説明

詰め替え用パウチ

【課題】内容液をこぼさないで注出させることができ、かつ差し込んだ注出口が閉塞することなく短時間で内容液の詰め替え操作を行える。
【解決手段】注出口シール部101とサイドシール部5とからなるV字状の鋭角の切欠部11が形成されるとともに、注出口シール部102の基部には切欠が形成されないか鈍角の切欠部が形成されており、ノズル角度βが45〜60°であり、ノズル長さsが10〜30mmであり、注出口の幅wがボトルの口部の内径の80〜100%である。ボトルへの注出時、内容液が注出口部10に向かって真っ直ぐに落下する如く入り込むと同時に、サイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域にも内容液が入り込んで、V字状の鋭角の切欠部11を形成している注出口シール部101とサイドシール部5とが寄り合うように力が加わる結果、注出口は閉塞する方向とは逆向きに縦方向に折れるように湾曲し閉塞を起こさない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性を有する内容液を密封包装するパウチの技術分野に属し、詳しくは収納した内容液を使用時にボトル等の容器に移し替えて使用する詰め替え用パウチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、家庭用の液体洗剤等は取扱いに便利な注ぎ口のあるプラスチック製のボトルに入れた状態で店頭等にて販売されているが、このプラスチックボトルを一回きりで廃棄せず何度も使用するために、補充用の液体洗剤等を収納した詰め替え用パウチも同時に販売されている。そして、この詰め替え用パウチとしては、ノズル形状の注出口部を設けておき、その注出口部の先を切り取ってボトルの口部から内容液を注入するようにしたタイプが数多く市販されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−172355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したタイプの詰め替え用パウチは、上部にノズル形状の注出口部を有しており、その注出口部の先を切り取って形成した注出口をボトルの口に差し込んだ状態にすることで、内容液を注出するようになっている。しかしながら、ノズル形状の注出口部をボトルの口部の中に十分に入る長さに設計すると、サイズが細くなって閉塞しやすくなるので内容液の注出速度が遅くなり、逆に注出口部を太くすると、ボトルの口部に嵌め込みにくくなって内容液をこぼしやすいという問題点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内容液をこぼさないで注出させることができ、かつ差し込んだ注出口が閉塞することなく短時間で内容液の詰め替え操作を行える詰め替え用パウチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明である詰め替え用パウチは、周囲がヒートシールされた先窄まり形状の注出口部を有し、その注出口部を開封予定線のところで切り取って形成した注出口をボトルの口部に嵌め込んで内容液をボトルに注ぎ入れるように使用する詰め替え用パウチであって、注出口部は、注出口部の一方の基部から先端にかけて形成された一方の注出口シール部と他方の基部から先端にかけて形成された他方の注出口シール部で形成され、いずれの注出口シール部も少なくとも基部から開封予定線までは直線状であり、更に、前記一方の注出口シール部とサイドシール部とからなるV字状の鋭角の切欠部が形成されるとともに、他方の注出口シール部の基部には切欠が形成されないか鈍角の切欠部が形成されており、一方の注出口シール部の基部から開封予定線にかけて形成された直線部分の内側シールラインの延長線と、他方の注出口シール部の基部から開封予定線にかけて形成された直線部分の内側シールラインの延長線とのなす角度であるノズル角度が45〜60°であり、鋭角の切欠部の頂点からノズル角度の二等分線に向けて引いた垂線とノズル角度の二等分線との交点と、開封予定線と注出口部の二等分線との交点の距離であるノズル長さが10〜30mmであり、一方の注出口シール部の外側シールラインから他方の注出口シール部の外側シールラインにかけて、開封予定線とノズル角度の二等分線との交点を通り、且つ、ノズル角度の二等分線と直交するように引いたときの距離がボトルの口部の内径の80〜100%であることを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の発明である詰め替え用パウチは、請求項1に記載の詰め替え用パウチにおいて、袋の上方のコーナーのいずれか一方に注出口部を設けるとともに、注出口部の一方の注出口シール部を上側としたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の発明である詰め替え用パウチは、請求項1または2に記載の詰め替え用パウチにおいて、注出口部の基部近傍からパウチの内側に向かって内向きの補強用膨らみ部を設けたことを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の発明である詰め替え用パウチは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰め替え用パウチにおいて、注出口部の開封予定線のところに外向きの保形用膨らみ部を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明である詰め替え用パウチは、周囲がヒートシールされた先窄まり形状の注出口部を有し、その注出口部を開封予定線のところで切り取って形成した注出口をボトルの口部に嵌め込んで内容液をボトルに注ぎ入れるように使用する詰め替え用パウチであって、注出口部は、注出口部の一方の基部から先端にかけて形成された一方の注出口シール部と他方の基部から先端にかけて形成された他方の注出口シール部で形成され、いずれの注出口シール部も少なくとも基部から開封予定線までは直線状であり、更に、前記一方の注出口シール部とサイドシール部とからなるV字状の鋭角の切欠部が形成されるとともに、他方の注出口シール部の基部には切欠が形成されないか鈍角の切欠部が形成されていることにより、内容液をボトルに移し替えるに際し、注出口部の先端部分を破断して形成した注出口を下向きにすると、内容液が注出口に向かって落下する如く入り込むと同時に、サイドシール部と、サイドシール部と隣接する一方の注出口シール部でないほうのシール部とで囲まれた領域にも内容液が入り込んでV字状の鋭角の切欠部を形成している一方の注出口シール部とサイドシール部とが寄り合うように力が加わる結果、注出口は閉塞する方向とは逆向きに縦方向に折れるように湾曲し、閉塞を起こさない状態になるので、短時間で内容液を注ぎ入れることができる。また、一方の注出口シール部の基部から開封予定線にかけて形成された直線部分の内側シールラインの延長線と、他方の注出口シール部の基部から開封予定線にかけて形成された直線部分の内側シールラインの延長線とのなす角度であるノズル角度が45〜60°であり、鋭角の切欠部の頂点からノズル角度の二等分線に向けて引いた垂線とノズル角度の二等分線との交点と、開封予定線と注出口部の二等分線との交点の距離であるノズル長さが10〜30mmであり、一方の注出口シール部の外側シールラインから他方の注出口シール部の外側シールラインにかけて、開封予定線とノズル角度の二等分線との交点を通り、且つ、ノズル角度の二等分線と直交するように引いたときの距離がボトルの口部の内径の80〜100%であることにより、ボトルの口部に深く差し込んで注出させることができるため、内容液をこぼさないで注出させることができる。
【0011】
請求項2に記載の発明である詰め替え用パウチは、請求項1に記載の詰め替え用パウチにおいて、袋の上方のコーナーのいずれか一方に注出口部を設けるとともに、注出口部の一方の注出口シール部を上側としたことを特徴としているので、上記効果を奏するのに加え、袋の下部から上部に向かって内容液がスムースに流れるとともに、内容液が少なくなると、ノズルの膨らみが閉じ始め、パウチ内の空気が注出口から出ようとして減圧状態となるのに伴い、サイドシール部と上部シール部で囲まれた領域に残っている内容液が切欠部を伝って流れ落ちるため、さらに注出時間を短くすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明である詰め替え用パウチは、請求項1または2に記載の詰め替え用パウチにおいて、注出口部の基部近傍からパウチの内側に向かって内向きの補強用膨らみ部を設けたことを特徴としているので、上記効果を奏するのに加え、注出口が縦方向に折れて広がろうとするのが助長され、開口した状態を保持しやすくなるため、内容液を安定して注ぎ出すことができる。
【0013】
請求項4に記載の発明である詰め替え用パウチは、請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰め替え用パウチにおいて、注出口部の開封予定線のところに外向きの保形用膨らみ部を設けたことを特徴としているので、上記効果を奏するのに加え、開封した時点で注出口が自然に開口することから、内容液をさらに安定して短時間で注ぎ出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る詰め替え用パウチの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の詰め替え用パウチにおける注出口部の付近を拡大して示す説明図である。
