説明

警報装置

【課題】 本発明の目的は、判定速度及び判定精度の向上を図りながら火災等を判定することができる警報装置を提供する点にある。
【解決手段】 火災に起因して変化する火災環境状態を検出する火災環境状態検出手段を少なくとも1つ備え、少なくとも1つの火災環境状態検出手段の出力に関する出力関連値a,bが所定の遅延時間L継続して所定の判定閾値A,B以上となったことを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に応じて警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、判定手段が、遅延時間Lを、少なくとも1つの火災環境状態検出手段の出力関連値a,bに応じて変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災に起因して変化する火災環境状態を検出する火災環境状態検出手段を少なくとも1つ備え、
少なくとも1つの前記火災環境状態検出手段の出力に関する出力関連値が所定の遅延時間継続して所定の判定閾値以上となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて警報を出力する警報手段とを備えた警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような警報装置として構成される火災警報装置は、上記火災環境状態検出手段により、火災に関する火災環境状態を検出し、上記判定手段により、その火災環境状態検出手段の出力に関する出力関連値が0以上に設定された遅延時間継続して所定の判定閾値以上となったことを火災等として判定し、上記警報手段により、その判定手段の判定結果に応じて火災警報等の警報を出力するように構成されている。
【0003】
また、上記火災環境状態検出手段としては、主に、上記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサが設けられる場合があるが、その他、火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガス(例えば、一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素)の濃度を検出するガスセンサが設けられる場合がある。
【0004】
このような火災警報装置において、調理や喫煙等の火災以外の要因で発生する煙、熱又は炎を感知して火災を誤判定するという問題がある。
そこで、このような誤判定を回避するための火災警報装置として、上記火災環境状態としての煙、熱を感知する火災センサと、上記火災環境状態としての火災生成ガスである一酸化炭素濃度を検出するガスセンサとの、複数の火災環境状態検出手段を備えた火災警報装置が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
かかる特許文献1に記載の火災警報装置は、火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値が判定閾値といての火災判定閾値以上となることを火災が発生している火災状態として判定するのとは別に、そのように火災を判定した場合において、ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値が判定閾値としてのガス判定閾値未満のときには誤判定である可能性が高いことから初期火災状態であると判定し、一方、ガスセンサ出力関連値がガス判定閾値以上のときには誤判定である可能性が低いことから本格火災状態であると判定するように構成されている。
【0006】
また、このような火災警報装置では、上記のような初期火災状態と本格火災状態以外に、ガスセンサ出力関連値が判定閾値としてのガス異常判定閾値以上となったことをガス異常状態として判定する場合がある。
【0007】
【特許文献1】特開2000−132761号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の火災警報装置では、上記判定手段において設定される遅延時間は、経験等により求めた一定値に設定されている。
よって、火災警報装置において、火災以外の要因による誤判定を一層抑制して判定精度を向上したい場合には、上記遅延時間を十分に長く設定すればよいが、この遅延時間を長くしすぎると、実際に火災が発生した場合において、その火災を判定するまでの判定速度が長くなり、迅速に警報を出力することができないという問題が発生し、火災に対する消火活動の遅れ等の原因となる場合がある。
【0009】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、判定手段により判定速度及び判定精度の向上を図りながら火災等を判定することができる警報装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明に係る警報装置は、火災に起因して変化する火災環境状態を検出する火災環境状態検出手段を少なくとも1つ備え、
少なくとも1つの前記火災環境状態検出手段の出力に関する出力関連値が所定の遅延時間継続して所定の判定閾値以上となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、その第1特徴構成は、前記判定手段が、前記遅延時間を、少なくとも1つの前記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更する点にある。
尚、上記火災環境状態検出手段の出力関連値は、上記火災環境状態検出手段の出力、その出力の増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等のように、火災環境状態検出手段の出力の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0011】
上記第1特徴構成によれば、上記判定手段が、上記遅延時間を、上記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて適宜変更するので、適切な判定速度且つ精度で火災等の状態を判定することができる。
