説明

警告灯付シート

【課題】ハザードランプの点灯と連動して点滅することができ、更に、従来と同様のデザインのシートであってもシートを発光させることができる警告灯付シートを提供する。
【解決手段】本警告灯付シート1は、少なくとも背もたれ21及び/又はヘッドレスト22に発光手段3を具備するシート本体2と、ハザードランプの点灯と連動して上記発光手段3を発光させる点滅制御手段4と、を備えることを特徴とする。また、発光手段3は、上記シート本体2の表面材24の縫い目25の裏側に沿って設けられている。このような警告灯付シートによれば、少なくとも背もたれ及び/又はその上方となる位置に発光手段を備え、警告灯であるハザードランプと連動して点滅発光するため、ハザードランプとしての視認性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハザードランプの点灯と連動して点滅する警告灯付シートに関する。更に、従来と同様のデザインのシートであってもシートを発光させてハザードランプ等の警告灯として用いることができる警告灯付シートに関する。本警告灯付シートは、乗用車等のシートに用いられる。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両は、方向指示器であるターンシグナルを一斉に点滅させる、いわゆるハザードランプ機能を備えている。このターンシグナルは、通常車両の周囲の何処から見ても点滅が分かる位置に設けられているが、更に、点滅する箇所を増やして、より分かりやすくすることが望まれている。これに対して車両内のシートをハザードランプ用の警告灯として用いることは検討されていなかった。
【0003】
一方、車両のドアが開いたときにシートの台座の下側を発光させる車両内照明装置が提案されている(特許文献1を参照)。また、シートの背もたれ面を発光させることが提案されている。例えば、特許文献2では、シートの背もたれ面に設けられているネット状のバックレストの奥を発光させる車両用シート装置が提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開2007−112191号公報
【特許文献2】特開2007−97866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に示すシートの台座の下側の発光は、車外から発光しているかどうかを見ることは困難である。また、シートの背もたれ面を発光させる場合、従来は特許文献2に例示するように、シート内に設けた光源の光をシート外に出すための隙間及び窓灯を必要とするため、従来のシートのデザインをそのままにすることができず予め隙間が多いデザイン等とする必要があった。このようなデザインのシートは座り心地が通常のシートと異なる問題があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ハザードランプの点灯と連動して点滅することができる警告灯付シートを提供することを目的とする。更に、従来と同様のデザインのシートであってもシートを発光させてハザードランプ等の警告灯として用いることができる警告灯付シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.少なくとも背もたれ及び/又はヘッドレストに発光手段を具備するシート本体と、ハザードランプの点灯と連動して該発光手段を発光させる点滅制御手段と、を備えることを特徴とする警告灯付シート。
2.上記発光手段は、光源と、該光源から発せられる光を伝達し且つ側面から漏光する導光手段とを具備し、該導光手段は上記シート本体の表面材の縫い目の裏側に沿って設けられている上記1.記載の警告灯付シート。
3.上記発光手段は光源を具備し、該光源は上記シート本体の表面材の縫い目の裏側に沿って設けられている上記1.記載の警告灯付シート。
4.上記発光手段は、上記シート本体のヘッドレストに設けられている上記2.又は上記3.記載の警告灯付シート。
【発明の効果】
【0007】
本警告灯付シートによれば、少なくとも背もたれ及び/又はその上方となる位置に発光手段を備え、警告灯であるハザードランプと連動して点滅発光するため、ハザードランプとしての視認性をより向上させることができる。
また、発光手段が光源及び導光手段を具備し、導光手段がシート本体の表面材の縫い目の裏側に設けられている場合は、発光手段が非発光の状態では従来のシートと代わりのない美観を備えることができるため、発光手段をシートの座る人が意識することが無く、発光時の意外性があり、且つ、縫い目から漏れ出る光が美観に優れる警告灯付シートとすることができる。更に、導光手段によりシートの曲面に沿った形態としつつ、任意の場所に光源を設けることができ、シートの設計を容易にすることができる。
