説明

記録装置

【課題】装置の使用環境温度が低い場合も環境温度が高い場合に合わせて電源の供給電力が制限されていたので電源の効率的な利用が妨げられていた。
【解決手段】温度センサによって記録装置の所定部位或いは環境の温度を測定し、それに応じて決められた閾値と1走査によって記録される領域の記録に用いられる記録素子の駆動回数とを比較し、適切な記録モードを選択する。これにより、記録装置の周囲温度が低い時はより大きな電力を記録ヘッドに供給できるようになるため、電源の効率を向上させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は記録装置に関し、特に、装置の限られた電源容量を効率的に利用するインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気熱変換素子(ヒータ)を記録素子として用いた記録ヘッドからインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置(以下、記録装置)では、画像データに応じて記録素子を加熱し、インクを吐出させて記録用紙上に画像を形成する。近年の記録装置では、記録時間の短縮化の要求に応えて、これら記録素子の数を増加させ、かつ、高密度に実装した大型の記録ヘッドが採用される傾向にある。そのため、記録ヘッドの消費電力は増加傾向にあり、さらに記録ヘッドを搭載するキャリッジの速度の増加にもあわせて、記録装置に容量の大きな電源を搭載する必要がでてきている。
【0003】
一方、記録画像や記録モードによって記録ヘッドの負荷は大きく変化する。例えば、同じ記録モードでも濃度の低い画像と濃度の高い画像では、記録ヘッドの記録素子を駆動する回数や周波数が異なるので、記録ヘッドの負荷も変化する。また、同じ記録画像でもキャリッジ速度が速い場合と遅い場合では記録ヘッドの負荷は変化するし、マルチパス記録を行う場合には、そのパス数によっても記録ヘッドの負荷は大きく変化する。このような変化を考慮し、考え得る最大の電力負荷にあわせて電源を設計すると、非常に大型で高価な電源となってしまう。
【0004】
このため、このような電源の大型化、高価格化を避けるため、電力負荷を一定量に抑えるような記録動作制御を記録装置で実行させ、その電力負荷にあわせた電源設計をするという場合がある。
【0005】
記録動作の制御により電力負荷を制限するために、記録ヘッドにおける記録素子の駆動回数をその走査領域の一部分の領域の大きさに関連させて検出し、記録素子の駆動回数が所定値よりも大きい場合はキャリッジ速度を減速したり、分割記録を行う方法がある。これにより、記録素子の駆動を制御するのである(例えば、特許文献1〜6参照)。この制御はパワーモニタ制御とも呼ばれており、電力負荷と比例関係にある記録素子の駆動回数を記録前に検出し、その回数が電源の供給可能電力を超える場合には記録素子の駆動を制御することで負荷を減らすのである。このような制御は記録ヘッドの負荷が電源の供給可能電力を超える可能性がある場合にのみ記録速度を極端に落とすことなくその負荷を低減することができるため、電源のコスト削減には有効な方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平4−115950号公報
【特許文献2】特公平6−047290号公報
【特許文献3】特開2005−224955号公報
【特許文献4】特開2006−007759号公報
【特許文献5】特許第3179674号公報
【特許文献6】特許第3376118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、一般的に電源の供給可能電力は、その電源に搭載される部品の温度定格にも関係しており、定格電力を供給し続けたときに電源に搭載されている部品の温度がそれぞれの温度定格を超えないように設計される。一方、記録装置の動作保証温度範囲内では、装置は正常に動作する必要があるため、動作保証温度範囲の中で最も温度の高い状態を想定して電源を設計する必要がある。部品温度は電源の電力負荷に比例するため、電源の周囲温度が低い場合は部品温度が温度定格に達する為の電力負荷は、周囲温度が高い場合に比べて大きくなる。
【0008】
しかしながら上記従来例では、記録ヘッドに対する負荷制限のためにどんな環境温度においても固定の閾値を用いていたため、周囲温度が低い場合でも大きな電力を出力させることができなかった。より大きな電力が供給可能であれば、単位時間当たりの記録ヘッドの電力負荷を上げられることになり、結果としてパワーモニタ制御によって駆動制御される回数を減らし、記録速度の向上が見込まれる。
【0009】
本発明は上記従来例に鑑みてなされたもので、装置の使用環境温度に合わせて電源の性能を十分に発揮させることが可能な記録装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために本発明の記録装置は、次のような構成からなる。
【0011】
