説明

診断解析装置およびそれに関連する方法

液体形態の発育良好な培地と混合された少なくとも1つの生体サンプル中の細菌の有無を検証し、少なくとも細菌のタイプを分類し、少なくとも同定された細菌のタイプに特徴的な抗生物質群から選択される一連の抗生物質をテストして、抗生物質治療を決定するのに有効な抗生物質を同定する診断解析に使用される統合装置。この装置は、内部に、一体化された構造体(11)と;分析される生体サンプルが分配される包含要素(13)を具備する第1の包含手段(12)と;容器(15)、またはウェル(67)を有する恒温化されたマイクロプレート(66)、並びに第1の容器(15a)および第2の容器(15b)、または相対的な第1のウェルおよび第2のウェルを有するプレートを含む第2の包含手段(14)とを含む。ウェル67は、分析される生体サンプルの第1の画分が分注される液体形態の発育良好な培地を含有し、第1および第2のウェルには、分析に対して陽性の結果が得られた生体サンプルの別の画分が分注される。この統合装置は、第1の包含手段(12)に含まれる生体サンプル中の細菌の有無を検証できる第1の検査手段を含み、細菌に適切な抗生物質群を検出するために、この生体サンプルは容器(15)、またはウェルを有するマイクロプレートに分注されて、対応する陽性生体サンプルが検出され、少なくとも陽性生体サンプル中の細菌のタイプが分類または同定される。この装置は、第1の容器(15a)または第1のウェル、および第2の容器(15b)または第2のウェル上で、第1の検査手段により選択される抗生物質群の一連の抗生物質に対する各陽性生体サンプルの感受性または耐性応答の検証ができる第2の検査手段と;固体培養手段を含有するプレート(116a、116b)を含み、細菌の単離および/または同定を行うために、第1の検査手段(40、49)により陽性と判明したサンプルに対応する生体サンプルの第2の画分が播種される第3の包含手段(16)とを含む。また、この装置は、制御ユニット(18)により制御され、包含手段(14)および第3の包含手段(16)における、陽性生体サンプルの少なくとも採取および分配を自動的に実行する動作/選択ユニット(20)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天然の生体サンプルまたは患者から採取した生体サンプルについて診断解析を実行するための統合装置およびそれに関連する方法に関する。本発明は、あらゆる治療方法に的確な抗生物質を選択するために、サンプル中に1以上の細菌が存在するか否かを検証し、それらを分類し、あるいはそのタイプを同定するために使用される。抗生物質は、その後、同定された細菌とともに解析され、その有効性が検証され、操作者のマニュアルの介入なしに、尿の容器、試験管、さまざまな容器等からのサンプル採取から始まる細菌学的分析の自動化フローを提供するようになっている。
【0002】
分析される生体サンプルまたは初期の生体サンプルとしては、たとえば尿や、殺菌/非殺菌処理済みのヒトの体液等がある。
【背景技術】
【0003】
診断解析分野においては、生体サンプルにおける病原体や微生物の有無を検証し、そのタイプを分類および/または同定し、かつ、人体のさまざまな部分で微生物類の増殖を防ぐことが可能な抗生物質群を同定するためのさまざまな技術が知られている。後者の操作は、技術的にアンチバイオグラム(antibiogram;耐性記録)と呼ばれる。
【0004】
アンチバイオグラムを実行する既知の技術により、単離した細菌懸濁液中の抗生物質の機能性を検証することができるため、予防的・長期単離方法等が前提とされる。これは、アンチバイオグラムの後に行う抗生物質の機能性の検証にかかる時間も加算する必要があるためである。既知の細菌同定方法は、いずれも、単離したコロニーから開始する生化学的なタイプの分析技術を提供する。
【0005】
培養試験(細菌増殖の評価)を実行し、同定してアンチバイオグラムを実行するのに必要とされる時間は、特に重篤な感染の場合は長く、患者にとっては危険性が高い可能性がある。したがって、医師にとっては、診断検査のサポートなしに臨床上の疑いのみにより、患者に前もって広域スペクトル抗生物質を投与し、治療をすぐに始めることが一般的である。このような抗生物質の乱使用が、いわゆる薬剤耐性の現象を引き起こす。このような広域スペクトル抗生物質の使用に由来するデメリットの一つが、たとえば、このような薬剤が最初は細菌増殖に対して有効であるにもかかわらず、細菌コロニーすべてを完全に全滅させることができないだけでなく、残存する細菌が選択した抗生物質に対して遺伝子の突然変異により耐性を持つようになり、その後に急速に増殖し、感染を拡大させる場合があることである。
【0006】
Journal of Clinical Microbiology Vol. 12、No. 4、October 1980に掲載されたバーンズ(Barnes)らの科学出版物「MS−2システムによる自動抗生物質感受性検査の臨床評価(Clinical Evaluation of Automated Antibiotic Susceptibility Testing with the MS−2 System)」には、あらかじめシャーレまたはディスクに単離した細菌から始める、自動化された抗生物質の感受性分析について開示されていることが知られている。しかしながら、単離した細菌を得る場合、マニュアルまたは自動的に播種が既に実行されていることになる。さらに、バーンズらは、操作者による所望のマクファーランド濁度値のマニュアルの目視調整について開示しており、アンチバイオグラムを実行するためあらかじめ選択されたカートリッジを使用する。
【0007】
上述の欠点に対する解決法は、本出願人が行った別の特許出願WO−A−2006/021519に提案されている。この解決法は、サンプルの陽性が提示され、有効な抗生物質群を短時間で選択できるという点で極めて有効ではあるが、陽性サンプル中に存在する病原菌や細菌のタイプを認識・同定するという点では改良の余地があるようだ。
【0008】
具体的には、本発明の目的は、特に細菌増殖とアンチバイオグラムを行うための、完全な自動細菌学的検査の一種を提供することである。本発明により、完全に自動化された方法で迅速に十分信頼性のある結果を得られる一方、他方では従来の方法により結果の確認ができる。つまり、操作者の介入を最小限に抑え、初期サンプルの取得から始める明らかな操作上の利点が得られる。
【0009】
本出願人は、最新技術の問題点を克服し、これらの目的・利点と他の目的および利点を得るために、本発明を考案し試験を行って具体化した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、独立の請求項に記載されその特徴が明らかにされている。一方、従属請求項には、本発明の他の特徴または発明の主な態様の改良について記載されている。
【0011】
上記目的によれば、本発明に係わる装置は、第1の包含手段(初期サンプルゾーン)と、第2の包含手段(増殖・測定ゾーン)とを含み、第1の包含手段は、分析される生体サンプルが分注される複数の試験管または類似の容器を含み、第2の包含手段には、初期サンプルの少なくとも第1の画分(fraction)が配置される。本発明によれば、第2の包含手段は、液体培養基、または発育良好な培地を含み、分析用の細菌増殖を行うことのできる、バイアル(phial)、試験管等、またはマイクロウェルなどの複数の容器(recipient)を備える。
【0012】
また、第1および第2の包含手段は、実質的に一体化された構造で配置される。
【0013】
さらに、第1および第2の包含手段はそれぞれ、この方法の特定段階において特定の機能を有する。
【0014】
また、本発明に係わる統合装置は、第3の包含手段を含む。有利には、第3の包含手段は、同一の一体化された構造を取り、たとえば標準的なシャーレ上に、自動的に播種し一部をプレート状にする(plate;平板培養する)ことが可能な固体培養手段、または初期生体サンプルの第2の画分を含む。
【0015】
また、本発明に係わる装置は、第2の包含手段の試験管に含まれている前記生体サンプル中の細菌の有無を検証することができる、第1の検査手段を含む。検出される細菌に適した抗生物質群を選択するために、第1の検査手段により、対応する陽性の生体サンプルを検出し、場合によっては、少なくとも前記陽性の生体サンプルに存在する細菌のタイプを分類または同定するようになっている。
【0016】
抗生物質群は、所望とおりに選択され、または病棟(ward)で患者に対して既に投与されていたために選択され、開始された治療に対して適合性があるとの回答を与える。