また、発光手段が光源を具備し、光源がシート本体の表面材の縫い目の裏側に設けられている場合は、発光手段が非発光の状態では従来のシートと代わりのない美観を備えることができるため、発光手段をシートの座る人が意識することが無く、発光時の意外性があり、且つ、縫い目から漏れ出る光が美観に優れる警告灯付シートとすることができる。更に、光源から発せられる光が直接縫い目から漏れ出るため、より複雑な発光制御を行うことが容易である。
また、発光手段がシート本体のヘッドレストに設けられている場合は、車外からの発光手段の視認性が向上し、よりハザードランプとしての視認性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図1〜5を参照しながら本発明の警告灯付シートを詳しく説明する。
本発明の警告灯付シートは、発光手段を具備するシート本体と、点滅制御手段とを備えることを特徴とする。
上記「シート本体」は、自動車等の車両用の座席であり、その形状及び材質等は特に問わない。また、運転席、助手席及び助手席等の任意の位置に設けられているシートとして用いることができる。このようなシート本体は、通常枠体及びクッション材と、これらを覆う表面材とを備える。
この「表面材」はその形状及び材質は特に問わない。例えば形状として、シート状及び板状等を挙げることができる。また、材質として、合成樹脂、ゴム、金属等を例示することができる。
上記「ハザードランプ」は、非常点滅表示燈として用いられるランプである。このようなランプは、ターンシグナルランプを挙げることができる。ハザードランプの点灯は、通常、ハザードランプの点灯スイッチの操作によって動作する独立した制御回路及びECUによって制御される回路等によって制御される。
【0009】
上記「発光手段」は、シートに設けられ発光するものであればよく、任意の手段を選択することができる。この例としてLED、電球及び蛍光灯(冷陰極蛍光管等も含む)等の光源を用いることを挙げることができる。また、光源から発せられる光を伝達し、且つ側面から漏光する導光棒及び導光板等の導光手段を用いて任意の場所に光源で発せられた光を導光することができる。
発光手段をシート本体に配設する場所は、少なくとも背もたれ及び/又はヘッドレストとなる位置であればよく、背もたれ(例えば図1に示す背もたれ21を参照。)及びヘッドレスト(例えば図1に示すヘッドレスト22を参照。)を挙げることができる。このうち、ヘッドレストを車外からの発光手段の視認性が向上し、よりハザードランプとしての視認性を向上させることができるため、好例とすることができる。また、座面(例えば図1に示す座面23を参照。)及び肘掛け等に発光手段を設けてもよい。尚、発光手段の光が出力される場所が少なくとも背もたれ及び/又はヘッドレストとなる位置であればよく、例えば図2に示すように、発光手段3が、光源31と導光手段32とを備えている場合は、光を出力する導光手段32が少なくとも背もたれ及び/又はヘッドレストに設けられていればよい。
【0010】
発光手段の配設方法は任意に選択することができ、発光手段をシート本体の表面に露出するように接着及び嵌合等の任意の固定手段により固定してもよいし、透明又は半透明の窓をシート本体の表面に設け、その裏側に発光手段を上記任意の固定手段により固定してもよい。更に、図3に例示するように、シート本体2の表面材24の縫い目25の裏側に沿って発光手段(図3における導光手段32)を設けることができる。
上記「縫い目」は、隣接する表面材を、縫製したり、テープ等で接続したりする等により形成される。また、縫い目には表面材間の隙間が生じるが、この隙間の大きさは表面材の裏面側に用意した発光手段からの光が隙間を通って漏れ出ることが目視できる大きさであればよく、例えば、目視で分かる程大きな隙間(例えば0.1mm以上とすることができる)であってもよいし、光が漏れ出る範囲で目視ができない程度の隙間(例えば0.1mm未満とすることができる)であってもよい。
また、発光手段を表面材の縫い目の裏側に沿って設ける方法は任意に選択することができ、例えば、縫い目の片側又は両側の表面材の裏側に発光手段を接着、粘着及び縫製等の任意の固定手段を用いて固定することができる。更に、縫い目の裏側に隣接する枠体及びクッション材に接着、粘着及び嵌合等の任意の固定手段を用いて固定することができる。
【0011】
上記「点滅制御手段」は、ハザードランプの点灯と連動して発光手段を発光させる制御を行うことができる手段であればよく、任意に選択することができる。例えば、ハザードランプの点灯を制御する独立した制御回路及びECUによって制御される回路をそのまま点滅制御手段として用いてもよいし、前記各回路から出力される信号を入力信号として用い、該入力信号がハザードランプを点滅させていることを表す場合は、発光手段を点灯及び点滅等を行う回路であってもよい。