即ち、記録装置であって、複数の記録素子が配列された記録ヘッドと、記録媒体に記録を行うために、前記記録媒体に対して前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、前記記録ヘッドにより記録を行うための記録データをホストより受信する受信手段と、前記記録装置の予め定められた部品の温度、或いは、前記記録装置の環境温度を測定する温度センサと、単位時間当たりの記録ヘッドの消費電力が異なる複数の記録モードそれぞれにおいて、温度範囲の区分別に前記複数の記録素子を駆動可能な回数を閾値として格納する格納手段と、前記複数の記録モードから予め選択された記録モードで記録を行う場合に、前記走査手段の1走査当たりの前記複数の記録素子の駆動回数を前記受信手段により受信された1走査分の記録データに基づいて算出する算出手段と、前記算出手段により算出された前記複数の記録素子の駆動回数が、前記温度センサによって測定された温度と前記予め選択された記録モードとに基づいて前記格納手段から選択された前記閾値以下であるなら、前記予め選択された記録モードにおいて、前記1走査分の記録データを1回の走査で記録を行うよう前記記録ヘッドを駆動し、前記算出手段によって算出された前記複数の記録素子の駆動回数が、前記閾値より大きいなら、前記1走査分の記録データを複数回の走査で記録を行うよう前記記録ヘッドを駆動する駆動制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また本発明を別の側面から見れば、記録装置であって、複数の記録素子が配列された記録ヘッドと、前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、前記記録装置の予め定められた部品の温度、或いは、前記記録装置の環境温度を測定する温度センサと、単位時間当たりの最大消費電力が異なるモードを有する複数の記録モードそれぞれにおいて、前記温度センサによって測定された温度範囲の区分ごとに前記複数の記録素子を駆動可能な回数を閾値として格納する格納手段と、記録データと、前記複数の記録モードのうち記録モードを指定する情報を入力する入力手段と、前記入力手段により入力された記録データの1走査分の記録データごとに、前記記録ヘッドの1走査当たりの前記複数の記録素子の駆動回数を取得する取得手段と、前記温度センサによって測定された温度と前記予め選択された記録モードとに基づいて選択された閾値と、前記取得手段によって取得された駆動回数とに基づいて、前記1走査分の記録データを1回の走査で記録するか、或いは、前記1走査分の記録データを複数回の走査に分けて走査で記録するかを決定する決定手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
従って本発明によれば、周囲温度によって変化する電源の供給可能電力にあわせて記録ヘッドの負荷を変化させるため、装置の電源を効率的に利用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の電源系統を示すブロック図である。
【図3】図1に示した記録装置の制御構成を示すブロック図である。
【図4】記録ヘッドの駆動電力制御処理を示すフローチャートである。
【図5】消費電力と電源素子の温度変化を表す図である。
【図6】環境温度とパワーモニタ閾値の関係を表す図である。
【図7】ドットカウント領域を説明するための図である。
【図8】時間経過による部品の温度上昇を表す図である。
【図9】図4のS410の詳細な処理を示すフローチャートである。
【図10】他の形態の記録装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下添付図面を参照して本発明の好適な実施例について、さらに具体的かつ詳細に説明する。
【0016】
なお、この明細書において、「記録」(「プリント」という場合もある)とは、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わない。また人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加工を行う場合も表すものとする。
【0017】
また、「記録媒体」とは、一般的な記録装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プラスチック・フィルム、金属板、ガラス、セラミックス、木材、皮革等、インクを受容可能なものも表すものとする。
【0018】
さらに、「インク」(「液体」と言う場合もある)とは、上記「記録(プリント)」の定義と同様広く解釈されるべきものである。従って、記録媒体上に付与されることによって、画像、模様、パターン等の形成または記録媒体の加工、或いはインクの処理(例えば記録媒体に付与されるインク中の色剤の凝固または不溶化)に供され得る液体を表すものとする。
【0019】
またさらに、「記録要素」とは、特にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路およびインク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子を総括して言うものとする。
【0020】
特に、この実施例では、インク吐出に利用されるエネルギーを発生する素子として電気熱変換素子(ヒータ)を用い、このヒータに通電することにより、熱を発生させ、その熱によって吐出口付近に発生する泡の発泡力によりインクを吐出する。
【0021】
図1は本発明の代表的な実施例であるインクジェット記録装置(以下、記録装置)1の概略構成を示す斜視図である。
