説明

試薬容器パック

体液内の分析物を分析するための自動臨床試料分析器に搭載される試薬容器パック内に複数の試薬容器を保管、保存、自動的に開封及び再密閉するための試薬容器パック。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動臨床試料分析器に関し、より詳細には、自動臨床試料分析器によって使用される試薬を保存、保管及びその試薬への接触を提供するための試薬容器パックに関する。
【背景技術】
【0002】
自動臨床試料分析器は、病院及び研究機関において多量の試料を分析するために日常的に用いられている。自動試料分析器を使用して、例えば、水などの環境標本、又は血液、尿若しくは他の生体試料などの患者検体を検査し、例えば汚染物質又は分析物の濃度を測定することができる。
【0003】
自動臨床試料分析器は様々な構成要素システムを有し、それらが連携して動作することにより患者試料が処理される。例えば、自動臨床試料分析器は、1つ又は複数の試薬分配構成要素、試料保持容器分配構成要素、試料及び試薬プローブ、洗浄ステーション、検出機構、及び試料をあるステーションから別のステーションに移動させるための自動化されたアーム、カルーセル、又はコンベヤを有し得る。
【0004】
自動臨床試料分析器によって患者試料に対するアッセイの実施にかかる時間が短縮され、出力結果が向上し、かつ人為的エラー及び汚染が低減されるため、費用効果の高い試料分析が提供される。しかしながら、かかる分析器は機能が自動化されているにも関わらず、構成要素が正常に機能しない場合、又は試薬及び試料保持容器などの消耗品を交換しなければならない場合、操作者の介入を必要とすることが多い。従って当該技術分野では、操作者が介入する必要が低減され、それによって効率性、検査の正確性、及び処理能力がさらに向上した自動臨床試料分析器が必要とされている。
【0005】
上記及び他の必要性のために、本教示は、体液内の1つ以上の分析物を検出又は測定するための自動臨床試料分析器に搭載される、保管、保存及び簡単に接触できる複数の試薬を単一の試薬容器パックに提供するためのシステムに関する。
【発明の概要】
【0006】
一態様では、本発明は、患者試料を分析するための自動臨床試料分析器に関する。本発明の一実施形態では、分析器は試薬容器パックを含んでおり、かかる試薬容器パックは、試薬を保管、保存及びその蒸発を減少させ、試薬容器を自動的に開封及び再密閉し、かつ操作の介入を減少させることによって試薬パック内の試薬容器の汚染を最小限にするものである。
【0007】
一実施形態では、試薬容器パックは、複数の試薬容器を保持するためのハウジング又は基部を含む。基部は、底部、裏壁、及び裏壁の一部に沿って基部の底部から延在する裏壁内の垂直スロットを含む。
【0008】
試薬容器パックはカバーを有する。カバーは、試薬容器パックの頂部及びその側面の部分的に下方の上に取り付けられ、試薬容器より上の上昇位置から試薬容器の頂部と接触する下方位置に並進可能である。カバーは、カバーの一方端から他方端に延在するカバー表面の近くに水平スロットを含む。カバーは、カバー表面内に複数の穴をさらに含んでおり、かかる複数の穴は、カバーの表面から試薬容器の頂部に向かって突出する中空チューブと連結している。中空チューブの各々は、各端で中空チューブ内への開口部を有する。一実施形態では、カバーの試薬容器側にある各中空チューブの端は先端を含む。
【0009】
試薬容器パックは、カバーの中空チューブの数に対応する複数の開口を有する蓋を含む。蓋はカバーの水平スロット内で水平にかつ両方向に滑動可能であり、それによって1つの位置では、蓋は中空チューブの各々を覆い、もう一方の位置では蓋はカバーの中空チューブの各々を覆わない。
【0010】
細長いタブは、その一方端が蝶番でカバーの固定端に接合され、基部の底部に向かって基部の裏に沿って下方に延在する。細長いタブの他方端は、基部の裏側に沿う垂直スロットに固定されかつその中で滑動可能に移動できる。細長いタブの内側面は、細長いタブから基部の裏に向かって突出する水平タブを含む。細長いタブの上部、すなわち、水平タブより上の部分が基部の裏に向かって押圧又はけん引されると、蓋は、蓋がカバーの中空チューブを覆う又は「閉じる」弛緩位置からカバーの中空チューブが覆われていない又は「開いている」付勢位置へと移行する。カバーが試薬容器の頂部の上で下方位置にあった場合、蓋を閉じた状態から開いた状態へと移行することは、例えばピペットが試薬と接触できるように試薬容器の頂部にある開口部も覆わない。
