説明

誘電体用樹脂組成物及び誘電体アンテナ

【課題】携帯電話等の誘電体アンテナの材料として好適な樹脂組成物を提供する。
【解決手段】樹脂材料、好ましくはポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのポリマーアロイと、ルチル型繊維状酸化チタンとを溶融混練してなる樹脂組成物であって、含有されているルチル型繊維状酸化チタンの平均直径が0.2〜2μmであり、平均アスペクト比が4以上であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物。樹脂組成物中に占めるルチル型繊維状酸化チタンの割合は、10体積%以上30体積%以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波領域での使用に好適な誘電体アンテナ部品及びその材料として好適な誘電体用樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話等の移動体通信機器や無線LANに用いられる表面実装型誘電体アンテナとして、誘電体セラミックス単体、樹脂単体及びセラミックス含有樹脂組成物からなるものが提案されている。例えば、アンテナ基体がセラミックス単体や樹脂単体からなる表面実装型誘電体アンテナ(特許文献1)、めっき性の良好な、比誘電率実部が1.8程度のシンジオタクチック構造を有するスチレン系樹脂からなる発砲体及びその製造方法(特許文献2)が開示されている。さらに、樹脂材料に球状の誘電体セラミックス粉末を、組成物中の割合で40vol%〜70vol%(体積%)混合した樹脂組成物(特許文献3)、高充填を可能とするためアスペクト比が3〜5に調整されたチタン酸金属塩繊維と、これと熱可塑性樹脂等を複合した複合材料(特許文献4)が開示されている。しかしながら、複合化のためチタン酸金属塩繊維と熱可塑性樹脂とを溶融混練すると、繊維が折損してアスペクト比が小さくなるが、特許文献4には溶融混練後における複合材料中のチタン酸金属塩繊維のアスペクト比は記載されていない。
【0003】
【特許文献1】特開平9−98015号公報
【特許文献2】特開平10−45936号公報
【特許文献3】特許第3930814号公報
【特許文献4】特許第2992667号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、携帯電話等の移動体通信機器の軽量化及び小型化に伴って、誘電体アンテナも軽量化及び小型化の要求が高まっている。しかしながら、従来の誘電体セラミックス単体からなるアンテナや樹脂単体からなるアンテナには、それぞれ次のような不具合があった。
【0005】
すなわち、誘電体セラミックス単体からなるアンテナでは、アンテナ基体の成形工程や焼成工程等に時間がかかるばかりでなく、加工性及び成形性に劣り、複雑な形状のアンテナを作成することが困難であった。また、誘電率の大きなセラミックスを用いることで、アンテナを小型化することができるが、アンテナにはサイズ効果があり、小さくしすぎるとアンテナ特性を極端に低下させるため、アンテナの小型化には限界がある。従って、アンテナの軽量化には比重の小さい材料を用いることが必要である。しかしながら、誘電体セラミックスは比重が大きく、アンテナの軽量化に対応できないという問題がある。
【0006】
さらに、樹脂単体からなるアンテナ基体では、樹脂は比重が小さく、成形性及び加工性に優れているが、比誘電率が小さいため、アンテナの小型化に対応することができないという問題がある。球状ないしはアスペクト比が3〜5の比較的アスペクト比が小さいセラミックス粉体と樹脂とを複合した複合材料の場合には、セラミックス粉体の添加量を多くしなければ高い誘電率が得られず、結果的に比重が高くなりアンテナの軽量化に対応できないという問題がある。また、電気抵抗率が低い、あるいは、誘電正接が高い樹脂の場合は、誘電体アンテナの機能が果たせなくなるため、アンテナ材料としては体積抵抗率が1×1012Ωcm以上、誘電正接が0.3以下のものが求められている。さらに、携帯電話用の誘電体アンテナ用樹脂としては強度も必要とされる。
【0007】
従って、本発明の目的は、高い比誘電率実部及び体積抵抗率及び低い誘電正接を有し、機械的強度、加工性及び成形性に優れ、かつ、比重の小さい誘電体用樹脂組成物、及びこれを用いた誘電体アンテナ部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、少なくとも(A)樹脂材料と(B)ルチル型繊維状酸化チタンとを溶融混練してなる樹脂組成物であって、含有されている(B)ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径が0.2〜2μmであり、平均アスペクト比が4以上であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物により、上記の目的を達成することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る樹脂組成物は、比重が比較的小さく、誘電体としての特性が優れていることに加えて、機械的強度や加工性にも優れているので、携帯電話等のアンテナ部品用の材料に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の誘電体用樹脂組成物は、樹脂材料とアスペクト比の高いルチル型繊維状酸化チタンを溶融混練して得られる。なお、本発明において「樹脂組成物」とは、少なくとも(A)成分と(B)成分とを溶融混練する工程を経ることにより得られる樹脂組成物であり、例えば、溶融混練して得られるペレット、該ペレットを成形して得られる成形品、その他の手法で得られる成形品である。