【0022】
図1に示すように、キャリッジ101は記録素子(ヒータ)を複数配列したインクジェット記録ヘッド(以下、記録ヘッド)102を搭載しており、搬送ベルト103を介してキャリッジモータ(CRモータ)104と接続される。そして、CRモータ104の回転によりシャフト105上をX軸方向に往復走査する。キャリッジ101が記録用紙のような記録媒体106上を通過する際、ヒータの加熱により記録ヘッド102にキャリッジ101の走査方向(主走査方向)と直交する方向に複数配列されたノズルからインク滴が吐出される。記録データに対応したタイミングでこれらインク滴の吐出が行われ、記録媒体106に画像が形成される。
【0023】
記録媒体106はラインフィードローラ(LFローラ)107とピンチローラ108とでニップされており、LFローラ107に接続されたLFモータ109の回転によりプラテン110上を主走査方向と直交する方向(副走査方向)に搬送される。プラテン110には複数の穴が開けられており、この穴からプラテン吸引ファン(不図示)の回転により空気が吸引され、プラテン110上の記録媒体106を吸着する。これにより記録動作中の記録媒体106の浮きが制御される。
【0024】
図2は図1に示す記録装置1の電源系統を示すブロック図である。
【0025】
内蔵電源201はスイッチング方式の直流安定化電源であり、3種類の直流電圧を出力可能に設計されている。
【0026】
内蔵電源201が供給する電圧はヘッド駆動用電圧(VH)、ロジック回路用電圧(Vcc)、アクチュエータ駆動用電圧(VA)である。ヘッド駆動用電圧(VH)は、キャリッジ101と記録装置の本体部とを接続するフレキシブルケーブルを通してキャリッジ基板202へ送られ、キャリッジ基板202に接続された記録ヘッド102に供給される。ヘッド駆動用電圧(VH)は記録ヘッド102の近辺でその電圧をモニタし、フィードバック制御することでフレキシブルケーブル等の抵抗による電圧降下を押さえ、安定した電圧レベルを保つ事が可能となっている。
【0027】
ロジック回路用電圧(Vcc)は、メイン基板203上のロジック回路204を駆動するためのものである。ロジック回路用電圧(Vcc)は、メイン基板203上においてDC/DCコンバータやレギュレータなどによって複数の電圧へ変換され、CPUやメモリ等各部へ供給される。
【0028】
アクチュエータ駆動用電圧(VA)は、記録動作に必要なモータやファン等を駆動するためのものであり、メイン基板203を介してそれぞれのアクチュエータに供給される。アクチュエータとしては前述したようにCRモータ104やLFモータ109、プラテンファン205等が挙げられる。これらのアクチュエータ各部に対してもそれぞれの駆動電圧に合わせてメイン基板203上で電圧が変換され、供給される。
【0029】
内蔵電源201の電源容量は記録時のアクチュエータや記録ヘッド102、ロジック回路等の消費電力から決められる。しかし、記録ヘッド102の負荷は記録モードや記録データによって大きく変動するため、その最大負荷にあわせて内蔵電源201の電力容量を決定していたのでは内蔵電源201の大型化と高価格化を招いてしまう。そのため、記録装置の用途等から決められた目標の記録時間を達成するのに十分な容量を求め、その容量に基づいて内蔵電源201を設計するのが一般的である。
【0030】
内蔵電源201の電源回路を構成する電子部品には負荷の大きさによって温度の上昇するものが含まれる。これらの部品は、記録装置の使用環境温度範囲内において、内蔵電源201に定格容量と同等の負荷が与えられたときにそれぞれの温度定格を超えないようにする必要があるため、放熱対策が行われる場合がある。放熱対策としては主にヒートシンク等を部品毎に取り付けることが一般的であるが、加えてファン等によって熱を散逸させる方法も用いられる。過度な放熱対策はコストの上昇を招くため、これらの対策も使用環境温度範囲と内蔵電源201の定格容量から最適化される。
【0031】
図3は図1に示す記録装置1の制御構成を示すブロック図である。
【0032】
図3において、操作部301は種々のキーとLCDとLEDランプとを含み、ユーザからのキー操作を受付けたり、LCDに情報を表示し、LEDランプにより装置状態を示すためのものである。インタフェース302はUSBやLANの規格に準拠したものでありホストコンピュータ(以下、ホスト)2からの印刷ジョブを受信したり、ホストに記録装置の状態を送信するためのものである。SDRAM303はプログラムや記録データを一時的に保持し、フラッシュROM304はファームデータやマスクデータなどの他に、パワーモニタ制御に用いられる閾値データを格納する。EEPROM305は記録装置の種々の設定値やプリント枚数などの履歴情報を保持する。CPU306は記録データの画像処理や吐出データへの変換処理を行うほか、記録ヘッド102のインク吐出回数をカウントするドットカウント処理、ドットカウント値と閾値とを比較し、駆動制御方法を決定するパワーモニタ制御などを行う。入出力部(I/O)307は記録装置に備えられた各種アクチュエータの制御やセンサ状態の検知を行うための信号の入出力ポートを備えている。温度センサ308は記録装置の周囲温度を測定するためのもので、I/O307を介して温度を測定する事ができる。アクチュエータ駆動回路309はI/O307からの制御信号を受けて各種アクチュエータを駆動させる。
