説明

調節可能な導電性ポリマーナノ構造体

フッ化物とボロン酸部分、またはその塩を有するモノマーとを、酸性水溶液中および/または脂肪族アルコール中で反応させる工程を包含する、ポリマーの製造方法。重合は酸化剤の添加で起こる。この方法は、更に、0.5M HClを用いるポリマーの精製工程および/またはポリマーの溶媒への分散工程も包含する。このポリマーは、溶媒を変化させることによるモルホロジー調節性を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボロン酸部分を有する導電性ポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナノメートル長スケールの容易な合成並びに無機材料および有機材料ナノ構造体の寸法の制御は、独特のサイズ依存特性のために重要であり、ナノデバイス、例えば、電界効果トランジスタ[1]、センサー/アクチュエーターアレイ[2]、光電子デバイス[3]、およびバイオテクノロジー[4](例えば、医薬品用デリバリーエージェント(delivery agent))並びに触媒および分析システム[5]、における潜在用途に前途有望である。導電性ポリマーは、有機材料の独特のクラスであり、それらの電気、電子、磁気、および光学特性のためにナノ構造体材料のおよびデバイス合成のための前途有望な材料として現れている[6]。導電性ポリマーは、それらの圧倒的な構造上の多様性および柔軟性、低コスト、および合成容易性のため、化学的および生物学的検出および診断から、エネルギー変換および貯蔵、発光ディスプレイデバイス、触媒作用、ドラッグデリバリー、セパレーション(separation)、マイクロエレクトロニクス、および光学式記憶まで、多岐にわたる実用化の大きな見込みを提供する[6、7]。近年、薄膜およびナノワイヤーの形状の導電性ポリマーベース[8]のナノ構造体材料が、速く、安価で、かつ寸法的に適切なデバイスの創出のために、大いに注目を集めている[9]
【0003】
全ての導電性ポリマーの中で、ポリアニリン(PANi)が恐らく最も広く研究されている。なぜなら、ポリアニリンは、構造的柔軟性に由来する広範囲の調節可能な特性を有するからである。PANiのドーピングレベルは、酸/塩基脱ドーピングプロセスによって容易に制御され[10]、かつ高い導電性、良好な環境安定性および製造容易性を有する。PANiの様々なモルホロジーが様々な合成ルートまたは加工ルートによって得られた[11]。種々の形状および形態におけるPANiの低次元ナノ構造体(low dimensional nanostructures)、例えば、ナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ繊維、ナノシェル、およびナノチューブ、が製造された[12]。導電性PANiナノ構造体は、常套のバルク材料をマイクロ−およびナノ電子デバイス[13]、化学センサー[14]および生物学的センサー[15、16]に替える最有力候補である。なぜなら、導電性PANiナノ構造体が低次元有機導電体の特性と高表面積材料の特性とを兼ね合わせるからである。更に、PANiナノ構造体は、金属様かつ制御可能な導電性並びに熱安定性および環境安定性の両方を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PANi一次元(1−D)ナノ構造体の合成は、テンプレート[16〜18]、界面活性剤[19、20]、液晶[21]、チオール化シクロデキストリン[22]、多酸[23]、エレクトロスピニング[24]、機械的引張[25]、凝固媒体[26]、界面重合[12、14]、播種[27]および希釈重合(dilute polymerization)[28]を用いてアニリンを重合することによって化学的におよび電気化学的に行われてきた。ナノ構造体合成における全ての発展にかかわらず、PANiの加工性の限界が実際の潜在性に完全に達することを妨げ続けいている。特に、ますますサイズが小さくなっていることを特徴とするデバイスに対して、選択されたデバイス構造体上に正確にかつ自在にPANiを再現可能に一体化することが可能な実用的な方法への差し迫った要求がある。近年、Semancik等[13]は、PANiコロイド懸濁液が電気泳動的に適用される場合に卓越した加工性を有することを明らかにした。このポリマーの分散は、加工性を改良する別の興味深い方法である。PANiの水性分散体は、安定剤界面活性剤を使用し、[29]かつpHを制御する[30]ことによって、多くの研究グループによって研究されてきた。しかしながら、一般的な溶媒におけるPANiナノ構造体加工性はまだ達成されていない。
【0005】
芳香族ボロン酸は、ジオール部分を含む化合物、例えば、炭水化物、ビタミン、補酵素およびリボ核酸を可逆性エステル形成の間中高い親和力で結合することが知られている[31]。同様の反応を使用して、フッ化物の存在下における3−アミノフェニルボロン酸とD−フルクトースとの間のアニオン性ボロン酸エステル錯体の形成による、自己ドープポリ(アニリンボロン酸)(PABA)の化学的[32]および電気化学的[33]重合が達成された。ボロン酸とフッ化物との平衡反応は更に四面体アニオン性錯体を製造することが知られている[34]。これは酸性条件下における3−アミノフェニルボロン酸のフッ化物触媒重合のソース(source)である[35]。Fabreおよびその共働者[35]は、フッ化物の存在下において、PABAが酸性条件下における自己ドープポリマーであることを示唆している。同様に、芳香族ボロン酸は、脂肪族アルコールと可逆的に錯形成し、ボロン酸−アルコール錯体の平衡定数は、アルコールの立体サイズ(steric size)の増加と共に減少する(すなわち、メタノール>エタノール>1−プロパノールである。)[36]
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の要旨
