説明

警報装置及びそれを備えたホース巻取機

【課題】 ホースを使用して散水や油供給、ガスボンベの使用を行った後の元栓を締め忘れや故障等を報知してその締め忘れ及びそれに起因するホース等の劣化や損傷等を防止でき、省資源性や省エネルギ性を向上させ水道等の料金の高騰を防止できる警報装置及びそれを備えたホース巻取機を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明の警報装置14は、圧力流体を供給する管状部材21,22の端部又はノズルと端部との間或いは管状部材21,22同士の接続部に配設される警報装置14であって、連通部10に配設される感圧部16aを有する圧力検出部16と、圧力検出部16の検出圧力が予め設定された設定圧力に達した状態が所定時間継続したときに警報を発する報知部18と、を備えた構成を有する。本発明のホース巻取機1は、警報装置14を備えた構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力流体を供給する水道やエア供給源、油供給源等の水道栓や元栓の締め忘れ等を防止するための警報装置及びそれを備えたホース巻取機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
庭や農地等において庭木や農作物等への散水や水やり、或いは洗車、家屋の窓ガラス等の洗浄等を行う場合には、一般的に、可撓性を有するホースが用いられ、水道栓から離れた場所での散水や洗車等を可能としている。すなわち、ホースの一端部を散水ノズルに接続し他端部を水道栓に接続して、ホースを介して散水ノズルから水道水を所望の場所へ噴射している。また、同種のものとして、エアドリルや釘打機等においてエア供給用のホース等の管状部材や、給油装置や油圧ポンプ、油圧モータ等において油供給用のホース等の管状部材等が用いられている。
また、このようなホース等の管状部材は、使用後は環状に束ねたり幾重にも折り曲げたりして保管されるが、この場合、ホースを束ねたり折り曲げたりする作業は手間がかかると共に折り曲げるとホースが損傷し易くなり、また、次回の使用時にホースを解く際に絡まり易くさらに手間がかかる等の問題点がある。このため、従来から、手動や自動でホースを巻き取ることができるホース巻取機が用いられており、例えば特許文献1に開示されたものがある。
【0003】
【特許文献1】特開2001−294368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では以下のような課題を有していた。
(1)散水ノズルからの噴射を停止させた後、又はエアドリル等を停止させた後、或いは給油ノズルからの給油を停止させた後、水道栓や元栓を締め忘れ易く、締め忘れるとホース或いはホース巻取機の連通部等に水道水の水圧やコンプレッサの圧力等がかかった状態で放置されることになり、使用者の留守中等に水道栓等からホースが外れたり、ホースや連通部が流体圧や残留水の凍結等で破損して漏れが生じ易く、省資源性に欠けると共に、場合によっては多大な水道料金等を支払うことになったり、ホースが早期に損傷し耐久性を弱めるという問題が発生していた。また、散水用のホースの場合、地下水をポンプで汲み上げて使用している家庭等においては、水の消費量に伴いポンプを駆動する電力の電気料金がかかるため、無駄な電気料金を支払うことになると共に省エネルギ性に欠けるという課題を有していた。
【0005】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ホースを使用して散水や油供給、ガスボンベの使用を行った後の元栓を締め忘れや故障等を報知してその締め忘れ及びそれに起因するホース等の劣化や損傷等を防止でき、省資源性や省エネルギ性を向上させ水道等の料金の高騰を防止できる警報装置及びそれを備えたホース巻取機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明の警報装置及びそれを備えたホース巻取機は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の警報装置は、圧力流体を供給する管状部材の端部又はノズルと前記端部との間或いは管状部材同士の接続部に配設される警報装置であって、
前記管状部材に連通する連通部と、前記連通部に配設される感圧部を有する圧力検出部と、前記圧力検出部の検出圧力が予め設定された設定圧力に達した状態が所定時間継続したときに警報を発する報知部と、を備えた構成を有している。
【0007】
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)水道栓やコンプレッサ等のエア供給源、油供給源からホース等の管状部材を使用して散水やエアの供給、給油等の圧力流体の供給を行った後、ホースの先端のノズル等を閉止すると共に水やエア、油等を供給する供給部の水道栓や元栓等を開いたまま、又は故障して元栓が開いたまま、或いはコンプレッサ等を駆動したままで放置すると、ホース等の管状部材に水道の静水圧やコンプレッサの圧力等がかかったままの状態となるので、この圧力を圧力検出部で検出し、所定時間継続して検出されたときに報知部の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により、使用者等に元栓の締め忘れや故障、コンプレッサ等の機器の止め忘れ等を報知することができる。
(2)元栓の締め忘れ等を報知できるので、ホース等に圧力がかかった状態で長時間放置されるのを防止でき、圧力や残留水の凍結によるホース等の劣化や損傷を防止し、長期間使用することができ、買い替え等の費用を抑えることができると共に、資源の無駄使いを防止できる。また、破損したホースの焼却処理時の有害物質の発生を低減できる。
【0008】
ここで、圧力流体としては、水道水或いは井戸等からポンプを介して供給される水、コンプレッサ等のエア供給源から供給されるエア、ボンベ等から供給される窒素ガス、酸素ガス、アセチレンガス等のガス、油タンクからポンプを介して供給されるガソリンや潤滑油等の油等が用いられる。
圧力検出部としては、ダイヤフラムやピストン等の感圧部とこれに連動する接点とからなる圧力スイッチや、圧力によるダイヤフラム等の変形をひずみゲージ等で検出する圧力センサ等が用いられる。
設定圧力としては、水やエア、油の供給部の静圧力(元栓を開いた状態でホースの先端のノズル等を閉止した時にホースや連通部にかかる圧力)と同じ圧力又はそれより小さく動圧力(ノズルを開いて水等が流動しているときにホースや連通部にかかる圧力)より大きい圧力が用いられる。設定圧力は製造時に設定するようにしてもよく、或いは購入者が任意に設定するようにしてもよい。
報知部としては、通電によりスピーカから連続した電子音を発生する警報機や、通電により発光する発光ダイオード等が用いられる。
検出圧力が設定圧力に達した状態が所定時間継続したときの報知部への通電或いは警報発生信号の出力等に連動して、他の機器へ制御信号を有線や無線で出力する連動制御部を設けることができる。連動制御部から出力される制御信号は種々の機器のオンオフやシーケンス制御等に用いることができる。これにより、例えば元栓の電磁バルブの制御信号を出力して自動で閉止したり、別途配設された非常停止装置を発動させたりすることができ、漏れ防止の確実性及び安全性に優れる。なお、警報装置は電磁バルブ等の機器の近傍(例えば元栓部)に設けてもよく、機器から離れた場所に設けてもよい。
【0009】
本発明の請求項2に記載の警報装置は、請求項1に記載の発明において、本体ケーシング又はホース巻取機の巻取軸部の内部に形成された供給源接続口とホース接続口とに連通する前記連通部に前記圧力検出部の前記感圧部が配設された構成を有している。
【0010】
この構成により、請求項1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)散水ホース又はそのホース巻取機に用いた場合は、水道栓の締め忘れ等を報知できるので、例えば水道栓を締め忘れたまま水道栓からホースが外れたりホースや連通部が水圧等で破損したりすることに起因する水漏れ等を防止でき、資源の無駄使いや高額な水道料金等の発生を防止できる。
【0011】
ここで、警報装置が水道水を散水する散水ホースのホース巻取機に用いられる場合、設定圧力としては、水道の静水圧(以下、水道圧という)と同じ圧力、又は水道圧より小さく且つノズルからの噴射時の圧力より大きい圧力が用いられる。設定圧力は各家庭の水道圧に合わせて任意に設定するようにしてもよい。なお、水道圧は各家庭によってばらつきがあるが、これは水道圧が配水施設から家庭の水道栓までの距離や家庭内等の水道の使用状態(複数の水道栓を開いた場合は水道圧は低下する)によって変わるためである。設定圧力を製造時に設定する場合、平均的な水道圧より十分小さく設定すれば、このようなばらつきに対応できる。また、購入者が任意に設定する場合は、設定圧力を変更する手段で井戸水の汲み上げ用ポンプの吐出圧等に応じて設定圧力を変更できるので、水道からだけでなく井戸等から水を供給する場合にも対応できる。井戸等からポンプで水が供給される場合は、水漏れが生じた場合におけるポンプの駆動電力の無駄使いを防止でき、高額な電気料金の発生を防止できる。
なお、警報装置はホース巻取機の巻取軸部の内部に配設されることが好ましい。散水等の作業時において、従来のホース巻取機の使用感と何ら変わることがなく使用でき、ホースの先端の散水ノズル等が大型化したり重くなったりすることがなく、複雑な防水構造も不要で取り扱い性に優れるためである。
【0012】
本発明の請求項3に記載の警報装置は、請求項1又は2に記載の発明において、前記圧力検出部の検出圧力が前記設定圧力に達してから所定時間経過後に前記報知部に通電するタイマ部を備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)タイマ部を備えているので、連通部に水道の静水圧等の圧力がかかってから所定時間経過した後、報知部を作動させる動作を自動で行うことができる。
【0014】
ここで、タイマ部としては、限時リレーやタイマIC等の限時特性を有するリレーやIC等が用いられる。
【0015】
本発明の請求項4に記載の警報装置は、請求項1又は2に記載の発明において、前記圧力検出部の検出圧力が入力される制御部を備え、前記制御部は、前記検出圧力と前記設定圧力とを比較する比較手段と、前記検出圧力が前記設定圧力に達してからの時間を計測する計時手段と、前記検出圧力が前記設定圧力に達した状態が所定時間継続したときに前記報知部に警報発生信号を出力する報知制御手段と、を備えた構成を有している。
【0016】
この構成により、請求項1又は2の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)圧力検出部の検出圧力と設定圧力とを比較し、検出圧力が設定圧力に達してからの時間を計測し、その状態が所定時間継続したときに報知部に警報発生信号を出力して、報知部の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により使用者等に報知することができる。
【0017】
本発明の請求項5に記載のホース巻取機は、請求項2乃至4の内いずれか1項に記載の警報装置を備えた構成を有している。
【0018】
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)連通部にかかる圧力を圧力検出部で検出し、所定時間継続して検出されたときに報知部の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により使用者等に元栓の締め忘れや機器の止め忘れ、故障等を報知することができる。
(2)ホースや連通部に圧力がかかった状態で長時間放置されるのを防止でき、圧力や残留水の凍結によるホース及びホース巻取機の損傷を防止し、長期間使用することができ、買い替え等の費用を抑えることができると共に、資源の無駄使いを防止できる。また、破損したホースの焼却処理時の有害物質の発生を低減できる。
(3)散水ホースのホース巻取機に用いた場合は、水道栓の締め忘れを報知できるので、水道栓を締め忘れたまま水道栓からホースが外れたりホースや連通部が水圧等で破損したりすることに起因する水漏れを防止でき、水資源の無駄使いや高額な水道料金の発生を防止できる。
【0019】
本発明の請求項6に記載のホース巻取機は、請求項5に記載の発明において、前記警報装置がホースの巻取軸部の内部の連通部に連通した装置挿入孔に脱着自在に配設されると共に、前記警報装置の前記連通部側の一端部に配設されたシール部と、他端部に配設された装置保持部と、を備えた構成を有している。
【0020】
この構成により、請求項5の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)ホース巻取機の巻取軸部の内部に警報装置を配設するので、散水等の作業時において、従来のホース巻取機の使用感と何ら変わることがなく使用でき、ホースの先端の散水ノズル等が大型化したり重くなったりすることがなく、複雑な防水構造も不要で取り扱い性に優れる。
(2)警報装置が装置挿入孔に脱着自在に配設されているので、種々のホース巻取機に容易に用いることができ汎用性に優れる。
(3)警報装置の一端部にシール部を備え、他端部に装置保持部を備えているので、連通部からの水漏れを防止できると共に、連通部にかかる水道の静水圧等により警報装置が押圧されずれたり外れたりするのを防止できる。
【0021】
ここで、警報装置の内部に電池等の電源部を備えれば、商用電源のコンセントのない屋外や農地等においても問題なく使用できる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明の警報装置及びそれを備えたホース巻取機によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)ホース等の管状部材にかかる水道の静水圧やコンプレッサの圧力等を圧力検出部で検出し、所定時間継続して検出されたときに報知部の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により、使用者等に元栓の締め忘れやコンプレッサ等の機器の止め忘れ、故障等を報知することができる警報装置を提供することができる。
(2)元栓の締め忘れ等を報知できるので、ホース等に圧力がかかった状態で長時間放置されるのを防止でき、圧力や残留水の凍結によるホース等の劣化や損傷を防止し、長期間使用することができ、買い替え等の費用を抑えることができると共に、資源の無駄使いを防止できる省資源性に優れた警報装置を提供することができる。
【0023】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)散水ホース又はそのホース巻取機に用いた場合は、水道栓の締め忘れ等を報知できるので、例えば水道栓を締め忘れたまま水道栓からホースが外れたりホースや連通部が水圧等で破損したりすることに起因する水漏れ等を防止でき、資源の無駄使いや高額な水道料金等の発生を防止できる警報装置を提供することができる。
【0024】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)タイマ部を備えているので、連通部に圧力がかかってから所定時間経過した後、報知部を作動させる動作を自動で行うことができる警報装置を提供することができる。
【0025】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)圧力検出部の検出圧力と設定圧力とを比較し、検出圧力が設定圧力に達してからの時間を計測し、その状態が所定時間継続したときに報知部に警報発生信号を出力して、報知部により使用者等に報知することができる警報装置を提供することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明によれば、
(1)連通部にかかる圧力を圧力検出部で検出し、所定時間継続して検出されたときに報知部の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により使用者等に元栓の締め忘れや機器の止め忘れ、故障等を報知することができるホース巻取機を提供することができる。
(2)ホースや連通部に圧力がかかった状態で長時間放置されるのを防止でき、圧力や残留水の凍結によるホース及びホース巻取機の損傷を防止し、長期間使用することができ、買い替え等の費用を抑えることができると共に、資源の無駄使いを防止できる。また、破損したホースの焼却処理時の有害物質の発生を低減できる省資源性に優れたホース巻取機を提供することができる。
(3)散水ホースのホース巻取機に用いた場合は、水道栓の締め忘れを報知できるので、水道栓を締め忘れたまま水道栓からホースが外れたりホースや連通部が水圧等で破損したりすることに起因する水漏れを防止でき、水資源の無駄使いや高額な水道料金の発生を防止できるホース巻取機を提供することができる。
【0027】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)ホース巻取機の巻取軸部の内部に警報装置を配設するので、散水等の作業時において、従来のホース巻取機の使用感と何ら変わることがなく使用でき、ホースの先端の散水ノズル等が大型化したり重くなったりすることがなく、複雑な防水構造も不要で取り扱い性に優れるホース巻取機を提供することができる。
(2)警報装置が装置挿入孔に脱着自在に配設されているので、種々のホース巻取機に容易に用いることができ汎用性に優れるホース巻取機を提供することができる。
(3)警報装置の一端部にシール部を備え、他端部に装置保持部を備えているので、連通部からの水漏れを防止できると共に、連通部にかかる水道の静水圧等により警報装置が押圧されずれたり外れたりするのを防止できるホース巻取機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の一実施の形態について、水道水の散水ノズルを備えたホース巻取機を一例として、図1乃至図6を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は実施の形態1における警報装置を備えたホース巻取機の要部斜視図であり、図2は図1のA−A線の矢視断面図であり、図3は散水ノズルの要部斜視図であり、図4(a)は警報装置の回路図であり、図4(b)は警報装置のタイミングチャートである。
