説明

試料を検査する荷電粒子ビーム装置のコントラストを向上させる装置及び方法

【課題】コントラストを向上させた荷電ビーム装置を提供する。
【解決手段】試料を検査する荷電粒子ビーム装置は、一次荷電粒子ビーム(7)を発生させる荷電粒子ビーム源(5)と、一次荷電粒子ビームを試料(3)上に差し向ける対物レンズ装置(40,45)と、試料から飛び出た二次荷電粒子を加速する減速界型装置と、中央開口(16)を備えていて、二次粒子を検出する少なくとも2つの方位検出器セグメントを含む第1の検出器装置(15,150)とを有し、対物レンズ装置は、試料からの飛び出し角度の異なる粒子が対物レンズと検出器装置との間で試料から実質的に同一距離のところにクロスオーバを呈するよう構成され、対物レンズとクロスオーバ(90)との間に設けられたアパーチュア(100)が検出器装置(15)の中央開口よりも小さい開口を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、特に検査用途、試験用途、リソグラフィ用途等のための荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビームによる試料の画像化方法に関する。本発明は、特に、走査型ビーム機器におけるコントラスト、特にトポグラフィコントラストの向上に関する。具体的に言えば、本発明は、荷電粒子ビーム装置及び荷電粒子ビーム装置により試料を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
荷電粒子ビーム装置は、複数の産業分野において多くの機能を有し、かかる産業分野としては、製造中における半導体デバイスの検査、リソグラフィ用の露光システム、検出装置及び試験システムが挙げられるが、これらには限定されない。かくして、マイクロメートル及びナノメートルスケールの範囲内で試料を検査する高い需要が存在する。
【0003】
マイクロメートル及びナノメートルスケールプロセス制御、検査又は構造観察(構造分析ともいう)は、荷電粒子ビーム、例えば電子ビーム又はイオンビームを荷電粒子ビーム装置、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)又は集束型イオンビーム(FIB)ツールで発生させて集束させることにより行なわれる場合が多い。荷電粒子ビームは、これらの波長が短いので、例えばフォトンビームと比較して優れた空間分解能を提供する。
【0004】
検査に関して卓越したツールは、走査型電子顕微鏡(SEM)であり、その一例が図1に示されている。図1は、荷電粒子ビーム装置の典型的な例として、SEM1を示しており、このSEMは、一次電子ビーム7を発生させる電子ビーム源5、例えば熱電界放出カソードを備えたビーム管20、一次電子ビーム7をアノード電圧Vanodeにより制御されるエネルギーまで加速する高電圧ビーム9、電子ビーム形状を改善するコンデンサ11、一次電子ビーム7を試料3上に集束させる磁気集束レンズ13及び静電集束レンズ14を有する。図1のSEM1は、一次電子ビーム7により試料3上に生じた二次電子17の信号を検出すると共にこれを評価するインレンズ(in-lens)型検出器15、例えば位置敏感検出器を更に有する。
【0005】
図1の磁気集束レンズ13は、一次電子ビーム7のための集束磁界を発生させるよう形作られたコイル24及びヨーク26から成っている。図1の静電集束レンズ14は、高電圧ビーム管9の下端部側の要素9a、ヨーク26の円錐形要素26a、即ち円錐形キャップ及びそれぞれの要素の頂点のところに設けられたアパーチュア16を有する。集束電界は、下端部側要素9a、円錐形キャップ、これらのアパーチュア16の幾何学的形状及び試料3と円錐形キャップ26aとの間の電圧V1及び試料3と高電圧ビーム管9との間の電圧V2によって定められる。円錐形キャップ26aと試料3との間の電界をこれが一次電子ビーム7を減速するような仕方で調節する場合、即ち、減速界が用いられる場合、プロービング一次電子ビームの空間分解能を集束磁界と組み合わせると向上させることができる。組合せ型静電・磁気集束レンズに関する詳細及び一般的に図1のSEMに関する詳細は、ジェイ・フローシェン(J. Frosien),エス・ラニオ(S. Lanio)及びエイチ・ピー・ファウアーバウム(H.P. Feuerbaum)共著,「ハイ・プレシジョン・エレクトロン・オプティカル・システム・フォー・アブソリュート・アンド・CD−メジャーメンツ・オン・ラージ・スペシミンズ(High Precision electron optical system for absolute and CD-measurements on large specimens)」,ニュクリアー・インストラメンツ・アンド・メソッズ・イン・フィジックス・リサーチ・エー(Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A),363,1995年,p.25〜30に見受けられる。
【0006】
SEMが試料を画像化するために集束した一次電子ビームを用いるが、FIBは、これとは異なり、集束した一次イオンビーム、典型的にはガリウムイオンを用いる。試料に対する一次イオンビームの走査中、二次電子及びイオンが発生し、かかる二次電子及びイオンは、試料の表面の画像を形成するために集められるのが良い。FIBは又、電子ビームコラムとイオンビームコラムの両方を備えたシステムに組み込まれる場合があり、それにより、同じ特徴をこれらビームのいずれかを用いて調べることができる。かくして、以下の説明において種々の点で「電子」又は「電子ビーム」という名称が用いられる場合、別段の指定がなければ、これは、イオンにも適用できることが意図されている。
【0007】
