説明

詰め替え容器

【課題】詰め替え作業を簡便に行うことができる上、詰め替え時に内容物をこぼし難く、また、本容器内の内容物が残留している場合であっても詰め替え作業を行うことができる詰め替え容器を提供する。
【解決手段】基筒部材5には、注出筒21の外周面に密接して、注出孔6、および容器本体2の内部との連通を遮断するシール部35が設けられ、操作部材7は、容器軸O方向に沿う注出筒21の注出孔6と底壁部36との間にシール部35が配置されたシール位置と、注出孔6がシール部35よりも容器軸O方向に沿う容器本体2の内側に配置されて、容器本体2内に開口された連通位置と、の間でスライド移動自在とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、詰め替え容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の詰め替え容器として、従来、例えば下記特許文献1に記載されているような、本容器に詰め替えるための内容物を収容する容器本体と、その容器本体の口部に装着されるとともにその口部を閉塞する中栓と、が備えられ、その中栓を本容器の口部に螺着させて詰め替えを行う詰め替え容器が知られている。
上述した中栓には、内容物を注出するための注出口が形成されているとともに、この注出口を閉塞するシール部が設けられている。シール部は、例えばプルトップが付設された蓋体からなる。
【0003】
上述した構成の詰め替え容器では、例えば、まずプルトップを引き上げて、中栓の注出口を開封する。続いて、詰め替え容器を正立姿勢(口部が上向きの姿勢)に配置し、その詰め替え容器の中栓に倒立姿勢(口部が下向きの姿勢)の本容器の口部を螺着する。その後、詰め替え容器と本容器とを反転させて、本容器を正立姿勢にするとともに、詰め替え容器を倒立姿勢にする。これにより、詰め替え容器内の内容物が、詰め替え容器および本容器の各口部の内側を流通して本容器内に詰め替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−159249号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の詰め替え容器では、中栓の注出口を開封した後、中栓に本容器の口部を螺着し、その後、詰め替え容器と本容器を上下反転させる必要があるので、詰め替え作業が煩雑になり易かった。
また、中栓の注出口を開封した後に本容器の口部を詰め替え容器の中栓に螺着するため、その螺合作業中に誤って詰め替え容器を倒すと、詰め替え容器内の内容物がこぼれ出るおそれがあった。
さらに、中栓に本容器の口部を螺着する際に本容器を倒立姿勢にするため、本容器の内側に内容物が残留していると本容器内の内容物がこぼれ易かった。したがって、本容器内の内容物を使い切った後でないと詰め替え作業を行い難かった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、詰め替え作業を簡便に行うことができる上、詰め替え時に内容物をこぼし難く、また、本容器内の内容物が残留している場合であっても詰め替え作業を行うことができる詰め替え容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供している。
本発明に係る詰め替え容器は、本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、該容器本体の口部に装着される装着筒、および該装着筒の径方向の内側に配置される案内筒を有する基筒部材と、前記案内筒内に容器軸方向にスライド移動自在に嵌合されるとともに、側方に向けて開口する注出孔が形成された有底筒状の注出筒、および該注出筒を径方向の外側から囲繞し、かつ前記案内筒に容器軸方向にスライド移動自在に外挿されるとともに、前記本容器の注入口部に連結される連結筒部を有する操作部材と、を備え、前記基筒部材には、前記注出筒の外周面に密接して、前記注出孔、および前記容器本体の内部との連通を遮断するシール部が設けられ、前記操作部材は、前記容器軸方向に沿う前記注出筒の前記注出孔と底壁部との間に前記シール部が配置されたシール位置と、前記注出孔が前記シール部よりも容器軸方向に沿う前記容器本体の内側に配置されて、前記容器本体内に開口された連通位置と、の間でスライド移動自在とされていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る詰め替え容器によれば、本容器に内容物を詰め替える際に、まず、操作部材の連結筒部を注入口部に連結して、詰め替え容器と本容器とを組み合わせる。そして、詰め替え容器の容器本体と本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させることで、容器本体側に向けて操作部材を移動させる。
