試料ホルダー
【課題】くり抜き孔を有する試料ホルダー板の間に、フィルム状試料を挟んで固定する試料ホルダーにおいて、フィルム状試料のたわみ、しわなどをなくした状態で、フィルム状試料を固定する手段を提供する。
【解決手段】フィルム状試料のたわみを生じた箇所の外縁から当該箇所を引っ張る力を、当該箇所に加える手段を試料ホルダー板に設ける。当該手段は、その先端部がフィルム状試料に当接したまま、フィルム状試料の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板の外周部に向かって移動するものである。
【解決手段】フィルム状試料のたわみを生じた箇所の外縁から当該箇所を引っ張る力を、当該箇所に加える手段を試料ホルダー板に設ける。当該手段は、その先端部がフィルム状試料に当接したまま、フィルム状試料の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板の外周部に向かって移動するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置による分析に供する試料、特に、フィルム状試料を固定する試料ホルダーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の分析装置では、分析に供する試料を固定するため、試料ホルダーを用いるものがある。二次イオン質量分析装置において、従来、使用されている試料ホルダー1の一例を図3a、3bに示す。図3aは試料ホルダー1を上から見た上面図であり、図3bは図3aのX−Y線における断面図を表す。試料ホルダー1は、2個の試料ホルダー板2a、2bの間に、フィルム状試料10を挟み、蝶形ネジ3で固定するものである。試料ホルダー板2a、2bの一方の2bには、その中央部にくり抜き孔4が設けられている。くり抜き孔4を通して、一次イオンがフィルム状試料10に入射され、またフィルム状試料10から二次イオンが放射される。試料ホルダー板2a、2bに挟まれ、固定されたフィルム状試料10は、くり抜き孔4を通して、外部から視認される。図3a、3bでは、くり抜き孔4は、試料ホルダー板2bのみに設けられているが、反射光の他、透過光を用いて分析する赤外分光分析などの場合では、くり抜き孔4は試料ホルダー板2a、2bの両方に設けられる。
【0003】
この視認されるフィルム状試料の部分10a(以下、視認部分10a)は、試料ホルダー板2bによって押さえられていない。このため、フィルム状試料10に、たわみ、しわ、そりなどがある場合、フィルム状試料10が試料ホルダー板2a、2bに挟まれ、固定されるときに、視認部分10aにたわみなどがある状態のまま、固定されることがある。視認部分10aに、たわみ、しわがあるフィルム状試料10を、二次イオン質量分析により、分析した結果は次のようなものであった。
【0004】
分析したフィルム状試料10は、厚み50μmのポリイミドフィルムの表面に、ホウ素(B)を含むケイ素(Si)の薄膜を形成したものである。二次イオン質量分析により、得られたマトリックス(29Si2+)強度と11B+の相対感度係数(RFS)との関係を図4に示す。この11B+の相対感度係数(RFS)の値に基づいて、ケイ素薄膜に含まれるホウ素(B)の濃度が求められる。視認部分10aにたわみ、しわがある試料を、3箇所測定した結果をプロットした3点(図の■)は互いに異なり、ばらつきが生じた。一方、視認部分10aに、たわみ、しわのない場合、3箇所測定した結果をプロットした3点(図の□)はほぼ一致した。ここで、視認部分10aの大きさ、すなわち、くり抜き孔4の大きさは、10mm径である。
【0005】
同一のフィルム状試料10について、視認部分10aに、たわみ、しわがある場合と、ない場合では、分析結果が異なった。たわみ、しわがない場合、プロットした3点はほぼ一致し、たわみ、しわがある場合より望ましい。たわみ、しわがある場合、測定値にばらつきを生じたのは、たわみ、しわがあるため、測定箇所によって、一次イオンの入射角度や二次イオン引き出し電界強度分布が異なることによると考えられる。
【0006】
フィルム状試料10を二次イオン質量分析の試料とする場合、上記のようなばらつきを生じない分析結果を得るためには、視認部分10aに、たわみ、しわがない状態で、分析することが求められる。ここで、たわみなどをなくするため、フィルム状試料10以外の物で視認部分10aを押さえるなどの手段をとることができる。例えば、くり抜き孔4に嵌合する充填物を用いて、くり抜き孔4を一時的に満たしたのち、試料ホルダー板2a、2bの間にフィルム状試料10を挟むときは、当該充填物によって視認部分10aが押さえられることとなるため、視認部分10aにたわみ、しわを生じることなく、フィルム状試料10を挟み、固定できると考えられる。しかし、当該充填物に付着した不純物、汚れなどに触れて、フィルム状試料10が汚染されることもあり、当該充填物を用いることは望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、視認部分10aに、たわみなどがある状態で、フィルム状試料10を固定し、分析した場合、たわみなどがあるために、分析結果にばらつきを生じることがある。たわみなどをなくするため、フィルム状試料10以外の物で視認部分10aを押さえるなどの手段では、視認部分10aを汚染するおそれがあり、採用することができない。
そこで、本発明は、視認部分10aに触れることなく、視認部分10aのたわみなどをなくした状態で、フィルム状試料10を試料ホルダー板2a、2bの間に挟み、固定する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、視認部分10aの外縁から、視認部分10aを引っ張る力を視認部分10aに加えて、視認部分10aのたわみ、しわなどをなくしたのち、試料ホルダー板2a、2bの間に挟んだフィルム状試料10を固定することにより解決される。視認部分10aを引っ張る力は、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた手段によって与えられる。当該手段は、フィルム状試料10が試料ホルダー板2a、2bの間に挟持される際に、当該手段の先端部がフィルム状試料10に当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動するものである。
【0009】
当該手段とフィルム状試料10との関係は、次のようなものである。試料ホルダー板2a、2bに挟まれているフィルム状試料10は、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段の先端部によって当接されている。そして、当該当接されている箇所(以下、当接箇所)が、視認部分10aの外縁にあり、当該手段の先端部が当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって移動するときは、当該当接箇所のフィルム状試料10は当該手段の先端部とともに移動することとなる。
【0010】
すなわち、フィルム状試料10は、当該当接箇所で、当該手段の先端部により、試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって移動する力を与えられ、当該手段の設けられていない試料ホルダー板(2aまたは2b)の表面上を滑り、移動する。このとき、当該当接箇所の近傍にある視認部分10aも、同じ方向、すなわち、試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって移動することとなり、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。ここで、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段は、2以上の箇所に設けられており、視認部分10aは、2以上の方向から引っ張る力を与えられる。
