説明

診断検査媒体及びその製造方法

サンプル液内の検体濃度を測定するために使われる診断検査媒体の製造に関して開示する。より詳細には、診断検査媒体の製造に、マイクロコンタクトプリンティング又はマイクロトランスファモールディングの手法を使用することを開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年5月17日出願の米国特許出願11/435,295号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、サンプル液内の検体を測定するために使われる検査媒体及びシステムとその製造方法に関する。より詳細には、基板に材料を堆積させる(depositing)システム及び方法と、その材料堆積により形成される検査媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
サンプル液内の検体(グルコース、コレステロールなど)を測定する器具や素子では、使い捨ての検査媒体(細片、テープ、ディスクなど)が頻繁に使用される。このような検査媒体のメーカーは、使い捨て式の検査媒体の製造を計画するときに、いくつかの目標を立てるのが一般的である。その目標には、製造工程が短くてコストパフォーマンスに優れた製造方法の案出や、大量に複製でき、常に正確で精密、そしてサンプル量が少なくて済む媒体の提供といった目標が含まれる。
【0004】
これら目標を達成するために重要なファクターがあり、それには解像度が含まれている。すなわち、電極の解像度が小さくなるほど(例えばミクロンスケールやナノスケールの解像度)、電極の表面積は狭くなる。電極の表面積が狭くなると、必要なサンプル量を少なくすることができる。このことは、例えば、一日に何回も血中グルコースを検査しなければならない糖尿病患者のグルコース測定にとって、好都合である。血液量が少なくてよいということは、患者にとって、針の痛みを比較的感じにくい上腕及び前腕など、指よりも毛細血管密度の低い部分から血液を得られる、ということになる。
【0005】
電極のエッジも別のファクターである。滑らかなエッジは、測定の精密性及び正確性が電極の面積に左右され得るということから、大切な電極の特徴である。電極のエッジが規格外であったり、検査媒体間で違っていたりすると、電極の面積及びこれに従う測定結果が、検査媒体間で変化し得る。
【0006】
検査媒体の製造に使用されている現在の製造方法は、利点と欠点をもっている。現在使われている製造方法の一つにスクリーン印刷がある。スクリーン印刷は、電極パターンをもつスクリーンメッシュを基板上に載置し、そして該スクリーンの上から導電性ペーストを塗布する工程を伴う。これによりペーストはスクリーンを通し電極のパターンになって基板上に押し出されるので、基板を加熱処理して該基板上の導電性ペーストをベーク(bake)すると、電極が形成される。スクリーン印刷は、コストパフォーマンスに優れ且つ検査媒体の大量生産に向いているが、小さい解像度及び滑らかなエッジの電極パターンを得ることが難しい。したがって、当該技術で製造された検査媒体には測定の再現性に課題がある。
【0007】
この他の製造方法として、レーザーアブレーション(laser ablation)がある。レーザーアブレーション技術では、金などの導電材料が基板上で薄膜状にスパッタリングされる。レーザーは、例えばハイパワーのエキシマレーザーで、基板をなぞって導電性材料を除去することで、基板上に電極パターンが残される。当該技術は、スクリーン印刷に比べて、解像度及び滑らかなエッジの点で優れている。しかしながら、レーザーアブレーションは高価であり、電極パターンを切り出すために基板上で何度もレーザーを往復させなければならないことから、比較的製造に時間がかかる。さらに、レーザーアブレーションでも使用される一般的なスパッタ物質膜は高価である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上から分かるように、現在の検査媒体及びその製造技術の短所を克服し、コストパフォーマンス、解像度に優れ、容易に複製することのできる検査媒体を提供する新規なシステム及び方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここで提案する検査媒体は、マイクロコンタクトプリンティング(microcontact printing)及びマイクロトランスファモールディング(microtransfer molding)技術のいずれか又は両方を使用した製品である。一つの態様として、診断検査媒体は、少なくとも一つの電気的絶縁ベース層と、該ベース層上にスタンプされ、所定の電極パターンを形成する導電性インク材料と、該電極パターンの少なくとも一部上に提供された試薬層と、を含んで構成される。
【0010】
別の態様では、当該検査媒体は、次にあげる一つ以上の特徴を含むことができる。
導電性インク材料は、パラジウム、金、銀、プラチナ、銅、ドープ(doped)シリコン、炭素、及び導電性ポリマーの中から選ばれる導電性材料を含む。
ベース層には、熱可塑性材料を使用する。
ベース層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
所定の電極パターンは、電極、電気コンタクト、及び一つ以上の電極と一つ以上のコンタクトとを接続する電気配線のいずれかの導電形状を含む。
電極は、カソード電極領域、アノード電極領域、及び少なくとも一つの充填検出(fill-detect)電極領域のいずれかを含む。
電気コンタクトは、カソード電極コンタクト、アノード電極コンタクト、及び少なくとも一つの充填検出電極コンタクトのいずれかを含む。
電気コンタクトは、検査媒体の基端寄りに多数配置された第1の電気コンタクト及び検査媒体の先端寄りに多数配置された第2の電気コンタクトを含む。
各第1の電気コンタクトは電極に接続され、第2の電気コンタクトは、測定器具へ提供されるコードを出力する。
試薬層は、酵素、電気化学伝達物質(electrochemical mediators)、緩衝剤、ポリマーバインダー(polymeric binders)、界面活性剤、酵素安定剤、及び変色指示薬(color indicators)の中から選ばれる化学物質を含む。
試薬層中の酵素は、酵素基質としてグルコースをもつ酵素、及び酵素基質としてコレステロールをもつ酵素の中から選ばれる。
試薬層は、所定の電極パターンの少なくとも一部上にスタンプされる。
【0011】
一つの態様として、検査媒体の製造方法は、所定の電極パターンを刻印したスタンプを形成する工程と、該スタンプの表面をプラズマ処理する工程と、該スタンプに少なくとも1種類の導電性インク材料を塗布する工程と、該導電性インク材料を塗布したスタンプを基板に押し付けて、該基板上に前記導電性インク材料による電極パターンを形成する工程と、を含む。
【0012】
別の態様では、当該製造方法は、次にあげる一つ以上の特徴を含むことができる。
スタンプは、所定の電極パターンの反転パターンを刻印したマスターを使用して提供される。
マスターは、フォトリソグラフィ技術を使用してシリコンウエハーにより作成される。
スタンプは、(ポリ)ジメチルシロキサンにより形成される。
導電性インク材料を塗布する工程は、パラジウム、金、銀、プラチナ、銅、ドープシリコン、炭素、及び導電性ポリマーの中から選ばれる導電性材料の塗布を含む。
基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むものとする。
基板上の導電性インク材料をベーキングして固める工程をさらに含む。あるいは、基板上の導電性インク材料を焼結させて固める工程をさらに含む。あるいは、基板上の導電性インク材料に紫外線を照射して固める工程をさらに含む。
所定の電極パターンを刻印したスタンプを形成する工程で、スタンプ表面から盛り上がった隆起パターンを形成し、そして、導電性インク材料をスタンプに塗布する工程で、前記隆起パターンにのみ導電性インク材料を塗布する。
所定の電極パターンを刻印したスタンプを形成する工程で、スタンプ表面から落ち込んで導電性インク材料を受容する陥没パターンを形成し、導電性インク材料をスタンプに塗布する工程で、前記陥没パターンにのみ導電性インク材料を塗布する。
所定の試薬層パターンを刻印した第2のスタンプを形成する工程と、該第2のスタンプに少なくとも1種類の試薬混合材料を塗布する工程と、該試薬混合材料を塗布した第2のスタンプを前記基板に押し付けて、該基板上の前記電極パターンの少なくとも一部上に、前記試薬混合材料による試薬層を形成する工程と、をさらに含む。