試料の表面のところに粒子のようなトポグラフィ欠陥の検出及び分類を行うためには良好なトポグラフィコントラストが必要である。走査型ビーム用途では、トポグラフィコントラストは、試料からの飛び出し角度が互いに異なる二次電子又はイオンの検出によって得られる。走査型ビームツールでは、試料のところに生じた二次電子又はイオンは、通常、試料を画像化するために広い飛び出し角度範囲にわたって集められる。例えば試料を画像化するための減速界(retarding field )型(なお、減速電界型と呼ばれる場合もある)対物レンズを利用した低エネルギーSEMを用いた場合、試料の表面のところに生じた実質的に全ての二次電子を対物レンズ内に引き寄せることができ、したがって、検出することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】ジェイ・フローシェン(J. Frosien),エス・ラニオ(S. Lanio)及びエイチ・ピー・ファウアーバウム(H.P. Feuerbaum)共著,「ハイ・プレシジョン・エレクトロン・オプティカル・システム・フォー・アブソリュート・アンド・CD−メジャーメンツ・オン・ラージ・スペシミンズ(High Precision electron optical system for absolute and CD-measurements on large specimens)」,ニュクリアー・インストラメンツ・アンド・メソッズ・イン・フィジックス・リサーチ・エー(Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A),363,1995年,p.25〜30
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、観察した特徴のトポグラフィがそれほど顕著ではない場合、トポグラフィコントラストが弱く、バックグラウンド信号が重要な役割を果たす。上記のことに鑑みて、コントラストを向上させる走査型ビーム装置が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に照らして、請求項1記載の荷電粒子ビーム装置及び請求項8記載の荷電粒子ビーム装置による試料の検査方法が提供される。
【0011】
一観点では、試料を検査する荷電粒子ビーム装置が提供される。この荷電粒子ビーム装置は、一次荷電粒子ビームを発生させるようになった荷電粒子ビーム源と、一次荷電粒子ビームを試料に差し向けるようになった対物レンズ装置と、試料から飛び出た二次荷電粒子を加速するようになった減速界型装置と、二次粒子を検出する少なくとも2つの検出器セグメントを含む第1の検出器装置とを有し、対物レンズ装置は、試料からの飛び出し角度の互いに異なる粒子が試料から実質的に同一の距離を置いたところにクロスオーバを呈し、かくして共通クロスオーバが形成されるように構成されており、荷電粒子ビーム装置は、対物レンズと検出器との間に設けられた第1のアパーチュアを更に有し、第1のアパーチュアは、検出器装置の中央開口の直径以下の直径を持つ開口を有し、第1のアパーチュアは、次の条件、即ち、(i)アパーチュアが共通クロスオーバ(90)の付近に存在するという条件、(ii)アパーチュアが、迷走電子が最大の広がりを示す位置に存在するという条件のうちの少なくとも一方を満たす位置に設けられている。
【0012】
別の観点では、試料を荷電粒子ビーム装置によって検査する方法が提供される。この方法は、一次荷電粒子ビームを第1の光軸上に発生させるステップと、対物レンズ装置を用いて一次荷電粒子ビームを試料上に集束させるステップと、一次荷電粒子ビームによって二次荷電粒子ビームを試料のところに発生させるステップとを有し、二次荷電粒子ビームは、大きな飛び出し角度で試料から飛び出た二次荷電粒子の第1の群及び小さな飛び出し角度で試料から飛び出た二次荷電粒子の第2の群を含み、この方法は、第1の群及び第2の群からの粒子が試料から実質的に同一の距離を置いたところにクロスオーバを呈し、かくして共通クロスオーバが形成されるよう二次荷電粒子ビームを集束させるステップと、迷走電子を対物レンズと検出器との間に設けられた第1のアパーチュアで遮断するステップと、二次荷電粒子ビームの粒子を検出するステップとを更に有する。
【0013】
別の利点、別の特徴及び別の細部は、従属形式の請求項の内容、本明細書及び図面から明らかである。
【0014】
実施形態は又、上述の方法を実施する装置に関し、かかる装置は、上述の方法ステップを実施する装置部分を有する。さらに、実施形態は又、上述の装置の作動方法又は上述の装置の製造方法に関する。実施形態は、装置の機能を実施する方法ステップ又はこの装置の製造部分を含む場合がある。これら方法ステップは、ハードウェアコンポーネント、ファームウェア、ソフトウェア、適当なソフトウェア、これらの任意の組合せ又は任意他の仕方でプログラムされたコンピュータにより実施可能である。
【0015】
したがって、上述の特徴を詳細に理解できる仕方、上記において概要説明した実施形態の特定の説明は、実施形態を参照して行なわれるのが良い。添付の図面は、本発明の実施形態に関しており、これら図面については以下に説明する。一実施形態の要素は、有利には、それ以上の記載なく他の実施形態において利用できることが想定されている。
【0016】
図面を参照して行なわれる一般的な実施形態についての以下の説明において上述の実施形態のうちの幾つかを詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】走査型電子顕微鏡(SEM)の一例を示す図である。
【図2】実施形態としての粒子ビーム装置の断面図である。
【図3】アパーチュアなしの装置の電子経路と実施形態としてのアパーチュアを備えた装置の電子経路の概略的比較図である。
【図4】実施形態としての検出器の一例の平面図である。