本発明の一形態によると、フッ化物とボロン酸部分またはその塩を有するモノマーとを、酸性水溶液中および/または脂肪族アルコール中で反応させる工程;並びに酸化剤を用いて重合させる工程を包含する、ポリマーの製造方法が提供される。
【0007】
本発明の別の形態によると、本明細書において記述される方法によって製造されるポリマーが提供される。
【0008】
本発明の更なる形態によると、本明細書において記述される方法によって製造されるポリマーおよび溶媒を含有する分散体が提供される。
【0009】
図面の簡単な説明
本発明の典型的な態様を説明する添付の図面において:
図1は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散(40mg/L)されたポリ(アニリンボロン酸)(PABA)ナノ構造体を示す写真:(a)0.1M HCl、(b)メタノール、(c)エタノールおよび(d)1−プロパノール であり;
図2は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散(20mg/L)されたPABAナノ構造体の透過電子顕微鏡(TEM)画像:(a)0.1M HCl 2時間後、(b)メタノール2時間後、(c)エタノール5時間後および(d)1−プロパノール5時間後 であり;
図3は、(A)種々の溶媒中で製造されたPABAナノ構造体および(B)種々の溶媒からディップコーティングによって製造された薄膜 の紫外可視スペクトルであって、ここで、PABAナノ構造体は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散されている:(a)0.1M HCl(b)メタノール、(c)エタノール、(d)1−プロパノールおよび(e)「d」のpH7.4リン酸緩衝液(PBS)への一時間の暴露後;
図4は、ガラス状炭素電極上にコーティングされたPABAナノ構造体の0.5M HClにおけるサイクリックボルタモグラム(CV)であって、ここで、PABAナノ構造体は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に分散されている:(a)0.1M HCl(b)メタノール(c)エタノール、(d)1−プロパノール;
図5は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散されたPABAのフーリエ変換赤外減衰総反射吸収スペクトル:(a)0.1M HCl(b)メタノール(c)エタノール、(d)1−プロパノール であり、これらのサンプルは、乾燥され、スペクトルをドライパウダーからとった;
図6は、800nmにおいて紫外可視でモニターした3−アミノフェニルボロン酸(3−APBA)の(a)0.1M HCl(b)メタノール(c)エタノールおよび(d)1−プロパノールにおける重合速度論のグラフであり;
図7は、(a)メタノール中の10mM 3−APBAモノマー、(b)メタノール中の10mM 3−APBAモノマー+50mM NaF、(c)メタノール中で10mM 3−APBA+50mM NaF+10mM (NHを用いて重合時間2時間で製造されたPABAナノ構造体、(d)エタノール中で10mM 3−APBA+50mM NaF+10mM (NHを用いて重合時間4時間で製造されたPABAナノ構造体、(e)1−プロパノール中で10mM 3−APBA+50mM NaF+10mM (NHを用いて重合時間4時間で製造されたPABAナノ構造体の11B NMRスペクトルであり((c)〜(e)は重合条件下においてとった11B NMRスペクトルである。);
図8は、(a)0.1M HCl中2時間後、(b)メタノール中2時間後、(c)エタノール中5時間後および(d)1−プロパノール中5時間後における重合中のPABAナノ構造体のTEM画像であって、TEMサンプルが対応する溶媒中重合溶液を希釈することによって製造されたTEM画像であり;
図9は、(a)0.1M HCl、(b)メタノール、(c)エタノール中で製造され、1−プロパノール中に再分散されたPABAナノ構造体並びに(d)1−プロパノール中で製造され、メタノール中に再分散されたPABAナノ構造体のTEM画像であり;
図10は、(a)1−プロパノール中で製造され、1−プロパノール中に再分散されたPABAナノ構造体(b)0.5M HClで洗浄され、メタノール中に再分散された1−プロパノール分散体、および(c)0.5M HClで洗浄され、1−プロパノール中に再分散されたメタノール分散体 のTEM画像であり;かつ
図11は、種々の溶媒中に分散されたPABAナノ構造体の11B NMRスペクトルである。 ここで、PABAナノ構造体は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散された (a)メタノール(b)エタノール、および(c)1−プロパノール。
【0010】
発明の詳細な説明
本発明は、フッ化物とボロン酸部分、またはその塩を有するモノマーとを酸性水溶液中および/または脂肪族アルコール中で反応させる工程;並びに酸化剤を用いて重合する工程を包含する、ポリマーの製造方法に関する。
【0011】
ボロン酸部分を有するモノマーは、導電性ポリマーを形成可能ないずれのモノマーであってもよい。例えば、このモノマーは、芳香族ボロン酸またはその塩、例えば、ボロン酸置換アニリン、ピロールまたはチオフェン、であり得る。一態様において、ボロン酸部分を有するモノマーは、3−アミノフェニルボロン酸またはその塩であり、これは本発明の方法によってポリ(アニリンボロン酸)を生じる。
【0012】
フッ化物は、例えば、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、またはフッ化カリウムであり得る。
【0013】
脂肪族アルコールは、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、またはオクタノールであり得る。
