調節可能な義肢
義肢システムは、形状変更可能なソケットを有する。ソケットは、ソケットの適合具合を調節するために、形状を変化させる。ソケットは、窓のあるソケット本体と、窓の中に位置付けられたパネルを有する。パネルとソケット本体は協働して、残肢を受けるための空洞を画定する。レーシングシステムがソケット本体とパネルの両方に連結され、パネルをソケット本体に関して移動させ、空洞の容積を調節する。張力機構がレーシングシステムを保持して、調節パネルを位置決めする。義肢システムはまた、空洞内からの湿分の排出も可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に義肢に関し、特に調節可能な義肢および/または通気性義肢に関する。
【背景技術】
【0002】
肢切断患者はしばしば、特に長期間装着する場合に不快な義肢を装着する。義肢の界面が苦痛の最大の根源となることが多く、また、さまざまな問題の原因となりうる。義肢のソケットの適合具合が悪いと、水腫、潰瘍、皮膚の欠損、感染およびその他の望ましくない皮膚状態をしばしば引き起こす。従来の義肢ライナでは一般に、使用者の皮膚と隣接した位置に湿分(汗等)が捕捉され、これが上記の問題の要因となる。
【0003】
残肢は、短期間にも長期間にも、その形状と体積が変化することがよくある。これらの変化は、義肢の適合具合に関する問題の原因となる可能性があり、それによってさまざまな望ましくない状態(水腫、潰瘍、皮膚の欠損、擦過傷、感染およびその他)が引き起こされ、医師の治療、義肢の使用停止およびその他が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の義肢は、ソフトライナで裏打ちされた剛性ソケットを有することが多い。ソフトライナは、快適さを改善するための緩衝材の役割を果たす。剛性ソケットは、歩行の立脚相では負荷を使用者の骨格に伝え、安定させ、また歩行の遊脚相において、義肢を懸架する。健常足の踵骨脂肪体と異なり、残肢の軟部組織は負荷を支えるのにはあまり適していない。
【0005】
中には、膨張させて快適さと適合具合を調節することのできる包袋システムを有するソケットもある。このような包袋システムはしばしば、ソケットの剛性外殻と残肢との間に配置される。使用中に繰り返し掛かる負荷の他、包袋を形成する材料の可撓性によって、包袋システム内を適当な圧力に保つのが困難であることが多い。それ故、包袋システムは、長期間の使用には適していない。
【0006】
義肢のソケットを使用者に適合した状態に保つために、使用者の皮膚とソケットの間を真空にすることができる。負圧を使ってソケットの空洞から空気を抜く。残念ながら、ソケットの負圧はしばしば、接触皮膚炎、いぼ状過形成および多大な苦痛の原因となる。残肢の慢性創傷を患う肢切断患者にとって、適合具合の悪いソケットの欠点よりも、傷治療のための陰圧閉鎖治療の利益の方が勝るというケースは限定されている。
【0007】
義肢の熱伝導特性が低いと、義肢が熱エネルギーを保存するヒートキャパシタの機能を果たすことがある。その結果、残肢の温度が上昇し、発汗と水腫の発生を促進しうる。残念ながら、このようなタイプの義肢は長期の使用、特に、比較的高温の環境で装着される場合、または激しい運動を行うために装着する場合に適していない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される少なくともいくつかの実施形態は、調節可能なソケットを有する義肢を含む。調節可能なソケットには、ソケットの適合具合を調節するための1つまたはそれ以上の可動部分を設けることができる。この部分は、使用者が個別に動かしても、コントローラによって自動的に動かされるようにしてもよい。特定の実施形態において、可動部分は、ソケット本体と協働して、使用者の残肢を保持することのできるパネルの形態である。
【0009】
いくつかの実施形態において、義肢はさらに、ソケット本体と、調節可能なパネルと、ソケット本体と調節可能なパネルとにより画定される空洞と、を備える。調節可能なパネルは、ソケット本体に関して移動可能である。空洞は、残肢を受けるように構成されている。
【0010】
義肢は、いくつかの実施形態において、ソケット本体と調節可能なパネルの複数のホルダによって保持される少なくとも1つの張力部材をさらに備え、張力部材にかかる張力を調節することによって空洞の容積が増大または縮小されるようになっている。張力機構は、張力部材を保持および釈放できる。特定の実施形態において、張力機構は、張力部材を保持する第一の状態と、張力部材を移動させて、空洞の容積を変化させる(例えば、増大または縮小させる)第二の状態を有する。
【0011】
いくつかの態様において、ソケット本体は、調節パネルの略全体を取り囲む窓の周縁を画定する剛性本体を有する。調節パネルが使用者の残肢の遠位部分を取り囲む場合、ソケット本体は、一端が閉鎖された、概して管状の部材とすることができる。窓は、閉鎖端の付近に設けることができる。いくつかの実施形態において、周縁は調節パネル全体を取り囲み、概して長方形の形状の窓を画定する。
【0012】
義肢は、いくつかの実施形態において、使用者の残肢をしっかりと保持する。残肢にかかる圧縮圧力を調節して、快適さを改善することができる。気密状態で適合させることにより、残肢に関するソケット本体の移動を実質的に防止し、抑止し、または制限できる。他の実施形態において、ソケットにより残肢に加えられる圧縮力が、義肢を残肢の上に保持する。ソケットは、エアバリア層を有していても、有していなくてもよい。圧縮力は調節パネルによって、ソケットとライナの間の懸架装置、例えばピンロック、紐またはその他を通じて掛けることができる。さまざまなタイプの構成部品が協働して、残肢を保持することができる。
【0013】
また別の実施形態において、義肢は、ソケット本体と、少なくとも1つの調節パネルと、ソケット本体と調節パネルの両方に連結されたレーシングシステムと、を含む。調節パネルとソケット本体が協働して、残肢を受けるための空洞を画定する。特定の実施形態において、張力機構は、レーシングシステムを保持し、残肢が空洞内にあるとき、ソケット本体に関する調節パネルの移動を制御するように構成される。使用者は、さまざまな活動を実行することができ、その間、張力機構とレーシングシステムが協働して、空洞の形状を保持する。
【0014】
レーシングシステムは、いくつかの実施形態において、第一の調節パネルをソケット本体に紐で連結して、第一の調節パネルが第一の窓の中で懸架されるようにする第一の張力部材を含む。第二の張力部材は、第二の調節パネルをソケット本体に紐で連結して、第二の調節パネルが第二の窓の中で懸架されるようにする。レーシングシステムは、張力部材の中の張力が増大すると、パネルの垂直に延びる部分を空洞に向かって引き寄せる。パネルの上部と下部を使用者の残肢に当たるように引くことができ、それによって均一な圧縮圧力が掛かる。
【0015】
別のいくつかの実施形態において、ソケットは、ソケット本体の内側表面および調節パネルの実質的部分と重複するライナシステムを含む。ライナシステムは、ソケット本体とパネルの間のギャップまたはその他の界面を横切って延びるようにすることができる。これは使用者の残肢を支持し、それと同時に、使用者の皮膚を挟んだり、締め付けすぎたりすることを回避する。特定の実施形態において、ライナシステムは、ソケット本体の内側表面の略全体と重複し、接着剤、連結手段、固定手段またはその他を介してソケット本体に連結することができる。
【0016】
特定の実施形態において、義肢はソケットと、ソケットの形状を変更する調節装置と、を備える。調節装置は、少なくとも1つのセンサと、把持手段または張力機構と、コントローラと、を含む。
【0017】
コントローラは、いくつかの実施形態において、センサおよび張力機構に連通可能に連結される。コントローラは張力機構に対して、センサからの信号に基づいてソケットの形状を調節するように命令する。張力機構は、牽引ユニットと張力部材を含む。牽引ユニットは、コントローラからのコマンド(例えば、信号)に応答して張力部材を引き、ソケットの形状を変更する。コントローラは、センサからの信号(または複数の信号)に基づいて、ソケットの形状を周期的または連続的に調節するようにプログラムできる。
【0018】
また別の実施形態において、義肢は、本体を含むソケットと、レーシングシステムと、レーシングシステムによって本体の開口部の中に懸架されるパネルと、を備える。レーシングシステムは、パネルの周縁を本体に向かって引き、略均一な力を使用者の残肢にかける。
【0019】
さらに他の実施形態において、義肢装置はライナシステムを備える。ライナシステムは通気を可能にし、それと同時に、使用者の残肢との封止部(例えば、気密封止部)を形成することができる。特定の実施形態において、ライナシステムは、表面と裏面を有する水蒸気透過性のエアバリア層を含む。表面は残肢を受けるための内側空洞を画定する。通気層がバリア層の裏面にある。特定の実施形態において、通気層は湿分が通過するための複数の換気用造作物を有し、使用者の皮膚とライナシステムとの界面の湿分を管理する。
【0020】
バリア層は、水蒸気を通過させることができ、それと同時に、空気に対しては実質的に不浸透性である。このようなバリア層は、使用者の残肢が内側空洞の中に位置付けられた状態で、概して気密封止部を形成することができる。使用者の残肢とライナシステムの間を真空にすると、加圧装置を使って大きな負圧をかけずに、真空を保持することができる。いくつかの実施形態において、バリア層には、他の種類の液体、気体またはその他に対して浸透性を持たせることができる。
【0021】
いくつかの他の実施形態において、義肢は人体の解剖学的特徴部に固定可能であり、一般に、調節可能なソケットおよび/または通気性のあるライナシステムを含む。解剖学的特徴部とは、残肢または、義肢との使用に適したその他の特徴部とすることができる。義肢は外部構造(例えば、足、関節、パイロンその他)を使用者の体に連結し、その一方で、ライナシステムはソケットと皮膚との界面として機能する。ライナシステムは、快適さを改善し、界面での問題を抑止し、または実質的に排除し、および/または治癒を促進する。
【0022】
ソケットは、解剖学的特徴部を収容するための湾入部を有する剛性体を有していてもよい。湾入部は、残肢の具体的特徴部(例えば、筋肉、腱、骨、結合組織等)に対応する特定の領域に設けることができる。例えば、下腿切断者の場合、湾入部は膝蓋腱を受けるように位置付けることができる。湾入部の大きさと形状はそれゆえ、残肢の解剖学的構造に基づいて選択することができ、残肢の快適な支持に役立つ。
【0023】
ソケットの胴体は、剛性外殻、フレームまたは、大きな重量を支持できるその他の構造であってもよい。ソケットの少なくとも一部は、全体的または部分的に、剛性材料、例えば金属(金属合金を含む)、プラスチック(例えば、ポリプロピレン)、複合材料(積層材、繊維積層材等)またはこれらの組み合わせで作製することができる。
【0024】
ソケットは、いくつかの実施形態において、複数の張力部材でソケット本体に連結される複数の可動部分を含む。可動部分は、高い引っ張り強さを有する材料で作製することができる。ソケットはまた、張力部材を保持するための把持手段またはロッキング機構、カム、フックまたはその他の装置を含んでいてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、義肢は、緩衝手段かよび懸架手段となるライナステムを含む。ライナシステムは、複数の通気用造作物を有する。通気用造作物とは、通気口、穴(貫通穴等)、チャネル、通路(例えば、穴、振盪性領域等)またはこれらの組み合わせを含み、残肢の皮膚付近の湿分を発散させることができる。いくつかの実施形態において、気密封止部が皮膚とライナシステムの間に形成される。特定の実施形態において、概して気密状態の層(例えば、膜)が気密封止部を形成する。気密層によって、水蒸気がこの層を通過でき、それと同時に、ソケットを残肢から喧嘩する。
【0026】
別の実施形態において、義肢は、ライナシステムまたはソケットのその他の構成部品を通過して、その中を、および/またはこれを横切って流体(例えば、加熱流体、冷却流体、空気、蒸気またはその他)が移動できるようにする1つまたはそれ以上の加圧装置を有する。加圧装置は、ポンプ、ファン、ブロワまたはその他とすることができる。
【0027】
また別の実施形態において、1つまたはそれ以上の張力部材を使って、装着者の知覚に基づいて、調節可能なソケットの適当な容積を保持することができる。ソケットは、手で、または自動的に調節することができる。自動式の実施形態において、張力部材への張力は牽引装置(例えば、小型モータ)によって増大または縮小できる。例えば、モータは回転して、張力部材の中の張力を増大または縮小させ、ソケットの可動部分を動かし、これによって、調節可能なソケットの容積を調節する。特定の実施形態において、可動部分は剛性または可撓性を有するパネルの形態である。パネルは、使用者の体の一部を取り囲み、ソケット本体と協働して、残肢をしっかりと保持することができる。他の実施形態において、可動部分は、ヒンジまたはその他の方法で相互に連結される複数のパネルからなる。
【0028】
1つまたはそれ以上のセンサは、いつ張力の変化が必要または望ましいかを検出できる。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上のセンサを義肢のライナシステムの中に取り付ける。センサは、圧力センサ、接触センサ、インピーダンスセンサまたは温度センサとすることができる。残肢の寸法が変化したら、その変化に基づいて義肢を調節することができる。
【0029】
また別の実施形態において、義肢は、異なる位置の調節可能であるようにすることができる。前方で調節可能な義肢は、ソケットの前方領域に位置付けられた少なくとも1つのパネルを有する。側方から調節可能な義肢の場合、1つまたはそれ以上のパネルをソケットの側方または中央領域に位置付けることができる。後方で調節可能な義肢の場合、1つまたはそれ以上のパネルをソケットの後方領域に位置付けることができる。遠位方向から調節可能な義肢では、ソケットの遠位領域をパネルによって形成することができる。パネルの位置のさまざまな組み合わせを使って、所望の調節方式を実現することができる。
【0030】
義肢の調節方法は、義肢のソケットに使用者がかける圧力を検出するステップを含む。ソケットは、ソケット本体の窓に位置付けられた可動パネルを含む。可動パネルは、使用中に使用者の残肢を支持するのを助ける。残肢の形状は、義肢を装着する前に調節できる。使用者は、義肢を構成してから、義肢を残肢に設置することができる。
【0031】
さらに他の実施形態において、義肢の調節方法は、残肢の特徴を検出するステップを含む。ソケットは、ソケットの空洞の容積を調節するために移動可能なパネルを含む。この方法は、少なくとも1つのセンサによって検出された残肢の特徴に基づいてパネルの位置を調節するステップを含む。検出される残肢の特徴には、例えば残肢の温度、残肢の体積、組織の場所およびその他を含めることができる。特定の実施形態において、ソケットは、パネルの調節中、使用者の体重の実質的部分を支持する。ソケットは、1つまたはそれ以上の張力部材によって形状を変化させることができる。いくつかの実施形態において、ソケットにより担持される1つまたはそれ以上のセンサは、特徴を検出する。センサからは1つまたはそれ以上の信号を、コントローラに送信することができ、コントローラはソケットに命令を出す。
【0032】
センサは、ライナシステム、ソケットまたは義肢システムの構成部品の中に取り付けることができ、例えば、これらに限定されることなく、装着者の知覚、残肢の特徴、残肢の状態またはそれらの組み合わせに基づいて、調節可能なソケットの適当な容積を維持するために使用できる。張力部材への張力を増大または縮小させるプロセスの自動化は、張力機構によって実現できる。センサを使って、張力機構のモータを回転させるために、いつ張力を変化させることが必要かを検出することができる。モータは回転して、調節可能なパネルを移動させるための張力を増大または縮小させることができ、それによって調節可能なソケットの容積が調節される。
【0033】
図中、同一の参照番号は同様の要素または動作を指す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】下腿に取り付けるための義肢の斜視図である。
【図2】図1の義肢の背面図である。
【図3】図2の義肢の線3−3に沿った部分の断面図である。
【図4】図1の義肢の一部の詳細図である。
【図5】1つの実施形態によるソケットの側面図である。
【図6】1つの実施形態による、湾入部を有するソケットの側面図である。
【図7】他の実施形態によるソケットの側面図である。
【図8】閉じた状態の張力機構の側面図である。
【図9】開いた状態の図8の張力機構の側面図である。
【図10】上腿に取り付けるための義肢の斜視図である。
【図11】上腿用義肢の斜視図である。
【図12】自動調節可能なソケットを有する義肢を示す図である。
【図13】複数のセンサを取り付けた残肢の正面図である。
【図14】ソケットの中に設置された図13の残肢の正面図である。
【図15】残肢に埋植されたセンサの正面図である。
【図16】ライナシステムを有する下腿用義肢の斜視図である。
【図17】図17の義肢の線17−17に沿った部分の断面図である。
【図18】1つの実施形態によるライナシステムの斜視図である。
【図19】図18のライナシステムの平面図である。
【図20】図18のライナシステムの、図19の線20−20に沿った断面図である。
【図21】図20のライナシステムの一部の詳細図である。
【図22】他の実施形態によるライナシステムの斜視図である。
【図23】図22のライナシステムの平面図である。
【図24】図22のライナシステムの、図23の線24−24に沿った断面図である。
【図25】図24のライナシステムの一部の詳細図である。
