説明

読取装置およびプリント装置

【課題】 簡素な機構でありながら高い精度でシート上の情報を読み取ることができる装置を提供する。
【解決手段】 移動するキャリッジには、キャリッジに対してセンサユニットが変位することができるように保持する機構が設けられている。この機構は、キャリッジに対してセンサユニットが、キャリッジの移動方向と平行で且つセンサユニットの読取領域の上方に位置する軸を中心に回転方向および上下方向に変位することを許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに形成されたパターン等を読み取る読取装置、およびその読取装置を備えたプリント装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、測色装置を備えたインクジェットプリンタが開示されている。この装置では、プリントした色校正用のカラーパターンを測色し、その測色データに基づいて次回以降にプリントするカラー画像の色を調整することによって、所望の色を再現する。色校正用のカラーパターンとして、カラーパッチを記録し、その後、測色センサがシートの幅方向に移動しながらカラーパッチを測色する。
【0003】
読み取りのためにキャリッジが移動する際には、シートに対するセンサユニットの距離および姿勢が一定に保たれることが望ましい。そこで特許文献1の装置では、キャリッジに対してセンサユニットを連結機構で連結して、連結機構はセンサユニットが微小に回動することを許容するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−133915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1において、キャリッジとセンサユニットとを連結する連結機構は、片側に2つのリンク板を持つ合計4つのリンク板からなる平行リンク機構である。平行リンク機構は、基本的にはキャリッジに対してセンサユニットを上下方向に移動させるものである。特許文献1ではさらに、平行リンク機構が持つ複数のシャフトと穴との係合を意図的に緩くして「ガタ」を持たせている。これにより、シートに平行な2つの軸を中心に、キャリッジに対してセンサユニットが、ガタが許容する微小範囲で回動することができるようにしている。
【0006】
しかしながら、このような緩い平行リンク機構で連結した形態では、キャリッジが移動すると、これに連結されたセンサユニットがガタついて、測色器ホルダの位置精度が低下する。加えて、キャリッジが加減速移動する際には平行リンク機構の各リンク板が撓む方向に力を受けるので、リンク板の撓みによってもセンサユニットの位置精度が低下する。センサユニットの位置精度が低下すると、小さなサイズのカラーパターンを読み取ることができなくなってしまう。
【0007】
つまり、特許文献1の装置構成では、シートに形成するカラーパッチのサイズを大きくせざるを得ない。そのため、色校正に必要なシートの消費量が増大してしまい、さらには色校正でのシートの搬送量が増えることによる色校正に要する時間が増加してしまう。
【0008】
本発明は上述の課題の認識に基づいてなされたものである。本発明の目的は、簡素な機構でありながら高い精度でシート上の情報を読み取ることができる読取装置およびこれを備えたプリント装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の読取装置は、支持面に対してシートを押し付ける押板と、シート上の情報を読み取るセンサユニットを保持し、前記押板の表面に接触しながら移動するキャリッジと、を有し、前記キャリッジには、前記キャリッジに対して前記センサユニットが変位することができるように保持する機構が設けられており、前記機構は、前記キャリッジに対して前記センサユニットが、前記キャリッジの移動方向と平行で且つ前記センサユニットの読取領域の上方に位置する軸を中心に回転方向および上下方向に変位することを許容することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、平行リンク機構のような複雑な機構を持たない簡素な構成でありながら、高い精度でシート上の情報を読み取ることができる読取装置およびこれを備えたプリント装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態のプリント装置の構成図(側面図)
【図2】実施形態のプリント装置の構成図(上面図)
【図3】スキャナ部の構成図(断面図)
【図4】スキャナ部の構成図(斜視図)
【図5】バネ部材によって付与される力のバランスを示す説明図
【図6】制御部を中心とするシステム構成図
【図7】プリント装置の動作シーケンスを示すフローチャート図
【図8】動作中の装置の状態を示す説明図
【図9】別の実施形態のスキャナ部の構成図(斜視図)
【図10】スキャナ部における付勢力のバランスを示す説明図
【図11】校正部材の形状を示す図
【図12】校正部材のホルダへの取り付け構造を示す図
【図13】ホルダをプリント装置に取り付ける様子を示す図
【図14】プリント装置にホルダが挿入された状態の断面図
【図15】図14の例の変形例の構成図
【図16】シートに形成された検査パターンの例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のプリント装置の実施形態としてインクジェットプリント装置について説明する。 図1は実施形態のプリント装置の構成図(側面図)、図2は図1の上面図である。図2(a)は読取部の下方の構成を示す図、図2(b)は読取部の上方の構成を示す図である。
【0013】