これにより、注出孔がシール部よりも容器軸方向の内側に配置されて、容器本体内に開口するので、詰め替え容器の容器本体内と本容器の注入口部内とが注出孔を介して連通し、容器本体内の内容物が注出孔および注出筒を通して注入口部内に注出される。これにより、容器本体内の内容物が本容器内に詰め替えられる。
【0009】
上述したように、連結筒部を注入口部に連結して詰め替え容器および本容器を組み合わせた後、容器本体と本容器とを容器軸方向に沿って相対的に接近移動させるという簡便な作業によって内容物を詰め替えることができるので、詰め替え作業の容易化を図ることができる。
また、詰め替えに際し、連結筒部と本容器の注入口部とが連結された状態で、容器本体と本容器とが注出孔を介して連通するので、詰め替え容器の開封と同時に、注出孔および注出筒内を通して内容物が本容器内に詰め替えられることとなる。これにより、内容物がこぼれるのを抑制することができるとともに、本容器を倒立姿勢にすることなく詰め替え作業を行うことが可能になり、本容器内の内容物が残留している場合であっても内容物の詰め替えを行うことができる。
【0010】
しかも、有底筒状の注出筒に側方に向けて開口する注出孔を形成することで、注出筒を基筒部材に対して容器本体側へ向けて移動させるだけで、詰め替え容器を開封できる。そのため、例えば、容器本体の口部に別体の中栓を設ける場合に比べて、詰め替え作業の簡便化を図ることができる。
また、例えば、容器本体の口部を破断可能な栓部で閉塞する場合と異なり、詰め替え時に破断された栓部が、容器本体内に脱落したり、容器本体の口部を再び閉塞してしまったりする等のおそれがない。すなわち、栓部を破断する必要等がなく、注出筒をスライド移動させるだけで、容器本体内の内容物をより簡単、かつ効率的に詰め替えることができる。
【0011】
また、上記本発明の詰め替え容器において、前記装着筒、および前記連結筒部の間には、前記操作部材の前記基筒部材に対する前記容器本体側へ向けた移動を規制する規制部材が配置されていてもよい。
【0012】
この場合には、装着筒と連結筒部との間に操作部材のスライド移動を規制する規制部材が配置されているので、仮に流通段階等で詰め替え容器に不意に外力が加えられたとしても、操作部材のスライド移動を規制して操作部材が連通位置まで移動するのを抑えることが可能になり、詰め替え容器が不意に開封されるのを抑制することができる。
【0013】
また、上記本発明の詰め替え容器において、前記注出筒は、その底壁部側に位置し、かつ前記注出孔が形成された小径部と、開口部側に位置し、前記小径部よりも大径に形成されるとともに、前記案内筒内に摺動自在に嵌合された大径部と、を備え、前記シール部は、前記案内筒に径方向の内側に向けて突設され、その内側に前記小径部が摺動自在に嵌合されていても良い。
【0014】
この場合には、大径部に対して縮径された小径部と、案内筒に対して縮径されたシール部と、が密接しているので、仮に注出筒とシール部および案内筒とが容器軸方向の全域で密接している場合に比べて、注出筒(小径部)とシール部との接触面積を低減させることができる。これにより、小径部とシール部との面圧を向上させ、シール性を高めることができるとともに、開封時(スライド移動時)における摺動抵抗の増加を抑制できるため、注出筒を動かし易い。
【0015】
また、上記本発明の詰め替え容器は、前記連通位置において、前記注出孔における前記注出筒の開口部側端部と、前記シール部と、が容器軸方向に沿う同等の位置に配置されていてもよい。
【0016】
この場合には、シール部よりも容器本体側に位置する内容物は少なくとも注出孔を通じて本容器内に注出できることになる。
なお、連通位置において、注出孔における注出筒の開口部側端部が、シール部よりも容器本体の内側に位置する場合には、注出筒と案内筒との間に内容物が流入することが抑えられるので、注出筒とシール部との間のシール性を維持した上で、内容物を無駄なく詰め替えることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る詰め替え容器によれば、詰め替え作業を簡便に行うことができる上、詰め替え時に内容物をこぼし難く、また、本容器内の内容物が残留している場合であっても詰め替え作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る詰め替え容器の実施形態を示す破断断面図である。