【0033】
次に、上記構成の記録装置において実行される記録制御について図面を参照しながら2つの実施例を説明する。
【実施例1】
【0034】
図4は実施例1に従う記録制御の処理を示すフローチャートである。
【0035】
ステップS401〜S402では、記録装置はユーザの操作部301の操作によって電源が投入された後、記録データ待機状態または省電力状態でホストから印刷ジョブ(記録データ)が送られてくるのを待ち合わせる。印刷ジョブには、記録データの他に記録モードを指定する情報が含まれている。この記録モードは、用紙の種類毎に、画質優先モード、速度優先モード、標準モードが用意されている。ステップS402においてホストから記録データが送信され入力されるのを確認すると、処理はステップS403に進み、記録時の制御を決めるために本体内に取り付けられた温度センサ308で記録装置の周囲温度を測定する。
【0036】
周囲温度の測定後、ステップS404では、フラッシュROM304からパワーモニタ閾値Dthの読み出しと設定を行う。フラッシュROM304に格納されているパワーモニタ閾値Dthは、記録モードと環境温度の組み合わせ毎に設定されており、環境温度の間隔は10℃から35℃まで5℃間隔の7段階に分かれている。また、記録モードは、解像度が1200×600dpi、1200×1200dpi、1200×2400dpiの3種類、記録パス数が1、2、4、8、16パスの5種類、キャリッジ速度が25、30、40、50インチ/秒の4種類の組み合わせからなる。この組み合わせによって、記録媒体の種類毎に上述した複数の記録モードを実行することができる。
【0037】
このように記録装置は、たとえ記録データが同じであったとしても、単位時間当たりの記録ヘッドの消費電力が異なる複数の記録モードから選択された記録モードで記録を行うことができる。補足すると、たとえ記録データが同じであったとしても、記録モードによって単位時間当たりの記録ヘッドの最大消費電力が異なる。複数の記録モードは、記録ヘッドの1回の走査記録で走査される領域全体の記録を完了するシングルパス記録、その同じ領域を複数の走査記録で記録を完了するマルチパス記録、キャリッジ速度の高速な高速記録、キャリッジ速度の低速な通常記録などを含む。加えて、ホストから送信される記録データの解像度に従った高解像度記録、中解像度記録、低解像度記録などを含む。従って、各記録モードはこれらの記録の組み合わせから定められる記録であり、各モードにより記録ヘッドの単位時間当たりの消費電力が異なる。
【0038】
例えば、環境温度が24℃、1200×600dpi、1パス、50インチ/秒の記録モードの場合には、その記録モードで20℃〜25℃の温度領域に記録されているパワーモニタ閾値Dthが参照される。
【0039】
パワーモニタ閾値Dthは、キャリッジ101の1回の走査において記録ヘッド102の全てのヒータの総駆動回数(ドットカウント)と比較する為の閾値である。この閾値は以下の手順によって決められる。まず記録装置の周囲温度を管理した状態で記録装置に搭載された内蔵電源201に一定の負荷を与え、そのときの内蔵電源201に搭載された電子部品の温度変化を監視する。内蔵電源201において昇温しやすい電子部品としてはスイッチング用のトランジスタであるFET(電界効果トランジスタ)や整流ダイオードなどが挙げられる。内蔵電源201の負荷と部品温度の上昇量の関係から負荷を上昇させたときに最初に温度定格を超える可能性のある部品とそのときの内蔵電源201の出力電力量を求める事ができる。
【0040】
図5は内蔵電源201の負荷と内蔵電源201に搭載されている部品の温度の関係を周囲温度別に簡略的に示す図である。
【0041】
図5に示すように、部品温度は周囲温度がオフセットされた状態で温度上昇するため、周囲温度が高い場合は周囲温度が低い場合よりも低い電力負荷で温度定格に達することになる。このような内蔵電源201の出力電力と部品温度の関係を、記録装置の周囲温度別、例えば、5℃間隔で測定する。このようにして記録装置の周囲温度別に内蔵電源201に搭載される部品温度が温度定格に達するための電力負荷を求める事ができる。つまり、この電力負荷より低い値までなら、内蔵電源201は電力を出力することが可能であることを意味する。こうして求められた周囲温度毎の出力可能電力量から、動作時に消費されるヘッド電源以外の電源系統の消費電力量を差し引いた値がヘッド電源で使用可能な電力となる。ヘッド電源以外の電源系統の消費電力は、記録モード別にほぼ固定値として設定できるため、内蔵電源201の出力可能電力量からそれぞれの記録モードにおけるヘッド電源以外の電源系統の消費電力を差し引き、残りの電力量を求める。
【0042】
周囲温度と記録モード別に記録ヘッドで消費可能な電力量が求められると、1走査当たりにヒータが駆動可能な回数の算出を行うことができる。キャリッジ101の1回の走査の中には、記録期間と非記録期間が含まれる。記録期間はキャリッジ101が記録媒体106に向けてインク滴を吐出させることが可能な期間のことである。一方、非記録期間はキャリッジ101が加速や減速、走査方向の反転を行うといった記録媒体106に向けてインク滴を吐出させない期間のことである。それぞれの期間の長さはキャリッジ速度や記録媒体106の幅によって変化する。記録媒体106の幅はその記録装置が記録可能な最大幅とすると、キャリッジ速度別に記録期間と非記録期間を求める事ができる。ある記録モード、記録装置の周囲温度での記録ヘッド102の平均の消費可能電力をPt、記録期間をT1、非記録期間をT2、記録ヘッド102の記録期間中の消費電力をPoとすると、以下の計算式によって記録期間中の消費電力Poを求めることができる。即ち、