【0011】
細長いタブに対する押圧又はけん引が解放されると、蓋は付勢位置からその弛緩位置へと戻る。弛緩位置では、蓋内の穴はカバーの中空チューブ及びカバー表面内の穴と位置合わされておらず、それによってパックに含まれた試薬容器の開口部を密閉する。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書中に記載される試薬容器パックの構成要素によって、自動臨床試料分析器に搭載される試薬パックに含まれる試薬容器を保管、保存、自動的に開封及び再密閉する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明のこれらの実施形態及び他の態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面から容易に明らかとなるであろう。それらは例示であり、本発明を限定する意図はない。
【0014】
【図1A】本発明の例示的実施形態に係る自動臨床試料分析システムの上面図である。
【図1B】本発明の例示的実施形態に係る試薬ステーションの斜視図である。
【図2】本発明の例示的実施形態に係る、密閉された試薬容器及び上昇位置におけるカバーを含む試薬容器パックの斜視側面図である。
【図3A】本発明の例示的実施形態に係る、カバーの中空チューブの開口部の上に蓋が位置決めされた図2に示す試薬容器パックのカバー及び蓋の断面図である。
【図3B】本発明の例示的実施形態に係る、中空チューブの開口部が蓋に覆われていない図3Aに示すカバー及び蓋の断面図である。
【図4】本発明の例示的実施形態に係る、試薬容器のシールが中空チューブによって破られている、下方位置におけるカバーを有する図2に示す試薬容器パックの斜視側面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る細長いタブに接合されたシーリング蓋の上面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、添付の図面と併せて読まれるべき以下の説明を通じてより完全に理解されるであろう。この説明では、同様の符号は、本発明の様々な実施形態の中の同様の要素を指す。この説明においては、特許請求される本発明が実施形態に関連して説明されることになる。当業者は、本明細書に記載される方法及びシステムが単なる例示に過ぎず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく変更を加え得ることを容易に理解するであろう。
【0016】
本発明の実施形態は、患者試料を自動的に分析するための自動臨床試料分析器システムに関する。一実施形態において、この分析器は、体液試料、例えば、血液、血漿、血清、尿、又は脳脊髄液中の標的生体分子を分析するために用いられ得る。本発明に係る自動臨床試料分析器システムは、例えば、患者試料中の標的生体分子を検出するための免疫化学アッセイの自動化を含む。
【0017】
本発明の実施形態は、体液試料内の標的の分析物の検出及び/又は測定のための自動臨床試料分析器内の試薬を保存、保管及びその試薬への接触を提供する装置及び方法に関する。本発明は、少なくとも、試薬容器シールの破損を自動化しかつ保存を自動化することによって試薬との手動の操作者による接触を最小限にし、蒸発を減少させ、及び操作者の介入を伴わない試薬容器の自動化された開封及び再密閉によって試薬の汚染を最小限にすることによって従来の自動臨床試料分析器より有利である。
【0018】
図1Aは、本発明の一実施形態に係る自動臨床試料分析器システム20の上面図である。例示される自動臨床試料分析器システム20は、バイアルに入った患者試料を処理及び分析するための1つ又は複数のステーション又はモジュールを含む。一実施形態では、自動臨床試料分析器システム20は、少なくとも以下のもの、すなわち、バイアルローダ22と、試料をバイアルに追加するための試料ステーション(図示せず)と、診断アッセイに使用する試薬を保持するための試薬ステーション23と、洗浄及びすすぎ流体をバイアルに供給しかつ試薬及び試料をバイアルに搬送するための複数のピペット24と、バイアルローダからバイアルを受け取って、そのバイアルを分配するためのカルーセル28と、磁気洗浄モジュール30と、発光測定装置32と、試料バイアルをインキュベートするための加熱器モジュール25とを含む。
【0019】