即ち、火災環境状態検出手段の出力関連値が大きい場合には、火災により出力関連値が判定閾値以上となった可能性が高いと判断して、上記遅延時間を短くすることにより、判定速度の向上を図り、火災環境状態検出手段の出力関連値が小さい場合には、火災以外の要因により出力関連値が判定閾値以上となった可能性があると判断して、上記遅延時間を長くすることにより、火災以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0012】
本発明に係る警報装置の第2特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、又は、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備えた点にある。
【0013】
上記第2特徴構成によれば、上記火災環境状態検出手段として、上記のような火災センサを備えることで、上記判定手段により、その火災センサの出力やその増加率等の火災センサ出力関連値を用いて、火災等を直接的に判定することができ、一方、上記火災環境状態検出手段として、上記のようなガスセンサを備えることで、上記判定手段により、そのガスセンサで検出された火災生成ガスの濃度又はその増加率等のガスセンサ出力関連値を用いて、火災等を間接的に判定することができる。
尚、上記火災センサ出力関連値や上記ガスセンサ出力関連値は、上記火災センサや上記ガスセンサの出力、その出力の増加率、又は、その出力が継続して設定出力以上となる継続時間等のように、火災センサやガスセンサの出力の状態に伴って増減する値として求めることができる。
【0014】
本発明に係る警報装置の第3特徴構成は、上記第1又は第2特徴構成に加えて、前記判定手段が、前記遅延時間を、前記判定手段の判定で用いる前記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更する点にある。
【0015】
上記第3特徴構成によれば、上記判定手段により、火災等を判定するための遅延時間を、その判定対象で用いる火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更することにより、出力関連値が判定閾値以上となった場合に、その出力関連値の判定閾値との差に応じて遅延時間を変更することになり、適切な判定速度且つ精度で火災等を判定することができる。
即ち、火災環境状態検出手段の出力関連値が大幅に判定閾値を上回った場合には、火災により出力関連値が判定閾値以上となった可能性が高いと判断して、上記遅延時間を短くすることにより、判定速度の向上を図り、一方、火災環境状態検出手段の出力関連値が判定閾値に近い場合には、火災以外の要因により出力関連値が判定閾値以上となった可能性があると判断して、上記遅延時間を長くすることにより、火災以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0016】
本発明に係る警報装置の第4特徴構成は、上記第1乃至第3特徴構成の何れかに加えて、互いに異なる前記火災環境状態を検出する複数の前記火災環境状態検出手段を備え、
前記判定手段が、前記遅延時間を、前記判定手段の判定対象とは別の前記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更する点にある。
【0017】
上記第4特徴構成によれば、上記判定手段により、ある火災環境状態検出手段の出力関連値を用いて火災等を判定するための遅延時間を、その判定対象の出力関連値とは別の火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更することにより、ある火災環境状態検出手段の出力関連値が判定閾値以上となった場合に、別の火災環境状態検出手段の出力関連値を用いて客観的に遅延時間を変更し、より適切な判定速度且つ精度で火災等を判定することができる。
即ち、ある火災環境状態検出手段の出力関連値が判定閾値以上となった場合において、更に、その判定対象とは別の火災環境状態検出手段の出力関連値も大きければ、火災により判定対象の出力関連値が判定閾値以上となった可能性が高いと判断して、上記遅延時間を短くすることにより、判定速度の向上を図り、一方、その判定対象とは別の火災環境状態検出手段の出力関連値が小さければ、火災以外の要因により判定対象の出力関連値が判定閾値以上となった可能性があると判断して、上記遅延時間を長くすることにより、火災以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0018】
本発明に係る警報装置の第5特徴構成は、上記第4特徴構成に加えて、前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、及び、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記判定手段が、前記火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値が前記遅延時間としての火災遅延時間継続して前記判定閾値としての火災判定閾値以上となったことを火災状態として判定し、更に、前記火災遅延時間を、前記ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値に応じて変更する点にある。
【0019】
上記5特徴構成によれば、上記判定手段により、上記火災センサ出力関連値を用いて火災を判定するための火災遅延時間を、その火災センサ出力関連値とは別の上記ガスセンサ出力関連値に応じて変更することにより、火災センサ出力関連値が火災判定閾値以上となった場合に、ガスセンサ出力関連値を用いて客観的に火災遅延時間を変更し、より適切な判定速度且つ精度で火災を判定することができる。
即ち、火災センサ出力関連値が火災判定閾値以上となった場合において、更に、ガスセンサ出力関連値も大きければ、火災により火災センサ出力関連値が火災判定閾値以上となった可能性が高いと判断して、上記火災遅延時間を短くすることにより、火災に対する判定速度の向上を図り、一方、そのガスセンサ出力関連値が小さければ、火災以外の要因により火災センサ出力関連値が火災判定閾値以上となった可能性があると判断して、上記火災遅延時間を長くすることにより、火災以外の要因による誤判定を抑制して火災に対する判定精度の向上を図ることができる。
【0020】
