説明

誤用を防止するための放出制御製剤

高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含むコア;コアを包囲する放出制御被覆;及び、医薬活性薬剤(例えば、オピオイド鎮痛剤)が内部に配置された複数の放出制御微小粒子を含み、微小粒子が、コアの内部、被覆の内部、又は、コア及び被覆の双方の内部に配置された、誤用を防止するための放出制御製剤を開示する。製剤は、故意に又は偶然に破砕されて放出制御被覆が破壊され、水性環境にさらされる場合に、コアの高吸水性材料が、膨張して、微小粒子を封じ込めて、実質的に原形を保たせて、それにより、製剤から医薬活性薬剤が放出することを阻止する。また、医薬活性薬剤を必要とする哺乳類、例えば、ヒトに医薬活性薬剤を送達するための誤用を防止する放出制御製剤の使用方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、少なくとも1種の医薬活性薬剤を送達するための制御放出製剤に関し、より具体的には、本発明は、二分されるか、破砕されて、様々な媒体にさらされた場合であっても、少なくとも1種の医薬活性薬剤の放出制御特性を維持する、誤用を防止するための放出制御製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤送達の分野では、著しい開発が進められてはいるが、乱用されがちな薬剤(例えば、オピオイド鎮痛剤)は、懸念事項のままである。更に、当該薬剤を故意に、又は、不測にも、誤用する合法的に使用する患者の数は、深刻な医学的問題をつきつける。特に、患者のリスクは、放出制御製剤が使用される場合に、高くなりうる。なぜなら、一般的に、投薬回数を減少させるために、多量の医薬活性薬剤がこれらの製剤に組み込まれるためである。放出制御製剤は、更なる利便性と、改良された有害事象プロフィールを提供しうる一方で、いずれかの方法、例えば、錠剤を偶然に噛み砕くか、錠剤をすりつぶすか、或いは錠剤へ別のダメージを与えるか、又は、アルコールと共摂取するかして、放出制御メカニズムが損なわれた場合に、深刻な問題が生じうる。このような状況下で、医薬活性薬剤が即時放出して、医薬活性薬剤の1日の全用量分と同程度の量を早急に吸収してしまうと、潜在的に致命的結果を起こしうる。
【0003】
ある薬剤の乱用及び誤用に対処しようとする多くのアプローチはあるが、いまだ、効果的なアプローチが商業化されていない。今日までに用いられてきたアプローチは、例えば、抑制製剤、アゴニスト/アンタゴニスト製剤、及び、プロドラッグ製剤を含む。
【0004】
抑制製剤は、有害物質、例えば、カプサイシン、吐剤、又は、ナイアシンを含む製剤である。その目的は、製剤が摂取前に破砕されるか、或いは別の方法でダメージを受けた場合に、痛みを与えること或いは別の不快な反応によって故意の乱用を防止することである。例えば、米国特許公報番号第2003/0068370、同番号第2003/0068392及び同番号第2007/0020188は、嫌悪療法の薬剤(例えば、苦味剤、刺激剤又は吐剤)を、オピオイド鎮痛剤を含む剤形に組み込むことを記載している。嫌悪療法の薬剤は、乱用者が、剤形を改ざんすること、及び、その後にその改ざんした剤形を吸入すること又は注入することを阻止する。不測にも錠剤にダメージを与えてしまった合法的に使用する使用者に対するこのような添加剤による潜在的なリスクは、当該製剤で対処されていない。
【0005】
アンタゴニスト製剤は、治療剤の阻害剤(アンタゴニスト)を含む。製剤が破砕された場合に、阻害剤は、医薬活性薬剤の活性を妨げるか、逆に働き、これによって、非医薬用途の効果を減少させるか、なくしてしまうことを意図する。例えば、ナロキソンは、ペンタゾシン(Talwin(登録商標)、Sanofi-Winthropにより販売)と併用して、ペンタゾシンの非経口の乱用を防ぐ。ナロキソンは、オピオイド受容体へのペンタゾシンの結合をブロックすることを意図されている。同様に、ナロキソンは、ブプレノルフィン含有製剤(Temgesic(登録商標)、Reckitt & Colmanにより販売)に添加される。しかし、当然ながら、このようなアプローチは、合法的に使用する患者を不要な薬剤に暴露し、そして、効果的な治療を潜在的に阻害しうる。なぜなら、阻害剤は、消化管を正常に通過する間に、放出されうるためである。これらの製剤はまた、効果的な阻害が達成されうることが想定される(すなわち、アゴニスト及びアンタゴニストの生体利用効率、薬物動態及び相対的親和力は、意図される受容者において効果的な阻害を誘発するように適合されうる)。米国特許番号第3,773,955及び同番号第3,966,940は、例えば、オピオイドアゴニスト及びアンタゴニストの組み合わせを含む製剤を記載しており、その中で、アンタゴニストは、混合物が経口投与された場合には治療効果をブロックしないが、乱用者が、破砕形態において非経口投与した場合には、無痛覚、陶酔感、又は、肉体性依存をブロックする。
【0006】
プロドラッグ製剤は、例えば、消化管における既知の酵素によるプロドラックから活性薬剤へのインビボ代謝的変換に依存する。これらの製剤は、薬剤の静脈又は経鼻投与を介した陶酔感を抑制することができる一方で、それらは、経口投与の後における潜在的な毒性(例えばアルコール依存症)に関連する問題に対処していない。
【0007】
既存の技術では、このような限界のために、医薬活性薬剤を含む製剤の故意の乱用及び不測の誤用のリスクを低減できる誤用を予防するための放出制御製剤がこれまで必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の開示
本発明は、一つには、切断された(例えば二分された)又は破砕された後でさえも、製剤の内部に配置された医薬活性薬剤の放出を制御することを可能とする薬剤送達プラットフォームを形成することができるとの発見に基づく。当該プラットフォームは、特に、乱用されうる、及び/又は、治療指数が低い医薬活性薬剤の投与に有用である。乱用されうる薬剤は、例えば、鎮痛剤(例えばオピオイド鎮痛剤)、睡眠剤、抗不安剤、中枢神経系(CNS)及び呼吸刺激剤、並びに、治療指数が低い薬剤を含む。
【0009】
一つの局面において、本発明は、(a)高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)を含むコア;(b)コアを包囲する放出制御被覆;及び、(c)医薬活性薬剤が内部に配置された複数の放出制御微小粒子を含む放出制御製剤であって、微小粒子が、コアの内部、被覆の内部、又は、コア及び被覆の双方の内部に配置された放出制御製剤を提供する。結果として、製剤は、2つの放出制御メカニズム(被覆及び微小粒子)を有するように設計され、該メカニズムは、原形の製剤では一緒に働く。しかしながら、破砕されて、被覆が損傷を受けた場合に、実質的に原形を保った微小粒子が医薬活性薬剤の放出を制御し、剤形ダンピングを抑止する。
【0010】
水性環境にさらされた場合、少なくとも1種の医薬活性薬剤は、長期間(例えば少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、又は、少なくとも24時間)にわたって原形の製剤から放出される。ある態様において、少なくとも1種の医薬活性薬剤の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、更により好ましくは80%が原形の製剤から実質的に即時(例えば30分以内に)放出されるのを抑止する。
【0011】
製剤は、破砕されて放出制御被覆が破壊され、コアがさらされ、次いで、水性環境にさらされる場合に、高吸水性材料が、膨張して、実質的に原形を保つ微小粒子をトラップするハード硬質ゲルを形成する。破砕された製剤が、鼻から吸引されるか、さもなくば、この経路による吸収を可能とする鼻汁を吸入する場合に、ハードゲルは不快感を与える。更に、抽出媒体にさらされた後に、ハードゲルが形成されると、得られたゲルを、シリンジのニードルを通して押し出すことができない。被覆の放出制御特性は、破砕によって損傷をうけうるが、微小粒子は、それでも医薬活性薬剤の放出を制御することができ、実質的に、薬剤が、製剤から即時放出されることを抑制する。ある態様において、少なくとも1種の医薬活性薬剤の少なくとも50%、好ましくは60%、より好ましくは70%、更により好ましくは80%が、製剤から実質的に即時(例えば、30分以内)放出されるのを抑止する。結果として、本発明の製剤は、たとえ製剤が壊れるか、破砕されたとしても、水中、アルコール(例えばエタノール)、及び様々なpHの別の媒体中の用量ダンピングの可能性が低くなるか、なくなる。
【0012】
ある態様において、放出制御微小粒子は、コア又は被覆の内部に配置されうることが理解される。別の態様において、放出制御微小粒子(同じでも相違してもよい)は、コア及び被覆の双方の内部に配置される。粒子の位置は、製剤の望ましい放出プロフィールに応じて選択できると理解される。例えば、8時間にわたっての放出が好ましい場合には、粒子は、被覆の内部に配置されうる。一方で、24時間にわたっての放出が好ましい場合には、粒子はコアの内部に、又は、コア及び被覆の双方の内部に配置されうる。
【0013】
ある態様において、コアは、モノリシックである。モノリシックコアは、適宜、その内部に配置される微小粒子を包含する。しかしながら、ある環境下において、コアは、多層の様々な放出マトリクス(例えば、2層、3層かそれ以上の層を含む二重層又は複数層の形態でありうる)を含むことができると理解される。ある二重層の形態において、第一層は、薬剤含有微小粒子を含み、第二層は、遊離型薬剤を含む(すなわち、薬剤は、微小粒子に存在しないか、微小粒子と結合してない。)。結果として、薬剤が、微小粒子を含む第一層からよりも微小粒子を含まない第二層からのほうが早く放出される。さらに、好適な放出プロフィールに応じて、二重層のある層は、一連の放出反応速度を有する微小粒子の集団を含むことができ、二重層の別の層は、第二の異なる一連の放出反応速度を有する微粒子の第二の異なる集団を含みうると意図される。
【0014】
ある態様において、高吸収性材料は、コアの約10%(w/w)から約70%(w/w)を構成するように含まれる。別の態様において、高吸収性材料は、コアの約30%(w/w)から約50%(w/w)を構成する。更に、原形の製剤に対して、ある態様において、コアの容積が原形の製剤の約5%から約40%、原形の製剤の約10%から約30%、又は、原形の製剤の約15%から約20%を構成する。ある態様において、コアの容積は、得られた原形の製剤の最終容積の少なくとも30%、少なくとも20%、又は、少なくとも15%を構成する。
【0015】
放出制御微小粒子は、その内部に配置された医薬活性薬剤、及び/又は、放出制御被覆若しくはフィルムの放出を制御する、放出制御媒体(例えば、架橋高アミロースデンプン(商標名コントラミド(CONTRAMID)(登録商標)でラボファーム社(Labopharm, Inc., Laval, Canada)から販売されている))を含む。微小粒子の平均直径は、約1μmから約1000μmである。微小粒子は、製剤が例えば、一般の錠剤粉砕機を用いて、又は、スプーン間で、又は、乳棒及び乳鉢で破砕された場合、その小さなサイズ、及び曲率の高い半径に起因して粉砕に耐える。ある態様において、微小粒子の平均直径は、約200μmから約900μm、又は、約300μmから約800μmである。ある環境下において微小粒子の平均直径は、約700μmである。別の態様において、放出制御微小粒子の平均直径は、約1μmから約400μm、約5μmから約300μm、又は、約10μmから約200μmである。微小粒子の平均直径は、約100μmでありうる。
【0016】
更に、製剤は、同じ医薬活性薬剤、又は、2種かそれ以上の医薬活性薬剤の同様の組み合わせを含む微小粒子を含みうると理解される。また、製剤は、微小粒子のひとつの集団が、ひとつの薬剤を含み、微小粒子の別の集団が、第二の異なる薬剤を含む、微小粒子を含みうる。
【0017】
別の局面において、本発明は、哺乳類、例えば、ヒトに対する医薬活性薬剤の放出を制御するための方法を提供する。当該方法は、医薬活性薬剤を必要とする個体に本明細書中に記載される1種かそれ以上の放出制御製剤を経口投与することを含む。
【0018】
前述の、本発明の別の対象、特徴、及び利点は、添付の図面において説明されるように、以下の好ましい態様の説明から明らかになるだろう。同様に参照された要素は、対応する図面において、共通する特徴を明らかにする。図面は必ずしも一定の縮尺ではなく、それよりもむしろ本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】例示的な誤用を予防するための放出制御製剤の略図を示す。図中、重要な薬剤を含む放出制御微小粒子が被覆の内部に(図1A及び1D)、コアの内部に(図1B及び1E)、又は、コア及び被覆の双方の内部に(図1C及び1F)配置されたものを表す。図1Aから1Cにおいて、コアは、モノリシックであり、図1Dから1Fにおいて、コアは、二分子層である。
【図2】リン酸緩衝液(pH6.8)中におけるU.S.P.タイプI装置での本発明の原形の例示的な放出制御製剤からの塩酸トラマドールのインビトロの溶解プロフィールを示すグラフである。
【図3】U.S.P.タイプI装置での本発明の原形の例示的な放出制御製剤からの塩酸トラマドールのインビトロの溶解プロフィールを示すグラフである。図中、各溶媒についての表記は、水(-□-)、20%エタノール(-■-)、40%エタノール(-△-)、60%エタノール(-▼-)、80%エタノール(-○-)、又は、100%エタノール(-●-)である。
【図4】pHの関数として、U.S.P.タイプI装置での本発明の原形の例示的な放出制御製剤による塩酸トラマドールのインビトロの溶解プロフィールを示すグラフである。図中、各溶媒についての表記は、水(-■-)、pH1.2の緩衝液(-●-)、pH3.0の緩衝液(-○-)、pH5.0の緩衝液(-▼-)、pH6.8の緩衝液(-△-)である。
【図5】U.S.P.タイプI装置を用いた、リン酸緩衝液(pH6.8)中での、本発明の原形の例示的な放出制御錠剤(-●-)からの、又は、本発明の半分の錠剤(二分された錠剤)(放出値は、原形の錠剤に対して正規化されている)(-■-)からの塩酸トラマドールのインビトロの溶解プロフィールを示すグラフである。
【図6】5本のバイアルを示す写真である。図中、第一バイアルは、2mLの水を含み、第二から第五バイアル(逆さ)は、本発明の様々な放出制御製剤の錠剤(夫々の該錠剤は、ピル破砕機において破砕され、2mLの水にさらされる)を含み、逆さの場合であっても、夫々のバイアルの底部に残るハードゲルを製造する。
【図7】7本の逆さのバイアルを示す写真である。夫々、本発明の破砕された錠剤を含み、10mLの以下のものにさらされている。(i)水(室温で、攪拌しながら15分間)(バイアル1)、(ii)水(50℃で、攪拌しながら15分間)(バイアル2)、(iii)水(75℃で、攪拌しながら15分間)(バイアル3)、(iv)水(100℃で、攪拌しながら15分間)(バイアル4)、(v)酸性媒体(pH1.2)(室温で、攪拌しながら15分間)(バイアル5)、(vi)塩基性媒体(pH7.5)(室温で、攪拌しながら15分間)(バイアル6)、(vii)40%エタノール水(室温で、攪拌しながら15分間)(バイアル7)。
