説明

診断および放射線治療用の造影剤とその調製方法

この発明は、レクチンに選択的に結合する治療または放射線治療において役立つ式(I)


[ここで、式中、R、R’、R1、R2およびR3は明細書に定義してある]の化合物、それらの調製方法および医薬組成物に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、常磁性金属イオンまたは放射性核種にキレートできる化合物に関するものであり、そのキレートおよび特に核磁気共鳴映像法(以降M.R.I.またはMRIと略す)技術診断剤や放射線治療剤としての使用に関する。特にこの発明は、金属キレート剤に共有結合する単糖およびオリゴ糖残基からなる新規の診断上または放射線治療上に有効な治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線科医の観点からすると、X線画像の改良は、健康的な組織や臓器と病気のもののコントラストがより鮮明になることであり、それは診断に価値のある補助となると考えられている。X線画像の改良の手段は、たとえば、造影剤として知られる適切な外因性の物質の投与も含む。
【0003】
MRI技術では、緩和はプロトンが外部磁場にさらされると起こる現象であるが、これらの物質は、検査中、組織中の水のプロトンの緩和能に大きな変化が起こる常磁性の錯体を構成すると考えられている。
【0004】
緩和能は常磁性錯体固有の特徴であり、隣接する水素の核磁気緩和速度を増加する特徴を持つ。
このように高緩和速度をもつことは、画像のコントラストが増加するので、医療技術者は生理学的データを短時間に得ることができ、結果的に正確性とコストの面で有利となる。
【0005】
特にMRI造影剤は適切にキレートした常磁性金属イオンを含んでいる。ランタニド系列と同様に遷移金属が常磁性金属イオンとして最も広くMRI技術に用いられている。
【0006】
ランタニドに関しては、常磁性(7つの不対電子)と電子緩和において好ましい特徴をもつことという両方の性質からガドリニウムイオンがもっとも注目されている。
【0007】
たとえばガドリニウムイオンは金属のままでは強毒性を有することから、この金属イオンは錯体の形態で投与しなければならない。ガドリニウム錯体が最適な緩和能を維持しなければならないので、金属イオンとの錯体形成時に熱力学的にも速度論的にも安定化する錯体を与えるようなリガンドを選ぶことが決定的に重要となる。
【0008】
MRI造影剤としてガドリニウムイオンを含む常磁性金属イオンと直鎖または環状のポリアミノポリカルボン酸リガンドのキレート錯体が当該技術分野においては広く知られている。
【0009】
たとえば、その中では、二つのよく知られたポリアミノポリカルボン酸リガンド、すなわちジエチレントリアミノペンタ酢酸(DTPA)や1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA)がある。これらのリガンドとガドリニウムの錯体の安定性が体内に強毒性の遊離ガドリニウムイオンを放出することを妨げている。しかし、これらの分子の大きさのため、錯体は細胞外の非特異的生体内分布によって素早く排泄されてしまう。
【0010】
このような理由により、標的特異性が増加するようなガドリニウム錯体となるような、Gd-DTPA2-やGd-DOTA-と生体適合性のある高分子との結合に関する研究に近年焦点が当てられている[参考文献Rebizak et al., 1997]。
【0011】
最も市販されているMRI造影剤は、事実、診断上の有効性シグナルは上がっているが、代わりに生体特異性が欠如しており、投与量の減少および/または画像の質の改善が重要となっている。
たとえばモノクローナル抗体をGd-DTPA2-とカップリングすることといった、リガンド自身の化学構造を適切に修飾することにより、ガドリニウムベースの造影剤の生体特異性は達成されている[参考文献D. Shahbazi-Gahrouei et al., 2001]。
【0012】
ガドリニウム環境を変えることは、組織特異性を増し造影剤の投与量の低下とバックグラウンドのシグナルを低下させることができる一方で、緩和能の低下を招くので、この問題は簡単なことではない。
【0013】
糖残基が特定の組織や器官の細胞表面に発現していることが一般に知られている。さらに、特異的な糖結合タンパク(レクチン)は多種の役割を果たす(細胞-細胞および細胞-基質相互作用)[参考文献S. Asayama et al., 2004; C. Burtea et al., 2003; P. Marcon et al., 2005; H. Lis et al., 1998; B.G. Davis, 2002; and R.S. Haltiwanger et al., 1986]。このように特異的糖質含有薬のデザインにおいて、レクチン-糖相互作用はレクチンの発現の変化に関する病理学的診断および/または治療に関連して研究されてきた[参考文献J.P. Andre et al., 2004]。
【0014】
腫瘍はレクチンの変異が関わると考えられている病変である。特に、ガラクトース結合レクチン(ガレクチン)のファミリーの中では、ガレクチン3がいくつかの腫瘍組織に過剰発現する。たとえば、腫瘍性濾胞性甲状腺組織[参考文献H. Inohara et al., 1999]、膠芽腫[G. Elad-Sfadia et al., 2004]、非小細胞肺癌[参考文献F. Puglisi et al., 2004]、乳癌[参考文献K. S. Khaldoyanidi et al., 2003]、膵臓癌[参考文献P.O. Berberat et al., 2001]、結腸腺癌[参考文献M.E. Huflejt et al., 1997]がある。 またガレクチン3は関節リウマチの増悪に関わる [参考文献M. Neidhart et al., 2005]。一方ガレクチン4は、炎症性の腸障害と強く関連があると考えられている(たとえば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)[参考文献A. Hokama et al., 2004]。
【0015】
他の典型的なβ-ガラクトースの関与する相互作用は、受容体(ASGP-R)が、肝細胞膜に局在し、末端β-ガラクトースを有するアシアロ糖タンパクを認識する[参考文献S. Asayama et al., 2004, K. Kobayashi et al., 1994]。これに関連して、浅山らは、肝細胞表面に発現されるラクトースASGP-Rsの相互作用に比べて、Mn-ポルフィリンはラクトースと結合した場合には、HepG2細胞において3倍の細胞認識が観測されたことを示した[参考文献S. Asayama et al., 2004, K. Kobayashi et al., 1994]。
【0016】
さらに、いくつかのオリゴ糖はその病変において高発現または低発現するとされる特定の酵素と相互作用することが知られている[参考文献S. Aime et al., 2002]。当該文献においてAimeらは、標的となる常磁性のプローブの適用について報告した。β-ガラクトシダーゼの活動に影響を受けるβ-ガラクトース残基を含むGd-HPDO3Aの使用は特記すべきである。いったんβ-ガラクトースが生体内で酵素的に造影剤から除去されると、たとえば、遺伝子導入において診断信号が増強され、β-ガラクトシダーゼの過剰発現が検出される。
生物活性な糖と常磁性カチオンを結合する様々な試みがなされた[参考文献S. Asayama et al., 2004, J.P. Andre et al., 2004, C. Burtea et al., 2003, S. Aime et al., 2002]。それは、時間がかかり、糖残基それ自体の構造変換を含むいくつかの合成経路を含むこともあり、このことにより造影剤の望ましい生物活性が得られた。
【0017】
事実、糖残基の生物活性のコアを変えない反応条件下では、糖質の結合した金属錯体は、同様の生物相互作用を有する。
【0018】
最も使われる結合経路は、アミド結合(-CONH-または-NHCO-)を形成するが、時折、チオエーテルやエステル結合も形成されることが報告されている[参考文献J.P. Andre et al., 2004, P.Baia et al. 2005, US 4822594, EP 186947, EP 0707857, WO 99/01160]。
【0019】
この点で、欧州特許EP 661279では、特定の生物受容体に特異的な親水性置換基または断片を有する常磁性金属イオンのキレート化試薬が開示されており、それらは生体内分布が促進されていることが報告されている。親水性の断片の中でもとりわけ、糖残基はカルボキシアミド結合を介して結合している。しかし、その特徴のためにキレート化試薬は少なくとも3つの親水性断片で置換されなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
我々は、高生物選択的な特徴を持つ特異的診断上または放射線治療上有効な治療薬を見いだした。
特に、本発明においては糖残基が少なくとも一つのリガンドと呼ばれる金属キレーターとアミノ基(-NH-)を介して共有結合した新規誘導体について述べる。
【0021】
特にMRI造影剤としての診断目的の場合、結合している糖質が親水性であるため修飾されたリガンドは緩和能が増加する。加えて、糖残基が存在するために、本発明の診断上または放射線治療上有効な治療薬は、特に高生物特異性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の化合物は、実験項において説明するとおり、標準的方法に従って行われる還元的アミノ化反応を経て、非常に容易に調製できる。
このように本発明は、糖質の生物活性のある構造モチーフを維持したままでの、これらの化合物の単純、迅速かつ効率的な合成方法による調製も含む。
【0023】
この点で、加水分解を受けることのないアミノ結合が存在することにより本発明における化合物の化学的安定性のため、その後のいずれの反応溶液の回収および精製においても、投与される最終組成物の形成に至るまで、特に容易に遂行できた。
【0024】
標準的手段および、たとえば緩衝剤等を含む任意に適切な賦形剤を用いることにより、いったん投与される最終組成物が形成されたあとは、本発明の化合物の貯蔵が最も重要となるが、長期間の保存でも安定している。
【0025】
本発明の第一の目的は、式(I)
【化1】

