説明

試験装置及び試験方法

【課題】半導体装置に安定して応力を加えることができ、応力が加えられた半導体装置を容易に確認できる。
【解決手段】基板1gの主面に配置された半導体装置Xの曲げ試験を行う試験装置10は、基板1gの主面の反対側の裏面に対向配置された凸状表面を有する押し駒4と、基板1gを押し駒4側に移動させて、裏面を押し駒4に当接させる当接手段1と、を有する。このような試験装置10では、半導体装置Xに安定して応力を加えることができ、応力が加えられた半導体装置Xを容易に確認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は試験装置及び試験方法に関し、特に、半導体装置の曲げ試験を行う試験装置及び試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子部品が搭載されたプリント基板に対して曲げ応力を加えて、その時の電子部品の損傷状態を調べる曲げ試験が行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
以下に、曲げ試験を行う試験装置について図面を参照しながら説明する。
【0003】
図3は、半導体装置の曲げ試験を行う試験装置を説明するための図である。
試験装置20は、半導体装置Xが配置された基板14が押圧手段11によって押圧されて、半導体装置Xの曲げ試験を行う。また、半導体装置Xが配置された基板14は、所定箇所の表裏面が上部基板押え15a及び下部基板押え15bによりそれぞれ挟まれて固定されて、台座部12に対向配置して、側板13に囲われている。
【0004】
なお、押圧手段11は、シリンダ11aと、シリンダ11aに嵌通した押圧軸11bと、押圧軸11bの先端部に設置された押し駒11cとを備える。
次に、試験装置20による曲げ試験について説明する。
【0005】
まず、上部基板押え15a及び下部基板押え15bに挟まれて固定された基板14の裏面(図3中基板14の下面)側に半導体装置Xを配置する。
押圧手段11のシリンダ11aを駆動させて、押圧軸11bを降下させることにより、押し駒11cが表面(図3中基板14の上面)側から基板14を押圧する。押圧された基板14は歪曲して、半導体装置Xに応力が加えられる。半導体装置Xに加える応力はシリンダ11aによって制御される。
【0006】
このようにして応力が加えられた半導体装置Xが観察されることにより曲げ試験が行われる。なお、曲げ試験が終了すると、シリンダ11aにより押圧軸11bを上昇させて、押し駒11cを基板14の表面から退避させる。この時、基板14も自身の弾性力により、元の状態に戻る。
【特許文献1】特開平10−318896号公報
【特許文献2】特開2003−65920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記試験装置20には次のような問題点があった。
まず、基板14に対する押し駒11cの押圧力が所定量よりも大きくなると、押しこみ位置が試験の経過につれてずれてしまうことがある。特に、上記の例及び特許文献1等のように、押し駒11cが押圧される基板14を、上部基板押え15a及び下部基板押え15bで表裏面を挟んで支持すると押しこみ位置のずれが生じやすい。このため、基板14の所望の押しこみ位置を繰り返し押し続けたかを確認することができない。また、所望の押しこみ位置での応力による影響を正確に把握できない。
【0008】
また、上記の例及び特許文献2等のように、半導体装置Xが基板14の裏面に配置されていると、基板14の表面側から押圧した際の、半導体装置Xの挙動、破損開始状態及び破損経過等を即座に観察することができず、詳細な解析を行うこともできない。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、半導体装置に安定して応力を加えることができ、応力が加えられた半導体装置を容易に確認することができる試験装置及び試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、基板の主面に配置された半導体装置の曲げ試験を行う試験装置が提供される。
この試験装置は、前記基板の前記主面の反対側の裏面に対向配置された凸状表面を有する押圧部と、前記基板を前記押圧部側に移動させて、前記裏面を前記押圧部に当接させる当接手段と、を有する。
【0011】
このような試験装置によれば、基板の主面の反対側の裏面に凸状表面を有する押圧部が対向配置されて、基板を押圧部側に移動させて、当接手段によって裏面が押圧部に当接させられるようになる。
【0012】
上記目的を達成するために、半導体装置が主面に配置された基板の曲げ試験の試験方法が提供される。
この試験方法は、前記基板の前記主面の反対側の裏面に対向配置された凸状表面を有する押圧部側に前記基板を移動させて、前記裏面を前記押圧部に当接させる。
【0013】
このような試験方法によれば、基板の主面の反対側の裏面に対向配置された凸状表面を有する押圧部側に基板が移動させられて、裏面が押圧部に当接させられるようになる。
【発明の効果】
【0014】
上記試験装置及び試験方法では、半導体装置に安定して応力を加えることができ、応力が加えられた半導体装置を容易に確認できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施の形態における半導体装置の曲げ試験を行う試験装置を説明するための図である。
【0016】