【図8】U.S.P.タイプI装置をもって30分間、37℃で、900mLの抽出媒体においてインキュベートした後に、本発明(明るいシェーディングのバー)又はUltram ER(暗いシェーディングのバー)の破砕錠剤のトラマドール放出における様々なエタノール濃度の影響を示すバーチャートである。
【図9】U.S.P.タイプI装置をもって30分間、37℃で、900mLの様々なpHの抽出溶媒中でインキュベートされた後の本発明(明るいシェーディングのバー)又はUltram ER(暗いシェーディングのバー)の破砕錠剤のトラマドール放出におけるpHの影響を示すバーチャートである。
【図10】絶食条件下(図10A)又は摂食条件下(図10B)での大人のヒトに対して、単用量投与の後に例示的な100mgの錠剤から放出されるトラマドールの平均血漿濃度を示すグラフである。
【図11】40mgの塩酸オキシコドンを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置をもって12時間、100rpmで、リン酸緩衝液(pH6.8)(-●-)中の、又は、40%エタノールを含む緩衝液(-□-)中の原形の錠剤(図11A)の、又は、破砕錠剤(図11B)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【図12】40mgの塩酸オキシコドンを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置をもって12時間、100rpmでの、リン酸緩衝液(pH6.8)中の原形の錠剤(-●-)の、又は、リン酸緩衝液(pH6.8)中の二分された錠剤(-△-)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【図13】20mgの塩酸オキシコドン/650mgのアセトアミノフェンを含む被覆された二重層態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。図中、オキシコドンの放出は、U.S.P.タイプI装置をもって100rpmで、pH1.2の酸中で1時間測定され、次いで、pH6.8のリン酸緩衝液中で11時間測定された。
【図14】150mgの塩酸トラマドールを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置でもって100rpmでの、pH6.8のリン酸緩衝液中の、3つの異なるロットの原形の錠剤(図14A)の、又は、破砕された錠剤(図14B)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【図15】150mgの塩酸トラマドールを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置をもって100rpmでの、60%エタノールを含む水中の、3つの異なるロットの原形の錠剤(図15A)の、又は、破砕された錠剤(図15B)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【図16】200mgの塩酸トラマドールを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置でもって100rpmでの、リン酸緩衝液(pH6.8)又は水中での、原形の錠剤(図16A)の、又は、破砕された錠剤(図16B)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【図17】200mgの塩酸トラマドールを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置をもって100rpmでの、リン酸緩衝液(pH6.8)(-●-)単独又は20%エタノール(-▲-)、40%エタノール(-■-)又は60%エタノール(-▼-)を含む水中での、原形の錠剤(図17A)の、又は、破砕された錠剤(図17B)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【図18】30mgのヒドロコドンを含む態様のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフであって、U.S.P.タイプI装置をもって100rpmでの、リン酸緩衝液(pH6.8)(-●-)中の、又は、酸(pH1.2)(-▲-)中の、原形の錠剤(図18A)の、又は、破砕された錠剤(図18B)のインビトロ溶解プロフィールを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するベストモード
本発明は、一つには、別の放出制御製剤よりも故意の乱用及び不測の誤用が起こりにくく、有害な添加剤、活性成分アンタゴニスト、プロドラッグなどが存在しない、医薬製剤を提供する放出制御プラットフォームを製造することを可能とする発見に基づく。例えば、患者が、飲み込みやすくするために錠剤を半分に割るときなどに起こりうるような、製剤が分割された(例えば二分された)場合であっても、製剤は放出制御特性を維持する。さらに、破砕された場合でさえ、本発明の製剤は、用量ダンピングを抑止する。なぜなら製剤の内部に含まれる微小粒子は、実質的に原形を保ち、放出制御特性を保持し続けるためである。
【0021】
本発明は、放出制御製剤であって、(a)高吸収性材料(例えばカルボフィル)を含むコア;(b)前記コアを包囲する放出制御被覆;及び、(c)その内部に配置される医薬活性薬剤を有する複数の放出制御微小粒子を含み:ここで、該微小粒子が、前記コア、前記被覆、又は、前記コア及び前記被覆の双方の内部に配置された放出制御製剤を提供する。製剤は、2つの放出制御メカニズム(被覆及び微小粒子)を有し、それらは原形の製剤中で一緒に機能する。しかしながら、破砕されて被覆が損傷した場合であっても、微小粒子は、実質的に、原形を保ち、医薬活性薬剤の放出を制御し、用量ダンピングを抑止する。ここで使用されるように、用語「用量ダンピング」は、製剤中少なくとも80%の医薬活性薬剤が、30分以内に放出される(明細書では、即時放出製剤としての製剤を特徴付けるために用いられうる)、医薬活性薬剤の非制御放出を意味すると理解される。
【0022】
図1は、本発明の製剤のある態様(図1A〜1F)を示す。各製剤10は、コア20及び被覆30を含む。図1A及び1Dにおいて、製剤10は、コア20の内部に配置される放出制御微小粒子40を含む。図1B及び1Eにおいて、製剤10は、コア20の内部に配置される放出制御微小粒子40を含む。図1C及び1Fにおいて、製剤10は、コア20及び被覆30の双方の内部に配置される放出制御微小粒子40を含む。図1A〜1Cにおいて、コアは、モノリシックである。図1D〜1Fにおいて、コアは、第一層50及び第二の異なる層60を有する二重層であることを示す。しかしながら、コアは、異なる材料の2またはそれ以上(例えば3、4、またはそれより多い)の層を有する多層を含みうると理解される。図1で示される夫々の態様において、微小粒子は、錠剤が原形であるか損傷を受けているか(例えば、二分又は破砕)に関係なく活性成分の放出を制御する。
【0023】
通常の使用において、被覆30は、溶媒に対する暴露からコア20を保護し、それによってコアの高吸収性材料の膨張を防ぐ。結果として、医薬活性薬剤が、製剤から確実に放出される。薬剤含有放出制御微小粒子は、被覆30の内部に配置され、その際、溶媒が被覆に浸透するので、薬剤は、被覆30から放出される。薬剤含有放出制御微小粒子は、被覆30及びコア20の双方の内部に配置されている場合、薬剤は、初めに被覆における微小粒子から放出される。時間とともに、溶媒が徐々に被覆に浸透し、次いで、コア20に接触し、コアの内部に位置する微小粒子から薬剤が流出される。被覆30が十分な完全性(例えば被覆が固体又は半固体ネットのように働く)を維持できるように、製剤は設計される。コア20の内部の高吸収性材料が、膨張すること、及び、完全な錠剤が崩壊することを抑止できるようにするためである。
【0024】
ここで説明される組成は、1種かそれより多く(例えば、2、3、4、又はそれ以上の種)の医薬活性薬剤の送達に使用されうることを意図される。例えば、コアの内部に配置された微小粒子は、第一医薬活性薬剤を含むことができ、被覆に配置された微小粒子は、第二の異なる医薬活性薬剤を含むことができる。また、コア内部及び/又は被覆内部に配置された微小粒子は、2種かそれ以上の異なる医薬活性薬剤を含むことができる。また、コア及び/又は被覆は、2種かそれ以上の異なる医薬活性薬剤を含むことができる。さらに、コア及び/又は被覆は、各集団が同じ又は異なる医薬活性薬剤を含む微小球の2つかそれ以上の異なる集団を含みうることを意図される。各層において存在する賦形剤は、変化することが理解される。さらに、好ましい放出反応速度に応じて、医薬活性薬剤はコア内部及び/又は被覆内部に配置されうるが、微小粒子の内部に含有され得ないことが理解される。例えば、微小粒子の内部に配置された第一医薬活性薬剤は、被覆の内部に存在しうるが、微小粒子の内部に存在しない同じ又は異なる医薬活性薬剤は、コアの内部に存在しうる。反対に、微小粒子の内部に存在しない第一医薬活性薬剤は、被覆の内部に存在しうるが、微小粒子の内部に配置された同じ又は異なる医薬活性薬剤は、コアの内部に存在しうる。
【0025】
ある態様において、コアは、モノリシックである(図1Aから図1C参照のこと)。モノリシックコアは、適宜、その内部に配置された微小粒子を含みうる。しかしながら、ある環境下において、コアは、複数の異なる放出マトリクス(例えば、2、3、又はそれ以上の層を含む二重層又は複数の層の形態)を含むことができると理解される(図1D〜1Fを参照のこと)。層のひとつは、即時放出層として働くことができ、その別の層は、放出制御層として働きうる。また、少なくとも2層が、放出制御特性を有しうる。ひとつの態様において、ある層は、ひとつの医薬活性薬剤を放出することができ、別の層は、同じ速度で又は異なる速度で放出しうる、異なる医薬活性薬剤を放出しうる。別の態様において、一つの層がある医薬活性薬剤をある速度で放出でき、別の層が同じ医薬活性薬剤を異なる速度(すなわち、第一層より速いか遅い)で放出することができる。ある二重層態様において、第一層は、薬剤含有微粒子を含み、第二層は、遊離薬物(すなわち、薬剤は、微小粒子に存在しないか、微小粒子と結合してない。)を含む。結果として、薬剤が、微小粒子を含む第一層からよりも微小粒子を含まない第二層からのほうが早く放出される。さらに、好適な放出プロフィールに応じて、二重層のある層は、一連の放出反応速度を有する微小粒子の集団を含むことができ、二重層の別の層は、第二の異なる一連の放出反応速度を有する微粒子の第二の異なる集団を含みうる。
【0026】
原形の製剤の場合において、水性環境(例えば、少なくとも10%(v/v)水を含む溶液)にさらされた場合、少なくとも1種の医薬活性薬剤が、原形の製剤から長期間(例えば、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間)にわたって放出される。ある態様において、抽出媒体、例えば、水、pH1.2から6.8の範囲の水溶液、及び様々なエタノール媒体(例えば20%エタノール水、40%エタノール水、60%エタノール水、80%エタノール水、及び、100%エタノール)にさらされた場合に、少なくとも1種の医薬活性薬剤の少なくとも50%、好適には60%、更に好ましくは70%、一層更に好ましくは80%が、製剤から実質的に即時(例えば30分以内)放出されるのを防ぐ。これらの特徴は、例えば実施例2において一層詳細に論じられる図2〜4で示される。
【0027】
患者が錠剤を飲み込みやすくするためにそれを破壊する場合に起こりうるような製剤の二分、例えば、製剤を軸方向に二分された場合に、放出制御被覆は、損傷を受ける。しかしながら、コアを包囲する残りの被覆、コアの部分的な膨張、及び、微小粒子の放出制御特性を組合せることで、製剤が原形の錠剤と実質的に同じ医薬活性薬剤の放出プロフィールを有することを可能にする。更に、二分化された場合でさえ、本発明の製剤は、少なくとも12時間、少なくとも18時間、又は、24時間にわたって医薬活性薬剤の放出を可能にする。ある態様において、抽出媒体、例えば、水、pH1.2から6.8の範囲の水溶液、及び様々なエタノール媒体(例えば20%エタノール水、40%エタノール水、60%エタノール水、80%エタノール水、及び、100%エタノール)にさらされた場合に、少なくとも1種の医薬活性薬剤の少なくとも50%、好ましくは60%、更に好ましくは70%、一層更に好ましくは80%が、製剤から実質的に即時(例えば30分以内)放出されるのを防ぐ。これらの特徴は、例えば図5〜12において示される。
【0028】
製剤は、破砕され(例えば、市販のピル破砕機を用いて、少なくとも10粒か、それ以上の粒に製剤を破壊する)、放出制御被覆が破壊され、コアがさらされた状態で、水性環境にさらされた場合に、高吸収性材料は、早急に膨張し(例えば30秒以内)、微小粒子をトラップするハードゲルを形成する。部分的にそれらの小サイズ(曲率の高い半径)に基づいて、微小粒子は、破砕プロセスに耐え、実質的に原形が保たれる。破砕された製剤が鼻孔に吸い上げられ、ゲル形成が鼻孔の中に生じた場合に、ハードゲルは、不快感をもたらす。このプロセスは、血流への活性成分の吸収に必要とされる鼻汁が、この経路を介する中毒を抑制する高吸収性材料によって吸収される点で有利である。同様に、製剤が破砕され、水性環境にさらされ、医薬活性薬剤を抽出した場合に、コアの高吸収性材料は、抽出媒体を吸収しうるため、投与のための抽出媒体がほとんど残らないか、なくなってしまう(実施例4で説明される図6及び7参照のこと)。更に、このプロセスで形成されるハードゲルは、シリンジニードルで吸い上げるのも押し出すのも難しい。
【0029】
被覆の放出制御特性は、破砕によって損傷を受けるが、微小粒子はいまだに、医学活性薬剤の放出を制御することができ、薬剤が製剤から実質的に即時放出されることを抑制する(すなわち、微小粒子は、医薬活性薬剤の放出を制御する)。例えば、少なくとも1種の医薬活性薬剤の少なくとも50%、好ましくは60%、更に好ましくは70%、一層更に好ましくは80%が、製剤から実質的に即時(例えば30分以内に)放出されるのを抑止する(実施例4について説明する図8参照のこと)。結果として、本発明の製剤は、たとえ製剤が破壊されるか破砕された場合であっても、水、20%エタノール、40%エタノール、及び60%エタノール中での用量ダンピングを抑止する。
【0030】