【図3】図1の詰め替え用パウチを開封して逆さまにした状態で示す説明図である。
【図4】本発明に係る詰め替え用パウチの別の実施例を示す正面図である。
【図5】図4の詰め替え用パウチの変形例を示す正面図である。
【図6】図5のパウチにおける壁面フィルムに設けられた内向きの補強用膨らみ部の断面形状を示す拡大断面図である。
【図7】図4の詰め替え用パウチのさらなる変形例を示す正面図である。
【図8】図7のパウチにおける壁面フィルムに設けられた外向きの保形用膨らみ部の断面形状を示す拡大断面図である。
【図9】評価テストで使用した市販の自社製品を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は本発明に係る詰め替え用パウチの一実施例を示す正面図であり、この詰め替え用パウチPは、胴部1を形成する2枚の壁面フィルムの間に2つ折りした底部2を組み合わせて縦長をした所謂スタンディングパウチ形式に製袋したものである。すなわち、フィルムを内側に折り返したガゼット形式の底部2には、その両側下端近傍に半円状の切欠2aが設けられており、胴部1を形成する2枚の壁面フィルムの間に2つ折りの底部2を挟み込み、舟底形の底部シール部3でヒートシールするとともに、左右端縁に沿った胴部シール部4でヒートシールすることで図1の詰め替え用パウチPが製袋されている。
【0017】
この詰め替え用パウチPにおける一方の側辺と上辺のコーナー部分には、周囲がヒートシールされた斜め上方を向く注出口部10が形成されている。すなわち、注出口部10の先端を境目にして、注出口部10の基部から先端にかけて直線状の一方の注出口シール部101と注出口部10の基部から先端にかけて直線状の他方の注出口シール部102により当該注出口部10は三角状に突出形成されている。また、一方の注出口シール部101の基部に、一方の注出口シール部101と直線状のサイドシール部5により切欠角度αが鋭角のV字状をした切欠部11が形成され、他方の注出口シール部102の基部には切欠が形成されていない。この注出口部10は、図示のように、ヒートシールによる胴部シール部4の延長領域で囲まれ、周囲がヒートシールされた状態になっている。このような注出口部10は、表裏2枚の壁面フィルムをヒートシールする際に、胴部シール部4の延長上にノズル形状を形成するようにヒートシールし、その周囲を図示の形状にトリミングすることで形成される。
【0018】
図2の拡大説明図にも示すように、注出口部10には、その先端を切り取って注出口を形成するため、注出口部10の先端寄りのところに注出口部10の二等分線oと直交する開封予定線aが設けられている。この詰め替え用パウチPでは、レーザー加工で形成したハーフカット線からなる開封予定線aが設けられている。レーザー加工に代えて、ロータリーダイカッター等のカッターで形成したハーフカット線からなる開封予定線aを設けてもよいし、あるいは、ハサミ等で切り取ることを前提として印刷により開封予定線aを設けてもよい。また、パウチの積層フィルムの中に一軸延伸フィルムを積層する方法(この場合、一軸延伸フィルムはその延伸方向が開封予定線aと一致するように用いる)を採ることにより、開封性を高めることもできる。また、ハーフカット線aは複数設けてもよい。
【0019】
そして、内容液が注出する注出口部10は、そのノズル角度βが45〜60°となるように設計されている。すなわち、ノズル角度βが45°未満では、注出口の先端まで内容液が行き届かず注出口が閉塞するか、あるいは、内容液の注出方向が安定せず、短時間で注出させることができないことになり、ノズル角度βが60°より大きいと、ボトルの口部に開封した注出口を深く差し込むことができない。
【0020】
また、この詰め替え用パウチPは、切欠部11の頂点11pから注出口部10の二等分線oに向けて引いた垂線bとノズル角度βの二等分線oとの交点と、開封予定線aとノズル角度βの二等分線oとの交点との距離s(ノズル長さ)が10〜30mmとなるように設計されている。注出時のノズルの長さとなるこの距離sが長いと、パウチ全体の容量が小さくなるか、あるいは、充填開口部である上部シール部6の幅が狭くなるため内容液の充填効率が下がることになり、逆にこの距離sが短すぎると、ボトルの口部に十分に深く差し込めないからである。なお、ボトルの口部に開封した注出口を深く差し込むとは、ボトルの口部からボトル内部に向かって、注出口部10のノズル長さsの部分を10〜30mmの範囲で差し込める状態のことを指す。
【0021】