【0011】
請求項1に記載の発明は、くり抜き孔を、いずれか一方、または両方に設けた2個の試料ホルダー板の間にフィルム状試料が挟持されたとき、前記くり抜き孔を通して前記フィルム状試料が視認される試料ホルダーにおいて、前記フィルム状試料が挟持される際に、手段の先端部が前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動する手段を、前記試料ホルダー板のいずれか一方に設けたことを特徴とする。試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段の作用によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられ、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記先端部が移動する際に、前記先端部と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力が、前記手段を有しない前記試料ホルダー板と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力より大であることを特徴とする請求項1記載の試料ホルダーに係るものである。
請求項1に記載の発明に係る当該手段によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。このとき、当該手段の先端部とフィルム状試料10との関係、およびフィルム状試料10と当該手段を有しない試料ホルダー板(2aまたは2b)との関係は次のようなものである。
【0013】
当該手段の先端部がフィルム状試料10に当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動するとき、当該先端部とフィルム状試料10との間、および当該手段を有しない試料ホルダー板(2aまたは2b)とフィルム状試料10との間に、摩擦力が発生する。そして、当該先端部とフィルム状試料10との間に発生する摩擦力が、当該手段を有しない試料ホルダー板(2aまたは2b)とフィルム状試料10との間に発生する摩擦力より大であるとき、当該手段の先端部はフィルム状試料10の表面上を滑らないが、フィルム状試料10は試料ホルダー板(2aまたは2b)の表面上を滑る。
【0014】
このため、視認部分10aの外縁において、当該先端部が当接している箇所のフィルム状試料10は、試料ホルダー板(2aまたは2b)の表面上を滑り、当該先端部とともに、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する。そして、当該当接箇所の近傍にある視認部分10aも、同じ方向、すなわち、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動することとなり、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記手段の一部、または全部が弾性体により構成され、前記弾性体が屈曲することにより、前記先端部が前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダーに係るものである。
請求項1または請求項2に係る当該手段の作用によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられ、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。当該手段の作用は、当該手段の一部、または全部を弾性体により構成することにより生じさせることができる。当該弾性体は、試料ホルダー板2a、2bに対し垂直な方向の力が、当該手段の先端部に加わったとき、同方向に屈曲する。
【0016】
フィルム状試料10が、試料ホルダー板2a、2bの間に挟まれ、当該手段の先端部により当接されている状態において、試料ホルダー板2a、2bの間隙をさらに狭くしたとき、当該弾性体は試料ホルダー板2a、2bに対し垂直な方向に屈曲する。このとき、当該手段の先端部も同方向に屈曲するが、この屈曲により、当該先端部を試料ホルダー板2a、2b上に投影した位置は、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する。したがって、当該弾性体が屈曲することにより、当該手段の先端部は、フィルム状試料10に当接したまま、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動することとなり、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記手段が、前記試料ホルダー板に形成された傾斜面と、前記傾斜面上に置かれたスライダーとから構成され、前記傾斜面上に静止していたスライダーが、前記フィルム状試料が挟持される際に、前記傾斜面を滑り動くことにより、前記スライダーの先端部が、前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダーに係るものである。
【0018】
請求項1または請求項2に係る当該手段の作用によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられ、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。当該手段の作用は、当該手段を、試料ホルダー板2a、2bに形成された傾斜面と、当該傾斜面上に置かれたスライダーとから構成することにより生じさせることができる。当該傾斜面は、その最大傾斜角をなす方向が、当該傾斜面に向きあう試料ホルダー板の稜に対し、垂直となるよう形成されている。当該傾斜面は、試料ホルダー板(2aまたは2b)の2箇所ないし4箇所に設けることができる。
【0019】
フィルム状試料10が、試料ホルダー板2a、2bの間に挟まれ、当該傾斜面上に置かれた当該スライダーの先端部がフィルム状試料10に当接している状態において、試料ホルダー板2a、2bの間隙をさらに狭くしたとき、当該傾斜面上に静止していた当該スライダーは、当該傾斜面を滑り動き、下降して、試料ホルダー板の外周部に向かって移動する。このとき、当該スライダーの先端部は、フィルム状試料10に当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板の外周部に向かって移動することとなり、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の発明によれば、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段の作用によって、フィルム状試料10の視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。このため、視認部分10aに存在するたわみなどをなくした状態にて、フィルム状試料10を、試料ホルダー板2a、2bの間に挟み、固定することができることとなり、従来、視認部分10aにたわみなどがあることによって生じていた分析結果の値のばらつきの発生を防止することができる。また、当該手段は、視認部分10aの外縁から、視認部分10aを引っ張る力を加えるものであり、視認部分10aに直接、力を加えたり、接触したりするものではない。このため、視認部分10aが汚染されることはなく、かかる汚染を原因として分析結果に誤りを生じることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の発明は、発明に係る当該手段を、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けることによって、実施することができる。当該手段の一部、または全部が弾性体により構成された場合の実施例を実施例1に、当該手段が、試料ホルダー板に形成された傾斜面と、前記傾斜面上に置かれたスライダーとから構成された場合の実施例を実施例2に、それぞれ記載し説明する。