試薬混合材料は、酵素、電気化学伝達物質、緩衝剤、ポリマーバインダー、界面活性剤、酵素安定剤、及び変色指示薬の中から選ばれる化学物質を含む。その試薬混合材料中の酵素は、酵素基質としてグルコースをもつ酵素、及び酵素基質としてコレステロールをもつ酵素の中から選ばれる。
【0013】
この他の態様として、検査媒体の製造方法は、所定の電極パターンを刻印した第1のスタンプを形成する工程と、該第1のスタンプの表面をプラズマ処理する工程と、該第1のスタンプに導電性インク材料を塗布する工程と、該導電性インク材料を塗布した第1のスタンプを基板に押し付ける工程と、所定の試薬層パターンを刻印した第2のスタンプを形成する工程と、該第2のスタンプに試薬インク材料を塗布する工程と、該試薬インク材料を塗布した第2のスタンプを、前記導電性インク材料をスタンプした基板に押し付ける工程と、を含む。
【0014】
別の態様では、当該製造方法は、次にあげる一つ以上の特徴を含むことができる。
第1のスタンプは、該第1のスタンプ表面から盛り上がった隆起パターンにより形成される電極パターンを含み、該隆起パターンにのみ導電性インク材料が塗布される。
第1のスタンプは、該第1のスタンプ表面から落ち込んで導電性インク材料を受容する陥没パターンを含み、該陥没パターンにのみ導電性インク材料が塗布される。
第1及び第2のスタンプは、それぞれが個々の検査媒体パターンを構成する繰り返しパターンを含み、該第1及び第2のスタンプを適用することにより、複数の検査媒体のアレイ(隊列)が得られるものとする。
第1及び第2のスタンプは、所定のパターンを少なくとも一表面に形成した複数のスタンプが、そのパターン形成面を外向きにして配列されたプレス具とされる。スタンプを基板に押し付ける工程においては、当該プレス具を移動させて前記基板に押し付ける。
第1及び第2のスタンプは、所定のパターンを少なくとも一表面に形成した複数のスタンプが、そのパターン形成面を外向きにして外周面に配列されたシリンダーとされる。スタンプを基板に押し付ける工程においては、当該シリンダーを前記基板上で回転させつつ押し付ける。
基板上の導電性インク材料をベーキングして固める工程をさらに含む。あるいは、基板上の導電性インク材料を焼結させて固める工程をさらに含む。あるいは、基板上の導電性インク材料に紫外線を照射して固める工程をさらに含む。
【0015】
上記の他の態様として、診断検査媒体は、少なくとも一つの電気的絶縁ベース層と、該ベース層上で所定の電極パターンを形成する導電性材料と、該電極パターンの少なくとも一部上にスタンプされた試薬層と、を含んで構成される。
【0016】
別の態様では、当該検査媒体は、次にあげる一つ以上の特徴を含むことができる。
導電性材料は、パラジウム、金、銀、プラチナ、銅、ドープシリコン、炭素、及び導電性ポリマーの中から選ばれる。
ベース層には、熱可塑性材料を使用する。
ベース層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む。
所定の電極パターンは、電極、電気コンタクト、及び一つ以上の電極と一つ以上のコンタクトとを接続する電気配線のいずれかの導電形状を含む。
電極は、カソード電極領域、アノード電極領域、及び少なくとも一つの充填検出電極領域のいずれかを含む。
電気コンタクトは、カソード電極コンタクト、アノード電極コンタクト、及び少なくとも一つの充填検出電極コンタクトのいずれかを含む。
電気コンタクトは、検査媒体の基端寄りに多数配置された第1の電気コンタクト及び検査媒体の先端寄りに多数配置された第2の電気コンタクトを含む。
各第1の電気コンタクトは電極に接続され、第2の電気コンタクトは、測定器具へ提供されるコードを出力する。
試薬層は、酵素、電気化学伝達物質、緩衝剤、ポリマーバインダー、界面活性剤、酵素安定剤、及び変色指示薬の中から選ばれる化学物質を含む。
試薬層中の酵素は、酵素基質としてグルコースをもつ酵素、及び酵素基質としてコレステロールをもつ酵素の中から選ばれる。
【0017】
上記の他の態様として、検査媒体の製造方法は、少なくとも一つの電気的絶縁ベース層を形成する工程と、該ベース層上に、導電性材料による所定の電極パターンを形成する工程と、所定の試薬層パターンを刻印したスタンプを形成する工程と、該スタンプに試薬インク混合材料を塗布する工程と、該試薬インク混合材料を塗布したスタンプを前記ベース層に押し付けて、前記電極パターンの少なくとも一部上に試薬層を形成する工程と、を含む。
【0018】
別の態様では、当該製造方法は、次にあげる一つ以上の特徴を含むことができる。
スタンプは、それぞれが個々の試薬層パターンを構成する繰り返しパターンを含み、該スタンプを前記ベース層に押し付けることにより、それぞれ試薬層をもった複数の検査媒体のアレイ(隊列)が得られるものとする。
スタンプは、所定のパターンを少なくとも一表面に形成した複数のスタンプが、そのパターン形成面を外向きにして配列されたプレス具とされる。スタンプをベース層に押し付ける工程においては、当該プレス具を移動させて前記ベース層に押し付ける。
スタンプは、所定のパターンを形成した複数のスタンプを外向きにして外周面に配列したシリンダーとされる。スタンプをベース層に押し付ける工程においては、当該シリンダーを前記ベース層上で回転させつつ押し付ける。
【0019】
以上の概要的記載及び以下の詳細な記載は例示と説明のためのものであって、本発明を限定するものではない。
【0020】
本明細書に組み込まれて明細書の一部をなす添付図面は、発明のいくつかの実施形態を示し、その説明と共に、発明の思想を表すために使用される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】使い捨ての検査片を使用してサンプル液中の検体濃度を測定する測定器具の実施形態を示した図。
【図2】使い捨て検査片とした検査媒体の実施形態を示す平面図。
【図3】断面線3−3に沿って示した図2の検査片の断面図。
【図4】検査片複製用の多数電極アレイパターンの平面図。
【図5】所定の反転パターンを刻印したマスターの概略側面図。
【図6】図6Aは、上部にPDMSスタンプのあるマスターの概略側面図、図6Bは、図6Aに示すマスターから分離されたスタンプの概略側面図で、マスターの反転パターンとスタンプの相補パターンの両方を示している。
【図7】図7Aは、インクを塗布して基板に押し付けた図6のスタンプの概略側面図、図7Bは、図7Aのスタンプからインクを転写された基板の概略側面図。
【図8】図8Aは、陥没パターンにインクを受容する実施形態のスタンプを基板に押し付けた状態で示す概略側面図、図8Bは、図8Aのスタンプからインクを転写された基板の概略側面図。
【図9】本発明の実施形態に係る電気コンタクトを形成した導電領域を示す、検査片の先端部分の平面図。
【図10】本発明の実施形態に係る測定器具のストリップコネクタに挿入した検査片を上方から見て示す図。
【図11】多数のスタンプをシリンダー(ローラー)に搭載した実施形態を上方から見て示す図。
【図12】多数のスタンプを剛性背面のプレス具に搭載した実施形態を下方から見て示す図。
【図13】本発明の実施形態に係るコンタクトプリント炭素電極の基端部を示した平面図。
【図14】本発明の実施形態に係るコンタクトプリント金電極の基端部を示した平面図。
【図15】本発明の実施形態に係るコンタクトプリント試薬層の基端部を示した拡大平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、発明の各種実施形態について、添付図面に図示した例を参照して説明する。各図を通して同様の部分には同じ符号をできるだけ付してある。
【0023】
発明の各実施形態は、マイクロコンタクトプリンティングを使用した、診断検査媒体の製造方法に関する。マイクロコンタクトプリンティングは、バイオ産業において各種の目的で使用されてきた技術である。簡単に言えば、当該技術は、所定のパターンを刻印したスタンプの作成を必要とする。一例では、スタンプは、テンプレートとして所定の反転パターンを刻印したマスターを使用して形成される。スタンプは、「インク」を塗布した後に基板に押し付けられ、その「インク」が所定のパターンで基板に転写される。
【0024】