【0014】
酸化剤は、例えば、過硫酸アンモニウム、塩化鉄、ヨウ化カリウム、重クロム酸カリウム、または過マンガン酸カリウムであり得る。
【0015】
この方法は、更に、ポリマーを、例えば、0.5M HClを用いる遠心分離によって、精製する工程および/または溶媒中でポリマーを分散する工程を包含し得る。
【0016】
ポリマーが分散される溶媒は、重合工程中使用される溶媒と同じ溶媒であっても同じ溶媒でなくてもよい。溶媒は、脂肪族アルコール、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、またはオクタノール、または水性酸、例えば0.1M HClであり得る。
【0017】
このポリマーのモルホロジーは、溶媒を変化させることによって調節可能である。モルホロジーは、例えば、ナノ粒子、ナノフィルム、ナノ繊維、または小球および繊維を含有する球状凝集物網状構造である。ドーピングメカニズムが、ポリ(アニリンボロン酸)、ポリ(ピロールボロン酸)およびポリ(チオフェンボロン酸)に対して同じであるので、ポリ(ピロールボロン酸)およびポリ(チオフェンボロン酸)のナノ構造体は、自己ドーピング対外部ドーピングをポリ(アニリンボロン酸)と同様に操作することによって形成され得る。
【0018】
ナノフィルムは、平滑均一透明コーティングである。
【0019】
ナノ粒子の粒度は、重合速度を変化させることによって調節可能である。粒度は、例えば、約2〜約20nm、約3〜約20nm、約4〜約20nm、約5〜約20nm、約6〜約20nm、約7〜約20nm、約8〜約20nm、約9〜約20nm、約10〜約20nm、約11〜約20nm、約12〜約20nm、約13〜約20nm、約14〜約20nm、約15〜約20nm、約16〜約20nm、約17〜約20nm、約18〜約20nm、約19〜約20nm、約2〜約19nm、約2〜約18nm、約2〜約17nm、約2〜約16nm、約2〜約15nm、約2〜約14nm、約2〜約13nm、約2〜約12nm、約2〜約11nm、約2〜約10nm、約2〜約9nm、約2〜約8nm、約2〜約7nm、約2〜約6nm、約2〜約5nm、約2〜約4nm、約2〜約3nm、約3〜約19nm、約4〜約18nm、約5〜約17nm、約6〜約16nm、約7〜約15nm、約8〜約14nm、約9〜約13nm、約10〜約12nm、約5〜約15nm、約2nm、約3nm、約4nm、約5nm、約6nm、約7nm、約8nm、約9nm、約10nm、約11nm、約12nm、約13nm、約14nm、約15nm、約16nm、約17nm、約18nm、約19nm、約20nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm、16nm、17nm、18nm、19nm、20nm、約2〜約100nm、約2〜約90nm、約2〜約80nm、約2〜約70nm、約2〜約60nm、約2〜約50nm、約2〜約40nm、約2〜約30nm、約10〜約100nm、約20〜約100nm、約30〜約100nm、約40〜約100nm、約50〜約100nm、約60〜約100nm、約70〜約100nm、約80〜約100nm、約90〜約100nm、約10〜約90nm、約20〜約80nm、約30〜約70nm、約40〜約60nm、約30nm、約40nm、約50nm、約60nm、約70nm、約80nm、約90nm、約100nm、30nm、40nm、50nm、60nm、70nm、80nm、90nm、または100nmである。
【0020】
球状凝集物網状構造の粒度は、重合速度を変化させることによって調節可能である。粒度は、例えば、約50〜約80nm、約55〜約80nm、約60〜約80nm、約65〜約80nm、約70〜約80nm、約75〜約80nm、約50〜約75nm、約50〜約70nm、約50〜約65nm、約50〜約60nm、約50〜約55nm、約55〜約75nm、約60〜約70nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、75nm、80nm、約50〜約500nm、約50〜約400nm、約50〜約300nm、約50〜約200nm、約50〜約100nm、約100〜約500nm、約200〜約500nm、約300〜約500nm、約400〜約500nm、約100〜約400nm、約200〜約300nm、約100nm、約200nm、約300nm、約400nm、約500nm、100nm、200nm、300nm、400nm、または500nmである。
【0021】
ナノ繊維は、例えば、直径15〜約70nm、約20〜約70nm、約25〜約70nm、約30〜約70nm、約35〜約70nm、約40〜約70nm、約45〜約70nm、約50〜約70nm、約55〜約70nm、約60〜約70nm、約65〜約70nm、約15〜約65nm、約15〜約60nm、約15〜約55nm、約15〜約50nm、約15〜約45nm、約15〜約40nm、約15〜約35nm、約15〜約30nm、約15〜約25nm、約15〜約20nm、約20〜約65nm、約25〜約60nm、約30〜約55nm、約35〜約50nm、約40〜約45nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm、50nm、55nm、60nm、65nm、70nm、15〜約200nm、15〜約150nm、15〜約100nm、50〜約200nm、100〜約200nm、150〜約200nm、50〜約150nm、約100nm、約150nm、約200nm、100nm、150nm、または200nmである。
【0022】
