説明

誘電性絶縁媒体

本発明は誘電性絶縁媒体に関する。前記絶縁媒体は、4〜12の炭素原子を有するフルオロケトンを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分に従う誘電性絶縁媒体、および請求項9の前提部分に従う当該絶縁性媒体中におけるフルオロケトンの使用に関する。本発明は更に、請求項11の前提部分に従う、電気エネルギーの発生、配電または使用のための装置、並びに請求項23の寸法設定方法に関する。
【0002】
液体状態またはガス状態の誘電性絶縁媒体は、従来、開閉器または変圧器のような広範な電気装置における電気的活性部品を絶縁するために適用されている。
【0003】
例えば、金属で封止された中電圧もしくは高電圧の開閉器において、電気的活性部品は絶縁空間を画定する気密ハウジング内に配置され、前記絶縁空間は、通常は数バールの圧力をもつ絶縁ガスを含み、前記ハウジングを前記電気的活性部品から分離して電流を通さない。こうして、金属で封止された開閉器は、屋外に装着されて周囲の空気によってのみ絶縁される開閉器よりも、遙かに省スペースの構成を可能にする。高電圧開閉器において電流を遮断するために、絶縁ガスは更にアーク消弧ガスとして機能する
従来使用されている高い絶縁特性およびスイッチング特性を含む絶縁ガスは、大気中に放出されるときに多少の環境影響がある。これまで、これらの絶縁ガスの高い地球温暖化能力(GWP)に、ガス絶縁装置における厳格なガス漏出制御によって、および非常に注意深いガス取扱いによって対処してきた。従来の環境に優しい絶縁ガス、例えば乾燥空気またはCOは絶縁特性が極めて低く、そのためガス圧および/または絶縁距離を増大せざるを得なかった。
【0004】
上記で述べた理由で、過去においては、これら従来の絶縁ガスを適切な代替物で置き換えるための努力がなされてきた。
【0005】
例えば、WO2008/073790は、特に、約−20℃〜約−273℃の範囲に沸点を有し、低オゾン破壊性、好ましくは非オゾン破壊性であり、且つ約22,200未満のGWPを有する誘電性ガス状化合物を開示している。詳細に言えば、WO2008/073790は、包括的な化学的定義に入らない多くの異なる化合物を開示している。
【0006】
更に、US−A−4175048は、パーフルオロシクロヘキセンおよびヘキサフルオロアゾメタンの群から選択される化合物を含むガス状絶縁体に関し、またEP−A−0670294は、パーフルオロプロパンの誘電性ガスとしての使用を開示している。
【0007】
EP−A−1933432は、トリフルオロヨードメタン(CFI)、およびガス絶縁開閉器における絶縁ガスとしてのその使用に関するものである。この点において、この文書は、絶縁ガスのための重要な要件である誘電強度および遮断特性の両方に言及している。EP−A−1933432によれば、CFIは5のGWPを有しており、従って比較的低い環境負荷を生じると考えられる。しかし、CFIの比較的高い沸点(−22℃)のため、COとのガス混合物が教示されている。加えて、純粋なCFIガスは、高い絶縁特性およびスイッチング特性を有する従来の絶縁媒体とほぼ同じ絶縁特性を有し、そのため提案されたガス混合物は、純粋な従来の絶縁媒体の比絶縁特性の約80%を有しており、これは高い充填圧および/または大きな絶縁距離によって補償されることが必要になるであろう。
【0008】
従って、CFIよりも更に小さい環境負荷を生じ、且つ現在の通常の値を超えるガス圧および/または絶縁距離の増大を必要としない絶縁媒体についての継続的な要求が存在する。
【0009】
この観点から、本発明の目的は、ガス圧および/または絶縁距離を現在の適用値を超えて増大させることなく、既知の絶縁媒体に比較して低いGWPを有すると同時に、同等もしくは更に改善された絶縁特性を有する絶縁媒体を提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1に従う絶縁媒体によって達成される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項に示されている。
【0011】
本発明は、4〜12の炭素原子を有するフルオロケトンを使用することによって、高い絶縁能力、特に高い誘電強度(またはブレークダウン電界強度)を有し、同時に極めて低い地球温暖化能力(GWP)を有する絶縁媒体を得ることができるという意外な発見に基づいている。
【0012】
一般に、本発明によるフルオロケトンは下記一般構造を有し、
R1−CO−R2
ここでR1およびR2は、少なくとも部分的にフッ素化された鎖であり、前記鎖は互いに独立に直鎖もしくは分枝鎖であり、1〜10の炭素原子を有する。この定義は、ペルフッ素化されたケトン並びにハイドロフッ素化されたケトンの両方を包含する。
【0013】
一般に、本発明に従って使用されるフルオロケトンは、周囲圧力において少なくとも−5℃の沸点を有しており、これは−20℃以下の沸点が可能性のある誘電性化合物の不可欠の特徴であることを教示する従来技術、特にWO2008/073790の教示との明確な対比をなしている。
【0014】