ある態様において、本発明の製剤は、破砕されて、100rpmで、30分間、37℃で攪拌しながら、U.S.P.タイプI装置をもって900mLの水にさらされた場合に、それが破砕されて壊される前にはじめから製剤に存在する少なくとも1種の医薬活性薬剤の約50質量%未満、約45質量%未満、約40質量%未満、約35質量%未満、約30質量%未満、約25質量%未満、又は、約20質量%未満が、水に放出される。ある態様において、本発明の製剤は、破砕されて、100rpmで、30分間、37℃で攪拌しながら、U.S.P.タイプI装置をもって900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液にさらされた場合に、それが壊される前にはじめから製剤に存在する少なくとも1種の医薬活性薬剤の約50質量%未満、約45質量%未満、約40質量%未満、約35質量%未満、約30質量%未満、約25質量%未満、又は、約20質量%未満が、水溶液に放出される。
【0031】
本発明の製剤の各構成成分を、以下のセクションで論じる。
<A.コアの検討事項>
【0032】
コアは、本発明の重要な特性を構成する、高吸収性材料を含む。ここで使用されるような用語「高吸収性材料」は、溶媒を吸収するいずれかの材料を意味すると理解され、例えば、1gの材料が、少なくとも30mL、より好ましくは50mLの溶媒を吸収し、溶媒を吸収することで、膨張して、水和ゲル(ヒドロゲル)を作り出す。一般的に、有用な高吸収性材料は、水性溶媒(例えば水)にさらされた場合に、それ自体の質量に基づいて、10〜15倍超過、例えば少なくとも30倍超過、より好ましくは50倍超過の水を吸収する。ある態様において、高吸収性材料は、ポリマーである。
【0033】
高吸収性材料は、ポリサッカライド誘導体、又は、架橋高分子電解質から製造される。ポリサッカライド高吸収剤は、限定されないが、デンプングラフトコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース誘導体、ヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプン(cross-linked hydroxypropyl distarch phosphate)、加水分解デンプンアクリロニトリルグラフトコポリマー、及び、中和デンプンアクリル酸グラフトコポリマーを含む。架橋高分子電解質は、カルボキシル、スルホナート、スルファート、スルフィット、ホスファート、アミン、イミン、アミド、第四級アンモニウム、又はそれらの混合物のような官能基を含みうる。高分子電解質ポリマーの例は、限定されないが、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン-マレイン酸無水物コポリマー、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウム ヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、並びにこれらのコポリマー及び混合物の塩又は部分塩(partial salt)を含む。
【0034】
例示的な高吸収性材料は、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、及び、これらの混合物からなる群から選択される、ポリマーを含みうる。ポリカルボフィルは、大量の水を吸収し、保持することができる高吸収性ポリマーである。ポリカルボフィルは、ジビニルグリコールと架橋された高分子量のアクリル酸ポリマーであり、ルーブリゾールコーポレーション(Lubrizol Corporation) OH, USAから商標名NOVEON(登録商標)AA-Iから市販されている。1gのポリカルボフィルが、約62gの水を吸収できることが理解される。ポリカルボフィルは、安定しており、通常の条件下で加水分解も酸化も受けない。ポリカルボフィルのカルシウム塩(ポリカルボフィルカルシウム)は、使用可能であり、ルーブリゾールコーポレーション OH, USAから商標名NOVEON(登録商標)CA-I又はCA-2で市販されている。別の例示的な高吸収性材料は、例えば、ルーブリゾールコーポレーション OH, USAから市販されているカルボポール(Carbopol(登録商標))71 G、Carbopol(登録商標)971P、Carbopol(登録商標)974を含む。
【0035】
高吸収性材料は、2つの機能を与える。第一に、高吸収性材料(例えばカルボフィル)を含む製剤が破砕されて、非経口的な注射用の溶媒(例えば水)と混合された場合に、高吸収材料は、早急に水を吸収し、膨張し、ハードゲルを形成し、このようにして、注射を妨げる。更に、加えられる溶媒の量に応じて、全ての溶媒を吸収可能であり、投与されうる残留溶媒を残さない。第二に、製剤が破砕されて、鼻孔に吸引される場合に、高吸収性材料は鼻孔における液体を吸収し、高吸収性材料を膨張させる。膨張することで不快感を与えるだけでなく、製剤の内部に配置された薬剤が早急に(例えば、30分未満以内に)放出されるのを妨げる。
【0036】
一般的に、コアにおける高吸収性材料の割合は、コアの約10%(w/w)から約70%(w/w)で、更に好ましくは、コアの約30%(w/w)から約50%(w/w)で変化する。更に、コアにおける高吸収性材料は、最終的な製剤の原形の約2%(w/w)から約20%(w/w)で、更に好ましくは、最終的な製剤の原形の約4%(w/w)から約14%(w/w)、更に好ましくは、最終的な製剤の原形の約6%(w/w)から約12%(w/w)で変化する。
【0037】
更に、原形の製剤に関して、コアの容積は、原形の製剤の約5%から約40%、又は、約10%から約30%を構成し、又は、原形の製剤の約15%から約20%を構成する。ある態様において、コアの容積は、得られる原形の製剤の最終溶液の少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%を構成する。
【0038】
高吸収性材料に加えて、コアは、別の賦形剤及び製造補助剤を含むことができ、それらは、例えば、1種以上の顆粒補助剤(例えば、キサンタンガム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、セルロース、及び、スクロース誘導体、並びに、これらの混合物)、滑剤(例えば、マグネシウムステアリルフマラート、マグネシウムステアラート、及び、ステアリン酸)、流動促進剤(例えば、コロイド状の二酸化ケイ素及びタルク)、ダイ(例えば、酸化鉄)及び、フィラー(例えば、微晶性デンプン)を含む。
【0039】
更に、コアは、必要な医薬活性薬剤を含有する放出制御微小粒子を含みうる。例示的な放出制御微小粒子の組成、及び、それらの製造方法は、以下のセクションCに記載される
【0040】
ある態様において、コアは、モノリシックであり、適宜その内部に配置された微小粒子を含む。しかしながら、ある態様において、コアは、複数の異なる放出マトリクスを含んでもよく、2、3、又はそれ以上の層を含む二重層又は複数層の形態であってもよいと理解される。層のひとつは、即時放出層として働くことができ、その別の層は、放出制御層として働きうる。また、少なくとも2層が、放出制御特性を有しうる。ある態様において、ある層は、ある医薬活性薬剤を放出することができ、別の層は、同じ速度で又は異なる速度で放出しうる、異なる医薬活性薬剤を放出しうる。別の態様において、ある層がある医薬活性薬剤をある速度で放出でき、別の層が同じ医薬活性薬剤を異なる速度(すなわち、第一層より速いか遅い)で放出することができる。
<B.被覆の検討事項>
【0041】
被覆は、存在する場合に、本発明の調合剤の作用において重要な役割を果たす。被覆は、以下のような硬い外装シェルをもたらす:(i)破砕又は咀嚼によるダメージを阻止する、(ii)抽出媒体のpHが変化することでの薬剤の放出を阻止する(例えば、調合剤が一般的な炭酸飲料と混ざった場合)、(iii)アルコール飲料のアルコール含有量を超えるレベルであっても、抽出媒体におけるアルコールの存在下での薬剤の放出を阻止する、そして、(iv)溶媒による浸透を可能とし、溶媒でコア及び/又は被覆の内部に置かれた微小粒子の内部に配置された薬剤の放出を可能とする。普通の使用において、被覆は、なお、コアを封じ込める硬い網状構造をもたらし、コアの高吸収性材料が膨張するのを抑止する。
【0042】
ある態様において、被覆は、放出制御薬剤を含む。代わりに、又は、更に、被覆は、放出制御被覆である。例示的な放出制御薬剤及び被覆は、アセタートスクシナート、ポリビニル誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルアセタートフタラート、ビニルアセタート及びビニルピロリドンのコポリマー、ビニルアセタート及びクロトン酸のコポリマー、ポリビニルピロリドン)、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリサッカライド (例えば、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、セルロース及びセルロース誘導体(例えば、微晶性セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセタート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタラート、セルロースアセタート、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートプロピオナート、セルロース-アセタートスクシナート、セルロースアセタートブチラート、セルロースアセタートトリメリタート))、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、ナトリウムアルギナート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギナート、ガム(例えば、キサンタンガム)、ポリメタクリラート(例えば、メタクリル酸及びメチルメタクリラートのコポリマー、及び、メタクリル酸及びエチルアクリラートのコポリマーを含む)、メタクリル酸及びエチルアクリラートのコポリマー、ポリメチルビニルエーテル及びマロン酸無水物のコポリマー、ポリメチルビニルエーテル及びマロン酸のコポリマー、並びに、それらのエチル-、イソプロピル-、n-ブチルエステル、ゼイン、並びに上記の混合物からなる群から選択されうる。
【0043】
放出制御フィルム被覆ポリマーの更なる例は、制限されないが、メチルセルロース、エチルセルロース(例えば、FMCコーポレーションのAquacoat(登録商標)タイプ)、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース(例えば、信越(株)のファーマコート(Pharmacoat)(登録商標)タイプ)、エチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルカルボキシメチルセルロース、アクリル酸ポリマー、ポリビニルアセタート、ポリビニルクロリド、ポリメチルメトアクリラート又は、ビニルクロリド、ビニルアルコール、及びビニルアセタートのテルポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(例えば、信越のHPタイプ)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(例えば、信越のAqoat)、セルロースアセタートフタラート(例えば、FMC社のアクアコート(Aquacoat)CPD、又は、イーストマンケミカルのC-A-P NF)、ポリビニルアセタートフタラート(例えば、カラコン(Colorcon)のスレテリック(Sureteric))、カルボキシメチルエチルセルロース、及びコポリマー化されたメタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル(例えば、デグサ/エボニックインダストリーズ(Degussa/Evonik Industries)のオイドラギット(Eudragit)、又は、BASFのコリコート(Kollicoat)、又は、カラコン(Colorcon)のアクリル-エゼ(Acryl-Eze)、又は、イーストマンケミカル(Eastman Chemical)のEastacryl)を含む。
【0044】
ある態様において、コリドン(Kollidon)(登録商標)SR(ポリビニルアセタート(8部, w/w)及びポリビニルピロリドンからなる粉末(2部, w/w))を、キサンタンガムと合わせて使用する。コリドン(Kollidon)(登録商標)SRは、BASF, ON, カナダから入手できる。別の態様において、被覆、例えば、オイドラギット(Eudragit)(登録商標)L30D 55はデグサ/エボニックインダストリーズ, NJ, USAから入手できる。更に、望ましい放出反応速度に応じて、同じ放出制御剤及び被覆は、微小粒子の内部に配置されるか、セクションCで以下に記載される微小粒子を被覆できると理解される。
【0045】
更に、被覆は、1種以上の増粘剤(例えば、キサンタンガム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、セルロース及びスクロース誘導体)、潤滑剤(例えば、ナトリウムステアリルフマラート、ステアリン酸マグネシウム、及び、ステアリン酸)、流動促進剤(例えば、コロイド状の二酸化ケイ素及びタルク)、及び、染料(例えば、酸化鉄)を含む。
【0046】
ある態様において、被覆は、可塑剤を含んでもよい。可塑剤の例は、制限されないが、セタノール、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、ジブチルスクシナート、アセチル化モノグリセリド、アセチルトリブチル、アセチルトリブチル シトラート、アセチルトリエチルシトラート、ベンジルベンゾアート、カルシウムステアラート、ヒマシ油、セタノール、クロレブタノール(chlorebutanol)、コロイド状二酸化ケイ素、ジブチルフタラート、ジブチルセバカート、ジエチルオキサラート、ジエチルマラート、ジエチルマレアート、ジエチルマロナート、ジエチルフマラート、ジエチルフタラート、ジエチルセバカート、ジエチルスクシナート、ジメチルフタラート、ジオクチルフタラート、グリセリン、グリセロルトリブチラート、グリセロールアセタート、グリセリルベハナート、グリセリルモノステアラート、水素化植物油、レシチン、ロイシン、マグネシウムシリカート、マグネシウムステアラート、ポリエチレングリコール、プロピレン、グリコール、ポリソルバート、シリコーン、ステアリン酸、タルク、二酸化チタン、トリアセチン、トリブチルシトラート、トリエチルシトラート、亜鉛ステアラート、PEG(ポリエチレングリコール)などを含む。
【0047】
ある態様において、被覆は、放出制御剤として、コリドン(Kollidon)(登録商標)SR及びキサンタンガム、流動促進剤として、コロイド状の二酸化ケイ素、及び、潤滑剤として、ナトリウムステアリルフマラートを含む。被覆にコリドン(Kollidon)(登録商標)SR及びキサンタンガムを混合することで、医薬活性薬剤(例えば、塩酸トラマドール)の放出を制御でき、製剤が破砕されにくいように得られる製剤の機械的強度を有意に高めることができる。
【0048】
更に、被覆は、必要な医薬活性薬剤を含む放出制御微小粒子を含みうる。例示的な放出制御微小粒子の組成及びそれらの製造方法は、以下のセクションにおいて記載される。
<C.放出制御微小粒子の検討事項>