マイクロコンタクトプリンティングは、例えば、湿潤、粘着、タンパク質吸着、及び細胞粘着の研究のために、金又は銀膜上にアルカンチオールの単分子層を転写する用途で使用できることが知られている(Whitesides, et al., Ann. Rev. Biomed. Eng., 3:335(2001))。また、マイクロコンタクトプリンティングは、シリコン基板上でカーボンナノチューブ成長を促進させる触媒インクのエタノール溶液を転写する用途に使用できることも知られている(Nilsson and Schlapbach, Langmuir, 16:6877(2000))。さらに今日では、科学者は、例えばタンパク質やDNAのマイクロアレイを作成するために、タンパク質、デンドリマー、及びその他の生体分子をマイクロコンタクトプリンティングで転写できることを見出している(Inerowicz et al., Langmuir 28:5263(2002); Hong et al., Bull. Korean Chem. Soc. 24:1197(2003))。
【0025】
従来技術のコンタクトプリンティングは、一般的に金や銀からなる基板表面の自己組織化膜(SAM)の形成に主眼が置かれている(Zhao et al. J. Mater Chem., 1997,(7),1069-1074 参照)。ターゲットの基板層に対するSAMの形成は、ヘキサデカンチオールをスタンプに塗布し、このインク塗布後のスタンプを、ターゲットの金又は銀基板層に押し付ける処理を通して行われる。この処理により、下層の金又は銀膜とアルカンチオール分子とにおける安定したチオエーテル結合の形成を通じて、炭化水素鎖端の硫黄が基板表面に化学吸着される。ヘキサデカンチオール(CH(CH15)の単分子層は、隣り合ったアルキル鎖間のファンデルワールス力によりさらに安定する。これらのプロセスにより、マイクロメートルスケールのパターン(より小さい場合も含め)が形成され、金属層を覆うSAMパターンが保護膜を提供する。したがって、これを化学エッチング処理すると、SAMにより保護された金属パターンが所定のスタンプパターン下に残り、その周りの金属層は除去される。
【0026】
診断検査媒体製造のために新しくマイクロコンタクトプリンティング技術を使用することを、ここに開示する。ここに開示する検査媒体は、1以上の検体の濃度を検出又は測定する検査測定器具で使用することができる。例えば米国特許6,743,635(以下、635特許と呼ぶ)に記載されている電気化学バイオセンサーがあり、この635特許は参照として本明細書に組み込まれる。635特許は、血液サンプル中のグルコースレベルを測定するために使う電気化学バイオセンサーを記載している。この電気化学バイオセンサーは、検査片と測定器具とを備え、検査片は、サンプルチャンバー(sample chamber)、作用電極、対極、及び充填検出電極を含む。試薬層は、そのサンプルチャンバーに配置されている。当該試薬層は、グルコースオキシダーゼ(glucose oxidase)やグルコースデヒドロゲナーゼ(glucose dehydrogenase)などのグルコースの酵素、及びフェリシアン化カリウム(potassium ferricyanide)やヘキサアンミンルテニウム(ruthenium hexaamine)などの伝達物質を含む。
【0027】
測定技術の一例では、ユーザーが検査片のサンプルチャンバーに血液サンプルを加えると、試薬が血液サンプル中のグルコースと反応し、測定器具は電極に電圧を印加してレドックス反応を誘引する。この結果流れる作用電極と対極との間の電流を測定器具が測定し、該電流測定に基づいてグルコースレベルを計算する。前述したように、検査媒体が容易に製造できることと共にその他のコスト、小型化、一定の電極パターン及び領域の複製といったファクターについて、本出願に係る検査媒体システム及び方法により解決が図られている。
【0028】
測定器具の一例が、図1A及び図1Bに示されている。検体は、例えば、血液、尿、涙、精液、排泄物、胃液、胆汁、汗、脳脊髄液、唾液、膣液(偽羊水を含む)、培地、及びその他の生体サンプルのいずれか又は混じり合ったものなどの生体サンプル中に見出される多様な物質であり得る。また、検体は、例えば、食物、水、ワイン、プールケミストリー(pool chemistry)、土、気体、及びその他の非生体サンプルのいずれか又は混じり合ったものなどの非生体サンプル中に見出され得る。当分野で通常の知識をもつものであれば、本開示内容において非生体サンプル中の1以上の検体を検出したり測定したりすることも可能であることは、理解できる。
【0029】
図1Aには、ディスプレイ106及び検査媒体挿入口104を備えた携帯型の測定器具100が図示されている。また、図1Bには、2006年2月13日出願でペンディング中の米国特許出願11/352,209にも記載されている、別のタイプの測定器具201が図示されている。この米国特許出願11/352,209の全内容は、参照することにより本明細書に組み入れられる。測定器具201は、ハウジング202と、診断検査を実行するために検査媒体を収容するインターフェイス204と、基礎的診断検査用アルゴリズムを実行するように構成されたコントローラー206と、を備えている。また、この測定器具は、コントローラー206によって覆われ閉じられている開口を有したコンテナ208を備える。コンテナ208は、動作可能に測定器具201へ組み付けられており、測定器具201に適合した検査媒体を収容できるように構成されている。
【0030】
図2、図3及び図4は、使い捨て検査片とした、診断検査媒体の実施形態を図示している。ただし、リボン、テープ、ディスクなどその他の検査媒体も当然使用することができる。さらに言えば、検査媒体は、電気化学検査、光化学検査、電気化学発光検査、プレーンビジュアル(plane visual)検査、及びその他の適切な検査方式のいずれか又は組み合わせなど、多様な検査方式を円滑にする。
【0031】
図2は、コンタクトプリンティングによる製造を意図した構造の検査片10を図示している。図2に示すように、検査片10は、サンプルが加えられる基端部12と、測定器具内に挿入される先端部14と、を備えた平坦片である。基端部12は、サンプル受容端部と測定器具挿入端部とを区別できるように、図示のごとく先へ向かって傾斜する形状を有している。
【0032】
検査片10は、基端部12に形成された電極をもつ導電パターンを含んでおり、この導電パターンは、先端部14近くの対応する導電コンタクトまで延設されている。一例として、導電パターンは、カソード電極領域16と、アノード電極領域18と、第1及び第2充填検出電極領域20,22と、をそれぞれ形成し、これら全部が、サンプルキャビティ収容位置24の各部分と接触している。四つの電極領域16,18,20,22は、測定器具とのインターフェイスとなる対応の導電コンタクト26,28,30,32まで延びている。以下に詳細を述べるように、一例として、検査片10の先端領域34は、対応する測定器具インターフェイスに受け入れられる追加コンタクトを提供する追加コンタクトパターンを含んでいる。
【0033】
図3は、図2中の断面線3−3に沿う、検査片完成品の断面図である。後述する詳細のように、ユーザーは、検査片10の基端部12にある開口に血液サンプルを加える。なお、例えばしるし、ノッチ(刻み目)、外形など、その他の視覚的手段を利用することも可能である。
【0034】
図3に示すように、検査片10は、最終的に多層構造として製造することができる。最下層から順に説明すると、まず検査片10は、検査片10の全長にわたり延設されたベース層36を含む。ベース層36は、電気的絶縁材料を使用して形成され、検査片10の機械的強度を提供し得る厚さをもつ。例えば、ベース層36は、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル材料であり得る。
【0035】
図示の実施形態によると、導電層40がベース層36の上に形成されている。詳細を後述するように、導電層40は、新規プロセスのコンタクトプリンティング及びトランスファモールディングのいずれか又は両方によって形成される。導電層40は、上記の電極16−22、電気コンタクト26−32、及びこれら電極から電気コンタクトまでの導電領域に区画される。
【0036】