好ましくは、このフルオロケトンは4〜10の炭素原子、より好ましくは4〜8の炭素原子を有し、最も好ましくは6個の炭素原子を有している(C6フルオロケトンとも称される)。上記で述べたように、前記C6フルオロケトンはパーフッ素化ケトン(C12Oの分子式を有する)またはハイドロフッ素化ケトンでありうる。
【0015】
使用において、前記絶縁媒体は、液状およびガス状の両方でありうる。特に、前記絶縁媒体は、液状およびガス状の両方のフルオロケトンを含む二相系でありうる。更に詳細に言えば、前記絶縁媒体は、ガス状のフルオロケトンを含む気相中に分散されたフルオロケトンの液滴を含むエアロゾルでありうる。
【0016】
多くの応用について、前記絶縁媒体は、動作条件においてフルオロケトンを含む絶縁ガスを含むのが好ましい。特に、対応する開閉器における高電圧スイッチングに使用される絶縁媒体についてそうである。
【0017】
絶縁ガスを使用する場合、それはフルオロケトンとは別に、バッファーガスまたはキャリアガスとして、好ましくは空気または少なくとも一つの空気成分、特に二酸化炭素(CO)、酸素(O)および窒素(N)からなる群から選択される成分を含むガス混合物でありうる。あるいは、前記絶縁ガスは、実質的にフルオロケトンからなっていてもよい。
【0018】
絶縁ガスの絶縁特性、特にそのブレークダウン電界強度は、絶縁媒体の温度、圧力および/または絶縁媒体組成によって制御することができる。液状およびガス状の両方のフルオロケトンを含む二相系を用いる場合、温度の上昇は絶対圧の増大だけでなく、より高い蒸気圧に起因して絶縁ガス中のフルオロケトン濃度の増大をももたらす。
【0019】
中電圧範囲における応用のような前記絶縁ガスの多くの応用について、充分なモル比、即ち、前記媒体の残りの成分(一般にはキャリアガスまたはバッファーガス)に対するフルオロケトンの分子数の両者間の比、従ってまた、充分なブレークダウン電界強度を、例えば約−30℃または更に−40℃と非常に低い動作温度においてさえも、外部加熱または蒸発のような追加の手段なしで達成できることが分かった。
【0020】
ブレークダウン電界強度を増大させるために、前記絶縁ガス中において更に高濃度のフルオロケトンが望ましいのであれば(特に高電圧用途の場合にその可能性がある)、それに応じて絶縁媒体の圧力、組成および/または温度を適合させることができる。望ましいブレークダウン電界強度を得るために必要なパラメータを推論するための方法を、図を参照して以下で更に例示する。
【0021】
本発明の誘電性絶縁媒体は、電気エネルギーの発生、配電または使用のためのあらゆる装置、特に開閉器、あるいはその部品および/またはコンポーネントにおいて使用することができる。
【0022】
例えば高電圧スイッチングのためには、絶縁媒体の遮断能力(またはアーク消弧能力)が特に重要である。意外にも、本発明による媒体は、上記で述べた従来の絶縁媒体に比較して同等または更に改善された絶縁能力だけでなく、充分なアーク消弧能力を有することが分かった。理論に束縛される意図は全くないが、このアーク消弧能力は、少なくとも部分的に、アーク発生領域内部でのフルオロケトンの解離生成物の、主として(非常に強力なアーク消弧媒体であることが周知である)テトラフルオロメタン(CF)への再結合に起因する可能性がある。
【0023】
アーク遮断の際のもう一つの重要な側面は、全体の容器内のスイッチングガスの温度上昇であり、これはスイッチング間隙の内部でのアーク遮断が成功した後、特に金属で封止された回路遮断器における重大な漏電遮断の後でさえ、接地した容器への絶縁破壊を導く可能性がある。適度な温度(例えばC6−フルオロケトンについては約550℃〜570℃)でのフルオロケトンの低級フッ化炭素への分解のために、排気体積中に注入された熱エネルギーは、全てのフルオロケトンが解離されるまでは、これらの解離温度を超える温度にまで導くことはない。従って、充分なフルオロケトンが与えられれば、排気ガス温度が上記温度を超えることはあり得ず、金属で封止された高電圧回路遮断器において重大な漏電電流の直後にも、良好な絶縁を導くことができる。
【0024】
6個の炭素原子を有する最も好ましいフルオロケトンのうち、ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンは、その高い絶縁特性およびその極めて低いGWPのため、特に好ましいことが分かった。
【0025】
ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オン[これは次のようにも称される:1,1,1,2,2,4,5,5,5−ナノフルオロ−4−(トリフルオロメチル)−3−ペンタノン、パーフルオロ−2−メチル−3−ペンタノンまたはCFCFC(O)CF(CF]は、以前には完全に異なる用途、即ち、溶融した反応性金属の加工のため(WO2004/090177で言及されている)、蒸気反応器の洗浄のため(WO02/086191で言及されている)、および消火システムにおいて、または電子システムの冷却のための液体形態において、または小電力プラントにおけるランキンプロセスのため(EP−A−1764487で言及されている)に有用であると考えられていたに過ぎない。
【0026】
ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンは、透明で無色かつ殆ど無臭である。その構造式は次式で与えられる:
【化1】

【0027】
ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンは、約5日の大気中での平均寿命を有しており、またそのGWPは約1に過ぎない。
【0028】
加えて、そのオゾン消耗能力(ODP)はゼロである。従って、環境的負荷は従来の絶縁ガスの一つよりも遙かに低い。加えて、ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンは非毒性であり、ヒトの安全性の顕著な許容範囲を与える。これは、一般的に有毒で且つ非常に反応性であるヘキサフルオロアセトン(またはヘキサフルオロプロパノン)のような、4個未満の炭素を有するフルオロケトンとは対照的である。
【0029】
ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンは、1バールにおいて49.2℃の沸点を有している。その蒸気圧、即ち、その非気相と平衡にある蒸気の圧力は、25℃において約40kPaである。このドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンの高い蒸気圧が与えられれば、特に適度の電圧範囲において多くの用途のための充分なブレークダウン電界強度を有する絶縁ガスを、一般に、−30℃の非常に低い温度で実現することができる。
【0030】
例えば好ましくは高電圧開閉器の回路遮断器においてそうであるように、絶縁媒体が絶縁ガスである場合、ドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンをガス混合物で与えることができ、これは好ましくは更にキャリアガスまたはバッファーガスとして機能する空気または少なくとも一つの空気成分を含んでいる。あるいは、前記絶縁ガスは、実質的にドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オンからなっていてもよい。
【0031】
550℃以上の温度において、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンはより少ない数の炭素原子を有する非常に反応性のフルオロカーボン化合物に分解されるという発見に基づけば、前記絶縁ガスは充分な酸素(O)を含むのが好ましく、これは形成されたフルオロカーボン化合物と反応して、例えばCOのような不活性な化合物を形成することができる。
【0032】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、前記絶縁ガス中のフルオロケトン、特にドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンのモル比は少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも15%である。これらの好ましいモル比は、所定の標準または規定の動作条件を基準にしている。基準を逸脱した条件の下では、前記モル比はこれら好ましい値から更に変化する。
【0033】
それぞれ少なくとも1%または2%のモル比でドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを含む絶縁媒体の重要性は、このモル比を有する絶縁ガスが、2%については−30℃、1%については−40℃の非常に低温でも得られること、またこの絶縁ガスは、例えば、約1バール、特に1.5バール未満の絶縁ガス圧力で動作する中電圧のガス絶縁開閉器のような、中電圧装置のための十分な誘電強度を有しているという発見に基づいている。
【0034】
例によって更に説明するように、少なくとも15%のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンのモル比を有する絶縁ガスの絶縁能力は、(1バールにおいて)従来の絶縁ガスよりも更に高い。従って、この実施形態は特に好ましい。
【0035】
本発明の更なる目的は、改善された誘電性絶縁を提供すること、および上記で述べた絶縁媒体を含む改善された電気装置を提供することである。この目的は、誘電性絶縁、特にアーク消弧のための上記で述べたフルオロケトンの使用により請求項9に従って、また上記で述べたフルオロケトンを含む装置により請求項11に従って達成される。好ましい実施形態は開示され、従属請求項においてクレームされている。
【0036】
従って、上記で述べた絶縁媒体に加えて、本発明は更に、電気エネルギーの発生、配電および使用のための装置に関し、前記装置は絶縁空間を画定するハウジング、および前記絶縁空間内に配置された電気的活性部品を含んでいる。この絶縁空間は、上記で述べた絶縁媒体を含んでいる。
【0037】
「電気エネルギーの発生、配電または使用のための装置」の表現における「または」の用語は、この場合、組み合わせを排除するものとして理解されるべきではなく、「および/または」として読まれるべきである。
【0038】
また、「電気的活性部品」の用語は、この場合、広く解釈されるべきであり、導体、導体配置、開閉器、導電性コンポーネント、およびサージ避雷器等を含む。
【0039】
特に、本発明の装置には開閉器、特に空気絶縁またはガス絶縁の金属(または別のもの)で封止された開閉器、あるいはその部品またはコンポーネント、特にバスバー、ブッシング、ケーブル、ガス絶縁ケーブル、ケーブルジョイント、変流器、変圧器、サージ避雷器、接地スイッチ、断路器、負荷開閉器、および/または回路遮断器が含まれる。
【0040】
開閉器、特にガス絶縁開閉器(GIS)は、当業者に周知である。本発明が特に適している開閉器の一例は、例えば、EP−A−1933432の段落[0010]〜[0015]に示されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0041】
前記装置は、スイッチ、特に接地スイッチ(例えば迅速動作接地スイッチ)、断路器、負荷開閉器、または回路遮断器、特に中電圧回路遮断器、発電機回路遮断器および/または高電圧回路遮断器であることが更に好ましい。
【0042】
もう一つの好ましい実施形態によれば、前記装置は変圧器、特に配電変圧器または電源変圧器でありうる。
【0043】
更に他の実施形態によれば、前記装置はまた、例えば電気回転機械、発電機、モータ、駆動装置、半導体装置、計算機、パワーエレクトロニクス装置、および/またはそれらの部品でありうる。
【0044】
本発明は特に、中電圧装置または高電圧装置に関する。ここで用いる「中電圧」の用語は1kV〜72kVの範囲の電圧を言うのに対して、「高電圧」の用語は72kVを超える電圧を意味する。1kV未満の低電圧における応用も、同様に実現可能である。
【0045】
それぞれのパラメータを所望のブレークダウン電界強度を達成するために必要な値に設定するために、前記装置は、絶縁媒体の組成、特に化学的組成または気/液二相系のような物理的相組成および/または温度、並びに絶縁媒体またはその成分の少なくとも一つの絶対圧、ガス密度、特に絶縁媒体の分圧および/または部分ガス密度を、それぞれ、個別にまたは組み合わせて制御するための制御ユニット(「流体管理システム」とも称される)を備えることができる。特に、前記制御ユニットは、本発明に従うフルオロケトンの蒸気圧を制御するために、ヒータおよび/または気化器を備えることができる。気化器は、例えば、超音波気化器でよく、または絶縁媒体を装置内にスプレーするための噴霧ノズルを含んでいてもよい。
【0046】
高電圧応用のための典型的な実施形態において、従来の絶縁距離(概ね必要な約300kV/cmの電界強度)および例えば4バールの従来の圧力レベルに対応して、加熱および/または気化によって絶縁媒体にある分圧のフルオロケトンを与え、前記フルオロケトンの分圧をガス絶縁開閉器(GIS)バスバー、またはガス絶縁送信ライン(GITL)において少なくとも0.6バールの圧力レベルに維持するようにしてもよい。従って、高電圧回路ブレーカにおいて、加熱および/または気化は、従来の絶縁距離(約440kV/cmのほぼ要求電界強度をもつ)および約6バールの従来の圧力レベルに対応して、フルオロケトンの分圧が少なくとも0.9バールの圧力レベルに維持されるように適合されるであろう。
【0047】
気化器を使用する場合、それは通常、ブレークダウン電界強度の必要性に応じて絶縁媒体中のフルオロケトンの濃度を設定するためのドーズユニットをも含む。これは、高電圧ガス絶縁開閉器について、以下で更に詳細に典型的に示す。更に、制御ユニットは、温度、圧力、および/または組成(特に液相レベルで)のような制御パラメータを測定するための測定ユニット、および/または当該パラメータをモニターするためにモニタリングユニットを含んでいてもよい。
【0048】
以下、添付の図面と共に、実施例によって本発明を更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1a】図1aは、従来の絶縁ガスのブレークダウン電界と比較して、本発明による絶縁媒体の減圧ブレークダウン電界の、そのドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンのモル分率の関数としてのグラフ表示を示している。
【図1b】図1bは、絶縁媒体の絶対圧を、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの分圧の関数として示している。
【図1c】図1cは、絶縁媒体の絶対圧を、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの分圧の関数として示している。
【図2】図2は、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの蒸気圧の、温度の関数としてのグラフ表示を示している。
【図3a】図3aは、キャリアガスとしての空気中のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの種々の濃度レベル、即ち、モル分率について、440kV/cmまたは50kV/cmの典型的なブレークダウン電界強度が達成されるそれぞれの圧力および温度の値を示している。
