70aと逆側の裏面70bに当接し、Z軸方向において印字ユニット51を案内板70に対して位置決めする当接部材58とを有する。
【0025】
当接部材58は、略凹形状を有し、X軸方向において間隔をあけて2点で案内板70の裏面70bに当接する構成となっている。印字ユニット51は、この当接部材58を搬送方向上流側と下流側の側部のそれぞれに備える。したがって、印字ユニット51は、案内板70に対して、4点で接触する構成となっている。なお、図3に示す、符号F1は、当接部材58の当接位置を示す。
【0026】
図3に示すように、案内板70は、印字ヘッド53を露出させる開口部71と、搬送ローラー対24の下側(−Z側)のローラーが配置される開口部72と、搬送ローラー対25の下側(−Z側)のローラーが配置される櫛歯状の凹部73とを備える。この案内板70は、幅方向両端部に孔部74が設けられており、該両端部においてプリンター11の本体ケース13に固定される構成となっている。本実施形態の案内板70は、例えば厚さ1.2mmのSUS304等の金属部材から形成されている。また、案内板70は、後述する上下方向(Z軸方向)の変位を容易にさせるため、曲げ加工をできるだけ入れないようにし、上下方向の断面二次モーメントを下げる構成となっている。
【0027】
案内板70は、図2に示すように、プラテン60と間隔をあけて用紙Psを案内する案内面70aを有する。そして、裏面印字部50は、当該間隔が所定値以上となるように、案内板70を付勢に抗する方向に変位可能に保持する案内板保持機構80を有する。
続いて、本実施形態の案内板保持機構80の構成について図4及び図5を追加参照して説明する。
図4は、本発明の実施形態における案内板保持機構80を示す概略図である。図5は、本発明の実施形態における案内板保持機構80の作用を説明するための図である。なお、図4及び図5においては、視認性を向上させるため、当接部材58のみを図示し、印字ユニット51の図示を省略している。
【0028】
図4に示すように、案内板保持機構80は、プラテン60と案内面70aとの間隔が所定値A以上となるように、案内板70を付勢に抗する方向(−Z方向)に変位可能に保持する構成となっている。なお、所定値Aは、プラテン60の衝打面60aと案内板70の案内面70aとの間に用紙Psが通紙でき、用紙Psの下面(裏面)にインクドットを形成することが可能な最適な間隔(ギャップ)に設定されている。
【0029】
案内板保持機構80は、案内板70の案内面70a側と逆側に一体的に設けられたフック部材81と、付勢部材57の付勢する方向へのフック部材81の移動を係止して規制する係止部材82とを有する。本実施形態のフック部材81は、案内板70の一部を切り起こすことで形成されている。係止部材82は、フック部材81が挿入される溝部83と、溝部83の裏側(−Z側)でフック部材81と係止する係止面82aとを有する。係止部材82は、案内板70及び印字ユニット51と独立してプリンター11の本体ケース13に固定される構成となっている。
【0030】
フック部材81は、常態で、付勢部材57の付勢により、係止部材82に押し当てられた状態となっている。すなわち、付勢部材57は、印字ユニット51の重さを支えつつ、当接部材58を介して案内板70をプラテン60に向かって付勢し、フック部材81を係止部材82に押し当てる付勢力を有する。そして、フック部材81と係止部材82とは、当該押し当てられた状態で、所定値Aを保持する位置関係を有する。
【0031】
フック部材81及び係止部材82は、図3に示すように、用紙Psの搬送方向において、印字ヘッド53の上流側(−Y側)と下流側(+Y側)にそれぞれ設けられている。また、本実施形態の上流側と下流側のフック部材81及び係止部材82は、当接部材58の当接位置F1における付勢力の合力が作用する作用点F2を搬送方向で挟んだ位置関係を有する。なお、作用点F2は、当接位置F1の対角線が交差する位置であって、案内板70の中央部に対応する位置となっている。
【0032】
本実施形態では、図4及び図5に示すように、付勢に抗する方向の案内板70の変位量を、第2の所定値B以下に制限する案内板変位量制限部材84を有する。本実施形態の案内板変位量制限部材84は、係止部材82と一体で形成されている。案内板変位量制限部材84は、係止部材82の幅方向(X軸方向)両端部において屈曲し、鉛直上方に所定距離延在して設けられている。
【0033】
案内板変位量制限部材84は、図4に示すように、常態で、案内板70の裏面70bと離間する位置関係を有する。そして、案内板変位量制限部材84は、案内板70が−Z方向に変位した際に、裏面70bと当接して、第2の所定値Bよりも大きな変形を規制する構成となっている(図5参照)。なお、第2の所定値Bは、案内板70が弾性変形可能な範囲内の変位量に設定されている。
【0034】
続いて、上記構成のプリンター11の裏面印字部50におけるジャム除去動作について説明する。
用紙Psが折れ曲がった状態で搬送されてくると、所定値Aで間隔を保持されたプラテン60と案内面70aとの間に用紙Psが挟まり、ジャム(紙詰まり)が生じる。
【0035】
使用者は、先ず、案内板70を付勢部材57の付勢に抗して、案内面70aとプラテン60との間隔が所定値Aよりも大きくなるように−Z方向に変位させる。この時、フック部材81の係止部材82に対する押し当てが解除され、フック部材81は、案内板70と一体的に−Z方向に移動する。また、当接部材58(印字ユニット51)も、案内板70との当接状態を保ったまま一体的に−Z方向に移動する。
【0036】
本実施形態では、案内板70の中央部において−Z方向の拘束は無いので、用紙Psの搬送経路が広がる方向への変位が可能となり、ジャムを除去することができる。また、本実施形態では、フック部材81及び係止部材82が、用紙Psの搬送方向において、印字ヘッド53の上流側と下流側にそれぞれ設けられているので、印字ヘッド53の上流側と下流側とで案内板70が変位可能となり、ジャムの除去を容易に行える。
【0037】
