説明

設計支援システム、設計支援方法及びプログラム

【課題】設計を支援することができる設計支援システム、設計支援方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】設計支援システムの設計支援サーバ1は、利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、利用者用端末4に部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる。設計支援サーバ1は、部品が特定されると、特定された部品と同じ共通形状部を有し、この部品に類似する類似部品を特定する。続いて、設計支援サーバ1は、特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の専用形状部の形状データ、金型全体の形状データ、及び、共通形状部の形状データを利用者用端末4に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設計支援システム、設計支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
金型の設計や金型により形成される製品の設計においては、一般に、CAD(Computer Aided Design)が用いられ、このCADによって作成された金型等のCADデータを活用することにより、金型等の設計を支援する種々な提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、過去に射出成形機に使用した金型部品の3次元CAD情報及びその仕様属性情報をデータベース化し、このデータベースにある過去の事例情報を有効に用いて、入力される現在使用可能な射出成形機の3次元CAD情報及びその仕様に従って、新製品の金型を製作する際に迅速に設計を行うことを可能とする金型設計支援装置が提案されている。
【特許文献1】特開平9−254194号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような金型設計支援装置では、過去に設計した部品のCADデータ等を利用して金型設計を支援しており、過去に設計した部品と一部が異なる部品を設計する場合、共通部分があっても、新規な部品として金型設計をすることになってしまう。このように共通部分があっても新規な部品として設計をするのでは、効率的な設計をすることができない。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、効率的な設計をすることができる設計支援システム、設計支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかる設計支援システムは、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段と、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段と、
前記部品特定手段により特定された部品について、前記部品情報記憶手段に記憶された部品情報から、その部品の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の第2の観点にかかる設計支援システムは、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段と、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品を成形する金型の形状について、その金型専用の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の金型と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された金型に関する金型情報を、当該金型により成形される部品に対応付けて記憶する金型情報記憶手段と、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段と、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品から、前記部品特定手段により特定された部品と同じ共通形状部を有し、当該部品に類似する類似部品を特定する類似部品特定手段と、
前記金型情報記憶手段に記憶され、前記類似部品特定手段により特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の金型情報から、その金型の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段と、
を備える、ことを特徴とする。
【0008】
前記共通形状部は、例えば、その種類の部品又は金型に共通する部分である。
【0009】
本発明の第3の観点にかかる設計支援方法は、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶ステップと、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定ステップと、
前記部品特定ステップで特定された部品について、前記部品情報記憶ステップで記憶された部品情報から、その部品の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信ステップと、
を備える、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第4の観点にかかる設計支援方法は、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶ステップと、
前記部品情報記憶ステップで記憶された部品を成形する金型の形状について、その金型専用の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の金型と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された金型に関する金型情報を、当該金型により成形される部品に対応付けて記憶する金型情報記憶ステップと、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定ステップと、