Po = Pt×(T1+T2)/T1
である。
【0043】
これによって求められた記録期間中の消費電力Poをヒータ1個が1回の駆動で消費する電力で除算することによって、記録期間中にヒータが駆動可能な回数を求められる。この値がキャリッジ101の1回の走査でヒータが駆動可能な回数となる。このようにして記録モード、記録装置の周囲温度別に1回の走査によってヒータが駆動可能な回数が求められると、この値がパワーモニタ閾値Dthとして記録装置のフラッシュROM304に格納される。
【0044】
図6は1つの記録モードにおける環境温度に対するパワーモニタ閾値Dthの変化を示した図である。図6に示すように、環境温度が高くなるとパワーモニタ閾値Dthの値は低くなる。この実施例では環境温度を5℃間隔で区分しているため、図6に示す様な階段状となっているが、フラッシュROM304の容量に応じてこの間隔を大きくすることも短くすることもできる。温度間隔を狭くすればより小さな単位の区分別に記録ヘッド102の負荷制御を行うことが可能であるが、フラッシュROM304はより大きな容量を必要とする。温度間隔を広くすればフラッシュROM304を少ない容量に押さえることができるが、記録ヘッド102の負荷制御の精度は粗くなる。この点は要求される負荷精度との間のトレードオフで決められるものである。
【0045】
フラッシュROM304に格納されているパワーモニタ閾値Dthは、記録媒体106の幅がその記録装置に給紙可能な最大サイズの場合を想定した値となっている。そのため、記録装置にセットされる記録媒体106の幅がそれよりも小さい場合はその幅に合わせてパワーモニタ閾値Dthを再計算する。
【0046】
図4に戻って説明を続けると、記録媒体106の幅に合わせたパワーモニタ閾値Dthが設定されると、ステップS405ではホストからキャリッジ101の1走査分の記録データが送信されるのを待ち合わせる。送信されてきた記録データはCPU306で画像処理され、記録ヘッド102のヒータを駆動させるためのデータに変換された後、SDRAM303に蓄積される。
【0047】
処理はステップS406において、1走査分の記録データがSDRAM303に蓄積されるのを確認する。そして、1走査分の記録データが蓄積されたなら、処理はステップS407に進み、CPU306はその走査で実行されるヒータの総駆動回数(ドットカウント)を計算し取得する。
【0048】
図7は1パス(シングルパス)記録モード時のドットカウントの計算を行う領域を示す図である。図7の斜線領域700は1パス記録済の領域を示す。
【0049】
キャリッジ101が1走査することによって記録される記録媒体106上の領域701において、記録ヘッド102の各ヒータが駆動される回数を加算することでドットカウントを得ることができる。例えば、記録解像度1200×2400dpiで記録領域の幅が25.4mm×900mmの1パス記録モードの場合、ドットカウントは最大で約1.0×108となる。2パス記録モード(同じ領域を2回のキャリッジ走査で記録するモード)ではドットカウントは最大でも5.0×107となる。
【0050】
ドットカウント算出後、処理はステップS408において設定されたパワーモニタ閾値Dthとの比較を行い、その結果に基づいて、ステップS409では、その領域を記録するための記録モードを決定する。1パス記録モードの設定で記録デューティ(記録領域に対して実際に記録した領域の比率)が80%である場合、25.4mm×900mmの領域のドットカウントは8.2×107となる。環境温度が24℃であったとき、パワーモニタ閾値Dthは7.3×107となるのでドットカウントはパワーモニタ閾値Dthを超えていることになる。
【0051】
指定された記録モード(1パス記録モード)において、1走査分のドットカウントがパワーモニタ閾値Dthを超えている場合、キャリッジ101の1回の走査において使用するヒータの数を減らすための、1走査分のデータを分割することが決定される。
【0052】
記録時間を遅くする方法としては、キャリッジ101の1回の走査において使用するヒータの数を1/2とし、2回の走査によって本来の1回分の領域を記録する方法がある。また、別の方法としては、キャリッジ走査速度を1段階遅くさせ、単位時間当たりのヒータ駆動回数を減らして記録するといった方法もある。また、これらの方法を組み合わせて単位時間当たりのヒータの駆動回数を減らしても良い。但し、単位時間当たりのヒータ駆動回数を極端に減らす記録モードを選択すると、記録時間が遅くなってしまうため、できるだけ記録時間が遅くならないような記録モードを次の候補として選択することが望ましい。
【0053】
