説明

設計図作成システム、プログラムおよび情報記憶媒体

【課題】効率的に工作物の設計をすることができる設計図作成システム、プログラムおよび情報記憶媒体を提供する。

【解決手段】設計図作成システム100は、被接続対象部に接続される接続対象部の作図を指令する作図指令手段30aと、作図指令手段30aにより作図の指示をされた接続対象部を表示部10に表示する表示制御手段30bとを含む。設計図作成システム100は、接続点に接続される接続対象部の種類および必要条件を含む属性情報を記憶した属性情報記憶手段20aと、被接続対象部の一つの接続点を決定する接続点決定手段30cと、その接続点に基づき被接続対象部に対応する属性情報から種類および必要条件を抽出する接続条件抽出手段30dと、抽出された接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段30aを起動する起動手段30eと、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作物の設計の際に使用し得る設計図作成システム、プログラムおよび情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、建築物の設計図面の作成は、CADを用いて行われることが多くなっている。建築物の設計図面をCADで作成する場合において、被接続対象部に接続される接続対象部を作図する際、次のように行っていた。すなわち、作図コマンドを開き、そのコマンドの入力領域に、接続対象部の種類や寸法(たとえば径)、接続位置、取り付け高さなどを入力し、実行することで、接続対象部を作図していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、このような方法によれば、コマンドを開き、さらに種種の入力を行わなければならないため、非常に作図に当たっての操作数が多く、また、使いこなすには、かなりの訓練が必要であった。 本発明の目的は、効率的に工作物の設計をすることができる設計図作成システム、プログラムおよび情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0004】
(1)設計図作成システム (1−1)第1の設計図作成システム 本発明の第1の設計図作成システムは、 被接続対象部に接続される接続対象部の作図を指令する作図指令手段と、 前記作図指令手段により作図の指示をされた接続対象部を表示部に表示する表示制御手段と、を含む設計図作成システムであって、 該被接続対象部の接続点ごとに該接続点に接続される接続対象部の種類および必要条件を含む属性情報であって、被接続対象部ごとに対応づけられた属性情報を記憶した属性情報記憶手段と、 前記表示部に表示された被接続対象部の接続点のうち、一つの接続点を決定する接続点決定手段と、 前記接続点決定手段により決定された接続点に基づき、前記被接続対象部に対応する属性情報から、該接続点に接続される接続対象部の種類および必要条件を抽出する接続条件抽出手段と、 前記接続条件抽出手段により抽出された接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段を起動する起動手段と、を含む。
【0005】
接続点決定手段が接続点を決定し、接続条件抽出手段がその接続点に対応する接続条件(接続対象部の種類および必要条件)を属性情報から読み出し、起動手段がその接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段を自動起動している。したがって、この実施の形態によれば、接続対象部の種類、接続点の位置等を入力するためのコマンドを起動させる工程やそれらの情報を入力する工程が不要なため、作図作業の工程数を大幅に減らすことができ、作図業務の効率化を図ることができる。
【0006】
本発明の一態様として、工作物の設計条件を入力する設計条件入力手段と、 前記設計条件入力手段により入力された設計条件を記憶する記憶手段と、 前記記憶手段に記憶された設計条件に基づき、前記接続対象部の属性を決定する属性決定手段とを含むことができる。
【0007】
本発明の一態様として、前記属性情報は、部品の位置情報をさらに含み、 前記表示制御部により前記表示部に表示された2次元または3次元の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段と、 該接続対象部の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段と、を含み、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、2次元または3次元の前記接続対象部位の図形情報の表示位置と対応する位置に、3次元または2次元の前記接続対象部位の図形情報を表示することができる。