本発明に係る警報装置の第6特徴構成は、上記第4又は第5特徴構成の何れかに加えて、前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、及び、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記判定手段が、前記ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値が前記遅延時間としてのガス遅延時間継続して前記判定閾値としてのガス判定閾値以上となったことを判定し、更に、前記ガス遅延時間を、前記火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値に応じて変更する点にある。
【0021】
上記第6特徴構成によれば、上記判定手段により、上記ガスセンサ出力関連値を用いて火災やガス異常状態等を判定するためのガス遅延時間を、そのガスセンサ出力関連値とは別の上火災センサ出力関連値に応じて変更することにより、ガスセンサ出力関連値がガス判定閾値以上となった場合に、火災センサ出力関連値を用いて客観的にガス遅延時間を変更し、より適切な判定速度且つ精度で火災やガス異常状態等を判定することができる。
即ち、ガスセンサ出力関連値がガス判定閾値以上となった場合において、更に、火災センサ出力関連値も大きければ、火災や異常によりガスセンサ出力関連値がガス判定閾値以上となった可能性が高いと判断して、上記ガス遅延時間を短くすることにより、火災や異常に対する判定速度の向上を図り、一方、その火災センサ出力関連値が小さければ、火災や異常以外の要因によりガスセンサ出力関連値がガス判定閾値以上となった可能性があると判断して、上記ガス遅延時間を長くすることにより、火災や異常以外の要因による誤判定を抑制して火災や異常に対する判定精度の向上を図ることができる。
【0022】
本発明に係る警報装置の第7特徴構成は、上記第1乃至第6特徴構成の何れかに加えて、前記判定手段が、前記火災環境状態検出手段の出力関連値が、前記遅延時間としての初期火災遅延時間継続して前記判定閾値としての初期火災判定閾値以上となったことを初期火災状態として判定すると共に、前記火災環境状態検出手段の出力関連値が、前記遅延時間としての本格火災遅延時間継続して前記初期火災判定閾値よりも大きい前記判定閾値としての本格火災判定閾値以上となったことを本格火災状態として判定し、更に、前記初期火災遅延時間を前記本格火災遅延時間よりも長くする点にある。
【0023】
上記第7特徴構成によれば、上記判定手段が、火災環境状態検出手段の出力関連値を用いて初期火災状態と本格火災状態とを判定する場合において、その初期火災状態を判定するための初期火災遅延時間を、その本格火災状態を判定するための本格火災遅延時間よりも長くすることで、初期火災状態の判定においては本格火災状態の判定よりも比較的判定精度を向上させ、本格火災状態の判定においては初期火災状態の判定よりも比較的判定速度を向上させることができる。
【0024】
本発明に係る警報装置の第8特徴構成は、上記第7特徴構成に加えて、前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、及び、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記判定手段が、前記火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値が前記初期火災判定閾値としての火災センサ初期火災判定閾値以上となり且つ前記ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値が前記初期火災判定閾値としてのガスセンサ初期火災判定閾値以上となったことを初期火災状態として判定し、前記火災センサ出力関連値が前記本格火災判定閾値としての火災センサ本格火災判定閾値以上となったときに本格火災状態として判定する構成されている点にある。
【0025】
上記第8特徴構成によれば、上記判定手段が、出力関連値としての火災センサ出力関連値とガスセンサ出力関連値の両方を用いて本格火災状態と初期火災状態とを適切に判定することができる。
即ち、火災センサ出力関連値が上記火災センサ本格火災判定閾値以上となった場合には、火災が発生している可能性が高いとして、ガスセンサ出力関連値の大小に拘わらず本格火災状態として判定し、一方、火災センサ出力関連値が上記火災センサ本格火災判定閾値よりも小さく設定された上記火災センサ初期火災判定閾値以上となった場合には、ガスセンサ出力関連値が上記ガスセンサ初期火災判定閾値以上である場合にのみ火災が発生している可能性があるとして、初期火災状態として判定することができる。
【0026】
本発明に係る警報装置の第9特徴構成は、上記第8特徴構成に加えて、前記判定手段が、前記初期火災状態及び前記本格火災状態を判定していない場合に、前記ガスセンサ出力関連値が前記遅延時間としてのガス遅延時間継続して前記判定閾値としてのガス判定閾値以上となったことをガス異常状態として判定し、更に、前記ガス遅延時間を前記初期火災遅延時間よりも長くする点にある。
【0027】
上記第9特徴構成によれば、上記判定手段が、初期火災状態及び本格火災状態を判定していない場合においても、ガスセンサ出力関連値がガス判定閾値以上となった場合には、火災生成ガスの濃度が高く危険な状態である可能性が高いとして、ガス異常状態として判定することができる。そして、このように構成する場合でも、そのガス異常状態を判定するためのガス遅延時間を、初期火災状態を判定するための初期火災遅延時間よりも長くすることで、ガス異常状態の判定においては初期火災状態の判定よりも比較的判定精度を向上させ、初期火災状態の判定においてはガス異常状態の判定よりも比較的判定速度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る警報装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
警報装置10は、図1及び図2に示すように、火災の発生に起因して変化する火災環境状態を検出する火災環境状態検出手段11を少なくとも1つ備え、少なくとも1つの火災環境状態検出手段11の出力に関する出力関連値が所定の遅延時間継続して所定の判定閾値以上となったことを判定する判定手段12と、判定手段12の判定結果に応じて警報を出力する警報手段13とを備え、例えば、本実施形態では、家庭内のキッチンの側壁4に設置され、コンロ2上の調理物による火災Fの発生を判定して、火災警報等を出力するように構成されている。
【0029】
