誘電性の流体および強誘電性の流体を静電的に搬送するための方法と容量性装置
本発明は、第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体(3,4,5)と、第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有し、かつ、第1の流体(3,4,5)とは混ざらない、少なくとも1つの第2の流体(3,4,5)とを有する、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する方法および装置に関する。第1の流体(3,4,5)と第2の流体(3,4,5)との間には少なくとも1つの誘電性の境界面(16)が形成されている。少なくとも1つの境界面(16)は、この少なくとも1つの境界面(16)に作用する送り出し力(27’)を惹起する、送り出し方向に進むように励起される送り出し電界(19)に晒される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体媒体を搬送するための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な構成素子群、電子的な構成素子群またはマイクロメカニカル構成素子群および集積回路を冷却するために、液体または気体の流体をターボポンプまたは容積式ポンプによって押し流して対流が形成されている。循環される流体は冷却すべき構成素子の小さい加熱された表面から熱を熱拡散によって吸収し、その熱を系の表面(通常は、構成素子群の良好な熱伝導性を有するケーシング)に設けられている薄い薄片またはリブの形状で大きい表面を有するヒートシンクに伝達する。外部表面を流れる媒体は好適に作用し、これは熱伝達に悪影響を及ぼす境界層効果を抑制する。
【0003】
ポンプまたは送風機によって押し流される(強制的な)冷却媒体の循環は、熱拡散による受動的な熱伝送に比べて、高い構造的なコストが要求される。さらには、電気的または機械的な駆動出力が吸収され、これにより全体の損失出力が高まる。
【0004】
高いクロックレートで動作する、出力段トランジスタおよび電圧変換器のような電力用素子、高集積化されたマイクロコンピュータ、また他のディジタル回路(ASIC)の冷却は、殊に、損失出力密度が高く、動作環境が熱的に好適でない場合には、容積式ポンプまたはターボポンプ(送風機)を用いて空気または水を循環させることによって提供される。水または空気以外にも、自動車の機関部分における電子的な制御装置または機関および伝動装置の制御装置の冷却には熱交換媒体として燃料またはオイルが使用される。
【0005】
自動車構造における、例えば燃料の循環による電子的な機関制御装置の冷却は、管路、ポンプ、弁および熱交換機の長期にわたる耐久性および機密性に対してコスト的に高い要求を課す。通常の場合、冷却循環系から僅かな量の燃料が漏れるだけで電子機器は故障してしまう。
【0006】
さらには、対流をそれ自体で維持する原理に基づいた受動的な流体循環、殊にコンピュータ機器の領域に準備される「ヒートパイプ」が公知である。これは、気化冷却および自律的に維持される冷却対流を用いる熱伝達のための気密に閉じられた系を表す。使用される流体の沸点温度は冷却すべき熱源の熱的な動作領域内にある。液相は薄い管の内壁を湿らせ、気相を管の内側の蒸気圧によって動かし、ヒートシンクへと流すことができ、またヒートシンクにおいては気化熱を凝結によって熱交換機に伝達することができる。管の内壁を湿らす流体層の厚さは毛管現象によって制限されている。この毛管現象は比較的小さい管の直径しか許容せず、したがってヒートパイプの熱流断面を縮小する。
【0007】
さらには、熱伝的なペルティエ効果を基礎とするペルティエ素子を用いた電気的な冷却も公知である。その種の素子は、相互に接続されており、また下側の伝導帯エッジが異なるエネルギレベルを有している2つの半導体から構成されている。それらの半導体間の境界層にわたり電圧が印加され、エネルギ的に比較的高い伝導帯エッジを有する半導体(熱源)から、エネルギ的に比較的低い伝導帯エッジを有する半導体(ヒートシンク)へと電流が流れると、伝導電流と共に熱源からヒートシンクへの熱流も生じる。熱源からヒートシンクへ移動する電子は、比較的低い伝導帯エッジに緩和されることによって、熱源から取り上げた熱的な励起エネルギの一部をヒートシンクの結晶格子に伝達する。
【0008】
この熱伝的に誘導される熱流には熱拡散が抵抗し、さらに不可避なオーム損失は半導体材料を加熱する。したがってペルティエ素子の熱効率は他の公知の冷却機構に比べて低い。さらに場合によっては、ペルティエ素子は冷却すべき電子的な構成素子よりも多くの構造空間を必要とする。またペルティエ素子は比較的高価であり、したがって通常の場合、広範な用途に関しては使用されない。
【0009】
発明の概要
本発明によれば、少なくとも1つの熱交換媒体を搬送するための装置と方法が提供される。熱交換媒体は、第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体と、この第1の流体の第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有する少なくとも1つの第2の流体とを有し、液相の第1の流体は液相の第2の流体とは混ざらず、これによって第1の流体と第2の流体との間には少なくとも1つの誘電性の境界面が生じる。したがって、誘電率が異なる少なくとも2つの流体は層状化された誘電体を形成し、それらの流体を均一な材料または材料混合物から構成することができるか、乳濁液または混濁液から構成することができる。
【0010】
本発明による装置は容量性の装置を含み、この装置は隣接する少なくとも2つの電極を有し、これらの電極の間の中間空間には少なくとも1つの流路が延在しており、この流路内を少なくとも1つの熱交換媒体が流れる。本発明によれば、各電極は電圧制御装置の複数の電圧源のうちの1つとそれぞれ接続されているか、電荷制御装置の複数の電荷源のうちの1つとそれぞれ接続されており、各電極を他の電極から独立して充放電することができる。
【0011】
さらには、少なくとも1つの流路において本発明による電極装置を用いて少なくとも1つの電界が励起され、この電界は殊に、熱交換媒体における誘電率の異なる少なくとも2つの流体の誘電性の境界面の周辺に励起される。
【0012】
電界は誘電性の境界面の周辺において、電界を励起する電極の容量が増す方向に作用する送り出し力を惹起する。比較的誘電率の高い流体セクションは電極間の電界が生じている中間空間に向かって進み、比較的誘電率の低い流体セクションを押し出す。これによって、熱交換媒体はそれらの流体における凝集力に基づいて全体的に、前述の送り出し力の方向に向かって移動する。この作用は、電界を励起する電極の電圧が一定に維持されている場合であっても、また電荷が一定に維持されている場合であっても発生し、電界ベクトルの局所的な配向に依存しない。何故ならば、誘電性の流体および強誘電性のコロイドの分子双極子モーメントは、熱的な変動を除いて、局所的な電界に平行に配向されるからである(配向分極)。
【0013】
さらに本発明の1つの実施形態によれば、電界を励起する電極の容量(キャパシタンスマトリクス)を検出し、さらには、誘電率の異なる流体間の誘電性の境界面の位置を検出する方法が提供される。電極装置のクリップに容量性の測定装置、例えば容量性の測定ブリッジが接続されている。送り出し電界に基づいて誘電性の境界面が移動することによって、電界を励起しており、またその有効領域内に誘電性の境界面が位置している電極の容量を変化させる。電圧制御装置によって、電界を励起する電極に印加される電圧が変化される。これによって電極の容量が変化すると、誘電性の境界面は電極間の中間空間に位置する。これに対して、電極の容量が変化しなければ、電極間の中間空間における流路セクションは単一の流体で均一に満たされている。このようにして、あらゆる誘電性の境界面の位置が識別される。その容量が分析的に既知であるプレートコンデンサまたは円形シリンダ状のコンデンサのように電極幾何学が簡単または対称的である場合には、均一な誘電体ならびに層状化された誘電体を有する電界を励起する電極の容量(キャパシタンスマトリクス)を経験上、または数値計算法によって求めることができる。
【0014】
さらに本発明の1つの実施形態によれば、本発明による電極装置の電圧制御式または電荷制御式の進行的な充放電によって、少なくとも1つの熱交換媒体の少なくとも1つの流路、殊に熱交換媒体における誘電率の異なる少なくとも2つの流体間の誘電性の境界面の領域において、送り出し方向に進行する電界の励起が行われる方法が提供される。送り出しステップのあらゆる段階において、電極装置は、送り出し力が減衰しており、かつ、電界を励起する電極の容量がもはや増加しなくなるまで、誘電性の境界面を送り出し方向に押し進める電界の励起を維持する。本発明によれば、電荷は電圧制御装置または電荷制御装置によって、送り出し方向において隣接しており、また容量を増加させるために並列接続することができる電極へと伝達され、後続の送り出しステップが実施される。
【0015】
本発明によれば、電圧制御装置または電荷制御装置を用いた送り出し方法は、誘電性の境界面の容量を検出するための前述の方法によって求められる中間空間を有する電極のみを進行的に充電する。したがって、電界の励起はエネルギ的に好適には誘電性の境界面の周辺に限定されている。何故ならば、そのような周辺においてのみ送り出し力が熱交換媒体に作用するからである。送り出し電界は局所的に励起され、また、電界を励起する電極の容量がもはや増加せず、影響を受ける誘電性の境界面がもはや進まなくなり、したがって送り出しステップが終了するまで維持される。
【0016】
本発明による方法の1つの実施形態によれば、送り出しステップが電極クリップにおいて一時的に維持される電圧を用いて、または一時的に維持される電極の充電によって実施される。
【0017】
本発明による1つの実施形態によれば、電圧制御装置または電荷制御装置は、進行的に励起される送り出し電界に静的な電界を重畳させる。この静的な電界は、本発明による装置を包囲する媒体の誘電率が熱交換媒体における流体の誘電率よりも低い限り、熱交換媒体における誘電性の流体が本発明による装置から漏れることを阻止する。
【0018】
本発明の1つの実施形態によれば、熱交換媒体の流体のうちの少なくとも1つが均一な強誘電性の材料、殊に強誘電性の液晶から構成されているか、強誘電性のコロイドを含有する乳濁液または懸濁液から構成されている。
【0019】