図1Bは、本発明の例示的実施形態に係る試薬ステーション23の斜視図であり、この試薬ステーション23は、試薬ステーションハウジング33と、バーコードスキャナ37と、1つ又は複数の試薬容器パック200とを含み、各試薬容器パックはバーコード82を有する。試薬ステーションハウジング33は、例えば、鋳造金属又はプラスチックで作製されたボウル形状の容器であってもよい。1つ又は複数の試薬容器パック200が試薬ステーションボウル33内に保管される。例えば、試薬容器パック200は、ボウル形状ハウジング33の中心から半径方向に分配される。一実施形態において、試薬容器パック200は、ハウジングに配置された回転カルーセル(図示せず)に挿入される。試薬ステーション23は温度及び/又は湿度が制御され得る。
【0020】
試薬容器パック200は、試薬容器からバイアルに注入され得る試薬を試薬容器208に含んでいる。一実施形態において、試薬容器パック200は、複数の試薬容器パック200が円形又はボウル形状の試薬ステーションハウジング33に収まり得るような楔形状又はパイ形状である。例えば、試薬ステーションハウジング33のサイズに応じて、5〜35個の試薬容器パック200、又はより具体的には、10、20若しくは30個、又はそれ以上の試薬容器パック200を、一度に試薬ステーションハウジング33に置くことができる。
【0021】
引き続き図1Bを参照すると、バーコードスキャナ37によって使用者は、様々な試薬容器パック200にインデックスを付し、追跡することができる。バーコードスキャナ37は、バーコードスキャナ37と向かい合う試薬容器パック200の側面に付されたバーコード82を読み取り得る。バーコードの読み取り値はコンピュータプロセッサに送られ、そのコンピュータプロセッサが自動臨床試料分析器システム20の使用者に、様々な試薬容器パック200の位置及び内容について警告する。加えて、バーコードスキャナ37によって使用者は、所望の分析に対し、様々な試薬容器パック200を電子的に選択することができる。使用者は必要の試薬を要求でき、バーコードスキャナ37がその試薬の入った対応する試薬容器パック200を特定する。このように、バーコードラベル82は試薬容器パック200内の種々の試薬を識別するために用いることができ、使用者が試薬ステーション23内にある特定の試薬の位置を判断するのを補助し得る。
【0022】
図2は、本発明の例示的実施形態に係る試薬容器パック200を示している。試薬容器パック200は、例えば試薬チューブなどの複数の試薬容器208を収容するための自己密封の蓋202、カバー204、細長いタブ218及び基部206を含む。基部206は底部270を有する。底部270は、試薬容器208を係合するための複数の開口部を有してもよい。一実施形態では、基部は裏面230、表面272及び2つの側壁271を有する。カバー204は、方向矢印「C」で示すように基部206に対して垂直に並進可能である。自己密封の蓋202は、カバー204の頂部250とカバーの底部251との間の水平スロット217内に位置決めされている。カバー250の頂部は複数の穴255a、b、c及びdを有する。一実施形態では、カバー204の頂部250は任意であり、自己密封の蓋202はカバー部250の表面上に位置決めされている。
【0023】
図2は、試薬パック200内に収容された4つの試薬容器208a、208b、208c及び208dを示しているが、本発明は図示されている試薬容器の数に限定されず、2つ、3つ又は5つ以上の試薬容器を試薬容器パック200に含んでもよい。試薬容器208は、例えば、抗体溶液、バッファ又は可視化剤(visualant)を保持する。
【0024】
試薬容器パック200は、図1Bに示すような、例えば楔型などのあらゆる便利な幾何学形状を有してよい。この形状は、複数のそのような試薬「楔」を自動臨床分析器のカルーセル上にパイ型構成で並んで配置させ、それによって幅広い種類の試薬を臨床分析操作に利用しやすくする。あるいは、試薬容器パックは、線形又は横並びアレイに位置決めされて自動臨床試料分析器内に箱型構成(図示せず)を提供することもができる。
【0025】
本発明の一実施形態によると、試薬容器208は取外し可能であり、選択された試薬によって予め満たされている。試薬容器208a、208b、208c及び208dの各々は、例えば、試薬容器の頂部で開口部210a、210b、210c及び210dをそれぞれ含む。一実施形態では、開口部は、穴開け可能であって接着剤でコーティングされた金属フォイルシールなどのシール211によって予め密閉されている。
【0026】