【図26】垂直に延びる複数のチャネルを有するライナシステムの斜視図である。
【図27】図26のライナシステムの平面図である。
【図27A】図26のライナシステムの平面図である。
【図28】図26のライナシステムの、図27の線28−28に沿った断面図である。膜の一部が取り除かれて示されている。
【図29】埋め込まれた複数のチャネルを有するライナシステムの平面図である。
【図30】図29のライナシステムの一部の詳細図である。
【図31】網状チャネルを有するライナシステムの斜視図である。
【図32】チャネルとバリア層を有する換気層を含むライナシステムの一部の断面図である。
【図33】管内補強用造作物を有するライナシステムの断面図である。
【図34】チャネル内に芯材を有するライナシステムの断面図である。
【図35】加圧装置を有するソケットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「近位」と「遠位」という用語は、図に示された実施形態を説明するために使用され、非限定的な例示的実施形態と応用の説明に合わせて使用されている。「近位」と「遠位」という用語は、文脈上、明らかに別の解釈がなされる場合を除き、使用者が義肢を装着した時の使用者の体に関して使用される。例えば、義肢の近位側造作物は、義肢の遠位側造作物と比較して、使用者の胴体により近い。しかしながら、図の実施形態と造作物は、様々な所望の位置に配置し、または方向付けられることが分かるであろう。
【0036】
図1から図3は、使用者を支持するための義肢100を示す。義肢100は、足部102、パイロン104、ソケット110を有する。パイロン104は、足部102とソケット110との間に延びる。義肢100を装着するために、残肢を空洞112に挿入することができる。ソケット110は、パイロン104の上端128に連結され、足部102が繰り返し支持面と接触する際も、残肢にしっかりと連結された状態に保たれる。図の義肢100は、下腿残肢を受けるための下腿義足の形態である。
【0037】
ソケット110は、義肢100の適合具合を変化させて、例えば、快適さ、適合具合、性能(例えば、安定性、バランス等)を改善し、望ましくない状態(例えば、潰瘍、水腫等)を軽減させ、治癒を促進し、またはその他のために調節できる。ソケット110は、窓126の中に位置付けられた調節パネル120を有する。パネル120は、ソケット本体124に関して移動させて、空洞112の特徴(例えば、形状、容積、寸法等)を変えることができる。調節は、例えば、これらに限定されないが、力、圧力(例えば、使用者によってかけられる圧力)、残肢の特徴(例えば、残肢の形状、大きさ、残肢体積、皮膚温度、組織組成等)、残肢の状態(例えば、潰瘍、水腫、病変等の位置)またはその他に基づいて行うことができる。残肢が時間と共に変化したら、ソケット110は、形状の変化に対応するために、何度でもその形状を変えることができる。
【0038】
パネル120は、図3の矢印134によって示されるように内側に、また図3の矢印136によって示されるように外側に移動させることができる。例えば、パネル120は、内側または外側に移動させて、空洞112の容積をそれぞれ縮小または増大させることができる。このようにして、パネル120は何度でも方位と位置を変えることができる。
【0039】
ソケット周縁148は、窓126を画定し、離間した状態でパネル120の周辺付近に位置付けることができる。図の実施形態を含むいくつかの実施形態において、周縁148は連続的周縁であり、パネル120全体を取り囲む。ギャップ147がパネル120と周縁148との間に画定される。図の実施形態を含む特定の実施形態において、ギャップ147の幅は略均一である。他の実施形態では、ギャップ147の幅は変化する。
【0040】
図3を参照すると、ソケット本体124の上部149は、ソケット110の入口152を画定する。窓126の上端は、入口152から離間されている。側壁154は、窓126とリム149との間に延びるようにすることができる。そのため、残肢の遠位部分だけがパネル120と係合する。側壁154は概して管状の形状を有し、残肢の近位部を取り囲む。側壁154の高さ、ソケット本体124の全体的寸法およびパネル120の寸法と形状は、残肢の形状、寸法および/または組織組成に基づいて選択できる。
【0041】
図1を再び参照すると、ソケット110はレーシングシステム144を有する。レーシングシステム144は、パネル120とソケット本体124を紐で結合する1対の張力部材150a、150b(以下、まとめて150とする)を有する。張力部材150aは、ソケット本体124の各ホルダ160a、160bによって保持され、またパネル120の各ホルダ170a、170b、170cによって保持される。図の張力部材150aは、ホルダ160、170の間に交互に渡され、略ジグザグの形状となる。図の張力部材150aはギャップ147を横切って延び、パネル120の縦方向の長さの大部分をソケット本体124に連結する。パネル120は、パネルの縦方向の長さに沿って掛けられる概して均一な力により、内側に引き寄せることができる。これによって、概して均一な圧力が残肢の後方部分に掛かるようにする。このようにして張力部材150aの張力を増大または縮小させ、後方からの調節を可能にすることができる。
【0042】
張力部材150a、150bは例えば、これらに限定されないが、ケーブル、紐、またはその他の種類の、比較的大きな張力に耐えられる柔軟で長い部材とすることができる。張力部材150aは、全体的または部分的に、重合体、プラスチック、金属(例えば、金属線ブレード)またはその他で作製することができる。いくつかの実施形態において、張力部材150aは、金属ケーブル(例えば、鋼鉄ケーブル)を重合体で被覆したものである。重合体被膜は、ホルダ160、170との摩擦界面を縮小または限定することができる。特定の実施形態において、張力部材150は電気活性材料からなる。例えば、張力部材150は、印加される電圧が変化すると大きく歪む可能性のある電気活性重合体製のケーブルとすることができる。電気活性重合体ケーブルはそれ故、電圧を変化させることによって伸張または収縮でき、それによって義肢100の容積を変化させることができる。
【0043】
ホルダ160、170は例えば、これらに限定されないが、フック、グロメット、小穴、ループまたはその他、少なくとも1つの張力部材を保持し、または受けるための造作物とすることができる。ホルダ160、170は開口部(例えば、閉じた開口部、U字形等の開放した開口部またはその他)を有するものとすることができる。図のホルダ160、170は、そこを通過する張力部材を保持するための、概してU字形のフックを含み、ソケット本体124とパネル120に連結されている。他の実施形態では、パネル120の一部でホルダを形成することができる。例えば、パネル120に形成された貫通穴をホルダとすることができる。張力部材をこの貫通穴に通すことができる。グロメットまたはその他の種類の補強手段をパネル内に組み込み、貫通穴周辺の材料を強化することができる。
【0044】
パネル120は、概して残肢の一部に対応する形状を有し、残肢を密接に取り囲むようにすることができる。図のパネル120は概して弓状の形状を有し、剛性、半可撓性または可撓性であってもよい。剛性の実施形態としては、パネル120を金属、複合材料、重合体またはその他で作製することができる。半可撓性の実施形態としては、パネル120を多層構造とすることができる。パネルの第一の部分を剛性構造、例えば金属製とすることができる。パネルの他の部分を可撓性材料、例えば可撓性重合体、ゴム、エラストマまたはその他で作製することができる。可撓性の実施形態では、パネル120を容易に残肢の形状へと変形させることができる。可撓性パネルは、高可撓性またはドレープ性材料、例えば織物、撓み性材料またはその他で形成することができる。通気を促進するために、パネル120は通気性材料からなっていてもよい。
【0045】
図1から図4を参照すると、張力機構200aは張力部材150aを選択的に保持する。パネルを内側に移動させるためには、使用者は張力部材150aの端210を引くことができる。パネル120が所望の位置に到達したら、使用者は張力部材150aを放すことができる。張力機構200aは張力部材150aを保持して、パネル120の外側への移動を制限する。
【0046】
図4の張力機構200aは、1対のカム部材212a、212b(まとめて212とする)を有する。カム部材212は、ロック位置(図の位置)と釈放位置(破線の位置)から移動可能である。カム部材212a、212bはそれぞれ、回転軸214a、214bの周囲で回転する。張力部材150aが引っ張られると、張力部材150aはカム部材212aを時計回り方向に引き、カム部材212bを反時計回り方向に引く。同心円部分216a、216bは協働して張力部材150aを挟み、保持する。これは、図4に示されている。
【0047】
使用者が端210を引くと、張力部材150aがカム部材212aを反時計回り方向に、またカム部材212bを時計回り方向に回転させて、釈放位置に移動させる。張力部材150aは、使用者によって釈放されると、再びカム部材212aを時計回り方向に、またカム部材212bを反時計回り方向に回転させる。このようにして、張力機構200aはセルフロックできる。もちろん、使用者は、張力部材150を引かずに、手でカム部材212を移動させることができる。
【0048】
図1から図4の義肢100を製造するために、ソケット本体124を装着者に適合するように形成できる。ソケット本体124を形成するために、義肢装具士は、残肢の成型、デジタルスキャン、陽性モデル製作用コンピュータ援用製造技術の利用またはその他により、残肢の陽性モデルを製作することができる。コンピュータ援用による設計/コンピュータ援用による製造はまた、義肢装具クリニックや中央加工所のいずれにおいても、陽性モデルの製作に使用されるかもしれない。陽性モデル形成後、義肢装具士または義肢技術者は陽性モデルの周囲に供給した材料を成型することができる。成型材料は、熱可塑性材料、熱硬化性材料またはその他とすることができる。成型材料が熱可塑性材料である場合は、熱可塑性材料を陽性モデルの周囲で加熱し、成形することができる。熱可塑性材料を冷却して最終形状とすることができる。成型材料が熱硬化性材料である場合は、成型材料をモデルの周囲で成型し、その後硬化させることができる。例えば、成型材料を積層させて、陽性モデルの周囲に巻き付けることができる。積層物は硬化させることができ、積層物を陽性モデルから除去することができる。各種の実施形態において、ソケット本体124の外郭は、全体的または部分的にプラスチック、複合材料、金属またはそれらの組み合わせで作製することができる。プラスチックには、ポリプロピレン、ポリエステルまたは、適当な機械的特性(圧縮率、降伏力、極限強度、弾性係数等)を有するその他のプラスチックを含めることができる。複合材料には、繊維強化複合体、積層材またはその他が含まれる。複合材料には、繊維強化複合材料、積層材またはその他が含まれる。金属には、金属合金が含まれる。
【0049】
ソケット本体124を形成した後に、窓126を切り取ることによって、ソケット本体124の一部を除去できる。ソケット本体124が確実に肢切断患者を支持するようにするために、窓126は、残肢の骨側領域と反対の、軟部組織の通常領域の上に設置できる。窓126は、使用者が選択するどのサイズの穴であってもよい。もちろん、ソケット本体124は、必要な使用者の体重を支持するのに十分な大きさであるべきである。ソケット110は、使用者の体重のほとんどが残肢の所望の領域で指示されるように形成、構成することができる。
【0050】
図5は、湾入部215を有する調節可能な下腿用ソケット110の側面図である。湾入部215は、ソケット110の中に支持される残肢の膝蓋腱に対応する。逃げ用切欠き部216によって、膝腱が収縮できる。さまざまな湾入部および/または切欠き部をソケット110に形成できる。湾入部および/または切欠き部またはその他の造作物の構成、形状、寸法および位置は、残肢の生体構造に基づいて選択することができる。
【0051】
図6は、前方および後方で支持する、調節可能な上腿用ソケット190の側面図である。ソケット190は、調節可能なパネル197を有するソケット本体196を含み、調節可能なパネル197は、レーシングシステム194によってソケット本体196に連結されている。レーシングシステム194は、パネル197の片側の第一の張力部材185と、パネル197の反対側の別の張力部材187を含む。張力部材185、187は、パネル197の縦方向の縁辺に沿って上方に延びる。
【0052】
ソケット本体196は、体重の支持を助けるための湾入部195を持つように形成される。湾入部195は装着者の坐骨と接触して、残肢の支持を助けることができる。前方支持領域189は、ソケット190が過剰に折れ曲がるのを防止する。
【0053】
図7は、別の上腿義足193の側面図である。ソケット本体195は、体重の支持を助ける湾入部183を有するように形成される。湾入部183は、装着者の坐骨と接触して、残肢の支持を助ける。
【0054】
図8と図9は、張力機構200のある実施形態を示す。図8は、張力部材150を保持するための第一の状態にある張力機構200を示す。図9は、張力部材150の移動を可能にする第二の状態にある張力機構200を示す。張力機構200は、1対の把持手段230a、230bおよびアクチュエータ232を含む。アクチュエータ232は、把持手段230bを把持手段230aの方向に移動させて、張力部材150を圧縮し、保持する。
【0055】
把持手段230a、230bは、確実に適正な接触が行われるように、ヒンジ240a、240bの周囲で旋回できる。ヒンジ240bのシャフト250は、アクチュエータ232のスロット252に沿って移動させることができる。アクチュエータ232は、把持手段230bを把持手段230aから離すように移動させて、張力部材150を解放でき、いくつのソレノイド、電力供給部(例えば、電池、電源その他)、機械的クランプ、モータまたはその他を含むことができる。
【0056】
張力機構200は、手で、またはコントローラ(例えば、義肢に連結されるか、一体的に組み込まれるコントローラ、外付けコントローラ、ネットワーク、コンピュータまたはその他)等、他の構成部品によって制御することができる。コントローラは、プログラム、ソケットからのフィードバック(例えば、ソケット内のセンサからの信号)、制御アルゴリズムまたはその他に基づいて、張力機構200を動作させることができる。他の実施形態において、アクチュエータ232は内部コントローラを備えるものとすることができる。
【0057】
さまざまなその他の種類の張力機構を、本願で開示する義肢に使用することができる。非限定的な例としての張力機構には、例えばクランプ(例えば、機械的クランプ、電気機械クランプ、空気圧クランプ等)、牽引ユニットまたはその他を含めることができる。張力機構の構成と設計は、ソケットの形状変更に必要な力、ソケットを所望の形状にとどめるのに必要な力、またはその他に基づいて選択できる。
【0058】
図10と図11は、概して図1から図4に関連して説明した義肢と同様の義肢を示すが、相違点を以下に説明する。
【0059】
図10は、上腿義足300の形態の義肢を示す。義足300は、前方および後方支持部310、311を有し、一般に、足部302、義肢膝部312、足部302と膝部312の間のパイロン416を有する。ソケット320は、義肢膝部312に連結される。
【0060】
ソケット320は、独立して調節可能な複数のパネル330a、330b(まとめて330とする)を有する。パネル330は協働して、ソケット320の中での過剰な変形または過剰な屈曲を実質的に防止、抑止または制限することができる。図のパネル330は一般にソケット本体334の中間の側面に配置され、ソケット320が歩行中に装着者を支持できるように十分な剛性を維持する。もちろん、前方および後方領域310、311が、歩行、走行またはその他の種類の激しい運動中の支持のほとんどを担う。
【0061】
図11は、前方からの調節が可能な上腿義足350の形態の義肢を示す。義足350は、後方支持部370と調節可能な前方パネル380を有するソケット360を含む。パネル380は、残肢の前方領域の軟部組織を覆うように位置付けられる。
【0062】
図12は、自動形状変更が可能な義肢400を示す。義肢400は、張力機構420とコントローラ430(破線で示す)を含む調節装置417を有する。コントローラ430は、張力機構420に対して容積調節を行うように命令することができる。1つまたはそれ以上のセンサ455(破線で示す)をコントローラ430に連通可能に連結することができる。コントローラ430は、センサからの信号を受信し、また、信号を張力機構420の構成部品(例えば、モータ)に送信することができる。
【0063】
図の張力機構420は、張力部材440を緊張または弛緩させることのできる牽引ユニット450(破線で示す)を含む。牽引ユニット450には、1つまたはそれ以上のモータ、スプール、スピンドルまたはその他を含めることができる。
【0064】
コントローラ430には一般に、例えば、これらに限定されることなく、1つまたはそれ以上の中央処理ユニット、処理装置、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)およびその他を含めることができる。情報を保存するために、コントローラはまた、1つまたはそれ以上の記憶素子、例えば揮発性メモリ、不揮発性メモリ、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびその他も含む。コントローラのディスプレイの例としては、これらに限定されないが、LCDスクリーン、モニタ、アナログディスプレイ、デジタルディスプレイ(例えば、発光ダイオードディスプレイ)またはその他、情報の表示に適した装置がある。ディスプレイは、ソケットの設計、力のプロファイル、センサにより収集されたデータ(例えば、使用者によってかけられる圧力、張力部材440にかかる力またはその他)あるいはその他あらゆる情報を表示することができる。コントローラ430は、情報を保存できる。「情報」という用語は、例えば、これらに限定されないが、1つまたはそれ以上のプログラム、実行可能なコードまたは命令、演算命令、それらの組み合わせおよびその他を含む。コントローラ430は、さまざまなプログラムを保存することができる。プログラムには、ソケットの形状変更、加圧装置の制御、熱素子の制御またはその他のためのプログラムを含めることができる。