警報装置10は、上記火災環境状態検出手段11として、火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ11aと、火災環境状態としての火災Fにより生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサ11bとが設けられている。
【0030】
上記火災センサ11aは、火災Fによる煙を感知して、その煙の濃度に関連する出力を発する煙センサ、火災Fによる熱を感知して、その熱量や温度に関連する出力を発する熱センサ、火災Fによる炎が発する赤外線や紫外線等の光を感知して、その光の強度に関連する出力を発する炎センサ等として構成されている。
よって、その火災センサ11aの出力やその単位時間あたりの増加率等が大きいほど、火災Fが発生している可能性が高くなると判断できる。
【0031】
一方、上記ガスセンサ11bは、火災生成ガスとしての一酸化炭素、水素、アルデヒド類、ケトン類、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素の少なくとも1つの濃度を検出するセンサとして構成されている。
例えば、一酸化炭素は火災Fにより不完全燃焼が発生することにより生成され、水素やアルデヒド類、ケトン類は、発火前に発生する成分や火災Fによる中間生成物として生成され、二酸化炭素、塩化水素及びシアン化水素は火災Fによる燃焼生成物として生成されるものであり、更に、通常の調理時や喫煙時においては、その生成量は少ない。
よって、そのガスセンサ11bの出力やその単位時間あたりの増加率等が大きいほど、火災Fが発生している可能性が高くなると判断できる。
【0032】
また、上記のようなガスセンサ11bとしては、公知の定電位電解型や起電力検出型、酸化還元混合電位検出型、電解質上設置電極反応電流を検出するタイプ等の電気化学式や金属酸化物半導体式や接触燃焼式等の公知のガスセンサを用いることができる。例えば、詳細については説明を割愛するが、一酸化炭素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体や酸化インジウム半導体等からなる感応部を用いた半導体式のガスセンサや、電解液や固体電解質等の電解質上に設けた電極上で一酸化炭素が反応することにより発生する電流を検出する電気化学式のガスセンサを用いることができ、水素の濃度を検出するガスセンサとしては、金属酸化物半導体として酸化スズ半導体などからなる感応部を用いた半導体式や接触燃焼式のガスセンサ等を用いることができる。
【0033】
上記判定手段12は、上記火災センサ11aの出力関連値である火災センサ出力関連値aとしての火災センサ11aの出力と、上記ガスセンサ11bの出力関連値であるガスセンサ出力関連値bとしてガスセンサ11の出力とを監視し、その火災センサ出力関連値aとガスセンサ出力関連値bとの一方又は両方が、所定の遅延時間継続して、所定の判定閾値以上となったことを、火災が発生している火災状態等として判定するように構成されている。
【0034】
即ち、判定手段12は、その詳細については後述するが、火災環境状態検出手段11の出力関連値を図3に示すデータマップに割り当てる形態で、その出力関連値としての火災センサ出力関連値a及びガスセンサ出力関連値bの一方又は両方が、遅延時間としての初期火災遅延時間継続して判定閾値としての初期火災判定閾値以上となったことを初期火災状態(Y)として判定すると共に、火災環境状態検出手段11の出力関連値が、遅延時間としての本格火災遅延時間継続して初期火災判定閾値よりも大きい判定閾値としての本格火災判定閾値以上となったことを本格火災状態(Z)として判定する。更に、判定手段12は、上記初期火災状態(Y)及び本格火災状態(Z)を判定していない場合に、ガスセンサ出力関連値bが遅延時間としてのガス遅延時間継続して判定閾値としてのガス判定閾値以上となったことをガス異常状態(X)として判定し、上記ガス異常状態(X),上記初期火災状態(Y)及び本格火災状態(Z)を判定していないことを特に異常は無い異常無し状態(W)として判定するように構成されている。
【0035】
更に、判定手段12は、上記のような各種状態を判定するにあたり、その判定で用いる遅延時間を、火災センサ出力関連値aとガスセンサ出力関連値bとのうちの少なくとも1つの火災環境状態検出手段11の出力関連値に応じて変更するように構成されている。
以下、判定手段12による上記各種状態の判定における遅延時間の変更方法について説明を加える。
【0036】
(本格火災状態の判定)
判定手段12は、後述する所定の本格火災遅延時間L1,L2継続して、火災センサ出力関連値aが本格火災判定閾値として設定された所定の火災センサ本格火災判定閾値A3以上となったことを本格火災状態(Z)として判定する。
尚、上記火災センサ出力関連値aが、火災センサ11aとしての熱センサで検出された熱量により求められる温度である場合には、上記火災センサ本格火災判定閾値A3を例えば65℃程度に設定することで、本格火災状態(Z)を適切に判定することができる。
【0037】
また、判定手段12は、火災センサ出力関連値aの増加により上記本格火災状態(Z)を判定するときの上記本格火災遅延時間L1,L2を、上記本格火災状態(Z)の判定対象としての火災センサ出力関連値aとは別の出力関連値であるガスセンサ出力関連値bに応じて変更するように構成することができる。
【0038】
即ち、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bが比較的小さい場合(例えば、ガスセンサ出力関連値bが後述する判定閾値B1未満である場合)には、火災F以外の要因により火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3以上となった可能性があると判断して、そのときに上記本格火災状態(Z)を判定するための本格火災遅延時間L1を、比較的長めの例えば数秒等に設定することで、火災F以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0039】
一方、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bが比較的大きい場合(例えば、ガスセンサ出力関連値bが後述する判定閾値B1以上である場合)には、火災Fにより火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3以上となった可能性が高いと判断して、上記本格火災状態(Z)を判定するための上記本格火災遅延時間L2を、上記本格火災遅延時間L1よりも短めの例えば0秒等に変更することで、本格火災状態(Z)に対する判定速度の向上を図ることができる。
