説明

詰め替え容器

【課題】繰り返し使用容器に対して、内容物を補充する詰め替え容器を前提として、詰め替え操作が容易かつ迅速で、しかも内容物をこぼすことなく補充できる詰め替え容器を提供すること。
【解決手段】繰り返し使用容器2として、注出ノズル221と、この注出ノズルの周囲に内容物戻し用流路222を介して設けられた周壁223とを備えるものに適用する。内容物を収納した詰め替え容器本体と、この詰め替え容器本体の一部に配置され、前記注出ノズルを挿通させる筒状充填部と、この筒状充填部を封止し、前記注出ノズルの先端によって破断される封止部材と、前記筒状充填部を覆うオーバーキャップとを備えて構成され、
前記オーバーキャップは、筒状の側壁と、前記側壁から取り外し可能な天板とで構成され、かつ、前記側壁の高さ(A)と筒状の充填部の高さ(B)は、A>Bの関係を満たす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどの食品の詰め替え容器に関し、詰め替え操作の容易な詰め替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液体洗剤などの容器は、洗剤を使用する時にその都度適切な量を計量して取り出す必要があるため、軽量カップに注ぎやすいように、注出口にノズルを備えた剛性のあるプラスチック容器が、繰り返し使用容器として用いられている。この容器に対して、内容物を補充するための詰め替え用の容器としては、軟包装フィルムからなる柔軟な容器に、注出口を形成した容器や、口栓を取付けた容器が一般的に使用されている。
これら繰り返し使用する剛性の容器は、もっぱら注出し易いように設計されているため、繰り返し使用する容器に対して、詰め替え容器から内容物を補充する詰め替え操作の利便性を考慮したものでは、必ずしもなかった。
【0003】
繰り返し使用する容器に設けられたノズルを利用して、詰め替え容器の開封を行うことができ、さらに詰め替え中に、詰め替え容器が自立するために、手で保持しなくてもよい詰め替え容器が提案されている。この詰め替え容器は、詰め替え容器本体に固定する固定部材と、繰り返し使用容器の開口部にねじ止めして連結される結合部材と、これら固定部材と結合部材との間に配置された容器密封部材とを備えたものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−99082号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この手放し詰め替え容器は、容器密封部材を固定部材と結合部材との間に配置にするため、固定部材と結合部材とを別部品として製造した後組み合わせなければならず、その部品点数が増加し、また、製造工程も増加するという問題があった。
また、この詰め替え容器は、繰り返し使用容器の開口部にねじ止めして連結することから、その詰め替え作業の際にねじを回す必要があって消費者にとって必ずしも簡便とはいえなかった。
【0006】
本発明は、繰り返し使用容器が、一般に、注出ノズルと、この注出ノズルの周囲に内容物戻し用流路を介して設けられた周壁とを備えることに着目し、この注出ノズルと内容物戻し用流路と周壁とを利用することにより、詰め替え操作が容易かつ迅速で、しかも内容物をこぼすことなく補充できる詰め替え容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、請求項1に記載の発明は、注出ノズルと、この注出ノズルの周囲に内容物戻し用流路を介して設けられた周壁とを備える繰り返し使用容器に対して、内容物を補充する詰め替え容器において、
内容物を収納した詰め替え容器本体と、この詰め替え容器本体の一部に配置され、前記注出ノズルを挿通させる筒状充填部と、この筒状充填部を封止し、前記注出ノズルの先端によって破断される封止部材と、前記筒状充填部を覆うオーバーキャップとを備えて構成され、
前記オーバーキャップは、筒状の側壁と、前記側壁から取り外し可能な天板とで構成され、かつ、前記側壁の高さ(A)と筒状の充填部の高さ(B)は、A>Bの関係を満たすことを特徴とする詰め替え容器である。
【0008】
この発明によれば、内容物の詰め替えに当たって、まず、詰め替え容器のオーバーキャップの構成部材である天板を取り外し、次に、詰め替え容器を倒立させ、詰め替え容器の封止部材に繰り返し使用容器の注出ノズルの先端を挿通させ、この封止部材を破断することにより、詰め替え容器を開封する。そして、詰め替え容器内の内容物は、筒状充填部とオーバーキャップの側壁を順次通過して流出する。
【0009】
ここで、オーバーキャップの側壁の高さ(A)と筒状の充填部の高さ(B)はA>Bの関係を満たしている。つまり、封止部材はオーバーキャップの側壁に囲まれるように配置している。封止部材の破断時に、内容物が放射状に飛散したとしても、オーバーキャップの側壁は防護壁として内容物の飛散を防ぐことができる。さらに、オーバーキャップの側壁は、注出ノズルを封止部材へ案内するガイド部材の役割を果たすものである。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記側壁の高さ(A)と筒状充填部の高さ(B)と注出ノズルの高さ(C)と周壁の高さ(D)が、
C>(A−B)≧(C−D)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の詰め替え容器である。
【0011】
一般的に、繰り返し使用容器の注出ノズルは、その周辺に配置された周壁よりも突出するように、つまり、注出ノズルの高さ(C)と周壁の高さ(D)が、C>Dの関係を満たすように形成されている。
このような繰り返し使用容器に対して詰め替えを行う際、側壁の高さ(A)と筒状の充填部の高さ(B)と注出ノズルの高さ(C)と周壁の高さ(D)は、
