説明

設定機能付きプリンタおよびプリンタの設定方法

【課題】 簡単な構造で頻繁に使用する画面を表示した上、設定値の微調整を図ることができる設定機能付きプリンタおよびプリンタの設定方法を提供する。
【解決手段】 各動作モードの設定値を表示可能な表示部2と、設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を表示部2へ呼び出し可能であり、かつ、表示部に表示された第一の動作モード、または、第二の動作モードの設定値を1ずつ上昇、または、下降可能な可変部3と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、印字スピードや印字濃度の微調整を容易に行える設定機能付きプリンタおよびプリンタの設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、プリンタとしてのラベルプリンタにおける印字品質を上げるため、印字スピードの可変(調整)や印字濃度の微調整などの設定が重要であり、例えば、接続されるキーボードより前記設定作業を行うようになっている。
この種のプリンタにあっては、設定を行うためのモード設定画面を備えており、種々の動作モードを切り替えて運用できるようになっている。
しかしながら、プリンタとしてのラベルプリンタは近年、小型化が求められているため、前記モード設定画面としてはLCD(液晶表示装置)などの小さな表示画面を使用することが多くなってきた反面、高機能化されて動作モードが多岐にわたるため、メニューの初期画面から階層的に動作モードを切り替えるタイプを採用する傾向になってきた。しかるに、階層化されて画面の切り替えが複雑になったため、操作していると思った動作モードが、途中から別の動作モードに切り替わっても気付かないという弊害が起こった。
前記動作モードの切り替え時の弊害、すなわち、画面が切り替わったときに気付かないという問題点を解消すべく、各動作モード間を移行する際、音の変化によって動作モードが切り替わったことを操作者に報知できるようにしたプリンタが開発された(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1のプリンタによれば、音にて知らせるため、操作者に動作モードの切り替わったことが理解され易いものの、できれば複雑な動作モードの設定は避けたいという要望があった。
ところで、特に、ラベルプリンタにあっては、接続する切断装置(カッター)などの有無、使用するセンサーの種類(反射センサー、透過センサーなど)、あるいは、標準の印字スピードや濃度などの動作モードを設定後、テスト印字を行って最適な印字品質に調整することが行われている。すなわち、印字する被記録媒体の種類により紙質などが異なるために生じる印字濃度の濃淡や、暑い野外で使用するか、あるいは、涼しいスーパーのバックヤードで使用するかなどの設置環境の違いにより生じる「印字の滲み」などを回避するため微調整を行うが、印字品質は印字スピードおよび印字濃度に負うところが大きいため、標準の印字スピードや濃度に設定したのちにテスト印字を行いながら印字濃度の濃淡、あるいは、被記録媒体の搬送速度(印字スピード)を微調整している。
しかしながら、前述したようにプリンタの小型化ため各動作モードを表示する表示画面が小さくなる傾向にある上、動作モードの高機能化に伴い操作画面が階層化されているため、キーボードなどを操作し画面を複数表示して微調整するのが煩わしいという問題があった。
【0003】
【特許文献1】特開2003−140877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点に着目して成されたものであり、簡単な構造で頻繁に使用する画面を表示した上、設定値の微調整を図ることができる設定機能付きプリンタおよびプリンタの設定方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る設定機能付きプリンタは、各動作モードの設定値を表示可能な表示部と、前記設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を前記表示部へ呼び出し可能であり、かつ、表示部に表示された前記第一の動作モード、または、第二の動作モードの設定値を1ずつ上昇、または、下降可能な可変部と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係るプリンタの設定方法は、各動作モードの設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を、可変手段の押し込み、または引き出しにより表示手段へ表示し、かつ、表示手段に表示された前記設定値を、前記押し込み、または引き出し状態の前記可変手段により1ずつ上昇、または下降して微調整することを特徴とする。