ナノ繊維の直径は、反応時間を変化させることによって調節可能である。反応時間は、例えば、約5〜約24時間、約6〜約24時間、約7〜約24時間、約8〜約24時間、約9〜約24時間、約10〜約24時間、約11〜約24時間、約12〜約24時間、約13〜約24時間、約14〜約24時間、約15〜約24時間、約16〜約24時間、約17〜約24時間、約18〜約24時間、約19〜約24時間、約20〜約24時間、約21〜約24時間、約22〜約24時間、約23〜約24時間、約5〜約23時間、約5〜約22時間、約5〜約21時間、約5〜約20時間、約5〜約19時間、約5〜約18時間、約5〜約17時間、約5〜約16時間、約5〜約15時間、約5〜約14時間、約5〜約13時間、約5〜約12時間、約5〜約11時間、約5〜約10時間、約5〜約9時間、約5〜約8時間、約5〜約7時間、約5〜約6時間、約6〜約23時間、約7〜約22時間、約8〜約21時間、約9〜約20時間、約10〜約19時間、約11〜約18時間、約12〜約17時間、約13〜約16時間、約14〜約15時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、または24時間である。
【0023】
ナノ繊維は、例えば、長さ約400nm〜約5.0μm、約1.0μm〜約5.0μm、約1.5μm〜約5.0μm、約2.0μm〜約5.0μm、約2.5μm〜約5.0μm、約3.0μm〜約5.0μm、約3.5μm〜約5.0μm、約4.0μm〜約5.0μm、約4.5μm〜約5.0μm、約400nm〜約4.5μm、約400nm〜約4.0μm、約400nm〜約3.5μm、400nm〜約3.0μm、約400nm〜約2.5μm、約400nm〜約2.0μm、約400nm〜約1.5μm、約400nm〜約1.0μm、約400nm、約1.0μm、約1.5μm、約2.0μm、約2.5μm、約3.0μm、約3.5μm、約4.0μm、約4.5μm、約5.0μm、500nm、1.0μm、1.5μm、2.0μm、2.5μm、3.0μm、3.5μm、4.0μm、4.5μmまたは5.0μmである。
【0024】
本明細書中に記載される方法によって製造されるポリマーは、電子デバイス、バッテリーまたはセンサーに使用され得る。
【0025】
本発明を、ボロン酸部分を有するモノマーが3−アミノフェニルボロン酸である態様に関して添付の図面を参照することによって記述する。
【0026】
3−アミノフェニルボロン酸塩酸塩、無水メタノールおよび1−プロパノールをAldrich Chemical Inc.から購入した。フッ化ナトリウムおよびpH7.4リン酸緩衝生理食塩水ストック溶液(10X)をFisher Scienctificから購入した。無水エタノールをCommercial Alcohols Inc.から購入した。バルク蒸留水を濾過し、次にMilli−Q−Academic A10TM(Millipore Corporation)を用いてイオン交換して品質18.2MΩ.cmの水を生じた。TEMフォルムバール−カーボン(formvar−carbon)コート銅グリッド(400メッシュ)をCanemco−Marivacから購入した。インジウムドープ酸化錫コートスライドガラス(ITO、6+2Ω/スクエア)をDelta Technologies Ltd.から購入した。
【0027】
PABAナノ構造体を、0.1M HCl 20mLおよび無水アルコール(メタノール、エタノールおよびプロパノール)中で10mM 3−アミノフェニルボロン酸(モノマー)および50mMフッ化ナトリウム(NaF)を用いて10mM過硫酸アンモニウム(酸化剤)を添加することによって合成した。モノマーとNaFおよび酸化剤を単独で粉砕し、次に酸化剤(粉砕パウダー)を、モノマーおよびNaFを含む溶液に一度に添加した。この混合物を室温で撹拌し、様々な溶媒中で様々な時間間隔で反応を行った。得られたPABAナノ構造体を沈殿させ、次に0.5M HClを用いる遠心分離によって精製した。最後に、生じるナノ構造体を、重合中使用された対応する溶媒ですすいで微量の水を取り除き、次に同じ溶媒中に再分散した。微量の水の除去後、ナノ構造体は溶媒中に容易に再分散された。
【0028】
3−アミノフェニルボロン酸から製造されるナノ構造体のモルホロジーをTransmission Electron Spectroscopy(JEOL JEM−2000FXTM)によって試験した。TEMサンプルを、精製生成物を希釈し、銅グリッド上に懸濁液をキャストすることによって製造した。Agilent 8453分光光度計を用いてナノ構造体溶液およびフィルムの紫外可視吸収スペクトルを得た。減衰全反射(ATR)アクセサリ(accessory)を備えるNexusTM870分光計(Thermo Nicolet Corporation)を用いてフーリエ変換−赤外(FT−IR)スペクトルを得た。半球状ゲルマニウム光学結晶および重水素化硫酸トリグリシンおよび熱電気冷却(DTGS TEC)検出器を用いてポリマーパウダーのFTIR−ATRスペクトルを収集した。百個のインターフェログラムを蓄積してスペクトル分解能8cm−1においてそれぞれのFTIR−ATRスペクトルを得た。CH Instrument CHI 660TMワークステーションを用いてサイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。CV試験において、白金ワイヤー(直径0.2mm)対電極、Ag/AgCl参照電極、および作用電極としてのガラス状炭素を含む三つの電極の配置を使用した。Bruker AMX 500 NMR分光計を用いて11B NMR調査を行った。サンプルは、10%メチル−d−アルコールを対応する重合溶媒中に添加することによって製造された。化学シフトを、参照としての三フッ化ホウ素エーテルに対して決定した。PABAナノ構造体分散体を用いるディップコーティングによってスライドガラス上に製造された薄膜に、四つのプローブを備えるデバイス(four−probe device)を用いて導電性測定を行った。CV酸化ピーク電流から計算されたフィルムの厚さは約100nmであった。厚さの測定に関して、フィルムをITOスライドガラス上にスライドガラスと同様の紫外可視吸収で製造した。サイクリックボルタモグラムを0.5M HCl溶液中でとった。