【図5】実施形態としての粒子ビーム装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、種々の実施形態を詳細に参照し、これら実施形態のうちの1つ又は2つ以上の実施例が図示されている。各実施例は、説明のために与えられており、本発明を限定するものではない。
【0019】
本願の要旨を限定することなく、本明細書において説明する実施形態の以下の実施例は、試料を検査するための代表的な荷電粒子ビーム装置として二次電子顕微鏡(SEM)を含む。しかしながら、本明細書において説明する実施例及び実施形態は、他の荷電粒子ビーム装置、特に走査型荷電粒子ビーム装置、例えばFIBにも利用できる。それ故、以下において説明する実施例及び実施形態は、一次及び/又は二次荷電粒子ビームとして電子又はイオンを用いて試料を検査するために利用できる。さらに、本明細書において説明するSEMの実施例及び実施形態は、減速界型対物レンズとして設計された組合せ型磁気・静電対物レンズを含む。しかしながら、これら実施形態は又、減速界を利用しない他形式の対物レンズ、例えば磁気対物レンズ、静電対物レンズ及び組合せ型磁気・静電対物レンズを含む荷電粒子装置、例えばSEMSにも利用できる。本明細書において説明するように、二次粒子又は二次荷電粒子ビームという記載は、それぞれ、任意の二次及び/又は後方散乱粒子又は二次及び/又は後方散乱粒子のビームという記載であると理解されるのが良い。
【0020】
図面に関する以下の説明において、同一の参照符号は、同一のコンポーネントを意味している。一般に、個々の実施形態に関する相違点のみを説明する。実施形態が電子に言及している場合、上述したような他の粒子の使用は、一般に、同様に開示されているものとする。
【0021】
本明細書において説明する実施形態の実施例に従って試料を検査する荷電粒子ビーム装置の代表的な用途は、半導体産業界におけるデバイス構造の検査である。例えば、本明細書において用いられる「試料」としては、ウェーハ、半導体デバイス、他の電子部品及び太陽電池が挙げられるが、これらには限定されない。マイクロメートル及びナノメートルスケールプロセス制御、検査又は構造観察を必要とする他の試料が想定されている場合がある。さらに、以下において、「共通クロスオーバ」という表現は、試料からの互いに異なる飛び出し角度を有する複数個の電子が試料から規定された距離を持つ共通の幾何学的場所又は空間内に集束されることを表しており、これについては以下に更に説明する。
【0022】
図2は、実施形態としてのSEMを示しており、このSEMは、本明細書において説明する他の実施形態と組合せ可能である。試料又はサンプル3の検査のため、光軸70に沿って一次電子ビーム(図示せず)を発生させ、そして対物レンズ40,45を用いてかかる一次電子ビームを試料3に差し向ける。次に、一次電子ビームにより試料3のところに二次電子ビームを発生させる。二次電子ビームの実質的に全体又はその一部は、レンズ装置40,45を通って戻る。二次電子がサンプル3に存在する欠陥によって反射されると、かかる二次電子は、試料の平面部分により反射された二次電子ビームの角度分布状態とは異なる角度分布状態を持つ。それ故、一次電子ビームが任意形式の欠陥を含む試料3の部分により反射された場合、検出器15の互いに異なる領域に当たる単位時間あたりの電子の平均数は、欠陥がビームの衝突スポットのところに存在していない場合の単位時間あたりの電子の平均数とは異なる。
【0023】
実施形態において、この差は、欠陥のある領域を備えたウェーハの領域と無傷の、即ち、欠陥のない領域を区別するために用いられる。互いに異なる飛び出し角度を持つ二次電子の粒子カウントを互いに区別することができるようにするために、明確に区分された検出領域が存在する。この目的のため、検出器15は、別々の検出領域に分割される。実施形態においては、検出器は、中央に斜めの開口を備えた円形のものである。この開口は、粒子源から来た一次ビームを通過させる役目と一次ビームの軸線の近くに運動ベクトルを備えた大きな飛び出し角度の二次電子を通過させる役目との両方を果たす。これら電子が欠陥によって反射されたか無傷の表面部分によって反射されたかを区別することは困難なので、これらは、検出のうえでは価値が低い。小さな飛び出し角度、即ち、試料の平面に対して0°〜約45°の角度をなす運動ベクトルを持つ電子がより適切である。二次電子の軌道のうちの2つが図2に線17a,17bで表されている。理解できるように、試料から来た軌道17a,17bを有する電子は、対物レンズ装置40,45によって集束される。対物レンズ装置は、試料からの気まぐれな互いに異なる飛び出し角度18,19を持つ電子が試料から実質的に同一距離のところで共通クロスオーバ90において集束されるよう構成されている。「同一距離」及び「共通クロスオーバ」という用語は、大きな飛び出し角度(この特定の例では、75°)の粒子18と小さな飛び出し角度(この特定の例では、25°)の粒子19との間における試料3までの個々のクロスオーバの距離(光軸70又は光軸72,75に沿う)のばらつきが20パーセント未満、代表的には15パーセント未満、より代表的には10パーセント未満であることを意味している。共通クロスオーバ90,91は、上述したような小さな飛び出し角度の粒子及び大きな飛び出し角度の粒子の2つのクロスオーバ相互間において中央の幾何学的スポットとして定められる。
【0024】
検出器15のアパーチュア16は軌道17a上の電子よりも大きな角度を持つ二次電子を通過させるので、大きな飛び出し角度を持ち、かくしてトポグラフィ情報を殆ど備えていない電子が検出器15を通過し、他方、符号17aから17bまで及びそれ以下の角度範囲内に軌道を持ち、トポグラフィ情報の大部分を備えた電子が検出器15によって検出される。例示目的でのみ、図1〜図5の粒子群17a,17bを表している線の角度は、本明細書における開示において提供されている試料3に対する角度についての数値を必ずしも反映しているわけではないことに注目されたい。
