説明

調理器具

【目的】一般に広く使われている調理器具に削り部材を備える事によって、調理器具の数を徒らに増す事なしに、茹で卵の殻をむき易くすること。
【構成】調理バサミ等の調理器具の所定位置に卵の殻のほんの一部を削り取る削り部材3(4)を備える。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は調理バサミ、皮むき器などの調理器具の所定位置に卵の殻のほんの一部を削り取る削り部材を備えたものに係わり、それにより卵を茹でた時の殻をむき易くしたものに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に茹で卵の殻はむき難く、従って茹で上った卵を水に浸して冷却し、殻を割ってむく様にしているが、それでも新鮮な卵の殻は難かしく、特に半熟卵の殻などは卵白の部分が殻と一緒に剥れて、なかなかきれいにむけない。この対策として卵の殻に予め小さな穴を開けておく器具(卵の長手方向には大きく丸まった部分と小さく丸まった部分とがあるが、前者の頂部に穴を開ける)が商品化されているが、この様なちょっとした小物までいちいち揃える家庭は少ない。
【発明が解決しようとする問題点】
【0003】
本発明の目的は、調理バサミ等の一般に広く使われている調理器具に卵の殻のほんの一部を削って取る削り部材を備える事によって、調理器具の数を徒らに増す事なしに茹で卵の殻をむき易くしようとする事である。
【問題点を解決する為の手段】
【0004】
本発明は上記目的を達成する為、調理バサミ等の調理器具の所定位置に卵の殻のほんの一部を削り取る細かな凹凸を有する削り部材を備る様に構成した。
【実施例】
【0005】
図1は本発明による調理器具の一実施例で、先ず図1(イ)において調理器具の所定位置に(調理バサミの柄2の部分に)卵の殻のほんの一部を削り取る細かな凹凸を有する削り部材3を備えている。削り部材3は硬くて錆びに強い材料(焼入れ硬化したステンレス鋼)で作られたヤスリの様なもので、先端部は丸みがあり、鋭利なものではない(触れても安全である)。削り部材としては、図1(イ)の削り部材3の他に図1(ロ)の細かなギザギザを有する削り部材4も考えられ、この他、細かな凹凸を有する焼結材料の様なものでも良い(いずれも触れても安全なものとする)。使い方は卵を一方の手に持ち、もう一方の手で調理バサミを持って(Dの部分を握って)卵の殻の表面に削り部材3を押し付けて押し動かし、図2(イ)の様な傷aをつける。この時、卵殻膜を破らない程度の深さに傷aをつけるのであるが、もし削り部材3の高さhを卵の殻の厚さを越えない高さとしておけば、その恐れはなくなる。削り部材3には勾配部3′が形成されているから、少し力を入れて調理バサミを押し動かせば、一度で傷aをつける事が出来る(もちろんゴリゴリと細かく前後に動かして傷aをつけても良い、傷aは図2(ロ)の様に卵の長手方向の大きく丸まった部分の頂部につけても良く(図2(ロ)は図2(イ)の卵をを上方から見た図に相当する)、この場合、少し深く切り込んで(もちろん、高さhはそれが可能となる高さとする)傷a′の中央部に穴が開く様にしておく(この部分には空気室があるから、殻が破れても卵殻膜は破れず、卵の中身は流出して来ない)。尚、図1(イ)A矢視図において削り部材3を図3(イ)の様に幅広の平ヤスリの様な削り部材8にすると、この部分で卵の殻を削り取って図2(ハ)の様な小さい円形の傷bをつける事が出来(穴は開けない)、長手方向の大きく丸まった卵の部分の頂部を削ると、図2(ニ)の様な小さい円形の傷b′をつける事が出来る(傷b′の中央部に穴が開く様に少し深く削り込む)。以上の様に削り部材により卵の殻に傷a(b)をつけて茹でると、内圧や殻の各部に熱膨張による差が出て熱ひずみが発生し、傷a(b)を起点としてピキーッと卵の殻が大きく割れ(但し、卵殻膜がある為、中身の流出はない)、この部分から湯が殻の内側に浸入する為、卵の殻がむき易くなる。図2(ロ)、(ニ)の傷a′,b′の場合はこれを起点として卵の殻が割れる事はないが、小さな穴が既に開いている為、同様に湯が殻の内側に浸入して殻がむき易くなるのである。