設備要素を積み重ねる設備の設計支援装置、設計支援方法、およびプログラム
【課題】設備の設計において、基礎、機器、架台など、鉛直方向で相互の位置関係が定められている要素相互の関係に着目し、設計時の操作性を向上する。
【解決手段】平面図または平面図に垂直な断面上に設備要素を表示する表示手段と、入力操作を受け付けて平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集手段と、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置手段と、を備える。
【解決手段】平面図または平面図に垂直な断面上に設備要素を表示する表示手段と、入力操作を受け付けて平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集手段と、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置手段と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の設計支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CAD(computer Aided Design)のような設計支援装置によって、設備を設計
する場合、平面図と、鉛直面を含む断面図とを相互に操作しながら設計を進めることが多かった。その場合に、設備を構成する部材、機器等の鉛直方向の位置(高さ位置であり、以下、配置レベルという)は、ユーザが逐一指定する必要があった。
【0003】
例えば、機器、基礎などを配置する場合、本来は基礎の上に機器を置くことが当然であるにも拘わらず、機器、あるいは基礎の配置レベルを数値入力や断面からの座標操作で入力している。また、基礎の高さ変更、基礎と機器との間への防振架台の挿入など、設計から施工に至るまでには、設計変更、仕様変更が生じることが多い。その場合にも、従来は、逐一変更後の位置関係を指定する必要があった。
【特許文献1】特開2000−54630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、設備の設計において、基礎、機器、架台など、鉛直方向で相互の位置関係が定められている要素相互の関係に着目し、設計時の操作性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、スラブ上に形成される基礎と、基礎上に載置される防振架台と、基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を1以上組み合わせて構成される設備の設計支援装置として例示される。この設計支援装置は、平面図または平面図に垂直な断面上に設備要素を表示する表示手段と、入力操作を受け付けて平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集手段と、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置手段と、を備える。本設計支援装置によれば、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則が定義されており、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、順序関係規則記憶手段に定義された順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定することができる。したがって、ユーザは、必ずしも、平面図と断面図の両方を考慮することなく、例えば、平面図上の操作によって、断面上の配置を確定できる。
【0006】
編集手段が平面図上に表示された設備要素に対してさらに新たな設備要素を追加する指定を受け付けると、レベル配置手段は、順序関係の規則にしたがって新たな設備要素よりも上位に配置すべき設備要素を鉛直方向で新たな設備要素の厚み分だけ上方に移動し、新たな設備要素を上方に移動した設備要素の下側に挿入するようにしてもよい。したがって、ユーザは、断面上の配置位置を細かく指定することなく、平面図で新たな設備要素を挿入できる。
【0007】
編集手段は、平面図上に表示された設備要素のいずれかを削除する指定を受け付けると
、その指定を受けた設備要素を削除し、レベル配置手段は、その設備要素よりも鉛直方向で上方に配置されていた設備要素の下面位置を削除された設備要素の厚み分だけ下方に移動するようにしてもよい。したがって、ユーザは、断面上の配置状態を指定することなく、平面図で設備要素を削除し、その削除に伴って、上側に位置する設備要素を削除された設備要素の位置まで移動できる。
【0008】
レベル配置手段は、新たな設備要素の種類が、すでに配置手段によって配置されている既存設備要素のいずかと同一種類の設備要素であるときに、新たな設備要素を鉛直方向で同一種類の既存設備要素の上側に配置するようにしてもよい。すなわち、同一種類の設備要素は、指定された順に積み重ねればよい。
【0009】
新たな設備要素を追加によって上方に移動した設備要素、または、設備の削除によって下方に移動した設備要素のうち、いずれかが配管に接続されていた機器であるときに、配管に接続されていた機器の配管への接続口と、移動前にその接続口に接続されていた配管とを接続するようにしてもよい。したがって、ユーザの機器のレベルの移動に伴って、配管の接続を細かく指定する必要がなく、簡易に設計を進めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設備の設計において、基礎、機器、架台など、鉛直方向で相互の位置関係が定められている要素相互の関係に着目し、設計時の操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る設計支援装置について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成には限定されない。
【0012】
<システムの概要>
図1から図3に、本設計支援装置による処理の概念を例示する。ここでは、設計対象の設備が、スラブ、設備基礎、防振架台、機器を含む場合を例に説明する。ここで、スラブは、コンクリート面であり、床とも呼ばれる。設備基礎は、単に基礎とも呼ばれ、スラブ上で、機器を支持する台状の部材である。また、防振架台は、必要に応じて設備基礎と機器との間に配置される、防振機能を提供する架台である。
【0013】
機器には、様々なものが想定されるが、ここでは主に、流体を取り扱う床置きの機器、例えば、エアーコンプレッサ、熱交換器、ポンプ、冷凍機、冷却塔等を想定する。したがって、通常、機器には、流体が流れる配管が伴う。ただし、図1から3では、理解の容易のため、配管は省略されている。
【0014】
図1は、本設計支援装置における設計対象の設備の状況を、鉛直面を含む断面方向から示した画面(以下、断面図画面という)である。ただし、図1から図3は、設計対象の状態の変化を断面図画面によって示したものであり、本設計支援装置において、必ずしも、断面図画面に対する操作が必須というわけではない。すなわち、本設計支援装置は、鉛直方向に垂直な(鉛直方向の法線に直交する)平面方向の画面(以下、平面図画面という)、断面図画面のいずれからも操作可能である。なお、平面図画面は、単に鉛直方向の法線に直交するものだけではなく、鉛直方向に対して、特定の角度で傾きを有する法線に直交するものもあり得る。そこで、本設計支援装置は、法線が鉛直方向に対して傾いた平面を平面図画面とする機能も提供する。
【0015】
図1から3では、いずれの例も、左から右に矢印にしたがって、設計対象が変化している。例えば、図1の(A)では、当初(最も左側の状態)、スラブ、設備基礎、防振架台
、および機器によって設備が構成されていた場合を例示している。そして、最初の矢印A1の後、設備基礎の鉛直方向のサイズ(以下、厚みという)が増加された場合を示している。本設計支援装置では、設備基礎の厚みが増加されると、その変化に連動して、設備基礎の上に配置されていた防振架台、および機器の鉛直方向の位置がそのまま上方に移動する。すなわち、厚みが増加した基礎の上面に防振架台の下面が、位置付けられる。また、防振架台の上側に機器が配置される。
【0016】
また、次の矢印A2の後、設備基礎が削除されている。この場合には、設備基礎の厚みが0になった場合に相当し、スラブの上面に防振架台の下面が位置付けられる。また、防振架台の上側に機器が配置される。
【0017】
また、図1の(B)は、矢印B1、B2にしたがって、防振架台の厚みが増加し、さらに、防振架台が削除された状態を示している。同様に、図1の(C)は、矢印C1、C2にしたがって、スラブの厚みが増加し、さらに、スラブが削除された状態を示している。スラブが削除された場合は、設備基礎の下面は、FL(フロアレベル)と呼ばれる基準位置(鉛直方向の座標0に相当)の位置まで下がることになる。また、設備基礎より上側の部材もそれぞれの位置が、設備基礎の鉛直方向の位置の変更に合わせて、下方に移動することになる。
【0018】
本設計支援装置は、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器等の部材について、鉛直方向の順序関係を下から、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器と定義しておく。そして、これらの部材のいずれかが挿入、厚みの変更、削除等の処理がなされた場合、その処理に応じて、操作された部材の上側に位置する部材の高さ方向の位置(以下、単にレベルという)を変更する。
【0019】
すなわち、スラブの厚み変更によって、その上に位置する設備基礎、防振架台、および機器の鉛直方向のレベルがそれぞれ変更される。設備基礎の厚み変更によって、その上に位置する防振架台、および機器の鉛直方向のレベルがそれぞれ変更される。防振架台の厚み変更によって、その上に位置する機器の鉛直方向のレベルが変更される。
【0020】
なお、図1の処理では、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器等の部材について、鉛直方向の順序関係を固定し、それぞれの部材の挿入位置を本設計支援装置が決定した。また、それぞれの部材の挿入、厚みの変更、削除に伴ってその上の部材のレベルを変更した。その場合に、挿入、厚みの変更、削除された部材の変更に伴う上側の部材のレベル変更をするか否かをユーザに確認するようにしてもよい。そして、ユーザがレベル変更を許可した場合に、上記処理を実行してもよい。また、このような処理とともに、従来のユーザがそれぞれの部材のレベルを個々に指定する機能も、本設計支援装置では提供してもよい。
【0021】
図2は、部材の厚み変更に連動して、その部材の上側の部材のレベルが変更される他の例を示している。ここでは、例えば、設備基礎と機器との間に、元々隙間が存在した状態で、設備基礎の厚みが変更された場合を想定する。ここで、隙間は、鉛直方向に200ミリの空間である。このような構成の設備は、例えば、機器が図2に表示されていない他の部材、例えば、他の架台等に支持されているものである。また、例えば、作図中、描画過程においても、図2のような隙間が生じることがある。例えば、基準面からの高さをマニュアルで数値入力して指定し、部材を配置したときには、本設計支援装置は、マニュアル指定の高さにしたがって、部材を位置付ける。したがって、少なくとも、その部材が配置された状態では、基準面とその部材との間に、図2のような隙間が生じることがある。