図示の検査片10における次の層は、導電層40の上に形成されたスペーサー層64である。スペーサー層64は、ポリエステルなどの電気的絶縁材料で形成される。スペーサー層64は、約0.1mm厚で、電極16−22の部分を覆うように形成できるが、図示の例では、先端側の電気コンタクト26−32の部分は覆っていない。例えば、スペーサー層64は、コンタクト26−32直近のラインから基端部12まで、基端部12に設けられたスロット52の部分を除いて全域の導電層40を覆うように形成することができる。この場合のスロット52は、カソード電極領域16の露出部分、アノード電極領域18の露出部分、及び電極20−22の露出部分を区画する。
【0037】
基端74及び先端76をもつカバー72が、接着層78を介してスペーサー層64に取り付けられている。カバー72は、ポリエステルなどの電気的絶縁材料で形成され、約0.075mmの厚さをもつ。カバー72は透明であり得る。
【0038】
接着層78は、ポリアクリル酸などの接着剤を含み、約0.02mmの厚さとする。接着層78は、スロット52両側のスペーサー層64上に配置された部分を有する。また、接着層78には、スロット52の先端70から開口86まで延びた切れ目84が形成されている。カバー72は、接着層78上に配置され、その基端74が基端部12端面と整列し、先端76が開口86と整列する。したがってカバー72は、スロット52及び切れ目84をカバーする。変形例として、開口86は、カバー72に穿孔した孔によって形成することもできる。このようなカバー72の孔は、液体サンプルの入ったチャンバーに空気を送る通気路を提供する。
【0039】
ベース層36及びカバー72とスロット52は、検査媒体10において、本実施形態の測定対象である血液サンプルを受容するサンプルチャンバー88を区画する。スロット52の基端68がサンプルチャンバー88の第1開口となって、該第1開口を通しサンプルチャンバー88に血液サンプルが導入される。スロット52は、その基端68に血液サンプルが与えられると、開口86を通しサンプルチャンバー88の通気を行う切れ目84と共に、毛細管現象によってサンプルチャンバー88内へ血液サンプルを導入することのできるサイズである。さらに、スロット52は、好ましくは、毛細管現象によりサンプルチャンバー88に導入される血液サンプルがおおよそ1マイクロリッター以下となるようなサイズとされる。一例として、スロット52は、長さ(基端68から先端70まで)約0.140インチ、幅約0.060インチ、高さ(実質的にスペーサー層64の厚さに等しい)約0.005インチである。ただし、この他のサイズも適用し得る。上記のように、カバー72に開けた孔により開口86を設ける変形例の場合も、そのカバー72の孔により、切れ目84と同じく、毛細管現象によってサンプルチャンバー88に液体サンプルが導入される。
【0040】
サンプルチャンバー88内には試薬層90が配置されている。図示の例の試薬層90は、カソード電極領域16の露出部分を少なくとも覆っている。さらに図示の例によれば、試薬層90は、アノード電極領域18の露出部分に少なくとも接触し、好ましくはアノードをフルに覆っている。試薬層90は、血液サンプルのような検査液中にあるグルコースなどの検体の濃度を電気化学的に検出することを可能とする化学成分を含む。したがって、試薬層90は、グルコースオキシダーゼやデヒドロゲナーゼといったグルコースの酵素、フェリシアン化カリウムやヘキサアンミンルテニウムといった伝達物質を含んでいる。また、試薬層90は、この他に、緩衝剤(リン酸カリウム等)、ポリマーバインダー(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、微結晶性セルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等のいずれか一つ以上)、界面活性剤(Triton X-100、Surfynol 485等)などの成分を含んでいてもよい。
【0041】
これらの化学成分をもつ試薬層90は、次のようにして血液サンプル中のグルコースと反応する。グルコースオキシダーゼは、グルコースをグルコン酸に酸化し、フェリシアナイド(ferricyanide)をフェロシアナイド(ferrocyanide)に還元する反応を開始する。アノード電極領域18との関係で所定の電圧がカソード電極領域16に印加されると、フェロシアナイドがフェリシアナイドに酸化されることにより、血液サンプル中のグルコース濃度に従って電流が流れる。
【0042】
図3に示すように、複数の層を積層して形成される検査片10は、各所で厚さが異なっている。特に、ベース層36上の層のうち、スペーサー層64の厚みが検査片10を最も厚くしている。したがって、先端部14に位置するスペーサー層64の縁により、検査片10中に肩部92が形成される。肩部92は、肩部92から先端部14に広がる薄肉部96を区画し、肩部92から基端部12に広がる厚肉部96を区画する。測定器具との電気的接続に使用される検査片10の要素、すなわち電気コンタクト26−32は、すべて薄肉部94に位置する。したがって、測定器具側のコネクターは、詳細を後述するように、薄肉部94は収容可能で且つ厚肉部96は収容不可なサイズと構造である。これにより、間違った方、つまり厚肉部96にある基端部12の挿入を防ぎ、ユーザーが正しい方、つまり薄肉部94にある先端部14を測定器具に挿入するように、導くことができる。
【0043】
図2及び図3に示したのは検査片10の一例であって、その他の構造、化学成分、電極配置も使用可能である。
【0044】
図4は、導電層を設けた基板材料に形成された、個々の検査片用の配線80の綴りを示している。配線80は、この例ではコンタクトプリンティング及びトランスファモールド技術のいずれか又は両方を使用して形成され、図中では1列10個で2列の検査片の導電層を部分的に形成している。図示の例では、2列の検査片の基端部12がリール102の中心線側に並列に並び、先端部14がリール102の周辺側に並んでいる。検査片の基端部12と先端部14とがリール102の中心線側に並ぶようにすることもできる。あるいは、検査片の先端部14がリール102の中心線側に並ぶようにしてもよい。検査片間のスペースは、隣り合った検査片を分離して単品に切り出せるよう設定される。リール102から検査片を分離することによって、検査片10の1以上の導電要素が電気的に分離される。
【0045】
図4に示すように、個々の検査片の配線80は、多数の導電要素、すなわち電極、導電領域、電極コンタクトなどを形成する。後述するように、配線80は、予め作成したスタンプを使用するコンタクトプリンティングの工程を経て形成される。検査媒体の最終品形態では化学試薬が要求されるが、試薬は、導電パターン構成後に適用され、試薬の少なくとも一部が、導電パターンに形成された1以上の電極を覆うように形成される。
【0046】
マイクロコンタクトプリンティングを使用して検査媒体を製造するために、一例として、当業者に知られている一般的なリソグラフィ工程を使用してマスターが作成される。簡単に言えば、フォトレジスト(ネガ又はポジのいずれか)をシリコンなど適材のウエハーに塗布し、ウエハー表面に所定のマスクパターンを形成する。フォトレジストは、露光後、ネガレジストかポジレジストかに従って露光部位が重合又は分解する。(マスクを使用する他にも、レーザーを使用して、フォトレジストに直接、所定のパターンを選択露光してもよい。)マスク(を適用した場合)は、後に除去され、未反応のフォトレジストは洗浄又はエッチされる。図5は、電極スタンプを成型するために使用される実施形態のマスター200を示した概略図で、電極の境界部に沿ったフォトレジスト残部による隆起パターン220と、電極領域に応じた陥没パターン230と、を有するシリコンウエハー210である。当業者には、スタンプに刻印される実際のパターンの反転パターンがマスターパターに含まれることが理解される。
【0047】
一例として、スタンプは、テンプレートとしてマスターを使用し作成される。スタンプがマスターに固着してしまわないように、マスターは、気相シリル化処理、プラズマフッ化処理などの適した技術で処理される。スタンプには、(ポリ)ジメチルシロキサン(“PDMS”)が用いられるが、この他にも適した材料を使用可能である。PDMSを使用する場合、硬化剤を含めてPDMS前駆体は、スタンプを変形させ且つインクの塗布に影響を与える酸素バブルを取り除くために、混合されて真空チャンバーに入れられる。混合された前駆体は、マスター上に注がれる。一例として、PDMSはその後キュアされる(例えば、60℃で1時間以上)。キュア後、所定のパターンが刻印されたPDMSがマスターからはがされ、スタンプが作成される。PDMSの表面に刻まれたパターンは、マスターのパターンに対し反転している。