【実施例1】
【0022】
当該手段の一部、または全部が弾性体により構成された場合の実施例を図1a〜1eにて説明する。当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aを真上から見た上面図を図1aに、図1aのX―Y線における断面図を図1bに示す。図1aの試料ホルダー板2aには、蝶形ネジ3用の雌ネジ3aが4箇所設けられている。蝶形ネジ3と蝶形ネジ用雌ネジ3aを用いて、試料ホルダー板2a、2bの間にフィルム状試料10を挟むことができる。
【0023】
図1a、1bにおいて、当該手段5は、その全部が弾性体7により構成されており、その一端において、試料ホルダー板2aに固定されている。当該手段5の他の一端6(以下、先端部6)は、試料ホルダー板2aの上方に立ち上がっている。図1aでは、当該手段5は、試料ホルダー板2aの中央を中心とする等配位置の8箇所に固定されている。これら8箇所の各手段5は、すべてが協動して、視認部分10aに存在するたわみ、しわなどをなくするように働く。図1aでは、8箇所であるが、2箇所で足りる場合もある一方、8箇所以上を要する場合もあり、フィルム状試料のたわみ、しわの発生状況を考慮して、その個数を決定できる。
【0024】
弾性体7として、ゴム、ばねを用いることができる。ばねとして、特に、板ばねを用いることができる。図1a、1bでは、当該手段5の全部が弾性体7により構成されているが、当該手段5の一部、例えば、試料ホルダー板2aに固定されている部分と、その近傍部分のみが弾性体7で構成されていても良い。
当該手段5の一部、または全部が弾性体7により構成されているため、当該手段5の先端部6が上方から押されたときには、当該弾性体7が試料ホルダー板2aに対し垂直な方向に屈曲し、当該先端部6も同方向に屈曲する。
【0025】
次に、当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aと、当該手段5が設けられていない試料ホルダー板2bとの間にフィルム状試料10が挟まれ、固定されるまでの過程を、図1c〜1eにて説明する。
図1c〜1eは、図1bと同様、図1aの試料ホルダー板2aに係るX―Y線における断面図を表している。図1cにおいて、試料ホルダー板2aと2bの間にフィルム状試料10が挟まれ、当該手段5の先端部6は、図のアにおいて、フィルム状試料10に当接している。このアは、試料ホルダー板2b上の位置では、イの位置に相当する。ここで、先端部6には、弾性体7が屈曲するほどには、力が加わっていない。試料ホルダー板2bには、くり抜き孔4が設けられている。このため、フィルム状試料10は視認部分10aにおいて、たわみを生じている。
【0026】
図1dは、蝶形ネジ3による締めを増し、試料ホルダー板2a、2bの間隙をより狭くした状態を示したものである。先端部6には、押圧が加わり、弾性体7が屈曲している。この弾性体7の屈曲により、先端部6は、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動し、試料ホルダー板2b上の位置では、イから移動してロの位置にある。このとき、先端部6はフィルム状試料10に対し、アにて当接したままであり、アの位置から滑り動いてはいない。一方、フィルム状試料10は、先端部6が当接するアの位置にて、先端部6から試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する力を与えられる。このため、試料ホルダー板2bの表面を滑り、先端部6とともに移動している。先端部6が当接するアの位置のフィルム状試料10が滑り、移動した長さは、イからロに至る長さである。このアの位置のフィルム状試料10が移動するとき、視認部分10aには、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられる。この引っ張る力を受け、たわみ、しわを生じていた視認部分10aは、平坦化するように変化する。
【0027】
以上は、X―Y線での断面に示された手段5の作用について述べたものであるが、試料ホルダー板2aに設けられた他の手段5も、同様な作用を視認部分10aに及ぼす。その結果、試料ホルダー板2aに設けられたすべての手段5が、協動して、視認部分10aに存在するたわみ、しわをなくするように働く。
図1eは、さらに蝶形ネジ3を締め、試料ホルダー板2a、2bの間隙を狭くした状態を示している。弾性体7はさらに屈曲し、先端部6は試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動し、試料ホルダー板2b上の位置では、ロから移動してハの位置にある。試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられた視認部分10aは、平坦化し、たわみ、しわは解消する。ここで、弾性体7の弾発力と、蝶形ネジ3による締め付け力とは釣り合いがとれた状態にあり、試料ホルダー板2a、2bは一定の間隙を保持して固定されている。
【0028】
フィルム状試料10が、厚み50μmのポリイミドフィルムの場合、10mm径の視認部分に生じるたわみ、しわが解消されるとき、先端部6がイからハまで移動する長さは、1〜2mmである。この先端部6が移動する長さは、手段5の長さ(先端部6から他端までの長さ)、先端部6の試料ホルダー板2aからの立ち上がりの角度などを変えることによって、調整できる。また、先端部6はフィルム状試料10の表面上を滑りにくいが、フィルム状試料10は試料ホルダー2bの表面上を滑りやすいことが求められる。このため、先端部6がフィルム状試料10に当接する部分は、ざらざらした凹凸形状とする一方、試料ホルダー2bの表面は、鏡面加工を施し平滑化することが望ましい。
【実施例2】
【0029】
当該手段5が、試料ホルダー板2aに形成された傾斜面8と、傾斜面8上に置かれたスライダー9とから構成された場合の実施例を図2a〜2fにて説明する。
当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aを真上から見た上面図を図2aに、図2aのX―Y線での断面図を図2bにそれぞれ示す。図2aの試料ホルダー板2aには、蝶形ネジ3用の雌ネジ3aが4箇所設けられている。蝶形ネジ3と蝶形ネジ用雌ネジ3aを用いて、試料ホルダー板2a、2bの間にフィルム状試料10を挟むことができる。
【0030】
試料ホルダー板2aには、傾斜面8が4箇所形成されている。傾斜面8の最大傾斜角をなす方向は、傾斜面8が向き合う試料ホルダー板2aの稜に対し、垂直な方向である。傾斜面8の中央には、断面が四角形状の溝8aが形成されている。傾斜面8の溝8aにはスライダー9が置かれている。スライダー9の底面9aには、傾斜面8の最大傾斜角と同じ角度の傾斜面が形成されている。スライダー9の上面9bは、スライダー9を試料ホルダー板2aの溝8aに置いたとき、上面9bが試料ホルダー板2aの底面に対し平行となるよう形成されている。すなわち、スライダー9の形状は、四角柱において、その上面は側面に対し垂直な平坦面であるが、底面は傾斜面を形成したものである。
【0031】
スライダー9を溝8aに置いたとき、スライダー7は静止し、滑り落ちることはない。スライダー9の側面および底面と、溝8aの壁面との間に発生する摩擦力により滑り落ちないもので、スライダー9の側面と溝8aの壁面との隙間(クリアランス)を小とすることにより摩擦力の大きさを調整している。図2a、2bでは、傾斜面8は4箇所形成されているが、2箇所ないし3箇所であってもよい。また、図2a、2bに示された各傾斜面に形成された溝8aの数は1であるが、2以上とすることもできる。
【0032】
