説明

設置用電界通信装置

【課題】ゲート通過時における通過人の誤認証を低減すること。
【解決手段】携帯用電界通信装置7から出力された信号を電界により受信するように第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bをポール3a,3bに設置し、第1の設置電極11aで受信した信号と第2の設置電極11bで受信した信号とを積算し、積算された信号がLレベルの場合に復調許可信号を出力し、出力された復調許可信号が入力された場合に、第1の設置電極11aで受信した信号と第2の設置電極11bで受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極から電界を電界伝達媒体に誘起して電界通信を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電界伝達媒体に対して送信すべき情報に基づく電界を誘起させ、また、電界伝達媒体に誘起された電界を検出して通信を行う電界通信装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、このような電界通信装置を改札や店舗等の入退場口(以下、ゲート)に利用した従来の設置用電界通信装置について説明する。図9は、ゲートを通過する通過人の識別情報等を取得している状態を示す上面図である。
【0004】
この設置用電界通信装置1は、ゲート3の内部又は外部に配置され、通過人Aが通過するゲート3の側面一領域に設置された設置電極11に電気的に接続されると共に、後述する携帯用電界通信装置7から送信された情報をシステム上位として処理するパソコン等の情報処理装置(不図示)に通信可能に接続されている。
【0005】
一方、通過人Aに所持される携帯用電界通信装置7は、図10に示すように、電界を電界伝達媒体に誘起する第1の電極72aと第2の電極72bとを携帯用電界通信装置7の外形を形成している筐体の対向表面にそれぞれ配置し、内部に格納されたトランシーバ回路71により、送信すべき情報に基づく電界を人体等の電界伝達媒体に誘起して電界通信を行うことが可能となっている。
【0006】
なお、設置用電界通信装置1や携帯用電界通信装置7において電界を電界伝達媒体に誘起して情報の送受を行う処理(すなわち、各装置内に具備されたトランシーバ回路等による電界通信処理)については特許文献1で説明されたものと同様であるため、説明は省略する。
【0007】
ここで、このような携帯用電界通信装置7を所持した通過人Aがゲート3を通過しようと試みた場合について説明する。通過人Aは、第1の電極72aを空間側(人体側ではない側)に向け、第2の電極72bを人体側に向けているものとする。
【0008】
対向配置された第1の電極72aと第2の電極72bから、通過人Aの識別情報等が極性の異なる信号(正極性信号と負極性信号)として断続的又は継続的にそれぞれ出力されているが、図9において設置電極11は第1の電極72aから出力される正極性信号の通信エリア内に位置しているため、設置用電界通信装置1は、第1の電極72aと設置電極11との間に形成された浮遊容量Cに基づく伝送経路を介して、第1の電極72aから出力された正極性信号を受信する。
【0009】
一方、第2の電極72bから出力される負極性信号の通信エリア内には設置電極11が存在しないため、図9に示す設置電極11と通過人Aとの位置関係においては、当該負極性信号は受信されない。
【0010】
その後、設置用電界通信装置1は、受信した正極性信号を用いて受信すべき情報(通過人Aの識別情報等)に復調した後に、上位の情報処理装置に送信する。
【0011】
なお、この上位の情報処理装置は、送信された通過人Aの識別情報を用いて認証し、ゲート通過に対する許可不許可を判定(認証成功の場合には許可と判定し、認証不成功の場合には不許可と判定)し、許可の場合には通過可信号をゲート3に設置された制御機器等に出力し、不許可の場合には通過不可信号を出力する。これにより、ゲート3を通過している通過人Aの通過可・不可を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2004−274452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、第1,第2の電極72a,72bがそれぞれ配置された携帯用電界通信装置7の対向表面から各信号がそれぞれ出力されるため、通信エリアが広く混信原因になるという問題があった。
【0014】
例えば、図11に示すように、通過人Aがゲート3により近接した場合、設置用電界通信装置1は、第1の電極72aとの間ではなく、第2の電極72bと設置電極11との間に形成された浮遊容量Cに基づく伝送経路W1を介して、第2の電極72bから出力された負極性信号を受信する。
【0015】
ここで、次の通過人Bが通過人Aに近づいた場合、通過人Bの所持する携帯用電界通信装置7の第1の電極72aと通過人Aとの間に浮遊容量C’が形成される。
【0016】
これにより、通過人Bの携帯用電界通信装置7の第1の電極72aと設置電極11との間にも通過人Aと浮遊容量C,C’とに基づく伝送経路W2が形成されるため、設置用電界通信装置1は、第1の電極72aから出力された正極性信号も受信する。
【0017】
すなわち、通過人Aの携帯用電界通信装置7の第2の電極72bから出力された信号と、通過人Bの携帯用電界通信装置7の第1の電極72aから出力された信号とが共に設置電極11に伝達されるため、設置用電界通信装置1において信号が混信するという問題があった。
【0018】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