【0022】
図2の(A)では、設備基礎の厚みが300ミリ増加している。すなわち、処理前に存
在していた空間の鉛直方向の寸法を越えて、下側の部材の厚みが増加した場合である。この場合には、上側の機器は、300ミリ−200ミリ=100ミリだけ上方に移動する。
【0023】
一方、図2の(B)では、設備基礎の厚みの増加は、200ミリ未満である。具体的には、マイナス100ミリで、厚みが減少している。すなわち、処理前に存在していた空間の鉛直方向の寸法を越えない範囲で、下側の部材の厚みが増加した場合である。この場合には、上側の機器は、処理前のレベルを維持する。
【0024】
図3は、部材がその下側の部材と一部接し、一部外れている場合の処理例である。この場合には、下側の部材の厚みの変更に連動して、その上側の部材のレベルが変更される。
【0025】
図4から図9は、具体的な機器に対する処理例を示す。図4は、スラブ1、設備基礎2、防振架台3、および機器4に対する操作例である。ここで、機器4は、例えば、ポンプである。機器4には、曲がりの継手T1を介して吐出側に縦管L1が接続されている。また、機器4には、吸引側にて立下がり管に接続される水平方向の配管(横引管)L2が接続されている。図4の(A)は、平面図画面の例であり、(B)は、断面図画面の例である。
【0026】
図4の平面図画面では、矢印A10の処理によって、防振架台3が選択され、その厚みが変更された場合を示している。すなわち、平面図画面にて防振架台3の厚みが設定された場合である。さらに、矢印A11の処理によって、防振架台が削除された場合を示している。本設計支援装置では、このような平面図画面上の操作によって、図4(B)のように、断面図画面内での部材の位置関係が連動して変化する。
【0027】
すなわち、平面図画面の矢印A10の処理に対応して、断面図画面の矢印B10の処理がなされ、防振架台3の厚みが増加する。この厚みの増加に伴って、機器4が上方に移動する。さらに、機器4に接続されている継手T1、縦管L1、および水平方向の配管L2等の部材も移動する。
【0028】
さらに、平面図画面での矢印A11の処理によって、防振架台3が削除されると、断面図画面でも、矢印B11のように、防振架台3が削除される。この削除に伴って、機器4が下方に移動する。さらに、機器4に接続されている継手T1、縦管L1、および水平方向の配管L2等の部材も移動する。なお、断面図画面でも同様の操作が可能であり、その場合には、断面図画面での操作が平面図画面に反映される。
【0029】
図5は、設備基礎2を変形する場合の処理例である。この例でも、設備基礎2の厚みが増加され(矢印A12、B12)、次に削除されて、防振架台3(および、その上に置かれた機器4)が床に直置きされている(矢印A12、B12)。この場合も、設備基礎2の変形に伴い、その上の防振架台3、および機器4、機器4に接続されている配管等の部材が移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0030】
図6は、スラブ1を変形する場合の処理例である。この例でも、スラブ1の厚みが増加され(矢印A14、B14)、次に削除されている(矢印A15、B15)。この場合も、スラブ1の変形に伴い、その上の設備基礎2、防振架台3、および機器4、機器4に接続されている配管等の部材が移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0031】
図7は、設備基礎2と防振架台3との間に空間があるときに設備基礎2の厚みを変形した処理例である。設備基礎2の厚みが、設備基礎2と防振架台3との間の空間を越えて変更されると、その上に位置する防振架台3および機器4、機器4に接続される配管等の部
材が移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0032】
図8は、設備基礎2の厚みが設備基礎2と防振架台3との間の空間を越えない範囲で変更された場合で機器の設置高さを変えない場合の処理例である。すなわち、図8では、設備基礎2の厚みが低減している。この場合には、設備基礎2の上に位置する防振架台3および機器4、機器4に接続される配管等の部材は移動しない。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれからでも可能である。なお、図8のように、厚みが低減する場合、あるいは、隙間を超えない範囲で厚みが増加する場合(例えば、設備基礎2の厚みが設備基礎2と防振架台3との間の空間を越えない範囲で変更された場合)であっても、隙間の上側に配置された機器を変更された基礎の高さに接するように下方に移動するにプログラムを構成してもよい。すなわち、はじめの配置ではユーザが高さ位置を指定して浮いたような構成となるが、本設計支援装置の編集手段が用いられると、浮いていた機器の下面が、隙間の下側の機器の上面に自動的にセットされ、隙間が消滅する処理としてもよい。
【0033】
図9は、設備基礎2と防振架台3とが一部で接する場合の処理例である。このような処理例としては、例えば、設置予定位置に配管等の部材が輻輳して見づらいとき、まず、配置対象の部材を見やすいスペースで作図し、作図終了後ポンプ・管・架台等の部材をセットで平行移動する処理を例示できる。この場合も、設備基礎2の変形に伴い、その上の防振架台3、および機器4、機器4に接続されている配管等の部材が下方に移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0034】
<ハードウェア構成>
図10に、本設計支援装置のハードウェア構成を例示する。この設計支援装置は、例えば、パーソナルコンピュータと、パーソナルコンピュータで実行されるコンピュータプログラムによって実現される。また、この設計支援装置は、複数のパーソナルコンピュータにサービスを提供するサーバ上のプログラムとして実現してもよい。また、本設計支援装置は、複数のコンピュータが連携して機能を提供するコンピュータシステムとして実現してもよい。例えば、1以上のデータベースサーバと、1以上のシミュレータと、1以上のウェブサーバとによって、設計支援装置を実現してもよい。
【0035】
図10は、本設計支援装置を構成するコンピュータの一例である。本設計支援装置は、CPU1と、メモリ2と、各種インターフェース3、5、7、9、11と、これらのインターフェースを通じてCPU1に接続される周辺装置とを含む。図10では、周辺装置の例として、ハードディスク4,入力装置6、表示装置8、ネットワークインターフェース10、および着脱可能記憶媒体駆動装置12が示されている。
【0036】
CPU1は、メモリ2に展開されたプログラムを実行し、設計支援装置の機能を提供する。メモリ2は、CPU1が実行可能な形式でプログラムを保持する。また、メモリ2は、CPU1が処理するデータを保持する。メモリ2は、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)等である。ただし、メモリ2として、フラッシュメモリを用いてもよい。
【0037】
ハードディスク駆動装置4は、ハードディスクにアクセスし、CPU1が処理したデータ、CPU1で実行されるプログラム等を記憶する。入力装置6は、例えば、キーボード等の文字入力装置、マウス等のポインティングデバイスなどである。表示装置8は、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等である。
【0038】
ネットワークインターフェース10は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)基板である。着脱可能媒体駆動装置12は、例えば、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリカード等の駆動装置である。なお、CPU1で実行されるプログラムは、通常、
ネットワークインターフェース10、あるいは、着脱可能記憶媒体駆動装置12を通じて、ハードディスクに保存され、メモリ2に展開される。
【0039】
<機能ブロック>
図11に、本設計支援装置の機能ブロック図を例示する。図11のように、本設計支援装置の機能ブロックは、表示装置8および入力装置6を制御し、設計支援装置の機能を提供する制御部20によって実現される。制御部20は、例えば、図10に示したCPU1、メモリ2等の構成と、図10のメモリ2に展開され、CPU1で実行されるコンピュータプログラムとによって実現される。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能で、コンピュータから着脱可能な記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールするようにしてもよい。また、ネットワーク上のサーバからコンピュータにダウンロードし、インストールするようにしてよい。また、プログラム自体は、ネットワーク上のサーバにインストールしておき、プログラムの機能だけをコンピュータを利用するユーザに提供してもよい。
【0040】
図11のように、本設計支援装置の制御部20は、表示制御手段21、入力手段22、順序関係規則記憶手段23、編集手段24、レベル配置手段25、接続手段26を有する。図11は、これらの要素の連携関係を示す図であって、必ずしも親子関係、あるいは、上位概念と下位概念との関係を示すわけではない。
【0041】
このうち、表示制御手段21は、CPU1からの指令にしたがって、CPU1が処理した情報を表示装置8に表示する。表示制御手段21は、例えば、部材を表す図形要素を位置関係にしたがって配置することによって平面図または平面図に垂直な断面上に設備を表示する。
【0042】
また、入力手段22は、入力装置6に対するユーザ操作を検知し、CPU1に伝達する。入力手段22は、例えば、画面上で要素の挿入、変更、削除等の指定を受け付ける。編集手段24は、その操作を受け付けて、平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する。表示装置8、入力装置6、表示制御手段21、および入力手段22は、例えば、画面上のGUI(グラフィックスユーザインターフェース)部品の表示と、GUI部品に対する操作を検知し、ユーザインターフェースを構成する。
【0043】
順序関係規則記憶手段23は、設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則を記憶する。順序関係規則記憶手段23は、ハードディスク駆動装置4にてアクセスされるハードディスク、あるいは、着脱可能記憶媒体駆動装置12にてアクセスされる記憶媒体、例えば、DVD、MO等に格納される。
【0044】