【0049】
図1で示されたように、本発明の製剤は、被覆の内部(図1A及び1D)に、コアの内部(図1B及び1E)に、又は、コアと被覆の双方の内部(図1C及び1F)に配置された放出制御微小粒子を含む。放出制御微小粒子は、医薬活性薬剤を含み、その内部に配置される医薬活性薬剤の放出制御を助長する。選択される配置に応じて、製剤は、長期間(例えば、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、少なくとも24時間)にわたって医薬活性薬剤を放出することができる。
【0050】
放出制御粒子は、様々な形態をとることができるが、それらは多くが共通した以下の特徴を有する:(i)それらは放出制御特性を有する、(ii)それらは製剤が従来のピル破砕機で破砕された場合であっても、破砕されにくい大きさである。微小粒子は、コア及び被覆のいずれか、又は双方に、放出制御特性をもたらしうる。
【0051】
微小粒子のコアは、医薬活性薬剤及び様々な賦形剤、たとえば1種類以上の球体化剤(spheronizing agent)、可塑剤、及び放出制御剤などを含みうる。例示的な球体化剤は、例えば、微晶性セルロース、エチルセルロース、低置換されたヒドロキシプロピルセルロース及びジカルシウムホスファートジハイドレート(dihydate)を含む。微晶性セルロースが好ましく、FMCバイオポリマー(BioPolymer), DE, USAから商標名Avicel(登録商標)PHlOlで市販されている。微晶性セルロースは、球体化顆粒の製造しうるのに適した湿った可溶性の粘着性の塊を形成する。微晶性セルロースは、分子スポンジのように水を吸収することによって球体化工程を補助し、押出成形の間に湿った粉末塊の結合及び潤滑を助けると考えられる。球体化工程の間、微晶性セルロースミクロフィブリルにおいてトラップされた湿気は、押出成形品に可塑性を与え、押出成形によって得られる短い円形の成形品から球体化ペレットに変形させるのを助ける。微晶性セルロースの様々なグレードは、市販されており、押出球体化に適した好ましいグレードは、Avicel(登録商標)PH101である。なぜなら、それは、小さい直径で、低いパッケージング密度で、高い保水性能を有するためである。
【0052】
更に、微小粒子のコアは、可塑剤を含みうる。例示的な可塑剤は、例えば、アイエムテック(IMTech), PA, USAから入手できるプラスアクリル(Plasacryl)、及び、Morflex, NC, USAから入手できるトリエチルシトラートを含む。
【0053】
更に、微小粒子のコアは、適宜、医薬活性薬剤の放出を制御する放出制御剤を含みうる。例示的な放出制御剤は、デンプン、デンプン誘導体、セルロース誘導体、キサンタンガム、ポリエチレングリコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール、及びそれらの混合物からなる群から選択されうる。好ましい態様において、放出制御賦形剤は、少なくとも12時間、少なくとも18時間、又は、少なくとも24時間、医薬活性薬剤の放出の制御をする架橋高アミロースデンプンであるデンプン誘導体を含む。架橋高アミロースデンプンは、リンオキシクロリドと架橋されてもよく、及び/又は、ヒドロキシプロピル側鎖を含んでもよい。ある態様において、好ましい放出制御剤は、商標名コントラミド(CONTRAMID)(登録商標)で、ラボファーム社(Labopharm, Inc., Laval, Canada)から市販されている。CONTRAMD(登録商標)賦形剤の合成は、米国特許番号第6,607,748に記載されている。
【0054】
医薬活性薬剤を含む微小粒子のコアは、様々な方法(例えば、湿式造粒法及び押出成形-球体化)によって調製されうる。湿式造粒法の間、微小粒子は、例えば流動層ローター造粒機を用いて調製される。湿潤造粒法プロセスは、例えば、以下の工程を含む:(i)粉末を湿らせて、湿った顆粒を形成する;(ii)湿った顆粒をタブリング又は球体化する;(iii)工程(ii)の製品を乾燥する。代わりに、ペレットは、押出成形球体化によって製造されてもよく、これは、高い再現性があり、スケールアップが容易で、費用効率が高く、実質的に完全な球体化微小粒子を製造できるという点で有利である。押出成形-球体化は、例えば、以下の工程を含む:(i)一般的なバインダーを含有する水溶液又は有機溶液で、粉末ブレンドを湿らせて、湿式押出に適した均質の湿塊を形成する;(ii)湿塊を押出して、均一な形及び大きさの円筒状の押出成形品を形成する;(iii)例えば、高速回転円板が、押出成形品を小さな微小粒子に壊して、球体状に丸める、スフィロナイザー(spheronizer)を用いて湿塊を球体化する。
【0055】
微小粒子のコアは、十分に柔軟性がある放出制御被覆で被覆されて、破砕されずに、錠剤形成の間に圧縮下で変形されうる。好適な放出制御剤は、上述のセクションにおいて記載される。ある態様において、放出制御被覆は、ポリメタクリラート(例えばオイドラギット(Eudragit)(登録商標)RS、デグサ/エボニックインダストリーズ(Degussa/Evonik Industries), NJ, USAから入手できる)を含む。オイドラギット(Eudragit)(登録商標)RS 3ODグレードは、特に有益であって、エチルアクリラート:メチルメタクリラート:トリメチルアンモニオエチルメタクリラートの比が1:2:0.1(w/w)であるポリマーの混合物の水分散液(30% w/w)である。オイドラギット(Eudragit)(登録商標)RSグレードは、放出を持続する製剤用の不水溶性のフィルム被覆を形成するために設計される。オイドラギット(Eudagrit)(登録商標)RSグレードは、低い透過性を有し、高度に柔軟なフィルム被覆を形成する。別の有益な被覆材料は、デグサ/エボニックインダストリーズ(Degussa/Evonik Industries), NJ, USAから入手できるオイドラギット(Eudagrit)(登録商標)L30D55を含む。別の放出制御被覆は、商標名Surelease(登録商標)で市販されているエチルセルロースを含む。別の放出制御被覆は、BASFファインケミカルズから入手できるコリコート(Kollicoat)SRを含む。ひとつのアプローチとして、微小粒子のコアは、ボトムスプレーを備えた流動層塗装機を用いて被覆される。
【0056】
得られる粒子の平均粒子径は、その組成や製造方法に応じて、約1μm〜約1000μmである。ある態様において、微小粒子の平均直径は、約200μm〜約900μm、又は、約300μm〜約800μmである。ある態様において、得られる微小粒子の平均直径は、約700μmである。ある別の態様において、微小粒子の平均直径は、約1μm〜約400μm、又は、約5μm〜約300μm、又は、約10μm〜約200μmである。ある態様において、得られる微小粒子の平均直径は、約100μmである。
<D.医薬活性薬剤>
【0057】
当然ながら、ここに記載される組成物は、1種以上の医薬活性薬剤の送達に使用されうる。ある態様において、放出制御微小粒子は、1種以上の医薬活性薬剤を含みうる。また、当然ながら、本発明の製剤はある医薬活性薬剤を含む微小粒子の1つの集団と第二の異なる医薬活性薬剤を含む微小粒子の別の集団を含む、多くの異なる微小粒子を含んでもよい。
【0058】
多くの医薬活性薬剤は、ここに記載される製剤を使用して送達されることで利益を得ることができる。1970年の包括的薬物乱用防止及び管理法(Comprehensive Drug Abuse Prevention and Control Act)の第II編である規制物質法(CSA)は、既存の連邦法の下で規制されるすべての物質を、その物質の薬理効果、有害性、および乱用もしくは嗜癖についての可能性に基づいて5つの一覧表のうち1つに配置した。本発明の製剤は、好ましくは、一覧表II、III、IVおよびVの薬物として分類される薬物を送達するのに使用される。同様に、薬剤の放出を制御することが有益であるいずれの薬剤であっても本発明の製剤に組み込むことができるが、ここに記載される製剤は、特に、例えば、CNS及び呼吸刺激剤、鎮痛剤(例えば、オピオイド鎮痛剤)、睡眠薬、抗不安薬、及び、治療指数が低い薬剤の送達において有益である。本発明の目的において、医薬活性薬剤は、医薬活性薬剤の塩、エステル、及びプロドラッグを包含することを意図される。
【0059】
例示的なオピオイド鎮痛剤は、例えば、アンフェタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カーフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、β-ヒドロキシ-3-メチルフェンタニル、レボ-α-アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン(prepoxyphene)、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドールヒドロクロリド、及びこれらの混合物を含む。
【0060】
例示的な睡眠薬は、例えば、ベンゾジアゼピン及び非ベンゾジアゼピンを含む。例示的なベンゾジアゼピンは、制限されないが、アルプラゾラム、ジアゼピン、フルラゼパム、ロプラゾラム、メキサゾラム、ニトラゼパムなどを含む。例示的な非ベンゾジアゼピンは、制限されないが、バルビツレート(例えば、ブトバルビタール(butobarbitone)、フェノバルビタール(phenobarbitone)、アミロバルビトール(amylobarbitone))、クロルメチアゾール、エスゾピクロン、ラメルテオン、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデムなどを含む。
【0061】
例示的な抗不安剤は、制限されないが、アンフェタミン、ブスピロン、バルビツレート、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、ブロマゼパム(bromazepam)、ブロチゾラム、カマゼパム(camazepam)、クロルジアゼポキシド、クロバザム、クロナゼパム、デアルキルフルラゼパム、ジアゼパム、フルニトラゼパム、フルラゼパム、ロラゼパム、ロルメタゼパム(lometazepam)、メダゼパム、メタクラゼパム、ミダゾラム、ニトラゼパム、ノルダゼパム、オキサゼパム、ペンチレンテトラゾール、プラゼパム、テマゼパム、テトラゼパム、及びトリアゾラム)などを含む。
【0062】
例示的なCNS及び呼吸刺激剤は、制限されないが、キサンチン(例えば、カフェイン及びテオフィリン)、アンフェタミン(例えば、アンフェタミン、ベンズフェタミンヒドロクロリド、デキストロアンフェタミン、デキストロアンフェタミンスルファート、レバンフェタミン、レバンフェタミンヒドロクロリド、メタンフェタミン及びメタンフェタミンヒドロクロリド)、並びに、混合刺激剤、例えば、メチルフェニデート、メチルフェニデートヒドロクロリド、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン及びシブトラミンヒドロクロリドを含む。
【0063】
治療指数が低い医薬活性薬剤は、例えば、アミオダロン(amiodarone)、アムホテリシン(amphotericin)、カルバマゼピン(cabamazepine)、クロザピン(clozapine)、ジゴキシン(digoxin)、ジソピラミド(disopyramide)、炭酸リチウム、ミノキシジル(minoxidil)、フェニトイン(phenytoin)、プリミドン(primidone)、プロカインアミド(procainamide)、キニジン(quinidine)、テオフィリン(theophylline)、バルプロ酸(valproic acid)、及びワルファリン(warfarin)を含む。
【0064】
当然のことながら、乱用抑制製剤に含まれる医薬活性薬剤の量は、標準的な錠剤で必要とされる治療量によって決まる。一般的に各医薬活性薬剤の含有量は、約0.5mg〜約900mg、約1mg〜約700mg、約1mg〜約600mg、約1mg〜約500mg、約lmg〜約400mg、約1mg〜約300mg、約1mg〜約200mg、及び、約10mg〜約200mgである。しかし、当然ながら実際の用量は、具体的な医薬活性成分及びその使用目的に応じて決定される。
【0065】
本発明は、内部に配置した医薬活性薬剤の放出を制御するための固形剤形も提供する。該固形製剤は、高吸収性材料(例えば、ポリカルボフィル)及び内部に医薬活性薬剤を配置した複数の放出制御微小粒子の混合物を含む。固形剤形を原形の状態で水性環境にさらされた場合に、医薬活性薬剤は長時間にわたって固形剤形から放出される。一方で、固形剤形を破砕し、コアの内部をさらした状態で水性環境にさらした場合に、高吸収性材料は微小粒子をトラップするハードゲルを形成するために膨張し、微小粒子は医薬活性薬剤の放出を制御する。固形剤形は、被覆されていてもされていなくてもよい。また、当然ながら、ここに記載される上記の被覆された製剤の特徴及び成分は、固形製剤にもあてはまる。
【0066】
当然ながら、ここに記載される原形の状態の組成物は、処方に関する当業者に公知の技術を用いて製造されうる。放出制御錠剤の例示的な製造プロトコールは、実施例1に記載される。しかし、当然ながら、他のアプローチを利用して本発明の製剤を製造することもできる。本発明の製剤の硬度は、好ましくは、約100N〜約500N、又は、約150N〜約400N、又は、約200Nから約400N、又は、約300N〜約400Nであり、目標となる硬度は少なくとも200Nである。更に、本発明の製剤は、カプセル、カプレット、錠剤、又は、ピルの形態をとりうる。
【0067】
本発明の製剤は、医薬活性薬剤(例えば疼痛に対するオピオイド鎮痛剤)を必要とする哺乳類、例えば、ヒトに、医薬活性薬剤を投与するために使用されうる。当然ながら、正確な用量は、症状、年齢、体重、治療されうる疾患の重症度に応じて変えることができ、本分野の当業者に公知の通常の実験により最適化されうる。
【実施例】
【0068】
本発明のプラクティスは、例示のみを目的にここに表される、上述の例からさらに十分に理解されるであろうが、決して本発明を制限するものと解釈されるべきではない。
【0069】
<実施例1> 例示的なトラマドール含有放出制御調製物の調製
この実施例は、例示的な誤用予防錠剤と、それが作られうる方法を記載する。製剤は、トラマドール:中度から中程度の強さの痛み(moderate to moderately severe pain)の治療に使用されるオピオイド剤を含み、該オピオイド剤は、乱用される可能性があり、誤用による過剰暴露によりその有害な副作用をもたらしうる。この実施例に記載された誤用防止錠剤は、100mgの塩酸トラマドールを含み、実施例2から確認されるように、24時間にわたって原形の錠剤から放出される。完全な錠剤の製剤は、表1で説明され、調剤用の構成成分の夫々の製造は、この実施例の以下のセクションで明らかにする。
【0070】
表1
【0071】
表1の製剤は、多段階プロセスによって調製され、サブセクションA〜Dで以下に概説される。
A.トラマドール含有放出制御微小粒子の製造