前記部品情報記憶ステップで記憶された部品から、前記部品特定ステップで特定された部品と同じ共通形状部を有し、当該部品に類似する類似部品を特定する類似部品特定ステップと、
前記金型情報記憶ステップで記憶され、前記類似部品特定ステップで特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の金型情報から、その金型の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信ステップと、
を備える、ことを特徴とする。
【0011】
本発明の第5の観点にかかるプログラムは、
コンピュータを、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段、
前記部品特定手段により特定された部品について、前記部品情報記憶手段に記憶された部品情報から、その部品の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする。
【0012】
本発明の第6の観点にかかるプログラムは、
コンピュータを、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品を成形する金型の形状について、その金型専用の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の金型と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された金型に関する金型情報を、当該金型により成形される部品に対応付けて記憶する金型情報記憶手段、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品から、前記部品特定手段により特定された部品と同じ共通形状部を有し、当該部品に類似する類似部品を特定する類似部品特定手段、
前記金型情報記憶手段に記憶され、前記類似部品特定手段により特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の金型情報から、その金型の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段、
として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、効率的な設計をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態にかかる設計支援システム、設計支援方法及びプログラムについて説明する。本実施の形態では、射出成形機の金型、及び、この金型を用いて形成される部品の設計を支援する場合を例に本発明を説明する。図1に本実施の形態の設計支援システムの構成を示す。
【0015】
図1に示すように、設計支援システムは、設計支援サーバ1と、設計支援データベース2と、通信ネットワーク3と、通信ネットワーク3を介して接続された利用者用端末4(4a〜4n)と、を備えている。
【0016】
設計支援サーバ1は、設計支援システムに関する各種の処理をするためのものである。図2に設計支援サーバ1の構成図を示す。図2に示すように、設計支援サーバ1は、通信制御部11と、処理制御部12と、データ記憶部13と、を備えている。
【0017】
通信制御部11は、例えば、ルータなどの所定の通信装置から構成され、設計支援サーバ1と通信ネットワーク3とを接続する。通信制御部11は、例えば、通信ネットワーク3を介して、利用者用端末4から部品や金型の形状データ(例えば、3次元CAD)を受信し、設計支援データベース2に記憶された3次元CADデータを利用者用端末4に送信する等の各種データ(情報)の送受信を行う。
【0018】
処理制御部12は、通信制御部11を介して通信を行い、また、各種の情報を処理する。処理制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を備え、データ記憶部13から読み出した動作プログラムを実行する等により各種の処理を実行する。
【0019】
データ記憶部13は、半導体メモリ、磁気ディスク記録装置などから構成され、各種の情報やプログラムを記録する。
【0020】
また、データ記憶部13には、2つの部品の形状データ(例えば、CADデータ)を対比し、両者が共通する部分(共通部分)と共通しない部分(専用部分)とを判別するプログラムを記憶する。処理制御部12は、このプログラムを実行することにより、後述する金型設計支援処理において、設計支援データベース2の部品情報DB22に記憶されている部品の形状データから、特定された部品と最も共通部分の多い類似部品を特定することができる。
【0021】
設計支援データベース2は、設計支援システムに関する各種の情報を記憶するデータベース(DB)である。図3に設計支援データベース2の構成を示す。図3に示すように、設計支援データベース2は、利用者情報DB21と、部品情報DB22と、金型情報DB23と、画像情報DB24と、を備えている。
【0022】
利用者情報DB21は、設計支援システムの利用を記憶するデータベースである。利用者情報DB21には、例えば、図4に示すように、利用者ID、会社名、所属、氏名、電話番号、メールアドレス、パスワード等が記憶されている。ここで、利用者IDは、利用者の識別情報である。パスワードは、利用者が設計支援システムにログインするためのパスワードである。
【0023】
部品情報DB22は、設計される金型により形成される部品(製品)に関する情報を記憶するデータベースである。部品情報DB22には、例えば、図5に示すように、部品番号、部品名、部品の形状データ(例えば、3次元CADデータ)等が記憶されている。
【0024】
ここで、部品情報DB22に記憶される部品の形状データには、共通形状部の形状データと、専用形状部の形状データと、共通形状部と専用形状部とを統合した部品全体の形状データとの3つの部品形状データが記憶されている。共通形状部とは、他の部品と共通する形状を有する部分をいい、例えば、その種類の部品に共通する形状を有する部分をいう。専用形状部とは、その部品専用の形状を有する部分をいう。例えば、部品5の形状が図6(a)に示す形状であり、共通形状部51の形状が図6(b)に示す形状であり、専用形状部52の形状が図6(c)に示す形状である場合、部品情報DB22には、図6(a)〜図6(c)に示す3つの形状データが記憶される。なお、部品情報DB22に記憶される部品5の形状データは3次元CADデータであるが、共通形状部51及び専用形状部52の形状を分かりやすく示すため、図6では部品5を断面図で示している。