C>(A−B)≧(C−D)の関係を満たしていることが好ましい。
【0012】
C>(A−B)の関係を満たすことで、注出ノズルの先端によって封止部材を確実に破断することができる。また、(A−B)≧(C−D)の関係を満たすことで、繰り返し使用容器の周壁と詰め替え容器のオーバーキャップの側壁に囲まれた空間内で、封止部材は注出ノズルの先端によって破断されるため、内容物の飛散を防止することができる。
【0013】
次に、請求項3に記載の発明は、前記筒状充填部が詰め替え容器本体の一部であることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え容器である。
【0014】
詰め替え容器本体の成形の際に筒状充填部を一体に成形することができる。例えば、詰め替え容器本体がプラスチック製ブローボトルの場合、その口頸部を筒状充填部として利用することができる。
【0015】
また、請求項4に記載の発明は、前記筒状充填部が詰め替え容器本体に固定された口栓の一部であることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え容器である。
【0016】
例えば、詰め替え容器本体が紙を主体とする紙製容器やパウチの場合、これら紙製容器やパウチとは別に口栓を製造し、その一部に固定して詰め替え容器とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、詰め替え容器を倒立させてオーバーキャップの側壁及び筒状充填部に繰り返し使用容器の注出ノズルを挿通させるという簡便な作業によって、繰り返し使用容器に内容物の補充をすることができる。しかも、封止部材はオーバーキャップの側壁に囲まれるように配置しているため、内容物をこぼすことなく補充することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る詰め替え容器の要部断面図
【図2】繰り返し使用容器の縦断面図
【図3】補充の方法を示す説明用要部断面図
【図4】補充の方法を示す説明用要部断面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る詰め替え容器1の要部断面図である。但し、中央の一点鎖線の右側はオーバーキャップ13の天板11を被せた状態、左側はこのオーバーキャップ13の天板11を取り外して封止部材14を露出させた状態を示している。
【0020】
この例では、詰め替え容器本体16としてプラスチック製ブローボトルを利用している。このブローボトルの材質としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレンなどでよい。そして、その口頸部を筒状充填部15とし、その開口部に封止部材14を接着して塞いでいる。なお、このブローボトル16の内部には、図示しない内容物が収容されている。内容物としては液状あるいは粉末状のものが好ましく、例えば、液体洗剤、柔軟剤などのトイレタリー用品や、食用油、インスタントコーヒーなどである。
また、詰め替え容器本体7としては、プラスチック製のブローボトルの他、軟包装袋や紙容器等を使用することができる。
【0021】
オーバーキャップ13は、筒状の側壁12と、側壁12から取り外し可能な天板11とで構成されている。図1では、筒状充填部15の外周には雄ねじが設けてあり、オーバーキャップ13の側壁12内周に設けた雌ねじと螺合するようになっているが、筒状充填部15とオーバーキャップ13との接合方式は、ネジ式であっても嵌め込み式であってもよく、これに限定されるものではない。
なお、オーバーキャップ13は、不純物の混入を防止し、また、露出することによる封止部材の破断を防ぐためのものである。
【0022】
天板11は、筒状の側壁12から取り外し可能な部材であり、側壁12上部の開口部分を塞ぐものであればよい。例えば、図1に示すように、嵌め込み式の結合部材を用いることができるが、これに限定されるものではなく、ネジ式であってもよい。また、天板11としてシュリンクフィルムを用いてもよい。
【0023】
封止部材14は、筒状充填部15を封止するものであり、剛性容器の注出用ノズルによって容易に破断するように、脆弱な材質のものを使用する。例えば、表裏両面にポリエチレンフィルムをラミネートしたアルミニウム箔などを使用することができる。特に、ガスバリア性を必要としない場合には、単体のポリエチレンフィルム等でも良い。このような封止部材は、接着剤を使用して筒状充填部6に接着することができる。また、ヒートシールによって接着することも可能である。
【0024】
次に、図2は繰り返し使用容器の縦断面図を示すものである。
【0025】
図2に示す繰り返し使用容器2はプラスチック製ブローボトル21からなり、その開口部にノズルキャップ22が装着されている。ノズルキャップ22は、その中央部に注出ノズル221が起立している。このノズルキャップ22は、中央に起立した注出ノズル221の周囲を内容物戻し用流路222が囲んでおり、更にその周囲を周壁223が囲んでいる。こうして注出ノズル221と周壁223に挟まれた内容物戻し用流路222は、その下流がスリットに連通している。なお、ブローボトル21を傾けて内容物を注出する際、周壁223が注出作業を妨害することがないように、その高さは注出ノズル221より低く構成されている。
【0026】
なお、図示していないが、ブローボトル21は、ノズルキャップ22を覆うキャップを備えている。ブローボトル21内部に外部から不純物が混入することを防ぐものである。また、転倒した際に内容物がこぼれることを防止する機能を併せ持つこともある。また、一般に、ブローボトル21からこのキャップの内部に注出することにより、その量を計量する計量カップの役割を担っていることが通常である。
【0027】
内容物の詰め替えに当たって、まず、繰り返し使用容器2の注出ノズル221を天板を取り外した側壁12内に挿入し(図3)、次に、注出ノズル221の先端を詰め替え容器挿入方向42へ押し込み、封止部材14に挿通・破断する(図4)。破断した封止部材41からは、内容物が流出するが、内容物は重力方向のみに流出するものではなく、思わぬ方向に飛散することがある。オーバーキャップ13の側壁12の高さ(A)と筒状充填部15の高さ(B)が、A≦Bである場合、思わぬ方向に飛散した内容物は繰り返し使用容器の周壁223外にこぼれてしまうことがある。
【0028】
本発明では、オーバーキャップ13の側壁12の高さ(A)と筒状充填部15の高さ(B)はA>Bの関係を満たしている。つまり、封止部材14はオーバーキャップ13の側壁12に囲まれるように配置している。これにより、内容物が思わぬ方向に飛散したとしても、オーバーキャッ13プの側壁12は防護壁として内容物の飛散を防ぐことができる。さらに、オーバーキャップ13の側壁12は、注出ノズル221を封止部材14へ案内するガイド部材の役割を果たすものである。
【0029】
ここで、側壁12の高さ(A)とは、側壁12の下端から上端までの距離をいい、筒状充填部15の高さ(B)とは、側壁12の下端から筒状充填部15の上端(封止部材14を配置した位置)までの距離をいう。
【0030】
また、一般的に、繰り返し使用容器2の注出ノズル221は、その周辺に配置された周壁223よりも突出するように、つまり、注出ノズル221の高さ(C)と周壁223の高さ(D)が、C>Dの関係を満たすように形成されている。
【0031】
このような繰り返し使用容器2に対して詰め替えを行う際、側壁12の高さ(A)と筒状充填部15の高さ(B)と注出ノズル221の高さ(C)と周壁223の高さ(D)は、
C>(A−B)≧(C−D)の関係を満たしていることが好ましい。
【0032】
C>(A−B)の関係を満たすことで、注出ノズル221の先端によって封止部材14を確実に破断することができる。また、(A−B)≧(C−D)の関係を満たすことで、繰り返し使用容器2の周壁223と詰め替え容器1のオーバーキャップ13の側壁12に囲まれた空間内で、封止部材14は注出ノズル221の先端によって破断されるため、内容物の飛散を防止することができる。
【0033】
ここで、注出ノズル221の高さ(C)とは、注出ノズル221の下端から上端までの距離をいい、周壁223の高さ(D)とは、注出ノズル221の下端から周壁223の上端までの距離をいう。
【0034】
また、本発明では、筒状充填部が詰め替え容器本体の一部であっても、筒状充填部が詰め替え容器本体に固定された口栓の一部であってもよい。
【0035】
筒状充填部が詰め替え容器本体の一部である場合、詰め替え容器本体の成形の際に筒状充填部を一体に成形することができる。例えば、詰め替え容器本体がプラスチック製ブローボトルの場合、その口頸部を筒状充填部として利用することができる。
【0036】
また、筒状充填部が詰め替え容器本体に固定された口栓の一部である場合、図示していないが、例えば、詰め替え容器本体が紙を主体とする紙製容器やパウチの際、これら紙製容器やパウチとは別に口栓を製造し、その一部に固定して詰め替え容器とすることができる。
【符号の説明】
【0037】
1 詰め替え容器
11 天板
12 側壁
13 オーバーキャップ
14 封止部材
15 筒状充填部
16 詰め替え容器本体
2 繰り返し使用容器
21 繰り返し使用容器本体(プラスチック製ブローボトル)
22 ノズルキャップ
221 注出ノズル
222 内容物戻し用流路
223 周壁
41 破断した封止部材
42 詰め替え容器挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出ノズルと、この注出ノズルの周囲に内容物戻し用流路を介して設けられた周壁とを備える繰り返し使用容器に対して、内容物を補充する詰め替え容器において、
内容物を収納した詰め替え容器本体と、この詰め替え容器本体の一部に配置され、前記注出ノズルを挿通させる筒状充填部と、この筒状充填部を封止し、前記注出ノズルの先端によって破断される封止部材と、前記筒状充填部を覆うオーバーキャップとを備えて構成され、
前記オーバーキャップは、筒状の側壁と、前記側壁から取り外し可能な天板とで構成され、かつ、前記側壁の高さ(A)と筒状充填部の高さ(B)は、A>Bの関係を満たすことを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
前記側壁の高さ(A)と筒状充填部の高さ(B)と注出ノズルCの高さ(C)と周壁の高さ(D)は、
C>(A−B)≧(C−D)の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の詰め替え容器。
【請求項3】
前記筒状充填部が詰め替え容器本体の一部であることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え容器。
【請求項4】
前記筒状充填部が詰め替え容器本体に固定された口栓の一部であることを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−6114(P2011−6114A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−152102(P2009−152102)
【出願日】平成21年6月26日(2009.6.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】