【0025】
SEMをこのように設計することにより、試料から来る同数の二次電子が全て共通クロスオーバ90内に集束される。SEMビームが、この幾何学的箇所のところにその最小幅を有するので、アパーチュア100は、共通クロスオーバ90の近くに位置決め可能であり、この場合、アパーチュア100との衝突による実質的な信号電子が失われることはない。変形例として、アパーチュアは、迷走電子が最大の広がり又は開きを持つ領域に設けられても良い。また、2つ又は3つ以上のアパーチュア100,120が設けられても良く、例えば、1つは、共通クロスオーバ90の近くに位置した状態で示され、1つは、迷走電子の最大の広がりの領域で磁気レンズギャップの付近に設けられる。2つ以上のアパーチュアを持つアパーチュアシステムは、共通クロスオーバ90の近くに中央開口を持つ1つのアパーチュア100及び代表的には最大二次電子ビームの最大の開きの平面内に設けられた別のアパーチュア120を有するのが良い。図2では、オプションとしての第2のアパーチュア120が磁気レンズギャップの上方部分又はギャップの真上に設けられる。「共通クロスオーバ(90)の付近」及び「共通クロスオーバ(90)の近く」という表現は、アパーチュアが大きな飛び出し角度(この特定の例では、75°を持つ粒子18のクロスオーバと小さな飛び出し角度(この特定の例では、25°)を持つ粒子19のクロスオーバとの間で中央に存在する位置から2cm以下のところ、代表的には1cm以下の距離を置いて位置することを意味している。
【0026】
実施形態によれば、アパーチュア100は、検出器15の利用可能信号には寄与しない電子を遮断する役目を果たす。これら電子は、例えば、電極表面又はライナ管壁と衝突する場合があり、かくして、その後にトポグラフィ検出器15上にランダムに吹き付けられる場合のある迷走電子を生じさせる場合のあるSEスペクトルの高エネルギー電子である場合がある。また、高エネルギー電子のうちの何割かが検出器15に直に達する場合がある。両方の効果は、信号対雑音(S/N)を減少させる望ましくない背景信号の発生の一因となる場合があり、それぞれ、達成可能なコントラスト比を減少させる。それ故、望ましくない電子をアパーチュア100により遮断することにより、検出器15により生じる雑音が減少し、トポグラフィコントラストが向上する。
【0027】
図3は、アパーチュア100による望ましくない電子又は粒子の上述の遮断プロセスを概略的に示している。実施形態としてのSEMと同一の特徴を備えるが、アパーチュア100を備えていないSEMが左側(の図)に示されている。この図では、プローブの方向から来た電子又は粒子は、電極46の内縁160,165に衝突する場合があり、ライナ管又は他の構造体がSEM内に設けられている。これら望ましくない電子又は粒子は、試料の方向から来ており、大部分、線95により表された空間領域に分布している。これら望ましくない電子又は粒子は、検出器15に当たった場合、利用可能な信号には寄与せず、望ましくない雑音を追加する。これとは対照的に、図3の右側(の図)に示された実施形態としてのSEMでは、これら電子又は粒子は、大部分、アパーチュア100により遮断される。理解できるように、望ましくない粒子のうちのほんの少しが線115相互間の領域で表されたアパーチュア100を通過する場合がある。当然のことながら、線95相互間又は線115相互間の領域は、望ましくない粒子の現実の角度及び空間分布状態を単純化して表しているに過ぎないが、本明細書における例示目的には適している。アパーチュアの環状開口のサイズは、適当に選択され、即ち、検出器15の開口16よりも僅かに小さい場合、これら電子又は粒子は、検出器15の有効領域には到達せず、検出器の開口16を通過する。それ故、これら電子又は粒子は、雑音として検出器15の信号に寄与するわけではない。したがって、図3の右側に示された実施形態では、コントラストは、左側の例示のSEMと比較して向上する。それ故、アパーチュア100の開口は、代表的には、検出器15の開口よりも0〜40パーセント小さく、より代表的には3〜30パーセント小さい。
【0028】
一次電子ビーム(図2には示されていない)方向における第1の電極46は、第2の電極47よりも高い電位を有するのが良い。それにより、光軸70に沿って伝搬している一次電子ビームのための減速界を生じさせることができ、その結果、一次電子は、これらが試料3に当たる前に減速されるようになる。SEMツールの別の代表的なレイアウトでは、静電減速界型浸漬レンズと対物レンズの円錐形キャップと試料との間のレンズ減速界の両方は、一次電子減速手段として採用可能である。
【0029】
一次電子ビームをこれが試料に当たる前に減速することにより、高い分解能を一次電子の低いランディングエネルギーに起因してSEM内に得ることができる。例えば1keV又は50〜100eVの範囲の一次電子の低いランディングエネルギーは、例えば、上述した減速界型対物レンズを採用した低エネルギーSEMで実現できる。
【0030】
それ故、実施形態によれば、荷電粒子ビーム装置により試料を検査する方法が記載され、この方法は、一次荷電粒子ビーム7を第1の光軸上に発生させるステップと、対物レンズ装置40,45を用いて一次荷電粒子ビームを試料3上に集束させるステップと、一次荷電粒子ビームによって二次荷電粒子ビームを試料のところに発生させるステップとを有し、二次荷電粒子ビームは、大きな飛び出し角度18で試料から飛び出た二次荷電粒子の第1の群17a及び小さな飛び出し角度19で試料から飛び出た二次荷電粒子の第2の群17bを含み、この方法は、第1の群及び第2の群からの粒子が試料3から実質的に同一の距離を置いたところにクロスオーバを呈するよう二次荷電粒子ビームを集束させるステップと、迷走電子を対物レンズとクロスオーバとの間に設けられたアパーチュアで遮断するステップと、二次荷電粒子ビームの粒子を検出するステップとを更に有する。
