説明

調律表示器、調律表示方法、調律表示プログラム及びその記録媒体

【課題】ある音の高さと所定の基準音の高さのずれ及び一致を自然な形で視覚的に表現するための技術を提供する。
【解決手段】基本周波数抽出部1が、入力された音の基本周波数を抽出する。基準音決定部2が、入力された音に最も近い基準音を選択する。指標算出部3が、上記抽出された基本周波数を用いて、入力された音の高さと基準音の高さの近さを表す指標を算出する。変調周波数決定部4が、その指標を用いて、入力された音の高さと基準音の高さが近いほど低い周波数を有する変調周波数を決定する。輝度制御部5が、入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、そうでない場合には変調周波数で発光素子6の輝度を変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、楽器の音の高さと所定の基準音の高さが一致しているかどうかをLED等の発光手段を用いて表示する調律表示器、調律表示方法、調律表示プログラム及びその記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
楽器の音の高さと所定の基準音の高さが一致しているかどうかをLED等の発光手段を用いて表示する電子的な調律器が提案されている。例えば、楽器の音の高さと所定の基準音の高さのずれを測定して、ずれが所定の範囲内である場合には発光手段を静止点灯させ、ずれが所定の範囲外である場合には、ずれが大きいほど発光手段を速く点滅させ、また、プラス方向にずれている場合の発光手段の発光色と、マイナス方向にずれている場合の発光手段の発光色を異ならせる調律器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−99034号公報
【特許文献2】特開平8−50484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
周波数が近い2つの音を同時に鳴らすと、その2つの音の周波数の差の周波数で第3の音が鳴っているように聞こえる「うなり」という現象が知られている。音楽家は、調律対象となる楽器の音と、音叉等を用いて鳴らした基準音とを同時に鳴らすことによって生じるうなりを聞き取ることにより調律を行っていた。すなわち、生じるうなりが小さくなるように、または、うなりが生じないように、微調整を繰り返すことにより、楽器の調律を行っていた。
背景技術に記載した電子的な調律器は、このうなりを聞き取ることによる調律方法を考慮していない。このため、上記した電子的な調律器の使い勝手は必ずしも良くないという問題があった。
【0004】
この発明は、自然な調律を可能とする調律表示器、調律表示方法、調律表示プログラム及びその記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
基本周波数抽出手段が、入力された音の基本周波数を抽出する。指標算出手段が、抽出された基本周波数を用いて入力された音の高さと所定の基準音の高さの近さを表す指標を算出する。変調周波数決定手段が、算出された音の近さを表す指標を用いて、入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど低い周波数を有する変調周波数を決定する。輝度制御手段が、入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光手段を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、そうでない場合には決定された変調周波数で発光手段の輝度を変化させる。
【発明の効果】
【0006】
入力された音の高さと基準音の高さが異なる場合に、その高さの違いを視覚的にうなりで表現することにより自然な調律を可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[第一実施例]
図1、2を参照して本発明の第一実施例による調律表示器100について説明をする。図1は、調律表示器100の機能構成を例示する図である。図2は、調律表示器100の処理例を示すフローチャートである。
【0008】
<ステップS1>
基本周波数抽出部1に調律の対象となる楽器から発せられた音が入力される。図示していない、マイクロホンによって収音された音が基本周波数抽出部1に直接入力されてもよいし、マイクロホンによって収音された音が任意の記憶手段に一度記憶され、その記憶手段から読み出された音が基本周波数抽出部1に入力されてもよい。また、音増幅器によって増幅された音が入力されてもよい。
基本周波数抽出部1は、入力された音の基本周波数を抽出する(ステップS1)。抽出された基本周波数は、基準音決定部2と指標算出部3に送られる。基本周波数を抽出する手法は任意である。
【0009】
<ステップS2>
基準音決定部2は、抽出された基本周波数に最も近い周波数を持つ音階音を選択する(ステップS2)。以下、選択された音階音のことを基準音と呼ぶ。基準音に関する情報は、指標算出部3と音名表示制御部7に送られる。
音名表示制御部7は、基準音に関する情報を用いて、7seg等の音名表示器8にその基準音が表示されるように制御する。
【0010】
<ステップS3>
指標算出部3は、入力された音の基本周波数と基準音に関する情報とを用いて、入力された音の高さと基準音の高さの近さを表す指標を算出する(ステップS3)。この例では、その指標として、入力された音の基本周波数と基準音の周波数との周波数差(diff_freq)を用いる。すなわち、指標算出部3は、入力された音の周波数と基準音の周波数との周波数差(例えば、入力された音の基本周波数から基準音の周波数を引いた値)を求めて、変調周波数決定部4に送る。
【0011】
<ステップS4>
変調周波数決定部4は、指標算出部3が算出した指標(この例では、周波数差)を用いて、入力された音の高さと基準音の高さが近いほど低い変調周波数(mod_freq)を決定する(ステップS5)。決定された変調周波数は輝度制御部5に送られる。例えば、広義単調増加関数fに、周波数差の絶対値を入力することにより変調周波数を求める。広義単調増加関数fとは、条件:x1≦x2ならばf(x1)≦f(x2)、を満たす関数y=f(x)のことである。周波数差をdiff_freq、変調周波数をmod_freqとした場合の、広義単調増加関数fの例を図3に示す。図3A〜Dに例示するように、関数fは、周波数差が0又は0に近いときに、変調周波数=0とする関数である。
【0012】
この関数fは、基準音に応じて異なっていてもよい。例えば、基準音が高ければ高いほど、関数fの増加率が小さい広義単調増加関数fを用いる。これにより、基準音が高ければ高いほど、入力された音の高さと基準音の高さの差が少し変わるだけで変調周波数が急激に変化する現象を防ぐことができる。