【0040】
更に、判定手段12は、火災センサ出力関連値aの増加により上記本格火災状態(Z)を判定するための本格火災遅延時間L1又は本格火災遅延時間L2を、その本格火災状態(Z)の判定で用いる火災センサ出力関連値aに応じて変更するように構成することもできる。
【0041】
即ち、判定手段12は、火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3以上となり本格火災状態(Z)を判定する場合において、その火災センサ出力関連値aが大幅に火災センサ本格火災判定閾値A3を上回った場合には、火災Fにより火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3以上となった可能性が高いと判断して、そのときに本格火災状態(Z)を判定するための本格火災遅延時間L1又は本格火災遅延時間L2を、比較的短めの例えば0秒等に設定することで、本格火災状態(Z)に対する判定速度の向上を図ることができる。
【0042】
一方、判定手段12は、火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3以上となり本格火災状態(Z)を判定する場合において、その火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3に近い場合には、火災F以外の要因により火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3以上となった可能性があると判断して、そのときに本格火災状態(Z)を判定するための本格火災遅延時間L1又は本格火災遅延時間L2を、比較的長めに変更することで、火災F以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0043】
(初期火災状態の判定)
判定手段12は、上記火災センサ出力関連値aが上記本格火災状態(Z)の判定のための火災センサ本格火災判定閾値A3未満である場合において、後述する所定の初期火災遅延時間L4,L5,L6,L7継続して、火災センサ出力関連値aが初期火災判定閾値として設定された所定の火災センサ初期火災判定閾値A2(但しA2<A3)以上となり且つガスセンサ出力関連値bが初期火災判定閾値として設定された所定のガスセンサ初期火災判定閾値B1以上となったことを、又は、火災センサ出力関連値aが初期火災判定閾値として設定された所定の火災センサ初期火災判定閾値A1(但しA1<A2)以上となり且つガスセンサ出力関連値bが初期火災判定閾値として設定された所定のガスセンサ初期火災判定閾値B2(但しB2>B1)以上となったことを、初期火災状態(Y)として判定する。
【0044】
また、上記のようにガスセンサ出力関連値bが比較的大きい場合(例えば、ガスセンサ出力関連値bがガスセンサ初期火災判定閾値B2以上である場合)において、火災センサ出力関連値aに対して初期火災状態(Y)を判定するための火災センサ初期火災判定閾値A1が、ガスセンサ出力関連値bが比較的小さい場合(例えば、ガスセンサ出力関連値bがガスセンサ初期火災判定閾値B1以上且つガスセンサ初期火災判定閾値B2未満の範囲内である場合)において、火災センサ出力関連値aに対して初期火災状態(Y)を判定するための火災センサ初期火災判定閾値A2よりも、小さく設定されているので、ガスセンサ出力関連値bが大きいほど、高感度で初期火災を判定することができる。
【0045】
尚、上記火災センサ出力関連値aが、火災センサ11aとしての熱センサで検出された熱量により求められる温度である場合には、上記初期火災状態(Y)の判定対象である火災センサ出力関連値aに対する上記火災センサ初期火災判定閾値A1を例えば40℃程度に設定すると共に、上記火災センサ初期火災判定閾値A2を例えば50℃程度に設定する。一方、上記ガスセンサ出力関連値bが、ガスセンサ11bとしての一酸化炭素センサで検出された火災生成ガスとしての一酸化炭素の濃度である場合には、上記初期火災状態(Y)の判定対象であるガスセンサ出力関連値bに対する上記ガスセンサ初期火災判定閾値B1を例えば200ppm程度に設定すると共に、上記ガスセンサ初期火災判定閾値B2を例えば550ppm程度に設定する。そして、上記のように各種判定閾値を設定することで、初期火災状態(Y)を適切に判定することができる。
【0046】
また、判定手段12は、火災センサ出力関連値aの増加により上記初期火災状態(Y)を判定するための上記初期火災遅延時間L5,L7、及び、ガスセンサ出力関連値bの増加により上記初期火災状態(Y)を判定するための上記初期火災遅延時間L4,L6を、上記初期火災状態(Y)の判定で用いる火災センサ出力関連値a又はガスセンサ出力関連値bに応じて変更するように構成することができる。
【0047】
即ち、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bが比較的小さい場合(例えば、ガスセンサ出力関連値bがガスセンサ初期火災判定閾値B1以上且つガスセンサ初期火災判定閾値B2未満の範囲内である場合)には、火災F以外の要因により火災センサ出力関連値aが所定の火災センサ初期火災判定閾値A2(但しA2<A3)以上となり且つガスセンサ出力関連値bが所定のガスセンサ初期火災判定閾値B1以上となった可能性があると判断して、そのときに上記初期火災状態(Y)を判定するための初期火災遅延時間L4又は初期火災遅延時間L5を、比較的長めの例えば150秒等に設定することで、火災F以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0048】
一方、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bが比較的大きい場合(例えば、ガスセンサ出力関連値bがガスセンサ初期火災判定閾値B2以上である場合)には、火災Fにより火災センサ出力関連値aが所定の火災センサ初期火災判定閾値A1以上となり且つガスセンサ出力関連値bが所定のガスセンサ初期火災判定閾値B2以上となった可能性が高いと判断して、そのときに上記初期火災状態(Y)を判定するための初期火災遅延時間L6又は初期火災遅延時間L7を、上記初期火災遅延時間L5又は初期火災遅延時間L5よりも短めの例えば0秒等に変更することで、初期火災状態(Y)に対する判定速度の向上を図ることができる。