【図3b】図3bは、キャリアガスとしての空気中のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの種々の濃度レベル、即ち、モル分率について、440kV/cmまたは50kV/cmの典型的なブレークダウン電界強度が達成されるそれぞれの圧力および温度の値を示している。
【図3c】図3cは、キャリアガスとしての空気中のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの種々の濃度レベル、即ち、モル分率について、440kV/cmまたは50kV/cmの典型的なブレークダウン電界強度が達成されるそれぞれの圧力および温度の値を示している。
【図4】図4は、温度制御ユニットを含む本発明による高電圧ガス絶縁開閉器の、純粋に概略的な表示を示している。
【図5】図5は、流体処理ユニットを含む本発明による高電圧ガス絶縁開閉器の、純粋に概略的な表示を示している。
【実施例】
【0050】
本発明による絶縁媒体のブレークダウン電界強度を測定するために、ドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン(Novec649、3Mから入手可能)を含む試験容器を約140mバールまで排気し、バッファーガスとして周囲の空気を約5バールまで加えることにより、前記圧力を連続的に上昇させた。得られた絶縁ガス中のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの選択されたモル分率について、ブレークダウン電界強度を、dc電圧を印加して、ピン−プレート電極配置において測定した。
【0051】
図1aに示したように、本発明による絶縁媒体についての減圧ブレークダウン電界強度は、本発明のフルオロケトン(ここではドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを選択した)の増加するモル分率の関数として、線形に増加する。15%を超えるモル分率では、本発明による絶縁媒体は、従来技術に従う殆どの慣用的な絶縁媒体よりも高いブレークダウン電圧を有する。
【0052】
図1bおよび図1cは、本発明による絶縁媒体の絶対充填圧を、本発明のフルオロケトン(ここではドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンを選択した)のモル分率の関数として示している。図1bおよび図1cは、図1aから、電気装置の許容電界強度を選択することによって、また図1aの横座標(y軸)を、その値を許容電界強度で除算し、得られた値の逆数をとることによって変形することによって、絶対圧スケール、従って絶対圧曲線に到達するようにし、および縦座標(x軸)を絶対圧曲線に乗じて、本発明のフルオロケトン(ここでは、好ましくはドデカフルオロ2−メチルペンタン−3−オン)の分圧に到達するようにして得られる。許容電界強度は、典型的に図1bの440kV/cmおよび図1cの50kV/cmとなるように選択される。
【0053】
図2に、温度の関数としてのドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの蒸気圧を示す。絶縁ガスの(絶対)圧力は、フルオロケトンの所定のガス分圧(図2に従って最小動作温度により定義される)が与えられれば、望ましいブレークダウン電界強度が得られるように選択されるであろう。
【0054】
同様に、前記システムの所定のブレークダウン電界強度および絶対圧について、動作温度を決定することができる。例えば、2.5バールの絶対圧における440kV/cmのブレークダウン電界強度は、図1に従えば、0.5のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンのモル比において達成される。従って、絶縁ガス中のドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの分圧は1.25バールである。図2によれば、この分圧は56℃の温度において得られる。
【0055】
図2と組み合わせた図1bまたは図1cから、絶縁媒体のパラメータ、例えばフルオロケトンの絶対充填圧、モル分率または分圧、および液相フルオロケトンの流体管理、特に液相フルオロケトンの加熱および/または気化、および/または流体貯留管理を選択するための方法を推定することができる。
【0056】
この方法は次の工程を含む:
・所定の電気装置について、所望の絶縁媒体の許容電界強度、および所望の絶縁媒体の最低許容動作温度を決定する工程;
・所望の絶縁媒体の減圧ブレークダウン電界強度から、本発明のフルオロケトン(以下では好ましくは6〜9個のC原子を有し、より好ましくはドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)のモル分率の関数として(例えば図1a参照)、および許容電界強度からフルオロケトンの分圧の関数として、絶縁媒体の絶対圧曲線を決定する工程(例えば図1bまたは図1c参照);
・絶縁媒体の望ましい絶対充填圧(これは、典型的には幾つかの標準条件について定義され、また、例えば電気装置の構造的および/または動作的制約に基づいて定義される)を選択する工程;
・前記絶対圧曲線からフルオロケトンの最小要求分圧を決定し、および蒸気圧曲線から対応するフルオロケトンの気化温度を決定する工程;
・前記気化温度が、所望の絶縁媒体の最低許容動作温度よりも上であるかどうかを決定する工程;および
・前記気化温度が前記所望の絶縁媒体の最低許容動作温度未満であるときにのみ、流体管理システム、特に、液相フルオロケトンの加熱および/または気化および/または流体貯留管理のための手段を準備し、分圧を前記最小要求分圧よりも上に維持する工程。
【0057】
中電圧装置について、図2と関連して図1cに更に詳細な例を示しており、所定の電圧レベルに対して評価し、これから所望の絶縁媒体の許容電界強度を導くことができ(例えば50kV/cm)、また周囲温度に対して評価し、これから所望の絶縁媒体の最低許容動作温度を導くことができる(例えば−25℃)。−25℃に外挿された図2によれば、−25℃での本発明のフルオロケトン(ここでは典型的にドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)の分圧は約0.025バールであり、これは図1cによれば約0.95バールの絶対充填圧を必要とする。これは、(例えば装置固有の)例えば1.2バールの許容充填圧未満であり、液体フルオロケトンの積極的な気化は必要とされない。
【0058】
更なる寸法設計則は、高電圧装置または中電圧装置における所望の絶縁媒体の最低許容動作温度、例えば105℃に関連する。図2によれば、105℃はフルオロケトンの分圧5バールに対応しており、これは全ての(例えば装置固有の)許容圧力限界を超える絶対圧をもたらすであろう。これは、利用可能なフルオロケトンの量を制限すること、および/または、例えば積極的な冷却によって温度を制限することによって、回避されるであろう。従って、前記装置においては、ある貯留量の液体フルオロケトンおよび/または所望の絶縁媒体の最大許容動作温度を制限し、絶対充填圧が前記装置の所定の圧力限界(最大許容動作圧力)未満に維持されるようにする。従って、前記装置は、ある貯留量の液体フルオロケトンを有し、および/または所望の絶縁媒体の最大許容動作温度を制限するための手段を有し、絶対充填圧が前記装置の所定の圧力限界未満に維持されるようにする。
【0059】
図3a、図3bおよび図3cは更に、本発明のフルオロケトンの種々のモル分率Mについて、所定のブレークダウン電界強度(=許容電界強度、ここでは典型的にそれぞれ440kV/cmおよび50kV/cm)を得るために必要とされる絶縁ガスの絶対充填圧と温度との間の関係を示している。明らかなように、(このドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンの特定の場合において)フルオロケトンのモル比Mを増加させることによって、および/または全充填圧もしくは絶対充填圧を増加させることによって、絶縁ガスの誘電電界強度を増加させることができる。例えば図3aにおいては、440kV/cmの高電圧ブレークダウン電界強度が約7バールの圧力および約22℃の温度で達成され、フルオロケトンのモル比は5%である。同じブレークダウン強度が2バール未満の圧力および60℃の温度で達成され、フルオロケトンのモル比は100%である。
【0060】
例えば図3bにおいては、50kV/cmの中電圧ブレークダウン電界強度が約0.8バールの絶対充填圧および−20℃の温度で達成され、フルオロケトンのモル比は5%である。同じブレークダウン電界強度が約0.1バールの圧力および約5℃の温度で達成され、フルオロケトンのモル比Mは100%である。
【0061】
図3cもまた、440kV/cmの高電圧ブレークダウン電界強度の場合について、許容パラメータ範囲を示している。点1と点2の間の水平な破線は、装置固有の最大許容絶対圧(ここでは例えば6バール)を表している。点2と点3の間の垂直な破線は、最大許容動作温度(ここでは例えば105℃)を表している。モル比M=100%についての制限絶対圧曲線は、点4と点3の間に延びている。点1と点4の間に亘って引かれた曲線は、図3aから取り出した、温度および本発明のフルオロケトン(ここでは例えばドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オン)のモル比の関数としての絶対圧曲線である。囲まれた領域、即ち、点1−2−3−4−1を連続して結ぶ線によって区切られた領域は、選択されたブレークダウン電界強度または許容電界強度についての許容パラメータ、即ち、所望の絶縁媒体の充填圧、動作温度、および本発明のフルオロケトンのモル比(または対応する分圧)の範囲を定義する。
【0062】
上記で述べたように、本発明の電気装置は、絶縁媒体の圧力、組成および/または温度を適合させるために、制御ユニット(または「流体管理システム」)を含むことがある。
【0063】
一例として、制御ユニットを含む高電圧開閉器を図4に示す。開閉器2は、絶縁空間6を画定するハウジング4、および前記絶縁空間6内に配置された電気的活性部品8を含む。開閉器2は更に、ハウジング4または前記ハウジング4の少なくとも一部、従って絶縁空間6に含まれる絶縁媒体を所望の温度に設定するための、温度制御ユニット10aを含む。勿論、絶縁媒体と接触する他のいかなる部品も、絶縁媒体を所望の温度にするために加熱することができる。こうして、フルオロケトンの蒸気圧(および結局は絶縁ガス中のそのモル比)、並びに絶縁ガスの絶対圧を適宜に適合することができる。図4に示すように、この実施形態におけるフルオロケトンは、絶縁空間に与えられた温度勾配のため、絶縁空間の全体に亘って均一に分布されてはいない。従って、フルオロケトンの濃度はハウジング4の壁4’に近接した場所の方が高い。
