説明

読取装置

【課題】本発明は原稿を適切に搬送しつつ読取センサに押圧して、高品質な画像の読み取りを行う読取装置を提供する。
【解決手段】読取装置1は、原稿台13上に載置された原稿を分離ローラ8と分離パッド10により1枚ずつ分離して、原稿ガイド14上をR1ローラ3に搬送し、R1ローラ3と対向コロ5は、密着センサ2に原稿を搬送するが、原稿の先端をS2センサ12が検出すると、タイミング調整して密着センサ2に搬送する。原稿が密着センサ2のコンタクトガラス2b上に搬送されてくると、原稿幅ガイド15に設けられた回転するベルト状弾性体16により、原稿の両端部をコンタクトガラス2bに押圧しつつ搬送し、原稿の先端がR2ローラ4に到達すると、R2ローラ4と対向コロ6により原稿を搬送しつつ原稿の画像を密着センサ2により読み取る。したがって、原稿を密着センサ2に押圧しつつ、ジャム等が発生することなく搬送し、原稿の画像を高品質で読み取ることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、読取装置に関し、詳細には、原稿を適切に搬送しつつ読取センサに押圧して、高品質な画像の読み取りを行う読取装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ファクシミリ装置や複写装置等の読取装置においては、原稿の読取位置において、当該原稿の読取面を読取部に適切に密着させるとともに、シェーディング補正等の白基準を適切に提供することが必要である。
【0003】そこで、従来、読取装置においては、一般に、原稿を読み取り面に密着させるフィルム等の弾性体を配設し、この弾性体を白色に施すことにより、白基準を設定するとともに、原稿外のバックグランドとしている。
【0004】また、従来、原稿の画像情報を読取ライン上で読み取る読取手段に搬送されてきた原稿を読取ラインに押圧するための可撓性シートからなる押圧手段を備え、この押圧手段に読取ラインに対して平行もしくは実質的に平行になるようにステーを配置して、該ステーと前記可撓性シートとの間に、前記原稿の押圧方向に可撓性のある部材を挟み、これを介して前記可撓性シートを押圧するように構成した読取装置が提案されている(特開平4−266259号公報参照)。すなわち、この読取装置は、白色の可撓性部材を読取部に押圧して、原稿を読取部に密着させており、この可撓性部材を読取部に押圧するための手段として、具体的には、可撓性部材の読取面とは反対側の面に、スポンジ等の弾性体を配置している。
【0005】また、互いに相対向する原稿ガイドにより原稿通路が形成され、原稿搬送ローラとコンタクトガラスを備えた原稿読取部と原稿排出ローラとを前記原稿通路に沿って順次配設した原稿読取装置において、薄板部材を折り曲げてその弾性力で前記原稿読取部の前記コンタクトガラスに圧接した弾性体を前記原稿ガイドに固定して配設したことを特徴とする原稿読取装置が提案されている(特開平5−80614号公報参照)。すなわち、この原稿読取装置は、白色の可撓性部材を読取部に押圧して、原稿を読取部に密着させており、この可撓性部材を読取部に押圧するための手段として、具体的には、可撓性部材を折り曲げて原稿上ガイド板に固定し、折り曲げ部分を挟み込むことによる反発力で原稿読取面に可撓性部材を密着させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来の読取装置にあっては、原稿を読取センサに密着させつつ、原稿の搬送性を向上させるうえでなお改良の余地があった。
【0007】すなわち、特開平4−266259号公報記載の読取装置にあっては、原稿を読取部に密着させるための白色の可撓性部材を、読取部に押圧するために、可撓性部材の読取面とは反対側の面に、スポンジ等の弾性体を配置している。
【0008】したがって、シェーディング補正を行う際の白基準を白色の可撓性部材により安定して提供することはできるが、薄紙等の剛性のない原稿をこの可撓性部材と可撓性部材の押圧される読取部との間を通紙させる際には、可撓性部材による負荷が大きく、原稿の先端が下流側のローラに到達する前に原稿の搬送精度が低下したり、原稿を適切に搬送することができずにジャムが発生する等の不具合が発生するおそれがある。また、薄紙の原稿に限らず、読取装置の使用環境によっては、搬送路の抵抗が増加して、原稿の搬送性を悪化させるおそれがある。