【0011】
(A)樹脂材料
樹脂組成物の基材となる樹脂材料としては、誘電正接が低いものが好ましい。樹脂は熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂のどちらでもよいが、射出成形が可能な熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、超超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、低分子量ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイ、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリアミド系樹脂とのアロイ、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリオレフィン系樹脂とのアロイ、ポリカーボネート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミドMXD6、ポリアセタール樹脂等のエンジニアリングプラスチックスやこれらを含むアロイが挙げられる。また所望ならば、液晶高分子、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリイミド樹脂といった高耐熱性のスーパーエンジニアリングプラスチックスやこれらを含むアロイを用いることもできる。
【0012】
本発明の樹脂材料として特に好ましいのは、成形加工性及び機械的物性に優れ、且つ低い誘電正接を有する点で、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂とのアロイである。
ポリフェニレンエーテル樹脂とは、下記一般式(1)表される構造単位を主鎖に有する重合体であって、単独重合体又は共重合体の何れであってもよい。
【0013】
【化1】

【0014】
(2つのRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、アミノアルキル基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表わす。2つのRは同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、第1級もしくは第2級アルキル基、アリール基、ハロアルキル基、炭化水素オキシ基、又はハロ炭化水素オキシ基を表す。ただし、2つのRが共に水素原子であることはない。)
【0015】
及びRとしては、水素原子、第1級若しくは第2級アルキル基、アリール基が好ましい。第1級アルキル基の好適な例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−アミル基、イソアミル基、2−メチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、2−、3−もしくは4−メチルペンチル基又はヘプチル基が挙げられる。第2級アルキル基の好適な例としては、イソプロピル基、sec−ブチル基又は1−エチルプロピル基が挙げられ、アリール基としてはフェニル基が挙げられる。Rとして特に好ましいのは第1級若しくは第2級の炭素原子数1〜4のアルキル基又はフェニル基である。またRは水素原子であることが好ましい。
【0016】
好適なポリフェニレンエーテル樹脂としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジプロピル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−エチル−6−メチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−フェニレンエーテル)等の2,6−ジアルキルフェニレンエーテルの単独重合体が挙げられる。
【0017】
また、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリエチルフェノール共重合体、2,6−ジエチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体、2,6−ジプロピルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体等の2,6−ジアルキルフェノール/2,3,6−トリアルキルフェノール共重合体も好ましい。さらには、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノール共重合体にスチレンをグラフト重合させたグラフト共重合体等も好ましい。
【0018】
