試験片表面での塗膜の付着力測定に使用する、引張試験器の試験円筒及び接着剤により試験円筒と試験片を付着させる方法
【課題】本発明は剥ぎ取るべきと塗布接着剤又は表面粘着試験のため接着されるべき粘着摩擦パッドに関し、塗膜の厚さを制御するよう座ぐりの深さを定めたものである。
【解決手段】くさび又は縁のような支持素材は試験される表面から所定の距離をおくように座ぐりの基部を維持し、粘着摩擦パッドが試験表面に適用されたときで制御された硬さになる前に接着剤を抜かすために開口部が設けられている。
【解決手段】くさび又は縁のような支持素材は試験される表面から所定の距離をおくように座ぐりの基部を維持し、粘着摩擦パッドが試験表面に適用されたときで制御された硬さになる前に接着剤を抜かすために開口部が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンキ、基材の保護塗膜、接着剤、または被着体に直接貼られた粘着テープなどの付着力あるいは、その他広範囲の素地に対しての凝集破壊を測定する装置に関するものである。
【0002】
本発明は特に、付着力測定を要する基材表面に、試験円筒を接着し、プルオフ法に則った引張試験を試みる際、それに用いられる試験円筒の改善を目指したものである。
【背景技術】
【0003】
例えば基材に塗られたペンキなど、素地に塗布された塗膜の付着力あるいは、資材の表面の凝集破壊力を知ることは、工業分野において、大変重要な情報収集となる。なぜなら、将来的にその材質を使用するにあたり、ひとつの材質の状態を現場の環境に応じて見極めることであり、ま た、必要な材質の組み合わせを決定するにあたって、貴重な情報源となりうるからである。
【0004】
塗装された素地面での塗膜の付着力や、塗膜表面の凝集破壊力を測定する検査で、一般的によく用いられている方法は、素地に塗布した塗膜の試験片を使った剥離実験や、あるいは資材上に検査器具を直接設置して測定する方法である。
【0005】
規格に準拠した試験片を使用しての測定がよく行われるが、この規格はプロトコールに従って明確に指定されている。なぜなら、いろいろなタイプの塗膜と基材の組み合わせによる、付着力検査や比較が再現性を持たねばならないからである。
【0006】
このような測定の一般的な原則では、あらかじめ定められたアプリケーションの行程で、塗膜を一様に塗布した素地か、あるいは、素面処理の施された物質の試験片を用意し、検査規格に準拠した接着面に、硬質素材の試験円筒を接着する。接着剤の乾燥後、表面から塗膜あるいは物質が剥離するまで、試験円筒を引っ張る。
【0007】
剥離を導く張力によって、付着破壊力と凝集破壊力が得られるのである。
【0008】
各検査場所での異なる結果が出るような場合にも、非特許文献1に基づいて、比較ができるように規格化されている。
【0009】
引張試験は、特許文献1に示されるような検査器でも付着力試験が行える。ここで発表されている装置は、コマのような形をしたもので、これで、試験円筒を引っ張り、その力を表示できる仕組みになっている。
【0010】
いずれにせよ、試験円筒は、検査対象の素地に接着される。
【0011】
その場合、試験円筒は平面な場所に接着されることが規定されている。つまり言い換えれば、検査の必要性が求められているにも関わらず、非特許文献1でも、特許文献1でも、変形性素地を検査対象にした検査規定は提示されていない。
試験円筒の型について述べられた部分を見ても、特許文献1の発明にコマの型が提示されているにも関わらず、それは引っ張るという手段から見た、掴み易さを保証するという点にとどめている。
【0012】
非特許文献1の検査方法を導入するにあたって、得られる試験結果の信頼性は、試験円筒の接着状態と、試験片の準備状態に深く関わりがあることが経験により明らかにされている。多くの場合、試験片の準備と接着状態は必ずしも満足できるものではなく、それは引張試験の正確な測定に支障をきたすことにもなる。
【0013】
まず最初に、試験片の表面に試験円筒を接着する際、接着剤の流動性が原因で、接着剤の膜厚を制御するのは難しい。特に難しいのは、試験円筒の底面である接着面と、引張試験のために用意された素地の間が、一様の厚みになるようにすることである。厚みが一定されていないと、試験円筒の側面が不安定になり、試験中、試験片の表面に対して垂直に張力が掛かるべきところ、その試験円筒の長軸に、ずれを生じることになる。実際に、わずかでも試験円筒の長軸が張力の方向に対してそれてしまったり、試験円筒と試験に使われる塗膜の間の接着剤の厚みが一様でなかったりすると、引張試験のとき測定される付着力にわずかながらもずれを生じさせる恐れがある。確率的な面で不確かな結果を出すばかりでな く、測定の意味が分散してしまう恐れがある。
【0014】
このような現象に真剣に取り組むには、通常、試験員は引張試験を繰り返し、活用できそうな平均的な測定値を求めて、たくさんの検査を行わなければならない。
【0015】
第二番目に、試験円筒を試験片に接着する際、試験円筒周辺に余分な接着剤が塊をなすという問題がある。試験の際、試験円筒を確実に接着するために、試験円筒に荷重を加えるが、その際、側面に溢れて流れた接着剤によって、接着剤の余分な塊ができるのである。試験の行程で、付着力検査の引張試験に使われる塗膜は、試験円筒周辺で切り取られることになっている。試験円筒に対して試験対象となる素地表面上に塗布された塗膜の付着した部分に限定し、引張試験のための張力を集中して掛けるためである。そのため塗膜が塗布された素地表面を、試験円筒周辺に合わせて切り取る。このとき余分な接着剤を除去する必要がある。試験片を準備する段階で固まってしまった余分な接着剤は、試験円筒そのものにとても大きな力を加えてしまう。固まった余分な接着剤を無理に剥がそうとする力で、試験片の表面でずれが起こり、たしかな試験結果が得られなくなったり、意味のない結果をもたらすことにもなる。そうすると改めて試験円筒を準備しなければならないという問題を引き起こしてしまう。
【特許文献1】米国特許第3821892号明細書
【非特許文献1】ISO 4642