【0009】また、特開平5−80614号公報記載の原稿読取装置にあっては、可撓性部材を折り曲げて原稿上ガイド板に固定して、折り曲げ部分を挟み込むことによる反発力で原稿読取面に可撓性部材を密着させているため、可塑性部材の厚みや加工精度によって設置時の原稿押圧力が決定され、原稿の押さえが不十分であったり、逆に、原稿に与える負荷が大きくなって、原稿の搬送性を悪化させるという問題があった。また、可撓性部材を固定する部材と読取面の距離によって可撓性部材の弾性が変化し、原稿押圧力が変化して、上記問題が同様に発生する。
【0010】そこで、請求項1記載の発明は、読取センサ位置で少なくとも原稿の幅方向両端部を読取センサ方向に押圧するとともに、原稿の搬送に伴って当該原稿の搬送方向に回転する弾性部材を配設することにより、原稿の搬送に与える抵抗を軽減しつつ、原稿を読取センサに均一に密接させ、原稿の搬送性能を向上させるとともに、読取画像の画像品質を向上させることのできる読取装置を提供することを目的としている。
【0011】請求項2記載の発明は、弾性部材を、ベルト状に形成され、回転可能に支持されたコロ状の付勢部材と案内コロに支持されて、付勢部材により読取センサ方向に付勢されるとともに、原稿の搬送に伴って回転するものとすることにより、高度な精密性を要求することなく、原稿の搬送に与える抵抗を軽減しつつ、原稿を読取センサに均一に密接させ、原稿の搬送性能を向上させるとともに、読取画像の画像品質を向上させることのできる安価な読取装置を提供することを目的としている。
【0012】請求項3記載の発明は、弾性部材を、少なくとも読取センサ位置まで延在するとともに原稿サイズに応じて原稿の幅方向に移動可能に配設され搬送される原稿の幅方向両端部を案内する原稿幅ガイドの読取センサに対向する位置に配設し、原稿サイズに応じて当該原稿の幅方向に原稿幅ガイドが移動されると、当該原稿幅ガイドの移動に伴って原稿の幅方向に移動して原稿の幅方向両端部を読取センサ方向に押圧するものとすることにより、安価にかつ常に確実に原稿を読取センサに押圧するとともに、原稿の搬送に与える抵抗をより一層削減し、原稿の搬送性能をより一層向上させるとともに、読取画像の画像品質を向上させることのできる安価な読取装置を提供することを目的としている。
【0013】請求項4記載の発明は、弾性部材を、少なくとも読取センサ側の面が開放される状態で開閉可能に配設することにより、弾性部材の清掃を容易にして、常に弾性部材を正常に保てるようにし、読取画像の画像品質をより一層向上させることのできる読取装置を提供することを目的としている。
【0014】請求項5記載の発明は、弾性部材を、少なくとも読取センサ側の面が原稿の地肌部分と区別可能な所定の色あるいは模様に施されているものとすることにより、原稿の端部を適切に認識可能として、原稿の端部の黒画像を無くし、読取画像の画像品質をより一層向上させることのできる読取装置を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の読取装置は、搬送される原稿の画像を読み取る読取センサと、前記読取センサを挟んで配設された一対の搬送ローラと、を備え、前記一対の搬送ローラにより搬送される前記原稿に前記読取センサから光を投射して当該原稿の画像を読み取る読取装置において、前記読取センサ位置で少なくとも前記原稿の幅方向両端部を前記読取センサ方向に押圧するとともに、前記原稿の搬送に伴って当該原稿の搬送方向に回転する弾性部材を配設したことにより、上記目的を達成している。
【0016】上記構成によれば、読取センサ位置で少なくとも原稿の幅方向両端部を読取センサ方向に押圧するとともに、原稿の搬送に伴って当該原稿の搬送方向に回転する弾性部材を配設しているので、原稿の搬送に与える抵抗を軽減しつつ、原稿を読取センサに均一に密接させることができ、原稿の搬送性能を向上させることができるとともに、読取画像の画像品質を向上させることができる。
【0017】この場合、例えば、請求項2に記載するように、前記弾性部材は、ベルト状に形成され、回転可能に支持されたコロ状の付勢部材と案内コロに支持されて、前記付勢部材により前記読取センサ方向に付勢されるとともに、前記原稿の搬送に伴って回転するものであってもよい。
【0018】上記構成によれば、弾性部材を、ベルト状に形成され、回転可能に支持されたコロ状の付勢部材と案内コロに支持されて、付勢部材により読取センサ方向に付勢されるとともに、原稿の搬送に伴って回転するものとしているので、高度な精密性を要求することなく、原稿の搬送に与える抵抗を軽減しつつ、原稿を読取センサに均一に密接させることができ、原稿の搬送性能を向上させることができるとともに、読取画像の画像品質を向上させることができる。
【0019】また、例えば、請求項3に記載するように、前記弾性部材は、少なくとも前記読取センサ位置まで延在するとともに前記原稿サイズに応じて前記原稿の幅方向に移動可能に配設され前記搬送される原稿の幅方向両端部を案内する原稿幅ガイドの前記読取センサに対向する位置に配設され、前記原稿サイズに応じて当該原稿の幅方向に前記原稿幅ガイドが移動されると、当該原稿幅ガイドの移動に伴って前記原稿の幅方向に移動して当該原稿の幅方向両端部を前記読取センサ方向に押圧するものであってもよい。
【0020】上記構成によれば、弾性部材を、少なくとも読取センサ位置まで延在するとともに原稿サイズに応じて原稿の幅方向に移動可能に配設され搬送される原稿の幅方向両端部を案内する原稿幅ガイドの読取センサに対向する位置に配設し、原稿サイズに応じて当該原稿の幅方向に原稿幅ガイドが移動されると、当該原稿幅ガイドの移動に伴って原稿の幅方向に移動して原稿の幅方向両端部を読取センサ方向に押圧するものとしているので、安価にかつ常に確実に原稿を読取センサに押圧することができるとともに、原稿の搬送に与える抵抗をより一層削減することができ、原稿の搬送性能をより一層向上させることができるとともに、読取画像の画像品質を安価に向上させることができる。
【0021】さらに、例えば、請求項4に記載するように、前記弾性部材は、少なくとも前記読取センサ側の面が開放される状態で開閉可能に配設されていてもよい。
【0022】上記構成によれば、弾性部材を、少なくとも読取センサ側の面が開放される状態で開閉可能に配設しているので、弾性部材の清掃を容易にして、常に弾性部材を正常に保てるようにすることができ、読取画像の画像品質をより一層向上させることができる。
【0023】また、例えば、請求項5に記載するように、前記弾性部材は、少なくとも前記読取センサ側の面が前記原稿の地肌部分と区別可能な所定の色あるいは模様に施されていてもよい。
【0024】上記構成によれば、弾性部材を、少なくとも読取センサ側の面が原稿の地肌部分と区別可能な所定の色あるいは模様に施されているものとしているので、原稿の端部を適切に認識可能として、原稿の端部の黒画像を無くすことができ、読取画像の画像品質をより一層向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0026】図1から図3は、本発明の読取装置の一実施の形態を示す図であり、図1は、本発明の読取装置の一実施の形態を適用した読取装置1の要部断面側面図である。
【0027】図1において、読取装置1は、密着センサ(読取センサ)2を挟んで一対の搬送ローラであるR1ローラ3とR2ローラ4が配設されており、R1ローラ3及びR2ローラ4には、それぞれ対向コロ5、6が当接している。対向コロ5及び対向コロ6は、圧板7に回転可能に取り付けられているとともに、図示しない所定の付勢部材、例えば、板ばね等によりR1ローラ3及びR2ローラ4に押し付けられている。 上記密着センサ2は、光源2a、コンタクトガラス2b及び光電変換素子2c等を備え、ブラケット等を介して読取装置1の図示しないフレーム等に取り付けられている。
【0028】R1ローラ3には、分離ローラ8から図示しない原稿が搬送されてくるが、分離ローラ8には、付勢部材9により分離ローラ8方向に付勢された分離パッド10が当接している。分離ローラ8の近傍には、S1センサ11が配設されており、また、上記R1ローラ3の近傍には、S2センサ12が配設されている。S1センサ11及びS2センサ12は、例えば、反射型の光センサが利用されている。
【0029】読取装置1の図示しない制御部は、上記S1センサ11及びS2センサ12の検出結果に基づいて、密着センサ2、分離ローラ8、R1ローラ3及びR2ローラ4の駆動を制御して、原稿台13上に載置された複数枚の原稿を分離ローラ8と分離パッド10により1枚ずつ分離して、最下段の原稿からR1ローラ3方向に原稿ガイド14に沿って搬送し、R1ローラ3と対向コロ5により原稿を原稿ガイド14に沿って密着センサ2方向に搬送する。制御部は、R1ローラ3と対向コロ5で密着センサ2に原稿を搬送すると、S1センサ11の検出結果に基づいてタイミング調整を行って、密着センサ2に原稿の画像を読み取らせつつ、原稿をR2ローラ4方向に搬送し、R2ローラ4と対向コロ6により密着センサ2で画像の読み取られた原稿を図外の排紙トレイ上に排出させる。
【0030】そして、上記R1ローラ3とR2ローラ4の間では、原稿に浮きが生じないように、R1ローラ3とR2ローラ4の接線方向に対して、密着センサ2の読取面を一致させ、あるいは、密着センサ2の読取面をR1ローラ3とR2ローラ4の接線方向に交わらせる位置に配置している。
【0031】上記圧板7には、図2及び図3に示すように、原稿の幅方向を案内(ガイド)する一対の原稿幅ガイド15が配設されており、原稿幅ガイド15は、図3に矢印で示すように、最小読取幅位置から相互に離隔する方向に相互に移動調整可能となっている。
【0032】この一対の原稿幅ガイド15には、それぞれベルト状弾性体(弾性部材)16が密着センサ2のコンタクトガラス2bの表面に接する状態で配設されており、ベルト状弾性体16は、図2に示すように、それぞれ原稿幅ガイド15に回転可能に配設されたテンションコロ(付勢部材)17と案内コロ18、19に張り渡されている。このテンションコロ17は、弾性の大きい部材、例えば、スポンジ等により形成されており、ベルト状弾性体16を密着センサ2のコンタクトガラス2bに押圧する。したがって、テンションコロ17は、ベルト状弾性体16を密着センサ2の読取位置(図3参照)に対して余裕を持って押圧し、テンションコロ17の位置精度を粗くしても、適切にベルト状弾性体16を密着センサ2の読取位置に押圧することができる。そして、ベルト状弾性体16は、上述のように、回転可能に原稿幅ガイド15に取り付けられたテンションコロ17及び案内コロ18、19に案内されているため、原稿が密着センサ2に搬送されてくると、原稿をその幅方向両端部で密着センサ2のコンタクトガラス2b表面に押圧しつつ、原稿の搬送に伴って連れ回りし、原稿の搬送に対する負荷を軽減しつつ、原稿を張った状態で密着センサ2のコンタクトガラス2bに適切に密着させた状態で搬送する。
【0033】そして、圧板7は、一方側端部の図示しない開閉軸を介して開閉可能に読取装置1の本体に取り付けられており、上記ベルト状弾性体16は、圧板7が開かれることにより、外部に露出する状態となる。したがって、ベルト状弾性体16は、圧板7を開くことにより、外部に露出して、容易に清掃することができる。
【0034】上記ベルト状弾性体16は、その密着センサ2に対向する側の面に、原稿の地肌とベルト状弾性体16との区別が容易なように所定の濃度の色が施されたり、あるいは、所定の斜線や網掛け等の所定のパターン模様が施されており、原稿の幅方向両端を適切に認識可能となっている。したがって、原稿の幅方向において、原稿の地肌部分のみが連続する場合に、原稿の両端位置を適切に認識して、原稿両端の黒スジを無くすことができるとともに、読取装置1をファクシミリ装置に適用した場合に、原稿両端の黒データを圧縮して送信することを防止することができ、送信時間を短縮することができる。
【0035】次に、本実施の形態の作用を説明する。読取装置1は、原稿の読取時、原稿が原稿台13上に載置され、原稿の幅方向両端に合わせて一対の原稿幅ガイド15がセットされる。読取装置1は、上述のように、原稿が原稿台13上にセットされ、S1センサ11が当該原稿台に原稿がセットされたことを検出して、図示しない操作表示部で読取指示が行われると、図示しない制御部が分離ローラ8を駆動して、分離ローラ8が分離パッド10とともに原稿を1枚ずつ分離し、原稿ガイド14上をR1ローラ3に搬送する。
【0036】原稿がR1ローラ3と対向コロ5の間を通過して、S2センサ12が原稿の先端を検出すると、制御部は、R1ローラ3を一定量回転駆動して、原稿を一定量搬送した後、一旦停止させ、読取開始命令があると、R1ローラ3を駆動して、原稿を密着センサ2に搬送する。
【0037】原稿が密着センサ2のコンタクトガラス2b上に搬送されてくると、原稿は、原稿幅ガイド15に設けられたベルト状弾性体16により、その両端部がコンタクトガラス2b表面に幅方向に張られた状態で押圧され、コンタクトガラス2bに密着された状態で搬送される。このとき、ベルト状弾性体16は、テンションコロ17と案内コロ18、19により回転可能に支持されているため、原稿の搬送に伴って連れ回りし、原稿の搬送に対する負荷を軽減しつつ、原稿を適切にコンタクトガラス2b表面に密着させることができる。
【0038】このように、原稿は、ベルト状弾性体16によりコンタクトガラス2bに押し付けられた状態で搬送され、この搬送される原稿に密着センサ2の光源2aからコンタクトガラス2bを介して光が照射されて、原稿での反射光を光電変換素子2cで受光して、原稿の画像を密着センサ2により読み取る。
【0039】その後、原稿の先端がR2ローラ4に到達すると、R2ローラ4は、R1ローラ3よりも所定量その原稿搬送速度が速く設定されているので、原稿は、R1ローラ3及び対向コロ5とR2ローラ4及び対向コロ6との間に引っ張られた状態で搬送され、この搬送される原稿の画像を密着センサ2により読み取る。
【0040】その後、原稿の後端をS2センサ12が検出すると、その後所定量原稿が搬送される間密着センサ2により原稿の画像の読み取りを行って、原稿の読取範囲の読み取りを完了すると、密着センサ2による原稿の読取動作を停止して、R2ローラ4と対向ローラ25により原稿を図示しない排紙トレイに排出する。
【0041】上記動作において、テンションコロ17は、スポンジ等の弾性の大きい部材により形成されているため、ベルト状弾性体16を密着センサ2の読取位置に対して余裕を持って押圧し、テンションコロ17の位置精度を粗くしても、適切にベルト状弾性体16を密着センサ2の読取位置に押圧することができ、読取装置1を安価にかつ簡単に製造することができる。
【0042】また、ベルト状弾性体16は、回転可能に原稿幅ガイド15に取り付けられたテンションコロ17及び案内コロ18、19に案内されているため、原稿をその幅方向両端部で密着センサ2のコンタクトガラス2b表面に押圧しつつ、原稿の搬送に伴って連れ回りし、原稿の搬送に対する負荷を軽減して、原稿のジャムの発生等を防止しつつ、原稿を張った状態で密着センサ2のコンタクトガラス2bに適切に密着させた状態で搬送することができ、読取画像の画像品質を向上させることができる。
【0043】さらに、ベルト状弾性体16は、その密着センサ2に対向する側の面に、原稿の地肌とベルト状弾性体16との区別が容易なように所定の濃度の色が施されたり、所定の斜線や網掛け等の所定のパターン模様が施されており、原稿の幅方向両端を適切に認識することができる。したがって、原稿の幅方向において、原稿の地肌部分のみが連続する場合に、原稿の両端位置を適切に認識して、原稿両端の黒スジを無くすことができるとともに、読取装置1をファクシミリ装置に適用した場合に、原稿両端の黒データを圧縮して送信することを防止することができ、送信時間を短縮することができる。
【0044】また、圧板7は、一方側端部の図示しない開閉軸を介して開閉可能に読取装置1の本体に取り付けられており、上記ベルト状弾性体16は、圧板7が開かれることにより、外部に露出する状態となる。したがって、ベルト状弾性体16は、圧板7を開くことにより、外部に露出して、容易に清掃することができる。
【0045】以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記のものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0046】例えば、上記実施の形態においては、ベルト状弾性体16を原稿の両端部のみに位置して、これらの原稿の両端部のみを密着センサ2方向に付勢しているが、原稿の幅方向全幅にわたって押圧するようにしてもよい。
【0047】
【発明の効果】請求項1記載の発明の読取装置によれば、読取センサ位置で少なくとも原稿の幅方向両端部を読取センサ方向に押圧するとともに、原稿の搬送に伴って当該原稿の搬送方向に回転する弾性部材を配設しているので、原稿の搬送に与える抵抗を軽減しつつ、原稿を読取センサに均一に密接させることができ、原稿の搬送性能を向上させることができるとともに、読取画像の画像品質を向上させることができる。
【0048】請求項2記載の発明の読取装置によれば、弾性部材を、ベルト状に形成され、回転可能に支持されたコロ状の付勢部材と案内コロに支持されて、付勢部材により読取センサ方向に付勢されるとともに、原稿の搬送に伴って回転するものとしているので、高度な精密性を要求することなく、原稿の搬送に与える抵抗を軽減しつつ、原稿を読取センサに均一に密接させることができ、原稿の搬送性能を向上させることができるとともに、読取画像の画像品質を向上させることができる。