[ここで、式中Rは、同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基(-OH)、酢酸基(-OCOCH3)、硫酸基(-OPO3H2)、リン酸基(-OSO3H)、アミノ基(-NH2)およびアセチルアミノ基(-NHCOCH3)から選択され、またはR基のうち、一つが上記定義されたものであり、他が直鎖または分岐のある単糖またはオリゴ糖鎖であり、
R’は、同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基(-OH)、酢酸基(-OCOCH3)、硫酸基(-OSO3H)、リン酸基((-OSO3H)、アミノ基(-NH2)およびアセチルアミノ基(-NHCOCH3)から選択され、
R1およびR2は、同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシメチル基(-CH2OH)、直鎖または分岐のあるC1からC4アルキルで任意にエステル化されたカルボキシル基、式(II)
-CH2-O-CH2-CH(OH)CH2R3-(II)
および-CH2R3から選択され、
R3は、それぞれ独立して、常磁性金属イオンまたは放射性核種でラベルされた診断上または放射線治療上有効なキレート残基であり、分子中の他の部分との連結として末端アミノ基(-NH-)を有する。]
の化合物または薬学的に許容される塩であり、
【0026】
本発明の化合物は、一つまたはそれ以上のキラル炭素として知られる不斉炭素を含み、光学活性体またはラセミ体で存在する。特に記載しないかぎり、本発明の式(I)の化合物は、光学活性体またはラセミ体およびそれらの混合物を含む。
【0027】
同様に、特に記載しない限り式(I)の一つまたはそれ以上の糖環は、糖またはオリゴ糖鎖(R)をもつ誘導体を含み、発明の意図する範囲において、任意のアルファおよびベータアノマーのコンホメーションをとる。
【0028】
Rは、糖またはオリゴ糖鎖とは、特に記載しない限り、単糖、二糖またはオリゴ糖の部分、残基または鎖を意味し、グリコシド単位は生物活性体であるとする。
【0029】
上記から、当業者にとっては明らかなことであるが、グリコシド単位の生物活性体は、環状糖鎖における置換基は適切かつ立体化学的に配置された同一の単位であり、それらが生物活性を発揮する。
【0030】
好ましくは、糖鎖残基は、ラクチトール(生物活性残基:β-D-ガラクトピラノシド)、ラクトシラミン[生物活性残基:N-(β-D-ラクトピラノシド)]、マルチトール(生物活性残基:α-D-グルコピラノシド)、マルトシラミン[生物活性残基:N-(β-D-マルトピラノシド)] および修飾されたシトラスペクチンから選択されるものである。
【0031】
ラクチトール、ラクトシラミン、マルチトールまたはマルトシラミンに関する一般的な参考文献は、"Essentials of carbohydrate chemistry and biochemistry", T.K. Lindhorst, ed. Wiley-WCH, 2000、ペクチンに関する一般的な参考文献は、たとえば[参考文献P. Nangia-Makker et al., 2002; D. Platt et al.,1992]がある。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明の具体的態様としては、上記に説明したとおり、式(I)の化合物において、R基がヒドロキシル基であるもの、または一つがヒドロキシル基であり他が単糖またはオリゴ糖鎖であるものが好ましい。
【0033】
後段の化合物のうちより好ましくは、単糖または糖鎖が、R’が上記定義されたものであり、nが1から7の整数である、式(III)の(IIIa)から(IIIh)
【化2】

