説明

調節式水頭症バルブ

本発明は、機械的係止を有する調整式の水頭症バルブに関する。該係止は、経皮的にバルブハウジングを押すことによりはずすことができ、この状態で、外部に配置した磁石を回転させることにより開弁特性を調整することができる。圧力を感知するため、又は圧力を調節するため特殊な調整用又は計測用ピンが提供され、これにより、計測と調整のそれぞれが簡素化されると同時に改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過剰の脳水を患者の腹膜(腹腔)又は心臓内に排液することによって、水頭症患者の頭蓋内圧力を平準化するための経皮調整式水頭症バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
水頭症患者は以下の医療上の問題を有する。
脳は特殊な液(髄液)で取り囲まれている。この髄液は対称に配置される脳室内に生じ、導管を通して外髄液室に流入し、そこから再吸収される。生産される液量と再吸収される液量は普通均衡している。水頭症(水頭とも称される)にかかるとこの均衡が乱され、もはや液が十分に分解されない。そのことが患者の頭内で圧の上昇をもたらす。そのことから乳児の場合頭が異常に大きくなり、脳が崩壊し、患者の頭蓋内にますます脳水のみが溜まることになる。成人では頭の膨張はもはや可能でなく、この場合ごく迅速に臨界圧値に達し、脳が崩壊する(水っぽくなる)。そのために成人の場合には歩行困難、尿失禁、痴呆を生じることがある。
【0003】
水頭症の治療には、50年代以降、人工ドレナージシステムの埋込みが実績をあげている。そこでは脳室から誘導媒体へと人工的連絡路が形成される。今日では一般に腹膜(腹腔)が選択される。選択的に、右心臓の心房内へ誘導することも一般的である。このシステムに統合される特殊なバルブは、液の排出をコントロールするためのものである。水頭症の治療に50年代初頭に人工ドレナージが導入されて以来、治療結果を最適にするために、数多くのさまざまなバルブシステムが提案されてきた。
【0004】
近年では2つの競合するバルブ原理がますます専門家の注目を浴びることとなった。一方は経皮調整式バルブであり、そこでは開弁特性を患者の個人的要求に適合させることができる。他方のバルブは姿勢に起因して変化する開弁特性を保証する。最後に指摘したバルブシステムは、患者が起立姿勢のときに、横臥姿勢のときよりも著しく高い開弁圧を有する。両方のバルブシステムは今日ごく成功裏に水頭症の治療に使用されている。
両方のバルブタイプを組合せることが好ましい。これらの発明の枠内で、このような組合せが具体的に提案され、それにより従来の調整式バルブシステムにおける公知の諸問題が解決されている。
【0005】
公知の調整式バルブにおける主要問題は、外部から加えられる磁界によってバルブシステムを調整する場合の、精度とバルブシステムの意図せざる変動に対する安全性である。従来利用されている調整式バルブは、すべて磁気原理に基づいている。さまざまな大きさの磁石が、バルブ側で、回転可能に支承された回転体に取付けられている。外部から加えられる磁界によって、これらの回転体の位置を調節することができ、それによりばねに設定される荷重が調整される。
【0006】
最も知られたバルブとしてメドス−コドマンバルブがある。このバルブは、片側でルビーボールに載置される板ばねを有し、前記ルビーボールが該板ばねによってバルブシート内に押圧される一方、反対側では階段状の回転可能な回転体によって加圧される。これら両方の箇所の間に(ほぼ中心に)板ばね固着部が配置されている。ところで回転体が外部からの磁界によって回転させられると、前記載置箇所が変化し、それと共にバルブの開弁特性が調整される。調節範囲は3〜約20水柱cmである。回転体の外径は約3mmであり、バルブの回転範囲は360°である。このバルブは以下の系統的な種々の問題を示す。先ず、この調節は外部から加えられる磁界によって、意図に反して変化する。この変化のコントロールはX線写真を利用してのみ行うことができる。従って、まさに当該患者にとって、特に乳児の場合、頻繁なMRT検査が不可欠であり、X線検査の結果をもとにして圧の段階を調節する。これは患者にとって負担となるために、この種のバルブの使用が制限される。
【0007】
ソフィサ(フランスの会社)の調整式SU8も、公知の調整式バルブに数えられる。ここでもバルブ側の磁石は回転可能な回転体に配置されている。回転体の位置は外部からの磁界によって変更することができる。サファイアボールを加圧し、それによりバルブ特性を限定する。回転体を回転させることによって板ばねの挟持長さが変化し、それと共に開弁圧が変化する。挟持長さが短ければ開弁圧が高くなり、挟持長さが長ければ開弁圧が低くなる。調整範囲は、この場合でも3〜20水柱cmである。調整可能な回転範囲は約90°である。即ち、例えば調節角0°は最低圧であり、調節角90°は最高圧となる。一方、この構造の主要な弱点は、まさに調整範囲がこのように小さいことにある。というのも、このようなシステムの精度は、使用される回転角度が小さければ小さいほど一層低くなるからである。このバルブも、外部からの磁界が、意図せざる回動と開弁特性の変化をもたらすという欠点を有する。しかしながら、この構造ではX線検査を必要としない代わりに、例えばヘッドホンの磁界又は簡単な板磁石等の極簡弁な手段によって、意図せざる回動に対する保証がされている。
【0008】
こうした従来の諸困難を解決するために、ソフィサ社は最近新たな開発品である、いわゆるポラリスバルブを発表した。このバルブは公知のバルブに著しく類似しているが、付加的に磁気賦活可能な鎖錠機構が設けられており、この鎖錠機構によって、外側に取付けられる磁石の完全に特殊な配置のみが、回転体の回転を可能とする。
【0009】
第3の調整式バルブがメドトロニック社(PS Medical)から市場に提供されている。これは、いわゆるストラタバルブである。前記原理と同様に、バルブ側に2つの磁石が回転体に一体化して取付けられている。外部からの磁界がこの回転体の回転とバルブ開弁特性の調整とを可能にする。このバルブは4段階で調整することができる。外部から加えられる磁界によって回転体を引き寄せ、次いで引き続き回転させることによって回転体が回転する。回転体が引き寄せられてはじめて回転が可能となる。つまりこのバルブも一種の磁気係止を含む。この回転体の回転によって回転体の組付け高さが変化し、回転体が一層高く1種の階段で支承されていればいるほど、開弁圧は一層高くなる。おそらく、このような機構は意図せざる変位を制限できるが、しかし決して確実には機能できない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上述べたすべてのバルブは、何れも以下の問題を1つ以上有している。
