説明

警報処理方法、警報処理装置およびそのプログラム

【課題】各事象(ケース)の情報を基に早いタイミングで警報を自動的に発生することができる警報処理方法を提供する。
【解決手段】事故早期警報装置は、ネットワークを介して消費者から、リアルタイムでケースデータを入力する。事故早期警報装置の処理回路は、入力したケースデータのプロファイル分析を行う。ここで、ケース毎のプロファイルが似ているグループに分類する。事故早期警報装置は、上記情報を基に、異常状態が発生したか否かの判定をする。このとき、ケースが警戒限界を超えて発現したかを判断し、グループ毎に過去の事例に照らし危険度を評価し、必要に応じて警報を発生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発生したケース(事例)の情報を基に警報を自動的に発生する警報処理方法、警報処理装置およびそのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
年間120万件から180万件の消費者トラブル情報が寄せられ、増加中で、その入力だけでも6ヶ月位掛かっている。
また、情報サービス、金融サービス等の、非製品ビジネスでトラブルが急増しており、判断、対応が難しくなっている。
【0003】
ところで、上述したようなトラブルに関し、関係官庁が広がっているが、そこからの情報が統合・共有されていない。
また、保険所、消防等の公的サービス機関との情報が統合・共有がされていない。また、消費者や関係機関へは早いタイミングで告知する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−334871号公報
【特許文献2】特開2007−334865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景から、地域の相談窓口に寄せられた膨大な情報を処理したいという要請がある。この場合に、事件の元データが口述テキストや文章であるため、内容の集約や統合、グループ化、マッチングのためのに新しい情報処理技術が必要である。
【0006】
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされ、各事象(ケース)の情報を基に早いタイミングで警報を自動的に発生することができる警報処理方法、警報処理装置およびそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来技術の問題を解決し、上述した目的を達成するために、本発明の警報処理方法は、各ケースのケースデータに含まれる文章データから、予め決められた複数の単語の有無を属性として抽出する属性抽出工程と、前記抽出した属性を基に、前記ケースが割り当てられる単数または複数のグループを特定するグループ特定工程と、前記グループに属するケースの出現頻度を基に、当該グループに関する警報を発すべきかを判断する警報工程とをコンピュータに実行させる。
【0008】
好適には、本発明の警報処理方法の前記警報工程は、前記グループに属する前記ケースに付随する属性にさらに基づいて前記警報を発生すべきかを判断する。
好適には、本発明の警報処理方法は、前記ケースの前記属性を基に所定の座標系内での座標を算出するケース座標算出工程と、前記グループの属性を基に、前記グループの座標を算出するグループ座標算出工程とを有し、前記グループ特定工程は、前記ケースの座標と前記グループの座標とを基に、前記ケースを前記グループに割り当てる。
好適には、本発明の警報処理方法の前記警報工程は、前記座標系内での前記グループの座標を監視し、当該座標が所定の警戒領域に入った場合に、警報を発する処理を行う。
【0009】
好適には、本発明の警報処理方法の前記警報工程は、前記グループに属する前記ケースの発生頻度と、前記グループの座標が前記所定の警報領域内に入ったか否かとを基に、前記警報を発すべきかを判断する。
好適には、前記座標系は、前記グループに属するケースの発生頻度と、前記グループの重要度あるいは特徴度を軸として持つ座標系である。
好適には、前記座標系内に規定された前記警戒領域を色分けして表示する。
好適には、前記警報工程は、予め決められた複数の用語の組み合わせを基に、前記ケースデータの内容の要約を示す要約データを生成する。
好適には、前記警報工程は、前記ケースデータに関連するケースが発生した時間および場所を示す前記要約データを生成し、当該要約データを基に画面表示あるいは音声出力を行う。
好適には、前記警報工程は、警報を発すべき状況で警報を発すると判断しない確率と、警報を発すべきでない状況で警報を歯すると判断する確率が所定の値以下になるように規定されたしきい値を用いて前記警報を発すべきかの判断を行う。
【0010】
好適には、本発明の警報処理方法は、前記ケースデータを収集し、前記グループを形成する第1の期間と、前記第1の期間で形成した前記グループを更新する第2の期間と、前記属性抽出工程、前記グループ特定工程および前記警報工程を行う第3の期間とを有する。
好適には、本発明の警報処理方法は、ユーザが前記グループのアイコンを基に前記ケースまたはその特徴を示すキーワードの分類属性を相互に紐付けして調べることで、指定された前記ケースがどの前記グループに近いかをリスト化、あるいは図上で同定できるようにする。
好適には、本発明の警報処理方法は、前記ケースまたはその特徴を示すキーワードから前記グループのアイコンまたは分類属性を相互に紐付けして調べることで、指定された前記ケースがどの前記グループに近いかを同定できるようにする。
好適には、本発明の警報処理方法は、複数の前記ケースをプールし、それ以前の前記グループに振り分け、もしくは、振り分けられない前記ケースをプールし、前記グループの更新を行うフェーズを設けている。
【0011】
本発明の警報処理装置は、各ケースのケースデータに含まれる文章データから、予め決められた複数の単語の有無を属性として抽出する属性抽出手段と、前記抽出した属性を基に、前記ケースが割り当てられる単数または複数のグループを特定するグループ特定手段と、前記グループに属するケースの出現頻度を基に、当該グループに関する警報を発すべきかを判断する警報手段とを有する。
【0012】
本発明のプログラムは、各ケースのケースデータに含まれる文章データから、予め決められた複数の単語の有無を属性として抽出する属性抽出手順と、前記抽出した属性を基に、前記ケースが割り当てられる単数または複数のグループを特定するグループ特定手順と、前記グループに属するケースの出現頻度を基に、当該グループに関する警報を発すべきかを判断する警報手順とをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、各事象(ケース)の情報を基に早いタイミングで警報を自動的に発生することができる警報処理方法、警報処理装置およびそのプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係わる通信システムの構成図である。
【図2】図2は、図1に示す事故早期警報装置の構成図である。
【図3】図3は、図1に示す事故早期警報装置の全体動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】図4は、図1に示す事故早期警報装置の処理で用いられる各種データを説明するための図である。
【図5】図5は、図1に示す事故早期警報装置の処理で用いられる各種データを説明するための図である。
【図6】図6は、ケースとグループとの関係を説明するための図である。
【図7】図7は、各ケースが割り当てられるグループを説明するための図である。
【図8】図8は、図1に示す事故早期警報装置の処理に用いられる座標系を説明するための図である。
【図9】図9は、座標系内で規定されたグループを説明するための図である。
【図10】図10は、図1に示す事故早期警報装置による警報判定処理の第1の例を説明するための図である。
【図11】図11は、図1に示す事故早期警報装置による警報判定処理の第2の例を説明するための図である。
【図12】図12は、図1に示す事故早期警報装置による警報判定処理の第3の例を説明するための図である。
【図13】図13は、図1に示す事故早期警報装置による警報判定処理の第4の例を説明するための図である。
【図14】図14は、本発明の実施形態の警報判定処理の判断に用いられるしきい値を説明するための図である。
【図15】図15は、本発明の実施形態の警報判定処理の各種フェーズを説明するための図である。
【図16】図16は、本発明の実施形態における早期警戒早期診断ビジネススタートアップ&モニタリングサイクルの一例を説明するための図である。
【図17】図17は、本発明の実施形態における重大事故クラスタの診断とプロファイリング処理を説明するための図である。
【図18】図18は、本発明の実施形態に係る警報処理用いられる画面等を説明するための図である。
【図19】図19は、本発明の実施形態に係る警報処理用いられる画面等を説明するための図である。
【図20】図20は、本発明の実施形態に係る警報処理用いられる画面等を説明するための図である。
【図21】図21は、本発明の実施形態に係る警報処理用いられる画面等を説明するための図である。
【図22】図22は、本発明の実施形態に係る警報処理用いられる画面等を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係わる通信システム1の構成図である。
図1に示すように、通信システム1は、例えば、複数の情報提供サーバ4、検索サーバ6および事故早期警報装置10を有し、これらがネットワーク9を介して通信する。
【0016】
情報提供サーバ4は、ネットワーク9に接続されたコンピュータからの要求等に応じて、様々な情報を提供する。
情報提供サーバ4は、例えば、Webサーバである。
【0017】
検索サーバ6は、ネットワーク9に接続された事故早期警報装置10からの要求に応じて、ニュースデータを提供する情報提供サーバ4が提供する情報のアドレスを、要求元に送信する。
【0018】
事故早期警報装置10は、検索サーバ6に検索要求を出し、それによって得たニュースデータをケースデータとして用いて、事故早期警報処理を行う。
なお、ケースデータとしては、ニュースデータ以外に様々なケース(事象)に関するものを用いることができる。
【0019】
図2は、図1に示す事故早期警報装置10の構成図である。
図2に示すように、事故早期警報装置10は、例えば、インタフェース21、ディスプレイ22、操作部23、メモリ24および処理回路25を有し、これらがデータ線20を介して接続されている。
【0020】
インタフェース21は、外部からデータを入力する。インタフェース21は、例えば、インターネットやLAN等の通信網に接続され、これらを介して外部の装置からデータを入力する。
ディスプレイ22は、処理回路25からの表示信号に応じた画面を表示する。
操作部23は、キーボード、マウス、タッチパネルなどであり、ユーザの操作に応じた操作信号を処理回路25に出力する。
【0021】
メモリ24は、処理回路25によって実行されるプログラムPRG、並びに処理部25の処理に用いられるデータを記憶する。
処理回路25は、メモリ24から読み出したプログラムPRGを実行して、以下に示すデータ処理装置1の動作を統括的に制御する。
プログラムPRGは、例えば、半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスクあるいは磁気ディスク等の記録媒体に記録される。
まお、本実施形態における事故早期警報装置10の処理内容は、プログラムPRGに記述されており、処理回路25によって制御される。
【0022】
以下、図1に示す事故早期警報装置10の動作例を説明する。
[全体動作例]
図3は、図1に示す事故早期警報装置10の全体動作例を説明するためのフローチャートである。
ステップST1:
事故早期警報装置10は、ネットワーク9を介してインタフェース21から、検索サーバ6が生成したニュースデータをケースデータとして受信するとステップST2に進む。
事故早期警報装置10は、当該受信したケースデータをメモリ24に書き込む。
【0023】
ステップST2:
事故早期警報装置10の処理回路25は、ステップST1で入力したケースデータに対してケースIDを付与し、メモリ24に関連付けて書き込む。
【0024】
ステップST3:
処理回路25は、メモリ24から読み出したケースデータ内の文章データ(説明文)のなかから、ケース属性を抽出する。当該ケース属性は、例えば、そのケースが発表された年月日時刻、そのケースの発信元、発表の形式、被害がある場合は被害の程度等の属性が用いられる。被害の程度は、死亡、重傷、軽傷、怪我なし等が用いられる。
そして、処理回路25は、当該抽出したケース属性を付加した図4(A)に示す元表データを生成し、これをメモリ24に書き込む。
【0025】
ステップST4:
処理回路25は、メモリ24から読み出したケースデータ内の文章データ(説明文)のなかから、分類属性を抽出する。当該分類属性は、予め決められたキーワードであり、例えば、80〜1681語の単語が用いられる。分類属性は、例えば、どのキーワードを何個含んでいるかを示している。
そして、処理回路25は、当該抽出した分類属性を付加した図4(B)に示す分類属性表データを生成し、これをメモリ24に書き込む。
【0026】
ステップST5:
処理回路25は、ステップST4で生成した分類属性表データ内の分類属性に基づいて、所定の属性座標系内での上記ケースデータの属性座標を算出する。
当該属性座標の算出方法としては、例えば、 特開2007−334871号公報に開示されたデータ処理方法が採用される。
すなわち、処理回路25は、n(≧2)個の比較対象のオブジェクトの各々についてm(≧2)個の基準対象のオブジェクトに関する接続関係を示す指標値を規定したn行m列の行列データを基に、前記m個の基準対象のオブジェクトの各々について、当該基準対象のオブジェクトに関する前記n個の比較対象のオブジェクトとの接続関係を示す長さnの指標値ベクトルの近似度が高まるに従って属性座標系内で近い位置に配置されるように、r次元の第1の座標を計算する。
そして、処理回路25は、前記n行m列の行列データを基に、前記n個の比較対象のオブジェクトが当該比較対象のオブジェクトに関しての前記m個の基準対象のオブジェクトとの長さmの指標値ベクトルの近似度が高まるに従って属性座標系内に近い位置に配置されるように、前記n個の比較対象のオブジェクトの各々についてr次元の第2の座標を計算する。
また、処理回路25は、分析対象のオブジェクト(本実施形態のケースデータ)について前記m個の基準対象のオブジェクトに関して取得した接続関係を示す指標値を示す1行m列のデータと、前記第1の工程で計算した前記第1の座標とを基に、前記分析対象のオブジェクトについてのr次元の第3の座標を計算する。処理回路25は、上記ケースデータの属性座標として、上記第3の座標を用いる。
【0027】
ステップST6:
処理回路25は、上記ケースデータのグループへの帰属度を特定する。処理回路25は、各ケースデータについて、より近い属性を持つグループへの帰属度が高くなるように帰属度を決定する。
具体的には、処理回路25は、ケースデータとグループデータとの分類属性の近似度に比例するように帰属度を決定する。すなわち、処理回路25は、上記属性座標系における座標が近くなるに従って値が高くなるように帰属度を決定する。
処理回路25は、例えば、図4(C)に示す上記帰属度を示すグループ別帰属度リストデータを生成あるいは更新する。
また、処理回路25は、各ケースデータについて、帰属度が高いグループデータを順に示す図5(A)に示すグループ化リストデータを生成し、これをメモリ24に書き込む。
また、処理回路25は、例えば、ケースデータの属性に、当該ケースデータとの帰属度が高いグループデータの属性を反映させる処理を行ってもよい。
各ケースデータのグループデータへの帰属は、例えば、図6および図7に示すように規定される。図8において、矢印の線が太い帰属は帰属が高いことを示している。
【0028】
ステップST7:
処理回路25は、例えば、新たにケースデータが割り当てられたグループデータについて、その評価属性を示す評価属性データを生成あるいは更新する。
ここで、上記評価属性としては、例えば、その当該グループに属するケースの重要度、発生確率、発生頻度(成長性)等の属性が用いられる。
これにより、図5(B)に示すグループ別評価属性付加データが生成される。
【0029】
処理回路25は、図5(B)に示すグループ別評価属性付加データに基づいて、図5(C)に示すリスク度判定データを生成する。
すなわち、リスク度判定としては、例えば、第1リスク度として「生命、身体に重大な危険を生じる恐れがある」、第2リスク度として「重大ではないが身体に危険が生じる恐れがある」、第3リスク度として「製品等に不具合が生じる恐れがある」等が用いられる。
【0030】
ステップST8:
処理回路25は、ステップST7で生成したグループ別評価属性付加データ内の評価属性に基づいて、上記属性座標系とは異なる評価座標系での評価座標を算出する。
評価座標としては、例えば、図8に示すものが用いられる。
また、処理回路25は、上記属性座標系内でのグループデータの座標として、例えば、当該グループデータに属するケースデータの座標の重心を算出する。
図9は、上記属性座標系内でのケースおよびグループを示すものである。各グループには、グループIDとして「GID−Axxx」が付されている。
また、属性座標系内には、ケースデータの属性を示す属性名がマッピングされている。
【0031】
ステップST9:
処理回路25は、ステップST8で生成した評価座標系内あるいは属性座標系内において、グループデータの評価座標が所定の警戒限界を超えたか否かを判断する。
処理回路25は、例えば、図10、図11あるいは図12に示す異常検出マップに基づいて、警戒限界を超えたか否かを判断する。
図10に示す異常検出マップは、例えば、前述した属性座標系内に、グループデータの座標から所定の範囲内に境界限界を予め規定したものである。
当該境界限界は、例えば、 特開2007―334871号公報の第2実施形態に記載されている手法を用いる。
図11に示す異常検出マップは、縦軸がマハラノビス距離を示している。
図12は、縦軸が頻度を示し、横軸が異常度を示しており、前述したグループ別評価属性付加データに基づいて規定される。
図13に示す例では、例えば、属性座標系内において、2段階に警戒限界を既定している。これにより、内側の警戒限界を超えた場合に第1レベルでの警報を発し、外側の警戒限界を超えた場合に第2レベルでの警報を発する。
図13に示す例では、複数のグループについて一つの警報限界を既定し、各グループに対応する位置にそのグループに属するケースの数に応じた棒グラフを表示している。
【0032】
ステップST10:
処理回路25は、各グループデータについて、そのグループに属するケースの発生頻度が所定の警戒限界を超えたか否かを判断する。
処理回路25は、図10、図11に示す出現頻度管理チャートに基づいて、上記警戒限界を超えたか否かを判断する。
処理回路25は、図14に示すように、警報を発すべき状況で警報を発すると判断しない確率と、警報を発すべきでない状況で警報を歯すると判断する確率との双方が、所定の確率(例えば、3/1000)以下になるように、上記警戒限界のしきい値を決定する。
処理回路25は、図15に示すように、以下に示す3つのフェースで、上記出現頻度管理チャートを生成する。
【0033】
準備フェーズ:
・消費者相談センターの窓口、電話、手紙、メール等の事故相談情報を一定のテンプレートで収集する。
・テキスト情報からキーワードを半自動的に切り出し、分類タグを生成する。
・毎週末データを集約し、数ヶ月分で安定状態を設定する。
・異常状態を検出できる領域を設定する。例えば、警報を発すべきでない状況で、警報を発すべきと誤って判断する確率を0.3%以下に設定する。
【0034】
モニタリングフェーズ:
・消費者相談センターの事故相談情報を週間単位で、異常管理マップにプロットする。
・異常が検出されなければ、“安定状態”レポートする。
【0035】
異常検知フェーズ:
・異常が検出された場合は、警戒警報発信する。
・異常の状態、傾向等をレポートする。
【0036】
ステップST11:
処理回路25は、ステップST9,ST10の判断結果を基に、上記グループデータに対応したグループの事象について警報を発するか否かを判断する。
例えば、処理回路25は、ステップST9,ST10の双方において警戒限界を超えていると判断した場合に警報を発すると判断する。
なお、処理回路25は、ステップST9,ST10の少なくとも一方において、警戒限界を超えたと判断した場合に、警報を発すると判断してもよい。
【0037】
図16は、図2に示す事故早期警報装置10を用いた早期警戒早期診断ビジネススタートアップとモニタリングサイクルの一例を説明するための図である。
図17は、図2に示す事故早期警報装置10を用いた重大事故クラスタの診断とプロファイリングを説明するための図である。
処理回路25は、重大事故情報テンプレートを基に、情報提供サーバ4が提供する重大事故発生情報詳細から、重大事故発生情報第1報を生成する。
すなわち、処理回路25は、言葉(単語)の組み合わせを規定した重大事故情報テンプレートを基に、重大事故発生情報詳細から、要約プロファイルである重大事故発生情報第1報を生成する。当該要約プロファイルは、例えば、ケースデータの文章データとして用いられる。
重大事故情報テンプレートでは、時間、場所等の情報を抽出することが既定されている。
また、処理回路25による警報は、画像表示あるいは音声出力によって実現される。
【0038】
図18〜図22は、処理回路25による警報処理用いられる画面等を説明するための図である。
これらの図面に示されるように、処理回路25は、ユーザが画面上でグループのアイコンからケースやその特徴を示すキーワードなどの分類属性を相互に紐付けして調べることで、指定されたケースがどのグループに近いかをリスト化したり、図上で同定できるようにする。
また、処理回路25は、ユーザが画面上でケースやその特徴を示すキーワードなどからグループのアイコンや分類属性を相互に紐付けして調べることで、指定されたケースがどのグループに近いかを同定できるようにする。
また、処理回路25は、一定の数のケースをプールし、それ以前のグループに振り分け、もしくは、振り分けられないケースをプールし、グループの更新を行うフェーズを区分する。
【0039】
また、本実施形態では、処理回路25は、ケースデータのプロファイリング処理として、例えば、以下の処理を行う。
(1)ケースID付加:相談者、登録
(2)プリミテイブ属性付加:タイム、プレース、オケイジョン
(3)概要情報:被害者、被害程度、
(4)キーワード(KW)の切り出し
(5)基準KWの頻度プロファイルデータ化
(6)既存プロファイルクラスタとの類似度算出
(7)新型プロファイルクラスタ度算出
【0040】
処理回路25は、ケースデータのグループ化(クラスタリング)処理として、例えば、以下の処理を行う。
(1)ケースID,ケースプリミテブ属性、概要KW強度データ入力
(2)次元数、クラスタ数、解析条件指定
(3)-アナリシスエンジン処理
(4)クラスタ空間座標計算
(5)クラスタ属性計算
【0041】
処理回路25は、グループのプロファイリング処理として、例えば、以下の処理を行う。
(1)グループのプリミテブ属性分布
(2)グループのKW類似度データ
(3)グループの被害度分布
(4)グループの出現頻度、成長度
(5)グループのリスク度評価
(6)グループの新規KW探索