【0017】
また、本発明に係わる統合装置は、第2の検査手段を提供しており、第2の検査手段により、陽性であることが判明したサンプルの第3の画分が配置される第2の包含手段の容器またはマイクロウェル上で、前記第1の検査手段によりプログラムされたか、または場合により選択された抗生物質群のうちの一連の抗生物質に対する、各陽性生体サンプルの感受性または耐性の応答について検証することができる。
【0018】
本発明の一態様によれば、前記第1の検査手段により陽性であることが判明したサンプルに対応する生体サンプルの第2の画分は、第1の包含手段から取り出され、第3の包含手段に配置されるか、植菌されるかまたは播種されて、固体培養基(たとえばシャーレ)にて従来の分析を行う。これにより、前記細菌は単離および/または同定されて、発育良好な培地において第2の包含手段上で行われる迅速な培養試験の分析結果について確認する。
【0019】
また、本発明の有利な解決法は、好ましくは同一の一体化された構造で、第4の包含手段(マイクロプレート上の、初期サンプルのための「パーキング」ゾーン)も備える。第4の包含手段は、たとえば冷却ユニットに設置されたマイクロプレートであり、安定した冷蔵条件で少なくとも一部の初期生体サンプルを保存するためのものである。
【0020】
したがって、有利な解決法によれば、初期サンプルまたはその一部が、第4の包含手段に配置され保存され、陽性と確認済みの初期サンプルの一部が、第4の包含手段から取り出されて、第3の包含手段に播種され平板培養される。
【0021】
本発明の有利な技術特徴によれば、初期生体サンプルの少なくとも一部を、有利には冷蔵プレート上に保存するために第1の包含手段から取り出して第4の包含手段に配置する。これは、初期サンプルが迅速増殖(quick growth)試験の分析において陽性であることがわかった場合、第3の包含手段において場合により平面培養することを考慮して行われる。
【0022】
したがって、必要に応じて、前記第1の検査手段により陽性であることが判明したサンプルに対応する生体サンプルの前記第2の画分は、有利には、第4の包含手段から取り出されて、第3の包含手段に播種され、有利にはシャーレ等の上で前記細菌の単離および/または同定を行えるようになっている。
【0023】
また、本装置は、制御ユニットにより制御される動作/選択ユニットを含む。動作/選択ユニットは、少なくとも陽性の生体サンプルを自動的にピックアップし、少なくとも第2および第3の包含手段に分注する。
【0024】
さらなる改良型では、第2の包含手段は、第1および第2の分析ゾーンに関連する加熱ユニットを含む。この加熱ユニットは、発育良好な培地が果たす機能や、場合によっては、容器の底部に置かれたマグネティックバーによる増殖培地の継続的な攪拌とともに、陽性の生体サンプルの細菌増殖を、促進・加速する。
【0025】
別の改良型では、第2の包含手段は、生体サンプルおよび発育良好な培地が分注されるマイクロウェルを有するマイクロプレートを、少なくとも含む。
【0026】
本発明に係わる制御ユニットは、第4の包含手段の冷蔵マイクロプレートにて「予備(stand−by)」パーキングを実行するように、液体培養ブロスへの第1のサンプル分注と、第2の全サンプル分注の全サンプリングステップを制御し、コマンドを出すことができる。
【0027】
本発明により得られる、実質的に操作者による介入がない完全な自動化は、自動化されたプレーター(plater)の部分的な自動化を凌ぐ。部分的な自動化の場合、分析されるサンプルをシャーレに播種するものの、さらなる自動化ステップを進めることはなく、初期の部分的な自動化後に、抗生物質群と陽性サンプルをテストして臨床的なアンチバイオグラムステップを行うために、細菌増殖に対して陽性のサンプルに対応する培地容器にさらに自動分注することはない。
【0028】
診断解析法としては、少なくとも発育良好な培地に混合された生体サンプルにおける細菌の有無を検証し、細菌の有無を検証して場合によっては少なくとも細菌のタイプを同定または分類し、かつ抗生物質をテストするのに使用された場合に、本発明の範囲内となる。抗生物質は、特有の抗生物質群から選択されたり、患者に対して病棟で既に投与されていたり、同定された細菌のタイプから予備選択されたり適合させて、抗生物質治療を決定するのに有効なものを同定する。
【0029】
本発明に係わる方法は、有利には液体培養基または発育良好な培地における第1の検査ステップまたは培養ステップを提供する。その間に、複数の陽性生体サンプルを規定できるように、複数の生体サンプルの内容物の第1の画分を検査して、サンプル中の細菌の有無を検証し、陽性の場合、細菌数を測定して、場合により細菌タイプを同定・分類し、臨床的なアンチバイオグラム(すなわち、単離・同定したサンプル中の細菌タイプを知らずに行うアンチバイオグラム、または病棟医により投与され、殺菌剤機能がテストされることになる薬剤に対するアンチバイオグラム)を作動させる一連の抗生物質をプログラムするようになっている。
【0030】
本発明の非限定的な実施形態において、サンプル中に存在する細菌(organism)数は、得られる細菌増殖曲線で行う動力学計算に基づき測定される。
【0031】
本発明により、0.5マクファーランド濁度値が検出された増殖動力学に基づいて達成されたときに、モニター表示または音響シグナルにより、第2の包含手段において第1の検査手段による検出が見込まれる濁度の信号を送ることが可能になる。この信号は、テスト中のサンプルに存在する細菌増殖の信号に対応する。
【0032】
さらに、場合により、0.5マクファーランド濁度を検証し、その後に適切なアンチバイオグラムを実行することができるように、適当な機器において、標準的な濁度コントロールラテックスを使用することもできる。
【0033】
このようにして、播種材料として、必要とされる0.5マクファーランド濁度レベルに用意された同一の発育良好な培地を用いてアンチバイオグラムを直接行うことが可能である。しかも、有利には、国際的な濁度標準に相関する測定により、0.5マクファーランド濁度レベルが達成されると同時に、本発明では、可能な限り最短時間内に次の調査(通常はアンチバイオグラム)に応じることができるように、音響アラームを用いて操作者に警告する。
【0034】
しかしながら、他の方法および/または他の参照パラメータは、本発明の範囲内で可能である。
【0035】
本発明の有利な技術特徴によれば、第2のステップ中に、たとえば第1のステップと同時に、初期生体サンプルまたは各生体サンプルの画分がそれぞれ、冷蔵ブロック内の冷蔵マイクロプレート(第4の包含手段である冷蔵マイクロプレート用の保存ゾーン)に置換される経路(passage)が提供される。
【0036】
本発明によれば、第2の検査ステップにおいて、第1のステップの迅速な増殖に対して天然サンプルが陽性の場合、較正済みのループ状チューブなどの動作ユニットの適切な動作要素により、同サンプルの一部を第4の包含手段から取って、シャーレなどにおいて固体培養基に自動的に通して(swipe)、特に、培養基に播種するための第3の包含手段において前記細菌の単離および/または同定を行う。これは、第1のステップの迅速分析を確認するために行う。
【0037】
本発明の優先的な解決法における培養基は、たとえば通常シャーレで使用されるような固形の媒体である。
【0038】
迅速増殖(発育良好な培地での増殖)に対して陽性の結果になるサンプルのみに限定される固体培養基における播種プロセスにより、自動的に天然サンプルを分注し、細菌の単離を行う。
【0039】
本発明の一改良例によれば、この単離後に、単離したコロニーを生理食塩水に希釈することで得られる0.5マクファーランド懸濁液を調製する古典的方法を進めることもできる。
【0040】
上述してきたように、第1の検査または分析ステップ、すなわち、45分間〜3時間続く場合がある液体培地でのサンプルの迅速培養により、陽性サンプルを得て、指数関数的増殖ステップの間に得られる各サンプルについて0.5マクファーランド濁度値が達成されているのかどうかを決め、すべての陰性サンプルを廃棄することが可能になる。
【0041】
陽性とされたサンプルの培地は、アンチバイオグラムのいわゆる「臨床的な」テスト(細菌を予め単離・同定することがないことから、そう呼んでいる)のため、播種材料として直接使用されることになる(Cummitech 2b 1998)。
【0042】