これらのポリフェニレンエーテル樹脂の中でも特に好ましいのは、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノール/2,3,6−トリメチルフェノールランダム共重合体である。また、特開2005−344065号公報に記載されているような末端基数と銅含有率を規定したポリフェニレンエーテル樹脂も好適に使用できる。
【0019】
ポリフェニレンエーテル樹脂の分子量は、クロロホルム中、30℃で測定した極限粘度が0.2〜0.8dl/gのものが好ましく、0.3〜0.6dl/gのものがより好ましい。極限粘度が0.2dl/g未満のものを用いたのでは、得られる樹脂組成物の機械的強度が低下する傾向にある。逆に0.8dl/gより大きいものを用いると、樹脂組成物の流動性が悪化し、成形加工が困難になる傾向にある。ポリフェニレンエーテル樹脂は2種以上を併用してもよく、その際には極限粘度の異なるものを混合して所望の極限粘度となるようにしてもよい。
【0020】
ポリフェニレンエーテル樹脂は、周知のようにフェノール化合物の酸化カップリング反応により工業的に大規模に製造されている。酸化カップリング反応の触媒としては種々のものが知られており、例えば、アミノ化合物と銅、マンガン、コバルト等の重金属化合物の少なくとも1種とを、通常は種々の他の物質と組み合わせて用いている。酸化カップリング反応の触媒は、例えば、米国特許第4,042,056号、第3,306,874号、第3,306,875号、第3,365,422号、第3,639,656号、第3,642,699号、第3,733,299号、第3,838,102号、第3,661,848号、第5,037,943号等に多数開示されている。本発明ではいずれの触媒を用いて製造されたポリフェニレンエーテル樹脂をも用いることができる。
【0021】
ポリフェニレンエーテル樹脂と併用するポリスチレン系樹脂としては、スチレン系単量体の重合体、スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体、スチレン系グラフト共重合体等が挙げられる。
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等が挙げられるが、スチレンを用いるのが好ましい。スチレン系単量体と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、マレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体が挙げられる。これらの中では、シアン化ビニル単量体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体を用いるのが好ましい。
【0022】
ポリスチレン系単量体の重合体としては、通常のポリスチレン(GPPS)よりも誘電正接が低く、誘電率及び体積抵抗率のバランスに優れ、さらに、耐熱性にも優れている点でシンジオタクチックポリスチレンが好ましく、価格の点ではGPPSを用いるのが好ましい。スチレン系単量体と他の共重合可能な単量体との共重合体としては、AS樹脂等が挙げられる。スチレン系グラフト共重合体としては、HIPS樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、AAS樹脂等が挙げられる。これらの共重合体に占めるスチレン系単量体の割合は40〜99重量%が好ましい。ポリスチレン系樹脂の分子量は重量平均分子量として50,000〜400,000が好ましい。また、ポリフェニレンエーテル樹脂とポリスチレン系樹脂の合計に占めるポリスチレン系樹脂の割合は、通常は25重量%以上75重量%以下である。
【0023】
(B)ルチル型繊維状酸化チタン
ルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンに比べて比誘電率実部が大きいため、樹脂材料に含有させると比誘電率実部の大きい樹脂組成物を与える。また、ルチル型酸化チタンは繊維状の形状、即ち高アスペクト比の形状とすることができるため、樹脂に含有させたときに繊維長軸方向の比誘電率実部を効果的に向上させることが可能である。
【0024】
ルチル型繊維状酸化チタンとしては、アスペクト比の高い方が、少ない含有量で高い誘電率を発現させることが出来る。これは、射出成形等の成形時に、アスペクト比の高い繊維状の酸化チタンの方が、その繊維長方向が流動方向に配向しやすく、繊維が一方向に並びやすいためであると考えられる。本発明では、樹脂組成物(ペレット、成形品等)中の平均アスペクト比が4以上であることが必要であり、4.5以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましい。後述する実施例からも明らかなように、アスペクト比が大きい方が誘電体としての性能及び機械的強度に優れるので、平均アスペクト比が5.5以上、特に6以上であることが好ましい。しかし、アスペクト比の大きさと誘電率とは必ずしも比例せず、かつアスペクト比が大きいルチル型繊維状酸化チタンほど溶融混練により著しく折損し、また溶融混練が困難となり、さらに誘電正接の値が高くなる傾向にある。従って、複合化に供する、すなわち、溶融混練前に原料として用いるルチル型繊維状酸化チタンとしては、平均アスペクト比が200以下、特に100以下のものを用いるのが好ましい。このような大きなアスペクト比のものを用いても,溶融混練により折損するので、樹脂組成物中での平均アスペクト比を50より大きくすることは困難であり、通常は20以下となる。