レベル配置手段25は、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定する。なお、その場合に、複数階層に渡って同一種類の部材を配置する場合があり得る。例えば、共通基礎の上に、さらに、機器ごとの基礎を複数置いた上で、それぞれの基礎上に複数の機器を置く場合である。その場合、基本的な処理としては、最初の部材は、上記順序関係の規則にしたがって位置(断面内の高さ方向の順序で定まる位置)に配置される。そして、2つ目以降の同一種類の部材は、最初に置かれた部材の上に積み重ねられることになる。ただし、マニュアル操作で、それぞれの部材の高さを指定することも可能である。
【0045】
接続手段26は、新たな設備要素の追加によって上方に移動した設備要素、または、設備の削除によって下方に移動した設備要素のうち、いずれかが配管に接続されていた機器であるときに、配管に接続されていた機器の配管への接続口と、移動前にその接続口に接
続されていた配管とを接続する。
【0046】
<データ構造>
図12から図16に、本設計支援装置が処理する主要なデータの構造を示す。これらのデータ構造で示す情報はメモリ2またはハードディスク上のファイルに格納される。
【0047】
図12は、節点情報ファイルのデータ構造例を示す図である。節点情報ファイルは、配管の経路を記録するファイルである。節点情報ファイルは、節点識別情報と、位置(座標X、座標Y、座標Z)、向き、および属性を有する。節点識別情報は、節点を個々に識別する識別情報である。位置は、座標X、座標Y、および座標Zを含む。座標X、座標Y、および座標Zは、節点の座標である。向きは、その節点における管路の方向、すなわち、その節点に配置される部材の接続方向を示す単位ベクトルの成分である。例えば、機器の接続口については、接続口につながる管路の方向を示す。また、例えば、曲がりのある継手については、例えば、上流側の管路の方向である。また、分岐継手については、分岐側ではなく、主管路の方向を示す。さらに、属性は、節点の属性であり、例えば、接続口、バルブ、45度継手、90度継手、45度の整数倍の角度以外の角度で経路を替える継手(任意角継手という)等が設定される。
【0048】
図13に、節点定義ファイルのデータ構造を例示する。節点定義ファイルは、節点識別情報と、その節点識別情報で指定される節点の座標を定義したファイルである。節点定義ファイルの1レコードに1節点が定義される。図13では、表の1行が1レコードに相当する。また、図13の節点定義ファイルで定義されている節点の節点識別情報が、図14に示すルート情報の節点識別情報に使用される。
【0049】
図14に、配管の経路を記述するルート情報のデータ構造例を示す。ルート情報は、単一のデータファイルに、ルート情報を格納してもよいし、個々の接点ごとに異なるファイルに情報を格納し、複数のファイルの集合によってルート情報を構成してもよい。
【0050】
ルート情報は、節点と節点との接続関係を示すリスト構造200と、先頭節点へのポインタを示す先頭指示情報201とで構成される。先頭指示情報201は、ルート識別情報と、先頭節点へのポインタとを含む。ルート識別情報は、個々の経路をユニークに識別する情報である。
【0051】
先頭節点へのポインタは、先頭の節点の要素情報202を指す情報であり、例えば、先頭節点の情報を有する要素情報202のアドレスである。また、要素情報202は、次の節点へのポインタ、上流へのポインタ、枝分かれ節点へのポインタ、および節点識別情報を含む。
【0052】
このうち、次の節点へのポインタは、当該節点に隣接する次の節点の要素情報を指すポインタである。また、上流へのポインタは、リスト構造をさかのぼる方向、すなわち、逆方向へのポインタである。また、枝分かれ節点へのポインタは、当該節点が分岐しているときに、分岐経路の先頭を示すポインタである。また、節点識別情報は、図13の節点定義ファイルで定義された節点の識別情報である。この節点識別情報をキーに節点情報ファイルを検索することで、当該節点の属性を読み出すことができる。
【0053】
本設計支援装置は、機器のレベル変更前後の配管接続処理ため、このようなデータ構造で定義される配管のルートを検索する。例えば、機器の接続口から所定の距離の範囲に縦管がある場合には、縦管の伸縮によって機器のレベル変更処理による配管の経路変更を吸収する。
【0054】
図15に、レベル順定義テーブル(本発明の順序関係規則記憶手段に相当)のデータ構造例1を示す。レベル順定義テーブルは、要素間のレベル順を定義したテーブルである。レベル順定義テーブルは、レベル順序番号と、レベル要素識別番号とを組み合わせたレコードの集まりである。レベル順序番号は、FLから情報に向かうレベルの順序を指定する。すなわち、1、2、3、4の順に、FLから上方に順序付けられる。つまり、本実施形態では、レベル順序番号の数字が小さいほど、階層構造の下側に配置される。なお、各部材の高さ、厚みの情報はユーザ入力により、機器・架台等を含めた部材属性データベース(本実施形態では図示しない)に記憶される。レベル要素識別番号は、それぞれのレベル順に対する要素の種類を指定する。要素の種類は、例えば、スラブ(レベル要素識別番号1)、設備基礎(レベル要素識別番号2)、防振架台(レベル要素識別番号3)、機器(レベル要素識別番号4)等である。したがって、本実施形態では、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器を平面図上に配置した場合、断面上では、スラブが最下層に配置され、その上に設備基礎が置かれ、その上に防振架台が置かれ、その上に機器が置かれることになる。また、同一種類の要素が2以上、鉛直方向に重なって配置された場合、それらの要素は重ねて、すなわち、互いに隣合うレベルに配置される。その場合に、後から配置された要素が、先に配置されていた要素の上に配置される。
【0055】
表示装置8の画面に表示されるそれぞれの要素のグラフィックオブジェクトには、このレベル要素識別番号が関連づけされている。したがって、平面図画面または断面図画面上で、ユーザが、入力装置6のポインティングデバイス等によって、グラフィックオブジェクトを選択、あるいは操作すると、本設計支援装置は、そのグラフィックオブジェクトに関連づけされたレベル要素識別番号を取得する。そして、本設計支援装置は、レベル順定義テーブルを参照し、そのグラフィックオブジェクトに相当する要素のレベル順序番号を決定する。
【実施例】
【0056】
図16Aに、本設計支援装置が実行する平面図画面処理のフローチャートを例示する。この処理では、本設計支援装置は、ユーザ操作がなされるか否かを監視している(S1)。ユーザ操作を検出すると、本設計支援装置は、その操作が新たな要素の挿入であるか否かを判定する(S2)。新たな要素の挿入とは、平面図画面で、新たな要素に相当するグラフィックオブジェクトが配置された場合をいう。また、要素とは、スラブ、設備基礎、防振架台、機器等をいい、本発明の設備要素に相当する。
【0057】
新たな要素の挿入である場合、本設計支援装置は、ユーザにしたがい、その要素のレベル要素識別番号、その要素の寸法、その要素の平面図内での位置等を取得する。そして、本設計支援装置は、その要素を平面図内に表示する(S3)。このとき、本設計支援装置は、断面図画面表示のため、以下の処理を実行する。
【0058】
すなわち、本設計支援装置は、その要素のレベル要素識別番号を基に、レベル順定義テーブルを参照し、その要素のレベル順序番号を取得する。そして、鉛直方向で、そのレベル順序番号より1小さい要素の現在の上面位置を取得する。そして、断面図画面で、その上面位置に、新たに挿入された要素の下面を位置付けて表示する。その後、本設計支援装置は、制御をS8に進める。なお、そのレベル順序番号の要素がすでに配置されており、同一のレベル順序番号について、2以上の要素の配置が指定された場合には、すでに存在する要素の上位側に新たな要素が配置される。この処理を実行する設計支援装置のCPU1が、本発明の同一種類積層手段に相当する。なお、このような処理の適用例としては、共通基礎や共通架台の上に個別機器の基礎や架台を載せる設備を例示できる。例えば、第1の機器が水槽であり、第2の機器が水槽から水の供給を受ける冷却装置であり、2つの機器を共通基礎の上に置く場合である。この場合、水槽は水抜きのための高さが必要となる。したがって、共通基礎の上に、水槽用の基礎を配置し、さらに、その上に水槽を配置
することになる。一方、水槽ほど高さが必要のない冷却装置は、共通基礎の上に設置してもよいし、水槽用の基礎よりも低い基礎の上に設置してもよい。この場合、通常、断面内で、上側に置かれる要素(基礎、防振架台等)は、下側の要素(基礎、防振架台等)よりも、平面方向から見た面積は、小さい。
【0059】
また、S2の判定で、新たな要素の挿入ではない場合、本設計支援装置は、画面上の既存要素の選択であるとして処理する。そして、本設計支援装置は、選択された要素を特定する(S4)。このとき、本設計支援装置は、選択された要素のFLからの現在のレベル順を算出する。すなわち、本設計支援装置は、断面上で、FLからレベル要素を順に探索し、現在選択されているグラフィックオブジェクトの位置を特定する。
【0060】
そして、本設計支援装置は、選択された要素の削除が指定されたか否かを判定する(S5)。削除が指定された場合、本設計支援装置は、そのグラフィックオブジェクトを削除する(S6)。その後、本設計支援装置は、制御をS8に進める。
【0061】
また、S5の判定で、選択された要素の削除ではないと判定すると本設計支援装置は、要素の寸法変更、位置変更等であると判定する。そして、本設計支援装置は、変更後の寸法を確定し、その寸法で表示する。
【0062】
次に、本設計支援装置は、操作対象要素の上位に位置する要素(上位要素という)を検索する。すなわち、S3、S6あるいはS7にて操作された要素から上位方向の要素を検索する(S8)。そして、本設計支援装置は、上位方向で検索された上位要素にレベルの変更が発生するか否かを判定する(S9)。レベルの変更が発生するとは、例えば、変更された要素と、上位要素とが接触している状態で、その変更された要素の厚みが変更された場合をいう。また、上位要素と下位要素との間に、新たな要素が変更された場合、あるいは、変更された要素が削除された場合をいう。また、例えば、変更された要素と、上位要素とが空間を挟んで離間している状態で、その空間の鉛直方向の寸法を超える寸法が変更された場合をいう。
【0063】
上位要素にレベル変更がある場合、本設計支援装置は、上位要素の断面図画面での表示位置を変更する(S10)。さらに、本設計支援装置は、上位要素に機器が含まれる場合、レベルの変更が生じたその機器(レベル変更機器という)の配管のつなぎ直し処理を実行する(S11)。その後、本設計支援装置は、制御をS1に戻し、ユーザの操作を待つ。
【0064】
図17に、レベル変更機器の配管のつなぎ直し処理(図16のいS11)の詳細を例示する。この処理では、レベル変更された機器に未接続配管があるか否かを判定する(S111)。ここで、未接続配管がある場合とは、機器のレベル変更がなされた後、機器の接続口と、レベル変更前にその接続口に接続されていた配管とのつなぎ直し処理が実行されていない場合をいう。機器のレベル変更前、図12に示した節点情報、および図14に示したルート情報によって、それぞれの機器の接続口に接続された配管が検索されている。レベル変更時に、そのようなルートのルート識別情報が一時的にメモリ2記憶されている。この一時的に記憶されたルート識別情報によって、本設計支援装置は、未接続配管を把握している。