本発明の1つの実施形態によれば、熱交換媒体は、誘電性の流体の液相から成る少なくとも1つの流体セクションと、この誘電性の流体の蒸気相から成る少なくとも1つの別の流体セクションとを有する。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、熱交換媒体に含まれる流体のうちの少なくとも1つの沸点温度は、冷却すべき熱源または加熱される少なくとも1つのヒートシンクの熱的な動作領域内にある。
【0021】
本発明の1つの実施形態によれば、誘電率が異なる流体セクション間の少なくとも1つの誘電性の境界面の流れ速度を検出する方法が提供され、この方法においては、熱交換媒体と共に流れる誘電性の境界面が存在する中間空間を有している、電界を励起する電極の容量の時間的な変化が検出される。
【0022】
本発明の1つの実施形態によれば、流れ速度を検出する方法を基礎として、誘電率が異なる流体セクション間の誘電性の境界面が進入している中間空間を有している種々の電極の容量変化の時間的な相関を用いて均一な流体セクションの長さを検出する方法が提供される。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、電極容量を検出し、誘電率の異なる流体セクション間の誘電性の境界面の位置を検出する方法を基礎として、流体密度および流体温度を検出する方法が提供される。この方法では、上述の方法にしたがい、熱交換媒体の均一な流体セクションが生じている中間を有している、電界を励起する電極が求められる。測定される容量は、誘電性の充填物が均一である場合には、流体の温度に依存する誘電性の配向分極にのみ依存する。永久的な分子双極子モーメントを有する流体、例えば水における温度と分極の関係はDebye式によって公知であり、また誘導双極子モーメントを有する流体に関してはClausius-Mossotti式から公知である。本発明によれば、電極の測定される容量ならびに誘電性の分極と誘電性の流体の温度との関数関係はマイクロコンピュータのプログラムにおける数値計算アルゴリズムとして表される。
【0024】
本発明によれば、このマイクロコンピュータのプログラムシーケンスにおける数値計算アルゴリズムが、測定された容量ならびに電極によって包囲されている均一な流体セクションの温度から、本発明により検出された流れ速度および流体の既知の比熱容量と共に、電界を励起する電極装置を通り抜ける熱流を検出する。
【0025】
殊に、本発明による装置の実施形態は誘電性の流体ならびに強誘電性の流体の静電的な対流の形成に適しており、また有利には、ロバスト性、メンテナンスの自由度および耐久性に関する高い要求を満たしていなければならない、自動車の機関および伝動装置の制御装置ならびに機関部分における電気的な構成素子群、電子的な構成素子群またはマイクロメカニカル的な構成素子群を冷却または加熱するための対流回路に使用される。
【0026】
さらには、本発明による装置の実施形態は、電荷容量の低い蓄電池を有する、ラップトップ、PDAなどのモバイル電子端末装置への使用に適している。これらのモバイル電子端末装置には、ポンプまたは送風機を用いて電気的に駆動される、電力を消費する冷却手段の対流を使用することができない。さらに本発明は、補助駆動部として、対流をそれ自体で維持する伝熱管(ヒートパイプ)における熱交換媒体の液相の循環に適している。
【0027】
本発明による装置の電極および流路は、小型の形状で多層の電子回路基板またはセラミック基板に埋め込むことに適しており、電極を電子的な構造素子群と相互接続することができ、また、冷却または加熱すべきマイクロエレクトロニクス構成素子群もしくはマイクロメカニカル構成素子群において可変容量のコンデンサとして使用することができる。
【0028】
流路の閉じられた外壁として構成されているワンピースの外部電極を用いる本発明の実施形態は電磁的に完全に遮蔽されている。電子的な構成素子および導体路のシグナルインテグリティが損なわれることはなく、送り出し電界が一時的に励起されている間に電極における妨害的な電磁放射は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による装置の第1の実施形態の断面図を示す。
【図2】電圧制御装置または電荷制御装置が対応付けられている第1の実施形態を示す。
【図3】電極電圧が維持される本方法の第1の実施方式の第1の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図4】電極電圧が維持される本方法の第1の実施方式の第2の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図5】電極電圧が維持される本方法の第1の実施方式の第3の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図6】電極電荷が維持される本方法の第1の実施方式の第1の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図7】電極電荷が維持される本方法の第1の実施方式の第2の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図8】電極電荷が維持される本方法の第1の実施方式の第3の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図9】ワンピースの内部電極を有する本発明による装置の第2の実施形態を示す。
【図10】第1の実施形態が埋め込まれており、また2つの別個の流路を有する第3の実施形態を示す。
【図11】伝熱管(ヒートパイプ)と接続されている第4の実施形態を示す。
【図12】電圧源または電荷源と接続されている第5の実施形態を示す。
【図13】電圧源または電荷源と接続されている第6の実施形態を示す。
【図14】電圧源または電荷源と接続されている、内部電極を有していない第7の実施形態を示す。
【図15】電圧源または電荷源と接続されており、ずらされた外部電極を有し、また内部電極を有していない第8の実施形態を示す。
【図16】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第1の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図17】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第2の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図18】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第3の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図19】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第4の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図20】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第1の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図21】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第2の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図22】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第3の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図23】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第4の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図24】積層化されて重なっているプレート電極を有し、また電圧源が対応付けられている第9の実施形態の横断面図を示す。
【図25】半径方向に積層化されているか、巻き付けられている円形シリンダ状の電極を有し、また電圧源が対応付けられている第10の実施形態の横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1から図23はそれぞれ、熱交換媒体の送り出し方向に沿った縦断面における、本発明による装置の実施形態の一部を示す。
【0031】
図1は、熱交換媒体2を搬送するための本発明による装置の第1の実施形態1を示す。熱交換媒体2は、第1の誘電率ε1を有する第1の誘電性流体セクション3’と、第2の誘電率ε2を有する第2の誘電性流体セクション4’と、第3の誘電率ε3を有する第3の誘電性流体セクション5’とを有する。この際、第2の誘電率ε2は第1の誘電率ε1および第3の誘電率ε3とは異なっている。混ざらない流体3,4,5は誘電性の境界面16を形成し、したがって熱交換媒体2の流れ方向において層状化された誘電体が形成されている。さらに、ワンピースの閉じられた外部電極12が設けられており、この外部電極12は流路6の外壁12’として構成されており、また、内部電極7,8,9および10を包囲する。これらの内部電極7,8,9および10は送り出し方向に沿って配置されており、またマルチピースで実施されている1つの内部電極11を形成する。外部電極12および内部電極11は相互に電気的に分離されている。電極装置14の外部電極12および内部電極7,8,9,10は、熱交換媒体2が流れる流路6を形成する中間空間を有する。
【0032】
第1の実施形態1の1つの発展形態によれば、第1のプレート状の外部電極12と、この外部電極12とは別個の第2のプレート状の外部電極13とが設けられている。さらには、内部電極7,8,9がプレート状に構成されており、また、外部電極12および13とは別個に構成されている。外部電極12および13は熱交換媒体2を収容する流路6の外壁12’,13’として構成されている。紙面に対して平行に設けられている流路6の別の外壁は図1の断面図には示していない。
【0033】
図2にも第1の実施形態が示されているが、この図2では電極装置に電圧制御装置17が対応付けられており、この電圧制御装置17は独立して制御される電圧源U0,U1,U2,U3およびU4を有する。これらの電圧源U0,U1,U2,U3およびU4は、それぞれ個別の給電線21を介して、複数ある内部電極7,8,9,10のうちの1つと電気的に接続されている。内部電極7,8,9,10の充放電を相互に独立して実施することができる。外部電極12および13は基準電位18と電気的に接続されている。