【0049】請求項3記載の発明の読取装置によれば、弾性部材を、少なくとも読取センサ位置まで延在するとともに原稿サイズに応じて原稿の幅方向に移動可能に配設され搬送される原稿の幅方向両端部を案内する原稿幅ガイドの読取センサに対向する位置に配設し、原稿サイズに応じて当該原稿の幅方向に原稿幅ガイドが移動されると、当該原稿幅ガイドの移動に伴って原稿の幅方向に移動して原稿の幅方向両端部を読取センサ方向に押圧するものとしているので、安価にかつ常に確実に原稿を読取センサに押圧することができるとともに、原稿の搬送に与える抵抗をより一層削減することができ、原稿の搬送性能をより一層向上させることができるとともに、読取画像の画像品質を安価に向上させることができる。
【0050】請求項4記載の発明の読取装置によれば、弾性部材を、少なくとも読取センサ側の面が開放される状態で開閉可能に配設しているので、弾性部材の清掃を容易にして、常に弾性部材を正常に保てるようにすることができ、読取画像の画像品質をより一層向上させることができる。
【0051】請求項5記載の発明の読取装置によれば、弾性部材を、少なくとも読取センサ側の面が原稿の地肌部分と区別可能な所定の色あるいは模様に施されているものとしているので、原稿の端部を適切に認識可能として、原稿の端部の黒画像を無くすことができ、読取画像の画像品質をより一層向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の読取装置の一実施の形態を適用した読取装置の要部側面断面図。
【図2】図1の読取装置の原稿幅ガイド部分の側面断面図。
【図3】図1の読取装置の要部斜視図。
【符号の説明】
1 読取装置
2 密着センサ
2a 光源
2b コンタクトガラス
2c 光電変換素子
3 R1ローラ
4 R2ローラ
5、6 対向コロ
7 圧板
8 分離ローラ
9 付勢部材
10 分離パッド
11 S1センサ
12 S2センサ
13 原稿台
14 原稿ガイド
15 原稿幅ガイド
16 ベルト状弾性体
17 テンションコロ
18、19 案内コロ

【特許請求の範囲】
【請求項1】搬送される原稿の画像を読み取る読取センサと、前記読取センサを挟んで配設された一対の搬送ローラと、を備え、前記一対の搬送ローラにより搬送される前記原稿に前記読取センサから光を投射して当該原稿の画像を読み取る読取装置において、前記読取センサ位置で少なくとも前記原稿の幅方向両端部を前記読取センサ方向に押圧するとともに、前記原稿の搬送に伴って当該原稿の搬送方向に回転する弾性部材を配設したことを特徴とする読取装置。
【請求項2】前記弾性部材は、ベルト状に形成され、回転可能に支持されたコロ状の付勢部材と案内コロに支持されて、前記付勢部材により前記読取センサ方向に付勢されるとともに、前記原稿の搬送に伴って回転することを特徴とする請求項1記載の読取装置。
【請求項3】前記弾性部材は、少なくとも前記読取センサ位置まで延在するとともに前記原稿サイズに応じて前記原稿の幅方向に移動可能に配設され前記搬送される原稿の幅方向両端部を案内する原稿幅ガイドの前記読取センサに対向する位置に配設され、前記原稿サイズに応じて当該原稿の幅方向に前記原稿幅ガイドが移動されると、当該原稿幅ガイドの移動に伴って前記原稿の幅方向に移動して当該原稿の幅方向両端部を前記読取センサ方向に押圧することを特徴とする請求項1または請求項2記載の読取装置。
【請求項4】前記弾性部材は、少なくとも前記読取センサ側の面が開放される状態で開閉可能に配設されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の読取装置。
【請求項5】前記弾性部材は、少なくとも前記読取センサ側の面が前記原稿の地肌部分と区別可能な所定の色あるいは模様に施されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2000−13556(P2000−13556A)
【公開日】平成12年1月14日(2000.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−193686
【出願日】平成10年6月24日(1998.6.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】