の化合物を含むものである。
【0034】
後段の化合物のうち、特に好ましくは、nが1から3の整数である式(III)の糖またはオリゴ糖鎖である。
【0035】
R’に関しては、式(I)だけでなく式(III)の単糖またはオリゴ糖においても、ヒドロキシル基に対応する置換基については同一であることが特に好ましい。
【0036】
式(I)中のR1およびR2は、同一でも異なっていてもよく、ヒドロキシメチル、直鎖または分岐のC1-C4アルキル鎖で任意にエステル化されていてもよいカルボキシル基、式(II)
-CH2-O-CH2-CH(OH)CH2R3-(II)
または-CH2R3である。
特に記載のない限り、直鎖または分岐のC1-C4アルキル鎖とは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチルを意味する。
【0037】
R3はキレート能を有する残基を含むが、当業者にとっては明らかであるが、R1およびR2の意味するところからは、本発明の式(I)の化合物は一つまたはそれ以上のキレート能を有する残基を含む。
【0038】
従って、最初の具体的態様によると、R1およびR2がともにヒドロキシメチル基または任意にエステル化されたカルボキシル基である場合、一つのキレート能を有する残基が式(I)の化合物に存在することになる。
異なる具体的態様として、R1またはR2のいずれかがヒドロキシメチル基または任意にエステル化されたカルボキシル基であり、他が-CH2-O-CH2-CH(OH)-CH2R3(II)または-CH2R3である場合には、二つのキレート能を有する残基が式(I)の化合物に存在することになる。
【0039】
同様に、さらに異なる具体的態様として、ともにR1およびR2がヒドロキシメチル基または任意にエステル化されたカルボキシル基以外、すなわち-CH2-O-CH2-CH(OH)-CH2R3(II)または-CH2R3である場合、三つのキレート能を有する残基が式(I)の化合物に存在することになる。
【0040】
好ましくは、特に記載のない限り、一つまたはそれ以上のキレート能を有する残基が化合物中に存在する場合、同じ残基が存在することが望ましい。
【0041】
前にも報告したとおり、R3は診断上または放射線治療上有効なキレート能を有する残基であり、常磁性金属イオンまたは放射性核種によって適切にラベルされ、分子中の他の部分との連結として末端アミノ基(-NH-)を有している。
【0042】
本発明の化合物は、アミノ基(-NH2)で終わるキレート能を有する残基で構成される、または、異なる官能基を有する異なるキレート能を有する残基で構成されるが、同じ末端アミノ基を有することで容易に適切に修飾されやすい。
【0043】
特に、R3または特に記載のない限り、適切に常磁性金属イオンまたは放射性核種でラベルされた診断的に有効なキレート能を有する残基という用語は、イメージング診断過程において検出できるあらゆる残基を意味する。それは、イメージング診断技術において検出される残基を提供し、改善し、または、何らかの有利な変化をもたらす残基を意味する。
【0044】
上記の技術はたとえば、それらの技術と共同して用いることにより診断的に有用で、比較的コントラストのあるイメージを記録できる核磁気共鳴イメージング(MRI)または放射性イメージングを含む。
【0045】
本件発明による診断的に有効な残基の例は、たとえば、キレートまたはポリキレートした常磁性金属イオン錯体だけでなくキレートしたガンマ線または陽電子放射性核種がある。
【0046】
当業者にとっては明らかであるが、本件発明の診断用化合物の含むイメージングによって検出できる残基によって撮画手段は選ばなければならない。
【0047】
記載されない限り、使用している「キレーター」、「キレートリガンド」または「キレート剤」とは相互に置き換え可能であり、極性基を有する分子で一つまたはそれ以上の遷移金属または他の金属体と配位結合しうる化学残基、試薬、化合物または分子を意味する。本発明の好ましい面は、キレートするリガンドが環状または直鎖のポリアミノ、ポリカルボン酸またはホスホン酸を含んでいることで、通常これらはアミノ、チオールまたはカルボキシル基を有することによって複合体形成時またはラベリングの際に使われる。「ラベルした/ラベリング」または「錯体/錯体化」とは、本件では、選ばれた金属体とキレートリガンドがキレートまたは配位した錯体を形成することを意味する。
【0048】
前述の常磁性の金属イオンを特に含む金属体は核磁気共鳴映像法(MRI)といったイメージング技術によって検出可能であり、金属イオン(たとえば放射性核種)は常磁性の金属イオンまたはシンチグラフィイメージング、単一光子放射断層診断(SPECT)やポジトロン断層法(PET)といったイメージング技術によって検出可能である。
【0049】
本発明の好ましい具体的態様としては、式(I)の化合物のうち、R3は核磁気共鳴映像法(MRI)よって検出可能な常磁性金属イオンによってラベルされたキレートリガンド残基がある。
好ましい常磁性金属元素としては、元素番号が20から31、39、42、43、44、49および57から83である。常磁性金属イオンとしてより好ましくは、Fe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Ni(2+)、Rh(2+)、Co(2+)、Cr(3+)、Gd(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、Tb(3+)、Pm(3+)、Nd(3+)、Tm(3+)、Ce(3+)、Y(3+)、Ho(3+)、Er(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(3+)およびMn(2+)より選ばれるものであり、中でもGd(3+)が最も好ましい。
【0050】
適切なキレートリガンドとしては、ポリアミノポリカルボン酸とその誘導体、たとえば、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、ベンゾDTPA、ジベンゾDTPA、フェニルDTPA、ジフェニルDTPA、ベンジルDTPA、ジベンジルDTPA、N,N-ビス[2-[(カルボキシメチル)[(メチルカルバモイル)メチル]アミノ]エチル]-グリシン(DTPA-BMA)、N-[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-3-(4-エトキシフェニル)プロピル)]-N-[2-[ビス(カルボキシメチル)
アミノ]エチルグリシン(EOB-DTPA)、4-カルボキシ-5,8,11-トリス(カルボキシメチル)-1-フェニル-2-オキサ-5,8,11-トリアザトリデカン-13-オン酸(BOPTA);N,N-ビス[2-[(カルボキシメチル)[(メチルカルバモイル)メチル]アミノ]エチル]-グリシン(DTPA-BMA);N,N-ビス[2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]エチル]L-グルタミン酸(DTPA-GLU)、リジンと結合したDTPA(DTPA-Lys);エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン1,4,7-トリ酢酸(DO3A);1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTA);[10-(2-ヒドロキシプロピル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン1,4,7,10-テトラ酢酸(HPDO3A);6-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]テトラヒドロ-6-メチル-1H-1,4-ジアゼピン-1,4(5H)-ジ酢酸(AAZTA)およびこれらの誘導体、WO 03/008390に記載の誘導体、2-メチル-1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10テトラ酢酸(MCTA)、(α、α’、α’’、α’’’)-テトラメチル-1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-テトラ酢酸(DOTMA);ポリアミノリン酸リガンドまたはその誘導体、特にN,N’-ビス-(ピリドキサール-5-リン酸)エチレンジアミン-N,N’-ジ酢酸(DPDP)、エチレンジニトリロテトラキスメチルホスホン酸(EDTP);ポリアミノホスホン酸リガンドとその誘導体、たとえば、1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10 テトラキス[メチルホスホン)]酸および1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-テトラキス[メチレン-(メチルホスフィン)]酸、大環状キレーター、たとえばテキサフィリン、ポルフィリンまたはフタロシアニンがある。
【0051】
本発明における好ましいリガンドはたとえば、DTPA-GLU、DTPA-Lys、AAZTA-Lysおよびその誘導体である。
本発明の具体的態様としてより好ましくは、R3は以下に示すものが(括弧は単に末端アミノ基を強調するためだけにつけている)。
【化3】