【0065】
センサは、ソケット463の中、ライナシステムまたはその他の構成部品の中に組み込むことができる。センサが別の構成部品の一部である場合(例えば、残肢に装着可能なスリーブ)、センサを無線でコントローラ430と通信させることができる。センサがソケット463に装着され、その中に埋め込まれ、またはその他の方法で連結されている場合、センサを有線または無線でコントローラ430に連結させることができる。
【0066】
図12はまた、張力部材440の張力を(例えば、継続的、間欠的等に)モニタするロードセル460の形態のセンサを示す。ロードセルはいくつでも使用できる。例えば、レーシングシステムが複数の張力部材を有する場合、各張力部材は、例えば、パネル461またはソケット本体464で担持される異なるロードセルでモニタすることができる。
【0067】
ソケットは、無数の形状へと動く駆動材料で形成することができる。駆動材料には、これらに限定されないが、形状記憶合金(例えば、ニチノール)、形状記重合体、電気活性重合体、圧電材料またはこれらの組み合わせを含めることができる。形状記憶材料の中には、温度変化、印加される電流またはそれらの組み合わせに応答して状態(例えば、事前設定された形状)を変化させることができ、使用者の残肢を収容するように、無数の事前設定される形状を有することができるものもある。いくつかの実施形態において、駆動材料は、1種類の活動(例えば、歩行)を実行するための第一の形状と、別の活動(例えば、歩行、ジョギング等)を実行するための別の形状を有することができる。別の実施形態において、駆動材料は、残肢が第一の形状を有するときに第一の形状を、残肢が第二の形状を有するときに別の形状を有する。残肢の形状は時間とともに変化する可能性があるため、駆動材料を使って義肢の形状を調節し、適合具合を改善することができる。図12のコントローラ430は、各種の駆動材料を使用して、ソケット410またはパネル461の形状を調節するために使用できる。
【0068】
図12の義肢400のいくつかの調節方法において、使用者がソケット463に掛ける圧力がセンサ455によって検出される。パネル461の位置は、検出された圧力に基づいて調節される。パネル461の位置変更中に、使用者の体重の実質的部分(例えば、使用者の体重の略全体、使用者の体重の少なくとも50%またはその他)はソケット本体464によって支持される。これによって、義肢400を取り外すことなく、義肢400の調節を行うことができる。
【0069】
図13と図14を参照すると、残肢500には、表面に取り付けるセンサ504を担持することができる。センサ504は、残肢500の皮膚に直接接される。図14は、ソケット520の中に設置された残肢500を示す。センサの数、大きさおよび位置は、検出されることになっている特徴に基づいて選択することができる。検出される特徴は、残肢の体積、組織の種類、残肢の温度、残肢のインピーダンスまたはその他とすることができる。図の4つの離間されたセンサ504は、筋電(EMG)センサである。
【0070】
義肢がコントローラを含む場合、コントローラはセンサからの信号を受信し、その後、ソケット容積を調節することができる。センサはまた、スリーブのうち残肢に装着される部分であってもよく、また、コントローラと無線で通信することができる。センサ(例えば、センサ500)がソケットに装着され、その中に埋め込まれ、またはその他の方法で連結されている場合、センサは有線または無線でコントローラに接続できる。
【0071】
図13と図14を引き続き参照すると、センサ540は、圧力変化を検出する圧力センサとすることができる。残肢500が収縮すると、ソケット520の中の圧力が低下し、それによって、張力部材の張力を高めることによって調節パネルを移動させる必要がある。
【0072】
生体インピーダンスセンサは、残肢500の体積変化を検出できる。残肢500の体積は、細胞外液が押し出されると収縮しうる。生体インピーダンスは、細胞外液が減少すると大きくなることがある。したがって、残肢の体積と生体インピーダンスの間には間接的な線形逆相関がある。相関は、ソケット520の所望の形状を決定するために使用できる。生体インピーダンスはそれゆえ、インピーダンスセンサの形態のセンサ504を使ってモニタし、ソケット520の形状を動的に変化させることができる。
【0073】
センサ504は、せん断力を測定するために位置付けられたせん断センサの形態とすることができる。残肢500が収縮すると、ソケット520の全体的適合具合は緩くなることがある。その結果、残肢500とソケット520の間の移動が増大し、それ故、残肢500に対するせん断力が増大する。せん断力は、調節パネルを移動させることによって軽減、または除去することができる。
【0074】
センサ504は、温度センサの形態とすることもできる。温度センサ504は、残肢500の温度を検出することができる。皮膚への血液かん流は、皮膚温度上昇に対する自然の体温調節反応である。皮膚温度が高いほど、皮膚表面に到達する血液が多くなり、熱を放散させる。したがって、残肢500の体積は、皮膚温度の上昇とともに増大し、張力部材への張力を減少させることによって、調節パネルを移動させる必要が生じる。
【0075】
自動張力機構は、センサ(例えば、圧力センサ、生体インピーダンスセンサ、せん断センサ、温度センサまたはその他)からの信号を受信して、パネルを位置付けるために使用されるモータを自動制御することができる。コントローラは、信号を処理して、信号をあらゆる数のモータに送って、使用前、使用中または使用後にパネルを正確に位置付けることができる。
【0076】
図15は、残肢562に埋植可能なセンサ560(破線で示す)を示す。図のセンサ560は、残肢562の1つまたはそれ以上の特徴を検出する。センサ560が圧力センサの場合は、組織内の圧力変化を検出できる。センサ560は筋肉564(破線で示す)の中、またはその付近に埋植するか、骨566(破線で示す)の付近に位置付けて、圧力を検出することができる。センサ560は、筋内圧の変化を検出するために、筋腹に位置付けることができる。埋植可能なセンサをいくつでも、筋肉、腱またはその他の組織の中、またはその付近に配置し、またはそこに装着することができ、信号(例えば、筋電信号)、組織圧またはその他のメトリクスを測定することができる。残肢は、例えば1歩の間にその体積が変化することがあるため、埋植可能なセンサは、1歩の間、または1歩が完了した後にソケットの容積を変化させるための信号を供給するのに十分な感度を持っていてもよい。
【0077】
図16と図17は、下腿切断者のための下肢義足600を示す。義足600は、ライナシステム610を有する。ライナシステム610は、連結手段618によってソケット619に連結することができ、ソケット本体616とパネル617の間の界面(ギャップとして描かれている)を横切って延びる。連結手段618はピンロックシステムとすることができ、および/または1つまたはそれ以上のピン(例えば、隆状付ピン)、ねじ式固定具、スナップ式継手、締め鋼、またはその他を含んでいてもよい。
【0078】
湿分を制御するために、ライナシステム610は、残肢との界面を画定し、湿分の除去を可能にする内層を含む。内層は、概して気密性で、水蒸気を通過させる材料で作製することができる。このような内層は、全体的または部分的に、ポリエステルエステル膜またはその他のバリア層で形成することができる。いくつかの実施形態において、膜は、水蒸気を浸透させるような透湿性のエアバリア層である。バリア層はまた、使用者の皮膚と、概して気密封止部を形成する。
【0079】
バリア層は、緊密に織られた繊維で作製することができる。繊維には、疎水性部分と親水性部分を有するようにすることができる。水蒸気が親水性部分と接触すると、水蒸気は膜の中に疎水性部分と接触するまで吸収され、疎水性部分は水蒸気を膜の反対側から排出する。透湿性によって、膜の各面の温度の湿度勾配を増大させる。すなわち、膜内部の温度と湿度が上昇すると、より多くの水蒸気が膜の外に運ばれる。例としての膜は、全体的または部分的に、SYMPATEX(登録商標)または同様の材料で作製することができる。
【0080】
温度管理を行うために、ライナシステム610には、1つまたはそれ以上の熱素子を含めることができる。熱素子はペルティエ素子とすることができる。ペルティエ素子は、そこを通過する電流の方向に応じて、片側で高温となり、反対側で低温となるソリッドステート構成部品とすることができる。電流の方向を選択するだけで、ペルティエ素子は、所望の時間にわたり冷却させることができる。他の実施形態において、熱素子は抵抗ヒータである。さらに別の実施形態において、熱素子は、作動流体(例えば、空気、水等)が流れるチャネルである。加熱期間中は加熱された流体をチャネル内に流すことができ、冷却期間中は冷却された流体をチャネル内に流すことができる。熱素子の位置、数および種類は、使用者の残肢の所望の温度プロファイルに基づいて選択することができる。例えば、義肢を低温の環境で使用する場合、熱素子は残肢を加熱できる。残肢が高温となりすぎると、熱素子は残肢を冷却して、水腫の発生、過剰な発汗および/または不快感を抑止、防止することができる。
【0081】
図18から図21は、内層620と通気層またはライナ640を含むライナシステム610を示す。通気層640は、複数の通気用造作物を含む。図の通気層640は、列状の貫通穴を有する、穿孔された可撓性のライナである。通気用造作物はまた、これらに限定されないが、開いたチャネル、閉じたチャネル、芯材料、補強用造作物、貫通穴、およびそれらの組み合わせとすることもできる。内層620は、層640の少なくとも実質的部分と重複し、空洞632を画定する。使用者が残肢をライナシステム610の中に挿入すると、内層620は使用者の皮膚と層640の間に挟まれる。
【0082】
内層620は、バリア層として機能して、使用者の皮膚と概して気密封止部を形成し、残肢から義肢600を懸架するのに役立つ。内層620はまた、湿分(例えば、水蒸気)に対して浸透性または半浸透性として、湿分が使用者の皮膚と内層620の間から排除されるようにすることもできる。これによって、気密封止部が維持されるように助け、それと同時に、皮膚界面の過剰な湿分にかかわる多くの問題を排除することができる。内層620は、単層または多層構造の膜とすることができる。単層の実施形態において、膜620は、使用者の皮膚と直接接触することができる。多層の実施形態では、膜620は、使用者の皮膚と接触する接触層と、接触層に連結された別の層(または複数の層)を有していてもよい。接触層は、繊維その他、使用者の皮膚との接触に適した材料とすることができる。
【0083】
層640は、閉鎖端641を有する概して管状の本体を有していてもよい。閉鎖端641は、ソケット619の底部に設置することができる。層640は、使用者にとって快適となるのに役立てるための緩衝機能を提供することができる。ゴム、エラストマ、重合体、プラスチック、発泡材(例えば、連続気泡発泡材、独立気泡発泡材またはその他)または、その他の可撓性または半可撓性材料で層640を形成することができる。層640の厚さ全体に流体が流れるように促進するために、層640には芯材を持たせてもよい。
【0084】
ライナシステム610は、層640を形成することによって製造できる。層640の本体643は、押出し工程、成型工程(例えば、射出成形工程、圧縮成形工程、またはその他の適当な工程)、浸漬またはその他を通じて形成できる。本体643は、押出し可能、または成形可能な材料、例えばゴム、シリコン、ウレタン、または鉱物油ゲルで作製することができる。本体643を成型工程で形成される場合、成型中に貫通穴を形成することができる。本体643が押出し加工される場合は、貫通穴は押出し工程の後に、穿孔工程、穴あけ工程またはその他適当な穴形成工程によって形成することができる。
【0085】
内層620を通気層640に連結させるために、通気層640を裏返し、そこに接着剤の薄膜を被覆する。そして、内層620を層640に接着する。他の工程においては、層640を裏返しにするか、しないかを問わず、材料を層に噴霧、被覆、浸漬またはその他堆積させることによって、内層620を形成することができる。例えば、内層620を層640に硬化させることができる。内層620を層640に連結するために使用する工程は、層640の形状と内層620の特性に基づいて選択できる。
【0086】
再び図18から図21を参照すると、内層620は、層640の内面650と重なる。貫通穴640(図21参照)は、内面650と外面651の間に延びる。内層620は貫通穴649を覆い、それによって湿分が内層620と貫通穴649を通過する。
【0087】
層640は、概して均等に離間された貫通穴649を有する。貫通穴の大きさ、位置、パターンおよび間隔は、ライナシステム600の所望の除湿能力に基づいて選択できる。例えば、貫通穴の数を増やせば、湿分が空洞632から排出される速度を高めることができる。
【0088】
図22から図25は、通気層690の外面680と重複する外層670(例えば、バリア層)を含むライナシステム660を示している。貫通穴は、図25に示されるように、通気層690の内面692と外面680の間に延びる。外層670は、貫通穴を覆い、それによって湿分が貫通穴と、その後外層670を通過する。ライナシステム660がソケット内に取り付けられると、外層670は層690とソケットの内面の間に位置する。
【0089】
図26から図28は、通気層またはライナ702と内層704を含むライナシステム700を示す。内層704は、ライナ702の内部領域に沿って延びる、円周方向に離間された複数のチャネルと重複する。内層704を通過する湿分は、これらのチャネルに沿って容易に移動して、最終的にライナシステム700の外に出る。
【0090】
チャネルは、長さ方向に(図28に示される)、円周方向に、対角線状に、またはその他どの方向にも延ばすことができる。チャネルは、概してU字形の断面、V字形の断面またはその他、流体通路を画定するのに適したどのような断面を有していてもよい。チャネルは、相互接続されて網状構造を形成して、ライナシステム700に沿って流体(例えば、水蒸気、汗またはその他)が分散しやすくすることができる。
【0091】
図29から図30は、異なるチャネル構成を示す。図30は、通気層またはライナ720の中に延びるチャネルを示す。貫通穴730(破線で示される)は、ライナ720の厚さ全体にわたって流体連通し、それと同時に、流体用チャネル732は、ライナ720の長さに沿って流体が流れるようにする。図30に描かれた貫通穴730は、埋め込まれたチャネル732を表面740、742に流体的に連結する。貫通穴730はまた、膜747の形態の外層との流体連通も可能にする。
【0092】
図31は、ライナ752、内層763(例えば、膜の形態のバリア層)およびチャネル765からなるライナシステム750を示す。ライナ762は、膜763とソケット本体766の間にある。チャネル765は、網状構造を形成する。図のチャネル765の網状構造(破線で示される)は、円周方向に延びる離間されたチャネルの第一の集合と、長さ方向に延びる離間されたチャネルの第二の集合を含む。
【0093】
ライナシステム750は、ライナ762の中にチャネル765を形成することによって形成される。これは、ライナ762から材料を除去するか、陽性モデルを使用することによって実現できる。膜763をライナ762に連結するためには、ライナを裏返しにして、これを接着剤の薄い層で被覆すればよい。その後、膜763をライナ762に接着する。
【0094】
図32は、ライナシステムの断面を示す。ライナシステムは、通気層またはライナ780と膜782を含む。チャネル783aから783d(まとめて783という)がライナ780の中に形成される。膜782は、ライナ780に固定またはその他の方法で連結され、チャネル783の各々を横切って延びる。
【0095】
ライナ780には1つまたはそれ以上の補強用造作物785を設けて、ライナシステム750の機械的特性を調節して、チャネル783の変形(例えば、つぶれ)を防止することができる。特定の実施形態において、補強用造作物785(破線で示される)は、埋め込まれた剛性繊維またはフィラメント、またはその他の実施形態である。補強用造作物は、ライナ780を形成する材料の構造的強度を増大させ、それによってチャネル783のつぶれを実質的に排除、抑止または制限することができる。補強用造作物785は、引張および/または圧縮における力には耐えられるが、屈曲または捻りにおいては変形できる材料で作製することができる。例えば、補強用造作物は、全体的または部分的に,金属、重合体または剛性繊維材料で作製することができる。
【0096】
図33は、通気層またはライナ785と膜786を含むライナシステムの一部を示す。複数の補強構造787aから787c(まとめて787という)は、チャネル788aから788c(まとめて788という)のルーメン内に位置付けられ、チャネル788の過剰な変形を防止する。構造787は、概して剛性の中空部材(例えば、スカフォルド、金属管、剛性重合体チューブまたは、流体がその中を流れることができ、チャネル788を形成するその他の構造)とすることができる。補強構造787には、負荷を受けてもその形状を維持するのに十分な剛性を持たせることが可能であり、かつ、中空として、および/または穿孔して、空気、水またはその他を通過させることが可能である。