【0034】
第1の実施形態1の1つの発展形態によれば、各内部電極7,8,9,10はそれぞれ個別の給電線21を介して、電子的な電荷制御装置20における複数の電荷源のうちの1つと接続されている。
【0035】
電圧制御装置17または電荷制御装置20を用いて、電極装置14を可変容量の容量性回路網(キャパシタンスマトリクス)と相互接続することができる。
【0036】
図3から図8は、電界を励起する電極装置14の電圧制御式または電荷制御式の充放電によって進行的な送り出し電界19が局所的に励起される、本装置の第1の実施形態1において本発明による方法を第1の実施方式で実施した際の送り出しステップ24,25,26を連続的に示したものである。送り出しステップ24,25および26の各ステップにおいて、局所的な電界の励起19’’は電極電圧または電極電荷が維持されている場合、境界面16に作用する送り出し力27’’が減衰するまで維持される。誘電率ε2を有する流体4と誘電率ε1を有する流体3との間の誘電性の境界面16の領域においては、電極装置14が局所的な電界19’を励起し、この局所的な電界19’は境界面16を送り出し方向27に押し進めるものであり、したがって境界面16に作用する送り出し力27’を惹起するものである。比較的高い誘電率ε2>ε1を有する流体セクション4’は、電極装置14において電界が生じている中間空間へと進行し、比較的低い誘電率ε1を有する流体3を押し出す。これによって、流体3,4における凝集力に基づき、熱交換媒体2は全体的に流路6を通って流れ送り出し力27’が作用する方向へとさらに流れていく。送り出し力27’が消失すると、送り出しステップ24,25,26は即座に終了する。すなわち、電圧制御装置17または電荷制御装置20を用いた電界の励起が、電極装置14において送り出し方向27に隣接している電極に移行することによって次のステップが開始される。
【0037】
図3から図5は、電圧制御装置17によってスイッチングされる電極電圧が一時的に維持される場合に、第1の実施形態1において熱交換媒体2が送り出される経過を示している。
【0038】
図3による送り出しステップ24では、電圧制御装置17が内部電極8と外部電極12との間に電圧UCを印加することによって、内部電極8および外部電極12はそれらの電極の中間空間において局所的な電界19’を励起する。送り出し電界19は誘電性の境界面16を内部電極8と外部電極12との間の中間空間に引き寄せる。
【0039】
比較的高い誘電率ε2を有する流体セクション4’が内部電極8と外部電極12との間の中間空間を満たし、また、本発明にしたがい検出された電極容量がもはや増加しなくなると、電圧制御装置17は即座に、図4による送り出しステップ25において、内部電極8と外部電極12との間の電圧UA=UCに加え、内部電極9と外部電極12との間に電圧UB=−UCを印加する。これによって内部電極8と内部電極9との間に電位差2・UCが生じ、電界19’は誘電性の境界面16を内部電極8と内部電極9との間の中間空間に引き寄せる。
【0040】
誘電性の境界面16の領域に作用する送り出し力27’が減衰し、また、本発明にしたがい検出された内部電極8と内部電極9のペアの容量がもはや増加しなくなると、電圧制御装置17は即座に、図5による送り出しステップ26において、内部電極8と外部電極12との間に印加される電圧を0にするので、送り出し電界19’は内部電極9と外部電極12との間の中間空間に限定され、この中間空間においては進行的な誘電性の境界面16の周辺の熱交換媒体2に送り出し力27’が作用する。
【0041】
印加される電圧Uおよび容量Cに応じて、電界を励起する電極装置14における静電エネルギは以下のようになる。
We=1/2CU2
【0042】
比較的高い誘電率ε2>ε1を有する流体セクションが電界を励起する電極間の中間空間の区間sに進入すると、容量C(s)は増加する。単位長当りの容量
k(s):=dC/ds
は0より大きい。無限小の区間δsに沿った容量変化δC=kδsによってWeも式
δWe=1/2U2δC=1/2U2kδs
にしたがい変化する。
【0043】
一定の電圧Uの下では電荷量δQ=UδCまたは−δQが電極に流れ、電圧源からエネルギ
δWq=UδQ=U2δC=2δWe
が取り出される。FDが誘電性の境界面16に作用する力27を表し、δWm=FDδsが行われる機械的な仕事量を表し、エネルギ収支がWq = We + Wmで表されるならば、これにより次式が成り立つ:
δWq=δWe+δWm
δWm=δWe=1/2U2kδs⇒
FD=1/2U2k
【0044】
電極装置が部分的にシリンダ状である場合、すなわちこの部分における断面および単位長当りの容量が流れ方向に沿って一定である場合、単位長当りの容量k、したがって力FDは誘電性の境界面16の位置に依存しない。
【0045】
図6から図8は、電荷制御装置20によって電極に供給され、また電極から除去される電荷が一時的に維持される場合に、第1の実施形態1において進行的に電界の励起19’’が行われる際の熱交換媒体2の送り出しステップを示す。
【0046】
図6による送り出しステップ24においては、電荷制御装置20が電荷源から電荷QCを内部電極8に供給し、外部電極12が基準電位18に置かれる。内部電極8および外部電極12がその中間空間において局所的な電界19’を励起すると、その中間空間に境界面16が進入する。比較的高い誘電率ε2を有する流体セクション4’が内部電極8と外部電極12との間の中間空間を満たし、また、本発明にしたがい検出された電極容量がもはや増加しなくなると、電荷制御装置20は即座に、図7による送り出しステップ25において、内部電極9に電荷−QCを供給する。これによって内部電極8と内部電極9との間に電位差2・QCが生じ、電界19’は誘電性の境界面16を内部電極8と内部電極9との間の中間空間に引き寄せる。
【0047】
誘電性の境界面16の周辺に作用する送り出し力27’が減衰し、また、本発明にしたがい検出された内部電極8と内部電極9のペアの容量がもはや増加しなくなると、電荷制御装置20は即座に、図8による送り出しステップ26において、内部電極8から電荷QCを除去する。これによって送り出し電界19は内部電極9と外部電極12との間の中間空間に限定され、この中間空間においては進行的な誘電性の境界面16の領域にある熱交換媒体2に送り出し力27’が作用する。
【0048】
電荷Qに応じて、電界を励起する電極装置14の静電エネルギは以下のようになる。
We=1/2Q2/C
電極電荷Qが一定である場合の容量変化δC=kδsはWeを式
δWe=−1/2(Q2/C2)kδs
にしたがい変化させる。
【0049】
電極クリップが開かれている場合には電圧源からエネルギは取り出されない:
δWq=UδQ=0
【0050】
したがって、電極装置14のエネルギWe+Wmは誘電体と共に維持される:
δWe+δWm=0⇔δWm=−δWe=1/2(Q2/C2)kδs
【0051】
誘電性の境界面16に作用する力は以下のようになる:
FD=1/2(Q2/C2)k
【0052】
電極装置14が長さHの一部に沿ってシリンダ状であり、かつ、h<Hが誘電性の境界面16の進入深さを表す場合、長さHの方向において層状化された誘電体を有するシリンダ状のコンデンサが生じ、その容量は以下のようになる:
C(h)=k0[ε2h+(H−h)ε1]=k0[(ε2−ε1)h+Hε1]
ただし、k0は誘電体を有さないコンデンサの一定の単位長当りの容量である。したがって、軸方向に層状化されたシリンダ状コンデンサの単位長当りの容量は縁部電界および散乱電界を無視すれば以下のようになる:
k=dC/dh=k0(ε2−ε1)
【0053】
誘電性の境界面16に作用する力FD=1/2U2k0(ε2−ε1)またはFD=1/2(Q/C)2k0(ε2−ε1)は、電圧が維持されて電界が均一である場合、進入深さh<Hには依存しない。電荷Qが維持される場合、力FDは進入深さhおよび容量C(h)が大きくなるにつれ低減する。間隔dを空けて配置されている幅bのプレート電極に関しては
k0=ε0b/d(誘電定数ε0=8.85・10−12F/m)
であり、また、半径rA(外部電極の内径)およびrB(内部電極の外径)を有する円形シリンダ状の内部電極および外部電極に関しては
k0=2πε0/ln(rA/rB)
である。
【0054】
図9は、本発明による装置の第2の実施形態31を示す。この第2の実施形態31は、熱交換媒体2の流れ方向30においてワンピースの一貫した内部電極11と、絶縁性の材料から構成されているワンピースの閉じられた外壁40とを有する。流れ方向30に沿って、電気的に相互に分離されている、個別化された外部電極32が配置されており、これらの外部電極32は外壁40に埋め込まれているか、外壁40上に取り付けられている。外部電極32および内部電極11は相互に電気的に分離されている。内部電極11と、外壁40および外部電極32によって形成される流壁40’との間の空間は熱交換媒体2の流路6を形成する。
【0055】
第2の実施形態31の1つの発展形態によれば、外壁40および外壁41はプレート状に絶縁性の材料から構成されており、また内部電極11および外部電極32も同様にプレート状に構成されている。流路6の別の側方の外壁は図9には示していない。技術的に有利には、外壁40および41、内部電極11ならびに外部電極32は円形または矩形の断面を有する。
【0056】
図10は、本発明による装置の第3の実施形態33を示し、この第3の実施形態33は、第2の実施形態31を基礎として、この第2の実施形態31の内部電極11を第1の実施形態1による内部電極に置換することによって得られる。第1の実施形態が埋め込まれた形態を表している、閉じられた一貫した外部電極12および13は、第3の実施形態33において、分離され個別化されている外部電極32に対する内部電極として機能する。第1の実施形態が埋め込まれた形態を表しており、同様に流体セクション4’および5’が流れる内側流路6の他に、閉じられた外部電極12および外部電極13と、外壁40および41との間の空間には外側流路60が生じており、この外側流路60においては、流体セクション37’および38’を有する別の熱交換媒体66が第1の熱交換媒体2に依存せずに別個に押し進められる。本発明によれば、内側流路6において第1の送り出し電界19が励起され、外側流路60において第1の送り出し電界19には依存しない第2の送り出し電界が励起される。
【0057】
図11は、本発明による装置の第4の実施形態35を示す。第4の実施形態35は、第3の実施形態33を基礎として、第1の実施形態1を埋め込んだ形態において内部電極7,8,9および10を省略することによって得られる。ワンピースの閉じられた電極12の内側空間またはプレート状の別個の電極12および13の中間空間には、伝熱管(ヒートパイプ)34の熱交換媒体66の気相66(蒸気相)が流れる。熱交換媒体66の混ざらない液相37および38は第3の実施形態33と同様に外側流路60を流れるが、この流れ方向は気相36の流れ方向30とは反対である。