【0008】
本発明の一態様として、前記属性情報は、部品の位置情報をさらに含み、 前記表示制御部により前記表示部に表示された平面または断面の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段と、 該接続対象部の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段と、を含み、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、平面または断面の前記接続対象部位の図形情報の表示位置と対応する位置に、断面または平面の前記接続対象部位の図形情報を表示することができる。
【0009】
(1−2)第2の設計図作成システム 本発明の第2の設計図作成システムは、 工作物の構成要素の作図を指令する作図指令手段と、前記作図指令手段により作図の指示をされた工作物の構成要素を表示部に表示する表示制御手段と、 前記工作物の設計条件を入力する設計条件入力手段と、 前記設計条件入力手段により入力された設計条件を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された設計条件に基づき、前記作図指令手段により指示された前記工作物の構成要素の属性を決定する属性決定部と、 前記作図指令手段は、前記属性決定部で決定された属性を満たす前記工作物の構成要素の作図を指令する。
【0010】
属性決定手段が、設計条件を記憶した記憶手段から設計条件を読み出し、その設計条件にしたがって作図しようとする工作物の構成要素の属性(たとえば種類、取り付け位置)を決定するため、各工作物の構成要素を作図する際、その属性情報を入力する必要がない。このため、作図の効率化を図ることができる。
【0011】
(1−3)第3の設計図作成システム 本発明の第3の設計図作成システムは、 部品の図形情報を表示する表示部と、 前記部品の位置情報を含む属性情報が記憶された記憶部と、 前記表示部に表示する2次元または3次元の部品の図形情報を指定する部品指定手段と、 前記作図指令手段により指定された2次元または3次元の部品の図形情報を表示部に表示する表示制御部と、 前記表示部に表示された前記2次元または3次元の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段と、 該部品の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段と、を含み、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、前記部品指定手段により指定された2次元または3次元の部品の図形情報の表示位置と対応する位置に、対応する3次元または2次元の部品の図形情報を表示する。
【0012】
本発明の一態様として、前記部品の属性情報は、該部品の寸法を含み、 前記部品の属性情報に基づいて、2次元または3次元の図形情報を生成する図形情報生成手段を含むことができる。
【0013】
設計図面作成時に、2次元データおよび3次元データを画面上に表示することができる。これにより、設計している際に、同時に種種の観点から、作成している設計図をチェックすることができる。
【0014】
本発明の一態様として、前記部品に対応させて2次元または3次元の図形情報が記憶された記憶手段と、 前記記憶手段から前記部品の2次元または3次元の図形情報を抽出する図形情報抽出手段とを含むことができる。
【0015】
(1−4)第4の設計図作成システム 本発明の第4の設計図作成システムは、 部品の図形情報を表示する表示部と、 前記部品の位置情報を含む属性情報が記憶された記憶部と、 前記表示部に表示する平面または断面の部品の図形情報を指定する部品指定手段と、 前記部品指定手段により指定された平面または断面の部品の図形情報を表示部に表示する表示制御手段と、 前記表示部に表示された平面または断面の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段と、 該部品の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段と、を含み、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、前記部品指定手段により指定された平面または断面の部品の図形情報の表示位置と対応する位置に、対応する断面または平面の部品の図形情報を表示する。
【0016】