【0048】
図6Aに示すように、スタンプ300は、マスター200上に形成されるのでマスター200の反転となる。図6Bに示すように、マスター200の隆起パターン220がスタンプ300の陥没パターン320を形成し、マスター200の陥没パターン230がスタンプ300の隆起パターン330を形成する。一つの例において、スタンプ300の隆起パターン330は、マイクロコンタクトプリンティングを経て形成される電極パターンに相当する。
【0049】
マスター上でのキュアに適したポリマー材料がスタンプ用に使用可能である。パターンを刻印したスタンプになってしまったポリマー材料は、再使用できず、続いて述べる生体分子を含んだ「インク」に反応しない。さらに、ポリマースタンプ材料は、「インク」の導電性や化学性質を妨害するものではない。そして、ポリマー材料は、マスターからはがし難くなるほどにまで、あるいは、基板にインクが転写し難くなるほどにまで、固くならないものとする。
【0050】
スタンプ作成後は、「インク」として知られる材料がスタンプに塗布される。インクを塗布するために、多くの手法が当業者に知られている。例えば、インクを噴射や噴霧して塗布する、あるいは、スタンプを全体的にあるいは部分的にインクに浸して塗布することができる。過剰なインクは、カミソリなどのブレード、又は過剰インクをこすり取るその他の道具を使用して除去することができる。別の例では、ブラシ、ローラー、その他のインク塗布具を使用して、スタンプに直接的にインクを塗りつけるあるいは塗り拡げることもできる。上述したように、検査媒体の最終製品形態では、化学試薬が必要で、試薬「インク」材料は、導電性「インク」材料を適用した後に形成され、試薬の少なくとも一部が、導電性「インク」により形成された電極の少なくとも一部を覆うものとされる。
【0051】
一般的に、PDMSスタンプ表面は疎水性の特徴を示すので、使うインクのタイプによっては、基板への転写の妨げになり得る。したがって、PDMSスタンプは、使用前に酸素プラズマ処理して、親水性表面を形成するのがよい。これにより、スタンプから被プリント面へのインク材料転写性能が向上し、同時に、インクがより均一にスタンプに塗布されるようにもなる。このようなスタンプ処理には、市販のプラズマ処理装置を利用可能である(例えば、Harrick Plasma bench top plasma cleaner、PVA TePla Plasma Pen、ScanArc Plasma Technologies treaters)。本願の目的に照らして、このプラズマプロセスでスタンプを「プラズマ処理」するのが適している。
【0052】
「インク」は、マイクロコンタクトプリンティングを通じて基板材料に転写され、上記の導電層40を形成する材料である。上述のように、従来技術の工程では、例えばヘキサデカンチオールを含んだSAM構造をプリントするために、SAM前駆体を含んだインクを使用している。以下のシステム及び方法におけるマイクロコンタクトプリンティングは、塗布インクが導電性材料であってSAMではない点で相異している。さらに、インク転写により形成されるのが、単分子層構造とは対照的な多層構造である。また、プリント対象の基板がポリマー(例えばポリエチレンテレフタレート(PET)材料)であって、先行技術で使用される金や銀の層ではない。インク材料及び適用する表面材料が、従来のマイクロコンタクトプリンティング技術に関連して記載されているものと違っているので、インクと被プリント基板との間の付着構造、及びプリント形成物中の積層構造の両方とも、従来技術に関するものとは必然的に異なっている。
【0053】
電極パターン用のインクは、転写可能な導電性物質であれば使用することができ、例えば、パラジウム、金、銀、炭素、プラチナ、銅、ドープシリコン、導電性ポリマー、及びその他の電極材料のいずれか1以上を使用可能である。インクは、単一の導電性物質、又は混合した導電性物質のいずれでもよい。導電性インクはまた、例えば凝集防止又はその熱処理特性といった特定の目的や特性を得るための特別な有機金属のインク(例えばGwent Electronic Materials, Ltd.から入手可能)でもよい。インクは、リキッド、ペースト、パウダーの形態を含め、基板に転写可能な様々な形態であり得る。「インク」という用語の使用は、当然ながら、特定のインク材料の塗布方法や形態を意図するものではない。
【0054】
例えば、インクとポリマー基板との付着構造は、ポリマー基板上におけるインクの物理的吸着機構に基づいている。一例によると、インクに含まれる導電特性を提供する物質は、高分子剤と混ぜる必要がある。その使用時、高分子剤は、インク物質のキュアの結果、付着構造の一部をなす架橋結合構造を提供する。
【0055】
また、一例として、リキッド−ペースト濃度状態で提供される導電金属粒子や炭素粉末などの導電材料のみのインク材料もあり得る。導電材料は、当業者に周知の化学物質の添加により所定のインク粘度に調整したリキッド−ペースト濃度で提供される。導電材料中に分散される物質は、有機媒体を含み得る。例えば、エチルセルロース・ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース材料、ポリブチルメタクリレート・ポリメチルメタクリレート・ポリエチルメタクリレートなどのアクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールなどを基にした有機バインダーを使用可能である。あるいは、ブチルセロソルブアセテート・ブチルカルビトールアセテートなどのエステル溶媒、ブチルカルビトール誘導体・エチレングリコール誘導体・ジエチレングリコール誘導体・トルエン・キシレン・ミネラルスピリット・テルピネオール・メタノールなどのエーテル溶媒といった有機溶媒を使用可能である。
【0056】
インク材料をスタンプした形状に、上述の化学試薬層を加えることもできる。試薬層用のインクは、プリント後に1以上の検体の検出を促進する化学物質を使用する。このインクは、1以上の酵素(グルコースオキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ等)を含んでいてよい。また、インクは、電気化学伝達物質(フェリシアン化カリウム、ヘキサアンミンルテニウム等)、緩衝剤(リン酸カリウム等)、ポリマーバインダー(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、微結晶性セルロース、ポリエチレンオキシド、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコール等のいずれか一つ以上)、界面活性剤(Triton X-100、Surfynol 485等)、酵素安定剤、変色指示薬、及びその他の検査反応促進に必要な化学物質を一つ以上含んでいてよい。なお、化学溶剤の特性に応じ、ここに記載したプリンティングプロセスで化学溶剤を塗布する際に、プリンティング前スタンプのプラズマ処理は、必要ない場合もある。
【0057】
図7Aに示すように、インク塗布済みのスタンプ300が、一例として基板400であるベース層に押し付けられ、所定の形状にインク500が転写される。つまり、基板400は、スタンプ300で「スタンプ」される。基板は、各種の適材を用いて形成することが可能であり、例えば、様々なポリマー(前述したポリエチレンテレフタレート(PET)やそのバリエーション等)、金属、及び合成材料のいずれか一つ以上が含まれる。一例として、基板は、インクの転写を促進する熱可塑性で、広く入手でき安価な材料を用いて形成することができる。
【0058】
図7Bに示すように、基板400に押し付けたスタンプ300が取り払われると、スタンプ300の隆起パターン330に沿った形状のインク500が基板400に転写されている。スタンプと基板との接触時間は、インク500の1以上の薄層を基板上に転写するために適した時間とする。一例として、化学結合の相互作用(アルカンチオールと基板とのチオエーテル結合、アルカンチオール炭素鎖間のファンデルワールス力など)に頼っている、前述したアルカンチオールの単分子層を転写する従来の手法とは異なり、インク材料は、機械的結合を通して下部の基板に付着する。機械的結合は、インクを塗布する基板層表面を粗くすると強くなる。付着させるインク層に沿って、表面を粗くした領域が多くなれば、機械的結合が向上する。