図中、1は本実施の形態1におけるホース巻取機、2は一対の略三角形状の枠状体からなる側部支持体3a,3bと各側部支持体3a,3b同士を上端部1箇所と下端部2箇所で連結する連結部4とにより形成された支持体、5は各側部支持体3a,3bの略中心部に形成された軸支孔6に両端部で回動自在に支持された巻取軸部、5a,5bは巻取軸部5の両端部近傍の各側部支持体3a,3bの内側に形設された一対のフランジ部、7は巻取軸部5の一端部に配設された供給源接続口、8は巻取軸部5の他端部に配設された操作ハンドル、9は巻取軸部5の外周面の所定部に配設されたホース接続口である。
図2において、10は巻取軸部5の内部に形成され供給源接続口7とホース接続口9とを連通する連通部、11は供給源接続口7を巻取軸部5に対して回動自在に接続するスイベルジョイント等の回動管継手部、12a,12bは回動管継手部11に配設されたOリング等のシール部、13は巻取軸部5の操作ハンドル8側の端部から連通部10に連通して連通部10より大径に形成された装置挿入孔、14は装置挿入孔13に嵌挿された警報装置、15は警報装置14の筐体、16は筐体15の一端部に配設され連通部10に露出した感圧部16aを有する圧力スイッチ(圧力検出部)、16bは感圧部16aの周囲に配設されたOリング等のシール部、17は筐体15の内部に配設された限時リレー(タイマ部)、18は筐体15の内部に配設された警報音や発光ダイオード等により警報光を発する警報機(報知部)、19は圧力スイッチ16や限時リレー17、警報機18等に電源を供給する電池等の電源部、20は装置挿入孔13の入口部近傍に嵌合され警報装置14の端部を保持する装置保持部、21は一端部が後述の散水ノズルに接続され他端部がホース接続部9に接続されたホース、22は一端部が水道栓(図示せず)に接続され他端部が供給源接続口7に接続された水道栓接続ホースである。
図3において、23はホース21の一端部に接続される散水ノズル、24は散水ノズル23の先端部に配設されたシャワーノズル、25は散水ノズル23に配設された操作レバーである。
図4において、16cは圧力スイッチ16の接点、17aは限時リレー17の接点である。
【0029】
以上のように構成された本実施の形態1におけるホース巻取機1について、その使用方法を図1乃至図3を用いて説明する。
まず、水道栓接続ホース22の一端部を水道栓の蛇口(図示せず)等に接続し他端部を供給源接続口7に接続する。次に、ホース21の一端部を散水ノズル23に接続し他端部をホース接続口9に接続する。そして、水道栓を開くと共に、操作レバー25を操作して散水ノズル23の開閉弁を開き、水道栓接続ホース22、連通部10、及びホース21を介してシャワーノズル24から水を噴射して散水等を行う。散水等が終わると、操作レバー25を操作して散水ノズル23の開閉弁を閉じて水の噴射を止め、操作ハンドル8を操作して巻取軸部5を回動させ、フランジ部5aとフランジ部5bの間でホース21を巻き取る。このとき、供給源接続口7は回動管継手部11を介して巻取軸部5に接続されているので、巻取軸部5を回動させても供給源接続口7は回動せず、水道栓接続ホース22がねじれることなくホース21を巻き取ることができる。
【0030】
散水ノズル23を閉止した後、水道栓を締めなければ、水道栓接続ホース22、連通部10、及びホース21に水道の静水圧がかかったままとなる。この場合の警報装置14の動作を図4を用いて説明する。なお、本実施の形態1においては、水道の静水圧が2.8kgf/cm、水道の動水圧が2.0kgf/cmの場合について説明する。また、製造時等に設定される圧力スイッチ16の設定圧力は2.3kgf/cmに設定されているものとする。
連通部10にかかった水道の静水圧は圧力スイッチ16の感圧部16aで検出される。設定圧力(2.3kgf/cm)より高い静水圧(2.8kgf/cm)が検出されると図4(a)に示す接点16cが閉じ、限時リレー17が作動する。限時リレー17が作動してから予め設定された所定時間T(図4(b)参照)の経過後に接点17aが閉じる。これにより、警報機18に通電され、連続した電子音等の警報音が発生する。なお、使用者が警報音に気付いて水道栓を締めれば、連通部10への水道の静水圧の印加が無くなり、圧力スイッチ16の検出圧力(すなわち連通部10の圧力)は設定圧力以下に低下するため、接点16cが開き、限時リレー17の接点17aが開き、警報機18が停止する。
【0031】
以上のように本実施の形態1における警報装置及びそれを備えたホース巻取機は構成されているので、以下のような作用を有する。
(1)ホース21を使用して散水等を行った後、ホース21の先端の散水ノズル23の開閉弁を閉止すると共に水道栓を開いたままにしておくと、連通部10に水道の静水圧がかかった状態となるので、この静水圧を圧力スイッチ16で検出し、所定時間Tが経過するまで継続して検出されたときに警報機18の警報音或いは発光ダイオード等の点灯等により水道栓の締め忘れを使用者等に報知することができる。