【0058】
図12は本発明による装置の第5の実施形態39を示し、この第5の実施形態39においては、第1の実施形態と同様の内部電極11と、第2の実施形態と同様の外部電極32ならびに外壁40および41とがマルチピースで相互に隔てられて実施されている。内部電極11および外部電極32の端部は流れ方向30において同一平面上に配向されており、またそれらの電極11および32を部分的に閉じられた管として実施することができるか、プレート状に実施することができる。さらに各電極11および32は、電圧制御装置17の複数ある独立制御式の電圧源のうちの1つUA1〜UA4,UB1〜UB4,UE1〜UE4と電気的に接続されているか、電荷制御装置20の複数ある独立制御式の電荷源のうちの1つと電気的に接続されている。
【0059】
図13は、本発明による装置の第6の実施形態43を示す。第6の実施形態43は、第5の実施形態39を基礎として、外部電極32の端部と内部電極11の端部が流れ方向30においてずらされて配置されることによって得られる。
【0060】
図14は、本発明による装置の第7の実施形態44を示す。この第7の実施形態44は、第6の実施形態43を基礎として、接続されている電圧制御装置17または電荷制御装置20と共に内部電極11を省略することによって得られる。
【0061】
図15は、本発明による装置の第8の実施形態47を示す。この第8の実施形態47は、第7の実施形態44を基礎として、外壁40に埋め込まれた外部電極32の端部と、対向する外壁41に埋め込まれた外部電極32の端部とが流れ方向30において相互にずらされて配置されることによって得られる。
【0062】
図16から図19は、それぞれ3つの電極32全体にわたり広がる、送り出し方向27における進行的な電界励起19’’を用いる、本装置の第8の実施形態44における本発明による方法の第2の実施方式を示す。電界線は送り出し方向27に対して斜めの方向に誘電性の境界層16を歪める。図面は電界線を質的にのみ正確に表したものであり、表面電圧および毛管現象を考慮していない。
【0063】
図20から図23は、送り出し方向27を横断する方向において対向しており、また相互にずらされて配置されている電極32のそれぞれのペアによって行われる進行的な電界励起19’’を用いる、本発明による装置の第8の実施形態44における本発明による方法の第3の実施方式を示す。電界線は誘電性の境界面16を歪める。境界面16は同様に、図16から図19においては質的に表されている。
【0064】
図24および図25には、本装置の第9の実施形態47および第10の実施形態48がそれぞれ横断面図で示されており、図面の紙面は流れ方向30ないし送り出し方向27に対して直交している。従来のレイヤタイプのコンデンサまたはロールタイプのコンデンサのように、高い単位長当りの容量、したがって高い送り出し力27’は、薄い内部電極49を積層して配置するか、または巻き付けるように配置することによって達成される。電解コンデンサにおいて使用されるような電解支持フィルムの代わりに、または、フィルムコンデンサにおいて使用されるようなプラスチック誘電体の代わりに、送り出し方向27において透過性のサポートフィルム50が設けられている。
【0065】
図24は、層状に配置されているプレート状の個別化された電極49を示す。これらの電極49は閉じられた導電性の流壁12によって包囲されており、この流壁12は矩形の断面を有し、かつ、基準電位18に置かれている。電極49および流壁12は相互に隔てられて配置されている。さらに、内部電極49は電圧制御装置17の電圧源または電荷制御装置20の電荷源と電気的に接続されている。
【0066】
図25は、半径方向において層状に配置されている、円形のリング状の個別化された電極49を示す。これらの電極49は閉じられた導電性の流壁12によって包囲されており、この流壁12は円形の断面を有し、かつ、基準電位18に置かれている。電極49および流壁12は相互に隔てられて配置されている。さらに、内部電極49は電圧制御装置17の電圧源または電荷制御装置20の電荷源と電気的に接続されている。
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体媒体を搬送するための装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気的な構成素子群、電子的な構成素子群またはマイクロメカニカル構成素子群および集積回路を冷却するために、液体または気体の流体をターボポンプまたは容積式ポンプによって押し流して対流が形成されている。循環される流体は冷却すべき構成素子の小さい加熱された表面から熱を熱拡散によって吸収し、その熱を系の表面(通常は、構成素子群の良好な熱伝導性を有するケーシング)に設けられている薄い薄片またはリブの形状で大きい表面を有するヒートシンクに伝達する。外部表面を流れる媒体は好適に作用し、これは熱伝達に悪影響を及ぼす境界層効果を抑制する。
【0003】
ポンプまたは送風機によって押し流される(強制的な)冷却媒体の循環は、熱拡散による受動的な熱伝送に比べて、高い構造的なコストが要求される。さらには、電気的または機械的な駆動出力が吸収され、これにより全体の損失出力が高まる。
【0004】
高いクロックレートで動作する、出力段トランジスタおよび電圧変換器のような電力用素子、高集積化されたマイクロコンピュータ、また他のディジタル回路(ASIC)の冷却は、殊に、損失出力密度が高く、動作環境が熱的に好適でない場合には、容積式ポンプまたはターボポンプ(送風機)を用いて空気または水を循環させることによって提供される。水または空気以外にも、自動車の機関部分における電子的な制御装置または機関および伝動装置の制御装置の冷却には熱交換媒体として燃料またはオイルが使用される。
【0005】
自動車構造における、例えば燃料の循環による電子的な機関制御装置の冷却は、管路、ポンプ、弁および熱交換機の長期にわたる耐久性および機密性に対してコスト的に高い要求を課す。通常の場合、冷却循環系から僅かな量の燃料が漏れるだけで電子機器は故障してしまう。
【0006】
さらには、対流をそれ自体で維持する原理に基づいた受動的な流体循環、殊にコンピュータ機器の領域に準備される「ヒートパイプ」が公知である。これは、気化冷却および自律的に維持される冷却対流を用いる熱伝達のための気密に閉じられた系を表す。使用される流体の沸点温度は冷却すべき熱源の熱的な動作領域内にある。液相は薄い管の内壁を湿らせ、気相を管の内側の蒸気圧によって動かし、ヒートシンクへと流すことができ、またヒートシンクにおいては気化熱を凝結によって熱交換機に伝達することができる。管の内壁を湿らす流体層の厚さは毛管現象によって制限されている。この毛管現象は比較的小さい管の直径しか許容せず、したがってヒートパイプの熱流断面を縮小する。
【0007】
さらには、熱伝的なペルティエ効果を基礎とするペルティエ素子を用いた電気的な冷却も公知である。その種の素子は、相互に接続されており、また下側の伝導帯エッジが異なるエネルギレベルを有している2つの半導体から構成されている。それらの半導体間の境界層にわたり電圧が印加され、エネルギ的に比較的高い伝導帯エッジを有する半導体(熱源)から、エネルギ的に比較的低い伝導帯エッジを有する半導体(ヒートシンク)へと電流が流れると、伝導電流と共に熱源からヒートシンクへの熱流も生じる。熱源からヒートシンクへ移動する電子は、比較的低い伝導帯エッジに緩和されることによって、熱源から取り上げた熱的な励起エネルギの一部をヒートシンクの結晶格子に伝達する。
【0008】
この熱伝的に誘導される熱流には熱拡散が抵抗し、さらに不可避なオーム損失は半導体材料を加熱する。したがってペルティエ素子の熱効率は他の公知の冷却機構に比べて低い。さらに場合によっては、ペルティエ素子は冷却すべき電子的な構成素子よりも多くの構造空間を必要とする。またペルティエ素子は比較的高価であり、したがって通常の場合、広範な用途に関しては使用されない。
【0009】
発明の概要
本発明によれば、少なくとも1つの熱交換媒体を搬送するための装置と方法が提供される。熱交換媒体は、第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体と、この第1の流体の第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有する少なくとも1つの第2の流体とを有し、液相の第1の流体は液相の第2の流体とは混ざらず、これによって第1の流体と第2の流体との間には少なくとも1つの誘電性の境界面が生じる。したがって、誘電率が異なる少なくとも2つの流体は層状化された誘電体を形成し、それらの流体を均一な材料または材料混合物から構成することができるか、乳濁液または混濁液から構成することができる。
【0010】
本発明による装置は容量性の装置を含み、この装置は隣接する少なくとも2つの電極を有し、これらの電極の間の中間空間には少なくとも1つの流路が延在しており、この流路内を少なくとも1つの熱交換媒体が流れる。本発明によれば、各電極は電圧制御装置の複数の電圧源のうちの1つとそれぞれ接続されているか、電荷制御装置の複数の電荷源のうちの1つとそれぞれ接続されており、各電極を他の電極から独立して充放電することができる。
【0011】
さらには、少なくとも1つの流路において本発明による電極装置を用いて少なくとも1つの電界が励起され、この電界は殊に、熱交換媒体における誘電率の異なる少なくとも2つの流体の誘電性の境界面の周辺に励起される。
【0012】
電界は誘電性の境界面の周辺において、電界を励起する電極の容量が増す方向に作用する送り出し力を惹起する。比較的誘電率の高い流体セクションは電極間の電界が生じている中間空間に向かって進み、比較的誘電率の低い流体セクションを押し出す。これによって、熱交換媒体はそれらの流体における凝集力に基づいて全体的に、前述の送り出し力の方向に向かって移動する。この作用は、電界を励起する電極の電圧が一定に維持されている場合であっても、また電荷が一定に維持されている場合であっても発生し、電界ベクトルの局所的な配向に依存しない。何故ならば、誘電性の流体および強誘電性のコロイドの分子双極子モーメントは、熱的な変動を除いて、局所的な電界に平行に配向されるからである(配向分極)。
【0013】