【0065】
そして、未接続配管が存在する場合、本設計支援装置は、ルート情報にしたがって、機器の配管接続口から所定範囲に縦管を探索する(S112)。所定範囲は、例えば、機器の配管接続口からルート情報をたどって、所定個数の節点を通過するまでである。節点には、通常、継手等の部材が配置されるので、例えば、所定個数の継手を通過するまでを所定の探索範囲としてもよい。また、機器の配管接続口から所定の距離を探索範囲としても
よい。
【0066】
そして、本設計支援装置は、機器の配管接続口に縦管があるか否かを判定する(S113)。探索範囲に縦管が存在した場合、本設計支援装置は、その縦管を伸縮することで、レベル差を解消し、断面図画面で機器と配管とを再度接続する(S114)。
【0067】
また、S113の判定で、探索範囲に縦管がない場合、本設計支援装置は、機器の配管接続口と、その配管接続口に接続されていた配管との間に、継手を挿入可能な寸法があるか否かを判定する(S115)。一対の継手の挿入が可能な場合には、本設計支援装置は、継手、縦管、継手の組み合わせによって、配管のレベル差を解消する。図18に、継手、縦管、継手の組み合わせによって、配管のレベル差を解消した例を示す。この例では、機器の配管接続口P1と、その配管接続口P1に接続されていた配管PIPE2との間に、縦管と、その縦管の両端の90度継手によって、レベル差が解消されている。
【0068】
一方、S113の判定で、一対の継手の挿入が不可能な場合、本設計支援装置は、機器の配管接続口と、その配管接続口に接続されていた配管との間で迂回路を形成する。一対の継手の挿入が不可能な場合とは、通常、レベル差の変動が極めて小さい場合である。図19に、そのような場合の迂回路の形成例を示す。この例では、機器の配管接続口P1と、その配管接続口P1に接続されていた配管PIPE2との間に、直管1から直管4とそれらの直管をつなぐ90度継手によって、迂回路が生成されている。なお、迂回路は、90度継手以外の45度継手等を用いて構成してもよい。その後、本設計支援装置は、制御をS111に戻す。そして、未接続は移管がなくなると、本設計支援装置は、処理を終了する。
【0069】
以上述べたように、本設計支援装置によれば、平面図内での要素、例えば、スラブ、設備基礎、防振架台、機器等の変更処理に対して、それぞれのレベル順が定義され、そのレベル順にしたがって、要素の挿入、削除、厚みの変更がされる。そして、平面図画面での操作に対しても、断面図内で、要素の挿入、削除、厚みの変更に連動して、その上位に位置する要素のレベルが変更される。また、新たな要素が挿入された場合には、その要素に定義されたレベル順の位置に挿入される。したがって、ユーザは、必ずしも、平面図画面と断面図画面の両方に気を配ることなく、設計操作を進めることができる。
【0070】
また、機器のレベルが変更された場合には、その機器の配管接続口に元々接続されていた配管が追従して接続される。したがって、ユーザは、操作対象の上位に位置する機器の配管に気を取られることなく、設計操作を進めることができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、要素の鉛直方向のレベルの順序関係は、順序関係規則記憶手段23に定義されていた。順序関係規則記憶手段は、例えば、メモリ2またはハードディスクに保存され、CPU1が参照するレベル順テーブル(図15)である。しかし、このような順序関係を明示的なテーブルに格納することは必須のものではない。例えば、CPU1が実行するプログラムのロジック、すなわち、条件判定文の形式で、順序関係を組み込んでも構わない。
<変形例>
上記実施形態では、図15のレベル順定義テーブルに従って、要素の断面内の配置順を決定した。しかし、その場合に、スラブが2枚以上存在する場合には、その上に機器、防振架台および機器を配置するときには、最下層のスラブの上に、機器、防振架台および機器を配置するようにしてもよい。
【0072】
このような処理が設備の設計に有効な理由は以下の通りである。複数階からなる建物に要素、部材を配置する場合を想定する。建物に、要素、部材を配置する場合、配管等の配
置をも行うため、配置対象の階(例えば、1階)のスラブ(床)を設定するとともに、さらに、上の階(2階)のスラブを設定した後、配置対象の階(1階)に、要素、部材を配置する場合が多い。このように、2つの階のスラブをそれぞれ設定した後、上のスラブ優先で、後の要素、部材を配置すると、本来の配置対象の階(1階)ではなく、その上の階に要素、部材が配置されることになる。したがって、同一種類の要素、部材は、そのまま積み重ねるにしても、2つのスラブが定義された状態で、要素、部材を配置する場合には、下のスラブに要素、部材を配置する方が都合がよい。
【0073】
また、複数の要素を配置する場合には、最も下側にあるスラブ上に要素、部材を配置するように、設計支援装置のプログラムを作成するようにすればよい。ただし、複数のスラブが定義されている状態で、他の要素、部材を配置する場合に、現在処理対象とすべきスラブ、すなわち、要素、部材を配置すべきスラブをユーザが指定できるようにしておいてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、同一種類の要素、部材を2以上配置する場合には、先に配置された要素の上に、次の配置される要素(先に配置された要素と同一種類のもの)を重ねて配置した。しかし、このような処理に代えて、ユーザに上下関係を指定するように促す処理としてもよい。そして、ユーザの指定にしたがって、複数の同一種類の要素の断面内の配置位置を決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】設計支援装置による処理の概念を例示するである(例1)。
【図2】設計支援装置による処理の概念を例示するである(例2)。
【図3】設計支援装置による処理の概念を例示するである(例3)。
【図4】具体的な機器に対する処理例(防振架台変更、削除例)である。
【図5】具体的な機器に対する処理例(設備基礎変更、削除例)である。
【図6】具体的な機器に対する処理例(スラブ変更、削除例)である。
【図7】具体的な機器に対する処理例(設備基礎と防振架台が非接触の場合で、設備基礎の変更が影響する例)である。
【図8】具体的な機器に対する処理例(設備基礎と防振架台が非接触の場合で、設備基礎の変更が影響しない例)である。
【図9】具体的な機器に対する処理例(設備基礎と防振架台が一部接している例)である。
【図10】ハードウェア構成を例示する図である。
【図11】設計支援装置の機能ブロック図を例示する図である。
【図12】節点情報ファイルのデータ構造例を示す図である。
【図13】節点定義ファイルのデータ構造を例示する図である。
【図14】配管の経路を記述するルート情報のデータ構造例である。
【図15】レベル順定義テーブルのデータ構造を例示する図である。
【図16】平面図画面処理のフローチャートである。
【図17】レベル変更機器の配管のつなぎ直し処理の詳細フローチャートである。
【図18】継手、縦管、継手の組み合わせによって、配管のレベル差を解消した例である。
【図19】迂回路の例である。
【符号の説明】
【0076】
1 CPU
2 メモリ
4 ハードディスク駆動装置
6 入力装置
8 表示装置
10 ネットワークインターフェース
12 着脱可能記憶媒体駆動装置
20 制御部
21 表示制御手段
22 入力制御手段
23 順序関係規則記憶手段
24 編集手段
25 レベル配置手段
26 接続手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備の設計支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CAD(computer Aided Design)のような設計支援装置によって、設備を設計
する場合、平面図と、鉛直面を含む断面図とを相互に操作しながら設計を進めることが多かった。その場合に、設備を構成する部材、機器等の鉛直方向の位置(高さ位置であり、以下、配置レベルという)は、ユーザが逐一指定する必要があった。
【0003】
例えば、機器、基礎などを配置する場合、本来は基礎の上に機器を置くことが当然であるにも拘わらず、機器、あるいは基礎の配置レベルを数値入力や断面からの座標操作で入力している。また、基礎の高さ変更、基礎と機器との間への防振架台の挿入など、設計から施工に至るまでには、設計変更、仕様変更が生じることが多い。その場合にも、従来は、逐一変更後の位置関係を指定する必要があった。
【特許文献1】特開2000−54630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、設備の設計において、基礎、機器、架台など、鉛直方向で相互の位置関係が定められている要素相互の関係に着目し、設計時の操作性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記課題を解決するために、以下の手段を採用した。すなわち、本発明は、スラブ上に形成される基礎と、基礎上に載置される防振架台と、基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を1以上組み合わせて構成される設備の設計支援装置として例示される。この設計支援装置は、平面図または平面図に垂直な断面上に設備要素を表示する表示手段と、入力操作を受け付けて平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集手段と、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置手段と、を備える。本設計支援装置によれば、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則が定義されており、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、順序関係規則記憶手段に定義された順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定することができる。したがって、ユーザは、必ずしも、平面図と断面図の両方を考慮することなく、例えば、平面図上の操作によって、断面上の配置を確定できる。
【0006】
編集手段が平面図上に表示された設備要素に対してさらに新たな設備要素を追加する指定を受け付けると、レベル配置手段は、順序関係の規則にしたがって新たな設備要素よりも上位に配置すべき設備要素を鉛直方向で新たな設備要素の厚み分だけ上方に移動し、新たな設備要素を上方に移動した設備要素の下側に挿入するようにしてもよい。したがって、ユーザは、断面上の配置位置を細かく指定することなく、平面図で新たな設備要素を挿入できる。
【0007】
編集手段は、平面図上に表示された設備要素のいずれかを削除する指定を受け付けると
、その指定を受けた設備要素を削除し、レベル配置手段は、その設備要素よりも鉛直方向で上方に配置されていた設備要素の下面位置を削除された設備要素の厚み分だけ下方に移動するようにしてもよい。したがって、ユーザは、断面上の配置状態を指定することなく、平面図で設備要素を削除し、その削除に伴って、上側に位置する設備要素を削除された設備要素の位置まで移動できる。