設計図面作成時に、平面データおよび断面データを画面上に表示することができる。これにより、設計している際に、同時に種種の観点から、作成している設計図をチェックすることができる。
【0017】
本発明の一態様として、前記部品の属性情報は、該部品の寸法を含み、 前記部品の属性情報に基づいて、平面または断面の図形情報を生成する図形情報生成手段を含むことができる。
【0018】
本発明の一態様として、前記部品に対応させて平面または断面の図形情報が記憶された記憶手段と、 前記記憶手段から前記部品の平面または断面の図形情報を抽出する図形情報抽出手段とを含むことができる。
【0019】
(2)プログラム (2−1)第1のプログラム 本発明の第1のプログラムは、 コンピュータを、被接続対象部に接続される接続対象部の作図を指令する作図指令手段、および 前記作図指令手段により作図の指示をされた接続対象部を表示部に表示する表示制御手段として機能させるプログラムであって、 前記コンピュータを、さらに、 該被接続対象部の接続点ごとに該接続点に接続される接続対象部の種類および必要条件を含む属性情報であって、被接続対象部ごとに対応づけられた属性情報を記憶した属性情報記憶手段、 前記表示部に表示された被接続対象部の接続点のうち、一つの接続点を決定する接続点決定手段、 前記接続点決定手段により決定された接続点に基づき、該被接続対象部に対応する属性情報から、該接続点に接続される接続対象部の種類および必要条件を抽出する接続条件抽出手段、 前記接続条件抽出手段により抽出された接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段を起動する起動手段、として機能させるためのプログラムである。
【0020】
本発明の一態様として、前記コンピュータを、さらに、 工作物の設計条件を入力する設計条件入力手段、 前記設計条件入力手段により入力された設計条件を記憶する記憶手段、 前記記憶手段に記憶された設計条件に基づき、前記接続対象部の属性を決定する属性決定手段、として機能させることができる。
【0021】
本発明の一態様として、前記属性情報は、部品の位置情報をさらに含み、 前記コンピュータを、さらに、 前記表示制御部により前記表示部に表示された2次元または3次元の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段、 該接続対象部の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段、として機能させ、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、2次元または3次元の前記接続対象部位の図形情報の表示位置と対応する位置に、3次元または2次元の前記接続対象部位の図形情報を表示することができる。
【0022】
本発明の一態様として、前記属性情報は、部品の位置情報をさらに含み、 前記コンピュータを、さらに、 前記表示制御部により前記表示部に表示された平面または断面の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段、 該接続対象部の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段、として機能させ、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、平面または断面の前記接続対象部位の図形情報の表示位置と対応する位置に、断面または平面の前記接続対象部位の図形情報を表示することができる。
【0023】
(2−2)第2のプログラム 本発明の第2のプログラムは、 コンピュータを、工作物の構成要素の作図を指令する作図指令手段、前記作図指令手段により作図の指示をされた工作物の構成要素を表示部に表示する表示制御手段、 前記工作物の設計条件を入力する設計条件入力手段、 前記設計条件入力手段により入力された設計条件を記憶する記憶手段、および、前記記憶手段に記憶された設計条件に基づき、前記作図指令手段により指示された前記工作物の構成要素の属性を決定する属性決定部、として機能させ、 前記作図指令手段は、前記属性決定部で決定された属性を満たす前記工作物の構成要素の作図を指令する、プログラムである。
【0024】
(2−3)第3のプログラム