【図2】操作部材の底面図である。
【図3】図1に示す詰め替え容器を本容器に組み合わせた状態を示す破断断面図である。
【図4】図1に示す詰め替え容器を本容器に組み合わせた状態を示す図であって、(a)は破断断面図であり、(b)は操作部材の底面図である。
【図5】図1に示す詰め替え容器を本容器に組み合わせた状態を示す破断断面図である。
【図6】本発明に係る詰め替え容器の他の構成を示す図であって、(a)は基筒部材、操作部材、および規制部材を示す破断断面図であり、(b)は底面図である。
【図7】本発明に係る詰め替え容器の他の構成を示す図であって、規制部材の平面図である。
【図8】本発明に係る詰め替え容器の他の構成を示す図であって、基筒部材、操作部材、および規制部材を示す破断断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る詰め替え容器の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の詰め替え容器1は、本容器51(図3参照)に詰め替える内容物W(図3参照)が収容される容器本体2と、該容器本体2の口部2aに装着される装着筒3、および装着筒3の径方向の内側に配置される案内筒4を有する基筒部材5と、案内筒4に容器軸O方向にスライド移動自在に嵌合された操作部材7と、基筒部材5、および操作部材7の間に配置され、操作部材7のスライド移動を規制する規制部材8と、を備えている。
【0020】
なお、上述した容器本体2、基筒部材5、および操作部材7は、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。本実施形態ではこの共通軸を容器軸Oといい、上述した詰め替え容器1において、容器軸Oに沿った操作部材7側を上側、容器本体2側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
装着筒3は、容器本体2の口部2a内に嵌合されたシール筒部10と、容器本体2の口部2aの外面に螺着された外筒部11と、外筒部11の上端部とシール筒部10の上端部とを連結するとともに、口部2aの開口縁上に配置された連結環12と、を備えている。
案内筒4は、連結環12の内周縁から上方に向けて延設されている。また、案内筒4は、シール筒部10と同径に形成され、かつ上下方向の長さがシール筒部10よりも長く形成されている。すなわち、連結環12の内周縁から上方には案内筒4が、下方にはシール筒部10がそれぞれ延設されている。
【0022】
操作部材7は、案内筒4内に上下方向に移動自在に嵌合されるとともに、側方に向けて開口する注出孔6が形成された有底筒状の注出筒21と、注出筒21を径方向の外側から囲繞し、かつ案内筒4に上下方向に移動自在に外挿されるとともに、本容器51の注入口部52に連結される連結筒部22と、を有している。
【0023】
連結筒部22は、案内筒4に外挿された本体筒25と、本体筒25の下端部に径方向の外側に向けて突設された環状のストッパ部26と、を備えている。なお、連結筒部22は、本体筒25が上述した案内筒4に対してアンダーカット嵌合されていることが好ましい。これにより、連結筒部22の上方への移動が規制され、操作部材7が基筒部材5から抜けるのを抑制できる。
【0024】
本体筒25には、径方向の外側に向けて突出するとともに、上下方向のほぼ全長にわたって延びるガイド板27が形成されている。ガイド板27は、連結筒部22に周方向に間隔をあけて複数、好ましくは周方向に等間隔をあけて複数形成されている。また、ガイド板27の上端部は、下方から上方に向かうに従い漸次、径方向の外側に向けた突出量が小さくなっており、下端部は前記ストッパ部26に接続されている。
ストッパ部26の外径は、装着筒3の外径よりも大きく形成されており、ストッパ部26の外周縁が、連結環12(外筒部11)の外周縁よりも径方向の外側に張り出している。なお、ストッパ部26としては、環状に代えて例えば、周方向に間隔をあけて複数配設された板体を採用してもよい。この場合、周方向で隣り合う板体同士の間隔を空気置換孔として用いてもよい。
【0025】