図3において、fmaxは、変調周波数の最大値である。例えば、fmaxを、人間が輝度の変化を感じることができる周波数を超えないようにする。例えば、fmax=300Hz〜500Hzとする。fmaxが人間が輝度の変化を感じることができる周波数を超えていると、変調周波数がある一定以上高くなると、発光素子が常に点灯しているように人間には見える場合が生じる。fmaxを、人間が輝度の変化を感じることができる周波数を超えないようにすることにより、fmax以下のすべての範囲の変調周波数における輝度の変化を人間が感じることが可能となり、変調周波数の変化を有効に用いることができる。
【0013】
<ステップS5>
輝度制御部5は、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6の輝度を変化させる。この例では、変調周波数が0であれば、発光素子6を最大輝度で点灯させる。また、変調周波数が0でなければ、発光素子6の輝度をその変調周波数で変化させる。上記したように、関数fは、周波数差が0又は0に近いときに変調周波数=0となる。周波数差がどの程度0に近いときに変調周波数=0とするのかという点について関数fを変化させることにより、入力された音の高さと基準音の高さがどの程度近い場合に発光素子6を所定の輝度以上の輝度で点灯させるのかを自由に定めることができる。
【0014】
上記の処理により図4に例示するように、ピッチ誤差に対して輝度を変化させることができる。ここで、図4を含む図面、本明細書、本特許請求の範囲において、一致とは、完全な一致ではなく、原則としてある程度の幅がある一致のことを意味する。例えば、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合(例えば、入力された音の高さと基準音の高さの差異が−3セント〜+3セント等の場合)には、入力された音の高さと基準音の高さが一致しているとする。もちろん、「一致」が、文脈によっては「完全な一致」を意味する場合がある。
このように、入力された音の高さと基準音の高さが異なる場合に、その高さの違いを視覚的にうなりで表現することにより自然に調律を行うことができる。
【0015】
[第二実施例]
本発明による第二実施例の調律表示器は、輝度制御部5Aが、平均輝度決定部51と振幅決定部52と制御部53とを備え、制御部53が、平均輝度決定部51が決定した平均輝度と、振幅決定部52が決定した振幅と、変調周波数決定部4が決定した変調周波数とに基づいて輝度制御を行う点で、第一実施例の調律表示器100とは異なる。他の点については、第一実施例と同様であるため重複説明を省略する。以下、図5を参照して、第一実施例と異なる部分である輝度制御部5Aについてのみ説明をする。
【0016】
図5に例示するように、輝度制御部5Aは、例えば、平均輝度決定部51と振幅決定部52と制御部53を備える。輝度制御部5Aには、変調周波数決定部4が決定した変調周波数が入力される。
【0017】
平均輝度決定部51は、入力された音の高さと基準音の高さが近いほど高い平均輝度を決定する。例えば、変調周波数決定部4が決定した変調周波数を広義単調減少関数gに入力した場合の出力を平均輝度とする。広義単調減少関数gとは、条件:x1≦x2ならばg(x1)≧f(x2)、を満たす関数y=g(x)のことである。変調周波数をmod_freqとした場合の広義単調減少関数gの例を図6に示す。図6A〜Dにおいて、fmaxは変調周波数の上限を、bmaxは最大輝度を意味する。このように、広義単調減少関数gは、例えば、周波数差が0または0に近い場合に、所定の輝度(例えば、最大輝度)を出力する関数である。
【0018】
振幅決定部52は、入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど小さい振幅を決定する。例えば、変調周波数決定部4が決定した変調周波数を広義単調増加関数g’に入力した場合の出力を振幅とする。
制御部53は、平均輝度決定部51が決定した平均輝度を中心として、かつ、振幅決定部52が決定した振幅と変調周波数決定部4が決定した変調周波数とに基づいて、発光素子6の輝度を制御する。
【0019】
第二実施例では、入力された音の高さと基準音の高さ近いほど、発光素子6の輝度(平均輝度)は高くなり、輝度の変化幅(振幅)が小さくなる。したがって、第二実施例によっても、輝度制御部5Aは、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6の輝度を変化させることができる。
【0020】
第二実施例の調律表示器は、入力された音の高さが基準音の高さに近づくにつれて、発光素子6が連続的に変化するため、より自然に調律を行うことができるというメリットがある。
入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近くなった場合の、平均輝度が最大輝度、振幅が0とそれぞれなるように、関数g、g’を定めることにより、図7に例示したように、入力された音の高さと基準音の高さに応じて発光素子の輝度を変化させることができる。
【0021】
なお、第二実施例において、振幅決定部52は必ずしも必要ではない。振幅決定部52は設けずに、平均輝度決定部51を設けて、入力された音の高さが基準音の高さに近いほど発光素子6の輝度(平均輝度)を高くするという上述の処理を行うことによっても、輝度制御部5Aは、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6の輝度を変化させることができる。
【0022】
[第三実施例]
第三実施例による調律表示器は、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とが異なる実施例である。後述する第一発光素子61、第二発光素子62という発光色が異なる2つの発光素子の輝度をそれぞれ制御することにより、発光素子の発光色を適宜変化させる。
【0023】
第三実施例による調律表示器は、図8に例示するように、発光色決定部9をさらに備え、発光素子6Aは、第一発光素子61、第二発光素子62という発光色が異なる2つの発光素子を備え、輝度制御部5Bは、これら2つの発光素子の輝度を制御するための第一輝度制御部54、第二輝度制御部55を備える点で、第一実施例、第二実施例による調律表示器とは異なる。他の点については、第一実施例、第二実施例による調律表示器と同様であるため重複説明を省略する。
【0024】
指標算出部3が算出した指標(この例では、入力された音と基準音の周波数差)は、変調周波数決定部4と、発光色決定部9とにそれぞれ入力される。
変調周波数決定部4は、指標算出部3が算出した指標を用いて、第一実施例で説明した方法と同様の方法により、変調周波数を決定して、輝度制御部5Bに送る。すなわち、指標算出部3が算出した指標を用いて、入力された音の高さと基準音の高さが近いほど低い変調周波数を決定する。
【0025】
発光色決定部9は、指標算出部3が算出した指標を用いて、発光素子6Aの発光色を定めるための情報(発光色情報)を決定して、その発光色情報を輝度制御部5Bに送る。図9を参照して、発光色決定部9の処理の流れの具体例を説明する。図9は、発光色決定部9の処理の流れを例示するフローチャートである。