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、独自の特徴を持つ試験円筒を使って試験片の準備を行うことにより、接着に関する問題や試験片の準備の際の問題を解決するものである。この特徴は、引張試験の手段、あるいは、既存の数値や既存の検査方法にも影響を与えない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によると、素地に塗布された付着力を測定する試験で、それに用いられる試験円筒は、長軸ならびに底面(接着面)を持つ。試験を行う前に、塗膜を塗布された素地表面に接着剤で試験円筒を固定する。この試験円筒の大きな特徴を挙げると、この底面が、素地に塗布された塗膜に、接着される部分だということである。また、試験に適する接着剤の厚みとほぼ同じ高さの、座ぐりが作られるが、これは、試験円筒を塗膜に固定するためであり、また、座ぐりの奥との距離を維持する要素である。そうすることで試験円筒の安定性を確保し、試験円筒の底面が塗膜の表面に接触する際、試験の対象となる塗装された面を決定し、垂直な軸を得ようとするものである。
【0018】
好ましい製作の工程で、座ぐりは正確に一定した深さを持つ。
【0019】
塗装した素地から切り出して試験片を確保する方法は、引張試験に使われる試験円筒の底面にある縁が目安となる。この縁は試験円筒底面の外周の位置である。
【0020】
また、距離を維持するもうひとつの方法として、引張試験に使われる試験円筒の底面に、くさびがついているものが挙げられる。くさびは試験円筒の底面の外周のところにある。くさびのついている試験円筒の底面は、塗膜を塗布した素地表面と触れ合う場所であり、試験円筒の固定位置を示している。
【0021】
どんな試験円筒の型でも、引張試験に使われる試験円筒の材質をそのまま使用し、座ぐりを工作する時に、距離を維持する要素も製作することができる。
【0022】
本発明を実践するにあたって、試験円筒は、塗膜の表面上に試験円筒の型を残すことにより、最終的に試験に採用する接着範囲の外に余分な接着剤を流し出すシステムを持つものとする。そうして余分な接着剤 は、試験片上の接着剤の膜厚に影響を及ぼすことなく、試験円筒の接着部分の外に流し出される。
【0023】
まず最初の応用例は、試験円筒の底面部分に、縁の外に自由に抜ける開口部を持ったものである。二番目の応用例は、くさびがついたものである。そして三番目の応用例は、試験円筒の外に吹き上がる、ひとつか複数の煙突状の開口部を持ったものである。少なくともひとつの開口部が試験円筒の外に出ることが好ましく、試験円筒の一部が、座ぐりの奥の上方に含まれる。開口部が少なくともひとつあれば、拡張スペースに抜けることもできる。
【0024】
本発明の実践方法がいかなるものであるにせよ、試験円筒の接着面は表面の状態が、ざらつくなどの不規則性を持つことが好ましい。試験円筒の接着面に接着剤が定着し易くなるように、意図的にこすったりして不規則な表面を作ったり、あるいは意図的にこすれた跡を残したりする。
【0025】
塗装を塗布した素地表面に試験円筒を固定する作業で、接着剤を素地一面に塗ることもまた、本発明に関わる。以下のような順番で行う。
a)接着剤の塗布は、試験円筒の底面ならびに(あるいは)塗膜の表面に行われるものとする。
b)接着剤が乾燥する前に、試験円筒の被着体上の設置定位置に、試験円筒を固定する。そして、接着剤を均等に伸ばすために、静荷重を掛けて適当な位置を決定する。
c)接着剤の乾燥を待つ。
d)試験円筒の周辺で被試験体に切り込みを入れる。
切り込みの特徴は以下のようになる。
e)試験円筒は1から13までの請求項に当てはまる。
f)b)の工程で掛ける圧力とは、距離を維持するために充分なものでよく塗膜の表面を押すことで掛かる圧力である。
g)試験円筒周辺の、塗膜を塗布した素地の表面にできる余分な接着剤の塊は、b)とc)の間の工程で固まる前に除去する。そして、硬化を防ぐために行われる接着剤を除去する作業の間、試験円筒がぐらつかないだけの適度な圧力を掛けて、硬化した接着剤の塊ができないようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この説明と図は、おもに軸対称の引張試験器に使われる試験円筒をあらわしている。この試験円筒のアセンブリの型式は実践しやすいこと と、プルオフ法である非特許文献1の規格に準拠しているということを理由に、かなり広く使われているタイプである。本発明の試験円筒は、どの引張試験機にも合う形をしており、塗膜を素面に塗った場合の付着力を調べるためのものにも、あるいは、資材に直接塗膜を塗り、凝集破壊力を調べるためのものにも、どれに対しても適用できる。
【0027】
試験円筒1は、底面1aを持つが、素地である試験片4上に一様に塗布される塗膜3の塗布面に、接着剤2を用いて接着される面となる。
【0028】
完全に制限された大きさを持つ塗膜3を塗布した素地に、張力Fを加えるために、塗膜3は試験円筒1の周辺で切り込み31によって切り取られる。この切り込みの目的は、被試験体の塗膜3にのみ張力が加えられるようにするためである。なお、指定された接着面外部分の塗膜3が、測定結果に関与することを防ごうとするものである。5の方法は試験円筒1周辺を、素地に向かって押す従来の方法であるが、これは、試験片4を引っ張る力Fとは逆の方向に力を加えて押さえるということである。
【0029】
接着された試験円筒1の長軸20が、塗膜3の塗布面に対して垂直になるようにするため、試験円筒1の底面1aに距離を維持する要素12と13を使用しつつ、また、座ぐりの奥の面11aを施すことで、試験円筒1と塗膜3の間の接着剤2の的確な厚みを確保する。距離を維持する要素である縁12とくさび13の大きさと設置位置は、試験円筒1次第で決められる。安定していて試験円筒1の長軸に垂直な塗膜3を塗布した表面上の、空いている場所に設置する。
【0030】
試験円筒の使用の仕方は図4aと図4bに示される。距離を維持する要素は、試験円筒1の底面1aの外周に沿って続く唇状の縁12のようなものである。唇状の縁12はできる限り薄いのが好ましい。塗膜された試験片の素地面から試験片として切り取られるのは、試験円筒1の外周によって画定される範囲である。接着され引張試験に使われるのは、試験円筒1の外周から、縁12の厚みを差し引いた面積である。引張試験を正しく行うために、接着面の的確な広さが必要であり、検査の結果に狂いが起こらないように、できるだけ縁の幅を薄くすることである。