【0052】
本発明の式(I)のMRI造影剤のうち特に好ましい例は、適切な常磁性金属イオン、たとえばガドリニウムイオンと形成される錯体であり、
【化4】

である。
【0053】
本発明における異なる具体的態様としては、R3が、適切に放射性核種でラベルされ診断上有効なキレート能を有する残基、すなわち、放射線イメージングにより検出可能な残基である放射線造影剤である式(I)の新規化合物がある。
【0054】
さらに異なる具体的態様としては、R3が放射線治療効果のある放射性核種で適切にラベルされたキレート能を有する残基である本発明の式(I)の新規化合物がある。
いずれの場合も、診断(放射線による)または治療(放射線治療)の目的としてR3は適切にキレートした放射性核種である。
しかし、特に「放射線イメージングにより検出可能な残基」は、シンチグラフィ、単一光子放射断層診断(SPECT)やポジトロン断層法(PET)といった、イメージング技術により検出可能な放射性核種の残基を意味するのに対し、「放射線治療のための」残基は治療上有効な放射性核種からなる。
【0055】
本明細書においては、特に記載のない限り、放射線造影剤または放射線治療に有効な薬剤としての式(I)の化合物は、R3が診断または治療目的の使用に知られているあらゆる適切な放射性核種によってラベルされたあらゆるキレートリガンドからなる。
【0056】
例として、MRI技術において上記報告した放射性核種のためのキレートリガンドに加えて、直鎖、大環状テルピリジン、N3S、N2S2およびN4キレーター(リガンドの具体例の参考文献としてはUS 5,367,080、US 5,364,613、US 5,021,556、US 5,075,099およびUS 5,886,142)および他のキレートリガンドとして知られているものがあるが、HYNIC、TETAおよびビスアミノビスチオール(BAT)キレーターに限られるのではない。
N4キレートリガンドはUS6,143,274、6,093,382、5,608,110、5,665,329、5,656,254および5,688,487に記載されている。
同様に、N3Sキレーターは、PCT/CA94/00395、PCT/CA94/00479、PCT/CA95/00249および米国特許登録番号5,662,885、5,976,495および5,780,006に記載されている。
N4キレートリガンドは、たとえば、米国特許登録番号6,143,274、6,093,382、5,608,110、5,665,329、5,656,254および5,688,487に記載されている。
同様に、N3Sキレーターは、PCT/CA94/00395、PCT/CA94/00479、PCT/CA95/00249および米国特許登録番号5,662,885、5,976,495および5,780,006に記載されている。またキレーターは、メルカプト-アセチル-グリシル-グリシン(MAG3)およびその誘導体があり、これにはMAMA (モノアミドモノアミジンジチオール)およびDADS (N2Sジアミンジチオール)およびCODADS 等のN3SおよびN2S2 システムが含まれる。リガンドシステムとその他の亜種についての参考文献は、Liu and Edwards; in Chem. Rev., 1999; 99, 2235-2268がある。
【0057】
放射性核種の選択は望む診断または治療の適用に基づいて決定される。
【0058】
たとえば初期の癌および転移に対する放射線治療という治療目的の場合には、好ましい放射性核種として、64Cu、90Y、105Rh、111In、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186/188Re、199Auおよび159Gdがあり、177Luおよび90Yが特に好ましい。
一方、たとえば初期の癌および転移の治療経過のモニターという診断目的の場合には、64Cu、67Ga、68Ga、99mTcおよび111Inが好ましい。
99mTcは、99Mo-99mTcジェネレータによって生産され、低価格で入手容易であることと、最適なイメージング特性を持ち、高特異的活性を有するため、診断時の適用に特に好ましい。
【0059】
上記に加え、適切なリガンド残基の選択は、リガンドラベリングに用いられる放射性核種にも依存することが重要である。
【0060】
このように、たとえば、99mTc、186Reおよび188Reが放射性核種の場合、特に好ましいリガンドは、米国特許登録番号6,093,382、5,608,110、6,143,274、5,627,286、6,093,382、5,662,885、5,780,006、5,627,286および5,976,495に記載されている。
【0061】
本発明によれば明らかなことであるが、キレートリガンド(R3)は、(i)常磁性の金属イオンまたはイメージング技術を通して検出される放射性核種で適切にラベルされた診断目的のものも、(ii)放射線治療活性のある放射性核種で適切にラベルされた治療目的のものも、式(I)の分子の他の部分との連結のために末端アミノ基から構成されるか、または上述したとおり、同様のアミノ基(-NH-)を構成するために適当なスペーサーによって適切に修飾されたものでなければならない。
【0062】
前述の通り、本発明の式(I)の化合物は薬学的に許容される塩の形態でも存在する。
【0063】
ここで用いられる「薬学的に許容される塩」という用語は、遊離の酸性または塩基性の官能基が存在する場合には、親化合物を薬学的に許容できる標準的な塩基または酸によって付加塩に変換した誘導体を含む。
【0064】
非毒性であること以外に、本発明の式(I)の化合物に対応する塩の化合物は、安定性が高いという特徴を持っているが、より一般にいうと、それは使用および投与における、親化合物の薬理活性または、薬物動態学的および薬力学的性質を損なわないようにするための生理学的安定性である。
【0065】
そのような適切な塩は、アミノ基といった塩基性残基に対する鉱酸または有機酸付加塩や、リン酸および硫酸基といった酸性残基に対する鉱物塩基または有機塩基付加塩がある。
【0066】
本発明において塩を調製するために用いられる無機塩基のカチオンは、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはマグネシウムのアルカリ金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンである。好ましい有機塩基のカチオンは、とりわけエタノールアミン、ジエタノールアミン、モルホリン、グルカミン、N-メチルグルカミンおよびN,N-ジメチルグルカミンといった1級、2級、および4級アミンが好ましい。
【0067】
本発明における塩錯体の形成に適切に使われる無機酸のアニオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物といったハロ酸のイオンまたは硫酸イオンのような他の適切なイオンが好ましい。
【0068】
有機酸のアニオンは通常、薬学的技術において塩基性の物質の塩形成に用いられる、たとえば、酢酸、コハク酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸またはシュウ酸が好ましい。
【0069】
本発明の適切に錯体の塩形成に用いられるアミノ酸としては、たとえば、タウリン、グリシン、リジン、アルギニン、オルニチン、アスパラギン酸およびグルタミン酸が好ましい。
【0070】
別の具体的態様として、本発明では、原則的に適切な糖と既知のキレート化試薬の還元的アミノ化反応からなる式(I)の化合物の調製のプロセスを提示する。
上記プロセスおよび後に詳述するいかなる類似の方法も、還元的アミノ化反応を行うのによく知られている方法と操作条件により本発明の化合物の調製を可能とするので、特に有利である。
【0071】
それゆえ、本発明においては付加的な目的となるが、本発明は式(I)の化合物の調製方法を含む。すなわち、
a)還元的条件下、適切な溶媒と酸化剤存在下、式(IV)
【化5】

[ここで、式中、RおよびR’が、上記定義されたとおりであり、R1およびR2が、上記説明の通りまたは追加的に、それぞれ独立して、アルデヒド基(-CHO)である]
の単糖またはオリゴ糖と、R3が、ラベルされていない末端アミノ基(-NH-)を有するキレート能を有する残基である式(V)の化合物
R3-H(V)
とを反応させ、式(I')
【化6】