このようにして、マクファーランドが0.5になったサンプルについて、存在する細菌を同定するステップを経ることなく、第1の抗生物質治療薬として病院で通常使用される抗生物質のテストを迅速に行うことができる。テストされる特定の細菌に対する抗生物質の機能性の迅速な検証により、迅速に治療を最適化できるため、患者の危機的な段階を克服できることから、この臨床的または予防的アンチバイオグラム法は、一般的に使用される抗生物質について薬剤の機能性を迅速にモニターしたり、効果的にまたは直ちに集中治療中であり、したがって生命の危険にさらされている患者に介入したりするのに有用である(Rello J et al. Am J Respir Crit Care 1997; 156: 196−200 Kollef MH et al. Chest 1998; 113:412−420 Chastre J et al. Am J Respir Crit Care 2002; 295:867−903 Chastre R Resp. Care 2005; 50(7); 975−983 Tamura K Clin Infect Dis 2004、39(suppl 1): S59−64)。
【0043】
本目的に対して、本発明に係わる方法は、第3の検査ステップを提供する。第3の検査ステップ中に、第1のステップにおける迅速増殖に対して陽性の生体サンプルに対応する培地由来の第3の画分において、前記第1の検査ステップで選択された一連の抗生物質に対して陽性の各生体サンプルの感受性応答または耐性応答が検証される。
【0044】
言い換えると、従来法による細菌の単離および正確な同定を行うことで治療計画を改良し完成できるように、迅速な細菌増殖試験(液体培地における)に対し陽性であることが確認されたサンプルのみについて、天然サンプルの播種をさらに行い、第3の包含手段(典型的にはシャーレの上にある)の適切なモジュール(冷蔵マイクロプレート)から取り出す。
【0045】
本発明に係わる分析は、完全に自動化され、実行中に実質的に操作者の介入を必要としない。分析は、テストされる一連の抗生物質に対する細菌の感受性応答または耐性応答に基づく迅速な結果を提供する(臨床的アンチバイオグラム)。
【0046】
本発明の改良型によれば、第1の包含手段は、患者から採取した生体サンプルの特性を変えないように管理して相対的な細菌負荷の変性を防ぐ機能を有する冷却ユニット(たとえば冷蔵ブロック)を含む。
【0047】
一改良型では、第1および第2の検査手段が、電磁波放射エミッタ(たとえばコヒーレント光)および前記電磁波放射を検出する手段を含む。好ましくは、エミッタ手段およびその検出手段は、実質的に外周に配置され、その中心には、進行中の検査ステップに応じて、分類されるべき生体サンプルを含有する容器、または細菌タイプが既に分類され、アンチバイオグラムの対象となる生体サンプルを含有する容器がある。
【0048】
さらなる改良型においては、マイクロプレートのマイクロウェルと関連付けられて光散乱測定装置が提供される。たとえばコヒーレント光の電磁波放射エミッタがマイクロプレート上に垂直に位置し、検出手段はマイクロウェルの下に垂直に配置される。
【0049】
第1および第2の検査手段は、時間に応じた微生物の増殖曲線を検出し、検出された曲線に基づいて、制御ユニットが細菌の有無を検証し、増殖曲線から推定される特定の分析パラメータに基づいてそれらの細菌を分類することができる。このようにして、治療に適した抗生物質について、インビトロで機能性試験を行うことができる。また、増殖曲線は、細菌形態も表す。
【0050】
改良型によれば、シャーレ上のサンプルを分注することで得られる細菌を単離することにより行う試験の正確性を評価するために、検証ステップまたはコントロール試験が提供される。
【0051】
本発明は、単離した細菌からではなく、実行ステップにおいてサンプルから自動的に直接アンチバイオグラムを行うため、最新技術のデメリットと制限とを克服する。本発明により、単離した細菌からではなく、CFUで表される細菌増殖検出の数学アルゴリズムを用いて、指数関数的増殖ステップからアンチバイオグラムステップへの経路が得られる。
【0052】
通常、細菌を単離するために、サンプルが植菌される従来のシャーレまたは選択ディスクによる細菌の同定を経ることなく行われる、自動化された逐次的アンチバイオグラムステップがある。
【0053】
しかも、0.5マクファーランド濁度に到達して信号が送られる自動化方法により、最新技術の操作上の限界を克服する。
【0054】
さらに、本発明は、指数関数的増殖ステップ中に、マクファーランド濁度の検出条件、または増殖/微積分アルゴリズムによるCFUカウントが自動的に検出されるとすぐに、分析されるサンプルから直接、液体形態でオートバイオグラムテスト(autobiogram test)を行う。このようにして、細菌単離法を回避している。
【0055】
さらに、最新技術と比べて、本発明では、マクファーランド濁度の自動検出の結果、自動化ステップで陽性を示すサンプルのみの播種を実行することができる。
【0056】
したがって、本発明は、サンプルを取り扱うことなく、細菌増殖、所望のマクファーランド濁度値の達成、同定を行わないアンチバイオグラム、および同定のためにシャーレ等で行う陽性サンプルの自動平面培養を含む逐次的ワークフローを有する自動分析を提供する。これらの操作またはステップの相乗的なカップリングにより、最新技術の問題点や限界を克服し、完全に自動化されたワークフローの生成が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
本発明のこれらの特徴およびその他の特徴は、添付の図面を参照し非限定的な例として挙げられる、以下の好適な実施形態の記載から明らかとなる。
【図1】図1は、本発明に係わる診断解析用統合装置の一実施形態を概略的に示しており;
【図1a】図1aは、本発明に係わる診断解析用統合装置の一実施形態を概略的に示しており;
【図1b】図1bは、本発明に係わる診断解析用統合装置の一実施形態を概略的に示しており;
【図2】図2は、サンプルを採取し、初期サンプルを同定する装置の詳細を概略的に示しており;
【図3】図3は、図1の散乱測定装置をさらに詳細に示した概略図であり;
【図4】図4は、図1の混合・測定装置の別の詳細を概略的に示しており;
【図5】図5は、半外周(semi−circumference)上に可動式の検出器を備える散乱測定装置を改良したものを概略的に示しており;
【図6】図6は、本発明に係わる診断解析方法のフローチャートを示しており;
【図7】図7は、図1の装置の改良型を示しており;
【図8】図8は、図1の装置の別の改良型を示している。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図1を参照して、本発明に係わる診断解析用統合装置10は、一体化された構造体11内に、複数の試験管13を含む第1の容器12を含み、各試験管13内には、殺菌または未殺菌の純粋な生体サンプル(たとえば尿やその他のヒトの生体液体等)が存在する。
【0059】
第1の容器12には、図示されていない冷却ユニットが付属されており、生体サンプルの温度を2℃〜8℃の範囲内に至らせ、または保持させて、生体サンプルの特性変化を防ぎ、細菌負荷を安定化させる。
【0060】
また、装置10は、第2の容器14を含み、この第2の容器14は、複数の培養容器またはバイアル15を含み、相対的なシート部(seating)17aに配置される第1の分析ゾーン14aと、第2の分析ゾーン14bとを有する。
【0061】
第2の容器14には、図示されていない加熱ユニットが付属されており、分析される生体サンプルを約35℃〜37℃の間の温度に加熱し、サンプル中に存在する細菌の増殖を促進させる。
【0062】
装置10は、さらに、図示されていない冷蔵された戸棚(cupboard)を具備する第3の容器16を含む。この戸棚は、シャーレが収納される複数のシート部を含む。特に、第3の容器16は、播種されるまでの間に、使用されるまで冷蔵状態に保たれるプレート116aが設置される第1の冷蔵セクション216aを提供する。一方、戸棚の第2のセクション216bには恒温部が提供され、既に播種されたシャーレ116bが培養される。第4の容器から採取されたサンプルの植菌後に、冷蔵プレート116aは、第2のセクション216bに設置され、便宜上、参照番号116bで表示される。
【0063】
装置10において、有利には、迅速増殖に対して陽性の結果となったサンプルのみについて、第3の容器16で固体の基材(シャーレ)上で培養を行えるように、全サンプルの保存を行うための分析モジュールも提供される。この分析モジュールは、空のマイクロウェル229からなるマイクロプレート129を少なくとも含む第4の容器29を含み、迅速培養試験の対象とされたサンプルが保存される。マイクロウェル229には、第2の容器14の容器15に分注されたのと同一の生体サンプルが、所定量添加される(introduced)。
