説明

警告装置、警告システム、警告方法、警告プログラム及びその記録媒体

【課題】
簡易な構成で、利用者とともに移動する装置の周囲環境が当該装置にとって好ましくないものとなった場合に、利用者に対して適切に警報を発する。
【解決手段】
利用者とともに移動する装置500に実装された警告装置200が、識別情報の発信誘起無線信号である動作電力信号を無線信号として発信する。この動作電力信号を受けた識別情報発信素子300jが、識別情報発信素子300jに予め設定されている識別情報を無線信号として発信する。この識別情報が担われた無線信号の受信結果に基づいて、警告装置200が、警告装置200が実装された装置500と、識別情報発信素子300jが装着された装置900jとの間の距離を推定する。そして、警告装置200が、受信した識別情報に対応して予め定められている閾値距離と推定距離とを比較し、推定距離が当該閾値距離よりも短い場合には、警報を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告装置、警告システム、警告方法、警告プログラム、及び、当該警告プログラムが記録された記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話装置等の利用者ととともに移動する装置が広く普及している。こうした装置の利用者に対して、他の装置との位置関係に基づいて、必要に応じて、利用者に対して警告を行う技術が提案されている(特許文献1参照;以下、「従来例」という)。
【0003】
この従来例の技術では、携帯電話装置等の携帯物、及び、カード型メモリ等の当該携帯物への装着物の一方から無線信号を送出する。そして、他方が、当該無線信号の受信強度を検出し、検出結果に基づいて、携帯物と装着物との距離が所定の距離以上離れていることが検出されると、当該他方が警告を行うようになっている。このため、装着物の紛失を効果的に避けることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−42084号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の技術は、一の装置と他の装置とが離脱状態にあることが好ましくない場合に、両装置間の距離が所定距離以上となったことが検出されると警告を行う技術である。しかしながら、着目する装置と他の装置との関係は、離脱状態にあることが好ましくない場合ばかりではなく、両装置間の距離が一定距離以上離れていることが好ましい場合が多々ある。例えば、動作が電磁波の影響を受けやすい装置は、電子レンジ等の電磁波を発生させる装置からなるべく離れていることが好ましいし、水に濡れることに弱い装置は、洗濯機等の水を用いる装置からなるべく離れていることが好ましい。また、携帯電話装置のように電磁波を発信する装置は、心臓病患者に装着された心臓ペースメーカからなるべく離れていることが好ましい。
【0006】
ところで、携帯電話装置等の利用者とともに移動可能な装置においては、その装着物の離脱の検出もさることながら、当該装置にとって好ましくない他の装置への接近を検出できたり、当該装置の接近が好ましくない他の装置への接近を検出できたりすることが重要である。さらに、他の装置との関係によって定まる場合ばかりではなく、当該装置の移動に伴って、当該装置が近づくことが好ましくない位置へ接近してしまうことも予想される。
【0007】
このため、利用者とともに移動する装置について、当該装置にとって周囲状況が好ましくなくなった場合に、利用者の注意を喚起することができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つに挙げられる。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、利用者とともに移動する装置の周囲環境が当該装置にとって好ましくないものとなった場合に、利用者に対して適切に警報を発することができる警告装置、警告システム及び警告方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、利用者とともに移動する装置に実装された警告装置であって、前記警告装置からの発信誘起無線信号を受けた識別情報発信手段から無線信号として発信される前記識別情報発信手段に予め設定されている識別情報と、前記識別情報に対応する閾値距離とが関連付けられて記憶される記憶手段と;無線信号の送受信を行うアンテナ手段と;前記アンテナ手段を介して前記発信誘起無線信号を送出する発信誘起手段と;前記識別情報発信手段からの無線信号を前記アンテナ手段で受けた場合に、前記アンテナ手段による受信結果に基づいて、前記識別情報発信手段との間の距離を推定する測距手段と;前記測距手段により推定された距離が、前記記憶手段に記憶されている前記識別情報に対応する閾値距離よりも短いか否かを判定し、前記判定の結果が肯定的であった場合に、警報発生指令を発行する警報発生制御手段と;前記警報発生指令を受けた場合に、警報の発生を行う警報発生手段と;を備えることを特徴とする警告装置である。