次に、当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aと、当該手段5が設けられていない試料ホルダー板2bとの間にフィルム状試料10が挟まれ、固定されるまでの過程を、図2c〜2fにて説明する。
図2c〜2eは、図2bと同様、図2aの試料ホルダー板2aに係るX―Y線での断面図を表している。図2cにおいて、試料ホルダー板2aと2bの間にフィルム状試料10が挟まれ、スライダー9の上面9bは手段5の先端部6として、図のアにおいて、フィルム状試料10に当接している。このアは、試料ホルダー板2b上の位置では、イの位置に相当する。ここで、先端部6には、静止したスライダー9が滑り落ちるほどには、力が加わっていない。試料ホルダー板2bには、くり抜き孔4が設けられている。このため、フィルム状試料10は視認部分10aにおいて、たわみを生じている。
【0033】
図2dは、蝶形ネジ3による締めを増し、試料ホルダー板2a、2bの間隙をより狭くした状態を示したものである。先端部6には、押圧が加わり、スライダー9が降下している。このスライダー9の降下により、先端部6は、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動し、試料ホルダー板2b上の位置では、イから移動してロの位置にある。このとき、先端部6はフィルム状試料10に対し、アにて当接したままであり、アの位置から滑り動いてはいない。一方、フィルム状試料10は、先端部6が当接するアの位置にて、先端部6から試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する力を与えられる。このため、試料ホルダー板2bの表面を滑り、先端部6とともに移動している。先端部6が当接するアの位置のフィルム状試料10が滑り、移動した長さは、イからロに至る長さである。このアの位置のフィルム状試料10が移動するとき、視認部分10aには、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられる。この引っ張る力を受け、たわみ、しわを生じていた視認部分10aは、平坦化するように変化する。
【0034】
以上は、X―Y線での断面に示された手段5の作用について述べたものであるが、試料ホルダー板2aに設けられた他の手段5も、同様な作用を視認部分10aに及ぼす。その結果、試料ホルダー板2aに設けられたすべての手段5が、協動して、視認部分10aに存在するたわみ、しわをなくするように働く。
図2eは、さらに蝶形ネジ3を締め、試料ホルダー板2a、2bの間隙を狭くした状態を示している。スライダー9はさらに降下し、先端部6は試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動して、試料ホルダー板2b上の位置では、イから移動してハの位置にある。試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられた視認部分10aは、平坦化し、たわみ、しわは解消する。ここで、スライダー9が受ける摩擦力と、蝶形ネジ3による締め付け力とは釣り合いがとれた状態にあり、試料ホルダー板2a、2bは一定の間隙を保持して固定されている。
【0035】
フィルム状試料10が、厚み50μmのポリイミドフィルムの場合、10mm径の視認部分に生じるたわみ、しわが解消されるとき、先端部6がイからハまで移動する長さは、1〜2mmである。この先端部6が移動する長さは、蝶形ネジ3の締め付けにより、試料ホルダー板2a、2bの間隙を調整することによって、調整できる。また、先端部6はフィルム状試料10の表面上を滑りにくいが、フィルム状試料10は試料ホルダー2bの表面上を滑りやすいことが求められる。このため、先端部6としてフィルム状試料10に当接するスライダー9の上面9bは、ざらざらした凹凸形状とする一方、試料ホルダー2bの表面は、鏡面加工を施し平滑化することが望ましい。また、先端部6がフィルム状試料10に当接する面積を大として、フィルム状試料10との間に発生する摩擦力を増し、先端部6がフィルム状試料10の表面上を滑りにくくすることができる。このため、スライダー9の上面9bの大きさを、四角柱形状のスライダー9本体の断面より大きくすることができる。溝8aの断面形状についても、図2fに示すような形状として、スライダー9と溝8aとの間に発生する摩擦力の大きさを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1b】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1c】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1d】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1e】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図2a】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2b】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2c】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2d】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2e】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2f】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図3a】従来の試料ホルダーを表した図
【図3b】従来の試料ホルダーを表した図
【図4】二次イオン質量分析の結果を示す図
【符号の説明】
【0037】
1 試料ホルダー
2a、2b 試料ホルダー板
3 蝶形ネジ
3a 蝶形ネジ用雌ネジ
4 くり抜き孔
5 手段
6 手段の先端部
7 弾性体
8 傾斜面
8a 溝
9 スライダー
9a スライダー底面
9b スライダー上面
10 フィルム状試料
10a 視認部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置による分析に供する試料、特に、フィルム状試料を固定する試料ホルダーの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
各種の分析装置では、分析に供する試料を固定するため、試料ホルダーを用いるものがある。二次イオン質量分析装置において、従来、使用されている試料ホルダー1の一例を図3a、3bに示す。図3aは試料ホルダー1を上から見た上面図であり、図3bは図3aのX−Y線における断面図を表す。試料ホルダー1は、2個の試料ホルダー板2a、2bの間に、フィルム状試料10を挟み、蝶形ネジ3で固定するものである。試料ホルダー板2a、2bの一方の2bには、その中央部にくり抜き孔4が設けられている。くり抜き孔4を通して、一次イオンがフィルム状試料10に入射され、またフィルム状試料10から二次イオンが放射される。試料ホルダー板2a、2bに挟まれ、固定されたフィルム状試料10は、くり抜き孔4を通して、外部から視認される。図3a、3bでは、くり抜き孔4は、試料ホルダー板2bのみに設けられているが、反射光の他、透過光を用いて分析する赤外分光分析などの場合では、くり抜き孔4は試料ホルダー板2a、2bの両方に設けられる。
【0003】
この視認されるフィルム状試料の部分10a(以下、視認部分10a)は、試料ホルダー板2bによって押さえられていない。このため、フィルム状試料10に、たわみ、しわ、そりなどがある場合、フィルム状試料10が試料ホルダー板2a、2bに挟まれ、固定されるときに、視認部分10aにたわみなどがある状態のまま、固定されることがある。視認部分10aに、たわみ、しわがあるフィルム状試料10を、二次イオン質量分析により、分析した結果は次のようなものであった。