【0072】

非被覆の微小粒子の製剤は、表2に表され、非被覆の微小粒子は、以下のように製造される。様々な構成成分を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機(Multigranulator extruder)モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0073】
表2

【0074】
次いで、得られた微小粒子を、放出制御被覆及び表3に記載されるようにオパドライIIホワイト含有フィルムで被覆した。微小粒子を、流動層塗工機で被覆した。微小粒子を、オイドラギット(Eudragid) RS30C含有のプラスアクリル(Plasacryl)及びトリメチルシトラート(TEC)の水溶液を用いて、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、微小粒子同士の癒着の尤度を減少させるためにオイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0075】
表3

【0076】
得られた放出制御微小粒子の平均直径は、光学顕微鏡で測定すると、約700μmだった。
B.コア組成物の製造
【0077】
放出制御微小粒子に加えて、コアに、ポリカルボフィル及び様々な別の構成成分を含有させた。コアの残りの賦形剤は、表4に記載され、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。
表4

【0078】
次いで、トラマドール含有微小粒子を、残りの顆粒コア賦形剤と混合し、表5に示される製剤のコアを製造した。
表5

C.被覆組成物の製造
【0079】
放出制御微小粒子に加えて、被覆に、コリドン(Kollidon)(登録商標)SR及びキサンタンガム、並びに、様々な別の構成成分を含有させた。被覆の残りの賦形剤は、表6に記載され、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。
表6

【0080】
次いで、トラマドール含有微小粒子を、残りの顆粒化被覆賦形剤と混合し、表7に示される製剤の被覆を製造した。
表7

D.錠剤の製造
【0081】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。製剤のフィルム被覆錠剤は、表8に記載される。
表8

【0082】
得られた錠剤の硬度は、約350Nの目標硬度に対し、約300Nから約400Nであった。
<実施例2>原形の錠剤の放出特性
【0083】
実施例1で製造された錠剤の原形の状態での放出反応速度を、この実施例で調査した。更に、放出反応速度は、アルコールが抽出媒体に含まれる場合、また、抽出媒体のpHが変化する場合について調査された。
【0084】
最初に、トラマドール放出を、1分当たり100回転で、37±0.5℃で、900mLのpH6.8のリン酸二水素カリウム溶液(緩衝液ステージ)中で、25時間、U.S.P.30で記載されたように、ローテーションバスケット法(rotating basket method)(U.S.P.タイプI装置)を用いて測定した。3回の実験の結果を図2に要約する。図2から分かりうるように、実施例1で製造された錠剤は、24時間にわたって、表9に要約される反応速度で、トラマドールを放出した。
表9