【0010】
請求項8に記載の発明は、識別情報の発信誘起無線信号を受けた場合に、予め設定されている識別情報を無線信号として発信する識別情報発信手段と;請求項1〜7のいずれか一項に記載の警告装置と;を備えることを特徴とする警告システムである。
【0011】
請求項9に記載の発明は、利用者とともに移動する装置に実装された警告装置において使用される警告方法であって、識別情報の発信誘起無線信号を発信する発信工程と;前記発信誘起無線信号を受けた識別情報発信手段が無線信号として発信した、前記識別情報発信手段に予め設定されている識別情報の受信結果に基づいて、前記識別情報発信手段との間の距離を推定する測距工程と;前記測距工程において推定された距離が、前記識別情報に対応して予め定められている閾値距離よりも短いか否かを判定する判定工程と;前記判定工程における判定の結果が肯定的あった場合に、警報を発生する警報発生工程と;を備えることを特徴とする警告方法である。
【0012】
請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の警告方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする警告プログラムである。
【0013】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の警告プログラムが、演算手段に読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態を、図1〜図6を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0015】
[構成]
図1には、一実施形態に係る警告システム100の構成が概略的に示されている。この図1に示されるように、警告システム100は、警告装置200と、識別情報発信手段としての識別情報発信素子3001,…,300Nとを備えている。ここで、警告装置200は、携帯電話装置等のような利用者とともに移動可能な装置500に実装されている。また、識別情報発信素子300j(j=1〜N)は、装置900jに装着されている。
【0016】
警告装置200は、識別情報発信素子300jから所定の周波数帯の無線信号として発信された識別情報発信素子300jの識別情報の受信結果に基づいて、警報を発生する。かかる機能を有する警告装置200は、図2に示されるように、アンテナ手段としてのアンテナ210と、デュープレクサ(DUP)220と、発信誘起手段としての動作電力信号発生ユニット230とを備えている。また、警告装置200は、測距手段及び警報発生制御手段としての警報発生制御ユニット240と、警報発生手段としての警報発生ユニット250と、閾値入力ユニット260とを備えている。
【0017】
なお、警告装置200は、装置500における電源ユニット510から動作電力PWAの供給を受けて動作するようになっている。例えば、装置500が携帯電話装置である場合には、電源ユニット510は、充電可能な電池を備えており、当該電池から警告装置200へ動作電力PWAの供給が行われる。
【0018】
アンテナ210は、DUP220と接続されている。そして、アンテナ210からは、DUP220から出力された信号が外部へ発信される。また、アンテナ210で受信された信号が、DUP220へ向けて送られる。
【0019】
DUP220は、動作電力信号発生ユニット230からの送信電力信号SPSを受けると、アンテナ210へ向けて出力する。また、DUP220は、アンテナ210からの信号を受けると、受信信号RDSとして警報発生制御ユニット240へ向けて出力する。
【0020】
動作電力信号発生ユニット230は、識別情報発信素子300jへ供給されるべき動作電力信号SPSを発生する。発生された動作電力信号SPSは、DUP220へ向けて出力される。なお、警告装置200への電源ユニット510からの動作電力PWAの供給が行われている期間では、動作電力信号発生ユニット230は、動作電力信号SPSを継続的に発生するようになっている。
【0021】
警報発生制御ユニット240は、DUP220からの受信信号に基づいて警報の発生を制御する。この警報発生制御ユニット240については、後述する。
【0022】
警報発生ユニット250は、警報発生制御ユニット240からの警報発生指令ALSに従って、警報を発生する。本実施形態では、警報発生ユニット250はブザーデバイスを有しており、警報発生指令ALSに従って、鳴動音を発生するようになっている。
【0023】
なお、警告装置200が実装されている装置500が、スピーカ等を有する音声出力ユニットを備えている場合には、警報発生ユニット250として当該音声出力ユニットを利用するようにすることができる。
【0024】