プリント装置1は、大きくは読取部2、プリント部3、搬送部4、プラテン7およびバッキング24を有する。シート供給部から供給され、搬送部4の搬送ローラでプラテン7の上を搬送されるシートは、プリント部3で画像や検査パターンがプリントされ、プリントされたシート上の検査パターンは読取部2で測色のために読み取られる。検査パターンとは、カラーキャリブレーション(色校正)用のカラーパッチなどのカラーパターン、ノズルの不吐検査用のパターンなどである。読み取りがなされたシートはその後、プリント装置から排出される。本明細書では、シートが搬送される経路の任意の位置において、シート供給部がある側を上流、その逆を下流という。
【0014】
プリント部3は、インクジェット方式のプリントヘッド5と、プリントヘッド5を搭載して往復移動するキャリッジ8を有する。プリントヘッド5はインクを吐出するノズルがシートに対向するようにキャリッジ8に固定されている。キャリッジ8はガイドシャフト9によって軸支されており、キャリッジ8に固定された駆動ベルト10を、ヘッドキャリッジ用のモータ11で回動させることによって、キャリッジ8はシートの搬送方向である第1方向と直交する第2方向に沿って往復移動する。モータ11はプリント装置のフレーム12に固定されている。画像や検査パターンをプリントする際には、シートSのステップ送りと、1バンド分の画像形成とを繰り返す。1バンドの画像形成では、シートSに対してキャリッジ8が第2方向に移動しながら、プリントヘッド5からインクを吐出する。
【0015】
読取部2は、シートにプリントされた検査パターンを読み取って色情報を取得し、自動で測色を行うものである。読取部2は、スキャナ部13と乾燥部14を有する。
【0016】
スキャナ部13は、センサユニットをシートの表面に沿って走査して読取を行うためのユニットである。スキャナ部13において、キャリッジ25はガイドシャフト27に軸支されており、駆動源のモータ29と駆動ベルト28により、先のキャリッジ8と同様、第2方向に沿って往復移動する。往復移動は例えば60インチのシート幅をカバーできるだけの移動範囲を持っている。測色する際には、シートSに対してキャリッジ25が第2方向に移動しながら、キャリッジ25に搭載されたセンサユニット18が検査パターンの読み取りを行う。
【0017】
乾燥部14は、読取部2での読取の前にシートに付与されたインクの乾燥を促進させるためのユニットである。乾燥部14は、ヒータとファンを含む送風器17と、送風器17で生成された温風をシートSの表面に向けて送るダクト15を有する。なお、送風器17はヒータと乾燥ファンの両方を含む形態に限らず、必要な乾燥能力を発揮するのであればどちらか一方がなくてもよい。ダクト15の終端は吹出口15aとなっている。吹出口15aは乾燥させるシートSのシート幅以上の幅の口から温風を吹き出し、直下にあるシートSの幅全域を同時に乾燥させることができる。
【0018】
図3はスキャナ部13の構成を示す断面図、図4はその斜視図である。スキャナ部13は、センサユニット18と、これを搭載して押板20の上を第2方向に往復移動するキャリッジ25を有する。センサユニット18はセンサホルダ26に保持され、センサユニットを構成している。センサホルダ26は、キャリッジ25に対して第1方向を回転軸とする回転方向および上下方向に変位することを許容する機構で保持されている。この機構の詳細については後述する。
【0019】
センサユニット18は、2つの光源18aと1つの受光素子18bを含むセンサユニットである。プリント部3でシートSに形成された検査パターンに対して、2つの光源18aにより別の方向から光を照射し、反射して戻ってきた光を受光素子18bで受光する。受光素子18bの信号強度からパターンの濃度や色に関する情報が得られる。なお、光源と受光素子の配置関係は逆であってもよい。
【0020】
押板20はシートSの検査パターンを読み取る際に、バッキング24の支持面に対してシートSを上から押さえ付けるためのものである。押板20には、シートSの読取領域に対応した所定の範囲に渡って、読み取りのために光が通過する第2方向に沿って細長いスリット(開口)が形成されている。押板20は、読取領域を挟んだ上流と下流の両側それぞれに、第2方向と平行な方向に所定の範囲に渡って延びた長尺形状の第1部位および第2部位を有する構造である。第1部位と第2部位は1枚の押板の異なる部位であっても、2つに分割された板のそれぞれの部位であってもよい。
【0021】
押板20の第1部位と第2部位の間のスリットにおいて、キャリッジ25の往復ストロークの一方の端部には、センサユニット18の読み取り特性の校正(センサ校正)を行うための校正部材34がホルダ35に保持された状態で取り付けられている。校正部材34の取付構造およびセンサ校正の動作手順については後述する。
【0022】
センサホルダ26の下部には、キャリッジが移動する際に第1部位の表面に接触する第1当接部材と、キャリッジが移動する際に第2部位の表面に接触する第2当接部材が設けられている。より具体的には、センサホルダ26の下部には4カ所に車輪状の回転体30(当接部材)が設けられている。キャリッジ25がガイドシャフト27に沿って第2方向に移動する際には、押板の上面に接触しながら回転体30が従動回転して転がるようになっている。なお、当接部材は必ずしも回転体でなくてもよく、回転せずに小さな摩擦係数で摺動する部材であってもよい。
【0023】
キャリッジ25の第2方向の往復移動を案内するための、ガイドシャフト27とは別のガイド手段として、キャリッジ25に取り付けられたスライダ32と、フレーム12の内壁に取り付けられたガイドレール33が設けられている。スライダ32とガイドレール33のガイド面は互いに接触して摺動する。