注出筒21は、連結筒部22の径方向の内側に配設され、その上端部が連結筒部22の上端部に環状の連結板29を介して連結されている。具体的に、注出筒21は、底壁部36側に位置し、かつ注出孔6が形成された有底筒状の小径部33と、小径部33の上端に連設され上方に向かうに従い漸次拡径されたテーパ部32と、テーパ部32の上端(開口部側)に連設され、小径部33よりも大径に形成されるとともに、上述した案内筒4内に摺動自在に嵌合された大径部31と、を備えている。したがって、小径部33と、案内筒4およびシール筒部10と、の間には、径方向に隙間を設けて周方向に沿って間隙が形成されている。
注出孔6は、上下方向を長軸方向とする長孔形状のものであり、小径部33を径方向で貫通して小径部33の内部と外部とを連通させている。なお、注出孔6は、周方向に間隔をあけて複数、好ましくは周方向に等間隔をあけて複数形成されている。この場合、本実施形態の注出孔6は、周方向に間隔を空けて2つ、すなわち径方向で対向するように形成されているが、注出孔6を一つのみ形成してもよい。
【0026】
ここで、上述したシール筒部10の下端には、下方に向かうに従い漸次縮径された絞り部34が連設され、この絞り部34の下端に注出孔6、および容器本体2の内部との連通を遮断するシール部35が形成されている。このシール部35は、絞り部34の下端から下方に向けて容器軸Oと同軸で延びる筒状に形成され、その内周面が小径部33の外周面に密接している。したがって、上述した小径部33は、シール筒部10内に摺動自在に嵌合される。
この場合、上述した操作部材7は、上下方向に沿う小径部33の注出孔6と底壁部36との間にシール部35が配置されたシール位置(図1参照)から、注出孔6がシール部35よりも下方に配置されて、容器本体2内に開口された連通位置(図5参照)へ、とスライド移動するようになっている。なお、シール位置において、シール部35は、上端位置(絞り部34との境界部分)が上述した注出孔6よりも下方に位置し、下端位置が底壁部36よりも上方に位置している。したがって、シール部35は、内周面における上下方向の全域が小径部33の注出孔6から底壁部36まで間に密接している。
【0027】
図1,2に示すように、上述した規制部材8は、上述したストッパ部26の外周縁における周方向の一部に連設された支持壁41と、支持壁41にヒンジ部42を介して回動自在に連結された可動壁43と、を備えている。
支持壁41は、上面視でストッパ部26の外周縁に沿う円弧状に形成されるとともに、上下方向に沿って延在している。また、支持壁41における周方向の一端側には上述したヒンジ部42が形成され、周方向の他端側には径方向の外側に向けて突出する係止突起44が形成されている。
【0028】
可動壁43は、上下方向における長さが支持壁41と同等に形成されたものであり、ストッパ部26および連結環12の間に配置されて、操作部材7の下方移動を規制する規制位置(図1参照)から、ストッパ部26および連結環12の間から退避して、操作部材7の下方移動を許容する退避位置(図4(b)参照)へ、と回動するようになっている。
具体的に、可動壁43は、ヒンジ部42から径方向の内側に向けて延在する延在部45と、延在部45の径方向の内側端部から連設された本体規制部46と、容器軸Oを間に挟んで本体規制部46における延在部45の反対側から径方向の外側に向けて延在するつまみ片47と、を備えている。
【0029】
本体規制部46は、上面視でC字状に形成され、案内筒4を囲繞するように配置されている。また、本体規制部46における周方向の一端側には、径方向の外側に向けて突出する係止突起48が形成されている。この係止突起48は、退避位置で支持壁41の係止突起44にアンダーカット嵌合されるようになっている。
つまみ片47は、本体規制部46の周方向の他端側から径方向の外側に向けて突出しており、上述した規制位置でストッパ部26から下方に向けて突出する一対の係合凸部49間に係合されるようになっている。
【0030】
次に、上述したように構成された詰め替え容器1から本容器51に内容物Wを詰め替える方法について説明する。
まず、図3に示すように、詰め替え容器1を倒立姿勢にするとともに、本容器51を正立姿勢にした状態で、詰め替え容器1を本容器51の上方に配置する。そして、詰め替え容器1と本容器51とを位置合わせしながら相対的に上下方向に接近移動させ、操作部材7のストッパ部26を本容器51の注入口部52の開口端縁に当接させて、詰め替え容器1と本容器51とを組み合わせる。この際、操作部材7における連結筒部22が、本容器51の注入口部52内に差し込まれた状態で詰め替え容器1と本容器51とが組み合わされる。