さらに本発明の1つの実施形態によれば、電界を励起する電極の容量(キャパシタンスマトリクス)を検出し、さらには、誘電率の異なる流体間の誘電性の境界面の位置を検出する方法が提供される。電極装置のクリップに容量性の測定装置、例えば容量性の測定ブリッジが接続されている。送り出し電界に基づいて誘電性の境界面が移動することによって、電界を励起しており、またその有効領域内に誘電性の境界面が位置している電極の容量を変化させる。電圧制御装置によって、電界を励起する電極に印加される電圧が変化される。これによって電極の容量が変化すると、誘電性の境界面は電極間の中間空間に位置する。これに対して、電極の容量が変化しなければ、電極間の中間空間における流路セクションは単一の流体で均一に満たされている。このようにして、あらゆる誘電性の境界面の位置が識別される。その容量が分析的に既知であるプレートコンデンサまたは円形シリンダ状のコンデンサのように電極幾何学が簡単または対称的である場合には、均一な誘電体ならびに層状化された誘電体を有する電界を励起する電極の容量(キャパシタンスマトリクス)を経験上、または数値計算法によって求めることができる。
【0014】
さらに本発明の1つの実施形態によれば、本発明による電極装置の電圧制御式または電荷制御式の進行的な充放電によって、少なくとも1つの熱交換媒体の少なくとも1つの流路、殊に熱交換媒体における誘電率の異なる少なくとも2つの流体間の誘電性の境界面の領域において、送り出し方向に進行する電界の励起が行われる方法が提供される。送り出しステップのあらゆる段階において、電極装置は、送り出し力が減衰しており、かつ、電界を励起する電極の容量がもはや増加しなくなるまで、誘電性の境界面を送り出し方向に押し進める電界の励起を維持する。本発明によれば、電荷は電圧制御装置または電荷制御装置によって、送り出し方向において隣接しており、また容量を増加させるために並列接続することができる電極へと伝達され、後続の送り出しステップが実施される。
【0015】
本発明によれば、電圧制御装置または電荷制御装置を用いた送り出し方法は、誘電性の境界面の容量を検出するための前述の方法によって求められる中間空間を有する電極のみを進行的に充電する。したがって、電界の励起はエネルギ的に好適には誘電性の境界面の周辺に限定されている。何故ならば、そのような周辺においてのみ送り出し力が熱交換媒体に作用するからである。送り出し電界は局所的に励起され、また、電界を励起する電極の容量がもはや増加せず、影響を受ける誘電性の境界面がもはや進まなくなり、したがって送り出しステップが終了するまで維持される。
【0016】
本発明による方法の1つの実施形態によれば、送り出しステップが電極クリップにおいて一時的に維持される電圧を用いて、または一時的に維持される電極の充電によって実施される。
【0017】
本発明による1つの実施形態によれば、電圧制御装置または電荷制御装置は、進行的に励起される送り出し電界に静的な電界を重畳させる。この静的な電界は、本発明による装置を包囲する媒体の誘電率が熱交換媒体における流体の誘電率よりも低い限り、熱交換媒体における誘電性の流体が本発明による装置から漏れることを阻止する。
【0018】
本発明の1つの実施形態によれば、熱交換媒体の流体のうちの少なくとも1つが均一な強誘電性の材料、殊に強誘電性の液晶から構成されているか、強誘電性のコロイドを含有する乳濁液または懸濁液から構成されている。
【0019】
本発明の1つの実施形態によれば、熱交換媒体は、誘電性の流体の液相から成る少なくとも1つの流体セクションと、この誘電性の流体の蒸気相から成る少なくとも1つの別の流体セクションとを有する。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、熱交換媒体に含まれる流体のうちの少なくとも1つの沸点温度は、冷却すべき熱源または加熱される少なくとも1つのヒートシンクの熱的な動作領域内にある。
【0021】
本発明の1つの実施形態によれば、誘電率が異なる流体セクション間の少なくとも1つの誘電性の境界面の流れ速度を検出する方法が提供され、この方法においては、熱交換媒体と共に流れる誘電性の境界面が存在する中間空間を有している、電界を励起する電極の容量の時間的な変化が検出される。
【0022】
本発明の1つの実施形態によれば、流れ速度を検出する方法を基礎として、誘電率が異なる流体セクション間の誘電性の境界面が進入している中間空間を有している種々の電極の容量変化の時間的な相関を用いて均一な流体セクションの長さを検出する方法が提供される。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、電極容量を検出し、誘電率の異なる流体セクション間の誘電性の境界面の位置を検出する方法を基礎として、流体密度および流体温度を検出する方法が提供される。この方法では、上述の方法にしたがい、熱交換媒体の均一な流体セクションが生じている中間を有している、電界を励起する電極が求められる。測定される容量は、誘電性の充填物が均一である場合には、流体の温度に依存する誘電性の配向分極にのみ依存する。永久的な分子双極子モーメントを有する流体、例えば水における温度と分極の関係はDebye式によって公知であり、また誘導双極子モーメントを有する流体に関してはClausius-Mossotti式から公知である。本発明によれば、電極の測定される容量ならびに誘電性の分極と誘電性の流体の温度との関数関係はマイクロコンピュータのプログラムにおける数値計算アルゴリズムとして表される。
【0024】
本発明によれば、このマイクロコンピュータのプログラムシーケンスにおける数値計算アルゴリズムが、測定された容量ならびに電極によって包囲されている均一な流体セクションの温度から、本発明により検出された流れ速度および流体の既知の比熱容量と共に、電界を励起する電極装置を通り抜ける熱流を検出する。
【0025】
殊に、本発明による装置の実施形態は誘電性の流体ならびに強誘電性の流体の静電的な対流の形成に適しており、また有利には、ロバスト性、メンテナンスの自由度および耐久性に関する高い要求を満たしていなければならない、自動車の機関および伝動装置の制御装置ならびに機関部分における電気的な構成素子群、電子的な構成素子群またはマイクロメカニカル的な構成素子群を冷却または加熱するための対流回路に使用される。
【0026】
さらには、本発明による装置の実施形態は、電荷容量の低い蓄電池を有する、ラップトップ、PDAなどのモバイル電子端末装置への使用に適している。これらのモバイル電子端末装置には、ポンプまたは送風機を用いて電気的に駆動される、電力を消費する冷却手段の対流を使用することができない。さらに本発明は、補助駆動部として、対流をそれ自体で維持する伝熱管(ヒートパイプ)における熱交換媒体の液相の循環に適している。
【0027】
本発明による装置の電極および流路は、小型の形状で多層の電子回路基板またはセラミック基板に埋め込むことに適しており、電極を電子的な構造素子群と相互接続することができ、また、冷却または加熱すべきマイクロエレクトロニクス構成素子群もしくはマイクロメカニカル構成素子群において可変容量のコンデンサとして使用することができる。
【0028】
流路の閉じられた外壁として構成されているワンピースの外部電極を用いる本発明の実施形態は電磁的に完全に遮蔽されている。電子的な構成素子および導体路のシグナルインテグリティが損なわれることはなく、送り出し電界が一時的に励起されている間に電極における妨害的な電磁放射は生じない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明による装置の第1の実施形態の断面図を示す。
【図2】電圧制御装置または電荷制御装置が対応付けられている第1の実施形態を示す。
【図3】電極電圧が維持される本方法の第1の実施方式の第1の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図4】電極電圧が維持される本方法の第1の実施方式の第2の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図5】電極電圧が維持される本方法の第1の実施方式の第3の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図6】電極電荷が維持される本方法の第1の実施方式の第1の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図7】電極電荷が維持される本方法の第1の実施方式の第2の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図8】電極電荷が維持される本方法の第1の実施方式の第3の送り出しステップにおける第1の実施形態を示す。
【図9】ワンピースの内部電極を有する本発明による装置の第2の実施形態を示す。
【図10】第1の実施形態が埋め込まれており、また2つの別個の流路を有する第3の実施形態を示す。
【図11】伝熱管(ヒートパイプ)と接続されている第4の実施形態を示す。
【図12】電圧源または電荷源と接続されている第5の実施形態を示す。
【図13】電圧源または電荷源と接続されている第6の実施形態を示す。
【図14】電圧源または電荷源と接続されている、内部電極を有していない第7の実施形態を示す。
【図15】電圧源または電荷源と接続されており、ずらされた外部電極を有し、また内部電極を有していない第8の実施形態を示す。
【図16】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第1の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図17】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第2の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図18】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第3の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図19】本方法の第2の実施方式により電界が励起された状態にある、第4の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図20】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第1の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図21】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第2の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図22】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第3の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図23】本方法の第3の実施方式により電界が励起された状態にある、第4の送り出しステップにおける第8の実施形態を示す。