【0064】
制御ユニット18には、統合装置10が接続されるが(たとえば電子計算機など)、一体化された構造体11の内部にあっても外部にあってもよい。
【0065】
また、統合装置10には、制御ユニット18により制御される動作/選択ユニット20も含まれ、以下に詳述するように、サンプルまたはその一部を、少なくとも第1の容器12から第2の容器14および第4の容器29まで自動的に移動させ、そのサンプルの一部を、第2の容器14の分析ゾーン14aおよび14b間に移動させる。
【0066】
動作/選択ユニット20は、可動サポート22が直線的に移動するガイド21からなり、第1のベルト24により第1のモーター23で動かされる。可動サポート22は、アーム部26が拘束されるヘッド部25を含み、第2のベルト28により、アーム部26上を自在にスライドする選択ヘッド部30を動かすことができる第2のモーター27を付属している。
【0067】
選択ヘッド部30(図2)は、サンプルを採取・分注するニードル31と、ニードル31を選択的に動かすことのできる作動装置33とを含む。
【0068】
選択ヘッド部30は、有利には柔軟性のあるタイプ(たとえばゴム製など)のパイプ36によりポンピング機構35に接続される。
【0069】
制御ユニット18は、ポンピング機構35を駆動し、さまざまな分注ステップで、ニードル31により所望の量の生体サンプルを採取し、分配する。
【0070】
また、動作ユニット20は、第3の容器16に対応し、本実施形態では、較正済みのループ状チューブ120aを具備するメカニカルアーム部材120を含む。これにより、予め第4の容器29に保存されていた初期サンプル(陽性)が採取され、第3の容器16のプレート116aの一つに分注されるか、または第4の容器29にセットされたサンプルを第3の容器16に播種される。
【0071】
特に図1は、初期生体サンプルが、結合部または油圧チューブ220により、第4の容器29から採取され、油圧で移動させられて、アーム部材120まで運ばれ、そこから、第3の容器16のプレートにセットされる一変形例を示している。
【0072】
図1aおよび1bでは、機械的動作手段により、プレート129が第4の容器29から直接動かされて第3の容器16に配置され、そこから、メカニカルアーム部材120がウェル229の1つから所望のサンプルを直接採取し、プレート116aにセットするという別の態様が示されている。なお、プレート116aは、今度は、第3の容器16の第2のセクション216b(皿部(dish)116b)に位置することになる。
【0073】
しかも、図1bでは、第2の分析ゾーン14において、容器15の代わりにマイクロプレート66が使用されている変形例が示されている。
【0074】
また、統合装置10は、たとえばタンクからなる、ニードル31の内外の殺菌を行うための洗浄ゾーン37を含む。殺菌は、有利には、サンプリングされ分注される異なる生体サンプル間での細菌負荷の混入を防ぐために各サンプリング・分注操作後に行われる。
【0075】
第2の容器14は、有利には第1の分析ゾーン14aの各シート部17aについて、レーザーエミッタ41を有する既知のタイプの第1の検査装置40(図3)を含む。これには、レーザーエミッタ41に対してそれぞれ約90°および150°で配置される第1のセンサー42および第2のセンサー43が付属されており、レーザーエミッタ41が放射し容器15を通過した光線を検出できる。
【0076】
第1のセンサー42および第2のセンサー43により集積されたデータは、調整装置44により制御ユニット18に送信され、集積データを増幅させ、フィルターにかけ処理する。
【0077】
第2の容器14は、前述のとおり、第1の分析ゾーン14aと第2の分析ゾーン14bとを含む。後者は、容器15(特に、以下に示すようにリファレンスサンプルとして機能する第1の容器15aと第2の容器15b)を収納する相対的なシート部17bを有する。有利には、第2の分析ゾーン14bの各シート部17bについて、第2の容器14は、既知のタイプで第1の検査装置40と同様の第2の検査装置49を含む。
【0078】
図5に示す解決法では、第2の検査装置49は、約180°の角度範囲をカバーする外周の円弧上を可動な単独のセンサー50、または同一の角度をカバーする類似の曲線センサーが付属した、レーザーエミッタ41を含む。なお、これらのセンサーは、制御ユニット18により駆動するが、図示されていないモーターにより動く。
【0079】
この場合も、センサー50が集積したデータは、調整装置44により制御ユニット18に送られる。
【0080】
また、第1の検査装置40および第2の検査装置49は、それぞれ、制御ユニット18に制御される攪拌モーター46を具備する攪拌ユニット45を含み(図4)、攪拌モーター46に機械的に接続されている第1のマグネット47を順次設置し、対応する容器15内に挿入され、容器内の内容物を混合できるように、第2のマグネット48を順次設置できるようになっている。
【0081】
別の態様では、第2の容器14は、有利には、容器15の代わりに、適切に恒温化され攪拌されていたマイクロウェル67を含む数個の増殖マイクロプレート66(図1b、7および8)を含む。特に、図8に示す態様においては、第1のセンサー42aおよび第2のセンサー43aに対し、プレート66の横断面Pと相対的に反対側に配置され、プレート66およびウェル67の上部に垂直に位置するレーザーエミッタ41aが存在する。
【0082】
第1のセンサー42a および第2のセンサー43aは、ウェル67の下部に、プレート66の横断面Pに対してそれぞれ約90°および150°の角度で垂直に配置され、レーザーエミッタ41aが放射し、マイクロウェル67を通過した光線を検出する。
【0083】
前述してきたように、統合装置10は、全体的に図6の60で表示される方法により操作される。この方法は、巨視的に、それぞれが各手順上のサブステップを含む3つの検査ステップA、BおよびCを提供する。
【0084】
第1の検査ステップAでは、第1のサンプリングサブステップ61において、制御ユニット18が動作/選択ユニット20を駆動して、各試験管13から、所望の量の特定の生体サンプルの第1の画分を採取する。
【0085】
第2の分注サブステップ62においては、測定ユニット上で、前記第1の画分、またはその一部が、動作/選択ユニット20により、容器15(図1、1a)またはマイクロウェル67(図1b)に分注される。容器15(図1、1a)またはマイクロウェル67は、第1の分析ゾーン14aに配置され、殺菌されており、その内部に細菌増殖のための液体培養基または発育良好な培地が含有されている。発育良好な培地は、生体サンプルを分注する前に容器15またはマイクロウェル67内に予め入れておくことが可能であり、分注後に挿入することも可能である。前記容器15またはマイクロウェル67には、場合により細菌の増殖が起きている。
【0086】
並行して、第2の検査ステップBは、さらに分注サブステップ62bを提供する。このサブステップでは、シャーレ116a、116bでの確認試験を行う可能性があることを考慮して保存しておくために、動作/選択ユニット20により、初期生体サンプルおよびさらなる画分をシート部または前記第4の容器29の冷蔵プレート129のマイクロウェル229に分注する(バッファーマイクロプレートへの分注)。
【0087】
第1の検査ステップAで、サンプリングサブステップ61および分注サブステップ62が終わると、検出/分類サブステップ63が行われる。このサブステップ中、制御ユニット18が第1の検査装置40を駆動させて、各装置40のセンサー42、43が、レーザーエミッタ41により放射されたレーザー光を定期的に検出する。
【0088】
増殖した細菌を含む生体サンプルは、拡散光のシグナルを放つ。制御ユニット18はこのシグナルを処理して、培養開始から約45分後には、経時的な細菌増殖の推移を示す特定の曲線を提供する。
【0089】
2つのセンサー42および43により提供されたシグナルから、含まれている可能性のある細菌の2つの増殖曲線が得られ、それぞれが、細菌の存在を検証し、そのタイプを分類することができる、傾きと相互分散(reciprocal spread)を有する(測定ユニットによる細菌検出・分類サブステップ63)。
【0090】
150°の角度を有する第2のセンサー43から得られたシグナルは、細菌の有無や、その後の経時的な細菌負荷の測定に関し、第1の曲線を規定する。
【0091】
しかも、90°の角度を有する第1のセンサー42から得られたシグナルは、より細菌形態に特徴的であり、これらの第2の曲線を規定する。
【0092】
2つの曲線の勾配比と微分(differentiation)により、おそらく存在しているであろう細菌を同定したり分類したりすることができる。
【0093】
その後、制御ユニット18は、増殖曲線で桿菌タイプとは区別できる特徴的な分散を示す球菌タイプに属する細菌を選択する。
【0094】
第2の検査ステップB において、どれが陽性の生体サンプルなのか決めたら、制御ユニット18は、シート部または第4の容器29(冷蔵マイクロプレート)のマイクロウェル229からの、保存しておいた画分および陽性と検出されたサンプルに対応する画分のサンプル採取を制御する。また、制御ユニット18は、特に、図1、1a、1bで図示しているように、前記動作/選択ユニット20により、陽性と判明したものに対応するサンプルのみを採取して、固体培養基を含有する第3の容器16の皿部116b(たとえばシャーレ等)に植菌し(陽性サンプルのみの分注/増殖サブステップ63b)、迅速増殖テストを確認する。
【0095】
陽性を示したサンプルのみを皿部116bに分注・増殖するこの分注/増殖サブステップ63bの結果、オリジナルサンプルに存在していた細菌のタイプまたは細菌に関するさらなる情報を得るために、固体培地で単一コロニーの分離することができる。
【0096】
好適な態様では、シャーレ116a、116bにおいて、発色タイプの固体培地を使用し、その結果から、オリジナルサンプルに存在していた特定の細菌または微生物の推定診断を行う。
【0097】
別の態様では、前記シャーレ116a、116bに単離した細菌のコロニーを使用して、生化学的タイプテストを実行し、従来法で細菌を同定する。
【0098】
したがって、制御ユニット18は、第1の検査装置40を用いて、対応する容器15内の細菌の有無を検証し、陽性だった場合、第2のセンサー43および第1のセンサー42により得られた信号間の比を分析することで、タイプを同定する。また同時に、シャーレ116aに平板培養を行ってその後に培養し(シャーレ116b)、迅速分析テストを検証する。
【0099】
細菌増殖の感受性のカウントの閾値(count threshold)は、1ユニット(Colony Forming Unit cfu/ml)、すなわち、生体サンプル1ミリメートルあたりのコロニー形成ユニット数からスタートして、約100ミリオンcfu/mlまでとなる。したがって、統合装置10は、さまざまな感受性範囲で、殺菌状態にあるか中間セクションからのサンプルであるかなどサンプルのタイプによっても診断解析を実行できる。
【0100】
制御ユニット18は、出力装置19(図3の場合はプリンター)または図示されていない外部記憶装置(たとえばハードディスク、フロッピーディスク、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ、USB大容量記憶装置、固体記憶装置等)に接続され、それぞれ、少なくとも制御ユニット18により得られる曲線に関するデータを印刷や記憶する。また、後者は、同定された細菌に対して増殖タイプごとの曲線を記憶し、実行された各タイプの試験と比較できるデータベースを提供できるようになっている。
【0101】
しかも、第3の検査ステップCにおいて、制御ユニット18は、第1の検査装置40により、臨床的なアンチバイオグラム実行に関する陽性生体サンプルの適合性を検証して、必要な濁度(0.5 マクファーランドに等しい)を評価し、または、出力装置18および/または音響の信号機により試験への非適合性の可能性があるとのシグナルを送る。
【0102】
特に、前記第3の検査ステップCにおいては、検出/サブステップ63が終了すると、第2のサブステップであるサンプル採取/分注サブステップ64が続き、その間、制御ユニット18 は、動作/選択ユニット20を駆動して、増殖細菌の存在により濃縮された陽性生体サンプルを採取する。これより前のサブステップ63と同様に、これらのサンプルを、第1の容器群15aおよび第2の容器群15bに分注する。なお、第1の容器群15aおよび第2の容器群15bは、第2の分析ゾーン14bに位置し、アンチバイオグラム用のパネルを構成する。
【0103】
各陽性生体サンプルは、第1の分析ゾーン14aの容器15内に含まれる発育良好な培地の生体サンプルから採取されることになる。
【0104】
特に、アンチバイオグラム実行の準備段階である、この第2のサンプリング/分注サブステップ64において、第1の容器15aそれぞれに、培地から、既に0.5マクファーランド濁度レベルになっている、リファレンスサンプルとよばれる陽性生体サンプルを分注する(陽性の小瓶(flacon)15)。一方、第2の容器15b内には、それぞれ液体形態の特定の抗生物質も分注する。
【0105】
制御ユニット18は、検出/分類サブステップ63中に、同定・分類された細菌のタイプに基づいて各抗生物質を選択する。
【0106】
各抗生物質は、液状または親液性形態で存在しており、すぐに分注できる状態になっているか、または最終濃度に最適化できるように、使用時に用意する。
【0107】
第2のサンプリング/分注サブステップ64後に、アンチバイオグラムサブステップ65が続き、その間、制御ユニット18は、容器15a内のリファレンスサンプルと、異なる抗生物質で処理された容器15b内の生体サンプルの双方について、第1の検査装置40により細菌の増殖曲線を分析する。
【0108】
抗生物質を含まない容器15a内のリファレンスサンプルにより、容器15bでの測定値に基づいて、抗生物質の割合(PGI、増殖阻害率)を計算できる。
【0109】
特に、制御ユニット18は、リファレンスサンプルの増殖曲線を、異なる抗生物質で処理された生体サンプルの増殖・阻害曲線と比較して、その抗生物質の有効性を検証する。
【0110】
増殖曲線や場合によっては阻害の分析により、耐性(R)、感受性(S)またはその中間(intermediate;I)のカテゴリーにより、抗生物質のインビトロでの有効性が決定される。これらのカテゴリーはそれぞれ、カービーバウエル(Kirby−Bauer)法の阻害リング(inhibition ring)と同様にして、細菌が抗生物質にどの程度耐性をもつか、およびどの程度感受性をもつかを示す。平坦な増殖曲線は、「感受性」分類となり、指数関数的増殖曲線は、「耐性」分類となる。
【0111】
曲線は、グラで示されて、出力装置19で印刷されて(サブステップ65後のレポート)、テストした各抗生物質について、臨床的な各タイプや検証の要請に応じて治療の効率を示す。
【0112】
特定の生体サンプルに関する抗生物質の有効率は、前述のように抗生物質を添加していないリファレンスサンプルに対する、0%(R=耐性細菌)〜100%(S=感受性細菌)のパーセント表示で表される。
【0113】
したがって、本発明により、細菌による増殖阻害率(PGI)を計算することで、抗生物質の量や機能性分析し、分析と同時にテストされる1以上の抗生物質の殺菌剤機能について評価できる。有利には、この比率の計算は、抗生物質を添加していないサンプルとの自動比較により自動的に実行される。
【0114】
本発明のさらなる操作バリエーションについて説明する。特定の陽性生体サンプルそれぞれについて、制御ユニット18が1ミリメーターあたりのコロニー形成ユニット数(単位:cfu/rnl)を決定し、所定のデータに基づいて、このcfu/ml値を、細菌量と相関して、分注される抗生物質の適量と関連付ける。
【0115】
このように、抗生物質の関数は、生体サンプル内に存在する細菌量と相関性がある。この情報は、薬物動態研究における興味の対象となりうる。
【0116】
別の変形例によれば、細菌のタイプに対する抗生物質の最良の選択に従うために、回転センサーを有する検証サブステップ65bが、検出/分類サブステップ63後で、かつ第2のサンプリング/分注サブステップ64前に行われる。
【0117】
各陽性生体サンプルに対して行う検証サブステップ65bは、以下に記載するように、同定の実行からなる。
【0118】
制御ユニット18は、陽性サンプルのみに関し、第1の検査装置40によらず、第2の検査装置49により、サンプル自体の分析を行って、180°の角度全体について測定結果が得る。この幅広い測定により、レーザー散乱光の全変数を検出することができ、細菌の各タイプについて簡単に認識できるような特性を有する増殖曲線を生成することができる。
【0119】
第1の容器12は、円筒状または類似の形状であり、外側面に、対応する試験管13用のシート部を有する。
【0120】
また、統括装置10は、既定の生体サンプルが帰属する患者が抗生物質を摂取しているか否かについて解明する目的で、制御ユニット18により、既定の生体サンプル内に残存する抗生物質の力価(RAP)についても検証可能である。
【0121】
別の変形例によれば、第2の検査装置49は、第1の分析ゾーン14aに対応して配置されて、細菌の有無を検証し、細菌のタイプを同定することもある。
【0122】
また、各シート部17a、17bに、たとえば制御ユニット18により制御されるバーコードリーダーまたはRFIDタグリーダーなどの測定装置38(図2)を配置させてもよい。測定装置38は、一義的に容器15、15a、15bを識別するように、容器15、15a、15bのそれぞれについて、たとえばラベルに印刷されたバーコードから情報(容器内に含有される生体サンプルと、すなわち、その生体サンプルが採取された患者)を読み取る。
【0123】
また、制御ユニット18は、動作/選択ユニット20により実行される動作、サンプル採取および分注を記憶することができる。このようにして、容器15、15a、15bの内容物は常に各患者に関連付けられている。
【0124】
図7および8に示す変形例によれば、図1、1a、1bおよび4に示す迅速細菌増殖およびアンチバイオグラム用の容器15、15a、15bの代わりに、複数のウェルまたはマイクロウェル67をそれぞれ有する1以上の標準タイプのプレートまたはマイクロプレート66が使用される。ウェルまたはマイクロウェル67は、有利には加熱されて、迅速細菌増殖および上述した生化学反応のための容器として機能する。
【0125】
したがって、ウェルまたはマイクロウェル67を有するプレートまたはマイクロプレート66は、有利には、発育良好な培地での培養増殖のための容器またはバイアル15の代替となる。細菌増殖の第1のステップAについては、恒温化されたマイクロプレート66が使用される。他方で、第3の検査ステップCのアンチバイオグラムステップ65に関する限り、マイクロプレート66が使用され、各患者について、プレート66aにおけるリファレンス増殖のためにウェル67aを、1以上のプレート66b(図1b)における抗生物質の増殖用(各薬剤の分析用)のウェル67bを供給する。マイクロプレート66、66a、66bの全てが加熱される。しかも、標準タイプのマイクロプレート66、66a、66bは、すべて96ウェルまたは384ウェル67、67a、67bを含み、これらを使うことで、円筒型の容器15を使用する同様の場合に対して、装置の総体積の大幅な減少が可能になる。
【0126】
サイズが限定されたプレート66、66a、66bを用いると、感染している可能性のある材料を少量生成するというメリットがあるだけでなく、生化学反応を実行して細菌種を同定できるというメリットもある。
【0127】
このために、第1のステップAにおいて、ウェル67の1つに、試験管13から採取された生体サンプルが植菌され、発育良好な培地が添加されて、細菌増殖テストが行われる。
【0128】
陽性と判明したサンプルについて、0.5マクファーランド濁度の測定が同時に実行され、検出された増殖動力学に基づいて計算されて、アンチバイオグラムプロセスが自動的に起動される。
【0129】
適当な機器において、所望のレベルの濁度の標準化ラテックスと比較することで、0.5マクファーランド濁度をさらに制御できるように、標準的な濁度を有するコントロールラテックスを使用することも可能であり、アンチバイオグラムプロセスが自動的に起動される。
【0130】
また、最適な抗生物質を選択するために、サンプルの第3の画分が、ウェル67(増殖に対して陽性)から採取され、この一部が、リファレンス培養のため新しいウェル67aに植菌され、第3の画分の別の一部が、適度な濃度の特定の抗生物質が添加された他のウェル67bに植菌される(アンチバイオグラム)。
【0131】
その後、アンチバイオグラムテストのために準備された全ウェル(67a、67b)(一方はリファレンス培養用、他方は特定の抗生物質を用いた培養)に、発育良好な増殖培地が添加される。
【0132】
多数のウェルが使用できることで、別途、各ウェル67内に異なる化学試薬を入れておき、細菌増殖に対して陽性のサンプルから得られた同一の懸濁液で、ウェルを全自動で満たすことも可能である。異なる化学試薬を一連のウェル67に使用することで、特定の細菌種に関連する異なる色の組合せが得られる。
【0133】
各ウェル67で得られる比色分析反応については、ウェル67を有するプレート66の反対側で光度計69に対向する光源68を具備する測定モジュール75により、数時間以内に評価することができる。マイクロプレート内のこの光度測定システムは、見込まれる細菌の同定に使用される。
【0134】
また、色の組合せの検出には、測定モジュール75も、プレート66の反対側に対向して配置される光源70を有するセンサー、CCDテレビカメラ71または他の適切なセンサーを提供する。検出されるデータは、その後、制御ユニット18に送信され、そこで適切なアルゴリズムにより、色の組合せ結果に基づいて細菌種が判別される。
【0135】
図8に示す異なる実施形態では、濁度検出システムが、ウェル67に対応してマイクロプレート66の上に位置するレーザーエミッタ41a(細菌増殖に使用されるマイクロプレート66aと、容器15a、15bの代わりにアンチバイオグラムに使用されるマイクロプレート66bのいずれについても適用される)と、ウェル67の下部に位置し、プレート66の横断面Pに対してそれぞれ90°および150°の角度に配置されるセンサー42aおよび43aとを含む。これにより、培養試験、Raa(残存抗生物質活性)テストおよびアンチバイオグラムで使用するために、マイクロプレートに光散乱測定システムを適用できるようになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状の発育良好な培地と混合された少なくとも1つの生体サンプルにおける、細菌の有無を検証し、少なくとも細菌のタイプを分類し、少なくとも同定された前記細菌のタイプに特有の抗生物質群から選択される一連の抗生物質をテストするために使用され、抗生物質治療の決定に有効な抗生物質を同定する、診断解析用の統合装置であって、
一体化された構造体(11)の内部に、
第1の包含手段(12)と、
第2の包含手段(14)と、
第1の検査手段(40、49)と、
第2の検査手段(49、40)と、
第3の包含手段(16)と、
動作/選択ユニット(20)とを含み、
前記第1の包含手段(12)は、分析される生体サンプルが内部に分配される包含要素(13)を具備し;
前記第2の包含手段(14)は、容器(15)、またはウェル(67)を有する恒温化されたマイクロプレート(66)と、第1の容器(15a)および第2の容器(15b)、または相対的な第1のウェル(67a)および第2のウェル(67b)を有するプレート(66a、66b)とを有し、該ウェル(67)は、分析される前記生体サンプルの第1の画分が分注される、液状の発育良好な培地を含有し、該第1のウェル(67a)および第2のウェルには分析に対して陽性の結果が得られた生体サンプルの別の画分が分注され;
前記第1の検査手段(40、49)は、前記第1の包含手段(12)に含まれる前記生体サンプル中の細菌の有無を検証でき、前記生体サンプルは、前記容器(15)または前記ウェル(67)を有するマイクロプレート(66)に分注されて、該細菌に適切な抗生物質群を選択するために、対応する陽性生体サンプルを検出し、少なくとも前記陽性の生体サンプル中の細菌のタイプを分類または同定し;
前記第2の検査手段(49、40)は、前記第1の容器(15a)または第1のウェル(67a)、および前記第2の容器(15b)または第2のウェル(67b)上で、前記第1の検査手段(40、49)により選択される前記抗生物質群の一連の抗生物質に対する、各陽性生体サンプルの感受性または耐性応答の検証ができ;
前記第3の包含手段(16)は、固体培養手段を含有するプレート(116a、116b)を含み、該プレート(116a、116b)には、前記細菌の単離および/または同定を行うために、前記第1の検査手段(40、49)により陽性と判明したサンプルに対応する前記生体サンプルの第2の画分が播種され;
前記動作/選択ユニット(20)は、制御ユニット(18)により制御され、前記包含手段(14)および前記第3の包含手段(16)における、前記陽性生体サンプルの少なくとも採取および分配を自動的に実行する診断解析用の統合装置。
【請求項2】