【0025】
また、ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径は、0.2〜2μmである。平均直径が小さすぎると嵩比重が小さくなるため、溶融混練により均一な樹脂組成物とするのが困難となる。また常用の1軸又は2軸混練機では、混練しようとするとスクリューが空回りして混練ができなかったり、吐出率が低下して生産性が低下するという問題がある。さらに比表面積も増加する為、樹脂材料の劣化が起こる可能性もある。
【0026】
逆に平均直径が大きすぎると、アスペクト比を確保するためには繊維長を長くしなければならない。しかし繊維長が長いと、溶融混練が困難となり、溶融混練や射出成形時に繊維が折れやすく、樹脂組成物や成形品中のルチル型繊維状酸化チタンのアスペクト比を高く維持できないという問題がある。さらにまた、ルチル型繊維状酸化チタンの成長には時間がかかるため、直径が大きく且つアスペクト比の大きいものは製造費が高くつくという問題もある。ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径は0.3〜0.7μmが好ましい。
【0027】
なお本明細書において、用いるルチル型繊維状酸化チタンの平均直径及び平均アスペクト比は、以下の手法で求めることができる。走査型電子顕微鏡で1,500〜5,000倍に拡大して観察し、500本のルチル型繊維状酸化チタンの直径と繊維長を測定後、直径の相加平均と繊維長の相加平均を算出し、その比として平均アスペクト比を求めた。
【0028】
また、ルチル型繊維状酸化チタン製造時の分散性及び樹脂組成物中での分散性を向上させる目的で、ルチル型繊維状酸化チタンの表面を予め無機又は有機の処理剤で処理して用いてもよい。
無機処理剤としては、アルミナ、ジルコニア、シリカ及びこれらの混合物等が用いられる。シリカは吸水性が高く、樹脂組成物とした際、樹脂成分の分解、成形品外観不良等の水分の影響を受けやすいので、無機処理をする場合にはアルミナ、ジルコニアが好ましく、シリカを併用する場合はシリカが少量であることが好ましい。これら無機処理剤の使用量は、適宜選択して決定すればよいが、通常、ルチル型繊維状酸化チタンに対して2〜5重量%である。無機処理剤の含有量が酸化チタンに対して多すぎると、酸化チタン表面の無機処理層に含まれる吸着水により、樹脂組成物を成形してなる樹脂成形品の強度低下や外観不良が問題となる場合がある。逆に少なすぎても分散性が不十分となるなど、改良効果が不十分である場合がある。
有機処理剤としては、アルコキシ基、エポキシ基、アミノ基もしくはSi−H結合を有する有機シラン化合物又は有機シリコーン化合物等が挙げられる。好ましいのは、樹脂組成物中の分散性、樹脂成分との密着性等の観点から、Si−H結合を有する有機シリコーン化合物である。中でもハイドロジェンポリシロキサンが特に好ましい。これら有機処理剤の使用量は、酸化チタンに対して、通常、0.5〜5重量%、好ましくは1〜3重量%である。
【0029】
樹脂組成物(ペレット、成形品等)中に占める(B)ルチル型繊維状酸化チタンの含有量は、5体積%以上40体積%、特に10体積%以上30体積%以下が好ましい。5体積%以下では比誘電率の向上効果が少なく、40体積%以上では樹脂組成物の機械的強度が低下し、且つ生産性も低下するという問題がある。
【0030】
本発明の樹脂組成物には、樹脂組成物の製造及び成形工程における溶融混練時や、製品使用時の高温雰囲気での熱安定性を向上させるため、熱安定剤を配合するのが好ましい。熱安定剤としては、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物及び酸化亜鉛等が好ましい。
【0031】
ヒンダードフェノール系化合物としては、下記一般式(2)で示される部分構造を有するものが好ましい。
【0032】
【化2】

【0033】
(但し、式中、Rは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10の炭化水素基を表す。)
【0034】
ヒンダードフェノール系化合物の具体例としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
【0035】
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)等が挙げられる。
【0036】
これらの中でも、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3’,5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンが好ましい。
【0037】
ホスファイト系化合物又はホスフォナイト系化合物としては、それぞれ下記一般式(3)又は下記一般式(4)で示されるものが好ましい。
【0038】
【化3】

【0039】
(但し、式中、Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は炭素原子数6〜30のアリール基を表すが、少なくとも1つのRは、炭素原子数6〜30のアリール基を表す。)