[ここで、式中、R、R’、R1およびR2が、上記報告した意味であり、R3が、上記のキレートユニットである]の化合物を得、
b)式(I')の化合物を常磁性金属イオンまたは放射性核種によってラベルし、式(I)の化合物を得、任意に薬学的に許容される塩に変換することからなる。
【0072】
本プロセスは、本発明の目的化合物の調製や回収において、糖質の構造を変えることなく、したがって、生物学的特性を損なうことなく行うことができるので、特に有利である。
【0073】
式(I)の化合物に対応するが、未だラベルされていない形態である式(I')の化合物は、キレートリガンドが選択された常磁性金属イオンまたは放射性核種によってまだ錯体形成されておらず、新規な化合物であるので、さらなる発明の対象となる。
【0074】
ステップ(a)において、式(IV)と(V)の化合物との反応は、ワンポットで行うことができる。まず両反応物質を適切な溶媒に溶解し得られた溶液を適切に混合し、または、いかなる順序でもよいが、一方の反応物質を他の反応物質の適切な溶液に加えていくことによって行う。
【0075】
適切な溶媒としては、水、低級アルコール、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドおよびこれと同様のものが好ましい。
【0076】
溶媒は、水、メタノール、エタノールまたはそれらの混合物が、より好ましい。
非限定的な具体的態様としては、まず式(IV)の単糖またはオリゴ糖を水に溶解し得られた溶液を、好ましくはメタノールかエタノール溶液であるが、式(V)の化合物の適切な溶液に加えることがより好ましい。
【0077】
酸性化剤は、pH7以下にするために標準的に用いられているいずれでもよいが、たとえば、pH4から5にするものがよい。酸は、氷酢酸、蟻酸およびこれと同様のものが好ましい。
【0078】
化合物(IV)と(V)との上記反応は、還元的条件下において行われ、従って還元的アミノ化反応または触媒的水素化反応において用いられるあらゆる標準的な還元剤の存在下において行われる。
【0079】
上記還元的条件は、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、α-ピコリンボランおよびこれと同様のものが好ましく、シアノ水素化ホウ素ナトリウムおよび四ホウ酸ナトリウムが特に好ましい。
【0080】
一方、触媒的水素化においては、たとえば、ラネー/ニッケルまたは任意に担体を有する白金またはパラジウムベースの触媒という標準的な触媒存在下において行われる。
【0081】
式(I')の結果物は、いったん得られると反応液から単離され、続いて、たとえば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)および透析といった通常有機化学の技術によって行われる標準的方法によって回収および精製される。
【0082】
式(I')の目的化合物の回収および精製において、用いられた操作条件は、すべて、当該技術分野における通常の知識を有する者において可能な範囲にある。
【0083】
ステップ(b)において、一つまたはそれ以上のキレート残基を有する式(I')の化合物と、選択された常磁性金属イオンまたは放射性核種によるラベリングまたは錯体化は、標準的な方法によって行われる。たとえば、Gd (III)イオンとのキレート錯体の場合には、ラベリングは、P. Baia et al., 2005、P.L. Anelli et al., 2002、Z. Lu et al., 2004、S. Langereis et al., 2004およびS. Langereis et al., 2005に報告されている。
【0084】
最後に、任意に、式(I)の化合物のあらゆる遊離酸性基(たとえば、カルボン酸、硫酸、リン酸およびそれと同様のもの)または遊離塩基性基の薬学的に許容される塩への変換が適切に行われる。
【0085】
この場合にも、本発明の化合物の塩形成の反応条件は、すべて、当該技術分野における通常の知識を有する者において可能な範囲にある。
【0086】
異なる見方をすれば、当業者にとっては明らかであるが、本方法におけるあらゆる反応物質および/または中間誘導体は、ステップ(a)および(b)ごとにおいてだけでなく、それら類似の方法においても、および、起こりうる不要な副反応および副生成物が生じうる反応の前に適切に保護しなければならない。同様に、その保護基を、続く脱保護することで当該反応が完了する。
【0087】
本発明においては、特に記載のない限り、「保護基」とはそれが結合した官能基の機能を維持するのに適合した保護基である。特に、保護基は、アミノ基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を保護するために用いられる。適切な保護基としては、たとえば、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、アルキルまたはベンジルエステルまたは当該技術分野においてよく知られていて、その機能を保護するために通常用いられる置換基がある[参考文献としてはT. W. Green; Protective Groups in Organic Synthesis (Wiley, N.Y. 1981)]。
【0088】
本発明において、特に記載のない限り、たとえば、カルボキシル基、ヒドロキシル基およびアミノ基を含むあらゆる基の選択的保護および脱保護は、有機合成化学において通常用いられる非常によく知られた方法によって行われる。
【0089】
明らかなことであるが、式(I)の化合物および中間体に含まれる置換基、たとえば、酢酸誘導体、硫酸誘導体、リン酸誘導体、アセチルアミノ誘導体、エステル化されたカルボキシ誘導体およびこれらと同様の誘導体として同定されるものは、その由来する官能基からすべて標準的方法によって調製される。
【0090】
本発明の経過において、また、包括的に、前述した保護および脱保護ステップ、金属体とのラベリングおよび任意の塩形成に関わる反応は、本発明の式(I)の特定の化合物の調製の非常に効率的な合成経路を提供するために、前述した化合物種によって、適切に調節される。
【0091】
この点、本発明の代表的な式(I)の化合物の調製のための合成アプローチは、たとえば、R3が、キレート残基が一つだけ存在し、したがって、R1およびR2が、追加的にR3の残基の有するR1およびR2に依存しない化合物が、以下のスキーム1および4に記載されている。
【0092】
同様に、R1およびR2がともに式(II)であり、従って最終化合物は3つのキレート残基を有している代表的な化合物の、好ましい合成アプローチがスキーム2に記載されている。
【0093】
加えて、同じ経路で、R基が、単糖またはオリゴ糖鎖である式(I)の化合物が合成できる。
スキーム3は、R1が-CH2R3である、本発明の代表的な式(I)の化合物(たとえば、2つのR3キレートユニットが最終化合物中に存在する)の調製のための合成アプローチが記載されている。
【化7】

【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【0094】
特に記載のない限り、上記の合成経路において、Pはカルボキシル基の保護基として適切なあらゆる保護基を意味する。
【0095】
脱保護は、以下の通常の方法、たとえば、塩基または酸による処理を含む。酸処理は、あらゆる適切な有機溶媒(たとえば、ジクロロメタンまたはクロロホルム)中トリフルオロ酢酸(TFA)存在下、行うことが好ましい。
【0096】
中間体(IV)および(V)の還元的アミノ化反応は、適切な還元剤の存在下、通常の方法によりステップ(a)により行われ、反応はスクリューキャップバイアル中で反応液を55℃で6時間保つことにより完結する。
【0097】
還元的アミノ化と脱保護の操作条件は、たとえば、[C. Burtea et al., 2003]によって報告された既知の方法により行われる。しかし、重要なことは、アミノ結合の方がアミド結合よりも、キレートリガンドと残りの分子の間の結合を形成しやすいことである。
【0098】
糖鎖の伸張反応(スキーム2および3参照)に関しては、合成された最終化合物の望ましい生物活性を保つため酵素により簡便に行われる(たとえば、レクチンとの相互作用)。この酵素反応の操作条件一般的な参考文献は、[C.J. Hamilton, 2004]を参照されたい。
【0099】
スキーム3は、C-6への化学的または酵素的なアルデヒドまたはカルボキシル基の導入を示している[本発明の過程において式(IV)の化合物では、R1およびR2は同じ官能基を示すことを参照。]
【0100】
上記の反応は、たとえば、適切な酵素(たとえば、ガラクトース酸化酵素)によって対応するヒドロキシメチル基を酵素的に酸化するといった反応も含み、既知の方法に従って行われる。一般的な参考文献としては、[G.Avigad et al.,1985 - Protocollo Amplex (登録商標)Red]を参照されたい。同一の選択的酸化反応が、たとえば、[M.F.Semmelhack et al., 1984]またはUS 6831173に報告されている。
【0101】
上述より、当業者にとっては明らかなことであるが、本件発明の化合物は、本質的に、すべて本発明の範囲に含まれるとされる式(IV)の化合物と式(V)の化合物との反応を含む類似の方法によって、すべて合成される。
【0102】
本経路における出発物質およびすべての反応剤は既知のもので、既知の方法に従い容易に調製される。
特に、式(IV)の単糖またはオリゴ糖は、市販されておりまたは市販のものから上述の方法により得られる。
【0103】
同様に、式(V)のキレート化試薬は既知であり、または既知の方法により容易に調製される。特に、たとえば、DTPA-LysまたはAAZTA-Lysおよびこれらの既知の試薬に適切な修飾を行うことにより目的の末端アミノ基を得るための試薬について示す。
それらおよびその調製の一般的な参考文献、特にDTPA-Lys and AAZTA-Lysについては、たとえば、Anelli et al., in Bioconjugate Chem. 1999, 10, 137-140およびWO 2006/002873を参照されたい。
【0104】
以前に報告したとおり、腫瘍はレクチンの変異体が関わっている病態と考えられている。本発明の化合物は、選択的に標的のレクチンに結合し、たとえば、固形癌または転移組織および器官といった選択的に診断上または放射線治療上有効な部分に選択的に局在するため、有用である
【0105】
本発明の化合物は、レクチンの変化した発現が関わるすべての病態の診断、予防および治療への適用に有用である。さらに、癌治療効果および癌治療結果のフォローアップおよびモニターに有用である。
【0106】
それゆえ、本発明において、追加の具体的態様として、式(I)の化合物は、診断または放射線治療剤としての使用が含まれる。
【0107】
さらに、本発明の範囲には、レクチンに選択的に結合する診断または放射線治療剤の調製における式(I)の化合物の使用が含まれる。
【0108】
さらに異なる具体的態様としては、本発明は、式(I)の化合物を少なくとも一つ有効成分として含む医薬組成物、それらの薬学的に許容される塩およびそれらと一つまたはそれ以上の薬学的に許容される担体または賦形剤との組み合わせを含む。
【0109】
本発明の化合物の組成物に関しては、すべて、意図する投与方法に適合した通常の方法により調製される。
【0110】
さらに、本発明は、本発明の常磁性金属イオン錯体からなる医薬組成物またはそれらの薬学的に許容される塩をヒトまたは動物に投与することからなるヒトまたは動物の臓器または組織をMRIによってイメージングする方法に関する。
【0111】
さらなる本発明の対象としては、放射性核種または生理学的適合性のある塩と式(I)の化合物とのキレート錯体を含む。
イメージング診断剤(たとえばシンチグラフィー)としての使用においては、式(I)の化合物は、診断用の放射性核種との錯体を形成する。放射線治療における使用では、式(I)の化合物は、治療用の放射性核種の錯体を形成する。キレート錯体は、好ましくは一つまたはそれ以上の適切な標的部分があり、それにより望ましい組織に局在する。
【0112】
異なる観点として、本発明は、診断剤を検査中のヒトに投与することからなる固形癌または癌細胞のイメージング方法を提供する。
【0113】
さらに、本発明は、本発明の放射線治療剤を、放射線治療上有効な量を、必要とされるヒトに投与することからなる固形癌の治療方法も提供する。
【0114】
例としては、本発明の化合物を治療用の放射性核種によってラベルすると、癌といった疾患の治療における第一選択薬として放射性医薬品として、または本発明の放射線治療剤が、補助の化学療法との併用治療において併用して適用される。
【0115】
上記からは、本発明の化合物は、経口および経腸投与だけでなく、血管内、くも膜下内、腹膜内、リンパ管内および腔内投与においても広い範囲における適用があることが簡単に予想できる。非経口投与においては、pHが6.0から8.5までとなるような無菌の水溶液または懸濁液として作製されることが望ましい。
【0116】
これらの剤形は、上述のような剤形でもよいし、また凍結乾燥され、供給され、使用前に戻すことも可能である。
本発明の化合物は任意に化学的に適切な高分子と結合または適切な担体に結合(inglobate)させることができる。
たとえば、それらをリポソームに包むこともできるし、それ自体でリポソームを構成することもでき、したがって単-または多-ラメラ構造脂質として用いられる。
【0117】
本発明の理解のために、実施例を提示するが、これにより本発明が実施例に限定されるものではない。
実験項
【実施例1】
【0118】
Rがヒドロキシル基、R1およびR2がヒドロキシメチル基、R3が、DTPA-Lys残基であり、式
【化14】

の構造を持つ化合物(I)(アンモニウムをカウンターイオンとして持つ)の合成および精製
【0119】
ラクトースと保護されたDTPA-Lys(スキーム1参照)の還元的アミノ化
0.5 mmolのラクトースを0.5 mLの水に溶解し、terブチル化したDTPA-Lys(1.34 mmol)、氷酢酸0.733 mLおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウム70 mgをメタノール(6.266 mL)に溶かした溶液に加える。反応液はスクリューキャップバイアルに入れ、55℃で、5時間反応させた。
粗反応溶液の精製は順相アミノカラムを用いてHPLCによって行った。純品は、アセトニトリル/水(90/10)のイソクラティック溶出によって得た。装置をフラクションコレクターに接続して、自動化し、純品のフラクションは、ロータリーエバポレーターで減圧留去した(0.272 g、収率50.8%) 。
1H NMR (600 MHz; CD3OD):δ(1 H; H-1), 4.19 (1 H; H-6'a), 3.9 (1 H; H-6'b), 3.88 (7 H; H-4, H-5, H-6a, H-6b, H-3', H-4', H-5'), 3.67 (1 H; H-3), 3.55 (2 H; H-2, H-2'), 3.45 (4×2 H; NCH2C(O)O), 3.35 (2 H; H-4', NHCH2CH2CH2CH2CHC(O)O), 3.31 (3 H; H-1'a, H-1'b, NHCH2CH2CH2), 2.8 (8 H; 2×NCH2CH2N, 2×NCH2CH2N), 1.78 (2 H; NHCH2CH2CH2CH2CHC(O)O), 1.5 (2 H; NHCH2CH2CH2CH2CHC(O)O), 1.52 (47 H; 45×tBu, NHCH2CH2CH2CH2CHC(O)O). (Gal-unit:H1-H-6b; Glc-ol-unit: H-1'H-6'b).
【0120】
脱保護
前段階から得られた0.254 mmolの完全に保護された化合物を0.836 mLのジクロロメタン中に再び懸濁化させる。4.7 mLのトリフルオロ酢酸(TFA)を0℃で懸濁液に加え、室温で48時間攪拌した。溶媒を減圧下留去し、トルエン(5×5 mL)で洗浄し、得られた分厚い淡黄色の泡状物質をミリQ(milli-Q)水に懸濁させ、スーパーデックスカラムによって水で溶出した。純品のフラクションを集め濃縮し、標識されていない表題の化合物を得た(51.3 mg、収率25.6%)。
【0121】
ガドリニウム錯体化
0.1 NのNH4OHを加えることによって、pHを6から7に保ち、0.05 M塩化ガドリニウム(リガンド/GdCl3のモル比は1:1)をゆっくり加えた。2時間後、溶液を濃縮し、スーパーデックスカラムによって水で溶出した。水で溶出した関連する分画について、遊離のガドリニウムの検出を、キシレノールオレンジによる比色試験で行った。比色試験に陰性の分画を凍結乾燥し、目的化合物を61%で得た。
式(I)の化合物の緩和速度は、表1に示す。
【表1】