【0025】
金型情報DB23は、設計された金型に関する情報を記憶するデータベースである。金型情報DB23には、例えば、図7に示すように、金型番号、対応する部品番号、金型の形状データ(例えば、3次元CADデータ)等が記憶されている。金型情報DB23に記憶される金型の形状データには、部品情報DB22に記憶された3つの部品形状データに対応するように、共通形状部の金型の形状データと、専用形状部の金型の形状データと、これらを統合した金型全体の形状データとの3つの金型形状データが記憶されている。例えば、部品形状データが図6(a)〜図6(c)に示す形状データである場合、図8(a)〜図8(c)に示すような3つの金型6の形状データが金型情報DB23に記憶されている。図8の金型6は、固定金型61と可動金型62とを備え、固定金型61に入子63が設けられている。また、共通形状部64及び専用形状部65が部品5の共通形状部51及び専用形状部52に対応する金型である。なお、図8では、部品の形状に対応する金型の形状を示しており、後述する金型構造部分等については示していない。
【0026】
画像情報DB24は、後述する各処理で表示される様々な画像を構成する情報を記憶するデータベースであり、これらの画像を生成するための様々な素材の画像、各種フォームなどを記憶する。
【0027】
通信ネットワーク3は、例えば、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)などの所定の通信プロトコルに基づくインターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークである。
【0028】
利用者用端末4は、例えば、通信機能を有するコンピュータなどから構成されている。利用者用端末4は、例えば、後述する各処理における操作入力等に用いられている。
【0029】
また、利用者用端末4は、部品及び金型の形状データ(例えば、3次元CADデータ)を用いて設計可能なコンピュータなどから構成されている。さらに、本実施の形態の利用者用端末4では、効率的に設計することができるように、金型構造部分のパーツに関する情報に、汎用パーツに関する情報が記憶されている。金型構造部分とは、金型の部品形状を構成しない部分であり、例えば、金型に樹脂を流し込むパーツ、成形機に取り付けるパーツ、成形機を取り出すパーツなどがある。これらは、設計された部品の形状に応じて、最適な形状、取りつけ位置等が異なることから、これらのパーツに関する情報、例えば、パーツの形状、パーツの取付位置等に関する情報が記憶されている。
【0030】
次に、以上のように構成された設計支援システムを用いた設計支援方法について説明する。以下、事前登録、ログイン、部品設計支援処理、登録処理、金型設計支援処理の順に説明する。
【0031】
(事前登録)
利用者が本発明の設計支援システムを利用するには、設計支援システムに事前登録し、本システムにログインすることが必要になる。以下、利用者が事前登録する場合について説明する。
【0032】
利用者は、利用者用端末4から通信ネットワーク3を介して設計支援サーバ1に、利用者の氏名、メールアドレス等の情報を送信する。設計支援サーバ1(処理制御部12)は、利用者の氏名等の情報を受け取ると、利用者ID及びパスワードを発行し、例えば、メールで利用者用端末4に利用者ID及びパスワードを送信する。また、処理制御部12は、受信した所定の情報、利用者ID及びパスワードを利用者情報DB21に登録する。これにより、利用者による事前登録が完了する。なお、本システムに管理者を設け、この管理者が事前登録を行うようにしてもよい。
【0033】
(ログイン)
利用者は、利用者用端末4から通信ネットワーク3を介して、設計支援サーバ1により提供されるWebサイトにアクセスし、受信したID(ログイン名)及びパスワードを入力する。処理制御部12は、送信されたログイン名及びパスワードから利用者であると認めると、例えば、図9に示すようなメニュー画面の情報(HTML形式の情報)を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4に送信し、利用者用端末4にメニュー画面を表示する。メニュー画面には、図9に示すように、部品・金型の形状データを登録する「登録処理」、部品の設計を支援する「部品設計支援処理」、金型の設計を支援する「金型設計支援処理」等のメニュー欄が配置されている。利用者は、利用者用端末4を操作して、このメニュー画面から、「部品設計支援処理」、「金型設計支援処理」等をクリックすることにより、部品設計や金型設計等の支援処理を実行することができる。
【0034】
(部品設計支援処理)
部品設計支援処理は、本システムの利用者が行う部品設計を支援する処理である。具体的には、部品設計支援処理は、設計支援サーバ1(処理制御部12)が、利用者が設計しようとする部品と共通する部分(共通形状部)を有する部品の形状データ(共通形状部、専用形状部、及び、部品全体の形状データ)を利用者用端末4に送信し、利用者の部品設計を支援する処理である。図10は、部品設計支援処理を説明するためのフローチャートである。
【0035】
まず、処理制御部12は、図9に示すメニュー画面を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4にメニュー画面を表示させる(ステップS1)。次に、処理制御部12はメニュー画面から「部品設計支援処理」が選択されているか否かを判別する(ステップS2)。すなわち、利用者が利用者用端末4を操作して、メニュー画面から「部品設計支援処理」をクリックしたか否かを判別する。処理制御部12は「部品設計支援処理」がクリックされていないと判別すると(ステップS2;No)、この処理を終了する。
【0036】