【0031】
ここで本実施形態では、上述したように詰め替え容器1を倒立姿勢とすることで、詰め替え容器1における上下が反転することとなり、倒立姿勢の詰め替え容器1において、容器軸O方向に沿った操作部材7側が下側、容器本体2側が上側となる。
この際、詰め替え容器1のシール部35が上下方向に沿う注出孔6と底壁部36との間で小径部33に密接しているため、注出孔6、および容器本体2の内部との連通が遮断されている。そのため、詰め替え容器1を倒立姿勢としても、容器本体2内の内容物Wが注出孔6を通して外部に流出することはない。さらに、基筒部材5の連結環12と操作部材7のストッパ部26との間に規制部材8が配置されているため、操作部材7の下方移動は規制されている。そのため、注出孔6を介して容器本体2内と本容器51内とが連通することはない。さらに、ガイド板27が連結筒部22に周方向に間隔をあけて複数形成されており、その外周面が本容器51の注入口部52の内面に挿入嵌合されているため、連結筒部22を本容器51の注入口部52に安定して連結することができる。
【0032】
次に、図4に示すように、規制部材8による操作部材7の規制を解除する。具体的には、規制部材8のつまみ片47を摘んで可動壁43をヒンジ部42回りに回動させる。これにより、可動壁43が基筒部材5と操作部材7との間から退避して、操作部材7の規制が解除される。なお、可動壁43は、係止突起48を支持壁41の係止突起44にアンダーカット嵌合させておくことで、退避位置に保持させておくことができる。
【0033】
また、本実施形態では、詰め替え容器1を本容器51に組み付けた後、規制部材8の規制を解除する場合について説明したが、可動壁43を退避させた後、詰め替え容器1を本容器51に組み付けてもよい。なお、規制部材8による規制が解除された後においても、操作部材7の移動が抑制されていることが好ましい。このような構成として、本実施形態では、注出筒21を案内筒4に嵌合した上で、注出筒21のうち、大径部31を案内筒4に摺動自在に嵌合し、小径部33をシール部35に摺動自在に嵌合している。しかし、これに限らず、注出筒21の外面に形成された係合部(突起または凹部)に係合し、操作部材7の移動によって乗り越え可能な係止部(凹部または突起)を案内筒4に形成すること等を採用できる。
【0034】
そして、図5に示すように、詰め替え容器1の容器本体2と本容器51とを上下方向に沿って相対的に接近移動させる。すると、本容器51の注入口部52の開口端縁がストッパ部26を容器本体2側に向けて押し込むことで、操作部材7が容器本体2側に向けて移動する。この際、注出筒21のうち、大径部31の外周面が案内筒4の内周面上を摺動するとともに、小径部33の外周面がシール部35の内周面上を摺動しながら、操作部材7が容器本体2側に向けてスライド移動する。
【0035】
すると、上下方向に沿う小径部33のシール部35からの突出量がシール位置(図1参照)に対して増加して、小径部33が容器本体2内に入り込むことで、注出孔6が容器本体2内で開口する(連通位置)。なお、操作部材7は、ストッパ部26が基筒部材5の連結環12に当接する位置まで移動させる。これにより、操作部材7の注出孔6は、全体が容器本体2内に開口することになる。この際、注出孔6の下端位置と、シール部35と、が上下方向に沿う同等の位置に配置される。
【0036】
これにより、注出孔6、および注出筒21内を通じて、詰め替え容器1の容器本体2内と本容器51の注入口部52内とが連通する。すると、詰め替え容器1の容器本体2内に収容されている内容物Wは、注出孔6を通じて注出筒21内に注出され、その後注出筒21を通じて本容器51の注入口部52内に注出される(図5に示す矢印A)。その結果、内容物Wを詰め替え容器1から本容器51に詰め替えることができる。
【0037】
上述したように、本実施形態の詰め替え容器1によれば、ストッパ部26を注入口部52の開口端縁に当接させた状態で詰め替え容器1および本容器51を組み合わせた後、容器本体2と本容器51とを上下方向に沿って相対的に接近移動させるという簡便な作業によって内容物Wを詰め替えることができるので、詰め替え作業の容易化を図ることができる。
