識別票
【課題】多数の識別タグを配列しているシートやテープなどの識別票を任意の大きさに切断して使用する場合に、一つの切断片に載っている識別タグを別の切断片に載っている識別タグから容易に区別することができる識別票を提供する。
【解決手段】テープ状の基材部に搭載された複数の本体部10,10,…において、一の本体部10は、隣接する別の本体部10の極近傍に延びる第1の切断検出線12を有しており、この第1の切断検出線12が切断された場合は、本体部10から発信される識別信号には個々の本体部10に固有の符号に加えて第1の切断検出線12の切断結果が含まれることになる。
【解決手段】テープ状の基材部に搭載された複数の本体部10,10,…において、一の本体部10は、隣接する別の本体部10の極近傍に延びる第1の切断検出線12を有しており、この第1の切断検出線12が切断された場合は、本体部10から発信される識別信号には個々の本体部10に固有の符号に加えて第1の切断検出線12の切断結果が含まれることになる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別票に関し、特に識別信号を発信する識別票に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を機器で識別し自動的に取り扱う方法として、例えば、文書ファイルの保管や商品の在庫管理や物品の取り扱いのための荷札などに、ICタグなどの無線通信可能な識別タグを用いる方法が提示されており、実際に使用されている。バーコードなどの光学的読み取り可能な識別コードが搭載されている識別票と比較して、無線通信可能な識別タグは、識別タグが物品の表面に露出している必要が無いため外観を損なわない、読み取り器に対する識別タグの向きが自由なので読み取り時に物品の向きを調整する必要が無い、などの利点がある。また、無線通信可能な識別タグを物体の識別以外に動作の識別・命令のために用いることも提示されている(特許文献1)。
【0003】
これらの識別タグが複数あるときには、読み取りを行う1つの通信器に順次1個ずつ接近させて通信させる場合もあるが、複数の識別タグが1箇所に置かれた環境で、各識別タグと1つの通信機が同時に通信する方法も提示されており(特許文献2、3、4)、識別タグを個々に分けて読み取りを行う作業をせずに、例えば、複数物品をまとめたコンテナをそのまま取り扱うことなども可能となる。
【特許文献1】特開2000−187715号
【特許文献2】特表2001−523631号
【特許文献3】特表2001−511276号
【特許文献4】特開2003−271912号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来方法では、1つの物品あるいは動作に対して1つの識別タグが対応している。しかし、多数の識別タグを配列してあるシートやテープなどを任意の大きさに切断して使用する場合を考えてみると、読み取りに応答した複数の識別タグが、共通の切断片に載っているのか、異なる切断片に載っているのかを判別する必要が生じる。このような状況は、今のところ議論はされていないが、例えば、梱包をする際の封止テープに複数の識別タグをあらかじめ設けておき、梱包の大きさに合わせて適度な長さで切断して用いる状況が考えられる。
【0005】
この場合には、1つの梱包物に対して複数の識別タグが取り付けられることが生じる。この梱包物を従来の方法で取り扱うには、梱包後個々に通信器で識別タグの応答を読み出し、割り振られた複数の識別符号を1つの梱包物に対応するとデータベースに蓄えるという操作を行う。そして、運搬・流通過程で利用する度に、このデータベースにアクセスして識別符号を照合する。
【0006】
例えば、複数の識別タグを搭載した長尺の封止テープを適当な長さに切断して梱包に用いることを考えると、この場合1つの梱包物に対して複数の識別タグが取り付けられていて、コンテナの中にそのような梱包物を複数入れて運搬することになる。つまり、一つの封止テープをいくつかに切断して複数の梱包を行うため、長尺の封止テープ上に連続して並べられていた複数の識別タグがいくつかのグループに分かれて、別々の梱包物に貼り付けられることになる。
【0007】
運搬過程において通信機で識別タグの応答を読み取ろうとすると、コンテナ内には複数の識別タグがあるため、応答が複数となる。このとき、梱包物の個数を判断するためには、梱包時に作られたデータベースへのアクセスが必要となる。なぜならば、封止テープの切断位置についての情報は、コンテナ内からの応答からは読み取ることができず、梱包時に作られたデータベースにのみ存しているからである。流通過程においては梱包元から発送した複数の梱包物はそれぞれ異なる配送先へ送ることも多く、その場合、多くの流通段階においてデータベースへの通信が生じデータベースとの通信負荷が増大する。これを回避するために、運搬の中間段階で独自のデータベースを作成しようとすると、データベース作成時に梱包物1つずつを通信器で読み出すためにコンテナからの取り出しや詰め込み作業が必要となり、手間が余分にかかる。また、識別タグの応答を受信したら逐次データベースにアクセスするために、読み取り装置も複雑となる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多数の識別タグを配列しているシートやテープなどの識別票を任意の大きさに切断して使用する場合に、一つの切断片に載っている識別タグを別の切断片に載っている識別タグから容易に区別することができる識別票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、基材に搭載された複数の識別タグを有する識別票において、隣り合う識別タグ間が切り離された場合に識別タグからの発信される信号に切り離された情報が含まれるようにした。
【0010】
具体的には、本発明の第1の識別票は、識別信号を発信する識別票であって、前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載面上に搭載する基材部とを備え、前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線は、前記基材部の搭載面上において、前記一の本体部に隣接する別の本体部の識別信号発信部から前記一の本体部の識別信号発信部へ向かう方向に対して略垂直な方向から見たときに、前記別の本体部と重なっており、前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる構成とした。ここで、自らの切断の有無というのは切断検出線自身が切断されたか否かということである。また、一の本体部の切断検出線が別の本体部と重なっているというのは、物理的に重なっているのではなく搭載面に沿って前述の方向から見たときに重なって見えると言うことである。
【0011】
本発明の第2の識別票は、識別信号を発信する識別票であって、前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線の一部は、当該一の本体部に隣接する別の本体部の前記識別信号発信部の上あるいは下に位置しており、前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる構成とした。前記一の本体部の切断検出線の前記一部と別の本体部の識別信号発信部との間には介在物が存していても構わない。
【0012】
本発明の第3の識別票は、識別信号を発信する識別票であって、前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、前記複数の本体部のうちの一の本体部は、当該一の本体部と隣接する別の本体部のうちの少なくとも一つが切り離されたことを検出する切断検出線を有しており、前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が前記切り離されたことを検出したときには、さらに切断符号を含んでいる構成とした。
【0013】
上記のような構成を有しているので、切断検出線が隣り合う本体部間が切り離されたことを検出し、この切り離されたという情報を含む識別信号が発信されて、識別票が切断されているか否かを確実に判断できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の識別票を用いることで、多数の本体部を配列してあるシートやテープなどを任意の大きさに切断して使用する場合に、読み取りに応答した複数の本体部が、同一の切断片に載っているのか、異なる別々の切断片に載っているのかの判別が容易に行える。これにより、判断のためのデータベースへの通信量の低減や読み取り器の簡易化が図れ、複数の本体部を有する識別票の利用が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、以下では例を挙げて本発明を説明する場合があるが、本発明は以下に説明する例に限定されない。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1の識別票は、図1(a)に示すように、テープ状の基材部(不図示)の上に識別単位である複数の本体部10a,10a,…が搭載されて一次元(直線上)に並んでいるものである。これまで識別タグという呼び方で説明してきたものは、ここでは本体部10a,10a,…と呼んでいる。
【0017】
本体部10a,10a,…は、識別信号を発信する識別信号発信部11a,11a,…と、第1の切断検出線12a,12a,…と、第2の切断検出線13a,13a,…とを備えている。識別信号発信部11a,11a,…は、各本体部10a,10a,…毎の固有の識別信号を記録する回路や結果を通信する回路など一般の無線通信識別票(ICタグ)が持つ回路などを含んだ処理回路を有している。第1の切断検出線12aは、一つの識別信号発信部11aから隣接する別の識別信号発信部11aの極近傍にまで延びている線である。この第1の切断検出線12aは、図1(b)に示すように、1本の導電性を有する線が一の識別信号発信部11aから延びていって隣接する別の識別信号発信部11aの極近傍でUターンし、再び元の一の識別信号発信部11aにまで戻っている構造を有している。第2の切断検出線13a,13a,…も同様の構成および構造を有している。
【0018】
各本体部10a,10a,…は、それぞれ異なる識別信号を発信するものであり、これらの識別信号は、本体部10a,10a,…それぞれに固有な固有符号を含んでいる。
【0019】
ここで、隣接する2つの本体部10a,10a(一の本体部と別の本体部)の間で基材部が切断されて隣接する2つの本体部10a,10aが切り離された場合、一方の本体部10a(一の本体部)の第1の切断検出線12aも切断され、図1(a)に示す識別信号発信部11aに接続している導電性を有する線の両端の導通がなくなり、それによって、第1の切断検出線12a自身が切断されたことが本体部10a(一の本体部)の識別信号発信部11aによって判定される。また、隣の別の本体部10aの第2の切断検出線13aも切断され、同様にこの本体部10aの識別信号発信部11aによって切断が検出される。この場合、本体部10a(一の本体部)が発信する識別信号は、前述の固有符号に加えて切断符号を有することになる。また、別の本体部10aが発信する識別信号も、前述の固有符号に加えて別の切断符号を有することになる。
【0020】
本実施形態の識別票の概要は以上の通りであるが、以下にさらに詳しく説明する。
【0021】
第1の切断検出線12a,12a,…は、図1において本体部10a,10a,…から右側に延びており、第2の切断検出線13a,13a,…は左側に延びている。つまり一つの本体部10aにおいては、この本体部10aの第1の切断検出線12aが隣接する別の本体部10aの第2の切断検出線13aと両本体部10a,10aの識別信号発信部11a,11aの間で略平行に並んでいる。この並んでいる部分は、本体部10a,10a,…が搭載された基材部の搭載面において、1つの識別信号発信部11aから別の識別信号発信部11aへ向かう方向に対して略垂直な方向から見たときに、重なって見える。従って、2つの識別信号発信部11a,11a間で基材部を切断して2つの識別信号発信部11a,11aを切り離した場合、一方の本体部10aの第1の切断検出線12aと別の本体部10aの第2の切断検出線13aも切断されて、切断されたことが識別信号に含まれるようになる。このような構成により、本体部10a,10aから発信される識別信号を受信して解析することによって切断の有無および切断箇所がわかる。なお、略平行あるいは略垂直というのは、数学的に厳密な意味での平行あるいは垂直を意味するのではなくて、±8°ぐらいの幅を有していることを意味しており、±5°の幅がより好ましい。また、一方の本体部10aの第1の切断検出線12aと別の本体部10aの第2の切断検出線13aとの見かけ上の重なりは、少なくとも一部でも存していればよい。重なりがなければ、その重なりがない部分で基材部が切断されたときに、いずれの切断検出線12a,13aも切断されず切断検出を行うことができないが、一部でも見かけ上の重なりがあれば、確実に切断検出を行うことができる。
【0022】
識別信号発信部11a,11a,…は、例えば図5に示すブロック図の構成を有する無線通信のための回路を備えている。
【0023】
この回路構成は、アンテナブロックと、整流回路と、電源回路と、信号処理ブロックと、記録ブロックとを含む。一般のICタグのように、整流回路を経由してアンテナブロックから供給されたエネルギーを電力源にして、電源回路が信号処理ブロックや記憶ブロックに電力を供給する。信号処理ブロックは、クロック抽出回路、リセット回路、カウンタ、デジタル制御回路および変調回路を含む。記録ブロックは、アドレスデコーダと、記録部と、センサー部(切断検出部)とを含む。
【0024】
アンテナブロックには、アンテナ回路と共振回路とが別にあってもよいし、共振回路の一部としてアンテナ回路があってもよい。センサー部には、切断検出線の検出結果を処理する回路が含まれる。さらに、必要なら圧力や化学物質や光などの各種センサーを処理する回路をセンサー部に設けてもよい。また、外部から値を追記入力するための電極なども同様にセンサー部に組み込んでもよい。切断検出線やセンサーの結果は、各本体部10a,10a,…の固有の固有符号に加えて識別信号の一部として通信できる。そのため、センサー部は記録ブロックとしてアドレスデコーダと密に接続されるのが好ましい。記録部には、固有符号のほかにも、あらかじめ記録されている内容や外部から有線や無線などで書き込まれる内容が記録される。記録ブロックから信号処理ブロックへ出力された結果(信号)は、例えば、通常の無線通信識別票(ICタグ)と同様に、デジタル制御回路による制御によって変調回路で共振負荷を変調させるなどの方法で、外部へ出力応答される。なお、図5には記載していないが、既存の無線通信識別票で使われているような、輻輳制御や書き込みの機能などを加えてもよい。
【0025】
本実施形態の識別票では、識別信号に含まれる各本体部10a,10a,‥に固有な固有符号が、各本体部10a,10a,‥の配置と規則的に対応している。すなわち、本実施形態では、各本体部10a,10a,‥が一元配置されて直線上に順に並んでいるので、この並び方に応じて、例えば一の本体部10aの固有符号を、隣の本体部10aが有する固有符号に所定の演算を行って得られた結果とすればよい。この際の演算としては、例えば、等差数列や等比数列となるような演算が挙げられる。例として、m個の本体部10a,10a,‥がテープ状の基材部の長手方向に配列したテープ状識別票とした場合には、…、(i−1)、i、(i+1)、…と順次1ずつ異なるように、本体部10a,10a,‥に含まれる固有符号を設定する場合が挙げられる。これによって、本体部10a,10a,‥が隣接する可能性を容易に判断することができるようになる。
【0026】
なお、識別信号が複数の桁から構成されている場合、切断検出線による切断の有無の検出結果(切断有りの場合は切断符号)は、識別信号内のどの位置(桁)にするのも可能であるが、固有符号が、切断の有無の検出結果よりも識別信号内で上位の桁にあるのが好ましい。こうすると、複数の本体部10a,10a,…の識別信号を読み出して、応答した複数の識別信号を並べる場合、固有符号が上位桁なので、読み出された複数の識別信号は上位桁の大きさに従って並べられていくため、この並びの順序が切断位置に左右されないで決まり好ましい。これらのことは後述の実施例にて説明する。
【0027】
各本体部10a,10a,‥が発信する識別信号としてより具体的な例としては、図8に示すように、上位桁から下位桁に向けて、センサーや追記記憶部分が切断されて破壊されたか否かの検出結果C、固有符号I、第1の切断検出線12aの結果A、を置き、さらに下位桁に、センサーの結果や追記内容やその他の記録内容などSを置くという例があげられる。本実施形態では、Aには第2の切断検出線13aの検出結果も割り当てられる。図8のC、I、A、S、それぞれの領域は、連続していてもよいし、間に何桁か空けて置かれてもよい。図8のC、I、A、Sの領域の間に何桁か空けて置かれた場合には、空いている桁には0や1などの固定された値が常に送信されるようにするのが、好ましい。また、図8のAには、各本体部10a,10a,‥が本実施形態のように1次元、あるいは2次元などの低次元配置されている場合でも、より高次元配置された場合との汎用性を考慮し、3次元以上の高次配置に対応するよう3桁以上を設けておくのが好ましく、6桁以上を設けておくのがより好ましい。使用していない桁は、切断されている場合と同じ値が常に送信されるようにしておくのが好ましい。
【0028】
識別票と識別信号を受信する受信機との通信は、通常の無線通信識別票での場合と同様に行う。この際、複数の本体部から応答があるので、例えば特許文献2、3、4などに記載された方法で通信するのが好ましい。その後の処理としては、例えば以下に示す〔A〕〜〔G〕の手順で応答内容を処理する。
【0029】
〔A〕通信可能な本体部すべてからの応答(識別信号)を受信する。
【0030】
〔B〕各応答に対し、検出結果Cが破壊という結果であるものを不要な応答と判断して破棄する。
【0031】
〔C〕応答を各本体部の並び順に並べ替える。
【0032】
〔D〕切断片上の本体部の識別信号と配置順に矛盾がないかを確認する。
【0033】
〔E〕並び順に並べられた本体部の応答を順に調べて、結果Aが「切断」となっているものをピックアップして、結果Aが「切断」となっている本体部の隣の本体部から次に「切断」となっている本体部までを1つの切断片上にあるとする。
【0034】
〔F〕結果Aが「切断」となっている識別信号を発信した本体部が、切断片の端にあるかを、検出結果Aに含まれる第1の切断検出線の結果と第2の切断検出線の結果と固有符号Iとのそれぞれの間で矛盾が無いかにより確認する。
【0035】
〔G〕手順〔D〕や手順〔F〕の確認手順で矛盾が生じた場合は、再度、手順〔A〕へ戻る。
【0036】
以上は、複数の本体部から応答があった場合の処理のひとつの例である。なお、手順〔A〕、〔B〕、〔C〕と順を追って処理する場合を例示したが、手順〔A〕の途中であっても、ある応答での結果Cからその応答が不要であることが分かった場合にその応答を破棄するという処理を行ってもよい。この場合は、手順〔B〕が手順〔A〕内で同時に行われることに相当する。同様に、手順〔B〕を省略し、手順〔C〕の最中に、ある応答の結果Cからその応答が不要であることが分かった場合にその応答を破棄するという処理を行ってもよい。この場合は、手順〔B〕が手順〔C〕内で同時に行われることに相当する。また、例えば結果Cを応答符号の最上位桁とすることで、手順〔C〕により不要な応答と必要な応答との2つの群としてまとめてもよい。これら例示された方法やその他の方法の選択によって識別票の切断位置の判断が左右されるものではなく、応答読み出し後の処理装置の記憶容量や処理時間などを勘案して応答の処理方法をどのようなものにするかを決定すればよい。なお、手順〔G〕において、手順〔A〕へ戻る回数が多い場合には警報を発して処理を中断するなど、一般的な例外処理を適宜行うのが好ましい。また、手順〔D〕や手順〔F〕は必ずしも必要なものではなく、省略するのも可能である。さらに、識別信号内に読み取り値の確認用の符号をあらかじめ含めておくなどし、手順〔A〕で読み取りを繰り返すなどとしてもよい。読み取り値や通信の確認方法によって本発明の主旨が左右されるものではない。
【0037】
<実施例>
以下、本実施形態の実施例について説明する。なお、この実施例は本発明の一例であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0038】
本実施例に係る識別票の本体部を図9に示す。本体部10は、無線識別通信処理回路を備えた半導体素子16と、アンテナ15と、第1の切断検出線12と、第2の切断検出線13と、追記用電極22と、センサー21と、追記用電極22またはセンサー21の破断検出線14とを備えている。半導体素子16はそれ以外の構成部材と電気的に接続されている。ここではワイヤボンディングによって接続を行っているが、リードフレームやTAB、チップサイズパッケージなどを用いた接続など接続方法はどのような方法を用いても構わない。また、半導体素子16とアンテナ15とを合わせたものが識別信号発信部である。本実施例では、隣接する本体部の第1の切断検出線12’が図9に示す本体部(一の本体部)10の上にまで来ていて、その先端部分は一の本体部10の第1の切断検出線12と並んで延びている。また、反対側に隣接する本体部の第2の切断検出線13’は、一の本体部10の下にまで来ている。すなわち、本体部10を搭載した基材部の搭載面上において、隣り合う半導体素子16間を結ぶ方向に垂直な方向からこの本体部10を見ると、隣の第1の切断検出線12’および第2の切断検出線13’は半導体素子16と重なって見えるように配置されている。なお、隣り合う半導体素子16間を結ぶ方向は、隣り合う半導体素子の中心同士を結ぶ線が延びる方向とも言える。
【0039】
センサー21は、例えば、圧力や光、温度、化学物質などをセンシングするセンサーを例として挙げることができる。用途により適宜選択すればよい。
【0040】
追記用電極22は、電気的に値を書き込む電極や、電極間を電気的に導電材で接続して値を追記する電極などを例として挙げることができる。
【0041】
これらセンサー21や追記用電極22は、破断検出線14により囲まれている。この破断検出線14はセンサー21および追記用電極22の近傍に設置されているので、識別票が切断されて破断検出線14が切断されたときには、センサー21や追記用電極22そのものあるいは接続配線が破断して、半導体素子16にセンサー出力や追記信号を送ることができなくなる。従って、破断検出線14が破断されたと半導体素子16が判定したときには、センサー21や追記用電極22からの情報はないものとして扱うようにする、すなわち識別信号にはセンサー情報、追記情報を載せなかったりすることができる。
【0042】
なお、本実施例では、第1および第2の切断検出線12,13の一部を共通にして処理回路と接続しているが、共通にしなくてもよい。また、センサー21や追記用電極22などの配線も、一部を共通化しているが共通にしなくてもよい。図9の本体部10の各構成部材の配置は一例であり、例えば、半導体素子16をアンテナ15のループ内に配置するなどとしてもよい。
【0043】
次に本実施例の識別票の作成方法を説明する。
【0044】
図10(a)に示すように、ポリイミドフレキシブル基板からなるテープ状の基材部18の上に、アンテナ15、破断検出線14、第1および第2の切断検出線12,13、追記用電極22、センサー21およびそれらの配線パターンをそれぞれ複数設ける。
【0045】
それから、基材部18上の半導体素子16を搭載する予定のそれぞれの場所と、破断検出線14と第1および第2の切断検出線12,13との交差部分と、アンテナ15線の交差部分とに、絶縁体であるエポキシ接着剤を塗布する。
【0046】
次に、複数の半導体素子16をそれぞれエポキシ接着剤の上に置いて接着固定する。
【0047】
そして配線パターンと半導体素子16との間、破断検出線14と第1および第2の切断検出線12,13との交差部分、アンテナ15線の交差部分をワイヤーボンダーを用いて金ワイヤーにより接続を行なう。
【0048】
さらに追記用電極22以外の箇所に透明アクリル塗料を塗布して保護層とする。なお、追記用電極22は露出したままとする。
【0049】
このようにして、図10のようにテープ状の基材部18の上に複数の本体部10,10,…が1次元状に配置された識別票とする。図10(b)は図10(a)のAの部分を拡大した図である。なお、配置した半導体素子16には、左側から順に番号を付けていき、n番目の半導体素子16には固有の識別信号nが割り振られるようにする。
【0050】
ここで各切断検出線12,13および破断検出線14は、半導体素子16内において図11(a)の様に接続されており、切断の検出結果は、電界効果トランジスタのゲート電極へ切断検出線を経由して電源電圧が印加されるのか印加されないのかの違いによって、選択線がアクティブとなった時に出力値として得られる。この出力値が識別信号の1つの桁を構成している。
【0051】
追記用電極22は、半導体素子16内において図11(b)の様に接続されており、導電材で追記された結果は、切断検出線と同様の理由で、選択線がアクティブとなった時に出力値として得られる。この出力値が識別信号の1つの桁を構成している。
【0052】
また、圧力センサーとして感圧性の導電ゴムを接続した場合は、半導体素子16内において図11(c)の様に配線すれば、切断検出線12,13や追記用電極22と同様に識別信号の1つの桁として出力結果が得られる。さらに、例えば光センサーや化学物質センサーなどのセンサーによって図11(c)の感圧性の導電ゴムを置き換えることで、それらのセンサー出力が識別信号の1つの桁として得られる。なお、本発明の主旨はこれらセンサー21の種類や追記用電極22と無関係なところにあるので、以下の説明では追記用電極22のみの出力結果を用い、センサー21については省略する。
【0053】
本実施例の各本体部10,10,…が発信する各識別信号は、最上位1桁に破断検出線14が破断されているか否かの結果(図8のCに相当)を割り当て、次の16桁に各本体部10,10,…に固有の固有符号(図8のIに相当)を、次の1桁に第1の切断検出線12が切断されているか否かの結果を、次の1桁を第2の切断検出線13が切断されているか否かの結果を、次の4桁に1を(これらの、固有の識別信号より下の6桁が図8のAに相当)、次の4桁に追記用電極4個の出力結果(図8のSに相当)をそれぞれ割り当てて、それ以下の最下位桁までを0とする128桁の2進数とする。また、破断検出線14と第1および第2の切断検出線12,13が切断された場合は1が、切断されていない場合は0が結果として得られるものとする。なお、これらの桁数や値は、本発明の主旨とは無関係で任意に設定できる。
【0054】
次に、上述のように、14個の本体部10,10,…を並べて作成した識別票を、ナイフで切断して6片とする。切断箇所は、図12に示すように1番目と2番目の本体部10,10の間、4番目の本体部10、7番目と8番目の本体部10,10の間、12番目の本体部10、13番目と14番目の本体部10,10の間とする。固有符号Iは、1から14までの並び順を10進法で表したものである。なお、両端の本体部10,10は端部であることを示すため、配線の一部が作成されていない。
【0055】
6枚の識別票切片を複数無線識別通信読取機で読み取ると、図13(a)の結果となる。なお、固有符号I=12の本体部の応答は無い。図13での切断検出結果欄において、Cは破断検出線の検出結果、Rは第1の検出線12の検出結果、Lは第2の切断検出線13の検出結果である。ここでCは識別信号の上から1桁目、Rは18桁目、Lは19桁目にあたる。また、両端のI=1,14の本体部は、配線が一部欠けているため、欠けている配線に関しては切断されているとの結果になる。
【0056】
各識別信号の値を大小順に並び替えると、図13(b)となる。並び替えた後では、固有符号Iが小さい方から大きい方に向かって並んでいてRが1となる本体部までが1切片上にあり、Rが1となった場合、その次の本体部は別の1切片上にある。固有符号Iの小さい方から大きい方に向かって順に、識別信号のRの値に従い、1切片上の本体部の配置をRが1になるまでを同一の切片上のものと決める。また、1切片上の固有符号Iが一番小さい本体部はLが1となることを確認することで、1切片上の本体部の配置を決定した結果をチェックする。なお、識別信号を並べ替えた後で固有符号の小さい方から大きい方に向かって順にRを調べる際に、Cが1となったら、Cが最上位桁であることから以降は必ずCが1となるので処理を終了する。
【0057】
以上のとおりにし、どの本体部が同一の識別票切片上にあるのかを判定できる。
【0058】
(実施形態2)
実施形態2の識別票は、図2に示す本体部10b,10bを有している。それ以外の識別票の構成部分は実施形態1と同じなので、本体部10b,10bについてのみ以下に説明をする。
【0059】
本実施形態では、第1の切断検出線12b,12b,…は存するが、第2の切断検出線は存していない。実施形態1では、第2の切断検出線が切断されているか否かで切断位置の確認を行っていたが、この確認は念のためのものであり、第1の切断検出線の自身の切断検出結果だけでも切断位置の検出は行えるので、本実施形態の識別票を用いても実施形態1と同様に識別票が切断されたときの切断位置判定を行うことができる。
【0060】
本実施形態の第1の切断検出線12b,12b,…は、実施形態1と異なり、接続されている一の識別信号発信部11b,11b,…から右隣の別の識別信号発信部11b,11b,…の方(図では右側)へ延びていって、隣の別の識別信号発信部11b,11b,…の図での上側にまで延びている。すなわち、本体部10b,10bを搭載した基材部の搭載面上において、隣り合う識別信号発信部11b,11b,…間を結ぶ方向に垂直な方向からこの隣の本体部10bを見ると、一の第1の切断検出線12bは隣の識別信号発信部11bと重なって見えるように配置されている。このように配置されていることにより、隣り合う識別信号発信部11b、11bの間が切断されて切り離されたときに、確実に第1の切断検出線12bも切断される。従って、確実に切断検出結果を識別信号の一部として発信することができる。その他の構成および効果は、第2の切断検出線を除いて実施形態1と同じである。第2の切断検出線がないので、識別信号がその分短くなり、信号の処理も簡単になる。また、製造コストも低くできる。
【0061】
(実施形態3)
実施形態3の識別票は、図3に示す本体部10c,10c,…を有しており、基材部はテープ状ではなく、シートである。本実施形態の複数の本体部10c,10c,…は二次元配置されている。すなわち、一方向に順に並べられているだけではなく、アレイ状に平面全体に広がるように並べられている。
【0062】
本実施形態の本体部10c,10c,…は、それぞれ2本の第1の切断検出線12c,12c,…と2本の第2の切断検出線13c,13c,…を有している。一の本体部10cでは、識別信号発信部11cから2本の第1の切断検出線12c,12cがそれぞれ隣接する別の識別信号発信部11c,11cの方へ延びている。2本の第1の切断検出線12c,12c同士は90°の角度をなして配置されている。また、この一の本体部10cの識別信号発信部11cには、また別の隣接する2つの識別信号発信部11c,11cから延びた第1の切断検出線12c,12cの先端が極近傍にまで迫っており、これら2本の第1の切断検出線12c,12cとほぼ並行に一の本体部10cの2本の第2の切断検出線13c,13cが配置されている。これら第2の切断検出線13c,13cは互いに90°の角度をなしている。一の識別信号発信部11cから延びている第1および第2の切断検出線12c,12c,13c,13cは、一の識別信号発信部11cを中心に基材部の搭載面をほぼ4等分する方向に延びている。
【0063】
本実施形態における固有符号は次のようになっている。例えば本体部10c,10c,…がm行k列に配列されているとすると、1行目の識別信号発信部11c,11c,…は、…、(i−1)、i、(i+1)、…というように1つずつ増えていく固有符号を有していて、2行目の識別信号発信部11c,11c,…は、…、(i+k−1)、(i+k)、(i+k+1)、…というように1行目にk加えてさらに1つずつ増えていく固有符号を有している。なお、連続性の判断が容易になるように、隣の行との固有符号の差をk+1、あるいはそれ以上にしてもよい。
【0064】
本実施形態では、基材部がシートであって各本体部10c,10c,…が二次元配置されているが、製造方法は実施形態1と同じであり、識別信号を受信して切断位置を判定する方法は行方向および列方向の2方向において演算を行う必要があるが、基本的には実施形態1と同じである。本実施形態では、識別票の端部を除いて、一つの本体部10cに最近接する別の本体部10c,10c,…は4つあり、それらとの間が切り離されたか否かは第1および第2の切断検出線12c,12c,13c,13cにより検出することができる。他の効果については実施形態1と同じである。
【0065】
(実施形態4)
実施形態4の識別票は、図4に示す本体部10d,10d,…を有しており、実施形態3と同様に、基材部はテープ状ではなく、シートである。実施形態4に係る識別票は実施形態3に係る識別票と一部異なる部分があるが多くの部分は同じであるので、異なる部分を以下に説明する。
【0066】
本実施形態の識別票は、各本体部10d,10d,…が2本の第1の切断検出線12d,12dを有しているが、第2の切断検出線を有していないところが実施形態3の識別票と異なっている。これはちょうど実施形態1と実施形態2との関係と同じである。本実施形態においても実施形態2と同じように、第1の切断検出線12d,12dが隣の識別信号発信部の方に延びていって、その先端は、搭載面に沿って両方の識別信号発信部同士を結ぶ線に垂直な方向から見たときに、隣の識別信号発信部に重なって見える位置にまで延びている。
【0067】
本実施形態では一の本体部10dに最近接する本体部10d,10d,…は4つ存するが、そのうちの2つへは一の本体部10dの第1の切断検出線12d,12dが延びていっており、残りの2つの本体部10d,10dからは一の本体部の方へ第1の切断検出線12d,12dが延びてきている。
【0068】
本実施形態は、第2の切断検出線がないので、切断された位置の再チェックが行えないものの、その分識別信号が単純になり、受信後の処理も簡単であり、識別票の製造も低コストで行える。それ以外の効果は実施形態3と同じである。
【0069】
(実施形態5)
実施形態5に係る識別票は図6に示す本体部10eを有しており、実施形態2の識別票と一部異なる部分があるが多くの部分は同じであるので、異なる部分を以下に説明する。
【0070】
本実施形態の本体部10eにおいては、隣の本体部に延びた第1の切断検出線12eの先端が隣の識別信号発信部11eの上に重ねられている。すなわち、第1の切断検出線12eは、その先端が隣の識別信号発信部11eの上に載せられている。このような配置することにより、隣り合う識別信号発信部11e、11eの間が切断されて切り離されたときに、確実に第1の切断検出線12eも切断される。従って、確実に切断検出結果を識別信号の一部として発信することができる。その他の構成および効果は、第2の切断検出線を除いて実施形態2と同じである。なお、第1の切断検出線12eの先端は識別信号発信部11eの下に配置しても構わない。
【0071】
(実施形態6)
実施形態6に係る識別票は図7に示す本体部10f,10f,…を有しており、実施形態4の識別票と一部異なる部分があるが多くの部分は同じであるので、異なる部分を以下に説明する。
【0072】
本実施形態の本体部10f,10f,…においては、隣の本体部に延びた第1の切断検出線12f,12f,…の先端が隣の識別信号発信部11f,11f,…の上に重ねられている。すなわち、第1の切断検出線12f,12f,…は、その先端が隣の識別信号発信部11f,11f,…の上に載せられている。このような配置することにより、隣り合う識別信号発信部11f、11fの間が切断されて切り離されたときに、確実に第1の切断検出線12fも切断される。従って、確実に切断検出結果を識別信号の一部として発信することができる。その他の構成および効果は、第2の切断検出線を除いて実施形態4と同じである。なお、第1の切断検出線12fの先端は識別信号発信部11fの下に配置しても構わない。
【0073】
(その他の実施形態)
上記の実施形態は本発明の例示であり、本発明はこれらの例に限定されない。例えば、第1の切断検出線の最低数は、本体部の配置の次元と同じだけとなる。本体部をn次元配置した場合は、1つの本体部あたり、隣接する本体部に接近して配置した切断検出線を少なくともn本設ける。ただし、端部にある本体部には不必要なものもあるので、このような端部の本体部には、隣接する本体部に接近して配置した切断検出線を減らすもしくは設けなくとも良い。また、識別信号のチェック用として、第2の切断検出線の数を最低必要数以上に増すのもよい。
【0074】
本体部には、それぞれ、破断検出線を設けても設けなくてもどちらでもよい。破断検出線は、アンテナが兼ねていてもよいし、別に設けてもよい。例えば、センサーや追記用の電極といった本体部に固有な識別信号の通信以外の機能を本体部に接続した場合には、それら本体部に固有な識別信号の通信以外の機能部分が切断されているかを判断するために、破断検出線を設けるのが好ましい。本体部に固有な識別信号の通信のみを利用する場合には、通信が正常に出来るか出来ないかを判断することで、破断検出線の機能に代えてもよい。
【0075】
第1および第2の切断検出線や破断検出線は、切断の判定を静電容量やインダクタンスによって行う場合には1箇所で本体部の回路と接続しても良いが、上記の実施形態のようにループ線として切断検出線の両端を本体部の回路と接続し、電気抵抗として切断の判断を行うのがより好ましい。
【0076】
識別票は、帯状や紐状といった線状(1次元)でもフィルム状や板状などの面状(2次元)でもよい。線状の例としては、粘着テープの長さ方向に本体部を複数並べて配置し、使用したい長さで適宜テープを切断して用いることなどが挙げられる。この場合は、梱包の封止と同時に識別票の添付ができる。また、面状の例としては、ラップ用シートに本体部を複数二次元配置し、包装対象に合わせ切断して用いたり、適当な大きさのラベルとして貼り付けたり、センサーを接続した本体部を配列して用いたりすることなどが挙げられる。
【0077】
本体部に破断検出線を設けた場合に、破断検出線の検出結果に従い、破断を検出した場合には識別信号の送信を行わず、破断を検出しなかった場合のみ識別信号を送信するように制御するのも可能である。また、別の方法として、破断の検出結果によらず識別信号を送信するものとし、破断検出線の検出結果は識別信号に含めて送信する方法でもよい。識別信号に破断検出線の検出結果を含めて送信する場合には、識別信号のどの位置(符号を数値として取り扱った場合では、数値内のどの桁なのか、に相当する)に検出結果を含めるのも可能であるが、最上位桁とするのが好ましい。数値を取り扱う処理装置では、最上位桁により数値の正負を判断できるものが一般に多く用いられており、比較演算をせずに正負の結果を容易に処理できる場合もある。また、正負で簡便に判断しない場合でも、読み出しに対し応答した複数の本体部の識別信号を大小順に並べると、最上位桁が同じ識別信号が連続することから、自己が破断されているものと破断されていないものとの大きく2つの群に識別信号が分かれ、破断されていない本体部を容易に選択できるので好ましい。
【0078】
本体部に含まれる通信や信号処理の回路、アンテナ、配線、第1および第2の切断検出線、基材、封止材などは、通常の無線通信識別票と同様の材料や製造方法を用いることができる。半導体には低分子量有機分子やオリゴマーや高分子などの有機半導体系やシリコンなどの無機系のほかにもそれらの複合系などの材料製造方法を選択すればよい。また、アンテナや回路配線には、金属のほかに導電性高分子などの有機導電体やそれらの複合物などを用いることができ、製造方法に関しても、細線を用いて配線したり、メッキで形成したり、印刷で形成したり、印刷後に焼成したり、電界重合したり、その他の方法や各種方法を組み合わせても製造することができる。これらの選択は、使用環境や使用時間やコストなどの条件で決定すればよく、本発明は、これらの製造方法で主旨が左右するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、種々の識別票に利用でき、一般に個別識別票が利用できる分野、例えば、荷物管理や商品管理やFA管理に用いられるPOSや荷札、それらの機能を持つ梱包材や封止材などにも利用できる。また、家庭内での物品管理などにも利用できる。また、動植物に取り付けた識別票としても利用できる。また、書棚やファイリングシステムにおける、図書や帳票やファイルなどの個別識別票や目次票にも利用できる。また、入場票などにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】(a)は実施形態1に係る識別票の模式的な平面図であり、(b)は第1の切断検出線の拡大図である。
【図2】実施形態2に係る識別票の模式的な平面図である。
【図3】実施形態3に係る識別票の模式的な平面図である。
【図4】実施形態4に係る識別票の模式的な平面図である。
【図5】実施形態1に係る本体部の回路のブロック図である。
【図6】実施形態5に係る識別票の模式的な平面図である。
【図7】実施形態6に係る識別票の模式的な平面図である。
【図8】通信で送受する識別信号の概念図である。
【図9】実施例に係る本体部の配置を示す図である。
【図10】(a)は実施例に係る識別票の概略全体図、(b)は(a)のA部分の拡大図である。
【図11】(a)は切断検出線の接続回路図、(b)は追記用電極の接続回路図、(c)はセンサーとしての感圧ゴムの接続回路図である。
【図12】実施例に係る識別票の切断位置を示す概略図である。
【図13】実施例の切断された識別票の応答結果と処理結果との図である。
【符号の説明】
【0081】
10,10a〜f 本体部
11,11a〜f 識別信号発信部
12 隣接する本体部に接近した切断検出線
13 隣接する本体部に接近した切断検出線
14 破断検出線
15 アンテナ線
【技術分野】
【0001】
本発明は、識別票に関し、特に識別信号を発信する識別票に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を機器で識別し自動的に取り扱う方法として、例えば、文書ファイルの保管や商品の在庫管理や物品の取り扱いのための荷札などに、ICタグなどの無線通信可能な識別タグを用いる方法が提示されており、実際に使用されている。バーコードなどの光学的読み取り可能な識別コードが搭載されている識別票と比較して、無線通信可能な識別タグは、識別タグが物品の表面に露出している必要が無いため外観を損なわない、読み取り器に対する識別タグの向きが自由なので読み取り時に物品の向きを調整する必要が無い、などの利点がある。また、無線通信可能な識別タグを物体の識別以外に動作の識別・命令のために用いることも提示されている(特許文献1)。
【0003】
これらの識別タグが複数あるときには、読み取りを行う1つの通信器に順次1個ずつ接近させて通信させる場合もあるが、複数の識別タグが1箇所に置かれた環境で、各識別タグと1つの通信機が同時に通信する方法も提示されており(特許文献2、3、4)、識別タグを個々に分けて読み取りを行う作業をせずに、例えば、複数物品をまとめたコンテナをそのまま取り扱うことなども可能となる。
【特許文献1】特開2000−187715号
【特許文献2】特表2001−523631号
【特許文献3】特表2001−511276号
【特許文献4】特開2003−271912号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の従来方法では、1つの物品あるいは動作に対して1つの識別タグが対応している。しかし、多数の識別タグを配列してあるシートやテープなどを任意の大きさに切断して使用する場合を考えてみると、読み取りに応答した複数の識別タグが、共通の切断片に載っているのか、異なる切断片に載っているのかを判別する必要が生じる。このような状況は、今のところ議論はされていないが、例えば、梱包をする際の封止テープに複数の識別タグをあらかじめ設けておき、梱包の大きさに合わせて適度な長さで切断して用いる状況が考えられる。
【0005】
この場合には、1つの梱包物に対して複数の識別タグが取り付けられることが生じる。この梱包物を従来の方法で取り扱うには、梱包後個々に通信器で識別タグの応答を読み出し、割り振られた複数の識別符号を1つの梱包物に対応するとデータベースに蓄えるという操作を行う。そして、運搬・流通過程で利用する度に、このデータベースにアクセスして識別符号を照合する。
【0006】
例えば、複数の識別タグを搭載した長尺の封止テープを適当な長さに切断して梱包に用いることを考えると、この場合1つの梱包物に対して複数の識別タグが取り付けられていて、コンテナの中にそのような梱包物を複数入れて運搬することになる。つまり、一つの封止テープをいくつかに切断して複数の梱包を行うため、長尺の封止テープ上に連続して並べられていた複数の識別タグがいくつかのグループに分かれて、別々の梱包物に貼り付けられることになる。
【0007】
運搬過程において通信機で識別タグの応答を読み取ろうとすると、コンテナ内には複数の識別タグがあるため、応答が複数となる。このとき、梱包物の個数を判断するためには、梱包時に作られたデータベースへのアクセスが必要となる。なぜならば、封止テープの切断位置についての情報は、コンテナ内からの応答からは読み取ることができず、梱包時に作られたデータベースにのみ存しているからである。流通過程においては梱包元から発送した複数の梱包物はそれぞれ異なる配送先へ送ることも多く、その場合、多くの流通段階においてデータベースへの通信が生じデータベースとの通信負荷が増大する。これを回避するために、運搬の中間段階で独自のデータベースを作成しようとすると、データベース作成時に梱包物1つずつを通信器で読み出すためにコンテナからの取り出しや詰め込み作業が必要となり、手間が余分にかかる。また、識別タグの応答を受信したら逐次データベースにアクセスするために、読み取り装置も複雑となる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多数の識別タグを配列しているシートやテープなどの識別票を任意の大きさに切断して使用する場合に、一つの切断片に載っている識別タグを別の切断片に載っている識別タグから容易に区別することができる識別票を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、基材に搭載された複数の識別タグを有する識別票において、隣り合う識別タグ間が切り離された場合に識別タグからの発信される信号に切り離された情報が含まれるようにした。
【0010】
具体的には、本発明の第1の識別票は、識別信号を発信する識別票であって、前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載面上に搭載する基材部とを備え、前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線は、前記基材部の搭載面上において、前記一の本体部に隣接する別の本体部の識別信号発信部から前記一の本体部の識別信号発信部へ向かう方向に対して略垂直な方向から見たときに、前記別の本体部と重なっており、前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる構成とした。ここで、自らの切断の有無というのは切断検出線自身が切断されたか否かということである。また、一の本体部の切断検出線が別の本体部と重なっているというのは、物理的に重なっているのではなく搭載面に沿って前述の方向から見たときに重なって見えると言うことである。
【0011】
本発明の第2の識別票は、識別信号を発信する識別票であって、前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線の一部は、当該一の本体部に隣接する別の本体部の前記識別信号発信部の上あるいは下に位置しており、前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる構成とした。前記一の本体部の切断検出線の前記一部と別の本体部の識別信号発信部との間には介在物が存していても構わない。
【0012】
本発明の第3の識別票は、識別信号を発信する識別票であって、前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、前記複数の本体部のうちの一の本体部は、当該一の本体部と隣接する別の本体部のうちの少なくとも一つが切り離されたことを検出する切断検出線を有しており、前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が前記切り離されたことを検出したときには、さらに切断符号を含んでいる構成とした。
【0013】
上記のような構成を有しているので、切断検出線が隣り合う本体部間が切り離されたことを検出し、この切り離されたという情報を含む識別信号が発信されて、識別票が切断されているか否かを確実に判断できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の識別票を用いることで、多数の本体部を配列してあるシートやテープなどを任意の大きさに切断して使用する場合に、読み取りに応答した複数の本体部が、同一の切断片に載っているのか、異なる別々の切断片に載っているのかの判別が容易に行える。これにより、判断のためのデータベースへの通信量の低減や読み取り器の簡易化が図れ、複数の本体部を有する識別票の利用が容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の図面においては、説明の簡潔化のため、実質的に同一の機能を有する構成要素を同一の参照符号で示す。なお、以下では例を挙げて本発明を説明する場合があるが、本発明は以下に説明する例に限定されない。
【0016】
(実施形態1)
実施形態1の識別票は、図1(a)に示すように、テープ状の基材部(不図示)の上に識別単位である複数の本体部10a,10a,…が搭載されて一次元(直線上)に並んでいるものである。これまで識別タグという呼び方で説明してきたものは、ここでは本体部10a,10a,…と呼んでいる。
【0017】
本体部10a,10a,…は、識別信号を発信する識別信号発信部11a,11a,…と、第1の切断検出線12a,12a,…と、第2の切断検出線13a,13a,…とを備えている。識別信号発信部11a,11a,…は、各本体部10a,10a,…毎の固有の識別信号を記録する回路や結果を通信する回路など一般の無線通信識別票(ICタグ)が持つ回路などを含んだ処理回路を有している。第1の切断検出線12aは、一つの識別信号発信部11aから隣接する別の識別信号発信部11aの極近傍にまで延びている線である。この第1の切断検出線12aは、図1(b)に示すように、1本の導電性を有する線が一の識別信号発信部11aから延びていって隣接する別の識別信号発信部11aの極近傍でUターンし、再び元の一の識別信号発信部11aにまで戻っている構造を有している。第2の切断検出線13a,13a,…も同様の構成および構造を有している。
【0018】
各本体部10a,10a,…は、それぞれ異なる識別信号を発信するものであり、これらの識別信号は、本体部10a,10a,…それぞれに固有な固有符号を含んでいる。
【0019】
ここで、隣接する2つの本体部10a,10a(一の本体部と別の本体部)の間で基材部が切断されて隣接する2つの本体部10a,10aが切り離された場合、一方の本体部10a(一の本体部)の第1の切断検出線12aも切断され、図1(a)に示す識別信号発信部11aに接続している導電性を有する線の両端の導通がなくなり、それによって、第1の切断検出線12a自身が切断されたことが本体部10a(一の本体部)の識別信号発信部11aによって判定される。また、隣の別の本体部10aの第2の切断検出線13aも切断され、同様にこの本体部10aの識別信号発信部11aによって切断が検出される。この場合、本体部10a(一の本体部)が発信する識別信号は、前述の固有符号に加えて切断符号を有することになる。また、別の本体部10aが発信する識別信号も、前述の固有符号に加えて別の切断符号を有することになる。
【0020】
本実施形態の識別票の概要は以上の通りであるが、以下にさらに詳しく説明する。
【0021】
第1の切断検出線12a,12a,…は、図1において本体部10a,10a,…から右側に延びており、第2の切断検出線13a,13a,…は左側に延びている。つまり一つの本体部10aにおいては、この本体部10aの第1の切断検出線12aが隣接する別の本体部10aの第2の切断検出線13aと両本体部10a,10aの識別信号発信部11a,11aの間で略平行に並んでいる。この並んでいる部分は、本体部10a,10a,…が搭載された基材部の搭載面において、1つの識別信号発信部11aから別の識別信号発信部11aへ向かう方向に対して略垂直な方向から見たときに、重なって見える。従って、2つの識別信号発信部11a,11a間で基材部を切断して2つの識別信号発信部11a,11aを切り離した場合、一方の本体部10aの第1の切断検出線12aと別の本体部10aの第2の切断検出線13aも切断されて、切断されたことが識別信号に含まれるようになる。このような構成により、本体部10a,10aから発信される識別信号を受信して解析することによって切断の有無および切断箇所がわかる。なお、略平行あるいは略垂直というのは、数学的に厳密な意味での平行あるいは垂直を意味するのではなくて、±8°ぐらいの幅を有していることを意味しており、±5°の幅がより好ましい。また、一方の本体部10aの第1の切断検出線12aと別の本体部10aの第2の切断検出線13aとの見かけ上の重なりは、少なくとも一部でも存していればよい。重なりがなければ、その重なりがない部分で基材部が切断されたときに、いずれの切断検出線12a,13aも切断されず切断検出を行うことができないが、一部でも見かけ上の重なりがあれば、確実に切断検出を行うことができる。
【0022】
識別信号発信部11a,11a,…は、例えば図5に示すブロック図の構成を有する無線通信のための回路を備えている。
【0023】
この回路構成は、アンテナブロックと、整流回路と、電源回路と、信号処理ブロックと、記録ブロックとを含む。一般のICタグのように、整流回路を経由してアンテナブロックから供給されたエネルギーを電力源にして、電源回路が信号処理ブロックや記憶ブロックに電力を供給する。信号処理ブロックは、クロック抽出回路、リセット回路、カウンタ、デジタル制御回路および変調回路を含む。記録ブロックは、アドレスデコーダと、記録部と、センサー部(切断検出部)とを含む。
【0024】
アンテナブロックには、アンテナ回路と共振回路とが別にあってもよいし、共振回路の一部としてアンテナ回路があってもよい。センサー部には、切断検出線の検出結果を処理する回路が含まれる。さらに、必要なら圧力や化学物質や光などの各種センサーを処理する回路をセンサー部に設けてもよい。また、外部から値を追記入力するための電極なども同様にセンサー部に組み込んでもよい。切断検出線やセンサーの結果は、各本体部10a,10a,…の固有の固有符号に加えて識別信号の一部として通信できる。そのため、センサー部は記録ブロックとしてアドレスデコーダと密に接続されるのが好ましい。記録部には、固有符号のほかにも、あらかじめ記録されている内容や外部から有線や無線などで書き込まれる内容が記録される。記録ブロックから信号処理ブロックへ出力された結果(信号)は、例えば、通常の無線通信識別票(ICタグ)と同様に、デジタル制御回路による制御によって変調回路で共振負荷を変調させるなどの方法で、外部へ出力応答される。なお、図5には記載していないが、既存の無線通信識別票で使われているような、輻輳制御や書き込みの機能などを加えてもよい。
【0025】
本実施形態の識別票では、識別信号に含まれる各本体部10a,10a,‥に固有な固有符号が、各本体部10a,10a,‥の配置と規則的に対応している。すなわち、本実施形態では、各本体部10a,10a,‥が一元配置されて直線上に順に並んでいるので、この並び方に応じて、例えば一の本体部10aの固有符号を、隣の本体部10aが有する固有符号に所定の演算を行って得られた結果とすればよい。この際の演算としては、例えば、等差数列や等比数列となるような演算が挙げられる。例として、m個の本体部10a,10a,‥がテープ状の基材部の長手方向に配列したテープ状識別票とした場合には、…、(i−1)、i、(i+1)、…と順次1ずつ異なるように、本体部10a,10a,‥に含まれる固有符号を設定する場合が挙げられる。これによって、本体部10a,10a,‥が隣接する可能性を容易に判断することができるようになる。
【0026】
なお、識別信号が複数の桁から構成されている場合、切断検出線による切断の有無の検出結果(切断有りの場合は切断符号)は、識別信号内のどの位置(桁)にするのも可能であるが、固有符号が、切断の有無の検出結果よりも識別信号内で上位の桁にあるのが好ましい。こうすると、複数の本体部10a,10a,…の識別信号を読み出して、応答した複数の識別信号を並べる場合、固有符号が上位桁なので、読み出された複数の識別信号は上位桁の大きさに従って並べられていくため、この並びの順序が切断位置に左右されないで決まり好ましい。これらのことは後述の実施例にて説明する。
【0027】
各本体部10a,10a,‥が発信する識別信号としてより具体的な例としては、図8に示すように、上位桁から下位桁に向けて、センサーや追記記憶部分が切断されて破壊されたか否かの検出結果C、固有符号I、第1の切断検出線12aの結果A、を置き、さらに下位桁に、センサーの結果や追記内容やその他の記録内容などSを置くという例があげられる。本実施形態では、Aには第2の切断検出線13aの検出結果も割り当てられる。図8のC、I、A、S、それぞれの領域は、連続していてもよいし、間に何桁か空けて置かれてもよい。図8のC、I、A、Sの領域の間に何桁か空けて置かれた場合には、空いている桁には0や1などの固定された値が常に送信されるようにするのが、好ましい。また、図8のAには、各本体部10a,10a,‥が本実施形態のように1次元、あるいは2次元などの低次元配置されている場合でも、より高次元配置された場合との汎用性を考慮し、3次元以上の高次配置に対応するよう3桁以上を設けておくのが好ましく、6桁以上を設けておくのがより好ましい。使用していない桁は、切断されている場合と同じ値が常に送信されるようにしておくのが好ましい。
【0028】
識別票と識別信号を受信する受信機との通信は、通常の無線通信識別票での場合と同様に行う。この際、複数の本体部から応答があるので、例えば特許文献2、3、4などに記載された方法で通信するのが好ましい。その後の処理としては、例えば以下に示す〔A〕〜〔G〕の手順で応答内容を処理する。
【0029】
〔A〕通信可能な本体部すべてからの応答(識別信号)を受信する。
【0030】
〔B〕各応答に対し、検出結果Cが破壊という結果であるものを不要な応答と判断して破棄する。
【0031】
〔C〕応答を各本体部の並び順に並べ替える。
【0032】
〔D〕切断片上の本体部の識別信号と配置順に矛盾がないかを確認する。
【0033】
〔E〕並び順に並べられた本体部の応答を順に調べて、結果Aが「切断」となっているものをピックアップして、結果Aが「切断」となっている本体部の隣の本体部から次に「切断」となっている本体部までを1つの切断片上にあるとする。
【0034】
〔F〕結果Aが「切断」となっている識別信号を発信した本体部が、切断片の端にあるかを、検出結果Aに含まれる第1の切断検出線の結果と第2の切断検出線の結果と固有符号Iとのそれぞれの間で矛盾が無いかにより確認する。
【0035】
〔G〕手順〔D〕や手順〔F〕の確認手順で矛盾が生じた場合は、再度、手順〔A〕へ戻る。
【0036】
以上は、複数の本体部から応答があった場合の処理のひとつの例である。なお、手順〔A〕、〔B〕、〔C〕と順を追って処理する場合を例示したが、手順〔A〕の途中であっても、ある応答での結果Cからその応答が不要であることが分かった場合にその応答を破棄するという処理を行ってもよい。この場合は、手順〔B〕が手順〔A〕内で同時に行われることに相当する。同様に、手順〔B〕を省略し、手順〔C〕の最中に、ある応答の結果Cからその応答が不要であることが分かった場合にその応答を破棄するという処理を行ってもよい。この場合は、手順〔B〕が手順〔C〕内で同時に行われることに相当する。また、例えば結果Cを応答符号の最上位桁とすることで、手順〔C〕により不要な応答と必要な応答との2つの群としてまとめてもよい。これら例示された方法やその他の方法の選択によって識別票の切断位置の判断が左右されるものではなく、応答読み出し後の処理装置の記憶容量や処理時間などを勘案して応答の処理方法をどのようなものにするかを決定すればよい。なお、手順〔G〕において、手順〔A〕へ戻る回数が多い場合には警報を発して処理を中断するなど、一般的な例外処理を適宜行うのが好ましい。また、手順〔D〕や手順〔F〕は必ずしも必要なものではなく、省略するのも可能である。さらに、識別信号内に読み取り値の確認用の符号をあらかじめ含めておくなどし、手順〔A〕で読み取りを繰り返すなどとしてもよい。読み取り値や通信の確認方法によって本発明の主旨が左右されるものではない。
【0037】
<実施例>
以下、本実施形態の実施例について説明する。なお、この実施例は本発明の一例であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0038】
本実施例に係る識別票の本体部を図9に示す。本体部10は、無線識別通信処理回路を備えた半導体素子16と、アンテナ15と、第1の切断検出線12と、第2の切断検出線13と、追記用電極22と、センサー21と、追記用電極22またはセンサー21の破断検出線14とを備えている。半導体素子16はそれ以外の構成部材と電気的に接続されている。ここではワイヤボンディングによって接続を行っているが、リードフレームやTAB、チップサイズパッケージなどを用いた接続など接続方法はどのような方法を用いても構わない。また、半導体素子16とアンテナ15とを合わせたものが識別信号発信部である。本実施例では、隣接する本体部の第1の切断検出線12’が図9に示す本体部(一の本体部)10の上にまで来ていて、その先端部分は一の本体部10の第1の切断検出線12と並んで延びている。また、反対側に隣接する本体部の第2の切断検出線13’は、一の本体部10の下にまで来ている。すなわち、本体部10を搭載した基材部の搭載面上において、隣り合う半導体素子16間を結ぶ方向に垂直な方向からこの本体部10を見ると、隣の第1の切断検出線12’および第2の切断検出線13’は半導体素子16と重なって見えるように配置されている。なお、隣り合う半導体素子16間を結ぶ方向は、隣り合う半導体素子の中心同士を結ぶ線が延びる方向とも言える。
【0039】
センサー21は、例えば、圧力や光、温度、化学物質などをセンシングするセンサーを例として挙げることができる。用途により適宜選択すればよい。
【0040】
追記用電極22は、電気的に値を書き込む電極や、電極間を電気的に導電材で接続して値を追記する電極などを例として挙げることができる。
【0041】
これらセンサー21や追記用電極22は、破断検出線14により囲まれている。この破断検出線14はセンサー21および追記用電極22の近傍に設置されているので、識別票が切断されて破断検出線14が切断されたときには、センサー21や追記用電極22そのものあるいは接続配線が破断して、半導体素子16にセンサー出力や追記信号を送ることができなくなる。従って、破断検出線14が破断されたと半導体素子16が判定したときには、センサー21や追記用電極22からの情報はないものとして扱うようにする、すなわち識別信号にはセンサー情報、追記情報を載せなかったりすることができる。
【0042】
なお、本実施例では、第1および第2の切断検出線12,13の一部を共通にして処理回路と接続しているが、共通にしなくてもよい。また、センサー21や追記用電極22などの配線も、一部を共通化しているが共通にしなくてもよい。図9の本体部10の各構成部材の配置は一例であり、例えば、半導体素子16をアンテナ15のループ内に配置するなどとしてもよい。
【0043】
次に本実施例の識別票の作成方法を説明する。
【0044】
図10(a)に示すように、ポリイミドフレキシブル基板からなるテープ状の基材部18の上に、アンテナ15、破断検出線14、第1および第2の切断検出線12,13、追記用電極22、センサー21およびそれらの配線パターンをそれぞれ複数設ける。
【0045】
それから、基材部18上の半導体素子16を搭載する予定のそれぞれの場所と、破断検出線14と第1および第2の切断検出線12,13との交差部分と、アンテナ15線の交差部分とに、絶縁体であるエポキシ接着剤を塗布する。
【0046】
次に、複数の半導体素子16をそれぞれエポキシ接着剤の上に置いて接着固定する。
【0047】
そして配線パターンと半導体素子16との間、破断検出線14と第1および第2の切断検出線12,13との交差部分、アンテナ15線の交差部分をワイヤーボンダーを用いて金ワイヤーにより接続を行なう。
【0048】
さらに追記用電極22以外の箇所に透明アクリル塗料を塗布して保護層とする。なお、追記用電極22は露出したままとする。
【0049】
このようにして、図10のようにテープ状の基材部18の上に複数の本体部10,10,…が1次元状に配置された識別票とする。図10(b)は図10(a)のAの部分を拡大した図である。なお、配置した半導体素子16には、左側から順に番号を付けていき、n番目の半導体素子16には固有の識別信号nが割り振られるようにする。
【0050】
ここで各切断検出線12,13および破断検出線14は、半導体素子16内において図11(a)の様に接続されており、切断の検出結果は、電界効果トランジスタのゲート電極へ切断検出線を経由して電源電圧が印加されるのか印加されないのかの違いによって、選択線がアクティブとなった時に出力値として得られる。この出力値が識別信号の1つの桁を構成している。
【0051】
追記用電極22は、半導体素子16内において図11(b)の様に接続されており、導電材で追記された結果は、切断検出線と同様の理由で、選択線がアクティブとなった時に出力値として得られる。この出力値が識別信号の1つの桁を構成している。
【0052】
また、圧力センサーとして感圧性の導電ゴムを接続した場合は、半導体素子16内において図11(c)の様に配線すれば、切断検出線12,13や追記用電極22と同様に識別信号の1つの桁として出力結果が得られる。さらに、例えば光センサーや化学物質センサーなどのセンサーによって図11(c)の感圧性の導電ゴムを置き換えることで、それらのセンサー出力が識別信号の1つの桁として得られる。なお、本発明の主旨はこれらセンサー21の種類や追記用電極22と無関係なところにあるので、以下の説明では追記用電極22のみの出力結果を用い、センサー21については省略する。
【0053】
本実施例の各本体部10,10,…が発信する各識別信号は、最上位1桁に破断検出線14が破断されているか否かの結果(図8のCに相当)を割り当て、次の16桁に各本体部10,10,…に固有の固有符号(図8のIに相当)を、次の1桁に第1の切断検出線12が切断されているか否かの結果を、次の1桁を第2の切断検出線13が切断されているか否かの結果を、次の4桁に1を(これらの、固有の識別信号より下の6桁が図8のAに相当)、次の4桁に追記用電極4個の出力結果(図8のSに相当)をそれぞれ割り当てて、それ以下の最下位桁までを0とする128桁の2進数とする。また、破断検出線14と第1および第2の切断検出線12,13が切断された場合は1が、切断されていない場合は0が結果として得られるものとする。なお、これらの桁数や値は、本発明の主旨とは無関係で任意に設定できる。
【0054】
次に、上述のように、14個の本体部10,10,…を並べて作成した識別票を、ナイフで切断して6片とする。切断箇所は、図12に示すように1番目と2番目の本体部10,10の間、4番目の本体部10、7番目と8番目の本体部10,10の間、12番目の本体部10、13番目と14番目の本体部10,10の間とする。固有符号Iは、1から14までの並び順を10進法で表したものである。なお、両端の本体部10,10は端部であることを示すため、配線の一部が作成されていない。
【0055】
6枚の識別票切片を複数無線識別通信読取機で読み取ると、図13(a)の結果となる。なお、固有符号I=12の本体部の応答は無い。図13での切断検出結果欄において、Cは破断検出線の検出結果、Rは第1の検出線12の検出結果、Lは第2の切断検出線13の検出結果である。ここでCは識別信号の上から1桁目、Rは18桁目、Lは19桁目にあたる。また、両端のI=1,14の本体部は、配線が一部欠けているため、欠けている配線に関しては切断されているとの結果になる。
【0056】
各識別信号の値を大小順に並び替えると、図13(b)となる。並び替えた後では、固有符号Iが小さい方から大きい方に向かって並んでいてRが1となる本体部までが1切片上にあり、Rが1となった場合、その次の本体部は別の1切片上にある。固有符号Iの小さい方から大きい方に向かって順に、識別信号のRの値に従い、1切片上の本体部の配置をRが1になるまでを同一の切片上のものと決める。また、1切片上の固有符号Iが一番小さい本体部はLが1となることを確認することで、1切片上の本体部の配置を決定した結果をチェックする。なお、識別信号を並べ替えた後で固有符号の小さい方から大きい方に向かって順にRを調べる際に、Cが1となったら、Cが最上位桁であることから以降は必ずCが1となるので処理を終了する。
【0057】
以上のとおりにし、どの本体部が同一の識別票切片上にあるのかを判定できる。
【0058】
(実施形態2)
実施形態2の識別票は、図2に示す本体部10b,10bを有している。それ以外の識別票の構成部分は実施形態1と同じなので、本体部10b,10bについてのみ以下に説明をする。
【0059】
本実施形態では、第1の切断検出線12b,12b,…は存するが、第2の切断検出線は存していない。実施形態1では、第2の切断検出線が切断されているか否かで切断位置の確認を行っていたが、この確認は念のためのものであり、第1の切断検出線の自身の切断検出結果だけでも切断位置の検出は行えるので、本実施形態の識別票を用いても実施形態1と同様に識別票が切断されたときの切断位置判定を行うことができる。
【0060】
本実施形態の第1の切断検出線12b,12b,…は、実施形態1と異なり、接続されている一の識別信号発信部11b,11b,…から右隣の別の識別信号発信部11b,11b,…の方(図では右側)へ延びていって、隣の別の識別信号発信部11b,11b,…の図での上側にまで延びている。すなわち、本体部10b,10bを搭載した基材部の搭載面上において、隣り合う識別信号発信部11b,11b,…間を結ぶ方向に垂直な方向からこの隣の本体部10bを見ると、一の第1の切断検出線12bは隣の識別信号発信部11bと重なって見えるように配置されている。このように配置されていることにより、隣り合う識別信号発信部11b、11bの間が切断されて切り離されたときに、確実に第1の切断検出線12bも切断される。従って、確実に切断検出結果を識別信号の一部として発信することができる。その他の構成および効果は、第2の切断検出線を除いて実施形態1と同じである。第2の切断検出線がないので、識別信号がその分短くなり、信号の処理も簡単になる。また、製造コストも低くできる。
【0061】
(実施形態3)
実施形態3の識別票は、図3に示す本体部10c,10c,…を有しており、基材部はテープ状ではなく、シートである。本実施形態の複数の本体部10c,10c,…は二次元配置されている。すなわち、一方向に順に並べられているだけではなく、アレイ状に平面全体に広がるように並べられている。
【0062】
本実施形態の本体部10c,10c,…は、それぞれ2本の第1の切断検出線12c,12c,…と2本の第2の切断検出線13c,13c,…を有している。一の本体部10cでは、識別信号発信部11cから2本の第1の切断検出線12c,12cがそれぞれ隣接する別の識別信号発信部11c,11cの方へ延びている。2本の第1の切断検出線12c,12c同士は90°の角度をなして配置されている。また、この一の本体部10cの識別信号発信部11cには、また別の隣接する2つの識別信号発信部11c,11cから延びた第1の切断検出線12c,12cの先端が極近傍にまで迫っており、これら2本の第1の切断検出線12c,12cとほぼ並行に一の本体部10cの2本の第2の切断検出線13c,13cが配置されている。これら第2の切断検出線13c,13cは互いに90°の角度をなしている。一の識別信号発信部11cから延びている第1および第2の切断検出線12c,12c,13c,13cは、一の識別信号発信部11cを中心に基材部の搭載面をほぼ4等分する方向に延びている。
【0063】
本実施形態における固有符号は次のようになっている。例えば本体部10c,10c,…がm行k列に配列されているとすると、1行目の識別信号発信部11c,11c,…は、…、(i−1)、i、(i+1)、…というように1つずつ増えていく固有符号を有していて、2行目の識別信号発信部11c,11c,…は、…、(i+k−1)、(i+k)、(i+k+1)、…というように1行目にk加えてさらに1つずつ増えていく固有符号を有している。なお、連続性の判断が容易になるように、隣の行との固有符号の差をk+1、あるいはそれ以上にしてもよい。
【0064】
本実施形態では、基材部がシートであって各本体部10c,10c,…が二次元配置されているが、製造方法は実施形態1と同じであり、識別信号を受信して切断位置を判定する方法は行方向および列方向の2方向において演算を行う必要があるが、基本的には実施形態1と同じである。本実施形態では、識別票の端部を除いて、一つの本体部10cに最近接する別の本体部10c,10c,…は4つあり、それらとの間が切り離されたか否かは第1および第2の切断検出線12c,12c,13c,13cにより検出することができる。他の効果については実施形態1と同じである。
【0065】
(実施形態4)
実施形態4の識別票は、図4に示す本体部10d,10d,…を有しており、実施形態3と同様に、基材部はテープ状ではなく、シートである。実施形態4に係る識別票は実施形態3に係る識別票と一部異なる部分があるが多くの部分は同じであるので、異なる部分を以下に説明する。
【0066】
本実施形態の識別票は、各本体部10d,10d,…が2本の第1の切断検出線12d,12dを有しているが、第2の切断検出線を有していないところが実施形態3の識別票と異なっている。これはちょうど実施形態1と実施形態2との関係と同じである。本実施形態においても実施形態2と同じように、第1の切断検出線12d,12dが隣の識別信号発信部の方に延びていって、その先端は、搭載面に沿って両方の識別信号発信部同士を結ぶ線に垂直な方向から見たときに、隣の識別信号発信部に重なって見える位置にまで延びている。
【0067】
本実施形態では一の本体部10dに最近接する本体部10d,10d,…は4つ存するが、そのうちの2つへは一の本体部10dの第1の切断検出線12d,12dが延びていっており、残りの2つの本体部10d,10dからは一の本体部の方へ第1の切断検出線12d,12dが延びてきている。
【0068】
本実施形態は、第2の切断検出線がないので、切断された位置の再チェックが行えないものの、その分識別信号が単純になり、受信後の処理も簡単であり、識別票の製造も低コストで行える。それ以外の効果は実施形態3と同じである。
【0069】
(実施形態5)
実施形態5に係る識別票は図6に示す本体部10eを有しており、実施形態2の識別票と一部異なる部分があるが多くの部分は同じであるので、異なる部分を以下に説明する。
【0070】
本実施形態の本体部10eにおいては、隣の本体部に延びた第1の切断検出線12eの先端が隣の識別信号発信部11eの上に重ねられている。すなわち、第1の切断検出線12eは、その先端が隣の識別信号発信部11eの上に載せられている。このような配置することにより、隣り合う識別信号発信部11e、11eの間が切断されて切り離されたときに、確実に第1の切断検出線12eも切断される。従って、確実に切断検出結果を識別信号の一部として発信することができる。その他の構成および効果は、第2の切断検出線を除いて実施形態2と同じである。なお、第1の切断検出線12eの先端は識別信号発信部11eの下に配置しても構わない。
【0071】
(実施形態6)
実施形態6に係る識別票は図7に示す本体部10f,10f,…を有しており、実施形態4の識別票と一部異なる部分があるが多くの部分は同じであるので、異なる部分を以下に説明する。
【0072】
本実施形態の本体部10f,10f,…においては、隣の本体部に延びた第1の切断検出線12f,12f,…の先端が隣の識別信号発信部11f,11f,…の上に重ねられている。すなわち、第1の切断検出線12f,12f,…は、その先端が隣の識別信号発信部11f,11f,…の上に載せられている。このような配置することにより、隣り合う識別信号発信部11f、11fの間が切断されて切り離されたときに、確実に第1の切断検出線12fも切断される。従って、確実に切断検出結果を識別信号の一部として発信することができる。その他の構成および効果は、第2の切断検出線を除いて実施形態4と同じである。なお、第1の切断検出線12fの先端は識別信号発信部11fの下に配置しても構わない。
【0073】
(その他の実施形態)
上記の実施形態は本発明の例示であり、本発明はこれらの例に限定されない。例えば、第1の切断検出線の最低数は、本体部の配置の次元と同じだけとなる。本体部をn次元配置した場合は、1つの本体部あたり、隣接する本体部に接近して配置した切断検出線を少なくともn本設ける。ただし、端部にある本体部には不必要なものもあるので、このような端部の本体部には、隣接する本体部に接近して配置した切断検出線を減らすもしくは設けなくとも良い。また、識別信号のチェック用として、第2の切断検出線の数を最低必要数以上に増すのもよい。
【0074】
本体部には、それぞれ、破断検出線を設けても設けなくてもどちらでもよい。破断検出線は、アンテナが兼ねていてもよいし、別に設けてもよい。例えば、センサーや追記用の電極といった本体部に固有な識別信号の通信以外の機能を本体部に接続した場合には、それら本体部に固有な識別信号の通信以外の機能部分が切断されているかを判断するために、破断検出線を設けるのが好ましい。本体部に固有な識別信号の通信のみを利用する場合には、通信が正常に出来るか出来ないかを判断することで、破断検出線の機能に代えてもよい。
【0075】
第1および第2の切断検出線や破断検出線は、切断の判定を静電容量やインダクタンスによって行う場合には1箇所で本体部の回路と接続しても良いが、上記の実施形態のようにループ線として切断検出線の両端を本体部の回路と接続し、電気抵抗として切断の判断を行うのがより好ましい。
【0076】
識別票は、帯状や紐状といった線状(1次元)でもフィルム状や板状などの面状(2次元)でもよい。線状の例としては、粘着テープの長さ方向に本体部を複数並べて配置し、使用したい長さで適宜テープを切断して用いることなどが挙げられる。この場合は、梱包の封止と同時に識別票の添付ができる。また、面状の例としては、ラップ用シートに本体部を複数二次元配置し、包装対象に合わせ切断して用いたり、適当な大きさのラベルとして貼り付けたり、センサーを接続した本体部を配列して用いたりすることなどが挙げられる。
【0077】
本体部に破断検出線を設けた場合に、破断検出線の検出結果に従い、破断を検出した場合には識別信号の送信を行わず、破断を検出しなかった場合のみ識別信号を送信するように制御するのも可能である。また、別の方法として、破断の検出結果によらず識別信号を送信するものとし、破断検出線の検出結果は識別信号に含めて送信する方法でもよい。識別信号に破断検出線の検出結果を含めて送信する場合には、識別信号のどの位置(符号を数値として取り扱った場合では、数値内のどの桁なのか、に相当する)に検出結果を含めるのも可能であるが、最上位桁とするのが好ましい。数値を取り扱う処理装置では、最上位桁により数値の正負を判断できるものが一般に多く用いられており、比較演算をせずに正負の結果を容易に処理できる場合もある。また、正負で簡便に判断しない場合でも、読み出しに対し応答した複数の本体部の識別信号を大小順に並べると、最上位桁が同じ識別信号が連続することから、自己が破断されているものと破断されていないものとの大きく2つの群に識別信号が分かれ、破断されていない本体部を容易に選択できるので好ましい。
【0078】
本体部に含まれる通信や信号処理の回路、アンテナ、配線、第1および第2の切断検出線、基材、封止材などは、通常の無線通信識別票と同様の材料や製造方法を用いることができる。半導体には低分子量有機分子やオリゴマーや高分子などの有機半導体系やシリコンなどの無機系のほかにもそれらの複合系などの材料製造方法を選択すればよい。また、アンテナや回路配線には、金属のほかに導電性高分子などの有機導電体やそれらの複合物などを用いることができ、製造方法に関しても、細線を用いて配線したり、メッキで形成したり、印刷で形成したり、印刷後に焼成したり、電界重合したり、その他の方法や各種方法を組み合わせても製造することができる。これらの選択は、使用環境や使用時間やコストなどの条件で決定すればよく、本発明は、これらの製造方法で主旨が左右するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、種々の識別票に利用でき、一般に個別識別票が利用できる分野、例えば、荷物管理や商品管理やFA管理に用いられるPOSや荷札、それらの機能を持つ梱包材や封止材などにも利用できる。また、家庭内での物品管理などにも利用できる。また、動植物に取り付けた識別票としても利用できる。また、書棚やファイリングシステムにおける、図書や帳票やファイルなどの個別識別票や目次票にも利用できる。また、入場票などにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】(a)は実施形態1に係る識別票の模式的な平面図であり、(b)は第1の切断検出線の拡大図である。
【図2】実施形態2に係る識別票の模式的な平面図である。
【図3】実施形態3に係る識別票の模式的な平面図である。
【図4】実施形態4に係る識別票の模式的な平面図である。
【図5】実施形態1に係る本体部の回路のブロック図である。
【図6】実施形態5に係る識別票の模式的な平面図である。
【図7】実施形態6に係る識別票の模式的な平面図である。
【図8】通信で送受する識別信号の概念図である。
【図9】実施例に係る本体部の配置を示す図である。
【図10】(a)は実施例に係る識別票の概略全体図、(b)は(a)のA部分の拡大図である。
【図11】(a)は切断検出線の接続回路図、(b)は追記用電極の接続回路図、(c)はセンサーとしての感圧ゴムの接続回路図である。
【図12】実施例に係る識別票の切断位置を示す概略図である。
【図13】実施例の切断された識別票の応答結果と処理結果との図である。
【符号の説明】
【0081】
10,10a〜f 本体部
11,11a〜f 識別信号発信部
12 隣接する本体部に接近した切断検出線
13 隣接する本体部に接近した切断検出線
14 破断検出線
15 アンテナ線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別信号を発信する識別票であって、
前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載面上に搭載する基材部とを備え、
前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、
前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線は、前記基材部の搭載面上において、前記一の本体部に隣接する別の本体部の識別信号発信部から前記一の本体部の識別信号発信部へ向かう方向に対して略垂直な方向から見たときに、前記別の本体部と重なっており、
前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる、識別票。
【請求項2】
識別信号を発信する識別票であって、
前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、
前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、
前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線の一部は、当該一の本体部に隣接する別の本体部の前記識別信号発信部の上あるいは下に位置しており、
前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる、識別票。
【請求項3】
識別信号を発信する識別票であって、
前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、
前記複数の本体部のうちの一の本体部は、当該一の本体部と隣接する別の本体部のうちの少なくとも一つが切り離されたことを検出する切断検出線を有しており、
前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が前記切り離されたことを検出したときには、さらに切断符号を含んでいる、識別票。
【請求項4】
1つの前記本体部が有している固有符号は、当該本体部に隣接する別の本体部が有している別の固有符号に対して所定の演算が行われた結果の符号である、請求項1から3のいずれか一つに記載の識別票。
【請求項5】
前記基材部はシートであり、前記識別信号発信部は二次元配置されている、請求項1から4のいずれか一つに記載の識別票。
【請求項6】
前記基材部はテープ状であり、前記識別信号発信部は一次元位置されている、請求項1から4のいずれか一つに記載の識別票。
【請求項1】
識別信号を発信する識別票であって、
前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載面上に搭載する基材部とを備え、
前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、
前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線は、前記基材部の搭載面上において、前記一の本体部に隣接する別の本体部の識別信号発信部から前記一の本体部の識別信号発信部へ向かう方向に対して略垂直な方向から見たときに、前記別の本体部と重なっており、
前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる、識別票。
【請求項2】
識別信号を発信する識別票であって、
前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、
前記本体部は、識別信号発信部と、該識別信号発信部から延びており自らの切断の有無を検出する切断検出線とを有しており、
前記複数の本体部のうちの一の本体部の切断検出線の一部は、当該一の本体部に隣接する別の本体部の前記識別信号発信部の上あるいは下に位置しており、
前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が切断されたときには、さらに切断符号を含んでいる、識別票。
【請求項3】
識別信号を発信する識別票であって、
前記識別信号を発信する複数の本体部と、当該本体部を搭載する基材部とを備え、
前記複数の本体部のうちの一の本体部は、当該一の本体部と隣接する別の本体部のうちの少なくとも一つが切り離されたことを検出する切断検出線を有しており、
前記識別信号は、前記本体部それぞれに固有な固有符号を含んでいるとともに、前記切断検出線が前記切り離されたことを検出したときには、さらに切断符号を含んでいる、識別票。
【請求項4】
1つの前記本体部が有している固有符号は、当該本体部に隣接する別の本体部が有している別の固有符号に対して所定の演算が行われた結果の符号である、請求項1から3のいずれか一つに記載の識別票。
【請求項5】
前記基材部はシートであり、前記識別信号発信部は二次元配置されている、請求項1から4のいずれか一つに記載の識別票。
【請求項6】
前記基材部はテープ状であり、前記識別信号発信部は一次元位置されている、請求項1から4のいずれか一つに記載の識別票。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−157083(P2007−157083A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−355280(P2005−355280)
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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