【0097】
図34は、通気層またはライナ790、膜792および湿分移動材料793を含むライナシステムを示す。湿分移動層793は、チャネル794aから794c(まとめて794という)を通じた流体の移動を促進することができる。図の実施形態において、湿分移動材料793は、チャネル794aから794cのルーメン内に配置され、流体の移動を促進する。特定の実施形態において、材料793は、ライナシステム全体に液体(もしあれば)を分散させるのを助ける。もちろん、ライナ790には、貫通穴またはその他通気を助ける造作物を設けることができる。湿分移動材料793はまた、特に大きな圧力がライナシステムに架かったときに、チャネル794を開放したままにするのを助けることができる。さまざまな芯材(例えば、ポリプロピレン、羊毛その他)またはその他の種類の同様の材料を使用して、湿分移動材料793を形成することができる。
【0098】
図32から図34のライナシステムは、本願で開示する義肢に組み込むことができる。ライナシステムの通気能力は、義肢の設計に基づいて選択できる。例えば、図32のライナシステムで図1のソケット本体124を裏打ちすることができ、これは、かなりの負荷がライナシステムにかかるかもしれないからである。図33のライナシステムでパネル120を裏打ちすることができ、これは、パネル120がそれほど大きな負荷を受けないかもしれないからである。もちろん、異なるタイプの通気用造作物を混合し、マッチさせて、機能を改善することができる。例えば、芯材または流体移動材料を剛性補強構造787(図33参照)と一緒に使用して、所望の機械的特性と通気特性を実現することができる。
【0099】
図35は、ライナシステム800を通って流体が流れるようにする加圧装置810を示す。加圧装置810は、ソケット本体、パネル、パイロンまたは義肢のその他の構成部品に連結するか、使用者に連結する(例えば、紐で固定する)ことができる。加圧装置810は、流体が通気用造作物を通って流れ、湿度、界面の水蒸気の量、温度、ライナシステム800の特性(例えば、圧縮率)またはその他を制御することができる。いくつかの実施形態において、加圧装置810は、空気をピンロックまたは流体ラインを介してチャネル(破線で示される)の中に強制的に送り、ライナシステム800からの湿分の除去を助けるファンを備える。他の実施形態において、加圧装置810は、空気をチャネルから吸引するポンプである。
【0100】
加圧装置810はまた、使用者の体とソケットの間に負圧をかけるためにも使用することができる。このような実施形態は、治癒を促進する陰圧閉鎖療法を実行するのに非常に適している。いくつかの実施形態において、義肢は複数の加圧装置を有し、これらの装置は独立して使用者とソケットの間を真空状態にして、ライナシステムを介した気流または通気を起こさせることができる。
【0101】
文脈上、他の解釈が必要な場合を除き、明細書と以下の特許請求の範囲を通じて、「〜からなる、〜を備える(comprise)」およびその派生形(例えば、comprises,comprising)は、非限定的で包含的な意味、すなわち、「〜を含むが、これらに限定されない」と解釈するものとする。
【0102】
本明細書と特許請求の範囲において、単数形の冠詞(a,an,the)は、文脈上明らかに他の解釈が必要な場合を除き、複数形も含む。また、留意すべき点として、「または(or)」は一般に、文脈上明らかに他の解釈が必要な場合を除き、「および/または」を含む意味で使用される。
【0103】
上記の各種の実施形態を組み合わせて、他の実施形態を提供することができる。本願で説明した連結手段、回転手段、固定手段およびその他の構成部品および造作物は、所望の装置に基づいて混在させ、適合させることができる。本明細書で言及された、および/または出願データシートに列記されたすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献は、その全文を引用によって本願に援用する。各種の特許、出願および公開の概念を使用するために必要であれば、実施形態の態様を改変して、さらに別の実施形態を提供することができる。
【0104】
上記の詳細な説明を参照して、上記およびその他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲で開示される特定の実施形態に限定すると解釈すべきではなく、かかる特許請求の範囲と均等とされるものの全範囲により考えうるすべての実施形態を含むと解釈するべきである。したがって、特許請求の範囲は、この開示によって限定されない。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に義肢に関し、特に調節可能な義肢および/または通気性義肢に関する。
【背景技術】
【0002】
肢切断患者はしばしば、特に長期間装着する場合に不快な義肢を装着する。義肢の界面が苦痛の最大の根源となることが多く、また、さまざまな問題の原因となりうる。義肢のソケットの適合具合が悪いと、水腫、潰瘍、皮膚の欠損、感染およびその他の望ましくない皮膚状態をしばしば引き起こす。従来の義肢ライナでは一般に、使用者の皮膚と隣接した位置に湿分(汗等)が捕捉され、これが上記の問題の要因となる。
【0003】
残肢は、短期間にも長期間にも、その形状と体積が変化することがよくある。これらの変化は、義肢の適合具合に関する問題の原因となる可能性があり、それによってさまざまな望ましくない状態(水腫、潰瘍、皮膚の欠損、擦過傷、感染およびその他)が引き起こされ、医師の治療、義肢の使用停止およびその他が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の義肢は、ソフトライナで裏打ちされた剛性ソケットを有することが多い。ソフトライナは、快適さを改善するための緩衝材の役割を果たす。剛性ソケットは、歩行の立脚相では負荷を使用者の骨格に伝え、安定させ、また歩行の遊脚相において、義肢を懸架する。健常足の踵骨脂肪体と異なり、残肢の軟部組織は負荷を支えるのにはあまり適していない。
【0005】
中には、膨張させて快適さと適合具合を調節することのできる包袋システムを有するソケットもある。このような包袋システムはしばしば、ソケットの剛性外殻と残肢との間に配置される。使用中に繰り返し掛かる負荷の他、包袋を形成する材料の可撓性によって、包袋システム内を適当な圧力に保つのが困難であることが多い。それ故、包袋システムは、長期間の使用には適していない。
【0006】
義肢のソケットを使用者に適合した状態に保つために、使用者の皮膚とソケットの間を真空にすることができる。負圧を使ってソケットの空洞から空気を抜く。残念ながら、ソケットの負圧はしばしば、接触皮膚炎、いぼ状過形成および多大な苦痛の原因となる。残肢の慢性創傷を患う肢切断患者にとって、適合具合の悪いソケットの欠点よりも、傷治療のための陰圧閉鎖治療の利益の方が勝るというケースは限定されている。
【0007】
義肢の熱伝導特性が低いと、義肢が熱エネルギーを保存するヒートキャパシタの機能を果たすことがある。その結果、残肢の温度が上昇し、発汗と水腫の発生を促進しうる。残念ながら、このようなタイプの義肢は長期の使用、特に、比較的高温の環境で装着される場合、または激しい運動を行うために装着する場合に適していない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願において開示される少なくともいくつかの実施形態は、調節可能なソケットを有する義肢を含む。調節可能なソケットには、ソケットの適合具合を調節するための1つまたはそれ以上の可動部分を設けることができる。この部分は、使用者が個別に動かしても、コントローラによって自動的に動かされるようにしてもよい。特定の実施形態において、可動部分は、ソケット本体と協働して、使用者の残肢を保持することのできるパネルの形態である。
【0009】
いくつかの実施形態において、義肢はさらに、ソケット本体と、調節可能なパネルと、ソケット本体と調節可能なパネルとにより画定される空洞と、を備える。調節可能なパネルは、ソケット本体に関して移動可能である。空洞は、残肢を受けるように構成されている。
【0010】
義肢は、いくつかの実施形態において、ソケット本体と調節可能なパネルの複数のホルダによって保持される少なくとも1つの張力部材をさらに備え、張力部材にかかる張力を調節することによって空洞の容積が増大または縮小されるようになっている。張力機構は、張力部材を保持および釈放できる。特定の実施形態において、張力機構は、張力部材を保持する第一の状態と、張力部材を移動させて、空洞の容積を変化させる(例えば、増大または縮小させる)第二の状態を有する。
【0011】
いくつかの態様において、ソケット本体は、調節パネルの略全体を取り囲む窓の周縁を画定する剛性本体を有する。調節パネルが使用者の残肢の遠位部分を取り囲む場合、ソケット本体は、一端が閉鎖された、概して管状の部材とすることができる。窓は、閉鎖端の付近に設けることができる。いくつかの実施形態において、周縁は調節パネル全体を取り囲み、概して長方形の形状の窓を画定する。
【0012】
義肢は、いくつかの実施形態において、使用者の残肢をしっかりと保持する。残肢にかかる圧縮圧力を調節して、快適さを改善することができる。気密状態で適合させることにより、残肢に関するソケット本体の移動を実質的に防止し、抑止し、または制限できる。他の実施形態において、ソケットにより残肢に加えられる圧縮力が、義肢を残肢の上に保持する。ソケットは、エアバリア層を有していても、有していなくてもよい。圧縮力は調節パネルによって、ソケットとライナの間の懸架装置、例えばピンロック、紐またはその他を通じて掛けることができる。さまざまなタイプの構成部品が協働して、残肢を保持することができる。
【0013】
また別の実施形態において、義肢は、ソケット本体と、少なくとも1つの調節パネルと、ソケット本体と調節パネルの両方に連結されたレーシングシステムと、を含む。調節パネルとソケット本体が協働して、残肢を受けるための空洞を画定する。特定の実施形態において、張力機構は、レーシングシステムを保持し、残肢が空洞内にあるとき、ソケット本体に関する調節パネルの移動を制御するように構成される。使用者は、さまざまな活動を実行することができ、その間、張力機構とレーシングシステムが協働して、空洞の形状を保持する。
【0014】
レーシングシステムは、いくつかの実施形態において、第一の調節パネルをソケット本体に紐で連結して、第一の調節パネルが第一の窓の中で懸架されるようにする第一の張力部材を含む。第二の張力部材は、第二の調節パネルをソケット本体に紐で連結して、第二の調節パネルが第二の窓の中で懸架されるようにする。レーシングシステムは、張力部材の中の張力が増大すると、パネルの垂直に延びる部分を空洞に向かって引き寄せる。パネルの上部と下部を使用者の残肢に当たるように引くことができ、それによって均一な圧縮圧力が掛かる。
【0015】
別のいくつかの実施形態において、ソケットは、ソケット本体の内側表面および調節パネルの実質的部分と重複するライナシステムを含む。ライナシステムは、ソケット本体とパネルの間のギャップまたはその他の界面を横切って延びるようにすることができる。これは使用者の残肢を支持し、それと同時に、使用者の皮膚を挟んだり、締め付けすぎたりすることを回避する。特定の実施形態において、ライナシステムは、ソケット本体の内側表面の略全体と重複し、接着剤、連結手段、固定手段またはその他を介してソケット本体に連結することができる。
【0016】
特定の実施形態において、義肢はソケットと、ソケットの形状を変更する調節装置と、を備える。調節装置は、少なくとも1つのセンサと、把持手段または張力機構と、コントローラと、を含む。
【0017】
コントローラは、いくつかの実施形態において、センサおよび張力機構に連通可能に連結される。コントローラは張力機構に対して、センサからの信号に基づいてソケットの形状を調節するように命令する。張力機構は、牽引ユニットと張力部材を含む。牽引ユニットは、コントローラからのコマンド(例えば、信号)に応答して張力部材を引き、ソケットの形状を変更する。コントローラは、センサからの信号(または複数の信号)に基づいて、ソケットの形状を周期的または連続的に調節するようにプログラムできる。
【0018】
また別の実施形態において、義肢は、本体を含むソケットと、レーシングシステムと、レーシングシステムによって本体の開口部の中に懸架されるパネルと、を備える。レーシングシステムは、パネルの周縁を本体に向かって引き、略均一な力を使用者の残肢にかける。
【0019】
さらに他の実施形態において、義肢装置はライナシステムを備える。ライナシステムは通気を可能にし、それと同時に、使用者の残肢との封止部(例えば、気密封止部)を形成することができる。特定の実施形態において、ライナシステムは、表面と裏面を有する水蒸気透過性のエアバリア層を含む。表面は残肢を受けるための内側空洞を画定する。通気層がバリア層の裏面にある。特定の実施形態において、通気層は湿分が通過するための複数の換気用造作物を有し、使用者の皮膚とライナシステムとの界面の湿分を管理する。
【0020】
バリア層は、水蒸気を通過させることができ、それと同時に、空気に対しては実質的に不浸透性である。このようなバリア層は、使用者の残肢が内側空洞の中に位置付けられた状態で、概して気密封止部を形成することができる。使用者の残肢とライナシステムの間を真空にすると、加圧装置を使って大きな負圧をかけずに、真空を保持することができる。いくつかの実施形態において、バリア層には、他の種類の液体、気体またはその他に対して浸透性を持たせることができる。
【0021】
いくつかの他の実施形態において、義肢は人体の解剖学的特徴部に固定可能であり、一般に、調節可能なソケットおよび/または通気性のあるライナシステムを含む。解剖学的特徴部とは、残肢または、義肢との使用に適したその他の特徴部とすることができる。義肢は外部構造(例えば、足、関節、パイロンその他)を使用者の体に連結し、その一方で、ライナシステムはソケットと皮膚との界面として機能する。ライナシステムは、快適さを改善し、界面での問題を抑止し、または実質的に排除し、および/または治癒を促進する。
【0022】
ソケットは、解剖学的特徴部を収容するための湾入部を有する剛性体を有していてもよい。湾入部は、残肢の具体的特徴部(例えば、筋肉、腱、骨、結合組織等)に対応する特定の領域に設けることができる。例えば、下腿切断者の場合、湾入部は膝蓋腱を受けるように位置付けることができる。湾入部の大きさと形状はそれゆえ、残肢の解剖学的構造に基づいて選択することができ、残肢の快適な支持に役立つ。
【0023】
ソケットの胴体は、剛性外殻、フレームまたは、大きな重量を支持できるその他の構造であってもよい。ソケットの少なくとも一部は、全体的または部分的に、剛性材料、例えば金属(金属合金を含む)、プラスチック(例えば、ポリプロピレン)、複合材料(積層材、繊維積層材等)またはこれらの組み合わせで作製することができる。
【0024】
ソケットは、いくつかの実施形態において、複数の張力部材でソケット本体に連結される複数の可動部分を含む。可動部分は、高い引っ張り強さを有する材料で作製することができる。ソケットはまた、張力部材を保持するための把持手段またはロッキング機構、カム、フックまたはその他の装置を含んでいてもよい。
【0025】
いくつかの実施形態において、義肢は、緩衝手段かよび懸架手段となるライナステムを含む。ライナシステムは、複数の通気用造作物を有する。通気用造作物とは、通気口、穴(貫通穴等)、チャネル、通路(例えば、穴、振盪性領域等)またはこれらの組み合わせを含み、残肢の皮膚付近の湿分を発散させることができる。いくつかの実施形態において、気密封止部が皮膚とライナシステムの間に形成される。特定の実施形態において、概して気密状態の層(例えば、膜)が気密封止部を形成する。気密層によって、水蒸気がこの層を通過でき、それと同時に、ソケットを残肢から喧嘩する。
【0026】
別の実施形態において、義肢は、ライナシステムまたはソケットのその他の構成部品を通過して、その中を、および/またはこれを横切って流体(例えば、加熱流体、冷却流体、空気、蒸気またはその他)が移動できるようにする1つまたはそれ以上の加圧装置を有する。加圧装置は、ポンプ、ファン、ブロワまたはその他とすることができる。
【0027】
また別の実施形態において、1つまたはそれ以上の張力部材を使って、装着者の知覚に基づいて、調節可能なソケットの適当な容積を保持することができる。ソケットは、手で、または自動的に調節することができる。自動式の実施形態において、張力部材への張力は牽引装置(例えば、小型モータ)によって増大または縮小できる。例えば、モータは回転して、張力部材の中の張力を増大または縮小させ、ソケットの可動部分を動かし、これによって、調節可能なソケットの容積を調節する。特定の実施形態において、可動部分は剛性または可撓性を有するパネルの形態である。パネルは、使用者の体の一部を取り囲み、ソケット本体と協働して、残肢をしっかりと保持することができる。他の実施形態において、可動部分は、ヒンジまたはその他の方法で相互に連結される複数のパネルからなる。
【0028】
1つまたはそれ以上のセンサは、いつ張力の変化が必要または望ましいかを検出できる。いくつかの実施形態において、1つまたはそれ以上のセンサを義肢のライナシステムの中に取り付ける。センサは、圧力センサ、接触センサ、インピーダンスセンサまたは温度センサとすることができる。残肢の寸法が変化したら、その変化に基づいて義肢を調節することができる。
【0029】
また別の実施形態において、義肢は、異なる位置の調節可能であるようにすることができる。前方で調節可能な義肢は、ソケットの前方領域に位置付けられた少なくとも1つのパネルを有する。側方から調節可能な義肢の場合、1つまたはそれ以上のパネルをソケットの側方または中央領域に位置付けることができる。後方で調節可能な義肢の場合、1つまたはそれ以上のパネルをソケットの後方領域に位置付けることができる。遠位方向から調節可能な義肢では、ソケットの遠位領域をパネルによって形成することができる。パネルの位置のさまざまな組み合わせを使って、所望の調節方式を実現することができる。