前記第2の包含手段(14)が、第1の分析ゾーン(14a)と、第2の分析ゾーン(14b)とを有し、前記第1の分析ゾーン(14a)には、前記容器(15)、またはウェル(67)を有するマイクロプレート(66)が具備され、前記第2の分析ゾーン(14b)は、前記第1の容器(15a)または第1のウェル(67a)、および第2の容器(15b)または第2のウェル(67b)用であり、
前記第1の検査手段(40、49)は、少なくとも前記第1の分析ゾーン(14a)と関連し、前記第2の検査手段(49、40)は、前記第2の分析ゾーン(14b)と関連している請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第3の包含手段(16)は、冷蔵保存された第1のシャーレ(116a)と、播種後に恒温化された第2のシャーレ(116b)とを備える培養ゾーンを固体培養基上に規定する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記動作/選択ユニット(20)は、前記容器(15)、またはウェル(67)を有するマイクロプレート(66)における培養に対し陽性の結果を得た所望の量の各生体サンプルを、前記1以上の抗生物質および液体培養手段と混合するために、対応する容器(15)またはウェル(67)から直接採取して、前記第2の分析ゾーン(14b)の前記第2の容器(15b)または第2のウェル(67b)内に入れることができ;また、前記一連の抗生物質のうち少なくとも1以上の抗生物質に対する前記細菌の感受性または耐性を検証する目的で、絶対成長のリファレンスを規定するために、リファレンスサンプルを採取して、抗生物質を含まない液体培養手段と混合される前記第2の分析ゾーン(14b)の前記第1の容器(15a)または第1のウェル(67a)内に入れることができる手段(31、33)を具備する請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
前記第1の包含手段(12)の包含要素は、内部に純粋な生体サンプルが存在する複数の試験管(13)を含み、前記サンプルの適正な保存を保証するために、それに付随して冷却手段を具備する請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記第2の包含手段(14)は、細菌増殖を促進するために、前記生体サンプルを加熱できる加熱ユニットを含む請求項1〜5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
発育良好な培地を含み、前記第1の検査手段(40、49)と関連して前記第1の分析ゾーン(14a)に配置される特定の容器(15)に分注するために、試験管(13)に含有されている所望の量の純粋な生体サンプルを採取することができる選択手段(20)を含む請求項2、3または4に記載の装置。
【請求項8】
前記選択手段(20)は、前記第2の分析ゾーン(14b)に配置される複数の第1および第2の容器(15a、15b)または第1および第2のウェル(67a、67b)に分割するように、前記第1の分析ゾーン(14a)に配置される容器(15)またはウェル(67)に濃縮されて含有された所望の量の陽性生体サンプルを採取できる請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記第1の検査手段(40)は、前記容器(15)、またはウェル(67)を有するマイクロプレート(66)に存在する細菌懸濁液の濁度が、たとえばマクファーランドスケールで0.5に等しい所定のレベルに到達したことを検出できる手段を具備する測定システムを含む請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第2の分析ゾーン(14b)の前記容器(15a、15b)が、第1の容器(15a)および第2の容器(15b)に分割され、前記第2の容器(15b)の各内部に、陽性生体サンプルおよび前記培養手段とともに、前記第1の検査手段(40、49)により同定された前記細菌のタイプに適切な前記抗生物質群のうちの1つの抗生物質が導入され、前記第1の容器(15a)の各内部には、前記陽性生体サンプルのリファレンスが、抗生物質を含まない培養手段のみと存在する請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記第2の検査手段(40、49)は、前記各第2の容器(15b)に含有される前記生体サンプルの細菌負荷の推移を、該サンプルに対応しリファレンスとして機能する、少なくとも1つの第1の容器(15a)に含有される既定の陽性生体サンプルの細菌負荷の推移と比較できる請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の検査手段(40)および第2の検査手段(49)がそれぞれ、電磁波放射のエミッタ手段(41)と、前記容器(15、15a、15b)またはウェル(67a、67b)を通過する前記電磁波放射の検出手段(42、43;42a、43a;50)とを含む請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
前記第1の検査手段(40)の前記検出手段は、少なくとも2つの固定のセンサー要素(42、43;42a、43a)を有し、前記第2の検査手段(49)の前記検出手段は、少なくとも1つの可動のセンサー要素(50)を有する請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記第1および第2の検査手段(40、49)の前記検出手段は、少なくとも1つの可動のセンサー要素(50)を有する請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記固定のセンサー要素(42、43)は、前記エミッタ手段(41)に対してそれぞれ約90°および150°で、外周に沿って配置され、その中心に前記容器(15、15a、15b)が配置される請求項13に記載の装置。
【請求項16】
前記固定のセンサー要素(42a、43a)は、前記プレート(66)が置かれる平面(P)に対してそれぞれ約90°および150°で配置される請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記第1の包含手段(12)に含有される初期生体サンプルの少なくとも一部が、前記動作/選択ユニット(20)により入れられる第4の包含手段(29)を含む請求項1〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
前記第4の包含手段(29)は、前記初期生体サンプルの一部が保存される、ウェル(229)を有する1以上の冷蔵プレート(129)を含む請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記第3の包含手段(16)は、前記第1の検査手段(40、49)および/または前記第2の検査手段(49、40)により行われた前記検査の正確性を評価するために備えられる請求項1〜18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記第4の包含手段(29)から取り出すとき、装置(120)は、前記第2の包含手段(14)において前記液体培養基での前記培養試験に対して陽性であることが判明し、前記第4の包含手段(29)に予め保存されていた前記天然または初期生体サンプルを、較正済みのループ状チューブ(120a)によりシャーレ(116a、116b)に播種し、前記第1の検査手段(40、49)により行われた前記検査の正確性を評価できる請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記動作/選択ユニット(20)は、少なくとも1つのサンプリング/分注ニードル(30)の動作機構を含む請求項1〜20のいずれかに記載の装置。
【請求項22】
前記一体化された構造体(11)に、前記サンプリング/分注ニードル(30)を洗浄、殺菌する装置(37)をさらに含む請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記制御ユニット(18)は、前記選択手段(20)により行われた動作、サンプリングおよび分注を少なくとも記憶できる請求項1〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記第1の分析ゾーン(14a)に、複数のウェル(67)を規定する1以上のマイクロプレート(66)を含み、前記培養試験を実行するために、該ウェルのそれぞれを、前記試験管(13)から採取された前記生体サンプルおよび発育良好な培地で満たすことができ、前記第2の分析ゾーン(14b)においては、前記培養試験に対し陽性のサンプルのみについて、プレート(66a)の第1のウェル(67a)を、0.5マクファーランドに予め調整した前記陽性サンプルから得られる細菌懸濁液および発育良好な培地で満たしてリファレンス用の増殖サンプルを得ることができ、さらに、特定の細菌に最も適した抗生物質を選択するために、プレート(66b)の1以上のウェル(67b)を、同一の細菌の懸濁液および抗生物質を加えた同一の発育良好な培地で満たすことが可能である請求項1〜23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