また、一方の注出口シール部101の外側シールラインから他方の注出口シール部102の外側シールラインにかけて、開封予定線aとノズル角度βの二等分線oとの交点を通り、且つ、ノズル角度βの二等分線oと直交するように引いたときの距離w(注出口10aの幅)がボトルの口部の内径の80〜100%となるように設計されている。注出口10aの幅wが狭いとボトルの口部に対して注出口10aが接触する部分が少なくなるため、注出させるときにボトルの口部に注出口10aを保持させにくくなり、広いとボトルの口部に十分深く差し込みにくくなる。
【0022】
図1に示す詰め替え用パウチPは、洗剤等の内容液を充填し、上部シール部6を脱気シールして密封することで、自立性のあるスタンドパウチの形態になる。内容液をボトルに移し替える際には、注出口部10の先端部を指先で挟んで開封予定線aの方向に引き裂いて開封する。この操作により、注出口部10の先端が除去されてノズル形状の注出口が形成されることになる。
【0023】
この詰め替え用パウチPは、注出口部10は、側辺と平行である注出口部10の基部から先端にかけて直線状の他方の注出口シール部102と、注出口部10の基部から先端にかけて直線状の一方の注出口シール部101とで三角状に形成されており、注出口部10のノズル角度βが45〜60°であり、開封後のノズル長さsが10〜30mmであり、注出口10aの幅wがボトルの口部の内径の80〜100%となるので、内容液をこぼさないで注出させることができ、かつ差し込んだ注出口が閉塞することなく短時間で内容液の詰め替え操作を行うことができる。
【0024】
すなわち、内容液をボトルに移し替えるべく、図3に示すように、詰め替え用パウチPを開封して逆さまの状態にすると、他方の注出口シール部102が側辺と同方向であり、邪魔になるものがないので、内容液がパウチ側辺に沿って注出口に向かって真っ直ぐに落下するごとく十分な量が入り込むと同時に、サイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域にも内容液が入り込む。このため、矢印で示す如くサイドシール部5と一方の注出口シール部101が寄り合うように力が加わる。その結果、注出口10aは閉塞する方向とは逆向きに縦方向に折れるように湾曲し、閉塞を起こさない状態になる。したがって、注出口10aをボトルの口部に深く差し込んだ状態で内容液を短時間で注ぎ入れることができる。
【0025】
もし、開封後のノズル長さsが10mmより短いと、ノズル部分に入り込む内容液の量が少なくなるため、サイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域に内容液が入り込んでもサイドシール部5と一方の注出口シール部101が寄り合わないことになる。また、ノズル角度βが45°未満では、サイドシール部5と一方の注出口シール部101が寄り合うように力が加わっても、注出口10aが十分に開口しないか、あるいは、内容液の注出方向が安定せず、短時間で注出させることができない。また、上辺の切欠部11の切欠角度αをあまり小さくし過ぎると、サイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域に内容液が入り込んだときに、サイドシール部5と一方の注出口シール部101が寄り過ぎて注出口10aが変形してしまい、短時間で注出させることができず、大きくするとサイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域に内容液が入り込むと注出口部10のサイドシール部5側が引っ張られ、注出口部10が折れるため、注出口部10が閉塞しやすくなる。なお、切欠部11の切欠角度αとは、一方の注出口シール部101の基部から開封予定線aにかけて形成された直線部分の外側シールラインと、サイドシール部5側の外側シールラインとのなす角度を指す。
【0026】
この詰め替え用パウチPは、図1に示すように、一方の側辺と上辺とのコーナー部分に注出口部10を設けてあり、しかも注出口部10を形成する一方の注出口シール部101の基部にはV字状の鋭角の切欠部11が形成され、他方の注出口シール部102の基部には切欠が形成されていない。したがって、図3に示す注出時には、逆さにしたパウチの上部から注出口10aに向かって内用液がスムースに流れるとともに、内容液が少なくなると、ノズルの膨らみが閉じ始め、パウチ内の空気が注出口から出ようとして減圧状態になるのに伴い、サイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域に残っている内容液が切欠部11を伝って流れ落ちるため、さらに注出時間を短くすることができる。
【0027】