本発明の一実施形態では、試薬容器208a、208b、208c及び208dの開口部210a、210b、210c及び210dは、それぞれ、共通のカバー204を共有する。図3A及び図3Bを参照すると、カバー204は、試薬容器の頂部210a、210b、210c及び210dに付着されたシール211を開口するためのデバイスを含む。例えば、一実施形態では、カバー204は、試薬容器の開口部210a、210b、210c及び210dの各々の上に付着されたシール211に穴を開けるための中空穴開けチューブデバイス212を含む。一実施形態によると、中空穴開けチューブ212は、カバー204の頂面207から試薬容器の頂部の開口部210a、210b、210c及び210dに向かって延在する。別の実施形態によると、中空穴開けチューブ212は、カバー204の底部251の頂面252から試薬容器208の頂部の開口部210a、210b、210c及び210dに向かって下方に延在する。
【0027】
図2を参照すると、一実施形態では、中空穴開けチューブ212の各々は、先端214を含む。カバー204が、試薬容器208a、208b、208c及び208dの頂部上の図2に示す上昇位置から試薬容器208a、208b、208c及び208dの頂部により近い図4に示す下方位置に矢印「C」の方向に下に押された場合、先端214は、試薬容器210上のシール211に穴を開けることができる。
【0028】
図2に戻ると、本発明の一実施形態によると、カバー204は、少なくとも、カバー204の側面に配置されたスナップロック機構205を含む。一実施形態では、スナップロック機構は、カバー204を、図2に示す上昇位置から図4に示す下方位置に矢印「C」の方向に基部の底部に向かって下方に移行させるように内向きに圧縮されるべきである。一実施形態では、スナップロック機構205は、カバー204の各側面に配置されている。
【0029】
シール211に穴を開けた後、自己密閉の蓋202は、再密封を実行するための外部操作を必要とすることなく間欠性試薬抽出の間に試薬容器208a、208b、208c及び208dを自動的に再密閉する。
【0030】
図5を参照すると、本発明の一実施形態では、シーリング蓋202は、蓋202内の複数の開口215を含む平坦で実質的に長方形である成形プラスチック部材であり、複数の開口215の数及び配分は、カバー204内の中空穴開けチューブ212及び試薬容器208a、208b、208c及び208dの各々の頂部における開口部210a、210b、210c及び210dに対応する。蓋202内の複数の開口部215の数は、カバー204の頂部250内の穴255の数にも対応する。
【0031】
図3Aを参照すると、シーリング蓋202は、カバー204の頂部に位置決めされた水平向きのスロット217内で矢印「A」及び「B」の方向である水平方向に両方に滑動可能に移動できる。シーリング蓋202の一方端は、蝶番220によって細長いタブ218の一方端219に結合されており、この蝶番は、例えば、これらの要素が製造された場合に細長いタブ218又はシーリング蓋内に成形することができるプラスチック蝶番である。例えば、プラスチック蝶番220は、細長いタブ218、シーリング蓋202及び蝶番220を含む1つの一体的に成形された部分の一部である。
【0032】
図2に戻ると、細長いタブ218は、蝶番220から基部206の底部に向かって下方に延在する。細長いタブ218の他方端223は固定されており、かつ試薬容器パック200の基部206の裏側230に沿って配置されたスロット222で滑動可能に移動できる。スロット222は、基部206の底部から基部の頂部に向かって裏壁230の一部に沿って延在する。したがって、例えば、図4に示すようなカバー204に対する下方圧力によって生じる細長いタブ218に対する下方圧力は、スロット222内で細長いタブ218の端223を下方に移動させる。図4を参照すると、この細長いタブ218の垂直下方方向の移動の自由は、カバー204が試薬容器208の頂部に対して押されるにつれて細長いタブ218をスロット222内で下方に滑動させて中空穴開けチューブ212によってシール211に穴を開ける。
【0033】
図5を参照すると、細長いタブ218の固定された下端223から約三分の一の距離の位置において、水平タブ224が基部206の裏230に向かって細長いタブ218の内側面221から水平に突出している。図3Aを参照すると、水平タブ224より上のタブ218の部分であるタブ218の上側の三分の二が矢印「A」の方向に並進した場合、蓋202は矢印「A」と同じ方向に移動し、穴215と穴開けチューブ212及びカバー204の頂部250にある開口部250とを位置合わせることによってシーリング蓋202内の穴215を「開口」させる。