【0026】
<ステップS61>
発光色決定部9は、フラグG_flg=0とする(ステップS61)。
<ステップS62>
発光色決定部9の判定部91は、入力された音の高さと基準音の高さとが一致しているか、または、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いかどうかを判定する(ステップS62)。例えば、指標が周波数差(入力された音の基本周波数−基準音の周波数)である場合には、周波数差をdiff_freqとし、入力された音の高さと基準音の高さの所定の近さをaとすると、diff_freq≦aであるか否かが判断される。
【0027】
<ステップS63>
入力された音の高さと基準音の高さとが一致している、または、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いと判定された場合には、発光色決定部9は、フラグG_flg=1として、このフラグG_flg=1を発光色情報として輝度制御部5Bに送る(ステップS63)。
【0028】
入力された音の高さと基準音の高さとが一致している、または、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いと判定されなかった場合には、発光色決定部9は、フラグG_flg=0として、このフラグG_flg=0を発光色情報として輝度制御部5Bに送る。
輝度制御部5Bの第一輝度制御部54は、変調周波数決定部4が決定した変調周波数に基づいて、第一発光素子61の輝度を制御する。例えば、変調周波数が0であれば、第一発光素子61を消灯させる。また、変調周波数が0でなければ、第一発光素子61の輝度をその変調周波数で変化させる。
【0029】
輝度制御部5Bの第二輝度制御部55は、発光色情報であるフラグG_flgの値に基づいて、第二発光素子62の輝度を制御する。例えば、G_flg=0であれば第二発光素子62を消灯し、G_flg=1であれば第二発光素子62を所定の輝度で点灯させる。
これにより、例えば、第一発光素子61の発光色を赤、第二発光素子62の発光色を緑とすると、図10に例示するように、入力された音の高さと基準音の高さに応じて発光素子の輝度及び発光色を変えることができる。
【0030】
第三実施例による調律表示器によれば、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、一致していない場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音の高さと基準音の高さが一致しているかどうかを判別しやすい。また、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音が基準音に対して、高い方にずれているのか、低い方にずれているのかを判別しやすい。
【0031】
なお、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合の発光素子の発光色のみを異ならせて、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とを同じにしてもよい。
このためには、例えば、発光色決定部9が常時、フラグG_flg=1として、このフラグG_flg=1を発光色情報として輝度制御手段に送ってもよい。
また、発光色決定部9が、上記ステップS62に代えて、図9に点線で例示するステップS62’の処理を行ってもよい。
【0032】
具体的には、発光色決定部9の判定部91は、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも近いかどうかを判定する(ステップS62’)。例えば、周波数差をdiff_freqとし、入力された音の高さと基準音の高さの所定の近さをaとすると、|diff_freq|≦aであるか否かが判断される。
【0033】
入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも近いと判定された場合には、発光色決定部9は、フラグG_flg=1として、このフラグG_flg=1を発光色情報として輝度制御部5Bに送る(ステップS63)。
入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも近いと判定されなかった場合には、発光色決定部9は、フラグG_flg=0の値を変更せずに、このフラグG_flg=0を発光色情報として輝度制御部5Bに送る。
【0034】
[第四実施例]
第四実施例による調律表示器は、第三実施例による調律表示器と同様に、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とが異なる実施例である。
【0035】
第四実施例による調律表示器は、図11に例示するように、発光色決定部9Bを備える。また、発光素子6Aは、第一発光素子61、第二発光素子62という発光色が異なる2つの発光素子を備える。また、輝度制御部5Cは、この2つの発光素子の輝度をそれぞれ制御する第一輝度制御部53、第二輝度制御部57、平均輝度決定部51、振幅決定部52を備える。第四実施例による調律表示器は、これらの点で第一実施例、第二実施例による調律表示器100とは異なる。他の点については第一実施例、第二実施例と同様であるため重複説明を省略する。
【0036】
指標算出部3により算出された指標は、変調周波数決定部4と発光色決定部9Bにそれぞれ入力される。
変調周波数決定部4は、指標算出部3が算出した指標を用いて、第一実施例で述べたのと同様の方法により変調周波数を決定して、輝度制御部5Cに送る。例えば、指標が周波数差である場合には、周波数差が大きければ大きいほど高い周波数を持つ変調周波数を決定する。
発光色決定部9Bは、指標算出部3が算出した指標を用いて、発光素子6Aの発光色に関する情報(発光色情報)を決定して、輝度制御部5Cに送る。図12を参照して、発光色決定部9Bの具体的な処理について説明をする。図12は、発光色決定部9Bの処理の流れを例示するフローチャートである。
【0037】
<ステップS612>
発光色決定部9Bの第一判定部92は、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも高いかどうかを判定する(ステップS612)。例えば、指標が周波数差(入力された音の基本周波数−基準音の周波数)である場合には、周波数差をdiff_freqとし、入力された音の高さと基準音の高さの所定の近さをaとすると、diff_freq≧aであるか否かが判断される。diff_freq>aであるか否かを判定してもよい。
【0038】
<ステップS613>
第一判定部92において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも高いと判定された場合には、発光色決定部9Bは、入力された音の高さは基準音の高さよりも高い旨の情報を発光色情報として、輝度制御部5Cに送る(ステップS613)。