処理制御部12は、「部品設計支援処理」がクリックされていると判別すると(ステップS2;Yes)、部品特定用画面を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4に送信し、利用者用端末4に部品特定用画面を表示する(ステップS3)。利用者は、利用者用端末4を操作して、例えば、部品名等のような、部品を特定可能な情報を入力し、入力した情報を設計支援サーバ1(処理制御部12)に送信する。
【0037】
処理制御部12は、部品を特定可能な情報を受信すると、部品情報DB22に記憶されている部品の中から、受信した情報に合致する部品を抽出(特定)する。ここで、処理制御部12は、抽出した部品が複数ある場合には、例えば、これらの一覧に関する情報を作成して利用者用端末4に送信し、作業者に部品を選択(特定)させる。
【0038】
次に、処理制御部12は、部品が特定されているか否かを判別する(ステップS4)。処理制御部12は、部品が特定されていないと判別すると(ステップS4;No)、例えば、部品が特定されていない旨の情報を利用者用端末4に表示(送信)し、利用者に再度部品の特定に必要な情報の送信を求める。
【0039】
処理制御部12は、部品が特定されていると判別すると(ステップS4;Yes)、特定された部品の共通形状部、専用形状部、及び、部品全体の3つの形状データを利用者用端末4に送信し(ステップS5)、この処理を終了する。
【0040】
このように、部品設計支援処理では、利用者により部品が特定されると、処理制御部12が特定された部品の共通形状部、専用形状部、及び、部品全体の3つの形状データを利用者用端末4に送信する。このため、利用者は、送信された共通形状部の形状データをそのまま利用し、さらに、専用形状部、及び、部品全体の形状データを参考にして部品の設計を行うことができる。このため、部品の設計を効率的に行うことができる。
【0041】
(登録処理)
登録処理は、部品や金型の形状データ等の情報を登録する処理である。登録処理は、例えば、部品設計支援処理や後述する金型設計支援処理により設計した部品または金型の形状データ等を、部品情報DB22または金型情報DB23に登録する処理である。図11は、登録処理を説明するためのフローチャートである。
【0042】
まず、処理制御部12は、図9に示すメニュー画面を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4にメニュー画面を表示させる(ステップS11)。次に、処理制御部12はメニュー画面から「登録処理」が選択されているか否かを判別する(ステップS12)。すなわち、利用者がメニュー画面から「登録処理」をクリックしたか否かを判別する。処理制御部12は「登録処理」がクリックされていないと判別すると(ステップS12;No)、この処理を終了する。
【0043】
処理制御部12は、「登録処理」がクリックされていると判別すると(ステップS12;Yes)、登録用画面を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4に送信し、利用者用端末4に登録用画面を表示する(ステップS13)。
【0044】
利用者は、利用者用端末4を操作して、登録用画面に必要な内容を入力する。また、利用者は、利用者用端末4を操作して、登録する部品または金型の形状データ(共通形状部の形状データと、専用形状部の形状データと、これらを統合した全体の形状データとの3つの形状データ)を特定する。そして、利用者は、利用者用端末4を操作して、入力した内容に関する情報、及び、特定した形状データを設計支援サーバ1(処理制御部12)に送信する。
【0045】
次に、処理制御部12は、必要な情報を受信したか否かを判別する(ステップS14)。処理制御部12は、必要な情報を受信していないと判別すると(ステップS14;No)、例えば、必要な情報を受信していない旨の情報を利用者用端末4に表示(送信)し、利用者に再度必要な情報の送信を求める。
【0046】
処理制御部12は、必要な情報を受信していると判別すると(ステップS14;Yes)、受信した情報に応じて部品情報DB22または金型情報DB23に登録し(ステップS15)、この処理を終了する。
【0047】
(金型設計支援処理)
金型設計支援処理は、本システムの利用者が行う金型設計を支援する処理である。金型設計支援処理は、設計支援サーバ1(処理制御部12)が、利用者が設計しようとする金型と共通する部分(共通形状部)を有する金型の形状データ(共通形状部、専用形状部、及び、部品全体の形状データ)を利用者用端末4に送信し、利用者の金型設計を支援する処理である。図12は、金型設計支援処理を説明するためのフローチャートである。
【0048】
まず、処理制御部12は、図9に示すメニュー画面を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4にメニュー画面を表示させる(ステップS21)。次に、処理制御部12はメニュー画面から「金型設計支援処理」が選択(クリック)されているか否かを判別する(ステップS22)。処理制御部12は「金型設計支援処理」がクリックされていないと判別すると(ステップS22;No)、この処理を終了する。
【0049】
処理制御部12は、「金型設計支援処理」がクリックされていると判別すると(ステップS22;Yes)、部品特定用画面を画像情報DB24から読み出して、利用者用端末4に送信し、利用者用端末4に部品特定用画面を表示する(ステップS23)。利用者は、登録処理により部品情報DB22に登録し、設計する金型により形成される部品を特定する。例えば、利用者は、利用者用端末4を操作して、部品名、部品番号のような、部品を特定可能な情報を入力し、入力した情報を設計支援サーバ1(処理制御部12)に送信する。
【0050】
処理制御部12は、部品を特定可能な情報を受信すると、部品情報DB22に記憶されている部品の中から、受信した情報に合致する部品を抽出(特定)する。ここで、処理制御部12は、抽出した部品が複数ある場合には、例えば、これらの一覧に関する情報を作成して利用者用端末4に送信し、作業者に部品を選択(特定)させる。
【0051】
なお、設計する金型により形成される部品が部品情報DB22に登録されていない場合、利用者は、利用者用端末4を操作して、設計する金型により形成される部品の形状データを設計支援サーバ1(処理制御部12)に送信することにより、部品を特定してもよい。
【0052】