ここで、サイドシール部5の切欠部11の頂点11pから上部シール部6の内側シールラインまでの距離tは、10〜30mmとすることが好ましい。すなわち、距離tが10mmより短いと、サイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域に内容液が入り込んでもサイドシール部5と一方の注出口シール部101が寄り合いにくく、逆に30mmより長いとサイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域に残っている内容液が減圧により自然に注出口aから流れ落ちることができないからである。特に、サイドシール部5の切欠部11の頂点11pから上部シール部6の内側シールラインまでの距離tと、一方の注出口シール部101の切欠部11の頂点11pから開封予定線aまでの距離uを同じにするのががさらに好ましい。このようにすると、注出口10aをボトルの口部に差し込んだときに、注出口10aの先端と上部シール部6の内側シールラインが同じ水平線上に位置するため、サイドシール部5と一方の注出口シール部101が一層寄り合いやすくなる。
【0028】
図4は図1に示す詰め替え用パウチの別の実施例を示す正面図であり、この詰め替え用パウチPは、注出口部10及びその付近の構造以外は図1の詰め替え用パウチPと同じ形態をしている。
【0029】
図示の詰め替え用パウチPは、一方の側辺と上辺のコーナー部分に周囲がヒートシールされた斜め上方を向く注出口部10を有している。この注出口部10は、注出口部10の先端を境目にして、注出口部10の基部から先端にかけて直線状の一方の注出口シール部101と注出口部10の基部から先端にかけて直線状の他方の注出口シール部102により三角状に突出形成されており、一方の注出口シール部101と直線状のサイドシール部5によりV字状をした切欠部11が形成され、他方の注出口シール部102の基部には鈍角の切欠部12が形成されている。また、上辺の切欠部11を塞ぐような形で注出口部10の先端寄りに摘み部13が設けられており、その摘み部13の根元から開封予定線aが設けられている。したがって、この詰め替え用パウチPは、摘み部13を摘んで開封予定線aのところを引き裂くことで開封がしやすいものになる。
【0030】
図4の詰め替え用パウチPでは、注出口部10を形成する他方の注出口シール部102が、図1の詰め替え用パウチPのように側辺と同方向ではなく、前記の如く内側に僅かに傾斜した形状をしている。このため他方の注出口シール部102の基部に切欠部12が形成されるが、この切欠部12を鈍角にすることでし、逆さにしたパウチの上部から注出口10aに向かって内用液がスムースに落下するのが邪魔されないようにしている。
【0031】
また、図4の詰め替え用パウチPでは、注出口部10の一方の注出口シール部101の基部に形成されたV字状の鋭角の切欠部11の先端11pが僅かに丸みを帯びている。内容液の注出時にサイドシール部5と一方の注出口シール部101が寄り合うのを邪魔しない範囲で、V字状の切欠部11の先端11pをこのような僅かに丸みを帯びた形状としてもよい。切欠部11の頂点の先端11pを丸みを帯びた形状とすることにより、詰め替え用パウチPの輸送中や陳列中に誤って切欠部11の頂点から裂けるのを防止することができる。
【0032】
図5は図4に示す詰め替え用パウチの変形例を示す正面図である。この詰め替え用パウチPでは、注出口部10の基部近傍からパウチの内側に向かって内向きの補強用膨らみ部14がU字状を形成するようにして二等分線oの両側に設けられている。この補強用膨らみ部14は、図6の拡大断面図に示すように、2枚の壁面フィルムFに、同位置となるように対称形に設けられている。なお、この補強用膨らみ部14は、図示のようなU字状にする必要はなく、平行な2本の直線状としてもよいし、一方の壁面フィルムFにのみ設けるようにしてもよい。ここでは2枚の壁面フィルムFに内向きの補強用膨らみ部14を設ける例を示したが、どちらか一方の壁面フィルムFに設けてもよい。
【0033】
この図5に示す詰め替え用パウチPは、注出口部10の基部近傍からパウチの内側に向かって内向きの補強用膨らみ部14が二等分線oの両側に設けられているので、逆さ状態にしたときに、注出口部10が縦方向に折れて広がろうとするのが助長されることで開口した状態を保持しやすい。
【0034】
図7は図4に示す詰め替え用パウチのさらなる変形例を示す正面図である。この詰め替え用パウチPでは、図5で説明した補強用膨らみ部14に加え、注出口部10の開封予定線aのところに楕円形をした外向きの保形用膨らみ部15が設けられている。この保形用膨らみ部15は、図8の拡大断面図に示すように、2枚の壁面フィルムFに、同位置となるように対称形に設けられている。ここでは2枚の壁面フィルムFに内向きの補強用膨らみ部14を設ける例を示したが、どちらか一方の壁面フィルムFに設けてもよい。
【0035】
この図7に示す詰め替え用パウチPは、逆さ状態にしたときに、補強用膨らみ部14により注出口部10が縦方向に折れて広がろうとするのが助長されることで開口した状態を保持しやすいことに加え、注出口部10の開封予定線aのところに外向きの保形用膨らみ部15が設けられているので、開封した時点で注出口10aが自然に開口する。