試験装置10は、試験対象の半導体装置Xが配置された当接手段1と、当接手段1に対向配置された台座部2と、台座部2にスペーサ3を介して配置された押し駒4(押圧部)とを備えている。なお、押し駒4は凸状表面を有する部材により構成される。押し駒4は、例えば、金属等のある程度の硬度を有する材質が適用される。さらに、押し駒4は、凸状表面を有する様々な大きさの部材が適用される。このため、後述するように基板1gを押し駒4が押圧する際の圧力を変化させることが可能となる。
【0017】
さらに、当接手段1は、シリンダ1aと、シリンダ1aに嵌通し、シリンダ1aの駆動により上下動する当接軸1bと、当接軸1bの先端部に設置された支持板1cと、支持板1cに配置された一対の狭持部1dと、狭持部1dに配置された調整軸1eと、つまみ1fと、を備える。なお、シリンダ1aは、例えば、油圧、空気圧又は電気式のモータによって当接軸1bを上下動させる。また、シリンダ1aは、例えば、図示しない制御装置と接続させて、シリンダ1aによる当接軸1bの動作の早さ及び動作範囲等が制御される。また、狭持部1dは、図1の紙面垂直方向に延びる板状であって、切欠き部1daが狭持部1dに沿って紙面垂直方向に形成されている。調整軸1eとつまみ1fは、一対の狭持部1dの間隔を調整するものである。なお、本実施の形態では、支持板1cの一対の狭持部1dが配置されていない対向する辺側には、図1に示すように、何も配置されておらず、基板1gに配置された半導体装置Xを、例えば目視により観察することができる。
【0018】
また、当接手段1に配置された基板1gの枠部の両側が狭持部1dの切欠き部1daに嵌合し狭持されて固定されている。試験対象となる半導体装置Xは基板1gの表面(図1中基板1gの上面)に配置されている。なお、切欠き部1daは、後述するように押圧された基板1gが歪曲するように、シリンダ1a側に広がっており、歪曲した基板1gが沿うように傾斜を有する切欠きである。
【0019】
次に、上記試験装置10を用いた半導体装置Xの曲げ試験について説明する。
図2は、実施の形態における試験装置によって半導体装置が曲げられた状態を説明するための図である。
【0020】
まず、当接手段1の狭持部1dに狭持されている基板1gの表面の所定箇所に、試験対象となる半導体装置Xを配置する。また、調整軸1eは狭持部1dに螺合されており、つまみ1fとともに調整軸1eを回転させて、狭持部1dが基板1gをしっかりと狭持するようにする。
【0021】
図示しない位置調整機構により台座部2および台座部2上のスペーサ3と押し駒4を移動させて、半導体装置Xの所望の押圧位置に押し駒4が重なるよう押し駒4の位置を調整する。例えば、押圧位置を半導体装置Xの中心部とすれば、図1に示すように、半導体装置Xを押し駒4と重なるように調整する。
【0022】
シリンダ1aを駆動させて、当接軸1bを介して支持板1cを下降(図2中下方向に移動)させて、狭持部1dに狭持させた基板1gの裏面(図2中基板1gの下面)を押し駒4に当接させる。この時、基板1gの裏面が押し駒4から押圧されることにより、半導体装置Xに応力が加えられる(図2)。
【0023】
基板1gは、狭持部1dにより両側が狭持されているために、裏面から押し駒4により押圧されても、ほとんどずれることはない。このため、継続して押圧される半導体装置Xの押圧位置を確認できるようになる。また、応力を受けた半導体装置Xに生じる影響を正確に把握できるようになる。さらに、半導体装置Xが基板1gの上面に配置していることもあり、半導体装置Xの挙動、破損開始状態及び破損経過等を即座に、且つ容易に観察することができ、詳細な解析を行うことができるようになる。
【0024】
観察が終了すると、シリンダ1aの駆動により、当接軸1bを介して半導体装置Xが配置された基板1gを押し駒4から退避させると、基板1gは自身の弾性により図1に示した状態に戻る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施の形態における半導体装置の曲げ試験を行う試験装置を説明するための図である。
【図2】実施の形態における試験装置によって半導体装置が曲げられた状態を説明するための図である。
【図3】半導体装置の曲げ試験を行う試験装置を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
1 当接手段
1a シリンダ
1b 当接軸
1c 支持板
1d 狭持部
1da 切欠き部
1e 調整軸
1f つまみ
1g 基板
2 台座部
3 スペーサ
4 押し駒
10 試験装置
X 半導体装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の主面に配置された半導体装置の曲げ試験を行う試験装置において、
前記基板の前記主面の反対側の裏面に対向配置された凸状表面を有する押圧部と、
前記基板を前記押圧部側に移動させて、前記裏面を前記押圧部に当接させる当接手段と、
を有することを特徴とする試験装置。
【請求項2】
前記当接手段は前記基板の枠部を少なくとも両側から狭持する狭持部を備え、
前記基板は前記狭持部により狭持された状態で前記押圧部に当接させられることを特徴とする請求項1記載の試験装置。
【請求項3】
半導体装置が主面に配置された基板の曲げ試験の試験方法において、
前記基板の前記主面の反対側の裏面に対向配置された凸状表面を有する押圧部側に前記基板を移動させて、前記裏面を前記押圧部に当接させることを特徴とする試験方法。
【請求項4】
前記基板は前記基板の枠部を少なくとも両側から狭持された状態で前記押圧部に当接させられることを特徴とする請求項3記載の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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