請求項1記載の設置用電界通信装置は、送信すべき情報に基づく極性の異なる信号を異なる電極から電界によりそれぞれ出力する携帯用電界通信装置を所持した移動体が通過するゲートに利用される設置用電界通信装置において、前記携帯用電界通信装置から出力された信号を電界により受信するように前記ゲートに設置された第1の設置電極および第2の設置電極と、前記第1の設置電極で受信した信号と前記第2の設置電極で受信した信号とを積算し、積算された信号がLレベルの場合には復調許可信号を出力し、Hレベルの場合には前記復調許可信号を出力しない極性判定手段と、前記出力された復調許可信号が入力された場合に、前記第1の設置電極で受信した信号と前記第2の設置電極で受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調する復調処理手段と、を有することを特徴とする。
【0020】
本発明によれば、送信すべき情報に基づく極性の異なる信号を異なる電極から電界によりそれぞれ出力する携帯用電界通信装置を所持した移動体が通過するゲートに利用される設置用電界通信装置において、携帯用電界通信装置から出力された信号を電界により受信するように第1の設置電極および第2の設置電極をゲートに設置し、第1の設置電極で受信した信号と第2の設置電極で受信した信号とを積算し、積算された信号がLレベルの場合に復調許可信号を出力し、出力された復調許可信号が入力された場合に、第1の設置電極で受信した信号と第2の設置電極で受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調するため、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減できる。
【0021】
つまり、ゲート通過前の場合には、第1,第2の設置電極が共に通過人の通過方向手前に位置しており、第1,第2の設置電極は共に携帯用電界通信装置の一方の電極から出力される同じ極性の信号を受信するため、積算された信号はHレベルとなり、受信した信号が復調されることはない。
【0022】
一方、ゲート通過中の場合には、第1,第2の設置電極は携帯用電界通信装置の異なる電極から出力される極性の異なる信号をそれぞれ受信するため、積算された信号はLレベルとなり、受信した信号が復調される。
【0023】
すなわち、2つの設置電極と通過人との位置関係を信号の極性により判定することが可能となり、ゲート通過時における通信エリアを限定でき、通過人の誤認証を低減できる。
【0024】
請求項2記載の設置用電界通信装置は、請求項1記載の設置用電界通信装置において、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、他方の側面に設置された第3の設置電極および第4の設置電極を有する他の前記設置用電界通信装置から送信された前記受信すべき情報、又は前記復調処理手段で復調された受信すべき情報を情報処理装置に送信するデータ処理手段を更に有することを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、第1の設置電極および第2の設置電極は、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、他方の側面に設置された第3の設置電極および第4の設置電極を有する他の設置用電界通信装置から送信された受信すべき情報、又は復調処理手段で復調された受信すべき情報を情報処理装置に送信するデータ処理手段を更に有するため、携帯用電界通信装置から出力される信号を電界により第1,第2の設置電極で受信できない程度の位置で携帯用電界通信装置が所持される場合であっても、第3,第4の設置電極による受信エリアの拡大により、通過人の誤認証を確実に低減できる。
【0026】
請求項3記載の設置用電界通信装置は、請求項1又は2記載の設置用電界通信装置において、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、他方の側面に設置された第3の設置電極および第4の設置電極でそれぞれ受信した2つの信号と、前記第1の設置電極で受信した信号と、前記第2の設置電極で受信した信号との4つの信号のうち重複しない2つの信号を2つの信号の全ての組み合わせについて積算し、積算された複数の積算信号のうち2以上がLレベルの場合に、前記復調許可信号を出力すると共に、前記4つの信号のうち極性の同じ2つの信号を合成した2つの合成信号を出力する極性判定・合成手段を更に有し、前記復調処理手段は、前記2つの合成信号の差の信号から受信すべき情報を復調することを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、第1の設置電極および第2の設置電極は、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、他方の側面に設置された第3の設置電極および第4の設置電極でそれぞれ受信した2つの信号と、第1の設置電極で受信した信号と、第2の設置電極で受信した信号との4つの信号のうち重複しない2つの信号を2つの信号の全ての組み合わせについて積算し、積算された複数の積算信号のうち2以上がLレベルの場合に、上記復調許可信号を出力すると共に、それら4つの信号のうち極性の同じ2つの信号を合成した2つの合成信号を出力し、その2つの合成信号の差の信号から受信すべき情報を復調するため、携帯用電界通信装置がどのように所持される場合であっても、通過人の誤認証をより確実に低減できる。
【0028】
請求項4記載の設置用電界通信装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載の設置用電界通信装置において、前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、前記移動体の通過方向に沿って前後となるように前記ゲートの側面に設置されていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、第1の設置電極および第2の設置電極は、上下ではなく、移動体の通過方向に沿って前後となるようにゲートの側面に設置されているため、通過人の誤認証をより確実に低減できる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、ゲート通過時における通過人の誤認証を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1の実施の形態に係る設置用電界通信装置の構成を示す図である。