【0049】
更に、判定手段12は、この初期火災遅延時間L4,L5,L6,L7を、前述した本格火災遅延時間L1,L2よりも長く設定することで、初期火災状態(Y)の判定においては本格火災状態(Z)の判定よりも比較的判定精度を向上し、本格火災状態(Z)の判定においては初期火災状態(Y)の判定よりも比較的判定速度を向上することができる。
【0050】
更に、判定手段12は、火災センサ出力関連値aの増加により上記初期火災状態(Z)を判定するための初期火災遅延時間L5又は初期火災遅延時間L7を、その初期火災状態(Z)の判定で用いる火災センサ出力関連値aに応じて変更するように構成することもできる。
【0051】
即ち、判定手段12は、火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A2又は火災センサ初期火災判定閾値A1以上となり初期火災状態(Y)を判定する場合において、その火災センサ出力関連値aが大幅に火災センサ初期火災判定閾値A2又は火災センサ初期火災判定閾値A1を上回った場合には、火災Fにより火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A2又は火災センサ初期火災判定閾値A1以上となった可能性が高いと判断して、そのときに上記初期火災状態(Y)を判定するための初期火災遅延時間L5又は初期火災遅延時間L7を、比較的短めの例えば0秒等に設定することで、初期火災状態(Z)に対する判定速度の向上を図ることができる。
【0052】
一方、判定手段12は、火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A2又は火災センサ初期火災判定閾値A1以上となり初期火災状態(Y)を判定する場合において、その火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A2又は火災センサ初期火災判定閾値A1に近い場合には、火災F以外の要因により火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A2又は火災センサ初期火災判定閾値A1以上となった可能性があると判断して、そのときに初期火災状態(Y)を判定するための初期火災遅延時間L5又は初期火災遅延時間L7を、比較的長めに変更することで、火災F以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0053】
また、判定手段12は、上記のような初期火災遅延時間L5又は初期火災遅延時間L7の変更方法と同様に、ガスセンサ出力関連値bの増加により上記初期火災状態(Z)を判定するための初期火災遅延時間L4又は初期火災遅延時間L6についても、上記初期火災状態(Z)の判定で用いるガスセンサ出力関連値bに応じて変更するように構成することもできる。
【0054】
(ガス異常状態の判定)
判定手段12は、初期火災状態(Y)及び本格火災状態(Z)を判定していない場合に、ガスセンサ出力関連値bが所定のガス遅延時間L3継続して判定閾値としてのガス判定閾値B1’以上となったことをガス異常状態(X)として判定する。
尚、上記ガスセンサ関連値bが、ガスセンサ11bとしての一酸化炭素センサで検出された火災生成ガスとしての一酸化炭素の濃度である場合には、上記ガス異常状態(X)の判定対象であるガスセンサ出力関連値bに対する上記ガス判定閾値B1’を例えば200ppm程度に設定することで、ガス異常状態(X)を適切に判定することができる。
【0055】
また、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bの増加により上記ガス異常状態(X)を判定するときの上記ガス遅延時間L3を、上述した初期火災状態(Y)の判定するための初期火災遅延時間(例えば、ガスセンサ出力関連値bがガスセンサ初期火災判定閾値B1以上となったときに初期火災状態(Y)であると判定するときの初期火災遅延時間L3)よりも長めの例えば300秒程度に設定する。よって、ガス異常状態(X)の判定においては初期火災状態(Y)の判定よりも比較的判定精度が向上し、初期火災状態(Y)の判定においてはガス異常状態(X)の判定よりも比較的判定速度が向上される。
【0056】
また、上記ガス異常状態(X)を判定するためのガス判定閾値B1’は、上述した初期火災状態(Y)を判定するためのガスセンサ初期火災判定閾値B1と同値とすることができる。
よって、判定手段12は、火災センサ出力関連値aが火災センサ本格火災判定閾値A3未満である場合において、火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A2以上と比較的大きい場合には、ガスセンサ関連値bがガス遅延時間L4継続してガス判定閾値B1以上となったことを初期火災状態(Y)と判定し、火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A1未満と比較的小さい場合には、ガスセンサ関連値bがガス遅延時間L3継続してガス判定閾値B1以上となったことをガス異常状態(X)として判定することになる。
【0057】
そして、判定手段12は、このようにガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1以上になったことを判定するためのガス遅延時間L3,L4を、火災センサ出力関連値aに応じて変更されている。
即ち、ガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1以上となった場合において、更に、火災センサ出力関連値aも火災センサ初期火災判定閾値A1以上と大きければ、火災Fや異常によりガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1以上となった可能性が高いと判断して、そのときのガス遅延時間L3を短めの例えば150秒等に設定することにより、火災Fや異常に対する判定速度の向上を図ることができる。一方、ガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1以上となった場合において、更に、火災センサ出力関連値aが火災センサ初期火災判定閾値A1未満と小さければ、火災Fや異常以外の要因によりガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1以上となった可能性があると判断して、そのときのガス遅延時間L4を長めの例えば300秒等と設定することにより、火災Fや異常以外の要因による誤判定を抑制して火災Fや異常に対する判定精度の向上を図ることができる。