【0039】
<ステップS614>
第一判定部92において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも高いと判定されなかった場合には、発光色決定部9Bの第二判定部93は、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いかどうかを判定する(ステップS614)。例えば、指標が周波数差(入力された音の基本周波数−基準音の周波数)である場合には、周波数差をdiff_freqとし、入力された音の高さと基準音の高さの所定の近さをaとすると、diff_freq≦−aであるか否かが判断される。diff_freq<−aであるか否かを判定してもよい。
【0040】
<ステップS615>
第二判定部93において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いと判定された場合には、発光色決定部9Bは、入力された音の高さは基準音の高さよりも低い旨の情報を発光色情報として、輝度制御部5Cに送る(ステップS615)。
【0041】
<ステップS616>
第二判定部93において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いと判定されなかった場合には、発光色決定部9Bは、入力された音の高さは基準音の高さと一致している旨の情報を発光色情報として輝度制御部5Cに送る(ステップS616)。
【0042】
輝度制御部5Cの平均輝度決定部51は、第二実施例の平均輝度決定部51と同様の方法により、入力された音の高さが基準音の高さと近いほど高い平均輝度を決定する。
輝度制御部5Cの振幅決定部52は、第二実施例の振幅決定部52と同様の方法により、入力された音の高さが基準音の高さと近いほど小さい振幅を決定する。
決定された平均輝度と振幅は、第一輝度制御部53、第二輝度制御部57に送られる。また、発光色情報を用いて、平均輝度と振幅を必要とする制御部のみに、決定された平均輝度と振幅を送ってもよい。
【0043】
第一輝度制御部53と第二輝度制御部57の処理は、3種類の発光色情報により異なる。以下、3種類の発光色情報ごとに場合分けをして、第一輝度制御部53と第二輝度制御部57の処理について説明をする。下記の説明において、平均輝度決定部51が決定した平均輝度を「平均輝度」と、振幅決定部52が決定した振幅を「振幅」、変調周波数決定部4が決定した変調周波数を「変調周波数」とそれぞれ略記する。
【0044】
〔入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合〕
第一輝度制御部53は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも高い旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第一発光素子61の輝度を制御する。
第二輝度制御部57は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも高い旨の情報である場合には、所定の輝度(例えば、最大輝度)で第二発光素子62を点灯する。入力された音の高さが基準音の高さよりも高いほど、低い輝度で第二発光素子62を点灯してもよい。
【0045】
〔入力された音の高さが基準音の高さと一致する場合〕
第一輝度制御部53は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さと一致する旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第一発光素子61の輝度を制御する。または、第一発光素子61を所定の輝度(最大輝度)で点灯させる。
第二輝度制御部57は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さと一致する旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第二発光素子62の輝度を制御する。または、第二発光素子62を所定の輝度(最大輝度)で点灯させる。
【0046】
〔入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合〕
第一輝度制御部53は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも低い旨の情報である場合には、所定の輝度(例えば、最大輝度)で第一発光素子61を点灯する。入力された音の高さが基準音の高さよりも低いほど、低い輝度で第一発光素子61を点灯してもよい。
第二輝度制御部57は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも低い旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第二発光素子62の輝度を制御する。
【0047】
第四実施例では、入力された音の高さと基準音の高さが近いほど、発光素子6の輝度(平均輝度)は高くなり、輝度の変化幅(振幅)が小さくなる。したがって、第四実施例によっても、輝度制御部5Cは、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6Aを所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6Aの輝度を変化させることができる。
第四実施例の調律表示器は、入力された音の高さが基準音の高さに近づくにつれて、発光素子6Aが連続的に変化するため、より自然に調律を行うことができるという第二実施例と同様のメリットがある。
【0048】
また、第四実施例による調律表示器によれば、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、一致していない場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音の高さと基準音の高さが一致しているかどうかを判別しやすい。また、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音が基準音に対して、高い方にずれているのか、低い方にずれているのかを判別しやすい。
【0049】
第一発光素子61の発光色を赤、第二発光素子62の発光色を緑として、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近くなった場合の、平均輝度が最大輝度、振幅が0とそれぞれなるように関数g、g’を定ることにより、図13A,Bに例示したように、入力された音の高さと基準音の高さに応じて発光素子の輝度を変化させることができる。
【0050】