【0008】
レベル配置手段は、新たな設備要素の種類が、すでに配置手段によって配置されている既存設備要素のいずかと同一種類の設備要素であるときに、新たな設備要素を鉛直方向で同一種類の既存設備要素の上側に配置するようにしてもよい。すなわち、同一種類の設備要素は、指定された順に積み重ねればよい。
【0009】
新たな設備要素を追加によって上方に移動した設備要素、または、設備の削除によって下方に移動した設備要素のうち、いずれかが配管に接続されていた機器であるときに、配管に接続されていた機器の配管への接続口と、移動前にその接続口に接続されていた配管とを接続するようにしてもよい。したがって、ユーザの機器のレベルの移動に伴って、配管の接続を細かく指定する必要がなく、簡易に設計を進めることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、設備の設計において、基礎、機器、架台など、鉛直方向で相互の位置関係が定められている要素相互の関係に着目し、設計時の操作性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という)に係る設計支援装置について説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成には限定されない。
【0012】
<システムの概要>
図1から図3に、本設計支援装置による処理の概念を例示する。ここでは、設計対象の設備が、スラブ、設備基礎、防振架台、機器を含む場合を例に説明する。ここで、スラブは、コンクリート面であり、床とも呼ばれる。設備基礎は、単に基礎とも呼ばれ、スラブ上で、機器を支持する台状の部材である。また、防振架台は、必要に応じて設備基礎と機器との間に配置される、防振機能を提供する架台である。
【0013】
機器には、様々なものが想定されるが、ここでは主に、流体を取り扱う床置きの機器、例えば、エアーコンプレッサ、熱交換器、ポンプ、冷凍機、冷却塔等を想定する。したがって、通常、機器には、流体が流れる配管が伴う。ただし、図1から3では、理解の容易のため、配管は省略されている。
【0014】
図1は、本設計支援装置における設計対象の設備の状況を、鉛直面を含む断面方向から示した画面(以下、断面図画面という)である。ただし、図1から図3は、設計対象の状態の変化を断面図画面によって示したものであり、本設計支援装置において、必ずしも、断面図画面に対する操作が必須というわけではない。すなわち、本設計支援装置は、鉛直方向に垂直な(鉛直方向の法線に直交する)平面方向の画面(以下、平面図画面という)、断面図画面のいずれからも操作可能である。なお、平面図画面は、単に鉛直方向の法線に直交するものだけではなく、鉛直方向に対して、特定の角度で傾きを有する法線に直交するものもあり得る。そこで、本設計支援装置は、法線が鉛直方向に対して傾いた平面を平面図画面とする機能も提供する。
【0015】
図1から3では、いずれの例も、左から右に矢印にしたがって、設計対象が変化している。例えば、図1の(A)では、当初(最も左側の状態)、スラブ、設備基礎、防振架台
、および機器によって設備が構成されていた場合を例示している。そして、最初の矢印A1の後、設備基礎の鉛直方向のサイズ(以下、厚みという)が増加された場合を示している。本設計支援装置では、設備基礎の厚みが増加されると、その変化に連動して、設備基礎の上に配置されていた防振架台、および機器の鉛直方向の位置がそのまま上方に移動する。すなわち、厚みが増加した基礎の上面に防振架台の下面が、位置付けられる。また、防振架台の上側に機器が配置される。
【0016】
また、次の矢印A2の後、設備基礎が削除されている。この場合には、設備基礎の厚みが0になった場合に相当し、スラブの上面に防振架台の下面が位置付けられる。また、防振架台の上側に機器が配置される。
【0017】
また、図1の(B)は、矢印B1、B2にしたがって、防振架台の厚みが増加し、さらに、防振架台が削除された状態を示している。同様に、図1の(C)は、矢印C1、C2にしたがって、スラブの厚みが増加し、さらに、スラブが削除された状態を示している。スラブが削除された場合は、設備基礎の下面は、FL(フロアレベル)と呼ばれる基準位置(鉛直方向の座標0に相当)の位置まで下がることになる。また、設備基礎より上側の部材もそれぞれの位置が、設備基礎の鉛直方向の位置の変更に合わせて、下方に移動することになる。
【0018】
本設計支援装置は、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器等の部材について、鉛直方向の順序関係を下から、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器と定義しておく。そして、これらの部材のいずれかが挿入、厚みの変更、削除等の処理がなされた場合、その処理に応じて、操作された部材の上側に位置する部材の高さ方向の位置(以下、単にレベルという)を変更する。
【0019】
すなわち、スラブの厚み変更によって、その上に位置する設備基礎、防振架台、および機器の鉛直方向のレベルがそれぞれ変更される。設備基礎の厚み変更によって、その上に位置する防振架台、および機器の鉛直方向のレベルがそれぞれ変更される。防振架台の厚み変更によって、その上に位置する機器の鉛直方向のレベルが変更される。
【0020】
なお、図1の処理では、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器等の部材について、鉛直方向の順序関係を固定し、それぞれの部材の挿入位置を本設計支援装置が決定した。また、それぞれの部材の挿入、厚みの変更、削除に伴ってその上の部材のレベルを変更した。その場合に、挿入、厚みの変更、削除された部材の変更に伴う上側の部材のレベル変更をするか否かをユーザに確認するようにしてもよい。そして、ユーザがレベル変更を許可した場合に、上記処理を実行してもよい。また、このような処理とともに、従来のユーザがそれぞれの部材のレベルを個々に指定する機能も、本設計支援装置では提供してもよい。
【0021】
図2は、部材の厚み変更に連動して、その部材の上側の部材のレベルが変更される他の例を示している。ここでは、例えば、設備基礎と機器との間に、元々隙間が存在した状態で、設備基礎の厚みが変更された場合を想定する。ここで、隙間は、鉛直方向に200ミリの空間である。このような構成の設備は、例えば、機器が図2に表示されていない他の部材、例えば、他の架台等に支持されているものである。また、例えば、作図中、描画過程においても、図2のような隙間が生じることがある。例えば、基準面からの高さをマニュアルで数値入力して指定し、部材を配置したときには、本設計支援装置は、マニュアル指定の高さにしたがって、部材を位置付ける。したがって、少なくとも、その部材が配置された状態では、基準面とその部材との間に、図2のような隙間が生じることがある。
【0022】
図2の(A)では、設備基礎の厚みが300ミリ増加している。すなわち、処理前に存
在していた空間の鉛直方向の寸法を越えて、下側の部材の厚みが増加した場合である。この場合には、上側の機器は、300ミリ−200ミリ=100ミリだけ上方に移動する。
【0023】
一方、図2の(B)では、設備基礎の厚みの増加は、200ミリ未満である。具体的には、マイナス100ミリで、厚みが減少している。すなわち、処理前に存在していた空間の鉛直方向の寸法を越えない範囲で、下側の部材の厚みが増加した場合である。この場合には、上側の機器は、処理前のレベルを維持する。
【0024】
図3は、部材がその下側の部材と一部接し、一部外れている場合の処理例である。この場合には、下側の部材の厚みの変更に連動して、その上側の部材のレベルが変更される。
【0025】
図4から図9は、具体的な機器に対する処理例を示す。図4は、スラブ1、設備基礎2、防振架台3、および機器4に対する操作例である。ここで、機器4は、例えば、ポンプである。機器4には、曲がりの継手T1を介して吐出側に縦管L1が接続されている。また、機器4には、吸引側にて立下がり管に接続される水平方向の配管(横引管)L2が接続されている。図4の(A)は、平面図画面の例であり、(B)は、断面図画面の例である。
【0026】
図4の平面図画面では、矢印A10の処理によって、防振架台3が選択され、その厚みが変更された場合を示している。すなわち、平面図画面にて防振架台3の厚みが設定された場合である。さらに、矢印A11の処理によって、防振架台が削除された場合を示している。本設計支援装置では、このような平面図画面上の操作によって、図4(B)のように、断面図画面内での部材の位置関係が連動して変化する。
【0027】
すなわち、平面図画面の矢印A10の処理に対応して、断面図画面の矢印B10の処理がなされ、防振架台3の厚みが増加する。この厚みの増加に伴って、機器4が上方に移動する。さらに、機器4に接続されている継手T1、縦管L1、および水平方向の配管L2等の部材も移動する。
【0028】
さらに、平面図画面での矢印A11の処理によって、防振架台3が削除されると、断面図画面でも、矢印B11のように、防振架台3が削除される。この削除に伴って、機器4が下方に移動する。さらに、機器4に接続されている継手T1、縦管L1、および水平方向の配管L2等の部材も移動する。なお、断面図画面でも同様の操作が可能であり、その場合には、断面図画面での操作が平面図画面に反映される。
【0029】
図5は、設備基礎2を変形する場合の処理例である。この例でも、設備基礎2の厚みが増加され(矢印A12、B12)、次に削除されて、防振架台3(および、その上に置かれた機器4)が床に直置きされている(矢印A12、B12)。この場合も、設備基礎2の変形に伴い、その上の防振架台3、および機器4、機器4に接続されている配管等の部材が移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0030】
図6は、スラブ1を変形する場合の処理例である。この例でも、スラブ1の厚みが増加され(矢印A14、B14)、次に削除されている(矢印A15、B15)。この場合も、スラブ1の変形に伴い、その上の設備基礎2、防振架台3、および機器4、機器4に接続されている配管等の部材が移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0031】
図7は、設備基礎2と防振架台3との間に空間があるときに設備基礎2の厚みを変形した処理例である。設備基礎2の厚みが、設備基礎2と防振架台3との間の空間を越えて変更されると、その上に位置する防振架台3および機器4、機器4に接続される配管等の部
材が移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0032】