ここでは、1回の走査において使用するヒータの数を減らして、キャリッジ101の走査回数を増やす方法を例に説明する。1回のキャリッジ走査ではパワーモニタ閾値Dthを超える場合、1回のキャリッジ走査で使用するヒータの数を2つに分割し、2回のキャリッジ走査で領域701を記録するモードを選択する。つまり、1走査分の記録データの記録を行うために、走査回数を1回増加させる。この分割方法は、ノズル列の上半分、下半分といった分け方でも良いし、ランダムに分割する方法でも良い。なお、この2回のキャリッジ走査の間は、記録媒体106の搬送は行わない。
【0054】
このようにして分けられた走査の、1回分の走査におけるドットカウントを再計算し、再計算されたドットカウント値をパワーモニタ閾値Dthと比較する。初期の記録モードでのドットカウント8.2×107に対し、2回の走査に分割した場合の1回当たりの走査のドットカウントは約4.1×107となる。従って、再計算されたドットカウント値はパワーモニタ閾値Dthよりも小さな値となり、記録が可能となる。さらにその記録モードでもドットカウントが閾値Dthよりも大きい場合は、1回のキャリッジ走査で使用するヒータの数を4つに分割し、4回のキャリッジ走査で領域701を記録するモードを選択する。つまり、走査回数を3回増加させる。この4回のキャリッジ走査の間は、記録媒体106の搬送は行わない。
【0055】
計算されたドットカウントがパワーモニタ閾値Dth以下と判断した場合、ステップS409ではその記録モードで記録を行うことを決定し、ステップS410では本来1回のキャリッジ走査によって記録する領域をその決定された記録モードにより記録する。
【0056】
図9は、ステップS410の詳細な処理を示すフローチャートである。ステップS901では決定された記録モードを判定する。分割記録を行わない場合(即ち、シングルパス走査記録)には、処理はステップS902へ進む。2回に分割して記録を行う場合には、処理はステップS903へ進む。この場合、記録データは2つに分割され、ステップS903とステップS904で夫々、1パス目の走査記録と2パス目の走査記録を実行する。4回に分割して記録を行う場合には、処理はステップS905へ進む。この場合、記録データは4つに分割され、ステップS905〜S908で夫々、1パス目、2パス目、3パス目、4パス目の走査記録を実行する。このようにして、1回の走査で使用されるヒータの数が減ると、記録時の単位時間当たりのヒータ駆動回数も減るので、結果的に記録ヘッド102の消費電力が低減されることになる。従って、1パス記録モードが指定されている状態で、温度の高低、1走査分の記録データの多少により、1パス記録か複数パス記録の選択が、記録モードに対応した1走査分のデータ単位で行われる。この制御は、他の記録モードでも同様に行われる。
【0057】
ここでは記録ヘッドの消費電力を削減するために使用ヒータを分割する例について説明したが、キャリッジ速度を低下させても同じように単位時間当たりのヒータ駆動回数が減るので、結果的に記録ヘッド102の消費電力を低減させることができる。この場合は、記録モードを切り替える毎にそれに対応したパワーモニタ閾値を参照することになる。
【0058】
所定の領域の記録が終了すると、次の記録領域のドットカウントを行うことになるが、ステップS411では記録媒体1ページ全ての記録が終了したかどうかを判断する。そして、全ての記録が終了したと判断された場合は処理を終了させ、そうでなければ処理は、ステップS412に進み、記録モードに対応した搬送量の搬送動作を行う。その後、処理はステップS405に戻り、次の走査のために記録データを待ち合わせる。
【0059】
上述のように、従来のパワーモニタ制御では、固定的な閾値を用いていたので周囲温度に関係なく記録ヘッド102の負荷を閾値以下となるように制御していた。このため、記録デューティが高く、キャリッジ走査回数の少ない高速モードでの記録の場合はパワーモニタ制御によってキャリッジの走査回数が増やされ、結果として記録時間が長くなる。これに対して、以上説明した実施例に従う制御では、記録装置の周囲温度が低い場合には、周囲温度が高い場合のパワーモニタ閾値Dthよりも大きな値のパワーモニタ閾値Dthが参照される。これによって記録動作を遅くする原因となるパワーモニタ制御が実行される機会がすくなくなるため、記録デューディの高い画像を高速で記録しようとした場合にも固定的な閾値を用いる従来のパワーモニタ制御よりも高速に記録ができる可能性がある。これは内蔵電源201の効率を向上させていることを意味する。この実施例によれば、内蔵電源201に搭載されている部品が温度定格を超えないようにパワーモニタ閾値Dthが決められているため、どのような記録データが送られてきた場合でも部品が温度定格を超えることはない。
【0060】
以上説明した実施例では記録装置の周囲温度を温度センサ308で測定し、それに対応して格納されているパワーモニタ閾値を参照し、ドットカウントとの比較を行った。しかしながら本発明はこれによって限定されるものではなく、温度センサ308を内蔵電源201が設けられた空間と同じ空間に設けても良いし、温度センサ308を温度上昇しやすい部品に取り付け、直接部品温度を測定するようにしても良い。このような構成の場合、測定温度と部品が温度定格に近づくときの温度との差からパワーモニタ閾値Dthを設定し、それを元に制御させることも可能である。このように実際に温度定格に達しやすい部品の近くに温度センサを設けることで、温度センサによる測定温度と部品温度との間に生じる温度差から生まれる誤差(またはマージン)を減らすことが可能となるため、より精度の高い閾値設定を行うことができる。