【0004】
分析したフィルム状試料10は、厚み50μmのポリイミドフィルムの表面に、ホウ素(B)を含むケイ素(Si)の薄膜を形成したものである。二次イオン質量分析により、得られたマトリックス(29Si2+)強度と11B+の相対感度係数(RFS)との関係を図4に示す。この11B+の相対感度係数(RFS)の値に基づいて、ケイ素薄膜に含まれるホウ素(B)の濃度が求められる。視認部分10aにたわみ、しわがある試料を、3箇所測定した結果をプロットした3点(図の■)は互いに異なり、ばらつきが生じた。一方、視認部分10aに、たわみ、しわのない場合、3箇所測定した結果をプロットした3点(図の□)はほぼ一致した。ここで、視認部分10aの大きさ、すなわち、くり抜き孔4の大きさは、10mm径である。
【0005】
同一のフィルム状試料10について、視認部分10aに、たわみ、しわがある場合と、ない場合では、分析結果が異なった。たわみ、しわがない場合、プロットした3点はほぼ一致し、たわみ、しわがある場合より望ましい。たわみ、しわがある場合、測定値にばらつきを生じたのは、たわみ、しわがあるため、測定箇所によって、一次イオンの入射角度や二次イオン引き出し電界強度分布が異なることによると考えられる。
【0006】
フィルム状試料10を二次イオン質量分析の試料とする場合、上記のようなばらつきを生じない分析結果を得るためには、視認部分10aに、たわみ、しわがない状態で、分析することが求められる。ここで、たわみなどをなくするため、フィルム状試料10以外の物で視認部分10aを押さえるなどの手段をとることができる。例えば、くり抜き孔4に嵌合する充填物を用いて、くり抜き孔4を一時的に満たしたのち、試料ホルダー板2a、2bの間にフィルム状試料10を挟むときは、当該充填物によって視認部分10aが押さえられることとなるため、視認部分10aにたわみ、しわを生じることなく、フィルム状試料10を挟み、固定できると考えられる。しかし、当該充填物に付着した不純物、汚れなどに触れて、フィルム状試料10が汚染されることもあり、当該充填物を用いることは望ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のように、視認部分10aに、たわみなどがある状態で、フィルム状試料10を固定し、分析した場合、たわみなどがあるために、分析結果にばらつきを生じることがある。たわみなどをなくするため、フィルム状試料10以外の物で視認部分10aを押さえるなどの手段では、視認部分10aを汚染するおそれがあり、採用することができない。
そこで、本発明は、視認部分10aに触れることなく、視認部分10aのたわみなどをなくした状態で、フィルム状試料10を試料ホルダー板2a、2bの間に挟み、固定する手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、視認部分10aの外縁から、視認部分10aを引っ張る力を視認部分10aに加えて、視認部分10aのたわみ、しわなどをなくしたのち、試料ホルダー板2a、2bの間に挟んだフィルム状試料10を固定することにより解決される。視認部分10aを引っ張る力は、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた手段によって与えられる。当該手段は、フィルム状試料10が試料ホルダー板2a、2bの間に挟持される際に、当該手段の先端部がフィルム状試料10に当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動するものである。
【0009】
当該手段とフィルム状試料10との関係は、次のようなものである。試料ホルダー板2a、2bに挟まれているフィルム状試料10は、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段の先端部によって当接されている。そして、当該当接されている箇所(以下、当接箇所)が、視認部分10aの外縁にあり、当該手段の先端部が当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって移動するときは、当該当接箇所のフィルム状試料10は当該手段の先端部とともに移動することとなる。
【0010】
すなわち、フィルム状試料10は、当該当接箇所で、当該手段の先端部により、試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって移動する力を与えられ、当該手段の設けられていない試料ホルダー板(2aまたは2b)の表面上を滑り、移動する。このとき、当該当接箇所の近傍にある視認部分10aも、同じ方向、すなわち、試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって移動することとなり、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。ここで、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段は、2以上の箇所に設けられており、視認部分10aは、2以上の方向から引っ張る力を与えられる。
【0011】
請求項1に記載の発明は、くり抜き孔を、いずれか一方、または両方に設けた2個の試料ホルダー板の間にフィルム状試料が挟持されたとき、前記くり抜き孔を通して前記フィルム状試料が視認される試料ホルダーにおいて、前記フィルム状試料が挟持される際に、手段の先端部が前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動する手段を、前記試料ホルダー板のいずれか一方に設けたことを特徴とする。試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段の作用によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられ、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。
【0012】
請求項2に記載の発明は、前記先端部が移動する際に、前記先端部と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力が、前記手段を有しない前記試料ホルダー板と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力より大であることを特徴とする請求項1記載の試料ホルダーに係るものである。
請求項1に記載の発明に係る当該手段によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。このとき、当該手段の先端部とフィルム状試料10との関係、およびフィルム状試料10と当該手段を有しない試料ホルダー板(2aまたは2b)との関係は次のようなものである。
【0013】
当該手段の先端部がフィルム状試料10に当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動するとき、当該先端部とフィルム状試料10との間、および当該手段を有しない試料ホルダー板(2aまたは2b)とフィルム状試料10との間に、摩擦力が発生する。そして、当該先端部とフィルム状試料10との間に発生する摩擦力が、当該手段を有しない試料ホルダー板(2aまたは2b)とフィルム状試料10との間に発生する摩擦力より大であるとき、当該手段の先端部はフィルム状試料10の表面上を滑らないが、フィルム状試料10は試料ホルダー板(2aまたは2b)の表面上を滑る。
【0014】