細菌懸濁液および対応する抗生物質を含む前記各ウェル(67、67a、67b)において、増殖または阻害キネティクスを検出することができる、濁度を検出する手段(42a、42b)を含む請求項24に記載の装置。
【請求項26】
少なくとも前記ウェル(67)の一部において、前記細菌懸濁液に化学試薬が添加され、色の組合せ結果に基づき細菌のタイプを同定するために、前記化学試薬により生成される色の組合せを検出する手段(70、71)を含む請求項24または25に記載の装置。
【請求項27】
少なくとも細菌のタイプを同定するために、液体培養基または発育良好な培地と混合した、少なくとも1つの生体サンプルにおいて細菌の有無を検証し、少なくとも同定された前記細菌のタイプに特徴的な抗生物質群から選択される一連の抗生物質をテストして、
抗生物質治療を決定、または患者に投与される抗生物質の有効性をモニターするのに有効な抗生物質を同定するのに使用される診断解析法であって、
第1の検査ステップ(A)と、
第2の検査ステップ(B)と、
第3の検査ステップ(C)とを含み、
前記第1の検査ステップ(A)中に、複数の初期生体サンプルの内容物を含む第1の画分が検査され、複数の陽性生体サンプルを規定するために細菌の有無を検証し、前記抗生物質群を規定するように少なくとも細菌のタイプを同定または分類するように検査され;
前記第2の検査ステップ(B)において、前記細菌を単離および/または同定するために、陽性と判明したサンプルに対応する生体サンプルの第2の画分が、固体培養基に植菌または播種され;
前記第3の検査ステップ(C)中に、培養試験(15)後に濃縮した陽性サンプルについて、前記第1の検査ステップ(A)において規定された、前記抗生物質群の一連の抗生物質に対する各陽性生体サンプルの感受性または耐性応答が検証される診断解析法。
【請求項28】
前記第3の検査ステップ(C)では、前記第1の検査ステップ(A)の前記細菌増殖に対して陽性のサンプルの液体培養基または発育良好な培地を使用する請求項27に記載の方法。
【請求項29】
試験管(13)から初期サンプルを採取するサブステップ(61)と、
容器(15)、またはウェル(67)を有するプレート(66)内で、前記初期サンプルの一部を分注または播種するサブステップ(62)と
細菌増殖に陽性のサンプルを検出して、場合によっては、同定または分類して適した抗生物質群を規定するために、検査装置(40;42、43;42a、43a;49)により、病原性微生物の有無および前記容器(15)またはウェル(67)のキネティクス測定を定期的に検証する検出/分類サブステップ(63)とを含む請求項27または28に記載の方法。
【請求項30】
前記の第1のサンプル採取のサブステップ(61)においては、第1の包含手段(12)に配置される各試験管(13)に含有される所望の量の純粋な生体サンプルが、選択されて採取され;
前記の第2の分注サブステップ(62)においては、前記所望量が、第2の包含手段(14)に配置される、細菌増殖を促進するために液体培養基または発育良好な培地を含有する容器(15)、またはウェル(67)を有するプレート(66)に分注される請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の検査ステップ(B)は、さらに各初期生体サンプルまたは前記初期生体サンプルの各画分を、保存ゾーンとして機能する第4の包含手段(29)に分注する分注サブステップ(62b)を有する請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
前記第2の検査ステップ(B)は、分注/培養サブステップ(63b)を有し、前記分注/培養サブステップ(63b)では、陽性であることが判明したサンプルに対応する、予め陽性と判明し前記第4の包含手段(29)に保存されている各生体サンプルの第2の画分が、迅速な増殖データを確認するために、コロニーを単離してその後に細菌のタイプを同定することにより、固体培養基を有するシャーレ(116a、116b)を具備する第3の包含手段(16)に植菌または播種される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
シャーレ(116b)に得られた単離コロニーを検査し、場合により臨床的なアンチバイオグラムの結果を修正する請求項31に記載の方法。
【請求項34】
抗生物質を添加していない陽性のリファレンスサンプルに対して、前記抗生物質への前記細菌の感受性または耐性を検証するために、前記第3の検査ステップ(C)中に、各陽性生体サンプルを、前記一連の抗生物質のうちの少なくとも1つの抗生物質と混合する請求項27〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記第3の検査ステップ(C)は、サンプリング/分注サブステップ(64)を有し、該サンプリング/分注サブステップ(64)では、培養試験に陽性の生体サンプルを含む前記容器(15)またはウェル(67)における濁度レベルが0.5マクファーランドに到達した後で、アンチバイオグラムサブステップ(65)中に、抗生物質が混合されていないリファレンスサンプルに対して、前記抗生物質への前記細菌の感受性または耐性を検証するために、前記培地の一定量が、リファレンス増殖用の第1の容器(15a)または第1のウェル(67a)、および特定の抗生物質を含有している第2の容器(15b)または第2のウェル(67b)から構成される臨床的なアンチバイオグラムパネルに植菌される請求項27〜34のいずれかに記載の方法。
【請求項36】
前記第1の検査ステップ(A)後に行う前記サンプリング/分注サブステップ(64)において、複数の第2の容器(15b)または第2のウェル(67b)に分割するために、増殖細菌の存在により濃縮された、所望の量の特定の陽性生体サンプルが採取され、前記第2の容器(15b)または第2のウェル(67b)内には、それぞれ、少なくとも前記細菌のタイプに特徴的な前記抗生物質群のうちの1つの抗生物質が存在している請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記臨床的なアンチバイオグラムパネルの測定が行われた、前記第3の検査ステップ(C)の前記アンチバイオグラムサブステップ(65)において、一連の抗生物質に対する各陽性生体サンプルの感受性、中間、耐性の応答が検証される請求項35または36に記載の方法。
【請求項38】
前記第3の検査ステップ(C)は、検証サブステップ(65b)をさらに含み、該検証サブステップ(65b)では、各細菌のタイプについて識別可能な特徴を有する増殖曲線を作成できるように、陽性サンプルのみについて、前記第2の検査装置(49)により、前記制御ユニット(18)が分析を実行し、180°の角度全体に対して測定を行う請求項27〜37のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図1a】
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【図1b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−518427(P2012−518427A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551541(P2011−551541)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000364
【国際公開番号】WO2010/097683
【国際公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(511207877)アリファックス ホールディング エスピーエー (4)
【氏名又は名称原語表記】ALIFAX HOLDING SPA
【住所又は居所原語表記】Via Petrarca, 2/1, 35020 Polverara(IT)
【Fターム(参考)】