【0024】
弾性体であるバネ部材31は、キャリッジ25に対してセンサホルダ26を重力方向の下方に向けて弾性力をもって付勢するための付勢手段である。バネ部材31は、第2方向についてのキャリッジの前面と後面の両側の2カ所それぞれに同じ構造で設けられている。バネ部材31の詳細については後述する。
【0025】
以上の構成部品はハウジング16に内蔵され、1つのユニットとして一体化され、スキャナ部13を構成している。また、ハウジング16の下流側には、上述した乾燥部14も取り付けられ、一体化されている。
【0026】
図1、図2に示すように、スキャナ部13のハウジング16の上面とプリント装置1のフレーム12の下面との間には、スキャナ部13のユニットを昇状態と降状態の間で上下に移動させる昇降機構が設けられている。昇降機構は、駆動源である昇降モータ22、ギア23、回転軸21、回転軸21を中心に回転する昇降カム19を有する。昇降機構はさらに、図2(b)に示す4カ所に設けられた、スキャナ部13(ハウジング16)を上方に引っ張り上げる力を作用させる引張バネであるバネ部材50を有する。
【0027】
検査パターン読み取りのために、センサユニット18の直下に搬送されたシートSは、昇降機構により読取部2が昇状態から降状態に移行することで、押板20の下面とバッキング24の支持面の間に挟まれ固定される。
【0028】
センサユニット18において、高い読取精度を維持するためには、センサユニット18とこれと対向するシートSの表面との間の相対距離および相対角度は所定範囲内に保つことが望ましい。現実には、シートSはインクや空気中の水分を吸収し波打ち(コックリング)が生じたり、シートSがロール紙である場合にはカール癖を有していたりする場合がある。つまりシートSの表面は必ずしも平らではない。そこで、読み取りの際には、押板20でシートをバッキング24に押し付けて平らに馴らす。押板20に形成されたスリットは開口であるために、その部分ではシートを押さえることはできないが、スリットの幅(第1方向の幅)は非常に狭いので、スリット両脇でシートを押さえることで、読取領域でのシートの浮きは十分に矯正される。
【0029】
押板20は、シートSの表面(とくに検査パターンPが形成された部位)に傷が付きにくいように、厚さ1〜3mm程度のABSやPC等の樹脂からなる材質でできた変形が容易な可撓性の部材でできている。これに対して、バッキング24は剛体で作られており、その支持面も押板20よりも高い剛性を有している。シートSを押板20により押圧した際には、シートSと押板20は共にバッキング24の表面形状(平面)に倣った状態になる。
【0030】
シートSに、強いカールや波打ち(コックリング)が生じている場合には、可撓性の押板20がシートの浮いた箇所に部分的に持ち上げられて、シートの密着が不完全になる可能性がある。この場合でも、押板20の上面で回転体30が乗っている部位の近傍では、センサユニット18の自重とバネ部材31の付勢力の合計の力で、回転体30が押板20を集中的に押圧するので、読取位置の近傍ではバッキング24からのシートの浮きは解消される。したがって、高い読み取り精度が維持される。
【0031】
ここで、キャリッジ25に対してセンサユニットが変位することができるように、キャリッジ25にセンサホルダ26を保持する機構の詳細について、図4および図5を用いて説明する。
【0032】
この機構は、シャフトと上下方向に長い長穴とが係合する機構である。センサホルダ26には、センサホルダ26が往復走査する第1方向に直交する2つの側面(前面と後面)のそれぞれに、第1方向と平行な回転軸である所定の直径のシャフト26aが2つ設けられている。一方、キャリッジ25の側面には、2つのシャフト26aそれぞれに係合する位置に、上下方向に長いU字形状の長丸穴25aが形成されている。キャリッジ25に対してセンサホルダ26は、シャフト26aと長丸穴25aの係合によって2カ所で保持されている。センサホルダ26は、キャリッジ25に対して、シャフト26aを中心に、すなわちシートSと平行な面内におけるキャリッジ25の移動方向と直交する軸中心に、所定角度範囲で回動可能である。さらにセンサホルダ26は、キャリッジ25に対して、上下方向(装置が水平面に設置されている場合には重力方向)に長丸穴25aの長さの範囲で移動することが可能である。
【0033】
キャリッジ25が押板20の表面を4つの回転体30が接触回転しながら走行する際、押板20の表面形状に追従して、センサホルダ26は回転および上下方向に変位する。本明細書ではこの追従する動きをイコライズと称する。
【0034】
2つのシャフト26aの軸中心を結ぶ、センサホルダ26の内部を通る仮想的な線分は、センサホルダ26に保持されるセンサユニット18の内部の、受光素子18bの受光光軸の中心近傍またはその延長線上の近傍を通っている。つまり、側方から見たとき、測色センサの読取位置(図3参照)の真上に2つのシャフト26aおよび受光素子18bが位置するような配置関係となっている。また、上方または側方から見たとき、読取位置はシート移動方向において、押板20の上流側と下流側に跨る回転体30の中心付近になるような配置関係になっている。これらの配置関係により、キャリッジ25が走行する際のセンサユニット18のイコライズでは、少ないイコライズ量でシートSに追従することが可能であり、ひいては読取部2本体の小型化を実現している。
【0035】
図4、図5に示すように、キャリッジ25の側面には、ねじりコイルバネである2つのバネ部材31が2カ所に取り付けられている。このねじりコイルバネは、コイル中心を中心に2つのアームが伸びた形状を有している。キャリッジ25の側面に形成された突起25bに、ねじりコイルバネのコイル中心がはめ込まれ保持される。バネ部材31の一方のアームはシャフト26bの頭部に当接し、他方のアームはキャリッジ25の一部に当接する。
