説明

調光データ記録再生装置及び照明制御システム

【課題】記録した調光データの再利用を容易にすることができる調光データ記録再生装置を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態に係る調光データ記録再生装置は、所定の形式で伝送される調光データを入力する入力部と;前記入力部に入力された前記調光データを記録する記録部と;前記記録部に記録された調光データの再生速度の変更を指示する再生速度変更指示部と;前記再生速度変更指示部で指示された再生速度に基づいて、前記調光データの再生速度を変更する再生速度変更部と;前記再生速度が変更された調光データを前記所定の形式で出力する出力部と;を有することを特徴する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ホールや劇場等の照明に用いる調光データを記録及び再生を行う調光データ記録再生装置及び照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ホールまたは劇場等の屋内施設、あるいは景観照明等の屋外施設には、照明制御システムが設置されている。この種の照明制御システムは、屋内施設に配置した複数の照明負荷と、これら複数の照明負荷のうち、調光すべき照明負荷を所望の明るさの調光状態に操作するための調光操作卓と、この調光操作卓の操作に基づき、対応する照明負荷の調光を制御する調光制御盤とを有して構成される。
【0003】
調光操作卓の操作内容に基づく調光データの伝送は、例えば、DMX512(1990)(米国劇場技術協会(USITT)規格)の規格に沿った形式で行われる。即ち、専門家が調光操作卓を操作することで得られる複雑な照明演出用の調光データは、時間単位でDMX512(1990)の通信プロトコルに従って、DMX信号として調光制御盤に伝送される。
【0004】
また、近年では、シーン再生を行うために、調光操作卓から調光制御盤に伝送されるDMX信号の記録及び再生を行うための記録再生装置が採用されている。この記録再生装置は、調光操作卓と調光制御盤との間に設けられ、調光操作卓から伝送されるDMX信号を記録する。そして、記録再生装置は、シーン再生を行う場合、記録したDMX信号を調光制御盤に伝送することで、専門家でなくとも高度な照明演出を再現することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】URL:http://mana-pro.com/so1308.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の記録再生装置は、伝送されていた調光データを記録及び再生することしかできず、演出のタイミングの変更、即ち、調光データの編集ができない。つまり、従来の記録再生装置で記録された調光データは、演出等の変更があった際に再利用することができない。このように、従来の記録再生装置は、記録した調光データの再利用が難しいという問題があった。
【0007】
本発明の実施形態は上述した事情に鑑みてなされたもので、記録した調光データの再利用を容易にすることができる調光データ記録再生装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に係る調光データ記録再生装置は、所定の形式で伝送される調光データを入力する入力部と;前記入力部に入力された前記調光データを記録する記録部と;前記記録部に記録された調光データの再生速度の変更を指示する再生速度変更指示部と;前記再生速度変更指示部で指示された再生速度に基づいて、前記調光データの再生速度を変更する再生速度変更部と;前記再生速度が変更された調光データを前記所定の形式で出力する出力部と;を有することを特徴する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、記録した調光データの再利用を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態に係る調光データ記録再生装置を有する照明制御システムの構成を示す図である。
【図2】記録した調光データを再生する際の照明制御システムの構成を示す図である。
【図3】調光データ記録再生装置の内部構成を説明するための図である。
【図4】操作入力部のフェーダ操作部について説明するための図である。
【図5】調光データの再生処理の流れの例を示すフローチャートである。
【図6】ステップS6の再生速度変更処理の流れの例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る実施形態の調光データ記録再生装置は、所定の形式で伝送される調光データを入力する入力部と;前記入力部に入力された前記調光データを記録する記録部と;前記記録部に記録された調光データの再生速度の変更を指示する再生速度変更指示部と;前記再生速度変更指示部で指示された再生速度に基づいて、前記調光データの再生速度を変更する再生速度変更部と;前記再生速度が変更された調光データを前記所定の形式で出力する出力部と;を有することを特徴する。
【0012】
このような構成によれば、記録した調光データの再利用を容易にすることができる。
【0013】
本発明に係る実施形態の調光データ記録再生装置は、前記再生速度変更部を、前記再生速度変更指示部により前記再生速度を遅くするスロー再生が指示された場合、前記調光データの連続する2つのパケットデータの調光レベルが所定のレベル以上変化するか否かを判定し、前記所定のレベル以上変化したと判定すると、前記連続する2つのパケットデータのうち、先のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータを前記連続する2つのパケットデータの間に追加し、前記所定のレベル以上変化しないと判定すると、前記連続する2つのパケットデータの調光レベルの中間の調光レベルのパケットデータを前記連続する2つのパケットデータの間に追加するように構成することができる。
【0014】
このような構成によれば、フェードインあるいはフェードアウト等の演出を記録された元の調光データに近い、自然な照明演出にすることが可能となる。
【0015】
また、本実施形態において、パケットデータは、例えば、DMX信号の1周期分のデータであり、512バイトのデータにより構成、具体的には、それぞれが8ビットのデータを有する512個のチャンネルにより構成される。
【0016】
本発明に係る実施形態の調光データ記録再生装置は、前記再生速度変更部を、前記再生速度変更指示部により前記再生速度を速くする早送り再生が指示された場合、前記早送り再生の速度に応じて、前記調光データのパケットデータを間引くように構成することができる。
【0017】
このような構成によれば、フェードインあるいはフェードアウト等の演出を記録された元の調光データに近い、自然な照明演出にすることが可能となる。
【0018】
本発明に係る実施形態の照明制御システムは、複数の照明負荷と;前記複数の照明負荷を所望の明るさの調光状態にするための調光データを所定の形式で伝送する調光操作卓と;前記所定の形式で伝送される前記調光データを入力する入力部と、前記入力部に入力された前記調光データを記録する記録部と、前記記録部に記録された調光データの再生速度の変更を指示する再生速度変更指示部と、前記再生速度変更指示部で指示された再生速度に基づいて、前記調光データの再生速度を変更する再生速度変更部と、前記再生速度が変更された調光データを前記所定の形式で出力する出力部とを有する調光データ記録再生装置と;前記調光データ記録再生装置から出力された前記再生速度が変更された調光データに基づいて、前記複数の照明負荷に供給する調光信号を生成し、前記複数の照明負荷に出力する調光制御盤と;を有することを特徴とする。
【0019】
このような構成によれば、記録した調光データの再利用を容易にすることができる。
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
まず、図1及び図2に基づき、本発明の実施の形態に係る調光データ記録再生装置を有する照明制御システムの構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る調光データ記録再生装置を有する照明制御システムの構成を示す図であり、図2は、記録した調光データを再生する際の照明制御システムの構成を示す図である。
【0023】
図1に示すように、照明制御システム1は、ホールまたは劇場等の屋内施設に配置されるシステムであって、調光操作卓2と、調光データ記録再生装置3と、調光制御盤4と、複数の照明負荷5a〜5nと、DMXケーブル6a及び6bとを有して構成されている。
【0024】
調光データ記録再生装置3は、DMXケーブル入力コネクタ(以下、単に入力コネクタという)11と、DMXケーブル出力コネクタ(以下、単に出力コネクタという)12と、操作入力部13と有して構成されている。
【0025】
調光操作卓2は、照明負荷5a〜5nを所望の明るさの調光状態に操作するための操作器であり、操作者の操作に応じた調光操作信号(以下、調光データともいう)を、DMXケーブル6aを介して調光データ記録再生装置3に伝送する。例えば、この調光データの伝送は、DMX512(1990)(米国劇場技術協会(USITT)規格)の規格に沿った形式で行われる。
【0026】
調光データ記録再生装置3は、入力コネクタ11を介して、調光操作卓2からの調光データを受け取り、後述する記録部15(図3参照)に記録する。また、調光データ記録再生装置3は、記録した調光データを出力コネクタ12及びDMXケーブル6bを介して調光制御盤4に伝送する。この調光データの伝送も、DMX512の規格に沿った形式で行われる。
【0027】
操作入力部13は、このような調光データの記録の開始及び終了を指示するための記録ボタン、及び、記録した調光データの再生の開始及び終了を指示するための再生ボタンを有する。また、操作入力部13は、調光データを記録する際に、チャプタ分けを指示するためのチャプタ分けボタン、及び、チャプタ分けされた調光データを再生する際に、チャプタを選択するためのチャプタ選択ボタンを有する。
【0028】
さらに。操作入力部13は、記録した調光データを再生する際に、調光データの変更、例えば、逆再生を行うための逆再生ボタン、早送り再生またはスロー再生を行うためのフェーダ操作部13a(図4参照)等を有する。なお、これらの記録及び再生処理については、後述する図3及び図4を用いて詳細に説明する。
【0029】
調光制御盤4は、調光データ記録再生装置3から伝送された調光データに基づき、照明負荷5a〜5nに供給する調光信号を生成する。調光制御盤4により生成される調光信号は、例えば、それぞれ調光率に応じて定められたデューティ比の異なるPWM信号として照明負荷5a〜5nに出力される。
【0030】
照明負荷5a〜5nは、例えば、LED(Light Emitting Diode)照明器具またはFL(Fluorescent Lamp)照明器具等であり、それぞれ、調光制御盤4からの調光信号に応じた明るさで照明する。
【0031】
DMXケーブル6aは、入力コネクタ11と着脱自在に構成され、DMXケーブル6bは、出力コネクタ12と着脱自在に構成されている。即ち、調光データ記録再生装置3は、調光操作卓2及び調光制御盤4と着脱自在に構成されている。
【0032】
例えば、調光データ記録再生装置3は、記録した調光データを再生する場合、図2に示すように、DMXケーブル6bを介して調光制御盤4のみと接続する構成にしてもよい。また、調光データ記録再生装置3は、調光操作卓2からの調光データを記録する場合、DMXケーブル6aを介して調光操作卓2のみと接続する構成にしてもよい。さらに、調光データ記録再生装置3は、調光データの記録及び再生を行わない場合、調光操作卓2及び調光制御盤4から切り離す構成にしてもよい。これにより、操作者は、調光データ記録再生装置3を他の屋内施設等に持ち運び、その屋内施設等で記録した調光データの再生を行うことができる。
【0033】
ここで、調光データ記録再生装置3での調光データの記録及び再生処理について、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、調光データ記録再生装置の内部構成を説明するための図であり、図4は、操作入力部のフェーダ操作部について説明するための図である。
【0034】
図3に示すように、調光データ記録再生装置3は、入力コネクタ11、出力コネクタ12及び操作入力部13に加え、演算部14と、記録部15と有して構成されている。
【0035】
演算部14には、入力コネクタ11を介して、調光操作卓2からの調光データが入力される。演算部14は、操作入力部13の記録ボタンが押下されると、入力コネクタ11から入力される調光データをパケットデータ単位で連続的に記録部15に記録する。演算部14は、もう一度、操作入力部13の記録ボタンが押下されると、調光データの記録を停止する。なお、記録ボタンを2度押下することにより、記録の開始と終了を切り換えているが、記録ボタンは、記録の開始を指示する記録開始ボタンと、記録の終了を指示する記録終了ボタンとに分ける構成にしてもよい。また、演算部14は、調光データの記録中に操作入力部13のチャプタ分けボタンが押下されると、記録している調光データにチャプタを追加して記録する。
【0036】
演算部14は、操作入力部13の再生ボタンが押下されると、記録部15に記録されている調光データから対応する調光データのパケットデータを順次読み出し、出力コネクタ12に出力する。この調光データは、DMXケーブル6bを介して、調光制御盤4に伝送される。演算部14は、もう一度、操作入力部13の再生ボタンが押下されると、調光データの読み出し、即ち、再生を停止する。なお、再生ボタンも記録ボタンと同様に、再生の開始を指示する再生開始ボタンと、再生の終了を指示する再生終了ボタンとに分ける構成にしてもよい。また、演算部14は、調光データの再生中に操作入力部13のチャプタ選択ボタンが押下されると、選択されたチャプタの調光データの再生を行う。
【0037】
演算部14は、操作入力部13の逆再生ボタンが押下されると、記録部15から読み出した連続したパケットデータの順番を反転し、出力コネクタ12に出力する。演算部14は、例えば、読み出したパケットデータがパケットデータA,B,C,Dの順番の場合、パケットデータD,C,B,Aの順番で出力コネクタ12に出力する。これにより、例えば、照明負荷5a〜5nが、例えばインテリジェントライトであれば、このインテリジェントライトの水平方向及び垂直方向の動作を逆再生することで、明かりの軌跡を簡単に反転することができる。
【0038】
操作入力部13は、図4に示すような、再生スピード、即ち、再生速度の変更を指示するためのフェーダ操作部13aを有している。操作者は、再生速度変更指示部としてのフェーダ操作部13aを操作することにより、記録された調光データの再生速度を変更することができる。操作入力部13は、フェーダ操作部13aの操作位置の情報を演算部14に出力する。
【0039】
演算部14は、フェーダ操作部13aが0の位置に操作されると、通常の速度の再生を行う。また、演算部14は、フェーダ操作部13aが+方向に操作されると、操作位置に応じて再生速度を速くする早送り再生を行い、−方向に操作されると、操作位置に応じて再生速度を遅くするスロー再生を行う。このように、演算部14は、フェーダ操作部13aの操作に応じて、再生する調光データの再生速度を変更する再生速度変更部を構成する。
【0040】
本実施の形態では、演算部14は、図4において、フェーダ操作部13aが最大の+10の位置に操作された場合、2倍の早送り再生を行い、フェーダ操作部13aが最小の−10の位置に操作された場合、1/2倍のスロー再生を行う。なお、再生速度は、最大で2倍の早送り再生及び1/2倍のスロー再生としているが、これらの再生速度に限定されるものではない。
【0041】
演算部14は、フェーダ操作部13aにより再生速度の変更が指示された場合、フェーダ操作部13aの操作位置の情報に基づき、再生速度を算出する。そして、演算部14は、記録部15から読み出した調光データを算出した再生速度の調光データに変更し、出力コネクタ12に出力する。
【0042】
演算部14は、フェーダ操作部13aにより、例えば2倍の早送り再生が指示された場合、連続するパケットデータA,B,C,Dの奇数番目のパケットデータ、ここでは、パケットデータA及びCを間引く処理を行う。なお、間引くパケットデータは、偶数番目、ここでは、パケットデータB及びDであってもよい。
【0043】
また、演算部14は、フェーダ操作部13aにより、例えば1/2倍のスロー再生が指示された場合、連続する2つのパケットデータの調光レベルが所定のレベル以上変化があるか否かを判定する。なお、演算部14は、連続する2つのパケットデータの調光レベルが、例えば、60%以上変化した場合、所定のレベル以上変化があると判定し、60%以上変化しない(60%未満)場合、所定のレベル以上変化がないと判定する。
【0044】
演算部14は、所定のレベル以上の変化がないと判定した場合、連続する2つのパケットデータの調光レベルの中間の調光レベルを検出し、検出した中間の調光レベルのパケットデータを連続する2つのパケットデータの間に追加する。例えば、連続する2つのパケットデータA及びBの調光レベルが、それぞれ60%及び70%の場合、演算部14は、中間の調光レベルである65%のパケットデータを、パケットデータA及びBの間に追加する。
【0045】