【実施例2】
【0122】
Rがヒドロキシル基、R1およびR2がともにヒドロキシメチル基およびR3がDTPA-Lysである式(I)の化合物(カウンターイオンはアンモニウム)
【化15】

の合成および精製
【0123】
DTPA-Lysの脱保護
0℃でterブチル化されたDTPA-Lys 1.34 mmolを10 mLのTFAに溶解し、室温で溶液を48時間攪拌した。生成物をトルエンで共沸し(5x10mL)、生成物をロータリーエバポレーターで乾燥し、ミリQ(milli-Q)水に溶かしてスーパーデックスカラムによって水で溶出した。生成物を含む分画を集め、濃縮した(343.36 mg、収率55.22%)。
【0124】
還元的アミノ化
ラクトースと脱保護されたDTPA-Lysの還元的アミノ化(スキーム1参照)
0.274 mmolのラクトースを1 mLの水にとかし、脱保護されたDTPA-Lys(0.74 mmol)をメタノール(3 mL)、氷酢酸0.350 mLおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウム70 mgに溶かした溶液に加えることにより行った。反応液を、スクリューキャップバイアルで55℃で一晩反応させた。
反応液を乾燥し、ロータリーエバポレーターで乾燥し、5 mLの水に溶かした。ミリQ(milli-Q)水でスーパーデックスカラムで溶出し、生成物を含む分画を集め濃縮した(47 mg、収率22%)。
【0125】
ガドリニウム錯体化
0.1 NのNH4OHを加えることによって、pHを6から7に保ち、0.05 Mの塩化ガドリニウムの溶液(リガンド/GdCl3のモル比は1:1)をゆっくり加えた。2時間後、溶液を濃縮し、スーパーデックスカラムで溶出した。水で溶出した関連する分画について、遊離のガドリニウムの検出を、キシレノールオレンジによる比色試験で行った。比色試験に陰性の分画を凍結乾燥し、目的化合物を61%で得た。
【実施例3】
【0126】
Rがヒドロキシル基、R1およびR2がともにヒドロキシメチル基およびR3がAAZTA-Lysである式(I)の化合物(カウンターイオンはアンモニウム)
【化16】

の合成および精製
【0127】
AAZTA-Lysの脱保護
0℃でterブチル化されたAAZTA0.3 mmolを1.54 mLのTFAに溶解し、室温で溶液を48時間攪拌した。
粗反応液の精製は、phenylカラム(10 μm、10x250 mm)を用いたHPLCでメタノール/酢酸アンモニウム(5 mM、pH 4.5)で行った(表2)。
【表2】

ここで、
Aは、CH3COONH4/CH3COOH、pH 4.5、5mM
Bは、CH3OH
を表す。
生成物を含む分画を集め、酢酸塩を除くため凍結乾燥を2回行った(93.5 mg、収率72%)。
【0128】
ラクトースと脱保護されたリジノAAZTAの還元的アミノ化
0.055 mmolのラクトースを0.189 mLの水にとかし、脱保護されたDTPA-Lys (0.15 mmol)をメタノール(1.67 mL)、氷酢酸0.066 mLおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウム70 mgに溶かした溶液に加えた。反応液を、スクリューキャップバイアルで55℃で一晩放置した。
反応液を乾燥し、最小限のメタノール/水(1/10)の溶液に溶かした。溶液を0.2μフィルターで濾過した。この溶液をスーパーデックスカラムで水で溶出した。
【0129】
ガドリニウム錯体化
0.1 NのNH4OHを加えることによりpHを6から7に保ち、0.05 Mの塩化ガドリニウム溶液(リガンド/GdCl3のモル比は1:1)をゆっくり加えた。2時間後、溶液を濃縮し、スーパーデックスカラムで溶出した。水で溶出した関連する分画について、遊離のガドリニウムの検出を、キシレノールオレンジによる比色試験で行った。比色試験に陰性の分画を凍結乾燥し、目的化合物を60%で得た。
実施例1から3と同様の方法で行うこと、および適切な糖残基およびキレート化試薬を選択することによって、以下の化合物が得られる。
【化17】

参考文献:
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[ここで、式中、Rは、同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基(-OH)、酢酸基(-OCOCH3)、硫酸基(-OPO3H2)、リン酸基(-OSO3H)、アミノ基(-NH2)およびアセチルアミノ基(-NHCOCH3)から選択され、またはR基のうち、一つが上記定義されたものであり、他が直鎖または分岐のある単糖またはオリゴ糖鎖であり、
R’は、同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシ基(-OH)、酢酸基(-OCOCH3)、硫酸基(-OSO3H)、リン酸基(-OSO3H)、アミノ基(-NH2)およびアセチルアミノ基(-NHCOCH3)から選択され、
R1およびR2は、同一または異なり、それぞれ独立して、ヒドロキシメチル基(-CH2OH)、直鎖または分岐のあるC1からC4アルキルで任意にエステル化されたカルボキシル基、式(II)
-CH2-O-CH2-CH(OH)CH2R3-(II)
および-CH2R3から選択され、
R3は、それぞれ独立して、常磁性金属イオンまたは放射性核種でラベルされた診断上または放射線治療上有効なキレート能を有する残基であり、分子中の他の部分との連結として末端アミノ基(-NH-)を有する]
の化合物または薬学的に許容される塩。
【請求項2】
両方のR基は、それぞれ独立して、ヒドロキシル基(-OH)、酢酸基(-OCOCH3)、硫酸基(-OSO3H)、リン酸基(-OPO3H2)、アミノ基(-NH2)およびアセチルアミノ基(-NHCOCH3)から選択される請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
両方のR基が、ヒドロキシル基(-OH)である請求項2記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
一つのR基が、ヒドロキシル基(-OH)、酢酸基(-OCOCH3)、硫酸基(-OSO3H)、リン酸基(-OPO3H2)、アミノ基(-NH2)およびアセチルアミノ基(-NHCOCH3)から選択され、他のR基がラクチトール、ラクトシラミン、マルチトール、マルトシラミンおよび修飾されたシトラスペクチンからなる直鎖または分岐のある単糖およびオリゴ糖鎖から選択された請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
一つのR基が、ヒドロキシル基(-OH)であり、他のR基が、以下の式(III)
【化2】