本発明の第3のプログラムは、 コンピュータを、 部品の図形情報を表示する表示部、 前記部品の位置情報を含む属性情報が記憶された記憶部、 前記表示部に表示する2次元または3次元の部品の図形情報を指定する部品指定手段、 前記作図指令手段により指定された2次元または3次元の部品の図形情報を表示部に表示する表示制御部、 前記表示部に表示された前記2次元または3次元の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段、 該部品の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段、として機能させるためのプログラムであって、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、前記部品指定手段により指定された2次元または3次元の部品の図形情報の表示位置と対応する位置に、対応する3次元または2次元の部品の図形情報を表示する。
【0025】
本発明の一態様として、前記部品の属性情報は、該部品の寸法を含み、 前記コンピュータを、さらに、 前記部品の属性情報に基づいて、2次元または3次元の図形情報を生成する図形情報生成手段として機能させることができる。
【0026】
本発明の一態様として、前記コンピュータを、さらに、 前記部品に対応させて2次元または3次元の図形情報が記憶された記憶手段、 前記記憶手段から前記部品の2次元または3次元の図形情報を抽出する図形情報抽出手段として機能させることができる。
【0027】
(4)第4のプログラム 本発明の第4のプログラムは、 コンピュータを、 部品の図形情報を表示する表示部、 前記部品の位置情報を含む属性情報が記憶された記憶部、 前記表示部に表示する平面または断面の部品の図形情報を指定する部品指定手段、 前記部品指定手段により指定された平面または断面の部品の図形情報を表示部に表示する表示制御手段、 前記表示部に表示された平面または断面の部品の図形情報の位置を認識する位置認識手段、および、 該部品の属性情報の位置情報を、前記位置認識手段により認識された部品の図形情報の位置情報に変更する位置変更手段として機能させるためのプログラムであって、 前記表示制御部は、前記部品の属性情報から位置情報を取得し、前記部品指定手段により指定された平面または断面の部品の図形情報の表示位置と対応する位置に、対応する断面または平面の部品の図形情報を表示する。
【0028】
本発明の一態様として、前記部品の属性情報は、該部品の寸法を含み、 前記コンピュータを、さらに、 前記部品の属性情報に基づいて、平面または断面の図形情報を生成する図形情報生成手段として機能させることができる。
【0029】
本発明の一態様として、前記コンピュータを、さらに、 前記部品に対応させて平面または断面の図形情報が記憶された記憶手段、 前記記憶手段から前記部品の平面または断面の図形情報を抽出する図形情報抽出手段として機能させることができる。
【0030】
(3)情報記憶媒体 本発明の情報記憶媒体は、本発明のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照しながら説明する。
【0032】
1.設計図作成システム 図1は、実施の形態に係る設計図作成システムのブロック図である。
【0033】
実施の形態に係る設計図作成システム100は、表示部10と、記憶部20と、処理部30と、操作部40と、情報記憶媒体50とを含む。
【0034】
表示部10は、操作部40からの入力に応じて、工作物(たとえば建築物)の構成要素(たとえば配管、便器、壁、ドアなどの建築物の構成要素)の設計情報を表示する。表示部10の機能は、工作物の構成要素を表示することができるものであれば特に限定されず、たとえば、たとえばディスプレイ(液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ)、CRTを挙げることができる。表示部10には、図2に示すように、作図ウィンドウ60が表示され、その作図ウィンドウに2次元の平面データ領域62、2次元の断面データ領域64および3次元データ領域66を表示することができる。なお、これらの3つのデータ62,64,66のうち、一つのデータまたは二つのデータのみ表示してもよい。
【0035】
記憶部20は、属性情報記憶手段20aと、設計条件記憶手段20bと、図形情報記憶手段20cとを含む。
【0036】
属性情報記憶手段20aは、工作物の構成要素ごとに対応する複数の属性情報を記憶している。この属性情報を図3および図4を用いて説明する。図3は、大便器の属性情報の例であり、図4は、給水管の例である。工作物の構成要素が大便器や配管のように他の部材(接続対象部)で接続されるような部材(被接続対象部)の場合には、その被接続対象部の属性情報は、接続条件を有する(図3および図4参照)。被接続対象部の接続条件は、被接続対象部の接続点ごとに設定され、接続対象部の種類および必要条件、たとえば、接続対象部の種類、取付高さ、位置などの情報を含む。また、属性情報には、その工作物の構成要素の寸法(たとえば幅、奥行き、高さ)などの情報を含むことができる。