【0031】
例えば、外周となる唇状の縁12を設ける際、アルミニウム合金または鋼鉄製の試験円筒1において、その縁が0.5ミリメートルの薄膜であれ ば、技術的に問題はない。非特許文献1の規格にある直径20ミリメートルの試験円筒で、接着面は0.25パーセント減少する。測定のばらつきの中でこのように偏差がみられるが、類似の検査ではよく見られることであり、計算の際に考慮されなければならない。
【0032】
距離を維持するための要素には、13のようなくさび型のものもある。図5aと図5bに見られるように、この仕掛けによって試験に適確な接着剤2の厚みが得られる。試験円筒が安定するために、くさび13の数は少なくとも3本とし、平行に並ぶ必要はないが、できるだけそれぞれの距離が離れていることが望ましい。さらに、くさび13の数が3本以上でもよく、試験円筒1の接着面の広さが塗膜3を塗布した素地面よりも小さいのであれば、どのような形でも構わない。
【0033】
距離を維持するための要素に唇状の縁12、くさび13あるいはそれらに相当するその他の手段を用いる場合、被試験体との接触面は確実に固定できること、そして、引張試験を実施する際、試験円筒の長軸20に対して、垂直に張力を与えることが可能なことである。例えば準備や加工や座ぐり11の時も同じであるが、距離を維持する縁12、くさび13と試験円筒1の材質次第と相性が良ければ、よい仕掛けを作ることができる。
【0034】
座ぐり11の奥の面11aは、被試験体に対して、きわめて正確な平行になっている。試験に使われる接着剤が均等で一様な厚みを得られるようにするためである。それにも関わらず、座ぐり11の奥の面11aは、たとえば座ぐりを工作する際の、道具が触れたことにより筋目ができたりし て、滑らかさがなくなってしまうこともあるが、このような跡をわざわざ残しておいたり、あるいは試験円筒上での接着剤の粘着力向上のために、意図的に表面を不規則な状態にすることもある。試験円筒1と接着剤2の付着力は、塗膜3と塗装された素地である試験片4の付着力よりも強くなければならない。
【0035】
このほか、試験円筒は、被試験体上、試験円筒1の接着工程で、接着剤2がまだ柔らかいうちに、余分な接着剤2を除去するための手段を備えることができる。
【0036】
このように図6で示されているこの唇状の縁12は、自由に抜ける開口部14によって縁の継続性が妨げられることになる。余分な接着剤は、開口部分の一カ所あるいは複数の通過口を、長さあるいは高さにそって抜けていくこととなる。
【0037】
またほかの方法であるが、図7、8、9に見られるように、一本か、あるいは複数の煙突状の開口部15、16を持つものである。試験機外に抜けているものと抜けていないものがある。唇上の縁12の内側、座ぐり11の奥11a、そして、円筒の接触面によって、限定された範囲内で、煙突状の開口部の底面が開いている。
【0038】
煙突状の開口部15、16は、試験円筒1の上方から、あるいは側面から、試験円筒1の外に向かって抜ける。
【0039】
煙突状の開口部15、16が外部に通じていない場合(ここでは具体的な改善策を図式化していない)、開口部15、16から接着剤が溢れ続けるように、ある程度の量を持たせること。この場合、接着剤の中に空気が残らないようにすること。煙突状の開口部15、16の底は見えないので、開口部15、16の中を接着剤が上って溢れ出るか確認するためである。
【0040】
付随的であるが、さらに接着剤2の量が多かった場合、余分な接着剤2が煙突状の開口部15、16の先から流れ出て、試験円筒から溢れ出ないよう、拡張スペース17が用意されている。
【0041】
試験円筒1と塗膜3の間に接着剤2を塗布したあと、まだ柔らかい接着剤2の塊を、全体に均等に拡げるために、適度な圧力を加えて、試験円筒1と検査を希望する部分の塗膜3が付着される。
【0042】
試験円筒1の脇から流れる接着剤2は、距離を維持する要素である12、13の手段によって固定され、試験円筒1の位置を動かすことなく、まだ乾燥していない接着剤2の塊21を、乾燥する前に速やかに拭き取られなければならない。そして接着剤の乾燥後、問題なく塗膜3に切り込み31を入れることが可能になる。
【0043】
試験円筒1が15、16のような煙突状の開口部を持っていた場合、開口部15、16を接着剤22が溢れ出てくる。そこに、拡張スペース17があれば、試験円筒1の接着面から流れて来る接着剤2を除去、あるいは制限することが可能である。
【0044】
試験円筒の外周に沿って続く唇状の縁12と、縦方向上方に抜ける煙突状の開口部16を使用し、非特許文献1の規格に準拠して行われる検査を行った際、10回以下の試験で信頼できる検査結果が得られる。被試験体の塗膜3を引き剥がす張力Fは、従来の試験円筒ならば、同じように信頼できる結果を得られるまでに、90回もの試験が必要であった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来の引張試験器に使われている試験円筒の設置法を示す図である。
【図2】他の従来の引張試験器に使われている試験円筒の設置法を示す図である。
【図3】さらに他の従来の引張試験器に使われている試験円筒の設置法を示す図である。
【図4a】引張試験器に使われる、縁を持った試験円筒の発明の断面図である。
【図4b】引張試験器に使われる、縁を持った試験円筒の発明の底面図である。
【図5a】引張試験器に使われる、くさびを持った試験円筒の発明の断面図である。
【図5b】引張試験器に使われる、くさびを持った試験円筒の発明の底面図である。
【図6】引張試験器に使われる、開閉の仕組みを持った試験円筒の発明の側面図である。
【図7】引張試験器に使われる、側方へ向かって抜ける煙突状の開口部を持った試験円筒の発明の断面図である。
【図8】引張試験器に使われる、上方に向かって縦に抜ける煙突状の開口部を持った試験円筒の発明の断面図である。
【図9】引張試験器に使われる、拡張した開口スペースを持った試験円筒の発明の断面図である。
【図10】試験片の上に設置された試験円筒を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 試験円筒