【0029】
0.1M HCl中で製造されるPABAナノ構造体の分散体は、通常、1日の観測では安定なままで沈殿を生じないが、アルコール中で製造されるナノ構造体の分散体は最大濃度5mg/mLでいつまでも安定である(四ヶ月以上ずっと溶液に沈殿が観測されなかった。)(図1)。
【0030】
0.1M HCl溶液中、直径2〜10nmの球状ナノ粒子が得られた(図2)。一方、アルコール、例えばメタノール、は均一な透明ナノフィルムを製造する。エタノール中、50〜80nmの粒子を有する球状凝集物網状構造、および1−プロパノール中、平均径約15nmの明確なナノ繊維が得られた。ナノ繊維の長さは、400nm〜数マイクロメートルである。PABAナノ繊維の直径は、反応時間を5時間から16時間までの間で変化させることによって、15〜70nmの範囲で調節可能である。ナノ構造体の合成収率は40〜50wt%であった。図2a、cおよびdにおいて示されるナノ粒子、ナノ球状凝集物およびナノ繊維の量は、複数のTEM調査により、実質的に100%分離したサンプルである。メタノールの場合、複数の測定においてグリッド全体にわたって、PABAがこれらの条件(2mg/ml)下において可溶性であることを示唆する、均一な透明ナノフィルムが観測された。このことは、更に、溶液が容易に0.02μmフィルタを通過するという事実によっても支持された。ナノ繊維の熱処理は、フラッシュ溶接についての最近の報告[44]と同様の方法で平滑かつ連続的なフィルムを形成する架橋をもたらす。
【0031】
製造され、次に同じ重合溶媒中に再分散されたPABAナノ構造体の紫外可視スペクトル(図3A)は、320nmおよび800nmを中心とするピークを有するエメラルディン酸化状態(emeraldine oxidation state)にあることを示す。特徴的な吸収バンドは、それぞれ、π−πおよびバイポーラロンバンド遷移による[37]。420nm付近において観測されるショルダーは、ポーラロンバンドによる[37]。0.1M HCl(図3A,a)およびアルコール(図3A,b〜c)分散体におけるこれらのバンドの存在は、ナノ構造体が導電性、ドープ状態にあることを示している。ナノ構造体フィルムから製造されるフィルムの紫外可視スペクトルは、バイポーラロンバンドの80nmレッドシフトを除いてそれらの分散体と同じである。この高い波長におけるシフトは、ボロン酸基および/またはボロン酸とPANi骨格上の第二級アミンとの間の分子間架橋によって生じると思われる。脱ドープPABAは、pH7.4 PBSに暴露することによって得られる。PABAナノ構造体のバイポーラロンバンドの800nmから620nmへのブルーシフト(図3B,e)が、ドーパントの除去および塩から脱ドープ塩基形態(dedoped base form)への転化のために、観測される[32]。これらのガラス基材上のナノ構造薄膜の四つのプローブの導電性を表1に示す。0.1M HClおよびアルコール中で形成されるPABAナノ構造フィルムの導電性は、それぞれ約15および2S/cmである。これらの導電性値は、常套のエメラルディン/HCl粉末と同様である[8]
【0032】
表1 異なる溶媒中の分散体から製造されるPABAナノ構造薄膜の導電性

【0033】
0.5M HCl中のPABAナノ構造体の酸化還元挙動を図4に示す。酸化状態間の容易な転換のために約0.20Vおよび0.65Vにおいて二セットの酸化還元ピークが観測される[10]。全ての形態のPABAナノ構造体に関する酸化還元特性(図4,a〜d)が、非置換PANi[10]並びに既に報告されたフッ化物の存在下において酸性条件下で化学的および電気化学的に製造されたPABA[38]と同様である。
【0034】
0.1M HClおよびアルコール中で製造されるPABAナノ構造体のFTIR−ATRスペクトルは類似している。図5は、1−プロパノール中で製造されたPABAナノ構造体のFTIR−ATRスペクトルを示す。これは、化学的に製造されるPABAの典型的なスペクトル[32、39]であり、得られる暗緑色生成物がアルコール中でモノマーから製造されるPABAであることを示す。
【0035】
PANiに典型的なIRバンドは、キノイド、ベンジノイド(benzinoid)および芳香族C−N伸縮環モード(stretching ring mode)に対応する1595、1464および1100cm−1において観測される[40]。ボロン酸官能基に典型的なバンドは、それぞれ芳香族B−OH変角モードおよびB−F伸縮モードに割り当てられる1022並びに963および808cm−1において観測される[41]。非対称B−O伸縮モードは1330cm−1において観測される。キノイド対ベンゼノイド環モードの相対強度比(I1603/I1510)は、1.5超であり、このことは、イミンユニットのパーセンテージがアミンユニットのパーセンテージよりも高いことを示唆している。これらの結果は、ナノ構造体がポリマーの酸化導電形態にあることを示す。
【0036】
様々な反応時間の理由は、様々な溶媒における酸化剤の溶解性および続いて重合速度の結果である。様々な溶媒中で800nmにおいてモニターされる重合プロセスの紫外可視反応速度論を図6に示す。モノマーおよびフッ化ナトリウムは全ての溶媒に可溶性である。酸化剤は0.1M HClおよびメタノールに可溶性であるが、エタノールおよび1−プロパノール中には部分的にしか可溶性でない(エタノール>1−プロパノール)。従って、エタノールおよび1−プロパノールの場合、反応混合物の初期吸光度は、懸濁酸化剤粒子(約100〜150nm)による光の散乱によって高い。重合速度は、メタノール>0.1M HCl>エタノール>1−プロパノールの順に減少する。酸化剤が完全に可溶性である場合、すなわち、0.1M HClおよびメタノール中で、重合速度がエタノールおよび1−プロパノールと比較して明らかに速い。しかしながら、重合速度はメタノール中で、0.1M HClと比較して高い。このことは、生成物がメタノール中に可溶性であるという事実のためであると思われる。芳香族ボロン酸は、脂肪族アルコールと可逆的に錯形成し、ボロン酸−アルコール錯体の平衡定数がアルコールの立体サイズの増加に伴って減少する(すなわち、メタノール>エタノール>1−プロパノール)ことが知られている[36]。重合におけるアルコールの役割を調査するために、モノマーおよびポリマーのアルコール溶液の11B NMRを得た。