また、詰め替えに際し、詰め替え容器1の連結筒部22と本容器51の注入口部52とが連結された状態で、詰め替え容器1と本容器51とが注出孔6を介して連通するので、詰め替え容器1の開封と同時に、注出孔6および注出筒21内を通して内容物Wが本容器51内に詰め替えられることとなる。これにより、内容物Wがこぼれるのを抑制することができるとともに、本容器51を倒立姿勢にすることなく詰め替え作業を行うことが可能になり、本容器51内の内容物Wが残留している場合であっても内容物Wの詰め替えを行うことができる。
【0038】
また、詰め替え時において、ストッパ部26と連結環12とを互いに当接させておくことにより、本容器51および詰め替え容器1それぞれの位置や姿勢が不安定になるのを抑制することが可能になり、詰め替え作業を容易化すること、並びに詰め替え時に内容物Wをこぼし難くすることをより一層確実に実現することができる。
また、上述したようにストッパ部26を注入口部52の開口端縁に当接させることで操作部材7を安定化させることができるため、操作部材7を上下方向に沿って滑らかに移動させることができる。そのため、過大な力を必要とせずに注出孔6を容器本体2内で開放させることができる。この点においても、詰め替え作業を行い易い。
【0039】
また、基筒部材5と操作部材7との間に操作部材7の下方移動を規制する規制部材8が配置されているので、仮に流通段階等で詰め替え容器1に不意に外力が加えられたとしても、操作部材7の移動を規制して操作部材7が連通位置まで移動するのを抑制することが可能になり、詰め替え容器1が不意に開封されるのを抑制することができる。
さらに、詰め替え時において、詰め替え容器1と本容器51とを組み合わせた状態で、規制部材8を退避させることができる。この場合、注出筒21をシール部35でシールしたまま容器本体2を本容器51に組み合わせた後、規制部材8を退避させることで初めて操作部材7が移動自在となるため、詰め替え作業時に内容物Wがこぼれることを確実に防止できる。
【0040】
しかも、本実施形態では、有底筒状の注出筒21に側方に向けて開口する注出孔6を形成することで、注出筒21を基筒部材5に対して容器本体2側へ向けて移動させるだけで、詰め替え容器1を開封できる。そのため、例えば、容器本体2の口部2aに別体の中栓を設ける場合に比べて詰め替え作業の簡便化を図ることができる。
また、例えば、容器本体2の口部2aを破断可能な栓部で閉塞する場合と異なり、詰め替え時に破断された栓部が、容器本体2内に脱落したり、容器本体2の口部2aを再び閉塞してしまったりする等のおそれがない。すなわち、栓部を破断する必要等がなく、注出筒21をスライド移動させるだけで、容器本体2内の内容物Wをより簡単、かつ効率的に詰め替えることができる。
【0041】
さらに、大径部31に対して縮径された小径部33と、案内筒4に対して縮径されたシール部35と、が密接しているので、仮に注出筒21とシール部35および案内筒4とが上下方向の全域で密接している場合に比べて、小径部33とシール部35との接触面積を低減させることができる。これにより、小径部33とシール部35との面圧を向上させ、シール性を高めることができるとともに、開封時(移動時)における摺動抵抗の増加を抑制できるため、操作部材7を動かし易い。
また、注出孔6が容器本体2内に開口する連通位置(図5参照)において、注出孔6の下端位置とシール部35とが、上下方向における同等の位置に配置されるため、シール部35よりも上方に位置する内容物Wは少なくとも注出孔6を通じて本容器51内に注出できることになる。
なお、連通位置において、注出孔6の下端位置が、シール部35よりも上方(容器本体2の内側)に位置する場合には、注出筒21と案内筒4との間に内容物Wが流入することが抑えられるので、注出筒21とシール部35との間のシール性を維持した上で、内容物Wを無駄なく詰め替えることができる。
【0042】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0043】
例えば、上述した実施形態における規制部材8は、ヒンジ部42を介して可動壁43を回動可能とする構成としたが、これに限らず、例えば、図6に示すように、破断可能な弱化部71を介して連結環12に一体的に連結しても構わない。
具体的に、図6に示す規制部材72は、容器軸Oと同軸に配置された筒状に形成され、案内筒4を径方向の外側からほぼ全周に亘って囲繞している。規制部材72は、基筒部材5の連結環12と操作部材7のストッパ部26との間で、操作部材7の移動を規制するように構成されている。また、規制部材72の周方向の一部には、上下方向における長さが周方向に沿って漸次縮小するつまみ片73が形成されている。つまみ片73の形成部分の近傍において、規制部材72は上下方向に延びるスリット(不図示)により周方向に分断、または分断可能に連結されていることが好ましい。