【図2】極性判定の説明図である。
【図3】携帯用電界通信装置の構成および等価回路を示す図である。
【図4】設置用電界通信装置の動作説明時の参照図である。
【図5】第2の実施の形態に係る設置用電界通信装置および遠隔端末の全体構成を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る設置用電界通信装置および遠隔端末の各構成を示す図である。
【図7】第3の実施の形態に係る設置用電界通信装置および遠隔端末の各構成を示す図である
【図8】極性判定・合成部の構成を示す図である。
【図9】従来の設置用電界通信装置の動作説明時の参照図である。
【図10】携帯用電界通信装置の構成を示す図である。
【図11】従来の設置用電界通信装置の問題点説明時の参照図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明を実施する一実施の形態について図面を用いて説明する。但し、本発明は多くの異なる様態で実施することが可能であり、本実施の形態の記載内容に限定して解釈すべきではない。
【0033】
〔第1の実施の形態〕
図1は、第1の実施の形態に係る設置用電界通信装置の構成を示す図である。この設置用電界通信装置1は、改札や店舗等の出入口に設置されたゲート3の内部又は外部に配置され、第1の設置電極11aと、第2の設置電極11bと、送信部12と、送受切替スイッチ13と、第1のアンプ・フィルタ部14aと、第2のアンプ・フィルタ部14bと、極性判定部15と、復調処理部16と、データ処理部17とを有する。これらの各部は、抵抗,インダクタ,コンデンサ,スイッチ,ダイオード,トランジスタ等の電気的素子が電気伝導体でつながった電気回路により構成される。
【0034】
以下説明するゲート3は、ゲート3を通過する通過人Aの通過方向に沿って隣接して立てられた一対のポール3a,3bで構成される。この一対のポール3a,3bに代えて、単なる一壁面をゲート3に利用することも可能である。また、後述する第2の実施の形態の場合には、通過路を挟んで対向する2つの壁面を利用してもよい。すなわち、本発明は、ゲートの構成や種類等には何ら限定されない。
【0035】
以下、設置用電界通信装置1を構成する各部の機能について説明する。
【0036】
第1の設置電極11aは、ポール3aの側面一領域に設置され、通過人Aがポール3aを近接通過した際に通過人Aの所持する携帯用電界通信装置7との間に形成される浮遊容量や電界伝達媒体としての通過人Aを介して、携帯用電界通信装置7から送信される信号を電界により受信する機能を有している。また、送信部12から出力される信号を電界により設置用電界通信装置1の外部に送信する機能を有している。
【0037】
第2の設置電極11bは、ポール3bの側面一領域に設置され、上記第1の設置電極11aに隣接するように配置される。第1の設置電極11aの機能と同様に、通過人Aがポール3bを近接通過した際に通過人Aの所持する携帯用電界通信装置7との間に形成される浮遊容量や電界伝達媒体としての通過人Aを介して、携帯用電界通信装置7から送信される信号を電界により受信する機能を有している。また、送信部12から出力される信号を電界により設置用電界通信装置1の外部に送信する機能を有している。
【0038】
このような第1,第2の設置電極11a,11bは、通過人Aが通過する側の各ポール側面に設置され、携帯用電界通信装置7の所持位置に近い高さで配置されることが望ましい。また、ゲート3が一壁面で構成される場合には、通過人Aの通過方向に沿って前後(図1において左右)となるように設置されることが望ましい。第2の実施の形態で説明する第3,第4の設置電極11c,11dについても同様である。
【0039】
送信部12は、データ処理部17により変調された信号を受信して極性を反転し、反転前の信号(以下、正極性信号)と、反転された極性の異なる信号(以下、負極性信号)とを、送受切替スイッチ13を介して第1の設置電極11aと第2の設置電極11bとからそれぞれ出力する機能を有している。
【0040】
送受切替スイッチ13は、データ処理部17や上位の情報処理装置から送信される送受切替制御信号に基づいて、第1,2の設置電極11a,11bの接続先を、送信部12又は第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bに切り替える機能を有している。
【0041】
すなわち、設置用電界通信装置1が送信手段となる場合には、第1,2の設置電極11a,11bと送信部12とを電気的に接続し、送信部12から送信される信号を第1,2の設置電極11a,11bに出力する。一方、設置用電界通信装置1が受信手段となる場合には、第1,2の設置電極11a,11bと第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bとを電気的に接続し、第1,2の設置電極11a,11bで受信した信号を第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bに出力する。
【0042】
第1のアンプ・フィルタ部14aは、第1の設置電極11aで受信した信号を送受切替スイッチ13を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、後段の極性判定部15および復調処理部16に出力する機能を有している。
【0043】