なお、第四実施例においても、第二実施例と同様に、振幅決定部52は必ずしも必要ではない。振幅決定部52は設けずに、平均輝度決定部51を設けて、入力された音の高さが基準音の高さに近いほど発光素子6の輝度(平均輝度)を高くするという上述の処理を行うことによっても、輝度制御部5Cは、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6Aを所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6Aの輝度を変化させることができる。
【0051】
[第五実施例]
第五実施例による調律表示器は、発光色が異なる3つの第一発光素子61、第二発光素子62、第三発光素子63を用いて、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とを異ならせる実施例である。
【0052】
第五実施例による調律表示器は、図14に例示するように、発光色決定部9Aをさらに備え、発光素子6Bは、第一発光素子61、第二発光素子62、第三発光素子63という発光色が異なる3つの発光素子を備え、輝度制御部5Dは、これら3つの発光素子の輝度を制御するための第一輝度制御部54、第二輝度制御部55、第三輝度制御部56を備える点で、第一実施例、第二実施例による調律表示器とは異なる。他の点については、第一実施例、第二実施例による調律表示器と同様であるため重複説明を省略する。
【0053】
指標算出部3が算出した指標(この例では、入力された音と基準音の周波数差)は、変調周波数決定部4と、発光色決定部9とにそれぞれ入力される。
変調周波数決定部4は、指標算出部3が算出した指標を用いて、第一実施例で説明した方法と同様の方法により、変調周波数を決定して、輝度制御部5Dに送る。例えば、指標算出部3が算出した指標を用いて、入力された音の高さと基準音の高さが近いほど低い変調周波数を決定する。
【0054】
発光色決定部9Aは、指標算出部3が算出した指標を用いて、発光素子6Bの発光色を定めるための情報(発光色情報)を決定して、その発光色情報を輝度制御部5Dに送る。図15を参照して、発光色決定部9Aの具体的な処理を説明する。図15は、発光色決定部9Aの処理の流れを例示するフローチャートである。
<ステップS66>
発光色決定部9は、フラグR_flg=1、フラグB_flg=1とする(ステップS66)。
【0055】
<ステップS67>
発光色決定部9Aの第一判定部92は、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも高いかどうかを判定する(ステップS67)。例えば、指標が周波数差(入力された音の基本周波数−基準音の周波数)である場合には、周波数差をdiff_freqとし、入力された音の高さと基準音の高さの所定の近さをaとすると、diff_freq≧aであるか否かが判断される。diff_freq>aであるか否かを判定してもよい。
【0056】
<ステップS68>
第一判定部92において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも高いと判定された場合には、発光色決定部9は、フラグR_flg=0として、このフラグR_flg=0を第一発光色情報として輝度制御部5Dに送る(ステップS68)。また、この場合には、フラグB_flg=1の値は変えずに、このフラグB_flg=1を第二発光色情報として輝度制御部5Dに送る。
【0057】
<ステップS69>
第一判定部92において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも高いと判定されなかった場合には、発光色決定部9の第二判定部93は、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いかどうかを判定する(ステップS69)。例えば、指標が周波数差(入力された音の基本周波数−基準音の周波数)である場合には、周波数差をdiff_freqとし、入力された音の高さと基準音の高さの所定の近さをaとすると、diff_freq≦−aであるか否かが判断される。diff_freq<−aであるか否かを判定してもよい。
【0058】
<ステップS610>
第二判定部93において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いと判定された場合には、発光色決定部9は、フラグB_flg=0として、このフラグB_flg=0を第二発光色情報として輝度制御部5Dに送る(ステップS610)。また、この場合には、フラグR_flg=1の値を変更せずに、フラグR_flg=1を第一発光色情報として輝度制御部5Dに送る。
【0059】
第二判定部93において、入力された音の高さと基準音の高さとが所定の近さよりも遠く、かつ、入力された音の高さが基準音の高さよりも低いと判定されなかった場合には、フラグR_flg=1、フラグB_flg=1の値を変更せずに、フラグR_flg=1、フラグB_flg=1をそれぞれ第一発光色情報、第二発光色情報として輝度制御部5Dに送る。
輝度制御部5Dの第一輝度制御部54は、変調周波数決定部4が決定した変調周波数に基づいて、第一実施例の輝度制御部5と同様に、第一発光素子61の輝度を制御する。例えば、変調周波数が0であれば、第一発光素子61を所定の輝度(例えば、最大輝度)で点灯させる。また、変調周波数が0でなければ、第一発光素子61の輝度をその変調周波数で変化させる。
【0060】
輝度制御部5Dの第二輝度制御部55は、第一発光色情報であるフラグR_flgの値に基づいて、第二発光素子62の輝度を制御する。例えば、R_flg=0であれば第二発光素子62を消灯し、R_flg=1であれば第二発光素子62を所定の輝度(例えば、最大輝度)で点灯させる。
輝度制御部5Dの第三輝度制御部56は、第二発光色情報であるフラグB_flgの値に基づいて、第二発光素子62の輝度を制御する。例えば、B_flg=0であれば第三発光素子63を消灯し、B_flg=1であれば第三発光素子63を所定の輝度(例えば、最大輝度)で点灯させる。
【0061】
これにより、例えば、第一発光素子61の発光色を赤、第二発光素子62の発光色は緑、第三発光素子の発光色を青とすると、図16に例示するように、入力された音の高さと基準音の高さに応じて発光素子の輝度及び発光色を変えることができる。
第五実施例による調律表示器によれば、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、一致していない場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音の高さと基準音の高さが一致しているかどうかを判別しやすい。また、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音が基準音に対して、高い方にずれているのか、低い方にずれているのかを判別しやすい。
【0062】
[第六実施例]
第六実施例による調律表示器は、第五実施例による調律表示器と同様に、発光色が異なる3つの発光素子を用いて、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とを異ならせる実施例である。