【図24】積層化されて重なっているプレート電極を有し、また電圧源が対応付けられている第9の実施形態の横断面図を示す。
【図25】半径方向に積層化されているか、巻き付けられている円形シリンダ状の電極を有し、また電圧源が対応付けられている第10の実施形態の横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1から図23はそれぞれ、熱交換媒体の送り出し方向に沿った縦断面における、本発明による装置の実施形態の一部を示す。
【0031】
図1は、熱交換媒体2を搬送するための本発明による装置の第1の実施形態1を示す。熱交換媒体2は、第1の誘電率ε1を有する第1の誘電性流体セクション3’と、第2の誘電率ε2を有する第2の誘電性流体セクション4’と、第3の誘電率ε3を有する第3の誘電性流体セクション5’とを有する。この際、第2の誘電率ε2は第1の誘電率ε1および第3の誘電率ε3とは異なっている。混ざらない流体3,4,5は誘電性の境界面16を形成し、したがって熱交換媒体2の流れ方向において層状化された誘電体が形成されている。さらに、ワンピースの閉じられた外部電極12が設けられており、この外部電極12は流路6の外壁12’として構成されており、また、内部電極7,8,9および10を包囲する。これらの内部電極7,8,9および10は送り出し方向に沿って配置されており、またマルチピースで実施されている1つの内部電極11を形成する。外部電極12および内部電極11は相互に電気的に分離されている。電極装置14の外部電極12および内部電極7,8,9,10は、熱交換媒体2が流れる流路6を形成する中間空間を有する。
【0032】
第1の実施形態1の1つの発展形態によれば、第1のプレート状の外部電極12と、この外部電極12とは別個の第2のプレート状の外部電極13とが設けられている。さらには、内部電極7,8,9がプレート状に構成されており、また、外部電極12および13とは別個に構成されている。外部電極12および13は熱交換媒体2を収容する流路6の外壁12’,13’として構成されている。紙面に対して平行に設けられている流路6の別の外壁は図1の断面図には示していない。
【0033】
図2にも第1の実施形態が示されているが、この図2では電極装置に電圧制御装置17が対応付けられており、この電圧制御装置17は独立して制御される電圧源U0,U1,U2,U3およびU4を有する。これらの電圧源U0,U1,U2,U3およびU4は、それぞれ個別の給電線21を介して、複数ある内部電極7,8,9,10のうちの1つと電気的に接続されている。内部電極7,8,9,10の充放電を相互に独立して実施することができる。外部電極12および13は基準電位18と電気的に接続されている。
【0034】
第1の実施形態1の1つの発展形態によれば、各内部電極7,8,9,10はそれぞれ個別の給電線21を介して、電子的な電荷制御装置20における複数の電荷源のうちの1つと接続されている。
【0035】
電圧制御装置17または電荷制御装置20を用いて、電極装置14を可変容量の容量性回路網(キャパシタンスマトリクス)と相互接続することができる。
【0036】
図3から図8は、電界を励起する電極装置14の電圧制御式または電荷制御式の充放電によって進行的な送り出し電界19が局所的に励起される、本装置の第1の実施形態1において本発明による方法を第1の実施方式で実施した際の送り出しステップ24,25,26を連続的に示したものである。送り出しステップ24,25および26の各ステップにおいて、局所的な電界の励起19’’は電極電圧または電極電荷が維持されている場合、境界面16に作用する送り出し力27’’が減衰するまで維持される。誘電率ε2を有する流体4と誘電率ε1を有する流体3との間の誘電性の境界面16の領域においては、電極装置14が局所的な電界19’を励起し、この局所的な電界19’は境界面16を送り出し方向27に押し進めるものであり、したがって境界面16に作用する送り出し力27’を惹起するものである。比較的高い誘電率ε2>ε1を有する流体セクション4’は、電極装置14において電界が生じている中間空間へと進行し、比較的低い誘電率ε1を有する流体3を押し出す。これによって、流体3,4における凝集力に基づき、熱交換媒体2は全体的に流路6を通って流れ送り出し力27’が作用する方向へとさらに流れていく。送り出し力27’が消失すると、送り出しステップ24,25,26は即座に終了する。すなわち、電圧制御装置17または電荷制御装置20を用いた電界の励起が、電極装置14において送り出し方向27に隣接している電極に移行することによって次のステップが開始される。
【0037】
図3から図5は、電圧制御装置17によってスイッチングされる電極電圧が一時的に維持される場合に、第1の実施形態1において熱交換媒体2が送り出される経過を示している。
【0038】
図3による送り出しステップ24では、電圧制御装置17が内部電極8と外部電極12との間に電圧UCを印加することによって、内部電極8および外部電極12はそれらの電極の中間空間において局所的な電界19’を励起する。送り出し電界19は誘電性の境界面16を内部電極8と外部電極12との間の中間空間に引き寄せる。
【0039】
比較的高い誘電率ε2を有する流体セクション4’が内部電極8と外部電極12との間の中間空間を満たし、また、本発明にしたがい検出された電極容量がもはや増加しなくなると、電圧制御装置17は即座に、図4による送り出しステップ25において、内部電極8と外部電極12との間の電圧UA=UCに加え、内部電極9と外部電極12との間に電圧UB=−UCを印加する。これによって内部電極8と内部電極9との間に電位差2・UCが生じ、電界19’は誘電性の境界面16を内部電極8と内部電極9との間の中間空間に引き寄せる。
【0040】
誘電性の境界面16の領域に作用する送り出し力27’が減衰し、また、本発明にしたがい検出された内部電極8と内部電極9のペアの容量がもはや増加しなくなると、電圧制御装置17は即座に、図5による送り出しステップ26において、内部電極8と外部電極12との間に印加される電圧を0にするので、送り出し電界19’は内部電極9と外部電極12との間の中間空間に限定され、この中間空間においては進行的な誘電性の境界面16の周辺の熱交換媒体2に送り出し力27’が作用する。
【0041】
印加される電圧Uおよび容量Cに応じて、電界を励起する電極装置14における静電エネルギは以下のようになる。
We=1/2CU2
【0042】
比較的高い誘電率ε2>ε1を有する流体セクションが電界を励起する電極間の中間空間の区間sに進入すると、容量C(s)は増加する。単位長当りの容量
k(s):=dC/ds
は0より大きい。無限小の区間δsに沿った容量変化δC=kδsによってWeも式
δWe=1/2U2δC=1/2U2kδs
にしたがい変化する。
【0043】
一定の電圧Uの下では電荷量δQ=UδCまたは−δQが電極に流れ、電圧源からエネルギ
δWq=UδQ=U2δC=2δWe
が取り出される。FDが誘電性の境界面16に作用する力27を表し、δWm=FDδsが行われる機械的な仕事量を表し、エネルギ収支がWq = We + Wmで表されるならば、これにより次式が成り立つ:
δWq=δWe+δWm
δWm=δWe=1/2U2kδs⇒
FD=1/2U2k
【0044】
電極装置が部分的にシリンダ状である場合、すなわちこの部分における断面および単位長当りの容量が流れ方向に沿って一定である場合、単位長当りの容量k、したがって力FDは誘電性の境界面16の位置に依存しない。
【0045】
図6から図8は、電荷制御装置20によって電極に供給され、また電極から除去される電荷が一時的に維持される場合に、第1の実施形態1において進行的に電界の励起19’’が行われる際の熱交換媒体2の送り出しステップを示す。
【0046】
図6による送り出しステップ24においては、電荷制御装置20が電荷源から電荷QCを内部電極8に供給し、外部電極12が基準電位18に置かれる。内部電極8および外部電極12がその中間空間において局所的な電界19’を励起すると、その中間空間に境界面16が進入する。比較的高い誘電率ε2を有する流体セクション4’が内部電極8と外部電極12との間の中間空間を満たし、また、本発明にしたがい検出された電極容量がもはや増加しなくなると、電荷制御装置20は即座に、図7による送り出しステップ25において、内部電極9に電荷−QCを供給する。これによって内部電極8と内部電極9との間に電位差2・QCが生じ、電界19’は誘電性の境界面16を内部電極8と内部電極9との間の中間空間に引き寄せる。
【0047】
誘電性の境界面16の周辺に作用する送り出し力27’が減衰し、また、本発明にしたがい検出された内部電極8と内部電極9のペアの容量がもはや増加しなくなると、電荷制御装置20は即座に、図8による送り出しステップ26において、内部電極8から電荷QCを除去する。これによって送り出し電界19は内部電極9と外部電極12との間の中間空間に限定され、この中間空間においては進行的な誘電性の境界面16の領域にある熱交換媒体2に送り出し力27’が作用する。
【0048】
電荷Qに応じて、電界を励起する電極装置14の静電エネルギは以下のようになる。
We=1/2Q2/C
電極電荷Qが一定である場合の容量変化δC=kδsはWeを式
δWe=−1/2(Q2/C2)kδs
にしたがい変化させる。
【0049】
電極クリップが開かれている場合には電圧源からエネルギは取り出されない:
δWq=UδQ=0
【0050】
したがって、電極装置14のエネルギWe+Wmは誘電体と共に維持される:
δWe+δWm=0⇔δWm=−δWe=1/2(Q2/C2)kδs
【0051】
誘電性の境界面16に作用する力は以下のようになる:
FD=1/2(Q2/C2)k
【0052】
電極装置14が長さHの一部に沿ってシリンダ状であり、かつ、h<Hが誘電性の境界面16の進入深さを表す場合、長さHの方向において層状化された誘電体を有するシリンダ状のコンデンサが生じ、その容量は以下のようになる:
C(h)=k0[ε2h+(H−h)ε1]=k0[(ε2−ε1)h+Hε1]
ただし、k0は誘電体を有さないコンデンサの一定の単位長当りの容量である。したがって、軸方向に層状化されたシリンダ状コンデンサの単位長当りの容量は縁部電界および散乱電界を無視すれば以下のようになる:
k=dC/dh=k0(ε2−ε1)
【0053】
誘電性の境界面16に作用する力FD=1/2U2k0(ε2−ε1)またはFD=1/2(Q/C)2k0(ε2−ε1)は、電圧が維持されて電界が均一である場合、進入深さh<Hには依存しない。電荷Qが維持される場合、力FDは進入深さhおよび容量C(h)が大きくなるにつれ低減する。間隔dを空けて配置されている幅bのプレート電極に関しては
k0=ε0b/d(誘電定数ε0=8.85・10−12F/m)
であり、また、半径rA(外部電極の内径)およびrB(内部電極の外径)を有する円形シリンダ状の内部電極および外部電極に関しては
k0=2πε0/ln(rA/rB)
である。
【0054】
図9は、本発明による装置の第2の実施形態31を示す。この第2の実施形態31は、熱交換媒体2の流れ方向30においてワンピースの一貫した内部電極11と、絶縁性の材料から構成されているワンピースの閉じられた外壁40とを有する。流れ方向30に沿って、電気的に相互に分離されている、個別化された外部電極32が配置されており、これらの外部電極32は外壁40に埋め込まれているか、外壁40上に取り付けられている。外部電極32および内部電極11は相互に電気的に分離されている。内部電極11と、外壁40および外部電極32によって形成される流壁40’との間の空間は熱交換媒体2の流路6を形成する。
【0055】
第2の実施形態31の1つの発展形態によれば、外壁40および外壁41はプレート状に絶縁性の材料から構成されており、また内部電極11および外部電極32も同様にプレート状に構成されている。流路6の別の側方の外壁は図9には示していない。技術的に有利には、外壁40および41、内部電極11ならびに外部電極32は円形または矩形の断面を有する。
【0056】
図10は、本発明による装置の第3の実施形態33を示し、この第3の実施形態33は、第2の実施形態31を基礎として、この第2の実施形態31の内部電極11を第1の実施形態1による内部電極に置換することによって得られる。第1の実施形態が埋め込まれた形態を表している、閉じられた一貫した外部電極12および13は、第3の実施形態33において、分離され個別化されている外部電極32に対する内部電極として機能する。第1の実施形態が埋め込まれた形態を表しており、同様に流体セクション4’および5’が流れる内側流路6の他に、閉じられた外部電極12および外部電極13と、外壁40および41との間の空間には外側流路60が生じており、この外側流路60においては、流体セクション37’および38’を有する別の熱交換媒体66が第1の熱交換媒体2に依存せずに別個に押し進められる。本発明によれば、内側流路6において第1の送り出し電界19が励起され、外側流路60において第1の送り出し電界19には依存しない第2の送り出し電界が励起される。
【0057】
図11は、本発明による装置の第4の実施形態35を示す。第4の実施形態35は、第3の実施形態33を基礎として、第1の実施形態1を埋め込んだ形態において内部電極7,8,9および10を省略することによって得られる。ワンピースの閉じられた電極12の内側空間またはプレート状の別個の電極12および13の中間空間には、伝熱管(ヒートパイプ)34の熱交換媒体66の気相66(蒸気相)が流れる。熱交換媒体66の混ざらない液相37および38は第3の実施形態33と同様に外側流路60を流れるが、この流れ方向は気相36の流れ方向30とは反対である。
【0058】
図12は本発明による装置の第5の実施形態39を示し、この第5の実施形態39においては、第1の実施形態と同様の内部電極11と、第2の実施形態と同様の外部電極32ならびに外壁40および41とがマルチピースで相互に隔てられて実施されている。内部電極11および外部電極32の端部は流れ方向30において同一平面上に配向されており、またそれらの電極11および32を部分的に閉じられた管として実施することができるか、プレート状に実施することができる。さらに各電極11および32は、電圧制御装置17の複数ある独立制御式の電圧源のうちの1つUA1〜UA4,UB1〜UB4,UE1〜UE4と電気的に接続されているか、電荷制御装置20の複数ある独立制御式の電荷源のうちの1つと電気的に接続されている。
【0059】
図13は、本発明による装置の第6の実施形態43を示す。第6の実施形態43は、第5の実施形態39を基礎として、外部電極32の端部と内部電極11の端部が流れ方向30においてずらされて配置されることによって得られる。
【0060】
図14は、本発明による装置の第7の実施形態44を示す。この第7の実施形態44は、第6の実施形態43を基礎として、接続されている電圧制御装置17または電荷制御装置20と共に内部電極11を省略することによって得られる。
【0061】
図15は、本発明による装置の第8の実施形態47を示す。この第8の実施形態47は、第7の実施形態44を基礎として、外壁40に埋め込まれた外部電極32の端部と、対向する外壁41に埋め込まれた外部電極32の端部とが流れ方向30において相互にずらされて配置されることによって得られる。
【0062】
図16から図19は、それぞれ3つの電極32全体にわたり広がる、送り出し方向27における進行的な電界励起19’’を用いる、本装置の第8の実施形態44における本発明による方法の第2の実施方式を示す。電界線は送り出し方向27に対して斜めの方向に誘電性の境界層16を歪める。図面は電界線を質的にのみ正確に表したものであり、表面電圧および毛管現象を考慮していない。
【0063】
図20から図23は、送り出し方向27を横断する方向において対向しており、また相互にずらされて配置されている電極32のそれぞれのペアによって行われる進行的な電界励起19’’を用いる、本発明による装置の第8の実施形態44における本発明による方法の第3の実施方式を示す。電界線は誘電性の境界面16を歪める。境界面16は同様に、図16から図19においては質的に表されている。
【0064】
図24および図25には、本装置の第9の実施形態47および第10の実施形態48がそれぞれ横断面図で示されており、図面の紙面は流れ方向30ないし送り出し方向27に対して直交している。従来のレイヤタイプのコンデンサまたはロールタイプのコンデンサのように、高い単位長当りの容量、したがって高い送り出し力27’は、薄い内部電極49を積層して配置するか、または巻き付けるように配置することによって達成される。電解コンデンサにおいて使用されるような電解支持フィルムの代わりに、または、フィルムコンデンサにおいて使用されるようなプラスチック誘電体の代わりに、送り出し方向27において透過性のサポートフィルム50が設けられている。
【0065】
図24は、層状に配置されているプレート状の個別化された電極49を示す。これらの電極49は閉じられた導電性の流壁12によって包囲されており、この流壁12は矩形の断面を有し、かつ、基準電位18に置かれている。電極49および流壁12は相互に隔てられて配置されている。さらに、内部電極49は電圧制御装置17の電圧源または電荷制御装置20の電荷源と電気的に接続されている。
【0066】
図25は、半径方向において層状に配置されている、円形のリング状の個別化された電極49を示す。これらの電極49は閉じられた導電性の流壁12によって包囲されており、この流壁12は円形の断面を有し、かつ、基準電位18に置かれている。電極49および流壁12は相互に隔てられて配置されている。さらに、内部電極49は電圧制御装置17の電圧源または電荷制御装置20の電荷源と電気的に接続されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体(3,4,5)と、前記第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有し、かつ、前記第1の流体(3,4,5)とは混ざらない、少なくとも1つの第2の流体(3,4,5)とを有する、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する方法において、
前記第1の流体(3,4,5)と前記第2の流体(3,4,5)との間には少なくとも1つの誘電性の境界面(16)が形成されており、前記少なくとも1つの境界面(16)に作用する送り出し力(27’)を惹起する、送り出し方向に進むように励起される送り出し電界(19)に前記少なくとも1つの境界面(16)を晒すことを特徴とする、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する方法。
【請求項2】
第1の流体(3,4,5)として第1の液体を使用し、第2の流体(3,4,5)として、前記第1の液体の誘電率とは異なる誘電率を有する第2の液体を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の流体(3,4,5)として第1の液体を使用し、第2の流体(3,4,5)として気体を使用し、例えば、該気体は前記第1の流体(3,4,5)の気相(36)である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
送り出されるべき前記熱交換媒体(2,66)に作用する前記送り出し力(27’)を、例えば、誘電率の異なる前記第1の流体(3,4,5)と前記第2の流体(3,4,5)との間の前記誘電性の境界面(16)の領域において電極装置(14)によって励起される電界(19’)によって形成する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記熱交換媒体(2,66)を、送り出し方向に進むように励起される送り出し電界(19)に重畳されている静的な電界によって束ねるか、または、押し込む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記送り出し電界(19)を、電荷を送り出し方向(27)にある電極装置(14)の別の電極(7,8,9,10,11,12,13,32,49)に移動させることによって、送り出し方向に進むように励起する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