このため、視認部分10aの外縁において、当該先端部が当接している箇所のフィルム状試料10は、試料ホルダー板(2aまたは2b)の表面上を滑り、当該先端部とともに、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する。そして、当該当接箇所の近傍にある視認部分10aも、同じ方向、すなわち、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動することとなり、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。
【0015】
請求項3に記載の発明は、前記手段の一部、または全部が弾性体により構成され、前記弾性体が屈曲することにより、前記先端部が前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダーに係るものである。
請求項1または請求項2に係る当該手段の作用によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられ、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。当該手段の作用は、当該手段の一部、または全部を弾性体により構成することにより生じさせることができる。当該弾性体は、試料ホルダー板2a、2bに対し垂直な方向の力が、当該手段の先端部に加わったとき、同方向に屈曲する。
【0016】
フィルム状試料10が、試料ホルダー板2a、2bの間に挟まれ、当該手段の先端部により当接されている状態において、試料ホルダー板2a、2bの間隙をさらに狭くしたとき、当該弾性体は試料ホルダー板2a、2bに対し垂直な方向に屈曲する。このとき、当該手段の先端部も同方向に屈曲するが、この屈曲により、当該先端部を試料ホルダー板2a、2b上に投影した位置は、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する。したがって、当該弾性体が屈曲することにより、当該手段の先端部は、フィルム状試料10に当接したまま、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動することとなり、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。
【0017】
請求項4に記載の発明は、前記手段が、前記試料ホルダー板に形成された傾斜面と、前記傾斜面上に置かれたスライダーとから構成され、前記傾斜面上に静止していたスライダーが、前記フィルム状試料が挟持される際に、前記傾斜面を滑り動くことにより、前記スライダーの先端部が、前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダーに係るものである。
【0018】
請求項1または請求項2に係る当該手段の作用によって、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられ、視認部分10aに存在したたわみ、しわは解消する。当該手段の作用は、当該手段を、試料ホルダー板2a、2bに形成された傾斜面と、当該傾斜面上に置かれたスライダーとから構成することにより生じさせることができる。当該傾斜面は、その最大傾斜角をなす方向が、当該傾斜面に向きあう試料ホルダー板の稜に対し、垂直となるよう形成されている。当該傾斜面は、試料ホルダー板(2aまたは2b)の2箇所ないし4箇所に設けることができる。
【0019】
フィルム状試料10が、試料ホルダー板2a、2bの間に挟まれ、当該傾斜面上に置かれた当該スライダーの先端部がフィルム状試料10に当接している状態において、試料ホルダー板2a、2bの間隙をさらに狭くしたとき、当該傾斜面上に静止していた当該スライダーは、当該傾斜面を滑り動き、下降して、試料ホルダー板の外周部に向かって移動する。このとき、当該スライダーの先端部は、フィルム状試料10に当接したまま、フィルム状試料10の表面上を滑ることなく、試料ホルダー板の外周部に向かって移動することとなり、視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。
【発明の効果】
【0020】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の発明によれば、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けられた当該手段の作用によって、フィルム状試料10の視認部分10aを試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が視認部分10aに与えられる。このため、視認部分10aに存在するたわみなどをなくした状態にて、フィルム状試料10を、試料ホルダー板2a、2bの間に挟み、固定することができることとなり、従来、視認部分10aにたわみなどがあることによって生じていた分析結果の値のばらつきの発生を防止することができる。また、当該手段は、視認部分10aの外縁から、視認部分10aを引っ張る力を加えるものであり、視認部分10aに直接、力を加えたり、接触したりするものではない。このため、視認部分10aが汚染されることはなく、かかる汚染を原因として分析結果に誤りを生じることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
請求項1、請求項2、請求項3または請求項4に記載の発明は、発明に係る当該手段を、試料ホルダー板2a、2bのいずれか一方に設けることによって、実施することができる。当該手段の一部、または全部が弾性体により構成された場合の実施例を実施例1に、当該手段が、試料ホルダー板に形成された傾斜面と、前記傾斜面上に置かれたスライダーとから構成された場合の実施例を実施例2に、それぞれ記載し説明する。
【実施例1】
【0022】
当該手段の一部、または全部が弾性体により構成された場合の実施例を図1a〜1eにて説明する。当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aを真上から見た上面図を図1aに、図1aのX―Y線における断面図を図1bに示す。図1aの試料ホルダー板2aには、蝶形ネジ3用の雌ネジ3aが4箇所設けられている。蝶形ネジ3と蝶形ネジ用雌ネジ3aを用いて、試料ホルダー板2a、2bの間にフィルム状試料10を挟むことができる。
【0023】
図1a、1bにおいて、当該手段5は、その全部が弾性体7により構成されており、その一端において、試料ホルダー板2aに固定されている。当該手段5の他の一端6(以下、先端部6)は、試料ホルダー板2aの上方に立ち上がっている。図1aでは、当該手段5は、試料ホルダー板2aの中央を中心とする等配位置の8箇所に固定されている。これら8箇所の各手段5は、すべてが協動して、視認部分10aに存在するたわみ、しわなどをなくするように働く。図1aでは、8箇所であるが、2箇所で足りる場合もある一方、8箇所以上を要する場合もあり、フィルム状試料のたわみ、しわの発生状況を考慮して、その個数を決定できる。
【0024】
弾性体7として、ゴム、ばねを用いることができる。ばねとして、特に、板ばねを用いることができる。図1a、1bでは、当該手段5の全部が弾性体7により構成されているが、当該手段5の一部、例えば、試料ホルダー板2aに固定されている部分と、その近傍部分のみが弾性体7で構成されていても良い。
当該手段5の一部、または全部が弾性体7により構成されているため、当該手段5の先端部6が上方から押されたときには、当該弾性体7が試料ホルダー板2aに対し垂直な方向に屈曲し、当該先端部6も同方向に屈曲する。
【0025】
次に、当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aと、当該手段5が設けられていない試料ホルダー板2bとの間にフィルム状試料10が挟まれ、固定されるまでの過程を、図1c〜1eにて説明する。