【0058】
更に、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bの増加により上記ガス異常状態(X)を判定するためのガス遅延時間L3を、そのガス異常状態(X)の判定で用いるガスセンサ出力関連値bに応じて変更するように構成することもできる。
【0059】
即ち、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1’以上となりガス異常状態(X)を判定する場合において、そのガスセンサ出力関連値bが大幅にガス判定閾値B1’を上回った場合には、異常によりガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1’以上となった可能性が高いと判断して、そのときにガス異常状態(X)を判定するためのガス遅延時間L3を、比較的短めの例えば0秒等に設定することで、ガス異常状態(X)に対する判定速度の向上を図ることができる。
【0060】
一方、判定手段12は、ガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1’以上となりガス異常状態(X)を判定する場合において、そのガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1’に近い場合には、異常以外の要因によりガスセンサ出力関連値bがガス判定閾値B1’以上となった可能性があると判断して、そのときにガス異常状態(X)を判定するためのガス遅延時間L3を、比較的長めに変更することで、異常以外の要因による誤判定を抑制して判定精度の向上を図ることができる。
【0061】
次に、警報手段13の詳細構成について、説明を加える。
警報手段13は、例えば、上記判定手段12でガス異常状態(X)を判定した場合には、火災生成ガスの濃度が異常に高いことを報知すると共に換気を促すための警報として、例えば、「空気が汚れて危険です。窓を開けて換気してください。」という音声ガイダンスを出力し、上記判定手段12で初期火災状態(Y)を判定した場合には、火気使用箇所(例えばコンロ)の状況の確認を促すための警報として、例えば、「火元を確認してください。」という音声ガイダンスを出力し、上記判定手段12で本格火災状態(Z)を判定した場合には、本格火災状態(Z)であることを報知するための警報として、例えば、「火災警報装置が作動しました。確認してください。」という音声ガイダンスを出力するように構成することができる。
【0062】
また、警報手段15の警報を出力する形態としては、上記のようなスピーカなどによる音声ガイダンスを出力する形態以外に、インターネット等の通信ネットワークを通じてガス供給会社や警備会社等のセンター装置に判定手段12による判定結果を通報するための外部通報信号を送信する形態や、判定手段12による判定結果に応じて自動的にコンロ2へのガスの供給を遮断するガス遮断信号を遮断弁に対して送信する形態等や、その他の公知の警報の出力形態を採用することができる。例えば、上記判定手段12で本格火災状態(Z)を判定した場合には、警報手段15は、上記外部通報信号及び上記ガス遮断信号を送信する形態を採用し、更に、上記判定手段12で初期火災状態(Y)を例えば一定時間継続して判定した場合には、上記本格火災状態(Z)の場合と同様に、警報手段15は、上記外部通報信号及び上記ガス遮断信号を送信する形態を採用するように構成することができる。
【0063】
〔別実施形態〕
(1)上記実施の形態では、火災センサ11aとガスセンサ11bとの複数の火災環境状態検出手段11を設けたが、別に、一つの火災環境状態検出手段11を設け、判定手段12が、その火災環境状態検出手段11の出力関連値を用いて火災状態やガス異常状態の判定を行っても構わない。
また、判定手段12が、1つの火災環境状態検出手段11の出力関連値が所定の遅延時間継続して所定の判定閾値以上となったことを判定する場合において、その遅延時間を、上記判定で用いた出力関連値に応じて、例えば、出力関連値が大きくなるほど遅延時間を小さくする形態で、変更することができる。
【0064】
(2)上記実施の形態では、火災環境状態検出手段11として、火災センサ11aやガスセンサ11bを設けたが、別に、火災により発生するニオイを検出するニオイセンサ等の、別の形態の火災環境状態を検出する火災環境状態検出手段を設けても構わない。
【0065】
(3)上記実施の形態では、火災センサ出力関連値aやガスセンサ出力関連値bとして、火災センサ11aの出力やガスセンサ11bの出力を用いたが、別に、火災センサ11aの出力の単位時間あたりの増加率等やガスセンサ11bの出力の単位時間あたりの増加率等を、火災センサ出力関連値aやガスセンサ出力関連値bとして用いても構わない。
【0066】
(4)上記実施の形態において、火災環境状態検出手段11の出力関連値に応じて遅延時間を変更するにあたり、短い側の遅延時間を0に設定しても構わない。
また、上記実施の形態では、遅延時間を、火災環境状態検出手段11の出力関連値に応じて段階的に変更したが、別に、火災環境状態検出手段11の出力関連値に応じて連続的に変更しても構わない。
また、上記実施の形態では、遅延時間L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7の夫々について変更する形態を示したが、別のそれらの遅延時間の内の少なくとも1つを他の遅延時間と異なるものに変更することでも、遅延時間を、少なくとも1つの火災環境状態検出手段11の出力関連値に応じて変更していると言える。
【0067】
(5)上記実施の形態では、判定手段12は、火災環境状態検出手段11の出力関連値を図3に示すデータマップに割り当てる形態で火災状態やガス異常状態等を判定するように構成したが、別に、そのデータマップの代わりに、火災環境検出手段11の出力関連値により火災状態やガス異常状態を判定するための所定の判定処理フローを構築しておいても構わない。
【0068】