【0059】
プリントされた導電性インクは、1以上の電極パターンを形成し得る。1以上の電極パターは、1以上の電極(カソード電極、アノード電極、充填検出カソード、及び充填検出アノードのいずれか一つ以上)、1以上の電気コンタクト(例えば各電極から延長された)、及び1以上の電極と対応する電気コンタクトとを接続する1以上の導電性配線のいずれか一つ以上を含む。その他に形成される電極パターンとしては、測定器具との接続を検出して測定器具を自動的にオンさせる端子を含んでいてもよい。
【0060】
基板に転写された導電性インクは、ベーキング、焼結、UV処理、又はその他多くの適した技術により、キュア(cure)される。キュア条件は、使用するインクの特性に従う。例えば、Gwent Electronic Materials, Ltd. (GEM)によるカスタムの有機金属インクの場合、カ氏500度で焼結される。化学的に利用可能な炭素及び金インク(GEM、Dupont)の場合はセ氏60度で1−5分間キュアされる。
【0061】
上述したように、化学試薬層がマイクロコンタクトプリンティング技術を利用して形成され得る。化学成分の希釈液をインク用に使用することが可能である。化学成分は、別々にも一緒にも添加することができ、適切な乾燥技術が使用される。スタンプは、検査媒体のサンプル保持領域に化学層を形成する。
【0062】
図8Aは、試験媒体形態の別の例を示す。図8A及び図8Bに示す例において、導電パターンは、マイクロコンタクトプリンティングのバリエーションであるトランスファモールディングの仕組みで基板に転写される。トランスファモールディング技術の場合、インク材料を押し付け転写するスタンプ表面の隆起パターンに代えて、スタンプに刻まれた陥没部位にインク材料が塗布される。その後、下部の基板にスタンプが押し付けられると、陥没パターン内のインクがキュアされて固められ、そして、スタンプがはがされ(又は取り除かれ)ると、所定のパターンのインク材料が残される。他の例では、スタンプは、転写材料のキュア前に取り除かれ得る。
【0063】
図8Aに例示したスタンプ600は、マイクロコンタクトプリンティングに関連して先の述べたのと同様の手法にて形成される。ただし、当然理解されるように、ネガの陥没パターン(ポジの隆起パターンとは逆に)がパターンを表すようにして、所定のパターンが提供される。したがって、図8Aにおいてスタンプ600は、所定の陥没パターン620を形成する連続した谷又は溝を含んでいる。トランスファモールディング中、インク材料500(上述したインク材料同様)は、陥没パターン620の溝に塗布されている。すなわち、スタンプ600の陥没面にインクが塗布され、隆起部分に残った過剰分はブレードで除かれる。
【0064】
このスタンプ600が基板400(例えばPETなど、上述の材料を使用可能)に押し付けられると、インク材料500を固めて残すプロセスが実行される。例えば、インク材料500に対し、紫外線を照射して(UV照射は化学試薬の場合には使用しない)キュアする、あるいは、ベーキング又は焼結により熱処理するプロセスが実行される。一つの例では、化学試薬の場合は、その酵素の変性を防ぐために、低温ベーキングプロセスを用いるのがよい。図8Bに示すように、インクを固める処理の後、スタンプ600が基板からはぎとられ(取り除かれ)、基板上に導電インク500のパターンが残される。なお、スタンプは、キュア前に除くこともできる。
【0065】
図9は、検査媒体の先端部における導電配線パターンの一例を示している。図9において、検査片の先端部700は、検査片の基端寄りに配置された第1電気コンタクト28,32,30,26と、検査片の先端寄りに配置された第2電気コンタクト758,760,762,764,766を含んでいる。
【0066】
上述の手法のいずれかによってベース層36に形成された導電パターンは、検査片に沿って延設され、先端コンタクト領域700を備えている。図9に示す先端コンタクト領域700は、二つの区画導電領域34,710に分割される。導電領域710は、第1電気コンタクト28,32,30,26をなす四つの列に分割される。第1電気コンタクトは、上述したように、検査片の先端部において複数の測定電極と電気的に接続される。当然ながら、四つのコンタクト26−32は一つの例であり、システムに備えられた測定電極数に応じた数の電気コンタクトであり得る。
【0067】
第1電気コンタクト26−32は、例えば、検査片10において導電パターンを通して形成された切り込み754によって、分割される。切り込みは、上述のコンタクトプリンティング又はトランスファモールディングプロセスで導電パターンに形成し得る。これに限らず、当業者であれば、検査片10において導電材料を除去することで切り込みを入れるプロセスも適用可能である。一つの切り込み754が、先端コンタクト領域700において導電領域34から導電領域710を分離しており、その他の切り込み754が、以下に詳細を示すように、先端コンタクト領域700の上端右手部分をノッチ領域756として分離している。
【0068】
図9において、導電領域34は、コンタクトパッド758,760,762,764,766をなす第2電気コンタクトを形成する五つの区画領域に分割されている。コンタクトパッドとなる第2電気コンタクト758,760,762,764,766は、上記の第1電気コンタクト26−32と同じ分割手法で分割され得る。上述のように、少なくとも電気コンタクト形成部分を含む、ベース層36上の導電パターンは、検査片の上面、下面、又はその両方に適用され得る。コンタクトパッド758,760,762,764,766は、測定器具コネクター750(図10参照)内の多数の第2コネクターコンタクト740と動作接続できるように形成される。この接続により、測定器具は、コンタクトパッドを介して、検査片10に関する情報をアクセスすべく測定器具に送られる特定のコードを読み出すことができる。また、図9に示す切り込みパターン768は、先端領域34にある最も外側の接続端を絶縁している。
【0069】
2005年7月15日出願でペンディング中の米国特許出願11/181,778(参照として全内容がここに組み入れられる)に記載されているように、コンタクトパッド758,760,762,764,766は、測定器具コネクター750(図10参照)内の多数の第2コネクターコンタクト740と動作接続できるように構成されている。この接続により、測定器具は、コンタクトパッドを介して、検査片10に関する情報をアクセスすべく測定器具に送られる特定のコードを読み出すことができる。符号化される情報は、側手器具に送られて、特に限定されるものではないが、実行された特定検査を識別するパラメーター、検査プローブとの接続を識別するパラメーター、チェックストリップとの接続を識別するパラメーター、キャリブレーション係数、温度補正係数、pH補正係数、ヘマトクリット補正データ、及び特定の検査片ブランドを認識するためのデータを含んだ情報をアクセスさせる。
【0070】
ここに開示する方法は、検査片を大量生産する各種手段として標準化され得る。図11に示すように、一例として、多数のスタンプ300がローラー(シリンダー)800に搭載される。インクを塗布したローラー800が基板400のシート上を転がり、基板にイクをスタンプすることで、所定のパターン850をもつ検査片のシートが製造される。使用するインク材料のタイプに応じて、スタンプ又はローラーには、個々のスタンプ接触後にインクの再塗布が要求され得る。ただし、インク材料を再塗布するまでに個々のプリントが何度もできるように、インク容器を保持するようにして、異なる基板に何度でも転写することのできるスタンプ構造の例もあり得る。同様に、図12に示すように、多数のスタンプ300を、剛性背面をもつプレス具900に搭載することもできる。インクを塗布した多数のスタンプ300は、基板材料のシートに押し付けられる。プリント後、所定のパターンをもつ検査片が基板シートから分離され、一度に多数の検査片を製造でき、費用効果が向上する。
【実施例】
【0071】
以下は、上述のシステム及び方法で提供された導電パターン及び化学層のいくつかの実施例を示す。本発明の実施形態によってマイクロコンタクトプリントされたパターンは、1ミクロン以上のオーダーの空間解像度の形状をもつ。限定例ではないが、コンタクトプリントしたバイオセンサー用の電極及び化学層は、25−1500ミクロンオーダー、好ましくは50−1000ミクロンの範囲の最小空間解像度を有する。