【0037】
ボロン酸由来の11B NMRシグナルのケミカルシフトがホウ素原子の混成状態(三角形対四面体)に依存していることが知られている。図7は、アルコール中のモノマーおよびポリマーの11B NMRスペクトルを示す。メタノール中のモノマー(図7a)の場合、29.3ppmにおけるケミカルシフトで単一共鳴が観測され、このことは、スキーム1(IIおよびIII)において示されるように、主なボロン酸種が中性三角形の形態で存在することを示す[36]
【化1】

【0038】
しかしながら、フッ化ナトリウムの存在下において(図7b)、三角形ボロン酸シグナルから約25ppm高磁場においてスキーム1(IV)に示されるような四面体アニオン性ボロン酸の形成を示す[31]別の共鳴シグナルが観測される。二つのピークの存在は、11B NMR時間スケールにおける二つの形態間の遅い変換を示す[42]。モノマーおよびフッ化ナトリウムを含むメタノール溶液中、酸化剤を添加し、2時間の重合反応後に11B NMRスペクトルをとった(図7c参照)。同様に、重合反応をエタノールおよび1−プロパノール中で行い、4時間後、11B NMRスペクトルをとった(図7dおよびe参照)。三種類全てのアルコール中、三角形ボロン酸シグナルから約25ppm高磁場において、スキーム1(V)において示されるような四面体アニオン性ボロン酸の形成を示す、別の共鳴が観測された。しかしながら、四面体ボロン酸対三角形ボロン酸の比は、溶媒極性の低下と共に低下する。メタノール中、ボロン酸の55%が四面体であるが、エタノールおよび1−プロパノール中、四面体ボロン酸の量は、それぞれ34%および27%である。これらの結果は、アルコールが、アルコールのサイズに基づいてモノマーと錯形成しており、フッ化物の存在下において、モノマー−アルコール錯体がアニオン性ボロン酸エステルに転化され、これがアルコール中で自己ドープPABAの基礎を形成することを示唆する。しかしながら、PABAの自己安定化は、溶媒極性およびその電荷安定化能力に依存する。
【0039】
重合条件 対 製造されるナノチューブの精製/分散条件 の相対的な重要度を明らかにするために、サンプルを0.5M HClで精製せずにTEM調査を行った。重合後、サンプルを対応する重合溶媒で直ちに希釈し、TEMグリッドにキャスティングし、大気中で乾燥して重合をクエンチした。アルコール中で製造されるポリマーのTEM画像を図8に示す。0.1M HClおよびメタノール中で製造されるPABAのモルホロジーは、精製前後で類似している。0.1M HClの場合、精製前、直径2〜20nmのナノ粒子が観測される(図8a)。メタノール中(図8b)、グリッド上の厚いフィルムを除いて識別可能なナノ構造体はなかった。エタノール中、フィルムと共に直径50〜60nmの粒子(全サンプルの約40%)が観測され(図8c)、これは精製後自己集合する(図2c)。しかしながら、1−プロパノールの場合(図8d)、TEMグリッド全体にわたって均一ナノフィルムが観測される。このモルホロジーは、精製後に観測されるモルホロジー(図2d参照)と完全に異なる。この結果は、ナノチューブが1−プロパノール中での重合中に形成されないことを示唆する。これらは、0.5M HClでの精製後に一旦ポリマーが1−プロパノール中に再分散されると形成されるようである。精製前、1−プロパノール中のPABAは0.02μmフィルタを容易に通過したが、0.1M HClでの精製後、1−プロパノール中に再分散されたPABAは、恐らくナノ構造体の形成のためにフィルタを通過できない。重合中のPABAのメタノールおよび1−プロパノールへの溶解性、およびエタノールへの部分的な溶解性は、自己ドーピングによる自己安定化のために観測されると思われる[32]
【0040】
0.1M HCl中、PABAナノ粒子は、第二成長の抑制[43]および希釈重合(dilute polymerization)によって制御される成長のために形成されると思われる。テンプレートとしての界面活性剤や安定剤を用いずに寸法5〜15nmのポリマーの導電性ナノ粒子の形成を記載する報告は存在しない。
【0041】
HCl洗浄後、1−プロパノール中の繊維状モルホロジーの理由は、はっきりしない。溶媒の役割を調査するために、0.1M HClおよびアルコール中で製造されたナノ構造体を、重合に使用された溶媒ではなく、1−プロパノール中に再分散した。図9a〜cは、0.1M HCl、メタノールおよびエタノール中で製造され、精製後、1−プロパノール中に再分散されたPABAナノ構造体のTEM画像を示す。メタノールの場合、スポンジ状のフィルムがグリッド上に形成される。一方、0.1M HClおよびエタノール中、繊維状モルホロジーが観測されるが、繊維のサイズはそれぞれの溶媒において異なる。同様に、1−プロパノール中で製造されるポリマーは、メタノール中でモルホロジー構造を示さない(図9d参照)。これらの結果は、三つの要因、すなわち、重合溶媒、HClでの精製、および1−プロパノール中への再分散、が明確な平均径約15nmの比較的長いナノ繊維の製造に重要であることを示唆する。
【0042】