【0085】
図2に表され、表9に要約された放出反応速度から、試験された条件下で、実施例1で製造された錠剤は、24時間にわたって、準0次(quasi-zero order)の放出反応速度で、トラマドールを放出した。
【0086】
加えて、上述と同じ条件下(但し、抽出溶媒は、水、20%アルコール水、40%アルコール水、60%アルコール水、80%アルコール水、100%アルコールを含むよう変化させた)で放出反応速度のアルコールの効果を調査した。結果は図3に表され、抽出溶媒が、60%エタノール含有に至るまで、6時間にわたってトラマドールの約30%未満を放出することを示す。錠剤は、水、20%エタノール、40%エタノール、及び60%エタノールにさらされた場合は、同様に挙動した。しかしながら、錠剤が80%及び100%のエタノール含有抽出溶媒にさらされた場合には、トラマドールの約50%が6時間にわたって放出された。
【0087】
図3に記載された結果は、実施例1で製造された錠剤の放出制御特性が、100%水又は100%エタノールを含む抽出溶媒中でも維持されたことを示す。ある状況においては、例えば、20%エタノールの存在下で、放出速度が、水中より一層遅くなった。さらに、試験された条件下において、20%未満のトラマドールが、水、20%エタノール、40%エタノール、60%エタノール、80%エタノール、又は、100%エタノールに入れた場合に、原形の錠剤から30分間で放出された。また、本発明の製剤は、通常のアルコール飲料と混同しても化学反応を起こさないことが明らかになった。
【0088】
更に、放出反応速度におけるpHの効果を、上述と同じ条件下(但し、抽出溶媒が、水、pH6.8のリン酸緩衝液、pH5.0のリン酸緩衝液、pH3.0のリン酸緩衝液、pH1.2の酸性化水を含むよう変化させた)で、調査した。結果は図4に表され、実施例1で製造された錠剤の放出制御特性は、pHを1.2に減少させた場合にも維持されたことを示す。しかしながら、pHが6.8から1.2に減少するに従って、放出速度は増加したことが明らかになった。また、本発明の製剤は、pHが約3.5である様々な一般的な飲料(例えば炭酸飲料)と混同しても化学反応を起こさないことが明らかになった。
<実施例3> 二分された錠剤の放出特性
【0089】
この実施例は、試験された条件下で、実施例1で製造された錠剤が、錠剤の放出制御特性を損なうことなく二分されうることを示す。言い換えると、剤形ダンピングは、錠剤が半分に割れた場合にも、起こらない。
【0090】
簡単に、実施例1で製造された錠剤を半分に二分した。原形の錠剤の放出反応速度及び二分された半分の錠剤の放出反応速度をU.S.PタイプI装置で測定した。結果は、二分された錠剤用に正規化され、図5に要約される。タイプI装置における原形の錠剤及び二分された錠剤からのトラマドール放出の反応速度は、表10及び表11に夫々要約している。
表10


表11

【0091】
図5は、原形の錠剤及び二分された錠剤の双方がそれらの放出制御特性を維持しており、20〜24時間にわたってトラマドールを放出することを示す。二分された錠剤の放出プロフィールは、原形の錠剤のそれと類似しているが、二分された錠剤は、トラマドールを原形の錠剤よりも少し早く放出していることが明らかになった。例えば、12時間の時点で、二分された錠剤は、トラマドールの開始量の80〜90%を放出する一方で、原形の錠剤は、トラマドールの65〜75%を放出した。
<実施例4> 破砕された錠剤の放出特性
【0092】
この実施例は、実施例1で作られた錠剤の一般的なピル破砕機を用いて破砕した後の性能を記載する。特に、破砕された錠剤の性能は、異なる条件下で多くの抽出溶媒にさらされた後に測定された。
【0093】
最初に、実施例1で製造された錠剤をピル破砕機で破砕し、2mLの水(静脈注射による薬物乱用における一般的な容量で、破砕された錠剤を食べ物と混合する場合に、一般的に使用されうる容量よりも多い)とガラスバイアル中で混ぜ合わせた。実験は、錠剤の4つの異なるロットを用いて行われた。破砕された錠剤が2mLの水と混合されると、それぞれの底部でシリンジに吸い込めうる液体を残さずに、20から30秒以内にハードゲルが形成された。図6で示されたように、バイアルは反転させることができ、ハードゲルは、夫々のバイアルの底部に残っていた。図6において、第一バイアルは2mLの水を含み、及び、バイアル2〜5(反転している)は夫々2mLの水と混合された4つの別々のロット(ロット1〜4と表される)の破砕錠剤を含む。夫々の場合において、製造されたゲルは、反転させた場合でさえ、バイアルの底部に留まるのに十分程度、固定されていた。
【0094】
更に、実施例1で製造された錠剤からトラマドールを抽出する力は、夫々の錠剤が、ピル破砕機で破砕された後に、異なる条件下で、試験された。簡単に言うと、破砕された錠剤は、10mLの抽出媒体(水、酸、塩基、又は、アルコール含有溶媒)と、バイアル中で混合された。溶液を、特定温度(室温(RT)、50℃、75℃又は100℃)に加熱し、リストアクションバレル(Bunrrell)攪拌機を用いて15分間、機械的にかき混ぜた。しかしながら、残った上清は製造されなかったことが分かった。図7は、実施例1で錠剤が調製された後に製造されたハードゲルを含有する夫々7本の逆さのバイアルを示し、ピル破砕機で破砕され、10mLの抽出媒体にさらされ、様々な条件下でインキュベートされ、その条件は、以下を含む:
(1)水(室温で、15分間)(バイアル1、図7)、
(2)水(50℃で、15分間)(バイアル2、図7)、
(3)水(75℃で、15分間)(バイアル3、図7)、
(4)水(100℃で、15分間)(バイアル4、図7)、
(5)酸性媒体(酸性化水)(室温で、15分間)(バイアル5、図7)、
(6)塩基性溶媒(水酸化ナトリウムpH 10)(室温で、15分間)(バイアル6、図7)、及び、
(7)40%エタノール(室温で、15分間)(バイアル7、図7)。
図7から分かりうるように、全ての試験される条件で、逆さにした夫々のバイアルの底部に残るハードゲルの製剤が確認された。このプロセスで、上清は残らず、したがって、製剤から放出されているドラマドールの量は、たとえあったとしても、測定することはできない。
【0095】
その別の実験において、トラマドールの放出は、それらが破砕されて、異なる濃度のエタノール(20%、40%、及び60%エタノール)を含む溶液にさらされた後に、実施例1に従って製造された錠剤から測定された。簡潔に言うと、錠剤は、破砕され、100rpmで、37℃で、30分間にわたって攪拌しながら、U.S.PタイプI装置をもって、900mLの抽出媒体にその薬剤量を放出した。結果は、図8において表されるバーチャートにおいて要約される。また、実施例1において製造された錠剤に用いられた条件と同じ条件下で、市販されているUltram ERを破砕し、水にさらしてから、Ultram ERのトラマドールの抽出を測定した。
【0096】
図8に要約された結果は、900mLの水、20%エタノール、40%エタノール、又は60%エタノールにさらされた場合にも、本発明の錠剤のトラマドールの用量ダンピングはないことを示した。試験された条件下で、トラマドールの20%未満が30分後に放出された。対照的に、市販されているUltram ERが、抽出媒体として水を使用した同じ条件下で試験された場合に、トラマドールのおおよそ80%が放出された。
【0097】
別の実験において、トラマドールの放出は、錠剤が破砕されて様々なpH値を有する抽出媒体にさらされた後に、実施例1に従って製造された錠剤から測定され、抽出媒体は、水、pH6.8のリン酸緩衝液、pH5のリン酸緩衝液、pH3のリン酸緩衝液、及びpH1.2の酸性化水であった。錠剤は、破砕され、100rpmで、37℃で、30分間にわたって攪拌しながら、U.S.PタイプI装置をもって、900mLの抽出媒体にその薬剤量を放出した。結果は、図9において表されるバーチャートにおいて要約される。また、実施例1において製造された錠剤に用いられた条件と同じ条件下で、Ultram ERが破砕されて水にさらされてから、市販されているUltram ERのトラマドールの抽出を測定した。
【0098】
図9に要約された結果は、試験された条件下で、900mLの抽出溶媒(水、pH6.8のリン酸緩衝液、pH5.0のリン酸緩衝液、pH3.0のリン酸緩衝液、及びpH1.2の酸性化水)中でインキュベートされた場合に、トラマドールの用量ダンピングはないことを示した。しかしながら、試験された条件下で、pHが下がるにしたがって、トラマドールの放出量が増加したことが、特徴的だった。例えば、水中で、トラマドールの20%未満が放出された。対照的に、市販されているUltram ERにおいては、抽出媒体として水を使用した同じ条件下で試験された場合に、トラマドールのおおよそ100%が放出された。pH6.8、5、及び3のリン酸緩衝液において、トラマドールのおおよそ30〜35%が本発明の錠剤から放出され、pH1.2の酸性化水において、トラマドールのおおよそ65%が放出された。
<実施例5> トラマドール錠剤の薬物動態特性
【0099】
実施例1において調製された100mg錠剤の薬物動態特性は、単回投与で、ランダムに、絶食条件下及び摂食条件下で、18人の健康な大人における交差研究で評価された。投与後に、血漿サンプルが、定期的に採取され、血漿中に含まれるトラマドールの濃度は、液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析で測定された。
【0100】
図10において結果をプロットし、絶食条件下の血漿中に含まれるトラマドールの平均血漿濃度を図10Aに示し、摂食条件下の血漿中に含まれるトラマドールの平均血漿濃度を図10Bに示す。メジアンTmax(時間)は、摂食及び絶食条件の双方で6.0時間だった。Cmax(ng/mL)は、絶食及び摂食投与でそれぞれ、120±32ng/mL及び154±41ng/mLだった。T1/2(時間)は、夫々絶食及び摂食投与後の、8.4±2.9時間、及び、6.8±2.1時間だった。AUC0-t(ng・h/mL)は、絶食状態及び摂食状態で夫々2556±1026、及び、2746±1057だった。そして、AUC0-∞(ng・h/mL)は、絶食及び摂食状態で夫々2703±1109、及び、2829±1119だった。
<実施例6> 例示的なオキシコドン錠剤
【0101】
この実施例は、コア及び放出制御被覆を有する40mgの塩酸オキシコドン錠剤(BID)の製造及び試験について記載する。該被覆は、放出制御特性を提供し、微小粒子の内部に配置されたオキシコドンの誤用を減らした微小粒子を含む。
【0102】
微小粒子は、押出球体化(extrusion spheronization)によって製造され、次いで、流動層被覆で被覆される。得られた被覆微小粒子は、被覆マトリクス賦形剤とブレンドされ、次いで、あらかじめ形成されたポリカルボフィルコアの周りを包囲する。
【0103】
オキシコドン含有微小粒子の組成は、表12に表される。
表12

【0104】
次いで、得られた微小粒子を、ボトムスプレーを備えた流動層塗装機で被覆した。微小粒子を、オイドラギット(Eudragid) RS30C含有のプラスアクリル(Plasacryl)及びトリメチルシトラート(TEC)の水溶液を用いて、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、微小粒子同士の癒着の尤度を減少させるためにオイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0105】
コア及び被覆の組成は、表13に表す。
表13

【0106】
乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0107】
得られた錠剤のインビトロ放出特性を、リン酸緩衝液(pH6.8)か、40%エタノール水中で、U.S.PタイプI装置で測定した。放出反応速度を、原形の錠剤(図11A参照のこと)、又は、従来のピル破砕機を用いて破砕された破砕錠剤(図11B参照のこと)で測定した。図11Bは、また、パーデュファーマから市販されているオキシコンチン錠剤からの長期にわたるオキシコドンの放出を示す。更に、放出反応速度は、リン酸緩衝液(pH6.8)の存在下における原形の錠剤で、及び、リン酸緩衝液(pH6.8)の存在下における、二分された錠剤(半分の錠剤)で測定された(図12参照のこと)。図12に示されるように、放出プロフィールは、実質的に原形の錠剤及び二分された錠剤で同じである。
【0108】
原形の錠剤は、12時間にわたって放出を制御し、この放出は、40%エタノールの存在によって実質的に影響を受けなかった。破砕されたオキシコンチン錠剤と比較して、本発明に従って製造された破砕された錠剤も、二分された錠剤(半分の錠剤)も、用量ダンピングでオキシコドンを放出せず、用量ダンピングは、40%エタノールの存在下でも見られなかった。
<実施例7> 例示的な塩酸オキシコドン/アセトアミノフェン錠剤
【0109】
この実施例は、20mgの塩酸オキシコドン及び650mgのアセトアミノフェンを含む1日2回用の錠剤(BID)の製造の試験について記載する。錠剤は、腸溶性の放出制御被覆(オイドラギット(Eudragit) L30D55)と呼ばれる)によって包囲されたコアを含む(コアは、二重層の形態である)。
微小粒子の組成は、表14に記載される。
表14