【0030】
義肢の調節方法は、義肢のソケットに使用者がかける圧力を検出するステップを含む。ソケットは、ソケット本体の窓に位置付けられた可動パネルを含む。可動パネルは、使用中に使用者の残肢を支持するのを助ける。残肢の形状は、義肢を装着する前に調節できる。使用者は、義肢を構成してから、義肢を残肢に設置することができる。
【0031】
さらに他の実施形態において、義肢の調節方法は、残肢の特徴を検出するステップを含む。ソケットは、ソケットの空洞の容積を調節するために移動可能なパネルを含む。この方法は、少なくとも1つのセンサによって検出された残肢の特徴に基づいてパネルの位置を調節するステップを含む。検出される残肢の特徴には、例えば残肢の温度、残肢の体積、組織の場所およびその他を含めることができる。特定の実施形態において、ソケットは、パネルの調節中、使用者の体重の実質的部分を支持する。ソケットは、1つまたはそれ以上の張力部材によって形状を変化させることができる。いくつかの実施形態において、ソケットにより担持される1つまたはそれ以上のセンサは、特徴を検出する。センサからは1つまたはそれ以上の信号を、コントローラに送信することができ、コントローラはソケットに命令を出す。
【0032】
センサは、ライナシステム、ソケットまたは義肢システムの構成部品の中に取り付けることができ、例えば、これらに限定されることなく、装着者の知覚、残肢の特徴、残肢の状態またはそれらの組み合わせに基づいて、調節可能なソケットの適当な容積を維持するために使用できる。張力部材への張力を増大または縮小させるプロセスの自動化は、張力機構によって実現できる。センサを使って、張力機構のモータを回転させるために、いつ張力を変化させることが必要かを検出することができる。モータは回転して、調節可能なパネルを移動させるための張力を増大または縮小させることができ、それによって調節可能なソケットの容積が調節される。
【0033】
図中、同一の参照番号は同様の要素または動作を指す。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】下腿に取り付けるための義肢の斜視図である。
【図2】図1の義肢の背面図である。
【図3】図2の義肢の線3−3に沿った部分の断面図である。
【図4】図1の義肢の一部の詳細図である。
【図5】1つの実施形態によるソケットの側面図である。
【図6】1つの実施形態による、湾入部を有するソケットの側面図である。
【図7】他の実施形態によるソケットの側面図である。
【図8】閉じた状態の張力機構の側面図である。
【図9】開いた状態の図8の張力機構の側面図である。
【図10】上腿に取り付けるための義肢の斜視図である。
【図11】上腿用義肢の斜視図である。
【図12】自動調節可能なソケットを有する義肢を示す図である。
【図13】複数のセンサを取り付けた残肢の正面図である。
【図14】ソケットの中に設置された図13の残肢の正面図である。
【図15】残肢に埋植されたセンサの正面図である。
【図16】ライナシステムを有する下腿用義肢の斜視図である。
【図17】図17の義肢の線17−17に沿った部分の断面図である。
【図18】1つの実施形態によるライナシステムの斜視図である。
【図19】図18のライナシステムの平面図である。
【図20】図18のライナシステムの、図19の線20−20に沿った断面図である。
【図21】図20のライナシステムの一部の詳細図である。
【図22】他の実施形態によるライナシステムの斜視図である。
【図23】図22のライナシステムの平面図である。
【図24】図22のライナシステムの、図23の線24−24に沿った断面図である。
【図25】図24のライナシステムの一部の詳細図である。
【図26】垂直に延びる複数のチャネルを有するライナシステムの斜視図である。
【図27】図26のライナシステムの平面図である。
【図27A】図26のライナシステムの平面図である。
【図28】図26のライナシステムの、図27の線28−28に沿った断面図である。膜の一部が取り除かれて示されている。
【図29】埋め込まれた複数のチャネルを有するライナシステムの平面図である。
【図30】図29のライナシステムの一部の詳細図である。
【図31】網状チャネルを有するライナシステムの斜視図である。
【図32】チャネルとバリア層を有する換気層を含むライナシステムの一部の断面図である。
【図33】管内補強用造作物を有するライナシステムの断面図である。
【図34】チャネル内に芯材を有するライナシステムの断面図である。
【図35】加圧装置を有するソケットの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
「近位」と「遠位」という用語は、図に示された実施形態を説明するために使用され、非限定的な例示的実施形態と応用の説明に合わせて使用されている。「近位」と「遠位」という用語は、文脈上、明らかに別の解釈がなされる場合を除き、使用者が義肢を装着した時の使用者の体に関して使用される。例えば、義肢の近位側造作物は、義肢の遠位側造作物と比較して、使用者の胴体により近い。しかしながら、図の実施形態と造作物は、様々な所望の位置に配置し、または方向付けられることが分かるであろう。
【0036】
図1から図3は、使用者を支持するための義肢100を示す。義肢100は、足部102、パイロン104、ソケット110を有する。パイロン104は、足部102とソケット110との間に延びる。義肢100を装着するために、残肢を空洞112に挿入することができる。ソケット110は、パイロン104の上端128に連結され、足部102が繰り返し支持面と接触する際も、残肢にしっかりと連結された状態に保たれる。図の義肢100は、下腿残肢を受けるための下腿義足の形態である。
【0037】
ソケット110は、義肢100の適合具合を変化させて、例えば、快適さ、適合具合、性能(例えば、安定性、バランス等)を改善し、望ましくない状態(例えば、潰瘍、水腫等)を軽減させ、治癒を促進し、またはその他のために調節できる。ソケット110は、窓126の中に位置付けられた調節パネル120を有する。パネル120は、ソケット本体124に関して移動させて、空洞112の特徴(例えば、形状、容積、寸法等)を変えることができる。調節は、例えば、これらに限定されないが、力、圧力(例えば、使用者によってかけられる圧力)、残肢の特徴(例えば、残肢の形状、大きさ、残肢体積、皮膚温度、組織組成等)、残肢の状態(例えば、潰瘍、水腫、病変等の位置)またはその他に基づいて行うことができる。残肢が時間と共に変化したら、ソケット110は、形状の変化に対応するために、何度でもその形状を変えることができる。
【0038】
パネル120は、図3の矢印134によって示されるように内側に、また図3の矢印136によって示されるように外側に移動させることができる。例えば、パネル120は、内側または外側に移動させて、空洞112の容積をそれぞれ縮小または増大させることができる。このようにして、パネル120は何度でも方位と位置を変えることができる。
【0039】
ソケット周縁148は、窓126を画定し、離間した状態でパネル120の周辺付近に位置付けることができる。図の実施形態を含むいくつかの実施形態において、周縁148は連続的周縁であり、パネル120全体を取り囲む。ギャップ147がパネル120と周縁148との間に画定される。図の実施形態を含む特定の実施形態において、ギャップ147の幅は略均一である。他の実施形態では、ギャップ147の幅は変化する。
【0040】
図3を参照すると、ソケット本体124の上部149は、ソケット110の入口152を画定する。窓126の上端は、入口152から離間されている。側壁154は、窓126とリム149との間に延びるようにすることができる。そのため、残肢の遠位部分だけがパネル120と係合する。側壁154は概して管状の形状を有し、残肢の近位部を取り囲む。側壁154の高さ、ソケット本体124の全体的寸法およびパネル120の寸法と形状は、残肢の形状、寸法および/または組織組成に基づいて選択できる。
【0041】
図1を再び参照すると、ソケット110はレーシングシステム144を有する。レーシングシステム144は、パネル120とソケット本体124を紐で結合する1対の張力部材150a、150b(以下、まとめて150とする)を有する。張力部材150aは、ソケット本体124の各ホルダ160a、160bによって保持され、またパネル120の各ホルダ170a、170b、170cによって保持される。図の張力部材150aは、ホルダ160、170の間に交互に渡され、略ジグザグの形状となる。図の張力部材150aはギャップ147を横切って延び、パネル120の縦方向の長さの大部分をソケット本体124に連結する。パネル120は、パネルの縦方向の長さに沿って掛けられる概して均一な力により、内側に引き寄せることができる。これによって、概して均一な圧力が残肢の後方部分に掛かるようにする。このようにして張力部材150aの張力を増大または縮小させ、後方からの調節を可能にすることができる。
【0042】
張力部材150a、150bは例えば、これらに限定されないが、ケーブル、紐、またはその他の種類の、比較的大きな張力に耐えられる柔軟で長い部材とすることができる。張力部材150aは、全体的または部分的に、重合体、プラスチック、金属(例えば、金属線ブレード)またはその他で作製することができる。いくつかの実施形態において、張力部材150aは、金属ケーブル(例えば、鋼鉄ケーブル)を重合体で被覆したものである。重合体被膜は、ホルダ160、170との摩擦界面を縮小または限定することができる。特定の実施形態において、張力部材150は電気活性材料からなる。例えば、張力部材150は、印加される電圧が変化すると大きく歪む可能性のある電気活性重合体製のケーブルとすることができる。電気活性重合体ケーブルはそれ故、電圧を変化させることによって伸張または収縮でき、それによって義肢100の容積を変化させることができる。
【0043】
ホルダ160、170は例えば、これらに限定されないが、フック、グロメット、小穴、ループまたはその他、少なくとも1つの張力部材を保持し、または受けるための造作物とすることができる。ホルダ160、170は開口部(例えば、閉じた開口部、U字形等の開放した開口部またはその他)を有するものとすることができる。図のホルダ160、170は、そこを通過する張力部材を保持するための、概してU字形のフックを含み、ソケット本体124とパネル120に連結されている。他の実施形態では、パネル120の一部でホルダを形成することができる。例えば、パネル120に形成された貫通穴をホルダとすることができる。張力部材をこの貫通穴に通すことができる。グロメットまたはその他の種類の補強手段をパネル内に組み込み、貫通穴周辺の材料を強化することができる。
【0044】
パネル120は、概して残肢の一部に対応する形状を有し、残肢を密接に取り囲むようにすることができる。図のパネル120は概して弓状の形状を有し、剛性、半可撓性または可撓性であってもよい。剛性の実施形態としては、パネル120を金属、複合材料、重合体またはその他で作製することができる。半可撓性の実施形態としては、パネル120を多層構造とすることができる。パネルの第一の部分を剛性構造、例えば金属製とすることができる。パネルの他の部分を可撓性材料、例えば可撓性重合体、ゴム、エラストマまたはその他で作製することができる。可撓性の実施形態では、パネル120を容易に残肢の形状へと変形させることができる。可撓性パネルは、高可撓性またはドレープ性材料、例えば織物、撓み性材料またはその他で形成することができる。通気を促進するために、パネル120は通気性材料からなっていてもよい。
【0045】
図1から図4を参照すると、張力機構200aは張力部材150aを選択的に保持する。パネルを内側に移動させるためには、使用者は張力部材150aの端210を引くことができる。パネル120が所望の位置に到達したら、使用者は張力部材150aを放すことができる。張力機構200aは張力部材150aを保持して、パネル120の外側への移動を制限する。
【0046】
図4の張力機構200aは、1対のカム部材212a、212b(まとめて212とする)を有する。カム部材212は、ロック位置(図の位置)と釈放位置(破線の位置)から移動可能である。カム部材212a、212bはそれぞれ、回転軸214a、214bの周囲で回転する。張力部材150aが引っ張られると、張力部材150aはカム部材212aを時計回り方向に引き、カム部材212bを反時計回り方向に引く。同心円部分216a、216bは協働して張力部材150aを挟み、保持する。これは、図4に示されている。
【0047】
使用者が端210を引くと、張力部材150aがカム部材212aを反時計回り方向に、またカム部材212bを時計回り方向に回転させて、釈放位置に移動させる。張力部材150aは、使用者によって釈放されると、再びカム部材212aを時計回り方向に、またカム部材212bを反時計回り方向に回転させる。このようにして、張力機構200aはセルフロックできる。もちろん、使用者は、張力部材150を引かずに、手でカム部材212を移動させることができる。
【0048】
図1から図4の義肢100を製造するために、ソケット本体124を装着者に適合するように形成できる。ソケット本体124を形成するために、義肢装具士は、残肢の成型、デジタルスキャン、陽性モデル製作用コンピュータ援用製造技術の利用またはその他により、残肢の陽性モデルを製作することができる。コンピュータ援用による設計/コンピュータ援用による製造はまた、義肢装具クリニックや中央加工所のいずれにおいても、陽性モデルの製作に使用されるかもしれない。陽性モデル形成後、義肢装具士または義肢技術者は陽性モデルの周囲に供給した材料を成型することができる。成型材料は、熱可塑性材料、熱硬化性材料またはその他とすることができる。成型材料が熱可塑性材料である場合は、熱可塑性材料を陽性モデルの周囲で加熱し、成形することができる。熱可塑性材料を冷却して最終形状とすることができる。成型材料が熱硬化性材料である場合は、成型材料をモデルの周囲で成型し、その後硬化させることができる。例えば、成型材料を積層させて、陽性モデルの周囲に巻き付けることができる。積層物は硬化させることができ、積層物を陽性モデルから除去することができる。各種の実施形態において、ソケット本体124の外郭は、全体的または部分的にプラスチック、複合材料、金属またはそれらの組み合わせで作製することができる。プラスチックには、ポリプロピレン、ポリエステルまたは、適当な機械的特性(圧縮率、降伏力、極限強度、弾性係数等)を有するその他のプラスチックを含めることができる。複合材料には、繊維強化複合体、積層材またはその他が含まれる。複合材料には、繊維強化複合材料、積層材またはその他が含まれる。金属には、金属合金が含まれる。
【0049】
ソケット本体124を形成した後に、窓126を切り取ることによって、ソケット本体124の一部を除去できる。ソケット本体124が確実に肢切断患者を支持するようにするために、窓126は、残肢の骨側領域と反対の、軟部組織の通常領域の上に設置できる。窓126は、使用者が選択するどのサイズの穴であってもよい。もちろん、ソケット本体124は、必要な使用者の体重を支持するのに十分な大きさであるべきである。ソケット110は、使用者の体重のほとんどが残肢の所望の領域で指示されるように形成、構成することができる。
【0050】
図5は、湾入部215を有する調節可能な下腿用ソケット110の側面図である。湾入部215は、ソケット110の中に支持される残肢の膝蓋腱に対応する。逃げ用切欠き部216によって、膝腱が収縮できる。さまざまな湾入部および/または切欠き部をソケット110に形成できる。湾入部および/または切欠き部またはその他の造作物の構成、形状、寸法および位置は、残肢の生体構造に基づいて選択することができる。
【0051】
図6は、前方および後方で支持する、調節可能な上腿用ソケット190の側面図である。ソケット190は、調節可能なパネル197を有するソケット本体196を含み、調節可能なパネル197は、レーシングシステム194によってソケット本体196に連結されている。レーシングシステム194は、パネル197の片側の第一の張力部材185と、パネル197の反対側の別の張力部材187を含む。張力部材185、187は、パネル197の縦方向の縁辺に沿って上方に延びる。
【0052】
ソケット本体196は、体重の支持を助けるための湾入部195を持つように形成される。湾入部195は装着者の坐骨と接触して、残肢の支持を助けることができる。前方支持領域189は、ソケット190が過剰に折れ曲がるのを防止する。
【0053】
図7は、別の上腿義足193の側面図である。ソケット本体195は、体重の支持を助ける湾入部183を有するように形成される。湾入部183は、装着者の坐骨と接触して、残肢の支持を助ける。
【0054】
図8と図9は、張力機構200のある実施形態を示す。図8は、張力部材150を保持するための第一の状態にある張力機構200を示す。図9は、張力部材150の移動を可能にする第二の状態にある張力機構200を示す。張力機構200は、1対の把持手段230a、230bおよびアクチュエータ232を含む。アクチュエータ232は、把持手段230bを把持手段230aの方向に移動させて、張力部材150を圧縮し、保持する。
【0055】
把持手段230a、230bは、確実に適正な接触が行われるように、ヒンジ240a、240bの周囲で旋回できる。ヒンジ240bのシャフト250は、アクチュエータ232のスロット252に沿って移動させることができる。アクチュエータ232は、把持手段230bを把持手段230aから離すように移動させて、張力部材150を解放でき、いくつのソレノイド、電力供給部(例えば、電池、電源その他)、機械的クランプ、モータまたはその他を含むことができる。