HClでの精製後の1−プロパノールにおける再現可能な繊維の形成を図10に示す。製造され、HClを用いて精製されたポリマーを1−プロパノール中に再分散し、HClで再び分離し、メタノール中に再分散した。モルホロジーは、繊維から特徴のないフィルムに劇的に変化する(図10aおよびb参照)。しかしながら、同じメタノール分散体を再びHClで分離し、1−プロパノール中に再分散すると、繊維状モルホロジーが再び現れた(図10c参照)。これらの結果は、HClドープPABAを極性がより低い溶媒に分散する場合に繊維が形成されることを明確に示している。
【0043】
これらのナノ構造体の合成において、精製工程の役割もまた重要である。11B NMR結果に基づくと、PABAは重合条件下において自己ドープする。0.5M HClでの精製後、スペクトルは、メタノール中の四面体エステル並びにエタノールおよび1−プロパノール中の三角形エステルの形成を示し(図11)、このプロセスにおいてフッ化物が塩化物によって交換され、結果としてPABAがエタノールおよび1−プロパノール中に分散されると非自己ドープ導電状態になることを示唆する。しかしながら、メタノールの場合、PABAは、自己ドープ状態になり、0.5M HClでの精製後であってもメタノールの高い結合能のために可溶性である。HClドープPABAの再分散は、エタノール中で小球と小さな繊維との凝集を示し、1−プロパノール中で凝集による明確な繊維状モルホロジーを示す。この凝集は、明らかにボロン酸とアルコールとの相対錯形成能に依存し、これは、次に、溶媒におけるナノ構造体の安定化に影響を与える。重合溶媒がナノ構造を決定するのに重要な役割を果たすことも更に予想される。特に、0.1M HClおよびアルコール中で製造されるPABAの分子量は、重合速度が異なるので異なると思われる。次に、異なる分子量のPABAの凝集は、1−プロパノール中の異なるサイズの繊維を生じるように思われる。
【0044】
本発明の種々の態様を本明細書中に開示しているが、本発明の範囲内で当業者に通常の一般的な知識によって多くの適合および修正が行われ得る。そのような修正としては、実質的に同じ方法で同じ結果を達成するための本発明の形態の既知の同等物での置換が挙げられる。数値範囲はその範囲を画定する数値を含む。請求項において、用語「包含する」および「含有する」は、非制限的用語として使用されており、実質的に用語「含むがそれらに限定されるわけではない」と同等である。
【0045】
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【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散(40mg/L)されたポリ(アニリンボロン酸)(PABA)ナノ構造体を示す写真である:(a)0.1M HCl、(b)メタノール、(c)エタノールおよび(d)1−プロパノール。
【図2】図2は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散(20mg/L)されたPABAナノ構造体の透過電子顕微鏡(TEM)画像である:(a)0.1M HCl 2時間後、(b)メタノール2時間後、(c)エタノール5時間後および(d)1−プロパノール5時間後。
【図3】図3は、(A)種々の溶媒中で製造されたPABAナノ構造体および(B)種々の溶媒からディップコーティングによって製造された薄膜 の紫外可視スペクトルであって、ここで、PABAナノ構造体は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散されている:(a)0.1M HCl(b)メタノール、(c)エタノール、(d)1−プロパノールおよび(e)「d」のpH7.4リン酸緩衝液(PBS)への一時間の暴露後。
【図4】図4は、ガラス状炭素電極上にコーティングされたPABAナノ構造体の0.5M HClにおけるサイクリックボルタモグラム(CV)であって、ここで、PABAナノ構造体は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に分散されている:(a)0.1M HCl(b)メタノール(c)エタノール、(d)1−プロパノール。
【図5】図5は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散されたPABAのフーリエ変換赤外減衰総反射吸収スペクトルである:(a)0.1M HCl(b)メタノール(c)エタノール、(d)1−プロパノール(これらのサンプルを乾燥させ、スペクトルをドライパウダーからとった)。
【図6】図6は、800nmにおいて紫外可視でモニターした3−アミノフェニルボロン酸(3−APBA)の(a)0.1M HCl(b)メタノール(c)エタノールおよび(d)1−プロパノールにおける重合速度論のグラフである。
【図7】図7は、(a)メタノール中の10mM 3−APBAモノマー、(b)メタノール中の10mM 3−APBAモノマー+50mM NaF、(c)メタノール中で10mM 3−APBA+50mM NaF+10mM (NHを用いて重合時間2時間で製造されたPABAナノ構造体、(d)エタノール中で10mM 3−APBA+50mM NaF+10mM (NHを用いて重合時間4時間で製造されたPABAナノ構造体、(e)1−プロパノール中で10mM 3−APBA+50mM NaF+10mM (NHを用いて重合時間4時間で製造されたPABAナノ構造体の11B NMRスペクトルである((c)〜(e)は重合条件下においてとった11B NMRスペクトルである。)。
【図8】図8は、(a)0.1M HCl中2時間後、(b)メタノール中2時間後、(c)エタノール中5時間後および(d)1−プロパノール中5時間後における重合中のPABAナノ構造体のTEM画像であって、TEMサンプルが対応する溶媒中に重合溶液を希釈することによって製造されたTEM画像である。
【図9】図9は、(a)0.1M HCl、(b)メタノール、(c)エタノール中で製造され、1−プロパノール中に再分散されたPABAナノ構造体並びに(d)1−プロパノール中で製造され、メタノール中に再分散されたPABAナノ構造体のTEM画像である。