(2)水道栓の締め忘れを報知できるので、ホース21に水圧がかかった状態で長時間放置されるのを防止でき、ホース21の水圧による損傷を軽減させることができる。
(3)水道栓の締め忘れを報知できるので、水道栓を締め忘れたまま水道栓から水道栓接続ホース22が外れたりホース21や水道栓接続ホース21、連通部10が水圧等で破損したりすることに起因する水漏れを防止でき、水資源の無駄使いや高額な水道料金の発生を防止できる。
(4)限時リレー17により、連通部10に水道の静水圧がかかってから所定時間Tが経過した後、警報機18を作動させる動作を自動で行うことができる。
(5)ホース巻取機1の巻取軸部5の内部に警報装置14を配設しているので、散水等の作業時において、従来のホース巻取機の使用感と何ら変わることがなく使用でき、ホース21の先端の散水ノズル23が大型化したり重くなったりすることがなく、複雑な防水構造も不要で取り扱い性に優れる。
(6)警報装置14が装置挿入孔13に脱着自在に配設されているので、種々のホース巻取機1に容易に用いることができ汎用性に優れる。
(7)警報装置14の一端部にシール部16bが配設され、他端部に装置保持部20が嵌設されているので、シール部16bにより連通部10から警報装置14側への水漏れを防止できると共に、装置保持部20により連通部10にかかる水道の静水圧により警報装置14が押圧されずれたり外れたりするのを防止できる。
【0032】
(実施の形態2)
図5は本実施の形態2における警報装置のブロック図であり、図6は制御部の動作を示すフローチャートである。
図中、30は本実施の形態2における警報装置、31は感圧部がホース巻取機の連通部に配設される圧力センサ等の圧力検出部、32は圧力検出部31の検出圧力が入力される制御部、33は警報機等の報知部、34は設定圧力や設定時間を入力する入力部、35は圧力検出部31や制御部32、報知部33、入力部34等に電源を供給する電源部、36は検出圧力と予め設定される設定圧力とを比較する比較手段、37は報知部に警報発生信号を出力する報知制御手段、38は時間を計測するタイマ等の計時手段、39は入力部34で入力された設定圧力や設定時間を記憶するメモリ等の記憶手段である。
ここで、購入者は入力部34から設定圧力や設定時間を任意に設定することができる。これにより、例えば井戸水の汲み上げ用ポンプの吐出圧等に応じて設定圧力を変更できるので、水道からだけでなく井戸等から水を供給する場合にも対応できる。なお、本実施の形態2において、設定圧力や設定時間を購入者が設定できるようにしたが、これに限られるものではなく、実施の形態1のように製造時に設定圧力や設定時間を設定するようにしてもよい。
【0033】
なお、ホース巻取機の使用方法は実施の形態1で説明したものと同様であるので説明を省略する。以下、ホースに水道の静水圧がかかった状態における警報装置30の動作について図5及び図6を用いて説明する。
まず、制御部32の比較手段36は圧力検出部31から入力された検出圧力(連通部における水圧)と記憶手段39に記憶された設定圧力とを比較し、検出圧力が設定圧力に達したか否か(検出圧力が設定圧力以上か否か)を判定する(ステップS1)。検出圧力が設定圧力に達したと判定した場合は計時手段32は計時を開始し(ステップS2)、達していないと判定した場合は処理を終了する。ステップS2において計時を開始すると、次に、比較手段36は検出圧力が設定圧力より小さいか否かを判定し(ステップS3)、検出圧力が設定圧力より小さくないと判定されれば、報知制御手段37は計時開始から記憶手段39に記憶された設定時間が経過したか否かを判定する(ステップS4)。なお、ステップS3において検出圧力が設定圧力より小さいと判定されれば処理を終了する。ステップS4において、計時開始から所定時間が経過していないと判定された場合はステップS3に戻る。ステップS4において所定時間が経過したと判定された場合は、報知制御手段37は報知部33に音声信号や発光信号を入力し、報知部33から警報が発せられる(ステップS5)。
【0034】
以上のように本実施の形態2における警報装置は構成されているので、実施の形態1の作用に加え、以下のような作用を有する。
(1)圧力検出部31の検出圧力と入力部34で入力され記憶手段39に記憶された設定圧力とを比較手段36で比較し、検出圧力が設定圧力に達してからの時間を計時手段38で計測し、その状態が所定時間継続したときに報知制御手段37は報知部33に警報発生信号を出力し、これにより報知部33は警報音や発光ダイオード等の点灯により水道栓の締め忘れを使用者等に報知することができ、ホース及び連通部の水圧等による破損及びそれに起因する水漏れ及び水資源の無駄使い、高額な水道料金の発生を防止できる。
【0035】
(実施の形態3)