【0036】
図5はバネ部材31によって付与される力のバランスを示す説明図である。同図において、バネ部材31の一方のアームにより付与されるバネ力Aは、シャフト26aを斜め下方に向けて押圧し付勢する力としてシャフト26aに作用する。バネ力Aは垂直方向の分力A1と水平方向の分力A2に分解することができる。
【0037】
垂直方向の分力A1は、センサホルダ26に対して、センサホルダ26の下部に設けられた回転体30が押板20を押圧する力として作用する。仮に押板20が局所的に平らでなくても、キャリッジ25の走行中、4つの回転体30は押板20に常に安定して当接するため、押板20の形状に追従してセンサホルダ26の傾きおよび上下位置が変わって正確なイコライズが可能となる。水平方向の分力C2は、シャフト26aをキャリッジ25の長丸穴25aの内側面に押し付ける力として作用する。この押し付けによってシャフト26aと長丸穴25aの間のガタが無くなるので、第1方向におけるセンサホルダ26の位置決め精度が高まる。結果として、測色する検査パターンが小さくても正確な読み取りを行うことができ、測色に要するシートの消費量が減るとともに測色動作のスループットも向上する。
【0038】
一方、バネ部材31の他方のアームにより付与されるバネ力B(バネ力Aの反力)は、キャリッジ25に形成された突起25bを斜め上方向に向けて押し上げる力として作用する。バネ力Bの作用により、キャリッジ25には、ガイドシャフト27を中心とする回転モーメントが発生する。発生した回転モーメントは、キャリッジ25の他方の側に取り付けられたスライダ32を、キャリッジ25に設けられたガイドレール33に対して押圧する押圧力B1を発生させる。このような力のバランスより、キャリッジ25は姿勢を安定させて走査することができる。
【0039】
以上のように、1つのバネの力が3つの方向に作用してバランスする構成であり、部品点数が少ないシンプルな構成で、センサユニット18とシートSとの相対距離及び相対角度を正確に一定に保つイコライズ機能を実現している。
【0040】
図9および図10は、キャリッジに対してセンサユニットを下方に付勢するバネ部材の変形例を示す構成図である。バネ部材以外の構成は上述の実施例と同じであるため、重複する箇所の説明は省略する。
【0041】
この例では、先のバネ部材31に変えて、ねじりコイルバネであるバネ部材35を用いている。このねじりコイルバネは、コイル中心を中心に2つのアームが伸びた形状を有している。ねじりコイルバネのコイル中心は、センサホルダ26に形成されたシャフト26aにはめ込まれ保持される。バネ部材35の一方のアームはキャリッジ25の側面に形成された突起25cの下部に当接し、他方のアームはキャリッジ25の側面に形成された別の突起25dの下部に当接する。
【0042】
図10はバネ部材35によって付与される力のバランスを示す説明図である。同図において、バネ部材35のコイル中心からシャフト26aに付与されるバネ力Cは、シャフト26aを斜め下方に向けて押圧し付勢する力としてシャフト26aに作用する。バネ力Cは垂直方向の分力C1と水平方向の分力C2に分解することができる。垂直方向の分力C1は、センサホルダ26の下部に設けられた回転体30が押板20を押圧する力として作用する。水平方向の分力A2は、シャフト26aをキャリッジ25の長丸穴25aの内側面に押し付ける力として作用する。
【0043】
バネ部材35の一方のアームからは、キャリッジ25の突起25cに対して斜め上向きの力Daが作用する。バネ部材35の他方のアームからは、キャリッジ25の別の突起25dに対して斜め上向きの力Dbが作用する。このような力関係によって、キャリッジ25には、ガイドシャフト27を回転中心とするモーメントが発生する。発生した回転モーメントによってスライダ32はガイドレール33に押圧力D1で押圧される。
【0044】
図6は、制御部を中心とする本実施形態のプリント装置のシステム構成図である。制御部の中心となるのは、CPU100、入出力インターフェイス102、RAM103、ROM104からなるコンピュータシステムである。これらはASICとして構成してもよい。CPU100は、ROM104に記憶された制御プラグラムに従って、プリント動作、乾燥動作、読取動作、キャリブレーション動作の全体の制御を行う。RAM103はその際のワークエリアとして使用される。CPU100には、ホストコンピュータ101からプリントデータ、各種の設定情報等が入出力インターフェイス102を介して入力される。また、CPU100は、搬送部4の駆動モータ、プリントヘッド5、ヘッドキャリッジ用のモータ11、昇降モータ22、センサキャリッジ用のモータ29、送風器17のヒータやファンの駆動をそれぞれ制御する。さらにCPU100には、センサユニット18で取得された信号が入力され、入力された信号に基づいてキャリブレーション処理等を行う。
【0045】
次に、以上の構成を有するプリント装置において、検査パターンを読み取ってキャリブレーション(色校正)を行う動作について説明する。図7は制御部により司られる動作シーケンスを示すフローチャート図、図8は動作中の装置の状態を示す説明図である。
【0046】
ステップS1では、検査に使用するシートを供給する。本実施形態のプリント装置で使用することができるシートは、ロール紙またはカット紙である。給紙口6から挿入されたシートSは搬送部4によってプリントヘッド5の下までプラテン7の上を搬送される。
【0047】