【0034】
図3Bを参照すると、水平タブ224を基部206の裏部230に押し付けて水平タブ224より上の細長いタブ218に圧力を加えることによってバネ付勢が生成される。細長いタブ218に対する圧力が開放されかつ水平タブ224がもう裏部230に押し付けられていない場合、細長いタブ218は、図2Aに示す元の弛緩位置へと戻るように付勢され、シーリング蓋202は、矢印「B」の方向に並進して元の位置に戻った場合にカバー204内の開口部255を閉じかつ穴開けチューブ212の開口部を覆う。弛緩位置では、シーリング蓋215の穴はもう穴開けチューブ212、カバー204の開口部250及び試薬容器208の開口部210と位置合わされていない。結果的に、試薬容器208の開口部210は「閉じられている」。
【0035】
本発明の試薬楔、すなわち、試薬容器パックは、自動臨床化学、生化学又は免疫測定分析器の搭載アッセイ能力を減少させることなく、例えば30個以上の比較的大きい数のアッセイタイプを同時に支持し、その各々は2つ以上の試薬を必要とする。本発明の試薬容器パックは、例えば比較的長期間、退化が検出されることなく免疫分析器に搭載される試薬を保管、保存及びその試薬に接触できる性能も提供する。本発明の試薬パックは、試薬が取り付けられたバーコードを介して明確に識別されることも可能にする。
【0036】
本明細書中に記載された回転カルーセルは複数の楔形の試薬パックを収容しており、各試薬パックはその異なる区画に複数の異なる試薬を保持できる。これらのパックは、シール穴開けデバイスを有する器具で作動されるカバー及びバーコードリーダが利用できるバーコードを含む。一実施形態では、カルーセル全体は約摂氏4度で維持される冷蔵庫室内に収容される。
【0037】
例として、試薬容器に含まれる試薬は液状で供給され、検体内の分析物の濃度に比例又は逆比例する検出可能信号を生成するために使用される。試薬は試薬容器パック内に使い捨て試薬容器パックで含まれており、各試薬容器パックは、複数の、例えば2つ以上の異なる試薬を支える。これらの試薬容器パックは、その内容物を、その器具で作動される蓋によって環境から保護する。
【0038】
複数の、例えば24個以上の異なる試薬パックを自動臨床範囲分析器に同時に取り付けることができ、操作者はパックの供給をあらゆる時に交換又は補充してもよい。試薬の分量は、例えばピペットによる吸引の挿入によって行われるテストごとに試薬パックの1つ以上の容器から消費されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の試薬容器を保持するための基部であって、前記基部は、底部、裏壁、及び前記裏壁の一部に沿って前記基部の前記底部から延在する垂直スロットを含む、基部と
カバーであって、前記カバーは水平スロット及び前記カバーに接合された複数の中空チューブを含んでおり、前記チューブは第1端及び第2端を含んでおり、前記第1端及び前記第2端の各々は開口部を有している、カバーと、
複数の穴、自由端及び固定端を含む蓋であって、前記蓋は第1位置及び第2位置から前記水平スロット内で滑動可能に移動可能であり、前記第1位置では前記第1中空チューブ端は前記蓋によって覆われており、前記第2位置では前記第1中空端は前記蓋によって覆われない、蓋と、
細長いタブであって、その一方端は前記蓋の前記固定端に接合されており、前記細長いタブの他方端は前記基部の前記垂直スロット内で滑動可能に移動可能であり、前記細長いタブは、内側面及び前記基部の裏壁に向かって前記内側面から水平に延在する水平タブを含む、細長いタブとを含み、
前記細長いタブは、第1弛緩位置から第2付勢位置への移行が可能であり、前記細長いタブの前記付勢位置では、前記蓋は前記第1位置から前記第2位置へ移行する、試薬容器パック。
【請求項2】
複数の試薬容器をさらに含む請求項1に記載の試薬パックであって、各試薬容器は開口部を含む上面を有しており、
前記カバーは、前記複数の試薬容器の前記上面より上の上昇位置と、前記カバーが前記上昇位置のときより前記複数の試薬容器の前記上面に近い下方位置との間で並進可能であり、
前記細長いタブの前記他方端は、前記カバーが前記上昇位置から前記下方位置に移行されたときに前記垂直スロット内で上方位置から下方位置へと移動することが可能である、試薬パック。
【請求項3】
前記基部の前記裏壁の一部に沿って前記基部の前記底部から延在する垂直スロットをさらに含む、請求項1に記載の試薬パック。