閾値入力ユニット260には、警報発生制御ユニット240に登録されるべき、識別情報と閾値距離との対応関係が入力される。閾値入力ユニット260への入力結果は、閾値設定データTSDとして警報発生制御ユニット240へ送られる。
【0025】
なお、警告装置200が実装されている装置500が、キーボード等を有する操作入力ユニットを備えている場合には、閾値入力ユニット260として当該操作入力ユニットを利用するようにすることができる。
【0026】
上記の警報発生制御ユニット240は、図3に示されるように、フィルタ(FIL)241と、復調部242と、検出手段としてのパワー検出部243とを備えている。また、警報発生制御ユニット240は、推定手段としても機能する処理部245と、記憶手段としての記憶部247とを備えている。
【0027】
記憶部247は、不揮発性記憶素子を備えており、不揮発性領域に閾値距離テーブル247Tが記憶されている。この閾値距離テーブル247Tには、図4に示されるように、識別情報発信素子3001〜300Nから発信される可能性がある識別情報ID1,ID2,…,IDMに対応する閾値距離DT1,DT2,…,DTMが登録されている。ここで、閾値距離DTk(k=1〜M)は、識別情報IDkを発信した識別情報発信素子300j(識別情報発信素子3001〜300Nのいずれか)が装着されている装置900jに対して、装置500が保つべき距離の下限である。
【0028】
かかる閾値距離テーブル247Tにおける登録内容は、警告装置200を装置500に実装する際に予め登録することもできるし、利用者による閾値入力ユニット260への新たな登録内容の入力により、新たに登録することもできる。さらに、利用者による閾値入力ユニット260への既に登録されている内容の更新内容の入力により、登録内容を更新することができる。
【0029】
図3に戻り、FIL241は、DUP220からの受信信号RDSを受ける。そして、FIL241は、受信信号RDSにおける上述した識別情報発信素子300jから発信される信号に関する所定の周波数帯の信号を選択的に通過させる。こうしてFIL241を通過した信号は、選択周波数信号FSSとして、FILから復調部242及びパワー検出部243へ向けて出力される。
【0030】
復調部242は、FIL241からの選択周波数信号FSSを受ける。そして、復調部242は、選択周波数信号FSSに対して復調処理を行う。この復調処理の結果は、復調信号DMDとして、復調部242から処理部245へ向けて出力される。
【0031】
ここで、選択周波数信号FSSが識別情報発信素子3001〜300Nのいずれかからの識別情報を担い、かつ、ある程度以上の信号パワーであれば、復調信号DMDは、その識別情報発信素子から発信された識別情報を有意に反映した信号となる。なお、選択周波数信号FSSの信号パワーが小さい場合には、復調信号DMDは、識別信号を反映した信号とはいえないものとなる。
【0032】
パワー検出部243は、選択周波数信号FSSの信号レベルを検出する。このパワー検出部243による検出結果は、復調信号DMDが識別情報発信素子3001〜300Nのいずれかからの識別情報を有意に反映している場合には、当該識別情報発信素子の発信信号のアンテナ210の位置における電界強度であるといえる。パワー検出部243による検出結果は、検出結果信号EFIとして、パワー検出部243から処理部245へ向けて出力される。
【0033】
処理部245は、復調部242からの復調信号DMD及びパワー検出部243からの検出結果信号EFIを受ける。そして、処理部245は、復調信号DMDが識別情報を有意に含んでいる場合には、検出結果信号EFIとして得られる選択周波数信号FSSの信号パワー値に基づいて、当該識別信号を発信した装置と装置500との間の距離を推定する。かかる距離推定は、予め実験、シミュレーション等に基づいて得られている選択周波数信号FSSの信号パワー値と装置間距離との関係に基づいて行われる。
【0034】
装置間距離の推定が終了すると、処理部245は、復調信号DMDとして受信した識別情報をキーにして、当該識別情報に対応する閾値距離を記憶部247内の閾値距離テーブル247Tからメモリ読出データMRDとして読み出す。そして、処理部245は、推定距離が読み出された閾値距離も短い場合には、警報発生指令ALSを警報発生ユニット250へ向けて出力する。この警報発生指令ALSを受けると、警報発生ユニット250は、警報として鳴動音を発生する。
【0035】
また、処理部245は、閾値入力ユニット260からの閾値設定データTSDを受ける。この閾値設定データTSDを受けた処理部245は、閾値設定データTSDで指定された識別情報と閾値距離との対応関係を、メモリ書込データMWDとして記憶部247へ送る。この結果、閾値距離テーブル247T内の登録内容が更新される。
【0036】