電界を励起する電極装置(14)の容量を測定することによって、前記熱交換媒体(2,66)における少なくとも1つの誘電性の境界面(16)の位置を求め、少なくとも1つの誘電性の境界面(16)の位置の時間的な変化から、少なくとも1つの流体セクション(3’,4’,5’)の流れ速度を検出する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記熱交換媒体(2,66)に含まれる流体セクション(3’,4’,5’)のうちの少なくとも1つの流体セクションの温度を、測定された容量および少なくとも1つの別のパラメータ、例えば流体(3,4,5)の温度依存性に基づき求める、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記熱交換媒体(2,66)に含まれる少なくとも1つの流体セクション(3’,4’,5’)の温度、流れ速度および比熱容量に基づいて熱流を求める、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体(3,4,5)と、前記第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有し、かつ、前記第1の流体(3,4,5)とは混ざらない、少なくとも1つの第2の流体(3,4,5)とを有し、前記第1の流体(3,4,5)と前記第2の流体(3,4,5)との間に少なくとも1つの誘電性の境界面(16)が形成されている少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する装置において、
例えば送り出し方向(27)において隣接している少なくとも2つの電極(7,8,9,10,11,12,13,32,49)から構成されている電極装置(14)によって、送り出し電界(19)が送り出し方向に進むように励起されることを特徴とする、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する装置。
【請求項11】
前記熱交換媒体(2,66)の送り出しを、所属の電極装置(14)の中間空間に延在している流路(6,60)において行う、請求項10記載の装置。
【請求項12】
外部電極(12,13,32)は前記流路(6,60)の閉じられた外壁(12’,13’,40,41)として構成されている、請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
別の電極(7,8,9,10,11,49)は外部電極(12,13,32)によって完全に包囲されており、前記外部電極(12,13,32)および前記別の電極(7,8,9,10,11,49)は相互に隔てられている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
複数の電極(7,8,9,10)のうちの少なくとも2つの電極は相互に隔てられた外部電極(12,13,32)として構成されており、外部電極(12,13,32)は相互に電気的に分離されており、かつ、絶縁性の外壁(40,41)に埋め込まれているか、外壁(40,41)の内面上に固定されている、請求項10または11記載の装置。
【請求項15】
別の内部電極(7,8,9,10,11,49)が前記流路(6,60)の内側に配置されている、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記電極装置(14)の各電極(7,8,9,10,11,12,13,32,49)には、独立して制御される電圧源を有する電圧制御装置(17)または独立して制御される電荷源を有する電荷制御装置(20)に対応付けられている、請求項10から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記電極装置(14)は少なくとも1つの容量を測定する装置を有する、請求項10から16までのいずれか1項記載の装置。
【請求項1】
第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体(3,4,5)と、前記第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有し、かつ、前記第1の流体(3,4,5)とは混ざらない、少なくとも1つの第2の流体(3,4,5)とを有する、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する方法において、
前記第1の流体(3,4,5)と前記第2の流体(3,4,5)との間には少なくとも1つの誘電性の境界面(16)が形成されており、前記少なくとも1つの境界面(16)に作用する送り出し力(27’)を惹起する、送り出し方向に進むように励起される送り出し電界(19)に前記少なくとも1つの境界面(16)を晒すことを特徴とする、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する方法。
【請求項2】
第1の流体(3,4,5)として第1の液体を使用し、第2の流体(3,4,5)として、前記第1の液体の誘電率とは異なる誘電率を有する第2の液体を使用する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
第1の流体(3,4,5)として第1の液体を使用し、第2の流体(3,4,5)として気体を使用し、例えば、該気体は前記第1の流体(3,4,5)の気相(36)である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
送り出されるべき前記熱交換媒体(2,66)に作用する前記送り出し力(27’)を、例えば、誘電率の異なる前記第1の流体(3,4,5)と前記第2の流体(3,4,5)との間の前記誘電性の境界面(16)の領域において電極装置(14)によって励起される電界(19’)によって形成する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記熱交換媒体(2,66)を、送り出し方向に進むように励起される送り出し電界(19)に重畳されている静的な電界によって束ねるか、または、押し込む、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記送り出し電界(19)を、電荷を送り出し方向(27)にある電極装置(14)の別の電極(7,8,9,10,11,12,13,32,49)に移動させることによって、送り出し方向に進むように励起する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
電界を励起する電極装置(14)の容量を測定することによって、前記熱交換媒体(2,66)における少なくとも1つの誘電性の境界面(16)の位置を求め、少なくとも1つの誘電性の境界面(16)の位置の時間的な変化から、少なくとも1つの流体セクション(3’,4’,5’)の流れ速度を検出する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
前記熱交換媒体(2,66)に含まれる流体セクション(3’,4’,5’)のうちの少なくとも1つの流体セクションの温度を、測定された容量および少なくとも1つの別のパラメータ、例えば流体(3,4,5)の温度依存性に基づき求める、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
前記熱交換媒体(2,66)に含まれる少なくとも1つの流体セクション(3’,4’,5’)の温度、流れ速度および比熱容量に基づいて熱流を求める、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
第1の誘電率を有する少なくとも1つの第1の流体(3,4,5)と、前記第1の誘電率とは異なる第2の誘電率を有し、かつ、前記第1の流体(3,4,5)とは混ざらない、少なくとも1つの第2の流体(3,4,5)とを有し、前記第1の流体(3,4,5)と前記第2の流体(3,4,5)との間に少なくとも1つの誘電性の境界面(16)が形成されている少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する装置において、
例えば送り出し方向(27)において隣接している少なくとも2つの電極(7,8,9,10,11,12,13,32,49)から構成されている電極装置(14)によって、送り出し電界(19)が送り出し方向に進むように励起されることを特徴とする、少なくとも1つの熱交換媒体(2,66)を搬送する装置。
【請求項11】
前記熱交換媒体(2,66)の送り出しを、所属の電極装置(14)の中間空間に延在している流路(6,60)において行う、請求項10記載の装置。
【請求項12】
外部電極(12,13,32)は前記流路(6,60)の閉じられた外壁(12’,13’,40,41)として構成されている、請求項10または11記載の装置。
【請求項13】
別の電極(7,8,9,10,11,49)は外部電極(12,13,32)によって完全に包囲されており、前記外部電極(12,13,32)および前記別の電極(7,8,9,10,11,49)は相互に隔てられている、請求項12記載の装置。
【請求項14】
複数の電極(7,8,9,10)のうちの少なくとも2つの電極は相互に隔てられた外部電極(12,13,32)として構成されており、外部電極(12,13,32)は相互に電気的に分離されており、かつ、絶縁性の外壁(40,41)に埋め込まれているか、外壁(40,41)の内面上に固定されている、請求項10または11記載の装置。
【請求項15】
別の内部電極(7,8,9,10,11,49)が前記流路(6,60)の内側に配置されている、請求項14記載の装置。
【請求項16】
前記電極装置(14)の各電極(7,8,9,10,11,12,13,32,49)には、独立して制御される電圧源を有する電圧制御装置(17)または独立して制御される電荷源を有する電荷制御装置(20)に対応付けられている、請求項10から15までのいずれか1項記載の装置。
【請求項17】
前記電極装置(14)は少なくとも1つの容量を測定する装置を有する、請求項10から16までのいずれか1項記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【公表番号】特表2011−527175(P2011−527175A)
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517054(P2011−517054)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057159
【国際公開番号】WO2010/003752
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057159
【国際公開番号】WO2010/003752
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】
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