1.調節誤差。
2.調節された開弁圧に関する読取誤差。
3.意図せざる変動。
4.機能的弱点。
【0011】
本発明は、それにもかかわらず従来の構造様式を採用し、取扱い易くて確実なバルブを提供することを目的とする。このバルブは依然として、外側に設置した調整器で操作されると共に、内側には経皮操作可能な調整器を有していなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明が出発点とするのは、未操作状態のときに、摩擦係合によって、バルブ内部にある調整器の意図せざる変動を防止することである。加圧に相応して、固定配置された特にバルブハウジングの面である一方の摩擦面と、バルブ内の調整器に属する他方の摩擦面との間に摩擦係合が生じる。
摩擦係合のための加圧は、a)ばね圧の荷重、及び/又は、b)磁力によって生じさせることができる。
上記a)により設けられるばねは、特にバルブハウジング自体によって形成される。このため、バルブハウジングは弾性ハウジング壁と、このハウジング壁に保持される、特定距離にある中心で回転可能な調整部とを有することができる。調整部は、調整ディスク、単腕又は多腕レバー、回転体又は成形部材から構成される。以下、調整ディスクにのみ言及するが、これは他の構成物を除外するものではない。
【0013】
未作動状態の調整ディスクは、外縁でハウジング壁の方に引っ張られ若しくは加圧されることにより、ハウジング内壁との距離が決まる。これと関連して、ハウジング内壁に調整ディスクが押し込まれて取り付けられたときに、ハウジング壁内には応力が生じる。組立後のハウジング内壁は、調整ディスクがあるためになお部分的に原形状に戻り得るだけである。それにもかかわらず、ハウジング壁がばね材料であるために、ハウジング壁は組立前の出発時の形状に戻ろうとする。このようにして、調整ディスクのハウジング内壁に対する所望される、押付が生じる。
【0014】
ハウジング壁は平面的とすることができ、上記変形/押込みによって凹面形状となることができる。
ハウジング壁を元々凹面状に湾曲させておき、上記変形/押込みによってさらに内方に湾曲にさせることもできる。
またハウジング壁を元々凸面状とし、変形/押込みによって凸面湾曲を部分的に低減させ又は凸面湾曲を全体に低減させることもできる。凸面状出発形状から変形/押込みによって内方湾曲を生じるものとすることができる。
押付力は、ハウジング壁の厚さによって、元々の構成体の寸法によって、ハウジング壁の材料によって、そして調整ディスクとハウジング壁との距離によって調節される。押付の最適化は幾つかの実験で達成することができる。
【0015】
b)で触れたように、ばねを補足する、又はばねの代わりとなる押付力を、バルブ内にある調整器の永久磁石によって引き起こすこともできる。永久磁石の磁界に反応する素材をハウジング内壁に使用すると、調整ディスクに対する押付力が永久磁石の磁力に依存して発生する。ハウジング壁用の材料としては、鋼が特別適している。
【0016】
特に、非操作時のバルブの係止は、更に、c)調整ディスク直径の選択、及び/又は、d)摩擦面の性状によって調節される。
荒れた表面にすることによってより高い摩擦を得られるので、選択的に、係止面は粗面化され、又は摩擦強化材料で被覆されている。ハウジング壁に載置される摩擦面の直径が大きければ大きいほど、係止作用はより強くなる。
調整ディスクの横断面は、多かれ少なかれ明確なU字形となる構造、形状であることが好ましい。その場合、ハウジング壁は調整ディスクの外縁に設けられる環状隆起部と対応する。
【0017】
本発明においては、特に、e)背圧によって摩擦係合が解徐される。背圧によって、バルブ内にある調整器を自由に動かすために、摩擦面との間に十分な隙間をもたらすことができる。
摩擦係合の解除をするために必要な背圧は、手作業により、特にf)ばねa)の変形によって生じるばね圧及び/又はg)磁力を消滅させることによって生じさせることができる。
背圧は、ハウジング壁がばねを形成している場合、外部からハウジング壁を加圧することによって生じる。所要の背圧は、製造の段階で決められ、更にバルブ調整によってコントロールすることができる。このコントロールに適しているのは、h)機械的測定器及びi)電気的測定器である。
【0018】
純機械的測定器は、弾力的に支持された尖端を有する調整ピンによって構成される。ばねのストロークのコントロールによって、所要の背圧にコントロールすることができると同時に過剰な背圧を防止することができる。
電気的測定器としては、例えば電流を流すストレインゲージを利用することができる。ストレインゲージは負荷に応じてその抵抗を変化させ、電流又は電圧が変化する。この変化を測定することによって背圧が測定される。これと同時に、最低背圧に到達した時に光学信号及び/又は音響信号を発生させることができる。これは、最大背圧を上まわらない限りこの信号を停止させたり、最大背圧を上まわると付加的光学信号及び/又は音響信号が補充されるようにすることにより、利用することができる。
【0019】
背圧は、j)ばね要素の操作を選択的に行うことによって、許容限度が決定される。
その場合、ばね要素は調整器の外側に設けられることになる。
ばね要素は、ばねのストロークの長さと、付与された内部応力からなる。この調整器の摩擦面が持ち上がる程の所要圧に達したとき、調整器の可撓性が顕著となるように、調整器のばね応力が設計される。外部から調整器の可撓性が感知できなくなったときにはじめて、許容圧を上まわる。そのようになる間に、広範囲の可撓性範囲が予め設けられており、治療医は確実に許容圧範囲内でこのバルブを安全に取り扱うことができる。
【0020】
特に、バルブの調整は、調整ディスクを緩めてからk)調整ディスクを回すことによって行われる。
バルブの最小開弁位置と最大開弁位置との間に、より大きな調整行程が設けられていることが特に好ましい。そうすることにより、調整の確実性と調整の精度が高まる。調整行程を大きくすると、ばね荷重の変更速度が減速される。即ち、ばね荷重の変化の範囲に対して一層大きな調整行程が設けられる。調整行程が大きくなるために、前記した望まざる変動の危険性は減少する。調整行程が大きくなるにつれて、調整精度も同時に高くなるので有利である。
【0021】
ばねの位置が変化することによって、調整行程を大きくすることが可能となる形態が得られる。本発明においては、ばねの運動面が調整ディスクの回転面と平行になるように配置される。本発明において、平行とは両方の面が重なることを意味する。
本発明のようなばねの配置によって、ばねはバルブハウジングが最も拡張している方向に動くことができる。これは長辺面の方向である。
【0022】
回動可能に配置されるばね棒の何れかがばねとして使用される。ばね棒は2腕レバーを形成することができ、レバーの一方は他方よりも長い。これにより、てこの作用若しくはてこの力の増大又は減少を選択することができる。レバーの一端はバルブのバルブボール又はバルブフラップに作用するように結合され、他端は前記調整器若しくは調整ディスクと連動する。
特に、ばねと接触する調整ディスク面との間は、公知の接続方法で滑動作用するように結合がされている。即ち、ばねは調整ディスクの接触面上を滑動する。
【0023】
短い方の末端が滑動してバルブボール若しくはバルブフラップを加圧することによって、バルブボール若しくはバルブフラップの作用が形成される。他方のレバーアーム用の滑り面が回動可能部材又は揺動可能部材に設けられていることによって、調整機構の作用が形成される。この滑り面はカム軌道を構成しており、このカム軌道にばね棒が滑動可能に接触している。カム軌道は、広い限界内でバルブ特性を調節可能とする。特にカム軌道は、少なくとも一部が螺旋状に延びている。特に、調整ディスクの滑り接触面上のカム軌道の円周角度は少なくとも300°、より好ましくは少なくとも340°である。
【0024】
レバーアームに接触する調整ディスクのカム軌道運動は、てこの比率に応じて、バルブボール又はバルブフラップに接触する他方のレバーアームの力を増加又は減衰させる。
その際、バルブボール又はバルブフラップの設計は、対応するレバーアームの後退又は前進と対応し、或いは、バルブボール又はバルブフラップに接触するレバーアームの押付力の変化と対応してなされる。
【0025】
調整ディスクの回転方向がレバーの回動方向を決定する。バルブの最小開弁幅又は最小閉弁圧の方向へ、又はその逆に最大開弁幅又は最大閉弁圧の方向へ調整ディスクを動かすことに合わせて、レバーの運動も起きる。
調整ディスクは、同じ回転方向に連続的に動くようにしながら、再び調整開始点に戻るものとすることができる。このような仕様は、回動可能又は揺動可能な調整ディスクのカム軌道初端とカム軌道終端との間に、移行部を設けることによって達成される。
【0026】
以上のことから明らかとなるように、本発明に係るバルブは、バルブ位置を最短経路で新しいバルブ位置に到達することも、逆方向の回転でカム軌道の終端に至り、さらに新しいバルブ位置へと回転させることもできる。
バルブのコントロールのために調整初端若しくはカム軌道初端から出発しなければならないときは、後者が望ましい。本発明に係る2腕ばね(レバー)は主にL形状である。2腕レバーアームの両方のレバーアームが互いに成す角度は180°未満であり、90°未満とすることもできる。
本発明において、ばねの横断面は任意とすることができるが、円形か長方形であることが好ましい。特に、葉形又は線形の横断面を有するばねであることが好ましい。
【0027】
ばねを揺動可能若しくは回動可能に支持するためには、例えば、ピンが適しており、ピンの末端はバルブハウジング又はバルブカバー若しくはバルブボトムの相応する凹部内に入り込む。ピンの末端は先細に構成しておくこともでき、ピンは凹部内において尖端で回転する。この措置は技術上及び経済上好ましい。
ピンをばねに固着するには溶接又はろう接が適しているが、その他の固着方法でもよい。
本発明においては、ばねとしてワイヤを使用する場合でも、調整ディスクのカム軌道上に問題なく設置することができる。
【0028】
バルブボール側では、ばねとバルブボールとの間で、広い面積で接触していることが好ましい。ばねが広い面積で接触していないときは、ばね末端に薄板を固着してもよい。この薄板は溶接、ろう接、その他何れかの方法で固着する。
【0029】
バルブ調整用に必要な調整ディスクの回転は、特に、外部に付加的に配置された磁石と、外部の回転装置とによって行われる。磁石は主として永久磁石である。少なくとも2つの磁石が調整ディスク内の直径上で向き合い、また少なくとも同数の磁石が回転装置内に同様に向き合わせて配置されており、調整ディスクの磁石が置かれる円軌道の直径は回転機構の磁石が置かれる円軌道の直径に等しいものとすることがより好ましい。このようにして、種々の磁石を互いに極力接近させることができる。磁石を空間的に接近させることによって、最大の磁力を発揮させることができる。必要なトルクが発生するのは、例えば回転装置内のS極と調整ディスク内のN極とで向き合うときのように、磁石が互いに異なる磁極で向き合うときである。
本発明に係る装置は、比較的小さな磁石でもバルブ調整に十分なトルクを発生することができるので有益である。
【0030】
回転装置は、同時に調整器として利用できるという利点がある。このために、以下に述べる装置を使用し、上記回転を行うだけでなく、上記背圧も発生させることができる。
調整ディスクを回転してバルブを調整した後、各回転位置で調整ディスクが係止される。事前に押し込まれたハウジング壁を再び弛緩すると、係止が生じる。このようにして上記押付及びそれに伴う摩擦が再度生じる。
【0031】
調整ディスクの係止位置における磁石は、調整ディスクとバルブハウジングとの間の押付力及び摩擦を高くして係止を強める。このため、磁石に最も近い面が主に磁性金属面、特に鋼面で構成されている。
【0032】
上記背圧が微弱な磁力に打ち勝ち、調整ディスクの対応するハウジングからの距離を所望のものとすることができるので、本発明における、バルブ内に収納される磁石により付加的に引き起こされる係止力は、外部の磁石によるバルブ調整を乱さないので有利である。
【0033】
磁石として、特に小型のピン型磁石が特許請求の範囲に応じて使用される。小型磁石は、特許請求の範囲の対象のように、バルブ寸法を僅かなものとすることに寄与する。
【0034】
本発明に係るバルブ用の調整器は、同様に極く小さな寸法で形成することができる。このことは本発明において、調整器の直径低減及び調整器の特別な形状に、つまり調整器をボールペンのようなピン形状に形成することに利用される。ボールペンに類似した調整器の構成とすることにより、例えば、ピン又は調整器をボールペンのように胸ポケットに携行するような取扱いが可能となる。同時にボールペンと同様の機構を利用して、調整器の頭部に設けられている磁石を、ピンの縦方向で(ピン載置時に患者の頭若しくはバルブに向かって)前方に又は後方に動かすことができる。これは、ピンが垂直姿勢のときの上昇と下降である。
【0035】
本発明に係る外部のピン状調整器は、前端に載置するためのキャップを有するものとすることができる。調整器を緩く載置すると、磁石が調整器の心出しを自動的に行うので、調整器を回して操作することが容易になる。
【発明の効果】
【0036】
本発明に係るバルブ及びその調整器の利点は以下の通りである:
1.極力大きな調整角度を使用することによる圧力特性の細密な調節。
2.X線判別によらない、開弁圧調節の読取。
3.意図せざるバルブ変位の防止。
4.一般的機能信頼性の向上。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
図1は本発明の横断面拡大概略図である。バルブは堅牢なチタンハウジング16からなり、内部にバルブノズル11が形成されている。サファイアボール5が板ばね4によってバルブの座内に加圧される。板ばね4はばねワイヤ3と図2に示された軸15とで機能ユニットを形成する。回転体1で表される調整ディスク内に磁極を反転させた2つの磁石2、3が収容されている。回転体1は軸7で保持されている。軸7はチタンハウジング16のボトム18にある。ボトム18は湾曲している。
【0038】
回転体1は、軸7上でカバーの方向にねじ6によって締め付けられることにより、ボトム18に押付けられ、弾性歪みが生じる。押付は、外部磁界に起因する回転体1の回転を防止するための摩擦力が十分となるように生じる。特に、ボトム18は厚さが0.1〜0.2mm、別の実施例では厚さが0.5mm以下である。弾性歪みによる変形は主に0.01mm〜約0.1mm、別の実施例ではボトム厚の2倍以下である。6により締め付けられた回転体1をボトム18から持ち上げ、回転体1のボトム18での係止を解消するためには、ボトムがより強く張られている程、一層強く外部から加圧しなければならない。
回転体1の位置により、板ばね4がサファイアボール5に加える力が限定される。
【0039】
図2はハウジングを除いたバルブの下面を示したものである。ここでは、ばね10は軸15及び板ばね4と溶接されている。これらの構成要素は、主に金属材料、特にチタン又はチタン合金により製造されている。ばねワイヤ10におけるばねの直径は、特に0.1mmであり、別の実施例において、ばねワイヤが短い場合には小さい横断面、長い場合には大きい横断面を有することができる。ばねワイヤの横断面はこの実施例において円形である。板ばねは特に厚さが0.1mm、高さが約1mmである。短いばねを有する実施例と長いばねを有する実施例における、ばねワイヤ10については、前述した通りである。板ばねは極めて剛直である。
【0040】
軸7は図面左側に段差とほぞを有し、このほぞが回転体1の部位9の小穴に挿入されている。組付け状態のとき、軸7と部位9との間の箇所19に隙間が生じる。
【0041】
図1において皮膚側は図面右側、体内側は図面左側に示してある。ところで外部から皮膚を通して機械的にボトム18に圧が加えられると、この力に依存してボトム18は内方に変形/湾曲し、軸7は下方のカバー20へと加圧される。これにより隙間19が閉じられ、軸7は部分9を加圧し、それと共に回転体全体をボトム18から持ち上げる。ボトム18の弾性付勢が解消され、部位8の摩擦が解消されるため、部位8に隙間が生じ、回転体は自由に回転可能になる。外部荷重が再び取り除かれると、外側ボトム18は再びその出発状態に戻り、載置箇所17と載置箇所8との間に弾性予荷重が生じる。回転体は再びハウジング内で締付けられるので、回転ができなくなる。回転体1は板カム13を有する。
【0042】
図2における回転体1は、最小位置が示されている。約300°回すことによってばね10は載置箇所21で板カム13に相応してその最大位置に移され、その結果生じる開弁圧は最大となる。部材4又は10の最小ばね歪みと最大ばね歪みとの間の高さ差は、約0.7〜0.8mmである。しかしながらこれは、具体的なチタンワイヤ10の寸法により選択される。
【0043】
外部から加えられる磁界が最大トルクを発生できるように、両方の磁石2及び3の配置がなされている。即ち、両方の磁石の距離はこの実施例では7mm、別の実施例では8mm、尚他の実施例では20mm以下である。具体的には、この距離はハウジングの外寸に合わせられる。円形ハウジングは主に直径が14mm、別の実施例では19mm以下、尚他の実施例では31mm以下であり、バルブの位置を外部から容易に探り当てることができる一方で、バルブ面に接触している組織が傷つけられることがないように、人間工学的に形成されている。それゆえに、鋭利な稜は避けられる。
【0044】
回転体は図2に示す尖端22を有する。この尖端は最小値のときにストッパー14に接触し、最大値のときにストッパー23に接触する。これらのストッパーによって本実施例では、最大調節位置と最小調節位置が相互に直接移行することが阻止され、いつでも良好に判別可能な状態が維持される。別の実施例では、移行部が設けられているものもある。
【0045】
軸15は、主に直径が0.3mmであり、場合によっては支承力を最小にするために、上下に尖端を有するものとすることができる。前記構造様式のゆえに、回転体1の回転が可能となるのは、ボトム18が図面で左方向に押付けられることにより回転体1が自由になる場合のみである。同時に、この状態で、回転を確実にするために、外部から特定の磁界を加えねばならない。次に、ボトムが弛緩されると、回転体の位置は弾性締付によって固定される。次にバルブの入口11と出口12との間に生じる差圧がバルブの開弁圧よりも大きいと、ボール5は、バルブ座から板ばねの方向に加圧され、回転体側に動く。これにより、脳水が入口から出口へとバルブを貫流し、さらなる圧上昇を防止することが可能になる。
【0046】
実際のバルブ特性は、回転体1の回転位置によって、若しくはそのことから帰結する螺旋体若しくは板カム13上での接触点21の位置によって決定される。別の実施例においては、カム形状を適切に変更することにより、回転体1の回転角度に依存する開弁特性の非直線的推移を調整することができる。特に、すべての回転体出発位置において、一方又は他方の方向への10°の回転が同じバルブ開弁圧の変化を生じるように、回転体が作製されている。
【0047】
磁石2、3を極力遠く離間配置する利点は、極力小さな磁力によって、極力大きな調整トルクを発生させることができることにある。ここで使用するネオジム磁石は直径1mm、高さ約1.2mmの円筒形状である。ハウジングと回転体はチタンから作製され、その他の構成要素もチタンで作製することにより、正確な嵌合で理想的な支承隙間に調節することができ、意図に反する隙間や意図に反する高い摩擦をシステマチックに防止することができる利点がある。
【0048】
軸7は特に直径が1mmであり、部位24における軸7と回転体1との間隙は、最小限に緩く嵌合されていることが好ましい。このような緩い嵌合は、軸15をバルブハウジング内で支承するために設けられている。この軸15はピボットのようにバルブハウジング内で支承され、バルブ開閉の枠内における、板ばね4の、殆ど摩擦のない回転を可能とする。バルブの全高は約4.5mmであり、より低い全高とすることは、触診によるバルブ確認が困難ではないので可能ではあるが、必ずしも好ましくはない。
【0049】
バルブ調整のために、特殊な調整ピンが開発された。図3にこのようなピンの1実施例を示す。この図は実施例に比べて拡大されているが、図1、図2ほど拡大されてはいない。ピンを適度に拡大してバルブと共に検討することが、調整器としてのピンに対するバルブの正しい寸法関係を導き出す観点から好ましい。細部がすべて小さいので、原寸図では判別できない。
【0050】
直径約12mmの肉薄の小管26は一端が栓25で閉鎖されている。反対側にはニードル支承された測定機構が組付けられている。これは測定ドラム28が含まれる。その表面には目盛がふられており、この測定ドラムに結合された軸32は部位34、33によって支承ブッシュ29内で支承されている。支承ブッシュ29は小管26内で摺動及び回転が生じないように収容されている。小管の閉鎖されていない側に可動キャップが設けられており、このキャップはばね力によって外方に加圧される。ばね30は支承ブッシュ29で支えられ、リング37をキャップ31に向かって加圧する。ニードル32にシリンダ38が結合されている。シリンダ38内に磁石35、36が収容されている。外側にある磁極が、一方の磁石では負、他方の磁石では正である。磁石の距離はバルブ装置内の磁石の距離にほぼ一致し、直径も同様である。
【0051】
キャップが支承ブッシュの弾力に抗して加圧されない限り、回転体及びシリンダ38の軸は、キャップ31とばね30とによって回転可能ではない。ピンが、患者の頭部のバルブの上方で加圧されて、キャップ31がピンハウジング内に加圧されてはじめて、回転体と目盛ドラム及び磁石シリンダの回転が可能となる。ピンは、患者の頭に向けて加圧されると共に、胴体内部は軸線に対し90°の位置にある窓27から覗き見ることができる。これにより、バルブピンとバルブ自体が同一方向に整列することが確保される。
【0052】
次にキャップがバルブの上方で患者の頭に向けて加圧されると、ピン内部の回転体の位置はバルブ内部の回転体の位置に追従する。これは、バルブ回転体は、弾性係止によってその位置を変更することができないが、ピン回転体は部位33、34における細かな針支承により、回転によってバルブ側回転体の位置に適応できるからである。次にバルブに相応する調節圧は窓27から容易に読み取ることができる。この構造により、確実で何時でも容易に繰り返し測定することが保証される。頭から10分の数ミリメートル離間しただけで調整値が固定されるので、患者の頭からピンを離した後は、回転はもはや可能ではなくなる。この調整結果はそのまま固定される。
【0053】
図4は調整ピンの別の実施例を示す。寸法は通常のボールペンの寸法にほぼ一致する。即ち、特に、小管は外径が12mm、長さが約10cmである。調節ハンドル40が軸41上にしっかり固定されている。このハンドルを回すと軸が回転する。軸40の下端で2つの円筒状の磁石50が軸内に収容されている。バルブ内と同様に、これらの磁石は異なる極性とされる。一方の磁石はS極が下向き、他方の磁石はN極が下向きである。軸上での両方の磁石の位置は部材47に記入された目盛の位置と対応している。この目盛も強固に軸に結合されている。
【0054】
ブッシュ48は軸41の支承部としての役割を果たす。ブッシュはOリングに挿入され、このOリングによってブッシュはスリーブ45内に固定される。ピンの上側部分に第2の支承ブッシュ(部材42)が取付けられている。更に、ここで回転軸43は滑り支承部としてブッシュ42内で固定されている。調整ピンは、2つの異なるばね、強力なばね44と極端に力が弱いばね46とを有する。下側領域にピストン状拡張部を有する軸43は頭部39を押すことによってばね44の力に抗して下方に移動される。これにより軸51は著しく弱いばね46の弾力に抗して下方に移動される。つまりばね46が強く圧縮される一方、ばね44は僅かに圧縮されるだけである。本応用事例の場合、下側の尖端がバルブの連結を解除すべく、ばね44の力は軸51によってその下側の尖端に伝達される。
【0055】
尖端部での軸の直径は特に約3mmであることが好ましい。下端は丸屋根状に丸くしておくことが好ましい。ピンの下端に取付けられるキャップ51は支承部と、軸41内に収容された磁石50とを保護する。磁石の位置は、窓53を通して、目盛ドラム47の目盛から読取が可能である。本発明の構造によって、調整の正確性を損なうことなく、調整ユニットを極力小さく構成することが可能となる。このように、調整ピンは、はじめて上述の事項を実現することを可能する。この構造により、磁石を患者の皮膚に極力近づけて配置することを可能にする。同時に、バルブハウジングに荷重をかけながら微妙かつ厳密な調整を行うことができる。
【0056】
図5〜7は他の実施例を示す。図5も本発明に係るバルブの拡大断面図である。実際にこの実施例では、装置の直径を20mm未満、厚さを6mm未満としている。別の実施例において、寸法をより小さくすることができる。
【0057】
このバルブに含まれる鋼製ハウジングは円筒形リング101と一体に形成された鋼製ボトム102とカバー103とからなる。リング101は流入側に挿入部材104を備えている。この挿入材内では、バルブボール105がくり抜き部106を密封する。バルブボール105は線材状ばねでくり抜き部106に向かって加圧される。ばねは、長いレバーアーム107aと小さく/短いレバーアーム107bとを備えた2腕レバーアームにより構成されている。断面がバルブ中心を通り、ばねが図示されている領域は切断面図中の背後にあり、レバーアーム107aの自由端は切断面の前にある図示しない領域に延びており、短い方のレバーアーム107bは図面及び切断面に正確に垂直に延びていることを示しているので、両方のレバーアーム107a、107bは互いに鋭角を成す。別の実施例では別の角度が設けられている。
【0058】
ばねは、両方のレバーアーム107a、107bの間でピン109にろう接されている。ピン109はバルブボール105の横に配置され、2つの鋭利な末端を有し、この末端でピンは円筒形リング101内で揺動可能に支承されている。短い方のレバーアーム107bに薄板108が固着されており、この薄板でばねはバルブボール105を加圧する。ばねを加圧すればするほど、髄液の流入に対するバルブ抵抗は一層強まる。ばねの加圧が弱ければ弱いほど、髄液の流入に対するバルブ抵抗は一層弱まる。
流入した髄液は排出口と、埋め込まれたチューブ管路(図示なし)とを経て患者の腹腔内に達する。
【0059】
長いレバーアーム107aは本実施例の場合円筒形リング101の中心まで延設され、そこでカム軌道110上を滑動する。カム軌道は、円筒形成形部材111(以下、成形部材と称する)の構成要素である、調整ディスクの溝の底部により形成される。溝の一方の側壁は円筒形成形部材111によって形成される。溝の他方の側壁は円板112によって形成される。
【0060】
図6に細部を示す。そこにはカム軌道110aと側壁110bとを備えた成形部材111の一部が示してあり、この側壁は成形部材111自体によって形成される。
カム軌道110aは始点110dと終点110eとを有する。成形部材111を時計回りに回転させることによってレバーアーム107aは図6の平面において左方向に加圧される。これによりばね張力が高まり、一層高い圧力がバルブボール105に対して加えられる。
成形部材111が反時計回りに動くときばね張力は低減し、バルブボール105に対する圧が低下する。
【0061】
円板112は成形部材112の段差に嵌着され、そこで固着される(図示しない)。
その他、カム軌道の終端110eと始端110dとの間に連結部110cが設けられており、成形部材は終端110eに達すると、単に、同方向に回されると再び始点110dに到達することができる。
【0062】
成形部材111は回転可能に支承ボルト112上に配置され、そこでリング114で固定されている。
本実施例の場合、成形部材111は互いに直径上で向き合う永久磁石用の穴115、116を有する。永久磁石はピン型の磁石を構成する。本実施例の場合、その直径は2mmである。磁石は凹部115、116内でカバー117によって保持される。バルブハウジングの鋼製ボトム102からの磁石の距離は僅かである。
バルブ圧を調節するために成形部材111が回され、必要に応じてばね圧が高められ又は低減される。調節は成形部材111の回転によって行われる。
【0063】
図7に示した調整器が成形部材を回転させる。調整器はキャップ126を備えたハウジング125を有しており、このキャップがバルブに載置される。
2つのピン磁石128を備えた頭部127がハウジング125内に設けられている。ピン磁石128は成形部材111の磁石と同じ距離をおいて配置され、調整器をバルブに載置したときに成形部材111の磁石とは別の磁極で向き合うように配置されている。これにより磁石が吸引し合い、成形部材111は、調整器の回転運動若しくは揺動運動に追従し、同一方向へ回転若しくは揺動する。調整器の正確な位置決めを容易とすることにも有益である。軽く触れると、磁石の吸引力により、調整器を正しい位置に案内する。
【0064】
引き続き、バルブハウジングの僅かな変形を惹起するために押付が強められる。これにより、ハウジングボトム又はハウジングカバーが弾力的に変形する。ボトム2は、この変形を容易とするための厚さとする。本実施例の場合、変形厚さは0.2mmである。変形と連動して、成形部材111が接触していた摩擦面から持ち上がり、摩擦が解消される。これにより、成形部材の回転又は揺動が容易になる。本発明において、ハウジング内には、変形に対応するための空間が設けられている。このため、カバー103には、リング114及びボルト113を逃がすくぼみが設けられている。
【0065】
加圧のために、ボールペンに類似した機構が調整器内に設けられている。この機構が弾力的押付を生じさせる。ばねは過剰な変形からバルブハウジングを保護する。
ボールペン機構により、磁石を、キャップ126内で調整に必要な位置で係止することができ、また、調整実行後に再び引き戻すことができる。これは、調整器を取り外すときに、調整器が不用意に動くことにより意に反して余計に変位することを防止する。
【0066】
本実施例において、キャップ126内における頭部127の押付は、治療医がハウジング125を回すと頭部127が連動するように設計されたばねシステムによってなされる。
別の実施例では、更に頭部127のガイドが設けられており、このガイドが、単独で又は押付をしたときに、ハウジング126の回転時に前記した頭部127を連動させる。
他の1例では、ガイドに溝と凸部を有する連結部が設けられており、これにより軸線方向の運動を可能とするが、周方向では回転は固定される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】バルブ装置の横断面拡大概略図
【図2】調整ディスクの説明図
【図3】調整ピンの断面概略図
【図4】調整ピンの断面概略図
【図5】バルブ装置の横断面拡大概略図
【図6】調整ピンの断面概略図
【図7】調整ディスクのカム軌道部の説明図
【符号の説明】
【0068】
1 回転体
2 磁石
3 磁石
4 板ばね
5 サファイアボール
6 ねじ
7 回転体軸
8 回転体1の載置箇所
9 回転体1の部位
10 ばねワイヤ
11 バルブ入口
12 バルブ出口
13 板カム
14 ストッパー
15 ばね支承軸
16 チタンハウジング
17 回転体1の載置箇所
18 バルブ装置ボトム
19 軸7と部位9の隙間
20 バルブ装置カバー
21 ばね10載置箇所
22 回転体尖端
23 ストッパー
24 回転体1と軸7の係合部
25 栓
26 調整ピン小管
27 窓
28 測定ドラム
29 支承ブッシュ
30 ばね
31 可動キャップ
32 軸
33 軸支承部
34 軸支承部
35 磁石
36 磁石
37 リング
38 シリンダ
39 調整ピン頭部
40 調整ハンドル
41 軸
42 第2支承ブッシュ
43 回転軸
44 強力ばね
45 スリーブ
46 微力ばね
47 目盛ドラム
48 支承ブッシュ
49 Oリング
50 先端キャップ
51 バルブ調整軸
101 円筒形リング
102 鋼製ボトム
103 カバー
104 挿入部材
105 バルブボール
106 くり抜き部
107 2腕レバーアーム
107a 長腕レバー
107b 短腕レバー
108 薄板
109 レバーアーム支承ピン
110 カム軌道
110a 調整ディスク溝底部
110b 調整ディスク溝側壁
110c カム軌道連結部
110d カム軌道始端
110e カム軌道終端
111 円筒形成形部材
112 円板
113 支承ボルト
114 リング
115 磁石保持部
116 磁石保持部
117 磁石カバー
125 調整器ハウジング
126 キャップ
127 調整器頭部
128 ピン磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に埋め込まれたバルブ及びチューブ管路を介して患者頭蓋内の脳室から過剰の髄液を導き出し、主に上大静脈内又は腹腔内に排液される、水頭症患者の頭蓋内の髄液の圧力を均一にするための調節式水頭症バルブ用のバルブ圧が、調整機構を介して調整されるばねによって決定されると共に、前記調整機構が、磁石によって外部から揺動又は回転によって動かされる揺動可能部材又は回転可能部材を有し、これによってばねが緊張又は弛緩される方法及び装置において、機械的経皮的に賦活可能な制動子を賦活することによって意図しない変位運動を防止すると共に、前記制動子を失活させることによって調整運動を可能にすることを特徴とする方法及び装置。
【請求項2】
自動的に賦活するばね押し制動子を、ばね圧の弛緩によって失活させることを特徴とする、請求項1に記載された装置。
【請求項3】
ハウジング壁が制動子用ばねとして機能する弾力的バルブハウジングが使用されると共に、該ハウジングのハウジング壁が変形され、調整器がハウジングに当接して摩擦によって係合したときに、ハウジング壁がさらに変形して、調整器がハウジングとの摩擦係合を失ったときに調整器が解放となることを特徴とする、請求項2に記載された装置。
【請求項4】
ハウジング壁が、外向きに湾曲した出発形状を有し、変形によってこの出発形状の湾曲が低減され、平らな形状となり、若しくは内向きの湾曲形状となること、平らな出発形状を有し、変形によってこの出発形状が内向きの湾曲形状となること、又は、ハウジング壁が内向きに湾曲した出発形状を有し、変形によってさらなる内向き湾曲形状となることを特徴とする、請求項3に記載された装置。
【請求項5】
縁の変形によって変形可能なハウジング壁と摩擦係合することができる回転可能又は揺動可能に配置された調整ディスクを有することを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載された装置。
【請求項6】
横断面がU形状を有する調整ディスクが使用されると共に、前記U形状の突出縁で摩擦係合が生じることを特徴とする、請求項5に記載された装置。
【請求項7】
厚さ0.5mm以下、特に厚さ0.2mm以下の変形可能なハウジング壁を使用することを特徴とする、請求項4〜6の何れかに記載された装置。
【請求項8】
摩擦係合のために、ハウジング壁厚の2倍に等しい程度にまで、特に0.1mmの程度にまでハウジング壁が変形することを特徴とする、請求項4〜7の何れかに記載された装置。
【請求項9】
ハウジング、特に変形可能なハウジング壁が、金属、特にチタン若しくはチタン合金からなることを特徴とする、請求項1〜8の何れかに記載された装置。
【請求項10】
制動作用を失活させるためのハウジングの変形が加圧装置によって行われると共に、該加圧装置の加圧が、行程制御式、及び/又は、圧制御式に行われることを特徴とする、請求項1〜9の何れかに記載された装置。
【請求項11】
手動による装置の圧測定と圧表示、及び/又は、圧制限と押付を特徴とする請求項10に記載された装置。
【請求項12】
圧表示と圧制限用にばね要素を使用し、及び/又は圧測定用にストレインゲージを使用することを特徴とする、請求項11に記載された装置。
【請求項13】
更に、外側にある調整器として構成された加圧装置を使用することを特徴とする、請求項10〜12の何れかに記載された装置。
【請求項14】
内側にある調整器と外側にある調整器が単数又は複数の磁石を備えており、外側にある調整器の磁石と内側にある調整器の磁石が異なる磁極で向き合い、外側にある調整器から内側にある調整器へとトルクが伝達されることを特徴とする、請求項13に記載された装置。
【請求項15】
内側にある調整器と外側にある調整器とにそれぞれ2つのピン磁石が取付けられ、2つの対応する磁石のうち、一方の磁石が、ボトム側にS極、他方の磁石がN極を向けて配置されていることを特徴とする、請求項に記載された装置。
【請求項16】
直径3mm以下、特に直径1mm以下、高さ5mm以下、特に高さ2mm以下の磁石が使用され、外側にある調整器内の磁石と内側にある調整器内の磁石とが、互いに最高で3mm離れ、特に最高で1mm離れることを特徴とする、請求項15に記載された装置。
【請求項17】
磁石が最高で20mm、特に最高で10mm、更に好ましくは最高で8mmの相互距離を有することを特徴とする、請求項16に記載された装置。
【請求項18】
調整器が垂直に位置するとき、調整器の磁石がキャップ内で上下動可能であることを特徴とする、請求項16又は17に記載された装置。
【請求項19】
外側にある調整器がハウジングと調整機構とを有し、これらの一方又は両方がボールペンを模して形成されており、磁石を押付けることによって及び/又は相対回転不能に配置することによって、ハウジングの回転がハウジング内に収容された磁石に伝達されることを特徴とする、請求項16〜18の何れかに記載された装置。
【請求項20】
患者の頭に埋め込まれたバルブに載置可能なキャップを調整器が備えていることを特徴とする、請求項19に記載された装置。
【請求項21】
調整器がハウジングと調整機構とを有すると共に、これらの一方又は両方がボールペンを模して形成されており、磁石を押付けることによって及び/又は相対回転不能に配置することによってハウジングの回転がハウジング内に収容された磁石に伝達されることを特徴とする、請求項16〜20の何れかに記載された装置、請求項25〜33の何れかに記載されたバルブ。
【請求項22】
ハウジングの弾性変形のために必要な力が、外側にある調整器に備えられた力制限器としてのばね要素を介して加えられることを特徴とする、請求項16〜21の何れかに記載された装置。
【請求項23】
外側にある調整器が調整用測定器を備えていることを特徴とする、請求項16〜22の何れかに記載された装置。
【請求項24】
測定器が圧測定器及び/又はひずみ測定器であることを特徴とする、請求項23に記載された装置。
【請求項25】
外側にある調整器が、バルブ内の磁石位置に自由に適応し、磁石の回転位置が外部で読取可能であることを特徴とする、請求項24に記載された装置。
【請求項26】
外側にある調整器のハウジングが読取窓を有することを特徴とする、請求項25に記載された装置。
【請求項27】
ばねが、バルブのバルブボール又はバルブフラップと係合する揺動可能なばね棒によって形成されると共に、該ばね棒の揺動面が調整ディスクの運動面と平行に延びていることを特徴とする、請求項1〜26の何れかに記載された装置。
【請求項28】
バルブ特性が金属のワイヤ又は薄板によってもたらされると共に、該ワイヤ又は薄板の横断面が特に丸又は長方形であり、直径又は厚さが0.5mm以下、特に0.3mm以下、更に好ましくは0.2mm以下であることを特徴とする、請求項28に記載された装置。
【請求項29】
ばね棒が2腕のレバーアームによって構成されており、その一方のレバーアームが調整ディスクと係合され、他方のレバーアームがバルブのバルブボール又はバルブフラップと係合されていることを特徴とする、請求項27又は28に記載された装置。
【請求項30】
2腕レバーアームとして構成されるばね棒が軸支されており、係合が、一方のレバーアームが滑動して調整ディスクの板カムを加圧し、及び/又は他方のレバーアームが滑動してバルブのバルブボール又はバルブフラップを加圧することによって実現されることを特徴とする、請求項29に記載された装置。
【請求項31】
両方のレバーアームが形成する角度が180°未満、特に90°未満であり、及び/又はレバーアームが湾曲して延びていることを特徴とする、請求項27〜30の何れかに記載された装置。
【請求項32】
調整ディスクの板カムが少なくとも一部で螺旋状に延びており、調整ディスクの回転時にばねに与えられる荷重がスライド式に特に均一に変化するか、又は板カムが不均一に延び、ばねに与えられる荷重が不均一に変化することを特徴とする、請求項30又は31に記載された装置。
【請求項33】
末端が固定され、360°以内で延びた板カムのカム軌道が、調整されて調整ディスクの往復揺動運動が生じ、又はカム軌道が少なくとも300°の円周角度にわたって延び、螺旋状部分の両末端の間に移行部が設けられており、ばねが、一方の端部に到達した後に螺旋状部分が継続して同一方向に回転することによって他方の端部に到達すると共に、カム軌道の調整行程が特に0.1〜2mm、より好ましくは0.5〜0.9mmであり、カム軌道の実際のピッチがバルブシートの有効面積に適合される一方、他方で高い調節圧時に徐々に大きくなるΔp等の調整範囲に対する要求に適合することを特徴とする、請求項30〜32の何れかに記載された装置。
【請求項34】
ばねが丸みをおび及び/又は角張って延びる横断面、特に円形又は長方形横断面、より好ましくは葉状又は線状横断面を有することを特徴とする、請求項27〜33の何れかに記載された装置。
【請求項35】
2腕レバーとして構成されるばねが揺動可能な支承部によって保持されており、この支承部が、ハウジング及び/又はハウジングのボトム及び/又はカバーの凹部内に両端を挿入させたピンで形成されていることを特徴とする、請求項27〜34の何れかに記載された装置。
【請求項36】
ピンが末端に尖端を有すると共に凹部内で該尖端が揺動することを特徴とする、請求項35に記載された装置。
【請求項37】
ピンが、ばねと溶接又はろうづけされていることを特徴とする、請求項36に記載された装置。
【請求項38】
ピンの直径が3mm以下、特に直径2mm以下、より好ましくは直径1mmであることを特徴とする、請求項35〜37の何れかに記載された装置。
【請求項39】
単に1箇所におけるよりもはるかに大きな利用可能な面にわたって現れる公差の少なくとも枠内で、バルブボールに触れるばね棒が使用されることを特徴とする、請求項27〜38の何れかに記載された装置。
【請求項40】
ばねがバルブボール側で薄板に移行していることを特徴とする、請求項39に記載された装置。
【請求項41】
薄板が溶接又はろうづけされていることを特徴とする、請求項40に記載された装置。
【請求項42】
ばねが2腕レバーからなると共に、個々の腕が異なる横断面を有することを特徴とする、請求項27〜41の何れかに記載された装置。
【請求項43】
調整ディスク側の腕がばねワイヤからなると共に、バルブ側の腕が板ばねからなることを特徴とする、請求項42に記載された装置。
【請求項44】
溶接継手がレーザ溶接された継手であることを特徴とする、請求項1〜43の何れかに記載された装置。
【請求項45】
バルブが、ハウジングがボトムとカバーとを備えた環状ハウジングを有し、
a)少なくともボトム又はカバーが脱離可能であり、
b)部材用支承ボルトがボトム又はカバーに設けられており、
c)ハウジングリングに1つの流入口と1つの排出口が設けられており、少なくとも一方の口にバルブボールが嵌着されており、このバルブボールがばねによって機能する位置で保持されることを特徴とする、請求項1〜44の何れかに記載された装置。
【請求項46】
バルブの外径が31mm以下、特に20mm以下、及び/又は高さが10mm以下、特に6mm以下であることを特徴とする、請求項45に記載された装置。
【請求項47】
変形可能なハウジング壁が軸を有しており、この軸上に調整ディスクが回転運動可能に配置されていることを特徴とする、請求項5〜46の何れかに記載された装置。
【請求項48】
ハウジング壁を変形させるための調整ディスクがその軸によってハウジング壁に対して支えられていることを特徴とする、請求項47に記載された装置。
【請求項49】
支えられたハウジング壁が、さらなる変形時に、調整ディスク内に入り込む運動のための余裕を有することを特徴とする、請求項48に記載された装置。
【請求項50】
調整ディスクが、周囲のハウジングに対する係止を解除した後に、調整運動用運動のための余裕を有することを特徴とする、請求項5〜49の何れかに記載された装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−509610(P2006−509610A)
【公表日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502318(P2005−502318)
【出願日】平成15年12月10日(2003.12.10)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013999
【国際公開番号】WO2004/052443
【国際公開日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(503211585)クリストフ ミートケ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (3)
【Fターム(参考)】