【0036】
上記で示した詰め替え用パウチは、何れにおいても、注出口部10を形成する他方の注出口シール部102の基部に切欠を設けないか鈍角の切欠部12を設けるようにしているため、注出口部10に向かって内容液が落下する如く入り込むと同時にサイドシール部5と上部シール部6で囲まれた領域にも内容液が入り込んで、V字状の鋭角の切欠部11を形成している一方の注出口シール部101とサイドシール部5とが寄り合うように力が加わりやすくすることができる。
【0037】
また、一方の注出口シール部101及び他方の注出口シール部102の幅は狭いと内容液が漏れる可能性があり、広いと一方の注出口シール部がサイドシール部に寄り合いにくくなるため、一方の注出口シール部101及び他方の注出口シール部102の幅は3〜4mmとすることが好ましい。
【0038】
本発明の詰め替え用パウチに用いるフィルムとしては、プラスチックフィルムを主体とする積層フィルムであって、内面にヒートシール層を有する積層フィルムが主に用いられるが、特に限定されるものではなく、各種の液体用パウチに用いられている公知の積層フィルムであれば何れも使用できる。これらの中から、内容液の種類や充填後の加熱処理の有無など使用条件に応じて適するものを選択して用いればよい。
【0039】
〔形状比較テスト〕
本発明の有効性を確認するため、次の条件で比較テストを行った。
【0040】
<使用した積層フィルム>
ONY(15μm)/印刷/DL/PEF(130μm)
ONY:ユニチカ製「ON−RT」
PEF:テクノフィルム製「SP−303SL」
印刷インキ:ザ・インクテック製「CLIOS」
接着剤:ロックペイント製「RU−77T/H7」
【0041】
上記の積層フィルムを用いて、熱罫加工、ヒートシール加工、レーザー加工及び抜き加工を順次施して図1に示すタイプのパウチを製袋した。ここでは、パウチのサイズ:縦240mm×横130mm、胴部シール部4の幅:6mm、上部シール部6の幅:10mm、一方の注出口シール部101のシール幅:4mm、他方の注出口シール部102のシール幅:4mm、サイドシール部6のシール幅:5mm、注出口10aの幅w:20mmとし、注出口部10のノズル角度αと切欠部11の切欠角度βを変えた複数種類のパウチを製袋した。そして、それぞれのパウチに内容液として汎用の液体洗剤(350ml)を充填し、ボトル(口径20mm)への注出テストを行った。なお、汎用の液体洗剤は「おふろのルック(登録商標)」であり、界面活性剤(5%、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)に泡調整剤とキレート剤が添加されたものである。
【0042】
注出口10aは注出口部10をハサミでカットして形成した。そして、ボトルを机上に置き、パウチPを逆さま状態とし注出口10aを口部の内径が20mmφのボトルに挿入して内容液の詰め替えを行った。内容液の出始めから途切れるまでを計測し、詰め替えの際はパウチを押したりせず、液の自重排出のみで注出した。
【0043】
注出テストの評価は、内容液がこぼれることなく、かつ注出口10aが閉塞することなく、かつ短時間で注出させることができるか否かの3条件について判断することで行った。そのテスト結果を表1及び表2に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
表1は切欠角度βを一定にしてノズル角度αを変えた7種類のパウチと市販中の1つの自社製品(比較例4)を用いてテストした結果であり、表2はノズル角度αを一定にして切欠角度βを変えた8種類のパウチによりテストした結果である。これらの表1と表2において、○は3つの条件とも良好の場合、◎は○の中でも特に注出時間が短い場合、×は何れか一つでも良好でない場合を示す。
【0047】
比較例4で使用した市販の自社製品は図9に示すもので、図1と同様の部位には同じ符号を付してその説明を省略する。この詰め替え用パウチ(内容量:350ml)は、パウチのサイズ:縦230mm×横120mm、胴部シール部4の幅:6mm、上部シール部6の幅:10mm、注出口部10のノズル角度β:10°、一方の注出口シール部101のシール幅:4mm、他方の注出口シール部102のシール幅:3mm、サイドシール部5のシール幅:4mm、一方の注出口シール部101の基部に形成された切欠部11の切欠角度α:53°、他方の注出口シール部102の基部に形成された切欠部12の切欠角度γ:55°、開封後のノズル長さs:15mm、注出口の内寸:13mmである。
【0048】