【図10】図10は、(a)1−プロパノール中で製造され、1−プロパノール中に再分散されたPABAナノ構造体(b)0.5M HClで洗浄され、メタノール中に再分散された1−プロパノール分散体、および(c)0.5M HClで洗浄され、1−プロパノール中に再分散されたメタノール分散体 のTEM画像である。
【図11】図11は、種々の溶媒中に分散されたPABAナノ構造体の11B NMRスペクトルである。ここで、PABAナノ構造体は、種々の溶媒中で製造され、精製後、同じ溶媒中に再分散された:(a)メタノール(b)エタノール、および(c)1−プロパノール。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化物とボロン酸部分またはその塩を有するモノマーとを、酸性水溶液中または脂肪族アルコール中で反応させる工程;および
酸化剤を用いて重合させる工程
を包含する、ポリマーの製造方法。
【請求項2】
更に、0.5M HClを用いる遠心分離による該ポリマーの精製を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更に、溶媒におけるポリマーの分散を包含する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
該溶媒が0.1M HCl、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、またはオクタノールである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該ボロン酸部分を有するモノマーが、芳香族ボロン酸である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
該芳香族ボロン酸が、ボロン酸置換アニリン、ピロールまたはチオフェンである、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該ボロン酸置換アニリンが3−アミノフェニルボロン酸である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
該フッ化物が、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、またはフッ化カリウムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
該酸化剤が、過硫酸アンモニウム、塩化鉄、ヨウ化カリウム、重クロム酸カリウム、または過マンガン酸カリウムである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
該脂肪族アルコールが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、またはオクタノールである、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
該水性酸溶液が0.1M HClである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって製造されるポリマー。
【請求項13】
溶媒を変化させることによって調節可能なモルホロジーを有する、請求項12に記載のポリマー。
【請求項14】
該モルホロジーが、ナノ粒子、ナノフィルム、ナノ繊維、または小球および繊維を含有する球状凝集物網状構造である、請求項13に記載のポリマー。
【請求項15】
該モルホロジーが、重合速度を変化させることによって調節可能な粒度を有するナノ粒子である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項16】
該モルホロジーが、約2〜約100nmの粒度を有するナノ粒子である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項17】
該モルホロジーが、約50〜500nmの粒度を有する球状凝集物網状構造である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項18】
該モルホロジーが、反応時間を変化させることによって調節可能な直径を有するナノ繊維である、請求項14に記載のポリマー。
【請求項19】
該直径が15〜200nmである、請求項18に記載のポリマー。
【請求項20】
該反応時間が5〜24時間である、請求項18または19に記載のポリマー。
【請求項21】
該ナノ繊維の長さが400nm〜5μmである、請求項18〜20のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項22】
電子デバイス、バッテリーまたはセンサー用の、請求項12〜21のいずれか一項に記載のポリマー。
【請求項23】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法によって製造されるポリマー;および
溶媒
を含有する、分散体。
【請求項24】
該溶媒が、脂肪族アルコールまたは酸性水溶液である、請求項23に記載の分散体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2009−523865(P2009−523865A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550596(P2008−550596)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/CA2007/000078
【国際公開番号】WO2007/082383
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508062030)ユニバーシティ オブ マニトバ (2)
【Fターム(参考)】