ステップS2では、シートに検査パターンである画像Pをプリントする。シートSの画像形成領域の先頭がプリントヘッド5の下まで搬送されたら、キャリッジ8を走査しながらプリントヘッド5からインクを吐出し、シートSに1バンド分のプリントを行う。シートSの1バンド分のステップ送りと、1バンドのプリントを交互に繰り返すシリアルプリント方式で、複数列のパターンからなる画像P(キャリブレーションのための検査パターン)をシートSに形成していく(図8(a)の状態)。なお、本発明はシリアルプリント方式に限定されず、ラインヘッドを用いてラインプリント方式で検査パターンを形成するものであってもよい。
【0048】
ステップS3では、プリントの済んだシートを乾燥部まで搬送する。画像Pのプリント工程を終えたら、シートに付与されたインクの乾燥を促進させるために、画像の読取工程の前に乾燥工程に移行する。強制乾燥させるのは、シートSに形成された画像Pの色が安定するまでの時間を短縮させるためである。上述したように、読取部2には、スキャナ部13とその下流側のび乾燥部14が配置されている。そこで、シートSに形成された画像Pの領域が、スキャナ部13をスキップして乾燥部14に到達するまでシートSを搬送する。画像Pの後端領域が、乾燥部14の吹出口15aの下に来るまでシートSを搬送する(図8(b)の状態)。
【0049】
ステップS4では、検査パターンが形成された領域を強制乾燥させる。送風器17によって温風が生成され、ダクト15を通り吹出口15aからシートSに向けて温風がって吹きつけられる。シートSを低速で逆方向に移動させながら画像Pの後端から先端の順に強制乾燥させていく。なお、画像P全体を乾燥させるのに、シートを送り戻しながら乾燥させるのでなく、順方向に送りながら乾燥させるようにしてもよい。
【0050】
ステップS5では、画像Pの読取を行うためにシートを搬送して送り戻す。読取部の画像Pの領域後端がスキャナ部13のセンサユニット18の直下である読取位置に到達するまで、シートSを逆方向に搬送して送り戻す。ステップS1からステップS5までは、読取部2は昇状態であり、押さえ板20がバッキング24の支持面から離れているので、その隙間をシートは自由に移動することができる。
【0051】
ステップS6では、読取部2を昇状態から降状態に移行させて押板20でシートSを押圧する。昇降カム19の回転によりハウジング16が下方へ押し下げられ、押板20はバッキング24の支持面との間にシートSを挟んで押圧する(図8(c)の状態)。
【0052】
ステップS7では、測色のための読み取りを行う前にセンサユニット18の読み取り特性のセンサ校正を行う。センサユニット18は、環境や経時変化により読み取った値が変化して測色値が変動する場合がある。そのため、ステップS8での実際の読み取りに先立って、センサユニット18の校正を行う。
【0053】
具体的には、キャリッジ25を校正部材34が設けられている側の端部に移動させ、校正部材34の光学特性(色)をセンサユニット18で検出する。そして、その測定結果を元にセンサ校正を行う。センサ校正は、校正部材34を測色したときの測定結果が本来の基準値となるように、検出結果をデータ補正する。あるいは、本来の出力値が得られるように、センサユニット18に含まれる光源の発光強度や受光素子のゲインを調整するようにしてもよい。なお、ステップS7でのセンサ校正は、必ずしも毎回行わなくてもよく、所定の回数に一度の頻度にしてもよい。例えば、複数列のカラーパッチの最初の読み取りの前にセンサ校正を行って、以降は省略すようにしてもよい。
【0054】
ステップS8では、スキャナ部13によりシートSの検査パターンの一部(一列)を読み取る。キャリッジ25の第2方向への移動と共にセンサユニットも移動して、センサユニット18はシート表面の検査パターンの一列分を読み取って色情報を取得する。移動の際には、仮に押板20の表面に局所的な非平面があったとしても、イコライズ機能によりセンサユニット18が回転方向または上下方向に微小変位するので、読取位置が一定に維持されて、高い精度で読み取りを行うことができる。
【0055】
ステップS9では、読取部2を降状態から昇状態に移行させて押板20によるシートSの押圧を解除する。昇降カム19が回転しバネ部材50の力によりハウジング16が上方に引っ張り上げられ、押板20はバッキング24の支持面から離れて、挟んでいたシートSの押圧を解除する(図8(d)の状態)。
【0056】
ステップS10では、検査パターンに未だ読み取りがされていない未読取のパターン部分残っているか(Yes)否か(No)を判断する。言い換えれば、検査パターンの読み取りがすべて完了したかを判断する。判断がYesの場合は、ステップS5に戻って、ステップ送りして次の読取1ライン分のパターン読み取りを繰り返す。判断がNoの場合は、ステップS11に移行する。
【0057】
このように、パターン読み取り際しては、複数列に渡って形成された検査パターンに対して、センサユニットによる列ごとの読み取りとシートのステップ送りと繰り返して読み取りを行うものである。そして、列ごとの読取では押板20とバッキング24の支持面とが押圧された状態とし、ステップ送りでは押圧が解除された状態とする。
【0058】
ステップS11では、すべてのパターン読み取りが完了したシートSを、順方向に送ってプリント装置から排出する。
【0059】
ステップS12では、色に関するキャリブレーション処理を行う。ステップS8でのパターン読み取りで得られたデータを元にパターンの色に関する情報を取得する。そして、を制御部では、最終的なプリント結果物で所望の色が再現されるように、各色のプリントヘッドで付与するインク量を調整するカラーキャリブレーションを行う。
【0060】