また、第一の動作モードを、印字スピードの設定モードとし、また、第二の動作モードを、印字濃度の設定モードとするようにできる。
また、可変手段を、回動可能なボリュームとし、一方向に回動すると設定値を1ずつ上昇し、また、他方向に回動すると設定値を1ずつ下降し、かつ、押し込み、または、引き出し操作を止めると、押し込みと引き出しの中間位置に復帰するとともに、表示手段への第一の設定画面、または、第二の設定画面の表示から元の画面に戻るようにできる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の設定機能付きプリンタは、各動作モードの設定値を表示可能な表示部と、設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を表示部へ呼び出し可能とし、かつ、表示部に表示された第一の動作モード、または、第二の動作モードの設定値を1ずつ上昇、または、下降可能な可変部と、を備えたので、可変部を操作するだけで、第一または第二の動作モードの微調整が容易にできるという効果がある。
また、第2の発明に係るプリンタの設定方法は、各動作モードの設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を、可変手段の押し込み、または引き出しにより表示手段へ表示し、かつ、表示手段に表示された設定値を、押し込み、または引き出した状態の可変手段により1ずつ上昇、または下降して微調整するようにしたので、第一および第二の設定値の微調整が容易にできるという効果がある。
また、第一の動作モードを、印字スピードの設定モード、また、第二の動作モードを、印字濃度の設定モードとすれば、印字品質に影響を与える印字スピード、および印字濃度の微調整が容易となる。
また、可変手段を、回動可能なボリュームとし、一方向に回動すると設定値を1ずつ上昇し、また、他方向に回動すると設定値を1ずつ下降し、かつ、押し込み、または、引き出し操作を止めると、押し込みと引き出しの中間位置に復帰するとともに、表示手段への第一の設定画面、または、第二の設定画面の表示から元の画面に戻るようにすれば、ボリュームを操作するだけで第一の設定画面、第二の設定画面への切り替えが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の設定機能付きプリンタの一実施の形態を図1ないし図5に基づき説明する。
図1は、一実施の形態に係るプリンタとしてのラベルプリンタの外観を示す概略斜視図である。
図1に示すように、ラベルプリンタ1は、LCD(liquid crystal display)等の表示部2と、可変手段(可変部)としてのボリューム3と、印刷したラベルを排出するための発行口4とパソコン等の外部機器を接続するための図示省略のコネクタなどを備えている。
表示部2は、後述する印字スピードや印字濃度の設定画面を表示するものであり、設定画面には現状の設定値が表示されるようになっている。
ボリューム3は、表示された印字スピードおよび印字濃度を微調整する際に操作するものであり、押し込める、あるいは、引き出すとONとなるスイッチも兼ねており、通常は、押し込んだ位置と、引き出した位置の中間に位置している。
【0008】
図2は、図1に示したラベルプリンタ1の制御部11の構成例を示すブロック図である。同図に示すように、制御部11は、ROM(Read Only Memory)12に記憶されている制御プログラムに従って動作し、各種処理を実行するとともに各部を制御するCPU(Central Processing Unit)13と、制御プログラムを記憶するROM12と、CPU13が各種処理を実行する上で必要となる各種データを記憶するRAM(Random Access Memory)14と、図示せぬコネクタを介してホストコンピュータ(PC)16との間の通信を制御するインタフェース(I/F)15と、図示省略の被印字媒体に印字を行う印字ヘッドや被印字媒体を搬送方向に搬送するプラテンローラ等を備えた印字部17と、前記表示部2および印字部17とCPU13の間を制御する入出力インタフェース(I/F)18と、ボリューム3とCPU13の間を制御する入力インタフェース(I/F)19などから構成されている。
【0009】
次に、図3のフローチャートを参照して、ラベルプリンタ1の印字濃度、印字スピードを微調整するときの手順につき説明する。
ステップS01にて、ボリューム3がONにされたか否かを判定し、ステップS02にて、ボリューム3が押し込められたのか、あるいは、引き出されたのかを判定する。
ボリューム3が押し込められた場合には、ステップS03にて、第一の設定画面としての印字スピード設定画面(図4参照)が表示部2に表示されるとともに、現状の第一の動作モードである印字スピードの設定値(図示の例では、「145」mm/Sec)が表示される。
