説明

警備装置及び利用者情報管理システム

【課題】 備忘録のような情報を入力及び参照する場のセキュリティ性を担保する。
【解決手段】 監視対象となる施設に設けられ、前記監視対象の侵入異常を監視しない警備解除モードと、前記監視対象が有人の際に外部から当該監視対象への侵入異常を監視する有人警備モードとを少なくとも有する警備装置であって、利用者が操作して利用者情報を入力する入力部と、前記入力された利用者情報を記憶する記憶部と、前記記憶された利用者情報を表示する表示部と、を備え、前記警備解除モードが設定されているときは、前記利用者情報の表示を有人警備モード時より短い所定時間に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者が警備装置に入力した利用者情報を参照できる環境を制限して、セキュリティ性の担保できない環境において不用意に情報を表示したまま放置することを禁止できる警備装置及び利用者情報管理システムの提供を目的とする。
【背景技術】
【0002】
従来、個人的に記憶しておくべき備忘録情報をパソコンや携帯端末に入力して保存しておくというライフスタイルが定着しつつある。また、近年では、パソコンや携帯端末など端末内部の記憶領域に情報を保存するのではなく、インターネットに接続された外部のサーバにネットワークを介して情報を保存するようなシステムも提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、病歴や検査結果といった情報を医療機関のサーバに記録しておき、携帯電話から参照可能とすることが開示されている。特許文献1のシステムは、医療機関のサーバに記憶されている自己(患者)や家族の診療履歴、投薬履歴、アレルギー、血液型などの診療情報を携帯電話にダウンロードして、いかなる場所、時間においても利用できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−15820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示があるように、インターネットに接続された外部のサーバにネットワークを介して情報を保存しておくようなシステムは、使用端末に依存せず、いつでもどこでも備忘録などの情報が参照可能となり、利用者に高い利便性を提供する。
【0006】
しかしながら、このような、インターネット上に保存した情報を多様な端末からいつでもどこでも参照できるシステムは、重要な情報を保管するのに必ずしも好適とは言えない。
例えば、病歴や薬歴といったプライバシーに関わる情報や、銀行口座などのパスワードなど重要な情報を利用者が公共の場で書き込んで保存したり参照したりすることは、極めて個人的な情報が公衆の目に晒されるおそれがありセキュリティ上問題がある。また、ネットワークを介して多用な端末から情報参照可能であるため、万が一IDやパスワードなどの認証情報が漏洩すると悪用されて重要な情報が全て流出する危険性もある。
【0007】
したがって、このような極めて個人的な情報については、保存参照できる端末や場をセキュリティ性が担保された環境のみとするよう制限しておくことが好ましい。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、利用者が備忘録のような情報を入力及び参照する場のセキュリティ性を担保できるシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明による警備装置は、監視対象となる施設に設けられ、前記監視対象の侵入異常を監視しない警備解除モードと、前記監視対象が有人の際に外部から当該監視対象への侵入異常を監視する有人警備モードとを少なくとも有する警備装置であって、利用者が操作して利用者情報を入力する入力部と、前記入力された利用者情報を記憶する記憶部と、前記記憶された利用者情報を表示する表示部と、を備え、前記警備解除モードが設定されているときは、前記利用者情報の表示を有人警備モード時より短い所定時間に制限することを特徴とした。
【0010】
また、本発明による警備装置において、さらに、前記監視対象の侵入異常を検知しているときは、前記利用者情報の表示を禁止するようにしてもよい。
【0011】