【0064】
別の制御ユニットまたは流体管理システムを図5に概略的に示しており、そこでは、流体処理ユニット10bが制御ユニットとしてのガス絶縁開閉器に属している。この制御ユニットによれば、絶縁媒体の組成、特にそのフルオロケトンの濃度を流体処理ユニット10bに含まれるそれぞれの供給ユニットにおいて調節し、得られた絶縁媒体を、特に噴霧により絶縁空間6内に注入または導入する。図5に示した実施形態においては、絶縁媒体を(液体フルオロケトンの小液滴がそれぞれのキャリアガス中に分散されている)エアロゾル14の形態で絶縁空間内に噴霧する。エアロゾル14をノズル16によって絶縁空間6内に噴霧し、フルオロケトンを容易に気化させ、こうして不均一な濃度のフルオロケトン、詳細にはノズル16を含むハウジング壁4’の近傍で比較的高濃度をもつ絶縁空間をもたらす。あるいは、絶縁空間内に注入する前に、絶縁媒体、特にその濃度、圧力および温度を、流体処理ユニット10b内で制御することができる。ガスの循環を確実にするために、更なる開口部18をハウジング4の上部壁4’’に設ける。前記開口部はハウジング4内のチャンネル20に通じ、絶縁媒体を絶縁空間6から除去させる。図5に示すように、流体処理ユニット10bを含む開閉器は、図4に関連して述べた温度制御ユニット10aと組み合わせることができる。温度制御ユニットを設けなければ、フルオロケトンの凝集を生じることがある。凝集したフルオロケトンを回収して、絶縁媒体の循環の中に再導入させることができる。
【0065】
図4および図5に示した開閉器に関して、定格の電流負荷は一般に電流を運ぶ導体のオーム加熱によってフルオロケトンの気化を容易にすることを注記する。
【符号の説明】
【0066】
2…開閉器、4…ハウジング、4’…ハウジング壁、4’’…ハウジングの上部壁、6…絶縁空間、8…電気的活性部品、10a…温度制御ユニット、10b…流体処理ユニット、14…エアロゾル、16…ノズル、18…開口部、M…フルオロケトンのモル比

【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電性絶縁媒体であって、前記絶縁媒体は4〜12の炭素原子を有するフルオロケトンを含むことを特徴とする絶縁媒体。
【請求項2】
請求項1に記載の絶縁媒体であって、前記フルオロケトンは下記一般構造を有し、
R1−CO−R2
ここでR1およびR2は、少なくとも部分的にフッ素化された鎖であり、前記鎖は互いに独立に直鎖または分枝鎖であり、1〜10の炭素原子を有することを特徴とする絶縁媒体。
【請求項3】
請求項1または2に記載の絶縁媒体であって、前記フルオロケトンは周囲圧力で少なくとも−5℃の沸点を有することを特徴とする絶縁媒体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁媒体であって、前記フルオロケトンは6個の炭素原子を有することを特徴とする絶縁媒体。
【請求項5】
請求項4に記載の絶縁媒体であって、前記フルオロケトンがドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンであることを特徴とする絶縁媒体。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁媒体であって、前記絶縁媒体は動作条件において前記フルオロケトンを含む絶縁ガスを含むことを特徴とする絶縁媒体。
【請求項7】
請求項6に記載の絶縁媒体であって、前記絶縁ガス中のフルオロケトンのモル比が少なくとも1%、好ましくは少なくとも2%、より好ましくは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%、最も好ましくは少なくとも15%であることを特徴とする絶縁媒体。
【請求項8】
請求項6または7に記載の絶縁媒体であって、前記絶縁ガスはガス混合物であり、これは更に空気または特に二酸化炭素、酸素および窒素からなる群から選択される少なくとも一つの空気成分を含むことを特徴とする絶縁媒体。
【請求項9】
誘電性絶縁媒体における、請求項1〜8のいずれか1項に記載のフルオロケトンの使用。
【請求項10】
請求項9に記載のフルオロケトンの使用であって、前記絶縁媒体を電気開閉器、特に低電圧開閉器、中電圧開閉器または高電圧開閉器、特に回路遮断機においてアークを消弧させるために用いることを特徴とする使用。
【請求項11】
電気エネルギーの発生、配電または使用のための装置であって、前記装置は絶縁空間を画定するハウジングと、前記絶縁空間内に配置された電気的に活性な部品とを含み、前記絶縁空間は絶縁媒体を含み、請求項1〜8のいずれか1項に記載の誘電性絶縁媒体を特徴とする装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、前記装置は中電圧または高電圧の装置である装置。