なお、以上のシーケンスはカラーキャリブレーションを行うモードにおける動作の説明であり、検査パターンではない通常の所望画像をプリントする際には、読取動作は必要ないので、ステップS5〜ステップS10、およびステップS12は省略される。
【0061】
以下、ステップS7において、センサユニット18の読み取り特性の校正を行うための装置構成および動作について説明する。
【0062】
センサユニット18の校正には、図11に示す形状の白色板からなる校正部材34を用いる。校正部材34は、厳密に色および反射率が管理された白色の基準面34aと、固定用のツバ34bを有している。キャリッジ25を端部に移動させ、基準面34aの光学特性である色をセンサユニット18で検出し、その測定結果を元にセンサ校正を行う。
【0063】
工場においてプリント装置を組み立てる際には、使用する校正部材34に合わせて、センサユニット18の電気的特性などを調整してから出荷する。メンテナンスでセンサユニット18を交換する際には校正部材34も同時に交換する必要がある。そこで、校正部材34は、ホルダ35に保持された状態で、ホルダ35をプリント装置に対して着脱自在に取り付けて、容易に交換可能な構造としている。
【0064】
図12は、校正部材34のホルダ35への取り付け構造を示す図である。ホルダ35の丸穴に校正部材34の基準面34aの側をはめ込んだ状態で、アーム37で校正部材34を押さえる。アーム37には、バネ36によって、アーム37が閉じる方向に回転付勢力が与えられている。作業者は、付勢力に逆らってアーム37を拡げて、校正部材34をホルダ35の丸穴に挿入する(図12(a))。ツバ34aがホルダ35に当接して、白色校正34が抜けないように保持される。次いで、拡げたアーム37を解除し(図12(b))、バネ36の付勢力で校正部材34をホルダ35に押し付けて固定する(図12(c))。
【0065】
こうして組み立てられたホルダ35は、図13に示すように、プリント装置の2枚の押板20の間に形成されたスリットに対して、横方向からスライドして挿入され固定される。図13(a)はホルダ35を挿入する前の状態、図13(b)は挿入されたホルダ35が固定された状態を示す。
【0066】
図14は、プリント装置にホルダ35が挿入された状態の断面を、第1方向から見た断面図である。校正部材34の基準面34aは、押板20がシートを押圧する側の面(下面)に当接する。つまり、校正部材34は、一方の面は押板20に他方の面はアーム37に挟まれた状態になる。押板20の校正部材34が当接する当接部20aは部分的な凸形状となっており、この部分に校正部材34の基準面34aが当接する。
【0067】
このように、読み取りがなされるシートSと校正部材34とが、押板20の下面という同一基準に対して位置決めされる。したがって、センサ校正の際のセンサユニット18と校正部材34との位置関係と、シートの検査パターン読み取りの際のセンサユニット18とシートとの位置関係とは、高さ方向においてほぼ等しくなり、高精度に校正部材34の光学特性を検出することができる。加えて、押板20の上面、すなわちスキャナ部13を支える回転体30が走行する面はフラットにできるので、走行が安定する。また、図14に示すように、第2方向において、ホルダ35の幅は、4つの回転体30の第2方向での間隔よりも広い。可撓性の押板20を広い幅のホルダ35で受けるので、校正部材34を測色する際にはセンサユニット18の姿勢が安定する。
【0068】
なお、変形例として、図14のバネ36とアーム37に変えて、図15に示すように、ホルダ38の内部にバネ39を設けて、バネ39自体で校正部材34を背面から、押板20に対して押し付けるような構造としてもよい。
【0069】
図16は、シートに形成された検査パターンの例を示す図である。多数のカラーパッチ42と、カラーキャリブレーション前後の比較用のサンプル画像41が混在するように形成されている。カラーパッチ42とサンプル画像41のレイアウトはユーザが自由に設定することができる。
【0070】
この例では、カラーパッチ42は、シートSの搬送方向A(バックフィード方向)において、a列〜f列の6列を有する。f列が最も下流側(シート先端側)のパッチ列であり、プリント部3で検査パターンを形成していくのは、f列〜a列の順である。a列、b列は、シート幅のほぼ全域であるBからDの範囲に形成されている。続くc列、d列、e列、f列は、シート幅の約半分のBからCの範囲にプリントされている。残り約半分のCからDの範囲には、サンプル画像41が形成されている。
【0071】
このようなレイアウトで形成されたカラーパッチ42は、バックフィードのステップ送りを繰り返しながら、a列からf列の順に一列ずつ読み取りがなさる。B側がキャリッジ25ホームポジションである。
【0072】
プリント部3でこれらの検査パターンが形成されたシートSは、最初のa列が押板20のスリット直下の読取位置にくるまでバックフィードされる。このとき、読取部2は昇状態(押圧解除)にある。次いで、読取部2を降状態(押圧)に移行させ、押板20と支持面の間にシートSを挟んで押圧する。キャリッジ25をBからDに走査移動させながら、センサユニット18でa列のパッチ列をBからDの順にパッチ1つずつ読み取っていく。次いで、読取部2を昇状態に移行させ、シートSをバックフィード方向にパッチ一列分の距離だけステップ送りする。そして、読取部2を再び降状態に移行させ、こんどはキャリッジ25をDからBに走査移動させながら、センサユニット18でb列のパッチ列をDからBの順にパッチ1つずつ読み取っていく。b列の読み取りが終わったら、読取部2を昇状態に移行させ、シートSをバックフィード方向にステップ送りする。