第2のアンプ・フィルタ部14bは、第1のアンプ・フィルタ部14aの機能と同様に、第2の設置電極11bで受信した信号を送受切替スイッチ13を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、後段の極性判定部15および復調処理部16に出力する機能を有している。
【0044】
極性判定部15は、第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bからそれぞれ出力された2つの信号の極性が異なる場合に、復調許可信号を復調処理部16に出力する機能を有している。
【0045】
具体的には、ミキサ回路151と判別部152とで構成される。ミキサ回路151は、第1のアンプ・フィルタ部14aを経由して第1の設置電極11aで受信した信号と、第2のアンプ・フィルタ部14bを経由して第2の設置電極11bで受信した信号とを積算する。判別部152は、積算された信号がLレベル(ローレベル)の場合には、復調許可信号を復調処理部16に出力し、Hレベル(ハイレベル)の場合には、復調許可信号を出力しない。
【0046】
すなわち、図2に示すように、第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bから出力された2つの信号の極性が異なる場合、積算信号はLレベルになるため、復調許可信号を出力する(図2(b)参照)が、それら2つの信号の極性が同じ場合には、積算信号はHレベルになるため、復調許可信号を出力しない(図2(a)参照)。異極性の場合と同極性の場合とでミキサ回路151からの出力が反転するため、判別部152は、第1,第2の設置電極11a,11bで受信した信号の極性が異なるか同一であるかを容易に判別できる。
【0047】
また、判別部152は、ミキサ回路151から出力された積算信号のH/Lにより2つの信号の極性を判別するのに代えて、積算信号と一定の基準強度とを比較し、積算信号の強度が当該基準強度よりも小さい場合に、復調許可信号を出力するようにしてもよい。
【0048】
復調処理部16は、極性判定部15から出力された復調許可信号が入力された場合に、第1のアンプ・フィルタ部14aを経由して第1の設置電極11aで受信した信号と、第2のアンプ・フィルタ部14bを経由して第2の設置電極11bで受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調する機能を有している。一方、復調許可信号が入力されない場合には、そのような復調処理は行わない。
【0049】
データ処理部17は、復調処理部16で復調された受信すべき情報を上位の情報処理装置に出力する機能を有している。また、その情報処理装置から送信された他の装置に送信すべき情報を所定の周波数で変調し、変調した信号を送信部12に出力する機能を有している。
【0050】
以上、設置用電界通信装置1について説明した。続いて、携帯用電界通信装置7について説明する。
【0051】
携帯用電界通信装置7は、図10を用いて説明したように、電界を電界伝達媒体に誘起する第1の電極72aと第2の電極72bとを携帯用電界通信装置7の外形を形成している筐体の対向表面にそれぞれ配置し、内部に格納されたトランシーバ回路71により、送信すべき情報に基づく電界を人体等の電界伝達媒体に誘起して電界通信を行う。そして、その対向配置された第1の電極72aと第2の電極72bとから、所定の周波数で変調された送信すべき情報を正極性信号と負極性信号としてそれぞれ出力する。
【0052】
ここで、第1の電極72aと第2の電極72bとからそれぞれ出力される信号の極性が異なる(反転している)ことを説明しておく。
【0053】
第1の電極72a又は第2の電極72bのいずれか一方は装置内の信号端子に接続され、他方は装置内のグランド端子に接続されている。ここで、携帯用電界通信装置7の外部の大地グランドを電位の基準とすると、第1の電極72aと第2の電極72bとの電位の極性は逆になる。図3(b)に、図3(a)に示した携帯用電界通信装置の等価回路を示す。
【0054】
トランシーバ回路71を信号原71とみなし、第1の電極72aと大地グランド100との間のインピーダンスの浮遊容量をCとし、第2の電極72bと大地グランド100との間のインピーダンスの浮遊容量をCとすると、大地グランド100での節点方程式から、以下の式(1)が成立する。この式(1)より、第1の電極72aと第2の電極72bとの信号電圧の極性が逆であることが分かる。
【0055】
jωC=−jωC ・・・式(1)
なお、jは虚数(=(−1)0.5)であり、ωは角周波数であり、VとVとはそれぞれ大地グランド100からみた第1の電極72aと第2の電極72bとの信号電圧である。
【0056】
以上、携帯用電界通信装置7について説明した。なお、設置用電界通信装置1および設置用電界通信装置1において、第1,第2の設置電極11a,11bや第1,第2の電極72a,72bから電界を電界伝達媒体に誘起して情報の送受を行う処理(すなわち、各装置内に具備されたトランシーバ回路等による電界通信処理)については特許文献1で説明されたものと同様であるため、説明は省略する。
【0057】
次に、設置用電界通信装置1の動作について説明する。なお、通過人Aは、図4に示すように、第1の電極72aを空間側(人体側ではない側)に向け、第2の電極72bを人体側に向けた状態で携帯用電界通信装置7を所持しているものとする。
【0058】
また、以降では、正極性信号を第1の電極72aから出力し、負極性信号を第2の電極72bから出力する場合を一例に説明するが、異なる極性の信号が第1,第2の電極72a,72からそれぞれ出力されていればよいため、正極性信号を第2の電極72bから出力し、負極性信号を第1の電極72aから出力するようにしてもよい。
【0059】
最初に、第1,第2の設置電極11a,11bが、通過人Aがゲート通過中に携帯用電界通信装置7から出力される信号を、携帯用電界通信装置7との間に形成された浮遊容量や電界伝達媒体としての通過人Aを介して受信する。