(6)上記実施の形態では、判定手段12が初期火災状態(Y)や本格火災状態(Z)等を判定したときに、警報手段15は、上記外部通報信号やガス遮断信号等のように火災に対して何らかの対策を施すことを指令するための火災対策指令信号を出力するように構成したが、このように火災対策指令信号を出力するにあたり、信号出力遅延時間を設定して、判定手段12による火災状態の判定が所定の信号出力判定遅延時間継続した場合に上記火災対策指令信号を出力するように構成しても構わない。
更に、このような信号出力遅延時間については、一定値でも構わないが、これまで説明してきた判定時の遅延時間と同様に、例えば、少なくとも1つの火災環境状態検出手段11の出力関連値に応じて変更することもできる。また、火災状態の迅速な判定と火災対策指令信号の無用の出力の抑制との目的で、上記信号出力遅延時間は、上記判定時の遅延時間よりも大きく設定することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】警報装置の設置状態を示す図
【図2】警報装置の概略構成図
【図3】火災状態及びガス異常状態の判定の状態を示す説明図
【符号の説明】
【0070】
10:警報装置
11:火災環境状態検出手段
11a:火災センサ
11b:ガスセンサ
12:判定手段
13:警報手段
a:火災センサ出力関連値(出力関連値)
b:ガスセンサ出力関連値(出力関連値)
A1,A2,A3:判定閾値
B1,B1’,B2:判定閾値
L1,L2,L3,L4,L5,L6,L7:遅延時間
F:火災
X:ガス異常状態
Y:初期火災状態
Z:本格火災状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
火災に起因して変化する火災環境状態を検出する火災環境状態検出手段を少なくとも1つ備え、
少なくとも1つの前記火災環境状態検出手段の出力に関する出力関連値が所定の遅延時間継続して所定の判定閾値以上となったことを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて警報を出力する警報手段とを備えた警報装置であって、
前記判定手段が、前記遅延時間を、少なくとも1つの前記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更する警報装置。
【請求項2】
前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、又は、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備えた請求項1に記載の警報装置。
【請求項3】
前記判定手段が、前記遅延時間を、前記判定手段の判定で用いる前記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更する請求項1又は2に記載の警報装置。
【請求項4】
互いに異なる前記火災環境状態を検出する複数の前記火災環境状態検出手段を備え、
前記判定手段が、前記遅延時間を、前記判定手段の判定対象とは別の前記火災環境状態検出手段の出力関連値に応じて変更する請求項1〜3の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項5】
前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、及び、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記判定手段が、前記火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値が前記遅延時間としての火災遅延時間継続して前記判定閾値としての火災判定閾値以上となったことを火災状態として判定し、更に、前記火災遅延時間を、前記ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値に応じて変更する請求項4に記載の警報装置。
【請求項6】
前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、及び、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記判定手段が、前記ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値が前記遅延時間としてのガス遅延時間継続して前記判定閾値としてのガス判定閾値以上となったことを判定し、更に、前記ガス遅延時間を、前記火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値に応じて変更する請求項4又は5に記載の警報装置。
【請求項7】
前記判定手段が、前記火災環境状態検出手段の出力関連値が、前記遅延時間としての初期火災遅延時間継続して前記判定閾値としての初期火災判定閾値以上となったことを初期火災状態として判定すると共に、前記火災環境状態検出手段の出力関連値が、前記遅延時間としての本格火災遅延時間継続して前記初期火災判定閾値よりも大きい前記判定閾値としての本格火災判定閾値以上となったことを本格火災状態として判定し、更に、前記初期火災遅延時間を前記本格火災遅延時間よりも長くする請求項1〜6の何れか一項に記載の警報装置。
【請求項8】
前記火災環境状態検出手段として、前記火災環境状態としての煙、熱又は炎を検出する火災センサ、及び、前記火災環境状態としての火災により生成される火災生成ガスの濃度を検出するガスセンサを備え、
前記判定手段が、前記火災センサの出力関連値である火災センサ出力関連値が前記初期火災判定閾値としての火災センサ初期火災判定閾値以上となり且つ前記ガスセンサの出力関連値であるガスセンサ出力関連値が前記初期火災判定閾値としてのガスセンサ初期火災判定閾値以上となったことを初期火災状態として判定し、前記火災センサ出力関連値が前記本格火災判定閾値としての火災センサ本格火災判定閾値以上となったときに本格火災状態として判定する請求項7に記載の警報装置。
【請求項9】
前記判定手段が、前記初期火災状態及び前記本格火災状態を判定していない場合に、前記ガスセンサ出力関連値が前記遅延時間としてのガス遅延時間継続して前記判定閾値としてのガス判定閾値以上となったことをガス異常状態として判定し、更に、前記ガス遅延時間を前記初期火災遅延時間よりも長くする請求項8に記載の警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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