【0031】
その結果、本明細書において開示する実施形態は、SEMの対物レンズの二次電子の通過を可能にすると同時にこれらの飛び出し角度、即ち、これらの初期軌道と試料表面との間の角度による二次電子の判別を可能にする。例えば、小さな飛び出し角度の二次電子の検出を促進する一方で、大きな飛び出し角度の二次電子の検出を低減させ又はそれどころか回避することができる。その結果、画像化信号に際立ったコントラスト、より代表的には、際立ったトポグラフィコントラストを与える荷電粒子ビーム装置及び対応の試料の検査方法が得られる。それにより、アパーチュア100を使用すると、望ましくない電子を遮断することによりコントラストが更に高められる。
【0032】
本明細書において開示する実施形態の代表的な一実施例では、対物レンズ40,45と試料3との間に数100V/mm、代表的な約100〜3000V/mm、より代表的には約400〜約1000V/mm、最も代表的には約1000V/mmの抽出電界を採用するのが良い。
【0033】
本明細書において開示する実施形態の実施例の改造例では、検出器15は、インレンズ型検出器、レンズの外側に位置決めされた検出器、環状検出器、セグメント化検出器、光ファイバ利用検出器、位置敏感検出器、検出ダイオードのアレイを含む検出器及び減速界型分析器から成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むのが良い。それ故、検出器は、単純な環状のものであっても良く、或いは、電子照明の中央領域と外側領域の判別を可能にする任意他の構造のものであっても良い。環状検出器は、個々のセグメント、例えば画像化信号の平面側又は底面側又は左側又は右側斜視図のためのセグメントに分割可能である。例えば、検出器は、2つの環状セグメント又は図4に示されている4つの環状セグメントを含むのが良い。さらに、検出器15は、上述の検出器の代表的な特性の任意の組合せを備えることができる。それにより、中央アパーチュア/開口16は、高角度検出器150(以下に更に説明する)とトポグラフィ検出器15との間に分けられる電子の角度範囲を定める。カットオフ角度に対しては、検出器15の位置、クロスオーバ90の位置又はアパーチュア16のサイズのいずれかの影響を及ぼすことができる。
【0034】
一実施形態では、検出器15の4つのセグメントの各々は、二次粒子角度スペクトル(極及び方位)の規定部分を検出し、かくしてトポグラフィコントラストを作る。それにより、コントラストは、主として、シャドウイングによりトポグラフィ特徴部の傾斜側部上に引き起こされる。
【0035】
さらに、本明細書において開示する実施形態の実施例の対物レンズ装置40,45は、減速界型レンズと、集束レンズと、磁気レンズと、静電レンズと、静電磁気レンズとから成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むのが良い。荷電粒子ビーム装置は、更に、ビーム偏向装置、二次荷電粒子ビーム偏向装置、伝送レンズ装置及び二次荷電粒子ビーム偏向装置と組み合わされた伝送レンズ装置を含むのが良い。
【0036】
さらに、共通クロスオーバ90の位置及びこの共通クロスオーバと試料3との間の距離は、二次電子の第1及び第2の群17a,17bに代表的には磁気及び/又は静電界により影響を及ぼす他の装置を用いて変更可能である。それにより、本明細書において開示する実施形態の別の実施例では、互いに異なる飛び出し角度を表す電子の互いに異なる群の焦点は、これらが一般に、共通クロスオーバ90を示し、それぞれ、これらの個々のクロスオーバが上述した許容誤差の範囲内で試料3から実質的に同一の距離を有することを保つために、調節可能である。この目的は、対物レンズ装置40,45の調節だけで、若しくは静電界又は磁界を発生させる他の調節可能な要素により、或いは、両方の選択肢の組合せによって達成できる。さらに、検出器15の個々の検出器セグメント上における対称検出を調節するデフレクタが対物レンズ40,45と検出器15との間に配置されるのが良い。
【0037】
実施形態において、高角度検出器とも呼ばれている第2の検出器150が設けられるのが良い。この検出器は、図2の群17aの飛び出し角度よりも大きな飛び出し角度に対応し、かくして、検出器15の開口16を通過する電子の群を検出することができる位置で第2の光軸75に沿って設けられている。これら電子群は、次に、光軸75の方向に偏向される。検出器150は、位置敏感インライン型検出器であるのが良い。より代表的には、検出器150は、例えば検出器15について説明した環状検出器であっても良く、或いは、検出器15について上記において列記した検出器のうちの任意のものであって良い。上述したように、これら二次電子は、大きな飛び出し角度を有していて、これらの伝えるトポグラフィに関する情報は殆どない。しかしながら、検出器15を通過した二次電子は、縁の所在確認に関する情報を提供することができ、かくして、限界寸法(CD)測定に適している。それ故、この実施例によれば、二次電子の群17a,17bは、大きな飛び出し角度を持つ電子と一緒に、1つの画像化ツールで検出可能であり、それにより、電子の飛び出し角度による電子の判別及び詳細な画像化が可能である。
【0038】
上述した実施形態では、荷電粒子ビーム装置は、一次粒子ビームを、検出器15を通過した二次荷電粒子の群から分離するようになったビーム分離装置125を更に有している。
【0039】