【0040】
【化4】

【0041】
(但し、式中Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1〜30の炭化水素基又は炭素原子数6〜30のアリール基を表すが、少なくとも1つのRは、炭素原子数6〜30のアリール基を表す。)
【0042】
上記一般式(3)で示されるホスファイト系化合物としては、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジトリデシルホスファイト−5−t−ブチル−フェニル)ブタン、トリス(ミックスドモノ及びジ−ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(フェニル−ジアルキルホスファイト)等が挙げられる。これらの中でも、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。
【0043】
上記一般式(4)で示されるホスフォナイト系化合物としては、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト等が挙げられる。
【0044】
酸化亜鉛としては、その分散性、熱安定性の点から、平均粒径が0.02〜1μmのものが好ましく、平均粒径が0.08〜0.8μmのものがより好ましい。酸化亜鉛としては本荘ケミカル社、堺化学工業社、正同化学工業社等の製品を用いることができる。なお、平均粒径とは、通常、製造メーカーの公証値(カアログ等に記載されている値)である。
【0045】
これらの熱安定剤の配合量は、通常は(A)樹脂材料100重量部に対して、合計で0.01〜5重量部である。熱安定剤の配合量が0.01重量部未満では、熱安定性を向上させる効果が小さい。また5重量部を超える量で配合しても、熱安定性の向上効果は大きくならないのみならず、ホスファイト系化合物及びホスフォナイト系化合物の場合には、モールドデボジットが発生するので好ましくない。
【0046】
本発明の樹脂組成物には、さらに難燃剤を配合するのも好ましい。難燃剤としてはホスフェート系難燃剤が好ましい。そのいくつかを例示すると、フェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・クレジル・レゾルシン・ポリホスフェート、キシリル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル−p−t−ブチルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、クレジル・キシレル・レゾルシン・ポリホスフェート、フェニル・イソプロピルフェニル・ジイソプロピルフェニル・レゾルシン・ポリホスフェート、ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル化合物が挙げられる。
【0047】
また、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニル−2−エチルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、メチルホスホン酸ジフェニルエステル、フェニルホスホン酸ジエチルエステル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリブチル等のリン酸エステルも挙げられる。これらの化合物は2種以上を併用しても良い。
【0048】
ホスフェート系難燃剤の配合量は、(A)樹脂材料100重量部に対して1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部である。ホスフェート系難燃剤の配合量が1重量部未満では難燃効果が小さく、30重量部を超えると荷重撓み温度が低下したり、金型汚染が発生する場合があるので好ましくない。
【0049】
本発明の樹脂組成物には、必要に応じてさらに他の成分を添加できる。このような添加剤としては、充填剤、補強材、耐侯性改良剤、発泡剤、滑剤、流動性改良剤、耐衝撃性改良剤、染料、顔料、分散剤等が挙げられる。
例えば、充填剤や補強剤としては、有機、無機いずれも用いうるが、通常は、ガラス繊維、マイカ(白マイカ、黒マイカ、金マイカ等)、アルミナ、タルク、ワラストナイト、チタン酸カリウム、炭酸カルシウム、シリカ等の無機物を用いるのが好ましい。これらは(A)樹脂材料100重量部に対して好ましくは1〜100重量部、より好ましくは5〜80重量部、さらに好ましくは5〜60重量部となるように配合する。これらを配合すると、一般に剛性、耐熱性、寸法精度等を向上させることができる。これらの中でも、特に、白マイカやアルミナは、誘電正接を低下させる効果を有するため、より好ましい。白マイカやアルミナの配合量は、(A)樹脂材料100重量部に対して5〜100重量部が好ましく、10〜50重量部がより好ましい。
【0050】
本発明の樹脂組成物は、少なくとも(A)樹脂材料と(B)ルチル型繊維状酸化チタンを溶融混練する工程を経て製造されるものであり、例えば、溶融混練して得られるペレット、該ペレットを成形して得られる成形品、その他の手法で得られる成形品である。