図7は本実施の形態3における警報装置を備えたエアドリルの概略構成図であり、図8は本実施の形態3における警報装置の要部断面図である。
図7中、41は本実施の形態3における警報装置、42はエア駆動装置の1種であるエアドリル、43は警報装置41のホースジョイント部(ホース接続口)41aからエアドリル42に接続されたホース、44はコンプレッサ(エア供給源)、45はコンプレッサ44から警報装置41の供給源ジョイント部(供給源接続口)41bに接続された供給源側ホースである。
図8中、15は筐体、16は圧力スイッチ(圧力検出部)、16aは感圧部、16bはシール部、17は限時リレー(タイマ部)、18は警報機(報知部)、19は電源部、20は装置保持部であり、これらは実施の形態1において説明したものと同様のものであるので同一の符号を付けて説明を省略する。46は警報装置41の本体ケーシング、47は本体ケーシング46の側部に突設されたT字状の分岐管部であり、分岐した左右端部にホースジョイント部41aと供給源ジョイント部41bとが形成されている。48は分岐管部47の内部に形成された連通部であり、ホースジョイント部41aと供給源ジョイント部41bとを介してホース43と供給源側ホース45に連通されると共に圧力スイッチ16の感圧部16aが配設されている。49は本体ケーシング46の内部に連通部48に連通して形成され筐体15が挿入された装置挿入孔である。
【0036】
以上のように、ホース43,45によりコンプレッサ44から供給される圧縮エアをエアドリル42に供給する場合、エアドリル42の駆動を停止させた後、コンプレッサ44を稼動させたままであると、警報装置41の連通部48にエア圧がかかったままの状態となるので、この圧力を圧力検出部16で検出し、所定時間継続して検出されたときに報知部18の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により使用者等にコンプレッサ等の機器の止め忘れ或いは故障等を報知することができ、実施の形態1と同様の作用が得られる。
特にエアドリルに用いた場合は、コンプレッサ44の止め忘れ時や故障時に子供等が扱ってエアドリルが不意に駆動するのを防止でき安全性に優れる。
【0037】
なお、本実施の形態3においては、エアドリルにエアを供給するホースに警報装置を用いた場合について説明したがこれに限られるものではなく、釘打機等の圧縮空気工具や噴霧器、エアパレット等の搬送装置等のエア供給用のホース等の管状部材にも同様に用いることができ、同様の作用が得られる。
【0038】
(実施の形態4)
図9は本実施の形態4における警報装置を備えた給油装置の概略構成図である。
図中、51はガソリンスタンド等に設けられた給油装置、52はホース巻取機、53は給油ノズル、54はホース巻取機52のホース接続口から給油ノズル53に接続されたホース、55,55aはホース巻取機52の供給源接続口から油タンクや圧送ポンプ、元栓等を有する油供給部(図示せず)に接続された供給源側ホース、56は供給源側ホース55と供給源側ホース55aの接続部の配設された本実施の形態4における警報装置である。なお、警報装置56は実施の形態3で説明したものと同様の構成であるので、説明を省略する。
【0039】
以上のように、ホース54,55,55a及びホース巻取機52により図示しない油供給部から供給されるガソリン等の油を給油ノズル53から給油する場合、給油ノズル53を閉止した後、油供給部のポンプを駆動させたままであると、ホース巻取機52の連通部に油圧がかかったままの状態となるので、この圧力を圧力検出部で検出し、所定時間継続して検出されたときに報知部の警報機等の音や発光ダイオード等の点灯により使用者等に油供給部の止め忘れ或いは故障等を報知することができ、実施の形態1と同様の作用が得られる。
【0040】
なお、本実施の形態4においては、ガソリンスタンド等の給油装置に警報装置を用いた場合について説明したがこれに限られるものではなく、給油車や灯油配送車におけるガソリンや灯油の給油や油圧削岩機の作動油の供給、油圧ショベルのフロント作業機への潤滑油の供給等に用いられるホース等の管状部材にも同様に用いることができ、同様の作用が得られる。
また、本実施の形態4ではホース55とホース55aの接続部に警報装置56を配設しているがこれに限られるものではなく、実施の形態1のようにホース巻取機52に警報装置を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