本明細書において開示すると共に図5に概略的に示された実施形態の一実施例によれば、SEM2は、第1の光軸71に沿って一次電子ビームを発生させる電子ビーム源5を有するのが良い。さらに、一次電子ビームを組合せ型静電・磁気レンズ40,45中に偏向させる第1のビームデフレクタ(図示せず)を含むビーム分離装置105が設けられ、組合せ型静電・磁気レンズ40,45は、一次電子ビームを試料3上に集束させる。ビーム分離装置105は、二次電子の第1及び第2の群17a,17bを第2の光軸72に沿って偏向させる第2のビームデフレクタ(図示せず)を含む。静電及び/又は磁気集束レンズを含む伝送レンズ装置110がビーム分離装置105に隣接して位置決めされるのが良い。さらに、検出器15,150は、第2の光軸72に沿って設けられている。それにより、実施形態では、高角度検出器150が検出器15の開口16内に設けられるのが良く、かくして、均質な検出器要素(図示せず)が形成される。検出器150は又、図5に示されているように装置105から長い距離を置いたところに設けられても良い。上述したように迷走電子を遮断するアパーチュア100は、代表的には、共通クロスオーバ91の付近に設けられている。オプションとして、実施形態では、第2のアパーチュア120が代表的には伝送レンズ110の直前又は直後に設けられるのが良い。第2のアパーチュア120は、この場合、通常の円形アパーチュア又は環状アパーチュアとして設けられるのが良い。
【0040】
それ故、一実施例によれば、対物レンズ装置は、組合せ型静電・磁気レンズ40,45、ビーム分離装置105及び伝送レンズ装置110を有する。
【0041】
動作原理を説明すると、SEM2は、第1の光軸71に沿って一次電子ビームを発生させる。ビーム分離装置105は、一次電子ビームを組合せ型静電・磁気レンズ40,45中に偏向させ、かかる組合せ型静電・磁気レンズ40,45は、一次電子ビームを試料3上に集束させる。大きな飛び出し角度で試料3から飛び出た二次荷電粒子の第1の群17a及び小さな飛び出し角度で試料から飛び出た二次荷電粒子の第2の群17bは、対物レンズ40,45を通ってビーム分離装置105中に進む。ビーム分離装置105は、二次電子の第1及び第2の群17a,17bを第2の光軸72に沿う方向に偏向させる。伝送レンズ装置110は、二次荷電粒子の第1の群及び第2の群のうちの少なくとも一方の群を第2の光軸72に沿って集束させ、共通クロスオーバ91を第2の光軸72に沿って、代表的には、この第2の光軸上に生じさせる。アパーチュア100が共通クロスオーバ91の付近に設けられており、このアパーチュアは、上述したように迷走電子を遮断し、かくして、検出器15,150のコントラストが向上する。
【0042】
ビーム分離装置105は、デフレクタと、磁気デフレクタと、セクタフィールド(sector field)偏向ユニットと、2つ、3つ又は4つの磁気デフレクタ(いわゆる、2Bデフレクタ、3Bデフレクタ又は4Bデフレクタ)の組合せと、磁気デフレクタと静電デフレクタの組合せ、例えばウィーン(Wien)フィルタと、分散なしの組合せ型磁気‐静電偏向ユニットとから成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むのが良い。さらに、ビーム分離装置105には、偏向促進ユニットが設けられるのが良く、この偏向促進ユニットは、二次荷電粒子の第1の群及び第2の群のうちの少なくとも一方の群からの一次粒子ビームの分離後に二次荷電粒子の第1及び第2の群のうちの少なくとも一方の群を一段と偏向させるよう位置決めされると共に構成されている。それ故、二次電子の偏向は、ビーム分離装置105に組み込まれていて、ビーム分離装置105によるビーム分離後に二次電子にのみ影響を及ぼすデフレクタによって一段と促進可能である。
【0043】
本明細書において開示する実施形態のこの実施例の改造例によれば、二次電子の第1及び第2の群のうちの一方の群のみを一次粒子ビームからの分離後に第2の光軸に沿って偏向させても良い。
【0044】
かかる分析システムの別の例が、2006年3月17日に出願された米国特許出願第11/384,044号(この出願は、米国特許出願公開第2006/0226361号明細書として公開されている)(発明の名称:Analyzing system and charged particle beam device)に記載されており、この米国特許出願公開を参照により引用し、この出願が本発明の内容と矛盾しない限り、その開示内容を本明細書の一部とする。
【0045】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、荷電粒子検出器のうちの1つ又は2つ以上は、インレンズ型検出器と、レンズの外側に位置決めされた検出器と、環状検出器と、セグメント化検出器と、光ファイバ利用検出器と、位置敏感検出器と、検出ダイオードのアレイを含む検出器及び減速界型分析器とから成る群から選択された少なくとも1つの要素を含むのが良い。
【0046】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、対物レンズ装置は、減速界レンズと、集束レンズと、磁気レンズと、静電レンズと、静電磁気レンズとから成る群から選択された少なくとも1つの要素から成るのが良い。
【0047】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例であって、本明細書において説明した任意他の実施形態及び/又は改造例と組合せ可能な改造例では、荷電粒子ビーム装置は、更に、ビーム偏向装置、二次荷電粒子ビーム偏向装置、伝送レンズ装置、二次荷電粒子ビーム偏向装置と組み合わされた伝送レンズ装置及び一次粒子ビームを二次荷電粒子の第1及び第2の群から分離するようになったビーム分離装置を含む。