溶融混練して得られるペレットは、例えば、(A)樹脂材料に(B)ルチル型繊維状酸化チタン、さらに必要に応じて上記したような添加剤を配合し、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサー、ラボプラストミル(ブラベンダー)等で混練することにより製造することができる。なお全成分を一括して混合、混練する代わりに、いくつかの成分を予め混合したり、予め混合することなく、混練途中で供給したりすることもできる。なお混練に際しては、通常はルチル型繊維状酸化チタンが多少なりとも折損することが避けられないので、樹脂組成物に所望のアスペクト比よりも大きなアスペクト比を有するルチル型繊維状酸化チタンを樹脂組成物の原料として用いる。折損の恐れが大きい場合には、例えば二軸混練押出機を用いる場合には、ルチル型繊維状酸化チタンは押出機の途中から供給する、いわゆるサイドフィードをするのが好ましい。
【0051】
混練温度と混練時間は、目的とする樹脂組成物や混練機の種類等により異なるが、通常、混練温度は200〜350℃、好ましくは220〜320℃、混練時間は20分以下が好ましい。350℃又は20分を超えると、樹脂材料の熱劣化が問題となり、成形品の物性の低下や外観不良を生じることがある。
【0052】
このようにして得られた樹脂組成物ペレットは、熱可塑性樹脂に一般的に用いられる成形法、例えば、射出成形法、押出成形法、中空成形法、熱成形法、プレス成形法等を使用して成形品とすることができる。中でも、生産性、製品性能の観点から、射出成形法が好ましい
【0053】
本発明の誘電体用樹脂組成物は、誘電体アンテナ部品に好適である。誘導体アンテナ部品に用いるためには、比誘電率実部は5以上が好ましく、6以上がより好ましい。誘電正接は0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。また、体積抵抗率は1×1012Ωcm以上が好ましく、1×1014Ωcm以上がより好ましい。
【0054】
本発明の成形品を用いた誘導体アンテナとは、例えば、本発明の誘電体用樹脂組成物成形品に金属導体を挟んだ平行平板状のアンテナ、あるいはマイクロストリップライン型のアンテナがある。また、本発明の誘電体用樹脂組成物成形品の表面にコの字のように屈曲した電極を配置した表面実装型アンテナがある。
上記のような誘導体アンテナに使用される成形品としては、例えば、長辺が3〜5cm、短辺が0.1〜1cmで、厚みが2mm以下の平板状(リブを有していてもよい)、箱型状のもの等が挙げられる。誘電材に求められる性能の一つである比誘電率実部は、樹脂組成物中の繊維状酸化チタンの配向の程度に関係があり、その配向度合が大きいほど比誘電率実部が向上する。従って、成形品の厚みが薄い方が、具体的には厚み1mm以下である場合に、繊維状酸化チタンがより配向しやすく本発明の効果がより発揮される。
繊維状酸化チタンをより配向させるためには、射出成形法を用いることが好ましい。射出成形する場合は、金型内の樹脂流動速度が好ましくは50mm/s以下、より好ましくは20mm/sとなるように、成形品の形状等を考慮し、射出速度等の成形条件を調整することが好ましい。また、金型に配置されるゲートは、繊維状酸化チタンが一方向に配向しやすいよう、成形品端部に配置することが好ましい。
【0055】
本発明の誘電体用樹脂組成物成形品は、GHz帯域においても好適に使用することができ、周波数帯域が2.45GHzの場合において高い比誘電率実部及び誘電正接を有することができる。しかも、こうした高い誘電特性を維持しつつ、1×1012Ωcm以上の電気抵抗率を有することができる。
従って、本発明の誘電体用樹脂組成物成形品は、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータ等の移動体通信機器や無線LANに用いられる誘電体アンテナ部品、特に表面実装型誘導体アンテナ部品に好適である。
【実施例】
【0056】
以下に本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例において、各成分として次に示すものを用いた。
【0057】
(A)樹脂材料
(a1−1)ポリフェニレンエーテル樹脂:
ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(以下「PPE」と略記する);
三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製品、「商品名:PX100L」、クロロホルム中で測定した30℃の極限粘度0.47dl/g。
【0058】
(a2)ポリスチレン系樹脂:
(a2−1)ポリスチレン樹脂(以下、「GPPS」と略記する);
日本ポリスチレン社製、「商品名:HF−77」、重量平均分子量 220,000。
(a2−2)シンジオタクチックポリスチレン樹脂(以下、「SPS」と略記する);
出光興産(株)製品、「ザレック300ZC」、MFR 30g/10min(但し、300℃×1.2kgの条件にて測定)。
(a2−3)ハイインパクトポリスチレン樹脂(以下、「HIPS」と略記する);
日本ポリスチレン社製、「商品名:HT478」、重量平均分子量 200,000、MFR 3.0g/10分(但し、200℃×5kgの条件にて測定)。