また、演算部14は、所定のレベル以上の変化があると判定した場合、連続する2つのパケットデータのうち、先のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータを、連続する2つのパケットデータの間に追加する。例えば、連続する2つのパケットデータB及びCの調光レベルが、それぞれ70%及び0%の場合、演算部14は、70%の調光レベルのパケットデータを、パケットデータB及びCの間に追加する。なお、連続する2つのパケットデータのうち、先のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータを追加しているが、後のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータを追加するようにしてもよい。
【0046】
連続する2つのパケットデータの調光レベルが、所定のレベル以上変化する場合は、明るいところから一気に暗くする等の照明演出の可能性が高いため、中間の調光レベルのパケットデータを追加せず、先のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータを追加するようになっている。また、連続する2つのパケットデータの調光レベルが、所定のレベル以上変化しない場合は、徐々に明るさを変更する等の照明演出の可能性が高いため、照明演出を滑らかにするように、中間の調光レベルのパケットデータを追加するようになっている。
【0047】
このように、調光データ記録再生装置3は、調光データの通常再生だけでなく、逆再生ボタン、及び、フェーダ操作部13aの操作により、それぞれ、逆再生、及び、早送りまたはスロー再生を行うことができる。なお、調光データ記録再生装置3は、操作入力部13の逆再生ボタンと、フェーダ操作部13aとを組み合わせて操作することにより、逆早送り再生または逆スロー再生を行うようにしてもよい。
【0048】
次に、このように構成された調光データ記録再生装置3の動作について説明する。
【0049】
図5は、調光データの再生処理の流れの例を示すフローチャートである。なお、図5の処理は、演算部14によって実行されるものである。
【0050】
まず、再生指示があったか否かが判定される(ステップS1)。再生指示がないと判定された場合、NOとなり、ステップS1に戻り、同様の処理を繰り返す。一方、再生指示があると判定された場合、YESとなり、対応する調光データが読み出される(ステップS2)。次に、逆再生か否かが判定される(ステップS3)。逆再生であると判定された場合、YESとなり、読み出された調光データのパケットデータが並び替えられ(ステップS4)、ステップS5に進む、一方、逆再生でないと判定された場合、NOとなり、ステップS5に進む。
【0051】
次に、再生速度が変更されたか否かが判定される(ステップS5)。再生速度が変更されたと判定された場合、YESとなり、再生速度変更処理が実行され(ステップS6)、ステップS7に進む。なお、ステップS6の再生速度変更処理については、図6を用いて詳細に説明する。一方、再生速度が変更されていない場合、NOとなり、ステップS7に進む。最後に、調光制御盤4に調光データが出力され(ステップS7)、処理を終了する。
【0052】
図6は、ステップS6の再生速度変更処理の流れの例を示すフローチャートである。
【0053】
まず、ステップS6の再生速度変更処理では、早送り再生か否かが判定される(ステップS11)。早送り再生と判定された場合、YESとなり、フェーダ操作部13aの操作位置から早送り再生の再生速度が検出される(ステップS12)。そして、検出された再生速度に応じた早送り再生処理が実行され(ステップS13)、処理を終了する。この早送り再生処理は、上述したように、再生速度に応じてパケットデータを間引く処理を行う。
【0054】
一方、ステップS11において、早送り再生でないと判定された場合(ステップS11:NO)、スロー再生と判定され、フェーダ操作部13aの操作位置からスロー再生の再生速度が検出される(ステップS14)。次に、連続する2つのパケットデータの調光レベルが所定のレベル以上変化したか否かが判定される(ステップS15)。所定のレベル以上変化したと判定された場合、YESとなり、先のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータが、連続する2つのパケットデータの間に追加され(ステップS16)、処理を終了する。一方、所定のレベル以上変化しないと判定された場合、NOとなり、中間の調光レベルのパケットデータが、連続する2つのパケットデータの間に追加され(ステップS17)、処理を終了する。この再生速度変更処理が終了すると、ステップS7において、調光制御盤4に調光データが出力される。