削り部材により卵の殻に傷をつける場合は図2(ロ)、(ニ)の様に卵の長手方向の大きく丸まった部分の頂部につけた方が、卵の殻が割れる事はないから、卵の中身の流出は皆無であり、望ましい。尚、削り部材3はBで示す間、Cで示す間に備えても良い。図1(ロ)は刃1(背の部分)に削り部材4を備えたもので、刃1がセラミック製の場合は非常に硬く、有利である。次に図1(ハ)は調理器具として薄切り刃5を有する皮むき器に本発明を実施したもので、削り部材3を所定位置に(図では薄切り刃5を支持する支持枠6に)備えており、使い方は既に説明した通りである。削り部材3はもちろん図1(ニ)の如く柄7に備える事が出来る。薄切り刃5は回動自在であるが、固定されているものもある。図3(ロ)は調理器具として薄切り刃5と櫛刃9とを有する細切り器に本発明を実施したもの、図3(ハ)は包丁に、図3(ニ)は卵の白身と黄身とを分離する黄身取り器に各々本発明を実施したもので、10,12は削り部材で、使用法は既に説明した通りである(11は白身が流出する流出孔である)。図3(ホ)は卵茹で器に本発明を実施したもので(穴13に卵を入れて鍋などの中に入れ、茹でる)。削り部材14が備えられ、卵を手に持って削り部材14にこすり付け、殻のほんの一部を削り取って、傷をつけるものである。
【0006】
一般に茹で卵を作る際、茹でる途中での殻割れを防ぐ為(殻割れは余り起らないが、起ると稀に卵の中身が流出して来る事がある)、茹で上った卵の殻をむき易くする等の為に、針の様なもので殻に小穴を開ける(卵の長手方向の大きく丸まった部分の頂点に穴を開ける)事があり、この為の商品も市販されている。しかしながらこれをわざわざ購入しなくても、調理バサミや皮むき器などの一般に多く使われている調理器具により卵の殻に小穴を開ける事が出来れば、経済的であり、調理器具の数を徒らに増さずに済む。図4はこの様な目的を達成しようとしたもので、先ず図4(イ)において薄切り刃5を有する皮むき器において、その所定位置に卵の殻に小穴を開ける針状部材15を備えている。この場合、卵の長手方向の大きく丸まった部分の頂部に穴を開けるのであり、卵殻膜はもちろん破らない、針状突起15は薄切り刃5を支持する支持枠6の薄切り刃5と対向する部分16(斜面になっている)に備えるのが良く、支持枠6の内側に備えられているから、安全である。使い方は針状部材15に卵の殻を押し付けるか、又は卵の殻に針状部材15を押し付けるかして穴を開けるのである。この場合、薄切り刃5に加えて櫛刃を備えて細切り器とする事があるが(図3(ロ)参照)、この細切り器にも同様に針状部材15を備える事が出来る。尚、薄切り刃5は食材の表面に合わせて回動可能なものであるが、図4(ロ)の如く固定された薄切り刃5′を有する皮むき器にも針状部材15を備える事が出来る。図4(ハ)は調理バサミに針状突起15を備えたもので、その囲りには安全の為、ガード部材17が設けられている。使い方は卵を手に持って針状部材15に押し付け、穴を開けるのである。
【0007】
うずらの卵などの小さな卵は殻が薄く、割ろうとしても細かくひびがは入るだけで、安全ガラスの様になかなか破れず、卵の中身を取り出し難い。
その為、図5(イ)の様な卵の殻を刃物で切断する卵割り器が考えられているが、高価である。そこでもっと安価なものが欲しいところであり、その為、図5(ロ)において(E方向から見た図5(ハ)も参照)プレート18に刃19が備えられ、プレート18上に卵を押し付けて押し動かし、図5(ニ)の様に卵の長手方向のほぼ中央に(卵の長手方向の大きく丸まった部分の方に寄せた位置でも良い)刃19により切り目を入れるのである。20は安全具で、必要不可欠なものではないが、卵を穴21に入れてプレート18上に押し付け、刃19により卵の殻を切る時に指先に刃19が触れる事はないから、安全である(指先で卵を持って刃19に向かって押し動かす)。安全具20は溝22に嵌り込む部分を有し、溝22を案内としてスムーズに移動する様になっている。