【0059】
チタン化合物
(B−1)ルチル型繊維状酸化チタン;
石原産業(株)製、「商品名:FTL−300」、平均直径0.4μm、平均繊維長5μm、平均アスペクト比12.5。
(B−2)ルチル型繊維状酸化チタン;
石原産業(株)製、「商品名:FTL−400」、平均直径0.5μm、平均繊維長10μm、平均アスペクト比20。
(B−3)ルチル型繊維状酸化チタン;
石原産業(株)製、「商品名:PFR−404」、平均直径0.4μm、平均繊維長3μm、平均アスペクト比7.5。
【0060】
(B−4)ルチル型繊維状酸化チタン;
チタン工業(株)製、「商品名:ST−485SA15」、平均直径0.01μm、平均繊維長0.07μm、平均アスペクト比7。
(B−5)粒子状酸化チタン;
石原産業(株)製、「商品名:PC−3」、平均直径0.18μm、平均アスペクト比1。
(B−6)粒子状チタン酸バリウム;
富士チタン工業(株)製、「商品名:HPBT−1」、平均直径0.18μm、平均アスペクト比1。
【0061】
(C)熱安定剤
(C−1)2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;
住友化学工業(株)製、「商品名:スミライザーBHT」
(C−2)テトラキス(2,4―ジ−t−ブチルフェニル)[1、1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスフォナイト;
チバスペシャルティケミカルズ社製、「商品名:IRGAFAS P−EPQ」
【0062】
(D)離型剤
(D−1)低分子量ポリエチレン;
三洋化成工業(株)製、「商品名:サンワックス 151−P」、平均分子量約2,000
【0063】
[実施例1〜6、比較例1〜4]
表1に示す割合で、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン系樹脂、チタン化合物、熱安定剤及び離型剤を配合し、タンブラーミキサーにて均一に混合した。これを二軸押出機(池貝社製、「PCM30」、スクリュー径30mm、L/D=42)の上流部分に投入し、シリンダー温度270℃、スクリュー回転数150rpmにて溶融混練して樹脂組成物ペレットを製造した。得られた樹脂組成物を80℃×4時間乾燥させた後、下記(2)〜(5)の評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0064】
[評価方法]
(1)平均アスペクト比
上記の方法で得られた樹脂組成物ペレットを約2g秤量し、600℃の電気炉(東洋製作所社製「電気マッフル炉KM−28」)内で2時間灰化し、樹脂成分のみを燃焼させた後、残ったルチル型繊維状酸化チタンを、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、「S−4100」)を用いて1,500〜5,000倍に拡大して観察し、500本のルチル型繊維状酸化チタンの直径と繊維長を測定した。得られた直径の相加平均と繊維長の相加平均から平均アスペクト比を求めた。
【0065】
(2)密度
上記の方法で得られた樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(住友重機械工業社製、「SH100」、型締め力100t)にて、シリンダー温度290℃〜310℃、金型温度100℃の条件で、100mm×100mm×厚み2mmの板状成形品を製造した。得られた板状成形品から約2gを切り出して、ISO1183規格のA法(水中置換法)により密度を測定した。
【0066】
(3)誘電率
上記の方法で得られた樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(住友重機械工業社製、「SH100」、型締め力100t)にて、シリンダー温度290℃〜310℃、金型温度100℃の条件で、100mm×100mm×厚み2mmの板状成形品を製造した。この板状成形品から、流動方向が長手方向となるように0.5mm幅に機械切削し、100mm×0.5mm×厚み2mmの棒状成形品に加工した。この棒状成形品を用い、アジレントテクノロジー(株)製、「ネットワークアナライザN5230A」に、関東電子応用開発(株)製「2.45GHz帯用 円筒型空洞共振器CP481」を組み合わせた誘電率測定装置にて、比誘電率実部及び誘電正接を測定した。
【0067】
(4)体積抵抗率
上記の方法で得られた樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(住友重機械工業社製、「SH100」、型締め力100t)にて、シリンダー温度290℃〜310℃、金型温度100℃の条件で、100mm×100mm×厚み2mmの板状成形品を製造した。得られた板状成形品について、デジタル超高抵抗/微少電流計「ADVANTEST社製、「R8340」)を用いて、体積抵抗率を測定した。
【0068】
(5)曲げ強度
上記の方法で得られた樹脂組成物ペレットを用い、射出成形機(住友重機械工業社製、「SG75サイキャップM−2」、型締め力100t)にて、シリンダー温度260℃〜280℃、金型温度80℃の条件で、ISO試験片を製造した。得られたISO試験片を用い、ISO178規格に準拠して曲げ弾性率及び曲げ強度を測定した。