【0110】
微小粒子は、表14に記載された構成成分(オイドラギット(Eudragit) NE 3OD及びタルクを除く)を混合することによって製造される。得られた混合物を、押出成形し、球体化し、得られた微小粒子を、ボトムスプレーが備わった流動層塗装機によって、オイドラギット(Eudragit) NE 30D及びタルクで被覆した。錠剤のコアを、二重層にした。オキシコドン含有微小粒子は、二重層の徐放層に組み込まれ、一方で、アセトアミノフェン(放出形態であり、微小粒子に組み込まれないCOMPAP(登録商標)を用いた)は、急速放出層及び徐放層の双方に含ませた。
【0111】
二重層コアの組成は、表15に記載される。
表15

【0112】
二重層コアは、各層の構成成分を混合し、ピッコラ(PiccolaTM)二重層錠剤プレス機(SMI Inc., NJ, USA)で材料を圧縮することによって調製された。二重層錠剤の硬度は、190から230ニュートンだった。次いで、得られた二重層コアを、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オイドラギット(Eudragit) L30D 55で被覆した。得られた被覆は、錠剤の8質量%を占める82mgのオイドラギットL30D 55を含んでいた。
【0113】
得られた錠剤のインビトロ放出反応速度を、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で1時間インキュベーションした後に、リン酸緩衝液(pH6.8)中で11時間インキュベーションして、20dpmでU.S.P.タイプIII装置で測定した。図13に示される結果は、錠剤が0.1MのHClに入れた場合に、約1時間錠剤からオキシコドンが放出されなかったことを示す。pHが1時間後に上昇すると、オキシコドンは、放出制御反応速度で放出された。
<実施例8> 例示的な、1日1回用の150mgトラマドール錠剤
【0114】
この実施例は、例示的な1日1回用の150mg塩酸トラマドール錠剤の製造及び試験について記載する(錠剤は、モノリシックコアと放出制御被覆を有する)。コアは高吸収性ポリカルボフィルを含み、放出制御被覆はキサンタンガム及びコリドン(Kollidon)を含む。トラマドール含有微小粒子は、コア及び被覆の双方の内部に配置された。
【0115】
微小粒子の組成を、表16に記載する。
表16

【0116】
非被覆の微小粒子を以下のように製造した。トラマドール及びアビセル(Avicel)PH 101を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0117】
得られた微小粒子の一部を、流動層塗装機を用いて、オイドラギット(Eudragit) RS 30Dを含む水溶液で被覆した。微小粒子を、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、微小粒子同士の癒着の尤度を減少させるためにオイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0118】
コア顆粒の組成を表17に記載する。
表17

【0119】
放出制御微小粒子に加えて、コアに、ポリカルボフィル及び様々な別の構成成分を含有させた。コアの残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、非被覆の微小粒子を、顆粒化コア賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0120】
被覆顆粒の組成を、表18に記載する。
表18

【0121】
被覆の残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化被覆賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0122】
錠剤の組成を、表19に記載する。
表19

【0123】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0124】
得られた錠剤(原形及び破砕の双方)のインビトロ放出特性をリン酸緩衝液(pH6.8)中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。3つの別々のバッチを試験した。原形の錠剤のインビトロ放出の結果を、図14Aに示し、破砕された錠剤の結果を、図14Bに示す。錠剤を、ピル破砕機を用いて破砕した。本発明の原形の錠剤が24時間にわたってリン酸緩衝液(pH6.8)中で、トラマドールの放出を制御するという結果を示した。更に、同じ溶解条件にさらされた場合に、破砕された錠剤からのトラマドールの用量ダンピングはなかった。試験された条件下で、トラマドールの50%未満が、60秒以内に放出された。
【0125】
更に、得られた錠剤(原形及び破砕の双方)のインビトロ放出特性を、水、又は、20%エタノール、40%エタノール、及び、60%エタノール含有水中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。同様の3つのバッチを試験した。60%エタノール含有水中の原形の錠剤のインビトロ放出の結果を図15Aに示し、60%エタノール含有水中の破砕された錠剤のインビトロ放出の結果を図15Bに示す。同様の結果を、水が20%又は40%エタノールを含有する場合についても得た。結果から少なくとも60%のアルコール濃度に至るまでは、放出プロフィールへの影響があまりないか、全くないことということが分かる。破砕された錠剤に関して、図15Bに示すように、トラマドールの25%が、60%エタノール含有水中に60秒で放出された。
<実施例9> 例示的な、1日1回用の200mgのトラマドール錠剤
【0126】
この実施例は、例示的な1日1回用の200mg塩酸トラマドール錠剤の製造及び試験について記載する(錠剤は、モノリシックコアと放出制御被覆を有する)。コアは高吸収性ポリカルボフィルを含み、放出制御被覆はキサンタンガム及びコリドン(Kollidon)を含む。トラマドール含有微小粒子は、コア及び被覆の双方の内部に配置される。
【0127】
微小粒子の4つの異なるロットの組成は、表20に記載される。
表20

【0128】
非被覆の微小粒子の製剤を以下のように製造した。トラマドール及びアビセル(Avicel)PH 101を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0129】
次いで、得られた微小粒子を、流動層塗装機を用いて、オイドラギット(Eudragit) RS 30Dを含む水溶液で被覆した。微小粒子を、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆した。その後、ロット2のみに硬化溶液含有オパドライIIホワイトを加えて、オイドラギット(Eudragit)含有被覆の回りにフィルムを施した。
【0130】
コア顆粒の組成を、表21に表す。
表21

【0131】
放出制御微小粒子に加えて、コアに、ポリカルボフィルの酸及び様々な別の構成成分を含有させた。コアの残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化コア賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0132】
被覆顆粒の組成を表22に記載する。
表22

【0133】
被覆の残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化被覆賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0134】
錠剤の4つの異なるロットの組成を表23に記載する。
表23

【0135】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0136】
得られた錠剤(原形及び破砕の双方)のインビトロ放出特性をリン酸緩衝液(pH6.8)又は水中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。原形の錠剤のインビトロ放出の結果を、図16Aに示し、破砕された錠剤の結果を、図16Bに示す。錠剤を、ピル破砕機を用いて破砕した。結果から、本発明の原形の錠剤が24時間にわたってリン酸緩衝液(pH6.8)中で、トラマドールの放出を制御するということが分かった。更に、同じ溶解条件にさらされた場合に、破砕された錠剤からのトラマドールの用量ダンピングはなかった。試験された条件下で、トラマドールの50%未満が、60秒以内に放出された。
【0137】
更に、ロット4から得られた錠剤(完全及び破砕の双方)のインビトロ放出特性を、リン酸緩衝液(pH6.8)、又は、20%エタノール、40%エタノール、及び、60%エタノール含有水中で、U.S.P.タイプI装置で測定した。緩衝液中の原形の錠剤のインビトロ放出の結果を図17Aに示し、破砕された錠剤のインビトロ放出の結果を図17Bに示した。結果から、少なくとも60%のアルコール濃度に至るまでは、放出プロフィールへの影響があまりないか、全くないことということが分かった。破砕された錠剤に関して、トラマドールの15%未満が、60%エタノール含有水中に60秒で放出された。
<実施例10>
例示的な30mgのヒドロコドンビタルトラート錠剤(12時間)
【0138】
この実施例では、30mgのヒドロコドン ビタルトラートを含有する錠剤の製造及び例示的な12時間の試験について記載する。錠剤は、モノリシックコア及び放出制御被覆を有する。コアは、超吸収性ポリカルボフィルを含み、放出制御被覆は、キサンタンガムとコリドンとを含む。ヒドロコドン含有微小粒子は、被覆の内部に配置される。活性成分はコアの内部に配置されなかった。
【0139】
ヒドロコドン含有微小粒子の組成は、表24に記載される。
表24

【0140】
微小粒子は、以下のように製造された。ヒドロコドンビタルトラート及びアビセル(Avicel)PH 101を、低せん断条件下で、3分間ミキサーで混合した。次いで、乾燥ブレンドを、押出成形に適した均質の湿塊が製造されるまで、水を徐々に添加することによって同じミキサーで攪拌しながら湿らせた。次いで、湿塊を、0.6mm直径ホール及び固定された押出しギャップを有するドーム型のダイを備えた実験室用の多軸造粒用押出機モデルMG−55(LCI, Inc., NC, USA)を使用して、一定速度(45rpm)で押出成形した。次いで、押出成形品を、マルメライザー(Marumerizer)モデルQJ-230T(LCI, Inc., NC5 USA)を用いて、一定速度(1,800rpm)で球体化させた。水分含有量が約2%になるまで、湿潤微小粒子を、流動層にて45℃で乾燥させた。
【0141】
得られた微小粒子の一部を、流動層塗工機で、オイドラギット(Eudragid) RS30C含有の水溶液を用いて被覆した。微小粒子は、7%〜15%質量増加するまでフィルム被覆された。
【0142】
コア顆粒の組成は、表25に記載される。
表25

【0143】
コアに、ポリカルボフィル及び様々な別の構成成分を含有させた。これらの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。
【0144】
コア顆粒の組成は、表26に記載される。
表26

【0145】
被覆の残りの賦形剤は、混合され、ローラー圧縮機(Vector Corp.)で、乾燥顆粒化された(ロール速度5rpm、スクリュー速度19rpm、及び圧力800psi)。次いで、被覆微小粒子を、顆粒化被覆賦形剤と混合し、コア製剤を製造した。
【0146】
原形の錠剤の組成は、表27に記載される。
表27