[ここで、式中、R’が請求項1に定義されたものであり、nが1から7の整数である]のうちの一つを有している請求項4記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
R’が、ヒドロキシル基(-OH)であり、nが1から3の整数である請求項5記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
R1およびR2が、ともにヒドロキシメチルまたは任意にエステル化されたカルボキシル基である請求項1から6のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項8】
R1またはR2の一方が、ヒドロキシメチルまたは任意にエステル化されたカルボキシル基であり、R1およびR2の残りの一方が、-CH2-O-CH2-CH(OH)-CH2R3(II)または-CH2R3であり、R3が請求項1に定義されたものである請求項1から6のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項9】
R1およびR2が、独立して、-CH2-O-CH2-CH(OH)-CH2R3(II)および-CH2R3から選択されるものであり、R3が、請求項1に定義されたものであり、請求項1から6のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項10】
R3が、常磁性金属イオンまたは放射性核種で適切にラベルされた診断上または放射線治療上有効なキレート能を有する残基であり、分子中の他の部分との連結として末端アミノ基を有しており、(DTPA)、ベンゾDTPA、ジベンゾDTPA、フェニルDTPA、ジフェニルDTPA、ベンジルDTPA、ジベンジルDTPA、(DTPA-BMA)、(EOB-DTPA)、(BOPTA)、(DTPA-BMA)、(DTPA-GLU)、(DTPA-Lys)、(EDTA)、(DO3A)、(DOTA)、(HPDO3A)、(AAZTA)、(MCTA)、(DOTMA)、(DPDP)、(EDTP)、1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-テトラキス[メチルホスホン]酸、1,4,7,10-テトラアザシクロテトラデカン-1,4,7,10-テトラキス[メチレン-(メチルホスホン)]酸、テルピリジン、HYNIC、TETA、(BAT)、(MAG3)、MAMA、DADS、CODADSおよびそれらの誘導体の中から選択された基からなる請求項1から9のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項11】
R3が、診断上有効なキレート能を有する残基であり、
【化3】

から選択された基からなる請求項10記載の式(I)の化合物。
【請求項12】
R3が、常磁性金属イオンで適切にラベルされた診断上有効なキレート能を有する残基であり、金属イオンがFe(2+)、Fe(3+)、Cu(2+)、Ni(2+)、Rh(2+)、Co(2+)、Cr(3+)、Gd(3+)、Eu(3+)、Dy(3+)、Tb(3+)、Pm(3+)、Nd(3+)、Tm(3+)、Ce(3+)、Y(3+)、Ho(3+)、Er(3+)、La(3+)、Yb(3+)、Mn(3+)およびMn(2+)から選択されたものである請求項1から10のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項13】
R3が、Gd(3+)でラベルされた診断上有効なキレート能を有する残基である請求項12記載の式(I)の化合物。
【請求項14】
R3が、放射性核種でラベルされた診断上有効なキレート能を有する残基であり、放射性核種が64Cu、67Ga、68Ga、99mTc、および111Inから選択されたものである請求項1から10のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項15】
R3が、放射性核種でラベルされた放射線治療上有効なキレート能を有する残基であり、放射性核種が64Cu、90Y、105Rh、111In、117mSn、149Pm、153Sm、161Tb、166Dy、166Ho、175Yb、177Lu、186/188Re、199Au、および159Gdから選択されたものである請求項1から10のいずれか記載の式(I)の化合物。
【請求項16】
請求項12に定義される常磁性金属イオンでラベルされた
【化4】

より選択された式(I)の化合物。
【請求項17】
Gd(3+)でラベルされた請求項16記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
請求項1記載の式(I)の化合物の調製方法、すなわち、
a)酸化剤存在下、適切な溶媒中還元的条件下において、式(IV)
【化5】

[ここで、式中、R、R’、R1およびR2が、請求項1に定義されたものであり、または、R1およびR2が、それぞれ独立してアルデヒド基を有する]
の単糖またはオリゴ糖と式(V)
R3-H(V)
を反応させて、式(I’)
【化6】

[ここで、式中、R、R’、R1およびR2が、上記記載の意味をもち、R3が、上記キレートユニットをもつ]の化合物を得、
b)常磁性金属イオンまたは放射性核種で式(I’)で表される結果物の化合物をラベルし、任意に薬学的に許容される塩に変換するステップからなる方法。
【請求項19】
ステップ(a)が、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、水素化アルミニウムリチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムおよびα-ピコリンボランより選択された還元剤存在下で行われる請求項18の調製方法。
【請求項20】
R、R’、R1およびR2が、請求項1に定義され、R3が、それぞれ独立して、常磁性金属イオンまたは放射性核種でラベルされた診断上または放射線治療上有効なキレート能を有する残基であり、分子中の他の部分との連結として末端アミノ基(-NH-)を有している式(I’)
【化7】

の化合物。
【請求項21】
診断または放射線治療剤としての使用のための請求項1記載の式(I)の化合物。
【請求項22】
レクチンに選択的に結合する診断または放射線治療剤の調製における請求項1記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項23】
請求項1記載の式(I)の化合物を少なくとも一つを有効成分として含む医薬組成物、またはそれらの薬学的に許容される塩、またはそれらと一つまたはそれ以上の医薬として許容される担体または添加物との組み合わせ。
【請求項24】
R3が、それぞれ独立して、常磁性金属イオンまたは放射性核種でラベルされた診断上または放射線治療上有効なキレート能を有する残基であり、請求項1記載の式(I)の化合物またはその塩、またはそれらの医薬組成物を投与することからなるヒトまたは動物に対する器官または組織のイメージング方法。
【請求項25】
固形癌または癌細胞の請求項24に記載のイメージング方法。
【請求項26】
R3が、それぞれ独立して、放射線治療用の放射性核種でラベルされたキレート能を有する残基である請求項1記載の化合物(I)またはその塩またはそれらの医薬組成物を、必要とされるほ乳類に投与することからなる固形癌の治療方法。

【公表番号】特表2010−519326(P2010−519326A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551173(P2009−551173)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2008/052052
【国際公開番号】WO2008/104486
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(504448162)ブラッコ・イメージング・ソシエタ・ペル・アチオニ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRACCO IMAGING S.P.A.
【Fターム(参考)】