【0069】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも(A)樹脂材料と(B)ルチル型繊維状酸化チタンとを溶融混練してなる樹脂組成物であって、含有されている(B)ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径が0.2〜2μmであり、平均アスペクト比が4以上であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物。
【請求項2】
少なくとも(a1)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(a2)ポリスチレン系樹脂を含む樹脂材料と(B)ルチル型繊維状酸化チタンとを溶融混練してなる樹脂組成物であって、含有されている(B)ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径が0.2〜2μmであり、平均アスペクト比が4以上であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物。
【請求項3】
(a1)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(a2)ポリスチレン系樹脂との合計に占めるポリスチレン系樹脂の割合が25重量%以上75重量%以下であることを特徴とする、請求項2に記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項4】
(a2)ポリスチレン系樹脂が、ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックスチレン樹脂及びゴム成分含有スチレン樹脂より成る群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項5】
樹脂組成物中の(B)ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径が0.3〜0.7μmであることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれかに記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項6】
樹脂組成物中に占める(B)ルチル型繊維状酸化チタンの割合が5体積%以上40体積%以下であることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれかに記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項7】
樹脂組成物中に占める(B)ルチル型繊維状酸化チタンの割合が10体積%以上30体積%以下であることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれかに記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項8】
比誘電率実部が5以上、誘電正接が0.3以下であり、かつ体積抵抗率が1×1012Ωcm以上であることを特徴とする、請求項1ないし7のいずれかに記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項9】
少なくとも(a1)ポリフェニレンエーテル樹脂及び(a2)ポリスチレン樹脂、シンジオタクチックスチレン樹脂及びゴム成分含有スチレン樹脂より成る群から選ばれる少なくとも1種のポリスチレン系樹脂を含み、(a1)ポリフェニレンエーテル樹脂と(a2)ポリスチレン系樹脂の合計に占めるポリスチレン系樹脂の割合が25重量%以上75重量%以下である樹脂材料と、(B)ルチル型繊維状酸化チタンを溶融混練してなる樹脂組成物であって、含有されている(B)ルチル型繊維状酸化チタンの平均直径が0.3〜0.7μm、平均アスペクト比が4以上であり、且つ樹脂組成物中に占める(B)ルチル型繊維状酸化チタンの割合が10体積%以上30体積%以下であることを特徴とする誘電体用樹脂組成物。
【請求項10】
樹脂組成物中の(B)ルチル型繊維状酸化チタンの平均アスペクト比が5以上であることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれかに記載の誘電体用樹脂組成物。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の誘電体用樹脂組成物を射出成形してなることを特徴とする、誘電体アンテナ部品。
【請求項12】
請求項11に記載の誘電体アンテナ部品を用いることを特徴とする、誘電体アンテナ。

【公開番号】特開2010−24326(P2010−24326A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−186364(P2008−186364)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(594137579)三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 (609)
【Fターム(参考)】