【請求項4】
前記細長いタブの前記他方端は、前記垂直スロット内の配置で前記基部の前記裏壁に固定され、かつ前記垂直スロット内で滑動可能に移動可能である、請求項3に記載の試薬パック。
【請求項5】
前記カバーは前記基部に対して垂直に並進可能であり、前記カバーの垂直並進は、前記カバーが上昇位置から下方位置まで垂直に並進されたときに前記細長いタブの前記他方端を前記垂直スロット内で上方位置から下方位置に移動させる、請求項4に記載の試薬パック。
【請求項6】
前記カバーの側面のスナップロック機構を押し下げることは、前記カバーを前記上昇位置と前記下方位置との間で並進させる、請求項5に記載の試薬パック。
【請求項7】
前記複数の試薬容器は取外し可能な試薬容器である、請求項1に記載の試薬パック。
【請求項8】
各試薬容器は、前記試薬容器の前記開口部を密閉するシールを含む、請求項7に記載の試薬パック。
【請求項9】
中空穴開けチューブをさらに含む請求項6に記載の試薬パックであって、前記カバーを前記上昇位置から前記下方位置に並進することは、前記中空穴開けチューブによって前記試薬容器の前記開口部を密閉するシールに穴を開けさせる、請求項6に記載の試薬パック。
【請求項10】
前記カバー内の各開口部は、第1端及び第2端を含む中空穴開けチューブを含んでおり、前記第1端及び前記第2端の各々は開口部を有している、請求項1に記載の試薬パック。
【請求項11】
前記中空穴開けチューブは穴開け先端を含んでいる、請求項10に記載の試薬パック。
【請求項12】
前記基部は楔形である、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項13】
前記基部は前壁及び2つの側壁をさらに含んでいる、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項14】
前記細長いタブは蝶番によって前記蓋に接合されている、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項15】
前記細長いタブ、前記蝶番及び前記蓋は1つの一体的に成形された部分を含む、請求項14に記載の試薬容器パック。
【請求項16】
前記蓋は、付勢力が前記細長いタブに加えられたときに前記水平スロット内で前記第1位置から前記第2位置に滑動可能に移動する、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項17】
前記蓋は、付勢力が前記細長いタブから解放されたときに前記水平スロット内で前記第2位置から前記第1位置に滑動可能に移動する、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項18】
前記細長いタブは、前記基部の前記裏側に付勢されることができる水平タブをさらに含む、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項19】
前記カバーは、複数の穴を含む頂部及び底部を有しており、前記蓋は前記頂部と前記底部との間に位置決めされている、請求項1に記載の試薬容器パック。
【請求項20】
請求項1に記載の前記試薬容器パックから試薬を得る方法であって、前記方法は、
前記カバーを前記基部に対して垂直に並進させ、かつ前記基部内に含まれる試薬容器上のシールに穴を開けることと、
付勢力を前記細長いタブに加えて前記蓋を前記第1弛緩位置から前記第2付勢位置に移行させることであって、前記第2付勢位置では前記蓋は開いている、ことと、
前記蓋内の前記開口部を介してピペットを試薬容器に挿入することと、
試薬を前記ピペット内に吸引することと、
前記ピペットを前記試薬容器から取り外すことと、
前記細長いタブに対する前記付勢力を解放することと
を含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−508885(P2012−508885A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536429(P2011−536429)
【出願日】平成21年11月11日(2009.11.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/063968
【国際公開番号】WO2010/056701
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(509214056)
【Fターム(参考)】