この比較例4の詰め替え用パウチは、注出口部10の二等分線近傍に外向きの膨らみ部16が両面に設けられており、注出口部10の剛性が高められているため、縦方向に折れるように湾曲させにくく、短時間で注出させることができなかった。
【0049】
表1から分かるように、切欠角度αを60°とした場合、ノズル角度βが45〜60°の範囲で評価が良好となった。その中でも、ノズル角度βが50〜55°では注出時間が20秒未満となり、最も注出時間が短かった。比較例1および2は注出方向が定まらず、短時間で注出させることができなかった。比較例3はボトルの口部に注出口部を深く差し込むことができなかった。比較例4は短時間で注出させることができなかった。
【0050】
また、表2から分かるように、ノズル角度βを50°とした場合、切欠角度αが40〜70°の範囲で評価が良好となった。比較例5は一方の注出口シール部とサイドシール部が寄り過ぎて注出口部が変形し、注出口が閉塞して注出させることができなかった。比較例6および7は、注出口部のサイドシール部側が引っ張られ、注出口部が折れるため、短時間で注出させることができなかった。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について詳細に説明してきたが、本発明による詰め替え用パウチは、上記の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることは当然のことである。
【符号の説明】
【0052】
P 詰め替え用パウチ
K 肩部
1 胴部
2 底部
3 底部シール部
4 胴部シール部
5 サイドシール部
6 上部シール部
10 注出口部
101 一方の注出口シール部
102 他方の注出口シール部
10a 注出口
11 切欠部(鋭角)
11a 頂点
12 切欠部(鈍角)
13 摘み部
14 補強用膨らみ部
15 保形用膨らみ部
α 切欠角度
β ノズル角度
γ 切欠角度
a 開封予定線
b 垂線
o 二等分線
s ノズル長さ
t サイドシール部の切欠部の頂点から上部シール部の内側シールラインまでの距離
u 一方の注出口シール部の切欠部の頂点から開封予定線までの距離
w 注出口の幅


【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲がヒートシールされた先窄まり形状の注出口部を有し、その注出口部を開封予定線のところで切り取って形成した注出口をボトルの口部に嵌め込んで内容液をボトルに注ぎ入れるように使用する詰め替え用パウチであって、注出口部は、注出口部の一方の基部から先端にかけて形成された一方の注出口シール部と他方の基部から先端にかけて形成された他方の注出口シール部で形成され、いずれの注出口シール部も少なくとも基部から開封予定線までは直線状であり、更に、前記一方の注出口シール部とサイドシール部とからなるV字状の鋭角の切欠部が形成されるとともに、他方の注出口シール部の基部には切欠が形成されないか鈍角の切欠部が形成されており、一方の注出口シール部の基部から開封予定線にかけて形成された直線部分の内側シールラインの延長線と、他方の注出口シール部の基部から開封予定線にかけて形成された直線部分の内側シールラインの延長線とのなす角度であるノズル角度が45〜60°であり、鋭角の切欠部の頂点からノズル角度の二等分線に向けて引いた垂線とノズル角度の二等分線との交点と、開封予定線と注出口部の二等分線との交点の距離であるノズル長さが10〜30mmであり、一方の注出口シール部の外側シールラインから他方の注出口シール部の外側シールラインにかけて、開封予定線とノズル角度の二等分線との交点を通り、且つ、ノズル角度の二等分線と直交するように引いたときの距離がボトルの口部の内径の80〜100%であることを特徴とする詰め替え用パウチ。
【請求項2】
袋の上方のコーナーのいずれか一方に注出口部を設けるとともに、注出口部の一方の注出口シール部を上側としたことを特徴とする請求項1に記載の詰め替え用パウチ。
【請求項3】
注出口部の基部近傍からパウチの内側に向かって内向きの補強用膨らみ部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の詰め替え用パウチ。
【請求項4】
注出口部の開封予定線のところに外向きの保形用膨らみ部を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の詰め替え用パウチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−63797(P2013−63797A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204342(P2011−204342)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】