【0048】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、荷電粒子ビーム源は、一次荷電粒子ビームを第1の光軸に沿って発生させるようになっており、荷電粒子ビーム装置は、一次粒子ビームを二次荷電粒子から分離するようになったビーム分離装置及びビーム分離装置に隣接して位置決めされていて、二次荷電粒子を第2の光軸に沿う方向に差し向けるようになった伝送レンズ装置を更に有し、第1及び第2の荷電粒子検出器のうちの少なくとも一方は、第2の光軸に沿って位置決めされる。
【0049】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、ビーム分離装置は、デフレクタと、磁気デフレクタと、セクタフィールド偏向ユニットと、2つ、3つ又は4つの磁気デフレクタの組合せと、磁気デフレクタと静電デフレクタの組合せと、ウィーンフィルタと、分散なしの組合せ型磁気‐静電偏向ユニットと、二次荷電粒子の第1の群及び第2の群のうちの少なくとも一方の群からの一次粒子ビームの分離後に二次荷電粒子の第1及び第2の群のうちの少なくとも一方の群を一段と偏向させるよう位置決めされると共に構成された偏向促進ユニットとから成るから選択された少なくとも1つの要素を含むのが良い。
【0050】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、第1の荷電粒子検出器は、二次荷電粒子を反射すると共に/或いは検出するようになった減速界型分析器を含むのが良い。
【0051】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、二次荷電粒子の第1の群は、45°〜90°の範囲の飛び出し角度を有し、二次荷電粒子の第2の群は、0°〜45°の範囲の飛び出し角度を有するのが良い。
【0052】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、試料までの第1のクロスオーバ90の距離は、50mmから150mmまでの範囲にあるのが良く、検出器は、直径が0.5〜5mmの環状アパーチュアを備えた環状検出器であるのが良い。
【0053】
上述の一実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、対物レンズ装置と試料との間には100〜3000V/mmの抽出電界がかけられるのが良い。
【0054】
上述の更に別の実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、対物レンズ装置は、減速界型レンズと、集束レンズと、磁気レンズと、静電レンズと、静電磁気レンズとから成る群のうちの少なくとも1つの要素を含む。
【0055】
上述の更に別の実施形態及びその改造例のうちの任意のものの改造例では、二次荷電粒子は、減速界型分析器によって反射されると共に/或いは検出されるのが良い。
【0056】
本明細書は、最適実施態様を含む本発明を開示すると共に更に当業者が本発明を構成すると共にこれを利用することができるようにするために実施例を用いている。本発明を種々の特定の実施形態に関して説明したが、当業者であれば本発明を特許請求の範囲に記載された本発明の精神及び範囲内で改造を施して実施できることは認識されよう。特に、上述の実施形態の相互に非排他的な特徴を互いに組み合わせることができる。本発明の特許を受けることができる範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められると共に当業者に想到可能な他の実施例を含む場合がある。かかる他の実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲に含まれるものである。
【0057】
上述の内容は、本発明の実施形態に関するが、本発明の他の実施形態及び別の実施形態は、本発明の基本的な範囲から逸脱することなく案出可能であり、その範囲は、以下の特許請求の範囲の記載に基づいて定められる。
【符号の説明】
【0058】
1 走査型電子顕微鏡
3 試料
5 荷電粒子ビーム源
7 一次荷電粒子ビーム
9 高電圧ビーム管
11 コンデンサ
13 磁気集束レンズ
14 静電集束レンズ
15,150 検出器
16 中央開口
17 二次電子
20 ビーム管
24 コイル
26 ヨーク
26a 円錐形キャップ
40,45 対物レンズ装置
15,150 検出器装置
90 クロスオーバ
100 アパーチュア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を検査する荷電粒子ビーム装置であって、
一次荷電粒子ビーム(7)を発生させるようになった荷電粒子ビーム源(5)を有し、
前記一次荷電粒子ビームを前記試料(3)に差し向けるようになった対物レンズ装置(40,45)を有し、
前記試料(3)から飛び出た二次荷電粒子を加速するようになった減速界型装置(46,47)を有し、
二次粒子を検出する少なくとも2つの検出器セグメントを含む第1の検出器装置(15)を有し、
前記対物レンズ装置(40,45)は、前記試料(3)からの飛び出し角度の互いに異なる粒子が前記試料から実質的に同一の距離を置いたところにクロスオーバを呈し、かくして共通クロスオーバ(90)が形成されるように構成されており、
前記対物レンズと前記検出器との間に設けられた第1のアパーチュア(100)を有し、前記第1のアパーチュアは、前記検出器装置(15)の中央開口(16)の直径以下の直径を持つ開口を有し、前記第1のアパーチュア(100)は、次の条件、即ち、
(i)前記アパーチュアが前記共通クロスオーバ(90)の付近に存在するという条件、
(ii)前記アパーチュアが、迷走電子が最大の広がりを示す位置に存在するという条件のうちの少なくとも一方を満たす位置に設けられている、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