【0037】
設計条件記憶手段20bは、工作物の設計条件を記憶するものである。この工作物の設計条件とは、工作物のプロジェクト情報、すなわち工作物の種類(たとえば鉄筋コンクリートの建物であるという情報)、用途、態様(天井高さ、階数など)をいう。なお、記憶部20には、工作物の設計条件に対応させて、各構成要素の必要な条件を記憶したデータベースが記憶されている。
【0038】
図形情報記憶手段20cは、部品ごとに対応づけされた2次元の図形情報(平面の図形情報、断面の図形情報を含む。)および3次元の図形情報を記憶している。なお、図形情報の態様としては、単線形状図や、複線形状図、パラメトリック図形であってもよい。図5(A)は大便器の平面の単線形状図の例であり、図5(B)は大便器の平面の複線形状図の例であり、図5(C)は大便器の断面の複線形状図であり、図5(D)は大便器の3次元の図形情報の例である。
【0039】
記憶部20の機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、またはメモリ(ROM、RAM)などのハードウェアにより実現できる。なお、記憶部20の機能がRAMにより実現される場合には、属性情報や設計条件が記憶された情報記憶媒体から、電源立ち上げ時にそれらの情報を読み取る必要がある。
【0040】
処理部30は、作図指令手段30aと、表示制御手段30bと、接続点決定手30cと、接続条件抽出手段30dと、起動手段30eと、属性決定手段30fと、図形情報生成手段30gと、図形情報抽出手段30hと、位置認識手段30iと、位置変更手段30jとを含む。
【0041】
作図指令手段30aは、被接続対象部に接続される接続対象部の作図を指令する手段である。接続対象部は、被接続対象部に接続されるものであるが、たとえば、被接続対象部が大便器からなる場合には接続対象部は給水管または排水管となり、被接続対象部が空調機の場合には被接続対象部はダクトとなる。接続対象部には、対応する被接続対象部に接続される接続点を少なくとも一つ有する。
【0042】
表示制御手段30bは、工作物の構成要素の作図情報(たとえば作図指令手段により作図の指示をされた接続対象部)を表示部10に表示されるように制御するものである。
【0043】
接続点決定手段30cは、表示部10に表示された被接続対象部の接続点のうち、一つの接続点を決定するものである。接続点決定手段30cが接続点を決定する方法は、後述の処理フローのところで説明する。
【0044】
接続条件抽出手段30dは、接続点決定手段30cにより決定された接続点に基づき、被接続対象部に対応する属性情報から、その接続点に接続される接続対象部の種類および必要条件を抽出するものである。また、接続対象部の必要条件としては、たとえば寸法(接続対象部が配管の場合は径)などを挙げることができる。
【0045】
起動手段30eは、接続条件抽出手段30dにより抽出された接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段30aを起動するものである。たとえば、接続点決定手段30cにより給水管が接続される接続点が選択された場合には、起動手段30eは、給水管の作図を指令する作図指令手段30aを起動する。
【0046】
属性決定手段30fは、設計条件記憶手段20bに記憶された工作物の設計条件に基づき、作図する工作物の構成要素の属性を決定するものである。具体的には、工作物の設計条件として鉄筋コンクリートの建物であるというプロジェクト条件が設定されていた場合には、種種の構成要素を作図する際に、属性決定手段は、そのプロジェクト情報に応じた構成要素の種類などの属性情報を決定する。
【0047】
図形情報生成手段30gは、2次元の図形情報(平面の図形情報、断面の図形情報を含む。)および3次元の図形情報を生成するものである。具体的には、図形情報生成手段30gは、属性情報に含まれる構成要素の寸法にしたがって、図形情報(たとえばパラメトリック図形)を生成する(図6参照)。属性情報に含まれる寸法に基づいて図形情報(パラメトリック図面)を作成することにより、記憶部20に記憶する図形情報をその分だけ減らすことができる。図7は、パネルタンクの3次元のパラメトリック図形の例であるが、この図形は、横のパネル数、縦のパネル数、パネルの段数を入力し、各パネルの寸法を属性情報から読み出し計算処理することで生成されることができる。
【0048】
図形情報抽出手段30hは、図形情報記憶手段20cから部品の2次元の図形情報(平面図の図形情報、断面図の図形情報)または3次元の図形情報を抽出するものである。
【0049】
位置認識手段30iは、表示部10に表示された2次元または3次元の部品の図形情報の位置(設計上の位置)を認識する手段である。位置認識手段30iは、たとえば画面上の基準点からの距離に基づいて算出することができる。
【0050】
位置変更手段30jは、部品の属性情報の位置情報を、位置認識手段30iにより認識された部品の図形情報の位置情報に変更する手段である。
【0051】
処理部30の機能は、プロセッサ(たとえばCPU)により実現することができる。
【0052】
操作部40は、操作者が操作データを入力するためのものである。操作部40は、操作者が操作データを入力することができるものあれば特に限定されず、その機能は、たとえば、キーボード、マウスにより実現できる。
【0053】
操作部40は、経路入力手段40aと、部品指定手段40bと、設計条件入力手段40cと、接続領域指定手段40dと、経路編集手段40eとを含む。
【0054】
経路入力手段40aは、工作物の構成要素(たとえば配管)を作図する際に、その経路を入力する手段である。マウスによりカーソルを移動させ、そのカーソルの移動経路にしたがって、工作物の構成要素の経路が決まる場合には、マウスが経路入力手段として機能する。
【0055】
部品指定手段40bは、表示部10に表示する2次元または3次元の部品の図形情報を指定する手段である。表示部10に複数の部品の図形情報を表示し、マウスによりカーソルを動かし、クリックして図形情報を指定する場合には、マウスが部品指定手段として機能する。
【0056】
設計条件入力手段40cは、工作物の設計条件を入力する手段である。
【0057】
接続領域指定手段40dは、操作者が被接続対象部および接続点を指定するための手段である。たとえば、接続領域指定手段40dとしてのマウスにより画面上に表示されたカーソルを動かし、カーソルが所定領域にあるときにマウスをクリックすることで、接続領域を指定することができる。
【0058】
経路編集手段40eは、表示部10に表示されている配管などの経路の変更情報を入力する手段である。たとえば、キーボー
ドの所定のキーを押すことで、経路編集手段40eにより表示部10に表示された構成要素の経路を変更などすることができる。
【0059】
情報記憶媒体50は、プログラム(たとえば、設計図作成システムを実行するプログラム)などの情報を記憶させるものである。情報記憶媒体50の機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、またはメモリ(ROM)などのハードウェアにより実現できる。
【0060】
2.動作 (1)第1動作例 被接続対象部として大便器を、接続対象部として排水管を例に挙げて、図9〜図11を参照しながら説明する。
【0061】
まず、部品指定手段40bにより、表示部10に表示する被接続対象部を指定する(S10)。部品指定手段40bにより被接続対象部が指定されると、表示制御手段30bが表示部10に被接続対象部70を表示する(S11、図9(A)参照)。
【0062】
次に、接続領域指定手段40dにより接続領域を指定する(S12、図9(B)参照)。この接続領域の指定は、たとえばカーソル76をマウスで動かし、マウスをクリックすることで行うことができる。その接続領域が指定されると、接続点決定手段30cは、接続点72を決定する。接続点の決定方法としては、たとえば2つの方法がある。第1に、図10に示すように、接続領域指定手段30cにより指定された指定位置80から、各接続点までの距離X1,Y1を算出し、最も近い接続点72を判断し、その接続点72を接続対象部が接続される接続点とする方法である。第2に、図11に示すように、各接続点72,78ごとに選択領域72a,78aを決めておき、接続領域指定手段40dに指定された指定位置80がどの選択領域にあるかを判断し、その選択領域72aにおける接続点72を接続対象部が接続される接続点として決定する方法である。
【0063】
次に、接続条件抽出手段30dが、決定した接続点に基づき被接続対象部の属性情報から接続条件を読み出す(S14)。次に、起動手段30eが、接続条件に含まれる接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段30aを自動起動する。たとえば、被接続対象部が大便器の場合には、給水管または排水管の作図を指令する作図指令手段を起動させる(S15)。なお、ここでは接続点72が選択されているので、排水管の作図指令手段30aが自動起動する。
【0064】
次に、経路入力手段40aにより入力された経路情報に対応させて、接続対象部の経路を表示部10に表示する。具体的には、マウスによりカーソル76を移動させて、カーソル76の移動経路に対応した経路を有する排水管74を表示部10に表示することができる(S16、図9(C)参照)。
【0065】
(2)第2動作例 被接続対象部としての配管に、接続対象部として配管を接続する例を説明する。
【0066】
基本的には、第1動作例と同一だが、被接続対象部の配管は、図12(A)に示すように、複数の接続点72(1),72(2)・・・72(n)を有する。この配管90に他の配管92を接続する場合には、たとえば次のように行うことができる。たとえば、図12(A)に示すように、マウスによりカーソル76を接続しようとする領域にもっていき、そこでクリックすることで、接続点決定手段30cにより、接続点72(m)が決定される。接続条件抽出手段30dがその接続点72(m)に対応する接続条件を属性情報から読み出し、その接続条件を満たす配管76を作図するための作図指令手段30aを自動起動させる。そして、経路入力手段40aにより経路を入力し、その入力情報に基づき、図12(B)に示すように、表示制御手段30bが表示部10に他の配管を表示する。
【0067】
(3)第3動作例 図13を参照しながら、第3動作例を説明する。
【0068】
部品指定手段40bにより、工作物の構成要素を指定する(S20)。部品指定手段40bにより工作物の構成要素が指定されると、属性決定手段30fが設計条件記憶手段20bに記憶されている工作物の設計条件(プロジェクト情報)に従って、その構成要素の属性を決定する(S21)。次に、表示制御手段30bが、表示部10に決定された属性を満たす構成要素を表示する(S22)。
【0069】
(4)第4動作例 図14を参照しながら、第4動作例を説明する。この動作例では、工作物の構成要素(被接続対象部および接続対象部を含む)を表示するための動作例を説明する。
【0070】
工作部の構成要素を表示する際に、平面の図形情報、断面の図形情報および3次元の図形情報を表示してもよい。具体的には、次のように2次元および3次元の図形情報を表示することができる。ここでは、平面図データを軸に設計する場合の例を説明する。
【0071】
まず、ある部品を平面データ領域に表示する(S30)。位置認識手段30iが表示部10に平面データ領域に表示された部品の位置を認識する(S31)。次に、位置変更手段30jが、この部品の属性情報の位置情報を、位置認識手段30iにより認識された部品の図形情報の位置情報に変更する(S32)。次に、表示制御部30bは、部品の属性情報から位置情報を取得し、その2次元の図形情報の位置と対応する位置に、対応する断面の図形情報および3次元の図形情報を断面データ領域および3次元データ領域のそれぞれに表示する(S33)。
【0072】
なお、ここで、平面図データを軸に設計する例を挙げたが、断面図の図形データまたは3次元の図形データを軸にして設計してもよい。
【0073】
上記のいずれの動作例で表示される図形は、図形情報生成手段30gにより生成される図形であっても、図形情報抽出手段30hにより抽出された図形であってもよい。
【0074】
3.作用効果 (1)従来は、被接続対象部に接続される接続対象部を作図する際に、接続対象部の種類、接続点の位置、取り付け高さなどを入力して作図していた。しかし、この実施の形態によれば、操作者が指示した情報(たとえばカーソルで指定した位置)に基づき、接続点決定手段30cが接続点を決定し、接続条件抽出手段30dがその接続点に対応する接続条件(接続対象部の種類および必要条件)を属性情報から読み出し、起動手段30eがその接続対象部の種類および必要条件を満たす接続対象部の作図を指令する作図指令手段30aを自動起動している。したがって、この実施の形態によれば、接続対象部の種類、接続点の位置等を入力するためのコマンドを起動させる工程やそれらの情報を入力する工程が不要なため、作図作業の工程数を大幅に減らすことができ、作図業務の効率化を図ることができる。
【0075】
また、今までは作図指令手段を実行するために入力作業などの特殊な作業が必要であったが、この実施の形態によれば、操作者が接続点に近い位置を指定すれば自動的に作図指令手段30aが自動起動するため、より簡易な操作方法で作図をすることができる。したがって、CADなどの作図システムに熟練していない人でもより容易に操作することができる。
【0076】
また、一度属性情報に接続条件を入力してやれば、接続の際に情報を入力する必要がないため、情報入力のミスに基づき設計図作成のミスを減らすことができる。
【0077】
また、この実施の形態は、接続プロセスが多い、建築用の設計図作成システムとして特に有用である。
【0078】
(2)また、この実施の形態によれば、属性決定手段30fと、設計条件記憶部20bとを含むことから次の作用効果を奏することができる。
【0079】
属性決定手段30fが、設計条件記憶手段20bから設計条件を読み出し、その設計条件にしたがって作図しようとする工作物の構成要素の属性(たとえば種類、取り付け位置)を決定するため、各工作物の構成要素を作図する際、その属性情報を入力する必要がない。このため、作図の効率化を図ることができる。
【0080】
(3)この実施の形態によれば、設計図面作成時に、平面図データ、断面図データおよび3次元データを画面上に表示することができる。これにより、設計している際に、同時に種種の観点から、作成している設計図をチェックすることができる。
【0081】
本発明は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を超えない範囲で種々の変更が可能である。
【0082】
上記の例では、各部品には複数の接続点がある例を示したが、本発明は、一つの接続点のみしか有さない部品に接続対象部を接続する態様も含む。
【産業上の利用可能性】
【0083】
工作物、たとえば建築物の設計の際に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】設計図作成システムのブロック図を示す。
【図2】作図ウィンドウの表示例を示す。
【図3】大便器の属性情報を示す。
【図4】給水管の属性情報を示す。
【図5】部品の表示例を示す。
【図6】ポンプのパラメトリック図形の例を示す。
【図7】タンクのパラメトリック図形の例を示す。
【図8】第1動作例のフロチャートを示す。
【図9】第1動作例の各ステップの説明図である。
【図10】接続点決定方法を説明するための図である。
【図11】接続点決定方法を説明するための図である。
【図12】配管に他の配管を接続する動作の説明図である。
【図13】第3動作例を説明するための図である。
【図14】第4動作例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0085】
10 表示部
20 記憶部
20a 属性情報記憶手段
20b 設計条件記憶手段
20c 図形情報記憶手段
30 処理部
30a 作図指令手段
30b 表示制御手段
30c 接続点決定手段
30d 接続条件抽出手段
30e 起動手段
30f 属性決定手段
30g 図形情報生成手段
30h 図形情報抽出手段
30i 位置認識手段
30j 位置変更手段
40 操作部
40a 経路入力手段
40b 部品指定手段
40c 設計条件入力手段
40d 接続領域指定手段
40e 経路編集手段
50 情報記憶媒体
70 大便器
72 接続点
74 排水管
76 カーソル
78 接続点
80 指定位置
90 配管(被接続対象部)
92 配管(接続対象部)
100 設計図作成システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力手段、
表示部、
複数の接続部を有する被接続対象部の2次元図形情報および3次元図形情報を記憶した被接続対象部図形記憶手段、
被接続対象部を指定する被接続対象部指定手段、
被接続対象部指定手段により指定された被接続対象部を2次元および/または3次元で前記表示部に表示する表示制御手段、
2次元または3次元で前記表示部に表示された被接続対象部の各接続点に対し、接続対象部の作図を行なったとき、その作図が2次元の場合には3次元の作図も同時に行い、その作図が3次元の場合には2次元の作図も同時に行う作図指令手段
を備えていることを特徴とする設計図作成システム。
【請求項2】
入力手段および表示部備えるコンピュータを
複数の接続部を有する被接続対象部の2次元図形情報および3次元図形情報を記憶した被接続対象部図形記憶手段、
被接続対象部を指定する被接続対象部指定手段、
被接続対象部指定手段により指定された被接続対象部を2次元および/または3次元で前記表示部に表示する表示制御手段、
2次元または3次元で前記表示部に表示された被接続対象部の各接続点に対し、接続対象部の作図を行なったとき、その作図が2次元の場合には3次元の作図も同時に行い、その作図が3次元の場合には2次元の作図も同時に行う作図指令手段、として機能させるためのプログラム。
【請求項3】
請求項2に記載のプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−165382(P2010−165382A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−104940(P2010−104940)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2003−286275(P2003−286275)の分割
【原出願日】平成15年8月4日(2003.8.4)
【出願人】(503056610)株式会社ジオプラン (6)
【Fターム(参考)】