【0072】
本出願を通し開示したシステム及び方法において、形成されるパターンの最小空間解像度は、いくつかのファクターに左右される。これらファクターを最適化し改良することにより、最終的には、解像度と共にプリント形状の寸法を改善することができる。例えば、プリントパターン形状の解像度及び均一性は、スタンプ形状の品質及び解像度、究極的にはスタンプを作成するマスターに依存する。マスターの表面形状におけるイレギュラーな形状又はエッジ(露光したフォトレジストにおけるエッジの凸凹から形成される)は、スタンプ及び最終プリント製品における形状の解像度を制限し得る。
【0073】
また、スタンプ構造の剛性は、形成されるパターンに影響する。例えば、スタンプを作るポリマー材料の形状が軟らかすぎると、基板に対しスタンプが強く押し付けられたときに、転写されるインク材料の歪みや意図しない広がりを招く。
【0074】
スタンプの溶剤親和性も、空間解像度に影響し得るファクターである。例えば、インクに提供される有機溶剤はスタンプを拡げ得るため、これによっても被スタンプ形状に予期せぬ広がりが生じ得る。
【0075】
他にも、インクにおける導電物質の粒子サイズが、達成可能なパターンの最小空間解像度を制限する。すなわち、プリント形状は、インクに提供された個々の粒子よりも小さくなり得ない。
【0076】
炭素及び金電極のコンタクトプリンティング
【0077】
図13は、コンタクトプリントされた炭素電極パターンの基端部についての拡大平面図である。図13に示すように、炭素コンタクトプリンティングで形成されたカソード電極パターン16の一部長さは、0.400mmである。また、対応するアノード電極領域18の長さは、例えば0.330mmで、これらの間にある非導電パターンは0.12mmの長さである。図14は、金材料で形成したコンタクトプリント電極パターンの基端部についての拡大平面図である。
【0078】
限定例ではないが、次に示す実施例で金及び炭素電極を形成した。シリコンエラストマー硬化剤及びベース(Sylgard 184 silicone elastomer kit、Dow Corning Corporationから入手可能)を使用し、これらを1:10の比率で互いに混合して、パターン形成し表面処理したシリコンウエハーマスター(Premitec)に均一に注ぎ、PDMSスタンプを用意した。得られたPDMS材料は、カ氏65度で2時間ベークした。キュア後のPDMS材料は、マスターから剥ぎ取り、個々のスタンプにカットした。PDSMスタンプは、このように準備されカットされたものである。スタンプは、スタンプ前に酸素プラズマ(約30秒間)で処理した。この後、スタンプに、金又は炭素ポリマーペースト(C2041206D2, C2000802D2、Gwent Electronic Materials Ltd.)の薄層を塗布した。ペースト材料の粘度を所定のレベルに落とすために少量のヘキサンを使用した。スタンプは、インク塗布後、ポリエステルフィルム基板(Hostaphan W54B、Mitsubishiから入手可能)に約15秒間押し付けた。その後、注意してPDMSスタンプを取り除くと、インクでプリントされた電極形状が現れた。プリント電極形状は、その後、最終電極形成のために、カ氏65度で約30分間ベークした。
【0079】
化学層のコンタクトプリンティング
【0080】
図15は、図3に関し上述した層90のような化学層の実施例である。図15を参照すると、化学層90の一部長さは1.95mmを示している。
【0081】
限定例ではないが、次に示す実施例で化学層を形成した。PDMSスタンプは、上記のようにして準備しカットした。スタンプは、スタンプ前に酸素プラズマ(約30秒間)で処理した。化学溶剤を含んだインクを、綿棒でスタンプに塗布し、乾燥させた。当例の化学溶剤は、0.05% Silwet, 0.05% Triton-x, 0.25% methocel F 4M, 100mM potassium phosphate buffer, 5% sucrose, 190mM ruthenium hexaamine chloride, 5000u/ml glucose dehydrogenase, pH7.25。インクを塗布したスタンプは、ポリエチレンテレフタレート(PET)基板上の30nm金層に20秒間押し付けて、取り除いた。その後、化学溶剤を乾燥させ、最終プリント形状を得た。
【0082】
当業者であれば、本発明が検体を検査するために応用できることは当然理解できる。限定するものではないが、そのような検体は、グルコース、コレステロール、乳酸塩、血中尿素窒素、TSH、T4、薬、非治療薬を含む。本出願に開示したマイクロコンタクトプリンティング及びマイクロトランスファモールディング工程は、電極層又は化学層の準備にのみ使用され得ることに注意すべきである。あるいは、上述したマイクロコンタクトプリンティング及びマイクロトランスファモールディング工程は導電層及び化学層を検査媒体に形成するために組み合わせでも用いられ得る。
【0083】
ここに開示した発明の明細及び実施形態を考慮することによって、当業者であれば、他の形態を想到し得る。明細書及び実施形態は例示のためのものであって、本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの電気的絶縁ベース層と、
該ベース層上にスタンプされ、所定の電極パターンを形成する導電性インク材料と、
該電極パターンの少なくとも一部上に提供された試薬層と、
を含んで構成される診断検査媒体。
【請求項2】
導電性インク材料は、パラジウム、金、銀、プラチナ、銅、ドープシリコン、炭素、及び導電性ポリマーの中から選ばれる導電性材料を含む、請求項1記載の診断検査媒体。
【請求項3】
前記ベース層に、熱可塑性材料が使用されている、請求項1記載の診断検査媒体。
【請求項4】
前記ベース層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項1記載の診断検査媒体。
【請求項5】
前記電極パターンは、電極、電気コンタクト、及び一つ以上の電極と一つ以上のコンタクトとを接続する電気配線のいずれかの導電形状を含む、請求項1記載の診断検査媒体。
【請求項6】
前記電極は、カソード電極領域、アノード電極領域、及び少なくとも一つの充填検出電極領域のいずれかを含む、請求項5記載の診断検査媒体。
【請求項7】
前記電気コンタクトは、カソード電極コンタクト、アノード電極コンタクト、及び少なくとも一つの充填検出電極コンタクトのいずれかを含む、請求項6記載の診断検査媒体。
【請求項8】
前記電気コンタクトは、当該診断検査媒体の基端寄りに多数配置された第1の電気コンタクト及び当該診断検査媒体の先端寄りに多数配置された第2の電気コンタクトを含む、請求項5記載の診断検査媒体。
【請求項9】
前記各第1の電気コンタクトは、電極に接続され、
前記第2の電気コンタクトは、測定器具へ提供されるコードを出力する、
請求項8記載の診断検査媒体。
【請求項10】
前記試薬層は、酵素、電気化学伝達物質、緩衝剤、ポリマーバインダー、界面活性剤、酵素安定剤、及び変色指示薬の中から選ばれる化学物質を含む、請求項1記載の診断検査媒体。
【請求項11】
前記試薬層中の酵素は、酵素基質としてグルコースをもつ酵素、及び酵素基質としてコレステロールをもつ酵素の中から選ばれる、請求項10記載の診断検査媒体。
【請求項12】
前記試薬層は、前記電極パターンの少なくとも一部上にスタンプされる、請求項1記載の診断検査媒体。
【請求項13】
所定の電極パターンを刻印したスタンプを形成し、
該スタンプの表面をプラズマ処理し、
該スタンプに少なくとも1種類の導電性インク材料を塗布し、そして、
該導電性インク材料を塗布したスタンプを基板に押し付けて、該基板上に前記導電性インク材料による電極パターンを形成する、
ことを含む検査媒体の製造方法。
【請求項14】
前記スタンプは、前記電極パターンの反転パターンを刻印したマスターを使用して提供される、請求項13記載の製造方法。
【請求項15】
前記マスターは、フォトリソグラフィ技術を使用してシリコンウエハーにより作成される、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
前記スタンプは、(ポリ)ジメチルシロキサンにより形成される、請求項13記載の製造方法。
【請求項17】