なお、図5に示すように、ある程度、案内板70が変位すると、裏面70bが案内板変位量制限部材84に当接して、当該変位が規制される。本実施形態では、案内板変位量制限部材84が、付勢に抗する方向の案内板70の変位量を第2の所定値B以下に制限することで、ジャムの除去時に案内板70に過大な負荷をかけないようにすることができる。
【0038】
使用者がジャム除去をした後は、案内板70が、付勢される方向(+Z方向)に復帰する。また、本実施形態では、案内板変位量制限部材84が、案内板70の変位量を第2の所定値B以下に制限することで、案内板70の変位量を弾性領域に保ち、案内板70の塑性変形を防止して、ジャム除去後には、付勢部材57の付勢力に加えて案内板70のバネ力により、図4に示す位置に復帰させることができる。
【0039】
フック部材81は、案内板70と一体的に+Z方向に移動する。また、当接部材58(印字ユニット51)も、案内板70との当接状態を保ったまま一体的に+Z方向に移動する。そして、フック部材81が係止部材82に係止して移動が規制されることで、案内面70aとプラテン60との間隔が、所定値Aに保持される。このため、用紙Psの搬送経路が狭まる方向への変位が防止され、安定した通紙を確保しつつ、所定値Aを保持した状態での印字が可能となる。
【0040】
したがって、上述した本実施形態によれば、搬送される用紙Psを、印字ヘッド53とプラテン60との間に案内する案内板70を備えるプリンター11であって、案内板70は、プラテン60と間隔をあけて用紙Psを案内する案内面70aを有し、案内板70を、プラテン60に向けて付勢する付勢部材57と、上記間隔が所定値A以上となるように、案内板70を上記付勢に抗する方向に変位可能に保持する案内板保持機構80と、を有するという構成を採用することによって、案内板70を付勢部材57の付勢に抗して、案内面70aとプラテン60との間隔が所定値Aよりも大きくなるように変位させることで、ジャムを除去する。また、ジャム除去後には、案内板70を付勢される方向に復帰させ、案内面70aとプラテン60との間隔を、所定値Aに保持することができる。
したがって、本実施形態では、複雑な機構を要することなくジャムを除去することができる。
【0041】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0042】
例えば、上記実施形態では、ドットインパクト式の裏面印字部50において本発明を適用した場合を例示したが、インクジェット式の記録部30において本発明を適用してもよい。
【0043】
また、上記実施形態においては、記録装置がプリンター11である場合を例にして説明したが、プリンターに限られず、複写機及びファクシミリ等の装置であってもよい。
【0044】
また、記録装置としては、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする記録装置を採用してもよい。本発明は、微小量の液滴を吐出させる記録ヘッド等を備える各種の記録装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記記録装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、記録装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクが挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。また、記録装置の具体例としては、上記実施形態で説明したような用紙がロール状に巻かれたロール紙を収容体(ケース12)に備えた装置に限られない。例えば、可撓性を有する基板や金属板、あるいはプラスチックシートや布など、長尺状の記録媒体がロール状に巻かれているものを収容体に備えた装置であれば、いずれも記録装置として採用することができる。さらに、収容体に備えられた長尺状の記録媒体は、例えば葛折状になっているなどのように必ずしもロール状に巻かれていなくてもよい。
【符号の説明】
【0045】
11…プリンター(記録装置)、53…印字ヘッド(記録ヘッド)、57…付勢部材、58…当接部材、60…プラテン、70…案内板、70a…案内面、80…案内板保持機構、81…フック部材、82…係止部材、A…所定値、B…第2の所定値、Ps…用紙(記録媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送される記録媒体を、記録ヘッドとプラテンとの間に案内する案内板を備える記録装置であって、
前記案内板は、前記プラテンと間隔をあけて前記記録媒体を案内する案内面を有し、
前記案内板を、前記プラテンに向けて付勢する付勢部材と、
前記間隔が所定値以上となるように、前記案内板を前記付勢に抗する方向に変位可能に保持する案内板保持機構と、を有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記案内板保持機構は、
前記案内板の前記案内面側と逆側に一体的に設けられたフック部材と、
前記フック部材の前記付勢する方向への移動を係止して規制する係止部材と、を有することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記フック部材及び前記係止部材は、前記記録媒体の搬送方向において、前記記録ヘッドの上流側と下流側にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記付勢に抗する方向の前記案内板の変位量を、第2の所定値以下に制限する案内板変位量制限部材を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第2の所定値は、前記案内板が弾性変形可能な範囲内の変位量に設定されていることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−61804(P2012−61804A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209445(P2010−209445)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】