図1c〜1eは、図1bと同様、図1aの試料ホルダー板2aに係るX―Y線における断面図を表している。図1cにおいて、試料ホルダー板2aと2bの間にフィルム状試料10が挟まれ、当該手段5の先端部6は、図のアにおいて、フィルム状試料10に当接している。このアは、試料ホルダー板2b上の位置では、イの位置に相当する。ここで、先端部6には、弾性体7が屈曲するほどには、力が加わっていない。試料ホルダー板2bには、くり抜き孔4が設けられている。このため、フィルム状試料10は視認部分10aにおいて、たわみを生じている。
【0026】
図1dは、蝶形ネジ3による締めを増し、試料ホルダー板2a、2bの間隙をより狭くした状態を示したものである。先端部6には、押圧が加わり、弾性体7が屈曲している。この弾性体7の屈曲により、先端部6は、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動し、試料ホルダー板2b上の位置では、イから移動してロの位置にある。このとき、先端部6はフィルム状試料10に対し、アにて当接したままであり、アの位置から滑り動いてはいない。一方、フィルム状試料10は、先端部6が当接するアの位置にて、先端部6から試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する力を与えられる。このため、試料ホルダー板2bの表面を滑り、先端部6とともに移動している。先端部6が当接するアの位置のフィルム状試料10が滑り、移動した長さは、イからロに至る長さである。このアの位置のフィルム状試料10が移動するとき、視認部分10aには、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられる。この引っ張る力を受け、たわみ、しわを生じていた視認部分10aは、平坦化するように変化する。
【0027】
以上は、X―Y線での断面に示された手段5の作用について述べたものであるが、試料ホルダー板2aに設けられた他の手段5も、同様な作用を視認部分10aに及ぼす。その結果、試料ホルダー板2aに設けられたすべての手段5が、協動して、視認部分10aに存在するたわみ、しわをなくするように働く。
図1eは、さらに蝶形ネジ3を締め、試料ホルダー板2a、2bの間隙を狭くした状態を示している。弾性体7はさらに屈曲し、先端部6は試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動し、試料ホルダー板2b上の位置では、ロから移動してハの位置にある。試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられた視認部分10aは、平坦化し、たわみ、しわは解消する。ここで、弾性体7の弾発力と、蝶形ネジ3による締め付け力とは釣り合いがとれた状態にあり、試料ホルダー板2a、2bは一定の間隙を保持して固定されている。
【0028】
フィルム状試料10が、厚み50μmのポリイミドフィルムの場合、10mm径の視認部分に生じるたわみ、しわが解消されるとき、先端部6がイからハまで移動する長さは、1〜2mmである。この先端部6が移動する長さは、手段5の長さ(先端部6から他端までの長さ)、先端部6の試料ホルダー板2aからの立ち上がりの角度などを変えることによって、調整できる。また、先端部6はフィルム状試料10の表面上を滑りにくいが、フィルム状試料10は試料ホルダー2bの表面上を滑りやすいことが求められる。このため、先端部6がフィルム状試料10に当接する部分は、ざらざらした凹凸形状とする一方、試料ホルダー2bの表面は、鏡面加工を施し平滑化することが望ましい。
【実施例2】
【0029】
当該手段5が、試料ホルダー板2aに形成された傾斜面8と、傾斜面8上に置かれたスライダー9とから構成された場合の実施例を図2a〜2fにて説明する。
当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aを真上から見た上面図を図2aに、図2aのX―Y線での断面図を図2bにそれぞれ示す。図2aの試料ホルダー板2aには、蝶形ネジ3用の雌ネジ3aが4箇所設けられている。蝶形ネジ3と蝶形ネジ用雌ネジ3aを用いて、試料ホルダー板2a、2bの間にフィルム状試料10を挟むことができる。
【0030】
試料ホルダー板2aには、傾斜面8が4箇所形成されている。傾斜面8の最大傾斜角をなす方向は、傾斜面8が向き合う試料ホルダー板2aの稜に対し、垂直な方向である。傾斜面8の中央には、断面が四角形状の溝8aが形成されている。傾斜面8の溝8aにはスライダー9が置かれている。スライダー9の底面9aには、傾斜面8の最大傾斜角と同じ角度の傾斜面が形成されている。スライダー9の上面9bは、スライダー9を試料ホルダー板2aの溝8aに置いたとき、上面9bが試料ホルダー板2aの底面に対し平行となるよう形成されている。すなわち、スライダー9の形状は、四角柱において、その上面は側面に対し垂直な平坦面であるが、底面は傾斜面を形成したものである。
【0031】
スライダー9を溝8aに置いたとき、スライダー7は静止し、滑り落ちることはない。スライダー9の側面および底面と、溝8aの壁面との間に発生する摩擦力により滑り落ちないもので、スライダー9の側面と溝8aの壁面との隙間(クリアランス)を小とすることにより摩擦力の大きさを調整している。図2a、2bでは、傾斜面8は4箇所形成されているが、2箇所ないし3箇所であってもよい。また、図2a、2bに示された各傾斜面に形成された溝8aの数は1であるが、2以上とすることもできる。
【0032】
次に、当該手段5が設けられた試料ホルダー板2aと、当該手段5が設けられていない試料ホルダー板2bとの間にフィルム状試料10が挟まれ、固定されるまでの過程を、図2c〜2fにて説明する。
図2c〜2eは、図2bと同様、図2aの試料ホルダー板2aに係るX―Y線での断面図を表している。図2cにおいて、試料ホルダー板2aと2bの間にフィルム状試料10が挟まれ、スライダー9の上面9bは手段5の先端部6として、図のアにおいて、フィルム状試料10に当接している。このアは、試料ホルダー板2b上の位置では、イの位置に相当する。ここで、先端部6には、静止したスライダー9が滑り落ちるほどには、力が加わっていない。試料ホルダー板2bには、くり抜き孔4が設けられている。このため、フィルム状試料10は視認部分10aにおいて、たわみを生じている。
【0033】
図2dは、蝶形ネジ3による締めを増し、試料ホルダー板2a、2bの間隙をより狭くした状態を示したものである。先端部6には、押圧が加わり、スライダー9が降下している。このスライダー9の降下により、先端部6は、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動し、試料ホルダー板2b上の位置では、イから移動してロの位置にある。このとき、先端部6はフィルム状試料10に対し、アにて当接したままであり、アの位置から滑り動いてはいない。一方、フィルム状試料10は、先端部6が当接するアの位置にて、先端部6から試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動する力を与えられる。このため、試料ホルダー板2bの表面を滑り、先端部6とともに移動している。先端部6が当接するアの位置のフィルム状試料10が滑り、移動した長さは、イからロに至る長さである。このアの位置のフィルム状試料10が移動するとき、視認部分10aには、試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられる。この引っ張る力を受け、たわみ、しわを生じていた視認部分10aは、平坦化するように変化する。
【0034】
以上は、X―Y線での断面に示された手段5の作用について述べたものであるが、試料ホルダー板2aに設けられた他の手段5も、同様な作用を視認部分10aに及ぼす。その結果、試料ホルダー板2aに設けられたすべての手段5が、協動して、視認部分10aに存在するたわみ、しわをなくするように働く。