【0073】
このように、読み取りの走査方向は列ごとに交互に切り替わる。なお、上述したように、各パッチ列の読み取りの走査方向は常に同じ方向(BからD)としてもよい。この場合は、シートSをステップ送りしている最中にキャリッジ25をホームポジション(B側)に戻す動作を行う。
【0074】
続いて、c列、d列のパッチ列を読み取る場合には、走査の範囲をパッチ列のシート幅方向の長さに応じた距離とする。読取部2を降状態に移行させ、キャリッジ25をBからCに走査移動させながら、センサユニット18でc列のパッチ列をBからCの順にパッチ1つずつ読み取っていく。次いで、読取部2を昇状態に移行させ、シートSをバックフィード方向にステップ送りする。そして、読取部2を降状態に移行させ、キャリッジ25をCからBに走査移動させながら、センサユニット18でd列のパッチ列をCからBの順にパッチ1つずつ読み取っていく。d列の読み取りが終わったら、読取部2を昇状態に移行させ、シートSをバックフィード方向にステップ送りする。
【0075】
このように、測色の必要が無いサンプル画像41の領域を走査することなく次の列に移行できるので、読み取りスループットの向上が図れる。また、サンプル画像41上をキャリッジ25が走行しないので、当接部材8が可撓性の押板20を介してサンプル画像41を強く押圧することがなく、サンプル画像41のダメージが少ない。
【0076】
続いて、e列、f列のパッチ列を読み取る場合も同様に、走査の範囲をパッチ列のシート幅方向の長さに応じた距離とする。ただし、この例では、e列の読み取りの後に、温度によって変化する可能性があるセンサの読み取り特性を一定に維持するためのセンサ校正処理を割り込ませる。センサ校正は、センサユニット18で校正部材34の表面の色情報を読み取って、正しい読み取り結果が得られるようにセンサを調整またはセンサ出力を補正するものである。
【0077】
読取部2を降状態に移行させ、キャリッジ25をBからCに走査移動させながら、センサユニット18でe列のパッチ列をBからCの順にパッチ1つずつ読み取っていく。ここで、f列の読み取りの前に、センサ校正処理を行う。校正部材34はB側に設けられているので、センサユニット18をそこまで移動させる必要がある。読取部2を昇状態に移行させ、シートSをバックフィード方向にステップ送りする最中に、キャリッジ25をCからBに移動させ、さらにその外側に校正部材34の上まで移動させる。そして、読取部2を降状態に移行させ、センサユニット18で校正部材34の表面を読み取って色情報を取得する。制御部は、取得した色情報に基づいてセンサ校正処理を行う。センサ校正処理が終わったら、上述の手順と同様にして、最後のf列のパッチ列をBからCの順に読み取り、キャリッジをホームポジションに戻したら、一連の処理を終了する。
【0078】
こうしてすべてのパッチ列の読み取りが済んだら、制御部では、最終的なプリント結果物で所望の色が再現されるように、各色のプリントヘッドで付与するインク量を調整するカラーキャリブレーションを行う。
【0079】
以上の実施形態によれば、複数列の検査パターンを順次読み取る際のトータルスループットおよび読み取り精度が向上する。つまり、装置のキャリブレーションに要する総時間の短縮と精度向上の両立が実現される。ひいては、装置の使用者にとっては非生産的な時間であるキャリブレーションの時間が短縮され、本来の画像プリントにより多くの時間を割り当てることができ、プリント作業における生産性が向上する。
【0080】
とくに実施形態では、リンク機構のような複雑な構成を持たない簡素な機構でありながら、高い精度でシート上の情報を読み取ることができる。加えて、シート上の読取情報である検査パターン等のサイズが小さくでも高い精度で読み取りが可能であるので、検査に必要なシート量の抑制、シートの搬送量の減少による検査時間の短縮といった作用効果を得ることができる。
【0081】
また、シート上の情報を読み取るためのセンサの読み取り特性を高い精度で校正することができ、常に安定した読み取りを行うことが可能な読取装置およびこれを備えたプリント装置が提供される。
【0082】
また、本実施形態では、スキャナ部13は、シートが支持される支持面を押圧する押板20と、センサユニット18を保持し押板20の上を往復移動するキャリッジ25とが一体のユニットとなっていることが構成上の特徴の一つとなっている。これにより、押板20を含めてユニット全体がシートから退避してシート搬送を可能とするので、押板20の上でキャリッジ25がどこにあろうとも、シート搬送の動作に移ることができる。これは、読み取りとステップ送りを繰り返して検査パターンを読み取るシーケンスにおけるトータルスループットの向上に大きく貢献する。
【0083】
加えて、回転体30は段差のない押板20の上に常にあるので、走行に際して衝撃が発生することが無い。そのため、センサユニット18の取り付け付け精度の劣化のセンサ故障は起きにくく、長期間に渡って高い読み取りの精度が維持される。
【0084】
また、本実施形態では、読み取りとバックフィードのステップ送りの繰り返しにおいて、ある列の読み取りおよびステップ送りを行っている最中に、後に読み取られる別の列が含まれるシート領域を乾燥部で乾燥させることが特徴の一つとなっている。乾燥、読取、ステップ送りの3つを繰り返して検査パターンを読み取るシーケンスにおいて、読取およびステップ送りの処理と、乾燥処理とが時間的にオーバーラップして並行処理となるので、トータルスループットが大きく向上する。
【0085】