1a 底面(接着面)
2、22 接着剤
3 塗膜
4 試験片
11 座ぐり
11a 奥の面
12 縁縁(12)
13 くさび
14、15、16 開口部(要素)
17 拡張スペース
20 長軸
21 塊
31 切り込み
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンキ、基材の保護塗膜、接着剤、または被着体に直接貼られた粘着テープなどの付着力あるいは、その他広範囲の素地に対しての凝集破壊を測定する装置に関するものである。
【0002】
本発明は特に、付着力測定を要する基材表面に、試験円筒を接着し、プルオフ法に則った引張試験を試みる際、それに用いられる試験円筒の改善を目指したものである。
【背景技術】
【0003】
例えば基材に塗られたペンキなど、素地に塗布された塗膜の付着力あるいは、資材の表面の凝集破壊力を知ることは、工業分野において、大変重要な情報収集となる。なぜなら、将来的にその材質を使用するにあたり、ひとつの材質の状態を現場の環境に応じて見極めることであり、ま た、必要な材質の組み合わせを決定するにあたって、貴重な情報源となりうるからである。
【0004】
塗装された素地面での塗膜の付着力や、塗膜表面の凝集破壊力を測定する検査で、一般的によく用いられている方法は、素地に塗布した塗膜の試験片を使った剥離実験や、あるいは資材上に検査器具を直接設置して測定する方法である。
【0005】
規格に準拠した試験片を使用しての測定がよく行われるが、この規格はプロトコールに従って明確に指定されている。なぜなら、いろいろなタイプの塗膜と基材の組み合わせによる、付着力検査や比較が再現性を持たねばならないからである。
【0006】
このような測定の一般的な原則では、あらかじめ定められたアプリケーションの行程で、塗膜を一様に塗布した素地か、あるいは、素面処理の施された物質の試験片を用意し、検査規格に準拠した接着面に、硬質素材の試験円筒を接着する。接着剤の乾燥後、表面から塗膜あるいは物質が剥離するまで、試験円筒を引っ張る。
【0007】
剥離を導く張力によって、付着破壊力と凝集破壊力が得られるのである。
【0008】
各検査場所での異なる結果が出るような場合にも、非特許文献1に基づいて、比較ができるように規格化されている。
【0009】
引張試験は、特許文献1に示されるような検査器でも付着力試験が行える。ここで発表されている装置は、コマのような形をしたもので、これで、試験円筒を引っ張り、その力を表示できる仕組みになっている。
【0010】
いずれにせよ、試験円筒は、検査対象の素地に接着される。
【0011】
その場合、試験円筒は平面な場所に接着されることが規定されている。つまり言い換えれば、検査の必要性が求められているにも関わらず、非特許文献1でも、特許文献1でも、変形性素地を検査対象にした検査規定は提示されていない。
試験円筒の型について述べられた部分を見ても、特許文献1の発明にコマの型が提示されているにも関わらず、それは引っ張るという手段から見た、掴み易さを保証するという点にとどめている。
【0012】
非特許文献1の検査方法を導入するにあたって、得られる試験結果の信頼性は、試験円筒の接着状態と、試験片の準備状態に深く関わりがあることが経験により明らかにされている。多くの場合、試験片の準備と接着状態は必ずしも満足できるものではなく、それは引張試験の正確な測定に支障をきたすことにもなる。
【0013】
まず最初に、試験片の表面に試験円筒を接着する際、接着剤の流動性が原因で、接着剤の膜厚を制御するのは難しい。特に難しいのは、試験円筒の底面である接着面と、引張試験のために用意された素地の間が、一様の厚みになるようにすることである。厚みが一定されていないと、試験円筒の側面が不安定になり、試験中、試験片の表面に対して垂直に張力が掛かるべきところ、その試験円筒の長軸に、ずれを生じることになる。実際に、わずかでも試験円筒の長軸が張力の方向に対してそれてしまったり、試験円筒と試験に使われる塗膜の間の接着剤の厚みが一様でなかったりすると、引張試験のとき測定される付着力にわずかながらもずれを生じさせる恐れがある。確率的な面で不確かな結果を出すばかりでな く、測定の意味が分散してしまう恐れがある。
【0014】
このような現象に真剣に取り組むには、通常、試験員は引張試験を繰り返し、活用できそうな平均的な測定値を求めて、たくさんの検査を行わなければならない。
【0015】
第二番目に、試験円筒を試験片に接着する際、試験円筒周辺に余分な接着剤が塊をなすという問題がある。試験の際、試験円筒を確実に接着するために、試験円筒に荷重を加えるが、その際、側面に溢れて流れた接着剤によって、接着剤の余分な塊ができるのである。試験の行程で、付着力検査の引張試験に使われる塗膜は、試験円筒周辺で切り取られることになっている。試験円筒に対して試験対象となる素地表面上に塗布された塗膜の付着した部分に限定し、引張試験のための張力を集中して掛けるためである。そのため塗膜が塗布された素地表面を、試験円筒周辺に合わせて切り取る。このとき余分な接着剤を除去する必要がある。試験片を準備する段階で固まってしまった余分な接着剤は、試験円筒そのものにとても大きな力を加えてしまう。固まった余分な接着剤を無理に剥がそうとする力で、試験片の表面でずれが起こり、たしかな試験結果が得られなくなったり、意味のない結果をもたらすことにもなる。そうすると改めて試験円筒を準備しなければならないという問題を引き起こしてしまう。
【特許文献1】米国特許第3821892号明細書
【非特許文献1】ISO 4642
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、独自の特徴を持つ試験円筒を使って試験片の準備を行うことにより、接着に関する問題や試験片の準備の際の問題を解決するものである。この特徴は、引張試験の手段、あるいは、既存の数値や既存の検査方法にも影響を与えない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明によると、素地に塗布された付着力を測定する試験で、それに用いられる試験円筒は、長軸ならびに底面(接着面)を持つ。試験を行う前に、塗膜を塗布された素地表面に接着剤で試験円筒を固定する。この試験円筒の大きな特徴を挙げると、この底面が、素地に塗布された塗膜に、接着される部分だということである。また、試験に適する接着剤の厚みとほぼ同じ高さの、座ぐりが作られるが、これは、試験円筒を塗膜に固定するためであり、また、座ぐりの奥との距離を維持する要素である。そうすることで試験円筒の安定性を確保し、試験円筒の底面が塗膜の表面に接触する際、試験の対象となる塗装された面を決定し、垂直な軸を得ようとするものである。