【0060】
次に、第1のアンプ・フィルタ部14aは、送受切替スイッチ13を経由して第1の設置電極11aで受信した信号を受け取り、増幅して雑音成分を取り除いた後に、極性判定部15および復調処理部16に出力する。
【0061】
また、当該出力と同時に、第2のアンプ・フィルタ部14bは、送受切替スイッチ13を経由して第2の設置電極11bで受信した信号を受け取り、増幅して雑音成分を取り除いた後に、極性判定部15および復調処理部16に出力する。
【0062】
その後、極性判定部15のミキサ回路151が、第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bから出力された2つの信号を積算し、判別部152が、積算信号がLレベルの場合にのみ復調許可信号を復調処理部16に出力する。
【0063】
最後に、復調処理部16が、極性判定部15から出力された復調許可信号が入力された場合にのみ、第1,第2のアンプ・フィルタ部14a,14bからそれぞれ出力された2つの信号の差を求めて受信すべき情報として復調する。
【0064】
ここで、ゲート通過前・通過後・通過中の各段階に分けて設置用電界通信装置1の動作を説明する。
【0065】
ゲート通過前の場合には、図4(a)に示すように、第1,第2の設置電極11a,11bが共に通過人Aの通過方向手前に位置しており、第1,第2の設置電極11a,11bは共に、携帯用電界通信装置7の第1の電極72aから出力される正極性信号を受信するため、極性判定部15による積算信号はHレベルとなり、設置用電界通信装置1は、受信した信号を復調しない。
【0066】
同様に、ゲート通過後の場合には、第1,第2の設置電極11a,11bが共に通過人Aの後方に位置しており、第1,第2の設置電極11a,11bは共に、第2の電極72bから出力される負極性信号を電界伝達媒体である通過人Aを介して受信するため、極性判定部15による積算信号はHレベルとなり、設置用電界通信装置1は、受信した信号を復調しない。
【0067】
一方、ゲート通過中の場合には、図4(b)に示すように、第1,第2の設置電極11a,11bが通過人Aを挟むように位置しており、第1の設置電極11aは第1の電極72aから出力される正極性信号を受信し、第2の設置電極11bは第2の電極72bから出力される負極性信号を通過人Aを介して受信するため、極性判定部15による積算された信号はLレベルとなり、設置用電界通信装置1の復調処理部16が受信した信号を復調する。
【0068】
すなわち、通過人Aが第1,第2の設置電極11a,11bの間に位置している場合には、異なる極性の信号を受信するため、受信した信号が復調される。一方、通過人Aが第1,第2の設置電極11a,11bの間よりも外側に位置している場合には、同じ極性の信号を受信するため、受信した信号は復調されない。
【0069】
また、通過人Aが例えば第2の設置電極11bの前方に極端に近づき、その第2の設置電極11bでしか信号が受信できなかった場合には、第1の設置電極11aから極性判定部15への信号はなく、極性判定部15によって積算された信号は変化せずにLレベルとならないため、受信した信号は復調されない。
【0070】
つまり、2つの設置電極11a,11bと通過人Aとの位置関係を信号の極性により判定することが可能となり、ゲート通過時における通信エリアを限定でき、通過人の誤認証を低減できる。
【0071】
第1,第2の設置電極11a,11bで十分に大きな信号を受信している場合では、第1,第2の設置電極11a,11bで受信した信号の差をとることでも、第1,第2の設置電極11a,11bで受信した信号の極性の比較を実行できる。
【0072】
すなわち、第1,第2の設置電極11a,11bで受信した信号が同極性の場合では差をとると信号強度が小さくなり、異極性の場合では信号強度が大きくなることを利用して通信エリアを限定できる。
【0073】
しかしながら、どちらか一方の設置電極でしか信号を受信していない場合でも差をとったときの信号は出力されるため、通信エリアは条件的にしか限定できない。
【0074】
これに対し、本実施の形態で説明したように、第1,第2の設置電極11a,11bで受信した信号の積をとる場合では、第1,第2の設置電極11a,11bで十分に大きな信号を受信して両者が異極性の場合しか積算された信号はLレベルとならない。
【0075】
すなわち、どちらか一方の設置電極でしか信号を受信していない場合は、積算された信号がLレベルとならず受信した信号は復調されない。したがって、より厳密に通信エリアを限定できる。
【0076】
以上より、第1の実施の形態によれば、送信すべき情報に基づく正極性信号と負極性信号とを第1の電極72aと第2の電極72bとから電界によりそれぞれ出力する携帯用電界通信装置7を所持した通過人Aが通過するポール3a,3bに利用される設置用電界通信装置1において、携帯用電界通信装置7から出力された信号を電界により受信するように第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bをポール3a,3bに設置し、第1の設置電極11aで受信した信号と第2の設置電極11bで受信した信号とを積算し、積算された信号がLレベルの場合に復調許可信号を出力し、出力された復調許可信号が入力された場合に、第1の設置電極11aで受信した信号と第2の設置電極11bで受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調するので、ゲート通過時における通過人Aの誤認証を低減できる。
【0077】
また、第1の実施の形態によれば、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bが、上下ではなく、通過人Aの通過方向に沿って前後となるようにポール3a,3bの側面に設置されているので、通過人Aの誤認証をより確実に低減できる。
【0078】