以上により図5(ニ)の様に切り目を入れたら(卵の中身は流出しない)、この近傍の部分Fを指で押せば(切り目の長さが小さい時はF′の部分も押す)窪みが出来るから、この窪みに指先を当てて図5(ホ)の如く切り目を開く様に卵を折り曲げると、この切り目が起点となって容易に卵の殻がきれいに破れ、中身を取り出す事が出来る(切り目の深さは浅いものであるから、黄身を切って形を崩す事はない)。刃19の他の形状を図5(ヘ),(ト)に示す。図5(チ)は穴23を有する回動片25と刃24を有する回動片26とから成る卵割り器で、薄肉部を回動中心に回動片25,26は回動可能であり(回動軸を備え、これを中心に回動させても良い)、卵の長手方向の大きく丸まった部分を穴23に入れ、刃24により卵の殻を切断する(回動片25,26を指で互いに接近させる如く押す)。次に図5(リ)に示す卵割り器は卵を収める窪み28を有する回動体27と刃30を有する回動体29とから成るもので、回動体27,29は薄肉部31を回動中心に回動可能であり、柄を持って窪み28に卵を入れ(窪み28の形状については上方から見た図5(ヌ)を参照)、回動体27,29を卵を挟む様に指で押すと刃30により卵の殻に図5(ニ)の如く切り目を入れる事が出来る。従って、図5(ホ)の如く容易に卵の中身を取り出す事が出来る。尚、回動体27,29は図5(ル)の如く回動軸32を回動中心に回動させても良い。以上、図5(ロ),(チ),(リ)に示す卵割り器は図5(イ)に較べ高価で加工がやっかいなステンレス製の部分は僅かであり(刃19,24,30のみ)、他の部分は合成樹脂製であって成形が容易であるから、低コストで製造する事が出来る。かつコンパクトである。
【0008】
図3(ホ)においては図3(へ)の如く卵の移動を案内する案内窪みを形成しておく事が望ましい。又、この部分を図3(ト)の如く別の部品としておいても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば削り部材3(4,8,10,12,14)により卵の殻のほんの一部を削り取って傷をつけたので殻の内側まで湯が浸入し、殻をむき易くする事が出来る。しかも前記削り部材は調理バサミや皮むき器等の一般に広く使われている調理器具に備えたので、卵の殻に穴を開ける専用の器具は不要であり、経済的で、徒らに調理器具の数を増す事がない。更には前記削り部材はヤスリの様なもので、触れても怪我せず、安全である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による調理器具の図。
【図2】卵の殻に傷をつけた図。
【図3】本発明による調理器具の各種実施例を示す図。
【図4】針状部材を備えた調理器具の図。
【図5】うずらの卵などの小さな卵の卵割り器の図。
【符号の説明】
1は刃,2は柄,3・4・8・10・12・14は削り部材,5は薄切り刃,6は支持枠,3′は勾配部,7は柄,9は櫛刃,11は流出孔,13は穴,15は針状部材,16は斜面,17はガード部材,18はプレート,19は刃,20は安全具,21は穴,22は溝,23は穴,24は刃,25・26は回動片,27・29は回動体,28は窪み,30は刃,31は薄肉部,32は回動軸である。5′は薄切り刃である。a・a′・b・b′は傷である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具として用いる調理バサミ、皮むき器などの調理器具において、前記調理器具の所定位置に卵の殻のほんの一部を削り取る細かな凹凸を有する削り部材を備えた事を特徴とする調理器具。
【請求項2】
調理器具が調理バサミである請求項1記載の調理器具。
【請求項3】
調理器具が薄切り刃を有する皮むき器である請求項1記載の調理器具。
【請求項4】
調理器具が卵茹で器である請求項1記載の調理器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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