弱化部71は、連結環12および規制部材8よりも薄肉に形成され規制部材8の下端部に全周に亘って形成されている。なお、弱化部71は薄肉に限らず、ミシン目状に形成する等、適宜設計変更が可能である。
【0044】
また、上述した規制部材は、基筒部材5および操作部材7の間に配置されていれば、基筒部材5および操作部材7の何れか一方に連結されていても、基筒部材5および操作部材7と別体で設けても構わない。
基筒部材5および操作部材7と別体で規制部材を設ける構成として、図7に示す規制部材81は、径方向に沿う断面がC字状とされ内部に案内筒4が嵌合される弾性変形自在なCリング部82と、Cリング部82において、上下方向に延びる開口部に対して容器軸Oを挟んだ反対側に、径方向の外側に向けて突設されたつまみ片83と、を備えている。
【0045】
また、上述した実施形態では、基筒部材5と操作部材7とをそれぞれ別体で構成する場合について説明したが、これに限らず、図8に示すように、基筒部材5と操作部材7とを変形自在な連結部91を介して一体的に形成しても構わない。この場合、連結部91は基筒部材5および操作部材7の薄肉に形成された線材状(帯状)の部材であり、一端側が基筒部材5における装着筒3の下端部に連設される一方、他端側がストッパ部26の外周縁に連設されている。
この構成によれば、基筒部材5と操作部材7とがバラバラになることがないので、基筒部材5と操作部材7との組み付け作業を効率的に行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1…詰め替え容器
2…容器本体
2a…口部
3…装着筒
4…案内筒
5…基筒部材
6…注出孔
7…操作部材
8…規制部材
21…注出筒
22…連結筒部
31…大径部
33…小径部
36…底壁部
35…シール部
51…本容器
52…注入口部
W…内容物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本容器に詰め替える内容物が収容される容器本体と、
該容器本体の口部に装着される装着筒、および該装着筒の径方向の内側に配置される案内筒を有する基筒部材と、
前記案内筒内に容器軸方向にスライド移動自在に嵌合されるとともに、側方に向けて開口する注出孔が形成された有底筒状の注出筒、および該注出筒を径方向の外側から囲繞し、かつ前記案内筒に容器軸方向にスライド移動自在に外挿されるとともに、前記本容器の注入口部に連結される連結筒部を有する操作部材と、を備え、
前記基筒部材には、前記注出筒の外周面に密接して、前記注出孔、および前記容器本体の内部との連通を遮断するシール部が設けられ、
前記操作部材は、
前記容器軸方向に沿う前記注出筒の前記注出孔と底壁部との間に前記シール部が配置されたシール位置と、
前記注出孔が前記シール部よりも容器軸方向に沿う前記容器本体の内側に配置されて、前記容器本体内に開口された連通位置と、の間でスライド移動自在とされていることを特徴とする詰め替え容器。
【請求項2】
前記装着筒、および前記連結筒部の間には、前記操作部材の前記基筒部材に対する前記容器本体側へ向けた移動を規制する規制部材が配置されていることを特徴とする請求項1記載の詰め替え容器。
【請求項3】
前記注出筒は、その底壁部側に位置し、かつ前記注出孔が形成された小径部と、
開口部側に位置し、前記小径部よりも大径に形成されるとともに、前記案内筒内に摺動自在に嵌合された大径部と、を備え、
前記シール部は、前記案内筒に径方向の内側に向けて突設され、その内側に前記小径部が摺動自在に嵌合されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の詰め替え容器。
【請求項4】
前記連通位置において、前記注出孔における前記注出筒の開口部側端部と、前記シール部と、が容器軸方向に沿う同等の位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の詰め替え容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−210953(P2012−210953A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76968(P2011−76968)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】