次に、処理制御部12は、部品が特定されているか否かを判別する(ステップS24)。処理制御部12は、部品が特定されていないと判別すると(ステップS24;No)、例えば、部品が特定されていない旨の情報を利用者用端末4に表示(送信)し、利用者に再度、部品の特定に必要な情報の送信を求める。
【0053】
処理制御部12は、部品が特定されていると判別すると(ステップS24;Yes)、部品情報DB22に登録されている部品の中から、特定された部品と同じ共通形状部を有する部品(類似部品)を特定する(ステップS25)。具体的には、処理制御部12は、データ記憶部13に記憶された2つのCADデータを対比し、両者が共通する部分(共通部分)と共通しない部分(専用部分)とを判別するプログラムを実行し、設計支援データベース2の部品情報DB22に記憶されている部品の形状データから、特定された部品と同じ共通形状部を有し、最も共通部分の多い類似部品(特定された部品の専用形状部の最も多くの部分が同一形状を有する部品)を特定する。
【0054】
次に、処理制御部12は、特定した類似部品を形成する金型、すなわち、特定した類似部品に対応付けられて記憶された金型を特定する(ステップS26)。続いて、処理制御部12は、特定した金型の形状データ(共通形状部、専用形状部、及び、金型全体の3つの形状データ)を利用者用端末4に送信し(ステップS27)、この処理を終了する。
【0055】
このように、金型設計支援処理では、利用者により部品が特定されると、処理制御部12が特定された部品に類似する部品を形成する金型の共通形状部、専用形状部、及び、金型全体の3つの形状データを利用者用端末4に送信する。このため、利用者は、送信された共通形状部の形状データをそのまま利用し、さらに、専用形状部、及び、金型全体の形状データを参考にして金型の設計を行うことができる。このため、金型の設計を効率的に行うことができる。
【0056】
なお、利用者は、金型の設計が終了すると、利用者用端末4を操作して、前述の登録処理を実行し、設計した金型の形状データ等を金型情報DB23に登録する。これにより、金型情報DB23に登録された金型に関する情報が増え、今後の金型の設計を効率的に行うことができる。
【0057】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な他の実施の形態について説明する。
【0058】
上記実施の形態では、部品設計支援処理及び金型設計支援処理において、共通形状部、専用形状部、及び、全体の3つの形状データを利用者用端末4に送信する場合を例に本発明を説明したが、共通形状部の形状データ、及び、専用形状部の形状データと全体の形状データとの少なくとも一方の形状データを利用者用端末4に送信すればよく、例えば、部品等の共通形状部の形状データと全体の形状データとを利用者用端末4に送信する場合や、部品等の共通形状部の形状データと、専用形状部の形状データとを利用者用端末4に送信する場合であってもよい。
【0059】
上記実施の形態では、部品または金型の共通形状部を、その種類の部品または金型に共通する形状を有する部分である場合を例に本発明を説明したが、共通形状部は、他の部品等と共通する形状を有する部分であればよく、部品等の種類に限定されるものではない。
【0060】
上記実施の形態では、部品の設計、及び、金型の設計を支援する場合を例に本発明を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、設計された金型の製作における金型加工用データの設計に用いてもよい。
【0061】
上記実施の形態では、部品等の形状データが3次元CADデータの場合を例に本発明を説明したが、形状データは、部品等の形状が特定可能なデータであれば本発明に適用可能である。
【0062】
本実施の形態にかかる設計支援サーバ1は、専用のシステムによらず、通常のコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、汎用コンピュータに、上述の処理を実行するためのプログラムを格納した記録媒体(フレキシブルディスク、CD−ROMなど)から当該プログラムをインストールすることにより、上述の処理を実行する設計支援サーバ1を構成することができる。
【0063】
そして、これらのプログラムを供給するための手段は任意である。上述のように所定の記録媒体を介して供給できる他、例えば、通信回線、通信ネットワーク、通信システムなどを介して供給してもよい。この場合、例えば、通信ネットワークの掲示板(BBS)に当該プログラムを掲示し、これをネットワークを介して搬送波に重畳して提供してもよい。そして、このように提供されたプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る設計支援システムの構成を示す図である。
【図2】図1の設計支援サーバの構成を示す図である。
【図3】図1の設計支援データベースの構成を示す図である。
【図4】利用者情報データベースの一例を示す図である。
【図5】部品情報データベースの一例を示す図である。
【図6】部品の形状データの一例を示す図である。
【図7】金型情報データベースの一例を示す図である。
【図8】金型の形状データの一例を示す図である。
【図9】メニュー画面の一例を示す図である。
【図10】部品設計支援処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】登録処理を説明するためのフローチャートである。
【図12】金型設計支援処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0065】
1 設計支援サーバ
2 設計支援データベース
3 通信ネットワーク
4 利用者用端末
5 部品
6 金型
11 通信制御部
12 処理制御部
13 データ記憶部
21 利用者情報データベース
22 部品情報データベース
23 金型情報データベース
24 画像情報データベース
51、64 共通形状部
52、65 専用形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段と、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段と、