さらに、本発明による利用者情報管理システムは、監視対象となる施設に設けられ、前記監視対象の侵入異常を監視しない警備解除モード及び前記監視対象が有人の際に外部から当該監視対象への侵入異常を監視する有人警備モードを少なくとも有する警備装置と、利用者が前記警備装置に入力した利用者情報を記憶する遠隔の情報管理装置と、を備えた利用者情報管理システムであって、前記警備装置は、固有の端末識別情報を記憶する記憶部と、利用者が操作して前記利用者情報を入力する入力部と、前記入力された利用者情報を前記情報管理装置に送信する情報登録部と、利用者の操作に基づき前記利用者情報の参照要求信号を送信する参照処理部と、前記参照要求信号に応じて受信した利用者情報を閲覧可能に表示する表示部とを備え、前記情報管理装置は、前記警備装置から受信する利用者情報を当該警備装置の前記端末識別情報と対応させて記憶する利用者情報記憶部と、前記警備装置から参照要求信号を受信すると当該警備装置の前記端末識別情報に対応する利用者情報を前記警備装置に送信する情報管理部とを備え、前記警備装置は、前記警備解除モードが設定されているときは、前記利用者情報の表示を有人警備モード時より短い所定時間に制限することを特徴とした。
【0012】
また、本発明による利用者情報管理システムにおいて、前記警備装置は、前記監視対象の侵入異常を検知しているときは、前記入力部による利用者情報の入力及び前記参照処理部による前記確認要求信号の送信を禁止するようにしてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、監視対象となる施設に設けられた警備装置により利用者情報の入力と参照を行うこととし、監視対称への出入りが自由となる警備解除モードにおいては利用者情報の表示を相対的に短時間に制限したので、第三者が監視対象に進入可能な環境において利用者情報が表示されたまま放置されることを防止し個人的な情報の閲覧を行う場のセキュリティ性を担保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の利用者情報管理システムの全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の警備装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の情報管理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の警備装置による利用者情報の入力/参照処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の情報管理装置による利用者情報の保存処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の情報管理装置による利用者情報の提供処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。
本実施形態では、警備装置による監視対象として住戸を監視する場合を例示するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、店舗や事業所などを種々の監視対象を監視するよう用いられてよい。
【0016】
図1は、本発明に係る利用者情報管理システムを示す構成図である。図1に示すように、本実施形態の利用者情報管理システム1は、監視対象2となる住戸に設置された警備装置3と、遠隔の監視センタ4及び情報管理装置5が、通信回線網6を介して接続して構成されている。本実施形態において、通信回線網6はインターネットである。警備装置3の通信部31とセンタ装置41及び情報管理装置5にはVPN機能が実装され各装置間にはVPNトンネルが構築される。
【0017】
警備装置3には、監視対象2となる住戸の屋内及び屋外に設置されて侵入者を検出する防犯センサ7が接続されている。警備装置3は、防犯センサ7から受信した信号に基づき、監視中の防犯センサ7が人を検知した場合に侵入異常発生と判定して、遠隔の監視センタ4への通報処理を行う。
【0018】
また、警備装置3は、利用者が操作部34から入力する情報や撮像部33で撮影した画像情報、メモリーカードなど可搬メディアを介して入力される情報を、利用者情報として情報管理装置5に送信する。また、警備装置3は、利用者が操作部34から要求操作を行うことで、情報管理装置5に利用者情報の参照を要求し、受信した利用者情報を表示部35に表示する。利用者情報の例としては、例えば、病歴や薬歴、銀行口座などの暗証番号、運転免許証を撮影した画像情報、親族の電話番号などである。警備装置3は、監視対象2の防犯機能が有効に機能していない場合についてはこれら利用者情報の参照を制限して、外部から監視対象2内に自由に入場できるときは極短時間のみ参照可能とし、監視対象2の異常を判定しているときには参照を禁止する。
【0019】
監視センタ4は、警備会社などが運営するセンタ装置41を備えた施設であり、管制員が監視対象2を常時監視している。センタ装置41は、1又は複数のコンピュータで構成されている。監視センタ4では、センタ装置41により各種機器が制御され、警備装置3から受信した異常信号に基づいて対処すべき監視対象2の情報が表示部42に表示され、利用者に対する確認処理や、監視対象2への警備員の対処指示などの必要な措置をとる。
【0020】
情報管理装置5は、警備会社などが運営するデータセンタに備えられ、1又は複数のコンピュータで構成されている。本実施形態では、説明のため情報管理装置5を監視センタ4と分けて構成しているが、これに限らず情報管理装置5を監視センタ4内に設けてもよく、監視センタ4のセンタ装置41と一体に構成してもよい。情報管理装置5は、警備装置3から利用者情報を受信すると警備装置3の識別情報に対応させて記憶領域に保存する。また、警備装置3から要求を受けて当該警備装置3に対応して保存している利用者情報を警備装置3に送信する。
【0021】
<警備装置>
次に、図2を用いて警備装置3の構成について説明する。図2は、警備装置3の構成を示すブロック図である。警備装置3は、監視センタ4及び情報管理装置5と通信可能に通信回線網6と接続されて、監視対象2の住戸内壁面に固定載置されている。
【0022】
警備装置3は、通信回線網6と接続される通信部31と、防犯センサ7と接続されるセンサI/F32と、機器前方を撮影する撮像部33と、利用者により操作される操作部34と、画像データを表示する表示部35と、HDDやメモリなどで構成される記憶部36と、MPUやマイコンなどで構成され各部の制御を行う制御部37とを有して概略構成される。
【0023】
通信部31はVPN機能を搭載している。通信部31は、センタ装置41及び情報管理装置5との間の通信においてVPNトンネルを構築し、このVPNトンネルを介して暗号化通信を行う。通信部31による監視センタ4及び情報管理装置5との通信には、予め警備装置3に固有に設定された識別情報が付加される。
通信部31は、センタ装置41と接続されて監視センタ4との間で警備情報の通信を行う。警備情報とは、現在の警備モードや監視対象2の異常有無など監視対象2において異常監視を行うために収集生成される情報である。また、通信部31は、情報管理装置5と接続されて情報管理装置5との間で利用者情報の通信を行う。利用者情報とは、利用者が警備装置3を操作して入力した個人的な備忘録情報である。
【0024】
センサI/F32は、防犯センサ7が有線または無線で接続されるI/F(インタフェース)であって、防犯センサ7からの検知信号を受信する受信手段として機能する。センサI/F32は、防犯センサ7から受信した検知信号に基づき、各防犯センサ7毎の検知状態を記憶部36に記憶する。なお、本実施形態において特に示していないが、監視対象2には、防犯センサ7のほかに火災検出用のセンサや非常ボタンなど複数のセンサが設置されておりセンサI/F32に接続されている。
【0025】
撮像部33は、警備装置3の前方を撮像して画像データを生成する。撮像部33は、撮像素子から入力される画像信号をデジタル信号に変換し、圧縮符号化処理を行い所定の規格(例えばJPEG規格)に準拠した画像データを生成する。撮像部33により生成された画像データは表示部35に出力され、操作部34からのシャッター操作によりその時点で撮像されている画像データが利用者情報として入力される。利用者は、例えば操作部34を操作して撮像部33を起動して、撮像部33に投薬中薬剤の処方箋や薬剤情報提供書をかざしてシャッター操作することで画像データを取り込み、薬歴となる利用者情報の入力を行う。
【0026】
操作部34は、警備装置3の警備モードの設定、及び利用者情報の入力などに際し利用者により操作される。本実施形態において操作部34は、表示部35と一体構成された液晶タッチパネルディスプレイ及びICカードリーダにより構成される。ICカードリーダにより利用者のICカードが読み込まれると予め記憶した照合情報と照合され、認証OKであれば液晶タッチパネルディスプレイの操作が許容される。液晶タッチパネルディスプレイには、各種の入力を行う操作シンボルが表示され、利用者がシンボルを選択することで制御部35に信号入力が行われる。利用者は、例えば液晶タッチパネルディスプレイを操作して電話番号やパスワードなどの利用者情報の入力を行う。液晶タッチパネルディスプレイから入力した利用者情報は、入力結果として表示される画面イメージをスクリーンキャプチャして、所定の規格(例えばJPEG規格)に準拠した画像データとして制御部37に入力される。なお、液晶タッチパネルディスプレイは操作部34の一実施形態であり、これに限定されず、物理的な操作ボタンやマイクなど警備装置3の操作に際し利用者が適宜情報入力できる操作インタフェースであればよい。また、利用者情報は、画像データとして入力される例に限定されず、文字情報などのテキストデータや所定の規格(例えばMPEG−Audio規格)に準拠した音声データとして入力されてよい。
この利用者情報の入力を行う操作部34と撮像部33とが本発明の入力部として機能する。なお、これに限らず可搬メディアを読み込んで可搬メディア内に記録された画像データを利用者情報として取り込むようにしてもよい。
【0027】
表示部35は、液晶ディスプレイにて構成される表示デバイスである。本実施形態では、操作部34としての入力インタフェースと一体構成された液晶タッチパネルディスプレイにより構成されている。表示部35には、撮像部34にて撮像される画像データや、情報管理装置5から受信した利用者情報、警備装置3の操作画面などが表示される。
【0028】
記憶部36は、ROMやRAM、又はHDDにて構成され自己を特定するための識別情報と各種プログラムなどを記憶しており、更に警備装置3を動作させるための各種情報を記憶する。具体的に、記憶部36は、現在設定されている警備モードを示すモード情報と、監視対象2に発生した異常有無を示す現状態情報と、利用者情報の表示制限時間を記憶している。また、撮像部33及び操作部34から入力される利用者情報は、後述の情報登録部373により遠隔の情報管理装置5に送信されて保存されるが、記憶部36には、直近に入力された所定数だけ記憶保持されている。
【0029】
制御部37は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、上述した各部を制御する。そのために、制御部37は、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、モード設定部371と、異常判定部372と、情報登録部373と、参照処理部374と、認可判定部375と、を備えている。
【0030】
モード設定部371は、操作部34からの操作入力に基づいて、住戸が有人のときに用いられ防犯センサ7による侵入異常の監視を行わない警備解除モードと、住戸が無人のときに用いられ防犯センサ7により侵入異常の監視行う外出警備モード(無人警備モード)と、住戸が有人のときに用いられ窓や扉など住戸の外周部分の防犯センサ7のみを用いて外部から監視対象2への侵入異常の監視を行う在宅警備モード(有人警備モード)との何れかに警備装置3の警備モードを設定する。利用者は、住戸から外出するときに外出警備モードを設定し、日中など頻繁に出入りがあるときに警備解除モードを設定し、夜間など在宅中に住戸の外周部分を警備する場合に在宅警備モードを設定する。モード設定部371は、設定された警備モードを示す情報を記憶部36に記憶するとともに、通信部31から監視センタ4にモード信号として送信する。
【0031】
異常判定部372は、防犯センサ7から検知信号を受信した場合に監視対象の異常判定処理を行う。異常判定部372は、センサI/F32を介して、防犯センサ7からの検知信号を受信すると、記憶部36に記憶された現在の警備モードを参照して侵入異常の発生有無を判定する。即ち、警備解除モードに設定されているときは防犯センサ7から検知信号を受信しても侵入異常と判定せず、外出警備モードに設定されているときに防犯センサ7から検知信号を受信すると監視対象2に侵入異常が発生と判定する。また、在宅警備モードに設定されているときは、予め設定された監視対象2の外周部分の防犯センサ7から検知信号を受信した場合に限り侵入異常と判定する。異常判定部372は、監視対象2の異常を判定すると、記憶部36の現状態情報に異常の内容を記憶し、通信部31から監視センタ4に異常信号を送信する。また、異常判定部372は、利用者による警備解除モードの設定操作などにより監視対象2の異常が正常化したことを判定すると記憶部36の現状態情報を正常とし、通信部31から監視センタ4に復旧信号を送信する。
【0032】
情報登録部373は、操作部34または撮像部33より入力された利用者情報を情報管理装置5に送信して警備装置3の識別情報と対応付けて登録を行う。情報登録部373は、操作部34が操作されて利用者情報が制御部37に入力されると、通信部31を介して情報管理装置5と警備装置3との間の通信接続を確立し、情報管理装置5に登録要求信号を送信する。そして、情報管理装置5に利用者情報(本実施形態では画像データ)を送信する。このとき、情報管理装置5には予め警備装置3に固有に設定された識別情報も合わせて送信される。情報管理装置5では、利用者情報が警備装置3の識別情報と対応付けて保存される。情報登録部373は、利用者情報の送信が終了するときに情報管理装置5との通信を終了する。
【0033】
参照処理部374は、操作部34から利用者情報の参照要求が入力されると、情報管理装置5から自己に対応した利用者情報を受信して表示部35に表示する。参照処理部374は、操作部34より利用者情報の参照要求の操作入力を受けると、通信部31を介して情報管理装置5と警備装置3との間の通信接続を確立し、情報管理装置5に参照要求信号を送信する。そして、これに応答して情報管理装置5から送信される利用者情報(本実施形態では画像データ)の縮小情報を受信する。縮小情報とは利用者が利用者情報を識別可能な情報であって、本実施形態ではサムネイル(縮小画像)として説明する。縮小情報は、サムネイルに限定されず利用者情報の名称や保存日時などメタデータやメタデータのリストであってよい。参照処理部374は、情報管理装置5から利用者情報の縮小情報を受信するとこれを表示部35に表示出力する。このとき、操作部34から何れかの縮小情報が選択操作されると、参照処理部374はこの縮小情報に対応した利用者情報を指定する参照指定信号を情報管理装置5に送信する。そして、参照指定信号に応答して情報管理装置5から送信される利用者情報を表示部35に表示出力する。なお、このとき、操作部34から選択操作された縮小情報に対応する利用者情報が現在記憶部36に保持されていれば記憶部36より当該利用者情報を読み出して表示出力してよい。利用者情報の表示部35への表示出力は記憶部36に記憶されている表示制限時間が経過すると終了する。参照処理部374は、操作部34からの入力に基づき利用者情報の参照が終了するときに情報管理装置5との通信を終了する。
【0034】
認可判定部375は、設定されている警備モードに応じて記憶部36の表示制限時間を書き換える。警備解除モードに設定されているとき、表示制限時間は、在宅警備モードに設定されているときよりも相対的に短時間に設定される。例えば在宅警備モードに設定されているときの表示制限時間を180秒とし、警備解除モードに設定されているときの表示制限時間を5秒として設定される。
【0035】
また、認可判定部375は、記憶部36の現状態に「異常」が記憶されているとき、即ち監視対象に何らかの異常事態が発生している場合には、操作部34による利用者情報の入力操作及び利用者情報の参照要求操作を禁止する。認可判定部375により操作部34からの利用者情報の入力操作及び利用者情報の参照要求操作が禁止されるときは、液晶タッチパネルディスプレイに表示される該当機能の操作シンボルが非活性となる。そして、認可判定部375により利用者情報の入力操作及び利用者情報の参照要求操作が許容される状態になると、液晶タッチパネルディスプレイに表示される該当機能の操作シンボルが活性状態となる。
【0036】
<情報管理装置>
次に、図3を用いて情報管理装置5の構成について説明する。図3は、情報管理装置5の構成を示すブロック図である。
情報管理装置5は、HDDやメモリなどで構成される記憶部51と、HDDを備えたファイルサーバなどで構成される利用者情報記憶部52と、通信回線網6と接続される通信部53と、MPUやマイコンなどで構成され各部の制御を行う制御部54とを有して概略構成される。
【0037】
記憶部51は、ROMやRAM、又はHDDにて構成され各種プログラムなどを記憶しており、更に情報管理装置5を動作させるための各種情報を記憶する。具体的に、記憶部51は、警備装置情報を記憶している。警備装置情報は、警備装置3ごとに対応して記憶される情報である。警備装置情報には、警備装置3の識別情報と、利用者情報記憶部における利用者情報の記憶アドレス(パス)が対応付けられて記憶されている。
【0038】
利用者情報記憶部52は、HDDにて構成される記憶領域及び情報管理装置5のCPUやMPUに読み込まれて実行されるファイルサーバプログラムにより実現される。利用者情報記憶部52は、警備装置3から登録要求信号を受信したときに後述する情報管理部541により制御されて、警備装置3の識別情報に対応した記憶アドレス(パス)に警備装置3から受信した利用者情報を記憶する。このとき、利用者情報記憶部52は、記憶する利用者情報に対応した縮小情報(本実施形態ではサムネイル)を生成して記憶する。縮小情報と利用者情報は固有情報により紐付けられる。また、利用者情報記憶部52は、警備装置3から参照要求信号を受信したときに後述する情報管理部541により制御されて、警備装置3の識別情報に対応した利用者情報のサムネイルが読み出され、警備装置3に送信される。そして、警備装置3より何れかのサムネイルを指定する参照指定信号を受信したときに対応する利用者情報が読み出され、警備装置3に送信される。
【0039】
通信部53はVPN機能を搭載している。通信部53は、警備装置3及びセンタ装置41との間の通信においてVPNトンネルを構築し、このVPNトンネルを介して暗号化通信を行う。
通信部53は、警備装置3と接続されて利用者情報の通信を行う。また、通信部53は、センタ装置41と接続されて監視センタ4との間で必要に応じて警備装置3の情報を取得する通信を行う。
【0040】
制御部54は、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ及びその周辺回路で構成され、上述した各部を制御する。そのために、制御部54は、このマイクロコンピュータ及びマイクロコンピュータ上で実行されるコンピュータプログラムによって実現される機能モジュールとして、情報管理部541を備えている。
【0041】
情報管理部541は、警備装置3との間の通信部53を介した利用者情報の通信を制御する。情報管理部541は、警備装置3から登録要求信号を受信すると警備装置3の識別情報に基づいて記憶部51の警備装置情報を参照し、対応する記憶アドレスを読み出す。そして、警備装置3から受信する利用者情報を該当の記憶アドレスに記憶する。このとき、利用者情報記憶部によりサムネイルが生成されて利用者情報と合わせて記憶される。また、情報管理部541は、警備装置3から参照要求信号を受信すると警備装置3の識別情報に基づいて記憶部51の警備装置情報を参照し、対応する記憶アドレスを読み出す。そして、該当する利用者情報のサムネイルが読み出され、警備装置3に送信される。情報管理部541は、警備装置3より何れかのサムネイルを指定する参照指定信号を受信すると、利用者情報記憶部52よりこのサムネイルの固有情報に紐付いた利用者情報を読み出して警備装置3に送信する。
【0042】
<動作の説明>
以上のように構成された利用者情報管理システム1について、図面を参照してその動作を説明する。まず、図4を用いて警備装置3の処理概要について説明する。図4は警備装置3による利用者情報の入力/参照処理プログラムの動作を示すフローチャートである。
【0043】
警備装置3は、利用者により警備モードが設定されて、監視対象2の侵入異常が検知されると記憶部51の現状態情報に異常の内容を記憶して監視センタ4に異常信号を送信する。ここで、利用者が警備装置3の操作部34を操作して、警備装置3を利用者情報の入力または参照を行う状態に移行させると、制御部37は図4に示す利用者情報の入力/参照処理を起動する。
【0044】
利用者情報の入力/参照処理において、まず認可判定部375が、記憶部36を参照して現在の警備モード及び現状態を判定する(ステップST11)。そして、判定された警備モードに応じて表示制限時間が設定され記憶部36に記憶される(ステップST12)。設定される表示制限時間は、警備モードが警備解除モードであれば在宅警備モードに設定されているときよりも相対的に短時間に設定される。そして、現状態情報が正常、即ち監視対象2で異常が検知されていなければ(ステップST13−Yes)、処理をステップST14へと進める。ステップST14において、利用者が操作部34より利用者情報の入力を示す操作シンボルを選択すると(ステップST14−Yes)、操作部34または撮像部33により利用者情報の入力が可能となる。操作部34からの情報入力または撮像部33による書面の撮影などにより利用者情報の入力が行われる(ステップST15)。利用者情報の入力が終了すると、情報登録部373により情報管理装置5への登録が行われる。情報登録部373は、情報管理装置5に登録要求信号を送信し(ステップST16)、続いて入力された利用者情報が送信される(ステップST17)。
【0045】
また、利用者が操作部34より利用者情報の参照を示す操作シンボルを選択すると(ステップST18−Yes)、参照処理部374により情報管理装置5からの受信が行われる。参照処理部374は、情報管理装置5に参照要求信号を送信し(ステップST19)、これに応答して情報管理装置5から受信される利用者情報のサムネイルを表示部35に表示出力する(ステップST20)。ここで、何れかのサムネイルが選択操作されると(ステップST21−Yes)、参照処理部374は選択されたサムネイルの固有情報を指定した参照指定信号を情報管理装置5に送信する(ステップST22)。そして、これに応答して情報管理装置5から受信される利用者情報を表示部35に表示出力する(ステップST23)。このとき、参照処理部374により記憶部36に記憶された表示制限時間が読み出されて計時開始される(ステップST24)。
【0046】
ステップST25において、終了操作の入力がなく(ステップST25−No)、表示制限時間が経過すると(ステップST26−Yes)、利用者情報の表示が終了する(ステップST27)。利用者情報の表示が終了すると、参照処理部374は処理をステップST21へと戻して再び利用者からのサムネイルの選択を待ち受ける。操作部34にてサムネイルが選択されると(ステップST21−Yes)、再度ステップST22以降の処理を実行する。また、表示制限時間が経過する前に(ステップST26−No)、操作部34にて異なるサムネイルが選択された場合にも(ステップST21−Yes)、再度ステップST22以降の処理を実行する。そして、ステップST25において、利用者情報の参照終了を示す操作シンボルが選択されると(ステップST25−Yes)、制御部37は一連の処理を終了する。
【0047】
次に、情報管理装置5の処理概要について説明する。情報管理装置5は、警備装置3と通信して利用者情報の保存及び提供を行う。図5、6は、情報管理装置5による利用者情報の管理処理プログラムの動作を示すフローチャートである。
【0048】
まず、図5を用いて利用者情報の保存処理について説明する。利用者情報の保存処理において、情報管理部541は、まず警備装置3から登録要求信号の受信を判別し(ステップST51)、受信していれば(ステップST51−Yes)、続けて警備装置3から利用者情報を受信して(ステップST52)、この利用者情報のサムネイルを生成する(ステップST53)。そして、利用者情報記憶部52において送信元の警備装置3の識別情報に対応した記憶アドレスに、受信した利用者情報とサムネイルとを保存する(ステップST54)。
【0049】
次に、図6を用いて情報管理装置5による利用者情報の提供処理について説明する。情報管理部541は、警備装置3から参照要求信号を受信すると(ステップST55)、送信元の警備装置3の識別情報に対応した記憶アドレスから利用者情報のサムネイルを読み出だして(ステップST56)、このサムネイルを送信元の警備装置3に送信する(ステップST57)。警備装置3から何れかのサムネイルの固有情報を指定した参照指定信号を受信すると(ステップST58−Yes)、利用者情報記憶部52より受信した固有情報に紐付いた利用者情報を読み出して(ステップST59)、警備装置3に送信する(ステップST60)。そして、処理をステップST58へと戻して、警備装置3から異なるサムネイルを指定した参照指定信号を受信するか待ち受ける。ここで、参照指定信号を受信することなく(ステップST58−No)、所定時間の経過または警備装置3から通信終了信号を受信すると(ステップST61)、利用者情報の提供処理を終了する。
【0050】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0051】
例えば、本実施形態では、図4において表示制限時間が経過した場合に、ステップST27にて利用者情報の表示を終了して再びサムネイル選択を待ち受けるよう構成したが、これに限定されず、表示制限時間が経過した場合には利用者情報の表示を終了するとともに利用者情報の入力/参照処理を終了するようにしてよい。
【0052】
また、本実施形態では、警備装置3から入力した利用者情報を遠隔の情報管理装置5に記憶して、当該入力した警備装置3から参照可能とする構成について説明した。この変形例として、遠隔の情報管理装置5に記憶する利用者情報を、入力した警備装置3以外の警備装置3からも参照可能としてよい。これにより、例えば、遠隔地に居住する父母世帯と子供世帯とで利用者情報を共有することが可能となる。
この場合、或る警備装置3aから利用者情報Aを入力したとき、利用者はこれを参照可能とする別の警備装置3bの識別情報を操作部34から入力する。警備装置3aの情報登録部373は、当該利用者情報Aを情報管理装置5に保存するために登録要求信号を送信するとき、合わせてこの利用者情報Aを参照可能とする警備装置3bの識別情報を送信する。情報管理装置5の情報管理部541は、受信した利用者情報Aを警備装置3aに対応した記憶アドレスに記憶して警備装置3a及び3bから読み出し可に設定するとともに、この利用者情報Aが参照可能であることを記憶部51における警備装置3bの警備装置情報に記憶する。これにより、警備装置3bの利用者が警備装置3bから利用者情報の参照操作を行い参照要求信号が送信された際、情報管理装置5の情報管理部541は、警備装置3bの警備装置情報を参照して、警備装置3bの記憶アドレスに保存された利用者情報の他に、警備装置3aの記憶アドレスに保存された利用者情報Aについてもサムネイルを読み出して警備装置3bに送信する。これにより、警備装置3bの利用者は利用者情報Aのサムネイルを選択操作することで利用者情報Aを受信して参照することが可能となる。
【符号の説明】
【0053】
1 利用者情報管理システム
2 監視対象
3 警備装置
31 通信部
32 センサI/F
33 撮像部
34 操作部
35 表示部
36 記憶部
37 制御部
371モード設定部
372異常判定部
373情報登録部
374参照処理部
375認可判定部
4 監視センタ
41 センタ装置
42 表示部
5 情報管理装置
51 記憶部
52 利用者情報記憶部
53 通信部
54 制御部
541情報管理部
6 通信回線網
7 防犯センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象となる施設に設けられ、前記監視対象の侵入異常を監視しない警備解除モードと、前記監視対象が有人の際に外部から当該監視対象への侵入異常を監視する有人警備モードとを少なくとも有する警備装置であって、
利用者が操作して利用者情報を入力する入力部と、前記入力された利用者情報を記憶する記憶部と、前記記憶された利用者情報を表示する表示部と、を備え、
前記警備解除モードが設定されているときは、前記利用者情報の表示を有人警備モード時より短い所定時間に制限することを特徴とした警備装置。

【請求項2】
さらに、前記監視対象の侵入異常を検知しているときは、前記利用者情報の表示を禁止する請求項1に記載の警備装置。

【請求項3】
監視対象となる施設に設けられ、前記監視対象の侵入異常を監視しない警備解除モード及び前記監視対象が有人の際に外部から当該監視対象への侵入異常を監視する有人警備モードを少なくとも有する警備装置と、利用者が前記警備装置に入力した利用者情報を記憶する遠隔の情報管理装置と、を備えた利用者情報管理システムであって、
前記警備装置は、
固有の端末識別情報を記憶する記憶部と、
利用者が操作して前記利用者情報を入力する入力部と、
前記入力された利用者情報を前記情報管理装置に送信する情報登録部と、
利用者の操作に基づき前記利用者情報の参照要求信号を送信する参照処理部と、
前記参照要求信号に応じて受信した利用者情報を閲覧可能に表示する表示部とを備え、
前記情報管理装置は、
前記警備装置から受信する利用者情報を当該警備装置の前記端末識別情報と対応させて記憶する利用者情報記憶部と、
前記警備装置から参照要求信号を受信すると当該警備装置の前記端末識別情報に対応する利用者情報を前記警備装置に送信する情報管理部とを備え、
前記警備装置は、前記警備解除モードが設定されているときは、前記利用者情報の表示を有人警備モード時より短い所定時間に制限することを特徴とした利用者情報管理システム。

【請求項4】
前記警備装置は、
前記監視対象の侵入異常を検知しているときは、前記入力部による利用者情報の入力及び前記参照処理部による前記確認要求信号の送信を禁止する請求項3に記載の利用者情報管理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−20377(P2013−20377A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152126(P2011−152126)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】