【0012】
このような警告灯付シートを図1、2、4及び5に示す。本警告灯付シート1は、背もたれ21、ヘッドレスト22、座面23及び発光手段3を具備するシート本体2と、点滅制御手段4とを備える。
シート本体2は、通常用いられるものを用いることができる。また、背もたれ21、ヘッドレスト22、座面23は、合成樹脂等でできたシート及び織布等からなる表面材24により覆われている。
発光手段3は、LEDランプを用いた光源31と、透光性の樹脂からなり棒状の導光手段32とを具備する。光源31はシート本体2内の任意の場所に設けられている。また、導光手段32は、図3〜5に示すように、シート本体2内を通って表面材24裏側であり且つその縫い目25と接するように縫い止められている。更に、一端が光源31と接続されており、光源31から発せられる光を内部で伝達させて、周面から漏出させる。この漏出した光は、図3〜5に示すように、縫い目25の隙間から外部に漏れ出る。
点滅制御手段4は、ECUから出力されているハザードランプ点灯中を表す信号を入力し、ハザードランプの点滅と同期して光源31を点滅させる駆動回路である。
【0013】
このような警告灯付シート1は、図4及び5に示すように、ハザードランプが点滅しているときに、点滅制御手段4により点滅させられる光源31から発せられる光が導光手段32及び縫い目25を通じて外部に漏れ出るため、背もたれ21、ヘッドレスト22及び座面23の縫い目25が光っているように見える。また、背もたれ21及びヘッドレスト22の縫い目25から漏れ出る光は車外から見えるため、ハザードランプとしての視認性を向上させることができる。特にヘッドレスト22の縫い目25から漏れ出る光は、全て車外から見えるため、ハザードランプとしての視認性をより向上させることができる。
また、本警告灯付シート1は、発光手段3が非発光の状態では従来のシートと代わりのない美観を備えることができるため、発光手段3をシートの座る人が意識することが無く、発光時の意外性があり、且つ、縫い目から漏れ出る光が美観に優れるシートとすることができる。
【0014】
尚、本発明においては、上記実施例に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記警告灯付シート1は発光手段3として光源31及び導光手段32を具備するがこれに限られず、光源のみからなる発光手段3としてもよい。このような警告灯付シート1’は、例えば図6に示すように縫い目25の裏側に発光手段3’であってLEDランプ等からなる光源33が設けられる。このような光源33は、縫い目25の裏側に位置するクッション材内に埋設されている。
また、表面材24が透光性又は半透光性である場合は、発光手段を縫い目25以外の裏側に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本警告灯付シートの外観を説明するための模式斜視図である。
【図2】本警告灯付シートの外観を説明するための模式斜視図である。
【図3】発光手段の導光手段の配設方法を説明するための模式断面図である。
【図4】発光している本警告灯付シートの外観を説明するための模式斜視図である。
【図5】発光している本警告灯付シートの外観を説明するための模式斜視図である。
【図6】本ヘッドレストに光源を設けた警告灯付シートの外観を説明するための模式斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
1、1’;警告灯付シート、2;シート本体、21;背もたれ、22;ヘッドレスト、23;座面、24;表面材、25;縫い目、3、3’;発光手段、31、33;光源、32;導光手段、4;点滅制御手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも背もたれ及び/又はヘッドレストに発光手段を具備するシート本体と、ハザードランプの点灯と連動して該発光手段を発光させる点滅制御手段と、を備えることを特徴とする警告灯付シート。
【請求項2】
上記発光手段は、光源と、該光源から発せられる光を伝達し且つ側面から漏光する導光手段とを具備し、該導光手段は上記シート本体の表面材の縫い目の裏側に沿って設けられている請求項1記載の警告灯付シート。
【請求項3】
上記発光手段は光源を具備し、該光源は上記シート本体の表面材の縫い目の裏側に沿って設けられている請求項1記載の警告灯付シート。
【請求項4】
上記発光手段は、上記シート本体のヘッドレストに設けられている請求項2又は3記載の警告灯付シート。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate