説明

調味食品及び調味食品の製造方法

【課題】各種の料理のかくし味として手軽に利用することができるとともに、玉葱本来の食感や甘味に加えて、調理時に玉葱の表面を被覆する薄力粉が溶け出して、料理にとろみをつけ加えることができ、しかも、玉葱の内部に浸透させたバターが溶け出して、味わいに深みをつけ加えることができ、料理の味を一段と向上させることができる調味食品を提供すること。
【解決手段】本発明では、調味食品において、破砕した玉葱の内部にバターを浸透させるとともに、玉葱の表面を薄力粉で被覆することにした。この調味食品は、破砕した玉葱の内部に加熱溶融したバターを浸透させた後に、薄力粉を混入し、その後、乾燥させることにより製造することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調味食品に関するものであり、特に、玉葱を主原料とする調味食品及び調味食品の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、玉葱は、各種の料理の材料として広く利用されているばかりでなく、その食感や風味の良さから、各種の料理のかくし味(調味料)として多用されている(たとえば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−161310号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、玉葱をかくし味として利用する場合には、各種料理のほかに玉葱も調理する必要があり、手軽に料理のかくし味として利用することができなかった。
【0004】
また、玉葱だけでは、各種料理に食感や甘味を添加することができても、とろみや味わいに欠け、各種料理のよさを存分に引き出すには至らないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、請求項1に係る本発明では、調味食品において、破砕した玉葱の内部にバターを浸透させるとともに、玉葱の表面を薄力粉で被覆することにした。
【0006】
また、請求項2に係る本発明では、調味食品の製造方法において、破砕した玉葱の内部に加熱溶融したバターを浸透させた後に、薄力粉を混入し、その後、乾燥させることにした。
【0007】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記乾燥中に撹拌破砕することにした。
【0008】
また、請求項4に係る本発明では、前記請求項2又は請求項3に係る本発明において、前記乾燥後に粉砕することにした。
【発明の効果】
【0009】
そして、本発明に係る調味食品では、破砕した玉葱の内部にバターを浸透させるとともに、玉葱の表面を薄力粉で被覆することにしているために、各種の料理のかくし味として手軽に利用することができる。
【0010】
また、本発明に係る調味食品では、玉葱本来の食感や甘味に加えて、調理時に玉葱の表面を被覆する薄力粉が溶け出して、料理にとろみをつけ加えることができ、しかも、玉葱の内部に浸透させたバターが溶け出して、味わいに深みをつけ加えることができ、料理の味を一段と向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る調味食品は、破砕した玉葱の内部にバターを浸透させるとともに、玉葱の表面を薄力粉で被覆した粒状又は粉状のものである。
【0012】
この調味食品は、玉葱の甘味や薄力粉のとろみやバターの味わいが相俟って各種の料理のよさを引き出すことができるものであり、餃子やお好み焼きやハンバーグやスープなどの和食、洋食、中華を問わずに幅広く料理のかくし味(調味料)として利用することができるものである。
【0013】
この調味食品は、玉葱を主原料とし、バターや薄力粉を用いて、以下に説明するようにして製造することができる。
【0014】
まず、椀型の容器を加熱し、この容器の中に油10cc程度を入れ、さらに、バター150g程度を入れて、バターを溶かす。
【0015】
次に、加熱した状態のまま容器の中に破砕した玉葱1Kg程度を入れ、約5分程度の時間をかけて溶けたバターと玉葱とを撹拌混合して混ぜ合わせる。
【0016】
これにより、溶けたバターが玉葱の繊維内部に入り込むことになり、玉葱の内部にバターを浸透させることができる。
【0017】
次に、容器の中に薄力粉330g程度(玉葱の重量に対して約1/3程度)を入れ、約5分程度の時間をかけて玉葱と薄力粉とを撹拌混合して混ぜ合わせる。
【0018】
これにより、加熱された玉葱から水分が蒸発するとともに、蒸発した水分で薄力粉を溶かし、玉葱の表面に付着する。
【0019】
次に、浅底広板状の容器に上記調理後の玉葱を広げ、約100℃の温度で約2時間程度の時間をかけて玉葱の内部の水分を蒸発させて乾燥させる。
【0020】
このときに、約15分間隔で、表面がきつね色に焼けたことを確認し、玉葱を破砕しながら撹拌する。
【0021】
なお、乾燥は、玉葱の内部の水分を蒸発させることができればよく、連続して撹拌しながら強火で短時間で乾燥させてもよい。
【0022】
以上のようにして、破砕した玉葱の内部にバターが浸透し、玉葱の表面が薄力粉で被覆された数ミリサイズの粒状の調味食品を製造することができる。
【0023】
この調味食品は、玉葱と薄力粉とバターとの原料重量比が6:2:1程度が好ましいが、好みに応じてそれぞれの比率を異ならせてもよい。
【0024】
この粒状の調味食品は、そのままでも各種の料理のかくし味として利用することができるが、さらに、粒状の調味食品を粉砕して粉状の調味食品とすることもできる。
【0025】
このように、上記調味食品は、粒状又は粉状の調味食品であるために、この調味食品を幅広い分野の各種料理のかくし味として手軽に利用することができる。
【0026】
また、上記調味食品は、破砕した玉葱の内部にバターを浸透させるとともに、玉葱の表面を薄力粉で被覆しているために、玉葱本来の食感や甘味に加えて、調理時に玉葱の表面を被覆する薄力粉が溶け出して、料理にとろみをつけ加えることができ、しかも、玉葱の内部に浸透させたバターが溶け出して、味わいに深みをつけ加えることができ、料理の味を一段と向上させることができる。
【0027】
特に、玉葱の表面を薄力粉で被覆することで、玉葱の内部に浸透したバターが逃げ出さず、バターによる味付けができるようになっている。
【0028】
そして、上記調味食品は、破砕した玉葱の内部に加熱溶融したバターを浸透させた後に、薄力粉を混入し、その後、乾燥させるだけで製造することができ、特別な調理設備を必要とすることなく容易に製造することができる。
【0029】
特に、乾燥中に撹拌破砕することによって、玉葱の内部の水分を十分に蒸発させることができるとともに、玉葱同士の付着を防止することができ、調味食品として利用しやすいサイズに仕上ることができる。
【0030】
また、乾燥後に粉砕することによって、粉末状の調味食品とすることができ、様々な料理のかくし味として幅広く利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
破砕した玉葱の内部にバターを浸透させるとともに、玉葱の表面を薄力粉で被覆したことを特徴とする調味食品。
【請求項2】
破砕した玉葱の内部に加熱溶融したバターを浸透させた後に、薄力粉を混入し、その後、乾燥させることを特徴とする調味食品の製造方法。
【請求項3】
前記乾燥中に撹拌破砕することを特徴とする請求項2に記載の調味食品の製造方法。
【請求項4】
前記乾燥後に粉砕することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の調味食品の製造方法。