【実施例2】
【0061】
ここでは、温度センサ308を温度上昇しやすい(温度依存性の高い)部品温度を測定可能な場所(近傍或いは部品そのもの)に取り付けることによって実現できる記録制御について説明する。実施例1ではキャリッジの1走査分のドットカウント(ヒータの駆動回数)から記録ヘッド102の負荷を予測し、パワーモニタ制御を行ったが、この実施例では、複数回のキャリッジ走査のドットカウントを計算し、記録制御を行う。この場合の処理は以下のようになる。
【0062】
まず、温度センサ308によって内蔵電源201の部品温度を測定し、フラッシュROM304から記録モードとその部品温度に対応したパワーモニタの閾値Dthを参照し、設定を行う。これから記録を行う走査記録領域(A1)のドットカウントを算出後、続けてその次に走査記録を行う記録領域(A2)とさらにその次に走査記録を行う領域(A3)の記録データを受信し、それぞれの領域のドットカウントを算出する。
【0063】
次に算出された3つの走査記録領域のドットカウントの平均を求め、その値とパワーモニタ閾値Dthとを比較する。ドットカウントの平均値がパワーモニタ閾値Dthよりも低い場合は最初の記録領域(A1)を元の記録モードで記録する。この実施例では、連続した3回分のキャリッジ走査のドットカウントの平均値を求めるため、例えば、最初の記録領域(A1)のドットカウントがパワーモニタ閾値Dthよりも大きい場合でも、平均で閾値を下回っている場合はそのモードでの記録が可能となる。
【0064】
最初の走査記録領域(A1)の記録が終わると、次の走査記録領域(A2)のドットカウントとその次の記録領域(A3)、さらにその次の走査記録領域(A4)のドットカウントの平均値を求め、その値とパワーモニタ閾値Dthとを比較する。
【0065】
以上のように、この実施例では複数の記録領域(A1、A2、……、An)のドットカウントの平均値とパワーモニタ閾値Dthとを比較し、記録制御の方法を決定する。
【0066】
図8は複数回のキャリッジ走査による内蔵電源201の部品温度の上昇を記録ヘッド102の負荷別に示した図である。
【0067】
図8において、点線(a)はパワーモニタ閾値Dthに近いドットカウントの負荷が連続した場合の温度上昇を示している。また、実線(b)は走査記録領域A1ではパワーモニタ閾値Dthよりも大きな負荷、走査記録領域A2とA3ではパワーモニタ閾値Dthよりも十分小さな負荷とした場合の温度上昇を示している。
【0068】
このように、ある走査記録においてパワーモニタ閾値Dthを超える負荷があっても、その後の走査記録における負荷が十分低ければ温度上昇は負荷をパワーモニタ閾値Dth以下で保った時と同等にすることができる。
【0069】
以上説明した実施例では温度センサ308によって直接部品温度を測定しているため、記録直前の部品温度から3回のキャリッジ走査を終えた状態での部品温度を精度良く予測することが可能となる。これにより、条件によってはある走査記録においてパワーモニタ閾値を超えたドットカウントの値がカウントされても記録を行うことが可能となるため、さらに内蔵電源201の効率を高めることができるようになる。
【0070】
なお、この実施例では複数のキャリッジ走査のドットカウントの平均とパワーモニタ閾値Dthとを比較したが本発明はこれによって限定されるものではない。例えば、それぞれのキャリッジ走査に重み係数を持たせ、その重み付け合計値とパワーモニタ閾値Dthとを比較しても良い。これによって2回目、3回目の走査でのヒータ駆動が部品温度に与える影響をさらに精度良く予測することが可能となる。
【0071】
また、ドットカウントを行わせるキャリッジ101の走査回数は3回に限定するものではなく、それ以外の回数でも良い。
【0072】
図10は、記録装置1の他の構成を示すブロック図である。図10において、(a)は記録装置1が、記録部10と画像読取部(スキャナ)20を備えている構成を示す。この構成では、記録部が画像読取部(スキャナ)から印刷ジョブを受信する。また、(b)は記録装置1が、記録部10と印刷ジョブを記憶するHDD(ハードディスクドライブ)30を備えている構成を示す。この構成では、記録部がHDDから印刷ジョブを受信する。このような図10に示す構成において、例えば、図3に示すインタフェース302を画像読取部(スキャナ)20やHDD30と接続する構成にしても構わない。あるいは、専用のインタフェースを設けて画像読取部(スキャナ)20やHDD30と接続する構成にしても構わない。図10に示す構成では、記録モードの指定は操作部301で行われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録装置であって、
複数の記録素子が配列された記録ヘッドと、
記録媒体に記録を行うために、前記記録媒体に対して前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、
前記記録ヘッドにより記録を行うための記録データをホストより受信する受信手段と、
前記記録装置の予め定められた部品の温度、或いは、前記記録装置の環境温度を測定する温度センサと、
単位時間当たりの記録ヘッドの消費電力が異なる複数の記録モードそれぞれにおいて、温度範囲の区分別に前記複数の記録素子を駆動可能な回数を閾値として格納する格納手段と、