【0042】
処理回路25は、ケースデータのグループ同定処理として、例えば、以下の処理を行う。
(1)ケースのIDや各種属性を入力、グループセンタと同時布置
(2)至近グループの特徴属性が点滅表示または紐付け
(3)特徴属性から近隣ケースに紐付け
(4)ケースから近隣グループに紐付け
(5)ケースのクラスタ所属度ランキングリスト
(6)ケースの新規クラスタ可能度
【0043】
処理回路25は、重大な新たなグループ発生の早期検知処理として、例えば以下の処理を行う。
(1)新生クラスタの判定
・ケースの従来のグループへの非帰属度判定
・非属度:保留ケースの蓄積
・新設グループの生起判定
・従来のグループのリファイン:分割/統合
(2)頻度を含む新生グループのリスク評価
・定性的属性による異常検出
・頻度に関する定量的リスク属性を加味した異常検出
【0044】
以下、事故早期警報装置10のその他の適用形態について説明する。
事故早期警報装置10は、ネットワークを介して消費者から、リアルタイムで情報を入力する。
事故早期警報装置10の処理回路25は、入力した情報のケース毎にプロファイル分析を行う。ここで、ケース毎のプロファイルが似ているグループに分類する。
また、事故早期警報装置10は、関係各機関への情報提供依頼を行う。
また、事故早期警報装置10は、上記情報を基に、異常状態が発生したか否かの判定をする。このとき、ケースが警戒限界を超えて発現したかを判断し、グループ毎に過去の事例に照らし危険度を評価する。
また、事故早期警報装置10は、検知・通報を行う。ここで、ケース毎に判断する閾値を超えるリスクとなった場合、関係機関へ緊急通報を行う。また、消費者へ公知をも行う。
事故早期警報装置10は、 相談・助言に関する処理を行う。例えば、消費者へ支援アドバイス、ネット上で対消費者対応対策アドバイスに関連する処理を行う。また、関係各機関の情報提供依頼に応えるための処理を行う。さらに、
助言・監視結果を分析し、リスクレポートを作成する処理を行う。
【0045】
ところで、多変量データ解析には、大きく分けて、“相関度”、“説明度”を扱う方法があるが、
“対応度” を合理的に扱う方法はまだ十分でない。
多重対応分析は、サブジェクトを共通とする複数のネットワークデータの対応度のみを扱うことができるが、事故早期警報装置10による上述した手法では、サブジェクトまたはアトリビュートを共有する複数のネットワーク・データを使うことができる。
また、多重対応分析では、アトリビュートが質的変数のみを扱うが、上述した事故早期警報装置10の手法では、量的変数や順序変数まで含め扱うことができる。
また、多重対応分析では、サブジェクトとアトリビュートの各オブジェクトの接続関係が(1,0)の場合のみを扱うが、上述した事故早期警報装置10の手法で、計量的な接続強度関係のデータを扱うことができる。
【0046】
以上説明したように、事故早期警報装置10では、Web上の情報提供サーバ4から取得したケースデータ(ニュースデータ)を自動的に解析し、必要に応じて警報を発生する。そのため、リアルタイムに高精度な方法で警報を発生することができる。
また、事故早期警報装置10では、図10〜図13に示す座標系および画面を用いて警報処理を行うため、より高精度で、警報の必要性について視覚的に容易に把握できる。
【0047】
本発明は上述した実施形態には限定されない。
すなわち、当業者は、本発明の技術的範囲またはその均等の範囲内において、上述した実施形態の構成要素に関し、様々な変更、コンビネーション、サブコンビネーション、並びに代替を行ってもよい。

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、発生したケース(事例)の情報を基に警報を自動的に発生するシステムに適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1…通信システム
4…情報提供サーバ
6…検索サーバ
10…事故早期警報装置
21…インタフェース
22…ディスプレイ
23…操作部
24…メモリ
25…処理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各ケースのケースデータに含まれる文章データから、予め決められた複数の単語の有無を属性として抽出する属性抽出工程と、
前記抽出した属性を基に、前記ケースが割り当てられる単数または複数のグループを特定するグループ特定工程と、
前記グループに属するケースの出現頻度を基に、当該グループに関する警報を発すべきかを判断する警報工程と
をコンピュータに実行させる警報処理方法。
【請求項2】
前記警報工程は、前記グループに属する前記ケースに付随する属性にさらに基づいて前記警報を発生すべきかを判断する
請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項3】
前記ケースの前記属性を基に所定の座標系内での座標を算出するケース座標算出工程と、
前記グループの属性を基に、前記グループの座標を算出するグループ座標算出工程と
を有し、
前記グループ特定工程は、前記ケースの座標と前記グループの座標とを基に、前記ケースを前記グループに割り当てる
請求項1または請求項2に記載の警報処理方法。
【請求項4】
前記警報工程は、前記座標系内での前記グループの座標を監視し、当該座標が所定の警戒領域に入った場合に、警報を発する処理を行う
請求項3に記載の警報処理方法。
【請求項5】
前記警報工程は、前記グループに属する前記ケースの発生頻度と、前記グループの座標が前記所定の警報領域内に入ったか否かとを基に、前記警報を発すべきかを判断する
請求項4に記載の警報処理方法。
【請求項6】
前記座標系は、前記グループに属するケースの発生頻度と、前記グループの重要度あるいは特徴度を軸として持つ座標系である
請求項4に記載の警報処理方法。
【請求項7】
前記座標系内に規定された前記警戒領域を色分けして表示する
請求項4または請求項6に記載の警報処理方法。
【請求項8】
前記警報工程は、予め決められた複数の用語の組み合わせを基に、前記ケースデータの内容の要約を示す要約データを生成する
請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項9】
前記警報工程は、前記ケースデータに関連するケースが発生した時間および場所を示す前記要約データを生成し、当該要約データを基に画面表示あるいは音声出力を行う
請求項8に記載の警報処理方法。
【請求項10】
前記警報工程は、警報を発すべき状況で警報を発すると判断しない確率と、警報を発すべきでない状況で警報を歯すると判断する確率が所定の値以下になるように規定されたしきい値を用いて前記警報を発すべきかの判断を行う
請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項11】
前記ケースデータを収集し、前記グループを形成する第1の期間と、
前記第1の期間で形成した前記グループを更新する第2の期間と、
前記属性抽出工程、前記グループ特定工程および前記警報工程を行う第3の期間と
を有する請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項12】
ユーザが前記グループのアイコンを基に前記ケースまたはその特徴を示すキーワードの分類属性を相互に紐付けして調べることで、指定された前記ケースがどの前記グループに近いかをリスト化、あるいは図上で同定できるようにする
請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項13】
前記ケースまたはその特徴を示すキーワードから前記グループのアイコンまたは分類属性を相互に紐付けして調べることで、指定された前記ケースがどの前記グループに近いかを同定できるようにする
請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項14】
複数の前記ケースをプールし、それ以前の前記グループに振り分け、もしくは、振り分けられない前記ケースをプールし、前記グループの更新を行うフェーズを設けた
請求項1に記載の警報処理方法。
【請求項15】
各ケースのケースデータに含まれる文章データから、予め決められた複数の単語の有無を属性として抽出する属性抽出手段と、
前記抽出した属性を基に、前記ケースが割り当てられる単数または複数のグループを特定するグループ特定手段と、
前記グループに属するケースの出現頻度を基に、当該グループに関する警報を発すべきかを判断する警報手段と
を有する警報処理装置。
【請求項16】
各ケースのケースデータに含まれる文章データから、予め決められた複数の単語の有無を属性として抽出する属性抽出手順と、
前記抽出した属性を基に、前記ケースが割り当てられる単数または複数のグループを特定するグループ特定手順と、
前記グループに属するケースの出現頻度を基に、当該グループに関する警報を発すべきかを判断する警報手順と
をコンピュータに実行させるプログラム。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−257360(P2010−257360A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−108784(P2009−108784)
【出願日】平成21年4月28日(2009.4.28)
【出願人】(500559204)データ・ケーキベーカ株式会社 (4)
【Fターム(参考)】