【請求項13】
請求項10または11に記載の装置であって、前記装置は開閉器、特に空気絶縁もしくはガス絶縁の金属封止型開閉器、またはそれらの部品もしくはコンポーネント、特にバスバー、ブッシング、ケーブル、ガス絶縁ケーブル、ケーブルジョイント、変流器、変圧器、および/またはサージ避雷器である装置。
【請求項14】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置であって、前記装置は開閉器、特に接地開閉器、断路器、負荷開閉器、および/または回路遮断器である装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、前記装置は自己吹消効果を与えるための加熱室を有する高電圧回路遮断器であり、またスイッチング動作において、前記フルオロケトンは逆加熱段階のあいだに、前記加熱室内でより少数の炭素原子を有するフッ化炭素化合物に分解されることを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項15に記載の装置であって、前記フルオロケトンは6個の炭素原子を有し、特にドデカフルオロ−2−メチルペンタン−3−オンであることを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置であって、前記装置は変圧器、特に配電変圧器または電源変圧器であることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の装置であって、前記装置は電気回転機械、発電機、モータ、駆動装置、半導体装置、計算機、パワーエレクトロニクス装置、および/またはそれらのコンポーネントであることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項10〜18のいずれか1項に記載の装置であって、これは更に絶縁媒体またはその少なくとも一つの成分の組成、温度、絶対圧、分圧、ガス密度および/または部分ガス密度を、それぞれ、個別にまたは組み合わせて制御する制御ユニットを含むことを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項19に記載の装置であって、前記制御ユニットは、前記フルオロケトンの分圧を制御するための、特にそれを必要な分圧レベルよりも高く維持するための、ヒータおよび/または気化器を含むことを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項19〜20のいずれか1項に記載の装置であって、前記制御ユニット(10a、10b)は、前記装置のハウジング(4)またはハウジング(4)の少なくとも一部を所望の温度に設定するための加熱システムを含む、および/または前記制御ユニット(10a、10b)は、ある濃度のフルオロケトンを供給し、得られた絶縁媒体を前記装置内に注入するための流体処理ユニット(10b)を含む装置。
【請求項22】
請求項11〜21のいずれか1項に記載の装置であって、前記装置は、ある貯留量の液体フルオロケトンを有し、および/または所望の絶縁媒体の最大許容動作温度を制限するための手段を有し、絶対充填圧が前記装置の所定の圧力限界未満に維持されるようにすることを特徴とする装置。
【請求項23】
請求項11〜21のいずれか1項に記載の電気装置の寸法設計方法であって:
・前記装置について、所望の絶縁媒体の許容電界強度、および所望の絶縁媒体の最低許容動作温度を決定する工程と;
・所望の絶縁媒体の減圧ブレークダウン電界強度からフルオロケトンのモル分率の関数として、および前記許容電界強度からフルオロケトンの分圧の関数として、絶縁媒体の絶対圧曲線を決定する工程と;
・絶縁媒体の望ましい絶対充填圧を選択する工程と;
・前記絶対圧曲線からフルオロケトンの最小要求分圧を決定し、および蒸気圧曲線から対応するフルオロケトンの気化温度を決定する工程と;
・前記気化温度が、所望の絶縁媒体の最低許容動作温度よりも上であるかどうかを決定する工程
を含む方法。
【請求項24】
請求項22に記載の電気装置の寸法設計方法であって、前記気化温度が所望の絶縁媒体の最低許容動作温度未満ならば、流体管理システム、特に請求項19〜22のいずれか1項に記載の流体管理システム、好ましくは液相フルオロケトンの加熱および/または気化および/または流体貯留管理のための手段を有するものを準備し、分圧を前記最小要求分圧よりも上に維持する、更なる工程を特徴とする方法。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−529732(P2012−529732A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514358(P2012−514358)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057294
【国際公開番号】WO2010/142346
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(505063441)アーベーベー・テヒノロギー・アーゲー (96)
【Fターム(参考)】