図8は、設備基礎2の厚みが設備基礎2と防振架台3との間の空間を越えない範囲で変更された場合で機器の設置高さを変えない場合の処理例である。すなわち、図8では、設備基礎2の厚みが低減している。この場合には、設備基礎2の上に位置する防振架台3および機器4、機器4に接続される配管等の部材は移動しない。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれからでも可能である。なお、図8のように、厚みが低減する場合、あるいは、隙間を超えない範囲で厚みが増加する場合(例えば、設備基礎2の厚みが設備基礎2と防振架台3との間の空間を越えない範囲で変更された場合)であっても、隙間の上側に配置された機器を変更された基礎の高さに接するように下方に移動するにプログラムを構成してもよい。すなわち、はじめの配置ではユーザが高さ位置を指定して浮いたような構成となるが、本設計支援装置の編集手段が用いられると、浮いていた機器の下面が、隙間の下側の機器の上面に自動的にセットされ、隙間が消滅する処理としてもよい。
【0033】
図9は、設備基礎2と防振架台3とが一部で接する場合の処理例である。このような処理例としては、例えば、設置予定位置に配管等の部材が輻輳して見づらいとき、まず、配置対象の部材を見やすいスペースで作図し、作図終了後ポンプ・管・架台等の部材をセットで平行移動する処理を例示できる。この場合も、設備基礎2の変形に伴い、その上の防振架台3、および機器4、機器4に接続されている配管等の部材が下方に移動する。この操作は、平面図画面、断面図画面のいずれでも可能である。
【0034】
<ハードウェア構成>
図10に、本設計支援装置のハードウェア構成を例示する。この設計支援装置は、例えば、パーソナルコンピュータと、パーソナルコンピュータで実行されるコンピュータプログラムによって実現される。また、この設計支援装置は、複数のパーソナルコンピュータにサービスを提供するサーバ上のプログラムとして実現してもよい。また、本設計支援装置は、複数のコンピュータが連携して機能を提供するコンピュータシステムとして実現してもよい。例えば、1以上のデータベースサーバと、1以上のシミュレータと、1以上のウェブサーバとによって、設計支援装置を実現してもよい。
【0035】
図10は、本設計支援装置を構成するコンピュータの一例である。本設計支援装置は、CPU1と、メモリ2と、各種インターフェース3、5、7、9、11と、これらのインターフェースを通じてCPU1に接続される周辺装置とを含む。図10では、周辺装置の例として、ハードディスク4,入力装置6、表示装置8、ネットワークインターフェース10、および着脱可能記憶媒体駆動装置12が示されている。
【0036】
CPU1は、メモリ2に展開されたプログラムを実行し、設計支援装置の機能を提供する。メモリ2は、CPU1が実行可能な形式でプログラムを保持する。また、メモリ2は、CPU1が処理するデータを保持する。メモリ2は、DRAM(ダイナミックランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリーメモリ)等である。ただし、メモリ2として、フラッシュメモリを用いてもよい。
【0037】
ハードディスク駆動装置4は、ハードディスクにアクセスし、CPU1が処理したデータ、CPU1で実行されるプログラム等を記憶する。入力装置6は、例えば、キーボード等の文字入力装置、マウス等のポインティングデバイスなどである。表示装置8は、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスパネル等である。
【0038】
ネットワークインターフェース10は、例えば、LAN(ローカルエリアネットワーク)基板である。着脱可能媒体駆動装置12は、例えば、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリカード等の駆動装置である。なお、CPU1で実行されるプログラムは、通常、
ネットワークインターフェース10、あるいは、着脱可能記憶媒体駆動装置12を通じて、ハードディスクに保存され、メモリ2に展開される。
【0039】
<機能ブロック>
図11に、本設計支援装置の機能ブロック図を例示する。図11のように、本設計支援装置の機能ブロックは、表示装置8および入力装置6を制御し、設計支援装置の機能を提供する制御部20によって実現される。制御部20は、例えば、図10に示したCPU1、メモリ2等の構成と、図10のメモリ2に展開され、CPU1で実行されるコンピュータプログラムとによって実現される。このプログラムは、コンピュータが読み取り可能で、コンピュータから着脱可能な記憶媒体に格納し、コンピュータにインストールするようにしてもよい。また、ネットワーク上のサーバからコンピュータにダウンロードし、インストールするようにしてよい。また、プログラム自体は、ネットワーク上のサーバにインストールしておき、プログラムの機能だけをコンピュータを利用するユーザに提供してもよい。
【0040】
図11のように、本設計支援装置の制御部20は、表示制御手段21、入力手段22、順序関係規則記憶手段23、編集手段24、レベル配置手段25、接続手段26を有する。図11は、これらの要素の連携関係を示す図であって、必ずしも親子関係、あるいは、上位概念と下位概念との関係を示すわけではない。
【0041】
このうち、表示制御手段21は、CPU1からの指令にしたがって、CPU1が処理した情報を表示装置8に表示する。表示制御手段21は、例えば、部材を表す図形要素を位置関係にしたがって配置することによって平面図または平面図に垂直な断面上に設備を表示する。
【0042】
また、入力手段22は、入力装置6に対するユーザ操作を検知し、CPU1に伝達する。入力手段22は、例えば、画面上で要素の挿入、変更、削除等の指定を受け付ける。編集手段24は、その操作を受け付けて、平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する。表示装置8、入力装置6、表示制御手段21、および入力手段22は、例えば、画面上のGUI(グラフィックスユーザインターフェース)部品の表示と、GUI部品に対する操作を検知し、ユーザインターフェースを構成する。
【0043】
順序関係規則記憶手段23は、設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則を記憶する。順序関係規則記憶手段23は、ハードディスク駆動装置4にてアクセスされるハードディスク、あるいは、着脱可能記憶媒体駆動装置12にてアクセスされる記憶媒体、例えば、DVD、MO等に格納される。
【0044】
レベル配置手段25は、平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定する。なお、その場合に、複数階層に渡って同一種類の部材を配置する場合があり得る。例えば、共通基礎の上に、さらに、機器ごとの基礎を複数置いた上で、それぞれの基礎上に複数の機器を置く場合である。その場合、基本的な処理としては、最初の部材は、上記順序関係の規則にしたがって位置(断面内の高さ方向の順序で定まる位置)に配置される。そして、2つ目以降の同一種類の部材は、最初に置かれた部材の上に積み重ねられることになる。ただし、マニュアル操作で、それぞれの部材の高さを指定することも可能である。
【0045】
接続手段26は、新たな設備要素の追加によって上方に移動した設備要素、または、設備の削除によって下方に移動した設備要素のうち、いずれかが配管に接続されていた機器であるときに、配管に接続されていた機器の配管への接続口と、移動前にその接続口に接
続されていた配管とを接続する。
【0046】
<データ構造>
図12から図16に、本設計支援装置が処理する主要なデータの構造を示す。これらのデータ構造で示す情報はメモリ2またはハードディスク上のファイルに格納される。
【0047】
図12は、節点情報ファイルのデータ構造例を示す図である。節点情報ファイルは、配管の経路を記録するファイルである。節点情報ファイルは、節点識別情報と、位置(座標X、座標Y、座標Z)、向き、および属性を有する。節点識別情報は、節点を個々に識別する識別情報である。位置は、座標X、座標Y、および座標Zを含む。座標X、座標Y、および座標Zは、節点の座標である。向きは、その節点における管路の方向、すなわち、その節点に配置される部材の接続方向を示す単位ベクトルの成分である。例えば、機器の接続口については、接続口につながる管路の方向を示す。また、例えば、曲がりのある継手については、例えば、上流側の管路の方向である。また、分岐継手については、分岐側ではなく、主管路の方向を示す。さらに、属性は、節点の属性であり、例えば、接続口、バルブ、45度継手、90度継手、45度の整数倍の角度以外の角度で経路を替える継手(任意角継手という)等が設定される。
【0048】
図13に、節点定義ファイルのデータ構造を例示する。節点定義ファイルは、節点識別情報と、その節点識別情報で指定される節点の座標を定義したファイルである。節点定義ファイルの1レコードに1節点が定義される。図13では、表の1行が1レコードに相当する。また、図13の節点定義ファイルで定義されている節点の節点識別情報が、図14に示すルート情報の節点識別情報に使用される。
【0049】
図14に、配管の経路を記述するルート情報のデータ構造例を示す。ルート情報は、単一のデータファイルに、ルート情報を格納してもよいし、個々の接点ごとに異なるファイルに情報を格納し、複数のファイルの集合によってルート情報を構成してもよい。
【0050】
ルート情報は、節点と節点との接続関係を示すリスト構造200と、先頭節点へのポインタを示す先頭指示情報201とで構成される。先頭指示情報201は、ルート識別情報と、先頭節点へのポインタとを含む。ルート識別情報は、個々の経路をユニークに識別する情報である。
【0051】
先頭節点へのポインタは、先頭の節点の要素情報202を指す情報であり、例えば、先頭節点の情報を有する要素情報202のアドレスである。また、要素情報202は、次の節点へのポインタ、上流へのポインタ、枝分かれ節点へのポインタ、および節点識別情報を含む。
【0052】
このうち、次の節点へのポインタは、当該節点に隣接する次の節点の要素情報を指すポインタである。また、上流へのポインタは、リスト構造をさかのぼる方向、すなわち、逆方向へのポインタである。また、枝分かれ節点へのポインタは、当該節点が分岐しているときに、分岐経路の先頭を示すポインタである。また、節点識別情報は、図13の節点定義ファイルで定義された節点の識別情報である。この節点識別情報をキーに節点情報ファイルを検索することで、当該節点の属性を読み出すことができる。
【0053】
本設計支援装置は、機器のレベル変更前後の配管接続処理ため、このようなデータ構造で定義される配管のルートを検索する。例えば、機器の接続口から所定の距離の範囲に縦管がある場合には、縦管の伸縮によって機器のレベル変更処理による配管の経路変更を吸収する。
【0054】