また、ステップS02にて、ボリューム3が引き出されたと判定された場合は、ステップS04にて、第二の設定画面としての印字濃度設定画面(図5参照)が表示部2に表示されるとともに、現状の第二の動作モードである印字濃度の設定値(図示の例では、「65」)が表示される。
ステップS05では、設定値の変更が指示されたか否かを判定する。すなわち、押し込んだ状態、あるいは、引き出した状態のボリューム3が右、あるいは、左に回されたかを判断する。ボリューム3は、右に回すと表示されている現状の設定値を「1」ずつカウントアップ(上昇)するようになっており、また、左に回すと現状の設定値を「1」ずつカウントダウン(下降)するようになっている。
ステップS06では、所望の設定値が得られたか否かが判定される。すなわち、操作者は、所望の設定値が得られた場合には、ボリューム3を回して元の位置に戻すと設定値の上昇、または、下降は止まる。
ステップS07にてボリューム3を離すと、ボリューム3は、押し込み、または、引き出しの中間位置に復帰し、S08にて元の画面を表示して終了する。
【0010】
上述したように、可変手段(可変部)であるボリューム3を押し込むことにより第一の設定画面である印字スピード設定画面に第一の設定値である印字スピードを表示し、あるいは、ボリューム3を引き出すことにより第二の設定画面である印字濃度設定画面に第二の設定値である印字濃度を表示し、さらに、押し込み、あるいは、引き出した状態のボリューム3を右、または左に回すことにより、表示された印字スピードの設定値、または印字濃度の設定値を「1」ずつカウントアップ(上昇)、あるいはカウントダウン(下降)するので、微調整が容易にできる。
【0011】
なお、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る設定機能付きプリンタの概略斜視図である。
【図2】同、図1に示したプリンタの制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】同、動作モードの設定値の微調整を図る手順を示すフローチャートである。
【図4】同、表示部に表示した第一の設定画面の説明図である。
【図5】同、表示部に表示した第二の表示画面の説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1 プリンタ(ラベルプリンタ)
2 表示手段(表示部)
3 可変手段(可変部、ボリューム)
4 発行口
11 制御部
12 ROM
13 CPU
14 RAM
15 インタフェース
16 ホストコンピュータ(PC)
17 印字手段(印字部)
18 入出力インタフェース(I/F)
19 入力インタフェース(I/F)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各動作モードの設定値を表示可能な表示部と、
前記設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を前記表示部へ呼び出し可能であり、かつ、表示部に表示された前記第一の動作モード、または、第二の動作モードの設定値を1ずつ上昇、または、下降可能な可変部と、を備えたことを特徴とする設定機能付きプリンタ。
【請求項2】
各動作モードの設定値のうち第一の動作モードの設定値を表示する第一の設定画面、または、第二の動作モードの設定値を表示する第二の設定画面を、可変手段の押し込み、または引き出しにより表示手段へ表示し、かつ、表示手段に表示された前記設定値を、前記押し込み、または引き出し状態の前記可変手段により1ずつ上昇、または下降して微調整することを特徴とするプリンタの設定方法。
【請求項3】
前記第一の動作モードは、印字スピードの設定モードであり、また、前記第二の動作モードは、印字濃度の設定モードであることを特徴とする請求項2記載のプリンタの設定方法。
【請求項4】
前記可変手段は、回動可能なボリュームであり、一方向に回動すると前記設定値を1ずつ上昇し、また、他方向に回動すると前記設定値を1ずつ下降し、かつ、押し込み、または、引き出し操作を止めると、押し込みと引き出しの中間位置に復帰するとともに、前記表示手段への第一の設定画面、または、第二の設定画面の表示から元の画面に戻ることを特徴とする請求項2記載のプリンタの設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−255478(P2009−255478A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−110341(P2008−110341)
【出願日】平成20年4月21日(2008.4.21)
【出願人】(307010993)株式会社サトー知識財産研究所 (588)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】