【0063】
第六実施例による調律表示器は、図17に例示するように、発光色決定部9Bを備える。また、発光素子6Bは、第一発光素子61、第二発光素子62、第三発光素子63という発光色が異なる3つの発光素子を備える。また、輝度制御部5Eは、この3つの発光素子の輝度をそれぞれ制御する第一輝度制御部53、第二輝度制御部57、第三輝度制御部58、平均輝度決定部51、振幅決定部52を備える。第六実施例による調律表示器は、これらの点で第一実施例、第二実施例による調律表示器100とは異なる。他の点については第一実施例、第二実施例と同様であるため重複説明を省略する。
【0064】
指標算出部3により算出された指標は、変調周波数決定部4と発光色決定部9Bにそれぞれ入力される。
変調周波数決定部4は、指標算出部3が算出した指標を用いて、第一実施例で述べたのと同様の方法により変調周波数を決定して、輝度制御部5Eに送る。例えば、指標が周波数差である場合には、周波数差が大きければ大きいほど高い周波数を持つ変調周波数を決定する。
【0065】
発光色決定部9Bは、第四実施例で述べたのと同様の方法により、指標算出部3が算出した指標を用いて、発光素子6Aの発光色に関する情報(発光色情報)を決定して、輝度制御部5Eに送る。すなわち、発光色決定部9Bは、図12に例示した処理を行うことにより、入力された音の高さと基準音の高さに応じて、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い旨を表す情報、入力された音の高さと基準音の高さが一致する旨を表す情報、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い旨を表す情報の何れかの情報を輝度制御部5Eに送る。
【0066】
輝度制御部5Eの平均輝度決定部51は、第二実施例の平均輝度決定部51と同様の方法により、入力された音の高さが基準音の高さと近いほど高い平均輝度を決定する。
輝度制御部5Eの振幅決定部52は、第二実施例の振幅決定部52と同様の方法により、入力された音の高さが基準音の高さと近いほど小さい振幅を決定する。
決定された平均輝度と振幅は、第一輝度制御部53、第二輝度制御部57、第三輝度制御部58に送られる。また、発光色情報を用いて、平均輝度と振幅を必要とする制御部のみに、決定された平均輝度と振幅を送ってもよい。
【0067】
第一輝度制御部53、第二輝度制御部57、第三輝度制御部58の処理は、3種類の発光色情報により異なる。以下、3種類の発光色情報ごとに場合分けをして、第一輝度制御部53、第二輝度制御部57、第三輝度制御部58の処理について説明をする。下記の説明において、平均輝度決定部51が決定した平均輝度を「平均輝度」と、振幅決定部52が決定した振幅を「振幅」、変調周波数決定部4が決定した変調周波数を「変調周波数」とそれぞれ略記する。
第一輝度制御部53と第二輝度制御部57の処理は、第四実施例で述べた第一輝度制御部53と第二輝度制御部57の処理と同様である。3種類の発光色情報に応じて第三輝度制御部が下記の処理をする点で、第六実施例は第四実施例と異なる。
【0068】
〔入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合〕
第一輝度制御部53は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも高い旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第一発光素子61の輝度を制御する。
第二輝度制御部57は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも高い旨の情報である場合には、所定の輝度(例えば、最大輝度)で第二発光素子62を点灯する。入力された音の高さが基準音の高さよりも高いほど、低い輝度で第二発光素子62を点灯してもよい。
第三輝度制御部58は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも高い旨の情報である場合には、所定の輝度(例えば、最大輝度)で第三発光素子63を点灯する。入力された音の高さが基準音の高さよりも高いほど、低い輝度で第三発光素子63を点灯してもよい。
【0069】
〔入力された音の高さが基準音の高さと一致する場合〕
第一輝度制御部53は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さと一致する旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第一発光素子61の輝度を制御する。または、第一発光素子61を所定の輝度(例えば、最大輝度)で点灯させる。
第二輝度制御部57は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さと一致する旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第二発光素子62の輝度を制御する。または、第二発光素子62を所定の輝度(例えば、最大輝度)で点灯させる。
第三輝度制御部58は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さと一致する旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第三発光素子63の輝度を制御する。または、第三発光素子63を所定の輝度(例えば、最大輝度)で点灯させる。
【0070】
〔入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合〕
第一輝度制御部53は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも低い旨の情報である場合には、所定の輝度(例えば、最大輝度)で第一発光素子61を点灯する。入力された音の高さが基準音の高さよりも低いほど、低い輝度で第一発光素子61を点灯してもよい。
第二輝度制御部57は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも低い旨の情報である場合には、所定の輝度(例えば、最大輝度)で第二発光素子62を点灯する。入力された音の高さが基準音の高さよりも低いほど、低い輝度で第二発光素子62を点灯してもよい。
第三輝度制御部58は、発光色情報が入力された音の高さが基準音の高さよりも低い旨の情報である場合には、平均輝度を中心として、振幅と変調周波数とに基づいて、第三発光素子63の輝度を制御する。
【0071】
第六実施例では、入力された音の高さと基準音の高さ近いほど、発光素子6の輝度(平均輝度)は高くなり、輝度の変化幅(振幅)が小さくなる。したがって、第六実施例によっても、輝度制御部5Eは、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6Bを所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6Bの輝度を変化させることができる。