前記部品特定手段により特定された部品について、前記部品情報記憶手段に記憶された部品情報から、その部品の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段と、
を備える、ことを特徴とする設計支援システム。
【請求項2】
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段と、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品を成形する金型の形状について、その金型専用の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の金型と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された金型に関する金型情報を、当該金型により成形される部品に対応付けて記憶する金型情報記憶手段と、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段と、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品から、前記部品特定手段により特定された部品と同じ共通形状部を有し、当該部品に類似する類似部品を特定する類似部品特定手段と、
前記金型情報記憶手段に記憶され、前記類似部品特定手段により特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の金型情報から、その金型の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段と、
を備える、ことを特徴とする設計支援システム。
【請求項3】
前記共通形状部は、その種類の部品又は金型に共通する部分である、ことを特徴とする請求項1または2に記載の設計支援システム。
【請求項4】
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶ステップと、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定ステップと、
前記部品特定ステップで特定された部品について、前記部品情報記憶ステップで記憶された部品情報から、その部品の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信ステップと、
を備える、ことを特徴とする設計支援方法。
【請求項5】
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶ステップと、
前記部品情報記憶ステップで記憶された部品を成形する金型の形状について、その金型専用の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の金型と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された金型に関する金型情報を、当該金型により成形される部品に対応付けて記憶する金型情報記憶ステップと、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定ステップと、
前記部品情報記憶ステップで記憶された部品から、前記部品特定ステップで特定された部品と同じ共通形状部を有し、当該部品に類似する類似部品を特定する類似部品特定ステップと、
前記金型情報記憶ステップで記憶され、前記類似部品特定ステップで特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の金型情報から、その金型の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信ステップと、
を備える、ことを特徴とする設計支援方法。
【請求項6】
コンピュータを、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段、
前記部品特定手段により特定された部品について、前記部品情報記憶手段に記憶された部品情報から、その部品の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
設計された部品の形状について、その部品専用の専用形状部の形状データと部品全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の部品と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された部品に関する部品情報を記憶する部品情報記憶手段、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品を成形する金型の形状について、その金型専用の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、他の金型と共通する共通形状部の形状データを含む、設計された金型に関する金型情報を、当該金型により成形される部品に対応付けて記憶する金型情報記憶手段、
利用者の情報端末に部品を特定させる部品特定画面に関する情報を送信し、該利用者の情報端末に前記部品特定画面を表示させ、利用者に部品を特定させる部品特定手段、
前記部品情報記憶手段に記憶された部品から、前記部品特定手段により特定された部品と同じ共通形状部を有し、当該部品に類似する類似部品を特定する類似部品特定手段、
前記金型情報記憶手段に記憶され、前記類似部品特定手段により特定された類似部品と対応付けて記憶されている金型の金型情報から、その金型の専用形状部の形状データと金型全体の形状データとの少なくとも一方の形状データ、及び、共通形状部の形状データを抽出し、当該抽出した形状データを前記利用者の情報端末に送信する送信手段、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−64167(P2009−64167A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−230401(P2007−230401)
【出願日】平成19年9月5日(2007.9.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】