〔第2の実施の形態〕
第1の実施の形態では、携帯用電界通信装置7を通過方向右側に所持した場合について説明した。しかし、図5に示すように、通過方向左側に所持した場合には、第1,第2の設置電極11a,11bとの間の距離が遠くなるため、携帯用電界通信装置7から出力される信号を受信できない可能性がある。
【0079】
そこで、第2の実施の形態では、通過人Aの通過路を挟んで立てられた一対のポール3c,3dをもゲート3に利用して、受信エリアを拡大することにより、通過人の誤認証を確実に低減することを図る。
【0080】
この第2の実施の形態では、図6に示すように、第1の実施の形態で説明した構成に加えて、設置用電界通信装置1と同様の構成を有する遠隔端末1’を更に有している。
【0081】
この遠隔端末1’は、ポール3c,3dの内部又は外部に配置され、第3の設置電極11cと、第4の設置電極11dと、送信部12’と、送受切替スイッチ13’と、第1のアンプ・フィルタ部14a’と、第2のアンプ・フィルタ部14b’と、極性判定部15’と、復調処理部16’と、遠隔処理部17’とを有する。
【0082】
第3の設置電極11cは、通過路を挟んでポール3aに対向して立てられたポール3cの側面一領域に設置される。また、第4の設置電極11dは、同様に通過路を挟んでポール3bに対向して立てられたポール3dの側面一領域に設置され、上記第3の設置電極11cと隣接するように配置される。これら各設置電極の機能は第1の実施の形態で説明した第1,第2の設置電極11a,11bの機能と同様である。
【0083】
送信部12’と送受切替スイッチ13’との機能も、第1の実施の形態で説明した機能と同様である。
【0084】
第1のアンプ・フィルタ部14a’は、第3の設置電極11cで受信した信号を送受切替スイッチ13’を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、後段の極性判定部15’および復調処理部16’に出力する機能を有している。
【0085】
第2のアンプ・フィルタ部14b’は、第1のアンプ・フィルタ部14a’の機能と同様に、第4の設置電極11dで受信した信号を送受切替スイッチ13’を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、後段の極性判定部15’および復調処理部16’に出力する機能を有している。
【0086】
極性判定部15’は、第1,第2のアンプ・フィルタ部14a’,14b’からそれぞれ出力された2つの信号の極性が異なる場合に、復調許可信号を復調処理部16’に出力する機能を更に有している。
【0087】
具体的には、ミキサ回路151’と判別部152’とで構成される。ミキサ回路151’は、第1のアンプ・フィルタ部14a’を経由して第3の設置電極11cで受信した信号と、第2のアンプ・フィルタ部14b’を経由して第4の設置電極11dで受信した信号とを積算する。判別部152’は、その積算された信号がLレベルの場合には、復調許可信号を復調処理部16’に出力し、Hレベルの場合には、復調許可信号を出力しない。
【0088】
復調処理部16’は、極性判定部15’から出力された復調許可信号が入力された場合に、第1のアンプ・フィルタ部14a’を経由して第3の設置電極11cで受信した信号と、第2のアンプ・フィルタ部14b’を経由して第4の設置電極11dで受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調する機能を有している。一方、復調許可信号が入力されない場合には、そのような復調処理は行わない。
【0089】
遠隔処理部17’は、復調処理部16’で復調された受信すべき情報を設置用電界通信装置1のデータ処理部17に送信する機能を有している。また、そのデータ処理部17から送信された他の装置に送信すべき情報を所定の周波数で変調し、変調した信号を送信部12’に出力する機能を有している。
【0090】
一方、設置用電界通信装置1のデータ処理部17は、信号受信時に当該設置用電界通信装置1の復調処理部16又は遠隔端末1’の復調処理部16’のいずれか一方から受信すべき情報が入力されたときに、その受信すべき情報を上位の情報処理装置に出力する。
【0091】
すなわち、第2の実施の形態では、携帯用電界通信装置7を通過方向左側に所持した場合を考慮して、当該携帯用電界通信装置7から出力される各信号を第3,第4の設置電極11c,11dで受信するようにしている。信号受信後の端末装置1’の動作は設置用電界通信装置1の動作と同様である。
【0092】
以上より、第2の実施の形態によれば、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bは、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、他方の側面に設置された第3の設置電極11cおよび第4の設置電極11dを有する他の端末装置1’から送信された受信すべき情報、又は設置用電界通信装置1の復調処理部16で復調された受信すべき情報を上位の情報処理装置に送信するので、携帯用電界通信装置7から出力される信号を電界により第1,第2の設置電極11a,11bで受信できない程度の位置で携帯用電界通信装置7が所持される場合であっても、第3,第4の設置電極11c,11dによる受信エリアの拡大により、通過人Aの誤認証を確実に低減できる。
【0093】
また、第2の実施の形態によれば、第3の設置電極11cおよび第4の設置電極11dが、上下ではなく、通過人Aの通過方向に沿って前後となるようにポール3c,3dの側面に設置されているので、通過人Aの誤認証をより確実に低減できる。
【0094】
〔第3の実施の形態〕