図2eは、さらに蝶形ネジ3を締め、試料ホルダー板2a、2bの間隙を狭くした状態を示している。スライダー9はさらに降下し、先端部6は試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって移動して、試料ホルダー板2b上の位置では、イから移動してハの位置にある。試料ホルダー板2a、2bの外周部に向かって引っ張る力が与えられた視認部分10aは、平坦化し、たわみ、しわは解消する。ここで、スライダー9が受ける摩擦力と、蝶形ネジ3による締め付け力とは釣り合いがとれた状態にあり、試料ホルダー板2a、2bは一定の間隙を保持して固定されている。
【0035】
フィルム状試料10が、厚み50μmのポリイミドフィルムの場合、10mm径の視認部分に生じるたわみ、しわが解消されるとき、先端部6がイからハまで移動する長さは、1〜2mmである。この先端部6が移動する長さは、蝶形ネジ3の締め付けにより、試料ホルダー板2a、2bの間隙を調整することによって、調整できる。また、先端部6はフィルム状試料10の表面上を滑りにくいが、フィルム状試料10は試料ホルダー2bの表面上を滑りやすいことが求められる。このため、先端部6としてフィルム状試料10に当接するスライダー9の上面9bは、ざらざらした凹凸形状とする一方、試料ホルダー2bの表面は、鏡面加工を施し平滑化することが望ましい。また、先端部6がフィルム状試料10に当接する面積を大として、フィルム状試料10との間に発生する摩擦力を増し、先端部6がフィルム状試料10の表面上を滑りにくくすることができる。このため、スライダー9の上面9bの大きさを、四角柱形状のスライダー9本体の断面より大きくすることができる。溝8aの断面形状についても、図2fに示すような形状として、スライダー9と溝8aとの間に発生する摩擦力の大きさを調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1a】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1b】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1c】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1d】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図1e】本発明の実施例1に係る試料ホルダーを表した図
【図2a】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2b】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2c】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2d】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2e】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図2f】本発明の実施例2に係る試料ホルダーを表した図
【図3a】従来の試料ホルダーを表した図
【図3b】従来の試料ホルダーを表した図
【図4】二次イオン質量分析の結果を示す図
【符号の説明】
【0037】
1 試料ホルダー
2a、2b 試料ホルダー板
3 蝶形ネジ
3a 蝶形ネジ用雌ネジ
4 くり抜き孔
5 手段
6 手段の先端部
7 弾性体
8 傾斜面
8a 溝
9 スライダー
9a スライダー底面
9b スライダー上面
10 フィルム状試料
10a 視認部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
くり抜き孔を、いずれか一方、または両方に設けた2個の試料ホルダー板の間にフィルム状試料が挟持されたとき、前記くり抜き孔を通して前記フィルム状試料が視認される試料ホルダーにおいて、前記フィルム状試料が挟持される際に、手段の先端部が前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動する手段を、前記試料ホルダー板のいずれか一方に設けたことを特徴とする試料ホルダー
【請求項2】
前記先端部が移動する際に、前記先端部と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力が、前記手段を有しない前記試料ホルダー板と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力より大であることを特徴とする請求項1記載の試料ホルダー
【請求項3】
前記手段の一部、または全部が弾性体により構成され、前記弾性体が屈曲することにより、前記先端部が前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダー
【請求項4】
前記手段が、前記試料ホルダー板に形成された傾斜面と、前記傾斜面上に置かれたスライダーとから構成され、前記傾斜面上に静止していたスライダーが、前記フィルム状試料が挟持される際に、前記傾斜面を滑り動くことにより、前記スライダーの先端部が、前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダー
【請求項1】
くり抜き孔を、いずれか一方、または両方に設けた2個の試料ホルダー板の間にフィルム状試料が挟持されたとき、前記くり抜き孔を通して前記フィルム状試料が視認される試料ホルダーにおいて、前記フィルム状試料が挟持される際に、手段の先端部が前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動する手段を、前記試料ホルダー板のいずれか一方に設けたことを特徴とする試料ホルダー
【請求項2】
前記先端部が移動する際に、前記先端部と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力が、前記手段を有しない前記試料ホルダー板と前記フィルム状試料との間に発生する摩擦力より大であることを特徴とする請求項1記載の試料ホルダー
【請求項3】
前記手段の一部、または全部が弾性体により構成され、前記弾性体が屈曲することにより、前記先端部が前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダー
【請求項4】
前記手段が、前記試料ホルダー板に形成された傾斜面と、前記傾斜面上に置かれたスライダーとから構成され、前記傾斜面上に静止していたスライダーが、前記フィルム状試料が挟持される際に、前記傾斜面を滑り動くことにより、前記スライダーの先端部が、前記フィルム状試料に当接したまま、前記フィルム状試料の表面上を滑ることなく、前記試料ホルダー板の外周部に向かって移動することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の試料ホルダー
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図2f】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【公開番号】特開2008−232774(P2008−232774A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−71792(P2007−71792)
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月20日(2007.3.20)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】
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