【0055】
以上のように、調光データ記録再生装置3は、操作入力部13に設けられた逆再生ボタンの操作により、記録された調光データを逆再生するようにした。また、調光データ記録再生装置3は、操作入力部13に設けられたフェーダ操作部13aの操作により、記録された調光データの再生速度を変更できるようにした。この結果、演出等が変更された際にも、記録された調光データを変更された演出等に応じて変更することができる。
【0056】
よって、本実施の形態の調光データ記録再生装置3によれば、記録した調光データの再利用を容易にすることができる。
【0057】
また、調光データ記録再生装置3は、スロー再生を行う場合、連続する2つのパケットデータの調光レベルが所定のレベル以上変化があるか否かにより、処理を変更するようにした。さらに、調光データ記録再生装置3は、早送り再生を行う場合、早送り再生の速度に応じて、調光データのパケットデータを間引くようにした。
【0058】
これにより、調光データ記録再生装置3は、スロー再生及び早送り再生時に、フェードインあるいはフェードアウト等の演出を記録された元の調光データに近い、自然な照明演出にすることができる。
【0059】
なお、本明細書における各フローチャート中の各ステップは、その性質に反しない限り、実行順序を変更し、複数同時に実行し、あるいは実行毎に異なった順序で実行してもよい。
【0060】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0061】
1…照明制御システム、2…調光操作卓、3…調光データ記録再生装置、4…調光制御盤、5a〜5n…照明負荷、6a,6b…DMXケーブル、11…入力コネクタ、12…出力コネクタ、13…操作入力部、13a…フェーダ操作部、14…演算部、15…記録部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の形式で伝送される調光データを入力する入力部と;
前記入力部に入力された前記調光データを記録する記録部と;
前記記録部に記録された調光データの再生速度の変更を指示する再生速度変更指示部と;
前記再生速度変更指示部で指示された再生速度に基づいて、前記調光データの再生速度を変更する再生速度変更部と;
前記再生速度が変更された調光データを前記所定の形式で出力する出力部と;
を有することを特徴する調光データ記録再生装置。
【請求項2】
前記再生速度変更部は、前記再生速度変更指示部により前記再生速度を遅くするスロー再生が指示された場合、前記調光データの連続する2つのパケットデータの調光レベルが所定のレベル以上変化するか否かを判定し、前記所定のレベル以上変化したと判定すると、前記連続する2つのパケットデータのうち、先のパケットデータと同等の調光レベルのパケットデータを前記連続する2つのパケットデータの間に追加し、前記所定のレベル以上変化しないと判定すると、前記連続する2つのパケットデータの調光レベルの中間の調光レベルのパケットデータを前記連続する2つのパケットデータの間に追加することを特徴とする請求項1に記載の調光データ記録再生装置。
【請求項3】
前記再生速度変更部は、前記再生速度変更指示部により前記再生速度を速くする早送り再生が指示された場合、前記早送り再生の速度に応じて、前記調光データのパケットデータを間引くことを特徴とする請求項1に記載の調光データ記録再生装置。
【請求項4】
複数の照明負荷と;
前記複数の照明負荷を所望の明るさの調光状態にするための調光データを所定の形式で伝送する調光操作卓と;
前記所定の形式で伝送される前記調光データを入力する入力部と、前記入力部に入力された前記調光データを記録する記録部と、前記記録部に記録された調光データの再生速度の変更を指示する再生速度変更指示部と、前記再生速度変更指示部で指示された再生速度に基づいて、前記調光データの再生速度を変更する再生速度変更部と、前記再生速度が変更された調光データを前記所定の形式で出力する出力部とを有する調光データ記録再生装置と;
前記調光データ記録再生装置から出力された前記再生速度が変更された調光データに基づいて、前記複数の照明負荷に供給する調光信号を生成し、前記複数の照明負荷に出力する調光制御盤と;
を有することを特徴とする照明制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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