図15に、レベル順定義テーブル(本発明の順序関係規則記憶手段に相当)のデータ構造例1を示す。レベル順定義テーブルは、要素間のレベル順を定義したテーブルである。レベル順定義テーブルは、レベル順序番号と、レベル要素識別番号とを組み合わせたレコードの集まりである。レベル順序番号は、FLから情報に向かうレベルの順序を指定する。すなわち、1、2、3、4の順に、FLから上方に順序付けられる。つまり、本実施形態では、レベル順序番号の数字が小さいほど、階層構造の下側に配置される。なお、各部材の高さ、厚みの情報はユーザ入力により、機器・架台等を含めた部材属性データベース(本実施形態では図示しない)に記憶される。レベル要素識別番号は、それぞれのレベル順に対する要素の種類を指定する。要素の種類は、例えば、スラブ(レベル要素識別番号1)、設備基礎(レベル要素識別番号2)、防振架台(レベル要素識別番号3)、機器(レベル要素識別番号4)等である。したがって、本実施形態では、スラブ、設備基礎、防振架台、および機器を平面図上に配置した場合、断面上では、スラブが最下層に配置され、その上に設備基礎が置かれ、その上に防振架台が置かれ、その上に機器が置かれることになる。また、同一種類の要素が2以上、鉛直方向に重なって配置された場合、それらの要素は重ねて、すなわち、互いに隣合うレベルに配置される。その場合に、後から配置された要素が、先に配置されていた要素の上に配置される。
【0055】
表示装置8の画面に表示されるそれぞれの要素のグラフィックオブジェクトには、このレベル要素識別番号が関連づけされている。したがって、平面図画面または断面図画面上で、ユーザが、入力装置6のポインティングデバイス等によって、グラフィックオブジェクトを選択、あるいは操作すると、本設計支援装置は、そのグラフィックオブジェクトに関連づけされたレベル要素識別番号を取得する。そして、本設計支援装置は、レベル順定義テーブルを参照し、そのグラフィックオブジェクトに相当する要素のレベル順序番号を決定する。
【実施例】
【0056】
図16Aに、本設計支援装置が実行する平面図画面処理のフローチャートを例示する。この処理では、本設計支援装置は、ユーザ操作がなされるか否かを監視している(S1)。ユーザ操作を検出すると、本設計支援装置は、その操作が新たな要素の挿入であるか否かを判定する(S2)。新たな要素の挿入とは、平面図画面で、新たな要素に相当するグラフィックオブジェクトが配置された場合をいう。また、要素とは、スラブ、設備基礎、防振架台、機器等をいい、本発明の設備要素に相当する。
【0057】
新たな要素の挿入である場合、本設計支援装置は、ユーザにしたがい、その要素のレベル要素識別番号、その要素の寸法、その要素の平面図内での位置等を取得する。そして、本設計支援装置は、その要素を平面図内に表示する(S3)。このとき、本設計支援装置は、断面図画面表示のため、以下の処理を実行する。
【0058】
すなわち、本設計支援装置は、その要素のレベル要素識別番号を基に、レベル順定義テーブルを参照し、その要素のレベル順序番号を取得する。そして、鉛直方向で、そのレベル順序番号より1小さい要素の現在の上面位置を取得する。そして、断面図画面で、その上面位置に、新たに挿入された要素の下面を位置付けて表示する。その後、本設計支援装置は、制御をS8に進める。なお、そのレベル順序番号の要素がすでに配置されており、同一のレベル順序番号について、2以上の要素の配置が指定された場合には、すでに存在する要素の上位側に新たな要素が配置される。この処理を実行する設計支援装置のCPU1が、本発明の同一種類積層手段に相当する。なお、このような処理の適用例としては、共通基礎や共通架台の上に個別機器の基礎や架台を載せる設備を例示できる。例えば、第1の機器が水槽であり、第2の機器が水槽から水の供給を受ける冷却装置であり、2つの機器を共通基礎の上に置く場合である。この場合、水槽は水抜きのための高さが必要となる。したがって、共通基礎の上に、水槽用の基礎を配置し、さらに、その上に水槽を配置
することになる。一方、水槽ほど高さが必要のない冷却装置は、共通基礎の上に設置してもよいし、水槽用の基礎よりも低い基礎の上に設置してもよい。この場合、通常、断面内で、上側に置かれる要素(基礎、防振架台等)は、下側の要素(基礎、防振架台等)よりも、平面方向から見た面積は、小さい。
【0059】
また、S2の判定で、新たな要素の挿入ではない場合、本設計支援装置は、画面上の既存要素の選択であるとして処理する。そして、本設計支援装置は、選択された要素を特定する(S4)。このとき、本設計支援装置は、選択された要素のFLからの現在のレベル順を算出する。すなわち、本設計支援装置は、断面上で、FLからレベル要素を順に探索し、現在選択されているグラフィックオブジェクトの位置を特定する。
【0060】
そして、本設計支援装置は、選択された要素の削除が指定されたか否かを判定する(S5)。削除が指定された場合、本設計支援装置は、そのグラフィックオブジェクトを削除する(S6)。その後、本設計支援装置は、制御をS8に進める。
【0061】
また、S5の判定で、選択された要素の削除ではないと判定すると本設計支援装置は、要素の寸法変更、位置変更等であると判定する。そして、本設計支援装置は、変更後の寸法を確定し、その寸法で表示する。
【0062】
次に、本設計支援装置は、操作対象要素の上位に位置する要素(上位要素という)を検索する。すなわち、S3、S6あるいはS7にて操作された要素から上位方向の要素を検索する(S8)。そして、本設計支援装置は、上位方向で検索された上位要素にレベルの変更が発生するか否かを判定する(S9)。レベルの変更が発生するとは、例えば、変更された要素と、上位要素とが接触している状態で、その変更された要素の厚みが変更された場合をいう。また、上位要素と下位要素との間に、新たな要素が変更された場合、あるいは、変更された要素が削除された場合をいう。また、例えば、変更された要素と、上位要素とが空間を挟んで離間している状態で、その空間の鉛直方向の寸法を超える寸法が変更された場合をいう。
【0063】
上位要素にレベル変更がある場合、本設計支援装置は、上位要素の断面図画面での表示位置を変更する(S10)。さらに、本設計支援装置は、上位要素に機器が含まれる場合、レベルの変更が生じたその機器(レベル変更機器という)の配管のつなぎ直し処理を実行する(S11)。その後、本設計支援装置は、制御をS1に戻し、ユーザの操作を待つ。
【0064】
図17に、レベル変更機器の配管のつなぎ直し処理(図16のいS11)の詳細を例示する。この処理では、レベル変更された機器に未接続配管があるか否かを判定する(S111)。ここで、未接続配管がある場合とは、機器のレベル変更がなされた後、機器の接続口と、レベル変更前にその接続口に接続されていた配管とのつなぎ直し処理が実行されていない場合をいう。機器のレベル変更前、図12に示した節点情報、および図14に示したルート情報によって、それぞれの機器の接続口に接続された配管が検索されている。レベル変更時に、そのようなルートのルート識別情報が一時的にメモリ2記憶されている。この一時的に記憶されたルート識別情報によって、本設計支援装置は、未接続配管を把握している。
【0065】
そして、未接続配管が存在する場合、本設計支援装置は、ルート情報にしたがって、機器の配管接続口から所定範囲に縦管を探索する(S112)。所定範囲は、例えば、機器の配管接続口からルート情報をたどって、所定個数の節点を通過するまでである。節点には、通常、継手等の部材が配置されるので、例えば、所定個数の継手を通過するまでを所定の探索範囲としてもよい。また、機器の配管接続口から所定の距離を探索範囲としても
よい。
【0066】
そして、本設計支援装置は、機器の配管接続口に縦管があるか否かを判定する(S113)。探索範囲に縦管が存在した場合、本設計支援装置は、その縦管を伸縮することで、レベル差を解消し、断面図画面で機器と配管とを再度接続する(S114)。
【0067】
また、S113の判定で、探索範囲に縦管がない場合、本設計支援装置は、機器の配管接続口と、その配管接続口に接続されていた配管との間に、継手を挿入可能な寸法があるか否かを判定する(S115)。一対の継手の挿入が可能な場合には、本設計支援装置は、継手、縦管、継手の組み合わせによって、配管のレベル差を解消する。図18に、継手、縦管、継手の組み合わせによって、配管のレベル差を解消した例を示す。この例では、機器の配管接続口P1と、その配管接続口P1に接続されていた配管PIPE2との間に、縦管と、その縦管の両端の90度継手によって、レベル差が解消されている。
【0068】
一方、S113の判定で、一対の継手の挿入が不可能な場合、本設計支援装置は、機器の配管接続口と、その配管接続口に接続されていた配管との間で迂回路を形成する。一対の継手の挿入が不可能な場合とは、通常、レベル差の変動が極めて小さい場合である。図19に、そのような場合の迂回路の形成例を示す。この例では、機器の配管接続口P1と、その配管接続口P1に接続されていた配管PIPE2との間に、直管1から直管4とそれらの直管をつなぐ90度継手によって、迂回路が生成されている。なお、迂回路は、90度継手以外の45度継手等を用いて構成してもよい。その後、本設計支援装置は、制御をS111に戻す。そして、未接続は移管がなくなると、本設計支援装置は、処理を終了する。
【0069】
以上述べたように、本設計支援装置によれば、平面図内での要素、例えば、スラブ、設備基礎、防振架台、機器等の変更処理に対して、それぞれのレベル順が定義され、そのレベル順にしたがって、要素の挿入、削除、厚みの変更がされる。そして、平面図画面での操作に対しても、断面図内で、要素の挿入、削除、厚みの変更に連動して、その上位に位置する要素のレベルが変更される。また、新たな要素が挿入された場合には、その要素に定義されたレベル順の位置に挿入される。したがって、ユーザは、必ずしも、平面図画面と断面図画面の両方に気を配ることなく、設計操作を進めることができる。
【0070】
また、機器のレベルが変更された場合には、その機器の配管接続口に元々接続されていた配管が追従して接続される。したがって、ユーザは、操作対象の上位に位置する機器の配管に気を取られることなく、設計操作を進めることができる。
【0071】
なお、上記実施形態では、要素の鉛直方向のレベルの順序関係は、順序関係規則記憶手段23に定義されていた。順序関係規則記憶手段は、例えば、メモリ2またはハードディスクに保存され、CPU1が参照するレベル順テーブル(図15)である。しかし、このような順序関係を明示的なテーブルに格納することは必須のものではない。例えば、CPU1が実行するプログラムのロジック、すなわち、条件判定文の形式で、順序関係を組み込んでも構わない。
<変形例>
上記実施形態では、図15のレベル順定義テーブルに従って、要素の断面内の配置順を決定した。しかし、その場合に、スラブが2枚以上存在する場合には、その上に機器、防振架台および機器を配置するときには、最下層のスラブの上に、機器、防振架台および機器を配置するようにしてもよい。
【0072】
このような処理が設備の設計に有効な理由は以下の通りである。複数階からなる建物に要素、部材を配置する場合を想定する。建物に、要素、部材を配置する場合、配管等の配
置をも行うため、配置対象の階(例えば、1階)のスラブ(床)を設定するとともに、さらに、上の階(2階)のスラブを設定した後、配置対象の階(1階)に、要素、部材を配置する場合が多い。このように、2つの階のスラブをそれぞれ設定した後、上のスラブ優先で、後の要素、部材を配置すると、本来の配置対象の階(1階)ではなく、その上の階に要素、部材が配置されることになる。したがって、同一種類の要素、部材は、そのまま積み重ねるにしても、2つのスラブが定義された状態で、要素、部材を配置する場合には、下のスラブに要素、部材を配置する方が都合がよい。
【0073】