前記導電性インク材料の塗布は、パラジウム、金、銀、プラチナ、銅、ドープシリコン、炭素、及び導電性ポリマーの中から選ばれる導電性材料の塗布を含む、請求項13記載の製造方法。
【請求項18】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項13記載の製造方法。
【請求項19】
前記基板上の導電性インク材料をベーキングして固めることをさらに含む、請求項13記載の製造方法。
【請求項20】
前記基板上の導電性インク材料を焼結させて固めることをさらに含む、請求項13記載の製造方法。
【請求項21】
前記基板上の導電性インク材料に紫外線を照射して固めることをさらに含む、請求項13記載の製造方法。
【請求項22】
前記電極パターンを刻印したスタンプの形成で、前記スタンプの表面から盛り上がった隆起パターンを形成し、
前記導電性インク材料のスタンプへの塗布で、前記隆起パターンにのみ導電性インク材料を塗布する、
請求項13記載の製造方法。
【請求項23】
前記電極パターンを刻印したスタンプの形成で、前記スタンプの表面から落ち込んで導電性インク材料を受容する陥没パターンを形成し、
前記導電性インク材料のスタンプへの塗布で、前記陥没パターンにのみ導電性インク材料を塗布する、
請求項13記載の製造方法。
【請求項24】
所定の試薬層パターンを刻印した第2のスタンプを形成し、
該第2のスタンプに少なくとも1種類の試薬混合材料を塗布し、
該試薬混合材料を塗布した第2のスタンプを前記基板に押し付けて、該基板上の前記電極パターンの少なくとも一部上に、前記試薬混合材料による試薬層を形成する、
ことをさらに含む、請求項13記載の製造方法。
【請求項25】
前記試薬混合材料は、酵素、電気化学伝達物質、緩衝剤、ポリマーバインダー、界面活性剤、酵素安定剤、及び変色指示薬の中から選ばれる化学物質を含む、請求項24記載の製造方法。
【請求項26】
前記試薬混合材料中の酵素は、酵素基質としてグルコースをもつ酵素、及び酵素基質としてコレステロールをもつ酵素の中から選ばれる、請求項25記載の製造方法。
【請求項27】
所定の電極パターンを刻印した第1のスタンプを形成し、
該第1のスタンプの表面をプラズマ処理し、
該第1のスタンプに導電性インク材料を塗布し、
該導電性インク材料を塗布した第1のスタンプを基板に押し付け、
所定の試薬層パターンを刻印した第2のスタンプを形成し、
該第2のスタンプに試薬インク材料を塗布し、
該試薬インク材料を塗布した第2のスタンプを、前記導電性インク材料をスタンプした基板に押し付ける、
ことを含む検査媒体の製造方法。
【請求項28】
前記第1のスタンプは、該第1のスタンプの表面から盛り上がった隆起パターンにより形成される電極パターンを含み、該隆起パターンにのみ導電性インク材料が塗布される、請求項27記載の製造方法。
【請求項29】
前記第1のスタンプは、該第1のスタンプの表面から落ち込んで導電性インク材料を受容する陥没パターンを含み、該陥没パターンにのみ導電性インク材料が塗布される、請求項27記載の製造方法。
【請求項30】
前記第1及び第2のスタンプは、それぞれが個々の検査媒体パターンを構成する繰り返しパターンを含み、該第1及び第2のスタンプを適用することにより、複数の検査媒体のアレイが得られる、請求項27記載の製造方法。
【請求項31】
前記第1及び第2のスタンプは、所定のパターンを少なくとも一表面に形成した複数のスタンプが、そのパターン形成面を外向きにして配列されたプレス具とされ、
前記スタンプの基板への押し付け時に、前記プレス具を移動させて前記基板に押し付ける、
請求項30記載の製造方法。
【請求項32】
前記第1及び第2のスタンプは、所定のパターンを少なくとも一表面に形成した複数のスタンプが、そのパターン形成面を外向きにして外周面に配列されたシリンダーとされ、
前記スタンプの基板への押し付け時に、前記シリンダーを前記基板上で回転させつつ押し付ける、
請求項30記載の製造方法。
【請求項33】
前記基板上の導電性インク材料をベーキングして固めることをさらに含む、請求項27記載の製造方法。
【請求項34】
前記基板上の導電性インク材料を焼結させて固めることをさらに含む、請求項27記載の製造方法。
【請求項35】
前記基板上の導電性インク材料に紫外線を照射して固めることをさらに含む、請求項27記載の製造方法。
【請求項36】
少なくとも一つの電気的絶縁ベース層と、
該ベース層上で所定の電極パターンを形成する導電性材料と、
該電極パターンの少なくとも一部上にスタンプされた試薬層と、
を含んで構成される診断検査媒体。
【請求項37】
前記導電性材料は、パラジウム、金、銀、プラチナ、銅、ドープシリコン、炭素、及び導電性ポリマーの中から選ばれる、請求項36記載の診断検査媒体。
【請求項38】
前記ベース層に、熱可塑性材料を使用する、請求項36記載の診断検査媒体。
【請求項39】
前記ベース層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含む、請求項36記載の診断検査媒体。
【請求項40】
前記電極パターンは、電極、電気コンタクト、及び一つ以上の電極と一つ以上のコンタクトとを接続する電気配線のいずれかの導電形状を含む、請求項36記載の診断検査媒体。
【請求項41】
前記電極は、カソード電極領域、アノード電極領域、及び少なくとも一つの充填検出電極領域のいずれかを含む、請求項40記載の診断検査媒体。
【請求項42】
前記電気コンタクトは、カソード電極コンタクト、アノード電極コンタクト、及び少なくとも一つの充填検出電極コンタクトのいずれかを含む、請求項41記載の診断検査媒体。
【請求項43】
前記電気コンタクトは、当該診断検査媒体の基端寄りに多数配置された第1の電気コンタクト及び当該診断検査媒体の先端寄りに多数配置された第2の電気コンタクトを含む、請求項40記載の診断検査媒体。
【請求項44】
前記各第1の電気コンタクトは、電極に接続され、
前記第2の電気コンタクトは、測定器具へ提供されるコードを出力する、
請求項43記載の診断検査媒体。
【請求項45】
前記試薬層は、酵素、電気化学伝達物質、緩衝剤、ポリマーバインダー、界面活性剤、酵素安定剤、及び変色指示薬の中から選ばれる化学物質を含む、請求項36記載の診断検査媒体。
【請求項46】
前記試薬層中の酵素は、酵素基質としてグルコースをもつ酵素、及び酵素基質としてコレステロールをもつ酵素の中から選ばれる、請求項45記載の診断検査媒体。
【請求項47】
少なくとも一つの電気的絶縁ベース層を形成し、
該ベース層上に、導電性材料による所定の電極パターンを形成し、
所定の試薬層パターンを刻印したスタンプを形成し、
該スタンプに試薬インク混合材料を塗布し、
該試薬インク混合材料を塗布したスタンプを前記ベース層に押し付けて、前記電極パターンの少なくとも一部上に試薬層を形成する、
ことをを含む検査媒体の製造方法。
【請求項48】
前記スタンプは、それぞれが個々の試薬層パターンを構成する繰り返しパターンを含み、該スタンプを前記ベース層に押し付けることにより、それぞれ試薬層をもった複数の検査媒体のアレイが得られる、請求項47記載の製造方法。
【請求項49】
前記スタンプは、前記試薬層パターンを少なくとも一表面に形成した複数のスタンプが、そのパターン形成面を外向きにして配列されたプレス具とされ、
前記スタンプのベース層への押し付け時に、前記プレス具を移動させて前記ベース層に押し付ける、
請求項48記載の製造方法。
【請求項50】
前記スタンプは、前記試薬層パターンを形成した複数のスタンプを外向きにして外周面に配列したシリンダーとされ、
前記スタンプのベース層への押し付け時に、前記シリンダーを前記ベース層上で回転させつつ押し付ける、
請求項48記載の製造方法。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−537825(P2009−537825A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511149(P2009−511149)
【出願日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【国際出願番号】PCT/US2007/068106
【国際公開番号】WO2007/136980
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(504144529)ホーム ダイアグナスティックス,インコーポレーテッド (28)
【Fターム(参考)】