以上説明したように、本発明は圧力流体を供給する水道やエア供給源、油供給源等の水道栓や元栓の締め忘れ等を防止するための警報装置及びそれを備えたホース巻取機に関し、特に本発明によれば、ホースを使用して散水や油供給、ガスボンベの使用を行った後の元栓を締め忘れや故障等を報知してその締め忘れ及びそれに起因するホース等の劣化や損傷等を防止でき、省資源性や省エネルギ性を向上させ水道等の料金の高騰を防止できる警報装置及びそれを備えたホース巻取機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】実施の形態1における警報装置を備えたホース巻取機の要部斜視図
【図2】図1のA−A線の矢視断面図
【図3】散水ノズルの要部斜視図
【図4】(a)警報装置の回路図(b)警報装置のタイミングチャート
【図5】実施の形態2における警報装置のブロック図
【図6】制御部の動作を示すフローチャート
【図7】実施の形態3における警報装置を備えたエアドリルの概略構成図
【図8】実施の形態3における警報装置の要部断面図
【図9】実施の形態4におけるホース巻取機を用いた給油装置の概略構成図
【符号の説明】
【0043】
1 ホース巻取機
2 支持体
3a,3b 側部支持体
4 連結部
5 巻取軸部
5a,5b フランジ部
6 軸支孔
7 供給源接続口
8 操作ハンドル
9 ホース接続口
10 連通部
11 回動管継手部
12a,12b シール部
13 装置挿入孔
14 警報装置
15 筐体
16 圧力スイッチ(圧力検出部)
16a 感圧部
16b シール部
16c 接点
17 限時リレー(タイマ部)
17a 接点
18 警報機(報知部)
19 電源部
20 装置保持部
21 ホース
22 水道栓接続ホース
23 散水ノズル
24 シャワーノズル
25 操作レバー
30 警報装置
31 圧力検出部
32 制御部
33 報知部
34 入力部
35 電源部
36 比較手段
37 報知制御手段
38 計時手段
39 記憶手段
41 警報装置
41a ホースジョイント部
41b 供給源ジョイント部
42 エアドリル
43 ホース
44 コンプレッサ
45 供給源側ホース
46 本体ケーシング
47 分岐管部
48 連通部
49 装置挿入孔
51 給油装置
52 ホース巻取機
53 給油ノズル
54 ホース
55 供給源側ホース
56 警報装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力流体を供給する管状部材の端部又はノズルと前記端部との間或いは管状部材同士の接続部に配設される警報装置であって、
前記管状部材に連通する連通部と、前記連通部に配設される感圧部を有する圧力検出部と、前記圧力検出部の検出圧力が予め設定された設定圧力に達した状態が所定時間継続したときに警報を発する報知部と、を備えていることを特徴とする警報装置。
【請求項2】
本体ケーシング又はホース巻取機の巻取軸部の内部に形成された供給源接続口とホース接続口とに連通する前記連通部に前記圧力検出部の前記感圧部が配設されていることを特徴とする請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記圧力検出部の検出圧力が前記設定圧力に達してから所定時間経過後に前記報知部に通電するタイマ部を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項4】
前記圧力検出部の検出圧力が入力される制御部を備え、
前記制御部は、前記検出圧力と前記設定圧力とを比較する比較手段と、前記検出圧力が前記設定圧力に達してからの時間を計測する計時手段と、前記検出圧力が前記設定圧力に達した状態が所定時間継続したときに前記報知部に警報発生信号を出力する報知制御手段と、を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項5】
請求項2乃至4の内いずれか1項に記載の警報装置を備えていることを特徴とするホース巻取機。
【請求項6】
前記警報装置がホースの巻取軸部の内部の連通部に連通した装置挿入孔に脱着自在に配設されると共に、前記警報装置の前記連通部側の一端部に配設されたシール部と、他端部に配設された装置保持部と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載のホース巻取機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−62958(P2007−62958A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252409(P2005−252409)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(593066896)千代田産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】