第2のアパーチュア(120)を更に有する、請求項1記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記第2のアパーチュア(120)は、前記条件(i)又は(ii)のうちの少なくとも一方を満たす位置に設けられている、請求項2記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
二次荷電粒子ビーム偏向装置、伝送レンズ装置、二次荷電粒子ビーム偏向装置と組み合わせた伝送レンズ装置、及び前記一次荷電粒子ビーム(7)を二次荷電粒子の第1の群及び二次荷電粒子の第2の群のうちの少なくとも一方から分離するようになったビーム分離装置のうちの少なくとも1つを更に有し、前記第1の二次荷電粒子群(17a)は、大きな飛び出し角度(18)で前記試料から飛び出た二次荷電粒子から成り、前記第2の二次荷電粒子群(17b)は、小さな飛び出し角度(19)で前記試料から飛び出た二次荷電粒子から成る、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記荷電粒子ビーム源(5)は、前記一次荷電粒子ビーム(7)を第1の光軸(71)に沿って発生させるようになっており、前記荷電粒子ビーム装置は、前記一次荷電粒子ビームを前記第1の二次荷電粒子群(17a)及び前記第2の二次荷電粒子群(17b)のうちの少なくとも一方の群から分離するようになったビーム分離装置(105)と、前記ビーム分離装置に隣接して位置決めされていて、前記第1及び前記第2の二次荷電粒子ビーム群のうちの前記少なくとも一方の群を第2の光軸(72)に沿う方向に差し向けるようになった伝送レンズ装置とを更に有し、少なくとも1つの第2の検出器装置(150)が前記第2の光軸に沿って位置決めされている、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記第1の検出器装置(15)は、前記第2の光軸(72)に沿って位置決めされ、前記第2の検出器装置(150)は、好ましくは、前記第1の検出器装置(15)の中央に設けられる、請求項5記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記第1又は前記第2の光軸に対する前記二次荷電粒子ビームの共通クロスオーバ(90,91)の位置を調節する手段を更に有する、請求項1〜6のうちいずれか一に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
試料を荷電粒子ビーム装置によって検査する方法であって、
一次荷電粒子ビーム(7)を第1の光軸上に発生させるステップを有し、
対物レンズ装置(40,45)を用いて前記一次荷電粒子ビームを前記試料(3)上に集束させるステップを有し、
前記一次荷電粒子ビームによって二次荷電粒子ビームを前記試料のところに発生させるステップを有し、前記二次荷電粒子ビームは、大きな飛び出し角度(18)で前記試料から飛び出た二次荷電粒子の第1の群(17a)及び小さな飛び出し角度(19)で前記試料から飛び出た二次荷電粒子の第2の群(17b)を含み、
前記第1の群及び前記第2の群からの粒子が前記試料(3)から実質的に同一の距離を置いたところにクロスオーバを呈し、かくして共通クロスオーバ(90)が形成されるよう前記二次荷電粒子ビームを集束させるステップを有し、
迷走電子を前記対物レンズ(40,45)と検出器(15)との間に設けられた第1のアパーチュア(100)で遮断するステップを有し、
前記二次荷電粒子ビームの粒子を検出するステップを有する、方法。
【請求項9】
前記光軸(71,72)の方向における前記二次荷電粒子の前記共通クロスオーバ(90)を調節するステップを更に有する、請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第1のアパーチュア(100)及び前記検出器(15)に対する前記二次荷電粒子ビームの位置合わせ状態を調節して前記検出器(15,150)により検出されるコントラストを最適化するステップを更に有する、請求項8又は9記載の方法。
【請求項11】
前記一次荷電粒子ビームを第1の光軸(71)に沿って発生させ、前記一次荷電粒子ビームを前記二次荷電粒子から分離し、前記二次荷電粒子を第2の光軸(72)に沿う方向へ差し向け、前記二次荷電粒子を前記第2の光軸(72)に沿って検出する、請求項8〜10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の群(17a)に属する二次荷電粒子は、前記試料(3)に対して45°を超える飛び出し角度を有し、前記第2の群(17b)に属する二次荷電粒子は、前記試料(3)に対して0°から45°までの飛び出し角度を有する、請求項8〜11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のアパーチュア(100)と互いに異なる飛び出し角度を持つ二次荷電粒子の前記共通クロスオーバ(90,91)との間の距離は、2cm未満である、請求項8〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
前記アパーチュア(100)は、前記二次粒子の前記共通クロスオーバ(90)の付近に設けられている、請求項8〜13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
前記対物レンズ装置(40,45)は、減速界型レンズと、集束レンズと、磁気レンズと、静電レンズと、静電磁気レンズとから成る群のうちの少なくとも1つの要素から成る、請求項8〜10のうちいずれか一に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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