【0056】
張力機構200は、手で、またはコントローラ(例えば、義肢に連結されるか、一体的に組み込まれるコントローラ、外付けコントローラ、ネットワーク、コンピュータまたはその他)等、他の構成部品によって制御することができる。コントローラは、プログラム、ソケットからのフィードバック(例えば、ソケット内のセンサからの信号)、制御アルゴリズムまたはその他に基づいて、張力機構200を動作させることができる。他の実施形態において、アクチュエータ232は内部コントローラを備えるものとすることができる。
【0057】
さまざまなその他の種類の張力機構を、本願で開示する義肢に使用することができる。非限定的な例としての張力機構には、例えばクランプ(例えば、機械的クランプ、電気機械クランプ、空気圧クランプ等)、牽引ユニットまたはその他を含めることができる。張力機構の構成と設計は、ソケットの形状変更に必要な力、ソケットを所望の形状にとどめるのに必要な力、またはその他に基づいて選択できる。
【0058】
図10と図11は、概して図1から図4に関連して説明した義肢と同様の義肢を示すが、相違点を以下に説明する。
【0059】
図10は、上腿義足300の形態の義肢を示す。義足300は、前方および後方支持部310、311を有し、一般に、足部302、義肢膝部312、足部302と膝部312の間のパイロン416を有する。ソケット320は、義肢膝部312に連結される。
【0060】
ソケット320は、独立して調節可能な複数のパネル330a、330b(まとめて330とする)を有する。パネル330は協働して、ソケット320の中での過剰な変形または過剰な屈曲を実質的に防止、抑止または制限することができる。図のパネル330は一般にソケット本体334の中間の側面に配置され、ソケット320が歩行中に装着者を支持できるように十分な剛性を維持する。もちろん、前方および後方領域310、311が、歩行、走行またはその他の種類の激しい運動中の支持のほとんどを担う。
【0061】
図11は、前方からの調節が可能な上腿義足350の形態の義肢を示す。義足350は、後方支持部370と調節可能な前方パネル380を有するソケット360を含む。パネル380は、残肢の前方領域の軟部組織を覆うように位置付けられる。
【0062】
図12は、自動形状変更が可能な義肢400を示す。義肢400は、張力機構420とコントローラ430(破線で示す)を含む調節装置417を有する。コントローラ430は、張力機構420に対して容積調節を行うように命令することができる。1つまたはそれ以上のセンサ455(破線で示す)をコントローラ430に連通可能に連結することができる。コントローラ430は、センサからの信号を受信し、また、信号を張力機構420の構成部品(例えば、モータ)に送信することができる。
【0063】
図の張力機構420は、張力部材440を緊張または弛緩させることのできる牽引ユニット450(破線で示す)を含む。牽引ユニット450には、1つまたはそれ以上のモータ、スプール、スピンドルまたはその他を含めることができる。
【0064】
コントローラ430には一般に、例えば、これらに限定されることなく、1つまたはそれ以上の中央処理ユニット、処理装置、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途集積回路(ASIC)およびその他を含めることができる。情報を保存するために、コントローラはまた、1つまたはそれ以上の記憶素子、例えば揮発性メモリ、不揮発性メモリ、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)およびその他も含む。コントローラのディスプレイの例としては、これらに限定されないが、LCDスクリーン、モニタ、アナログディスプレイ、デジタルディスプレイ(例えば、発光ダイオードディスプレイ)またはその他、情報の表示に適した装置がある。ディスプレイは、ソケットの設計、力のプロファイル、センサにより収集されたデータ(例えば、使用者によってかけられる圧力、張力部材440にかかる力またはその他)あるいはその他あらゆる情報を表示することができる。コントローラ430は、情報を保存できる。「情報」という用語は、例えば、これらに限定されないが、1つまたはそれ以上のプログラム、実行可能なコードまたは命令、演算命令、それらの組み合わせおよびその他を含む。コントローラ430は、さまざまなプログラムを保存することができる。プログラムには、ソケットの形状変更、加圧装置の制御、熱素子の制御またはその他のためのプログラムを含めることができる。
【0065】
センサは、ソケット463の中、ライナシステムまたはその他の構成部品の中に組み込むことができる。センサが別の構成部品の一部である場合(例えば、残肢に装着可能なスリーブ)、センサを無線でコントローラ430と通信させることができる。センサがソケット463に装着され、その中に埋め込まれ、またはその他の方法で連結されている場合、センサを有線または無線でコントローラ430に連結させることができる。
【0066】
図12はまた、張力部材440の張力を(例えば、継続的、間欠的等に)モニタするロードセル460の形態のセンサを示す。ロードセルはいくつでも使用できる。例えば、レーシングシステムが複数の張力部材を有する場合、各張力部材は、例えば、パネル461またはソケット本体464で担持される異なるロードセルでモニタすることができる。
【0067】
ソケットは、無数の形状へと動く駆動材料で形成することができる。駆動材料には、これらに限定されないが、形状記憶合金(例えば、ニチノール)、形状記重合体、電気活性重合体、圧電材料またはこれらの組み合わせを含めることができる。形状記憶材料の中には、温度変化、印加される電流またはそれらの組み合わせに応答して状態(例えば、事前設定された形状)を変化させることができ、使用者の残肢を収容するように、無数の事前設定される形状を有することができるものもある。いくつかの実施形態において、駆動材料は、1種類の活動(例えば、歩行)を実行するための第一の形状と、別の活動(例えば、歩行、ジョギング等)を実行するための別の形状を有することができる。別の実施形態において、駆動材料は、残肢が第一の形状を有するときに第一の形状を、残肢が第二の形状を有するときに別の形状を有する。残肢の形状は時間とともに変化する可能性があるため、駆動材料を使って義肢の形状を調節し、適合具合を改善することができる。図12のコントローラ430は、各種の駆動材料を使用して、ソケット410またはパネル461の形状を調節するために使用できる。
【0068】
図12の義肢400のいくつかの調節方法において、使用者がソケット463に掛ける圧力がセンサ455によって検出される。パネル461の位置は、検出された圧力に基づいて調節される。パネル461の位置変更中に、使用者の体重の実質的部分(例えば、使用者の体重の略全体、使用者の体重の少なくとも50%またはその他)はソケット本体464によって支持される。これによって、義肢400を取り外すことなく、義肢400の調節を行うことができる。
【0069】
図13と図14を参照すると、残肢500には、表面に取り付けるセンサ504を担持することができる。センサ504は、残肢500の皮膚に直接接される。図14は、ソケット520の中に設置された残肢500を示す。センサの数、大きさおよび位置は、検出されることになっている特徴に基づいて選択することができる。検出される特徴は、残肢の体積、組織の種類、残肢の温度、残肢のインピーダンスまたはその他とすることができる。図の4つの離間されたセンサ504は、筋電(EMG)センサである。
【0070】
義肢がコントローラを含む場合、コントローラはセンサからの信号を受信し、その後、ソケット容積を調節することができる。センサはまた、スリーブのうち残肢に装着される部分であってもよく、また、コントローラと無線で通信することができる。センサ(例えば、センサ500)がソケットに装着され、その中に埋め込まれ、またはその他の方法で連結されている場合、センサは有線または無線でコントローラに接続できる。
【0071】
図13と図14を引き続き参照すると、センサ540は、圧力変化を検出する圧力センサとすることができる。残肢500が収縮すると、ソケット520の中の圧力が低下し、それによって、張力部材の張力を高めることによって調節パネルを移動させる必要がある。
【0072】
生体インピーダンスセンサは、残肢500の体積変化を検出できる。残肢500の体積は、細胞外液が押し出されると収縮しうる。生体インピーダンスは、細胞外液が減少すると大きくなることがある。したがって、残肢の体積と生体インピーダンスの間には間接的な線形逆相関がある。相関は、ソケット520の所望の形状を決定するために使用できる。生体インピーダンスはそれゆえ、インピーダンスセンサの形態のセンサ504を使ってモニタし、ソケット520の形状を動的に変化させることができる。
【0073】
センサ504は、せん断力を測定するために位置付けられたせん断センサの形態とすることができる。残肢500が収縮すると、ソケット520の全体的適合具合は緩くなることがある。その結果、残肢500とソケット520の間の移動が増大し、それ故、残肢500に対するせん断力が増大する。せん断力は、調節パネルを移動させることによって軽減、または除去することができる。
【0074】
センサ504は、温度センサの形態とすることもできる。温度センサ504は、残肢500の温度を検出することができる。皮膚への血液かん流は、皮膚温度上昇に対する自然の体温調節反応である。皮膚温度が高いほど、皮膚表面に到達する血液が多くなり、熱を放散させる。したがって、残肢500の体積は、皮膚温度の上昇とともに増大し、張力部材への張力を減少させることによって、調節パネルを移動させる必要が生じる。
【0075】
自動張力機構は、センサ(例えば、圧力センサ、生体インピーダンスセンサ、せん断センサ、温度センサまたはその他)からの信号を受信して、パネルを位置付けるために使用されるモータを自動制御することができる。コントローラは、信号を処理して、信号をあらゆる数のモータに送って、使用前、使用中または使用後にパネルを正確に位置付けることができる。
【0076】
図15は、残肢562に埋植可能なセンサ560(破線で示す)を示す。図のセンサ560は、残肢562の1つまたはそれ以上の特徴を検出する。センサ560が圧力センサの場合は、組織内の圧力変化を検出できる。センサ560は筋肉564(破線で示す)の中、またはその付近に埋植するか、骨566(破線で示す)の付近に位置付けて、圧力を検出することができる。センサ560は、筋内圧の変化を検出するために、筋腹に位置付けることができる。埋植可能なセンサをいくつでも、筋肉、腱またはその他の組織の中、またはその付近に配置し、またはそこに装着することができ、信号(例えば、筋電信号)、組織圧またはその他のメトリクスを測定することができる。残肢は、例えば1歩の間にその体積が変化することがあるため、埋植可能なセンサは、1歩の間、または1歩が完了した後にソケットの容積を変化させるための信号を供給するのに十分な感度を持っていてもよい。
【0077】
図16と図17は、下腿切断者のための下肢義足600を示す。義足600は、ライナシステム610を有する。ライナシステム610は、連結手段618によってソケット619に連結することができ、ソケット本体616とパネル617の間の界面(ギャップとして描かれている)を横切って延びる。連結手段618はピンロックシステムとすることができ、および/または1つまたはそれ以上のピン(例えば、隆状付ピン)、ねじ式固定具、スナップ式継手、締め鋼、またはその他を含んでいてもよい。
【0078】
湿分を制御するために、ライナシステム610は、残肢との界面を画定し、湿分の除去を可能にする内層を含む。内層は、概して気密性で、水蒸気を通過させる材料で作製することができる。このような内層は、全体的または部分的に、ポリエステルエステル膜またはその他のバリア層で形成することができる。いくつかの実施形態において、膜は、水蒸気を浸透させるような透湿性のエアバリア層である。バリア層はまた、使用者の皮膚と、概して気密封止部を形成する。
【0079】
バリア層は、緊密に織られた繊維で作製することができる。繊維には、疎水性部分と親水性部分を有するようにすることができる。水蒸気が親水性部分と接触すると、水蒸気は膜の中に疎水性部分と接触するまで吸収され、疎水性部分は水蒸気を膜の反対側から排出する。透湿性によって、膜の各面の温度の湿度勾配を増大させる。すなわち、膜内部の温度と湿度が上昇すると、より多くの水蒸気が膜の外に運ばれる。例としての膜は、全体的または部分的に、SYMPATEX(登録商標)または同様の材料で作製することができる。
【0080】
温度管理を行うために、ライナシステム610には、1つまたはそれ以上の熱素子を含めることができる。熱素子はペルティエ素子とすることができる。ペルティエ素子は、そこを通過する電流の方向に応じて、片側で高温となり、反対側で低温となるソリッドステート構成部品とすることができる。電流の方向を選択するだけで、ペルティエ素子は、所望の時間にわたり冷却させることができる。他の実施形態において、熱素子は抵抗ヒータである。さらに別の実施形態において、熱素子は、作動流体(例えば、空気、水等)が流れるチャネルである。加熱期間中は加熱された流体をチャネル内に流すことができ、冷却期間中は冷却された流体をチャネル内に流すことができる。熱素子の位置、数および種類は、使用者の残肢の所望の温度プロファイルに基づいて選択することができる。例えば、義肢を低温の環境で使用する場合、熱素子は残肢を加熱できる。残肢が高温となりすぎると、熱素子は残肢を冷却して、水腫の発生、過剰な発汗および/または不快感を抑止、防止することができる。
【0081】
図18から図21は、内層620と通気層またはライナ640を含むライナシステム610を示す。通気層640は、複数の通気用造作物を含む。図の通気層640は、列状の貫通穴を有する、穿孔された可撓性のライナである。通気用造作物はまた、これらに限定されないが、開いたチャネル、閉じたチャネル、芯材料、補強用造作物、貫通穴、およびそれらの組み合わせとすることもできる。内層620は、層640の少なくとも実質的部分と重複し、空洞632を画定する。使用者が残肢をライナシステム610の中に挿入すると、内層620は使用者の皮膚と層640の間に挟まれる。
【0082】
内層620は、バリア層として機能して、使用者の皮膚と概して気密封止部を形成し、残肢から義肢600を懸架するのに役立つ。内層620はまた、湿分(例えば、水蒸気)に対して浸透性または半浸透性として、湿分が使用者の皮膚と内層620の間から排除されるようにすることもできる。これによって、気密封止部が維持されるように助け、それと同時に、皮膚界面の過剰な湿分にかかわる多くの問題を排除することができる。内層620は、単層または多層構造の膜とすることができる。単層の実施形態において、膜620は、使用者の皮膚と直接接触することができる。多層の実施形態では、膜620は、使用者の皮膚と接触する接触層と、接触層に連結された別の層(または複数の層)を有していてもよい。接触層は、繊維その他、使用者の皮膚との接触に適した材料とすることができる。
【0083】
層640は、閉鎖端641を有する概して管状の本体を有していてもよい。閉鎖端641は、ソケット619の底部に設置することができる。層640は、使用者にとって快適となるのに役立てるための緩衝機能を提供することができる。ゴム、エラストマ、重合体、プラスチック、発泡材(例えば、連続気泡発泡材、独立気泡発泡材またはその他)または、その他の可撓性または半可撓性材料で層640を形成することができる。層640の厚さ全体に流体が流れるように促進するために、層640には芯材を持たせてもよい。
【0084】
ライナシステム610は、層640を形成することによって製造できる。層640の本体643は、押出し工程、成型工程(例えば、射出成形工程、圧縮成形工程、またはその他の適当な工程)、浸漬またはその他を通じて形成できる。本体643は、押出し可能、または成形可能な材料、例えばゴム、シリコン、ウレタン、または鉱物油ゲルで作製することができる。本体643を成型工程で形成される場合、成型中に貫通穴を形成することができる。本体643が押出し加工される場合は、貫通穴は押出し工程の後に、穿孔工程、穴あけ工程またはその他適当な穴形成工程によって形成することができる。
【0085】
内層620を通気層640に連結させるために、通気層640を裏返し、そこに接着剤の薄膜を被覆する。そして、内層620を層640に接着する。他の工程においては、層640を裏返しにするか、しないかを問わず、材料を層に噴霧、被覆、浸漬またはその他堆積させることによって、内層620を形成することができる。例えば、内層620を層640に硬化させることができる。内層620を層640に連結するために使用する工程は、層640の形状と内層620の特性に基づいて選択できる。
【0086】
再び図18から図21を参照すると、内層620は、層640の内面650と重なる。貫通穴640(図21参照)は、内面650と外面651の間に延びる。内層620は貫通穴649を覆い、それによって湿分が内層620と貫通穴649を通過する。
【0087】
層640は、概して均等に離間された貫通穴649を有する。貫通穴の大きさ、位置、パターンおよび間隔は、ライナシステム600の所望の除湿能力に基づいて選択できる。例えば、貫通穴の数を増やせば、湿分が空洞632から排出される速度を高めることができる。
【0088】
図22から図25は、通気層690の外面680と重複する外層670(例えば、バリア層)を含むライナシステム660を示している。貫通穴は、図25に示されるように、通気層690の内面692と外面680の間に延びる。外層670は、貫通穴を覆い、それによって湿分が貫通穴と、その後外層670を通過する。ライナシステム660がソケット内に取り付けられると、外層670は層690とソケットの内面の間に位置する。
【0089】
図26から図28は、通気層またはライナ702と内層704を含むライナシステム700を示す。内層704は、ライナ702の内部領域に沿って延びる、円周方向に離間された複数のチャネルと重複する。内層704を通過する湿分は、これらのチャネルに沿って容易に移動して、最終的にライナシステム700の外に出る。
【0090】
チャネルは、長さ方向に(図28に示される)、円周方向に、対角線状に、またはその他どの方向にも延ばすことができる。チャネルは、概してU字形の断面、V字形の断面またはその他、流体通路を画定するのに適したどのような断面を有していてもよい。チャネルは、相互接続されて網状構造を形成して、ライナシステム700に沿って流体(例えば、水蒸気、汗またはその他)が分散しやすくすることができる。
【0091】
図29から図30は、異なるチャネル構成を示す。図30は、通気層またはライナ720の中に延びるチャネルを示す。貫通穴730(破線で示される)は、ライナ720の厚さ全体にわたって流体連通し、それと同時に、流体用チャネル732は、ライナ720の長さに沿って流体が流れるようにする。図30に描かれた貫通穴730は、埋め込まれたチャネル732を表面740、742に流体的に連結する。貫通穴730はまた、膜747の形態の外層との流体連通も可能にする。
【0092】
図31は、ライナ752、内層763(例えば、膜の形態のバリア層)およびチャネル765からなるライナシステム750を示す。ライナ762は、膜763とソケット本体766の間にある。チャネル765は、網状構造を形成する。図のチャネル765の網状構造(破線で示される)は、円周方向に延びる離間されたチャネルの第一の集合と、長さ方向に延びる離間されたチャネルの第二の集合を含む。
【0093】
ライナシステム750は、ライナ762の中にチャネル765を形成することによって形成される。これは、ライナ762から材料を除去するか、陽性モデルを使用することによって実現できる。膜763をライナ762に連結するためには、ライナを裏返しにして、これを接着剤の薄い層で被覆すればよい。その後、膜763をライナ762に接着する。
【0094】
図32は、ライナシステムの断面を示す。ライナシステムは、通気層またはライナ780と膜782を含む。チャネル783aから783d(まとめて783という)がライナ780の中に形成される。膜782は、ライナ780に固定またはその他の方法で連結され、チャネル783の各々を横切って延びる。
【0095】
ライナ780には1つまたはそれ以上の補強用造作物785を設けて、ライナシステム750の機械的特性を調節して、チャネル783の変形(例えば、つぶれ)を防止することができる。特定の実施形態において、補強用造作物785(破線で示される)は、埋め込まれた剛性繊維またはフィラメント、またはその他の実施形態である。補強用造作物は、ライナ780を形成する材料の構造的強度を増大させ、それによってチャネル783のつぶれを実質的に排除、抑止または制限することができる。補強用造作物785は、引張および/または圧縮における力には耐えられるが、屈曲または捻りにおいては変形できる材料で作製することができる。例えば、補強用造作物は、全体的または部分的に,金属、重合体または剛性繊維材料で作製することができる。
【0096】
図33は、通気層またはライナ785と膜786を含むライナシステムの一部を示す。複数の補強構造787aから787c(まとめて787という)は、チャネル788aから788c(まとめて788という)のルーメン内に位置付けられ、チャネル788の過剰な変形を防止する。構造787は、概して剛性の中空部材(例えば、スカフォルド、金属管、剛性重合体チューブまたは、流体がその中を流れることができ、チャネル788を形成するその他の構造)とすることができる。補強構造787には、負荷を受けてもその形状を維持するのに十分な剛性を持たせることが可能であり、かつ、中空として、および/または穿孔して、空気、水またはその他を通過させることが可能である。
【0097】
図34は、通気層またはライナ790、膜792および湿分移動材料793を含むライナシステムを示す。湿分移動層793は、チャネル794aから794c(まとめて794という)を通じた流体の移動を促進することができる。図の実施形態において、湿分移動材料793は、チャネル794aから794cのルーメン内に配置され、流体の移動を促進する。特定の実施形態において、材料793は、ライナシステム全体に液体(もしあれば)を分散させるのを助ける。もちろん、ライナ790には、貫通穴またはその他通気を助ける造作物を設けることができる。湿分移動材料793はまた、特に大きな圧力がライナシステムに架かったときに、チャネル794を開放したままにするのを助けることができる。さまざまな芯材(例えば、ポリプロピレン、羊毛その他)またはその他の種類の同様の材料を使用して、湿分移動材料793を形成することができる。
【0098】
図32から図34のライナシステムは、本願で開示する義肢に組み込むことができる。ライナシステムの通気能力は、義肢の設計に基づいて選択できる。例えば、図32のライナシステムで図1のソケット本体124を裏打ちすることができ、これは、かなりの負荷がライナシステムにかかるかもしれないからである。図33のライナシステムでパネル120を裏打ちすることができ、これは、パネル120がそれほど大きな負荷を受けないかもしれないからである。もちろん、異なるタイプの通気用造作物を混合し、マッチさせて、機能を改善することができる。例えば、芯材または流体移動材料を剛性補強構造787(図33参照)と一緒に使用して、所望の機械的特性と通気特性を実現することができる。
【0099】
図35は、ライナシステム800を通って流体が流れるようにする加圧装置810を示す。加圧装置810は、ソケット本体、パネル、パイロンまたは義肢のその他の構成部品に連結するか、使用者に連結する(例えば、紐で固定する)ことができる。加圧装置810は、流体が通気用造作物を通って流れ、湿度、界面の水蒸気の量、温度、ライナシステム800の特性(例えば、圧縮率)またはその他を制御することができる。いくつかの実施形態において、加圧装置810は、空気をピンロックまたは流体ラインを介してチャネル(破線で示される)の中に強制的に送り、ライナシステム800からの湿分の除去を助けるファンを備える。他の実施形態において、加圧装置810は、空気をチャネルから吸引するポンプである。
【0100】
加圧装置810はまた、使用者の体とソケットの間に負圧をかけるためにも使用することができる。このような実施形態は、治癒を促進する陰圧閉鎖療法を実行するのに非常に適している。いくつかの実施形態において、義肢は複数の加圧装置を有し、これらの装置は独立して使用者とソケットの間を真空状態にして、ライナシステムを介した気流または通気を起こさせることができる。
【0101】
文脈上、他の解釈が必要な場合を除き、明細書と以下の特許請求の範囲を通じて、「〜からなる、〜を備える(comprise)」およびその派生形(例えば、comprises,comprising)は、非限定的で包含的な意味、すなわち、「〜を含むが、これらに限定されない」と解釈するものとする。
【0102】
本明細書と特許請求の範囲において、単数形の冠詞(a,an,the)は、文脈上明らかに他の解釈が必要な場合を除き、複数形も含む。また、留意すべき点として、「または(or)」は一般に、文脈上明らかに他の解釈が必要な場合を除き、「および/または」を含む意味で使用される。
【0103】
上記の各種の実施形態を組み合わせて、他の実施形態を提供することができる。本願で説明した連結手段、回転手段、固定手段およびその他の構成部品および造作物は、所望の装置に基づいて混在させ、適合させることができる。本明細書で言及された、および/または出願データシートに列記されたすべての米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許文献は、その全文を引用によって本願に援用する。各種の特許、出願および公開の概念を使用するために必要であれば、実施形態の態様を改変して、さらに別の実施形態を提供することができる。
【0104】
上記の詳細な説明を参照して、上記およびその他の変更を実施形態に加えることができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を明細書および特許請求の範囲で開示される特定の実施形態に限定すると解釈すべきではなく、かかる特許請求の範囲と均等とされるものの全範囲により考えうるすべての実施形態を含むと解釈するべきである。したがって、特許請求の範囲は、この開示によって限定されない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
義肢であって、
複数のホルダと1つの窓を有するソケット本体と、
前記窓の中に位置付けられる調節パネルであって、前記ソケット本体に関して移動可能で、複数のホルダを有する調節パネルと、
残肢を受けるための空洞であって、前記調節パネルと前記ソケット本体によって画定される空洞と、
張力部材であって、前記ソケット本体の前記複数のホルダの各々と、前記調節パネルの前記複数のホルダの各々により、張力部材に係る張力を調節することによって前記前記空洞の容積が増大または縮小させるように保持される張力部材と、
第一の状態と第二の状態を有する張力機構であって、前記第一の状態においては前記張力部材を保持し、前記第二の状態においては前記張力部材が前記調節パネルを移動させて、前記空洞の前記容積を増大または縮小させる張力機構と、
を備えることを特徴とする義肢。
【請求項2】
前記張力部材は、前記ソケット本体と前記調節パネルを紐で結合することを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項3】
前記張力部材は、前記ソケット本体の前記ホルダと前記調節パネルの前記ホルダの間で交互に延びることを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項4】
前記ソケット本体は、前記調節パネルの略全体を取り囲む前記窓の周縁を画定する剛性体を有することを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項5】
前記張力機構と連通する少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記張力機構は、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、前記張力部材にかかる張力を増大または減少させることを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、使用者が前記義肢に掛ける圧力を測定するように位置付けられた圧力センサを含むことを特徴とする請求項5に記載の義肢。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサと前記張力機構の両方に連通状態で連結されるコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記張力機構が前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて前記調節パネルを移動させるようにすることを特徴とする請求項5に記載の義肢。
【請求項8】
義肢であって、
ソケット本体と、
少なくとも1つの調節パネルであって、前記ソケット本体と協働して残肢を受けるための空洞を画定する調節パネルと、
前記ソケット本体と前記パネルの両方に連結されるレーシングシステムであって、前記パネルを前記ソケット本体に関して移動させて、前記空洞の容積を調節するレーシングシステムと、
レーシングシステムを保持して、前記残肢が前記空洞の中にあるときに、前記パネルの前記ソケット本体に関する移動を制限するように構成されている張力機構と、
を備えることを特徴とする義肢。
【請求項9】
前記レーシングシステムは、前記ソケット本体の複数のホルダを通過し、前記パネルの複数のホルダを通過する張力部材を有することを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項10】
前記少なくとも1つの調節パネルは、それぞれ第一の窓と第二の窓の間に位置付けられる第一の調節パネルと第二の調節パネルを有し、前記第一の窓と前記第二の窓は、前記ソケット本体の反対側に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項11】
前記レーシングシステムは、
前記第一の調節パネルを前記ソケット本体に紐で結合し、前記第一の調節パネルが前記第一の窓の中に懸架されるようにする第一の張力部材と、
前記第二の調節パネルを前記ソケット本体に紐で結合し、前記第二の調節パネルが前記第二の窓の中に懸架されるようにする第二の張力部材と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の義肢。
【請求項12】
前記レーシングシステムは、前記レーシングシステムの張力が増大したら、前記調節可能なパネルの垂直に延びる部分を前記空間に向かって内側に引くことを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項13】
支持面と接触する足部と、
前記ソケット本体と前記足部の間のパイロンと、
をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項14】
前記ソケット本体の内面と前記調節パネルの少なくとも大部分と重複するライナシステムをさらに備え、前記ライナシステムは、前記ソケット本体と前記パネルの間のギャップを横切って延びることを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項15】
前記ソケット本体の内面を裏打ちするライナシステムをさらに備え、前記ライナシステムは透湿性のエアバリア層と通気層を有し、前記通気層は前記ソケット本体と前記エアバリア層の間に位置付けられることを特徴とする請求項8記載の義肢。
【請求項16】
前記通気層は、使用者の皮膚と前記ライナシステム間からの湿分が通過する複数の通気造作物を有することを特徴とする請求項15に記載の義肢。
【請求項17】
使用者の残肢を受けるための空洞を画定する形状変更可能なソケットと、
前記ソケットの前記形状を変更する調節装置であって、
前記ソケットによって担持される少なくとも1つのセンサと、
張力機構と、
前記少なくとも1つのセンサに連通状態で連結されるコントローラであって、前記張力機構に対して、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて前記ソケットの前記形状を調節するように命令するコントローラと、
を有する調節装置と、
を備えることを特徴とする義肢。
【請求項18】
前記張力機構は、牽引ユニットと張力部材を有し、前記牽引ユニットは、前記コントローラからの信号に応答して、前記張力部材を引いて前記ソケットの形状を変更することを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項19】
前記コントローラは、周期的または連続的に、前記前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて前記ソケットの前記形状を調節するようにプログラム可能であることを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項20】
前記少なくとも1つのセンサは、相互に離間され、使用中に前記使用者が前記ソケットにかける圧力を測定する複数の圧力センサを備えることを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項21】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、自動的に前記調節装置に前記ソケットの形状を変更させるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項22】
前記調節装置は、前記張力機構と協働して、使用者が前記義肢を装着している間に、選択的に前記空洞の容積を縮小させ、前記空洞の容積を増大させるレーシングシステムを有することを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項23】
前記形状変更可能ソケットは、前記空洞を画定する剛性ソケット本体と調節パネルを有し、前記調節パネルは、前記ソケット本体に関して移動可能であり、前記剛性ソケット本体の形状を大幅に変更することなく、前記空洞の容積調節を行うことを特徴とする請求項17記載の義肢。
【請求項24】
本体と、レーシングシステムと、前記レーシングシステムによって開口部の中に懸架されるパネルと、を有するソケットを備え、前記レーシングシステムは、少なくとも前記本体の長さと前記パネルに沿って延び、前記パネルを内側に引くことを特徴とする義肢。
【請求項25】
前記ソケットの前記形状を変化させる調節装置をさらに備え、前記調節装置は、
張力機構と、
前記張力機構に連通状態で連結されるコントローラであって、前記張力機構に対して前記ソケットの前記形状を調節するように命令するコントローラと、
を有することを特徴とする請求項24に記載の義肢。
【請求項26】
義肢を調節する方法であって、
使用者が義肢のソケットにかける圧力を検出するステップであって、前記ソケットはソケット本体の窓の中に位置付けられるパネルを有し、前記パネルと前記ソケット本体が使用中に前記使用者の残肢を支持するようなステップと、