上述の識別情報発信素子300j(j=1〜N)のそれぞれは、動作電力信号を受けると、識別情報発信素子300jに付与されている識別情報を、所定の周波数帯の無線信号として発信する。かかる機能を有する識別情報発信素子300jは、図5に示されるように、アンテナ310と、デュープレクサ(DUP)320と、動作電力発生ユニット330と、識別情報送信ユニット340とを備えている。なお、本実施形態では、識別情報発信素子300jは、いわゆる1つのICチップとして構成されている。
【0037】
アンテナ310は、DUP320と接続されている。そして、アンテナ310からは、DUP320から出力された信号が外部へ発信される。また、アンテナ310で受信された信号が、DUP320へ向けて送られる。
【0038】
DUP320は、アンテナ310からの信号を受けると、受信電力信号RPSとして動作電力発生ユニット330へ向けて出力する。また、識別情報送信ユニット340からの送信信号SDSを受けると、アンテナ310へ向けて出力する。
【0039】
動作電力発生ユニット330は、DUP320からの受信電力信号RPSを利用して、所定電圧の動作電力PWBを発生する。発生された動作電力PWBは、識別情報送信ユニット340へ供給される。
【0040】
なお、装置500との間の距離が長いために受信電力信号RPSの信号パワーが小さな場合には、動作電力発生ユニット330が発生する動作電力PWBは、上記の所定電圧に達せず、識別情報送信ユニット340は動作しない。そして、装置500が近づいて受信電力信号RPSの信号パワーがある程度以上大きくなると、動作電力発生ユニット330が発生する動作電力PWBは、上記の所定電圧となり、識別情報送信ユニット340が動作するようになっている。
【0041】
識別情報送信ユニット340は、不図示の変調部等を備えており、予め付与された識別情報IDjが格納されている。この識別情報送信ユニット340は、所定電圧の動作電力PWBが供給されると、自動的に識別情報IDjを担った送信信号SDSをDUP320へ向けて出力する動作を繰り返す。
【0042】
なお、識別情報発信素子300jの識別情報送信ユニット340に格納される識別情報IDjは、識別情報発信素子300jに固有のものであると限られない。すなわち、識別情報IDjは、識別情報発信素子300jに固有の内容である場合もあるし、識別情報発信素子300jが装着される装置900jと同種の装置に装着される装着識別情報発信素子と共通のものとなっている場合もある。いずれにしても、識別情報IDjを判別することにより、識別情報IDjを発信する識別情報発信素子が装着された装置の属性が判別できるようになっている。
【0043】
[動作]
次に、上記のように構成された警告システム100における警報発生動作について、主に警告装置200における処理に着目して説明する。
【0044】
前提として、警告装置200における上述した閾値距離テーブル247Tには、識別情報発信素子3001〜300Nから発信される可能性がある識別情報ID1,ID2,…,IDMに対応する閾値距離DT1,DT2,…,DTMが既に登録されているものとする(図4参照)。また、警告装置200には、電源ユニット510からの動作電力PWAが供給されており、警告装置200のアンテナ210からは、動作電力信号が発信されているものとする(図2参照)。
【0045】
警告装置200では、図6に示されるように、まず、ステップS11において、警報発生制御ユニット240内の処理部245が、復調信号DMDにより識別情報を受けたか否かを判定する。装置500と装置900j(j=1〜N)のいずれとの間の距離が長く、復調信号DMDにより識別情報を受けておらず、ステップS11における判定の結果が否定的であった場合(ステップS11:N)には、ステップS11の処理が繰り返される。
【0046】
この後、装置500が移動し、装置500と装置900j(j=1〜N)のいずれか(以下、装置9001であるとして説明する)とが近づくと、識別情報発信素子3001による識別情報を担った無線信号の発信が開始される。そして、この識別情報を担った無線信号が警告装置200により受信され、DUP220及びFIL241を介した後に、復調部242により復調されて復調信号DMDとして識別情報が処理部245に通知されると、ステップS11における判定の結果が肯定的となり(ステップS11:Y)、処理はステップS12へ進む。
【0047】
ステップS12では、処理部245が、パワー検出部243から出力されている検出結果信号EFIを読み取る。この結果、処理部245により、識別情報発信素子3001の発信信号のアンテナ210の位置における電界強度が取得される。引き続き、ステップS13において、処理部245が、取得された電界強度に基づいて、装置500と装置9001との間の距離を推定する。
【0048】
次に、ステップS14において、処理部245が、ステップS13において推定された距離が、閾値距離未満であるか否かを判定する。かかる判定に際して、処理部245は、まず、復調信号DMDとして受けた識別情報をキーとして閾値距離テーブル247Tにアクセスし、当該識別情報に対応する閾値情報を取得する。そして、処理部245は、取得された閾値距離と推定距離とを比較する。
【0049】
ステップS14における判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS11へ戻る。この後、上述したステップS11〜S14の処理が繰り返される。
【0050】
一方、ステップS14における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、処理はステップS15へ進む。このステップS15では、処理部245が、警報発生指令ALSを警報発生ユニット250へ向けて出力する。この結果、警報発生ユニット250から、警報が鳴動音として発生する。
【0051】
ステップS15における警報発生が終了すると、処理はステップS11へ戻る。この後、上述したステップS11〜S15の処理が繰り返される。
【0052】
以上説明したように、本実施形態では、利用者とともに移動する装置500に実装された警告装置200が、識別情報の発信誘起無線信号である動作電力信号を無線信号として発信する。この動作電力信号を受けた識別情報発信素子300j(識別情報発信素子3001〜300Nのいずれか)が、識別情報発信素子300jに予め設定されている識別情報を無線信号として発信する。この識別情報が担われた無線信号の受信結果に基づいて、警告装置200が、警告装置200が実装された装置500と、識別情報発信素子300jが装着された装置900jとの間の距離を推定する。そして、警告装置200が、受信した識別情報に対応して予め定められている閾値距離と推定距離とを比較し、推定距離が当該閾値距離よりも短い場合には、警報発生指令ALSを発行し、警報を発生させる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、簡易な構成で、利用者とともに移動する装置500の周囲環境が当該装置にとって好ましくないものとなった場合に、利用者に対して適切に警報を発することができる。
【0054】
[実施形態の変形]
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0055】
例えば、上記の実施形態では、識別情報発信素子への発信誘起無線信号として動作電力信号を使用することにしたが、いわゆるポーリング信号等を使用することもできる。
【0056】
また、上記の実施形態では、上記の実施形態では、警報発生ユニット250がブザーを備え、警報として鳴動音を発生するようにしたが、警報発生ユニットが音声出力機能を有するように構成し、警報として警告音声を発生するようにしてもよい。
【0057】
また、上記の実施形態では、上記の実施形態では、警報として聴覚に訴える音を発生するようにしたが、警報発生ユニットがバイブレータを備えるように構成し、警報として触覚に訴える振動を発生するようにしてもよい。
【0058】
また、上記の実施形態では、利用者と移動する装置として携帯電話装置を例示したが、可搬型オーディオ装置等の携帯電話装置以外の可搬型装置に本発明の警告装置を実装するようにしてもよい。さらに、可搬型ではない、車両等に本発明の警告装置を実装するようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施形態では、識別情報発信素子が装置に装着されることを想定したが、道路上や建物等に識別情報発信素子を装着するようにしてもよい。例えば、道路の駐車禁止領域のどこかに識別情報発信素子を配設し、車両がその領域の所定距離以内に近づいた場合に、車両に実装された警告装置により警報を発生させるようにすることもできる。
【0060】
また、上記の実施形態では、識別情報発信素子が、固定的に配置された装置に装着されることを想定したが、自らが移動可能な装置や、心臓ペースメーカ等のような利用者の移動とともに移動する装置に識別情報発信素子を装着するようにすることもできる。
【0061】
また、上記の実施形態では、識別情報発信手段として1つのICチップとして構成されている識別情報発信素子を採用したが、上記の実施形態の識別情報発信素子と同様に動作する構成であれば、いかなる構成を採用してもよい。
【0062】
なお、上記の実施形態の警告装置を、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)を備える計算機システムとして構成し、上記の実施形態の警告装置の機能をプログラムの実行によっても実現することができる。これらのプログラムは、CD−ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配送の形態で取得されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態に係る警告システムの概略的な構成を示す図である。
【図2】図1の警告装置の概略的な構成を示すブロック図である。
【図3】図2の警報発生制御ユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】図3の閾値距離テーブルの内容を説明するための図である。
【図5】図1の識別情報発信素子の概略的な構成を示すブロック図である。
【図6】図1の警告装置における処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
100 … 警告システム
200 … 警告装置
210 … アンテナ(アンテナ手段)
230 … 動作電力信号発生ユニット(発信誘起手段)
240 … 警報発生制御ユニット(測距手段及び警報発生制御手段)
243 … パワー検出部(検出手段)
245 … 処理部(推定手段)
247 … 記憶部(記憶手段)
250 … 警報発生ユニット(警報発生手段)
3001〜300N … 識別情報発信素子(識別情報発信手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者とともに移動する装置に実装された警告装置であって、
前記警告装置からの発信誘起無線信号を受けた識別情報発信手段から無線信号として発信される前記識別情報発信手段に予め設定されている識別情報と、前記識別情報に対応する閾値距離とが関連付けられて記憶される記憶手段と;
無線信号の送受信を行うアンテナ手段と;
前記アンテナ手段を介して前記発信誘起無線信号を送出する発信誘起手段と;
前記識別情報発信手段からの無線信号を前記アンテナ手段で受けた場合に、前記アンテナ手段による受信結果に基づいて、前記識別情報発信手段との間の距離を推定する測距手段と;
前記測距手段により推定された距離が、前記記憶手段に記憶されている前記識別情報に対応する閾値距離よりも短いか否かを判定し、前記判定の結果が肯定的であった場合に、警報発生指令を発行する警報発生制御手段と;
前記警報発生指令を受けた場合に、警報の発生を行う警報発生手段と;
を備えることを特徴とする警告装置。
【請求項2】
前記発信誘起無線信号は、前記識別情報発信手段に動作電力を供給する動作電力供給信号である、ことを特徴とする請求項1に記載の警告装置。
【請求項3】
前記測距手段は、
前記識別情報発信手段からの無線信号の受信強度を検出する検出手段と;
前記検出手段による検出結果に基づいて、前記識別情報発信手段との間の距離を推定する推定手段と;
を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の警告装置。
【請求項4】
前記識別情報は、前記識別情報発信手段のそれぞれに固有に設定される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項5】
前記識別情報は、前記識別情報発信手段が装着された機器の属性に対応して設定される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項6】
前記識別情報は、前記識別情報発信手段が配設された位置の属性に対応して設定される、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項7】
前記警報発生手段は、利用者の聴覚及び触覚の少なくとも一方に訴えかける態様で、前記警報を発生する、ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の警告装置。
【請求項8】
識別情報の発信誘起無線信号を受けた場合に、予め設定されている識別情報を無線信号として発信する識別情報発信手段と;
請求項1〜7のいずれか一項に記載の警告装置と;
を備えることを特徴とする警告システム。
【請求項9】
利用者とともに移動する装置に実装された警告装置において使用される警告方法であって、
識別情報の発信誘起無線信号を発信する発信工程と;
前記発信誘起無線信号を受けた識別情報発信手段が無線信号として発信した、前記識別情報発信手段に予め設定されている識別情報の受信結果に基づいて、前記識別情報発信手段との間の距離を推定する測距工程と;
前記測距工程において推定された距離が、前記識別情報に対応して予め定められている閾値距離よりも短いか否かを判定する判定工程と;
前記判定工程における判定の結果が肯定的あった場合に、警報を発生する警報発生工程と;
を備えることを特徴とする警告方法。
【請求項10】
請求項9に記載の警告方法を演算手段に実行させる、ことを特徴とする警告プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の警告プログラムが、演算手段に読み取り可能に記録されている、ことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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