【0018】
好ましい製作の工程で、座ぐりは正確に一定した深さを持つ。
【0019】
塗装した素地から切り出して試験片を確保する方法は、引張試験に使われる試験円筒の底面にある縁が目安となる。この縁は試験円筒底面の外周の位置である。
【0020】
また、距離を維持するもうひとつの方法として、引張試験に使われる試験円筒の底面に、くさびがついているものが挙げられる。くさびは試験円筒の底面の外周のところにある。くさびのついている試験円筒の底面は、塗膜を塗布した素地表面と触れ合う場所であり、試験円筒の固定位置を示している。
【0021】
どんな試験円筒の型でも、引張試験に使われる試験円筒の材質をそのまま使用し、座ぐりを工作する時に、距離を維持する要素も製作することができる。
【0022】
本発明を実践するにあたって、試験円筒は、塗膜の表面上に試験円筒の型を残すことにより、最終的に試験に採用する接着範囲の外に余分な接着剤を流し出すシステムを持つものとする。そうして余分な接着剤 は、試験片上の接着剤の膜厚に影響を及ぼすことなく、試験円筒の接着部分の外に流し出される。
【0023】
まず最初の応用例は、試験円筒の底面部分に、縁の外に自由に抜ける開口部を持ったものである。二番目の応用例は、くさびがついたものである。そして三番目の応用例は、試験円筒の外に吹き上がる、ひとつか複数の煙突状の開口部を持ったものである。少なくともひとつの開口部が試験円筒の外に出ることが好ましく、試験円筒の一部が、座ぐりの奥の上方に含まれる。開口部が少なくともひとつあれば、拡張スペースに抜けることもできる。
【0024】
本発明の実践方法がいかなるものであるにせよ、試験円筒の接着面は表面の状態が、ざらつくなどの不規則性を持つことが好ましい。試験円筒の接着面に接着剤が定着し易くなるように、意図的にこすったりして不規則な表面を作ったり、あるいは意図的にこすれた跡を残したりする。
【0025】
塗装を塗布した素地表面に試験円筒を固定する作業で、接着剤を素地一面に塗ることもまた、本発明に関わる。以下のような順番で行う。
a)接着剤の塗布は、試験円筒の底面ならびに(あるいは)塗膜の表面に行われるものとする。
b)接着剤が乾燥する前に、試験円筒の被着体上の設置定位置に、試験円筒を固定する。そして、接着剤を均等に伸ばすために、静荷重を掛けて適当な位置を決定する。
c)接着剤の乾燥を待つ。
d)試験円筒の周辺で被試験体に切り込みを入れる。
切り込みの特徴は以下のようになる。
e)試験円筒は1から13までの請求項に当てはまる。
f)b)の工程で掛ける圧力とは、距離を維持するために充分なものでよく塗膜の表面を押すことで掛かる圧力である。
g)試験円筒周辺の、塗膜を塗布した素地の表面にできる余分な接着剤の塊は、b)とc)の間の工程で固まる前に除去する。そして、硬化を防ぐために行われる接着剤を除去する作業の間、試験円筒がぐらつかないだけの適度な圧力を掛けて、硬化した接着剤の塊ができないようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
この説明と図は、おもに軸対称の引張試験器に使われる試験円筒をあらわしている。この試験円筒のアセンブリの型式は実践しやすいこと と、プルオフ法である非特許文献1の規格に準拠しているということを理由に、かなり広く使われているタイプである。本発明の試験円筒は、どの引張試験機にも合う形をしており、塗膜を素面に塗った場合の付着力を調べるためのものにも、あるいは、資材に直接塗膜を塗り、凝集破壊力を調べるためのものにも、どれに対しても適用できる。
【0027】
試験円筒1は、底面1aを持つが、素地である試験片4上に一様に塗布される塗膜3の塗布面に、接着剤2を用いて接着される面となる。
【0028】
完全に制限された大きさを持つ塗膜3を塗布した素地に、張力Fを加えるために、塗膜3は試験円筒1の周辺で切り込み31によって切り取られる。この切り込みの目的は、被試験体の塗膜3にのみ張力が加えられるようにするためである。なお、指定された接着面外部分の塗膜3が、測定結果に関与することを防ごうとするものである。5の方法は試験円筒1周辺を、素地に向かって押す従来の方法であるが、これは、試験片4を引っ張る力Fとは逆の方向に力を加えて押さえるということである。
【0029】
接着された試験円筒1の長軸20が、塗膜3の塗布面に対して垂直になるようにするため、試験円筒1の底面1aに距離を維持する要素12と13を使用しつつ、また、座ぐりの奥の面11aを施すことで、試験円筒1と塗膜3の間の接着剤2の的確な厚みを確保する。距離を維持する要素である縁12とくさび13の大きさと設置位置は、試験円筒1次第で決められる。安定していて試験円筒1の長軸に垂直な塗膜3を塗布した表面上の、空いている場所に設置する。
【0030】
試験円筒の使用の仕方は図4aと図4bに示される。距離を維持する要素は、試験円筒1の底面1aの外周に沿って続く唇状の縁12のようなものである。唇状の縁12はできる限り薄いのが好ましい。塗膜された試験片の素地面から試験片として切り取られるのは、試験円筒1の外周によって画定される範囲である。接着され引張試験に使われるのは、試験円筒1の外周から、縁12の厚みを差し引いた面積である。引張試験を正しく行うために、接着面の的確な広さが必要であり、検査の結果に狂いが起こらないように、できるだけ縁の幅を薄くすることである。
【0031】
例えば、外周となる唇状の縁12を設ける際、アルミニウム合金または鋼鉄製の試験円筒1において、その縁が0.5ミリメートルの薄膜であれ ば、技術的に問題はない。非特許文献1の規格にある直径20ミリメートルの試験円筒で、接着面は0.25パーセント減少する。測定のばらつきの中でこのように偏差がみられるが、類似の検査ではよく見られることであり、計算の際に考慮されなければならない。
【0032】
距離を維持するための要素には、13のようなくさび型のものもある。図5aと図5bに見られるように、この仕掛けによって試験に適確な接着剤2の厚みが得られる。試験円筒が安定するために、くさび13の数は少なくとも3本とし、平行に並ぶ必要はないが、できるだけそれぞれの距離が離れていることが望ましい。さらに、くさび13の数が3本以上でもよく、試験円筒1の接着面の広さが塗膜3を塗布した素地面よりも小さいのであれば、どのような形でも構わない。
【0033】
距離を維持するための要素に唇状の縁12、くさび13あるいはそれらに相当するその他の手段を用いる場合、被試験体との接触面は確実に固定できること、そして、引張試験を実施する際、試験円筒の長軸20に対して、垂直に張力を与えることが可能なことである。例えば準備や加工や座ぐり11の時も同じであるが、距離を維持する縁12、くさび13と試験円筒1の材質次第と相性が良ければ、よい仕掛けを作ることができる。
【0034】
座ぐり11の奥の面11aは、被試験体に対して、きわめて正確な平行になっている。試験に使われる接着剤が均等で一様な厚みを得られるようにするためである。それにも関わらず、座ぐり11の奥の面11aは、たとえば座ぐりを工作する際の、道具が触れたことにより筋目ができたりし て、滑らかさがなくなってしまうこともあるが、このような跡をわざわざ残しておいたり、あるいは試験円筒上での接着剤の粘着力向上のために、意図的に表面を不規則な状態にすることもある。試験円筒1と接着剤2の付着力は、塗膜3と塗装された素地である試験片4の付着力よりも強くなければならない。
【0035】
このほか、試験円筒は、被試験体上、試験円筒1の接着工程で、接着剤2がまだ柔らかいうちに、余分な接着剤2を除去するための手段を備えることができる。
【0036】
このように図6で示されているこの唇状の縁12は、自由に抜ける開口部14によって縁の継続性が妨げられることになる。余分な接着剤は、開口部分の一カ所あるいは複数の通過口を、長さあるいは高さにそって抜けていくこととなる。
【0037】
またほかの方法であるが、図7、8、9に見られるように、一本か、あるいは複数の煙突状の開口部15、16を持つものである。試験機外に抜けているものと抜けていないものがある。唇上の縁12の内側、座ぐり11の奥11a、そして、円筒の接触面によって、限定された範囲内で、煙突状の開口部の底面が開いている。
【0038】
煙突状の開口部15、16は、試験円筒1の上方から、あるいは側面から、試験円筒1の外に向かって抜ける。
【0039】
煙突状の開口部15、16が外部に通じていない場合(ここでは具体的な改善策を図式化していない)、開口部15、16から接着剤が溢れ続けるように、ある程度の量を持たせること。この場合、接着剤の中に空気が残らないようにすること。煙突状の開口部15、16の底は見えないので、開口部15、16の中を接着剤が上って溢れ出るか確認するためである。
【0040】
付随的であるが、さらに接着剤2の量が多かった場合、余分な接着剤2が煙突状の開口部15、16の先から流れ出て、試験円筒から溢れ出ないよう、拡張スペース17が用意されている。
【0041】
試験円筒1と塗膜3の間に接着剤2を塗布したあと、まだ柔らかい接着剤2の塊を、全体に均等に拡げるために、適度な圧力を加えて、試験円筒1と検査を希望する部分の塗膜3が付着される。
【0042】
試験円筒1の脇から流れる接着剤2は、距離を維持する要素である12、13の手段によって固定され、試験円筒1の位置を動かすことなく、まだ乾燥していない接着剤2の塊21を、乾燥する前に速やかに拭き取られなければならない。そして接着剤の乾燥後、問題なく塗膜3に切り込み31を入れることが可能になる。
【0043】
試験円筒1が15、16のような煙突状の開口部を持っていた場合、開口部15、16を接着剤22が溢れ出てくる。そこに、拡張スペース17があれば、試験円筒1の接着面から流れて来る接着剤2を除去、あるいは制限することが可能である。
【0044】
試験円筒の外周に沿って続く唇状の縁12と、縦方向上方に抜ける煙突状の開口部16を使用し、非特許文献1の規格に準拠して行われる検査を行った際、10回以下の試験で信頼できる検査結果が得られる。被試験体の塗膜3を引き剥がす張力Fは、従来の試験円筒ならば、同じように信頼できる結果を得られるまでに、90回もの試験が必要であった。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】従来の引張試験器に使われている試験円筒の設置法を示す図である。
【図2】他の従来の引張試験器に使われている試験円筒の設置法を示す図である。
【図3】さらに他の従来の引張試験器に使われている試験円筒の設置法を示す図である。
【図4a】引張試験器に使われる、縁を持った試験円筒の発明の断面図である。
【図4b】引張試験器に使われる、縁を持った試験円筒の発明の底面図である。
【図5a】引張試験器に使われる、くさびを持った試験円筒の発明の断面図である。
【図5b】引張試験器に使われる、くさびを持った試験円筒の発明の底面図である。
【図6】引張試験器に使われる、開閉の仕組みを持った試験円筒の発明の側面図である。
【図7】引張試験器に使われる、側方へ向かって抜ける煙突状の開口部を持った試験円筒の発明の断面図である。
【図8】引張試験器に使われる、上方に向かって縦に抜ける煙突状の開口部を持った試験円筒の発明の断面図である。
【図9】引張試験器に使われる、拡張した開口スペースを持った試験円筒の発明の断面図である。
【図10】試験片の上に設置された試験円筒を示す概略図である。
【符号の説明】
【0046】
1 試験円筒
1a 底面(接着面)
2、22 接着剤
3 塗膜
4 試験片
11 座ぐり
11a 奥の面
12 縁縁(12)
13 くさび
14、15、16 開口部(要素)
17 拡張スペース
20 長軸
21 塊
31 切り込み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験円筒(1)(以下、「試験円筒」という)が、塗膜(3)に接着されるための接着面(1a)で、引張力試験を行う前に、あらかじめ接着剤(2)によって塗膜(3)の表面に固定される付着力測定用の引張試験器の試験円筒(1)において、
一塗膜(3)に固定される試験円筒(1)は、接着剤(2)の厚みに等しい深さの座ぐり(11)を持ち、
−接着面(1a)と座ぐり(11)の奥の面(11a)は、引張力の試験円筒(1)を安定させるために距離を維持する要素(12、13)を持ち、塗膜(3)の表面と垂直になる軸(20)、試験円筒(1)の接着面(1a)は、塗膜の表面に接着されることを特徴とする付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項2】
座ぐり(11)がコンスタントな深さを持っていることを特徴とする請求項1記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項3】
試験円筒(1)の接着面(1a)に、距離を維持する要素である縁(12)がほどこされていることを特徴とする請求項1又は2記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項4】
試験円筒(1)の接着面(1a)に、距離を維持するためのくさび(13)がほどこされていることを特徴とする請求項1又は2記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項5】
試験円筒(1)の接着面(1a)の外周に、距離を維持するための要素(12、13)がほどこされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項6】
距離を維持するための要素(12、13)の接着面が、試験円筒(1)の長軸(20)に対して垂直な接触面を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項7】
座ぐり(11)の工作をする際、距離を維持するための要素(12、13)は、試験円筒(1)とそのまま同じ材質で製作できることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項8】
要素(14、15、16)の手段を持つ試験円筒(1)は、試験円筒(1)が塗膜(3)の上に型を残して画定された接着ゾーンの外に、余分な接着剤(2)が流れ出るようにすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項9】
余分な接着剤(2)を処理する方法を持つ試験円筒(1)は、ひとつかあるいは複数の自由に抜ける開口部(14)を持ち、それは試験円筒(1)の接着面(1a)を持つ縁(12)の部分に作られることを特徴とする請求項8記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項10】
余分な接着剤(2)を処理する方法を持つ試験円筒(1)は、くさび(13)の間に、ひとつかあるいは複数の自由に抜ける開口部(14)を持つことを特徴とする請求項8記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項11】
余分な接着剤(2)を処理する方法を持つ試験円筒(1)は、該試験円筒(1)を上に向かって抜けるひとつかあるいは複数の煙突状の開口部(15、16)を持つことを特徴とする請求項8記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項12】
煙突状の開口部(15、16)を持つ試験円筒(1)は、座ぐりの奥の面(11a)の上の、試験円筒の一部の中で、該試験円筒(1)の外に向かって抜けることを特徴とする請求項11記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項13】
煙突状の開口部(15、16)のうちのひとつは、拡張スペース(17)に抜けることを特徴とする請求項11又は12記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項14】
座ぐり(11)の奥の面(11a)は、規則的な表面ではなく、このことにより接着剤(2)の粘着性向上をもたらすことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項15】
引張力の試験円筒(1)と、塗膜(3)を塗られた試験片(4)の表面を接着剤(2)によって付着させる方法であって、
−a)試験円筒の接着面(1a)ならびに/または、塗膜(3)の表面に接着剤(2)を塗布し、
−b)接着剤(2)が乾燥する前に試験円筒(1)の位置と、塗膜(3)の表面の検査に都合のよい位置を見つけ、接着剤(2)が均等に広がるように適度な圧力をかけ、
−c)接着剤(2)が乾燥するのを待ち、
−d)試験円筒(1)の外周に、塗膜(3)に切り込み(31)を入れる方法において、
−e)試験円筒(1)は、請求項1〜14の規定の通り、
−f)b)の工程でかける圧力は、塗膜(3)の表面を軽く押さえ て、距離を維持する方法(12、13)に効果が出るようにし、
−g)もし余分な接着剤(2)が塗膜(3)の表面の、試験円筒(1)の周りに、塊(21)を作りながら流れ出た場合には、b)とc)の間で接着剤(2)が乾燥する前に処分し、かつ、試験円筒(1)が動かないように、余分な接着剤(2)を処分する間、試験円筒(1)を固定し、乾燥した接着剤が塊(21)になるのを防ぐためであることを特徴とする試験片(4)の表面を接着剤(2)によって付着させる方法。
【請求項1】
試験円筒(1)(以下、「試験円筒」という)が、塗膜(3)に接着されるための接着面(1a)で、引張力試験を行う前に、あらかじめ接着剤(2)によって塗膜(3)の表面に固定される付着力測定用の引張試験器の試験円筒(1)において、
一塗膜(3)に固定される試験円筒(1)は、接着剤(2)の厚みに等しい深さの座ぐり(11)を持ち、
−接着面(1a)と座ぐり(11)の奥の面(11a)は、引張力の試験円筒(1)を安定させるために距離を維持する要素(12、13)を持ち、塗膜(3)の表面と垂直になる軸(20)、試験円筒(1)の接着面(1a)は、塗膜の表面に接着されることを特徴とする付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項2】
座ぐり(11)がコンスタントな深さを持っていることを特徴とする請求項1記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項3】
試験円筒(1)の接着面(1a)に、距離を維持する要素である縁(12)がほどこされていることを特徴とする請求項1又は2記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項4】
試験円筒(1)の接着面(1a)に、距離を維持するためのくさび(13)がほどこされていることを特徴とする請求項1又は2記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項5】
試験円筒(1)の接着面(1a)の外周に、距離を維持するための要素(12、13)がほどこされていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項6】
距離を維持するための要素(12、13)の接着面が、試験円筒(1)の長軸(20)に対して垂直な接触面を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項7】
座ぐり(11)の工作をする際、距離を維持するための要素(12、13)は、試験円筒(1)とそのまま同じ材質で製作できることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項8】
要素(14、15、16)の手段を持つ試験円筒(1)は、試験円筒(1)が塗膜(3)の上に型を残して画定された接着ゾーンの外に、余分な接着剤(2)が流れ出るようにすることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項9】
余分な接着剤(2)を処理する方法を持つ試験円筒(1)は、ひとつかあるいは複数の自由に抜ける開口部(14)を持ち、それは試験円筒(1)の接着面(1a)を持つ縁(12)の部分に作られることを特徴とする請求項8記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項10】
余分な接着剤(2)を処理する方法を持つ試験円筒(1)は、くさび(13)の間に、ひとつかあるいは複数の自由に抜ける開口部(14)を持つことを特徴とする請求項8記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項11】
余分な接着剤(2)を処理する方法を持つ試験円筒(1)は、該試験円筒(1)を上に向かって抜けるひとつかあるいは複数の煙突状の開口部(15、16)を持つことを特徴とする請求項8記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項12】
煙突状の開口部(15、16)を持つ試験円筒(1)は、座ぐりの奥の面(11a)の上の、試験円筒の一部の中で、該試験円筒(1)の外に向かって抜けることを特徴とする請求項11記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項13】
煙突状の開口部(15、16)のうちのひとつは、拡張スペース(17)に抜けることを特徴とする請求項11又は12記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項14】
座ぐり(11)の奥の面(11a)は、規則的な表面ではなく、このことにより接着剤(2)の粘着性向上をもたらすことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項記載の付着力測定用引張試験器の試験円筒(1)。
【請求項15】
引張力の試験円筒(1)と、塗膜(3)を塗られた試験片(4)の表面を接着剤(2)によって付着させる方法であって、
−a)試験円筒の接着面(1a)ならびに/または、塗膜(3)の表面に接着剤(2)を塗布し、
−b)接着剤(2)が乾燥する前に試験円筒(1)の位置と、塗膜(3)の表面の検査に都合のよい位置を見つけ、接着剤(2)が均等に広がるように適度な圧力をかけ、
−c)接着剤(2)が乾燥するのを待ち、
−d)試験円筒(1)の外周に、塗膜(3)に切り込み(31)を入れる方法において、
−e)試験円筒(1)は、請求項1〜14の規定の通り、
−f)b)の工程でかける圧力は、塗膜(3)の表面を軽く押さえ て、距離を維持する方法(12、13)に効果が出るようにし、
−g)もし余分な接着剤(2)が塗膜(3)の表面の、試験円筒(1)の周りに、塊(21)を作りながら流れ出た場合には、b)とc)の間で接着剤(2)が乾燥する前に処分し、かつ、試験円筒(1)が動かないように、余分な接着剤(2)を処分する間、試験円筒(1)を固定し、乾燥した接着剤が塊(21)になるのを防ぐためであることを特徴とする試験片(4)の表面を接着剤(2)によって付着させる方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5a】
【図5b】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2009−517629(P2009−517629A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−532775(P2008−532775)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066803
【国際公開番号】WO2007/036541
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【国際出願番号】PCT/EP2006/066803
【国際公開番号】WO2007/036541
【国際公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【出願人】(501446228)エアバス・フランス (93)
【Fターム(参考)】
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