【0072】
第六実施例の調律表示器は、入力された音の高さが基準音の高さに近づくにつれて、発光素子6Aが連続的に変化するため、より自然に調律を行うことができるという第二実施例と同様のメリットがある。
【0073】
また、第六実施例による調律表示器によれば、入力された音の高さと基準音の高さが一致している場合の発光素子の発光色と、一致していない場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音の高さと基準音の高さが一致しているかどうかを判別しやすい。また、入力された音の高さが基準音の高さよりも高い場合の発光素子の発光色と、入力された音の高さが基準音の高さよりも低い場合の発光素子の発光色とが異なる。このため、入力された音が基準音に対して、高い方にずれているのか、低い方にずれているのかを判別しやすい。
【0074】
第一発光素子61の発光色を赤、第二発光素子62の発光色を緑、第三発光素子63のの発光色を青とし、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近くなった場合の、平均輝度が最大輝度、振幅が0とそれぞれなるように、関数g、g’を定めることにより、図18に例示したように、入力された音の高さと基準音の高さに応じて発光素子の輝度を変化させることができる。
【0075】
なお、第六実施例においても、第二実施例と同様に、振幅決定部52は必ずしも必要ではない。振幅決定部52は設けずに、平均輝度決定部51のみを設けて、入力された音の高さが基準音の高さに近いほど発光素子6の輝度(平均輝度)を高くするという上述の処理を行うことによっても、輝度制御部5Eは、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光素子6Bを所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、入力された音の高さと基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合には上記決定された変調周波数で発光素子6Bの輝度を変化させることができる。
【0076】
[変形例等]
本発明は、音だけではなく、周期的な信号についても適用することができる。すなわち、本発明により、入力された所定の信号の基本周波数の高さと、所定の基準周波数の高さの近さを視覚的にうなりで表現してもよい。
指標として、周波数差以外の任意の入力された音の高さと基準音の高さの近さを表す特徴量を用いることができる。例えば、セント等の周波数の比で表される特徴量を用いてもよい。
【0077】
変調周波数の代わりに、セント等の周波数の比で表される特徴量を用いてもよい。
平均輝度決定部51と振幅決定部52は変調周波数以外の特徴量を用いて、平均輝度と振幅を決定してもよい。すなわち、例えば、指標算出部3が算出した指標を用いて、平均輝度決定部51が入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど高い平均輝度を計算し、振幅決定部52が入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど小さい振幅を決定してもよい。
【0078】
基準音決定部2は必ずしも必要ではない。例えば、基準音受付部10を設けて、ユーザが任意の基準音を選択できるようにしてもよい。選択された基準音は、指標算出部3に入力されて、指標算出部3はその選択された基準音に基づいて指標を計算する。他の処理は上記実施例で述べたのと同様である。
【0079】
音名表示器7、音名表示器8は必ずしも必要ではない。
本発明による調律表示器は、それ単体として調律器として用いてもよいし、ギターアンプ等の電子音楽関連機器に設けてもよい。
上述の構成をコンピュータによって実現する場合、各装置が有すべき機能の処理内容はプログラムによって記述される。そして、このプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0080】
この処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等どのようなものでもよいが、具体的には、例えば、磁気記録装置として、ハードディスク装置、フレキシブルディスク、磁気テープ等を、光ディスクとして、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD
−R(Recordable)/RW(ReWritable)等を、光磁気記録媒体として、MO(Magneto-Optical disc)等を、半導体メモリとしてEEP−ROM(Electronically Erasable and Programmable-Read Only Memory)等を用いることができる。
【0081】
また、このプログラムの流通は、例えば、そのプログラムを記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体を販売、譲渡、貸与等することによって行う。さらに、このプログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することにより、このプログラムを流通させる構成としてもよい。
【0082】
また、上述した実施形態とは別の実行形態として、コンピュータが可搬型記録媒体から直接このプログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することとしてもよく、さらに、このコンピュータにサーバコンピュータからプログラムが転送されるたびに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することとしてもよい。また、サーバコンピュータから、このコンピュータへのプログラムの転送は行わず、その実行指示と結果取得のみによって処理機能を実現する、いわゆるASP(Application Service Provider)型のサービスによって、上述の処理を実行する構成としてもよい。なお、本形態におけるプログラムには、電子計算機による処理の用に供する情報であってプログラムに準ずるもの(コンピュータに対する直接の指令ではないがコンピュータの処理を規定する性質を有するデータ等)を含むものとする。
【0083】
また、この形態では、コンピュータ上で所定のプログラムを実行させることにより、本装置を構成することとしたが、これらの処理内容の少なくとも一部をハードウェア的に実現することとしてもよい。
また、上述の各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】第一実施例による調律表示器100の機能構成を例示する図。
【図2】本発明による調律表示器の処理の流れを例示するフローチャート。