第2の実施の形態では、携帯用電界通信装置7を通過方向左側に所持した場合について更に説明した。しかし、携帯用電界通信装置7を例えば首からぶら下げて所持した場合には、通過方向の左側・右側のいずれか一方に固定されないことから、一方の側の2つの設置電極(第1,第2の設置電極11a,11b、又は第3,第4の設置電極11c,11d)で、携帯用電界通信装置7から出力される2つの信号を共に受信できない可能性がある。
【0095】
そこで、第3の実施の形態では、設置用電界通信装置1と遠隔端末1’とでそれぞれ信号極性を判別するのに代えて、第1〜第4の設置電極11a〜11dで受信した全ての信号を設置用電界通信装置1のみで判別することにより、携帯用電界通信装置がどのように所持される場合であっても、通過人の誤認証をより確実に低減することを図る。
【0096】
図7は、第3の実施の形態に係る設置用電界通信装置および遠隔端末の各構成を示す図である。本実施の形態では、設置用電界通信装置1において、第1〜第4の設置電極11a〜11dで受信した全ての信号を受信して極性を比較し、異極性の信号を受信した設置電極が少なくとも一対ある場合にのみ復調を行うようにしている。また、その復調の際に、同極性の信号を合成した合成信号を利用している。
【0097】
設置用電界通信装置1は、第1,第2の実施の形態で説明した極性判定部を含む極性判定・合成部18を更に有する。また、遠隔端末1’は、送信部12’と、送受切替スイッチ13’と、第3のアンプ・フィルタ部14c’と、第4のアンプ・フィルタ部14d’とを有する。
【0098】
なお、設置用電界通信装置1と第1,第2の設置電極11a,11bとの接続関係、および遠隔端末1’と第3,第4の設置電極11c,11dとの接続関係は、図6に示した第2の実施の形態と同様である。送信部12,12’と送受切替スイッチ13,13’の機能も、第2の実施の形態で説明した機能と同様である。
【0099】
設置用電界通信装置1の第1のアンプ・フィルタ部14aは、第1の設置電極11aで受信した信号を送受切替スイッチ13を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、極性判定・合成部18に出力する機能を有している。
【0100】
設置用電界通信装置1の第2のアンプ・フィルタ部14bは、第2の設置電極11bで受信した信号を送受切替スイッチ13を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、極性判定・合成部18に出力する機能を有している。
【0101】
また、遠隔端末1’の第3のアンプ・フィルタ部14c’は、第3の設置電極11cで受信した信号を送受切替スイッチ13’を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、設置用電界通信装置1の極性判定・合成部18に出力する機能を有している。
【0102】
遠隔端末1’の第4のアンプ・フィルタ部は、第4の設置電極11dで受信した信号を送受切替スイッチ13’を介して受信し、増幅して雑音成分等を取り除いた後に、設置用電界通信装置1の極性判定・合成部18に出力する機能を有している。
【0103】
極性判定・合成部18は、第1〜第4のアンプ・フィルタ部14a,14b,14c’,14d’から出力された信号の極性を比較し、異なる極性の信号が少なくとも一対ある場合には、復調許可信号を復調処理部16に出力する機能を有している。また、同じ極性の信号を合成した合成信号を復調処理部16に出力する機能を有している。
【0104】
具体的には、図8に示すように、極性判定部181と極性識別部182と合成部183とで構成される。また、極性判定部181は、第1,第2の実施の形態と同様に、ミキサ回路1811と判別部1812とで構成される。
【0105】
ミキサ回路1811は、第1〜第4の設置電極11a〜11dでそれぞれ受信した4つの信号のうち重複しない2つの信号を、2つの信号の全ての組み合わせについて、積算する。
【0106】
判別部1812は、積算された積算信号がLレベルの場合(2つの信号の極性が異なっている場合)には、その積算信号を生成した2つの信号が異極性であることを示す負極性判別信号を極性識別部182に出力し、Hレベルの場合(2つの信号の極性が同じ場合)には、その積算信号を生成した2つの信号が同極性であることを示す正極性判別信号を出力する。なお、一方の入力がない場合(ある設置電極で信号を受信しなかった場合)には、信号を出力しない。
【0107】
極性識別部182は、負極性判別信号の入力が少なくとも一対あれば、すなわち、ミキサ回路1811で積算された複数の積算信号のうち2以上がLレベルの場合には、復調許可信号を復調処理部16へ出力する。また、正極性判別信号に基づいて極性が同じ信号を識別し、この識別結果に基づいて合成する信号を指定する合成指定信号を合成部183に出力する。
【0108】
合成部183は、その合成指定信号で指定された極性が同じ2つの信号を合成し、合成された2つの合成信号を復調処理部16に出力する。
【0109】
次に、本実施の形態に係る設置用電界通信装置1の動作について説明する。
【0110】
ゲート通過前の場合には、第1〜第4の設置電極11a〜11dが共に通過人Aの前方に位置しており、それら全ての設置電極は、携帯用電界通信装置7の第1の電極72aから出力される正極性信号を受信するため、図8に示した全ての判別部1812a〜1812fから出力される判別信号は正極性判別信号となり、復調許可信号が復調処理部16に出力されず、受信した信号を復調しない。
【0111】
同様に、ゲート通過後の場合には、第1〜第4の設置電極11a〜11dが共に通過人Aの後方に位置しており、それら全ての設置電極は、携帯用電界通信装置7の第1の電極72aから出力される負極性信号を受信するため、全ての判別部1812a〜1812fから出力される判別信号は正極性判別信号となり、復調許可信号がに出力されず、受信した信号を復調しない。
【0112】
一方、ゲート通過中の場合には、例えば、第1の設置電極11aと第3の設置電極11cとで正極性信号を受信し、第2の設置電極11bと第4の設置電極11dとで負極性の信号を受信する。