【0147】
次いで、乾燥-被覆錠剤を、ドライコタ(Dry-Cota)16-ステーション(Station)錠剤プレス機(Manesty, UK)を用いて調製した。コア製剤を、錠剤プレス機における第一ホッパーに添加し、コア錠剤に圧縮した。次いで、被覆製剤を、錠剤プレス機における第二ホッパーに添加し、コア及び被覆を一緒に圧縮して、乾燥被覆錠剤を形成した。次いで、得られた乾燥被覆錠剤を、完全な穴あきパンコーティング機(fully perforated pan coating machine)(O'Hara, Mississauga, ON, CA)を用いて、オパドライIIの溶液でフィルム被覆した。
【0148】
得られた錠剤(原形のものと破砕されたもの双方)のインビトロ放出特性を、リン酸緩衝液(pH6.8)か、0.1Mの塩酸(pH1.2)中で、U.S.PタイプI装置で測定した。原形の錠剤のインビトロ放出の結果を、図18Aに示し、破砕された錠剤の結果を、図18Bに示す。錠剤は、従来のピル破砕機を用いることで破砕された。結果として、原形の錠剤は、リン酸緩衝液(pH6.8)中及び酸中(pH1.2)で12時間にわたって、ヒドロコドンビタルトラートの放出を制御することがわかった。しかしながら、酸中での薬剤放出速度は、リン酸緩衝液(pH6.8)中での放出速度よりわずかに高かった。更に、同じ溶解条件にさらされた場合に、破砕された錠剤からのヒドロコドンビタルトラートの用量ダンピングはなかった。試験された条件下で、ヒドロコドンの30%未満、及び55%未満が、それぞれ、リン酸緩衝液(pH6.8)中及び酸(pH1.2)中で、60分以内に放出された。
【0149】
本発明をその好ましい実施態様を利用して説明してきたが、当然ながら、添付の特許請求の範囲において定義されるとおり、本発明は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなくその広範な態様を包含することを意図する。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)高吸収性材料を含むコア;
(b)コアを包囲する放出制御被覆;及び、
(c)内部に医薬活性薬剤を配置した複数の放出制御微小粒子
を含む、放出制御製剤であって、
微小粒子が、コアの内部、被覆の内部、又は、コア及び被覆の双方の内部に配置され、
(i)原形の状態の製剤が水性環境にさらされた場合に、医薬活性薬剤は長時間にわたって製剤から放出され、
(ii)破砕されて放出制御被覆が壊されコアがさらされた状態の製剤が水性環境にさらされた場合に、高吸収性材料は微小粒子をトラップするハードゲルを形成するために膨張し、微小粒子は医薬活性薬剤の放出を制御する、放出制御製剤。
【請求項2】
微小粒子が、コアの内部に配置される、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
微小粒子が、被覆の内部に配置される、請求項1に記載の製剤。
【請求項4】
微小粒子が、コア及び被覆の双方の内部に配置される、請求項1に記載の製剤。
【請求項5】
コアが、モノシリックである、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項6】
コアが、第一層、第二層を含み、更に第三層を含んでもよい、請求項1〜4のいずれかに記載の製剤。
【請求項7】
第一層が、微小粒子を含む、請求項6に記載の製剤。
【請求項8】
医薬活性薬剤が、少なくとも12時間にわたって放出される、請求項1〜7のいずれかに記載の製剤。
【請求項9】
医薬活性薬剤が、少なくとも24時間にわたって放出される、請求項1〜8のいずれかに記載の製剤。
【請求項10】
高吸収性材料が、デンプングラフトコポリマー、架橋カルボキシメチルセルロース誘導体、加水分解デンプンアクリロニトリルグラフトコポリマー、及び、中和デンプンアクリル酸グラフトコポリマーからなる群から選択される、ポリサッカライド誘導体である、請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。
【請求項11】
高吸収性材料が、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリビニル酢酸、ポリビニルホスホン酸、ポリビニルスルホン酸、イソブチレン-マレイン酸無水物コポリマー、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、カラゲーナン、ポリアスパラギン酸、ポリグルタミン酸、ポリビニルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウム ヒドロキシド、ポリアクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ポリアミノプロパノールビニルエーテル、ポリアリルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリグルタミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、架橋高分子電解質ポリマーである、請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。
【請求項12】
高吸収性材料が、ポリマーである、請求項1〜9のいずれかに記載の製剤。
【請求項13】
ポリマーが、ポリカルボフィル、ポリカルボフィルカルシウム、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸、及び、これらの混合物からなる群から選択される、請求項12に記載の製剤。
【請求項14】
高吸収性材料の含量が、コアの約10%(w/w)〜約70%(w/w)である、請求項10〜13のいずれかに記載の製剤。
【請求項15】
高吸収性材料の含量が、コアの約30%(w/w)〜約50%(w/w)である、請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
コアが、造粒剤を更に含む、請求項1〜15のいずれかに記載の製剤。
【請求項17】
造粒剤が、キサンタンガム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、セルロース、及び、スクロース誘導体、並びに、これらの混合物からなる群から選択される、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
被覆が、放出制御薬剤を含む、請求項1〜17のいずれかに記載の製剤。
【請求項19】
放出制御薬剤が、アセタートスクシナート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセタート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタラート、セルロースアセタート、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートプロピオナート、セルロースアセタートスクシナート、セルロースアセタートブチラート、セルロースアセタートトリメリタート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、ナトリウムアルギナート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギナート、ガム、ポリメタクリラート、メタクリル酸及びエチルアクリラートのコポリマー、ポリメチルビニルエーテル及びマロン酸無水物のコポリマー、ポリメチルビニルエーテル及びマロン酸のコポリマー、それらのエチル-、イソプロピル-、n-ブチルエステル、ゼイン、及び、前述したいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
被覆が、増粘剤を更に含む、請求項18又は19に記載の製剤。
【請求項21】
増粘剤が、キサンタンガム、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、セルロース、及び、スクロース誘導体からなる群から選択される、請求項20に記載の製剤。
【請求項22】
微小粒子が、放出制御薬剤を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の製剤。
【請求項23】
放出制御薬剤が、アセタートスクシナート、ポリビニル誘導体、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、加工デンプン、架橋高アミロースデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、セルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、セルロースアセタート、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、セルロースフタラート、セルロースアセタート、セルロースアセタートフタラート、セルロースアセタートプロピオナート、セルロースアセタートスクシナート、セルロースアセタートブチラート、セルロースアセタートトリメリタート、ポロキサマー、ポビドン、アルギン酸、ナトリウムアルギナート、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールアルギナート、ガム、ポリメタクリラート、メタクリル酸及びエチルアクリラートのコポリマー、ポリメチルビニルエーテル及びマロン酸無水物のコポリマー、ポリメチルビニルエーテル及びマロン酸のコポリマー、及び、それらのエチル-、イソプロピル-、n-ブチルエステル、ゼイン、及び、前述したいずれかの混合物からなる群から選択される、請求項22に記載の製剤。
【請求項24】
微小粒子が、放出制御被覆で被覆される、請求項1〜23のいずれかに記載の製剤。
【請求項25】
放出制御フィルムが、ポリメタクリラート、セルロース、セルロース誘導体、ポリビニル アセタート、ポリビニルピロリドン、及び、これらの混合物からなる群から選択される、請求項24に記載の製剤。
【請求項26】
セルロース誘導体が、エチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースからなる群から選択される、請求項25に記載の製剤。
【請求項27】
ポリメタクリラートが、エチルアクリラート、メチルメタクリラート、及び、トリメチルアンモニオエチルメタクリラートのポリマー混合物を含む、請求項25に記載の製剤。
【請求項28】
微小粒子の平均直径が、約1μm〜約1000μmの範囲である、請求項1〜27のいずれかに記載の製剤。
【請求項29】
微小粒子の平均直径が、約200μm〜約900μmである、請求項28に記載の製剤。
【請求項30】
微小粒子の平均直径が、約300μm〜約800μmである、請求項29に記載の製剤。
【請求項31】
微小粒子の平均直径が、約700μmである、請求項30に記載の製剤。
【請求項32】
微小粒子の平均直径が、約1μm〜約400μmである、請求項28に記載の製剤。
【請求項33】
微小粒子の平均直径が、約5μm〜約300μmである、請求項32に記載の製剤。
【請求項34】
微小粒子の平均直径が、約10μm〜約200μmである、請求項33に記載の製剤。
【請求項35】
微小粒子の平均直径が、約100μmである、請求項34に記載の製剤。
【請求項36】
(a)ポリカルボフィルを含むコア;
(b)コアを包囲する放出制御被覆;及び、
(c)内部に医薬活性薬剤を配置した複数の放出制御微小粒子
を含む、放出制御製剤であって、
微小粒子が、コアの内部、被覆の内部、又は、コア及び被覆の双方の内部に配置され、
(i)原形の状態の製剤が水性環境にさらされた場合に、医薬活性薬剤は長時間にわたって製剤から放出され、
(ii)破砕されて放出制御被覆が壊されコアがさらされた状態の製剤が水性環境にさらされた場合に、高吸収性材料は微小粒子をトラップするハードゲルを形成するために膨張し、微小粒子は医薬活性薬剤の放出を制御する、放出制御製剤。
【請求項37】
コア及び被覆の双方の内部に配置される複数の放出制御微小粒子を更に含む、請求項36に記載の製剤。
【請求項38】
コアの内部に配置される放出制御微小粒子が、被覆の内部に配置される放出制御微小粒子と同じである、請求項37に記載の製剤。
【請求項39】
製剤が破砕されて、100rpmで、30分間、37℃で攪拌しながら、U.S.P.タイプI装置をもって900mLの水にさらされた場合に、
それが破砕されて壊される前にはじめから製剤に存在する医薬活性薬剤の約50質量%未満が、水に放出される、請求項1〜38のいずれかに記載の製剤。
【請求項40】
はじめから製剤に存在する医薬活性薬剤の約25質量%未満が、水に放出される、請求項39に記載の製剤。
【請求項41】
製剤が破砕されて、100rpmで、30分間、37℃で攪拌しながら、U.S.P.タイプI装置をもって900mLの60%(v/v)エタノール含有水溶液にさらされた場合に、
それが壊される前にはじめから製剤に存在する医薬活性薬剤の約50質量%未満が、水溶液に放出される、請求項1〜40のいずれかに記載の製剤。
【請求項42】
はじめから製剤に存在する医薬活性薬剤の約25質量%未満が、水溶液に放出される、請求項41に記載の製剤。
【請求項43】
カプセル、キャプレッツ、ピル、又は、圧縮錠の形態である、請求項1〜42のいずれかに記載の製剤。
【請求項44】
医薬活性薬剤が、乱用されうる薬剤である、請求項1〜43のいずれかに記載の製剤。
【請求項45】
薬剤が、オピオイド鎮痛剤、睡眠薬、抗不安剤、又は、呼吸刺激剤である、請求項44に記載の製剤。
【請求項46】
オピオイド鎮痛剤が、アンフェタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、カーフェンタニル、コデイン、デゾシン、ジアセチルモルフィン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジプレノルフィン、エトルフィン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルホン、β-ヒドロキシ-3-メチルフェンタニル、レボ-α-アセチルメタドール、レボルファノール、ロフェンタニル、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、ペチジン、プロポキシフェン(prepoxyphene)、レミフェンタニル、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、並びに、それらの医薬的に許容可能な塩、エステル及びプロドラッグからなる群から選択される、請求項45に記載の製剤。
【請求項47】
睡眠薬が、アルプラゾラム、ジアゼパム、フルラゼパム、ロプラゾラム、メキサゾラム、ニトラゼパム、バルビツレート、クロルメチアゾール、エスゾピクロン、ラメルテオン、ザレプロン、ゾピクロン、ゾルピデム、並びに、それらの医薬的に許容可能な塩、エステル及びプロドラッグからなる群から選択される、請求項45に記載の製剤。
【請求項48】
抗不安剤が、アンフェタミン、アルプラゾラム、ジアゼパム、ロラゼパム、メダゼパム、オキサゼパム、ペンチレンテトラゾール、並びに、それらの医薬的に許容可能な塩、エステル及びプロドラッグからなる群から選択される、請求項47に記載の製剤。
【請求項49】
呼吸刺激剤が、カフェイン、テオフィリン、アンフェタミン、ベンズフェタミンヒドロクロリド、デキストロアンフェタミン、デキストロアンフェタミンスルファート、レバンフェタミン、レバンフェタミンヒドロクロリド、メタンフェタミン、メタンフェタミンヒドロクロリド、メチルフェニデート、メチルフェニデートヒドロクロリド、モダフィニル、ペモリン、シブトラミン及びシブトラミンヒドロクロリド、並びに、それらの医薬的に許容可能な塩、エステル及びプロドラッグからなる群から選択される、請求項47に記載の製剤。
【請求項50】
高吸収性材料、及び内部に医薬活性薬剤を配置した複数の放出制御微小粒子の混合物を含む、
内部に配置された医薬活性薬剤の放出を制御するための固形剤形であって、
(i)原形の状態の固形剤形が水性環境にさらされた場合に、医薬活性薬剤は長時間にわたって製剤から放出され、
(ii)破砕された状態の固形剤形が水性環境にさらされた場合に、高吸収性材料は微小粒子をトラップするハードゲルを形成するために膨張し、微小粒子は医薬活性薬剤の放出を制御する、固形剤形。
【請求項51】
医薬活性薬剤を必要とする個体において医薬活性薬剤を放出制御するための、請求項1〜50のいずれかに記載の放出制御製剤の使用。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【公表番号】特表2011−506493(P2011−506493A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538295(P2010−538295)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/CA2008/002200
【国際公開番号】WO2009/076764
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(507176404)ラボファーム インコーポレイテッド (8)
【出願人】(507175050)ラボファーム ユーロープ リミテッド (8)
【出願人】(510167969)ラボファーム (バルバドス) リミテッド (2)
【Fターム(参考)】