【図3】周波数差と変調周波数の関係を例示する図。
【図4】第一実施例の調律表示器100の表示例。
【図5】第二実施例の輝度制御部5Aの機能構成を例示する図。
【図6】変調周波数と平均輝度の関係を例示する図。
【図7】第二実施例の調律表示器の表示例。
【図8】第三実施例の調律表示器の機能構成の一部を例示する図。
【図9】発光色決定部9の処理の流れを例示するフローチャート。
【図10】図10Aは、第三実施例の調律表示器の表示例。図10Bは、図10Aに示した表示を行うための各発光素子の表示例。
【図11】第四実施例の調律表示器の機能構成の一部を例示する図。
【図12】発光色決定部9Bの処理の流れを例示するフローチャート図。
【図13】図13Aは、第四実施例の調律表示器の表示例。図13Bは、図13Aに示した表示を行うための各発光素子の表示例。
【図14】第五実施例の調律表示器の機能構成の一部を例示する図。
【図15】発光色決定部9Aの処理の流れを例示するフローチャート図。
【図16】図16Aは、第五実施例の調律表示器の表示例。図16Bは、図16Aに示した表示を行うための各発光素子の表示例。
【図17】第六実施例の調律表示器の機能構成の一部を例示する図。
【図18】図18Aは、第六実施例の調律表示器の表示例。図18Bは、図18Aに示した表示を行うための各発光素子の表示例。
【符号の説明】
【0085】
1 基本周波数抽出部
2 基準音決定部
3 指標算出部
4 変調周波数決定部
5 輝度制御部
5A 輝度制御部
5B 輝度制御部
5C 輝度制御部
5D 輝度制御部
5E 輝度制御部
6 発光素子
6A 発光素子
6B 発光素子
7 音名表示制御部
8 音名表示器
9 発光色決定部
9A 発光色決定部
9B 発光色決定部
51 平均輝度決定部
52 振幅決定部
53 制御部
53 第一輝度制御部
54 第一輝度制御部
55 第二輝度制御部
56 第三輝度制御部
57 第二輝度制御部
58 第三輝度制御部
61 第一発光素子
62 第二発光素子
63 第三発光素子
91 判定部
92 第一判定部
93 第二判定部
100 調律表示器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光手段と、
入力された音の基本周波数を抽出する基本周波数抽出手段と、
上記抽出された基本周波数を用いて、入力された音の高さと所定の基準音の高さの近さを表す指標を算出する指標算出手段と、
上記算出された音の近さを表す指標を用いて、入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど低い周波数を有する変調周波数を決定する変調周波数決定手段と、
入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には上記発光手段を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、そうでない場合には上記決定された変調周波数で上記発光手段の輝度を変化させる輝度制御手段と、
を備える調律表示器。
【請求項2】
請求項1に記載の調律表示器において、
上記輝度制御手段は、入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど高い平均輝度を決定する平均輝度決定手段を備え、その決定された平均輝度を中心として、上記決定された変調周波数で上記発光手段の輝度を変化させる手段である、
ことを特徴とする調律表示器。
【請求項3】
請求項2に記載の調律表示器において、
上記輝度制御手段は、さらに、入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど小さい振幅を決定する振幅決定手段を備え、その決定された振幅に基づいて、かつ、上記決定された平均輝度を中心として、上記決定された変調周波数で上記発光手段の輝度を変化させる手段である、
ことを特徴とする調律表示器。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の調律器において、
入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも近い場合の上記発光手段の発光色と、入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも遠い場合の上記発光手段の発光色とが異なる、
ことを特徴とする調律表示器。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載の調律器において、
入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも遠いときに、入力された音の高さが所定の基準音の高さよりも高い場合の上記発光手段の発光色と、入力された音の高さが所定の基準音の高さよりも低い場合の上記発光手段の発光色とが異なる、
ことを特徴とする調律表示器。
【請求項6】
請求項1から5の何れかに記載の調律表示器において、
上記変調周波数決定手段によって決定される変調周波数の最大値は、人間が輝度の変化を感じることができる周波数を超えない、
ことを特徴とする調律表示器。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の調律表示器において、
上記抽出された基本周波数を用いて、入力された音に最も近い音階音を選択して、その選択された音階音を上記所定の基準音とする基準音決定手段、
を備えることを特徴とする調律表示器。
【請求項8】
入力された音の基本周波数を抽出する基本周波数抽出ステップと、
上記抽出された基本周波数を用いて、入力された音の高さと所定の基準音の高さの近さを表す指標を算出する指標算出ステップと、
上記算出された音の近さを表す指標を用いて、入力された音の高さと所定の基準音の高さが近いほど低い周波数を有する変調周波数を決定する変調周波数決定ステップと、
入力された音の高さと所定の基準音の高さが所定の近さよりも近い場合には発光手段を所定の輝度以上の輝度で点灯させると共に、そうでない場合には上記決定された変調周波数で発光手段の輝度を変化させる輝度制御ステップと、
を備える調律表示方法。
【請求項9】
請求項1から7の何れかに記載の調律表示器の各手段としてコンピュータを機能させるための調律表示プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の調律表示プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−86443(P2009−86443A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−257645(P2007−257645)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【出願人】(000130329)株式会社コルグ (111)
【Fターム(参考)】