また、複数の要素を配置する場合には、最も下側にあるスラブ上に要素、部材を配置するように、設計支援装置のプログラムを作成するようにすればよい。ただし、複数のスラブが定義されている状態で、他の要素、部材を配置する場合に、現在処理対象とすべきスラブ、すなわち、要素、部材を配置すべきスラブをユーザが指定できるようにしておいてもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、同一種類の要素、部材を2以上配置する場合には、先に配置された要素の上に、次の配置される要素(先に配置された要素と同一種類のもの)を重ねて配置した。しかし、このような処理に代えて、ユーザに上下関係を指定するように促す処理としてもよい。そして、ユーザの指定にしたがって、複数の同一種類の要素の断面内の配置位置を決定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】設計支援装置による処理の概念を例示するである(例1)。
【図2】設計支援装置による処理の概念を例示するである(例2)。
【図3】設計支援装置による処理の概念を例示するである(例3)。
【図4】具体的な機器に対する処理例(防振架台変更、削除例)である。
【図5】具体的な機器に対する処理例(設備基礎変更、削除例)である。
【図6】具体的な機器に対する処理例(スラブ変更、削除例)である。
【図7】具体的な機器に対する処理例(設備基礎と防振架台が非接触の場合で、設備基礎の変更が影響する例)である。
【図8】具体的な機器に対する処理例(設備基礎と防振架台が非接触の場合で、設備基礎の変更が影響しない例)である。
【図9】具体的な機器に対する処理例(設備基礎と防振架台が一部接している例)である。
【図10】ハードウェア構成を例示する図である。
【図11】設計支援装置の機能ブロック図を例示する図である。
【図12】節点情報ファイルのデータ構造例を示す図である。
【図13】節点定義ファイルのデータ構造を例示する図である。
【図14】配管の経路を記述するルート情報のデータ構造例である。
【図15】レベル順定義テーブルのデータ構造を例示する図である。
【図16】平面図画面処理のフローチャートである。
【図17】レベル変更機器の配管のつなぎ直し処理の詳細フローチャートである。
【図18】継手、縦管、継手の組み合わせによって、配管のレベル差を解消した例である。
【図19】迂回路の例である。
【符号の説明】
【0076】
1 CPU
2 メモリ
4 ハードディスク駆動装置
6 入力装置
8 表示装置
10 ネットワークインターフェース
12 着脱可能記憶媒体駆動装置
20 制御部
21 表示制御手段
22 入力制御手段
23 順序関係規則記憶手段
24 編集手段
25 レベル配置手段
26 接続手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブ上に形成される基礎と、前記基礎上に載置される防振架台と、前記基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を組み合わせて構成される設備の設計支援装置であり、
平面図または前記平面図に垂直な断面上に前記設備要素を表示する表示手段と、
入力操作を受け付けて前記平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集手段と、
前記平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置手段と、を備える設備の設計支援装置。
【請求項2】
前記編集手段が前記平面図上に表示された設備要素に対してさらに新たな設備要素を追加する指定を受け付けると、前記レベル配置手段は、前記順序関係の規則にしたがって前記新たな設備要素よりも上位に配置すべき設備要素の下面位置を鉛直方向で前記新たな設備要素の厚み分だけ上方に移動し、前記新たな設備要素を前記上方に移動した設備要素の下側に挿入する請求項1に記載の設備の設計支援装置。
【請求項3】
前記編集手段は、前記平面図上に表示された設備要素のいずれかを削除する指定を受け付けると、その指定を受けた設備要素を削除し、前記レベル配置手段は、その設備要素よりも鉛直方向で上方に配置されていた設備要素を前記削除された設備要素の厚み分だけ下方に移動する請求項1または2に記載の設備の設計支援装置。
【請求項4】
前記レベル配置手段は、新たな設備要素の種類が、すでに配置手段によって配置されている既存設備要素のいずかと同一種類の設備要素であるときに、前記新たな設備要素を鉛直方向で前記同一種類の既存設備要素の上側に配置する同一種類積層手段を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の設備の設計支援装置。
【請求項5】
前記新たな設備要素の追加によって上方に移動した設備要素、または、前記設備の削除によって下方に移動した設備要素のうち、いずれかが配管に接続されていた機器であるときに、前記配管に接続されていた機器の配管への接続口と、移動前にその接続口に接続されていた配管とを接続する接続手段をさらに備える請求項1から4のいずれか1項に記載の設備の設計支援装置。
【請求項6】
コンピュータが、スラブ上に形成される基礎と、前記基礎上に載置される防振架台と、前記基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を1以上組み合わせて構成される設備の設計を支援する設計支援方法であり、
平面図または前記平面図に垂直な断面上に前記設備要素を表示する表示ステップと、
入力操作を受け付けて前記平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集ステップと、
前記平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置ステップと、を前記コンピュータが実行する設計支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、スラブ上に形成される基礎と、前記基礎上に載置される防振架台と、前記基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を1以上組み合わせて構成される設備の設計を支援させるプログラムであり、
平面図または前記平面図に垂直な断面上に前記設備要素を表示する表示ステップと、
入力操作を受け付けて前記平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、また
は削除する編集ステップと、
前記平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置ステップと、を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
スラブ上に形成される基礎と、前記基礎上に載置される防振架台と、前記基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を組み合わせて構成される設備の設計支援装置であり、
平面図または前記平面図に垂直な断面上に前記設備要素を表示する表示手段と、
入力操作を受け付けて前記平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集手段と、
前記平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置手段と、を備える設備の設計支援装置。
【請求項2】
前記編集手段が前記平面図上に表示された設備要素に対してさらに新たな設備要素を追加する指定を受け付けると、前記レベル配置手段は、前記順序関係の規則にしたがって前記新たな設備要素よりも上位に配置すべき設備要素の下面位置を鉛直方向で前記新たな設備要素の厚み分だけ上方に移動し、前記新たな設備要素を前記上方に移動した設備要素の下側に挿入する請求項1に記載の設備の設計支援装置。
【請求項3】
前記編集手段は、前記平面図上に表示された設備要素のいずれかを削除する指定を受け付けると、その指定を受けた設備要素を削除し、前記レベル配置手段は、その設備要素よりも鉛直方向で上方に配置されていた設備要素を前記削除された設備要素の厚み分だけ下方に移動する請求項1または2に記載の設備の設計支援装置。
【請求項4】
前記レベル配置手段は、新たな設備要素の種類が、すでに配置手段によって配置されている既存設備要素のいずかと同一種類の設備要素であるときに、前記新たな設備要素を鉛直方向で前記同一種類の既存設備要素の上側に配置する同一種類積層手段を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の設備の設計支援装置。
【請求項5】
前記新たな設備要素の追加によって上方に移動した設備要素、または、前記設備の削除によって下方に移動した設備要素のうち、いずれかが配管に接続されていた機器であるときに、前記配管に接続されていた機器の配管への接続口と、移動前にその接続口に接続されていた配管とを接続する接続手段をさらに備える請求項1から4のいずれか1項に記載の設備の設計支援装置。
【請求項6】
コンピュータが、スラブ上に形成される基礎と、前記基礎上に載置される防振架台と、前記基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を1以上組み合わせて構成される設備の設計を支援する設計支援方法であり、
平面図または前記平面図に垂直な断面上に前記設備要素を表示する表示ステップと、
入力操作を受け付けて前記平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、または削除する編集ステップと、
前記平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置ステップと、を前記コンピュータが実行する設計支援方法。
【請求項7】
コンピュータに、スラブ上に形成される基礎と、前記基礎上に載置される防振架台と、前記基礎または防振架台上に載置される機器とを含む設備要素を1以上組み合わせて構成される設備の設計を支援させるプログラムであり、
平面図または前記平面図に垂直な断面上に前記設備要素を表示する表示ステップと、
入力操作を受け付けて前記平面図上または断面上で複数の設備要素を追加、変更、また
は削除する編集ステップと、
前記平面図上で重畳して配置された複数の設備要素について、前記設備要素間で、一の種類の設備要素と他の種類の設備要素とを鉛直方向に積み重ねるときの順序関係の規則にしたがって断面上の配置順を決定するレベル配置ステップと、を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2010−49651(P2010−49651A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−215649(P2008−215649)
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月25日(2008.8.25)
【出願人】(000169499)高砂熱学工業株式会社 (287)
【Fターム(参考)】
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