【0113】
その場合、判別部1812a,1812c,1812d,1812fからは負極性判別信号が出力され、他の判別部からは正極性判別信号が出力される。2つ以上の負極性判別信号が入力されたため、極性識別部182は、復調許可信号を復調処理部16に出力する。
【0114】
また、その出力と同時に、極性識別部182は、例えば、判別部1812bから出力された正極性判別信号に基づいて、第1の設置電極11aで受信した信号と第3の設置電極11cで受信した信号とが同じ信号であることを識別すると共に、判別部1812eから出力された正極性判別信号に基づいて、第2の設置電極11bで受信した信号と第4の設置電極11dで受信した信号とが同じ信号であることを識別して、第1の設置電極11aで受信した信号と第3の設置電極11cで受信した信号とを合成し、第2の設置電極11bで受信した信号と第4の設置電極11dで受信した信号とを合成することを示す合成指定信号を合成部183に出力する。
【0115】
合成部183は、第1の設置電極11aで受信した信号と第3の設置電極11cで受信した信号とを合成し、第2の設置電極11bで受信した信号と第4の設置電極11dで受信した信号とを合成して、それら2つの合成信号を復調処理部16に出力する。
【0116】
本実施の形態によれば、第1の設置電極11aおよび第2の設置電極11bは、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、他方の側面に設置された第3の設置電極11cおよび第4の設置電極11dでそれぞれ受信した2つの信号と、第1の設置電極11aで受信した信号と、第2の設置電極11bで受信した信号との4つの信号のうち重複しない2つの信号を2つの信号の全ての組み合わせについて積算し、積算された複数の積算信号のうち2以上がLレベルの場合に、復調許可信号を出力すると共に、それら4つの信号のうち極性の同じ2つの信号を合成した2つの合成信号を出力し、その2つの合成信号の差の信号から受信すべき情報を復調するので、携帯用電界通信装置7がどのように所持される場合であっても、通過人Aの誤認証をより確実に低減できる。
【符号の説明】
【0117】
1…設置用電界通信装置
1’…遠隔端末
3a〜3d…ポール
11a〜11d…第1〜第4の設置電極
12,12’…送信部
13,13’…送受切替スイッチ
14a,14b,14c’,14d’…第1,第2のアンプ・フィルタ部
15…極性判定部(極性判定手段)
151…ミキサ回路
152…判定部
16…復調処理部(復調処理手段)
17…データ処理部
18…極性判定・合成部(極性判定・合成手段)
181…極性判定部
1811…ミキサ回路
1812,1812a〜1812f…判別部
182…極性識別部
183…合成部
7…携帯用電界通信装置
71…トランシーバ回路
72a,72b…第1,第2の電極
100…大地グランド
A,B…通過人
C,C’…浮遊容量
W1,W2…伝送経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべき情報に基づく極性の異なる信号を異なる電極から電界によりそれぞれ出力する携帯用電界通信装置を所持した移動体が通過するゲートに利用される設置用電界通信装置において、
前記携帯用電界通信装置から出力された信号を電界により受信するように前記ゲートに設置された第1の設置電極および第2の設置電極と、
前記第1の設置電極で受信した信号と前記第2の設置電極で受信した信号とを積算し、積算された信号がLレベルの場合には復調許可信号を出力し、Hレベルの場合には前記復調許可信号を出力しない極性判定手段と、
前記出力された復調許可信号が入力された場合に、前記第1の設置電極で受信した信号と前記第2の設置電極で受信した信号との差の信号から受信すべき情報を復調する復調処理手段と、
を有することを特徴とする設置用電界通信装置。
【請求項2】
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、
他方の側面に設置された第3の設置電極および第4の設置電極を有する他の前記設置用電界通信装置から送信された前記受信すべき情報、又は前記復調処理手段で復調された受信すべき情報を情報処理装置に送信するデータ処理手段を更に有することを特徴とする請求項1記載の設置用電界通信装置。
【請求項3】
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、通過路を挟んで対向する一方の側面に設置されており、
他方の側面に設置された第3の設置電極および第4の設置電極でそれぞれ受信した2つの信号と、前記第1の設置電極で受信した信号と、前記第2の設置電極で受信した信号との4つの信号のうち重複しない2つの信号を2つの信号の全ての組み合わせについて積算し、積算された複数の積算信号のうち2以上がLレベルの場合に、前記復調許可信号を出力すると共に、前記4つの信号のうち極性の同じ2つの信号を合成した2つの合成信号を出力する極性判定・合成手段を更に有し、
前記復調処理手段は、
前記2つの合成信号の差の信号から受信すべき情報を復調することを特徴とする請求項1又は2記載の設置用電界通信装置。
【請求項4】
前記第1の設置電極および前記第2の設置電極は、
前記移動体の通過方向に沿って前後となるように前記ゲートの側面に設置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の設置用電界通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−191577(P2012−191577A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55519(P2011−55519)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】