さらに本実施形態では、プリント部3よりも下流には搬送ローラが無く、且つバックフィードのステップ送りを繰り返して読取を行うことが特徴の一つとなっている。プリント部3でプリントされた検査パターンは、少なくともスキャナ部での読み取りが完了するまで、搬送ローラにニップされることがない。そのため、形成する検査パターンが搬送方向にどれだけ長くなろうとも、読み取りの前にパターンに傷が付与されたり、搬送ローラにインク汚れが付着したりすることが無く、長期間に渡って高い精度での読み取りを行うことができる。
【符号の説明】
【0086】
2 読取部
3 プリント部
5 プリントヘッド
8 キャリッジ
13 スキャナ部
14 乾燥部
18 センサユニット
20 押板
24 バッキング
25 キャリッジ
31 バネ部材
34 校正部材
35 ホルダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持面に対してシートを押し付ける押板と、
シート上の情報を読み取るセンサユニットを保持し、前記押板の表面に沿って移動するキャリッジと、を有し、
前記キャリッジには、前記キャリッジに対して前記センサユニットが変位することができるように保持する機構が設けられており、
前記機構は、前記キャリッジに対して前記センサユニットが、前記キャリッジの移動方向と平行で且つ前記センサユニットの読取領域の上方に位置する軸を中心に回転方向および上下方向に変位することを許容することを特徴とする読取装置。
【請求項2】
前記機構は、前記移動方向と直交する2つの側面のそれぞれにおいて、シャフトと上下方向に長い長穴とが係合する機構を持ち、
前記シャフトは係合する前記長穴に対して回転および上下方向に移動することが可能であることを特徴とする、請求項1記載の読取装置。
【請求項3】
前記長穴は上方が開いたU字形状であり、前記シャフトを前記長穴の下方に向けて付勢するための弾性体が設けられていることを特徴とする、請求項2記載の読取装置。
【請求項4】
前記押板は、前記読取領域を挟んだ両側それぞれに前記移動方向と平行な方向に所定の範囲に渡って延びた第1部位および第2部位を有し、
前記センサユニットの下部には、前記キャリッジが移動する際に前記第1部位の表面に接触する第1当接部材と、前記キャリッジが移動する際に前記第2部位の表面に接触する第2当接部材が設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項5】
前記第1当接部材および前記第2当接部材はともに、前記押板の表面に接触して従動回転する回転体であることを特徴とする、請求項4記載の読取装置。
【請求項6】
前記読取領域および前記軸はともに、上方から見たとき、前記第1当接部材と前記第2当接部材の間に位置することを特徴とする、請求項4または5に記載の読取装置。
【請求項7】
前記センサユニットは、シートに向けて光を発する光源と、光が照射されたシートの表面からの光を受ける受光素子とを含み、
前記受光素子の受光光軸の中心は、上方から見たとき、前記第1当接部材と前記第2当接部材の間に位置することを特徴とする、請求項4から6のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項8】
前記センサユニットで光学特性を検出することができる校正部材が、前記押板を基準にして取り付けられており、前記センサユニットによって前記校正部材の前記光学特性を検出し、検出結果に基づいて前記センサユニットの読み取り特性を校正することが可能であることを特徴とする、請求項7記載の読取装置。
【請求項9】
前記押板は、前記支持面よりも剛性が小さい可撓性の部材でできていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項10】
前記キャリッジ、前記押板および前記機構はユニットとして一体化され、前記キャリッジに対して前記ユニットを前記支持面に向けて昇降させる昇降機構をさらに有することを特徴とする、請求項1から9のいずれか1項に記載の読取装置。
【請求項11】
前記ユニットは、読取の前にシートに付与されたインクの乾燥を促進させる乾燥部がさらに一体化されていることを特徴とする、請求項10記載の読取装置。
【請求項12】
シートに検査パターンをプリントするプリント部と、
前記プリント部でプリントされた前記検査パターンを読み取るための、請求項1から11のいずれか1項に記載の読取装置と
を備えたことを特徴とするプリント装置。
【請求項13】
前記プリント部の上流にシートを搬送するための搬送ローラが設けられ、前記プリント部の下流には搬送ローラが設けられていないことを特徴とする、請求項12記載のプリント装置。
【請求項14】
複数列に渡って形成された前記検査パターンに対して、前記センサユニットによる列ごとの読み取りとシートのステップ送りと繰り返して読み取りを行うものであり、
前記列ごとの読取では前記押板と前記支持面とが押圧された状態とし、前記ステップ送りでは前記押板と前記支持面との押圧が解除された状態とすることを特徴とする、請求項12または13記載のプリント装置。
【請求項15】
前記プリント部で前記検査パターンが形成されたシートは、前記検査パターンが形成された領域が前記読取領域を通過するまで搬送され、次いで、シートを逆方向に搬送しながら前記センサユニットで前記検査パターンの読み取りを行うことを特徴とする、請求項14記載のプリント装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−115474(P2013−115474A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257425(P2011−257425)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】