前記圧力の検出に基づいて前記ソケット本体に関する前記パネルの位置を調節するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記パネルの前記位置を調節する間に、前記ソケットで前記使用者の体重の大部分を支持するステップをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記パネルと前記ソケット本体に連結された張力部材を移動させて、前記パネルの前記位置を調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記圧力を検出するステップは、圧力センサからの信号をコントローラに送信するステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記パネルを第一の位置から第二の位置に移動させて、前記残肢の一部にかかる圧力を増大または縮小させるステップと、
前記パネルを前記第二の位置に保持するステップと、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ユーザによってかけられる圧力を検出するステップは、前記ソケットに沿って異なる位置に位置付けられた圧力センサのアレイを使って前記圧陸を測定するステップを含み、前記圧陸センサの各々は、前記ソケットに異なる形状を持たせることのできるコントローラと連通することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
ソケット内に設置するライナシステムであって、
表面と裏面を有する透湿性のエアバリア層であって、前記表面は残肢を受けるための内部空洞を画定するエアバリア層と、
前記バリア層の前記裏面の通気層であって、使用者の皮膚と前記ライナシステムとの界面における湿分を管理するために湿分が通過する複数の通気造作物を有する通気層と、
を有するライナシステムを備えることを特徴とする義肢。
【請求項33】
前記通気造作物は、前記通気層の両面の間に延びる、離間された複数の貫通穴を有することを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項34】
前記通気造作物は、前記通気層の中の複数のチャネルを含み、前記バリア層は前記複数のチャネルを横切って延び、通路を画定することを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項35】
前記通気造作物と流体連通し、流体が前記通気造作物を流れるようにする加圧装置をさらに備えることを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項36】
前記加圧装置は、流体を前記通気造作物の中に押し流すためのファンか、前記通気造作物の中で流体を吸引するポンプであることを特徴とする請求項35に記載の義肢。
【請求項37】
前記通気造作物はチャネルであり、
前記義肢は、前記チャネルの1つに沿って位置づけられる少なくとも1つの補強構造をさらに備え、前記補強構造は、前記チャネルを開放した状態に保つように構成されることを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項38】
前記少なくとも1つの補強構造は、前記チャネルのルーメン内に位置付けられた複数の管状部材を有することを特徴とする請求項37に記載の義肢。
【請求項39】
前記複数の通気造作物は、チャネルの網状構造と、前記チャネル内の芯材を有し、前記芯材は、前記バリア層を通過した湿分を、前記チャネルを通って移動させるように位置付けられることを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項40】
前記バリア層は、前記複数の通気造作物と重複することを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項1】
義肢であって、
複数のホルダと1つの窓を有するソケット本体と、
前記窓の中に位置付けられる調節パネルであって、前記ソケット本体に関して移動可能で、複数のホルダを有する調節パネルと、
残肢を受けるための空洞であって、前記調節パネルと前記ソケット本体によって画定される空洞と、
張力部材であって、前記ソケット本体の前記複数のホルダの各々と、前記調節パネルの前記複数のホルダの各々により、張力部材に係る張力を調節することによって前記前記空洞の容積が増大または縮小させるように保持される張力部材と、
第一の状態と第二の状態を有する張力機構であって、前記第一の状態においては前記張力部材を保持し、前記第二の状態においては前記張力部材が前記調節パネルを移動させて、前記空洞の前記容積を増大または縮小させる張力機構と、
を備えることを特徴とする義肢。
【請求項2】
前記張力部材は、前記ソケット本体と前記調節パネルを紐で結合することを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項3】
前記張力部材は、前記ソケット本体の前記ホルダと前記調節パネルの前記ホルダの間で交互に延びることを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項4】
前記ソケット本体は、前記調節パネルの略全体を取り囲む前記窓の周縁を画定する剛性体を有することを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項5】
前記張力機構と連通する少なくとも1つのセンサをさらに備え、前記張力機構は、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、前記張力部材にかかる張力を増大または減少させることを特徴とする請求項1に記載の義肢。
【請求項6】
前記少なくとも1つのセンサは、使用者が前記義肢に掛ける圧力を測定するように位置付けられた圧力センサを含むことを特徴とする請求項5に記載の義肢。
【請求項7】
前記少なくとも1つのセンサと前記張力機構の両方に連通状態で連結されるコントローラをさらに備え、前記コントローラは、前記張力機構が前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて前記調節パネルを移動させるようにすることを特徴とする請求項5に記載の義肢。
【請求項8】
義肢であって、
ソケット本体と、
少なくとも1つの調節パネルであって、前記ソケット本体と協働して残肢を受けるための空洞を画定する調節パネルと、
前記ソケット本体と前記パネルの両方に連結されるレーシングシステムであって、前記パネルを前記ソケット本体に関して移動させて、前記空洞の容積を調節するレーシングシステムと、
レーシングシステムを保持して、前記残肢が前記空洞の中にあるときに、前記パネルの前記ソケット本体に関する移動を制限するように構成されている張力機構と、
を備えることを特徴とする義肢。
【請求項9】
前記レーシングシステムは、前記ソケット本体の複数のホルダを通過し、前記パネルの複数のホルダを通過する張力部材を有することを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項10】
前記少なくとも1つの調節パネルは、それぞれ第一の窓と第二の窓の間に位置付けられる第一の調節パネルと第二の調節パネルを有し、前記第一の窓と前記第二の窓は、前記ソケット本体の反対側に配置されていることを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項11】
前記レーシングシステムは、
前記第一の調節パネルを前記ソケット本体に紐で結合し、前記第一の調節パネルが前記第一の窓の中に懸架されるようにする第一の張力部材と、
前記第二の調節パネルを前記ソケット本体に紐で結合し、前記第二の調節パネルが前記第二の窓の中に懸架されるようにする第二の張力部材と、
を有することを特徴とする請求項10に記載の義肢。
【請求項12】
前記レーシングシステムは、前記レーシングシステムの張力が増大したら、前記調節可能なパネルの垂直に延びる部分を前記空間に向かって内側に引くことを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項13】
支持面と接触する足部と、
前記ソケット本体と前記足部の間のパイロンと、
をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項14】
前記ソケット本体の内面と前記調節パネルの少なくとも大部分と重複するライナシステムをさらに備え、前記ライナシステムは、前記ソケット本体と前記パネルの間のギャップを横切って延びることを特徴とする請求項8に記載の義肢。
【請求項15】
前記ソケット本体の内面を裏打ちするライナシステムをさらに備え、前記ライナシステムは透湿性のエアバリア層と通気層を有し、前記通気層は前記ソケット本体と前記エアバリア層の間に位置付けられることを特徴とする請求項8記載の義肢。
【請求項16】
前記通気層は、使用者の皮膚と前記ライナシステム間からの湿分が通過する複数の通気造作物を有することを特徴とする請求項15に記載の義肢。
【請求項17】
使用者の残肢を受けるための空洞を画定する形状変更可能なソケットと、
前記ソケットの前記形状を変更する調節装置であって、
前記ソケットによって担持される少なくとも1つのセンサと、
張力機構と、
前記少なくとも1つのセンサに連通状態で連結されるコントローラであって、前記張力機構に対して、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて前記ソケットの前記形状を調節するように命令するコントローラと、
を有する調節装置と、
を備えることを特徴とする義肢。
【請求項18】
前記張力機構は、牽引ユニットと張力部材を有し、前記牽引ユニットは、前記コントローラからの信号に応答して、前記張力部材を引いて前記ソケットの形状を変更することを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項19】
前記コントローラは、周期的または連続的に、前記前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて前記ソケットの前記形状を調節するようにプログラム可能であることを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項20】
前記少なくとも1つのセンサは、相互に離間され、使用中に前記使用者が前記ソケットにかける圧力を測定する複数の圧力センサを備えることを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項21】
前記コントローラは、前記少なくとも1つのセンサからの信号に基づいて、自動的に前記調節装置に前記ソケットの形状を変更させるように構成されていることを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項22】
前記調節装置は、前記張力機構と協働して、使用者が前記義肢を装着している間に、選択的に前記空洞の容積を縮小させ、前記空洞の容積を増大させるレーシングシステムを有することを特徴とする請求項17に記載の義肢。
【請求項23】
前記形状変更可能ソケットは、前記空洞を画定する剛性ソケット本体と調節パネルを有し、前記調節パネルは、前記ソケット本体に関して移動可能であり、前記剛性ソケット本体の形状を大幅に変更することなく、前記空洞の容積調節を行うことを特徴とする請求項17記載の義肢。
【請求項24】
本体と、レーシングシステムと、前記レーシングシステムによって開口部の中に懸架されるパネルと、を有するソケットを備え、前記レーシングシステムは、少なくとも前記本体の長さと前記パネルに沿って延び、前記パネルを内側に引くことを特徴とする義肢。
【請求項25】
前記ソケットの前記形状を変化させる調節装置をさらに備え、前記調節装置は、
張力機構と、
前記張力機構に連通状態で連結されるコントローラであって、前記張力機構に対して前記ソケットの前記形状を調節するように命令するコントローラと、
を有することを特徴とする請求項24に記載の義肢。
【請求項26】
義肢を調節する方法であって、
使用者が義肢のソケットにかける圧力を検出するステップであって、前記ソケットはソケット本体の窓の中に位置付けられるパネルを有し、前記パネルと前記ソケット本体が使用中に前記使用者の残肢を支持するようなステップと、
前記圧力の検出に基づいて前記ソケット本体に関する前記パネルの位置を調節するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項27】
前記パネルの前記位置を調節する間に、前記ソケットで前記使用者の体重の大部分を支持するステップをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記パネルと前記ソケット本体に連結された張力部材を移動させて、前記パネルの前記位置を調節するステップをさらに含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記圧力を検出するステップは、圧力センサからの信号をコントローラに送信するステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記パネルを第一の位置から第二の位置に移動させて、前記残肢の一部にかかる圧力を増大または縮小させるステップと、
前記パネルを前記第二の位置に保持するステップと、
を含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記ユーザによってかけられる圧力を検出するステップは、前記ソケットに沿って異なる位置に位置付けられた圧力センサのアレイを使って前記圧陸を測定するステップを含み、前記圧陸センサの各々は、前記ソケットに異なる形状を持たせることのできるコントローラと連通することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項32】
ソケット内に設置するライナシステムであって、
表面と裏面を有する透湿性のエアバリア層であって、前記表面は残肢を受けるための内部空洞を画定するエアバリア層と、
前記バリア層の前記裏面の通気層であって、使用者の皮膚と前記ライナシステムとの界面における湿分を管理するために湿分が通過する複数の通気造作物を有する通気層と、
を有するライナシステムを備えることを特徴とする義肢。
【請求項33】
前記通気造作物は、前記通気層の両面の間に延びる、離間された複数の貫通穴を有することを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項34】
前記通気造作物は、前記通気層の中の複数のチャネルを含み、前記バリア層は前記複数のチャネルを横切って延び、通路を画定することを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項35】
前記通気造作物と流体連通し、流体が前記通気造作物を流れるようにする加圧装置をさらに備えることを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項36】
前記加圧装置は、流体を前記通気造作物の中に押し流すためのファンか、前記通気造作物の中で流体を吸引するポンプであることを特徴とする請求項35に記載の義肢。
【請求項37】
前記通気造作物はチャネルであり、
前記義肢は、前記チャネルの1つに沿って位置づけられる少なくとも1つの補強構造をさらに備え、前記補強構造は、前記チャネルを開放した状態に保つように構成されることを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項38】
前記少なくとも1つの補強構造は、前記チャネルのルーメン内に位置付けられた複数の管状部材を有することを特徴とする請求項37に記載の義肢。
【請求項39】
前記複数の通気造作物は、チャネルの網状構造と、前記チャネル内の芯材を有し、前記芯材は、前記バリア層を通過した湿分を、前記チャネルを通って移動させるように位置付けられることを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【請求項40】
前記バリア層は、前記複数の通気造作物と重複することを特徴とする請求項32に記載の義肢。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図27A】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図27A】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公表番号】特表2012−525226(P2012−525226A)
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−508640(P2012−508640)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032757
【国際公開番号】WO2010/129334
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511262474)エンパワーリング エンジニアリング テクノロジーズ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【国際出願番号】PCT/US2010/032757
【国際公開番号】WO2010/129334
【国際公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(511262474)エンパワーリング エンジニアリング テクノロジーズ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】
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