前記複数の記録モードから予め選択された記録モードで記録を行う場合に、前記走査手段の1走査当たりの前記複数の記録素子の駆動回数を前記受信手段により受信された1走査分の記録データに基づいて算出する算出手段と、
前記算出手段により算出された前記複数の記録素子の駆動回数が、前記温度センサによって測定された温度と前記予め選択された記録モードとに基づいて前記格納手段から選択された前記閾値以下であるなら、前記予め選択された記録モードにおいて、前記1走査分の記録データを1回の走査で記録を行うよう前記記録ヘッドを駆動し、前記算出手段によって算出された前記複数の記録素子の駆動回数が、前記閾値より大きいなら、前記1走査分の記録データを複数回の走査で記録を行うよう前記記録ヘッドを駆動する駆動制御手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記複数の記録モードは、マルチパス記録、シングルパス記録、前記走査手段の走査速度が高速或いは低速な記録、前記ホストから送信される記録データの解像度の組み合わせによるものであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記記録装置の各部に電力を供給する電源回路をさらに有し、
前記電源回路を構成する複数の電子部品にはそれぞれ温度定格が定められており、
前記温度センサは前記複数の電子部品の内の温度依存性の高い部品そのもの或いはその近傍に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記走査手段による各走査当たりの前記複数の記録素子の駆動回数を前記走査手段による複数回の走査についての平均値を算出することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項5】
前記格納手段に格納された閾値は、前記記録装置の予め定められた部品の温度が記録動作によって所定の温度を超えないように決められていることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記記録ヘッドはインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
記録装置であって、
複数の記録素子が配列された記録ヘッドと、
前記記録ヘッドを走査させる走査手段と、
前記記録装置の予め定められた部品の温度、或いは、前記記録装置の環境温度を測定する温度センサと、
単位時間当たりの最大消費電力が異なるモードを有する複数の記録モードそれぞれにおいて、前記温度センサによって測定された温度範囲の区分ごとに前記複数の記録素子を駆動可能な回数を閾値として格納する格納手段と、
記録データと、前記複数の記録モードのうち記録モードを指定する情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された記録データの1走査分の記録データごとに、前記記録ヘッドの1走査当たりの前記複数の記録素子の駆動回数を取得する取得手段と、
前記温度センサによって測定された温度と前記予め選択された記録モードとに基づいて選択された閾値と、前記取得手段によって取得された駆動回数とに基づいて、前記1走査分の記録データを1回の走査で記録するか、或いは、前記1走査分の記録データを複数回の走査に分けて走査で記録するかを決定する決定手段とを有することを特徴とする記録装置。
【請求項8】
前記複数の記録モードは、マルチパス記録、シングルパス記録、前記走査手段の走査速度が高速或いは低速な記録、前記ホストから送信される記録データの解像度の組み合わせによるものであることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記記録装置の各部に電力を供給する電源回路をさらに有し、
前記電源回路を構成する複数の電子部品にはそれぞれ温度定格が定められており、
前記温度センサは前記複数の電子部品の内の温度依存性の高い部品そのもの或いはその近傍に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項10】
前記取得手段は、前記走査手段による各走査当たりの前記複数の記録素子の駆動回数を取得することを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項11】
前記格納手段に格納された閾値は、前記記録装置の予め定められた部品の温度が記録動作によって所定の温度を超えないように決められていることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。
【請求項12】
前記記録ヘッドはインクを吐出して記録を行うインクジェット記録ヘッドであることを特徴とする請求項7に記載の記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−49263(P2013−49263A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−163074(P2012−163074)
【出願日】平成24年7月23日(2012.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】